(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】卵を包装するための包装装置
(51)【国際特許分類】
B65B 35/44 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
B65B35/44
(21)【出願番号】P 2022515001
(86)(22)【出願日】2020-08-28
(86)【国際出願番号】 NL2020050530
(87)【国際公開番号】W WO2021045613
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2023-08-17
(32)【優先日】2019-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】522086331
【氏名又は名称】モバ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】MOBA B.V.
【住所又は居所原語表記】Stationsweg 117,3771 VE Barneveld, Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】グルーサーダー、ベレント デルク
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-185008(JP,A)
【文献】特開平05-008851(JP,A)
【文献】特開平10-184852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 35/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに離間して相互接続されたエンドレスの一連のローラを有するローラコンベヤと、
パッケージコンベヤと、
キャリア装置と、
駆動輪を有する駆動装置と、
ローラ回転手段と、
卵リフターとを備える、卵を包装するための包装装置であって、
前記ローラのそれぞれの長手方向は、前記ローラコンベヤのコンベヤトラックの搬送方向を横切る方向に向けられ、前記ローラは、前記長手方向に広径部分と狭径部分とを有する形状を有し、前記狭径部分は、搬送中、卵を運搬するように構成され、前記ローラコンベヤの前記エンドレスの一連のローラは、反転側で、少なくとも1つの搬送ローラの周りを巻回し、
前記パッケージコンベヤは、卵を充填するパッケージを前記ローラコンベヤの前記反転側の下方に供給し、及び、卵が充填されたパッケージを移動させるように構成され、
前記キャリア装置は前記ローラコンベヤの前記反転側の下方に位置し、前記キャリア装置は複数の一列に並置された卵キャリアを備え、前記卵キャリアは前記搬送方向を横切る方向に設けられ、動作中、第1の位置で、前記ローラコンベヤにより前記搬送方向に前記キャリア装置まで搬送される卵を収集し、収集した卵を前記パッケージコンベヤの方向に下方に移動させ、次に、第2の位置で、前記パッケージコンベヤにより供給されたパッケージ内にそれらの卵を収容し、
前記駆動装置は、動作中、前記ローラコンベヤが、卵が前記ローラコンベヤの前記反転側で前記卵キャリアに落とされる前に加速し、及び、卵が前記ローラコンベヤから落とされる時に減速するように、前記ローラコンベヤを様々な速度で駆動し、
前記ローラ回転手段は、少なくとも前記ローラコンベヤが駆動されている時、各前記ローラを前記長手方向の長手方向軸を中心に回転させ、
前記卵リフターは、卵の前記コンベヤトラックの内部かつ前記ローラコンベヤの前記反転側の近傍の常に各前記狭径部分の中央の場所に設けられ、前記卵リフターは、動作中、前記コンベヤトラックの前記反転側に接近する卵が、卵リフターを通過する時に、その卵リフターにより係合され、わずかに持ち上げられるように設けられる、卵を包装するための包装装置。
【請求項2】
前記ローラの狭径部分は、前記長手方向の、ある長さにわたって少なくとも実質的に一定の直径を有し、前記狭径部分は、前記狭径部分から見て漸増する直径を有する2つの部分により挟まれている、請求項1に記載の包装装置。
【請求項3】
前記狭径部分は、25~35mmの長さに沿って延在する、請求項1又は2に記載の包装装置。
【請求項4】
前記ローラは、プラスチック製である、請求項1から3までのいずれか1項に記載の包装装置。
【請求項5】
少なくとも1つの前記搬送ローラの直径は、40~55mmである、請求項1から4までのいずれか1項に記載の包装装置。
【請求項6】
前記駆動輪の形状は、丸みを帯びた角を有する多角形である、請求項1から5までのいずれか1項に記載の包装装置。
【請求項7】
前記キャリア装置は、複数の卵キャリアとして設計され、前記卵キャリアのそれぞれは、互いから離れるように、及び、互いに近づくように往復移動することができる2つの卵キャリアを備える、請求項1から6までのいずれか1項に記載の包装装置。
【請求項8】
前記キャリア装置の前記第1の位
置において、前記卵キャリアは底部に向かって閉じられた収集位置にある、請求項1から7までのいずれか1項に記載の包装装置。
【請求項9】
前記卵キャリアは、前記ローラコンベヤの鉛直方向に対して、10~30度の角度で延在する長手方向軸を有する、請求項1から8までのいずれか1項に記載の包装装置。
【請求項10】
前記キャリア装置の前記第2の位
置において、前記卵キャリアは底部に向かって開いた運搬位置にある、請求項1から9のいずれか1項に記載の包装装置。
【請求項11】
前記卵リフターには、球状の上部が設けられる、請求項1から10までのいずれか1項に記載の包装装置。
【請求項12】
前記卵リフターの上部には、傾斜面が設けられる、請求項1から10までのいずれか1項に記載の包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卵を包装するための包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような装置は、従来技術において知られている。これらでは、卵は、バタリーケージの運搬システムを介して包装装置に運搬される。そこで、卵は、多数の卵とともに並置されて、エンドレスコンベヤを介して包装装置に運搬され、キャリア装置を介してパッケージに収容される。コンベヤに並置される卵の数は、各パッケージの区画の数に対応する。公知のローラコンベヤのローラの直径は様々である。いずれの場合にも、卵は2つのローラの間の、ローラの直径が最も小さい場所に位置する。食用卵と種卵の両方において、パッケージ内での卵の向きは重要である。食用卵の場合、卵の卵黄が中心にくるように、卵の鋭端を下に向けて包装することが重要である。種卵が正しく配向されていなければ、孵卵器内で孵化させることさえ不可能になる。公知の包装装置では、卵は、互いに離間されたエンドレスの一連のローラを備えるローラコンベヤ(本書では、省略して、エンドレスローラコンベヤという)上で好ましい方向に配向される。しかしながら、卵がローラコンベヤに供給される速度で、100%の信頼性のある配向を実現することは困難である。卵をローラコンベヤからパッケージに移す際に、さらなる配向ステップを実施することが知られている。
【0003】
ある公知の包装装置では、シリコーンディスクが、ローラコンベヤの反転側の上方及び近傍にある。ローラは、実質的にコンベヤトラック全体に沿って回転する。ただし、反転側付近では、回転は停止される。使用時には、シリコーンディスクは、卵の経路に位置する。通過する卵は、シリコーンディスクによって係合され、それにより、卵の鋭端は、卵がローラコンベヤから落下する、すなわち、卵キャリア内に落とされる直前に搬送方向に向けられて、このように鋭端は下向きに位置決めされる。
【0004】
他の公知の装置では、カムがコンベヤトラックの下側、ローラコンベヤの反転側付近に設けられ、それにより、通過する卵は、カムによりわずかに持ち上げられる。コンベヤトラックの上方には、卵がローラコンベヤから落とされる瞬間に卵を回転させて、卵を鋭端を下向きに位置決めするピンが設けられている。
【0005】
公知の装置の重大な欠点は、卵を配向するための特徴が完全に静力学的であることである。その結果、そのような特徴が卵に及ぼす効果は、各卵の寸法に依存する。言い換えれば、公知の装置は、様々なサイズの卵を鋭端を下に向けて正確かつ確実に位置決めすることに適していない。したがって、実際のところ、公知の装置は、卵の70~90%で鋭端を下に向けた正確な位置決めを達成するだけである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、公知の包装装置よりも信頼性の高い、卵の鋭端を下に向けた位置決めを実現する包装装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のために、本発明は、請求項1に記載の包装装置を提供する。本書では、反転側という用語は、相互に接続されたローラの搬送方向が反転し、卵がローラコンベヤから落とされる、実際のコンベヤトラックの端部の屈曲した部分を指すものと理解される。包装装置の使用時、ローラコンベヤはキャリア装置の方向に卵を搬送する。ローラは、好ましくは、駆動される運搬チェーンにより端部で相互接続され、好ましくは、使用時にコンベヤトラックの両側に位置する歯車ラックにより係合される歯が設けられ、その結果、ローラコンベヤの動作中、ローラが回転する。2つのローラがローラコンベヤの反転側に接近する時、ローラは回転し続け、ローラコンベヤの速度は一時的に加速され、2つのローラの狭径部分の間に位置する卵は、卵リフターに係合され、卵は0.5mmから3mm持ち上げられる。卵の一般に知られる非対称的な形状のため、卵は、その鋭端で各卵を運ぶ2つの回転するローラと接触したままであり、卵の鈍端はローラと接触しなくなる。このように、少なくとも卵の鈍端より長く回転するローラと接触したままである卵の鋭端は加速し、卵の鈍端は鋭端に後続して、卵は、卵キャリアに落される直前に、その鋭端を搬送方向に向けられる。卵キャリアは、ローラコンベヤから、鋭端を前方に向けて、したがって下方に向けて落とされる卵を捕捉し、次に、卵キャリアの下方に位置して卵が充填されるパッケージまで卵を移動させて、それらのパッケージ内に収容する。ローラにより駆動される卵の回転によって、鋭端を下向きにする力学的な位置決めが確実に行われ、鋭端を下向きにする位置決めにおける力学及び卵との相互作用により、卵の回転は、公知の装置よりも卵のサイズのばらつきによる影響を受けにくい。このようにして、本発明の目的が達成される。
【0008】
本発明の好ましい実施形態では、ローラの狭径部分は、ある長さにわたって少なくとも実質的に一定の直径を有し、狭径部分は、狭径部分から見て漸増する直径を有する2つの部分により挟まれている。一方、このような幾何学的形状は、コンベヤを搬送中に、卵にとって良好な回転面を提供する。傾斜部は、ローラコンベヤの全幅にわたって、とりわけ、ローラコンベヤから卵が落とされる場所である卵キャリアに対して、卵を整列した状態に保持する。加えて、傾斜部は、卵に係合し、卵が卵キャリアに落とされる直前に卵を回転させて、鋭端を下向きにする位置決めを達成するのに適している。
【0009】
狭径部分は好ましくは、ローラの長手方向に見て、25~35mm、好ましくは28~32mmの長さに沿って延在し、それにより、標準的な大きさの鶏卵としての卵がローラにより運搬可能となる。傾斜部の傾斜角度は、好ましくは7~35度、より好ましくは12~25度、さらにより好ましくは15~20度であり、それにより、各卵がカムにより持ち上げられる時に卵と十分に係合できるようになる。必要に応じて、他の動物の卵を処理するために、他の寸法を使用してもよい。
【0010】
ローラは、好ましくはプラスチック製であり、好ましくは、摩擦係数の低いプラスチック製である。例えば、HMPEが非常に適切な材料である。HMPE製のローラが、落とされる直前の卵の鋭端に適切な加速を加えることができるからだけでなく、卵白や卵黄はHMPEに付着しないため、ローラを清潔に保つことが容易だからである。
【0011】
少なくとも1つの搬送ローラの直径は、40~55mm、より好ましくは45~50mmであることが好適である。直径を上記の範囲内にすることにより、落下に向けて通過中の卵の配向が容易になる。この結果、卵は、落下した卵を収集する卵キャリアに対して正しく配向される。搬送ローラは好ましくは、2分の1インチの12歯を有する。
【0012】
好ましい実施形態では、駆動輪の形状は、丸みを帯びた角を有する多角形、好ましくは三角形である。このような形状により、駆動輪は、搬送ローラひいてはローラコンベヤを可変速度で駆動することが可能になり、変化する速度を電子的に制御する必要がない。機械的な駆動により、装置は電子駆動よりも不具合の影響を受けにくくなる。
【0013】
キャリア装置は、複数の、好ましくは3~12個の、より好ましくは6個の卵キャリアとして設計され、卵キャリアのそれぞれは、互いから離れるように、及び、互いに近づくように往復移動することができる2つの卵キャリアを備えることが好適である。この場合、複数である数は、卵がパックされるパッケージに合わせて調整される。卵キャリアの数は、好ましくは、ローラの狭径部分の数に対応する。
【0014】
キャリア装置の第1の位置又はその近傍において、卵キャリアは底部に向かって閉じられた収集位置にある。卵キャリアは、通常、2つの相互に移動可能な部位を備え、その各々は、卵殻の外形に部分的に対応する。上側では、これらの部位は、ローラコンベヤから落された卵を収集するために互いから離れるように移動し、次いで、卵がパッケージに向かって移動される間卵を信頼性のある方法で保持するために再度互いに向かって移動する。卵キャリアのこれらの部位は、幅方向にも移動し、この場合、これらの部位は、ローラの狭い部位の位置に対応して、収集位置において相対的に互いから遠く離れている。これらの部位が卵をパッケージ内に収容する位置では、これらの部位は、卵が収容されるパッケージの凹部に対応して、相対的に互いに近接している。
【0015】
卵キャリアは、少なくとも卵キャリアがローラコンベヤから落とされた卵を収集するための位置にある状況では、ローラコンベヤの鉛直方向に対して、好ましくは10~30度、より好ましくは15~25度の角度で延在する長手方向軸を有する。その結果、落下した卵が確実に収集され、鋭端を下向きにした位置決めが維持される又は少なくとも最適化される。
【0016】
キャリア装置の第2の位置又はその近傍において、卵キャリアは好ましくは、底部に向かって開いた運搬位置にある。この場合、卵を卵キャリアからパッケージに収容するために、可動部位が開く。
【0017】
卵リフターには、8~12mm、より好ましくは9~11mmの直径を有する球体に好ましくは対応する、球状の上部が設けられることが好ましい。球状の上部は、好ましくは半径R5を有し、卵のための接触面を提供し、その結果、卵は徐々に持ち上げられる。さらに、このような接触面は、卵がコンベヤトラックに対して正しく位置決めされていれば、様々な直径の卵を持ち上げるのに適しているという意味で適応性をもたらす。
【0018】
あるいは、卵リフターの上部には、水平方向に対して20~40度、より好ましくは25~35度の角度の傾斜を好ましくは有する傾斜面が設けられる。このような卵のための接触面は、上述した球状の接触面と同様の利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明による、卵を包装するための包装装置1の斜視図である。
【
図2】
図1の包装装置のローラコンベヤの斜視図である。
【
図3】
図2のローラコンベヤのローラの正面図である。
【
図4】
図2のローラコンベヤに組み込まれるカム部材の縦断面図である。
【
図5a】
図2のローラコンベヤの動作中の卵の3つの位置を示す図である。
【
図5b】
図2のローラコンベヤの動作中の卵の3つの位置を示す図である。
【
図5c】
図2のローラコンベヤの動作中の卵の3つの位置を示す図である。
【
図6a】
図1の包装装置のキャリア装置の斜視図である。
【
図7a】
図1の包装装置のローラコンベヤとキャリア装置との相互作用を示す斜視図である。
【
図7c】
図7bのb-b線に沿った垂直縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明を、添付の図面に示される、本発明による包装装置の好ましい実施形態を参照しながら、より詳細に説明する。
【0021】
図面において、同一の参照番号は常に同一の要素を指す。不要な繰り返しを避けるため、各要素について、図面毎に再度取り上げはしない。
【0022】
図1は、本発明による、卵を包装するための包装装置1の斜視図である。先ず、包装装置1の動作原理を概略的に説明し、次に、本発明に関連する要素をより詳細に説明する。包装装置1は、エンドレスのベルトコンベヤとして構成される供給ベルト2を有する。搬送方向(矢印P)から見て、供給ベルト2の端部では、卵は、ローラコンベヤ3に移される時にできるだけ多くの卵が鋭端を下に向けて位置決めされるように配向される。この配向の動作は、本発明の目的には関連しない。重要なことは、上述した配向動作が完璧には機能せず、そのため、ローラコンベヤ3上のすべての卵が下向きに位置決めされるわけではないことである。卵の搬送方向から見て、ローラコンベヤ3の端部では、卵はローラコンベヤ3から落とされ、キャリア装置4により収集される。キャリア装置4は、卵を下方に搬送し、次いで、パッケージ5の1つに卵を収容し、これを、キャリア装置4の下方にあるパッケージベルト6が搬出ベルト7に搬送し、搬出ベルト7は包装された卵を搬出する。
【0023】
図2は、
図1の包装装置1のローラコンベヤ3の斜視図である。ローラコンベヤ3は、エンドレスのチェーン9によりエンドレスに一連に相互接続された多数のローラ8から構成される。歯車11が駆動軸10に取り付けられている。駆動軸10が回転すると、歯車11が共回転し、この場合は、駆動輪を形成する「三角形状の」歯車12と係合する。歯車11の歯が歯車12の長い辺12aの1つの歯と係合すると、歯車12は比較的ゆっくりと回転する。歯車11の歯が歯車12の角12bの歯と係合すると、歯車12は比較的速く回転する。歯車12は、2つの搬送ローラを形成し、ローラコンベヤ3のチェーン9を駆動するチェーン駆動軸13及びチェーン歯車14に取り付けられる。したがって、ローラコンベヤ3の回転を機械的な方法で加速及び減速させることができる。
【0024】
ローラコンベヤのローラ8は、互いに平行に延在し、ローラ8はいずれも、
図3に示される特徴的な形状を有する。この例示的な実施形態では、ローラ8は、一定の断面を有する6つの狭径部分8aを有し、狭径部分8aは29.5mmの長さに沿って延在し、傾斜部8bにより挟まれている。傾斜部8bは、対応する狭径部分8aの両側に、その隣接する狭径部分8aに対して角度αを形成して延在する。2つの隣り合う狭径部分8aに関連する2つの隣り合う傾斜部8bは、広径部分8cにより互いに接続される。
【0025】
この例示的な実施形態では、6つのカム部材15がローラコンベヤ3のチェーン駆動軸13に取り付けられている。カムの数(この例示的な実施形態では3つ)は、駆動輪を形成する歯車12の3つの辺に対応している。カム部材15はそれぞれ、チェーン駆動軸13上の、ローラコンベヤ3のローラ8の狭径部分8aに対応する位置にある。
図4は、カム部材15の縦断面を示す。カム部材15は本体16を有し、本体16には孔17が設けられ、これに接続されるチェーン駆動軸13が孔17を通って延在し、カム部材を回転駆動する。孔17の中心から見ると、ローラコンベヤの卵リフターとして機能する3つのカム18が本体16の周縁に延在する。孔17の中心から測定すると、カムは中心から最大26mmの大きさである。カムの全長を横切る方向に切断されたカム18の断面は円形であり、10mmの直径を有する。カム18は、チェーン歯車14の角に実質的に対応するように、かつ、三角形状の歯車12の回転時に常に2つの隣り合うローラ8の間の空間に延在するように、チェーン駆動軸13に嵌め込まれる。カムは、2つの隣り合うローラ8の間の空間まで延びる円形ヘッド19(R5)を有し、2つの隣り合うローラ8により運ばれる卵が0.5mmから3mm持ち上げられる。これは、
図5を参照しながら、以下に、より詳細に説明する。
【0026】
図5a~
図5cは、
図2のローラコンベヤの動作中の卵の3つの位置を示す。動作中、卵は、2つの隣り合うローラ8の狭径部分8aの間の空いている空間に位置する。
図5a~
図5cは、本実施形態を説明するために、2つの卵の搬送のみを示している。実際には、動作時には、上部の6つのローラ8の間に、5×6個の卵が存在することになる。
【0027】
図5aでは、2つの卵が、ローラコンベヤ3上の、卵がキャリア装置(
図5には図示せず)に落とされる地点に位置している。搬送方向(矢印P)に見て前方にある卵を第1の卵と呼び、他方を第2の卵と呼ぶ。駆動軸10の歯車11の歯は、三角形状の歯車12の辺12aと係合する。このようにして、ローラ8は、第1の比較的遅い速度で搬送方向(矢印P)に前進する。1つの端部(
図3の20を参照)において、ローラには歯が設けられている。これらの歯によって、ローラ8は、この目的のために取付板21内に設けられる歯車ラック(図示せず)上を回転する。その結果、ローラ8が搬送方向に移動する時、ローラ8はその軸を中心に回転する。
【0028】
図5aの詳細図は、カム部材15のカム18が第1の卵をわずかに持ち上げ、その結果、第1の卵の鋭端が、この卵を運ぶ2つのローラ8の傾斜部8bに接触することを示している。第1の卵の鈍端は、ローラ8に接触していない。上述したように、ローラ8はその移動中、連続的に回転しているという事実により、第1の卵の鋭端は前方に、つまり、搬送方向に向けられる。第2の卵は、その長手方向軸がローラ8の軸に平行となるように、各ローラ8の2つの狭径部分8aにより運ばれる。これらのローラ8もまた、回転しているため、第2の卵は搬送中、その長手方向軸を中心に回転する。
【0029】
図5bは、
図5aに示す状況の少し後の状況を示す。
図5bでは、第2の卵が、キャリア装置(図示せず)内に落とされる地点にある。駆動軸10の歯車11の歯は、三角形状の歯車12の角12bと係合している。このようにして、ローラ8は、第2の比較的速い速度で搬送方向(矢印P)に前進する。これらの歯によって、ローラ8は依然として歯車ラック(図示せず)上を回転している。ローラ8が搬送方向に移動する速度が比較的速いため、ローラ8もその軸を中心に、より速い速度で回転する。ローラ8の前方への移動の加速及びその回転の加速により、第1の卵は確実にローラコンベヤ3から鋭端を下向きにして落とされる。これは、
図5bの詳細図に明確に見ることができる。また、第2の卵が2つのローラ8により運ばれ、カム18に係合されるところであることが分かる。
【0030】
図5cは、
図5bに示す状況の少し後の状況を示す。第1の卵はローラコンベヤ3から既に落下し、第2の卵はカム18に係合された直後である。
【0031】
図6aは、
図1の包装装置1のキャリア装置22の斜視図である。6つの卵キャリアを形成する6つの第1のキャリア部材27及び6つの第2のキャリア部材28はそれぞれ、軸23及び24と、25及び26に沿って変位可能となるように構成される。
図6aでは、6つの第1のキャリア部材27と6つの第2のキャリア部材28は互いに離れて配置されている。キャリア部材27、28の位置は、ローラコンベヤ3のローラ8の狭径部分8aの位置に対応し、したがって、ローラコンベヤ3から卵が落とされる位置に対応する。
図6aでは、第1のキャリア部材27と対応する第2のキャリア部材28の各対は、相互の間隔が上部で比較的大きく、底部ではキャリア部材27、28が互いに接近して、第1のキャリア部材27と第2のキャリア部材28により収集される卵がキャリア部材27、28により確実に運ばれるように、互いに対して配向される。
【0032】
キャリア装置22は、ローラコンベヤ3から落とされた卵を収集するための、
図6aに対応する第1の高い位置と、卵をパッケージに収容するための第2のより低い位置との間で、全体として変位可能である。軸23及び26はそれぞれ、軸24及び軸25に対して変位可能に構成されており、それにより、軸23及び24と、軸25及び26がそれぞれ互いに変位した時、第1のキャリア部材27及び第2のキャリア部材28はそれぞれ傾くようになっている。
図6b及び
図6cは、第2の位置にある
図6aのキャリア装置22の部分斜視図を示す。
図6aと比較して、軸23及び26は、キャリア装置22のこの位置において、それぞれ軸24及び25に対して傾斜している。キャリア部材27、28それぞれの底部側は、互いに離れる方向に移動され、それにより、第1のキャリア部材27と対応する第2のキャリア部材28との間に位置する卵が各キャリア部材27、28の間を通過することが可能になり、パッケージ内への収容が可能になる。キャリア部材の状態は、
図6cの側面図に詳細に示されている。
【0033】
図6aの状況と比較して、キャリア部材27、28は、軸23、24、25、26上を互いに向かって移動される。第1のキャリア部材27及び第2のキャリア部材28は、互いに向かって移動される。この構成では、キャリア部材27、28の位置は、卵がパッケージに収容される位置に対応する。
【0034】
図7a~cはそれぞれ、
図1の包装装置のローラコンベヤ3とキャリア装置22との協働を示す斜視図、平面図、側面図である。
図7aの状況は、
図5b及び
図6aに関連して図示され、説明される状況に対応する。第1の卵は、まさにローラコンベヤから落とされるところである。キャリア装置22は、ローラコンベヤ3の反転側の下方に位置し、キャリア部材27、28は、その底部側が卵の通過を阻止する位置にある。このように、第1の卵は、先に説明したように、その鋭端を下に向けた状態でローラコンベヤ3から落下し、鋭端が下向きのまま、ローラコンベヤの下方に位置する2つのキャリア部材27、28により収集される。
【0035】
図面及び説明において、本発明は一実施形態により図示され、説明される。当業者にとって自明であり得る又は自明ではないかもしれない多くの変更が、以下の特許請求の範囲に定義される広い保護から逸脱することなく考えられ得ることは明らかであろう。