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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】開閉体装置及び開閉体装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/68 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
E06B9/68 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022063611
(22)【出願日】2022-04-06
(65)【公開番号】P2023154338
(43)【公開日】2023-10-19
【審査請求日】2024-04-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114166
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 浩三
(72)【発明者】
【氏名】阿部 裕輔
(72)【発明者】
【氏名】石井 章人
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-120247(JP,A)
【文献】特開2021-006674(JP,A)
【文献】特開2005-076269(JP,A)
【文献】特開2014-001553(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0269222(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00
E06B 9/02
E06B 9/06- 9/18
E06B 9/24- 9/388
E06B 9/40- 9/50
E06B 9/56- 9/92
E05F 15/00-15/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部の周縁部に設けられた開閉手段と、
前記開閉手段を電動で動作させるための開閉機と、
前記開閉機を駆動して、前記開閉手段の開放、停止、閉鎖の各動作を電動で制御する制御手段と、
前記制御手段に対して、前記開閉手段の前記各動作を指示するための操作手段と、
現在時刻を示す時刻信号を出力する時計手段とを備え、
前記制御手段は、前記時刻信号が示す現在時刻に応じて、前記操作手段により前記開閉手段の開閉動作が指示されたときの、前記開閉手段の開閉速度を段階的に変化させることを特徴とする開閉体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の開閉体装置において、1日を複数に分けた複数の時間帯毎に、予め決定した前記開閉手段の開閉速度を記憶するメモリを備え、
前記制御手段は、前記時刻信号が示す現在時刻に応じて、前記メモリに記憶された開閉速度で前記開閉手段を動作させることを特徴とする開閉体装置。
【請求項3】
請求項2に記載の開閉体装置において、前記複数の時間帯毎に、予め決定した前記開閉手段の開閉速度を、前記メモリに記憶させるための入力装置を備えたことを特徴とする開閉体装置。
【請求項4】
請求項1、2、又は3に記載の開閉体装置において、前記開閉手段の開閉速度を表示するための表示装置を備え、前記制御手段は、前記開閉手段の開閉速度を前記表示装置に表示させることを特徴とする開閉体装置。
【請求項5】
開口部の周縁部に設けられた開閉手段と、
前記開閉手段を電動で動作させるための開閉機と、
前記開閉機を駆動して、前記開閉手段の開放、停止、閉鎖の各動作を電動で制御する制御手段と、
前記制御手段に対して、前記開閉手段の前記各動作を指示するための操作手段とを備えた開閉体装置の制御方法であって、
現在時刻を示す時刻信号を出力する時計手段を設け、
前記制御手段により、前記時刻信号が示す現在時刻に応じて、前記操作手段により前記開閉手段の開閉動作が指示されたときの、前記開閉手段の開閉速度を段階的に変化させることを特徴とする開閉体装置の制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載の開閉体装置の制御方法において、1日を複数に分けた複数の時間帯毎に、予め決定した前記開閉手段の開閉速度を記憶するメモリを設け、
前記制御手段により、前記時刻信号が示す現在時刻に応じて、前記メモリに記憶した開閉速度で前記開閉手段を動作させることを特徴とする開閉体装置の制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載の開閉体装置の制御方法において、前記メモリに対する入力装置を設け、前記複数の時間帯毎に、予め決定した前記開閉手段の開閉速度を、前記入力装置より、前記メモリに記憶させることを特徴とする開閉体装置の制御方法。
【請求項8】
請求項5、6、又は7に記載の開閉体装置の制御方法において、前記開閉手段の開閉速度を表示するための表示装置を設け、前記制御手段により、前記開閉手段の開閉速度を前記表示装置に表示させることを特徴とする開閉体装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅、ビル、工場、倉庫、車庫などの建物を含む構造物躯体の開口部などをシャッターなどの開閉体を用いて仕切るように構成された開閉体装置及び開閉体装置の制御方法に係り、特に、現在時刻に応じて開閉体の開閉速度を変化させるのに好適な開閉体装置及び開閉体装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シャッターカーテンなどのような開閉体装置は、住宅、ビル、工場、倉庫、車庫などの建物を含む構造物躯体の出入口や窓部、あるいは内部の通路や空間などの開口部に設置され、その開閉体を移動させることによってその開口部を開放、閉鎖するものである。この開閉体装置は、多数の短冊状のスラット材からなるスラットカーテン、多数のパイプ材をリンク材などで連結させてなるパイプグリルカーテン、一枚状あるいは多数連結されたパネル材からなるパネルカーテン、ネット材からなるネットカーテン、合成樹脂あるいは布繊維製のシート材からなるシートカーテン、あるいはこれらの複合部材などからなる複合カーテンなどの開閉体を、開口部の上部から繰り出し下降させて開口部全体を閉鎖するように構成されている。このような開閉体装置は、開閉体の開閉動作を電動で行なう場合が多い。電動の開閉体装置としては、電動シャッター装置、電動ドア装置、電動オーニング装置などがある。
【0003】
一般に、電動の開閉体装置は、建物などの構造物の開閉用空間部を昇降開閉するための開閉体を、構造物の天井裏またはシャッターケースなどに配置された開閉機(モータ等)によって昇降駆動するようになっている。
開閉体がシャッターカーテンの場合、シャッターカーテンは、シャッターケース内などに設けられた巻取シャフトに巻き付けられており、巻取シャフトを開閉機により回転させることで、シャッターカーテンが巻取シャフトに巻き取られて上昇し、またシャッターカーテンが巻取シャフトから巻き戻されて下降する。
【0004】
このような電動のシャッター装置では、開閉機による巻取シャフトの回転速度を一定にすると、シャッターカーテンの上昇又は下降に応じ、巻取シャフトに巻き取られたシャッターカーテンの巻取径が変化して、シャッターカーテンの上昇速度又は下降速度が変化してしまう。
これに対し、特許文献1には、開閉体の巻取状態に対応した巻取径に応じて巻取手段の回転速度を制御することにより、開閉体の巻き取りや巻き戻しの際の開閉時間を一定化または略一定化する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-1553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年の開閉体装置の制御では、開閉機の回転速度を変化させることにより、開閉体の動作速度を、開放時と閉鎖時とで変更することが行われている。例えば、開閉体の開放時には、操作性を重視して、開閉体の動作速度を高速化させる一方、開閉体の閉鎖時には、安全性を考慮して、開閉体の動作速度を低速化させるなど、開閉体の動作速度を、開放時と閉鎖時とで異ならせる制御が行われている。
しかしながら、開閉体の開放時の動作速度を速くすると、巻取手段により開閉体を巻き取る際の音が大きくなるので、特に夜間や深夜などには、騒音が近隣の迷惑になる。また、夜間や深夜などには、開閉体装置の操作者の作業に対する集中力が、疲労などの原因で低下するので、日中よりも、開閉体の動作をより安全性高く制御する必要がある。
【0007】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、開閉体の開閉操作が行われた時刻に応じて、適切な開閉速度で開閉体の開閉動作を行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の開閉体装置の第1の特徴は、開口部の周縁部に設けられた開閉手段と、開閉手段を電動で動作させるための開閉機と、開閉機を駆動して、開閉手段の開放、停止、閉鎖の各動作を電動で制御する制御手段と、制御手段に対して、開閉手段の各動作を指示するための操作手段と、現在時刻を示す時刻信号を出力する時計手段とを備え、制御手段が、時刻信号が示す現在時刻に応じて、操作手段により開閉手段の開閉動作が指示されたときの、開閉手段の開閉速度を段階的に変化させることにある。
なお、開閉手段の開閉動作とは、開閉手段の開放動作又は閉鎖動作のいずれか、あるいは両方を言い、開閉手段の開閉速度とは、開閉手段の開放速度又は閉鎖速度のいずれか、あるいは両方を言う。
【0009】
現在時刻を示す時刻信号を出力する時計手段を備え、制御手段が、時刻信号が示す現在時刻に応じて、操作手段により開閉手段の開閉動作が指示されたときの、開閉手段の開閉速度を段階的に変化させるので、操作手段を用いて開閉体の開閉操作が行われた時刻に応じて、適切な開閉速度で開閉体の開閉動作が行われる。
【0010】
開閉手段は、住宅、ビル、工場、倉庫、車庫などの建物などの構造物における、出入口や窓部、あるいは内部の通路や空間などの開口部を電動で開閉移動するシャッターカーテンなどの開閉部材で構成される。開閉手段が、シャッターカーテンの場合には、建物などの開口部の周縁部の一つである上部に収納され、まぐさなどを通過してシャッターカーテンが下降し、開口部を電動で開閉動作する。これ以外にも、開閉手段が開口部の下部に収納されて、上昇方式にて電動で開閉移動したり、開閉手段が側部に収納されて、スライド方式にて電動で移動したりすることもある。また、開閉手段には、閉鎖によって開口部を全閉できるものも全閉できないものも含む。
【0011】
本発明の開閉体装置の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の開閉体装置において、1日を複数に分けた複数の時間帯毎に、予め決定した開閉手段の開閉速度を記憶するメモリを備え、制御手段が、時刻信号が示す現在時刻に応じて、メモリに記憶された開閉速度で開閉手段を動作させることにある。
【0012】
1日を複数に分けた複数の時間帯毎に、予め決定した開閉手段の開閉速度を記憶するメモリを備え、制御手段が、時刻信号が示す現在時刻に応じて、メモリに記憶された開閉速度で開閉手段を動作させるので、操作手段を用いて開閉体の開閉操作が行われた時刻に応じて、メモリに記憶された、複数の時間帯毎に、予め決定した適切な開閉速度で、開閉体の開閉動作が容易に行われる。
【0013】
本発明の開閉体装置の第3の特徴は、前記第2の特徴に記載の開閉体装置において、複数の時間帯毎に、予め決定した開閉手段の開閉速度を、メモリに記憶させるための入力装置を備えたことにある。
複数の時間帯毎に、予め決定した開閉手段の開閉速度を、入力装置を用いてメモリに記憶させることにより、複数の時間帯毎の開閉手段の開閉速度を、適宜変更することが可能となる。
【0014】
本発明の開閉体装置の第4の特徴は、前記第1、第2、又は第3の特徴に記載の開閉体装置において、開閉手段の開閉速度を表示するための表示装置を備え、制御手段が、開閉手段の開閉速度を表示装置に表示させることにある。
開閉手段の開閉速度を表示装置に表示することで、現在時刻に応じた開閉速度の制御が行われていることを、操作者に知らせることができる。
【0015】
本発明の開閉体装置の制御方法の第1の特徴は、開口部の周縁部に設けられた開閉手段と、開閉手段を電動で動作させるための開閉機と、開閉機を駆動して、開閉手段の開放、停止、閉鎖の各動作を電動で制御する制御手段と、制御手段に対して、開閉手段の各動作を指示するための操作手段とを備えた開閉体装置の制御方法であって、現在時刻を示す時刻信号を出力する時計手段を設け、制御手段により、時刻信号が示す現在時刻に応じて、操作手段により開閉手段の開閉動作が指示されたときの、開閉手段の開閉速度を段階的に変化させることにある。
これは、前記第1の特徴に記載の開閉体装置に相当する、開閉体装置の制御方法である。
【0016】
本発明の開閉体装置の制御方法の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の開閉体装置の制御方法において、1日を複数に分けた複数の時間帯毎に、予め決定した開閉手段の開閉速度を記憶するメモリを設け、制御手段により、時刻信号が示す現在時刻に応じて、メモリに記憶した開閉速度で開閉手段を動作させることにある。
これは、前記第2の特徴に記載の開閉体装置に相当する、開閉体装置の制御方法である。
【0017】
本発明の開閉体装置の制御方法の第3の特徴は、前記第2の特徴に記載の開閉体装置の制御方法において、メモリに対する入力装置を設け、複数の時間帯毎に、予め決定した開閉手段の開閉速度を、入力装置より、メモリに記憶させることにある。
これは、前記第3の特徴に記載の開閉体装置に相当する、開閉体装置の制御方法である。
【0018】
本発明の開閉体装置の制御方法の第4の特徴は、前記第1、第2、又は第3の特徴に記載の開閉体装置の制御方法において、開閉手段の開閉速度を表示するための表示装置を設け、制御手段により、開閉手段の開閉速度を表示装置に表示させることにある。
これは、前記第4の特徴に記載の開閉体装置に相当する、開閉体装置の制御方法である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、開閉体の開閉操作が行われた時刻に応じて、適切な開閉速度で開閉体の開閉動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施の形態による開閉体装置であるシャッター装置の概略構成を示す図である。
図2図1に示したシャッター装置内の各装置の動作を説明する図である。
図3】本発明の一実施の形態によるシャッター装置の制御装置の回路構成を示す図である。
図4】現在時刻に応じて、シャッターカーテンの開閉速度を変更する動作の一例を示すフローチャートである。
図5】現在時刻に応じて、シャッターカーテンの開閉速度を変更する動作の他の例を示すフローチャートである。
図6】現在時刻に応じて、シャッターカーテンの開閉速度を変更する動作のさらに他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面に従って、本発明に係る開閉体装置の好ましい実施の形態について説明する。この実施の形態では、開閉手段として、上下に開閉動作されるシャッターカーテンを備えたシャッター装置を例に説明する。図1は、本発明の一実施の形態による開閉体装置であるシャッター装置の概略構成を示す図である。図1において、開閉体装置10は、出入口の開口部を上下に開閉するシャッター装置である。
【0022】
開閉体装置10は、建物の開口部に設けられるものであり、基本的にシャッターケース11、シャッターカーテン12、ガイドレール13,14、巻取シャフト15、チェーン16、モータ17、位置検出装置172、制御装置18、障害物感知装置185、操作スイッチ19、電源供給装置20、安全装置40、入力装置50、及び表示装置60などを含んで構成される。
【0023】
この開閉体装置10は、通常時には、操作スイッチ19の操作に応じて、開閉機であるモータ17を駆動して開閉制御するようになっている。さらに、この開閉体装置10では、シャッターカーテン12が巻取シャフト15に巻き取られている開放状態を機械的な保持機構(図示せず)によって保持しており、この開放状態で外部から火災の発生などを示す非常信号BSなどが制御装置18に入力された場合には、その保持機構による開放状態の保持が解除されて、シャッターカーテン12は、その自重で自然降下して開口部を自動閉鎖する機能も備えている。
【0024】
ガイドレール13,14は、シャッターカーテン12の両端部に接するように建物の開口部の両端側に設けられ、まぐさ部から床面まで掛け渡された断面形状がコの字型の案内溝を有する金属製部材又はこれと同等の部材で構成されている。シャッターカーテン12は、このガイドレール13,14の各案内溝に沿って上昇下降し、開口部の開閉動作を行う。
【0025】
巻取シャフト15は、シャッターケース11の両端側に回動可能に設けられ、シャッターカーテン12を巻き取ったり巻き戻したりする。チェーン16は、モータ17の回転軸に設けられた主動スプロケットと巻取シャフト15の回転軸に設けられた従動スプロケットとを連結している。従って、モータ17の回転駆動力は、チェーン16を介して巻取シャフト15側に伝達され、モータ17が回転すると、チェーン16を介して巻取シャフト15が回転し、シャッターカーテン12の開閉動作が制御されるようになっている。
【0026】
本実施の形態では、モータ17として、直流モータが用いられている。
モータ17には、その回転位置、すなわちシャッターカーテン12の開閉位置と開閉状態を検出するための位置検出装置172(図2参照)が設けられている。この位置検出装置172は、パルス発生型のロータリーエンコーダ等で構成される。モータ17の回転に応じたパルス信号が制御装置18に出力されるので、モータ17の回転位置やシャッターカーテン12の閉鎖側先端部の開口部における位置などは、このパルスの発生状況に基づいて制御装置18が演算にて求めることになる。
【0027】
制御装置18は、マイクロコンピューター構成になっており、商用電源の電源ラインACから電源供給装置20を介して電力が供給されている。制御装置18は、操作スイッチ19上の各操作ボタンの操作状態に対応した制御信号や、障害物感知装置185からの感知信号、安全装置40からの作動信号、及びモータ17に設けられた位置検出装置172からの信号などに基づいて、モータ17の回転を制御したり、非常信号BSに基づいて保持機構を解除したりする。
【0028】
操作スイッチ19は、開閉停の各動作に対応した制御スイッチとして、上昇(開)ボタン19A、停止(停)ボタン19B、下降(閉)ボタン19Cをそれぞれ有し、これら各ボタンの操作状態に応じた各制御信号を制御装置18に出力する。なお、図1では示していないが、制御装置18は、無線型リモコン装置によっても操作可能としてもよい。
【0029】
非常信号BSは、火災発生などの非常時に外部の制御室などから供給される電圧24[V]の信号であり、制御装置18内の図示しない危害防止用連動中継器に入力される。なお、外部からの非常信号BSの入力と併せて、又は代わりに、シャッターケース11の内側であって、まぐさ部の開口部近傍、すなわちシャッターカーテン12が昇降する部分に温度感知器などを設けてもよい。この温度感知器としては、常時接点がオン状態にあり、接点が所定温度(摂氏100~300度の範囲の任意温度)に達した時点で接点を開きオフ状態となるB接点の自動復帰型の高温度用バイメタル式サーモスタットなどで構成され、接点が開いた場合には火災などが発生したことを示す信号を非常信号BSに相当する信号として出力するようにしてもよい。
【0030】
障害物感知装置185は、送信機がシャッターカーテン12の下端部(座板)に設けられたもので、障害物感知時には、内蔵された座板スイッチの移動に対応した感知信号を制御装置18に送信し、また、その後の障害物の除去により座板スイッチの復帰移動時には、復帰信号を送信する構成となっている。
障害物感知装置185の送信機から制御装置18への信号の送信は、図のような有線方式に限らず、電池を電源として作動する無線方式のものでもよい。
また、シャッターカーテン12の下端部に障害物の接触で移動する座板スイッチを設け、障害物接触時の座板の移動力でガイドレール13,14の高さ方向に沿って設けられたテープスイッチを押圧する構成や、テープスイッチから制御装置18に対し感知信号を有線出力する構成としてもよい。
この他、開口部に光電管やLED等の投受光センサを設け、画像認識等により障害物を非接触で感知する構成としてもよい。
【0031】
電源供給装置20は、商用電源の電源ラインACから交流電力を入力し、交流電力を直流に変換した直流電力を、制御装置18へ供給する。
なお、本実施の形態では、電源供給装置20がシャッターケース11の外側に設置されているが、電源供給装置20をシャッターケース11内に設置してもよい。
【0032】
安全装置40は、接触式の機械的な検出装置であり、通常、シャッターケース11内に設けられ、シャッターカーテン12の巻き上げ過ぎや、シャッターカーテン12の繰り出し過ぎによるたるみ等を検出して作動し、作動信号を制御装置18へ出力する。
制御装置18は、安全装置40から作動信号を入力すると、シャッターカーテン12の動作(上昇又は下降)を停止させる。そのため、安全装置40は、シャッターカーテン12の落下防止の役割も果たしている。
なお、安全装置40として、光学式の非接触の検出装置を用いてもよい。
【0033】
図2は、図1に示したシャッター装置内の各装置の動作を説明する図である。制御装置18は、電源供給装置20から供給された電力により、操作スイッチ19、障害物感知装置185、安全装置40、及び位置検出装置172からの各信号、並びに非常信号BSに基づいて、モータ17を制御する。
なお、図2では、制御装置18以外への商用電源の接続関係については、その図示を省略してある。
【0034】
図3は、本発明の一実施の形態によるシャッター装置の制御装置の回路構成を示す図である。本実施の形態の制御装置18は、モータ駆動回路18a、CPU18b、メモリ18c、及び時計回路18dなどを含んで構成されている。
モータ駆動回路18aは、IPM(Intelligent Power Module:高機能電力用半導体素子)ドライバ等からなり、CPU18bの制御により、電源供給装置20から制御装置18へ供給された直流電力を、モータ17へ出力して、モータ17を駆動する。
【0035】
CPU18bは、モータ駆動回路18aによるモータ17の駆動を制御する。その際、CPU18bは、モータ駆動回路18aからモータ17へ印加される直流電力の電圧を可変させて、モータ17の回転速度を制御することにより、シャッターカーテン12の開閉速度を変化させる。
また、CPU18bは、入力装置50から入力された、1日を複数に分けた複数の時間帯毎に、予め決定したシャッターカーテン12の開閉速度を、メモリ18cに記憶させる。
【0036】
時計回路18dは、時計機能を有し、現在時刻を示す時刻信号を、CPU18bへ出力する。時計回路18dは、例えば、水晶(クォーツ)振動子を内蔵し、電圧を印加した水晶振動子の振動に基づいて時を刻み、定期的に標準電波を受信して、時刻の誤差を自動的に修正する電波時計などを含んで構成されている。
CPU18bは、時計回路18dから入力した時刻信号に応じ、メモリ18cに記憶された、複数の時間帯毎のシャッターカーテン12の開閉速度のデータを用いて、シャッターカーテン12の開閉速度を変更する。
なお、時計回路18dは、制御装置18の外部に設けてもよい。
【0037】
図4は、現在時刻に応じて、シャッターカーテンの開閉速度を変更する動作の一例を示すフローチャートである。
本例は、時計回路18dが、予め定められた周期で、現在時刻を示す時刻信号を、CPU18bへ出力するものである。
本例では、1日が、AM 0:00~AM 5:59、AM 6:00~PM 5:59、PM 6:00~PM 8:59、及びPM 9:00~PM11:59の、4つの時間帯に分けられている。
【0038】
AM 0:00~AM 5:59の時間帯における、シャッターカーテン12の上昇速度(開放速度)は、第1の所定値の50%、下降速度(閉鎖速度)は、第2の所定値(第2の所定値≦第1の所定値)の50%と予め決定されて、メモリ18cに記憶されている。
AM 6:00~PM 5:59の時間帯における、シャッターカーテン12の上昇速度は、第1の所定値の100%、下降速度は、第2の所定値の100%と予め決定されて、メモリ18cに記憶されている。
PM 6:00~PM 8:59の時間帯における、シャッターカーテン12の上昇速度は、第1の所定値の80%、下降速度は、第2の所定値の80%と予め決定されて、メモリ18cに記憶されている。
PM 9:00~PM11:59の時間帯における、シャッターカーテン12の上昇速度は、第1の所定値の70%、下降速度は、第2の所定値の70%と予め決定されて、メモリ18cに記憶されている。
【0039】
まず、時計回路18dは、予め定められた周期(例えば、1分)で、現在時刻を示す時刻信号を、CPU18bへ出力する(ステップ401)。
CPU18bは、時計回路18dから入力された時刻信号が示す現在時刻を確認する(ステップ402)。
そして、CPU18bは、確認した現在時刻が、AM 0:00~AM 5:59の間であるか否かを判断する(ステップ403)。
現在時刻が、AM 0:00~AM 5:59の間である場合、CPU18bは、シャッターカーテン12の上昇速度を、メモリ18cに記憶された、第1の所定値の50%に設定し、また、シャッターカーテン12の下降速度を、メモリ18cに記憶された、第2の所定値の50%に設定する(ステップ404)。
【0040】
ステップ403において、現在時刻が、AM 0:00~AM 5:59の間でない場合、CPU18bは、現在時刻が、AM 6:00~PM 5:59の間であるか否かを判断する(ステップ405)。
現在時刻が、AM 6:00~PM 5:59の間である場合、CPU18bは、シャッターカーテン12の上昇速度を、メモリ18cに記憶された、第1の所定値の100%に設定し、また、シャッターカーテン12の下降速度を、メモリ18cに記憶された、第2の所定値の100%に設定する(ステップ406)。
【0041】
ステップ405において、現在時刻が、AM 6:00~PM 5:59の間でない場合、CPU18bは、現在時刻が、PM 6:00~PM 8:59の間であるか否かを判断する(ステップ407)。
現在時刻が、PM 6:00~PM 8:59の間である場合、CPU18bは、シャッターカーテン12の上昇速度を、メモリ18cに記憶された、第1の所定値の80%に設定し、また、シャッターカーテン12の下降速度を、メモリ18cに記憶された、第2の所定値の80%に設定する(ステップ408)。
【0042】
ステップ407において、現在時刻が、PM 6:00~PM 8:59の間でない場合、CPU18bは、現在時刻が、PM 9:00~PM11:59の間であるか否かを判断する(ステップ409)。
現在時刻が、PM 9:00~PM11:59の間である場合、CPU18bは、シャッターカーテン12の上昇速度を、メモリ18cに記憶された、第1の所定値の70%に設定し、また、シャッターカーテン12の下降速度を、メモリ18cに記憶された、第2の所定値の70%に設定する(ステップ410)。
【0043】
ステップ404、406、408、及び410において、シャッターカーテン12の上昇速度及び下降速度を設定した後、並びに、ステップ409において、現在時刻が、PM 9:00~PM11:59の間でない場合、フローの最初へ戻る。
【0044】
図4に示した例によれば、1日を複数に分けた複数の時間帯毎に、予め決定したシャッターカーテン12の開閉速度を記憶するメモリ18cを備え、CPU18bが、時計回路18dから入力した時刻信号が示す現在時刻に応じて、メモリ18cに記憶された開閉速度でシャッターカーテン12を動作させるので、シャッターカーテン12の開閉操作が行われた時刻に応じて、複数の時間帯毎に、予め決定した適切な開閉速度で、シャッターカーテン12の開閉動作を容易に行うことができる。
【0045】
例えば、夜間や深夜などには、シャッターカーテン12の上昇速度を日中よりも遅くして、夜間や深夜に特に問題となる騒音の発生を、抑制することができる。
あるいは、夜間や深夜などには、操作者の作業に対する集中力が、疲労などの原因で低下するので、シャッターカーテン12の下降速度を日中よりも遅くして、作業の安全性を向上させることができる。
【0046】
また、図4に示した例によれば、操作スイッチ19の上昇(開)ボタン19A、停止(停)ボタン19B、又は下降(閉)ボタン19Cの操作状態に関わらず、時計回路18dが所定の周期で出力した時刻信号が示す現在時刻に応じて、シャッターカーテン12の開閉速度の設定が自動的に行われるので、操作スイッチ19の操作時に、シャッターカーテン12の開閉動作が、設定された開閉速度で応答性良く迅速に行われる。
【0047】
なお、第1の所定値又は第2の所定値の80%、70%、あるいは50%などの、シャッターカーテン12の開閉速度を低下させる割合は、図4の例に限らず、任意に決定することができる。
また、同じ時間帯における、上昇速度を第1の所定値に対して低下させる割合と、下降速度を第2の所定値に対して低下させる割合とは、図4に示した例と同様に同じにしてもよく、また異ならせてもよい。あるいは、シャッターカーテン12の上昇速度のみ、または下降速度のみを変化させてもよい。
さらに、複数の時間帯は、図4の例に限らず、任意に決定することができる。そして、シャッターカーテン12の開閉速度は、図4に示した4つの時間帯毎の4段階に限らず、2段階、3段階又は5段階以上に変化させてもよい。
【0048】
図5は、現在時刻に応じて、シャッターカーテンの開閉速度を変更する動作の他の例を示すフローチャートである。
本例は、時計回路18dが、現在時刻が予め登録された時刻となったときに、現在時刻を示す時刻信号を、CPU18bへ出力するものである。
時計回路18dに対する時刻の登録は、入力装置50を用いて行うことができる。
【0049】
本例では、予め登録された時刻が、AM 0:00、AM 6:00、PM 6:00、及びPM 9:00の4つであり、図4に示した例と同様に、1日が、AM 0:00~AM 5:59、AM 6:00~PM 5:59、PM 6:00~PM 8:59、及びPM 9:00~PM11:59の、4つの時間帯に分けられている。
そして、各時間帯における、シャッターカーテン12の上昇速度及び下降速度は、図4に示した例と同様に予め決定されて、メモリ18cに記憶されている。
【0050】
まず、時計回路18dは、現在時刻が、予め登録されたAM 0:00であるか否かを確認する(ステップ501)。
現在時刻がAM 0:00であるとき、時計回路18dは、現在時刻を示す時刻信号を、CPU18bへ出力する(ステップ502)。
CPU18bは、時計回路18dから入力した時刻信号が示す現在時刻に応じ、シャッターカーテン12の上昇速度を、メモリ18cに記憶された、第1の所定値の50%に設定し、また、シャッターカーテン12の下降速度を、メモリ18cに記憶された、第2の所定値の50%に設定する(ステップ503)。
【0051】
ステップ501において、現在時刻がAM 0:00でない場合、時計回路18dは、現在時刻が、予め登録されたAM 6:00であるか否かを確認する(ステップ504)。
現在時刻がAM 6:00であるとき、時計回路18dは、現在時刻を示す時刻信号を、CPU18bへ出力する(ステップ505)。
CPU18bは、時計回路18dから入力した時刻信号が示す現在時刻に応じ、シャッターカーテン12の上昇速度を、メモリ18cに記憶された、第1の所定値の100%に設定し、また、シャッターカーテン12の下降速度を、メモリ18cに記憶された、第2の所定値の100%に設定する(ステップ506)。
【0052】
ステップ504において、現在時刻がAM 6:00でない場合、時計回路18dは、現在時刻が、予め登録されたPM 6:00であるか否かを確認する(ステップ507)。
現在時刻がPM 6:00であるとき、時計回路18dは、現在時刻を示す時刻信号を、CPU18bへ出力する(ステップ508)。
CPU18bは、時計回路18dから入力した時刻信号が示す現在時刻に応じ、シャッターカーテン12の上昇速度を、メモリ18cに記憶された、第1の所定値の80%に設定し、また、シャッターカーテン12の下降速度を、メモリ18cに記憶された、第2の所定値の80%に設定する(ステップ509)。
【0053】
ステップ507において、現在時刻がPM 6:00でない場合、時計回路18dは、現在時刻が、予め登録されたPM 9:00であるか否かを確認する(ステップ510)。
現在時刻がPM 9:00であるとき、時計回路18dは、現在時刻を示す時刻信号を、CPU18bへ出力する(ステップ511)。
CPU18bは、時計回路18dから入力した時刻信号が示す現在時刻に応じ、シャッターカーテン12の上昇速度を、メモリ18cに記憶された、第1の所定値の70%に設定し、また、シャッターカーテン12の下降速度を、メモリ18cに記憶された、第2の所定値の70%に設定する(ステップ512)。
【0054】
ステップ503、506、509、及び512において、シャッターカーテン12の上昇速度及び下降速度を設定した後、並びに、ステップ510において、現在時刻がPM 9:00でない場合、フローの最初へ戻る。
【0055】
図5に示した例によれば、図4に示した例と同様、操作スイッチ19の操作時に、シャッターカーテン12の開閉動作が、設定された開閉速度で応答性良く迅速に行われると共に、図4に示した例に比べて、CPU18bの処理動作が、大幅に軽減される。
なお、時計回路18dに予め登録する時刻は、図5の例に限らず、任意に決定することができる。そして、シャッターカーテン12の開閉速度は、図5の例の4段階に限らず、2段階、3段階又は5段階以上に変化させてもよい。
【0056】
図6は、現在時刻に応じて、シャッターカーテンの開閉速度を変更する動作のさらに他の例を示すフローチャートである。
本例では、CPU18bが、まず、上昇(開)ボタン19A、停止(停)ボタン19B、又は下降(閉)ボタン19Cの操作状態に応じた各制御信号が、操作スイッチ19から入力されたか否かを判断する(ステップ601)。
各ボタンの操作状態に応じた、いずれの制御信号も入力されていない場合、いずれかの制御信号が入力されるまで、ステップ601の動作を繰り返す。
【0057】
各ボタンの操作状態に応じた各制御信号が入力された場合、CPU18bは、時計回路18dから入力された時刻信号が示す現在時刻を確認する(ステップ602)。なお、時計回路18dは、図4に示した例におけるステップ401の動作と同様に、予め定められた周期で、現在時刻を示す時刻信号を、CPU18bへ出力している。
以降のステップ603~610の各動作は、図4のステップ403~410の各動作と同様である。
【0058】
図6に示した例によれば、CPU18bが、操作スイッチ19から上昇(開)ボタン19A、停止(停)ボタン19B、又は下降(閉)ボタン19Cの操作状態に応じた各制御信号が入力された場合のみ、時計回路18dから入力された時刻信号が示す現在時刻に応じて、シャッターカーテン12の開閉速度の設定を行うので、操作スイッチ19の操作が行われない限り、CPU18bを待機状態にして、図4及び図5の各例に比べ、省エネ状態を保つことができる。
【0059】
図3において、入力装置50は、例えばキーボードやタッチパネル等からなり、操作者の操作により、1日を複数に分けた複数の時間帯毎に、予め決定したシャッターカーテン12の開閉速度を、CPU18bへ入力する。
CPU18bは、入力装置50から入力された、1日を複数に分けた複数の時間帯毎に、予め決定したシャッターカーテン12の開閉速度を、メモリ18cに記憶させる。
複数の時間帯毎に、予め決定したシャッターカーテン12の開閉速度を、入力装置50を用いてメモリ18cに記憶させることにより、複数の時間帯毎のシャッターカーテン12の開閉速度を適宜変更することが可能となる。
【0060】
表示装置60は、例えば液晶ディスプレイ装置などからなり、CPU18bの制御により、図4のステップ404、406、408、410、または図5のステップ503、506、509、512、あるいは図6のステップ604、606、608、610で設定された、シャッターカーテン12の開閉速度を表示する。
シャッターカーテン12の開閉速度を表示装置60に表示することで、現在時刻に応じた開閉速度の制御が行われていることを、操作者に知らせることができる。
【0061】
なお、以上説明した実施の形態では、モータ17として直流モータを用い、モータ17の印加電圧を可変させて、シャッターカーテン12の開閉速度を変更しているが、モータ17として交流モータを用い、インバータ装置などによりモータ17へ印加する交流電力の周波数を可変させて、シャッターカーテン12の開閉速度を変更してもよい。
【0062】
本発明の開閉体装置としては、例えば、シャッター装置、窓シャッター装置、ブラインド装置、ロールスクリーン装置、垂れ幕装置、移動間仕切装置、引き戸装置、開き戸装置、折れ戸装置、門扉装置、オーニング装置、防水板装置などにも適用可能である。
【符号の説明】
【0063】
10…開閉体装置
11…シャッターケース
12…シャッターカーテン
13,14…ガイドレール
15…巻取シャフト
16…チェーン
17…モータ
172…位置検出装置
18…制御装置
18a…モータ駆動回路
18b…CPU
18c…メモリ
18d…時計回路
185…障害物感知装置
19…操作スイッチ
19A…上昇(開)ボタン
19B…停止(停)ボタン
19C…下降(閉)ボタン
20…電源供給装置
40…安全装置
50…入力装置
60…表示装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6