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特許7584458圧縮ガスタンクの安全な高速充填のための戦略
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】圧縮ガスタンクの安全な高速充填のための戦略
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/04 20060101AFI20241108BHJP
   F16J 12/00 20060101ALI20241108BHJP
   F17C 5/06 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
F17C13/04 301C
F16J12/00 Z
F17C5/06
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021577440
(86)(22)【出願日】2020-06-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-08
(86)【国際出願番号】 US2020070212
(87)【国際公開番号】W WO2020264584
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-05-30
(31)【優先権主張番号】62/867,913
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518392026
【氏名又は名称】リナマー・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】ウェクスラー,ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】サーデ,マリア・エリザベス・サーデ
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0283612(US,A1)
【文献】特開2014-001772(JP,A)
【文献】特表2018-519480(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102017220715(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 13/04
F16J 12/00
F17C 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力容器であって、
流体を貯蔵するための内部を有する折り畳まれる細長いタンクであって、前記タンクが、第1のタンク端部と第2のタンク端部との間を延在する細長い円筒壁によって画定される高分子ライナーを有し、前記高分子ライナーが流体を貯蔵するための複数のチャンバを有し、前記複数のチャンバが、少なくとも、前記第1のタンク端部に隣接する第1のチャンバおよび前記第2のタンク端部に隣接する最後のチャンバを有し、前記高分子ライナーが樹脂および繊維の外側合成シェルによって囲まれ、前記折り畳まれる細長いタンクが、前記第1のタンク端部を前記第2のタンク端部に隣接させるような所定の積み重ね構造となるように折り畳まれる、折り畳まれる細長いタンクと、
前記折り畳まれる細長いタンクに結合される弁組立体であって、前記弁組立体が、
前記第1のタンク端部に動作可能に結合される第1の充填カプラ、
前記第2のタンク端部に動作可能に結合される第2の充填カプラ、
前記第1のタンク端部におよび前記タンクの前記内部の中に流体を導入するために前記第1の充填カプラと連通している混合チャンバ、
外部流体源から前記混合チャンバに流体の第1の流れを導入するように構成される少なくとも1つのベンチュリノズル、
前記タンクの前記第2のタンク端部から流体の第2の流れが生じるときに前記流体の第2の流れを前記混合チャンバの中へ流して前記混合チャンバ内の前記流体の第1の流れに混合するように、前記第2の充填カプラと連通して前記混合チャンバに結合される吸入ライン、ならびに
外部流体源から前記流体の第1の流れを受け取るために前記外部流体源に前記弁組立体を選択的に結合するための、前記ベンチュリノズルに選択的に結合される第3の充填カプラ
を備える、弁組立体と
を備え、
前記弁組立体が、前記弁組立体を温度・圧力解放デバイス(TPRD)の通気孔に選択的に結合するための第4の充填カプラを有する、圧力容器。
【請求項2】
前記所定の積み重ね構造における前記複数のチャンバが、少なくとも、チャンバの上側層およびチャンバの下側層を有し、
充填プロセス中、前記チャンバの上側層内の流体の平均温度上昇が前記チャンバの下側層内の流体の平均温度上昇より小さい
請求項1に記載の圧力容器。
【請求項3】
前記弁組立体が第1の弁を有し、前記第1の弁が前記第3の充填カプラを前記ベンチュリノズルに選択的に流体的に結合し、前記第1の弁が開状態および閉状態を有し、
前記第1の弁が前記開状態にあるとき、前記第3の充填カプラによって受け取られる前記外部流体源からの前記流体の第1の流れが、前記ベンチュリノズルに提供され、
前記第1の弁が前記閉状態にあるとき、前記第3の充填カプラによって受け取られる前記外部流体源からの前記流体の第1の流れが、前記ベンチュリノズルから流体的に切り離される
請求項1に記載の圧力容器。
【請求項4】
前記第1の充填カプラが、前記混合チャンバと前記タンクの前記第1のチャンバの前記内部との間に流体を通過させるための通路を有し、
前記第2の充填カプラが、前記吸入ラインと前記タンクの前記最後のチャンバの前記内
部との間に流体を通過させるための通路を有する
請求項3に記載の圧力容器。
【請求項5】
前記弁組立体が、前記吸入ラインの内部空間に熱的に結合される第1の温度センサを有し、前記第1の温度センサが、前記吸入ラインを通過する流体の温度を示す第1の温度信号を提供するように構成される
請求項4に記載の圧力容器。
【請求項6】
前記弁組立体が、前記混合チャンバに熱的に結合される第2の温度センサを有し、前記第2の温度センサが、前記ベンチュリノズルから前記混合チャンバに入る流体の温度を示す第2の温度信号を提供するように構成される
請求項5に記載の圧力容器。
【請求項7】
前記弁組立体が、前記第1の弁に動作可能に接続される第1のソレノイドを有し、前記第1のソレノイドが、前記開状態と前記閉状態との間で前記第1の弁を選択的に再配置するように構成される
請求項6に記載の圧力容器。
【請求項8】
前記弁組立体が、外部燃料電池供給ラインに対して前記弁組立体を流体的に結合しているとき、前記タンクの前記内部から、前記第3の充填カプラおよび/または前記第4の充填カプラの少なくとも一方に選択的に流体を提供するように構成される
請求項7に記載の圧力容器。
【請求項9】
前記弁組立体が、前記混合チャンバを前記第1の充填カプラに流体的に結合する第1の高圧ラインを有する
請求項8に記載の圧力容器。
【請求項10】
前記吸入ラインが、前記混合チャンバに流体的に結合される第1の端部、および前記第2の充填カプラに流体的に結合される第2の端部を有する第2の高圧ラインを備え、その結果、前記タンクの前記第2の端部から生じる前記流体の第2の流れが、前記第2の高圧ラインを通過して前記混合チャンバの中に入る
請求項9に記載の圧力容器。
【請求項11】
前記弁組立体が外側ハウジングを備え、前記第1の充填カプラおよび前記第2の充填カプラが前記外側ハウジングに固定的に結合され、
前記第1の高圧ラインおよび前記第2の高圧ラインが前記外側ハウジング内に完全に収容される
請求項10に記載の圧力容器。
【請求項12】
前記第1のタンク端部が前記第2のタンク端部に隣接して配置され、その結果、前記弁組立体が前記タンクの前記第1および第2の端部の両方に直接結合され得る
請求項11に記載の圧力容器。
【請求項13】
前記弁組立体が前記タンクの前記第1および第2の端部に固定的に結合され、その結果、前記タンクの前記第1および第2の端部を流体的に結合する前記第1および第2の高圧ラインが前記弁組立体内で完全に閉鎖される
請求項12に記載の圧力容器。
【請求項14】
前記高分子ライナーが、第1の直径を有する複数の細長い剛性管状部分と、前記第1の直径より小さい第2の直径を有する複数のコネクタ部分と、連続する細長い剛性管状部分
とコネクタ部分との間に配置されてそれらを結合するテーパ部分と、を備え、前記複数の細長い剛性管状部分の各々が流体を貯蔵するための前記複数のチャンバのうちの1つのチャンバを画定し、
前記高分子ライナーが外側合成シェルによって囲まれて細長いタンクを形成し、
前記細長いタンクが、前記外側合成シェル内での樹脂の硬化前に、折り畳まれて前記所定の積み重ね構造となる
請求項13に記載の圧力容器。
【請求項15】
前記圧力容器の前記最後のチャンバが、前記積み重ね構造において、前記積み重ね構造での前記第1のチャンバの位置より低いところに配置され、
充填プロセス中の、前記第1のチャンバの外部表面を囲む空気温度と、前記最後のチャンバの外部を囲む空気温度との間の相対的な差が、前記積み重ね構造を通る熱の対流を引き起こす
請求項14に記載の圧力容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[001]本出願は、2019年6月28日に出願した米国仮出願第62/867,913号の優先権を主張するものである。
【0002】
[002]本発明は、タイプIVの圧力容器に水素ガスを充填することに関する。より詳細には、本発明は、圧力容器に水素ガスを充填する間、水素ガスの温度を85℃などの安全閾値未満で維持することを目的として少なくとも2つのチャンバの間に水素の再循環を誘導するためにベンチュリノズルを有する弁組立体を通して流体的に接続される少なくとも2つのチャンバを備える圧縮ガス圧力容器に関する。
【背景技術】
【0003】
[003]圧力容器は、一般に、天然ガス、酸素、窒素、水素、およびプロパンなどの流体および/またはガスを圧力下で貯蔵する。タイプIVの圧力容器またはタンクは、通常、熱可塑性高分子ライナーの上に巻き付けられるおよび/または編み組まれる炭素繊維または炭素複合材料を含む無金属構成を有する。特定のタイプIVの圧力容器が、適合性を有する圧力容器とも表される、ガスを貯蔵するための複数のチャンバを有する細長い容器を備える。細長い圧力容器が、車両内で使用されるための加圧ガス燃料タンクとして使用されるように構成され得る。
【0004】
[004]通常、第1の弁が、圧力容器に圧縮ガスを充填するために圧力容器の第1の端部に結合される。さらに、細長い圧力容器が、圧力容器の第2の端部に結合される第2の弁を有することができる。第1および第2の弁が、ライナー外壁によって画定される圧力容器の内側空間の中にガスを移送するように構成される。
【0005】
[005]細長い圧力容器が、圧縮熱により、および一部のガスにおいてジュール・トムソン効果により、充填時に加熱される可能性がある。圧力容器に追加のガスが追加されるとき、圧力容器内のガスが圧縮され、それにより熱が発生する。安全のために、一部の圧縮燃料充填ステーションは、危険なレベルの高い温度を回避するために充填速度を制御する。加えて、高い温度では所与の圧力において低密度となるため、目標の密度(ほぼ100%の充填状態)に到達するためには過度の圧力が必要となる、つまり、圧力容器の充填が不十分となる可能性があることを理由として、高い温度は望ましくない可能性がある。
【0006】
[006]したがって、このような熱の発生は、ガソリンタンクもしくはディーゼル燃料タンクに対して充填を行う場合よりも長くなるように、充填時間を望ましくない程度に長くする可能性があり、および/または圧力容器の充填を不十分にする可能性がある。圧力容器に関連するこれらの問題を軽減するために、多くのステーションがガスを予め冷却するという選択肢を有する。ガスを予め冷却することにより、ガスが圧力容器に入る前に低温(例えば、-40℃程度の低温)まで冷却される。これには、圧縮熱によりガスが到達する最高温度が低下するという効果がある。その理由は、初期温度が低いからである。
【0007】
[007]ガスを予め冷却することは、燃料供給ステーションの構成の複雑さをさらに有意に上げる可能性があり、それにより燃料供給ステーションのための資本コストおよび運転コストを望まれずに増大させる可能性がある。このようなコストの増大はガス価格の高騰という形で消費者に転嫁される可能性がある。加えて、予め冷却するための構成要素は一部の例では信頼性が低い可能性があり、それによりステーションの有意な停止時間が生じ、保守管理および交換部品のための追加のコストも生じる可能性がある。
【0008】
[008]本明細書で考察される圧力容器などの適合性を有する細長い圧力容器は従来のモノリシックの圧縮ガスタンクよりも有利となり得る。その理由は、適合性を有する形状が貯蔵のための単位体積当たりのより大きい表面積を有することができるからである。このように表面積が増大することにより、より高速の熱放散が可能となり得、それにより高速充填性能を向上させることができる。加えて、このような適合性を有するタンクはより小さい断面積を有することができ、それにより充填中の流速を向上させることができるため、ガスから圧力容器の壁への対流熱伝達を向上させる(つまり、ヌッセルト数をより高くする)ことができる。
【0009】
[009]充填中または高速充填中、このような適合性を有する圧力容器は従来のモノリシックの圧力容器より低い平均温度に達することができる。これは、このような適合性を有する圧力容器の表面積対体積比が高いこと、および小径タンクによりガスの平均速度を上げること可能でありそれにより対流熱伝達を向上させることができることが理由である可能性がある。これによりガスを予め冷却することの必要性を低減することができる。したがって、適合性を有する圧力容器には、予め冷却されるガスに通常付随するような充填スピードを依然として達成しながら、より高い温度までしか予め冷却されないかまたは一切予め冷却されない流体が充填され得る。
【0010】
[010]しかし、種々の適合性を有する圧力容器はその細長い形状のために充填中に行われる混合が不十分となる可能性があり、これは、充填プロセスの終了時の最高温度と最低温度との間の差が他の構成の圧力容器よりも大幅により極端な差となる可能性があることを意味する。具体的には、圧力容器の第1の端部のところに取り付けられる第1の弁を通してガスが圧力容器に追加されるとき、圧力容器の第1の端部の近くのガス温度が流入ガスの温度に近い温度を維持することができる。その理由は、第1の端部のところの流れのスピードがライナーまたは外側合成シェルへの熱伝達を良好なものにすることができるからである。他方で圧力容器の第2の端部の近くの圧力容器のチャンバの温度が大幅に上がり得る。その理由は、圧力容器のこの遠い領域では流れがほぼ存在しないからである。さらに、圧力容器の第2の端部の近くのこれらのチャンバでは対流熱伝達が不十分となる。
【0011】
[011]圧力容器の第2の端部の近くでのこのような温度上昇を軽減する第1の既知の方法は、米国公開第2019/120432号に開示される方法などの、圧力容器の交互の端部から充填を行うことである。例えば、充填の開始時、圧力容器の第1の端部に取り付けられる第1の弁を通して圧力容器に対して充填が行われ得、圧力容器の第2の端部の近くの流体の温度を上昇させることが可能となる。第2の端部の近くの流体の温度が規定の高い値に達すると、圧力容器の第1の端部のところの第1の弁が閉じられ、第2の端部のところの第2の弁を通して圧力容器に対して充填が行われる。圧力容器が満たされるまで、このパターンが繰り返され得る。
【0012】
[012]しかし、この第1の既知の方法は、圧力容器の両端部の中間におけるチャンバ内の流体温度を上げる可能性がある。追加的にガスを予め冷却することが必要となる可能性があり、ならびに/または、第1および第2の弁から最も遠いチャンバ内の流体に所定の温度範囲内の温度を有させるのを保証するような低い温度まで予め冷却することが必要となる可能性がある。さらに、充填中に圧力容器の各端部のところの弁を切り換えるのを支援するための追加のハードウェアおよび制御装置が必要となる。
【0013】
[013]細長い圧力容器内のこのような温度上層を軽減する第2の既知の方法は、充填ステーション設備内にベンチュリベースの混合システムを有することによって達成される。米国公開第2019/120432号で説明されるように、圧力容器内の流体が、圧力容器の第2の端部に取り付けられる第2の弁を通して取り除かれ、外部高圧力ラインを通してベンチュリ混合チャンバ内に供給される。外部流体源からの流体がベンチュリノズルを通してベンチュリ混合チャンバ内に供給される。ベンチュリノズルを通過する流体が吸入ラインを通して高温流体を引き寄せて、この高温流体をベンチュリノズルを通過する流体に混合する。ベンチュリ混合チャンバが、圧力容器の第1の端部に取り付けられる弁を通して混合流体を提供するように構成される出口圧力ラインを有する。ベンチュリノズルに提供される流体が、必要に応じて、圧力容器内の流体の温度を低下させるために、予め冷却され得る。圧力容器から、吸入ライン、ベンチュリ混合チャンバを通って、圧力容器に戻る、流体の再循環が、圧力容器内での流体の移動を引き起こす。
【0014】
[014]この第2の方法は細長い圧力容器内での一定量の温度上昇を軽減することができるが、複数のチャンバを有する圧力容器の場合、圧力容器内の流れが不十分であることを理由として、目標の温度を超える流体温度の上昇が依然として起こる可能性がある。このように、圧力容器内の種々のチャンバで局所的な温度上昇が起こり得る。追加流体をより低い温度まで予め冷却することにより、局所的な温度上昇が軽減され得る。別法として、ベンチュリノズルが、高温流体および予め冷却される流体の混合を改善するように最適化され得る。しかし、外部流体源において必要となる予冷却の量を最小にすることさらには圧力容器内の流体の温度上昇を最小にすることが好適である。
【0015】
[015]さらに、充填ステーションの入口充填ライン内にベンチュリ混合チャンバが含まれる場合、副吸入ラインが圧力容器の一方の端部に結合されなければならず、ベンチュリ混合チャンバまで経路設定されなければならない。圧力容器の端部が十分に離間される場合、副吸入ラインがベンチュリ混合チャンバまで経路設定されなければならない。これにより、外側合成シェルの中で覆われる圧力容器のライナーと比較して十分には保護されないある程度の長さの吸入ラインが作られる可能性がある。加えて、このような延長される長さの吸入ラインにより漏洩が発生する可能性がある。さらに、吸入ラインでは、吸入ラインの全長に関連して圧力降下が生じる。したがって、吸入ラインの長さが増大すると、吸入ライン内の圧力が低下し、ベンチュリベースの混合システムの全体の効率が低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
[016]したがって、圧力容器の一方の端部をベンチュリ混合チャンバに接続する吸入ラインを可能な限り短くする方法が望まれる。さらに、吸入ラインをハウジング組立体内で保護する代替方法が望まれる。
【0017】
[017]したがって、流体を充填するためのおよび圧力容器の内部から流体を取り除くための細長い圧力容器の両端部を流体的に結合する弁組立体を提供することが望ましい。さらに、細長い圧力容器の両端部に流体的に結合される弁組立体内にベンチュリノズルおよびベンチュリ混合チャンバを提供することが望ましい。加えて、ベンチュリ混合チャンバと圧力容器の両端部との間の接続流体ラインの長さを最小にすることが望ましい。さらに、外部流体ラインを使用することなく弁組立体を圧力容器の両端部に直接結合するのを可能にするように、細長い圧力容器の積み重ね構造を提供することが望ましい。最後に、充填プロセス中に圧力容器からの熱放散を改善することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0018】
[018]折り畳まれる細長いタンクと、タンクのそれぞれの第1および第2の端部に直接接続される第1および第2の充填カプラを通してタンクの内部の中までおよびタンクの内部の外に流体を通過させるように構成される弁組立体と、を備える圧力容器が提供される。タンクが、流体を貯蔵するための少なくとも2つのチャンバを有する。弁組立体が、外部供給源から流体を受け取り、ベンチュリノズルを通して外部流体を混合チャンバ内に選択的に提供し、タンクの第2の端部から混合チャンバの中まで流体を再循環させ、再循環流体および外部流体の混合物をタンクの第1の端部に送達する。
【0019】
[019]添付図面に関連させて考察して以下の詳細な説明を参照することにより、より良好に理解されることで本発明の利点が容易に認識されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】[020]本発明の一実施形態による、弁組立体に直接結合されるタンクの入口および出口を有する適合性を有する圧力容器を示す断面図である。
図2】[021]弁組立体の機能的構成要素、および弁組立体とタンクとの間の接続部を示している、図1の圧力容器の部分Aの第1の実施形態を示す拡大断面図である。
図3】[022]図1の圧力容器から取り外された高分子ライナーを示す斜視図である。
図4】[023]本発明の一実施形態による、タンクが折り畳まれて積み重ね構造にされた状態の、適合性を有する圧力容器のためのタンクを示す斜視図である。
図5】[024]弁組立体内にある、ベンチュリノズル、ベンチュリ混合チャンバ、および吸入ラインを示しており、圧力容器の最後のチャンバから第1のチャンバまでの再循環を示している、図1の圧力容器の部分Aの第2の実施形態を示す拡大断面図である。
図6】[025]外部充填ステーションに結合される図1の圧力容器を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[026]複数の図を通して同様の符号により同様のまたは対応する部分を示している図を参照すると、本発明の一実施形態による、液体および/またはガスを圧力下で収容するためのタイプIVの圧力容器10が図1および2に示される。圧力容器10が、水素、窒素、天然ガス、ヘリウム、ジメチルエーテル、液化石油ガス、およびキセノンなどの、圧縮液体および/または圧縮ガスを貯蔵するのに適する。自動車用途のための水素を貯蔵するための圧力容器10は、通常、通常使用中の約34.5MPa(5,000PSI)から約69.0MPa(10,000PSI)の内部圧力のために設計される。比較すると、圧縮天然ガスを貯蔵するための圧力容器10は、通常、通常使用中の約20.7MPa(3,000PSI)の内部圧力のために設計される。
【0022】
[027]図1および2を参照すると、圧力容器10が、オン・タンク・バルブ(OTV:On-Tank-Valve)組立体18として本明細書で称される弁組立体18に固定的に結合される適合性を有する細長いタンク14を備える。適合性を有する細長いタンク14が、流体および/またはガス34を貯蔵するための内部30を有する高分子ライナー26を有する。後でさらに説明されるように、高分子ライナー26が外側合成シェル28によって囲まれ、それにより適合性を有するタンク14を形成する。「流体」および「ガス」という用語は本明細書では交換可能に使用される。その理由は、水素ガスを貯蔵するときの圧力および温度に応じて水素ガスなどのガスが気相または流体相(例えば、「液」相)となるからである。
【0023】
[028]図3が、コネクタ部分38、テーパ部分42、および管状部分46を有する中空ボディ30を備える剥き出しのライナー26の一実施形態を示す。中空ボディ30が、ライナー26の第1の終端部54と第2の終端部58との間を延在する細長い円筒壁50によって画定される。図1および2を参照すると、高分子ライナー26が、反対側にある内側表面62および外側表面66、ライナー26の第1の終端部54のところにある入口開口部70、ならびにライナー26の第2の終端部58のところにある出口開口部74を有する。ライナー26への入口開口部70および出口開口部74の各々が、所望に応じて、流体および/またはガス34をライナー26の内部30の中までおよび/または内部30の外に通過させるのに使用され得る。ライナー26の入口開口部70および出口開口部74の各々が、ライナー26のネック出口78、78’によって画定される。
【0024】
[029]図3を参照すると、ライナー26が、第1の直径86を有する複数の細長い剛性管状部分46と、第1の直径86より小さい第2の直径90を有する複数のコネクタ部分38と、連続する細長い剛性管状部分46およびコネクタ部分38の間に配置されてこれらを結合するテーパ部分42とを有する。第1の直径86および第2の直径90が、それぞれ、管状部分46およびコネクタ部分38の外径86、90として定義される。複数の細長い剛性管状部分46の各々が、流体34を貯蔵するためのそれぞれのチャンバ94を画定し、第1のチャンバ98がライナー26の第1の端部54に隣接して画定され、最後のチャンバ102がライナー26の第2の端部58に隣接して画定される。ライナー26の他の実施形態が、特定の用途において所望に応じて、第1のチャンバ98と最後のチャンバ102との間に任意の数のチャンバ94を有することができる。別法として、ライナー26が、ライナー26の端部54、58の間を延在する単一の細長いチャンバ94を有することができる。
【0025】
[030]繰り返されるライナーセクション106が図3に示される。繰り返されるライナーセクション106が、剛性管状部分46に取り付けられるテーパ部分42およびコネクタ部分38との組み合わせで、単一の剛性管状部分46を備えるものとして定義される。ライナー26の種々の実施形態が、流体34を貯蔵するための任意の所望の数のチャンバ94を形成する、任意の所望の数の繰り返されるライナーセクション106を有することができる。個別のライナーセクション106は寸法および形状などが多様であってよい。特定のライナーセクション106が、非限定の例として、異なる外径、長さ、および形状を有する、管状部分46、コネクタ部分38、およびテーパ状部分42を有することができる。いくつかの実施形態で、特定のライナーセクション106が、他のライナーセクション106の長さより短いかまたは長い長さを有することができる。他の実施形態で、個別のコネクタ部分38の長さが、ライナー26を所望の積み重ね構造126にするように折り畳むのを可能にするように(図4に示される)、選択され得る。したがって、繰り返されるライナーセクション106が等しくてよいか、または繰り返されるライナーセクション106が1つまたは複数の構成を有することができる。例えば、終端部54、58のところのライナー106のセクションが、図2に示されるように、および後でさらに説明されるように、ボス形態の取付具110、110’に対合的におよび/または摩擦的に係合されるように構成されるカフ部分108を有するコネクタ部分38を有することができる。
【0026】
[031]コネクタ部分38が、図3および4に示されるように、コネクタ部分38に柔軟性を有させるのを可能にする波形118とされ得、それにより、所定の空間を満たすようにライナー26を折り畳んで積み重ね構造126にするのをおよび/またはライナー26を折り畳んでハウジングの中に入れるのを可能にする。非波形コネクタ部分38’が種々の実施形態において剛体であってよい。種々の実施形態で、コネクタ部分38が管状部分46の直径86より小さい直径90を有することができ、テーパ部分42がコネクタ部分38の直径90と管状部分46の直径86との間に移行部分を提供する。しかし、別の実施形態が、1つまたは複数の適切な直径86、90を有する部分38、42、46を備えるライナー26を備えることができ、別の実施形態で、ライナー26が、種々の形状を含んでよい非円筒形である部分38、42、48を有することができる。同様に、いくつかの実施形態で、管状部分46がコルゲーション(corrugation)118を備えることができる。
【0027】
[032]好適には、ライナー26が、図3に示されるように、溶接部を有さずに単一の材料を使用して、シームレスライナーとして製造される。しかし、いくつかの実施形態では、単一のチャンバ94を備える個別のライナーセグメント106が、複数のチャンバ94を備える細長いライナー26を形成するように一体に接続され得る。いくつかの実施形態で、ライナー26が、ライナー26の種々の部片38、42、48を形成してこれらの部片38、42、48を一体に結合することにより、作られ得る。例えば、コネクタ部分38が、テーパ部分42、管状部分46、および/またはカフ部分108とは別個に製造され得る。次いで、このような別個の部分38、42、48、108がライナー106を形成するように一体に結合され得る。
【0028】
[033]図3に示される高分子ライナー26が、一般に、ナイロン(PA)、エチレン酢酸ビニル(EVA:ethylene-vinyl acetate)、線形低密度ポリエチレン(LLDPE:linear low-density polyethylene)、低密度ポリエチレン(LDPE:low-density polyethylene)、高密度ポリエチレン(HDPE:high-density polyethylene)、ポリプロピレン(PP)、エチレンビニルアルコール(EVOH:ethylene vinyl alcohol)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリウレタン(PU)、ポリ塩化ビニル(PVC)、および/または同様の材料などの、1つまたは複数の高分子材料から形成される。高分子ライナー26が単層の高分子材料で形成され得る。別法として、高分子ライナー26が、2つ以上の高分子層の複層構造で形成され得る。さらに、1つまたは複数の金属層が、特定の用途で所望に応じて、ライナー26内に含まれ得る。
【0029】
[034]ライナー26が、ライナー26の強度を向上させて、それによりライナー26を安全に動作させることが可能となる負荷圧力(duty pressure)を増大させるために樹脂を含浸させた繊維ストランドもしくは他の適切な材料で包まれ得、および/またはこのような繊維ストランドまたは他の適切な材料でオーバーブレイド(over-braid)され得る。加えて、種々の実施形態で、編組物が複数の層内に配置され得る。樹脂を含浸させた1つまたは複数の層の繊維ストランドが、樹脂の硬化後に、硬い外側合成シェル28を形成する。
【0030】
[035]図1に示される外側合成シェル28が、樹脂を含浸させた1つまたは複数の層の繊維ストランドを有する。外側合成シェル28のための適切な繊維には、炭素繊維、グラスファイバー、玄武岩繊維、ホウ素繊維、アラミド繊維、高密度ポリエチレン繊維(HDPE)、Zylon(商標)のポリ(p-フェニレン-2,6-ベンゾビスオキサゾール繊維)(PBO)、アラミド繊維、Kevlar(登録商標)ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維(PET)、ナイロン繊維(PA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエステル繊維(PL)、ポリプロピレン繊維(PP)、ポリエチレン繊維(PE)、金属、エチレンビニルアルコール繊維(EYOH)、およびポリウレタン繊維(PU)などのうちの1つまたは複数が含まれる。適切な樹脂には、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、熱可塑性樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン、および熱可塑性樹脂などのうちの1つまたは複数が含まれる。ライナー26の材料および寸法さらには外側合成シェル28を形成する樹脂および繊維の種類および量の選択は、部分的に、圧力容器10の所望の動作条件に基づいて選定される。
【0031】
[036]ライナー26が外側合成シェル28で覆われ、折り畳まれて所望の折り畳み形状126となり、樹脂が硬化して外側合成シェル28を強固にすると、図4の細長いタンク14が形成される。種々の実施形態で、タンク14が三次元構造126となるように折り畳まれ得る。図4が、オーバーブレイドを施されたライナー26が折り畳まれて積み重ね構造126として保持される、一実施形態を示す。好適には、タンク14の入口開口部70が図4に概して示されるようにタンク14の出口開口部74に隣接して配置され、その結果、OTY組立体18が、後でさらに説明されるように、入口開口部70および出口開口部74の両方に直接接続され得る。
【0032】
[037]図4に示される実施形態では、タンク14が複数のチャンバ94を備え、ここでは、各チャンバ94の出口130がコネクタ部分38を通して隣接するチャンバ94’の入口134に流体的に結合される。図4に示されるタンク14が、1つの細長いタンク14を形成するように流体的に接続される、T1~T10を付される、例示の10個のチャンバ94を有する。チャンバT1が第1のチャンバ98として定義される。その理由は、チャンバT1がライナー26の第1の端部54のところにある入口開口部70に隣接するからである。チャンバT10が最後のチャンバ102として定義される。その理由は、チャンバT10がライナー26の第2の端部58のところにある出口開口部74に隣接するからである。図4に示されるように、チャンバT1~T5が好適にはチャンバT6~T10の上方で垂直に配置される。
【0033】
[038]図4を参照すると、充填プロセス中、ライナー26の第1の端部54のところにある入口開口部70を通して流体がタンク14に追加される。しばしば、タンク14に流体34を追加する前に、流体34が予め冷却される。入口開口部70を通して流体34が追加されることにより、チャンバT1~T10内の流体34が圧縮される。チャンバT1~T10内の流体34の圧縮が熱を発生させる。通常、予め冷却される流体34を受け取るチャンバT1が、タンク14の長さに沿って入口開口部70からより離れたところにあるチャンバT2~T10内で貯蔵される流体34より低い内部流体温度を有する。充填プロセス中にチャンバT1~T10内の流体34がチャンバT1~T10の間で混合されない場合、高い可能性としてチャンバT1~T10に跨って温度勾配が発生し、ここでは、チャンバT1がチャンバT10内で貯蔵される流体34の温度より低い流体温度を示す。
【0034】
[039]図4に示される実施形態では、チャンバT6~T10が、高い可能性として、充填プロセス中、チャンバT1~T5内の熱上昇より大きい相対的な熱上昇を有することになる。その理由は、チャンバT1~T5がチャンバT6~T10と比較して入口開口部70により接近しているからである。より大きい熱上昇を見込まれるチャンバT6~T10が、充填プロセス中により小さい熱上昇を見込まれるチャンバT1~T5の垂直方向における下方に配置される。好適には、チャンバT1~T10が積み重ね構造126として配置され、その結果、充填プロセス中、チャンバ126Aの上側層内の流体の平均温度上昇が、チャンバ126Bの下側層内の流体の平均温度上昇より小さくなる。注目すべきこととして、流体の最大温度上昇は、通常、充填プロセスの完了に近い時点でチャンバT1~T10内で観察される。所定の積み重ね構造126は、部分的に、タンク14の各チャンバT1~T10内の流体の見込まれる温度上昇、チャンバT1~T10の数および長さ、折り畳まれる圧力容器14のための利用可能な空間、さらには他の要因に基づいて選択される。
【0035】
[040]好適な積み重ね構造126では、チャンバT1~T5がチャンバT6~T10の上方に配置される。その理由は、チャンバT1~T5が、充填プロセス中、チャンバT6~T10内の流体温度より低い流体温度を有すると見込まれるからである。チャンバT1~T10内で流体温度が上昇すると、最初に流体34からの対流により過剰熱がライナー26に伝達され、次いで外側合成シェル28を通す形で伝導され、タンク14の外部表面28’の温度を上昇させる。タンク14の外部表面28’の温度上昇が、外側合成シェル28の周囲の外部空気Hb、Htの温度を上昇させる。外側合成シェル28の周囲の外部空気Hb、Htの温度上昇が、チャンバT1~T10内の流体温度の上昇に直接関連する。したがって、充填プロセス中のチャンバT6~T10の周囲の外部空気Hb中の熱上昇が、チャンバT1~T5の周囲の外部空気Htの熱上昇より大きくなる。その理由は、チャンバT6~T10がチャンバT1~T5内より大きい流体温度の上昇を受けることが見込まれるからである。チャンバT1~T5とチャンバT6~T10との間のこのような見込まれる流体温度の相対的な差により、積み重ね構造126を通る対流が発生する。その理由は、高温のチャンバT6~T10の周囲の加熱された外部空気Hbが、チャンバT1~T5の周囲の相対的に低温である外部空気Htの方に向かって上昇するからである。対流Cを原因とする積み重ね構造126を通る空気流れHb、Htのこの移動が、チャンバT6~T10を覆う外側合成シェル28からの熱放散Hbを向上させる。
【0036】
[041]図4を参照すると、好適には、積み重ね構造126が、少なくとも、チャンバ126Aの上側層、およびチャンバ126Bの下側層を有するように選択される。しかし、積み重ね構造126がチャンバ126A、126Bの任意の数の層を有することもできる。さらに、チャンバT1~T10が少なくともチャンバ126A、126Bの上側層および下側層の中に配置され、その結果、充填プロセス中、チャンバ126Bの下側レベル内の流体中の見込まれる平均温度上昇が、チャンバ126Aの上側レベル内の流体中の見込まれる平均温度上昇より大きくなる。より複雑な積み重ね構造126が、図4に示されるよりも多くのチャンバT1~T10を有するタンク14のために使用されてもよく、同様に、3つ以上の層のチャンバ126A、126Bを有してもよい。しかし、好適な実施形態では、充填プロセス中、最大の熱上昇を受けることを見込まれるようなチャンバ94、T6~T10を、最小の熱上昇を受けることを見込まれるチャンバ94、T1~T5の近くにかつ下方に配置するように、タンク14が折り畳まれる。
【0037】
[042]図2を参照すると、ライナー26の周りに外側合成シェル28を形成する前におよび/またはその後で、ボス形態の取付具110、110’がライナー26内の各開口部70、74を用いて組み付けられ得る。より具体的には、第1の取付具110がタンク14の第1の端部54のところに結合され得、第2の取付具110’がタンク14の第2の端部58のところに結合され得る。図2がライナー26のコネクタ部分38に結合される取付具110、110’を示すが、別の実施形態では、取付具110、110’が、カフ部分108、テーパ部分42、および/または管状部分46を含めた、タンク14の任意適切な部分に結合され得る。このような取付具110、110’には、圧着取付具、ボルト取付具、または他の任意適切な種類の取付具が含まれ得る。例えば、取付具110、110’が、図2に示されるように、ライナー26内の開口部70、74の各々の中に挿入されるステム136を有することができる。さらに、取付具110、110’が、ステム136をライナー26および外側合成シェル28に固定的に結合するためにライナー26の各端部54、58において外側合成シェル28の周りに圧着されるフェルール138を有することができる。ボス形態の取付具110、110’が、図2に示されるように、ライナー26の端部54、58に結合されるように構成され得る。いくつかの実施形態では、取付具110、110’が、オーバーブレイドを施された外側合成シェル28に結合されるように構成され得る。
【0038】
[043]ボス形態の取付具110、110’が、図2に示されるように、OTV組立体18と相互接続するように構成される。種々の実施形態で、OTV組立体18が、本明細書においてより詳細に説明されるように、温度または圧力などのタンク14内のタンク状態を検出するように備え付けられ得る。
【0039】
[044]いくつかの実施形態で、タンク14のライナー26が、図2に示されるように、取付具110、110’を取り付けるためのスムーズカフ108をタンク14の一方の端部または両方の端部54、58のところに備えることができる。図3に示されるように、ライナー26のいくつかの実施形態が、フェルール138などの圧着取付具のための滑らかな取付表面を有するのを可能にするための、カフ部分108およびコルゲーション・セクション118を有するコネクタ部分38を有することができる。ライナー26の端部54、58のところにあるこのようなカフ部分108は、内部コネクタ部分38と等しいサイズ、それより大きいサイズ、またはそれより小さいサイズを有することができる種々の適切な直径を有することができ、このようなコネクタ部分38が完全にまたは部分的に波形118であってよい。言い換えると、いくつかの実施形態が、端部54、58の間でライナー26の内部部分106のための繰り返されるライナージオメトリを有することができ、ライナー26の端部54、58上で異なるライナー26ジオメトリを有する。特定の用途では非周期的なライナー26のジオメトリも使用されてもよい
[045]図2に示される取付具110、110’が、金属またはプラスチックなどを含めた種々の適切な材料で作られ得る。いくつかの実施形態では、取付具110、110’が圧縮水素に接触するように構成され得、取付具110、110’の水素脆化または弱化に対しての、および取付具110、110’内への水素拡散により生じる破裂に対しての、耐性を有するように構成され得る。例えば、取付具110、110’が、水素により誘発される破裂に対して耐性を有する材料および/または表面被覆物を含むことができる。
【0040】
[046]ステム136が、図2に示されるように、第1の端部150と第2の端部154との間でステム136を通って長手方向に延在する穴146を画定することができる。さらに、取付具110、110’が、OTV組立体18に対合的に係合されるように構成される概略円筒形のヘッド158を有することができる。いくつかの実施形態では、より高速な充填のために望ましい可能性があるように穴146を通した流量を増大させるために、より大きい直径の穴146を有することが望ましい可能性がある。加えて、穴146の中に、およびライナー26によって画定される内部空洞30の中にセンサを挿入するのを可能にするために、より大きい直径の穴146が望ましい可能性がある。種々の実施形態で、ヘッド158および/またはステム136が、ステム136に対してライナー26を密閉するための、およびOTV組立体18に対してヘッド158を密閉するための、Oリング・フェイスシールまたはOリング・ボアシールなどを有することができる。
【0041】
[047]図2を参照すると、ステム136のヘッド158が、本明細書でより詳細に説明されるようにライナー26によって画定される内部空洞30に適切な流体を導入するのをおよび/または内部空洞30から流体を取り除くのを可能にするようにOTV組立体18に結合されるように構成され得るねじ山162を有することができる。例えば、このような流体が水素を含む場合、OTV組立体18が、ライナー26によって画定される内部空洞30に水素を充填するために、水素充填ステーションに直接または間接的に結合され得る。さらに、OTV組立体18が、ライナー26によって画定される内部空洞30内に貯蔵される水素から水素燃料を車両エンジンに提供するために、車両エンジンに直接または間接的に結合され得る。
【0042】
[048]図2に示されるOTV組立体18が、タンク14の第1の端部54のところに配置される第1の取付具110に結合される第1の充填カプラ166、およびタンク14の第2の端部58のところに配置される第2の取付具110’に結合される第2の充填カプラ170を有する。第1の充填カプラ166および第2の充填カプラ170がOTV組立体18の外側ハウジング174に固定的に結合される。第1の充填カプラ166および第2の充填カプラ170の各々が、タンク14の内部30とOTV組立体18との間で流体を通過させるために、カプラ166、170を軸方向に通過する穴178を有する。各穴178が、第1の充填カプラ166および第2の充填カプラ170のそれぞれ1つの充填カプラを通る通路を画定する。OTV組立体18が、後でさらに説明されるように、タンク14の第1の端部54の入口開口部70をタンク14の第2の端部58の出口開口部74に流体的に結合する内部高圧ライン182を有する。
【0043】
[049]図2が、OTV組立体18の内部構造184の機能ブロック図を示す。第1の充填カプラ166および第2の充填カプラ170に加えて、OTV組立体18が、少なくとも1つのソレノイド190によって制御される1つまたは複数の弁186と、OTY組立体18を通る流体流れの方向を制御するための1つまたは複数の逆止弁194と、温度・圧力解放デバイス(TPRD:temperature pressure relief device)198と、流体34から粒子を除去するためのフィルタ202と、を有する。加えて、OTV組立体18が、OTV組立体18を通って流れる流体の温度を監視するための1つまたは複数の温度センサ206、210を有する。OTV組立体18内の他の構成要素には、過流防止弁、圧力センサ、および電子コントローラなどが含まれてよい。図2にさらに示されるように、OTV組立体18が、OTV組立体18を、外部流体源220、水素充填ステーション221(図6に示される)、および/または車両エンジンに直接および/または間接的に結合するための第3の充填カプラ214および第4の充填カプラ218を有する。いくつかの実施形態で、第4の充填カプラ218が、温度・圧力解放デバイス(TPRD)の通気孔などに結合されるように構成される。加えて、OTV組立体18が、OTV組立体18を外部燃料電池供給ラインに流体的に結合しているとき、タンク14の内部30から、第3の充填カプラ214および/または第4の充填カプラ218のうちの少なくとも一方に流体を選択的に提供するように構成される。
【0044】
[050]図5を参照すると、OTV組立体18の一実施形態が、第1の高圧ライン182を通して第1の充填カプラ166に流体的に結合されるベンチュリ混合チャンバ222を有する。吸入ライン226がOTV組立体18に含まれ、第2の充填カプラ170を通過する穴178に流体的に結合される入口230と、ベンチュリ混合チャンバ222に流体的に結合される出口234とを有する。吸入ライン226が第2の高圧ライン26であり、流体のための通路226’を形成する内部空間226’を有する。第1の高圧ライン182および第2の高圧ライン226の両方がOTV組立体18の外側ハウジング174によって完全に閉鎖される。OTV組立体18内に含まれる他の構成要素には、ベンチュリノズル238(排出装置またはエジェクタとしても知られる)、および温度センサ206、210が含まれる。ベンチュリノズル238は充填プロセス中に流体流れを循環させるのに使用され、それにより充填プロセス中の流体および/またはタンク14の最高温度を下げることができる。
【0045】
[051]図5のベンチュリノズル238が、ベンチュリ混合チャンバ222に流体的に接続されるノズル出口242と、OTV組立体18の弁186を通して第3の充填カプラ214に選択的に流体的に接続されるノズル入口244とを有する。さらに、第1の温度センサ206が、ベンチュリノズル238からベンチュリ混合チャンバ222の中まで通過する流体248の温度を検出するように構成される。加えて、第2の温度センサ210が、吸入ライン226を通過する流体252の温度を検出するように構成される。各温度センサ206、210が、ベンチュリノズル238および吸入ライン226のそれぞれ一方を通って流れる流体に熱的に結合される。
【0046】
[052]最後のチャンバ102と第1のチャンバ98との間でOTV組立体18を通る流体34の再循環が図5に示される。外部流体220が第3の充填カプラ214を通ってベンチュリノズル238に供給されると、流体が矢印248によって示されるように高い圧力でノズル出口242を通して排出される。ベンチュリ混合チャンバ222に入る流体248の移動が、矢印252によって示されるように吸入ライン226から流体を引き寄せる。吸入ライン226からの流体252が、ベンチュリ混合チャンバ222内において、ベンチュリノズル238からの流体248に混合される。混合流体248、252が高圧ライン182を通って流れ、矢印70によって示されるように、タンク14の第1のチャンバ98に供給される。吸入ライン226を通る流体252の移動が、矢印74によって示されるように、最後のチャンバ102から流体を引き寄せる。最後のチャンバ102から、吸入ライン226を通り、ベンチュリ混合チャンバ222を通り、第1のチャンバ98の中までの、流体の流れがさらに、ライナー14の全長を通るように流体を流す。ライナー14の全長を通る流体の移動が、充填プロセス中、個別のチャンバ94、98、102内の温度上昇を低減する。
【0047】
[053]図6が、水素充填ステーション221に結合される圧力容器10の実施形態の機能図を示す。水素充填ステーション221が、一般に、高圧流れライン260を通して1つまたは複数のソレノイド作動弁256に結合される外部流体源220を有する。水素充填ステーション221が、1つまたは複数のソレノイド作動弁256に電気的に接続(268)されるコントローラ264を有する。1つまたは複数のソレノイド作動弁256が第1の充填ポート272および第2の充填ポート276に流体的に接続される。第1の充填ポート272が圧力容器10の第3の充填カプラ214に結合されるように構成され、その結果、外部流体220がOTV組立体18に提供され得るようになる。第2の充填ポート276が、圧力容器10の第4の充填カプラ218に結合されるように構成される。任意選択で、第2の充填ポート276が、第4の充填カプラ218を温度・圧力解放デバイス(TPRD)198のための通気孔280に流体的に結合する。
【0048】
[054]充填プロセス中、外部流体220が、図6に示される矢印Aによって示されるように、水素充填ステーション221の弁256を通過する。外部流体220が、矢印Bによって示されるように、弁256により第1の充填ポート272に送達される。外部流体220が、矢印Cによって示されるように、第3の充填カプラ214を通して受け取られ、OTV組立体18の弁186に送達される。外部流体220が、矢印Dによって示されるように、OTV組立体18の弁186を選択的に通過し、ベンチュリノズル238の入口244に送達される。ベンチュリノズル238が、図6に示される矢印Eによって示されるように、ベンチュリノズル出口242を通しておよびベンチュリ混合チャンバ222を通して高い圧力で流体を排出する。ベンチュリ混合チャンバ222を通る流体Eの流れが、矢印Fによって示されるように、吸入ライン226を通して流体を引き寄せる。流体Gが、吸入ライン226を通る流体Fの移動により、タンク14のチャンバ102から吸引される。吸入ライン226からの流体F、Gが、ベンチュリ混合チャンバ222内において、ベンチュリノズル238からの流体Eに混合され、それにより、図6に示される矢印Kによって示されるように、チャンバ98の中まで流れる流体Kを形成する。
【0049】
[055]さらに図6に示されるように、流体Kがチャンバ98内の流体Lに混合され、流体Lを圧縮して熱TI1を解放する。チャンバ98内の増大した流体圧力が、チャンバ102内の流体圧力の低下(チャンバ102から離れる流体Gを原因とする)との組み合わせで、矢印Mによって示されるように、チャンバ98とチャンバ102との間でコネクタ部分38を通るように流体Mを流す。流体Mがコネクタ38内に存在する流体を圧縮し、追加の熱H2を発生させる。チャンバ102から取り除かれる流体Gより多くの流体Kがチャンバ98に追加されることを理由として、チャンバ102に入る流体Mがチャンバ102内の流体Nをさらに圧縮し、熱H3を追加的に発生させる。
【0050】
[056]図6を参照すると、過剰熱HI、H2、H3が、最初に流体からライナー26への対流により伝達され、次いでライナー26およびタンク14の外側合成シェル28を通して伝導される。充填プロセスにより流体Eがベンチュリ混合チャンバ222に追加される間、チャンバ98、102およびコネクタ部分38内の流体L、M、Nの温度が継続して上昇することになる。しかし、チャンバ102において、チャンバ98内の温度上昇より大きい温度上昇が起こることになる。チャンバ102をチャンバ98の下方に配置することにより、対流が起こりチャンバ102の過剰熱H3をチャンバ98の方に上昇させることになる。チャンバ98、102の周りのおよびタンク14の積み重ね構造126を通る対流空気流が、チャンバ102内の温度上昇を低減する。
【0051】
[057]図6のOTV組立体18に入る流体Bを予め冷却することにより、この対流効果がさらに増大する。予め冷却される流体Eがチャンバ102から吸引される高温流体Fに混合されると、得られた混合流体Kが、チャンバ102から離れる流体F、Gより低い温度を有する。予め冷却される混合流体Kをチャンバ98に追加することにより、上側チャンバ98と下側チャンバ102との間の温度差が増大し、その結果、積み重ね構造126を通る対流の量が増大することになる。積み重ね構造126を通る対流の量が増大すると、チャンバ94、98、102から放散され得る熱H3の量が増加する。
【0052】
[058]図4を参照すると、複数のチャンバT1~T10を有する適合性を有する細長いタンク14が折り畳まれ得、その結果、充填中に最大の熱上昇を受けることが見込まれるチャンバT6~T10が、充填中により少ない熱上昇を受けることが見込まれるチャンバT1~T5の下方に配置されることになり、それにより、積み重ね構造126を通る対流空気流を最大にする。好適には、タンク14の入口開口部70をタンク14の出口開口部74に隣接させて配置してそれによりOTV組立体18のハウジング174の外側で高圧ラインを使用するのを必要とすることなく単一のOTV組立体18をタンク14の入口開口部70および出口開口部74に直接結合するのを可能にする、折り畳みパターンが選択される。
【0053】
[059]オン・タンク・バルブ(OTV)組立体18を有する細長い圧力容器10の1つの利点は、圧力容器10の内部30に流体を充填するためにおよび圧力容器10の内部30から流体を取り除くためにOTV組立体18が細長い圧力容器10の両端部50、54を流体的に結合することである。OTV組立体18の第2の利点は、細長い圧力容器の両端部に流体的に結合されるタンクの一方の端部50から別の端部54へ流体を再循環させるように構成されるベンチュリノズル238およびベンチュリ混合チャンバ222をOTV組立体18内に有することである。第3の利点は、OTV組立体により、ベンチュリ混合チャンバと圧力容器の両端部との間での接続流体ラインの長さが最小となることである。第4の利点は、圧力容器10が折り畳まれて積み重ね構造126となり、その結果、OTV組立体18が外部流体ラインを使用することなく圧力容器10の両端部50、54に直接結合され得ることである。第5の利点は、圧力容器10の積み重ね構造126が、充填プロセス中の圧力容器10からの熱放散を向上させることである。
【0054】
[060]本発明を例示的に説明してきた。使用した専門用語が、言葉の性質として、限定のためにではなく説明のためであることを意図されることを理解されたい。上記の教示に照らして、本発明の多くの修正および変更が可能である。したがって、添付の特許請求の範囲内において、具体的に説明される手法以外の手法で本発明が実施され得ることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6