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特許7584435ゲルカード反応の写真を分類するための装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】ゲルカード反応の写真を分類するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/53 20060101AFI20241108BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20241108BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
G01N33/53 K
G06T7/00 350C
G01N33/48 Z
【請求項の数】 29
(21)【出願番号】P 2021558515
(86)(22)【出願日】2020-03-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-02
(86)【国際出願番号】 EP2020025145
(87)【国際公開番号】W WO2020192972
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2023-03-24
(31)【優先権主張番号】19305401.2
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518262268
【氏名又は名称】バイオ―ラッド ヨーロッパ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ピカール トーマス
(72)【発明者】
【氏名】デ-バスティアーニ ブルーノ
(72)【発明者】
【氏名】バレロー ジャン-バティステ
(72)【発明者】
【氏名】ドゥレイユ ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ミレー エリック
(72)【発明者】
【氏名】ボニー ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ノエル オリバー
(72)【発明者】
【氏名】レーズン イヴ
(72)【発明者】
【氏名】フォワサック クレメント
【審査官】三木 隆
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-512524(JP,A)
【文献】Nuno Miguel Duarte Costa,Automatic blood typing scanner through agglutination,University Do Porto, Undergraduate thesis,2014年07月22日,Page.1-56,http://paginas.fe.up.pt/~ee07126/wp/files/dissertation_200707541.pdf
【文献】Ana Ferraz,Blood type classification using computer vision and machine learning,Neural Comput & Applic,2016年01月13日,Vol.28,Page.2029-2040
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/53
G06T 7/00
G01N 33/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既定容器内の反応物の反応の入力写真を受け取り、かつ第一の複数反応カテゴリーの各反応カテゴリーについて、該入力写真が該第一の複数反応カテゴリーの該反応カテゴリーに属する反応を示確率を提供するようアレンジされた、第一ニューラルネットワークと;
該入力写真が該第一の複数反応カテゴリーのある既定反応カテゴリーに属する反応を示最も高い確率を第一のニューラル応答が提供したならば、該入力写真の既定部分を受け取り、そして、第二の複数反応カテゴリーの各反応カテゴリーについて、該入力写真の該既定部分が該第二の複数反応カテゴリーの該反応カテゴリーに属する反応を示確率を提供するようアレンジされた、第二ニューラルネットワークと
を含む、既定容器内の反応物の反応の写真を分類するための装置。
【請求項2】
第一ニューラルネットワークによって発行された最も高い確率が既定閾値を下回るならば、入力写真が第一の複数反応カテゴリーに属さないことを指し示す制御メッセージを発行するようアレンジされている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
第二ニューラルネットワークが起動されていないならば、該第一ニューラルネットワークによって出力された最も高い確率を有する反応カテゴリー内の反応を描写しているものとして入力写真を分類するようアレンジされ;かつ
該第二ニューラルネットワークが起動されたならば、該第二ニューラルネットワークによって出力された最も高い確率を有する反応カテゴリー内の反応を描写しているものとして該入力写真を分類するようアレンジされた
決定樹
を含む、請求項1記載の装置。
【請求項4】
入力写真が第一ニューラルネットワークによる解析に好適かを決定するようアレンジされ、好適ならば該入力写真は該第一ニューラルネットワークに提供される;または
該入力写真が該第一ニューラルネットワークによる解析に不適かを決定するようアレンジされ、不適ならば該入力写真は該第一ニューラルネットワークに提供されない
という第三ニューラルネットワーク
を有するスクリーニングステージをさらに含む、請求項1記載の装置。
【請求項5】
第三ニューラルネットワークが、既定容器内の反応物の反応の複数の既知入力写真の各々を好適または不適のいずれかとして分類することによって教師ありモードでトレーニングされたニューラルネットワークである、請求項4記載の装置。
【請求項6】
スクリーニングステージが、
入力写真を受け取り;情報を低減した写真を該入力写真に基づいて生成し;かつ該情報を低減した写真を第三ニューラルネットワークに入力するようアレンジされた、フィルタ
を含む、請求項4記載の装置。
【請求項7】
入力写真がカラー写真であり、かつ、フィルタが、該カラー写真を白黒写真に変換するようアレンジされ;第三ニューラルネットワークは、該白黒写真中に存在するピクセルと同数の単一ピクセル入力を含み、該白黒写真の各ピクセルは第一ニューラルネットワークのピクセル入力に連結される、請求項6記載の装置。
【請求項8】
入力写真が、赤色入力写真と、緑色入力写真と、青色入力写真との組み合わせであり;第一ニューラルネットワークが、該赤色、緑色、および青色入力写真中に存在するピクセルを合わせた数と同数の単一ピクセル入力を含み、該赤色、緑色、および青色入力写真の各ピクセルが該第一ニューラルネットワークのピクセル入力に連結される、請求項1記載の装置。
【請求項9】
第二ニューラルネットワークが、入力写真の既定部分の赤色、緑色、および青色入力写真中に存在するピクセルを合わせた数と同数の単一ピクセル入力を含む、請求項8記載の装置。
【請求項10】
第一ニューラルネットワークが、第一の複数反応カテゴリーのうち少なくとも1つの反応カテゴリーに、既定容器内の反応物の反応の複数の既知入力写真の各々を関連付けすることによって、教師ありモードでトレーニングされるニューラルネットワークである、請求項1記載の装置。
【請求項11】
既知容器がゲルカードのウェルであり、かつ、既知写真および入力写真がゲルカードのウェル内の反応物の反応の側面写真である、請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記複数の既知入力写真が、
それぞれ既定容器内の反応物の異なる反応の写真である原写真のセットと、
該原写真セットを色変更したもの;
該原写真セットの鏡像;
該原写真セットの該既定容器のポジションを回転したもの;
該原写真セットを明るさ変更したもの;
該原写真セットをコントラスト変更したもの;
該原写真セットをぼかしたもの;
該原写真セットを切り出したもの;
該原写真セットの該既定容器のポジションを平行移動したもの;
該原写真セットをスケール変更したもの;または
ノイズを追加した該原写真セット
のうち、少なくとも1つと
を含む、請求項10記載の装置。
【請求項13】
第二ニューラルネットワークが、第二の複数反応カテゴリーのうち少なくとも1つの反応カテゴリーに、前記複数の既知入力写真のサブセットの各々の既定部分を関連付けすることによって、教師ありモードでトレーニングされるネットワークである、請求項10記載の装置。
【請求項14】
既知容器がゲルカードのウェルであり、かつ、既知写真および入力写真がゲルカードのウェル内の反応物の反応の側面写真であり;該写真の既定部分が、該ウェルの底部を含有する該写真の部分である、請求項13記載の装置。
【請求項15】
少なくとも1つの容器を遠心分離するようアレンジされた遠心分離装置と;
該容器の画像を生成するための撮像デバイスと;
該遠心分離後の容器の各画像を入力として受け取るための請求項1記載の装置と
を含む、遠心分離および検査用デバイス。
【請求項16】
第一の既知写真の系列と、該第一の既知写真の各々の既知反応カテゴリーの系列とにより、第一ニューラルネットワークを教師ありモードでトレーニングする段階;
少なくとも2つの反応カテゴリーが該第一ニューラルネットワークによって互いに区別されない場合に、該少なくとも2つの反応カテゴリーを既定カテゴリーとしてグループ化する段階;および
該少なくとも2つの反応カテゴリーに属する既知反応カテゴリーを有する、第二の既知写真の系列の選択写真により、第二ニューラルネットワークを教師ありモードでトレーニングする段階であって、該選択写真は、入力写真の既定部分まで切り出された写真であり、該入力写真の該既定部分は、該少なくとも2つの反応カテゴリー間の少なくとも1つの差異を強調するエリアである、段階
を含む、請求項1に記載された装置をプログラミングする方法。
【請求項17】
既定容器内の反応物の反応の入力写真を第一ニューラルネットワークに入力する段階であって、該第一ニューラルネットワークは、第一の複数反応カテゴリーの各反応カテゴリーについて、該入力写真が該第一の複数反応カテゴリーの該反応カテゴリーに属する反応を示確率を提供するようアレンジされている、段階;および
該入力写真が該第一の複数反応カテゴリーのある既定反応カテゴリーに属する反応を示最も高い確率を第一のニューラル応答が提供したならば、該入力写真の既定部分を第二ニューラルネットワークに入力する段階であって、該第二ニューラルネットワークは、第二の複数反応カテゴリーの各反応カテゴリーについて、該入力写真の該既定部分が該第二の複数反応カテゴリーの該反応カテゴリーに属する反応を示確率を提供するようアレンジされている、段階
を含む、既定容器内の反応物の反応の写真を分類するための方法。
【請求項18】
第二ニューラルネットワークが起動されていないならば、第一決定樹を用いて、第一ニューラルネットワークによって出力された最も高い確率を有する反応カテゴリー内の反応を示しているものとして入力写真を分類する段階;および
該第二ニューラルネットワークが起動されたならば、第二決定樹を用いて、該第二ニューラルネットワークによって出力された最も高い確率を有する反応カテゴリー内の反応を示しているものとして該入力写真を分類する段階
をさらに含む、請求項17記載の方法。
【請求項19】
入力写真を第一ニューラルネットワークに入力する段階の前に、該入力写真が該第一ニューラルネットワークによる解析に好適かを決定するようアレンジされた第三ニューラルネットワークに、該入力写真を入力する段階;および
該入力写真が該第一ニューラルネットワークによる解析に好適であると該第三ニューラルネットワークが決定したならば、該入力写真を該第一ニューラルネットワークに入力する該段階を実施する段階;または
該入力写真が該第一ニューラルネットワークによる解析に不適であると該第三ニューラルネットワークが決定したならば、該入力写真を該第一ニューラルネットワークに入力しない段階
をさらに含む、請求項17記載の方法。
【請求項20】
第三ニューラルネットワークが、既定容器内の反応物の反応の複数の既知入力写真の各々を好適または不適のいずれかとして分類することによって教師ありモードでトレーニングされたニューラルネットワークである、請求項19記載の方法。
【請求項21】
第三ニューラルネットワークへの写真入力に含有される情報を低減するため、該第三ニューラルネットワークにおける写真入力をフィルタリングする段階
をさらに含む、請求項19記載の方法。
【請求項22】
入力写真がカラー写真であり、かつ、フィルタリングする段階が、該カラー写真を白黒写真に変換することを含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
入力写真が、赤色入力写真と、緑色入力写真と、青色入力写真との組み合わせであり、かつ、第一ニューラルネットワークが、該赤色、緑色、および青色入力写真中に存在するピクセルを合わせた数と同数の単一ピクセル入力を含み;および
入力写真を第一ニューラルネットワークに入力する段階が、該赤色、緑色、および青色入力写真の各ピクセルを、該第一ニューラルネットワークの異なるピクセル入力として入力することを含む
請求項17記載の方法。
【請求項24】
第二ニューラルネットワークが、入力写真の既定部分の、赤色、緑色、および青色入力写真中に存在するピクセルを合わせた数と同数の単一ピクセル入力を含み;および
該入力写真の既定部分を該第二ニューラルネットワークに入力する段階が、該入力写真の該赤色、緑色、および青色の既定部分の各ピクセルを、該第二ニューラルネットワークの異なるピクセル入力として入力することを含む
請求項23記載の方法。
【請求項25】
第一の複数反応カテゴリーのうち少なくとも1つの反応カテゴリーに、既定容器内の反応物の反応の複数の既知入力写真の各々を関連付けすることによって、第一ニューラルネットワークを教師ありモードでトレーニングする段階
をさらに含む、請求項17のいずれか一項記載の方法。
【請求項26】
既知容器がゲルカードのウェルであり、かつ、既知写真および入力写真がゲルカードのウェル内の反応物の反応の側面写真である、請求項25記載の方法。
【請求項27】
それぞれ既定容器内の反応物の異なる反応の写真である原写真のセットから、前記複数の既知入力写真を形成する段階;ならびに
該原写真セットを色変更したもの;
該原写真セットの鏡像;
該原写真セットの該既定容器のポジションを回転したもの;
該原写真セットを明るさ変更したもの;
該原写真セットをコントラスト変更したもの;
該原写真セットをぼかしたもの;
該原写真セットを切り出したもの;
該原写真セットの該既定容器のポジションを平行移動したもの;
該原写真セットをスケール変更したもの;または
ノイズを追加した該原写真セット
のうち、少なくとも1つを形成する段階
をさらに含む、請求項25記載の方法。
【請求項28】
第二の複数反応カテゴリーのうち少なくとも1つの反応カテゴリーに、前記複数の既知入力写真のサブセットの各々の既定部分を関連付けすることによって、第二ニューラルネットワークを教師ありモードでトレーニングする段階
をさらに含む、請求項25のいずれか一項記載の方法。
【請求項29】
既知容器がゲルカードのウェルであり、かつ、既知写真および入力写真がゲルカードのウェル内の反応物の反応の側面写真であり;該写真の既定部分が、該ウェルの底部を含有する該写真の部分である、請求項28記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本提示は、写真を分類するため、より具体的には、ゲルカードにおいて生じる凝集反応など、凝集反応の写真を分類するため、複数のニューラルネットワークを用いる装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
例えば血液試料の血液型を決定するためなど、血液を検査するための1つの公知の様式は、試薬(血液試料中の検出対象の分析物と複合体を形成できる試薬)を含有するかかつ/または二次抗体(例えば抗ヒトグロブリン抗体もしくは抗ヒトIgA抗体)などの網状化剤(感作赤血球もしくは感作ラテックス粒子を架橋できる網状化剤)を含有してもよい流体が上に乗った、デキストランアクリルアミドゲルなど例えばゲルである分離用マトリックスで満たされた容器内に血液試料を導入する段階;その容器をインキュベートする段階;ならびに、次にその容器を遠心分離する段階を含む;そして、ゲル内で凝集した赤血球の位置が、検査した血液試料の血液型に関する情報を提供する。
【0003】
図1は、例示的な公知の「ゲルカード」10の側面図である;ゲルカード10は、ある量のゲル14と網状化剤を含有してもよい流体とを各々が含有する、複数の透明プラスチック容器または「ウェル」12を一緒に保持し、かつ任意で、ゲルと網状化剤を含有しない流体とを含有する対照ウェル16も保持する、透明プラスチック製プレート11で作られる。ゲルカードは、一滴の血液試料(および必要ならば試薬)を各ウェル内に導入し、カードをインキュベートし、そして次に、カードのウェルの底に向かって加速がかけられるようにカードを遠心分離することによって、使用される。図1は、赤血球が、第一(RH2; C)、第三(RH1; D)、および第五(RH5; e)ウェルで凝集して最上部に残り、第二(RH4; c)、第四(RH3; E)、および第六(対照)ウェルでは凝集せず最下部に沈んだ、例示的なゲルカードを図示している。
【0004】
図2は、カード10のウェル12の詳細な立面図である;ウェル12は、検査対象の血液試料(および必要ならば試薬)を受けるための、上部にある広いインキュベーションチャンバ18と;テーパーした管腔によってチャンバ18に連結され、テーパーした下端部を有する、下部にある狭いウェル20と;網状化剤を含有してもよい、例えばゲル24などの分離用マトリックスで満たされた、ウェル12の底部22(または反応チャンバ)とを含む。図2はまた、反応したかまたは反応していない血液試料をウェル12の遠心分離が底部22に向かって押す32前に、チャンバ18内の流体30中の試薬28と反応している血液試料26も示
【0005】
かつては、人間のオペレータが遠心分離後のウェル12を見て、ウェル内の反応が陽性であるか陰性であるかを決定する役割を担っていた。しかし、効率を高めるため、ウェル内の反応が陽性であるか陰性であるかを自動的に決定するいくつかのシステムが開発された。公知のシステムは、ウェルの写真を生成し、次に画像処理ソフトウェアを用いて、画像を、認識可能な特徴を含む状態にする;そして次に、その認識可能な特徴を用いて、ウェル内の反応が陽性であるか陰性であるかを決定する。
【0006】
画像処理式の認識装置に伴う1つの問題は、写真の生成に用いられるカメラのタイプ、ゲルカードの透明度もしくは色、または、写真の生成に用いられる光のタイプなど、装置の1つの要素が変化すると、その要素の変化によって引き起こされる写真の変化に対応するため装置ソフトウェアを再校正しなければならないことである。さらに、画像処理式の認識装置には、非典型的な反応を陽性または陰性と認識するうえで困難が見られる。
【0007】
図3A~3Fに、画像処理式の認識装置では一般的に認識されない非典型反応をそれぞれ伴う、ウェルの写真を示す。
【0008】
公知の自動認識装置および方法よりさらに、例えば血液凝集写真などの非典型的な反応写真を自動的に認識することを可能にする、装置および/または方法;ならびに、公知の認識装置および/または方法ほど頻繁には再校正を必要としない装置および/または方法が、必要とされている。本提示の諸態様はこれらおよび他のニーズに対処する。
【発明の概要】
【0009】
概要
本提示の1つの態様は、写真を分類するための装置を含む;同装置は、入力写真の各カラーの各ピクセルを別個の入力として受け取り、そして、引き換えに、その写真が第一の既定反応系列を示確率を出力する、第一ニューラルネットワークを有し;かつ、既定の反応について第一ニューラルネットワークが返した確率が既定のレベルを超えているならば、入力写真の既定部分の各カラーの各ピクセルを別個の入力として受け取り、そして、引き換えに、その写真が第二の既定反応系列を示確率を出力する、第二ニューラルネットワークを有する。
【0010】
本提示の1つの態様は、既定容器内の反応物の反応の写真を分類するための装置に関する;同装置は、既定容器内の反応物の反応の入力写真を受け取り、そして、第一の複数反応カテゴリーの各反応カテゴリーについて、入力写真が第一の複数反応カテゴリーのその反応カテゴリーに属する反応を示確率を提供するようアレンジされた、第一ニューラルネットワークと;入力写真が第一の複数反応カテゴリーのある既定反応カテゴリーに属する反応を示最も高い確率を第一のニューラル応答が提供したならば(すなわち、第一ニューラルネットワークによって生成された確率のうち最も高いものが、第一の複数反応カテゴリーの既定反応カテゴリーに関係するならば)、入力写真の既定部分を受け取り、そして、第二の複数反応カテゴリーの各反応カテゴリーについて、入力写真の既定部分が第二の複数反応カテゴリーのその反応カテゴリーに属する反応を示確率を提供するようアレンジされた、第二ニューラルネットワークとを、含む。
【0011】
本提示の1つの態様において、装置は、第一ニューラルネットワークによって発行された最も高い確率が既定閾値を下回るならば、入力写真が第一の複数反応カテゴリーに属さないことを指し示す制御メッセージを発行するよう、アレンジされる。
【0012】
本提示の1つの態様において、装置は、第二ニューラルネットワークが起動されていないならば、第一ニューラルネットワークによって出力された最も高い確率を有する反応カテゴリー内の反応を描写しているものとして入力写真を分類するようアレンジされ;かつ、第二ニューラルネットワークが起動されたならば、第二ニューラルネットワークによって出力された最も高い確率を有する反応カテゴリー内の反応を描写しているものとして入力写真を分類するようアレンジされた、決定樹を含む。
【0013】
本提示の1つの態様において、装置は、第三ニューラルネットワークを有するスクリーニングステージを含む;第三ニューラルネットワークは次のようにアレンジされる:入力写真が第一ニューラルネットワークによる解析に好適かを決定し、好適ならば入力写真は第一ニューラルネットワークに提供される;または、入力写真が第一ニューラルネットワークによる解析に不適かを決定し、不適ならば入力写真は第一ニューラルネットワークに提供されない。本提示の1つの態様において、入力写真は、第三ネットワークに対して「不適(non-suitable)」と定義された反応のタイプを示しているとして第三ネットワークに認識されたならば「不適」、そうでないならば「好適(suitable)」と決定されてもよく、またはその逆であってもよい。
【0014】
本提示の1つの態様において、第三ニューラルネットワークは、既定容器内の反応物の反応の複数の既知入力写真の各々を好適または不適のいずれかとして分類することによって教師ありモードでトレーニングされた、ニューラルネットワークである。
【0015】
本提示の1つの態様において、スクリーニングステージは、入力写真を受け取り;情報を低減した写真を入力写真に基づいて生成し;そして、情報を低減した写真を第三ニューラルネットワークに入力するようアレンジされた、フィルタを含む。
【0016】
本提示の1つの態様において、入力写真はカラー写真であり、そしてフィルタはそのカラー写真を白黒写真に変換するようアレンジされる;第三ニューラルネットワークは、白黒写真中に存在するピクセルと同数の単一ピクセル入力を含み、白黒写真の各ピクセルは第一ニューラルネットワークのピクセル入力に連結される。
【0017】
本提示の1つの態様において、入力写真は、赤色入力写真と、緑色入力写真と、青色入力写真との組み合わせである;第一ニューラルネットワークは、赤色、緑色、および青色入力写真中に存在するピクセルを合わせた数と同数の単一ピクセル入力を含み、赤色、緑色、および青色入力写真の各ピクセルは第一ニューラルネットワークのピクセル入力に連結される。
【0018】
本提示の1つの態様において、第一ニューラルネットワークの各単一ピクセル入力は、既定の数の単一ビット入力を含む。
【0019】
本提示の1つの態様において、第二ニューラルネットワークは、入力写真の既定部分の赤色、緑色、および青色入力写真中に存在するピクセルを合わせた数と同数の単一ピクセル入力を含む。
【0020】
本提示の1つの態様において、第二ニューラルネットワークの各単一ピクセル入力は、既定の数の単一ビット入力を含む。
【0021】
本提示の1つの態様において、第一ニューラルネットワークは、第一の複数反応カテゴリーのうち少なくとも1つの反応カテゴリーに、既定容器内の反応物の反応の複数の既知入力写真の各々を関連付けすることによって、教師ありモードでトレーニングされるニューラルネットワークである。
【0022】
本提示の1つの態様において、既知容器はゲルカードのウェルであり、かつ、既知写真および入力写真はゲルカードのウェル内の反応物の反応の側面写真である。
【0023】
本提示の1つの態様において、前記複数の既知写真は、それぞれ既定容器内の反応物の異なる反応の写真である原写真のセットと;原写真セットを色変更したもの、原写真セットの鏡像、原写真セットの既定容器のポジションを回転したもの、原写真セットを明るさ変更したもの、原写真セットをコントラスト変更したもの、原写真セットをぼかしたもの、原写真セットを切り出したもの、原写真セットの既定容器のポジションを平行移動したもの、原写真セットをスケール変更したもの、およびノイズを追加した原写真セットのうち、少なくとも1つとを、含む。
【0024】
本提示の1つの態様において、第二ニューラルネットワークは、第二の複数反応カテゴリーのうち少なくとも1つの反応カテゴリーに、前記複数の既知写真のサブセットの各々の既定部分を関連付けすることによって、教師ありモードでトレーニングされるネットワークである。
【0025】
本提示の1つの態様において、既知容器はゲルカードのウェルであり、かつ、既知写真および入力写真はゲルカードのウェル内の反応物の反応の側面写真である;写真の既定部分は、ウェルの底部を含有する、写真の部分である。
【0026】
本提示の別の態様は、容器(容器はゲルカードであってもよい)の遠心分離および検査用デバイスであって、少なくとも1つの容器を遠心分離するようアレンジされた遠心分離装置と;遠心分離後の容器の画像(例えば遠心分離後のゲルカードの各ウェルの画像)を生成するための撮像デバイスと;上記に詳述したように既定容器内の反応物の反応の写真を分類するための装置であって、遠心分離後の容器の各画像を入力として受け取るようアレンジされた装置とを含む、デバイスを含む。
【0027】
本提示の別の態様は、上記に詳述したように既定容器内の反応物の反応の写真を分類するための装置をプログラミングする方法であって、以下の段階を含む方法に関する:第一の既知写真の系列と、第一の既知写真の各々の既知反応カテゴリーの系列とにより、第一ニューラルネットワークを教師ありモードでトレーニングする段階;少なくとも2つの反応カテゴリーが第一ニューラルネットワークによって互いに区別されない場合に、前記少なくとも2つの反応カテゴリーを既定カテゴリーとしてグループ化する段階;および、前記少なくとも2つの反応カテゴリーに属する既知反応カテゴリーを有する、第二の既知写真の系列の選択写真(例えば、第一の既知写真の系列の選択写真)により、第二ニューラルネットワークを教師ありモードでトレーニングする段階であって、選択写真は入力写真の既定部分まで切り出された写真であり、入力写真の既定部分は前記少なくとも2つの反応カテゴリー間の少なくとも1つの差異を強調するエリアである、段階。
【0028】
本提示の別の態様は、既定容器内の反応物の反応の写真を分類するための方法であって、以下の段階を含む方法に関する:既定容器内の反応物の反応の入力写真を第一ニューラルネットワークに入力する段階であって、第一ニューラルネットワークは、第一の複数反応カテゴリーの各反応カテゴリーについて、入力写真が第一の複数反応カテゴリーのその反応カテゴリーに属する反応を示確率を提供するようアレンジされている、段階;および、入力写真が第一の複数反応カテゴリーのある既定反応カテゴリーに属する反応を示最も高い確率を第一のニューラル応答が提供したならば、入力写真の既定部分を第二ニューラルネットワークに入力する段階であって、第二ニューラルネットワークは、第二の複数反応カテゴリーの各反応カテゴリーについて、入力写真の既定部分が第二の複数反応カテゴリーのその反応カテゴリーに属する反応を示確率を提供するようアレンジされている、段階。
【0029】
本提示の1つの態様において、方法は、第一ニューラルネットワークによって発行された最も高い確率が既定閾値を下回るならば、入力写真が第一の複数反応カテゴリーに属さないことを指し示す制御メッセージを発行する段階を含む。
【0030】
本提示の1つの態様において、方法は、第二ニューラルネットワークが起動されていないならば、第一決定樹を用いて、第一ニューラルネットワークによって出力された最も高い確率を有する反応カテゴリー内の反応を示しているものとして入力写真を分類する段階;および、第二ニューラルネットワークが起動されたならば、第二決定樹を用いて、第二ニューラルネットワークによって出力された最も高い確率を有する反応カテゴリー内の反応を示しているものとして入力写真を分類する段階を含む。
【0031】
本提示の1つの態様において、方法は、入力写真を第一ニューラルネットワークに入力する段階の前に、入力写真が第一ニューラルネットワークによる解析に好適かを決定するようアレンジされた第三ニューラルネットワークに、入力写真を入力する段階;および、入力写真が第一ニューラルネットワークによる解析に好適であると第三ニューラルネットワークが決定したならば、入力写真を第一ニューラルネットワークに入力する段階を実施する段階;または、入力写真が第一ニューラルネットワークによる解析に不適であると第三ニューラルネットワークが決定したならば、入力写真を第一ニューラルネットワークに入力しない段階を、含む。
【0032】
本提示の1つの態様において、第三ニューラルネットワークは、既定容器内の反応物の反応の複数の既知入力写真の各々を好適または不適のいずれかとして分類することによって教師ありモードでトレーニングされた、ニューラルネットワークである。
【0033】
本提示の1つの態様において、方法は、第三ニューラルネットワークへの写真入力に含有される情報を低減するため、第三ニューラルネットワークにおける写真入力をフィルタリングする段階を含む。
【0034】
本提示の1つの態様において、入力写真はカラー写真であり、かつ、フィルタリングする段階はカラー写真を白黒写真に変換する段階を含む。
【0035】
本提示の1つの態様において、入力写真は、赤色入力写真と、緑色入力写真と、青色入力写真との組み合わせであり、かつ、第一ニューラルネットワークは、赤色、緑色、および青色入力写真中に存在するピクセルを合わせた数と同数の単一ピクセル入力を含む;入力写真を第一ニューラルネットワークに入力する段階は、赤色、緑色、および青色入力写真の各ピクセルを、第一ニューラルネットワークの異なるピクセル入力として入力する段階を含む。
【0036】
本提示の1つの態様において、第二ニューラルネットワークは、入力写真の既定部分の、赤色、緑色、および青色入力写真中に存在するピクセルを合わせた数と同数の、単一ピクセル入力を含む;入力写真の既定部分を第二ニューラルネットワークに入力する段階は、入力写真の、赤色、緑色、および青色の既定部分の各ピクセルを、第二ニューラルネットワークの異なるピクセル入力として入力する段階を含む。
【0037】
本提示の1つの態様において、方法は、第一の複数反応カテゴリーのうち少なくとも1つの反応カテゴリーに、既定容器内の反応物の反応の複数の既知入力写真の各々を関連付けすることによって、第一ニューラルネットワークを教師ありモードでトレーニングする段階を含む。
【0038】
本提示の1つの態様において、既知容器はゲルカードのウェルであり、かつ、既知写真および入力写真はゲルカードのウェル内の反応物の反応の側面写真である。
【0039】
本提示の1つの態様において、方法は、それぞれ既定容器内の反応物の異なる反応の写真である原写真のセットから、複数の既知写真を形成する段階;ならびに、原写真セットを色変更したもの、原写真セットの鏡像、原写真セットの既定容器のポジションを回転したもの、原写真セットを明るさ変更したもの、原写真セットをコントラスト変更したもの、原写真セットをぼかしたもの、原写真セットを切り出したもの、原写真セットの既定容器のポジションを平行移動したもの、原写真セットをスケール変更したもの、およびノイズを追加した原写真セットのうち、少なくとも1つを形成する段階を、含む。
【0040】
本提示の1つの態様において、方法は、第二の複数反応カテゴリーのうち少なくとも1つの反応カテゴリーに、前記複数の既知写真のサブセットの各々の既定部分を関連付けすることによって、第二ニューラルネットワークを教師ありモードでトレーニングする段階を含む。
【0041】
本提示の1つの態様において、既知容器はゲルカードのウェルであり、かつ、既知写真および入力写真はゲルカードのウェル内の反応物の反応の側面写真である;写真の既定部分は、ウェルの底部を含有する、写真の部分である。
【0042】
これらおよび他の特徴と利点とは、以下の詳細な説明および添付の図面からさらに明らかになるであろう。図面および説明において、数字はさまざまな特徴を指し示し、同様の数字は、図面および説明の全体にわたって同様の特徴を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】公知のゲルカードを示す。
図2図1のゲルカードのウェルの詳細を示す。
図3図3A~3F非典型反応を伴う、ゲルカードのウェルを示す。
図4】本提示の諸態様に基づく装置を模式的に示す。
図5】本提示の諸態様に基づくニューラルネットワークを模式的に示す。
図6】さまざまなニューラルネットワークをトレーニングするため入力写真がどのように処理されるかを詳しく図示する。
図7】さまざまなニューラルネットワークをトレーニングするため入力写真がどのように処理されるかの概要を図示する。
図8】公知の写真認識装置によって認識されるためにはこのように処理されなければならないという写真、および、本提示に基づく装置によって認識できる写真を示す。
図9】本提示の1つの態様に基づく、ゲルカード遠心分離および検査用デバイスの略図である。
【0044】
当業者は、添付の図面が必ずしも一律の縮尺でないことを理解するであろう。添付の図面は例示の理由のためだけに提示されるのであり、添付の特許請求の範囲を制限するために用いられるべきでない。
【発明を実施するための形態】
【0045】
詳細な説明
以下の説明において、本明細書に開示するさまざまな具体的態様を明確に説明するため、数多くの具体的詳細が述べられる。しかし当業者には、特許請求される本発明が、後述する具体的詳細のすべてを伴わなくても実現されうることが理解されるであろう。他の事例において、特許請求される本発明を不明瞭にすることがないよう、周知の特徴は説明されていない。
【0046】
図4に、遠心分離後の、既定容器内の反応物の反応の写真、例えばゲルカードのウェル内の血液試料と凝集反応物との間の反応の写真42を分類するための、本提示の1つの態様に基づく装置40を模式的に示す。本提示の1つの態様において、装置40は、詳しく後述するように、入力写真42を受け取り、そして、引き換えに、入力写真42が第一の複数反応カテゴリーR1~Rnの各々に属する反応を示す確率X1~Xnを提供するようアレンジされた、第一ニューラルネットワーク44を含む。図4に図示しかつ詳しく後述するように、写真42はカラー写真であってもよく、かつ、1つの赤色写真Rと、1つの青色写真Bと、1つの緑色写真Gとの組み合わせで構成されてもよい。本提示の1つの態様において、ニューラルネットワーク44は、各確率X1~Xnが0~100%とされ、かつX1~Xnの合計が100となるようアレンジされる。1つの態様において、ニューラルネットワーク44はまた、確率X1~Xnの全体的な信頼度を出力するようアレンジされてもよい。本提示の1つの態様において、値X1~XnはメモリバッファR1~Rnの列46内に保管されてもよい。
【0047】
本提示の1つの態様において、装置40は、写真42のさらなる解析が必要かを決定するようアレンジされた第一決定回路48を含む。詳しく後述するように、ニューラルネットワーク44は、反応カテゴリーR1~Rnの中の少なくとも1つの反応カテゴリーRmが、ニューラルネットワーク44で区別困難な複数の反応カテゴリーを包含するようにアレンジされる。本提示の1つの態様において、決定回路48は、写真42が反応カテゴリーRmに含まれる反応を示可能性の値Xmを含めて、値X1~Xnのすべてを受け取り、かつ、値Xmが値X1~Xnのうち最大ならば、写真42を第二ニューラルネットワーク50に(例えば図4に図示するような制御されたスイッチ49を介して)送るように、アレンジされる。
【0048】
本提示の1つの態様において、決定回路48によって第二ニューラルネットワーク50に送られた写真42を受け取り、写真42から既定部分42'を抽出し、そして、既定部分42'を第二ニューラルネットワーク50に入力するよう、切り出し回路52がアレンジされる。本提示の1つの態様において、切り出し回路52は、図4に図示するように、写真42をその下部のみ切り出すようにアレンジされる。
【0049】
本提示の1つの態様において、かつ詳しく後述するように、第二ニューラルネットワーク50は、入力写真42の部分42'を受け取り、そして、引き換えに、部分42'が第二の複数反応カテゴリーRn+1~Rn+kの1つに属する反応を示確率Xn+1~Xn+kを提供するようアレンジされる。本提示の1つの態様において、値Xn+1~Xn+kはメモリバッファRn+1~Rn+kの列51内に保管されてもよい。本提示の1つの態様において、各確率Xn+1~Xn+kは0~100%とされ、かつXn+1~Xn+kの合計は100である。
【0050】
本提示の1つの態様において、装置40は、第二ニューラルネットワーク50が第一決定回路48によって起動されていないならば、第一ニューラルネットワーク44によって出力された確率X1~Xnのうち最も高い確率を有する、カテゴリーR1~Rnのうち1つにおける反応を、描写しているものとして入力写真42を分類し;そして、第二ニューラルネットワーク50が第一決定回路48によって起動されたならば、第二ニューラルネットワーク50によって出力された確率Xn+1~Xn+kのうち最も高い確率を有する、カテゴリーRn+1~Rn+kのうち1つにおける反応を、描写しているものとして入力写真42を分類するよう、アレンジされた第二決定回路53を含む。本提示の1つの態様において、スイッチ49を制御するため決定回路48によって生成される制御信号55が、第二ニューラルネットワーク50が起動されていないならば値X1~Xnを考慮に入れないよう第二の決定53を制御するためにもまた用いられてもよい。
【0051】
本提示の1つの態様において、第一のニューラル応答が提供した最も高い確率が既定閾値を下回るならば、信号59などの制御メッセージが第二決定回路53に送られてもよい;次に第二決定回路53は、例えば、入力写真42はR1~Rn+kのいずれに属する反応も示ない可能性が高いことなどを指し示すメッセージを、出力するようアレンジされてもよい。
【0052】
本提示の1つの態様において、装置40は、フィルタ56を含むスクリーニングステージ54を含む;フィルタ56は、入力写真42を受け取り、そして、引き換えに、情報を低減した写真42"を生成するようアレンジされる。写真42がカラー写真である、本提示の1つの態様において、情報を低減した写真42"は白黒写真である。本提示の1つの態様において、かつ詳しく後述するように、スクリーニングステージ54は、入力写真42が第一ニューラルネットワーク44による解析に好適か否かを決定するようアレンジされた第三ニューラルネットワーク58をさらに含む。本提示の1つの態様において、入力写真42が第一ニューラルネットワーク44による解析に好適であるとニューラルネットワーク58が決定したならば、例えば制御されたスイッチ60を用いるなどして入力写真42が第一ニューラルネットワーク44に入力される。一方、入力写真42が第一ニューラルネットワーク44による解析に不適であるとニューラルネットワーク58が決定したならば、信号59などの制御メッセージが第二決定回路53に送られてもよい;第二決定回路53は、例えば、入力写真42はR1~Rn+kのいずれに属する反応も示ない可能性が高いことなどを指し示すメッセージを、出力するようアレンジされてもよい。
【0053】
留意される点として、図4は、値Xmが値X1~Xnのうち最大であるかをモニターし、そして最終的に、入力写真42の既定部分42'を第二ニューラルネットワーク50に受け取らせかつ調べさせるようアレンジされた、単一の決定回路48を示。しかし、本提示の諸態様はまた、それぞれが、別個の確率Xi(それぞれ異なる反応カテゴリーRiに関する)が値X1~Xnのうち最大であるかをモニターし、そして最終的に、入力写真42の異なる既定部分42'を異なる第二ニューラルネットワーク50に受け取らせかつ調べさせるよう、アレンジされた、1つより多い決定回路48を有することも可能である。例えば、入力写真42の第一の既定部分42'が上記に詳述したように写真の底部であってもよく、一方で、入力写真42の第二の既定部分42'が写真の中央部の中間部であってもよい。
【0054】
図5に、装置40の第一ニューラルネットワーク44の1つの態様と、それが入力写真42をどのように受け入れるかとを、模式的に図示する。図示の態様において、ニューラルネットワーク44は、画像42を形成する赤色画像R、青色画像B、および緑色画像Gのすべてに存在するピクセルと同数のピクセル入力ニューロン62を有する入力層を含む。したがって、例えば画像R、G、およびBの各々が 50 x 100 = 5000 ピクセルを含むならば、ニューラルネットワーク44は15.000個のピクセル入力ニューロンを含む。本提示全体を通して、「ニューロン(neuron)」という用語は、 専用ハードウェア、専用ハードウェアとソフトウェアとの混在物、または、コンピュータなど標準的なプログラム可能ハードウェア上で実行されるソフトウェアのいずれかとして実施される、人工ニューロン回路である。
【0055】
本提示の1つの態様において、各ピクセル入力ニューロン62は、1つのピクセルが含むコード化ビットと同数の単一ビットニューロン62'を含む。図5に図示する例において、写真42を形成するR、G、B写真の各々の各ピクセルは8ビット上にコードされ、そして、各ピクセル入力ニューロン62は、それぞれ樹状突起上で二値入力を受け取るようアレンジされた8つの単一ビットニューロン62'を含む。代替的に、各ピクセル入力ニューロン62は、0~255の値を有してもよい単一の8ビットコード化ピクセル信号を樹状突起上で受け取るようアレンジされてもよい。本提示の1つの態様において、ニューラルネットワーク44の各ピクセル入力ニューロン62の軸索が隠れニューロン層64に接続され、隠れニューロン層64それ自体は、出力ニューロン66で構成される出力ニューロン層に接続される;出力層66の各ニューロンの軸索が、メモリレジスタR1~Rnのうち1つの入力に連結される。
【0056】
本提示の1つの態様において、ニューラルネットワーク44は、複数の既知写真をニューラルネットワーク44に連続的に入力し、そして毎回、入力された既知写真を反応カテゴリーR1~Rnのうち1つに関連付けすることによって、教師ありモードでトレーニングされる。本提示の1つの態様において、各写真は、反応物のインキュベーション後かつ遠心分離後の、ゲルカードのウェルの側面写真である。本提示の1つの態様において、ニューラルネットワークに教示する段階は、熟練オペレータが、入力される各既知写真を1つの反応カテゴリーに属するものとして認識すること、および、そのカテゴリーがネットワーク44においてその入力された既知写真に関連付けされること、を必要とする。しかし、詳しく後述するように、本提示の別の態様において、ニューラルネットワークに教示する段階で必要とされるのは、熟練オペレータが、既知写真のセットのうちサブセットのみを、1つの反応カテゴリーに属するものとして認識することである可能性がある;それは例えば、既知写真のセットの残りが、既知写真のサブセットから写真の見た目を変更する(傾ける、色を変化させる、など)ことによって生成される場合などで、それにより、残りの写真は、見た目が変更されているにもかかわらずカテゴリーが既知となる。
【0057】
図6に、本提示の1つの態様においてニューラルネットワーク44をトレーニングするために用いられる複数の既知写真を作成する方法を図示する。原写真70が示されている。写真70は、例えば、以後写真42を生成するために用いられるカメラなどの、カメラによって取得されてもよい。本提示の1つの態様において、写真70を水平方向に裏返す(鏡像)ことによって、写真70からさらなる写真72が形成される。本提示の1つの態様において、写真をより暗くし、かつウェルのポジションを垂直方向に動かすことによって、写真70または72からさらなる写真74が形成される。本提示の1つの態様において、ウェルの写真を垂直方向に動かし、かつウェルの写真を数度の角度だけ回転させることによって、写真70または72からさらなる写真76が形成される。本提示の1つの態様において、写真をより暗くし、かつウェルのポジションを垂直方向および水平方向に動かすことによって、写真70または72からさらなる写真78が形成される。本提示の1つの態様において、写真をより暗くし、ウェルの写真を垂直方向に動かし、かつウェルの写真を数度の角度だけ回転させることによって、写真70または72からさらなる写真80が形成される。本提示の1つの態様において、写真をより暗くし、かつウェルの写真を垂直方向に動かすことによって、写真70または72からさらなる写真82が形成される。本提示の1つの態様において、写真の色を変化させ、ウェルの写真を数度の角度だけ回転させ、かつ前の写真と異なる様式でウェルの写真を垂直方向に動かすことによって、写真70または72からさらなる写真84が形成される。本提示の1つの態様において、写真をより暗くし、ウェルの写真を垂直方向に動かし、かつ前の写真と異なる様式でウェルの写真を数度の角度だけ回転させることによって、写真70または72からさらなる写真86が形成される。
【0058】
本提示の1つの態様において、ニューラルネットワーク44をトレーニングするために用いられる複数の既知写真は、写真70などの原写真のセットから開始して、写真72~86など既知写真の追加セットを作成することによって形成される;既知写真の追加セットは、原写真セットを色変更したもの、原写真セットの鏡像、原写真セットの既定容器のポジションを回転したもの、原写真セットを明るさ変更したもの、原写真セットをコントラスト変更したもの、原写真セットをぼかしたもの、原写真セットを切り出したもの、原写真セットの既定容器のポジションを平行移動したもの、原写真セットをスケール変更したもの、および、ノイズを追加した原写真セットのうち、少なくとも1つを含む。
【0059】
本提示の1つの態様において、既知写真の追加セットは、上記に詳述した写真変更のいずれかをランダムに組み合わせることによって自動的に作成されてもよい。
【0060】
本提示の1つの態様において、各原写真は、その原写真から生成された各々の追加写真と同じ反応を示すので、ニューラルネットワーク44に、各原写真から生成されたすべての追加写真が自動的にフィードされてもよく、そして、各々の追加写真の反応はその原写真について教示された反応(オペレータによって同定された反応)と同じであると自動的に教示されてもよい。上記により、熟練オペレータによって既知反応カテゴリーに個々に関連付けされた、サイズを小さくした既知写真セットから、既知反応カテゴリーにそれぞれ関連付けされた、大きな既知写真セットを、自動的に生成することが可能になる。本提示の1つの態様において、既知反応カテゴリーにそれぞれ関連付けされた、大きな既知写真セットが生成されたら、ニューラルネットワーク44は、その大きな既知写真セットと、それらの既知反応カテゴリーとを用いて、自動的に教示されてもよい。
【0061】
本提示の1つの態様において、ニューラルネットワーク44への教示がなされたら、多数の未知写真がニューラルネットワーク44にフィードされ、そして、(他の反応カテゴリーについて発行された確率値より大きい、適切な反応カテゴリーRjに関連付けられた確率値Xjを発行することによって)各未知写真が適切な反応カテゴリーを示しているとして正しく同定されていることを、熟練オペレータが検証する。2つの別個のカテゴリーの写真を示している未知写真が、ニューラルネットワーク44によって誤ったカテゴリー化をされているならば、上記に詳述したように既知写真の追加セットでネットワーク44が追加的にトレーニングされてもよい。しかし、ニューラルネットワーク44が、少なくとも2つの反応カテゴリーを誤って特徴付けることが続くならば、その2つの反応カテゴリーを単一の反応カテゴリーRmとしてもよい;すると、ニューラルネットワーク44は、入力写真42が反応カテゴリーRmに属するい確率Xmを発行し、それは、前記少なくとも2つのカテゴリー間の少なくとも1つの差異を示、入力写真の既定の詳細/部分42'についての、ニューラルネットワーク50による詳しい解析をトリガーする。
【0062】
例えば、反応カテゴリーRmは、トレーニングされたオペレータには別個のものとして見えるがニューラルネットワーク44には良好に区別されない、複数の陰性反応カテゴリーをグループ化したものであってもよい。そして、入力写真の既定部分42'は、例えば、前記複数の陰性反応カテゴリー間の少なくとも1つの差異が見いだされるウェルの底部を含む、入力写真の最下部であってもよい。
【0063】
図5は、第一ニューラルネットワーク44のみならず第二ニューラルネットワーク50もまた図示し、それには、符番44および42を符番50および42'に置き換え、かつ、ニューラルネットワーク44に関する上述の説明と同じく、既定の写真部分42'を形成する赤色、青色、および緑色写真の3つの部分に存在するピクセルと同数のピクセル入力ニューロンを有する入力ニューロン層をニューラルネットワーク50が含むとみなす。これもニューラルネットワーク44に関する上述の説明と一致する点として、ニューラルネットワーク50の入力ニューロン層は隠れニューロン層に接続され、隠れニューロン層それ自体は出力ニューロン層に接続される;出力ニューロン層の各出力ニューロンの軸索は(図示のR1~Rnの代わりに)メモリレジスタRn+1~Rn+kのうち1つに接続される。
【0064】
ニューラルネットワーク50への教示は、ニューラルネットワーク44への教示と同様に行うことができるが、それに用いられるのは、ニューラルネットワーク44によって適切に区別されず、かつ、したがって単一の反応カテゴリーRmであるとしてニューラルネットワーク44に教示された、(少なくとも)2つの反応カテゴリーに属する既知写真としてオペレータによって選び出された既知写真セットの一部分のみである。
【0065】
代替的に、本提示の1つの態様において、ニューラルネットワーク44は、適切に区別できない(少なくとも)2つの反応カテゴリーを単一の反応カテゴリーRmとして同定する必要はない。ただしその場合は、適切に区別されないその(少なくとも)2つの反応カテゴリーのうちいずれか1つに入力写真が属する(最も高い確率が出力される)ことをニューラルネットワーク44の出力が示すならばニューラルネットワーク50を起動するよう、決定回路48がアレンジされなければならない。
【0066】
ニューラルネットワーク44への教示と同様に、ニューラルネットワーク50への教示に用いられる既知写真セット、および対応する既知反応カテゴリーのセットは、原既知写真の、より小さいセットの見た目を、ランダムに変化させることによって自動的に生成されてもよい。ニューラルネットワーク44への教示と同様に、ニューラルネットワーク50への教示に用いられる、既知写真セット、およびそれに対応する既知反応カテゴリーのセットは、原既知写真のより小さいセットから自動的に生成されたら、ニューラルネットワーク50をトレーニングするため自動的にフィードされてもよい。
【0067】
図5は、第一ニューラルネットワーク44のみならず第三ニューラルネットワーク58もまた図示し、それには、符番44および42を符番58および42"に置き換え、かつ、ニューラルネットワーク44に関する上述の説明と同じく、白黒部分42"中に存在するピクセルと同数のピクセル入力ニューロンを有する入力ニューロン層をニューラルネットワーク58が含むとみなす。これもニューラルネットワーク44に関する上述の説明と一致する点として、ニューラルネットワーク58の入力ニューロン層は隠れニューロン層に接続され、隠れニューロン層それ自体は単一の出力ニューロンに接続される;出力ニューロンの軸索は、写真42を第一ニューラルネットワーク44による解析に好適または不適であるとして同定する信号59を提供するようアレンジされる。
【0068】
ニューラルネットワーク58への教示は、ニューラルネットワーク44への教示と同様に行うことができるが、それに用いられるのは、単一の「解析に適当(fit for analysis)」または「解析に不適当(unfit for analysis)」のラベルを各々が有する既知白黒写真のセットのみである。本提示の1つの態様において、既知白黒写真セットは既知カラー写真セットから生成される。本提示の1つの態様において、既知カラー写真セットは、同定可能な反応を示していると認識された多数の原写真;ならびに、例えば、同定可能な反応を示ない、図3Bのように気泡を有する写真または図3Cのように不透明の反応を有する写真など、同定可能な反応を示していないと認識された多数の原写真を、含んでもよい。各写真はオペレータによって「解析に適当」または「解析に不適当」のラベルに手動で関連付けされてもよい。代替的に、「解析に不適当」な写真が、トレーニング後の第一および第二ニューラルネットワークによって一貫して誤解析される写真のセットから自動または手動で選択されてもよく、その一方で、「解析に適当」な写真が、トレーニング後の第一および第二ニューラルネットワークによって一貫して適切に解析される写真のセットから自動または手動で選択されてもよい。
【0069】
次に、原白黒写真のセットが、(適当および不適当な)原既知写真のセットから自動的に形成されてもよく、そして次に、ニューラルネットワーク58のトレーニング用として、例えば原白黒写真の見た目に小さな変更をランダムに導入するなどによって、既知のラベルを各々が有する既知白黒写真セットが自動的に生成されてもよい。
【0070】
代替的に、例えば上記に詳述したように原写真の見た目に小さな変更をランダムに導入するなどによって、適当/不適当のラベルを各々が有する既知カラー写真セットが、(適当および不適当な)原既知写真のセットから自動的に形成されてもよく、そして、そうした既知カラー写真セットが、リアルタイムで各カラー写真を白黒写真に転換するフィルタ56を通して、教師ありモードでニューラルネットワーク58にフィードされてもよい。
【0071】
図7に、ニューラルネットワーク58をトレーニングするための既知白黒写真セット90と;ニューラルネットワーク44をトレーニングするための既知カラー写真セット92と;ニューラルネットワーク50をトレーニングするための既知カラー写真の一部分のセット94とが、原カラー写真の単一のセット96から生成されうることを図示する。
【0072】
図8に、公知の写真認識装置によって分類可能であるためにこう見えなければならないという、遠心分離後の血液凝集ゲルカードのウェルの写真98と;本提示に基づく認識装置によって分類可能であるためにこう見えてもよいという、遠心分離後の血液凝集ゲルカードのウェルの写真100とを示す。
【0073】
図9に、少なくとも1つのゲルカード106を遠心分離するようアレンジされた遠心分離装置104と;遠心分離後のゲルカード106の各ウェルの画像42を生成するための、デジタルカメラ108などの撮像デバイスと;遠心分離後のゲルカードの各画像42を入力として受け取り、そしてそれを、反応カテゴリーR1~Rm-1、Rm+1~Rn、もしくはRn+1~Rn+kのうち1つを示しているものとして、または同定不能な反応を示しているものとして分類するための、図4に示したような装置110とを、含む、本提示の1つの態様に基づくゲルカード遠心分離および検査用デバイス102を図示する。
【0074】
留意される点として、図4に示したような装置40は、生じる可能性がありそして画像42を変化させる可能性がある変化に関して、頑健である。例えば、写真42の色、鮮鋭度、または明度に影響を及ぼす光学系の変更が、装置40による写真42の誤分類を引き起こすことはない。同様に、写真42の撮影時のゲルカードの偶発的な傾きが、装置40による写真42の誤分類を引き起こすことはない。さらに、画像42中のピクセル数の増大につながるカメラ108の変更は、ウェルが引き続き切り出し写真の一部となるように元のピクセル数に合わせて新しい画像を切り出すことによって対処できる。同じく、画像42中のピクセル数の減少につながるカメラの変更は、元のピクセル数に合わせて新しい画像を引き伸ばすことによって対処できる。
【0075】
以上、特許法規の要件に従って本発明を説明した;当業者には、各自の具体的要件または条件に合致させるため本発明にどのように変更および改変を行えばよいかが理解されるであろう。そうした変更および改変は、本明細書に開示する本発明の範囲および精神から逸脱することなく行われうる。
【0076】
例示的かつ好ましい態様の、前述の詳細な説明は、法律の要件に従った例証および開示の目的で提示されている。前述の詳細な説明は、網羅的であることも、本発明を説明どおりの形態に限定することも、意図しておらず、本発明が特定の用途または実施形態にどのように適合されうるかを当業者が理解できることを意図したにすぎない。改変およびバリエーションの可能性は当業者に明らかであろう。例示的態様の説明は、許容差、特徴の寸法、具体的な作動条件、または工学的仕様などを含んでいる可能性があり、かつ、実施形態によってまたは技術的現状の変化に伴ってさまざまに異なる可能性があるが、いかなる限定も意図しておらず、かつ、そこからいかなる限定も暗示されるべきでない。本出願人は現在の技術的現状に関して本提示を行っているが、進歩もまた予期しており、そして、将来の適合形態がそれらの進歩を考慮に入れる可能性があることもまた、技術的現状に基づいて予期している。本発明の範囲は、書面どおりの特許請求の範囲と、適宜同等物とによって、定義される。特許請求の範囲の要素に対する単数形の参照は、明示的にそう述べられるのでない限り、「1つかつ1つのみ(one and only one)」を意味することを意図していない。さらに、本提示におけるいかなる要素、コンポーネント、または、方法もしくはプロセスの段階も、その要素、コンポーネント、または段階が特許請求の範囲において明示的に記載されているか否かにかかわらず、公共の用に供されることを意図していない。本明細書におけるいかなる要素も、その要素が「~のための手段(means for ...)」という句を用いて明示的に記載されているのでない限り、米国特許法第112条第6パラグラフの規定の下で解釈されるべきでなく、本明細書におけるいかなる方法またはプロセスの段階も、その段階または複数の段階が「~の段階を含む(comprising the step(s) of ....)」という句を用いて明示的に記載されているのでない限り、米国特許法第112条第6パラグラフの規定の下で解釈されるべきでない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9