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特許7584447機械的増幅器を有するディスペンシングシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】機械的増幅器を有するディスペンシングシステム
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/00 20060101AFI20241108BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05C11/10
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2021567970
(86)(22)【出願日】2020-05-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-14
(86)【国際出願番号】 US2020032331
(87)【国際公開番号】W WO2020231916
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2023-05-09
(31)【優先権主張番号】62/846,689
(32)【優先日】2019-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391019120
【氏名又は名称】ノードソン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】ブリス クレイグ エフ
【審査官】吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-188496(JP,A)
【文献】特表2002-539370(JP,A)
【文献】米国特許第06494382(US,B1)
【文献】特開2010-223196(JP,A)
【文献】特開平08-233141(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0173564(US,A1)
【文献】国際公開第2014/201032(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 5/00
B05C 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体をディスペンシングするためのディスペンシングシステムであって、
遠位端を有し、当該遠位端が第1長さだけ移動されるように電圧の印加時に膨張するように構成された圧電スタックと、
前記圧電スタックの前記遠位端に接触するように構成された一次表面と、当該一次表面の反対側の二次表面と、を有する増幅器と、
前記増幅器の前記二次表面に接触するように構成されたベースと、
出口オリフィスと、第1方向及び前記第1方向とは反対の第2方向に移動するように構成されたバルブ要素と、を含むバルブアセンブリと、
を備え、
前記増幅器は、第1部分と第2部分とを有すると共に、前記一次表面から前記二次表面まで延在する開口部を規定しており、
前記バルブ要素は、前記増幅器と動作可能に結合されており、
前記圧電スタックの前記遠位端が前記第1長さだけ移動される時、前記増幅器の一部が前記第1長さよりも大きい第2長さだけ移動されて、前記バルブ要素が第1方向に前記第2長さだけ移動され
前記増幅器は、当該増幅器の前記二次表面への前記ベースによる接触と前記増幅器の前記一次表面への前記圧電スタックの前記遠位端による接触とに応答して、変形状態へと移行するようになっており、
前記増幅器の前記変形に基づいて、前記第1部分は、前記遠位端に向かう方向に移動するようになっており、且つ、前記第2部分は、前記遠位端から離れる方向に移動して前記第1部分が前記第2部分より前記遠位端に近くなるようになっており、
前記開口部は、非変形状態の第1サイズから前記変形状態の第2サイズに移行するように構成されており、
前記第2サイズは、前記第1サイズよりも大きい
ことを特徴とするディスペンシングシステム。
【請求項2】
前記圧電スタックは、近位端を有し、
前記圧電スタックは、前記近位端と前記遠位端との間で軸線に沿って配向されている
ことを特徴とする請求項1に記載のディスペンシングシステム。
【請求項3】
前記増幅器は、前記一次表面と前記二次表面との間で前記軸線に沿って配向されている
ことを特徴とする請求項2に記載のディスペンシングシステム。
【請求項4】
前記バルブ要素は、前記軸線に沿って前記第1方向及び前記第2方向に移動するように構成されている
ことを特徴とする請求項3に記載のディスペンシングシステム。
【請求項5】
前記増幅器は、前記圧電スタックと前記ベースとの間に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載のディスペンシングシステム。
【請求項6】
前記バルブアセンブリは、バルブシートを更に含み、
前記第1方向の前記バルブ要素の動きが、当該バルブ要素が前記バルブシートに衝突する時に前記バルブアセンブリの前記出口オリフィスを通してある量の流体を噴射するように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のディスペンシングシステム。
【請求項7】
前記圧電スタックに隣接して配置されたバネ
を更に備え、
前記バネは、前記圧電スタックが一定の圧縮下に維持されるように前記圧電スタックに結合されている
ことを特徴とする請求項1に記載のディスペンシングシステム。
【請求項8】
前記圧電スタックの前記遠位端は、そこから延びる一次突起を有しており、
前記一次突起の少なくとも一部は、前記増幅器の前記一次表面に向かって延びており、
前記ベースは、そこから延びる二次突起を有しており、
前記二次突起の少なくとも一部は、前記増幅器の前記二次表面に向かって延びている
ことを特徴とする請求項1に記載のディスペンシングシステム。
【請求項9】
前記一次突起は、前記増幅器の中心から第1距離だけ離れており、
前記二次突起は、前記増幅器の中心から第2距離だけ離れており、
前記第1距離は、前記第2距離よりも大きい
ことを特徴とする請求項8に記載のディスペンシングシステム。
【請求項10】
前記増幅器及び前記バルブ要素に動作可能に結合されたプッシュロッド
を更に備え、
前記増幅器が前記第2距離だけ移動される時、前記プッシュロッドもまた前記第2距離だけ移動される
ことを特徴とする請求項に記載のディスペンシングシステム。
【請求項11】
前記増幅器は、当該増幅器が当該増幅器の前記二次表面において前記ベースと接触すること及び当該増幅器の前記一次表面において前記圧電スタックの前記遠位端と接触することに応答して前記遠位端に向かう方向に変形するように構成されたローブを有している
ことを特徴とする請求項1に記載のディスペンシングシステム。
【請求項12】
前記第2部分は、前記第1部分を取り囲んでいる
ことを特徴とする請求項1に記載のディスペンシングシステム。
【請求項13】
機械的装置の動きを増幅するための増幅器であって、
一次表面と、当該一次表面の反対側の二次表面と、を有し、前記一次表面で前記機械的装置に接触するように構成された本体と、
プッシュロッドと動作可能に係合するように構成された前記本体上のインタフェースと、
を備え、
前記本体は、前記プッシュロッドが第1方向に移動されるように前記本体の前記一次表面及び前記本体の前記二次表面に適用される力に応答して変形状態に移行するように構成されており、
前記インタフェースは、前記本体を通って延在して前記プッシュロッドを受け入れるように構成された開口部を規定しており、
前記開口部は、前記力が前記本体に適用されていない非変形状態で第1サイズを有しており、前記変形状態で第2サイズを有しており、前記第2サイズは前記第1サイズよりも大きい
ことを特徴とする増幅器。
【請求項14】
前記本体は、前記力が前記一次表面から除去される時、前記プッシュロッドが前記第1方向とは反対側の第2方向に移動されるように、前記非変形状態に移行するように構成されており、
前記増幅器の前記一次表面は、前記機械的装置から延在する一次突起に接触するように構成されている
ことを特徴とする請求項13に記載の増幅器。
【請求項15】
前記二次表面上の突起
を更に備え、
前記突起は、ベースに接触するように構成されており、
前記本体は、前記インタフェースから第1距離で前記一次表面の前記力を受けるように構成されており、
前記突起は、前記インタフェースから第2距離にあり、
前記第1距離は、前記第2距離よりも大きい
ことを特徴とする請求項13に記載の増幅器。
【請求項16】
前記第2サイズは、前記プッシュロッドの上部ヘッド部分よりも小さい
ことを特徴とする請求項13に記載の増幅器。
【請求項17】
前記一次表面と前記二次表面との間の前記本体の厚さは、一定である
ことを特徴とする請求項13に記載の増幅器。
【請求項18】
前記一次表面と前記二次表面との間の前記本体の厚さは、前記本体の前記インタフェースから最も遠い点で最大の厚さであり、前記本体の前記インタフェースから最も近い点で最小の厚さであり
前記本体の厚さは、前記最も遠い点から前記最も近い点まで勾配として減少する
ことを特徴とする請求項13に記載の増幅器。
【請求項19】
前記増幅器は、複数の段部を含み、
各段部は、前記一次表面と前記二次表面との間で異なる厚さを有する
ことを特徴とする請求項13に記載の増幅器。
【請求項20】
前記機械的装置は、複数の圧電素子を有する圧電スタックを含み、
前記一次表面に適用される前記力は、前記圧電スタックに印加される電圧に応答して前記圧電素子によって作用され、
前記増幅器の前記一次表面は、前記機械的装置から延在する一次突起に接触するように構成されている
ことを特徴とする請求項13に記載の増幅器。
【請求項21】
前記本体は、そこから延びる1または複数のローブを含む
ことを特徴とする請求項13に記載の増幅器。
【請求項22】
遠位端を有する圧電スタックと、
前記遠位端に接触するように構成された一次表面と、当該一次表面の反対側の二次表面と、を有し、前記一次表面から前記二次表面まで延在する開口部を規定する増幅器と、
出口オリフィスとバルブ要素とを含むバルブアセンブリと、
を備えたディスペンシングシステムを用いて流体をディスペンシングする方法であって、
前記圧電スタックに電圧を印加して、前記圧電スタックを第1距離だけ伸長させる工程と、
前記第1距離の前記圧電スタックの伸長に応答して、前記増幅器を変形状態に移行させ、その一部を前記第1距離よりも大きい第2距離だけ移動させる工程と、
前記第2距離の前記増幅器の前記一部の移動に応答して、前記バルブ要素を前記第2距離だけ第1方向に移動させて、前記出口オリフィスからある量の流体をディスペンスさせる工程と、
を備え
前記増幅器は、前記二次表面での接触と前記圧電スタックの前記遠位端による接触とに応答して、前記変形状態へと移行するようになっており、
前記増幅器の前記変形に基づいて、前記増幅器の第1部分が前記遠位端に向かう方向に移動するようになっており、且つ、前記増幅器の第2部分が前記遠位端から離れる方向に移動して前記第1部分が前記第2部分より前記遠位端に近くなるようになっており、
前記開口部は、非変形状態の第1サイズから前記変形状態の第2サイズに移行するように構成されており、
前記第2サイズは、前記第1サイズよりも大きい
ことを特徴とする方法。
【請求項23】
前記印加電圧を除去して、前記圧電スタックを前記第1距離だけ短縮させ、前記増幅器を非変形状態に移行させる工程
を更に備えたことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ディスペンシングシステムは、前記バルブ要素を前記出口オリフィスから離れるように付勢するように構成されたバネを更に含み、
前記印加電圧の除去が、前記バルブ要素を、前記第1方向とは反対の第2方向に移動させる
ことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記圧電スタックに前記電圧を印加して、前記バルブ要素を前記第2距離だけ前記第1方向に再び移動させて、前記出口オリフィスからある量の流体をディスペンスする工程
を更に備えたことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2019年5月12日に出願された米国特許仮出願第62/846,689号に対する優先権を主張する。当該出願の開示内容は、当該参照によって、その全体が本明細書に記載されているかの如くに、本明細書に組み込まれる(incorporated by reference)。
【0002】
[技術分野]
本発明は、全体として、基板上に流体の液滴を堆積させるディスペンサに関している。特には、1または複数の圧電素子によって作動されるディスペンサに関している。
【0003】
[背景]
ディスペンサは、しばしば、基板上に、例えば50センチポワーズを超える粘度を有する粘性流体のような材料の微小量を適用(塗布)するために用いられる。例えば、粘性材料は、一般用途の接着剤、紫外線硬化接着剤、はんだペースト、はんだ溶剤(solder flux)、はんだマスク、熱グリース、蓋シール材、オイル、カプセル化剤、埋込用樹脂、エポキシ樹脂、ダイ取り付けペースト、シリコン、RTV、シアノアクリレート、を含み得る。
【0004】
ディスペンサは、一般的に、当該ディスペンサの出口オリフィスから粘性材料の小滴を噴射する間、シャフトまたはタペットをシートに向かって繰り返し移動する空気圧式または電気式のアクチュエータを有し得る。電気的に起動される噴射ディスペンサは、より具体的には、圧電式(ピエゾ)アクチュエータを利用することができる。ピエゾスタック(圧電素子積層物)は、大変精確で極めて高速に反応するセラミックデバイスである。ピエゾスタックの特性は、電圧が適用される時、当該セラミック材料が一方向の変位を実施する、というものである。一つの大きな欠点は、ピエゾスタックは、大変に小さい変位を生成することである。例えば、7mm×7mm×36mmの長いスタックは、約36ミクロンの移動を生成する。この変位量は、流体の適切な噴射にとっては、十分に大きくない場合がある。
【0005】
空間的な制限及び製品寿命も、ピエゾ材料を含むアクチュエータを設計する時、考慮される。製品寿命は、ピエゾスタックが緊張状態に置かれる時、大いに短縮化される。ピエゾスタックは、1000Hzの周波数で連続的に動作可能であることが必要であり、信頼性をもって精確に少量の流体を噴射するのに十分な力を適用することが必要である。
【0006】
少なくともこれらの理由のために、流体をディスペンシングするための圧電起動を増大及び調整するような改善されたディスペンシングシステムのニーズが存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述のニーズは、開示されるディスペンシングシステム及び増幅器の様々な実施形態によって満たされる。一態様では、流体材料をディスペンシング(分配)するためのディスペンシングシステムが、遠位端を有して当該遠位端が第1長さだけ移動されるように電圧の印加時に膨張するように構成された圧電スタックを備える。当該ディスペンシングシステムは、更に、前記圧電スタックの前記遠位端に接触するように構成された一次表面と、当該一次表面の反対側の二次表面と、を有する増幅器を備え、前記増幅器の前記二次表面に接触するように構成されたベースを備え、出口オリフィスと、バルブ要素と、を有するバルブアセンブリを備える。前記バルブ要素は、第1方向及び前記第1方向とは反対の第2方向に移動するように構成されている。前記バルブ要素は、前記増幅器と動作可能に結合されている。前記遠位端が前記第1長さだけ移動される時、前記増幅器の一部が前記第1長さよりも大きい第2長さだけ移動されて、前記バルブ要素が前記第1方向に前記第2長さだけ移動される。
【0008】
別の態様では、機械的装置の動きを増幅するための増幅器が、一次表面と当該一次表面の反対側の二次表面とを有する本体と、プッシュロッドと動作可能に係合するように構成された前記本体上のインタフェースと、を備える。前記本体は、前記一次表面で前記機械的装置に接触するように構成されている。前記本体は、更に、前記プッシュロッドが第1方向に移動されるように前記一次表面に適用される力に応答して変形するように構成されている。
【0009】
別の態様では、圧電スタックと、圧電ユニットに動作可能に接続された増幅器と、を用いて流体をディスペンシングする方法が、前記圧電スタックに電圧を印加して前記圧電スタックを第1距離だけ伸長させる工程を備える。増幅器は変形されて、当該増幅器の一部が前記第1距離よりも大きい第2距離だけ移動される。増幅器の当該変形は、バルブアセンブリ内の可動シャフトの移動をもたらし、バルブアセンブリの出口オリフィスからある量の流体をディスペンスさせる。
【0010】
本願は、添付の図面と併せて読まれる時、更に理解される。主題を例示的に示す目的で、図面内に、当該主題の例示的な実施形態が図示されている。もっとも、開示されている主題は、開示されている特定の方法、装置ないしシステムに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、一実施形態によるディスペンシングシステムの斜視図である。
【0012】
図2図2は、図1のディスペンシングシステムの一部の断面図である。
【0013】
図3図3は、図1及び図2のディスペンシングシステムの一部の断面図である。
【0014】
図4A図4Aは、バルブ要素が開状態であるバルブアセンブリの断面図である。
【0015】
図4B図4Bは、流体の小滴を噴射した後のバルブ要素が閉状態である図4Aのバルブアセンブリの断面図である。
【0016】
図5図5は、一実施形態による増幅器の斜視図である。
【0017】
図6図6は、プッシュロッドと係合された図5の増幅器の異なる斜視図である。
【0018】
図7図7は、一実施形態によるアクチュエータ内の増幅器の断面図であって、当該増幅器が変形解除形態である図である。
【0019】
図8図8は、図7の増幅器の断面図であって、当該増幅器が変形形態である図である。
【0020】
図9図9は、他の実施形態によるアクチュエータ内の増幅器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示の態様が、図面を参照して詳細に説明される。同様の参照番号は、別段の特定がない限り、全体を通して同様の要素を指す。
【0022】
圧電式アクチュエータの動きを増幅するための装置及び方法が開示される。本開示は、圧電運動を利用する例を提供するが、本明細書に開示される増幅装置及び方法は、他のタイプの機械的運動、例えば、空気圧運動機構の機械的運動、油圧運動機構の機械的運動、弾性運動機構の機械的運動、または別の好適な運動機構の機械的運動、の増幅にも利用され得ることが理解される。
【0023】
図1及び図2を参照して、ディスペンシングシステム10は、アクチュエータハウジング18に結合された流体本体部16を含んでいる。流体本体部16は、流体本体部ハウジング19内に保持されている。流体本体部ハウジング19は、用途の必要性に依存して、1または複数のヒータ(不図示)を含み得る。流体本体部16は、シリンジバレルのような好適な流体供給部20から圧力流体を受容するように構成されている。バルブアセンブリ22が、ハウジング18に結合されていて、流体本体部16内に延びている。機械的な増幅器200が、以下に詳述されるように、圧電式アクチュエータ26とバルブアセンブリ22との間に結合されている。圧電式アクチュエータ26は、複数のボルト(不図示)または他の好適な締結具によってハウジング18に締結され得る。当該アクチュエータは、様々な材料、例えば、ステンレス鋼またはニッケル鉄合金を含み得るが、これらに限定されない。
【0024】
図2及び図3に示されるように、圧電式アクチュエータ26は、圧電素子のスタック40、近位端218、及び、近位端218の反対側の遠位端220、を含んでいる。圧電素子は、電圧の印加時及び/または除去時に、変形するように構成されている。当該スタック40は、圧電式アクチュエータ26に結合された圧縮バネ44によって圧縮状態に維持されている。
【0025】
スタック40は、例えばハウジング18の内面に対して、遠位端220のバネ44と剛性表面(不図示)との間で圧縮状態に保持され得る。当該剛性表面は、近位端218に接触し得る。幾つかの態様では、スタック40は、複数のバネ44、例えば、近位端218の第1バネと遠位端220の第2バネ44、によって保持され得る。
【0026】
圧電式アクチュエータ26は、プッシュロッド68と動作可能に係合し、プッシュロッド68を第1方向に動かすように構成されている。図4A及び図4Bを参照して、プッシュロッド68は、ガイドブッシング74内を移動してバルブアセンブリ22と関連付けられたバルブ要素76の近位端76aを支える下部ヘッド部分68aを有している。バルブ要素76は可動シャフトであり得る。ガイドブッシング74は、ピン75を伴う圧入嵌め(プレスフィット)によってハウジング18内に保持され得る。プッシュロッド68、ガイドブッシング74及びピン75のアセンブリは、動作中にプッシュロッド68の適切な動きを確実にするために、幾らかの「弾力性」を有し得る。
【0027】
バルブアセンブリ22は、環状要素80を用いてハウジング18の下部内に取り付けられたコイルバネ78を更に有し得る。インサート82が、Oリング84によって流体本体部16内に保持され得る。環状要素80及びインサート82は、一体型要素である、すなわち、図示の態様ではカートリッジ本体部である。
【0028】
付加的なOリング86が、流体本体部16の流体孔88内に収容された圧縮流体が漏洩しないように、バルブ要素76をシールしている。流体は、流体供給部20から流体本体部16の入力部90及び通路92、94を通って流体孔88に供給される。Oリング84は、環状要素80及びインサート82によって形成されたカートリッジ本体部の外側を、流体孔88及び通路94内の圧縮流体からシールする。クロスドリルされたウィープホール85が、コイルバネ78の下端とほぼ一直線上にあり、Oリング86を越えて漏れる液体を逃がすことができる。
【0029】
電圧がスタック40に印加される時、圧電素子が変形し、スタック40が膨張または伸長し、バネ44によって作用されている力に対抗して遠位端220を近位端218から離れる方向に移動させる。スタック40は、それに印加される電圧の量(大きさ)に比例して長さを変化させるように構成され得る。印加電圧が除去されるか、または十分に低減されると、スタック40は、電圧の印加前と実質的に同じ長さに収縮または短縮する。
【0030】
スタック40の動きは、圧電式アクチュエータ26に動作可能に結合されたプッシュロッド68の動きを引き起こす。プッシュロッド68は、バルブアセンブリ22上に配置されたバルブ要素76に動作可能に結合され得る。プッシュロッド68が移動されると、バルブ要素76もまた移動して、バルブアセンブリ22上の排出出口104を開閉する。スタック40の繰り返しの動きは、バルブ要素76の往復運動をもたらし、液滴または少量の流体が、ディスペンシングシステム10の排出出口104を通してディスペンス(分配)または噴射される。
【0031】
幾つかの用途では、スタック40の動きの大きさが、バルブ要素76の所望の動きをもたらすのに十分ではない。そのような態様では、スタック40の動きを増幅して、それに比例してより大きなバルブ要素76の動きをもたらすことが望ましい場合がある。
【0032】
図2及び図3を再び参照して、増幅器200がディスペンシングシステム10内に配置され得て、スタック40の動きを比例的に増幅し得る。増幅器200は、スタック40及びバルブアセンブリ22に結合され、スタック40の動きが増幅器200の少なくとも一部を移動させ、それにより、バルブ要素76が移動する。電圧がスタック40に印加される時、スタック40の動きは、増幅器200に力を与え、増幅器200を移動させ、同様にバルブ要素76を移動させる。元の動きの増幅が望まれる場合、増幅器200によるバルブ要素76の動きの大きさは、スタック40の動きの大きさよりも大きいことが理解されよう。
【0033】
図5及び図6を参照して、増幅器200は、実質的に丸い断面を有するディスクであり得る。しかしながら、増幅器は、例えば、長方形、三角形、または他の多角形、の断面形状を有する任意の適切な形状であり得ることが理解されよう。
【0034】
増幅器200は、ディスペンシングシステム10と一体的であり得て、1つの単一構成要素の一部であり得るか、または、ディスペンシングシステム10に取り付けられた別個の構成要素であり得る。幾つかの態様では、増幅器200は、ディスペンシングシステム10に取り外し可能に結合され、スタック40及びバルブアセンブリ22と選択的に係合または係合解除されるように構成された別個の構成要素であり得る。ディスペンシングシステム10は、増幅器が係合された状態で、または、増幅器が係合されていない状態で、動作するように構成され得る。幾つかの態様において、ディスペンシングシステム10は、様々な程度の増幅をもたらすべく選択的に係合または係合解除され得る複数の増幅器200を含み得る。ディスペンシングシステム10は、複数の増幅器200が同時に作用(係合)して動作するように構成され得る。幾つかの態様では、増幅器200は、異なる程度の増幅をもたらすために、別の増幅器200と交換可能であり得る。
【0035】
図5及び図6を参照して、増幅器200は、一次表面204と、一次表面204の反対側の二次表面206と、を有する本体部202を含む。本体部202は、力の適用時に変形され得る変形可能な材料を含み得る。変形可能な材料は、変形を引き起こす力が低減または除去される時に本体部202が実質的にその非変形の形状に戻るように、十分に弾性であるべきである。本体部202は、スタック40から力を受け取って損傷を被ることなく(例えば、ひび割れまたは破損することなく)バルブ要素76に力を与えるのに十分に剛性であるべきである。完全に弾性があって無限に耐久性があるという材料はないので、当業者は、所望の機能を適切な程度に実行し得る材料を認識するであろう、ということが理解されるであろう。
【0036】
増幅器200は、本体部202を通って延在し、一次表面204を二次表面206に接続する開口部208を含み得る。中心軸Aが、開口部208の幾何中心を通って延びている。中心軸Aはまた、スタック40及びプッシュロッド68の中心軸と共通であり得る。幾つかの態様では、1または複数のローブ210が、本体部202の周から開口部208内へと中心軸Aに向かって半径方向内側に延在し得る。ローブ210は、増幅器200が変形形態でない時、中心軸Aに実質的に垂直であり得る。増幅器200は、2、3、...、10、または別の適切な数、のローブを含み得る。あるいは、増幅器200は、本体部202から延びるゼロのローブを含み得て、ドーナツ形状であり得る。
【0037】
増幅器200は、増幅器200が移動される時にプッシュロッド68も移動するように、プッシュロッド68に動作可能に結合され得る。プッシュロッド68は、例えば、摩擦嵌合、接着剤の使用、または、ファスナ(留め具)の使用、を介して、任意の適切な方法で増幅器200に結合され得ることが理解されよう。あるいは、プッシュロッド68は、増幅器200と一体的に形成され得る。図6に示される態様を参照すると、プッシュロッド68は、増幅器本体部202の開口部208を通って延在し得る。そのような態様では、プッシュロッド68の少なくとも一部が、開口部208を自由に通過できるように成形及び寸法決定されるべきである。プッシュロッド68の上部ヘッド部分68bは、例えば一次表面204で増幅器200に接触し得る。上部ヘッド部分68bは、開口部208を通過することが防止されるように、開口部208よりも大きいサイズ及び寸法にされ得る。幾つかの態様では、増幅器200が変形されている場合、開口部208は、増幅器200が変形されていないときより大きいかもしれない。そのような態様では、上部ヘッド部分68bは、変形された増幅器200の開口部208よりも大きいサイズにされるべきである。
【0038】
上部ヘッド部分68bは、開口部208を通過するように構成されたプッシュロッド68の部分に一体的に取り付けられている。増幅器200は、上部ヘッド部分68bに力を与えることができ、これは、次に、プッシュロッド68の残部に伝達される。
【0039】
増幅器200は、スタック40から力を受容し、プッシュロッド68に力を与えるためのレバー機構として動作し得る。増幅器200は、圧電式アクチュエータ26の遠位端220と基部230との間に配置され得る。図2及び図3を再び参照して、一次表面204は遠位端220に隣接し得て、二次表面206は基部230に隣接し得る。
【0040】
幾つかの態様では、力伝達の精度を高めるために、増幅器200は、遠位端220及び基部230上に配置された特定の接触領域によって接触される。図3に示されるように、例えば、一次突起222が、遠位端220上に配置され得て、そこから増幅器200の一次表面210に向かう方向に延在し得る。同様に、基部230は、そこから増幅器200の二次表面206に向かう方向に延在する二次突起232を含み得る。一次突起222及び二次突起232は、それぞれ、任意の許容可能な角度で、遠位端220及び基部230から延在し得るが、延在角度の少なくとも一成分が、それぞれ、一次表面204及び二次表面206に対して実質的に垂直であるべきであることが理解されよう。
【0041】
幾つかの代替の態様では、一次突起222は、増幅器本体部202の一次表面204と一体的であり得て、そこから遠位端220に向かって延在し得る。同様に、二次突起232は、増幅器本体部202の二次表面206と一体的であり得て、そこから基部230に向かって延在し得る。更なる態様では、突起が、増幅器200、遠位端220及び/または基部230のうちの1または複数から延在し得て、すなわち、本発明は、前述のような突起の特定の配置に限定されない。
【0042】
本開示の幾つかの態様の動作時、ディスペンシングシステム10は、液滴または少量の流体を噴射するように構成されている。スタック40がアクティブ化される時、すなわち、電圧が主電子制御装置(不図示)によって圧電素子に印加される時、スタック40は膨張し、一次表面204で増幅器200を押す。前述のような複数の突起の位置に基づいて、増幅器200が変形して、プッシュロッド68の上部ヘッド部分68bに力を与える。これにより、プッシュロッド68は、圧電式アクチュエータ26に向かって開放方向に移動するように強制される。上部ヘッド部分68bが増幅器200によって移動される距離は、好ましくは、スタック40の遠位端220によって移動される距離よりも大きい。プッシュロッド68と一体の下部ヘッド部分68aもまた、同じ開放方向に移動する。下部ヘッド部分68aがバルブ要素76から離れるにつれて、バルブ要素76もまた、開口方向に移動することが許される。バルブ要素76は、コイルバネ78によって開放方向に付勢され得て、プッシュロッド68がバルブ要素76から離れる時、コイルバネ78はバルブ要素76も開放方向に移動させる。
【0043】
電圧がスタック40から除去されるか、または十分に低減されると、前述の動きは逆になる。スタック40は長さが減少し、増幅器200に加えられる力が減少する。次に、増幅器200は、実質的に非変形の状態に戻り得て、これにより、プッシュロッド68の上部ヘッド部分68bに加えられる力が減少する。プッシュロッド68は、コイルバネ69によって、開放方向と反対の閉鎖方向に付勢(バイアス)され得る。増幅器200によってプッシュロッド68に加えられる力がコイルバネ69の付勢力よりも小さくなると、コイルバネ69はプッシュロッド68を閉鎖方向に移動させる。下部ヘッド部分68aは、バルブ要素76の近位端76aと接触し、近位端76aとは反対側のバルブ要素76上に配置された遠位端76bがバルブシート100に係合(作用)するまで、コイルバネ78の力に対抗して閉鎖方向にバルブ要素76を押す。コイルバネ78は、コイルバネ69よりも低い剛性を有し得て、その結果、外力がなければ、コイルバネ69によって閉鎖方向に作用する力は、コイルバネ78によって開放方向に作用する力よりも大きい。
【0044】
当該動きの過程において、バルブ要素76の遠位端76bは、当該遠位端76bが排出出口104のバルブシート100に衝突する時、流体の液滴102を排出出口104から押し出し得る。
【0045】
圧電式アクチュエータ26は、液滴を噴射するために、逆の作用で利用され得ることが理解されよう。この場合、様々な機械的作動構造は、電圧がスタック40に印加される時に結果として生じるスタック40の膨張がバルブ要素76のバルブシート100への移動を引き起こして排出出口104に流体の液滴102を排出させる、というように異なって設計され得る。そして、スタック40への電圧が除去される時、増幅システム及び他の作動構成要素は、次の噴射動作のために、流体孔88を追加の流体で充填するべくバルブ要素76を上昇させるであろう。このような態様では、バルブ要素76は通常は開いており、すなわち、スタック40に電圧が印加されていない時、バルブ要素76はバルブシート100と係合していない。
【0046】
増幅器200の変形量、及び、その結果としてスタック40の動きの増幅の程度は、部分的に、一次突起222及び二次突起232がそれぞれ一次表面204及び二次表面206に接触する時のそれらの相対位置によって決定される。電圧がスタック40に印加されると、スタック40は伸長して遠位端220を移動させ、増幅器200に力を加える。遠位端220における一次突起222は、増幅器200の幾何学的中心を通って延びる中心軸Aから第1距離D1だけ離れた位置で、増幅器200の一次表面204に接触し得る。基部230は、増幅器200の反対側に配置されており、二次表面206に接触するように構成されている。二次突起232は、中心軸Aから第2距離D2だけ離れた位置で、二次表面206に接触し得る。遠位端220によって移動される距離を増幅するべく適切なレバー作用を生成するために、第1距離D1及び第2距離D2は異なっているべきである。
【0047】
図7及び図8を参照して、第1距離D1は第2距離D2よりも大きくてよい。一次突起222によって一次表面204に力が加えられると、二次突起232は支点として機能する。これにより、第2距離D2よりも中心軸Aから遠い増幅器200の一部が一次突起222によって一方向(例えば、下向き)に押される時、第2距離D2よりも中心軸Aに近い増幅器200の別の一部が反対方向(例えば、上向き)にレバー作用される。これにより、例えば一次表面204またはローブ210と上部ヘッド部分68bとの相互作用において、増幅器と動作可能に結合されたプッシュロッド68は、同じ方向に移動される。図8は、スタック40が伸長されて、力が増幅器200の一次表面204に加えられるという例示的な態様を示している。これによれば、増幅器200が変形され、上部ヘッド部分68bは、プッシュロッド68の残部とともに、中心軸Aに沿って軸方向に移動される。
【0048】
プッシュロッド68が移動する距離は、第1距離D1及び第2距離D2に依存する。第2距離D2が増大するにつれて(すなわち、支点が中心軸Aから遠くなるにつれて)、プッシュロッド68が移動する距離も増大する。増幅の量は、第2距離D2を増大または減少させることによって制御され得る。図9は、例えば、中心軸Aから第2距離D2’離れて配置された二次突起232’を有する基部230’を有する態様を示す。第2距離D2’は、第2距離D2よりも小さい。これにより、基部230’を有する態様では、プッシュロッド68は、基部230を利用する態様よりも、より小さい距離を移動し、その結果、より小さい同質の増幅をもたらす(他の全ての要因を等しいと見なす場合)。
【0049】
第2距離D2を変更することは、増幅の量を調整する適切な方法であるが、増幅は、様々な方法で変更され得る。幾つかの態様では、増幅器200は、より容易に変形するように構成された材料(例えば、より柔らかいまたはより弾性である材料)、あるいは、より剛性であるように構成された材料(例えば、より堅いまたはより低弾性である材料)を含み得る。本体部202の厚さが、増大され得る(剛性を増加させるため)または減少され得る(柔軟性を増加させるため)。幾つかの態様では、ローブ210が、厚さ、材料特性、及び/または長さ(すなわち、ローブが本体部202から中心軸Aに向かって延びる距離)において変更され得る。
【0050】
増幅器200の本体部202は、それを通る様々な厚さ(すなわち、一次表面204と二次表面206との間の距離)を有し得る。幾つかの態様では、例えば、本体部202は、開口部208から最も遠くで最大厚さであり得て、開口部208に最も近くで最小厚さであり得て、厚さは、最大厚さから最小厚さまで徐々に減少する。あるいは、本体部202は、1または複数のステップ(図示せず)を含み得て、各ステップは、異なる厚さを有し得て、例えば、開口部208から最も遠いステップが最大厚さであり得て、開口部208に最も近いステップが最小厚さであり得る。
【0051】
本開示を通して説明された概念は、既存の技術を超える多くの利点を提供する。圧電素子を利用しない他の機械式アクチュエータが存在するが、それらの設計は、可動部品の数がより多い、応答時間がより遅い、及び、長期耐久性がより低い、ということによる制限がある。他方、圧電式アクチュエータは、例えば油圧式装置または空気作動式装置よりも有意に高速な起動を可能にする。
【0052】
本明細書に開示された起動運動の増幅に関連する装置及び方法は、噴射システムの信頼性を改善し、費用対効果を増大する。既存の技術は、非常に正確な仕様で、フライス盤や放電加工(EDM)装置などの使い難い高価な機械で、増幅器を形成することを要求する。既存の増幅器の正確な要件は、非常に厳しい公差で製品が準備されることを要求する。これは、製造のために高度なスキルを要求し、製造により長い時間がかかり、複雑な機械の使用の取得、保守及び/または割り当てを必要とする。更に、既存の増幅器は、本願全体で説明されるものよりも耐久性が低く、より頻繁な修理または交換を必要とする。これは、機械及び人員のダウンタイムによって、より高い費用、低減される生産量、より多くの収益の損失、に帰結する。
【0053】
本明細書に記載された増幅器は、高価でない材料、及び、より高速でより安価な機械、を使用して製造され得る。本願で開示されている設計は、機械加工中のより緩い公差を許容する。これは、プロセスを高速化して、スループットを増大させる。更に、許容誤差の増大は、非常に厳しい要件を満たすことができず使用不要と見なされる構成要素(コンポーネント)がより少なくなることを意味する。これは、材料の無駄及びコストを低減し得る。本発明の増幅方法及び装置は、更に、耐久性及び寿命の向上を提供する。幾つかの態様では、単一の増幅器が、最大1000万回、最大1億回、最大5億回、または最大10億回の起動に対して機能するように構成され得る。幾つかの設計では、10億回を超える起動に対して障害なく動作し得る。
【0054】
本明細書に開示された増幅器は、更に、増幅の量(大きさ)を増大または減少させるためのより単純な交換及び/または互換性を許容する。これは、同じディスペンシングシステムを使用して、異なるタイプ及び/または異なる量の液体をディスペンスすることを許容する。幾つかの態様において、増幅は、ディスペンスされる流体の濃さ(濃度)に応じて調整され得る。例えば、高粘度の流体をディスペンスするためには、より多くの増幅(従って、バルブアセンブリ内のより大きな開口)が望ましい場合があり、一方、低粘度の流体をディスペンスためには、より少ない増幅が望ましい場合がある。幾つかの態様において、増幅の調整は、第1増幅器200を、異なるパラメータを有する第2増幅器200で交換することによって達成され得る。代替的に(または付加的に)、ベース230等、ディスペンシングシステムの他の構成要素が、同様に増幅を増大または減少させるために交換可能であり得る。
【0055】
システム及び方法が、様々な図面の様々な態様に関連して説明されてきたが、当業者には、その広範な発明概念から逸脱することなく前記態様に変更が加えられ得ることが理解されるであろう。従って、本開示は、開示された特定の態様に限定されず、特許請求の範囲によって定義される本開示の精神及び範囲内の修正を包含することが意図されている。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9