(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】光治療装置
(51)【国際特許分類】
A61N 5/067 20060101AFI20241108BHJP
A61B 18/20 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
A61N5/067
A61B18/20
(21)【出願番号】P 2021567495
(86)(22)【出願日】2020-12-22
(86)【国際出願番号】 JP2020048017
(87)【国際公開番号】W WO2021132271
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2021-11-01
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-09
(31)【優先権主張番号】P 2019231711
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503369495
【氏名又は名称】帝人ファーマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】南條 卓也
(72)【発明者】
【氏名】石橋 直也
【合議体】
【審判長】佐々木 正章
【審判官】栗山 卓也
【審判官】村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0121418(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N5/06-5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的部位に対してレーザを照射するレーザ光源と、
標的部位に当接させる本体部と、
前記本体部の側面に設けられた吸気口と、
前記吸気口に対して反対側の前記本体部の前記側面に設けられた排気口と、
前記吸気口から前記本体部内に噴射される空気を供給する空気供給装置と、を具備し、
前記吸気口において最も流速の速い空気流が前記本体部内に噴射されるときの方向である空気の噴射方向が、
前記本体部が当接する面における、標的部位における前記レーザの照射野の中心に対して前記吸気口寄りを向くように前記吸気口が構成され
ると共に、
前記空気供給装置が前記吸気口に接続されたダクトを有し、前記吸気口の中心及び前記レーザの照射野の中心を通る縦断面において、前記吸気口近傍の前記ダクト上部における第1延長線と、前記吸気口近傍の前記ダクト下部における第2延長線とを規定したとき、前記第1延長線及び前記第2延長線が、前記本体部が当接する面における、標的部位における前記レーザの照射野の前記中心に対して前記吸気口寄りを通り、
前記空気供給装置が、前記本体部の前記側面に隣接して配置されたファンを有し、前記ダクトが、前記ファン及び前記吸気口を接続し、前記ファンの回転によって前記ダクトに空気を取り込むとき、前記ファンが前記本体部との間において前記本体部の前記側面から離間する方向の空気流を生成するように、前記ファン及び前記ダクトが構成されていることを特徴とする光治療装置。
【請求項2】
前記排気口が前記本体部の前端部近傍の前記側面に設けられ、前記吸気口が前記排気口よりも前記本体部の前端部から離間した位置に設けられている請求項1に記載の光治療装置。
【請求項3】
標的部位に対して発光する発光部と標的部位から反射した光を受光する受光部とを有し、前記レーザ光源が標的部位に対して所定の距離まで接近したことを検出する光学センサをさらに具備し、前記光学センサの発光部及び受光部が、前記吸気口から噴射される空気に曝されるように、前記本体部の内部に配置されている請求項
1又は2に記載の光治療装置。
【請求項4】
前記光学センサが、前記吸気口と前記排気口とを直接連結する仮想的な流路上に配置されていない請求項
3に記載の光治療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血行促進及び代謝促進等、治療や治療の補助の目的で生体組織にレーザを照射するために、光治療装置が用いられる。中でもレーザの安全基準JIS C 6802におけるレーザクラスにおいて、クラス3以上の高出力な光治療装置を在宅医療として使用する場合、クラス1Cの適合が必須要件となる。
【0003】
ところで、標的組織である所定箇所の皮膚の部位や状態、及び、皮膚の色、ほくろ及び体毛等の程度が異なれば、同一出力且つ同一時間のレーザの照射であっても、皮膚に吸収される熱エネルギー量が異なる。特に、全身の皮膚が黒い黒色人種や体毛が黒く且つ濃い人は、相対的に熱エネルギーの吸収量が大きくなり、火傷を負う可能性がある。
【0004】
レーザの照射による火傷を防止するため、冷却流体、例えば冷却空気を利用してレーザの標的部位を冷却する冷却装置を備えた光治療装置が公知である(特許文献1)。特許文献1に記載の冷却装置は、パイプを介して冷却空気を噴射している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、収束光の面積よりも若干広い面積に冷却空気を噴射する、と単に記載されているだけであって、最適な噴射の向き、すなわちパイプの角度等について一切記載されていない。また特許文献1には、パイプがハンドピースに対してどのように設けられているのか記載されておらず、それがハンドピースの内部にあるのか外部にあるのか、それによって噴射された冷却空気が受ける影響も異なってくる。その結果、特許文献1に記載の冷却装置では、標的部位の効率的な冷却を行われているのかどうか疑わしい。
【0007】
本発明は、標的部位を効率的に冷却することができる冷却装置を備えた光治療装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、標的部位に対してレーザを照射するレーザ光源と、本体部と、前記本体部の側面に設けられた吸気口と、前記吸気口に対して反対側の前記本体部の前記側面に設けられた排気口と、前記吸気口から前記本体部内に噴射される空気を供給する空気供給装置と、を具備し、空気の噴射方向が、標的部位における前記レーザの照射野の中心に対して手前を向くように前記吸気口が構成されていることを特徴とする光治療装置が提供される。
【0009】
前記排気口が前記本体部の前端部近傍の前記側面に設けられ、前記吸気口が前記排気口よりも前記本体部の前端部から離間した位置に設けられていてもよい。前記空気供給装置が、前記本体部の前記側面に隣接して配置されたファンと、前記ファン及び前記吸気口を接続するダクトとを有し、前記ファンが前記本体部の前記側面から離間する方向の空気流を生成するように構成されていてもよい。標的部位に対して発光する発光部と標的部位から反射した光を受光する受光部とを有し、前記レーザ光源が標的部位に対して所定の距離まで接近したことを検出する光学センサをさらに具備し、前記光学センサの発光部及び受光部が、前記吸気口から噴射される空気に曝されるように、前記本体部の内部に配置されていてもよい。前記光学センサが、前記吸気口から前記排気口に直接向かう流路から離間して配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の態様によれば、標的部位を効率的に冷却することができる冷却装置を備えた光治療装置を提供するという共通の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態による光治療装置の概略図である。
【
図3】
図3は、標的部位におけるレーザの照射野を真上から見た図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施例による空気流の流速分布を示す図である。
【
図5】
図5は、比較例による空気流の流速分布を示す図である。
【
図6】
図6は、別の比較例による空気流の流速分布を示す図である。
【
図7】
図7は、さらに別の比較例による空気流の流速分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。全図面に渡り、対応する構成要素には共通の参照符号を付す。
【0013】
図1は、本発明の実施形態による光治療装置1の概略図であり、
図2は、プローブ3の動作を示す図である。
【0014】
光治療装置1は、制御装置2と、プローブ3と、制御装置2及びプローブ3とを電気的に接続するケーブル4とを有している。制御装置2は、1つ又は複数のプロセッサ、記憶部及びその周辺回路等を有している。制御装置2は、予め記憶部に記憶されているコンピュータプログラムに基づいて、プローブ3の全体的な動作を統括的に制御する。その処理の際に、制御装置2は、後述する光学センサ等の各種センサから信号を受信し、レーザの照射及び停止並びにファンの起動及び停止等に関する制御信号を送信する。制御装置2は、入出力部、例えば、ディスプレイ等の表示部や、操作ボタンやタッチパネル等の入力インターフェースを有していてもよい。
【0015】
プローブ3は、円筒状の本体部5を有している。本体部5は、本体部5内において本体部5の軸線方向に沿って移動可能に配置された円筒状の可動部6と、4つの光学センサ7と、本体部5の内部に配置されたレーザ光源8と、本体部5の前面に設けられた光学窓9と、本体部5内に配置されたリミットスイッチ10と、を有している。可動部6は、図示しない弾性部材によって本体部5に対して前方に付勢されている。可動部6を本体部5と一体的に構成してもよい。レーザ光源8から照射されたレーザは、光学窓9を通って、可動部6の前端面に設けられた開口11を介して標的部位Tに照射される。レーザが照射された標的部位Tの表面の部分を、レーザの照射野Aという(
図2(B))。
【0016】
本体部5の側面、具体的には可動部6の側面には、吸気口12が設けられている。吸気口12に対して反対側の本体部5の側面、具体的には可動部6の側面には、排気口13が設けられている。排気口13は、本体部5の前端部近傍、具体的には可動部6の前端部近傍の側面に設けられ、吸気口12が排気口13よりも前端部から離間した位置に設けられている。
【0017】
プローブ3は、吸気口12から本体部5内に噴射される空気を供給する空気供給装置14を有している。空気供給装置14は、本体部5の側面に隣接して配置されたファン15と、ファン15及び吸気口12を接続するダクト16とを有している。したがって、ファン15の回転によって取り込まれた空気は、ダクト16を介して吸気口12に導かれる。なお、ダクト16は、本体部5内における可動部6の軸線方向に沿った移動、すなわち吸気口12の移動に応じて伸縮自在に構成されている。
【0018】
ファン15は、本体部5の側面から離間する方向の空気流を生成するように構成されている。すなわち、こうした空気流が生成されるように、ファン15の羽形状及びファン15の回転方向が決定される。本体部5の側面から離間する方向の空気流によって、本体部5の表面から熱を奪い、本体部5、ひいてはプローブ3全体を冷却することが可能となる。
【0019】
光学センサ7及びリミットスイッチ10は、プローブ3の内部に配置されている。4つの光学センサ7は、使用時に、標的部位の表面に接触しないように配置されている。また、光学センサ7及びリミットスイッチ10は、可動部6の移動及びレーザ光源8によるレーザの照射を妨げないように配置されている。
【0020】
4つの光学センサ7は、本体部5の内部、具体的には可動部6の前端部内において、周方向に沿って等間隔に配置されている。光学センサ7はいずれも、吸気口12から排気口13に直接向かう空気の流路から離間して配置されている。すなわち、光学センサ7はいずれも、吸気口12と排気口13とを直接連結するような仮想的な流路上に配置されていない。それによって、光学センサ7は、空気流Fを大きく阻害することはない。光治療装置1は、1つ、2つ又は3つの光学センサ7を有するようにしてもよく、5つ以上の光学センサ7を有するようにしてもよい。光治療装置1が複数の光学センサ7を有する場合、複数の光学センサ7は、周方向に沿って等間隔に配置されていることが好ましい。
【0021】
1つ又は複数の光学センサ7の各々は、検出部であり、全体として、標的部位Tまでの距離を検出して距離に応じた距離信号を出力する距離検出部を構成する。出力された距離信号は、制御装置2によって検出される。光学センサ7は、標的部位Tに対して発光する、図示しない発光部と、標的部位Tから反射した光を受光する、図示しない受光部とを有する。光学センサ7は、標的部位Tとの距離を、受光部によって受光された反射光強度の変位で評価する。距離信号によって、例えばレーザ光源8から標的部位Tまでの距離を算出することができる。距離検出部は、標的部位Tまでの距離を検出して距離に応じた距離信号を出力することができる限りにおいて、他のセンサ等であってもよい。
【0022】
なお、上述したように、光学センサ7が吸気口12から排気口13に直接向かう空気の流路から離間して配置されているが、光学センサ7の発光部及び受光部は、吸気口12から噴射される空気に曝されるように配置されている。その結果、空気流によって、光学センサ7の発光部及び受光部の表面に付着した塵や埃を除去することができ、光学センサ7を常に正常に機能させることが可能となる。
【0023】
レーザの安全基準JIS C 6802におけるレーザクラスにおいて、クラス3以上の高出力なレーザ光源8を搭載した光治療装置1を在宅医療として使用する場合、光治療装置1はクラス1Cに適合する必要があるが、これに限定されない。その他の基準等で在宅医療に適合したレーザ光源8を適用することができる。
【0024】
図2(A)は、プローブ3を、生体の標的組織、すなわち標的部位Tに押圧する前の状態を示し、
図2(B)は、プローブ3を標的部位Tに押圧している状態を示している。したがって、本体部5、すなわち可動部6の前端部は、生体の標的組織、すなわち標的部位Tに当接する。
図2(A)に示された状態から、プローブ3を標的部位Tに押圧すると、可動部6が後退し、リミットスイッチ10がONとなる(
図2(B))。すなわち、リミットスイッチ10は、レーザ光源8が標的部位Tに対して所定の距離まで接近したことを検出して近接信号を出力する近接検出部を構成する。出力された近接信号は、制御装置2によって検出される。一方、プローブ3の標的部位Tに対する押圧を解除すると、可動部6は弾性部材の付勢力によって後退し、リミットスイッチ10がOFFとなる(
図2(A))。
【0025】
光治療装置1では、リミットスイッチ10がONになることによって出力された近接信号が検出されると、制御装置2によって標的部位Tに対してレーザ光源8によるレーザの照射が許可され、レーザの照射が行われる。このとき、4つの光学センサ7すべてから、所定の距離に近接したことを示す距離信号が検出されないと、レーザの照射が行われないようにしてもよい。また、レーザの照射及び停止に応じて、ファンの起動及び停止が行われるようにしてもよい。それによって、レーザの照射がなされたときにのみ標的部位Tを冷却することができ、不必要に標的部位Tを冷却することが防止される。
【0026】
以下、
図3乃至
図7を参照しながら、本発明の実施形態に基づきモデルを作成して流体解析を行った結果について説明する。
【0027】
図3は、標的部位Tにおけるレーザの照射野Aを真上から見た図である。照射野Aは、レーザ光源8の構成、又は、レーザが図示しないレンズを介すことによって、菱形に形成される。
図3において、右側が吸気口12側であり、左側が排気口13側である。したがって、右から左に流れる空気流Fが形成される。
図3において、照射野Aを示す菱形が、実線及び破線によって示された2つの三角形として、上下に分割されている。すなわち、菱形は、照射野Aの中心Cを通る空気流Fに沿って上下に分割されている。
【0028】
上下の三角形における流速分布は線対称となることから、
図4乃至
図7では、照射野Aの分割された一方の三角形に着目して、空気流Fの流速分布について説明する。また、各図において、グレースケールの濃淡の違いによって、流速の速い領域ほど濃淡が濃く示され、流速の遅い領域ほど濃淡が白く示されている。したがって、黒い領域が最も流速が速いことを示し、白い領域が最も流速が遅いことを示す。そして、可能な限り照射野Aの全面を冷却することが好ましいことから、三角形に示された部分において、より広い面積について濃淡がより濃いほど好ましい。
【0029】
なお、
図4乃至
図7において、空気供給装置14によって供給された空気が、吸気口12から本体部5内に噴射されるときの空気流Fの方向を、噴射方向F0とする。詳細には、噴射方向F0は、吸気口12において最も流速の速い空気流が本体部5内に噴射されるときの方向とする。
【0030】
図4は、本発明の実施例による空気流Fの流速分布を示す図である。
図4(a)は、プローブ3の前端部の縦断面図であり、
図4(b)は、レーザの照射野Aの半分の領域を示す図である。
図4(b)において、右側が吸気口12側であり、左側が排気口13側である。
【0031】
図4(a)に示されるように、吸気口12は、空気の噴射方向F0が、標的部位Tにおけるレーザの照射野Aの中心Cに対して手前側、すなわち吸気口12寄りを向くように構成されている。排気口13は、本体部5の前端部近傍の側面に設けられている。吸気口12は、排気口13よりも本体部5の前端部から離間した側面に設けられている。
【0032】
図4(a)を参照すると、標的部位Tの表面である照射野Aの中心Cの周辺がより濃く示されている。
図4(b)を参照すると、排気口13近傍から照射野Aの中心Cに亘り且つ噴射方向F0に対して直交する方向に幅広く濃く示されている。特に、
図4(a)に示されるように、噴射方向F0に沿った方向のみならず、中心Cを超えるように噴射方向F0から上方に向かう方向も濃く示されていることから、本体部5の前端部内部の全体を空気流Fが満遍なく行き渡っている。したがって、
図4に示された実施例によれば、レーザの照射野A、すなわち標的部位Tを効率的に冷却することができる。
【0033】
なお、空気の噴射方向F0に代えて、吸気口12又はダクト16の形状で空気流Fを規定してもよい。すなわち、
図4(a)に示されるような吸気口12の中心及びレーザの照射野の中心Cを通る縦断面において、吸気口12近傍のダクト16上部における第1延長線16aと、吸気口12近傍のダクト16下部における第2延長線16bとを規定する。このとき、
図4(a)に示されるように、第1延長線16a及び第2延長線16bのいずれもが、標的部位におけるレーザの照射野Aの中心Cの手前を通るように構成する。それによって、空気の噴射方向F0に代えて、第1延長線16a及び第2延長線16bで以て、レーザの照射野A、すなわち標的部位Tを効率的に冷却することができる構成を規定することができる。
【0034】
図5は、比較例による空気流Fの流速分布を示す図である。
図5(a)は、プローブ3の前端部の縦断面図であり、
図5(b)は、レーザの照射野Aの半分の領域を示す図である。
図5(b)において、右側が吸気口12側であり、左側が排気口13側である。
【0035】
図5(a)に示されるように、吸気口12は、空気の噴射方向F0が、標的部位Tにおけるレーザの照射野Aの中心Cを直接向くように構成されている。排気口13は、本体部5の前端部近傍の側面に設けられている。吸気口12は、排気口13よりも本体部5の前端部から離間した側面に設けられている。また、第1延長線16aは、標的部位において、レーザの照射野Aの中心Cを通り、第2延長線16bは、レーザの照射野Aの中心Cの手前を通るように構成されている。したがって、第1延長線16a及び第2延長線16bの両方が、標的部位におけるレーザの照射野Aの中心Cの手前を通るようには構成されてない。
【0036】
図5(a)及び
図5(b)を参照すると、
図4に示された実施例と比較して濃く示されている領域が少なく且つその濃度も薄い。特に、排気口13近傍が比較的濃く示されていることから、噴射方向F0が照射野Aの中心Cを向いていると、空気流Fが直接排気口13に向かってしまい、照射野Aを十分に冷却させることができない。
【0037】
図6は、別の比較例による空気流Fの流速分布を示す図である。
図6(a)は、プローブ3の前端部の縦断面図であり、
図6(b)は、レーザの照射野Aの半分の領域を示す図である。
図6(b)において、右側が吸気口12側であり、左側が排気口13側である。
【0038】
図6(a)に示されるように、吸気口12は、空気の噴射方向F0が、標的部位Tにおけるレーザの照射野Aの中心Cに対して奥側、すなわち排気口13寄りを向くように構成されている。排気口13は、本体部5の前端部近傍の側面に設けられている。吸気口12は、排気口13よりも本体部5の前端部から離間した側面に設けられている。また、第1延長線16a及び第2延長線16bの両方が、標的部位において、レーザの照射野Aの中心Cを通るように構成されている。したがって、第1延長線16a及び第2延長線16bの両方が、標的部位におけるレーザの照射野Aの中心Cの手前を通るようには構成されてない。
【0039】
図6(a)及び
図6(b)を参照すると、
図4に示された実施例と比較して濃く示されている領域が少なく且つその濃度も薄い。特に、排気口13近傍が比較的濃く示されていることから、噴射方向F0が照射野Aの中心Cの奥側を向いていると、空気流Fが直接排気口13に向かってしまい、照射野Aを十分に冷却させることができない。
【0040】
図7は、さらに別の比較例による空気流Fの流速分布を示す図である。
図7(a)は、プローブ3の前端部の縦断面図であり、
図7(b)は、レーザの照射野Aの半分の領域を示す図である。
図7(b)において、右側が吸気口12側であり、左側が排気口13側である。
【0041】
図7(a)に示されるように、吸気口12は、空気の噴射方向F0が、標的部位Tにおけるレーザの照射野Aの中心Cに対して奥側を向くように構成されている。排気口13は、本体部5の前端部から離間した側面に設けられている。吸気口12は、排気口13と同程度に本体部5の前端部から離間した側面に設けられている。また、第1延長線16a及び第2延長線16bの両方が、標的部位において、レーザの照射野Aの中心Cを通るように構成されている。したがって、第1延長線16a及び第2延長線16bの両方が、標的部位におけるレーザの照射野Aの中心Cの手前を通るようには構成されてない。
【0042】
図7(a)及び
図7(b)を参照すると、
図4に示された実施例と比較して濃く示されている領域がほとんどない。噴射方向F0が照射野Aの中心Cの奥側を向いており且つ排気口13が本体部5の前端部から離間した側面に設けられていると、空気流Fが直接排気口13に向かってしまい、照射野Aを十分に冷却させることができない。
【0043】
図4を参照しながら上述したように、空気の噴射方向F0が、標的部位Tにおけるレーザの照射野Aの中心Cに対して手前を向くように吸気口12を構成することによって、標的部位Tを効率的に冷却することができる。言い換えると、空気の噴射方向F0がレーザの照射野Aの中心Cに対して手前を向くように吸気口12を構成する際に、標的部位Tをより効率的に冷却することができるように、吸気口12の大きさ及び形状や吸気口12から噴射される空気の流速等に応じて、鉛直方向に対する噴射方向F0の角度、すなわち吸気口12又は吸気口12近傍のダクト16の角度が決定される。
【0044】
上述した実施形態では、空気供給装置14は、プローブ3の本体部5の側面に隣接して配置されたファン15によって空気を供給したが、プローブ3とは別に設けられたコンプレッサ等によって空気を供給してもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 光治療装置
2 制御装置
3 プローブ
4 ケーブル
5 本体部
6 可動部
7 光学センサ
8 レーザ光源
9 光学窓
10 リミットスイッチ
11 開口
12 吸気口
13 排気口
14 空気供給装置
15 ファン
16 ダクト
T 標的部位
A 照射野