(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】バイオメディカルデバイス用材料としての非分解性膨潤性ポリマー
(51)【国際特許分類】
C08F 220/10 20060101AFI20241108BHJP
A61P 27/06 20060101ALI20241108BHJP
A61L 31/04 20060101ALI20241108BHJP
A61L 31/14 20060101ALI20241108BHJP
A61F 9/007 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
C08F220/10
A61P27/06
A61L31/04 110
A61L31/14 300
A61F9/007 160
(21)【出願番号】P 2021571853
(86)(22)【出願日】2020-06-02
(86)【国際出願番号】 US2020035688
(87)【国際公開番号】W WO2020247365
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-05-25
(32)【優先日】2019-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505181479
【氏名又は名称】インフォーカス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】ピンチャック,レナード
(72)【発明者】
【氏名】クォン,ヨンムン
【審査官】丸山 裕樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/069018(WO,A2)
【文献】C. T. CHIANG; ET AL,A POLY-HEMA BASED AQUEOUS HUMOR DRAINING DEVICE,JOURNAL OF APPLIED BIOMATERIALS,1990年,PAGE(S): 321 - 327,https://onlinelibrary.wiley.com/reader/content/10.1002/jab.770010408/format/pdf/OEBPS/pages/bg1.png
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 220/10
A61P 27/06
A61L 31/04
A61L 31/14
A61F 9/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式:
を有する非分解性の膨潤性ポリマーを含む材料から形成された眼内シャントであって、
R及びR’’がメチルであり;
R’が-COOR
1
であり、ただし、R
1
がアルキルであり;
R’’’がカルボン酸であり;
m:nの比率
が99.99:0.01
~90:10であり;
眼内シャントが脱水状態における第1直径、及び、水和状態における第2直径を有し、第2直径が第1直径よりも大きい、眼内シャント。
【請求項2】
水和時に直径
が20%
~200%増大する、請求項
1に記載の眼内シャント。
【請求項3】
水和時に直径
が50%
~100%増大する、請求項
1又は2に記載の眼内シャント。
【請求項4】
水和時に直径
が100%増大する、請求項
1~
3のいずれか1項に記載の眼内シャント。
【請求項5】
被験者の眼に眼内シャントを導入する又は移植することを含む、治療を必要とする被験者における緑内障又は高眼圧症を治療する方法
に使用するための、請求項1~4のいずれか1項に記載の眼内シャント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2019年6月3日に出願され、「Non-Degrading Swellable Polymers as Materials for Biomedical Devices」と題された米国仮出願第62/856447号の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
開示分野
本開示は、非分解性膨潤性ポリマーヒドロゲルを含む材料から作られた眼内シャントなどの医療機器、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
緑内障の治療には眼内シャントが用いられる。シャントは、ab interno(前房内から導入される)、又はab externo(結膜や強膜を介して導入される)によって、前房から結膜の下、又はテノン嚢の下に液体をシャントすることができる。流出場所に関わらず、どちらの経路でも結膜下の膿疱をもたらす。シャントは、針状の挿入器を使って所定の位置に挿入することができ、所定の位置で膨らむことで針の軌道とシャントの間をシールし、流れをデバイスの内腔に導くように設計されている。内腔は流れの抵抗器又は流れの制限器として設計されており、低眼圧(眼の膨らみ)を防ぐとともに、肥大(眼内の過剰な圧力)を防ぐようになっている。
【0004】
所定の位置に膨らむ典型的な緑内障シャントは、多くの場合、グルタルアルデヒドで架橋されたブタのゼラチンから作られた単純なチューブである。コラーゲンから作られたシャントの問題点は、組織が蛋白質性シャントの壁に成長することができ、マクロファージと水が蛋白質性シャントを酸化及び加水分解し、副産物を生成し、炎症を誘発し、脆く壊れやすくなり、操作されると折れてしまうことである。 最終的にはシャントが完全に成長しすぎ機能しなくなるため、緑内障の進行を止め、視力低下を防ぐためには、眼圧(IOP)を下げるためのさらなる治療が必要となる。
【0005】
したがって、眼内シャント及びそれを製造するための材料には、骨格の分解を受けず、眼内シャントの設置に望ましい解剖学的位置で生存するものが必要である。また、より広い意味では、移植時に膨潤することが求められ、また、著しい分解を伴わずに長期間にわたって生体安定性を維持することが求められる、さらなるタイプの移植可能な医療機器用の材料が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
概要
第1の態様において、本明細書に開示されているのは、ポリマーを含む材料から形成された眼内シャントであり、当該ポリマーは、第1側基を含む第1モノマー、第2側基を含む第2モノマー、及び架橋剤の反応生成物から形成されている。特定の実施形態では、第2側基の親水性は、第1側基の親水性よりも大きい。特定の実施形態では、眼内シャントは、脱水状態における第1直径と、水和状態における第2直径とを有し、第2直径は第1直径よりも大きい。特定の実施形態では、ポリマーは、ポリマー鎖に沿ったポリマー結合の大部分が交互する第4級及び第2級炭素原子である骨格を含む。特定の実施形態では、ポリマーは、ポリマー鎖に沿ったポリマー結合の約50%~約100%が交互する第4級及び第2級炭素原子である骨格を含む。特定の実施形態では、第1側基は疎水性基であり、第2側基は親水性基である。特定の実施形態では、親水性基は、イオン化基又はイオン化可能基である。特定の実施形態では、親水性基は非イオン化親水性基である。特定の実施形態では、第1及び第2モノマーは、アクリレート又はアクリルアミドである。特定の実施形態では、第1モノマーは、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)である。特定の実施形態では、第2モノマーは、メタクリル酸(MAA)である。特定の実施形態では、架橋剤は、テトラエチレングリコールジメチルアクリレート(TEGDMA)である。特定の実施形態では、ポリマーはヒドロゲルである。特定の実施形態では、第2直径は、第1直径よりも約20%~約200%大きい。特定の実施形態では、第2直径は、第1直径よりも約100%大きい。
【0007】
さらなる態様において、本明細書に開示されているのは、非分解性の膨潤性ポリマーを含む材料から形成された眼内シャントであり、該ポリマーは、疎水性基又は非イオン化親水性基を含む第1側基と、イオン化基又はイオン化親水性基又は非イオン化親水性基を含む第2側基とを含む。特定の実施形態では、第2側基の親水性は、第1側基の親水性よりも大きい。特定の実施形態では、眼内シャントの直径は、眼内シャントの脱水状態から水和状態への水和時に増大する。特定の実施形態では、疎水性基は、アルキル、アリール、ハロ、アルキルアリール、及びアルコキシからなる群から選択される。特定の実施形態では、イオン化又はイオン化可能基は、カルボン酸、アミン、アンモニウム塩、及びスルホン酸からなる群から選択される。
【0008】
別の態様では、本明細書に開示されているのは、下記式:
を有する非分解性の膨潤性ポリマーを含む材料から形成された眼内シャントでであり、R、R’及びR’’はそれぞれ、末端アルキル基、アリール基、ハロ基、アルキルアリール基、又はアルコキシ基を含み、R’’’は、アミン、アンモニウム塩、カルボン酸、又はスルホン酸であり、m:nの比は、約99.99:0.01から約90:10である。特定の実施形態では、眼内シャントは、脱水状態における第1直径と、水和状態における第2直径とを有し、第2直径は第1直径よりも大きい。
【0009】
さらなる態様において、本明細書に開示されるのは、治療を必要とする被験者における緑内障又は高眼圧症を治療する方法であって、被験者の眼にポリマーを含む材料から形成された眼内シャントを導入することを含み、当該ポリマーは、第1側基を含む第1モノマー、第2側基を含む第2モノマー、及び架橋剤の反応生成物から形成される。ここで、第2側基の親水性が第1側基の親水性よりも大きく、眼内シャントが脱水状態における第1直径と水和状態における第2直径を有し、第2直径が第1直径よりも大きい。
【0010】
さらなる態様において、本明細書に開示されるのは、緑内障又は高眼圧症の治療のための眼内シャントの使用であり、眼内シャントは、ポリマーを含む材料から形成され、当該ポリマーは、第1側基を含む第1モノマー、第2側基を含む第2モノマー、及び架橋剤の反応生成物から形成される。ここで、第2側基の親水性は、第1側基の親水性よりも大きく、眼内シャントは、脱水状態における第1直径と、水和状態における第2直径とを有し、第2直径は、第1直径よりも大きい。
【0011】
さらなる態様において、本明細書に開示されるのは、治療を必要とする被験者に移植するための眼内シャントの使用であり、眼内シャントは、ポリマーを含む材料から形成され、当該ポリマーは、第1側基を含む第1モノマー、第2側基を含む第2モノマー、及び架橋剤の反応生成物から形成される。ここで、第2側基の親水性は、第1側基の親水性よりも大きく、眼内シャントは、脱水状態における第1直径と、水和状態における第2直径とを有し、第2直径は第1直径よりも大きい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図面の簡単な説明
本開示の特定の実施形態に関する以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むことで、よりよく理解されるであろう。本開示を説明する目的で、特定の実施形態が図面に示されている。しかし、本開示は、図面に示された実施形態の正確な配置及び方法に限定されないことを理解すべきである。
【0013】
図1Aは、本開示の実施形態に係る脱水状態の眼内シャントを示す。
【0014】
図1Bは、本開示の一実施形態に係る水和状態の眼内シャントを示す。
【0015】
図2は、本開示の一実施形態に係る針の内腔に挿入された眼内シャントを示す。
【0016】
図3は、本開示の一実施形態に従って、水和状態の組織に配置された眼内シャントを示す。
【0017】
図4は、本開示の一実施形態に係るゲルの含水量及び膨潤体積のグラフである。
【0018】
図5は、本開示の一実施形態による、水和状態(上)及び脱水状態(下)のpHEMAチューブを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明の詳細な説明
本開示は、眼内シャント、例えば、緑内障シャントにおける材料として使用するためのヒドロゲルのファミリーに関する。特定の実施形態では、ヒドロゲルは、骨格の分解を受けず、緑内障シャントに望ましい解剖学的位置で生存する。ヒドロゲルは、移植可能なデバイスなどのデバイスを作製するために使用することができる。本開示のヒドロゲル及びそれから作製されたデバイスは、有利には、特定の流体、すなわち生物学的流体に曝されたときに膨潤することができる;しかしながら、既知のデバイスとは対照的に、本開示のヒドロゲル及びデバイスは、流体に曝されたときに分解したり脆くなったりすることはなく、したがって、被験者における移植可能なデバイスとして適している。特定の実施形態では、ヒドロゲルは、実質的に脂肪族ポリマー、すなわち、ポリマー骨格に実質的に二重結合を持たないポリマーを含む。 特定の実施形態では、ヒドロゲルは、完全脂肪族ポリマー、すなわち、ポリマー骨格中に二重結合を有さないポリマーを含む。特定の実施形態では、脂肪族ポリマーは、流体、すなわち、生物学的流体にさらされても分解を受けない。特定の実施形態では、脂肪族ポリマーは、SN1加水分解反応を受けず、したがって、被験者に移植されたときに、ほとんど、又は全く、分解を受けない。したがって、特定の実施形態では、ヒドロゲルは、水和時に膨潤するが、患者の眼に挿入されても分解しない。特定の実施形態では、ヒドロゲル構造は、水和時の膨潤を促進する特徴と、分解を制限する特徴とを備える。本開示の非限定的な利点の1つは、眼に挿入されると所定の位置に膨らむデバイス、例えば眼内シャントを製造することができることであり、これにより、デバイスが眼の内外に移動しないようにするためのフィンやバーブが不要になる。さらに、ここで開示されている材料から作られたデバイスは、ab-interno又はab-externoの両方の方法で眼に配置することができる。重要な点は、単純なab-externo移植は、手術室ではなく、医師のオフィスで行うことができ、患者と医師の両方の負担を減らすことができることである。本開示のヒドロゲル(及びそれから作製されたデバイス)の別の非限定的な利点は、特定のゲージの針腔、例えば27ゲージの針腔を通して適合するように適切な仕様にデバイスを作製する能力である。本開示のヒドロゲルは、所望のゲージの針腔を通って適合するのに必要な正確な寸法(すなわち、内径及び外径、及び長さ)で製造することができる。
【0020】
ポリマー骨格
特定の実施形態では、材料は、ポリマー鎖に沿ったポリマー結合の大部分が交互する第4級及び第2級炭素原子である骨格を含むポリマーを含むヒドロゲルである。本明細書で使用される用語「第2級」炭素は、他の2つの炭素原子及び他の2つの水素に結合している炭素原子を意味する。本明細書で使用される用語「第4級」炭素は、他の4つの炭素原子に結合し、水素を持たない炭素原子を意味する。特定の実施形態では、この交互する第4級及び第2級炭素原子の配置がポリマーの安定性を促進する。特定の実施形態では、交互する第4級及び第2級炭素原子を含むポリマー骨格は、生物学的環境における酸化、加水分解、又は脆化に対して耐性がある。特定の実施形態では、交互する第4級及び第2級炭素原子を含むポリマー骨格は、生物学的環境において酸化、加水分解、又は脆化しない。特定の実施形態では、ポリマーは、生体内に移植されたとき、又は他の方法で分解条件にさらされたときに、そのクラック、クレーズ、又は分解を最小限に抑えるか、又は防止するように構成されている。
【0021】
特定の実施形態では、ポリマーは、ポリマー鎖に沿ったポリマー結合の大部分が交互する第4級及び第2級炭素原子である骨格を含む。特定の実施形態では、ポリマーは、ポリマー鎖に沿ったポリマー結合の約25%~約100%、約50%~約100%、約75%~約100%、約90%~約100%、又は約95%~約100%が、交互する第4級及び第2級炭素原子である骨格を含んでいる。特定の実施形態では、ポリマーは、ポリマー鎖に沿ったポリマー結合の約98%~約100%が、交互する第4級及び第2級炭素原子である骨格を含む。特定の実施形態では、ポリマーは、ポリマー鎖に沿ったポリマー結合の約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%が交互する第4級及び第2級炭素原子である骨格を含む。特定の実施形態では、ポリマーは、ポリマー鎖に沿ったポリマー結合の約95%が交互する第4級及び第2級炭素原子である骨格を含む。特定の実施形態では、ポリマーは、ポリマー鎖に沿ったポリマー結合の約97%が、交互する第4級及び第2級炭素原子である骨格を含む。特定の実施形態では、ポリマーは、ポリマー鎖に沿ったポリマー結合の約99%が、交互する第4級及び第2級炭素原子である骨格を含む。特定の実施形態では、ポリマーは、ポリマー鎖に沿ったポリマー結合の約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%を超えるポリマー結合が、交互する第4級及び第2級炭素原子である骨格を含む。
【0022】
特定の実施形態では、材料は、ポリマー鎖に沿ったポリマー結合の大部分が交互する第3級及び第2級炭素原子である骨格を含むポリマーを含むヒドロゲルである。本明細書で使用する「第3級」炭素という用語は、他の3つの炭素原子と1つの水素原子に結合している炭素原子を意味する。当業者であれば、これらのポリマーがその骨格上に共役二重結合を支持することができ、これが生物学的不安定性につながることを知っているだろうが、ある実施形態では、ポリマーは生物学的に安定している。したがって、特定の実施形態では、ポリマー鎖に沿ったポリマー結合の大部分が交互する第3級及び第2級炭素原子であるポリマーが生物学的に安定である。
【0023】
特定の実施形態では、ヒドロゲルは、膨潤性モノマー及び疎水性モノマーを含むモノマーの混合物を含む非分解性膨潤性ポリマーを含む。特定の実施形態では、ヒドロゲルは、疎水性及び膨潤性の両方のモノマーを含むモノマーの混合物から形成される。
【0024】
疎水性モノマー
本明細書で使用される「疎水性モノマー」という用語は、そのモノマーが、その重合時に、得られるポリマー構造に水が浸入のを実質的に防ぐことを意味する。特定の実施形態では、疎水性モノマーは、非膨潤性モノマーである。特定の実施形態では、疎水性モノマーの重合時に、得られるポリマーは非膨潤性ポリマーである。特定の実施形態では、疎水性モノマーは、水和時にポリマーが膨潤しないように、得られるポリマー構造に水が浸入するのを実質的に防ぐポリマーを生成する。特定の実施形態では、疎水性モノマーは、疎水性基を含む側基を含む。特定の実施形態では、疎水性モノマーは、親水性基を含まない側基を含む。当業者であれば、ポリマー骨格上の第4級炭素が2つの側基を含むことを理解するであろう。特定の実施形態では、疎水性モノマーの第4級炭素上の側基の両方が、疎水性基を含む。特定の実施形態では、疎水性基は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ハロ、アルキルアリール、及びアルコキシからなる群から選択される。特定の実施形態では、疎水性基は、C1-12アルキル、C1-10アルキル、C1-8アルキル、C1-6アルキル、C1-4アルキル、C2-4アルキル、C2-6アルキル、C2-8アルキル、C2-10アルキル、C2-12アルキル、メチル、エチル、プロピル、ブチル、及びヘキシルから選択され、これらの各々は、直鎖状、分岐状、又は環状であり、これらの各々は、アリール基でさらに置換されていてもよい。特定の実施形態では、疎水性基は、メチル、エチル、プロピル、フルオロ、及びエチルベンジルから選択される。
【0025】
特定の実施形態では、疎水性モノマーは、アクリレート又はアクリルアミドである。特定の実施形態では、疎水性モノマーは、アルキルアクリレートである。特定の実施形態では、疎水性モノマーは、ハロアクリレートである。特定の実施形態では、疎水性モノマーは、アルキルアルキルアクリレートである。特定の実施形態では、疎水性モノマーは、ハロアルキルアクリレートである。特定の実施形態では、疎水性モノマーは、アリールアルキルアクリレートである。特定の実施形態では、疎水性モノマーはフェニルアクリレートである。 特定の実施形態では、疎水性モノマーは、メタクリレートである。特定の実施形態では、疎水性モノマーは、メチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、及び2-エチルフェニルアクリレートから選択される。特定の実施形態では、疎水性モノマーはメチルメタクリレート(MMA)である。
【0026】
膨潤性モノマー
本明細書では、「膨潤性モノマー」という用語は、その重合時に、得られるポリマーに水を引き込む能力を有するモノマーを意味する。特定の実施形態では、膨潤性モノマーは、親水性基を含む側基を含む。親水性基は、ポリマーに水を引き込むことでポリマーの膨潤を促進する。当業者であれば、ポリマーの膨潤の程度は、モノマー上の親水性官能基の親水性に依存することを理解するであろう。当業者であれば、ポリマー骨格上の第4級炭素が2つの側基を含むことを理解するであろう。特定の実施形態では、膨潤性モノマーの第4級炭素の各側基は、親水性基を含む。特定の実施形態では、膨潤性モノマーは、第4級炭素の1つの側基が親水性基を含み、第4級炭素の1つの側基が疎水性基を含む第4級炭素を含む。特定の実施形態では、親水性基は、ヒドロキシル、アミノ、カルボキシル、スルフヒドリル、カルボニル、アミド、ピロリドン及び無水物からなる群から選択される。当業者であれば、上述したような疎水性基を含む側部を有する疎水性モノマーのいずれも、1つ以上の親水性基で修飾(又は官能化)して、親水性基を含む側部を生成することができることを理解するであろう。非限定的な例として、疎水性モノマーであるエチルメタクリレートをヒドロキシル基で修飾して(ヒドロキシエチル)メタクリレートを生成し、これにより膨潤性モノマーを形成することができる。
【0027】
特定の実施形態では、膨潤性モノマーは、ヒドロキシ(C2-C4-アルキル)メタクリレート、ヒドロキシ(アルキル)アクリレート、ヒドロキシ(アルコキシアルキル)メタクリレート、ヒドロキシ(アルコキシアルキル)アクリレート、アルコキシ(アルコキシアルキル)メタクリレート、アルコキシ(アルコキシアルキル)アクリレート、N-(アルキル)アクリルアミド、N-(アルキル)メタクリルアミド、N,N-ジ(アルキル)アクリルアミド、N,N-(ジ(アルキル))メタクリルアミド、ビシナル-エポキシ(C1-C4アルキル)メタクリレート、ビシナル-エポキシ(アルキル)アクリレート、及びアルキルアクリレートから選択される。特定の実施形態では、アルキル基は、C1-12 アルキル、C1-10アルキル、C1-8アルキル、C1-6アルキル、C1-4アルキル、C2-4アルキル、C2-6アルキル 、C2-8アルキル 、C2-10アルキル、C2-12アルキル、メチル、エチル、プロピル、ブチル、及びヘキシルから選択され、それぞれが直鎖状又は分岐状であってもよい。特定の実施形態では、アルコキシ基は、C1-12 アルコキシ、C1-10 アルコキシ、C1-8アルコキシ、C1-6アルコキシ 、C1-4アルコキシ、C2-4アルコキシ、C2-6アルコキシ、C2-8アルコキシ、C2-10アルコキシ、 C2-12アルコキシ、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、及びヒドロキシルヘキシルから選択され、これらの各々は、直鎖状又は分岐状であることができる。
【0028】
特定の実施形態では、膨潤性モノマーは、ヒドロキシ(C2-C4-アルキル)メタクリレート、ヒドロキシ(C2-C4アルキル)アクリレート、ヒドロキシ(C2-C4アルコキシC2-C4アルキル)メタクリレート、ヒドロキシ(C2-C4アルコキシC2-C4アルキル)アクリレート、アルコキシ(C2-C4アルコキシC2-C4アルキル)メタクリレート、アルコキシ(C2-C4アルコキシC2-C4アルキル)アクリレート、N-(C1-C4アルキル)アクリルアミド、N-(C1-C4アルキル)メタクリルアミド、N,N-ジ(C1-C4アルキル)アクリルアミド、N,N-(ジ(C1-C4アルキル))メタクリルアミド、ビシナル-エポキシ(C1-C4アルキル)メタクリレート、ビシナル-エポキシ(C1-C4アルキル)アクリレート、及び(C1-C4アルキル)アクリレートから選択される。
【0029】
特定の実施形態では、膨潤性モノマーは、2-(ヒドロキシエチル)メタクリレート(HEMA)(当業者であれば、HEMAの他の同義語には、例えば、(ヒドロキシエチル)メタクリレート、2-(ヒドロキシエチル)メタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、及び(ヒドロキシエチル)メタクリレートが含まれることを知っているであろう。)、テトラヒドロフリルメタクリレート、N,N-ジメチルアクリルアミド、(2-ヒドロキシプロピル)メタクリレート(HPMA)、メタクリルアミド、N-メチルピロリドン、メタクリル酸(MAA)などが挙げられる。特定の実施形態では、膨潤性モノマーは、2-(ヒドロキシエチル)メタクリレート(HEMA)である。特定の実施形態では、膨潤性モノマーは、テトラヒドロフリルメタクリレートである。特定の実施形態では、膨潤性モノマーは、N,N-ジメチルアクリルアミドである。特定の実施形態では、膨潤性モノマーは、N-メチルピロリドンである。特定の実施形態では、膨潤性モノマーは、メタクリル酸(MAA)である。
【0030】
特定の実施形態では、膨潤性モノマーは、非イオン化可能膨潤性モノマーである。本明細書で使用される場合、非イオン化可能膨潤性モノマーは、非イオン化可能親水性側基、すなわち、イオン化することができない親水性側基を含む膨潤性モノマーである。特定の実施形態では、非イオン化可能親水性側基は、親水性であるが、酸部分を含まない側基である。特定の実施形態では、非イオン化可能膨潤性モノマーは、親水性であるが酸部分を含まないモノマー、すなわち、酸部分を含まない上述の膨潤性モノマーのいずれかである。
【0031】
特定の実施形態では、膨潤性モノマーは、イオン化又はイオン化可能膨潤性モノマーである。本明細書で使用される場合、イオン化可能膨潤性モノマーは、イオン化可能な側基、すなわちイオン化されることが可能な側基を含む膨潤性モノマーである。本明細書で使用されるように、イオン化膨潤性モノマーは、中性pHで荷電側基を含む膨潤性モノマーである。特定の実施形態では、イオン化可能膨潤性モノマーは、例えば、約3~約8のpKaを有する任意のイオン化可能基を含む、末端イオン化可能基を含む。イオン化又はイオン化可能側基の例には、アミン、アンモニウム塩、カルボン酸、スルホン酸などが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、非イオン化可能膨潤性モノマーは、親水性であり、酸部分を含むモノマーであり、すなわち、酸部分を含む上述の膨潤性モノマーのいずれかである。
【0032】
ポリマーの構造と架橋剤
当業者であれば、ヒドロゲルは、ネットワーク構造をもたらす物理的又は化学的な架橋(すなわち、1つのポリマー鎖を別のポリマー鎖に連結する結合)を含むことができる高含水ポリマーから形成されることを認識するであろう。特定の実施形態では、ポリマーは架橋されたリニアポリマーである。特定の実施形態では、ポリマーは、架橋された分岐ポリマーである。特定の実施形態では、ポリマーは、架橋されたスターポリマーである。
【0033】
特定の実施形態では、ポリマーはブロックコポリマーである。特定の実施形態では、ポリマーは交互コポリマーである。特定の実施形態では、ポリマーは周期的コポリマーである。特定の実施形態では、ポリマーはランダムコポリマーである。
【0034】
特定の実施形態では、ヒドロゲルは低分子量ポリマーから形成される。特定の実施形態では、ヒドロゲルは、熱可塑性ポリマーから形成される。特定の実施形態では、ヒドロゲルは、ポリマーから形成される。特定の実施形態では、ヒドロゲルを形成するポリマーの数平均分子量(Mn)は、約2kDa~約200kDa、約100kDa~約200kDa、約150kDa~約200kDa、約75kDa~約150kDa、約5kDa~約80kDa、約10kDa~約75kDa、約20kDa~約80kDa、約10kDa~約50kDa、約10kDa~約25kDa、約10kDa~約20kDa、約50kDa~約100kDa、約2kDa~約10kDa、約5kDa~約20kDa、約5kDa~約15kDa、又は、約2kDa~約10kDaである。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルを形成する低分子量ポリマーの数平均分子量(Mn)は、約2kDa、約5kDa、約8kDa、又は約10kDaである。
【0035】
特定の実施形態では、ヒドロゲルは、熱硬化性ポリマーから形成される。いくつかの実施形態では、熱硬化性ポリマーは、約200kDaより大きい数平均分子量を有する。当業者であれば、熱硬化性ポリマーが無限の分子量を有し得ることを知っているであろう。
【0036】
特定の実施形態では、ポリマーは、約0~約1の架橋度を有することができる。 特定の実施形態では、ポリマーは、約0.1、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、又は約0.99の架橋度を有することができる。特定の実施形態では、ポリマーは完全に架橋され得る(すなわち、約1の架橋度)。
【0037】
特定の実施形態では、ヒドロゲルは、化学的に架橋されたポリマーから形成される。特定の実施形態では、ヒドロゲルが平衡に膨らむまでの時間は、架橋剤の含有量の関数である。特定の実施形態では、架橋剤の増大により、ヒドロゲルが平衡に膨らむまでの時間が長くなる(水分子がヒドロゲルネットワークに入り、親水性基と結合を形成する能力の低下及び、絡み合いが解けて膨らむまでの時間が理由である(エントロピーの問題))。
【0038】
いくつかの実施形態では、架橋剤は低分子である。いくつかの実施形態では、架橋剤は二量体である。適切な架橋剤の例としては、(テトラエチレングリコール)ジメタクリレート(TEGDMA)、N,N′-メチレンビス(アクリルアミド)(MBA)、エチレングリコールジアクリレート(EGDA)及びPEGジアクリレート(PEGDA)、テトラメチルエチレンジアミン(TEMED)を含むが、これらに限定されない。追加の適切な架橋剤は、ヒドロキシ(C2 -C4-アルキル)メタクリレート、ヒドロキシ(C2 -C4アルキル)アクリレート、ヒドロキシ(C2-C4アルコキシC2-C4アルキル)メタクリレート、ヒドロキシ(C2-C4アルコキシC2 -C4アルキル)アクリレート、アルコキシ(C2-C4アルコキシC2 -C4アルキル)メタクリレート、アルコキシ(C2 -C4アルコキシC2-C4アルキル)アクリレート、N-(C1-C4アルキル)アクリルアミド、N-(C1 -C4アルキル)メタクリルアミド、N,N-ジ(C1 -C4アルキル)アクリルアミド、N,N-(ジ(C1-C4アルキル))メタクリルアミド、ビシナル-エポキシ(C1-C4アルキル)メタクリレート、及びビシナル-エポキシ(C1 -C4アルキル)アクリレートから選択されるモノマーのダイマーである。特定の実施形態では、ヒドロゲルは、架橋剤が、約0.01%~約1%、約0.01%~約0.9%、約0.01%~約0.8%、約0.01%~約0.7%、約0.01%~約0.6%、約0.01%~約0.5%、約0.01%~約0.4%、約0.01%~約0.3%、約0.01%~約0.2%、又は約0.01%~約0.1%である架橋剤重量のポリマー重量に対する割合で存在する溶液から形成される。特定の実施形態では、ヒドロゲルは、架橋剤が約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.06%、約0.09%、約0.12%、約0.15%、約0.18%、約0.21%、約0.24%、約0.27%、又は約0.3%の量で存在する溶液から形成される。
【0039】
ヒドロゲル材料
特定の実施形態において、本明細書に開示される材料は、上述のモノマーの重合から形成されるヒドロゲルである。当業者であれば、ヒドロゲルが水と接触すると、ヒドロゲルマトリックスへの水分子の吸収が起こることを知っているであろう。特定の実施形態において、材料は、水和の関数として(例えば、生物学的な場所における水への曝露の関数として)膨らむ。特定の実施形態では、膨潤の程度は、ヒドロゲル中に存在する親水性側基と疎水性側基の比率に依存する。特定の実施形態では、膨潤の程度は、ヒドロゲル中の1つ以上の異なる親水性側基の比率に依存する。特定の実施形態では、膨潤の程度は、1つ以上の異なる親水性側基と複数の1つ以上の異なる疎水性側基との比率に依存するであろう。特定の実施形態では、膨潤の程度は、ヒドロゲル中の膨潤性モノマーに対する疎水性モノマーの比率に依存することになる。特定の実施形態では、ヒドロゲルは、1つの疎水性モノマーと1つの膨潤性モノマーの共重合から形成され、例えば、非限定的な例として、2-(ヒドロキシエチル)メタクリレートとメチルメタクリレートの重合が挙げられる。特定の実施形態では、ヒドロゲルは、非イオン化可能膨潤性モノマーと、イオン化又はイオン化可能膨潤性モノマーとの共重合から形成される。当業者であれば、非イオン化可能膨潤性モノマー及びイオン化又はイオン化可能膨潤性モノマーが、様々な程度の親水性官能基を含む側基を有することを認識するであろう。非限定的な例として、ヒドロゲルは、2-(ヒドロキシエチル)メタクリレート(非イオン化可能膨潤性モノマー)とメタクリル酸(イオン化可能膨潤性モノマー)との共重合から形成することができる。メタクリル酸はイオン化可能カルボン酸基を有しているため、得られるヒドロゲル中のメタクリル酸の量が少ない量であっても、多量の膨潤がもたらされる。
【0040】
特定の実施形態では、ヒドロゲルは、約1%~約100%、約1%~約90%、約1%~約80%、約1%~約70%、約1%~約60%、約1%~約50%、約1%~約40%、約1%~約30%、約1%~約20%、又は約1%~約10%の、疎水性基を含む側基を含む。特定の実施形態では、ヒドロゲルは、約10%~約100%、約10%~約90%、約10%~約80%、約10%~約70%、約10%~約60%、約10%~約50%、約10%~約40%、約10%~約30%、約10%~約20%、又は約5%~約10%の、疎水性基を含む側基を含む。特定の実施形態では、ヒドロゲルは、約20%~約100%、約20%~約90%、約20%~約80%、約20%~約70%、約20%~約60%、約20%~約50%、約20%~約40%、又は約20%~約30%のの、疎水性基を含む側基を含む。特定の実施形態では、ヒドロゲルは、約30%~約100%、約30%~約90%、約30%~約80%、約30%~約70%、約30%~約60%、約30%~約50%、又は約30%~約40%の、疎水性基を含む側基を含む。特定の実施形態では、ヒドロゲルは、約40%~約100%、約40%~約90%、約40%~約80%、約40%~約70%、約40%~約60%、約40%~約50%の、疎水性基を含む側基を含む。特定の実施形態では、ヒドロゲルは、約50%~約100%、約50%~約90%、約50%~約80%、約50%~約70%、又は約50%~約60%の、疎水性基を含む側基を含む。特定の実施形態では、ヒドロゲルは、約60%~約100%、約60%~約90%、約60%~約80%、又は約60%~約70%の、疎水性基を含む側基を含む。特定の実施形態では、ヒドロゲルは、約70%~約100%、約70%~約90%、又は約70%~約80%の、疎水性基を含む側基を含む。特定の実施形態では、ヒドロゲルは、約80%~約100%、約80%~約90%、又は約0%~約100%の、疎水性基を含む側基を含む。
【0041】
特定の実施形態では、ヒドロゲルは、約1%~約100%、約1%~約90%、約1%~約80%、約1%~約70%、約1%~約60%、約1%~約50%、約1%~約40%、約1%~約30%、約1%~約20%、又は約1%~約10%の、新水性基を含む側基を含む。特定の実施形態では、ヒドロゲルは、約10%~約100%、約10%~約90%、約10%~約80%、約10%~約70%、約10%~約60%、約10%~約50%、約10%~約40%、約10%~約30%、約10%~約20%、又は約5%~約10%の、新水性基を含む側基を含む。特定の実施形態では、ヒドロゲルは、約20%~約100%、約20%~約90%、約20%~約80%、約20%~約70%、約20%~約60%、約20%~約50%、約20%~約40%、又は約20%~約30%の、新水性基を含む側基を含む。特定の実施形態では、ヒドロゲルは、約30%~約100%、約30%~約90%、約30%~約80%、約30%~約70%、約30%~約60%、約30%~約50%、又は約30%~約40%の、新水性基を含む側基を含む。特定の実施形態では、ヒドロゲルは、約40%~約100%、約40%~約90%、約40%~約80%、約40%~約70%、約40%~約60%、約40%~約50%の、新水性基を含む側基を含む。特定の実施形態では、ヒドロゲルは、約50%~約100%、約50%~約90%、約50%~約80%、約50%~約70%、又は約50%~約60%の、新水性基を含む側基を含む。特定の実施形態では、ヒドロゲルは、約60%~約100%、約60%~約90%、約60%~約80%、又は約60%~約70%の、新水性基を含む側基を含む。特定の実施形態では、ヒドロゲルは、約70%~約100%、約70%~約90%、又は約70%~約80%の、新水性基を含む側基を含む。特定の実施形態では、ヒドロゲルは、約80%~約100%、約80%~約90%、又は約90%~約100%の、新水性基を含む側基を含む。
【0042】
特定の実施形態では、ヒドロゲルは、約1%~約100%、約1%~約90%、約1%~約80%、約1%~約70%、約1%~約60%、約1%~約50%、約1%~約40%、約1%~約30%、約1%~約20%、又は約1%~約10%のイオン化又はイオン化可能側基を含んでいる。特定の実施形態では、ヒドロゲルは、約10%~約100%、約10%~約90%、約10%~約80%、約10%~約70%、約10%~約60%、約10%~約50%、約10%~約40%、約10%~約30%、約10%~約20%、又は約5%~約10%のイオン化又はイオン化可能側基を含んでいる。特定の実施形態では、ヒドロゲルは、約20%~約100%、約20%~約90%、約20%~約80%、約20%~約70%、約20%~約60%、約20%~約50%、約20%~約40%、又は約20%~約30%のイオン化又はイオン化可能側基を含んでいる。特定の実施形態では、ヒドロゲルは、約30%~約100%、約30%~約90%、約30%~約80%、約30%~約70%、約30%~約60%、約30%~約50%、又は約30%~約40%のイオン化又はイオン化可能側基を含んでいる。特定の実施形態では、ヒドロゲルは、約40%~約100%、約40%~約90%、約40%~約80%、約40%~約70%、約40%~約60%、約40%~約50%のイオン化又はイオン化可能側基を含む。特定の実施形態では、ヒドロゲルは、約50%~約100%、約50%~約90%、約50%~約80%、約50%~約70%、又は約50%~約60%のイオン化又はイオン化可能側基を含む。特定の実施形態では、ヒドロゲルは、約60%~約100%、約60%~約90%、約60%~約80%、又は約60%~約70%のイオン化又はイオン化可能側基を含んでいる。特定の実施形態では、ヒドロゲルは、約70%~約100%、約70%~約90%、又は約70%~約80%のイオン化又はイオン化可能側基を含んでいる。特定の実施形態では、ヒドロゲルは、約80%~約100%、約80%~約90%、又は約90%~約100%のイオン化された又はイオン化可能側基を含んでいる。
【0043】
特定の実施形態では、ヒドロゲルは、疎水性モノマーと膨潤性モノマーとの比が約99.09:0.01、99.9:0.1、99.5:0.5、98:2、95:5、90:10、85:15、80:20、75:25、70:30、65:35、60:40、55:45、又は50:50のポリマーを含む。特定の実施形態では、ヒドロゲルは、膨潤性モノマーと疎水性モノマーとの比が約99.09:0.01、99.9:0.1、99.5:0.5、98:2、95:5、90:10、85:15、80:20、75:25、70:30、65:35、60:40、55:45、又は50:50のポリマーを含む。
【0044】
特定の実施形態では、ヒドロゲルは、非イオン化可能膨潤性モノマー及びイオン化又はイオン化可能膨潤性モノマーから形成されたポリマーを含み、イオン化又はイオン化可能膨潤性モノマーは、非イオン化可能膨潤性モノマーよりも大きい膨潤性を有する。特定の実施形態では、ヒドロゲルは、非イオン化可能膨潤性モノマーとイオン化又はイオン化可能膨潤性モノマーとの比が、約99.09:0.01、99.9:0.1、99.5:0.5、98:2、95:5、90:10、85:15、80:20、75:25、70:30、65:35、60:40、55:45、又は50:50のポリマーを含む。特定の実施形態では、ヒドロゲルは、イオン化又はイオン化可能膨潤性モノマーと非イオン化可能膨潤性モノマーとの比が、約99.09:0.01、99.9:0.1、99.5:0.5、98:2、95:5、90:10、85:15、80:20、75:25、70:30、65:35、60:40、55:45、又は50:50のポリマーを含む。
【0045】
特定の実施形態では、ヒドロゲルは、2つの膨潤性モノマーから形成されたポリマーを含み、第1の膨潤性モノマーは、第2の膨潤性モノマーよりも大きい膨潤性を有している。特定の実施形態では、ヒドロゲルは、第1の膨潤性モノマーと第2の膨潤性モノマーの比率が、約99.09:0.01、99.9:0.1、99.5:0.5、98:2、95:5、90:10、85:15、80:20、75:25、70:30、65:35、60:40、55:45、又は50:50のポリマーを含む。特定の実施形態では、ヒドロゲルは、第2の膨潤性モノマーと第1の膨潤性モノマーとの比が、約99.09:0.01、99.9:0.1、99.5:0.5、98:2、95:5、90:10、85:15、80:20、75:25、70:30、65:35、60:40、55:45、又は50:50のポリマーを含む。
【0046】
特定の実施形態では、ヒドロゲルは、複数の、例えば、2つ以上の、異なるタイプのモノマーから構成され、それぞれが、様々な程度の膨潤性を有する側基を含む。例えば、ある実施形態では、ヒドロゲルは、疎水性モノマー、非イオン化可能モノマー、及びイオン化モノマー又はイオン化モノマーから形成されるポリマーを含む。特定の実施形態では、ヒドロゲルは、1つ以上の疎水性モノマー、1つ以上の非イオン化可能モノマー、及び1つ以上のイオン化又はイオン化可能モノマーから形成されたポリマーを含む。特定の実施形態では、ヒドロゲルは、1つ以上の疎水性モノマー、1つ以上の非イオン化可能モノマー、及び1つ又は複数のイオン化又はイオン化可能モノマー、又はそれらの組み合わせから形成されたポリマーを含む。異なるモノマーの比率(そして最終的には様々な親水性基の相対的な寄与)は、材料の膨潤度に依存する。非限定的な例として、緑内障シャントでは、水和時、例えば眼内への配置時に、シャントを100%膨潤させる必要があってもよい。当業者であれば、開示されたヒドロゲルを用いて作製されたデバイスの種類に応じて、デバイスにとって異なる膨潤度が望まれることを理解するであろう。
【0047】
特定の実施形態では、ヒドロゲルは、以下一般式のポリマーを含むことができる:
【0048】
ここで、R及びR’’は、各出現で独立して、疎水性側基であり、R’は、疎水性側基、イオン化又はイオン化可能側基、又は非イオン化可能親水性側基から選択され、R’’’は、イオン化又はイオン化可能側基、又は非イオン化可能親水性側基から選択される。
【0049】
特定の実施形態では、R及びR’’はそれぞれ独立して、疎水性基を含み、R’は、疎水性基、イオン化もしくはイオン化可能基、又は非イオン化可能親水性基から選択される基を含み、R’’’は、イオン化もしくはイオン化可能基、又は非イオン化可能親水性基から選択される基を含む。
【0050】
特定の実施形態では、R及びR’’は、それぞれ独立して、疎水性の末端基を含み、R’は、疎水性基、イオン化又はイオン化可能基、又は非イオン化可能親水性基から選択される末端基を含み、R’’’は、イオン化又はイオン化可能基、又は非イオン化可能親水性基から選択される末端基を含む。
【0051】
特定の実施形態では、R、R’及びR’’は、各出現で独立して、疎水性側基であり、R’’’は、イオン化もしくはイオン化可能基、又は非イオン化可能親水性基である。
【0052】
特定の実施形態では、R、R’及びR’’は、それぞれ独立して、アルキル、アリール、ハロ、アルキルアリール、及びアルコキシから選択される疎水性基を含み、R’’’は、ヒドロキシル、アミノ、カルボキシル、スルフヒドリル、カルボニル、アミド、及び無水物からなる群から選択される親水性基を含む。
【0053】
特定の実施形態では、R、R’及びR’’は、それぞれ独立して、アルキル、アリール、ハロ、アルキルアリール、及びアルコキシから選択される疎水性末端基を含み、R’’’は、ヒドロキシル、アミノ、カルボキシル、スルフヒドリル、カルボニル、アミド、及び無水物からなる群から選択される親水性末端基を含む。
【0054】
特定の実施形態では、R及びR’’は、各出現で独立して、疎水性側基であり、R’及びR’’’は、非イオン化可能親水性側基及びイオン化可能側基又はイオン化可能側基から選択される。特定の実施形態では、R及びR’’は、各出現時に独立して、疎水性側基であり、R’は、非イオン化可能親水性側基であり、R’’’は、イオン化又はイオン化可能側基である。特定の実施形態では、R’’’は、アミン、アンモニウム塩、カルボン酸、及びスルホン酸から選択される。
【0055】
特定の実施形態において、R’及びR’’’は、-COOR1又は-CONR1R2であり、R’は、アルキル、アリール、ハロ、アルキルアリール、及びアルコキシから選択され、R1は、各出現で独立して、アルキル、アリール、及びアルキルアリールから選択され、R2は、水素、アルキル、アリール、及びアルキルアリールから選択される。
【0056】
特定の実施形態では、m:nの比は、約99.99:0.01~約90:10である。特定の実施形態では、m:nの比は約99:1である。特定の実施形態では、m:nの比は約98:2である。特定の実施形態では、m:nの比は、約97:3である。特定の実施形態では、m:nの比は、約96:4である。特定の実施形態では、m:nの比は、約95:5である。特定の実施形態では、m:nの比は、約94:6である。特定の実施形態では、m:nの比は、約93:7である。特定の実施形態では、m:nの比は、約92:8である。特定の実施形態では、m:nの比は、約91:9である。特定の実施形態では、m:nの比は、約90:10である。
【0057】
特定の実施形態では、ポリマーは、以下式を有する:
【0058】
ここで、n:mの比は約99:1である。特定の実施形態では、m:nの比は、約98:2である。特定の実施形態では、m:nの比は、約97:3である。特定の実施形態では、m:nの比は、約96:4である。特定の実施形態では、m:nの比は、約95:5である。特定の実施形態では、m:nの比は、約94:6である。特定の実施形態では、m:nの比は、約93:7である。特定の実施形態では、m:nの比は、約92:8である。特定の実施形態では、m:nの比は、約91:9である。特定の実施形態では、m:nの比は、約90:10である。
【0059】
特定の実施形態では、ポリマーは、以下式を有する:
ここで、m:nの比率は99.99:0.01である。特定の実施形態では、m:nの比は、約99.9:0.1である。特定の実施形態では、m:nの比は、約99.5:0.5である。特定の実施形態では、m:nの比は、約99:1である。特定の実施形態では、m:nの比は、約98:2である。特定の実施形態では、m:nの比は、約97:3である。特定の実施形態では、m:nの比は、約96:4である。特定の実施形態では、m:nの比は、約95:5である。特定の実施形態では、m:nの比は、約94:6である。特定の実施形態では、m:nの比は、約93:7である。特定の実施形態では、m:nの比は、約92:8である。特定の実施形態では、m:nの比は、約91:9である。特定の実施形態では、m:nの比は、約90:10である。
【0060】
ポリマーの作製方法
ポリマーヒドロゲルは、フリーラジカル重合及び架橋を含むが、これらに限定されない様々な方法から形成することができる。フリーラジカル付加反応は、開始剤、溶媒、架橋剤(上述の通り)、及びモノマー(上述の通り)を含む。開始剤は、熱開始剤、光開始剤、レドックス開始剤など、任意のフリーラジカル開始剤であり得る。熱開始剤としては、例えば、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)などのアゾ化合物、過酸化ベンゾイル(BPO)などの有機過酸化物、ベンゼンスルホン酸エステル、アルキルスルホニウム塩などを挙げることができる。ある種のレドックスフリーラジカル重合は、水性条件下で、あるいはグリセリン、エチレングリコール、脂肪族グリコール、ギ酸、酢酸、アセトンなどの他の溶媒の存在下で行うことができる。これらの条件下で使用されるレドックス開始剤としては、過酸化物、過硫酸塩、ペルオキソモノ硫酸塩、ペルオキシドリン酸塩などがあり、例えばメタビスルファイトナトリウム/ペルオキシジ硫酸アンモニウムなどが挙げられる。
【0061】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、酸素-パージされたフリーラジカル開始剤、溶媒、及び架橋剤の水溶液を、様々な程度の膨潤性を有する2つ以上のモノマーと組み合わせ、次いで、この反応を、ある期間、例えば一晩、周囲の圧力及び温度の下で、上昇した温度で、及び/又は上昇した圧力で、又は低下した温度及び圧力で、重合させることによって合成される。いくつかの実施形態では、圧力は、例えば、100psiに上昇する。
【0062】
特定の実施形態では、ポリマーヒドロゲルは、レドックスフリーラジカル開始剤としてメタ重亜硫酸ナトリウム/ペルオキシ二硫酸アンモニウム水溶液、溶媒又は水との共溶媒としてエチレングリコール、及び架橋剤としてTEGDMAを含むレドックスフリーラジカル付加反応によって形成される。
【0063】
デバイス
特定の実施形態では、本明細書に開示されたヒドロゲルは、例えば、生物学的環境に置かれたときに膨らむことが望ましい医療デバイスに使用することができる。そのようなデバイスには、眼内シャント又は緑内障シャントなどの眼内デバイスが含まれるが、これらに限定されない。
【0064】
特定のデバイス、例えば、管状シャントは、脱型されたときに除去されたマンドレルがチューブを形成するような同心円状のマンドレルを有する管などの容器内で重合することができる。いくつかの実施形態では、管状デバイスは、その後、溶媒、例えば、水、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフランなどで摘出することができる。
【0065】
特定の実施形態では、デバイスは、マンドレルを有するモールドにキャスティングすることによって作製することができる。特定の実施形態では、熱硬化性ポリマーから形成されたヒドロゲルが、マンドレルを有するモールドにキャスティングすることによりデバイスを作製するために使用することができる。特定の実施形態では、熱可塑性ポリマーから形成されたヒドロゲルが、マンドレルを有するモールドにキャスティングすることによりデバイスを作製するために使用することができる。特定の実施形態では、デバイスは、押出しプロセスによって作製することができる。特定の実施形態では、低度の架橋を有する熱可塑性ポリマーから形成されたヒドロゲルを使用して、押し出しプロセスによってデバイスを作製することができる。特定の実施形態では、デバイスは、エアマンドレルを用いて作製することができる。特定の実施形態では、デバイスの内腔は、ポリマーが内腔を形成するためにワイヤ上に押し出されるワイヤを用いて作製することができる。特定の実施形態では、熱硬化性架橋ポリマーから形成されたヒドロゲルが、押し出しプロセスによってデバイスを作製するために使用することができる。特定の実施形態では、ピストンシリンダーを用いてデバイスを作製することができる。特定の実施形態では、デバイスは、ロッドと、チューブを形成するためにロッド内に同心円状に穿たれた穴ととして製造することができる。
【0066】
特定の実施形態では、デバイスは、任意の生体適合性流体、例えばグリセリン、エチレングリコールなどであることができる可塑剤の存在下で乾燥させることができる。いくつかの実施形態では、生体適合性流体の可塑剤は、亀裂を防止し、再水和を容易にするために添加することができる。したがって、いくつかの実施形態では、デバイス材料は、可塑剤をさらに含む。特定の実施形態では、デバイスは、グリセリンがデバイスを可塑化するように、90%の水(重量)中の10%のグリセリンと接触させ、その後、デバイスを乾燥させて水を除去することができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、デバイスは、脱水状態における直径及び水和状態における直径を有し、脱水状態における直径は、水和状態における直径よりも小さい。いくつかの実施形態では、デバイスの直径は、脱水状態から水和状態へのデバイスの水和時に増大する。いくつかの実施形態では、直径は、水和時に約10%~約500%、約20%~約400%、約10%~約300%、約20%~約300%、約25%~約250%、約20%~約100%、約50%~約150%、約50%~約100%、約75%~約100%、約80%~約100%、約90%~約110%、又は約100%~約150%増大する。いくつかの実施形態では、直径は、水和時に約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約110%、約120%、約130%、約140%、約150%、約160%、約170%、約180%、約190%、又は約200%増大する。特定の実施形態では、直径は、水和時に約100%増大する。
【0068】
特定の実施形態では、デバイスが脱水状態にあるとき、デバイスは特定の直径を有する針の内腔に適合するように構成される。本明細書で使用されるように、針の「ゲージ番号」は、皮下注射針及びチューブ製品に対する厚さ及び/又は直径を規定するバーミンガムゲージ・ワイヤーゲージシステム(Birmingham gauge wire gauge system)を意味する。特定の実施形態では、脱水状態において、デバイスは、ゲージ番号が20以上、22以上、23以上、24以上、25以上、26以上、27以上、28以上、29以上、又は30以上の針の内腔に適合するように構成される。特定の実施形態では、脱水状態では、デバイスは23ゲージの針腔に適合するように構成されている。特定の実施形態では、脱水状態では、デバイスは27ゲージの針腔に適合するように構成されている。
【0069】
特定の実施形態では、デバイスは、内径及び外径を備える。特定の実施形態では、デバイスの内径は、内腔の直径である。特定の実施形態では、デバイスの外径はデバイスの外壁の直径である。
【0070】
特定の実施形態では、デバイスが脱水状態にあるとき、デバイスの外径は、約100μm~約500μm、約200μm~約400μm、約100μm~約300μm、約200μm~約350μm、約125μm~約175μm、約125μm~約150μm、約150μm~約175μm、約140μm~約160μm、又は約145μm~約155μmである。特定の実施形態では、デバイスが脱水状態にあるとき、デバイスの外径は約150μmである。特定の実施形態では、脱水状態にあるデバイスの外径は約200μmである。
【0071】
特定の実施形態では、デバイスが水和状態にあるとき、デバイスの外径は、約120μm~約750μm、約240μm~約600μm、約120μm~約450μm、約240μm~約525μm、約150μm~約275μm、約125μm~約150μm、約150μm~約175μm、約140μm~約160μm、約500μm~約700μm、約400μm~約500μm、約300μm~約500μm、約300μm~約400μm、又は約145μm~約155μmである。ある実施形態では、デバイスが水和状態にあるとき、デバイスの外径は約180μmである。特定の実施形態では、デバイスが水和状態にあるとき、デバイスの外径は約225μmである。特定の実施形態では、デバイスが水和状態にあるとき、デバイスの外径は約240μmである。特定の実施形態では、デバイスが水和状態にあるとき、デバイスの外径は約300μmである。
【0072】
特定の実施形態では、デバイスが脱水状態にあるとき、デバイスの内径は、約20μm~約120μm、約20μm~約75μm、約20μm~約50μm、約30μm~約75μm、約30μm~約60μm、又は約40μm~約50μmである。特定の実施形態では、デバイスが脱水状態にあるとき、デバイスの内径は約50μmである。
【0073】
特定の実施形態では、デバイスが水和状態にある場合、デバイスの内径は、約120μm~約250μm、150μm~約250μm、175μm~約250μm、150μm~約200μm、175μm~約225μm、又は175μm~約200μmである。特定の実施形態では、デバイスが水和状態にあるとき、デバイスの内径は約200μmである。
【0074】
特定の実施形態では、デバイスは、脱水状態における長さ及び水和状態における長さを有し、水和状態における長さは脱水状態における長さよりも大きい。ある実施形態では、脱水状態におけるデバイスの長さは、約3mm~約10mm、4mm~約10mm、5mm~約10mm、5mm~約8mm、又は4mm~9mmである。いくつかの実施形態では、脱水状態におけるデバイスの長さは約6mmである。
【0075】
特定の実施形態では、水和状態におけるデバイスの長さは、約3.5mm~約20mm、約5mm~約20mm、約8mm~約18mm、又は約10mm~約20mmである。特定の実施形態では、水和状態におけるデバイスの長さは約12mmである。
【0076】
図に目を向けると、
図1Aは、管状シャント100aの長さに沿って延びる内腔120aを含む脱水状態の眼内管状シャント100aを示す。特定の実施形態では、管状シャント100aの外径は、必要なゲージの針の内腔に収まるように構成されている。
図1Bは、管状シャント100bの内腔120b、長さ、及び外径が、
図1Aに描かれた脱水状態の眼内管状シャント100aよりも大きい、水和状態の眼内管状シャント100bを示す。
図2は、針230の内腔220に挿入された眼内管状シャント200を示す図である。患者の眼に挿入するために、眼内管状シャント200用の挿入器(図示せず)を針230内に配置し、シャント200の背後にあるプランジャー(図示せず)が、組織を介して挿入される際に針230内の所定の位置に保持することができる。
図3は、水和状態の組織310内に配置された眼内管状シャント300を示す。
図3に示すように、(
図2に示すような)針が組織310を貫通するために使用され、脱水された管状シャント(例えば、
図1に示すような)が組織310を横切って展開される。針の中でシャントを所定の位置に保持するために使用されたプランジャーが安定して保持され、針が引き抜かれ、シャント300が所定の位置に残される。水和されると、針320bの端部は、所定の位置にロックするために膨らむことができる。同様に、チューブ300aの本体は、針路を封止するために膨らむことができる。
【0077】
方法
本明細書では、本明細書に開示された様々なデバイスを移植することを含む、眼疾患、例えば緑内障を治療する方法が提供される。例えば、本明細書で提供されるのは、本明細書で開示される非分解性膨潤性ヒドロゲルから作製される眼内シャントを、それを必要とする被験者に導入又は移植することを含む、眼疾患の治療方法である。特定の実施形態では、眼疾患は緑内障である。特定の実施形態では、眼疾患は高眼圧症である。
【0078】
本明細書では、眼用デバイスを被験者の眼に移植する方法を提供する。特定の実施形態では、眼用デバイスは、管状ドレナージデバイス、例えば、眼内管状シャントである。特定の実施形態では、シャントは、一端が眼前房内に移植される。特定の実施形態では、シャントは、針(例えば、22ゲージから30ゲージの針)の内腔に装填される。特定の実施形態では、プランジャーが、デバイスの近位の内腔に挿入される。特定の実施形態では、針の先端が眼の前室に挿入され、プランジャーが安定して保持される間に、針が引き抜かれ、それにより、遠位端(ユーザから最も遠い端)が眼前房内にある状態でシャントが所定の位置に残される。特定の実施形態では、シャントの近位端は、眼の強膜と結膜又はテノン嚢の間に配置することができる。特定の実施形態では、眼内シャントは、一端を前房内に、他端をシュレム管、又は脈絡膜上腔、又は経結膜、又は経角膜に配置して、眼の外側に排出することができる。特定の実施形態では、眼内シャントは、房水を前房から任意の出口にシャントするために使用することができる。特定の実施形態では、眼内シャントは、前房からシュレム管にシャントすることができる。特定の実施形態では、眼内シャントは、前房から脈絡膜上腔へとシャントすることができる。特定の実施形態では、眼内シャントは、前室からブレブ(bleb)へとシャントすることができる。特定の実施形態では、眼内シャントは、前室から結膜を介してシャントすることができる。特定の実施形態では、眼内シャントは、前室から角膜を介してシャントすることができる。特定の実施形態では、眼内シャントは、前室から結膜を通って眼の外側へとシャントすることができる。特定の実施形態では、眼内シャントは、前室から角膜を通って眼の外側へとシャントすることができる。
【0079】
特定の実施形態において、本明細書で提供されるのは、被験者の眼に眼内シャントを移植する方法であって、針の先端を被験者の眼の前房に挿入することを含み、針の内腔が眼内シャントを含み、眼内シャントが眼内に残るように、眼から針を除去することを含む方法である。特定の実施形態では、針は、眼内シャントの近位にプランジャーを備える。特定の実施形態では、プランジャーは、例えば、針の内腔内で、針に取り外し可能に結合されている。特定の実施形態では、眼内シャントは、針に取り外し可能に結合されており、例えば、針の内腔内にある。特定の実施形態では、方法は、シャントを針の内腔に装填することを含む。特定の実施形態では、眼内に移植されるシャントは、本明細書に開示されるような材料から作られる。
【0080】
特定の実施形態において、本明細書では、治療を必要とする被験者における緑内障又は高眼圧症を治療する方法であって、
被験者の眼にポリマーを含む材料から形成された眼内シャントを導入することを含み、
ポリマーが以下:
第1側基を含む第1モノマー;
第2側基を含む第2モノマー;及び
架橋剤;
の反応生成物から形成され、
第2側基の親水性が第1側基の親水性よりも大きく;かつ
眼内シャントが脱水状態における第1直径、及び、水和状態における第2直径を有し、第2直径が第1直径よりも大きい、方法が提供される。
【0081】
特定の実施形態において、本明細書では、緑内障又は高眼圧症を治療するための眼内シャントの使用であって、
眼内シャントがポリマーを含む材料から形成されており、
ポリマーが以下:
第1側基を含む第1モノマー;
第2側基を含む第2モノマー;及び
架橋剤;
の反応生成物から形成され、
第2側基の親水性が第1側基の親水性よりも大きく;かつ
眼内シャントが脱水状態における第1直径、及び、水和状態における第2直径を有し、第2直径が第1直径よりも大きい、使用が提供される。
【0082】
特定の実施形態において、本明細書では、移植を必要とする被験者における移植のための眼内シャントの使用であって、
眼内シャントがポリマーを含む材料から形成されており、
ポリマーが以下:
第1側基を含む第1モノマー;
第2側基を含む第2モノマー;及び
架橋剤;
の反応生成物から形成され、
第2側基の親水性が第1側基の親水性よりも大きく;かつ
眼内シャントが脱水状態における第1直径、及び、水和状態における第2直径を有し、第2直径が第1直径よりも大きい、使用が提供される。
【0083】
本明細書で値や範囲が提供されている場合、これらの値や範囲に包含されるすべての値や範囲は、本願の範囲内に包含されることを意味することを理解されたい。 さらに、これらの範囲内に入るすべての値、ならびに値の範囲の上限又は下限も、本願によって企図される。
【0084】
以下の実施例は、本願の態様をさらに説明するものである。しかし、それらは、本明細書に記載された本願の教示又は開示を決して限定するものではない。
【0085】
実施例
実施例1:ポリ((2-ヒドロキシエチル)メタクリレート)/メタクリル酸ヒドロゲルの合成
【0086】
手順.
すべてのパーセンテージは重量による。
【0087】
溶液Aは0.044Mの過酸化二硫酸アンモニウムを脱イオン水に溶かしたもの(2g/100mLの水);溶液Bは0.0420Mのメタ重亜硫酸ナトリウムを溶かしたもの(4.0g/100mLの水);溶液AとBに窒素を10分間バブリングして酸素をパージした。
【0088】
ヒドロゲルは、以下を組み合わせることによって作られた:60%の精製された2-(ヒドロキシエチル)メタクリレート(HEMA)モノマー;%0.2 TEGDMA;可変量(0%、1%、2%、3%、又は4%)のメタクリル酸(MAA);20%のエチレングリコール;10%の溶液A;及び10%の溶液B。
【0089】
反応混合物の全成分をよく混合した。反応混合物を100psiの圧力下で一晩重合させると、均質なゲルが形成された。
【0090】
プランジャーに重りを載せてシリンジの内容物を加圧した10mLシリンジ内で、ヒドロゲルを重合した。溶媒は20%のエチレングリコールと20%の水(A液とB液から)であった。これをシリンジから取り出し、数日間水和させて不純物を取り除いた。
【0091】
結果
【0092】
生理食塩水におけるヒドロゲルの膨潤パーセントは、反応混合物中に存在するメタクリル酸(MAA)の量、したがって得られるヒドロゲル中に存在する量の関数であった。
図4は、実施例1の結果を示す。具体的には、
図4は、イオン化可能モノマーであるメタクリル酸(MAA)の含有量が様々なモル%であるゲルの含水量及び膨潤体積と、ゲル中の架橋剤(TEGDMA)のモル%との関係を示している。ベースポリマー(非イオン化可能モノマーから形成)は、ポリ(2-ヒドロエチルメタクリレート)である。膨潤率は、膨潤前と膨潤後のポリマーの重量を測定して求めた。 1mLの水の重さが1gであることから,体積変化は重量変化に正比例する。
【0093】
例2:加圧シリンジにおける膨潤性pHEMA製剤のキャスト
【0094】
材料
実施例2では、以下の材料を使用した:
(1)アンモニウムペルオキシジスルファルテ(Sigma-Aldrich 248614-100g);
メタ重亜硫酸ナトリウム(Sigma-Aldrich S9000-500g);
メタクリル酸(MAA)(Sigma-Aldrich 155721-500g);
トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)(Sigma-Aldrich 759406-10mL);
エチレングリコール(EG)(Sigma-Aldrich 324558);及び
2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)(Polyscience 04675-100)
【0095】
手順
過酸化二硫酸アンモニウム溶液は、2gの過酸化二硫酸アンモニウムを100mLの脱イオン水に溶解し、その溶液に窒素を五(5)分間バブリングして溶存酸素をパージすることにより調製した。メタ重亜硫酸ナトリウム溶液は、4gのメタ重亜硫酸ナトリウムを100mLの脱イオン水に溶解し、5分間窒素をバブリングして溶存酸素を除去して調製した。10mLのポリプロピレン製シリンジに、6mLのHEMA、0.24mLのMMA、 0.04mLのTEGDMA、及び 2mLのEGを入れて混合し、五(5)分間窒素をバブリングして溶存酸素を除去した。次に、調製したペルオキシ二硫酸アンモニウム溶液1mLと調製したメタ重亜硫酸ナトリウム溶液1mLを10mLのシリンジに加えた。その後、シリンジを振って均一な溶液を作った。その後、室温で一晩、シリンジポンプを用いてシリンジプランジャーを押し下げてシリンジを加圧状態に保ち、溶液を一晩で重合させた。その後、重合したpHEMAをシリンジから取り出し、膨潤試験用の円盤状にカットした。
【0096】
膨潤試験
シリンジからのpHEMAサンプルを、脱イオン水(DI)、リン酸緩衝生理食塩水(PBS(pH7.4))、pH10溶液及びpH4溶液中で48時間インキュベートし、その膨潤重量を測定した後、真空乾燥して重量を一定にした。その重量変化を表1に示す。
【0097】
実施例3:キャスティングによる膨潤性pHEMAチューブの作製
【0098】
実施例2の同じ処方を用いて、マンドレル付きのモールドでキャスティングして膨潤性チューブを調製した。
図5(上)は、DI水で1時間インキュベートした後のチューブを示す。
図5(下)は、DI水の中で1時間インキュベートした後、真空乾燥して一定の重量にした後のチューブを示す。
【0099】
実施例4:押出成形による膨潤性pHEMAチューブの作製
【0100】
手順
0.22gのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、5.24gの2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、及び1.17gのメタクリル酸(MA)を20mLバイアル中で混合し、一晩重合させた。得られたpHEMAは、ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、200℃で圧縮成形可能であった。プランジ押し出し機でチューブを押し出した。
【0101】
実施例5:緑内障シャントの作製
【0102】
緑内障シャントは、上記の実施例1~4の製剤及び方法を用いて作製される。シャントは、27ゲージの針でシャントを使用できるような寸法で作製される。シャントは、脱水された外径が約200μm、脱水された内径が約50μm、脱水された長さが約6μmで製造される。シャントを水中でインキュベートすると、脱水された外径が約300μm、脱水された内径が約200μm、脱水された長さが約12μmになる。
【0103】
実施例6:緑内障の治療
【0104】
実施例1~5の製剤及び方法を用いて作製されたシャントは、緑内障を患う患者に移植される。このシャントは27ゲージの針を用いて移植される。このシャントは緑内障の治療に有効である。患者は、治療を受けていない患者又は既知のデバイスで治療を受けた患者と比較して、視神経への圧力の低下、眼の損傷の減少、及び/又は視力低下の減少、又は緑内障症状の進行の遅延を示す。
【0105】
実施例6:高眼圧症の治療
【0106】
実施例1~5の製剤及び方法を用いて作製されたシャントは、高眼圧症を患う患者に移植される。このシャントは27ゲージの針を用いて移植される。このシャントは高眼圧症の治療に有効である。房水などの液体はリダイレクトされ、患者は眼圧の低下を示す。患者は、治療を受けていない患者又は既知のデバイスで治療を受けた患者と比較して、視神経への圧迫の減少、眼の損傷の減少、及び/又は視力低下の減少を示す。