(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】フォトレジスト組成物及びパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
C08F 220/26 20060101AFI20241108BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20241108BHJP
G03F 7/039 20060101ALI20241108BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
C08F220/26
G03F7/004 502
G03F7/039 601
G03F7/20 501
G03F7/20 521
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022154780
(22)【出願日】2022-09-28
【審査請求日】2022-10-07
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591016862
【氏名又は名称】デュポン エレクトロニック マテリアルズ インターナショナル,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】DUPONT ELECTRONIC MATERIALS INTERNATIONAL,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アーヴィンダー、カウル
(72)【発明者】
【氏名】シャーロット、カトラー
(72)【発明者】
【氏名】コー、ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ミンチー、リー
【審査官】藤原 研司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0076062(US,A1)
【文献】国際公開第2005/100412(WO,A1)
【文献】特開2005-325325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F
G03F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一エステルアセタール基を含む第1のモノマーから誘導される第1の繰り返し単位と、
複数のエステルアセタール基を含む第2のモノマーから誘導される第2の繰り返し単位と、
追加の繰り返し単位と
を含むポリマーであって、
前記第1のモノマーが、式(1):
【化1】
(式(1)において、
R
aは、水素、フッ素、シアノ、置換若しくは無置換C
1~10アルキルであり;
R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C
1~20アルキル、置換若しくは無置換C
3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C
3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
6~20アリール、置換若しくは無置換C
7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C
7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C
3~20ヘテロアリール、置換若しくは無置換C
4~30ヘテロアリールアルキル又は置換若しくは無置換C
4~30アルキルヘテロアリールであり、R
1及びR
2のそれぞれは、それらの構造の一部として二価連結基を任意選択的に更に含んでもよく;
R
1及びR
2は、任意選択的に、一緒になって単結合又は二価連結基を介して置換若しくは無置換の環を形成してもよく;
R
3は、置換若しくは無置換C
1~20アルキル、又は置換若しくは無置換C
3~20シクロアルキルであり、R
3は、その構造の一部として二価連結基を任意選択的に更に含んでもよく;且つ
R
1又はR
2の1つは、任意選択的に、単結合又は二価連結基を介して、R
3と一緒になって置換若しくは無置換の環を形成しもよい)
のモノマーであり、
前記第2のモノマーが、式(5)
【化2】
(式(5)において、
R
e及びR
fは、それぞれ独立して、水素、フッ素、シアノ、又は置換若しくは無置換C
1~10アルキルであり;
R
13、R
14、R
15及びR
16は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C
1~20アルキル、置換若しくは無置換C
3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C
3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
6~20アリール、置換若しくは無置換C
7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C
7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C
3~20ヘテロアリール、置換若しくは無置換C
4~30ヘテロアリールアルキル又は置換若しくは無置換C
4~30アルキルヘテロアリールであり;
R
13、R
14、R
15及びR
16の少なくとも1つは、水素ではなく、
R
13及びR
14は、任意選択的に、一緒になって単結合又は二価連結基を介して環を形成してもよく;
R
15及びR
16は、任意選択的に、一緒になって単結合又は二価連結基を介して環を形成してもよく;
Zは二価連結基である)
のモノマーであり、
前記
追加の繰り返し単位が、式(9)
【化3】
(式(9)において、
R
jは、水素、フッ素、シアノ、置換若しくは無置換C
1~10アルキルであり、
L
7は、単結合又は二価の連結基であり、
R
26は、置換若しくは無置換C
4~20ラクトン含有基又は置換若しくは無置換多環式C
4~20スルトン含有基である)
のモノマーから誘導され、
前記ポリマーは、ポリマー中の繰り返し単位の総モル数に基づき、1~40モル%の量の前記第1の繰り返し単位と、1~40モル%の量の前記第2の繰り返し単位と、5~60モル%の量の前記
追加の繰り返し単位を含
み、
前記式(1)の第1のモノマーは、複数のエステルアセタール基、置換若しくは無置換C
4~20
ラクトン含有基、及び置換若しくは無置換多環式C
4~20
スルトン含有基を含まず、
前記式(5)の第2のモノマーは、単一エステルアセタール基、置換若しくは無置換C
4~20
ラクトン含有基、及び置換若しくは無置換多環式C
4~20
スルトン含有基を含まず、
前記式(9)のモノマーは、単一エステルアセタール基、及び複数のエステルアセタール基を含まない、ポリマー。
【請求項2】
三級アルキルエステル基を含む繰り返し単位を更に含む、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のポリマーと、
光酸発生剤と、
溶媒と
を含むフォトレジスト組成物。
【請求項4】
光分解性失活剤又は塩基性失活剤を更に含む、請求項3に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項5】
請求項4に記載のフォトレジスト組成物の層を基板に適用し、フォトレジスト組成物層を提供することと;
前記フォトレジスト組成物層を活性化放射線にパターンワイズ露光し、露光されたフォトレジスト組成物層を提供することと;
前記露光されたフォトレジスト組成物層を現像し、フォトレジストパターンを提供することと
を含む、パターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトレジスト組成物、及びそのようなフォトレジスト組成物を使用するパターン形成方法に関する。本発明は、半導体製造業界におけるリソグラフィー用途に特に適用性を見出す。
【背景技術】
【0002】
フォトレジスト材料は、半導体基板上に配置された金属、半導体又は誘電体層などの1つ以上の下位層に画像を転写するために典型的に使用される感光性組成物である。半導体デバイスの集積密度を高める及びナノメートル範囲の寸法を有する構造物の形成を可能にするために、高解像度性能を有するフォトレジスト及びフォトリソグラフィー処理ツールが開発され続けている。
【0003】
現在、最新のリソグラフィーパターニングプロセスでは、ArF(193nm)液浸スキャナーを使用して、60ナノメートル(nm)未満の寸法でウェハーを処理する。ArFリソグラフィーを60nm未満の限界寸法に押し上げると、プロセスウィンドウ、線幅粗さ(LWR)、及び集積回路の大量生産のための他の重要なパラメータに関して、フォトレジスト性能にいくつかの課題が生じる。これらのパラメータは全て、次世代の配合物で対処する必要がある。高度なノードではパターンの寸法が減少するため、LWRの値が同じ速度で同時に減少することはなく、これらの最先端のノードでの処理中に変動の大きな原因となる。プロセスウィンドウの改善は、集積回路製造で高い歩留まりを達成するためにも役立つ。
【0004】
極端紫外線リソグラフィー(EUVリソグラフィー)は、20nm未満の限界寸法でのハイボリューム半導体ウェハーの製造に関する別の先導技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第8,431,325号明細書
【文献】米国特許第4,189,323号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
60nm未満の限界寸法でのフォトリソグラフィーパターニングに関連する1つ以上の問題に対処するためのフォトレジスト組成物が、依然として継続的に必要とされている。特に、解像度の改善及びLWRの減少を達成することができるフォトレジスト組成物が継続的に必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
単一エステルアセタール基を含む第1のモノマーから誘導される第1の繰り返し単位と、複数のエステルアセタール基を含む第2のモノマーから誘導される第2の繰り返し単位とを含むポリマーが提供される。
【0008】
ポリマー、光酸発生剤及び溶媒を含むフォトレジスト組成物も提供される。
【0009】
更に、基材上でフォトレジスト組成物の層を適用し、フォトレジスト組成物層を提供することと、フォトレジスト組成物層を活性化放射線にパターンワイズ露光し、露光されたフォトレジスト組成物層を提供することと、露光されたフォトレジスト組成物層を現像し、フォトレジストパターンを提供することとを含む、パターンを形成する方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで、その例が本明細書で示される例示的な実施形態を詳細に参照する。これに関連して、本例示的な実施形態は、異なる形態を有し得、本明細書に明記される記載に限定されると解釈されるべきではない。したがって、例示的な実施形態は、本記載の態様を説明するために、図に言及することによって、以下に記載されるにすぎない。本明細書で使用される場合、「及び/又は」という用語は、関連する列挙された項目の1つ以上のいずれか及び全ての組合せを包含する。「少なくとも1つ」などの表現は、要素のリストに先立つ場合、要素の全リストを修飾し、リストの個々の要素を修飾しない。
【0011】
本明細書で使用される場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」という用語は、量の制限を意味せず、本明細書で特に示さないか又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。「又は」は、特に明記しない限り、「及び/又は」を意味する。量に関連して用いられる修飾語句「約」は、表明値を含み、前後関係(例えば、特定の量の測定と関連したエラーの度合いを含む)によって決定される意味を有する。本明細書で開示される全ての範囲は、終点を含み、終点は、独立して、互いに合体できる。接尾辞「(s)」は、それが修飾する用語の単数形及び複数形の両方を含み、それによってその用語の少なくとも1つを含むことを意図する。「任意選択の」又は「任意選択的に」は、その後に記載される事象又は状況が起こり得るか又は起こり得ないこと、及びその記載は、事象が起こる場合及び事象が起こらない場合を含むことを意味する。「第1」、「第2」などの用語は、本明細書では、順番、量、又は重要性を意味せず、むしろ1つの要素を別の要素から区別するために用いられる。要素が別の要素「上」にあると言われる場合、それは、他の要素と直接に接触し得るか、又は介在要素がそれらの間に存在し得る。対照的に、要素が別の要素の「直接上に」あると言われる場合、介在要素は、存在しない。態様の記載される成分、要素、制限、及び/又は特徴は、様々な態様では任意の適切な方法で組み合わされ得ることが理解されるべきである。
【0012】
別に定義されない限り、本明細書で用いられる全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。一般に使用される辞書において定義されるものなどの、用語は、関連技術分野及び本開示との関連でそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明確にそのように定義しない限り、理想的な意味又は過度に形式的な意味で解釈されないことが更に理解されるであろう。
【0013】
本開示において、「化学線」又は「放射線」は、例えば、水銀ランプの輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子ビーム及びイオンビームなどの粒子線等を意味する。更に、本発明において、「光」は、化学線又は放射線を意味する。
【0014】
フッ化アルゴンレーザー(ArFレーザー)は、特定のタイプのエキシマレーザーであり、エキシプレックス(exciplex)レーザーと呼ばれる場合がある。「エキシマ」は「励起ダイマー(excited dimer)」の略であり、「エキシプレックス」は「励起コンプレックス(excited complex)」の略である。エキシマレーザーは、希ガス(アルゴン、クリプトン、又はキセノン)とハロゲンガス(フッ素又は塩素)の混合物を使用し、電気刺激と高圧の適切な条件下で、干渉性の刺激放射線(レーザー光)を紫外範囲で放出する。
【0015】
更に、本明細書における「露光」には、特に明記しない限り、水銀ランプ、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、極紫外線(EUV光)等による露光のみならず、電子ビーム及びイオンビームなどの粒子線による書き込みも含まれる。
【0016】
本明細書で使用される場合、「炭化水素」という用語は、少なくとも1個の炭素原子及び少なくとも1個の水素原子を有する有機化合物を言い;「アルキル」は、明記された数の炭素原子を有し、且つ、1の価数を有する直鎖若しくは分岐鎖の飽和炭化水素基を言い;「アルキレン」は、2の価数を有するアルキル基を言い;「ヒドロキシアルキル」は、少なくとも1個のヒドロキシル基(-OH)で置換されたアルキル基を言い;「アルコキシ」は、「アルキル-O-」を言い;「カルボキシル」及び「カルボン酸基」は、式「-C(=O)-OH」を有する基を言い;「シクロアルキル」は、全ての環員が炭素である1つ以上の飽和環を有する一価基を言い;「シクロアルキレン基」は、2の価数を有するシクロアルキル基を言い;「アルケニル」は、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を有する直鎖若しくは分岐鎖の、一価炭化水素基を言い;「アルケノキシ」は、「アルケニル-O-」を言い;「アルケニレン」は、2の価数を有するアルケニル基を言い;「シクロアルケニル」は、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を持った、少なくとも3個の炭素原子を有する非芳香族環状二価炭化水素基を言い;「アルキニル」は、少なくとも1個の炭素-炭素三重結合を有する一価炭化水素基を言い;用語「芳香族基」は、Huckel則を満たし、環中に炭素を含み、環中の炭素原子の代わりに、N、O及びSから選択される1個以上のヘテロ原子を任意選択的に含んでいてもよい単環式若しくは多環式環系を言い;「アリール」は、あらゆる環員が炭素である一価の芳香族単環式若しくは多環式環系を言い、少なくとも1つのシクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環に縮合した芳香環を持った基を含んでいてもよく;「アリーレン」は、2の価数を有するアリール基を言い;「アルキルアリール」は、アルキル基で置換されているアリール基を言い;「アリールアルキル」は、アリール基で置換されているアルキル基を言い;「アリールオキシ」は、「アリール-O-」を言い;「アリールチオ」は、「アリール-S-」を言う。
【0017】
接頭辞「ヘテロ」は、化合物又は基が、炭素原子の代わりに、ヘテロ原子である少なくとも1つのメンバー(例えば、1、2、3、又は4個以上のヘテロ原子)を含むことを意味し、ここで、ヘテロ原子は、それぞれ独立して、N、O、S、Si、又はPであり;「ヘテロ原子含有基」は、少なくとも1個のヘテロ原子を含む置換基を言い;「ヘテロアルキル」は、炭素の代わりに少なくとも1個のヘテロ原子を有するアルキル基を言い;「ヘテロシクロアルキル」は、炭素の代わりに少なくとも1個のヘテロ原子を環員として有するシクロアルキル基を言い;「ヘテロシクロアルキレン」は、2の価数を有するヘテロシクロアルキル基を言う。
【0018】
「ヘテロアリール」という用語は、N、O、S、Si又はPからそれぞれ独立して選択される、1~4個のヘテロ原子(単環式の場合)、1~6個のヘテロ原子(二環式の場合)又は1~9個のヘテロ原子(三環式の場合)を有する4~8員の単環式、8~12員の二環式、又は11~14員の三環式環系を意味する(例えば、単環式、二環式、又は三環式の場合、それぞれ、炭素原子と、1~3個、1~6個又は1~9個のN、O又はSのヘテロ原子)。ヘテロアリール基の例としては、ピリジル、フリル(フリル若しくはフラニル)、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、ピリミジニル、チオフェニル又はチエニル、キノリニル、インドリル、チアゾリルなどが含まれる。
【0019】
「ハロゲン」という用語は、フッ素(フルオロ)、塩素(クロロ)、臭素(ブロモ)、又はヨウ素(ヨード)である一価置換基を意味する。接頭辞「ハロ」は、水素原子の代わりにフルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨード置換基のうちの1つ以上を含む基を意味する。ハロ基の組合せ(例えば、ブロモ及びフルオロ)、又はフルオロ基のみが存在していてもよい。例えば、「ハロアルキル」という用語は、1つ以上のハロゲンによって置換されたアルキル基を指す。本明細書で使用される場合、「置換C1~8ハロアルキル」は、少なくとも1つのハロゲンによって置換されたC1~8アルキル基を指し、ハロゲン以外の1つ以上の他の置換基によって、さらに置換される。ハロゲン原子は炭素原子を置換しないので、ハロゲン原子による基の置換は、ヘテロ原子含有基とは考えられないことは理解されるべきである。
【0020】
「フッ素化」は、基中へ組み込まれた1つ以上のフッ素原子を有することを意味すると理解されるものとする。例えば、C1~18フルオロアルキル基が示されている場合、そのフルオロアルキル基は、1つ以上のフッ素原子、例えば単一のフッ素原子、2つのフッ素原子(例えば、1,1-ジフルオロエチル基等)、3つのフッ素原子(例えば、2,2,2-トリフルオロエチル基等)、又は炭素の各自由原子価におけるフッ素原子(例えば-CF3、-C2F5、-C3F7、又は-C4F9等のパーフルオロ基として)を含み得る。「置換フルオロアルキル基」は、さらに別の置換基によって置換されたフルオロアルキル基を意味すると理解されるものとする。
【0021】
明白に別に提示されない限り、上記置換基のそれぞれは、任意選択的に置換され得る。「任意選択的に置換される」という用語は、置換若しくは無置換であることを指す。「置換」は、指定された原子の正常な原子価を越えないことを条件として、化学構造の少なくとも1つの水素原子が典型的に一価である別の末端置換基によって置換されることを意味する。置換基がオキソ(すなわち、=O)である場合、炭素原子上の2つのジェミナル(geminal)水素で原子は末端オキソ基によって置換される。置換基又は変数の組合せが許容される。「置換」位置に存在し得る例示的な置換基としては、ニトロ(-NO2)、シアノ(-CN)、ヒドロキシル(-OH)、オキソ(=O)、アミノ(-NH2)、モノ-又はジ-(C1~6)アルキルアミノ、アルカノイル(アシルなどのC2~6アルカノイル基など)、ホルミル(-C(=O)H)、カルボン酸又はそのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩、C2~6アルキルエステル(-C(=O)O-アルキル又は-OC(=O)-アルキル)、C7~13アリールエステル(-C(=O)O-アリール又は-OC(=O)-アリール)、アミド-(C(=O)NR2、式中、Rは水素又はC1~6アルキルである)、カルボキサミド(-CH2C(=O)NR2、式中、Rは水素又はC1~6アルキルである)、ハロゲン、チオール(-SH)、C1~6アルキルチオ(-S-アルキル)、チオシアノ(-SCN)、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、C1~9アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、C3~12シクロアルキル、C5~18シクロアルケニル、C3~18ヘテロシクロアルケニル、少なくとも1つの芳香環(例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチルなど、それぞれの環は、置換又は無置換芳香族)を有するC6~12アリール、1~3個の分離した環又は縮合環と6~18個の環炭素原子とを有するC7~19アリールアルキル、1~3個の分離した環又は縮合環と6~18個の環炭素原子とを有するアリールアルコキシ、C7~12アルキルアリール、C3~12ヘテロシクロアルキル、C3~12ヘテロアリール、C1~6アルキルスルホニル(-S(=O)2-アルキル)、C6~12アリールスルホニル(-S(=O)2-アリール)、又はトシル(CH3C6H4SO2
-)が挙げられるが、これらに限定されない。基が置換されている場合、炭素原子の示されている数は、任意の置換基の炭素原子を除いた、基における炭素原子の総数である。例えば、基-CH2CH2CNは、シアノ置換されたC2アルキル基である。
【0022】
本明細書で用いる場合、「酸不安定基」は、酸の触媒的作用により、任意選択的に且つ典型的には熱処理を伴うことにより、結合が開裂し、その結果、カルボン酸基又はアルコール基などの極性基が生じる基を意味し、ポリマー上に形成され、任意選択的に且つ典型的には、開裂した結合に接続した部分がポリマーから切断される。他の系において、非ポリマー化合物は、酸の触媒作用によって開裂され得る酸不安定基を含み得、そして非ポリマー化合物の開裂部分においてカルボン酸又はアルコール基などの極性基の形成がもたらされる。そのような酸は、典型的に、光生成酸であり、露光後ベークの間に結合の裂開が生じるが、実施形態はそれらに限定されず、そのような酸は、例えば、熱によっても生成し得る。好適な酸不安定基には、例えば:三級アルキルエステル基、二級若しくは三級アリールエステル基、アルキル基とアリール基との組合せを有する二級若しくは三級エステル基、三級アルコキシ基、アセタール基、又はケタール基が含まれる。酸不安定基はまた一般に、当技術分野において、「酸開裂可能基」、「酸開裂可能保護基」、「酸不安定保護基」、「酸脱離基」、「酸分解可能基」、及び「酸感受性基」とも言われる。
【0023】
本明細書において、別途定義されない限り「二価連結基」は、-O-、-S-、-Te-、-Se-、-C(O)-、-N(Ra)-、-S(O)-、-S(O)2-、-C(S)-、-C(Te)-、-C(Se)-、置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C3~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリーレンの1つ若しくはそれ以上、又はこれらの組合せを含む二価の基を指し、Raは、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C1~20ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、又は置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリールである。典型的には、二価の連結基は、-O-、-S-、-C(O)-、-N(Ra)-、-S(O)-、-S(O)2-、置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C3~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリーレンの1つ若しくはそれ以上、又はこれらの組合せを含み、Raは、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C1~20ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、又は置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリールである。より典型的には、二価の連結基は、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-N(Ra)-、-C(O)N(Ra)-、置換若しくは無置換C1~10アルキレン、置換若しくは無置換C3~10シクロアルキレン、置換若しくは無置換C3~10ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~10アリーレン、置換若しくは無置換C3~10ヘテロアリーレンの少なくとも1つ又はこれらの組合せを含み、Raは、水素、置換若しくは無置換C1~10アルキル、置換若しくは無置換C1~10ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C6~10アリール、又は置換若しくは無置換C3~10ヘテロアリールである。
【0024】
本発明は、フォトレジスト組成物のためのポリマーに関する。ポリマーは、単一エステルアセタール基を含む第1のモノマーから誘導される第1の繰り返し単位と、複数のエステルアセタール基を含む第2のモノマーから誘導される第2の繰り返し単位とを含む。本明細書で使用される場合、「単一エステルアセタール基」という用語は、第1のモノマーが1つのエステルアセタール基を含むことを意味する。言い換えると、第1のモノマーは、1つのエステルアセタール基と、1つ以下のエステルアセタール基とを有する。対照的に、第2のモノマーの「複数のエステルアセタール基」は、第2のモノマーに含まれる2個以上のエステルアセタールを指す。例えば、第2のモノマーは、2、3、4、5又は6個のエステルアセタール基、典型的に2、3又は4個のエステルアセタール基を含み得る。いくつかの実施形態において、第2のモノマーは、2個のエステルアセタール基を含む。
【0025】
本発明者は、フォトレジスト組成物を調製するために本発明のポリマーを使用することができるということを発見した。本発明のフォトレジスト組成物は、改善されたリソグラフィー特性、例えば、改善された線幅粗さ(LWR)、露光ラチチュード、パターン崩壊、フォトスピード又はこれらの組合せを有するフォトレジストフィルムを調製するために使用することができる。
【0026】
ポリマーは、単一エステルアセタール基を含む第1のモノマーから誘導される第1の繰り返し単位と、複数のエステルアセタール基を含む第2のモノマーから誘導される第2の繰り返し単位とを含む。いくつかの実施形態において、第1のモノマー及び第2のモノマーのそれぞれが、炭素-炭素不飽和ビニル基を含む。本明細書で使用される場合、「炭素-炭素不飽和ビニル基」は、ビニル含有重合性基を指し、そして典型的に、置換若しくは無置換C2~20アルケニル、置換若しくは無置換ノルボルニル、置換若しくは無置換(メタ)アクリル、置換若しくは無置換ビニルエーテル、置換若しくは無置換ビニルケトン、置換若しくは無置換ビニルエステル又は置換若しくは無置換ビニル芳香族から選択され得、好ましくは、置換若しくは無置換ノルボルニル基、置換若しくは無置換(メタ)アクリル系基又は置換若しくは無置換ビニル芳香族基から選択され得る。
【0027】
ポリマーの第1の繰り返し単位は、式(1)の第1のモノマーから誘導され得る。
【化1】
【0028】
式(1)において、Raは、水素、フッ素、シアノ、置換若しくは無置換C1~10アルキルである。好ましくは、Raは、水素、フッ素又は置換若しくは無置換C1~5アルキルであり、典型的にはメチルである。
【0029】
式(1)において、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~20アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C3~20ヘテロアリール、置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリールアルキル又は置換若しくは無置換C4~30アルキルヘテロアリールである。好ましくは、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換のC1~20アルキル、置換若しくは無置換のC3~20シクロアルキル又は置換若しくは無置換のC3~20ヘテロシクロアルキルである。R1及びR2のそれぞれは、それらの構造の一部として二価連結基を任意選択的に更に含む。
【0030】
式(1)において、R1及びR2は、任意選択的に、一緒になって、単結合又は二価連結基を介して環を形成し得る。環は、単環式、非縮合多環式、又は縮合多環式であり得、典型的に、形成される場合は単環式である。
【0031】
式(1)において、R3は、置換若しくは無置換のC1~20アルキル、置換若しくは無置換のC3~20シクロアルキル、又は置換若しくは無置換のC3~20ヘテロシクロアルキルである。R3は、その構造の一部として、二価連結基を任意選択的に更に含む。
【0032】
式(1)において、R1又はR2の1つは、単結合又は二価連結基を介してR3と一緒に複素環を任意選択的に形成し得る。環は置換若しくは無置換である。環は、単環式、非縮合多環式、又は縮合多環式であり得、典型的に、形成される場合は単環式である。
【0033】
いくつかの態様において、第1のモノマーは、式(2)を有し得る。
【化2】
【0034】
式(2)において、Xaは、炭素-炭素不飽和ビニル基であり得る重合性基であり、L1は、置換若しくは無置換C1~10アルキレン、置換若しくは無置換C3~10シクロアルキレン、置換若しくは無置換C3~10ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~12アリーレン、置換若しくは無置換C3~12ヘテロアリーレン又はそれらの組合せから選択される単結合又は二価連結基であり、R4及びR5は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~20アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C4~20ヘテロアリール、置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリールアルキル又は置換若しくは無置換C4~30アルキルヘテロアリールである。好ましくは、R4及びR5は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換のC120アルキル、置換若しくは無置換のC320シクロアルキル又は置換若しくは無置換のC320ヘテロシクロアルキルである。R4及びR5のそれぞれは、それらの構造の一部として、二価連結基を任意選択的に更に含む。
【0035】
式(2)において、R4及びR5は、任意選択的に、一緒になって、単結合又は二価連結基を介して環を形成し得る。環は、単環式、非縮合多環式、又は縮合多環式であり得、典型的に、形成される場合は単環式である。
【0036】
式(2)において、R6は、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、又は置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキルである。R6は、その構造の一部として、二価連結基を任意選択的に更に含む。
【0037】
式(2)において、R4又はR5の1つは、単結合又は二価連結基を介してR6と一緒になって複素環を任意選択的に形成し得る。環は置換若しくは無置換である。環は、単環式、非縮合多環式、又は縮合多環式であり得、典型的に、形成される場合は単環式である。
【0038】
いくつかの態様において、第1のモノマーは、式(1)、式(2)又はそれらの組合せから選択される。
【0039】
ポリマーの第1の繰り返し単位が誘導され得る例示的な第1のモノマーは、以下を含む。
【化3】
【化4】
(式中、R
cは水素、フッ素、シアノ、置換又は無置換C
1~10アルキルであり;且つ各Rは、独立してC
1~6アルキル、典型的にC
1~4アルキル又はC
1~2アルキルである)。
【0040】
ポリマーは、典型的には、ポリマーの繰り返し単位の総モルに基づき、1~50モル%、典型的には1~40モル%、より典型的には5~30モル%の量で第1の繰り返し単位を含む。
【0041】
ポリマーの第2の繰り返し単位は、式(5)の第2のモノマーから誘導され得る。
【化5】
【0042】
式(5)において、Re及びRfは、それぞれ独立して、水素、フッ素、シアノ、置換又は無置換C1~10アルキルである。好ましくは、Rf及びRfは、それぞれ独立して、水素、フッ素、又は置換若しくは無置換C1~5アルキル、典型的にはメチルである。
【0043】
式(5)において、R13、R14、R15及びR16は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~20アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C3~20ヘテロアリール、置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリールアルキル又は置換若しくは無置換C4~30アルキルヘテロアリールである。好ましくは、R13、R14、R15及びR16は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル又は置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキルである。R13、R14、R15及びR16のそれぞれは、それらの構造の一部として、二価連結基を任意選択的に更に含む。
【0044】
式(5)において、R13及びR14は、任意選択的に、一緒になって、単結合又は二価連結基を介して環を形成し得る。環は、単環式、非縮合多環式、又は縮合多環式であり得、典型的に、形成される場合は単環式である。
【0045】
式(5)において、R15及びR16は、任意選択的に、一緒になって、単結合又は二価連結基を介して環を形成し得る。環は、単環式、非縮合多環式、又は縮合多環式であり得、典型的に、形成される場合は単環式である。
【0046】
式(5)において、Zは二価連結基である。好ましくは、Zは、置換若しくは無置換C1~8アルキレン、置換若しくは無置換C3~8シクロアルキレン、置換若しくは無置換C3~8ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~12アリーレン又は置換若しくは無置換C3~12ヘテロアリーレンである。
【0047】
ポリマーの第2の繰り返し単位が誘導される得る例示的な第2のモノマーは、以下を含む。
【化6】
【0048】
ポリマーは、典型的には、ポリマーの繰り返し単位の総モルに基づき、1~50モル%、典型的には1~40モル%、より典型的には5~30モル%の量で第2の繰り返し単位を含む。
【0049】
ポリマーは、任意選択的に、1つ以上の追加の繰り返し単位を更に含み得る。追加の繰り返し構造単位には、例えば、エッチ速度及び溶解性などの、フォトレジスト組成物の特性を調整する目的のための1つ以上の追加の単位であり得る。例示的な追加の単位は、(メタ)アクリレート、ビニル芳香族、ビニルエーテル、ビニルケトン、及び/又はビニルエステルモノマーの1つ以上から誘導されるものを含み得る。ポリマー内に1つ以上の追加の繰り返し単位が存在する場合、ポリマーの総繰り返し単位に基づき、最大90モル%、典型的に1~90モル%又は3~80モル%の量で使用され得る。
【0050】
いくつかの態様において、ポリマーは、エステルアセタールを含まないアセタールモノマー、例えば式(3)、式(4)のモノマー又はそれらの組合せから誘導される繰り返し単位を更に任意選択的に含み得る。
【化7】
【0051】
式(3)において、Xbは、炭素-炭素不飽和ビニル基であり得る重合性基であり、L2は、置換若しくは無置換C1~10アルキレン、置換若しくは無置換C3~10シクロアルキレン、置換若しくは無置換C3~10ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~12アリーレン、置換若しくは無置換C4~12ヘテロアリーレン又はそれらの組合せから選択される二価連結基である。
【0052】
式(3)において、R7及びR8は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~20アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C3~20ヘテロアリール、置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリールアルキル又は置換若しくは無置換C4~30アルキルヘテロアリールである。好ましくは、R7及びR8は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換のC120アルキル、置換若しくは無置換のC320シクロアルキル又は置換若しくは無置換のC320ヘテロシクロアルキルである。R7及びR8のそれぞれは、それらの構造の一部として、二価連結基を任意選択的に更に含む。
【0053】
式(3)において、R9は、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、又は置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキルである。R9は、その構造の一部として、二価連結基を任意選択的に更に含む。
【0054】
式(3)において、R7又はR8の1つは、単結合又は二価連結基を介してR9と一緒になって複素環を任意選択的に形成し得る。環は置換若しくは無置換である。環は、単環式、非縮合多環式、又は縮合多環式であり得、典型的に、形成される場合は単環式である。
【0055】
式(4)において、Rbは、水素、フッ素、シアノ、置換又は未置換C1~10アルキルである。好ましくは、Rbは、水素、フッ素、又は置換若しくは無置換C1~5アルキルであり、典型的にはメチルである。L3は、置換若しくは無置換C1~10アルキレン、置換若しくは無置換C3~10シクロアルキレン、置換若しくは無置換C3~10ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~12アリーレン、置換若しくは無置換C3~12ヘテロアリーレン又はそれらの組合せから選択される二価連絡基であり、L4は、置換若しくは無置換C1~10アルキレンであり、且つmは0又は1である。
【0056】
式(4)において、R10及びR11は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~20アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C4~20ヘテロアリール、置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリールアルキル又は置換若しくは無置換C4~30アルキルヘテロアリールである。好ましくは、R10及びR11は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換のC120アルキル、置換若しくは無置換のC3~20シクロアルキル又は置換若しくは無置換のC3~20ヘテロシクロアルキルである。R10及びR11のそれぞれは、それらの構造の一部として、二価連結基を任意選択的に更に含む。
【0057】
式(4)において、R12は、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、又は置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキルである。R12は、その構造の一部として、二価連結基を任意選択的に更に含む。
【0058】
式(4)において、R10又はR11の1つは、単結合又は二価連結基を介してR12と一緒になって複素環を任意選択的に形成し得る。環は置換若しくは無置換である。環は、単環式、非縮合多環式、又は縮合多環式であり得、典型的に、形成される場合は単環式である。
【0059】
いくつかの態様において、ポリマーは、酸不安定基を含む繰り返し単位を含み得、これは、露光後ベーク条件で光生成酸によって開裂することができる。例えば、酸不安定基を含む繰り返し単位は、ポリマーの第3の繰り返し単位であり得る。第3の繰り返し単位は、第1の繰り返し及び/又は第2の繰り返し単位から構造的に異なり得る。
【0060】
式(3)によって表されるモノマーの非限定的な例は、以下を含む。
【化8】
(式中、R
dは、水素、フッ素、シアノ又は置換若しくは無置換C
1~10アルキルである)。
【0061】
式(4)によって表されるモノマーの非限定的な例は、以下を含む。
【化9】
(式中、R
dは、水素、フッ素、シアノ又は置換若しくは無置換C
1~10アルキルである)。
【0062】
環式アセタール又は環式ケタール基を有するモノマーの非限定的な例は、例えば、以下の1つ以上を含む。
【化10】
(式中、R
gは、水素、フッ素、シアノ又は置換若しくは無置換C
1~10アルキルである)。
【0063】
1つ以上の実施形態において、ポリマーは、非エステルアセタール基又はケタール基を含有する繰り返し単位を含まない。例えば、1つ以上の実施形態において、ポリマーは、式(3)又は式(4)のモノマーから誘導される繰り返し単位を含まない。
【0064】
例えば、酸不安定基を含む繰り返し単位は、式(6)、(7)又は(8)の1つ以上のモノマーから誘導され得る。
【化11】
【0065】
式(6)及び(7)において、Rh及びRiは、それぞれ独立して、水素、フッ素、シアノ又は置換若しくは無置換C1~10アルキルであり得る。好ましくは、Rh及びRiは、それぞれ独立して、水素、フッ素又は置換若しくは無置換C1~5アルキル、典型的にはメチルである。
【0066】
式(6)において、L5は二価連結基である。例えば、L5は、1~10個の炭素原子及び少なくとも1個のヘテロ原子を含んでいてもよい。典型的な例において、L5は、-OCH2-、-OCH2CH2O-又は-N(R6a)-であってもよく、ここで、R6aは、水素又はC1~6アルキルである。
【0067】
式(6)及び(7)において、R17~R22は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~20アルケニル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルケニル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルケニル、置換若しくは無置換C6~20アリール又は置換若しくは無置換C3~20ヘテロアリールであるが、ただし、R17~R19の1つが水素であり得、そしてR20~R22の1つが水素であり得ことを条件とし、そしてR17~R19の1つが水素である場合、R17~R19の他の少なくとも1つは、置換若しくは無置換C6~20アリール又は置換若しくは無置換C3~20ヘテロアリールであり、そしてR20~R22の1つが水素である場合、R20~R22の他の少なくとも1つは、置換若しくは無置換C6~20アリール又は置換若しくは無置換C3~20ヘテロアリールであることを条件とする。好ましくは、R17~R22は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換のC1~6アルキル又は置換若しくは無置換のC3~10シクロアルキルである。R17~R22のそれぞれは、それらの構造の一部として、二価連絡基を任意選択的に更に含み得る。
【0068】
式(6)において、R17~R19のいずれか2つが一緒になって、任意選択的に、その構造の一部として二価連絡基を更に含み得、且つ置換若しくは無置換であり得る環を形成し得る。式(7)において、R20~R22のいずれか2つが一緒になって、任意選択的に、その構造の一部として二価連絡基を更に含み得、且つ置換若しくは無置換であり得る環を形成し得る。
【0069】
例えば、R17~R22のいずれか1つ以上は、独立して、式-CH2C(=O)CH(3-n)Ynの基であり得、式中、各Yは、独立して、置換又は無置換C3~10ヘテロシクロアルキルであり、且つnは、1又は2である。例えば、各Yは、独立して、式-O(Ca1)(Ca2)O-の基を含む置換若しくは無置換C3~10ヘテロシクロアルキルであり得、式中、Ca1及びCa2は、それぞれ独立して、水素又は置換若しくは無置換アルキルであり、Ca1及びCa2は、一緒に任意選択的に環を形成する。
【0070】
式(8)において、R23~R25は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~20アリール又は置換若しくは無置換C3~20ヘテロアリールであり得るが、ただし、R23~R25の1つが水素であり得ることを条件とし、そしてR23~R25の1つが水素である場合、R23~R25の他の少なくとも1つは、置換若しくは無置換C6~20アリール又は置換若しくは無置換C3~20ヘテロアリールであることを条件とする。R23~R25のそれぞれは、その構造の一部として、二価連絡基を任意選択的に更に含み得る。R23~R25のいずれか2つは、任意選択的に一緒になって、その構造の一部として二価連絡基を更に含み得る環を形成し得る。
【0071】
式(8)において、Xdは、置換若しくは無置換C2~20アルケニル又は置換若しくは無置換ノルボルニルから選択される炭素-炭素不飽和ビニル基である。
【0072】
式(8)において、L6は、単結合又は二価連結基であり得るが、ただし、Xdが置換若しくは無置換C2~20アルケニルである場合、L7は単結合ではないことを条件とする。好ましくは、L7は、置換若しくは無置換C6~30アリーレン又は置換若しくは無置換C6~30シクロアルキレンである。
【0073】
式(8)において、n1は0又は1である。n1が0である場合、L6基は酸素原子に直接結合していることは理解されるべきである。
【0074】
いくつかの態様において、ポリマーが酸不安定基を含む繰り返し単位を更に含む場合、酸不安定基は三級アルキルエステルであり得る。例えば、三級アルキルエステル基を含む繰り返し単位は、R17~R22のいずれも水素ではなくて、n1が1である、式(6)、(7)又は(8)の1つ以上のモノマーから誘導され得る。
【0075】
式(6)によって表されるモノマーの非限定的な例は、以下を含む。
【化12】
【0076】
式(7)によって表されるモノマーの非限定的な例は、以下を含む。
【化13】
【化14】
(式中、R
dは、式(7)において式R
iに関して定義された通りであり、そしてR’及びR’’は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換C
1~20アルキル、置換若しくは無置換C
3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C
3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~20アルケニル、置換若しくは無置換C
3~20シクロアルケニル、置換若しくは無置換C
3~20ヘテロシクロアルケニル、置換若しくは無置換C
6~20アリール、又は置換若しくは無置換C
3~20ヘテロアリールである。)
【0077】
式(8)によって表されるモノマーの非限定的な例は、以下を含む。
【化15】
【0078】
酸不安定基を含む繰り返し単位は、例えば、以下の式の三級アルコキシ基を有する1つ以上のモノマーから誘導され得る。
【化16】
【0079】
存在する場合、ポリマーは、ポリマー中の総繰り返し単位に基づき、典型的に1~80モル%、より典型的に5~75モル%、更により典型的に5~50モル%の量で酸不安定基を含む繰り返し単位を含む。
【0080】
ポリマーは、それぞれが酸不安定基を含む2つ以上の異なる繰り返し単位を含み得る。例えば、ポリマーは、第2の繰り返し単位と構造的に異なる酸不安定基を含む第3の繰り返し単位と、三級アルキルエステルを含む酸不安定基を含む第4の繰り返し単位とを含み得る。ポリマーがそれぞれが酸不安定基を含む2つ以上の異なる繰り返し単位を含む場合、ポリマー中の酸不安定基を含む繰り返し単位の総量は、ポリマー中の総繰り返し単位に基づき、典型的に1~80モル%、より典型的に5~75モル%、更により典型的に5~50モル%の量であり得る。
【0081】
ポリマーは、任意選択的に、ポリマーの主鎖に対するペンダントである極性基を含む繰り返し単位を更に含み得る。例示的な極性基としては、ラクトン環がポリマーの主鎖に対するペンダントであるラクトン、塩基可溶性繰り返し単位(例えば、12以下のpKaを有する塩基可溶性繰り返し単位)、ヘテロ原子含有部分を含む他の繰り返し単位、及びヘテロ原子含有部分によって更に置換された置換基を含む繰り返し単位が含まれる。本発明の極性基であり得る例示的なヘテロ原子含有部分としては、限定されないが、ニトロ(-NO2)、シアノ(-CN)、アミノ(-NR2、式中、R2は水素、C1~10アルキル、C6~12アリール、C3~12ヘテロアリール又はこれらの組合せである)、ヒドロキシル(-OH)、アルコキシ、カルボキシル、アリールオキシ、チオール(-SH)、アリールチオ及びスルホニルが含まれる。
【0082】
例えば、ポリマーは、ラクトン環がポリマーの主鎖に対するペンダントであるラクトン含有繰り返し単位を更に含み得、これは式(9)のモノマーから誘導され得る。
【化17】
【0083】
式(9)において、Rjは、水素、フッ素、シアノ、置換若しくは無置換C1~10アルキルである。好ましくは、Rjは、水素、フッ素、又は置換若しくは無置換C1~5アルキル、典型的にはメチルである。L7は、単結合又は二価の連結基であってよい。R26は、置換若しくは無置換C4~20ラクトン含有基又は置換若しくは無置換多環式C4~20スルトン含有基であり得、それぞれ、単環式、非縮合多環式、又は縮合多環式基であり得る。
【0084】
式(9)のモノマーの非限定的な例としては、以下のにものが挙げられる:
【化18】
(式中、R
fは、式(9)のR
jに関して定義されたものと同一である)。
【0085】
ラクトン環を含む繰り返し単位が存在する場合、ポリマーは、ポリマー中の繰り返し単位の総モル数に基づき、典型的に1~70モル%、典型的に5~60モル%、より典型的には5~50モル%の量でラクトン繰り返し単位を含む。
【0086】
いくつかの実施形態において、ポリマーは、12以下のpKaを有する塩基可溶性繰り返し単位を含んでいてもよい。例えば、塩基可溶性繰り返し単位は、式(10)、(11)、(12)又はこれらの組合せのモノマーから誘導することができる。
【化19】
【0087】
式(10)~(12)において、Rk、Rm及びRnは、それぞれ独立して、水素、フッ素、シアノ又は置換若しくは無置換C1~10アルキルである。好ましくは、Rk、Rm及びRnは、それぞれ独立して、水素、フッ素、又は置換若しくは無置換C1~5アルキル、典型的にメチルである。
【0088】
式(10)において、R27は、置換若しくは無置換C1~100若しくはC1~20アルキル、典型的にC1~12アルキル;置換若しくは無置換C3~30若しくはC3~20シクロアルキル;又は置換若しくは無置換ポリ(C1~3アルキレンオキシド)であり得る。好ましくは、置換C1~100若しくはC1~20アルキル、置換C3~30若しくはC3~20シクロアルキル、及び置換ポリ(C1~3アルキレンオキシド)は、ハロゲン、C1~4フルオロアルキル基、典型的にフルオロメチルなどのフルオロアルキル基、スルホンアミド基-NH-S(O)2-Y1(式中、Y1は、C1~4ペルフルオロアルキルである)(例えば、-NHSO2CF3)、又はフルオロアルコール基(例えば、-C(CF3)2OH)の1つ以上によって置換されている。
【0089】
式(11)において、L8は、単結合或いは、例えば、C1~6アルキレン若しくはC3~20シクロアルキレンなどの、任意選択的に置換された脂肪族炭化水素、及び芳香族炭化水素、並びにそれらの組合せから選択される多価連結基を表し、任意選択的に、1つ以上の連結部分は、-O-、-S-、-C(O)-、及び-NR102-(式中、R102は、水素及び任意選択的に置換されたC1~10アルキルから選択される)から選択され、n2は1~5の整数、典型的には1である。例えば、ポリマーは、式(11)(式中、L8は、単結合或いは置換若しくは無置換C1~20アルキレン、典型的にC1~6アルキレン;置換若しくは無置換C3~20シクロアルキレン;典型的にC3~10シクロアルキレン;及び置換若しくは無置換C6~24アリーレンから選択される多価連結基であり、n2は、1、2、又は3である)の1つ以上のモノマーから誘導される繰り返し単位を更に含み得る。
【0090】
式(12)において、n3は0又は1であり、且つL9は単結合又は二価連結基であり得る。好ましくは、L9は、単結合、置換若しくは無置換のC6~30アリーレン又は置換若しくは無置換のC6~30シクロアルキレンであり得る。Ar1は、N、O、S又はこれらの組合せから選択される1つ以上の芳香環ヘテロ原子を任意選択的に含む置換C5~60芳香族基であり、芳香族基は単環式、非縮合多環式又は縮合多環式であり得る。C5~60芳香族基が多環式である場合、環又は環基は、縮合されていてもよく(例えばナフチルなど)、非縮合であってもよく、又はこれらの組合せでもあり得る。多環式C5~60芳香族基が非縮合である場合、環又は環基は、直接結合(ビアリール、ビフェニルなど)され得るか、又はヘテロ原子によって架橋(トリフェニルアミノ又はジフェニレンエーテルなど)され得る。いくつかの態様において、多環式C5~60芳香族基は、縮合環及び直接結合環の組合せ(ビナフチルなど)を含み得る。yは、1~12、好ましくは1~6、そして典型的に1~3の整数であり得る。各Rxは、独立して、水素又はメチルであり得る。
【0091】
塩基可溶性繰り返し単位を提供するために使用され得るモノマーの非限定的な例としては、以下が含まれる:
【化20】
【化21】
(式中、Y
1は上記の通りであり、そしてR
iは、それぞれ式(10)~(12)において、R
k、R
m及びR
nに関して定義された通りである)。
【0092】
存在する場合、ポリマーは、ポリマーの総繰り返し単位に基づき、典型的に1~60モル%、典型的に5~50モル%、より典型的に5~40モル%の量で塩基可溶性繰り返し単位を含む。
【0093】
本発明の非限定的な例示的ポリマーとしては、以下が含まれる:
【化22】
【化23】
(式中、a、b、c、d及びeは、それぞれ、ポリマー中の総繰り返し単位100モル%に基づく繰り返し単位のモル%を表す)。
【0094】
ポリマーは、典型的に1,000~50,000ダルトン(Da)、好ましくは2,000~30,000Da、より好ましくは4,000~20,000Da、更により好ましくは5,000~15,000Daの重量平均分子量(Mw)を有する。ポリマーのPDIは、典型的に1.1~3であり、より典型的に1.1~2である。分子量は、ポリスチレン標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される。
【0095】
本明細書に記載されるポリマーは、上記された繰り返し単位とは異なる1つ以上の追加の繰り返し単位を任意選択的に含み得ることは理解されるべきである。追加の繰り返し単位としては、例えば、エッチ速度及び溶解性などの、フォトレジスト下層組成物の特性を調整する目的のための1つ以上の追加の単位が含まれ得る。例示的な更なる単位は、(メタ)アクリレート、ビニルエーテル、ビニルケトン及びビニルエステルの1つ以上を含み得る。ポリマー中に存在する場合、1つ以上の追加の繰り返し単位は、典型的に、それぞれのポリマーの総繰り返し単位に基づき、最大99モル%、典型的には3~80モル%の量で使用される。
【0096】
本発明の適切なポリマーは、当業者によって容易に理解される、本出願の実施例に記載される手順に基づいて及び手順から類推して容易に調製することができる。例えば、本明細書で記載される繰り返し単位に対応する1つ以上のモノマーが、適切な溶剤及び開始剤を使用して、組み合わせられるか又は別々に供給され、反応器中で重合させられ得る。モノマー組成物は、溶剤、重合開始剤、硬化触媒(すなわち、酸触媒)等などの、添加剤を更に含み得る。例えば、ポリマーは、有効な温度での加熱、有効な波長での活性化放射線での照射、又はそれらの組合せなどの、任意の好適な条件下でのそれぞれのモノマーの重合によって得られ得る。いくつかの態様において、モノマー組成物は、硬化剤をさらに含む。
【0097】
本発明のポリマー、光酸発生剤(PAG)及び溶媒を含むフォトレジスト組成物も提供される。
【0098】
フォトレジスト組成物は、上記された本発明のポリマーに加えて1つ以上のポリマー(「追加のポリマー」)を更に含み得る。例えば、フォトレジスト組成物は、上記されたような、しかし組成が異なる追加のポリマーを更に含み得る。それに加えて、又はその代わりに、1つ以上の追加のポリマーとしては、当該技術において周知のもの、例えば、ポリアクリレート、ポリビニルエーテル、ポリエステル、ポリノルボルネン、ポリアセタール、ポリエチレングリコール、ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリフェノール、ノボラック、スチレン系ポリマー、ポリビニルアルコール、又はそれらの組合せから選択される1つ以上のポリマーが含まれる。
【0099】
適切なPAGは、露光後ベーク(PEB)中、フォトレジスト組成物のポリマー上に存在する酸不安定基の開裂を引き起こす酸を生成することができる。PAGは、非ポリマー形態であってもポリマー形態であってもよく、例えば上記ポリマーの重合繰り返し単位の中に、又は別のポリマーの一部として存在し得る。適切な非ポリマー系PAG化合物は、式G+A-を有し得、式中のG+は、2つのアルキル基、2つのアリール基、又はアルキル基とアリール基との組合せで置換されたヨードニウムカチオン;3つのアルキル基、3つのアリール基、又はアルキル基とアリール基との組合せで置換されたスルホニウムカチオンから選択される有機カチオンであることが可能であり、A-は非重合性有機アニオンである。いくつかの実施形態において、PAGは、非重合性PAG化合物として、重合性PAGモノマーから誘導されるPAG部分を有するポリマーの繰り返し単位として又はその組合せで含まれ得る。
【0100】
特に適切な非ポリマー系有機アニオンとしては、共役酸が-15~1のpKaを有するものが挙げられる。特に好ましいアニオンは、フッ素化アルキルスルホネート及びフッ素化スルホンイミドである。
【0101】
適切な非ポリマー系PAG化合物は、化学増幅フォトレジストの技術分野で知られており、例えば、オニウム塩、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(p-tert-ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(p-tert-ブトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp-トルエンスルホネート;ジ-t-ブチルフェニルヨードニウムペルフルオロブタンスルホネート、及びジ-t-ブチルフェニルヨードニウムカンファースルホネートが含まれる。非イオン性スルホネート及びスルホニル化合物も光酸発生剤として機能することが知られており、例えば、ニトロベンジル誘導体、例えば、2-ニトロベンジル-p-トルエンスルホネート、2,6-ジニトロベンジル-p-トルエンスルホネート、及び2,4-ジニトロベンジル-p-トルエンスルホネート;スルホン酸エステル、例えば、1,2,3-トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3-トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、及び1,2,3-トリス(p-トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン;ジアゾメタン誘導体、例えば、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p-トルエンスルホニル)ジアゾメタン;グリオキシム誘導体、例えば、ビス-O-(p-トルエンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、及びビス-O-(n-ブタンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム;N-ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体、例えば、N-ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N-ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル;並びにハロゲン含有トリアジン化合物、例えば、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、及び2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジンである。適切な非重合型光酸発生剤は、Hashimotoらの(特許文献1)、37列、11~47行及び41~91列に更に記載されている。他の適切なスルホネートPAGとしては、スルホネート化エステル及びスルホニルオキシケトン、ニトロベンジルエステル、s-トリアジン誘導体、ベンゾイントシレート、t-ブチルフェニルα-(p-トルエンスルホニルオキシ)-アセテート、及びt-ブチルα-(p-トルエンスルホニルオキシ)-アセテートが含まれ、これらは、(特許文献2)及び(特許文献1)に記載されている。
【0102】
典型的には、フォトレジスト組成物が非ポリマー系光酸発生剤を含む場合、それはフォトレジストの総固形分に基づき、1~65重量%、より典型的に2~20重量%の量でフォトレジスト組成物中に存在する。
【0103】
いくつかの実施形態において、G
+は、式(13A)を有するスルホニウムカチオン又は式(13B)のヨードニウムカチオンであり得る。
【化24】
【0104】
式(13A)及び(13B)において、各Raaは、独立して、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~20アルケニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C6~30ヨードアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C7~20アリールアルキル又は置換若しくは無置換C4~20ヘテロアリールアルキルである。各Raaは別々であっても、又は単結合若しくは二価連絡基を介して別の基Raaに連結し、環を形成してもよい。各Raaは、その構造の一部として、二価連絡基を任意選択的に含み得る。各Raaは、独立して、例えば三級アルキルエステル基、二級若しくは三級アリールエステル基、アルキル基とアリール基との組合せを有する二級若しくは三級エステル基、三級アルコキシ基、アセタール基、又はケタール基から選択される酸不安定基を任意選択的に含み得る。Raa基の連結に適切な二価連結基としては、例えば、-O-、-S-、-Te-、-Se-、-C(O)-、-C(S)-、-C(Te)-又は-C(Se)-、置換若しくは無置換C1~5アルキレン又はこれらの組合せが含まれる。
【0105】
式(13A)の例示的なスルホニウムカチオンには、以下が含まれる。
【化25】
【0106】
式(13B)の例示的なヨードニウムカチオンには、以下が含まれる。
【化26】
【0107】
オニウム塩であるPAGは、典型的に、スルホンアミデート、スルホンイミデート、メチド又はボレートなどのスルホネート基又は非スルホネート型基を有する有機アニオンA-を含む。
【0108】
スルホネート基を有する例示的な有機アニオンには、以下が含まれる。
【化27】
【0109】
例示的な非スルホネート化アニオンには、以下が含まれる。
【化28】
【0110】
フォトレジスト組成物は、任意選択的に、複数のPAGを含み得る。複数のPAGは、ポリマー系であり得るか、非ポリマー系であり得るか、又はポリマー系PAGと非ポリマー系PAGとの両方を含み得る。好ましくは、複数のPAGのそれぞれのPAGは、非ポリマー系である。
【0111】
1つ以上の態様において、フォトレジスト組成物は、アニオン上にスルホネート基を含む第1の光酸発生剤を含み得、フォトレジスト組成物は、非ポリマー系の第2の光酸発生剤を含み得、第2の光酸発生剤は、スルホネート基を含まないアニオンを含み得る。
【0112】
いくつかの態様において、PAG部分を含む繰り返し単位を含む酸不安定ポリマーが使用され得る。例えば、三不安定ポリマーは、式(14)の1つ以上のモノマーから誘導される繰り返し単位を含み得る:
【化29】
(式中、R
mは、水素、フッ素、シアノ又は置換若しくは無置換C
1~10アルキルであり得る)。好ましくは、R
mは、水素、フッ素、又は置換若しくは無置換C
1~5アルキルであり、典型的にはメチルである。L
1は、単結合又は二価連結基であり得る。好ましくは、Q
1は、1~10個の炭素原子及び少なくとも1個のヘテロ原子、より好ましくは-C(O)-O-を含み得る。
【0113】
式(14)において、A1は、置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C3~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン、又は置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリーレンの1つ以上である。好ましくは、A1は、任意選択的に更に置換されていてもよい二価のC1~30ペルフルオロアルキル基であり得る。
【0114】
式(14)において、Z-はアニオン部位であり、その共役酸は、典型的には-15~1のpKaを有する。Z-は、スルホネート、カルボキシレート、スルホンアミドのアニオン、スルホンイミドのアニオン、又はメチドアニオンであり得る。特に好ましいアニオン部分は、フッ素化アルキルスルホネート及びフッ素化スルホンイミドのアニオンである。
【0115】
式(14)において、G+は、上記で定義された有機カチオンである。いくつかの実施形態において、G+は、2つのアルキル基、2つのアリール基、若しくはアルキル基とアリール基との組合せで置換されたヨードニウムカチオン;又は3つのアルキル基、3つのアリール基、若しくはアルキル基とアリール基との組合せで置換されたスルホニウムカチオンである。
【0116】
いくつかの態様において、本発明のポリマーは、式(14)の1つ以上のモノマーから誘導される、PAG部分を含む繰り返し単位を任意選択的に更に含み得る。
【0117】
例示的な式(14)のモノマーは、以下を含む:
【化30】
(式中、G
+は、有機カチオンである)。
【0118】
ポリマー及び/又は酸不安定ポリマーは、ポリマー及び/又は酸不安定ポリマー中の総繰り返し単位に基づき、1~15モル%、典型的に1~8モル%、より典型的に2~6モル%の量でPAG部分を含む繰り返し単位を含み得る。
【0119】
フォトレジスト組成物は、組成物の成分を溶解させる及び基板上でのそのコーティングを容易にするための溶媒を更に含む。好ましくは、溶媒は、電子デバイスの製造に従来使用される有機溶媒である。適切な溶媒には、例えば:ヘキサン及びヘプタンなどの脂肪族炭化水素;トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素;ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン及び1-クロロヘキサン等のハロゲン化炭化水素;メタノール、エタノール、1-プロパノール、iso-プロパノール、tert-ブタノール、2-メチル-2-ブタノール、4-メチル-2-ペンタノール、及びジアセトンアルコール(4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン)等のアルコール;プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME);ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン及びアニソール等のエーテル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソ-ブチルケトン、2-ヘプタノン及びシクロヘキサノン(CHO)等のケトン;酢酸エチル、酢酸n-ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、乳酸エチル(EL)、ヒドロキシイソブチレートメチルエステル(HBM)及びアセト酢酸エチル等のエステル;γ-ブチロラクトン(GBL)及びε-カプロラクトン等のラクトン;N-メチルピロリドン等のラクタム;アセトニトリル及びプロピオニトリル等のニトリル;炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジフェニル、及び炭酸プロピレン等の環状又は非環状の炭酸エステル;ジメチルスルホキシド及びジメチルホルムアミド等の極性非プロトン性溶媒;水;並びにこれらの組合せが含まれる。これらのうち、好ましい溶媒は、PGME、PGMEA、EL、GBL、HBM、CHO、及びこれらの組合せである。フォトレジスト組成物中の総溶媒含量(すなわち全ての溶媒の累積溶媒含有量)は、フォトレジスト組成物の総固形分に基づき、典型的には40~99重量%、例えば70~99重量%、又は85~99重量%である。所望の溶媒含有量は、例えば、コーティングされたフォトレジスト層の所望の厚さ及びコーティング条件に依存するであろう。
【0120】
ポリマーは、典型的には、フォトレジスト組成物の総固形分に基づいて、10~99.9重量%、典型的には25~99重量%、より典型的には50~95重量%の量でフォトレジスト組成物中に存在する。総固形分には、ポリマー、PAG、及び他の非溶媒成分が含まれることが理解されよう。
【0121】
いくつかの態様において、フォトレジスト組成物は、1つ以上の塩基不安定基を含む物質(「塩基不安定物質」)を更に含み得る。本明細書で言及される塩基不安定基は、露光ステップ及び露光後ベーキングステップ後、水性アルカリ性現像液の存在下において、開裂反応を経てヒドロキシル、カルボン酸、スルホン酸などの極性基を提供することができる官能基である。塩基不安定基は、塩基不安定基を含むフォトレジスト組成物の現像ステップ前に大きく反応しない(例えば、結合切断反応が起こらない)。そのため、例えば、塩基不安定基は、露光前ソフトベーク、露光ステップ及び露光後ベークステップ中、実質的に不活性であろう。「実質的に不活性」とは、塩基不安定基(又は部位)の5%以下、典型的には1%以下が露光前のソフトベーク、露光及び露光後のベークステップ中に分解、切断又は反応することを意味する。塩基不安定基は、例えば、0.26規定(N)のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液などの水性アルカリ性フォトレジスト現像液を用いた典型的なフォトレジスト現像条件下で反応性を有する。例えば、TMAHの0.26N水溶液を、単一パドル現像又は動的現像に使用することができ、例えば、0.26NのTMAH現像液は、画像化されたフォトレジスト層に10~120秒(s)などの適切な時間で分配される。例示的な塩基不安定基は、エステル基、典型的にはフッ素化エステル基である。好ましくは、塩基不安定材料は、フォトレジスト組成物のポリマー及び他の固形成分と実質的に混和せず、他の固形成分よりも低い表面エネルギーを有する。基板上にコーティングされた場合、塩基不安定物質は、それによりフォトレジスト組成物の他の固形成分から、形成されたフォトレジスト層の上面に分離し得る。
【0122】
いくつかの態様において、塩基不安定物質は、ポリマー系材料であり、本明細書では塩基不安定ポリマーとも呼ばれ、塩基不安定ポリマーは、1つ以上の塩基不安定基を含む1つ以上の繰り返し単位を含み得る。例えば、塩基不安定ポリマーは、同一又は異なる2つ以上の塩基不安定基を含む繰り返し単位を含み得る。好ましい塩基不安定ポリマーは、2つ以上の塩基不安定基を含む少なくとも1つの繰り返し単位、例えば2つ又は3つの塩基不安定基を含む繰り返し単位を含む。
【0123】
塩基不安定ポリマーは、1つ以上の式(15A)のモノマーから誘導される繰り返し単位を含むポリマーであってよい:
【化31】
(式中、X
eは、炭素-炭素不飽和ビニル基であり、L
12は二価連絡基であり;且つR
nは置換若しくは無置換C
1~20フルオロアルキルであるが、ただし、式(15A)においてカルボニル(C=O)に結合した炭素原子は、少なくとも1個のフッ素原子によって置換されていることを条件とする)。
【0124】
例示的な式(15A)のモノマーには、以下が含まれる:
【化32】
【0125】
塩基不安定ポリマーは、2つ以上の塩基不安定基を含む繰り返し単位を含んでいてもよい。例えば、塩基不安定ポリマーは、式(15B)の1つ以上のモノマーから誘導される繰り返し単位を含み得る:
【化33】
(式中、X
f及びR
pは、それぞれ、X
e及びR
nに関して式(15A)で定義される通りであり、L
13は、置換若しくは無置換C
1~20アルキレン、置換若しくは無置換C
3~20シクロアルキレン、-C(O)-又は-C(O)O-の1つ以上を含む多価連絡基であり、そしてn4は2以上の整数(例えば2又は3)であり得る)。
【0126】
例示的な式(15B)のモノマーには、以下が含まれる:
【化34】
【0127】
塩基不安定ポリマーは、1つ以上の塩基不安定基を含む繰り返し単位を含み得る。例えば、塩基不安定ポリマーは、式(15C)の1つ以上のモノマーから誘導される繰り返し単位を含み得る:
【化35】
(式中、X
g及びR
qは、それぞれ、X
e及びR
nに関して式(15A)で定義される通りであり、L
14は、二価連絡基であり、そしてL
15は、置換若しくは無置換C
1~20フルオロアルキレンであって、式(15C)のカルボニル(C=O)に結合した炭素原子は、少なくとも1つのフッ素原子によって置換される)。
【0128】
例示的な式(15C)のモノマーには、以下が含まれる:
【化36】
【0129】
いくつかの実施形態において、塩基不安定ポリマーは、1つ以上の塩基不安定基及び1つ以上の酸不安定エステル部分(例えば、t-ブチルエステル)又は酸不安定アセタール基などの、1つ以上の酸不安定基を含んでいてもよい。例えば、塩基不安定ポリマーは、塩基不安定基及び酸分解性基を含む繰り返し単位、即ち、塩基不安定基及び酸分解性基の両方が同一の繰り返し単位に存在する繰り返し単位を含み得る。他の例では、塩基不安定ポリマーは、塩基不安定基を含む第1の繰り返し単位及び酸不安定基を含む第2の繰り返し単位を含み得る。本発明の好ましいフォトレジストは、フォトレジスト組成物から形成されたレジストレリーフ像に伴う欠陥を減少させることができる。
【0130】
塩基不安定ポリマーは、第1及び第2のポリマーに対して本明細書で述べたものを含む、当技術分野におけるいずれかの好適な方法を用いて調製され得る。例えば、塩基不安定ポリマーは、有効な温度での加熱、有効な波長での化学線による放射又はこれらの組合せなどの任意の適切な条件下でのそれぞれのモノマーの重合によって得ることができる。追加的に又は代わりに、1つ以上の塩基不安定基を、好適な方法を用いてポリマーの骨格にグラフト化し得る。
【0131】
いくつかの態様において、塩基不安定物質は、1つ以上の塩基不安定エステル基、好ましくは1つ以上のフッ素化エステル基を含む単一の分子である。単一分子である塩基不安定は、典型的には、50~1,500Daの範囲のM
Wを有する。例示的な塩基不安定物質としては、以下が含まれる:
【化37】
【0132】
存在する場合、任意選択的な塩基不安定物質は、典型的には、フォトレジスト組成物の総固形分に基づき、0.01~10重量%、より典型的には1~5重量%の量でフォトレジスト組成物中に存在する。
【0133】
塩基不安定ポリマーに加えて又はその代わりに、フォトレジスト組成物は、上記フォトレジストポリマーに加えて、並びにそれとは異なる1つ以上のポリマーを更に含み得る。例えば、フォトレジスト組成物は、上記で説明した通りであるが、組成が異なる追加のポリマー又は上記で説明したものと類似しているが、必須繰り返し単位のそれぞれを含まないポリマーを含み得る。それに加えて、又はその代わりに、1つ以上の追加のポリマーには、フォトレジスト技術において周知のもの、例えば、ポリアクリレート、ポリビニルエーテル、ポリエステル、ポリノルボルネン、ポリアセタール、ポリエチレングリコール、ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリフェノール、ノボラック、スチレン系ポリマー、ポリビニルアルコール、又はそれらの組合せから選択されるものが含まれ得る。
【0134】
フォトレジスト組成物は、1つ以上の追加の任意選択的な添加剤を更に含み得る。例えば、任意選択的な添加剤としては、化学染料及び造影染料、ストリエーション防止剤、可塑剤、速度促進剤、増感剤、光分解性失活剤(PDQ)(光分解性塩基としても知られる)、塩基性失活剤、熱酸発生剤、界面活性剤など、又はこれらの組合せを挙げることができる。存在する場合、任意選択的な添加剤は、典型的には、フォトレジスト組成物の総固形分に基づき、0.01~10重量%の量でフォトレジスト組成物中に存在する。
【0135】
PDQは照射時に弱酸を発生する。光分解性失活剤から発生する酸は、レジストマトリックスに存在する酸不安定基と迅速に反応するほど強力ではない。例示的な光分解性失活剤には、例えば、光分解性カチオン、好ましくは、例えばC1~20カルボン酸又はC1~20スルホン酸のアニオン等の弱酸(pKa>1)のアニオンと対になった強酸発生剤化合物を調製するためにも有用なものが含まれる。例示的なカルボン酸には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、コハク酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、サリチル酸等が含まれる。例示的なスルホン酸には、p-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸等が含まれる。いくつかの実施形態において、光分解性失活剤は、ジフェニルヨードニウム-2-カルボキシレートなどの光分解性有機双性イオン化合物である。
【0136】
光分解性失活剤は、非ポリマー系であっても又はポリマー系結合形態であってもよい。ポリマー系の場合、光分解性失活剤は、第1のポリマー又は第2のポリマー上の重合単位に存在する。光分解性失活剤を含む重合単位は、典型的には、ポリマーの総繰り返し単位に基づき、0.1~30モル%、好ましくは1~10モル%、より好ましくは1~2モル%の量で存在する。
【0137】
例示的な塩基性失活剤には、例えば、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、トリイソプロパノールアミン、テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン:n-tert-ブチルジエタノールアミン、トリス(2-アセトキシ-エチル)アミン、2,2’,2’’,2’’’-(エタン-1,2-ジイルビス(アザントリイル))テトラエタノール、2-(ジブチルアミノ)エタノール、及び2,2’,2’’-ニトリロトリエタノールなどの直鎖脂肪族アミン;1-(tert-ブトキシカルボニル)-4-ヒドロキシピペリジン、tert-ブチル1-ピロリジンカルボキシレート、tert-ブチル2-エチル-1H-イミダゾール-1-カルボキシレート、ジ-tert-ブチルピペラジン-1,4-ジカルボキシレート、及びN-(2-アセトキシ-エチル)モルホリンなどの環状脂肪族アミン;ピリジン、ジ-tert-ブチルピリジン、及びピリジニウムなどの芳香族アミン;N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピバルアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N1,N1,N3,N3-テトラブチルマロンアミド、1-メチルアゼパン-2-オン、1-アリルアゼパン-2-オン、及びtert-ブチル1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イルカルバメートなどの直鎖及び環状アミド並びにその誘導体;スルホネート、スルファメート、カルボキシレート、及びホスホネートの四級アンモニウム塩などのアンモニウム塩;一級及び二級アルジミン及びケチミンなどのイミン;任意選択的に置換されたピラジン、ピペラジン及びフェナジンなどのジアジン;任意選択的に置換されたピラゾール、チアジアゾール及びイミダゾールなどのジアゾール;並びに2-ピロリドン及びシクロヘキシルピロリジンなどの任意選択的に置換されたピロリドンが含まれる。
【0138】
塩基性失活剤は、非ポリマー系であっても又はポリマー結合形態であってもよい。ポリマー形態である場合、失活剤は、ポリマーの繰り返し単位中に含み得る。失活剤を含む繰り返し単位は、典型的にはポリマーの総繰り返し単位に基づき、0.1~30モル%、好ましくは1~10モル%、より好ましくは1~2モル%の量で存在する。
【0139】
例示的な界面活性剤は、フッ素化及び非フッ素化界面活性剤を含み、イオン性又は非イオン性であることができ、非イオン性界面活性剤が好ましい。例示的なフッ素化非イオン性界面活性剤としては、3M Corporationから入手可能なFC-4430及びFC-4432界面活性剤などのペルフルオロC4界面活性剤並びにPOLYFOX PF-636、PF-6320、PF-656及びPF-6520フルオロ界面活性剤(Omnova)などのフルオロジオールが挙げられる。一態様において、フォトレジスト組成物は、フッ素含有繰り返し単位を含む界面活性剤ポリマーを更に含む。
【0140】
本発明のフォトレジスト組成物を用いるパターン形成方法について以下に述べる。フォトレジスト組成物をコーティングすることができる適切な基材は、電子デバイス基材を含む。多種多様の電子デバイス基板、例えば:半導体ウェハー;多結晶シリコン基板;マルチチップモジュールなどのパッケージング基板;フラットパネルディスプレイ基板;有機発光ダイオード(OLED)などの発光ダイオード(LED)用の基板等などが、本発明において使用され得、半導体ウェハーが典型的である。そのような基板は、典型的には、シリコン、ポリシリコン、酸化シリコン、窒化シリコン、オキシ窒化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、アルミニウム、サファイア、タングステン、チタン、チタン-タングステン、ニッケル、銅及び金の1つ以上から構成される。適切な基板は、集積回路、光センサー、フラットパネルディスプレイ、光集積回路、及びLEDの製造において使用されるものなどのウェハーの形態にあってもよい。そのような基板は、任意の適切なサイズであってもよい。典型的なウェハー基板直径は、200~300ミリメートル(mm)であるが、より小さい直径及びより大きい直径を有するウェハーが、本発明に従って適切に用いられ得る。基板は、形成されつつあるデバイスの動作中の部分又は動作可能な部分を任意選択的に含んでいてもよい1つ以上の層又は構造体を含んでいてもよい。
【0141】
典型的には、ハードマスク層、例えば、スピンオンカーボン(SOC)、非晶質炭素、若しくは金属ハードマスク層、窒化シリコン(SiN)、酸化シリコン(SiO)、若しくはオキシ窒化シリコン(SiON)層などのCVD層、有機若しくは無機下層、又はそれらの組合せなどの1つ以上のリソグラフィー層が、本発明のフォトレジスト組成物をコーティングする前に基板の上表面上に提供される。組合せそのような層は、オーバーコートされたフォトレジスト層と一緒に、リソグラフィー材料スタックを形成する。
【0142】
任意選択的に、接着促進剤の層が、フォトレジスト組成物をコーティングする前に基板表面に塗布され得る。接着促進剤が望ましい場合、シラン、典型的には、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ヘキサメチルジシラザンなどのオルガノシラン、ガンマ-アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノシランカップリング剤などの、ポリマーフィルム用の任意の適切な接着促進剤が使用され得る。特に適切な接着促進剤としては、DuPont Electronics & Imaging(Marlborough,Massachusetts)から入手可能な、AP 3000、AP 8000、及びAP 9000Sの名称で販売されているものが挙げられる。
【0143】
フォトレジスト組成物は、スピンコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、ドクターブレーディング等などの、任意の適切な方法によって基板上にコーティングされ得る。例えば、フォトレジストの層の塗布は、コーティングトラックを使用して溶媒中のフォトレジストをスピンコーティングすることによって達成され得、その場合に、フォトレジストは、回転するウェハー上に分配される。分配中、ウェハーは、典型的には、最大4,000回転/分(rpm)、例えば200~3,000rpm、例えば1,000~2,500rpmの速度で、15~120秒の期間回転され、基板上にフォトレジスト組成物の層が得られる。コートされる層の厚さが、スピン速度及び/又は組成物の総固形分を変えることによって調節され得ることは、当業者によって十分理解されるであろう。本発明の組成物から形成されるフォトレジスト層は、典型的には、乾燥層厚みが10~500ナノメートル(nm)、好ましくは15~200nm、より好ましくは20~120nmである。
【0144】
フォトレジスト組成物は、典型的には次に、層中の溶媒含有量を最小限にするためにソフトベークされ、それによって不粘着性コーティングを形成し、基板への層の接着性を改善する。ソフトベークは、例えば、ホットプレート上で又はオーブン中で行われ、ホットプレートが典型的である。ソフトベークの温度及び時間は、例えばフォトレジスト組成物及び厚さに依存する。ソフトベーク温度は、典型的には、80~170℃、より典型的には90~150℃である。ソフトベーク時間は、典型的には、10秒~20分、より典型的には1分~10分、更により典型的には1分~2分である。加熱時間は、組成物の成分に基づいて当業者により容易に決定することができる。
【0145】
フォトレジスト層は、次に、露光領域と非露光領域との間で溶解性の違いを生み出すために活性化放射線にパターン様露光される。組成物のために活性化する放射にフォトレジスト組成物を露光することへの本明細書での言及は、放射がフォトレジスト組成物に潜像を形成できることを表す。露光は、典型的には、レジスト層の露光領域と非露光領域とにそれぞれ対応する、光学的に透明な領域と光学的に不透明な領域とを有するパターン化フォトマスクを通して行われる。代わりに、そのような露光は、典型的には電子ビームリソグラフィーのために用いられる、直接描画法において、フォトマスクなしで行われ得る。活性化放射線は、典型的には、400nm未満、300nm未満、又は200nm未満の波長を有し、248nm(KrF)、193nm(ArF)、13.5nm(EUV)の波長、又は電子ビームリソグラフィーが好ましい。好ましくは、活性化放射線は、193nm放射線又はEUV放射線である。この方法は、液浸又は乾式(非液浸)リソグラフィー技術において利用される。露光エネルギーは、露光ツール及びフォトレジスト組成物の成分に依存して、典型的には1平方センチメートルあたり1~200ミリジュール(mJ/cm2)、好ましくは10~100mJ/cm2、より好ましくは20~50mJ/cm2である。
【0146】
フォトレジスト層の露光後に、露光されたフォトレジスト層の露光後ベーク(PEB)が行われる。PEBは、例えば、ホットプレート上で又はオーブン中で行うことができ、ホットプレートが典型的である。PEBの条件は、例えば、フォトレジスト組成物及び層の厚さに依存するであろう。PEBは、典型的には、70~150℃、好ましくは75~120℃の温度、及び30~120秒の時間で行われる。極性切り替え領域(露光領域)及び極性非切り替え領域(非露光領域)によって定義される潜像がフォトレジスト内に形成される。
【0147】
露光されたフォトレジスト層を、次に適切な現像液で現像して現像液に可溶である層の領域を選択的に除去する一方、残った不溶領域は、結果として生じるフォトレジストパターンレリーフ像を形成する。ポジ型現像(PTD)プロセスの場合に、フォトレジスト層の露光領域が現像中に除去され、非露光領域が残る。逆に、ネガ型現像(NTD)プロセスでは、フォトレジスト層の露光領域が残り、非露光領域が現像中に除去される。現像液の塗布は、フォトレジスト組成物の塗布に関して上述されたような任意の適切な方法によって達成され得、スピンコーティングが典型的である。現像時間は、フォトレジストの可溶領域を除去するのに有効な時間であり、5~60秒の時間が典型的である。現像は、典型的には、室温で行われる。
【0148】
PTDプロセス用の適切な現像液には、水性塩基現像液、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)などの水酸化第四級アンモニウム溶液、好ましくは0.26NのTMAH、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が含まれる。NTDプロセス用の適切な現像液は、現像液中の有機溶媒の累積含有量が、現像液の総重量に基づき、50重量%以上、典型的には95重量%以上、98重量%以上、又は100重量%であることを意味する、有機溶媒系である。NTD現像液用に適切な有機溶媒には、例えば、ケトン、エステル、エーテル、炭化水素、及びそれらの混合物から選択されるものが含まれる。現像液は、典型的には、2-ヘプタノン又は酢酸n-ブチルである。
【0149】
コーティングされた基板は、本発明のフォトレジスト組成物から形成され得る。そのようなコーティングされた基板は、(a)その表面にパターン化される1つ以上の層を有する基板と、(b)パターン化される1つ以上の層に渡るフォトレジスト組成物の層とを含む。
【0150】
フォトレジストパターンは、例えば、エッチマスクとして使用され得、それによって公知のエッチング技術により、典型的には反応性イオンエッチングなどの乾式エッチングにより、パターンが1つ以上の連続した下位層に転写されることを可能にし得る。フォトレジストパターンは、例えば、下位ハードマスク層へのパターン転写のために使用され得、それは、順繰りに、ハードマスク層の下の1つ以上の層へのパターン転写のためのエッチマスクとして使用される。フォトレジストパターンがパターン転写中に消費されない場合、それは、公知の技術、例えば、酸素プラズマ灰化によって基板から除去され得る。フォトレジスト組成物は、1つ以上のそのようなパターン形成プロセスにおいて使用される場合、メモリデバイス、プロセッサチップ(CPU)、グラフィックチップ、オプトエレクトロニックチップ、LED、OLEDなどの半導体デバイス、並びに他の電子デバイスを製造するために使用され得る。
【0151】
本発明は、以下の実施例によって更に例証される。
【実施例】
【0152】
合成実施例。合成反応は、通常の大気条件下で行った。全ての化学物質は、供給業者から受け取ったまま使用し、追加で精製することなしに使用した。
【0153】
ポリマー合成。本発明のポリマー及び比較のポリマーを調製するために使用したモノマーM1~M9は、以下の構造を有する。
【化38】
【0154】
ポリマーP1の合成。48.98グラム(g)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、6.46gのモノマーM1、8.04gのモノマーM3、3.94gのモノマーM4、1.86gのモノマーM6及び2.20gのモノマーM7をフラスコ中で組み合わせ、得られた混合物を攪拌して成分を溶解させることによって、モノマー溶液を調製した。それとは別に、6.95gのPGMEA及び2.19gの開始剤(TRIGONOX 125-C75、Nouryon)をフラスコ中で組み合わせることによって、開始剤溶液を調製した。19.38gのPGMEAを反応容器に導入し、反応容器を窒素で30分間パージした。次に、反応容器を攪拌しながら75℃まで加熱した。次いで、モノマー溶液及び開始剤溶液を別々の供給物として、3時間かけて反応容器中に導入した。4時間の完了時に、反応容器を撹拌しながら更に30分間75℃に維持し、次いで室温まで冷却した。メタノールへの反応混合物の滴下によってポリマーを沈殿させ、濾過によって集め、真空下で乾燥させた。ポリマーP1を白色固体粉末として得た。
【0155】
ポリマーP2~P12及びP15~P16の合成。モノマー、(モル%で表される)量及び特性が表1に示された通りであることを除き、ポリマーP1の合成のために使用された手順と同一の手順を使用して、ポリマーP2~P12及びP15~P16を調製した。
【0156】
ポリマーP13の合成。32.95gのPGMEA11.80gのモノマーM1、11.01gのモノマーM3及び7.19gのモノマーM4をフラスコ中で組み合わせ、混合物を攪拌して成分を溶解させることによって、モノマー溶液を調製した。それとは別に、16.71gのPGMEA及び1.86gの開始剤(V601、Wako Chemical)をフラスコ中で組み合わせることによって、開始剤供給物を調製した。21.00gのPGMEAを反応容器に導入し、反応容器を窒素で30分間パージした。次に、反応容器を攪拌しながら80℃まで加熱した。次に、モノマー溶液及び開始剤溶液を反応容器に導入し、4時間かけて供給した。添加の完了後、反応容器を攪拌しながら更に1時間80℃に維持し、次いで室温まで冷却した。メタノールへの反応混合物の滴下によってポリマーを沈殿させ、濾過によって集め、真空下で乾燥させた。ポリマーP13を白色粉状固体として得た。
【0157】
ポリマーP14及びP17~P18の合成。モノマー、(モル%で表される)量及び特性が表1に示された通りであることを除き、ポリマーP13の合成のために使用された手順と同一の手順を使用して、ポリマーP14及びP17~P18を調製した。
【0158】
【0159】
E1の合成。192.00gのGMEA、133.2gの(メタクリロイルオキシ)メチレンビス(2,2-ジフルオロ-3,3-ジメチルブタノエート)及び8.51gのエチルシクロペンチルメタクリレートをフラスコ中で組み合わせ、得られた混合物を攪拌して成分を溶解させることによって、モノマー溶液を調製した。それとは別に、10.72gのPGMEA及び6.2gのV601開始剤(Wako Chemical)をフラスコ中で組み合わせることによって、開始剤溶液を調製した。20.05gのPGMEAを別の反応容器に導入し、反応容器を窒素で30分間パージした。次に、反応容器を攪拌しながら95℃まで加熱した。次いで、モノマー溶液及び開始剤溶液を別々の供給物として、2.5時間かけて反応容器中に導入した。2.5時間の完了時に、反応容器を撹拌しながら更に3時間95℃に維持し、次いで室温まで冷却した。Mw/Mn(kDa)9.658/6.192のポリマーE1が得られた。
【0160】
追加ポリマーE1は、以下の構造を有する。
【化39】
【0161】
フォトレジスト配合物。表2及び3中の本発明及び比較フォトレジスト組成物に関して示された材料及び量を使用して、溶媒中に固体成分を溶解することによって、表1に記載のポリマーからフォトレジスト組成物を調製した。0.2μmの細孔径を有するPTFEディスク形フィルターを通して、各混合物を濾過した。ポリマー、PAG、失活剤及び塩基不安定ポリマーの量は、フォトレジスト組成物の総重量に基づく重量%として報告される。溶媒は、PGMEA(S1)、HBM(S2)及びGBL(S3)であった。
【0162】
【0163】
【0164】
フォトレジスト成分。PAG化合物B1~B6の構造は、以下の通りであった。
【化40】
【0165】
追加ポリマーE1のための構造は、以下の通りであった。
【化41】
【0166】
C1及びC2のための構造は、以下の通りだった。
【化42】
【0167】
リソグラフィー評価。液浸リソグラフィーは、1.35NA、0.90/0.988内部/外部シグマ、及び35Y偏光のダイポール照明でTEL Lithius 300mmウェハートラック及びASML 1900i液浸スキャナーを用いて実行した。フォトリソグラフィー試験用のウェハーを、AR40A(商標)下部反射防止コーティング(BARC)(DuPont Electronics & Imaging)でコーティングし、205℃で60秒間硬化することによって、800Åの厚さを有する第1のBARC下層を得た。次いで、AR104 BARC(DuPont Electronics & Imaging)のコーティングを第1のBARC下層上に配置し、175℃で60秒間硬化することによって、400Åの厚さを有する第2のBARC下層を形成した。
【0168】
第1及び第2のBARC下層によってコーティングされたウェハー上に、それぞれのフォトレジスト組成物PR1~PR34をスピンコーティングし、次いで、得られた未硬化のタックを110℃で60秒間、ソフトベークし、900Åの厚さを有するフォトレジストフィルム層が提供された。1:1、1:1.1のライン-スペース(L/S)パターン(38nmの線幅/76nmピッチ、37nmの線幅/74nmピッチ、34nmの線幅/74nmピッチ)を有するマスクを使用して、ウェハーを露光した。露光されたウェハーを60秒間、95℃において加熱し(PEB)、12秒間、0.26N TMAH溶液で現像し、次いで、脱イオン水ですすぎ、スピン乾燥させた。
【0169】
形成されたパターンのCD線幅測定は、Hitachi CG4000CD-SEMを使用して行った。各ウェハーに対して3回の露光ラチチュードを測定し、平均した。次いで、正確なサイジング量(Esize)を決定するために、多項式回帰を使用して、平均露光ラチチュードをフィットした。Esizeの値(平方センチメートルあたりのミリジュール(mJ/cm2))は、パターンCDがマスクパターンのCDと等しい露光量に基づいて評価された(38nm線幅)。パターンの線幅粗さ(LWR)は、トップダウンSEMによって捕獲された画像の加工によって決定された。LWRは、合計100の任意の線幅測定の分布からの線幅の3-シグマ(3σ)偏差を使用して、所与の長さにおいて測定される線幅の偏差から算出された。パターン崩壊マージン(PCM)は、パターンが線崩壊又は線浸食によって消える前の最小限界寸法を表す。露光ラチチュード(EL、%)は、方程式1によって算出された。
EL%=[(1/m)*2*10%*(標的CD/Esize)]×100% 方程式1
【0170】
表4に実施例1~15からのリソグラフィー結果を示す。
【0171】
【0172】
表4に示すように、モノマーM6と、モノマーM7、M8又はM9の1つとの組合せによって、モノマーM6のいずれか1つ又はモノマーM7、M8若しくはM9の1つから(すなわち、本発明のモノマーの組合せなしで)調製されるポリマーと比較して、改善されたLWRを有するフォトレジスト組成物のためのポリマーが提供された。
【0173】
表5に実施例16~22からのリソグラフィー結果を示す。
【0174】
【0175】
表5に示すように、それぞれが実施例16及び20のポリマーP1(5モル%のM6、10モル%のM7)を含むフォトレジスト組成物PR16及びPR20は、両方とも、フォトレジスト組成物PR17(ポリマーP14、10モル%のM7のみ)を含む実施例17、フォトレジスト組成物PR18(ポリマーP15、10モル%のM6のみ)を含む実施例18、PR21(ポリマーP16(10モル%のM6のみ)及びP17(10モル%のM7のみ)のブレンド)を含む実施例21、並びにPR22(ポリマーP14(10モル%のM7のみ)及びP15(10モル%のM6のみ)のブレンド)を含む実施例22と比較して、改善されたリソグラフィー性能を達成した。この結果は、本発明のポリマーが、改善されたLWR、露光ラチチュード、パターン崩壊マージン及びフォトスピードを達成するフォトレジスト組成物を提供したことを示す。
【0176】
表6に実施例23~26からのリソグラフィー結果を示す。
【0177】
【0178】
表6に示すように、実施例23~25のポリマーP1(5モル%のM6、10モル%のM7)、ポリマーP6(5モル%のM6、10モル%のM7)及びポリマーP2(10モル%のM6、5モル%のM7)をそれぞれ含むフォトレジスト組成物PR23、PR24及びPR25は、フォトレジスト組成物PR26(ポリマーP15、10モル%のM6のみ)を含む実施例26と比較して、改善されたリソグラフィー性能を達成した。この結果は、本発明のポリマーが、改善されたLWR、露光ラチチュード及びフォトスピードを達成するフォトレジスト組成物を提供したことを示す。
【0179】
表7に実施例27~29からのリソグラフィー結果を示す。
【0180】
【0181】
表7に示すように、実施例27のポリマーP1(5モル%のM6、10モル%のM7)を含むフォトレジスト組成物PR27は、フォトレジスト組成物PR28(ポリマーP15、10モル%のM6のみ)又はPR29(ポリマーP14、10モル%NoM7のみ)を含む実施例28~29と比較して、改善されたリソグラフィー性能を達成した。この結果は、本発明のポリマーが、改善されたLWR、パターン崩壊マージン及びフォトスピードを達成するフォトレジスト組成物を提供したことを示す。
【0182】
表8に実施例30~32からのリソグラフィー結果を示す。
【0183】
【0184】
表8に示すように、実施例30のポリマーP11(5モル%のM6、35モル%のM7)を含むフォトレジスト組成物PR30、及び実施例31のポリマーP12(5モル%のM6、35モル%のM7)を含むフォトレジスト組成物PR31は、両方とも、フォトレジスト組成物PR32(ポリマーP18、40モル%のM7のみ)を含む実施例32と比較して、改善されたリソグラフィー性能を達成した。この結果は、本発明のポリマーが、改善されたLWR及びフォトスピードを達成するフォトレジスト組成物を提供したことを示す。
【0185】
193nmドライエッチング評価。ドライエッチング法を使用して、193nmにおいて実施例33~34を評価した。1:1のライン-スペースパターン(75nmの線幅/150nmピッチ)を有するマスクを使用して、ASML 1100液浸スキャナー(0.75NA、0.89/0.64内側/外側シグマ、35Y偏光のダイポール照明)を使用して、ウェハーを露光した。露光されたウェハーを60秒間、95℃において加熱し(PEB)、12秒間、0.26N TMAH溶液で現像し、次いで、脱イオン水ですすぎ、スピン乾燥させた。形成されたパターンのCD線幅測定は、Hitachi CG4000CD-SEMを使用して行った。Esizeの値(mJ)は、パターンCDがマスクパターンのCDと等しい露光量に基づいて評価された(75nm線幅)。LWRは、実施例1~15に関して上記された通りに決定した。
【0186】
表9に実施例33~34からのリソグラフィー結果を示す。
【0187】
【0188】
表9に示すように、実施例33のポリマーP1(5モル%のM6、10モル%のM7)を含むフォトレジスト組成物PR33は、フォトレジスト組成物PR34(ポリマーP14、10モル%のM7のみ)を含む実施例34と比較して、75nmの線幅において改善されたリソグラフィー性能を達成した。この結果は、本発明のポリマーが、改善されたLWR及びフォトスピードを達成するフォトレジスト組成物を提供したことを示す。
【0189】
本開示は、実用的で例示的な実施形態であると現在考えられるものと併せて記載されてきたが、本発明は、開示された実施形態に限定されず、むしろ、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に含まれる様々な修正及び同等な取り決めを包含することを意図することが理解されるべきである。