(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】換気扇および換気扇の施工方法
(51)【国際特許分類】
F24F 7/10 20060101AFI20241108BHJP
F24F 13/20 20060101ALI20241108BHJP
F24F 13/32 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
F24F7/10 101B
F24F13/20 205
F24F13/32
(21)【出願番号】P 2022045747
(22)【出願日】2022-03-22
【審査請求日】2024-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】古谷 靖明
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-188717(JP,A)
【文献】特開平07-063388(JP,A)
【文献】特開2002-130797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/10
F24F 13/20
F24F 13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井に形成された設置孔を用いて前記天井に設置される換気扇であって、
室内の空気を吸気する吸気口および吸気した空気を排気する排気口が形成された箱状の筐体と、前記筐体の内部に配置されたファンとを有する換気扇本体と、
前記設置孔の開口縁に沿って配置されて、前記換気扇本体が内周側に挿入される枠状の取付部材と、
前記天井の上方に形成された天井裏に吊り下げられたアンカーボルトと前記取付部材とを連結する連結部材と、
を備え、
前記取付部材の内周縁には、上方に向かって延びる切起部が設けられ、
前記筐体のうち前記取付部材の方を向く側面には、前記取付部材の外周側に向かって斜め下方に延びて弾性変形可能な弾性部材が設けられ、
前記弾性部材の下端部は、前記切起部よりも前記取付部材の外周側に位置して
おり、
前記連結部材は、前記切起部よりも前記取付部材の外周側に位置しており、
前記連結部材には、前記取付部材の外周側に向かって突出する絞り部が設けられ、
前記取付部材の内周側から外周側に向かう方向に平行な方向を内外方向として、上下方向および前記内外方向と直交する方向を直交方向としたときに、前記絞り部は、前記直交方向に、前記弾性部材の下端部を挟んで配置される一対の側壁部を有していることを特徴とする換気扇。
【請求項2】
前記絞り部と前記切起部とに囲われた開口領域が形成され、
前記開口領域の前記内外方向に沿った寸法は、前記弾性部材の下端部の前記内外方向に沿った寸法よりも大きいことを特徴とする請求項
1に記載の換気扇。
【請求項3】
請求項1
または2に記載の換気扇の施工方法であって、
前記換気扇本体を持ち上げて前記取付部材の下方から前記取付部材の内周側に挿入し、前記弾性部材の下端部が前記切起部の上端部を乗り越えるまで前記換気扇本体を前記取付部材の内周側に挿入する挿入工程と、
前記挿入工程の後に、前記換気扇本体を下げて前記弾性部材を前記切起部の上端部に引っ掛ける仮固定工程と、
前記仮固定工程の後に、前記換気扇本体を持ち上げて前記取付部材に密着させ、第1の締結部材により前記換気扇本体を前記取付部材に固定する本固定工程と、
前記弾性部材を前記換気扇本体に固定する第2の締結部材を取り外して、前記弾性部材の下端部が前記切起部と前記絞り部との間に位置するように前記弾性部材を落下させる第1の取外工程と、
前記第1の取外工程の後に、前記第1の締結部材を取り外して、前記換気扇本体を前記取付部材から取り外す第2の取外工程と、
を含むことを特徴とする換気扇の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建物の天井に設置される換気扇、この換気扇の施工方法および取付部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の天井に設置される換気扇が知られている。このような天井取付型の換気扇は、室内の空気を吸い込む換気扇本体を備え、換気扇本体に接続されたダクトを通じて室内の空気を室外に排気する。換気扇本体は、天井に開けられた孔を用いて天井に設置されている。換気扇本体には、ダクトを接続するためのダクト接続部が取り付けられている。
【0003】
建物の天井に換気扇を設置する方法としては、特許文献1に開示されているように、天井の孔の周縁に沿って枠状の取付部材を配置して、取付部材に換気扇本体をねじなどで固定する方法が一般的である。取付部材は、天井裏に吊り下げられたアンカーボルトに、直接固定されるか、または、天吊用金具を介して固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、換気扇本体を天井まで持ち上げてから取付部材に固定するまでの間、換気扇本体を取付部材との固定位置で作業者が常に保持し続ける必要がある。そのため、天井への換気扇本体の設置作業が行いにくいという問題がある。
【0006】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、天井への換気扇本体の設置作業が行いやすくなる換気扇を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示にかかる換気扇は、天井に形成された設置孔を用いて天井に設置される換気扇であって、室内の空気を吸気する吸気口および吸気した空気を排気する排気口が形成された箱状の筐体と、筐体の内部に配置されたファンとを有する換気扇本体と、設置孔の開口縁に沿って配置されて、換気扇本体が内周側に挿入される枠状の取付部材と、天井の上方に形成された天井裏に吊り下げられたアンカーボルトと取付部材とを連結する連結部材と、を備えている。取付部材の内周縁には、上方に向かって延びる切起部が設けられている。筐体のうち取付部材の方を向く側面には、取付部材の外周側に向かって斜め下方に延びて弾性変形可能な弾性部材が設けられている。弾性部材の下端部は、切起部よりも取付部材の外周側に位置している。連結部材は、切起部よりも取付部材の外周側に位置している。連結部材には、取付部材の外周側に向かって突出する絞り部が設けられている。取付部材の内周側から外周側に向かう方向に平行な方向を内外方向として、上下方向および内外方向と直交する方向を直交方向としたときに、絞り部は、直交方向に、弾性部材の下端部を挟んで配置される一対の側壁部を有している。
【発明の効果】
【0008】
本開示にかかる換気扇は、天井への換気扇本体の設置作業が行いやすくなるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1にかかる換気扇を天井裏側から見た斜視図であって、換気扇本体から化粧グリルを取り外した状態を示した図
【
図2】実施の形態1にかかる換気扇を室内側から見た斜視図であって、換気扇本体から化粧グリルを取り外した状態を示した図
【
図3】実施の形態1にかかる換気扇を示した鉛直断面図
【
図4】実施の形態1にかかる換気扇を室内側から見た図であって、
図3に示される化粧グリルを取り外した状態を示した図
【
図5】実施の形態1における換気扇を天井裏側から見た斜視図
【
図6】実施の形態1にかかる換気扇を示した鉛直断面図であって、換気扇が建物の天井裏に設置された状態を示した図
【
図7】実施の形態1にかかる換気扇を示した断面斜視図であって、換気扇が建物の天井裏に設置された状態を示した図
【
図8】実施の形態1における換気扇本体、取付部材および連結部材を組み付けた状態を模式的に示した鉛直断面図
【
図9】実施の形態1におけるアンカーボルト、連結部材および取付部材を天井裏側から見た斜視図
【
図10】実施の形態1における連結部材を示した斜視図
【
図11】実施の形態1における換気扇本体、取付部材および連結部材を組み付けた状態を模式的に示した水平断面図
【
図12】実施の形態1にかかる換気扇の施工方法の準備工程を模式的に示した鉛直断面図
【
図13】実施の形態1にかかる換気扇の施工方法の挿入工程を模式的に示した鉛直断面図であって、弾性部材が切起部に接触している挿入途中の状態を示した図
【
図14】実施の形態1にかかる換気扇の施工方法の挿入工程を模式的に示した鉛直断面図であって、弾性部材が切起部の上方に位置している挿入後の状態を示した図
【
図15】実施の形態1にかかる換気扇の施工方法の仮固定工程を模式的に示した鉛直断面図
【
図16】実施の形態1にかかる換気扇の施工方法の仮固定工程を模式的に示した水平断面図
【
図17】実施の形態1にかかる換気扇の施工方法の本固定工程を模式的に示した鉛直断面図
【
図18】実施の形態1にかかる換気扇の施工方法の第1の取外工程を模式的に示した鉛直断面図
【
図19】実施の形態1にかかる換気扇の施工方法の第2の取外工程を模式的に示した鉛直断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、実施の形態にかかる換気扇、換気扇の施工方法および取付部材を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる換気扇1を天井裏21側から見た斜視図であって、換気扇本体2から化粧グリル6を取り外した状態を示した図である。
図1に示すように、換気扇1は、換気扇本体2と、ダクト接続部材3と、取付部材4と、連結部材5と、化粧グリル6とを備えている。
【0012】
天井20には、室内と天井裏21とを連通する設置孔20aが形成されている。
図1において、天井20の紙面上側が天井裏21で、天井20の紙面下側が室内となる。
図1では、取付部材4を見せるために、天井20の一部を切り欠いて図示している。設置孔20aの形状は、本実施の形態では四角形である。換気扇1は、天井20に形成された設置孔20aを用いて天井20に設置される。天井20の上方には、天井裏21が形成されている。換気扇1は、設置孔20aから天井裏21に亘って設置される。天井裏21は、天井20と図示しない上階スラブとの間に形成された空間である。天井裏21には、複数本のアンカーボルト18が吊り下げられている。アンカーボルト18は、上階スラブから吊り下げられている。
【0013】
図2は、実施の形態1にかかる換気扇1を室内側から見た斜視図であって、換気扇本体2から化粧グリル6を取り外した状態を示した図である。
図1および
図2に示すように、換気扇本体2は、箱状の筐体2aと、筐体2aの内部に配置されたファン2bとを有している。
【0014】
図1に示すように、筐体2aは、天面2cと、4つの側面2dとを有している。また、
図2に示すように、筐体2aは、底面2eを有している。底面2eは、天面2cの下方に天面2cから離れて配置されている。4つの側面2dは、天面2cと底面2eとを繋いでいる。筐体2aには、室内の空気を吸気する吸気口2fが形成されている。吸気口2fは、筐体2aのうち室内の方を向く面、本実施の形態では筐体2aの底面2eに開口している。筐体2aは、吸気口2fを室内に向けて設置されている。底面2eのうち吸気口2fの周縁には、吸気口2fの中心から離れる方向に張り出す取付フランジ部2hが形成されている。
図1に示すように、筐体2aには、吸気した空気を排気する排気口2gが形成されている。排気口2gは、筐体2aの4つの側面2dのうちの1つの側面2dに開口している。
【0015】
図3は、実施の形態1にかかる換気扇1を示した鉛直断面図である。
図3では、アンカーボルト18、連結部材5および取付部材4の図示を省略している。
図3に示すように、ファン2bは、筐体2aの内部に設置されて、吸気口2fから筐体2aの内部に流入して排気口2gから流出する空気流を生成する機器である。ファン2bは、ファンケーシング2iと、モータ2jと、羽根2kとを有している。
【0016】
ファンケーシング2iのうち室内の方を向く底面には、吸気口2fから筐体2aの内部に流入した空気を吸い込む吸込口2mが形成されている。ファンケーシング2iの側面には、ファンケーシング2iの内部の空気を排気口2gに向けて流出する流出口2nが形成されている。ファン2bは、吸込口2mを吸気口2fに向けて、かつ、流出口2nを排気口2gに向けて設置されている。ファンケーシング2iは、図示しないねじにより筐体2aの天面2cに固定されている。
図2に示すように、ファンケーシング2iのうち室内の方を向く底面には、スプリング固定部品2oが図示しないねじまたは係止めにて取り付けられている。
【0017】
図3に示されるモータ2jは、羽根2kを回転させる。モータ2jは、筐体2aの天面2cに固定されている。羽根2kは、ファンケーシング2iの内部に配置されている。羽根2kは、モータ2jのシャフト2pに取り付けられている。
【0018】
ダクト接続部材3は、排気口2gに連通するように筐体2aの側面2dに着脱可能に取り付けられて、ダクト14が接続される部材である。
図1に示すように、ダクト接続部材3は、縦壁3aと、接続部3bとを有している。
【0019】
縦壁3aは、取付部材4に固定されて取付部材4から上方に向かって延びている。具体的な図示は省略するが、縦壁3aは、ねじなどにより取付部材4に固定される。縦壁3aは、筐体2aの側面2dと平行である。接続部3bは、縦壁3aから換気扇本体2と離れる方向に延びている。
【0020】
接続部3bは、ダクト14が接続される部分である。接続部3bは、縦壁3aから縦壁3aの直角方向に延びている。接続部3bは、筒状に形成されている。接続部3bの形状は、吸気側から排気側に向かって四角筒状の部分と円筒状の部分とが連なった形状である。接続部3bのうち円筒状の部分の外形は、直径の異なる部分を有する段差状である。接続部3bのうち円筒状の部分の直径は、換気扇本体2から離れるにつれて小さくなっている。接続部3bのうち円筒状の部分の外形が直径の異なる段差状であることにより、内径の異なる複数のダクト14を選択的に接続部3bに接続可能であるとともに、接続部3bにダクト14を固定するためのテープの巻き付け作業が容易になる。
【0021】
図3に示すように、接続部3bは、筐体2aの排気口2gとダクト14とを連通する。接続部3bは、筐体2aからの空気の排出位置をダクト14に連通する位置まで延長する役割を果たしている。接続部3bの内部には、風圧にて開閉するシャッタ7が設置されている。シャッタ7は、換気扇1の運転時には風圧で開き、換気扇1の停止時にはシャッタ7の自重で接続部3bの内部を閉鎖する。接続部3bの内部にシャッタ7が設置されることにより、例えば、ダクト14が室外に繋がる場合には、換気扇1の停止時に外気がダクト14を通じて室内に侵入することを防止できる。
【0022】
換気扇1は、化粧グリル6の後記する格子部6aおよび筐体2aの吸気口2fから室内の空気を吸い込んで、排気口2g、ダクト接続部材3およびダクト14を通じて室外または別の室内空間に向かって排気する装置である。換気扇1は、ダクト14が室外に繋がる場合には室内の空気を室外に排気する排気用の換気扇として機能し、ダクト14が別の室内空間に繋がる場合には室内で空気を循環させる循環用換気扇として機能する。ダクト14が室外に繋がる場合には、ダクト14は、室外まで延びて建物の外壁に備え付けられた図示しないフードなどと連結し、建物内の空気を換気する換気風路を形成する。
【0023】
図4は、実施の形態1にかかる換気扇1を室内側から見た図であって、
図3に示される化粧グリル6を取り外した状態を示した図である。
図4に示すように、ファンケーシング2iのうち室内の方を向く底面には、開閉可能な端子カバー10が取り付けられている。端子カバー10は、円柱状の回転軸10aを有している。ファンケーシング2iには、回転軸10aを回転可能に支持する支持部2sが設けられている。支持部2sには、回転軸10aが挿入される回転穴が形成されている。端子カバー10は、回転軸10aを中心に回転する。
【0024】
端子カバー10で覆われた空間には、図示しない外部電源と接続される電源接続装置11が配置されている。端子カバー10は、開閉可能である。端子カバー10は閉じているときに電源接続装置11を覆う。ファンケーシング2iには、端子カバー10の周囲を取り囲む保護壁2tが設けられている。端子カバー10が閉じているときには、端子カバー10と保護壁2tとにより電源接続装置11を収容するスペースの密閉度を向上させることができる。一方で、端子カバー10が開いているときには、電源接続装置11へのアクセスが可能となるため、外部電源と電源接続装置11とを接続する図示しない外部電源電線を電源接続装置11に室内から容易に接続可能である。
図3に示すように、端子カバー10のうち室内の方を向く面には、作業者が指を掛けるための指引掛部10bが設けられている。これにより、端子カバー10を開けやすくなっている。
図4に示される電源接続装置11は、端子カバー10にて風路と隔離されている。これにより、風路から電源接続装置11への埃、湿気などの侵入を抑制することができる。
【0025】
図5は、実施の形態1における換気扇1を天井裏21側から見た斜視図である。
図5では、アンカーボルト18、連結部材5および取付部材4の図示を省略している。モータ電線12は、筐体2aの天面2cに沿って配線されていて、天面2cに設けられたブッシュ13を通じて筐体2aの内部、すなわち電源接続装置11を収納する部分に引き込まれている。モータ電線12は、モータ2jと
図4に示される電源接続装置11とを電気的に接続している。図示しない外部電源から供給された電力は、電源接続装置11およびモータ電線12を介して、モータ2jに伝わる。電気エネルギーが
図3に示されるモータ2jのシャフト2pの回転運動に変換されることにより、モータ2jの回転運動が羽根2kに伝達されて、羽根2kが回転する。羽根2kが回転することにより、ファンケーシング2iで形成された風路内に、吸気口2fから排気口2gに向かう気流が生成される。
【0026】
図2に示すように、化粧グリル6は、設置孔20aを下方から覆うように、天井20のうち室内の方を向く面に配置されている。化粧グリル6は、ファン2bなどの内部部品を室内から見えないように隠すための意匠部品である。これにより、室内側から換気扇1を見たときの見栄えが損なわれない。化粧グリル6は、室内の空気が通過可能な格子部6aと、格子部6aの周縁に取り付けられたフレーム部6bとを有している。
図1に示すように、化粧グリル6は、スプリング6cをさらに有している。
図2に示されるファンケーシング2iに取り付けられているスプリング固定部品2oに
図1に示されるスプリング6cを引っ掛けることにより、化粧グリル6はファンケーシング2iに固定される。
【0027】
図1に示すように、取付部材4は、設置孔20aの開口縁に沿って配置されて、換気扇本体2が内周側に挿入される枠状の部材である。取付部材4の形状は、本実施の形態では、四角枠状である。
図6は、実施の形態1にかかる換気扇1を示した鉛直断面図であって、換気扇1が建物の天井裏21に設置された状態を示した図である。なお、
図6では、化粧グリル6の図示を省略している。
図6に示すように、取付部材4は、第1のフランジ部4aと、第2のフランジ部4bと、第3のフランジ部4cと、切起部4dとを有している。第1のフランジ部4aと第2のフランジ部4bと第3のフランジ部4cと切起部4dとは、取付部材4の外周から内周に向かってこの順番に配置されている。以下、枠状の取付部材4の外周から内周に向かう方向を取付部材4の内周側と称し、取付部材4の内周から外周に向かう方向を取付部材4の外周側とする。
【0028】
第1のフランジ部4aは、水平方向に延びている。第1のフランジ部4aは、天井20の室内の方を向く面に接触している。第1のフランジ部4aは、天井20の室内の方を向く面と平行である。第1のフランジ部4aは、
図3に示される化粧グリル6によって室内から見えないように隠されている。
【0029】
第2のフランジ部4bは、第1のフランジ部4aの内周側の端部から上方に向かって延びている。第2のフランジ部4bは、第1のフランジ部4aと直交している。第2のフランジ部4bは、設置孔20aの内壁に接触している。第2のフランジ部4bは、設置孔20aの内壁と平行である。
【0030】
第3のフランジ部4cは、第2のフランジ部4bの上端部から内周側に向かって水平に延びている。第3のフランジ部4cは、第2のフランジ部4bと直交している。第3のフランジ部4cは、第1のフランジ部4aと平行である。第3のフランジ部4cは、設置孔20aの内部に配置されている。第3のフランジ部4cは、取付フランジ部2hの上方に取付フランジ部2hから離れて配置されている。
【0031】
図7は、実施の形態1にかかる換気扇1を示した断面斜視図であって、換気扇1が建物の天井裏21に設置された状態を示した図である。
図8は、実施の形態1における換気扇本体2、取付部材4および連結部材5を組み付けた状態を模式的に示した鉛直断面図である。
図8では、簡略化のため換気扇本体2の一部、取付部材4の一部、および、連結部材5の一部のみを拡大して図示している。
図7に示すように、第3のフランジ部4cは、取付フランジ部2hの上に重ね合わされている。
図8に示すように、第3のフランジ部4cには、固定孔4fが形成されている。取付フランジ部2hには、固定孔2rが形成されている。第3のフランジ部4cの固定孔4fと取付フランジ部2hの固定孔2rとには、取付部材4と換気扇本体2とを固定する締結部材15が挿入されている。締結部材15は、例えば、ねじである。
【0032】
図9は、実施の形態1におけるアンカーボルト18、連結部材5および取付部材4を天井裏21側から見た斜視図である。切起部4dは、第3のフランジ部4cの内周側の端部から上方に向かって延びている。換言すると、取付部材4の内周縁には、上方に向かって延びる切起部4dが設けられている。取付部材4の内周形状は、複数の辺4hを有する多角形状である。取付部材4の内周形状は、本実施の形態では4つの辺4hを有する四角形である。複数の辺4hのそれぞれには、本実施の形態では2つの切起部4dが設けられているが、少なくとも1つの切起部4dが設けられていればよい。
【0033】
図6に示すように、複数の切起部4dのうち少なくとも1つは、接続部3bの下方に設けられるとともに、縦壁3aよりも取付部材4の外周側で縦壁3aと接触可能な位置に設けられている。縦壁3aに接触可能な切起部4dは、縦壁3aと隙間を空けて配置されている。縦壁3aに接触可能な切起部4dは、ダクト接続部材3が排気側に傾いたときに縦壁3aに接触して、ダクト接続部材3の傾きを抑制する役割を果たしている。切起部4dは、上方に向かうにつれて縦壁3aに近付くように傾斜している。第3のフランジ部4cと切起部4dとが成す角度θ1は、鈍角である。
【0034】
図9に示すように、切起部4dは、連結部材5に固定される部分である。
図9では、8つの切起部4dのうちの2つの切起部4dのそれぞれを連結部材5に固定する状態を図示しているが、実際には全ての切起部4dのそれぞれを連結部材5に固定してもよい。切起部4dには、固定孔4gが形成されている。固定孔4gおよび後記する連結部材5の固定孔5hには、取付部材4と連結部材5とを固定する締結部材17が挿入される。締結部材17は、例えば、ねじである。
【0035】
連結部材5は、天井裏21に吊り下げられたアンカーボルト18と取付部材4とを連結する金属製の部材である。連結部材5は、切起部4dよりも取付部材4の外周側に位置している。連結部材5の形状は、L字状である。連結部材5は、第1の壁5aと、第2の壁5bとを有している。
【0036】
第1の壁5aは、取付部材4の内周縁から上方に向かって延びている。第1の壁5aは、筐体2aの側面2dまたは取付部材4に固定される。第1の壁5aは、本実施の形態では締結部材17により取付部材4の切起部4dに固定されている。第1の壁5aには、設置孔20aから第1の壁5aを見たときに後記する連結孔5iを視認可能な開口部5cが形成されている。開口部5cは、上下方向に延びている。開口部5cの形状は、本実施の形態では矩形状であるが、他の形状であってもよい。開口部5cは、アンカーボルト18を後記する連結孔5iに挿入する際に、作業者がアンカーボルト18と連結孔5iとを視認可能な位置に形成されている。開口部5cは、第1の壁5aの上下方向の中心よりも上方に位置している。
【0037】
アンカーボルト18の中心軸Aと第2の壁5bとの交点Oと、設置孔20aの室内側の開口の中心Cとを結んだ直線を仮想直線L1としたときに、仮想直線L1は第1の壁5aを通過している。第1の壁5aは、交点Oと設置孔20aの室内側の開口の中心Cとの間に位置している。第1の壁5aを通過した仮想直線L1の位置は、開口部5cの上縁と重なる。換言すると、仮想直線L1は、第1の壁5a上で開口部5cの上縁と一致している。ここで、設置孔20aの室内側の開口の中心Cを基点として下向きに5°から30°回転させた仮想直線L1を仮想直線L2としたときに、仮想直線L2は第1の壁5aを通過している。第1の壁5aを通過した仮想直線L2の位置は、開口部5cの下縁と重なる。換言すると、仮想直線L2は、第1の壁5a上で開口部5cの下縁と一致している。仮想直線L1と仮想直線L2とが成す角度θ2は、5°から30°である。開口部5cは、上下方向において仮想直線L1と仮想直線L2との間に位置している。
【0038】
図10は、実施の形態1における連結部材5を示した斜視図である。
図11は、実施の形態1における換気扇本体2、取付部材4および連結部材5を組み付けた状態を模式的に示した水平断面図である。
図11では、簡略化のため換気扇本体2の一部、取付部材4の一部、および、連結部材5の一部のみを拡大して図示している。
図10および
図11に示すように、第1の壁5aには、取付部材4の外周側に向かって突出する絞り部5dが設けられている。絞り部5dは、第1の壁5aの強度を確保する役割を果たしている。
【0039】
図10に示すように、絞り部5dは、第1の壁5aの上下方向の中心よりも下方に位置している。絞り部5dは、開口部5cよりも下方に設けられている。開口部5cと絞り部5dとは、上下方向に互いに離れている。絞り部5dは、第1の壁5aの下端部から上端部に向けた一定の領域に設けられている。
【0040】
以下、
図11に示される取付部材4の内周側から外周側に向かう方向に平行な方向を内外方向とする。また、上下方向および内外方向と直交する方向を直交方向とする。
図11に示すように、絞り部5dは、直交方向に沿って延びる底壁部5eと、底壁部5eのうち直交方向の両端部から内周側に向かって延びる一対の側壁部5fとを有している。絞り部5dの直交方向の両側には、平坦部5gが設けられている。平坦部5gは、側壁部5fの内周側の端部から直交方向に沿って底壁部5eから離れる方向に延びている。
図10に示すように、各平坦部5gのうち下方部分には、固定孔5hが形成されている。
【0041】
図9に示すように、第2の壁5bは、第1の壁5aの上端部から換気扇本体2と離れる方向に延びている。第2の壁5bは、第1の壁5aの上端部から第1の壁5aと交差する方向に延びている。第2の壁5bには、アンカーボルト18が挿入される連結孔5iが形成されている。連結孔5iは、第2の壁5bを上下方向に貫通している。また、連結孔5iは、第1の壁5aと反対側を向く部分が開口している。
図10に示すように、連結孔5iは、第2の壁5bの先端部から第1の壁5aに向かってU字状に切り欠かれている。第2の壁5bのうち連結孔5iを間に挟んだ両側には、一対のアーム部5jが形成されている。一対のアーム部5jの先端部には、上方に向かって曲げられたストッパ部5kが形成されている。
【0042】
図9に示すように、各アンカーボルト18には、2つのナット19が取り付けられている。アンカーボルト18の径方向からアンカーボルト18を連結孔5iに挿入して、ナット19を締め付けて2つのナット19の間に一対のアーム部5jを挟み込むことにより、連結部材5がアンカーボルト18に固定されている。ストッパ部5kは、アンカーボルト18と連結部材5とが水平方向に相対的に移動した際に、上側のナット19に接触して連結孔5iからアンカーボルト18が抜けることを抑制する役割を果たしている。なお、ストッパ部5kは、アーム部5jの先端部から下方に向かって曲げられてもよい。このような構成の場合には、ストッパ部5kは、下側のナット19に接触可能となる。
【0043】
図8に示すように、筐体2aのうち取付部材4の方を向く側面2dには、弾性変形可能な弾性部材8が設けられている。弾性部材8には、例えば、挿入孔8aが形成された板ばねが用いられている。板ばねには、バーリング加工が施されることが望ましい。弾性部材8のうち上部は、筐体2aの側面2dに沿って延びている。弾性部材8のうち上部には、挿入孔8aが形成されている。筐体2aの側面2dには、挿入孔2qが形成されている。筐体2aの挿入孔2qと弾性部材8の挿入孔8aとに筐体2aの内部側から締結部材16を挿入することにより、弾性部材8が筐体2aに固定されている。弾性部材8は、後記するように換気扇本体2を取付部材4の内周側に挿入した際に、切起部4dの上端部に引っ掛けられる。弾性部材8と切起部4dとは、換気扇本体2を取付部材4に仮固定する役割を果たしている。
【0044】
弾性部材8は、取付部材4の外周側に向かって斜め下方に延びている。弾性部材8の下端部8bは、切起部4dよりも取付部材4の外周側に位置している。換言すると、切起部4dは、弾性部材8の下端部8bよりも取付部材4の内周側に位置している。
図11に示すように、弾性部材8の下端部8bは、直交方向において一対の側壁部5fの間に配置されている。換言すると、絞り部5dは、直交方向に、弾性部材8の下端部8bを挟んで配置される一対の側壁部5fを有している。一対の側壁部5fは、弾性部材8の下端部8bを間に挟んで対称に配置されている。換気扇1には、絞り部5dと切起部4dとに囲われた開口領域9が形成されている。開口領域9の内外方向に沿った寸法D1は、弾性部材8の下端部8bの内外方向に沿った寸法D2よりも大きい。
【0045】
次に、
図9、
図12から
図19を参照して、本実施の形態にかかる換気扇1の施工方法について説明する。
図12は、実施の形態1にかかる換気扇1の施工方法の準備工程を模式的に示した鉛直断面図である。
図13は、実施の形態1にかかる換気扇1の施工方法の挿入工程を模式的に示した鉛直断面図であって、弾性部材8が切起部4dに接触している挿入途中の状態を示した図である。
図14は、実施の形態1にかかる換気扇1の施工方法の挿入工程を模式的に示した鉛直断面図であって、弾性部材8が切起部4dの上方に位置している挿入後の状態を示した図である。
図15は、実施の形態1にかかる換気扇1の施工方法の仮固定工程を模式的に示した鉛直断面図である。
図16は、実施の形態1にかかる換気扇1の施工方法の仮固定工程を模式的に示した水平断面図である。
図17は、実施の形態1にかかる換気扇1の施工方法の本固定工程を模式的に示した鉛直断面図である。
図18は、実施の形態1にかかる換気扇1の施工方法の第1の取外工程を模式的に示した鉛直断面図である。
図19は、実施の形態1にかかる換気扇1の施工方法の第2の取外工程を模式的に示した鉛直断面図である。
図12から
図19では、簡略化のため換気扇本体2の一部、取付部材4の一部、および、連結部材5の一部のみを拡大して図示している。
【0046】
はじめに、換気扇1の施工方法として換気扇1の設置方法について説明する。換気扇1の設置方法は、配置工程と、連結工程と、準備工程と、挿入工程と、仮固定工程と、本固定工程とを含んでいる。
【0047】
図9に示すように、配置工程は、天井裏21から吊り下げられたアンカーボルト18に連結部材5を固定して、連結部材5を天井裏21に配置する工程である。配置工程では、アンカーボルト18の径方向からアンカーボルト18を連結孔5iに挿入して、ナット19を締め付けて2つのナット19の間に一対のアーム部5jを挟み込む。これにより、連結部材5がアンカーボルト18に固定される。
【0048】
図9に示すように、連結工程は、設置孔20aの開口縁に沿って取付部材4を配置して、連結部材5によりアンカーボルト18と取付部材4とを連結する工程である。連結工程では、取付部材4の固定孔4gと連結部材5の固定孔5hとに締結部材17を挿入することにより、連結部材5と取付部材4とが互いに固定されて、アンカーボルト18と取付部材4とが連結部材5を介して互いに連結される。
【0049】
図12に示すように、準備工程は、取付部材4の下方に換気扇本体2を準備する工程である。準備工程では、取付部材4の弾性部材8に外力が加わっていない状態であるため、弾性部材8の下端部8bが切起部4dよりも取付部材4の外周側に位置している。
【0050】
図13および
図14に示すように、挿入工程は、換気扇本体2を天井20まで持ち上げて取付部材4の下方から取付部材4の内周側に挿入して、弾性部材8の下端部8bが切起部4dの上端部4eを乗り越えるまで換気扇本体2を取付部材4の内周側に挿入する工程である。
図13に示すように、換気扇本体2を取付部材4の内周側に挿入していくと、弾性部材8の下端部8bが切起部4dに接触して、弾性部材8が切起部4dの内周側に入るように曲がって弾性変形する。
図14に示すように、換気扇本体2を取付部材4の内周側にさらに挿入していくと、弾性部材8の下端部8bが切起部4dの上端部4eを乗り越えて、弾性復元力によって弾性部材8が元の形状に復元し、弾性部材8の下端部8bが切起部4dよりも取付部材4の外周側に位置する。
【0051】
図15に示すように、仮固定工程は、挿入工程の後に、換気扇本体2を下げて弾性部材8を切起部4dの上端部に引っ掛けて、換気扇本体2を取付部材4に仮固定する工程である。
図14に示される状態から換気扇本体2を下げていくと、
図15に示されるように弾性部材8の下端部8bが切起部4dの上端部4eに引っ掛かり、換気扇本体2の自重が弾性部材8を介して切起部4dに支持される。この状態では、換気扇本体2から作業者が手を放しても、それ以上換気扇本体2が下がらず、換気扇本体2が取付部材4に仮固定される。すなわち、仮固定工程では、換気扇本体2を手で支える必要がなく、換気扇本体2から手を放すことができるので、次の本固定工程において使用する締結部材15の準備などを行うことができる。仮固定工程では、弾性部材8の下端部8bが絞り部5dと切起部4dとの間に挟み込まれている。これにより、換気扇本体2の傾きおよびガタつきを抑えることができる。また、
図16に示すように、仮固定工程では、弾性部材8の下端部8bが絞り部5dの底壁部5eに接触するとともに、絞り部5dの一対の側壁部5fが弾性部材8の下端部8bの直交方向の両側に位置している。これにより、弾性部材8の直交方向へのずれを抑えて、弾性部材8が切起部4dから外れることを抑制できる。仮に、切起部4dに引っ掛けられた弾性部材8が直交方向にずれた場合でも、弾性部材8の側面が側壁部5fに接触することで、弾性部材8が切起部4dから外れることを抑制できる。
【0052】
図17に示すように、本固定工程は、仮固定工程の後に、締結部材15により換気扇本体2を取付部材4に固定する工程である。本固定工程では、
図16に示される状態から換気扇本体2を持ち上げて取付部材4に密着させる。本固定工程では、換気扇本体2の取付フランジ部2hを取付部材4の第3のフランジ部4cに密着させて、換気扇本体2の固定孔2rと取付部材4の固定孔4fとに締結部材15を挿入することにより、換気扇本体2と取付部材4とが互いに固定される。
【0053】
次に、換気扇1の施工方法として換気扇本体2の撤去方法について説明する。ファン2bの故障、不具合などによりファン2bを交換する際には、換気扇本体2を取付部材4から取り外す必要がある。換気扇本体2の撤去方法は、第1の取外工程と、第2の取外工程とを含んでいる。
【0054】
図18に示すように、第1の取外工程は、弾性部材8を換気扇本体2に固定する締結部材16を取り外す工程である。
図18の一点鎖線は、取り外される前に締結部材16があった位置を模式的に表している。第1の取外工程では、筐体2aの吸気口2fから手を入れて締結部材16を取り外す。締結部材16を回転させて換気扇本体2の筐体2aから取り外すときには、
図16に示される絞り部5dの一対の側壁部5fが弾性部材8の下端部8bの直交方向の両側に位置するため、締結部材16を取り外す際の弾性部材8の回り止めがなされる。すなわち、締結部材16を回転させたときに、弾性部材8の側面が側壁部5fに接触することで、締結部材16に対する弾性部材8の共回りを抑制することができる。
図18に示すように、締結部材16を取り外すと、弾性部材8が換気扇本体2から外れて、弾性部材8の下端部8bが切起部4dと絞り部5dとの間に位置するように弾性部材8が落下する。これにより、取り外した弾性部材8の紛失を防ぐことができる。
【0055】
図19に示すように、第2の取外工程は、第1の取外工程の後に、締結部材15を取り外して、換気扇本体2を取付部材4から取り外す工程である。換気扇本体2を取付部材4から取り外したときには、弾性部材8が切起部4dと絞り部5dとの間に位置するため、弾性部材8の紛失を防ぐことができる。
【0056】
次に、本実施の形態にかかる換気扇1の効果について説明する。
【0057】
本実施の形態では、
図15に示すように、本実施の形態では、取付部材4の内周縁には、上方に向かって延びる切起部4dが設けられ、筐体2aのうち取付部材4の方を向く側面2dには、取付部材4の外周側に向かって斜め下方に延びて弾性変形可能な弾性部材8が設けられている。また、本実施の形態では、弾性部材8の下端部8bは、切起部4dよりも取付部材4の外周側に位置している。これらの構成により、弾性部材8を切起部4dの上端部4eに引っ掛けて、換気扇本体2を取付部材4に仮固定することができる。このため、換気扇本体2を持ち上げてから取付部材4に固定するまでの間に換気扇本体2から一旦手を放して次の本固定工程において使用する締結部材15の準備などを行うことができるとともに、換気扇本体2を取付部材4との固定位置付近で保持することができる。したがって、天井20への換気扇本体2の設置作業が行いやすくなる。特に、本実施の形態のように換気扇本体2を取付部材4に仮固定する構造を用いると、事務所などの非居住用途で用いられる大型の換気扇1を天井20に設置する場合においても、一人工での施工作業が可能になるため、施工費用の軽減を図ることができる。
【0058】
本実施の形態では、
図16に示すように、連結部材5には、取付部材4の外周側に向かって突出する絞り部5dが設けられ、絞り部5dは、弾性部材8の下端部8bの直交方向の両側に位置する一対の側壁部5fを有している。これにより、弾性部材8の直交方向へのずれを抑えて、弾性部材8が切起部4dから外れることを抑制できる。仮に、切起部4dに引っ掛けられた弾性部材8が直交方向にずれた場合でも、弾性部材8の側面が側壁部5fに接触することで、弾性部材8が切起部4dから外れることを抑制できる。
【0059】
本実施の形態では、
図16に示すように、絞り部5dと切起部4dとに囲われた開口領域9が形成され、開口領域9の内外方向に沿った寸法D1は、弾性部材8の下端部8bの内外方向に沿った寸法D2よりも大きい。これにより、
図18に示すように、第2の締結部材である締結部材16を取り外して、弾性部材8を換気扇本体2から外した際に、弾性部材8の下端部8bが開口領域9に入るように弾性部材8を落下させることができる。このため、取り外した弾性部材8の紛失を防ぐことができ、弾性部材8を再利用することができる。
【0060】
なお、
図6に示される取付部材4と天井20との位置関係は、適宜変更してもよい。例えば、取付部材4を天井20のうち天井裏21の方を向く面に配置する構成にしてもよい。このような構成の場合には、第1のフランジ部4aは、天井20のうち天井裏21の方を向く面に接触する。
【0061】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 換気扇、2 換気扇本体、2a 筐体、2b ファン、2c 天面、2d 側面、2e 底面、2f 吸気口、2g 排気口、2h 取付フランジ部、2i ファンケーシング、2j モータ、2k 羽根、2m 吸込口、2n 流出口、2o スプリング固定部品、2p シャフト、2q,8a 挿入孔、2r,4f,4g,5h 固定孔、2s 支持部、2t 保護壁、3 ダクト接続部材、3a 縦壁、3b 接続部、4 取付部材、4a 第1のフランジ部、4b 第2のフランジ部、4c 第3のフランジ部、4d 切起部、4e 上端部、4h 辺、5 連結部材、5a 第1の壁、5b 第2の壁、5c 開口部、5d 絞り部、5e 底壁部、5f 側壁部、5g 平坦部、5i 連結孔、5j アーム部、5k ストッパ部、6 化粧グリル、6a 格子部、6b フレーム部、6c スプリング、7 シャッタ、8 弾性部材、8b 下端部、9 開口領域、10 端子カバー、10a 回転軸、10b 指引掛部、11 電源接続装置、12 モータ電線、13 ブッシュ、14 ダクト、15,16,17 締結部材、18 アンカーボルト、19 ナット、20 天井、20a 設置孔、21 天井裏。