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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】炊飯器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20241108BHJP
   H05B 6/12 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
A47J27/00 103B
A47J27/00 103A
H05B6/12 317
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022000811
(22)【出願日】2022-01-06
(65)【公開番号】P2023100286
(43)【公開日】2023-07-19
【審査請求日】2023-11-29
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 善行
(72)【発明者】
【氏名】蜷川 智也
(72)【発明者】
【氏名】町井 健太
(72)【発明者】
【氏名】青木 知也
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-138079(JP,A)
【文献】特開平02-102611(JP,A)
【文献】特開平09-164054(JP,A)
【文献】米国特許第04728778(US,A)
【文献】意匠登録第1081098(JP,S)
【文献】意匠登録第1475979(JP,S)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
H05B 6/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方が開口した本体と、
前記本体の開口から前記本体に出し入れ自在に収納される上方が開口した内釜と、
前記内釜の開口を開閉自在に覆う蓋体と、
前記内釜の下部を加熱する加熱コイルと、
前記加熱コイルを冷却するファンと、を備え、
前記本体は、
上側の幅よりも下側の幅が小さくなるように下方にすぼまった形状を有した外壁と、
前記本体に収納された前記内釜に対向する内壁と、
前記内壁から前記外壁に近づくように延びた仕切り部と、
前記外壁と前記内壁との間に形成された空間に設けられ、前記仕切り部の先端部と前記外壁の内面とにより挟まれた断熱部と、を有し、
前記空間は、前記仕切り部と前記断熱部とにより、前記加熱コイルが配置され、前記ファンにより外気が流通する冷却風路となる下部空間と、前記下部空間よりも上方に形成された上部空間とに仕切られており、
前記断熱部は、前記本体の径方向に重ねた複数のシート状の断熱部材で構成され、複数の前記断熱部材が重なった部分と、一枚で構成される部分と、を有し、
前記断熱部において複数の前記断熱部材が重なった部分は、前記仕切り部の前記先端部と前記外壁の前記内面とにより挟まれた部位よりも上方にのみ設けられている
炊飯器。
【請求項2】
上方が開口した本体と、
前記本体の開口から前記本体に出し入れ自在に収納される上方が開口した内釜と、
前記内釜の開口を開閉自在に覆う蓋体と、
前記内釜の下部を加熱する加熱コイルと、
前記加熱コイルを冷却するファンと、を備え、
前記本体は、
上側の幅よりも下側の幅が小さくなるように下方にすぼまった形状を有した外壁と、
前記本体に収納された前記内釜に対向する内壁と、
前記内壁から前記外壁に近づくように延びた仕切り部と、
前記外壁と前記内壁との間に形成された空間に設けられ、前記仕切り部の先端部と前記外壁の内面とにより挟まれた断熱部と、を有し、
前記空間は、前記仕切り部と前記断熱部とにより、前記加熱コイルが配置され、前記ファンにより外気が流通する冷却風路となる下部空間と、前記下部空間よりも上方に形成された上部空間とに仕切られており、
前記内釜の上部には、外周側へ突出した釜突起部が設けられ、
前記本体は、
前記内壁の上端部から前記外壁側へ延び、前記内釜の前記釜突起部を支持する支持部材を有し、
前記支持部材には、下方に延び、前記断熱部の前記外壁側の面を支持する突起部が設けられている
炊飯器。
【請求項3】
前記断熱部は、シート状の第1断熱部材と、前記第1断熱部材の外周側に設けられたシート状の第2断熱部材と、を有し、
前記突起部は、前記第1断熱部材の前記外壁側の面を支持する第1突起部と、前記支持部材において前記第1突起部よりも外周側に設けられ、前記第2断熱部材の前記外壁側の面を支持する第2突起部と、を有する
請求項に記載の炊飯器。
【請求項4】
前記第1断熱部材と前記第2断熱部材とは、前記第2断熱部材の上面が前記第1断熱部材の上面よりも上方に位置するように配置されている
請求項に記載の炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、本体内に冷却風路が形成された炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
炊飯器において、本体内の下部に、内釜を加熱する加熱コイルと、加熱コイルを冷却するための冷却風路と、を備えたものがある。このような冷却風路を備えた炊飯器において、本体の外壁と本体内の内釜に対向する内壁との間の空間に断熱材を備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。本体に断熱材を備えることで、内釜の熱が本体の側面部から外部に逃げることを抑止できるので、早く沸騰を生じさせ、釜内の温度を均一にして食味のよいご飯を炊飯できる。特許文献1の炊飯器では、加熱コイルが設けられる本体内の下部に冷却風路が設けられ、本体の側面部における外壁と内壁との間の空間に断熱材が設けられている。特許文献1の炊飯器において、断熱材が設けられる空間と冷却風路とはつながっているが、断熱材の下部が折り返され、断熱材の折り返し部が上記空間と冷却風路との境界部に配置されることで、折り返し部の下部の厚みにより両者間の隙間が閉塞され、冷却風路からの冷風が、断熱材が設けられる空間に入ることが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-138079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の炊飯器では、断熱材の折り返し部により、断熱材が配置される空間に冷風が入ることが抑制されるので、内釜の熱が本体の胴周りの側面部から外部へ逃げにくくなる。しかしながら、本体の胴周りには断熱材の下部の折り返し部が入るスペースが必要となり、折り返した厚みの分、本体の胴回りのサイズが大きくなってしまう。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためのものであり、内釜の熱が本体の胴周りから外部へ逃げにくく、且つ本体の胴周りのサイズを従来よりも小さくした炊飯器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の炊飯器は、上方が開口した本体と、前記本体の開口から前記本体に出し入れ自在に収納される上方が開口した内釜と、前記内釜の開口を開閉自在に覆う蓋体と、前記内釜の下部を加熱する加熱コイルと、前記加熱コイルを冷却するファンと、を備え、前記本体は、上側の幅よりも下側の幅が小さくなるように下方にすぼまった形状を有した外壁と、前記本体に収納された前記内釜に対向する内壁と、前記内壁から前記外壁に近づくように延びた仕切り部と、前記外壁と前記内壁との間に形成された空間に設けられ、前記仕切り部の先端部と前記外壁の内面とにより挟まれた断熱部と、を有し、前記空間は、前記仕切り部と前記断熱部とにより、前記加熱コイルが配置され、前記ファンにより外気が流通する冷却風路となる下部空間と、前記下部空間よりも上方に形成された上部空間とに仕切られており、前記断熱部は、前記本体の径方向に重ねた複数のシート状の断熱部材で構成され、複数の前記断熱部材が重なった部分と、一枚で構成される部分と、を有し、前記断熱部において複数の前記断熱部材が重なった部分は、前記仕切り部の前記先端部と前記外壁の前記内面とにより挟まれた部位よりも上方にのみ設けられている。
また、本開示の炊飯器は、上方が開口した本体と、前記本体の開口から前記本体に出し入れ自在に収納される上方が開口した内釜と、前記内釜の開口を開閉自在に覆う蓋体と、前記内釜の下部を加熱する加熱コイルと、前記加熱コイルを冷却するファンと、を備え、前記本体は、上側の幅よりも下側の幅が小さくなるように下方にすぼまった形状を有した外壁と、前記本体に収納された前記内釜に対向する内壁と、前記内壁から前記外壁に近づくように延びた仕切り部と、前記外壁と前記内壁との間に形成された空間に設けられ、前記仕切り部の先端部と前記外壁の内面とにより挟まれた断熱部と、を有し、前記空間は、前記仕切り部と前記断熱部とにより、前記加熱コイルが配置され、前記ファンにより外気が流通する冷却風路となる下部空間と、前記下部空間よりも上方に形成された上部空間とに仕切られており、前記内釜の上部には、外周側へ突出した釜突起部が設けられ、前記本体は、前記内壁の上端部から前記外壁側へ延び、前記内釜の前記釜突起部を支持する支持部材を有し、前記支持部材には、下方に延び、前記断熱部の前記外壁側の面を支持する突起部が設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る炊飯器によれば、本体の外壁は下方にすぼまった形状を有しており、本体の外壁と内壁との間に形成された空間に設けられた断熱部は、内壁から外壁に近づくように延びた仕切り部の先端部と外壁の内面とにより挟まれている。仕切り部と断熱部の挟まれた部分とによって上部空間と冷却風路である下部空間とが仕切られるので、従来のように断熱部の下端部に折り返し部を設けることなく、上部空間への冷却風の侵入を抑止でき、内釜の熱が本体の胴周りから外部へ逃げにくい構成とできる。そして、外壁と内壁との間に折り返し部が入るスペースを確保する必要が無く、外壁が下方にすぼまった形状を有しているから、本体の胴周りのサイズを従来よりも小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る炊飯器の左右方向の断面を示す縦断面図である。
図2図1の炊飯器の前後方向の断面を示す縦断面図である。
図3図1の炊飯器の本体を分解した状態を示す分解斜視図である。
図4図3の本体の外壁を示す斜視図である。
図5図3の断熱部の分解斜視図である。
図6図1の本体における右側且つ下側の側面部を模式的に示す図である。
図7図1の炊飯器の本体内部の構成を示す斜視図である。
図8図3の本体の内壁に第1断熱部材を組み付けた状態を示す斜視図である。
図9図8の第1断熱部材が組み付けられた本体の内壁に第2断熱部材を組み付けた状態を示す斜視図である。
図10図9の本体の内壁と断熱部との組み付け前の状態を示す斜視図である。
図11】実施の形態1に係る炊飯器の断熱部の変形例を示す斜視図である。
図12図11の断熱部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明に係る炊飯器の実施の形態について説明する。なお、図面の形態は一例であり、本発明を限定するものではない。また、各図において同一の符号を付したものは、同一のまたはこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。さらに、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る炊飯器1の左右方向の断面を示す縦断面図である。図2は、図1の炊飯器1の前後方向の断面を示す縦断面図である。図3は、図1の炊飯器1の本体2を分解した状態を示す分解斜視図である。図4は、図3の本体2の外壁28を示す斜視図である。図5は、図3の断熱部33の分解斜視図である。図1図5に基づき、炊飯器1の全体構成について説明する。
【0011】
図1図3に示されるように、炊飯器1は、胴回りが略円筒形状とされたものである。炊飯器1は、本体2と、蓋体3と、を備えている。本体2と蓋体3とは、それぞれ用途に応じた樹脂素材を用いて樹脂成形されている。なお、本体2と蓋体3とは、樹脂素材を用いずに構成されてもよく、又は外装に金属板を加工してもよい。図2に示されるように、本体2の上方は開口しており、この開口を介して内釜4が本体2に入れられ、また本体2から取り出される。内釜4の上方は開口している。本体2内に出し入れ自在に収納される内釜4には、被炊飯物である水と米とが収容される。蓋体3は、本体2に回動自在に取り付けられており、本体2に収納された内釜4の開口を覆う。
【0012】
また、図2に示されるように、炊飯器1は、本体2内の下部に、内釜4の下部を加熱する誘導加熱コイル19と、誘導加熱コイル19を冷却する冷却ファン22と、を備えている。また、炊飯器1は、本体2内において内釜4よりも後方に、誘導加熱コイル19を制御する制御基板11を備えている。誘導加熱コイル19は、内釜4内の米を炊飯し、炊き上がったご飯を保温する。以下、誘導加熱コイル19を、単に加熱コイルと称する場合がある。冷却ファン22は、制御基板11の下方に配置され、誘導加熱コイル19を冷却するとともに制御基板11を冷却する。また、制御基板11には、制御基板11を冷却する放熱用のヒートシンク21が設けられている。
【0013】
図1に示されるように、蓋体3は、蓋上面カバー5を有している。図2及び図3に示されるように、蓋体3の後方寄りには、炊飯時に発生する蒸気を炊飯器1から排出する排気口12が設けられている。なお、炊飯器1は排気口12を有しないタイプのものであってもよい。また、図3に示されるように、蓋上面カバー5の手前側には、使用者が操作する操作部9が設けられている。操作部9は、それぞれ炊飯、保温及び予約などの機能が与えられた各種の操作キー9aを有する。
【0014】
図1及び図2に示されるように、蓋上面カバー5の下方には、蓋体3の内部空間が形成されている。蓋体3の内部空間は、基板室8となっており、この基板室8には、操作基板10が収容されている。操作基板10には、図3に示した操作部9の操作キー9aの入力を行う、図示しないスイッチが搭載されている。蓋体3の基板室8に収容された操作基板10は、本体2内の制御基板11(図2参照)と図示しないフラットケーブルを介して電気的に接続されている。
【0015】
なお、蓋体3の構成は上記の構成に限定されない。例えば、蓋体3内の手前側に、操作結果あるいは動作状況を表示する表示パネル(不図示)を設け、蓋上面カバー5に、蓋体3内の表示パネルの表示内容を視認できる透過性のある表示窓(不図示)を設けてもよい。この場合において、表示パネルは、操作基板10に搭載されるとともに、耐熱性の樹脂で形成された保持部材によって基板室8内における蓋上面カバー5側に保持される構成としてもよい。このように操作部9の付近に表示パネルを設けることで、炊飯器1の使用者は、表示窓から見える表示パネルの表示内容を確認しながら操作部9を操作できる。
【0016】
蓋体3に設けられた図示しない係合部と、本体2に設けられた図示しない係止部と、が係合することにより、図2に示されるように蓋体3は本体2の上面を閉塞する。本体2の前側に設けられた係止解除ボタン13を押し込むことにより、係合部と係止部との係合が外れる。これにより、蓋体3は、本体2の後側に設けられた回動軸14を中心にして、開放方向への付勢力を蓋体3に付与した図示しない付勢手段により、所定の位置まで回動して本体2内を開放し、使用者は内釜4を出し入れできる。
【0017】
図1及び図2に示されるように、蓋体3において内釜4の上端と対向する面には、蓋体3から取り外し自在な円板状の内蓋17が設けられている。蓋体3において内蓋17の上面と対向する部分には、内蓋17の結露を抑制する図示しない内蓋ヒータが設けられている。また、内蓋17の外周全周には、シールパッキン18が設けられている。蓋体3が本体2の開口を閉塞した状態では、本体2に収納された内釜4の上端と、蓋体3に取り付けられた内蓋17のシールパッキン18と、が全周にわたって接触する。
【0018】
内釜4は、例えば、焼成した炭素材料(カーボン)等で形成することができる。なお、内釜4の素材は、炭素材料(カーボン)の他にも、磁性を有する金属であるステンレスを選択でき、用途に応じた素材を用いることができる。
【0019】
内釜4は、有底の略円筒形状を有している。内釜4の筒形状の外周側壁において、内釜4の全高の半分よりも高い位置には、全周が外側に突出する釜突起部4aが設けられている。図1及び図2に示される例では、内釜4の上端部の内径が上端部よりも下側の部分の内径よりも大きくなるように段差が形成されることで、内釜4の上端部全体が釜突起部4aとなっている。なお、釜突起部4aは、内釜4の上端よりも下方で内釜4の全高の半分よりも高い位置において、外周側壁に環状に、内釜4の厚さが厚くなるように設けられた鍔部であってもよい。内釜4が本体2内に収納される際、釜突起部4aが本体2に支持される。
【0020】
図1及び図2に示されるように、本体2は、炊飯器1の外郭を構成する外壁28と、本体2内に内釜4が収容された状態において内釜4と対向する内壁29と、を備え、二重壁構造を有している。
【0021】
図4に示されるように、本体2の外壁28は、下方に向かってすぼまった形状を有している。外壁28は、後方から見て四角形状の後壁部28bと、上面視でC字形状となるように湾曲した前側壁部28aと、下壁部28cと、を有している。後壁部28bは、下辺が上辺よりも短い逆台形形状を有している。前側壁部28aは、外壁28の左側、前側及び右側の面を構成し、下側に向かうに従ってより内側となるように傾斜している。図2に示されるように、外壁28の前側壁部28aの前側部分において下壁部28cとの境界付近には、冷却ファン22による冷却風の排出口26が形成されている。また、本体2の外壁28の下壁部28cの後側には、外気の吸込口24が形成されている。
【0022】
図1及び図2に示されるように、本体2の内壁29は、内釜4の外周側壁と対向するように設けられた円筒形状の側壁部29aと、内釜4の底面と対向するように設けられた椀状の下壁部29bと、を有する。下壁部29bの外周縁部29b1は、外側へ略水平方向に延び、円板形状を有している。下壁部29bの外周端は、側壁部29aの下端とつながっている。図1図3に示される例では、下壁部29bと側壁部29aの下側の一部とを含む内壁29の下半分は、誘導加熱コイル19が設けられるコイルベースで構成されている。
【0023】
図1及び図2に示されるように、本体2の上面開口の全周には、本体2の内壁29の上端と外壁28の上端とを接続する本体上壁部27が設けられており、本体上壁部27は、内釜4の釜突起部4aを下側から支持する。このように内釜4が本体2内に収納された状態では、内釜4の上端部は、本体2の上面開口から突出している。以降の説明において、内釜4を支持する本体上壁部27を、支持部材と称する場合がある。
【0024】
本体2の内部には、内壁29と外壁28との間に空間30が形成されている。具体的には、空間30は、内壁29と外壁28と本体上壁部27とにより形成された空間である。この空間30は、後述する仕切り構造により、上部空間32と下部空間20とに仕切られる。
【0025】
図1図3に示される例では、上部空間32は、本体2の胴回りの後方を除いた部分に形成され、平面視にてC字形状を有する。そして、図2に示されるように、本体2の胴回りの後方には、前側の上部空間32から仕切られた直方体形状の後部空間25が形成されている。この後部空間25に、制御基板11が立てて配置され、制御基板11の後方にヒートシンク21が配置されている。下部空間20は、内壁29の下壁部29bと仕切り構造と外壁28の下壁部28cとの間に形成され、後部空間25と連通している。下部空間20に、誘導加熱コイル19及び冷却ファン22が配置されている。
【0026】
冷却ファン22は、制御基板11により制御されて回転駆動されることにより、本体2の外壁28の下壁部28cに形成された吸込口24から外気を取り込み、後部空間25に配置された制御基板11に向けて上方に冷却風を流す。制御基板11を冷却する冷却風は、制御基板11のヒートシンク21を冷却し、制御基板11の裏面側である前方側の隙間25aを通過して下部空間20へ戻り、誘導加熱コイル19が配置された本体2内の下部かつ中央部に流れ込む。誘導加熱コイル19を冷却する冷却風は、本体2内の下部空間20における誘導加熱コイル19の下側を本体2の前方に向けて流れて誘導加熱コイル19を冷却する。誘導加熱コイル19を冷却した冷却風は、本体2の前方に向けて流れて、外壁28の排出口26から排出される。
【0027】
また、図3に示されるように、炊飯器1は、内釜4の熱が本体2の胴回りから外部へ逃げることを抑制する断熱部33を、本体2の内部に備えている。以下、図1~3及び図5に基づき、断熱部33の構成について説明する。
【0028】
断熱部33は、例えば、発泡ポリスチレン、グラスウール、又はロックウール等、種々の材質で構成される。図1図3及び図5に示される例では、断熱部33は、2枚のシート状の断熱部材で構成されている。以下、断熱部33が、2枚の断熱部材で構成されているものと定義して説明するが、断熱部33の構成はこれに限定されるものではない。
【0029】
図1及び図2に示されるように、断熱部33は、空間30において内壁29と対向するように配置された第1断熱部材34と、第1断熱部材34の外周側に配置された第2断熱部材35と、により構成されている。図3に示されるように、断熱部33は、断熱部33の上下方向の一部において第1断熱部材34と第2断熱部材35とが厚さ方向に重なるように設けられている。断熱部33の上下方向の他の部分では、第1断熱部材34と第2断熱部材35とが重ならず、第1断熱部材34のみ又は第2断熱部材35のみが設けられる。図1図3に示される例では、第1断熱部材34の上下方向の長さと第2断熱部材の上下方向の長さとが同じであり、本体2の内部において、内側の第1断熱部材34の下端が、外側の第2断熱部材35の下端よりも下側となるように第1断熱部材34と第2断熱部材35とが上下方向でずらして配置されている。よって、図1図3に示される例では、断熱部33の上端部は第2断熱部材35のみで構成され、断熱部33の下端部は第1断熱部材34のみで構成され、断熱部33の上下方向の中央部は、第1断熱部材34と第2断熱部材35とにより構成されている。したがって、第1断熱部材34と第2断熱部材35とを、厚さが同じシート状の断熱部材で構成する場合、断熱部33において上端部及び下端部の厚さよりも中央部の厚さが厚くなっている。
【0030】
図1図3に示されるように、断熱部33は、本体2の胴回りの後方を除いた部分に配置され、本体2の内部に配置された状態では、平面視にてC字形状を有する。図3及び図5に示されるように、断熱部33を構成する第1断熱部材34及び第2断熱部材35のそれぞれは、本体2の胴回りに沿う周方向に長辺を有し、展開した状態で略長方形状を有する。
【0031】
第1断熱部材34及び第2断熱部材35のそれぞれには、本体2の胴回りに沿って回り込んで配置される際に周方向の位置の目印となる構造が設けられている。図3に示される例では、第1断熱部材34の長辺である上辺の中心に、第1凹部34rが形成され、第2断熱部材35の長辺である上辺の中心に、第2凹部35rが形成されている。そして、本体2の前側に設けられた係止解除ボタン13が、第1凹部34r及び第2凹部35rの内側に配置されるように、本体2の内壁29に対して第1断熱部材34及び第2断熱部材35が組み付けられる構成となっている。
【0032】
このように第1断熱部材34及び第2断熱部材35に、周方向の目印が設けられていると、製造作業者が断熱部33を偏りなく配置し易く、作業効率が向上する。なお、図3及び図5に示される例では、周方向の目印として、第1断熱部材34及び第2断熱部材35に凹部(第1凹部34r及び第2凹部35r)が形成されているが、周方向の目印は、特にこの構造に限定されない。周方向の目印として、第1断熱部材34及び第2断熱部材35に、凹部(第1凹部34r及び第2凹部35r)を設ける代わりに凸部が設けられてもよい。周方向の目印が凹部又は凸部であると、シート状の第1断熱部材34及び第2断熱部材35の形成工程において凹部又は凸部を形成でき、目印を設ける場合でも断熱部33の製造が容易である。
【0033】
なお、第1断熱部材34及び第2断熱部材35のそれぞれの形状、第1断熱部材34と第2断熱部材35との上下方向の位置関係は、特に上記の場合に限定されない。また、断熱部33の構成は、図4に示される2枚の断熱部材による構成に限定されず、例えば、一枚の断熱部材で構成する、又は3枚以上の断熱部材で構成することができる。
【0034】
図6は、図1の本体2における右側且つ下側の側面部を模式的に示す図である。以下、図1図4及び図6に基づき、空間30の仕切り構造について説明する。
【0035】
図6に示されるように、本体2は、内壁29から外壁28へ近づくように延びた仕切り部29xを有している。仕切り部29xは、後方を欠いた円板形状又は円筒形状を有し、平面視でC字形状に設けられる。仕切り部29xの先端部29xaと外壁28の内面との間には、隙間Sが形成されている。この隙間Sの大きさ、すなわち仕切り部29xの先端部29xaと外壁28の内面との距離G1は、断熱部33の下端部33aの厚さ以下とされている。内壁29から外壁28に近づくように延びた仕切り部29xでは、先端部29xaにおいて、外壁28の内面との隙間Sが最も狭くなっており、仕切り部29xの先端部29xaと外壁28の内面との間に、断熱部33の一部が挟まれている。これにより、断熱部33が下方へ落ちることが抑制され、断熱部33により、仕切り部29xの先端部29xaと外壁の内面との間に形成された隙間Sが閉塞される。
【0036】
このように、本体2は、断熱部33において仕切り部29xの先端部29xaと外壁28の内面とに挟まれた部分と、仕切り部29xと、により構成される仕切り構造を備え、仕切り構造により空間30が上部空間32と下部空間20とに仕切られている。これにより、本体2の胴回りの断熱のための空間である上部空間32と、誘導加熱コイル19を冷却するための冷却風路である下部空間20と、の連通部分である隙間Sが断熱部33の一部によって閉塞されて、下部空間20からの冷却風が上部空間32に入ることが抑制される。したがって、断熱のための上部空間32と冷却風路とがそれぞれの機能を維持することができ、また、本体2の胴回りが冷却され難くなることで炊飯器1(図1参照)の保温性を確保できる。また、本開示の炊飯器1(図1参照)では、仕切り部29xと、断熱部33における仕切り部29xの先端部29xaと外壁28の内面とにより挟まれた部分と、によって上部空間32への冷却風の流入を抑制できるので、従来のように断熱部の下部に折り返し部を設ける必要がない。したがって、上部空間32の下側部分を従来よりも狭くすることができるので、図1図4に示されるように本体2の外壁28を下方へすぼまった形状とすることができ、炊飯器1の小型化が図れる。
【0037】
図6に示される例では、仕切り部29xは、内壁29の下壁部29bの外周縁部29b1に、外周縁部29b1の下面から鉛直下方に設けられている。すなわち、図6に示される例では、仕切り部29xは、略円筒形状を有し、内壁29において側壁部29aの下方且つ下壁部29bの曲面部分よりも外周側に設けられている。そして、炊飯器1の内釜4周囲の外壁28は、略円筒形状で且つ下方にすぼまった形状を有しているので(図3参照)、下方に向かって内周側へ傾斜した外壁28の内面と、下方に延びた仕切り部29xと、の間の距離は、下方に向かうに従い次第に近くなる。換言すると、断熱部33が配置される前の状態において、上部空間32には、内壁29の側壁部29aの下方に、仕切り部29xと下壁部29bの外周縁部29b1と外壁28とによって、縦断面で略逆三角形状の空間32aが形成される。略逆三角形状の空間32aの上側はその上の空間32bと連通しており、略逆三角形状の空間32aの下側は、隙間Sを介して下部空間20と連通している。そして、図6では、断熱部33において第1断熱部材34のみで構成される下端部33aが略逆三角形状の空間32aに配置され、下端部33aの最も先端部分が、仕切り部29xの先端部29xaと外壁28の内面とにより厚さ方向に挟まれて支持され、隙間Sが閉塞される。
【0038】
すなわち、仕切り部29xは、内釜4の側方に閉塞空間を形成することにより、内釜4側方の断熱性能を高めることができる。また、周方向において閉塞される範囲は、内釜4の全周囲であっても、あるいは一部の範囲であってもよい。内釜4の全周囲に閉塞空間が形成されている場合に最も断熱性能を高めることができるが、例えば内釜4周囲の一部の範囲で閉塞するだけでも該当部位の空気の流れに制限を設けることができるため、内釜4側方の断熱性能を向上することができる。
【0039】
また、実施の形態1に係る炊飯器1は、仕切り部29xが略円筒形状のものであるが、例えば、仕切り部29xを外壁28に合わせた形状に変形させることで、断熱性能をより高めることができる。また、仕切り部29xは、一つの繋がった突出部である必要はなく、例えば内釜4周囲の略円筒形状の突出部と、略円筒形状ではない外壁28の形状に合わせて突出させた突出部と、に分けて構成しても良い。具体的には、図4に示されるように、上面視でC字形状の湾曲した前側壁部28aと、後方から見て逆台形形状の後壁部28bと、を外壁28が有する場合には、仕切り部29x(図6参照)は、前側壁部28aに対向する湾曲した突出部と、後壁部28bに対向する平板状の突出部と、により構成されてもよい。
【0040】
なお、仕切り部29xの構成は、上記の場合に限定されない。図6に示される例では、仕切り部29xは、内壁29の下壁部29bにおいて水平な外周縁部29b1に設けられたが、下壁部29bにおける外周縁部29b1以外の曲面部分、又は内壁29の側壁部29aに設けられてもよい。ただし、内釜4と対向するように設けられた内壁29において、下方に向かって狭まる形状を有した外壁28の内面との距離が最も近くなる部分に、仕切り部29xを設けることが好ましい。具体的には、側壁部29aの上下方向の中央よりも下側、側壁部29aと下壁部29bとの境界、又は下壁部29bの上下方向の中央よりも上側から、外壁28に近づくように設けられることが好ましい。
【0041】
また、仕切り部29xが延びる方向は、上記の方向すなわち鉛直下方に限定されない。仕切り部29xの基部29xbと外壁28の内面との距離よりも、仕切り部29xの先端部29xaと外壁28の内面との距離G1が小さくなるように仕切り部29xが延びていればよい。この場合において、仕切り部29xの先端部29xaによる断熱部33の損傷を防止するために、仕切り部29xの基部29xbと外壁28の内面との距離が最短となる方向Dnよりも下向きとなる方向に仕切り部29xが延びていることが好ましい。また、図6に示される例では、仕切り部29xは上下方向で内径が一定の略円筒形状を有し、断面が直線状となる構成とされたが、仕切り部29xの形状はこの場合に限定されない。例えば、略円筒形状の仕切り部29xにおいて、基部29xbと先端部29xaとの間で傾斜が変わる略L字状の断面を有する構成としてもよい。この場合、仕切り部29xの基部29xb側の部分に対して先端部29xa側の部分が内向きとなるように構成することで、仕切り部29xの断面が直線状とされる場合と比べ、仕切り部29xと断熱部33との接触面積を大きくすることができる。よって、断熱部33の損傷をより確実に防止できる。
【0042】
また、図6に示されるように、仕切り部29xが、内壁29の下壁部29bにおける水平方向の外周縁部29b1に設けられる場合、仕切り部29xを、外壁28の内面に沿うように且つ隙間が小さくなるように設けることが容易となる。さらには、図6に示されるように、仕切り部29xの基部29xbが、外周縁部29b1の外周端よりも内周側に設けられることで、すなわち側壁部29aよりも内周側に設けられることで、上部空間32の上下方向の2箇所に、断面が略逆三角形状となる空間32a及び32bを形成することができる。この場合において、仕切り部29xの先端部29xaと外壁28の内面との距離G1は、内壁29の側壁部29aにおける下端部と外壁28の内面との距離G2よりも小さい。また、内壁29の側壁部29aにおける下端部と外壁28の内面との距離G2は、第1断熱部材34及び第2断熱部材35の厚さすなわち2枚分の断熱部材の厚さ以下となるように設けられる。内壁29の側壁部29aにおける下端部と外壁28の内面との隙間Sに、第1断熱部材34及び第2断熱部材35が重なる断熱部33の中央部の下側部分が配置され、側壁部29aの下端部と外壁28の内面とにより挟まれる。したがって、上部空間32の上下方向の2箇所において、断熱部33が支持され、且つ下部空間20からの冷却風の流入を抑制することができる。
【0043】
また、図6に示される例では、断熱部33の上下方向で最も薄い部分が、仕切り部29xの先端部29xaと外壁28の内面とにより挟まれ、この挟まれた部分よりも上方に、より厚い部分が設けられる。このように断熱部33の上下方向において厚さを変化させることで、下方にすぼまった形状の外壁28により空間30の幅が上下方向で変化する場合でも、空間30に効率的に断熱部33を配置することができ、本体2の胴周りにおいて高い断熱効果が得られる。図6に示されるように断熱部33が複数枚の断熱部材で構成される場合、断熱部材の厚さ方向での積層枚数を断熱部33の上下方向で異ならせることで、断熱部33の厚さを上下方向で変化させる構成が容易に実現できる。具体的には、断熱部材の積層枚数が最も少ない部分が、仕切り部29xの先端部29xaと外壁28の内面とにより挟まれ、この挟まれた部分よりも上方に、断熱部材の積層枚数がより多い部分が設けられるように構成すればよい。
【0044】
また、図6に示される例では、断熱部33において下端部33aが仕切り構造を担うものとし、この部分以外は全て上部空間32に配置されるものとしたが、仕切り構造は、断熱部33のどの部分で構成されてもよい。例えば、断熱部33の下端部の一部が下部空間20にはみ出るように、断熱部33が配置されてもよい。ただし、断熱部33の下部空間20にはみ出る部分が短い方が、断熱部33の無駄が無く、また、下部空間20における冷却風の流れが阻害されずに済む。
【0045】
なお、仕切り部29xは、内壁29と外壁28との間において固定して設けられていればよく、図6に示されるように内壁29と同部材で構成されても、あるいは内壁29と別の部材で構成されてもよい。図6に示される例では、内壁29の下側は、誘導加熱コイル19が設けられるコイルベースで構成され、コイルベースの部材が延長されて仕切り部29xが構成されている。
【0046】
図7は、図1の炊飯器1の本体2内部の構成を示す斜視図である。図7には、炊飯器1において外壁28の前側壁部28a及び後壁部28bを取り外した状態が示される。図8は、図3の本体2の内壁29に第1断熱部材34を組み付けた状態を示す斜視図である。図9は、図8の第1断熱部材34が組み付けられた本体2の内壁29に第2断熱部材35を組み付けた状態を示す斜視図である。図10は、図9の本体2の内壁29と断熱部33との組み付け前の状態を示す斜視図である。図1及び図7図10に基づき、断熱部33の径方向の位置を規制する構造について説明する。なお、説明を容易にするために、図8図10では内壁29の下側部分が省略されている。
【0047】
図1に示されるように、内壁29の上端部から外壁28側へ延びた本体上壁部27は、内釜4の上端部を支持する支持部材である。また、図7図10に示されるように、本体上壁部27には、断熱部33の径方向の位置を規制する構造が設けられている。具体的には、図8及び図10に示されるように、本体上壁部27には、下方に延びた第1突起部27aが設けられている。また、図7図9及び図10に示されるように、本体上壁部27には、第1突起部27aよりも外壁28側に設けられ、下方に延びた第2突起部27bが設けられている。
【0048】
図10に示されるように、第1突起部27a及び第2突起部27bのそれぞれは、周方向において間隔をあけて複数設けられている。図8に示されるように、第1突起部27aは、径方向において重なるように設けられた第1断熱部材34及び第2断熱部材35のうち内側に配置された第1断熱部材34の上端部を外側から支持する。つまり、第1突起部27aは、第1断熱部材34の上端部における外壁28側の面を支持する。また、図9に示されるように、第2突起部27bは、第1断熱部材34及び第2断熱部材35のうち外側に配置された第2断熱部材35の上端部を外側から支持する。つまり、第2突起部27bは、第2断熱部材35の上端部における外壁28側の面を支持する。また、具体的には、第1断熱部材34の上端部は、上部空間32(図1参照)において内壁29と第1突起部27aとの間に配置され、第2断熱部材35の上端部は、上部空間32(図1参照)において内壁29と第2突起部27bとの間に配置される。第2断熱部材35は、第1突起部27aにより支持された第1断熱部材34の外側に設けられる。より詳しくは、第2断熱部材35の上端部は、第1突起部27aと第2突起部27bとの間に配置される。
【0049】
このような炊飯器1は、例えば以下の製造方法により製造することができる。まず、図8に示されるように、本体上壁部27が取り付けられた内壁29に、第1断熱部材34が巻き付けられ、内壁29と第1突起部27aとの間に、第1断熱部材34の上端部が差し込まれる。次に、図9に示されるように、内壁29に巻き付けられた第1断熱部材34の外周側に重ねるように第2断熱部材35が巻き付けられ、第1突起部27aと第2突起部27bとの間に、第2断熱部材35の上端部が差し込まれる。そして、断熱部33が巻かれた内壁29に、図3に示される本体2の外壁28及び蓋体3等が組み付けられる。外壁28が組み付けられる際、内壁29から延びた仕切り部29xの先端部29xaと外壁28の内面とにより断熱部33の下端部33aが挟まれることで、上部空間32と下部空間20とが仕切られる。
【0050】
上記のように本体上壁部27に断熱部33の径方向の位置を規制する構造、つまり第1突起部27a及び第2突起部27bが設けられる構成では、断熱部33が巻かれた本体2の内壁29に外壁28が組み付けられる際、断熱部33が外側に開くことが抑制され、外壁28の組み付けが容易となる。また、図8に示されるように断熱部33が複数枚の断熱部材で構成される場合において各断熱部材を支持する第1突起部27a及び第2突起部27bを設ける場合、各断熱部材の上端部が外側へ倒れることが抑制できるので、一枚ずつ巻き付ける作業が容易となる。
【0051】
また、図10に示されるように、第2突起部27bは、水平方向において内壁29の側壁部29aに沿うように円弧状に設けられるが、内側の第1突起部27aは、径方向に延びた形状とされ、第1突起部27aには、下部且つ内壁29側に切り欠き部27a1が形成されている。したがって、図8に示されるように第1断熱部材34の上端部が内壁29と第1突起部27aとの間に差し込まれた際、第1断熱部材34の上面34uが第1突起部27aの切り欠き部27a1の上面に接触することで、第1断熱部材34の高さが、第2断熱部材35の高さよりも低い位置に規制される。よって、複数の断熱部材を上下方向にずらして内壁29に組み付けることが容易にできる。また、第1突起部27a及び第2突起部27bのうち、内側の第1突起部27aの下端は外側の第2突起部27bの下端よりも下方に配置される。これにより、内側に配置する第1断熱部材を巻き付けて差し込む際に、差し込む位置が視認できる。
【0052】
なお、炊飯器1の製造方法は、上記の方法に限定されない。例えば、図1に示される本体2の内壁29と外壁28とを組み付けた後であって、本体上壁部27を組み付ける前に、上側から上部空間32に断熱部33が差し込まれてもよい。断熱部33が差し込まれる際、仕切り部29xの先端部29xaと外壁28の内面との隙間S(図6参照)に断熱部33の下端部33aが差し込まれると止まる。
【0053】
上部空間32に上から断熱部33が差し込まれる構成では、第1突起部27a及び第2突起部27bは省略できる。また、上部空間32に上から断熱部33が差し込まれる場合、差し込まれた断熱部33の下端部33aが、仕切り部29xの先端部29xaと外壁28の内面との隙間Sに嵌るように、断熱部33において下端部33aが最も薄くなるように構成することが好ましい。
【0054】
図11は、実施の形態1に係る炊飯器1の断熱部33の変形例を示す斜視図である。図12は、図11の断熱部33の縦断面図である。図11及び図12に示される変形例では、断熱部33は、1枚のシート状の断熱部材で構成される。
【0055】
図11及び図12に示される変形例においても、図6に示される例と同様、断熱部33において下端部33aの厚さTaが最も薄く、下端部33aが、図6に示される仕切り部29xの先端部29xaと外壁28の内面との間に挟まれ、仕切り構造として機能する。また、図12に示される変形例でも、図6に示される例と同様、断熱部33において仕切り部29xの先端部29xaと外壁28の内面との間に挟まれる部分よりも上側に、下端部33aの厚さTaよりも大きい厚さTbを有した中央部33bが設けられている。また、断熱部33の上端部33cの厚さTcは、下端部33aの厚さTaと同じである。なお、断熱部33の上端部33cの厚さTcは、上部空間32に設置される部材等に応じて設定すればよい。
【0056】
図12に示されるように、シート状の断熱部材の厚さを上下方向において変化させることで、図6に示されるように複数枚で構成される場合と同様、上部空間32の形状に合わせて断熱部33を配置することができる。また、図12に示される変形例では、断熱部33の中央部33bと下端部33aとの段差を無くすように中央部33bの下側部分の厚さが下側に向かって次第に薄くなる構成とされている。このような構成により、図6に示されるように断熱部33が複数枚のシートで構成される場合と比べ、より上部空間32の形状に合わせて断熱部33を隙間無く設けることができ、断熱性能が向上する。なお、断熱部33において仕切り部29xの先端部29xaと外壁28の内面との間に挟まれる部分が最も薄い構成であればよく、断熱部33の上下方向のどの部分が、仕切り部29xの先端部29xaと外壁28の内面との間に挟まれてもよい。ただし、断熱部33を効率的に上部空間32に配置するためには、断熱部33において仕切り構造を担う部分は、上下方向の中央よりも下側の部分であるとよい。また、変形例のように、断熱部33が1枚のシート状の断熱部材で構成される場合でも、図3に示される場合と同様、断熱部材に周方向の位置の目印となる構造を設けるとよい。図11に示される例では、周方向の目印として、断熱部材に凹部33rが形成されている。なお、周方向の目印は、特にこの構造に限定されず、凸部であってもよい。
【0057】
以上のように、実施の形態1の炊飯器1は、上方が開口した本体2と、本体2の開口から本体2に出し入れ自在に収納される上方が開口した内釜4と、内釜4の開口を開閉自在に覆う蓋体3と、内釜4の下部を加熱する加熱コイル(誘導加熱コイル19)と、加熱コイルを冷却するファン(冷却ファン22)と、を備える。本体2は、上側の幅よりも下側の幅が小さくなるように下方にすぼまった形状を有した外壁28と、本体2に収納された内釜4に対向する内壁29と、内壁29から外壁28に近づくように延びた仕切り部29xと、を有する。また、本体2は、外壁28と内壁29との間に形成された空間30に設けられ、仕切り部29xの先端部29xaと外壁28の内面とにより挟まれた断熱部33を有する。空間30は、仕切り部29xと断熱部33とにより、加熱コイルが配置され、ファンにより外気が流通する冷却風路となる下部空間20と、下部空間20よりも上方に形成された上部空間32とに仕切られている。
【0058】
仕切り部29xと断熱部33の挟まれた部分(例えば、下端部33a)とによって上部空間32と冷却風路である下部空間20とが仕切られる。よって、従来のように断熱部の下端部に折り返し部を設けることなく、上部空間32への冷却風の侵入を抑止でき、内釜4の熱が本体2の胴周りから外部へ逃げにくい構成とできる。そして、外壁28と内壁29との間に折り返し部が入るスペースを確保する必要が無く、本開示では外壁28が下方にすぼまった形状を有しているから、本体2の胴周りのサイズを従来よりも小さくできる。
【0059】
また、断熱部33は、本体2の径方向に重ねた複数のシート状の断熱部材(例えば、第1断熱部材34及び第2断熱部材35)で構成され、複数の断熱部材が重なった部分と、一枚で構成される部分と、を有する。これにより、断熱部材の枚数、及び重なった部分と一枚で構成される部分との配置によって、空間30の形状を、断熱部33の形状に合うように調整でき、断熱性能を高めることができる。
【0060】
また、断熱部33において複数の断熱部材が重なった部分(例えば、中央部)は、仕切り部29xの先端部29xaと外壁28の内面とにより挟まれた部位(例えば、下端部33a)よりも上方にのみ設けられる。これにより、下方にすぼまった形状を有した外壁28と、仕切り部29xとの間に形成される空間32aの形状に、複数の断熱部材で構成された断熱部33の形状を合わせることができ、上部空間32に無駄なく断熱部33を配置できる。
【0061】
また、断熱部33は、仕切り部29xの先端部29xaと外壁28の内面とにより挟まれた部位(例えば、下端部33a)の厚さが他の部位の厚さ以下の薄さとなるように形成されている。これにより、下方にすぼまった形状を有した外壁28と、仕切り部29xとの間に形成される空間32aの形状に、例えば1枚の断熱部材で構成された断熱部33の形状を合わせることができ、上部空間32に無駄なく断熱部33を配置できる。
【0062】
また、断熱部33は、下端部33aの厚さTaが最も薄くなるように形成され、下端部33aが、仕切り部29xの先端部29xaと外壁28の内面とにより挟まれている。これにより、外壁28と仕切り部29xとの間に形成される空間32aの形状に断熱部33の形状を合わせて断熱部33を無駄なく配置できるとともに、下方への断熱部33の抜け落ちが抑制できる。
【0063】
また、内釜4の上部には、外周側へ突出した釜突起部4aが設けられ、本体2は、内壁29の上端部から外壁28側へ延び、内釜4の釜突起部4aを支持する支持部材(本体上壁部27)を有する。支持部材には、下方に延び、断熱部33の外壁28側の面を支持する突起部(第1突起部27a及び第2突起部27b)が設けられている。
【0064】
これにより、断熱部33を内壁29に巻き付けた状態で、外壁28が組み付けられる製造方法により炊飯器1が製造される場合でも、組み付け時に断熱部33の上端部が外側へ倒れることが抑制できる。よって、製造性がよい炊飯器1が提供できる。
【0065】
また、断熱部33は、シート状の第1断熱部材34と、第1断熱部材34の外周側に設けられたシート状の第2断熱部材35と、を有する。そして、支持部材(本体上壁部27)に設けられた突起部は、第1断熱部材34の外壁28側の面を支持する第1突起部27aと、支持部材において第1突起部27aよりも外周側に設けられ、第2断熱部材35の外壁28側の面を支持する第2突起部27bと、を有する。
【0066】
これにより、第1断熱部材34及び第2断熱部材35を1枚ずつ内壁29に巻き付ける製造方法により炊飯器1が製造される場合でも、第1断熱部材34の外側に第2断熱部材35を巻き付ける際、第1断熱部材34の上端部が外側へ倒れることが抑制できる。よって、製造性がよい炊飯器1が提供できる。
【0067】
また、第1断熱部材34と第2断熱部材35とは、第2断熱部材35の上面が第1断熱部材34の上面34uよりも上方に位置するように配置されている。これにより、第1断熱部材34と第2断熱部材35とに上下方向の幅が同じ断熱部材を用いても、第1断熱部材34と第2断熱部材35との上下方向の高さを違えることで、断熱部33の下部に下方へ向かって薄くなる形状を形成でき、上部空間32の下側の形状に容易に合わせることができる。
【0068】
なお、今回開示された各実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0069】
1 炊飯器、2 本体、3 蓋体、4 内釜、4a 釜突起部、5 蓋上面カバー、8 基板室、9 操作部、9a 操作キー、10 操作基板、11 制御基板、12 排気口、13 係止解除ボタン、14 回動軸、17 内蓋、18 シールパッキン、19 誘導加熱コイル、20 下部空間、21 ヒートシンク、22 冷却ファン、24 吸込口、25 後部空間、25a 隙間、26 排出口、27 本体上壁部、27a 第1突起部、27a1 切り欠き部、27b 第2突起部、28 外壁、28a 前側壁部、28b 後壁部、28c 下壁部、29 内壁、29a 側壁部、29b 下壁部、29b1 外周縁部、29x 仕切り部、29xa 先端部、29xb 基部、30 空間、32 上部空間、32a、32b 空間、33 断熱部、33a 下端部、33b 中央部、33c 上端部、33r 凹部、34 第1断熱部材、34r 第1凹部、34u 上面、35 第2断熱部材、35r 第2凹部、Dn 方向、G1 距離、G2 距離、S 隙間、Ta 厚さ、Tb 厚さ、Tc 厚さ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12