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特許7584521摩擦による伸縮動作でポンプチャンバを形成するポンプ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】摩擦による伸縮動作でポンプチャンバを形成するポンプ
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/145 20060101AFI20241108BHJP
   A61M 5/142 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
A61M5/145 500
A61M5/142 520
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022546429
(86)(22)【出願日】2021-01-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-24
(86)【国際出願番号】 US2021014096
(87)【国際公開番号】W WO2021154555
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2023-08-01
(31)【優先権主張番号】62/968,576
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アレッサンドロ ピッツォチェロ
(72)【発明者】
【氏名】マーク ウッド
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル コール
【審査官】星名 真幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-205175(JP,A)
【文献】特表2017-513577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/145
A61M 5/142
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体送達デバイスであって、
ハウジングと、
前記ハウジング内で制御可能に並進されるように構成されたピストンと、
前記ピストンの近位端に接続される遠位端を有するプラグであって、前記プラグが前記ハウジング内で並進するように構成される、プラグと、
前記ハウジングと前記ピストンの一方に設けられた円弧状のカムスロットと、前記カムスロットと係合するように構成され、前記ハウジングと前記ピストンの他方に設けられたピンと、を含む、前記ハウジングと前記ピストンの間のインターロック機構と、
を備え、
前記ピストンの前記近位端は、伸縮性流体チャンバを画定するノッチ領域で構成され、前記プラグの前記遠位端が前記ピストンに対して相対的に並進して、流体が前記流体チャンバに流れ込み、前記流体チャンバから流体を吐出することを可能にするものであり
前記ピストンが回転するとき、前記カムスロットは、前記ピストンが前記ハウジングに対して相対的に並進する距離を制御するように構成される、流体送達デバイス。
【請求項2】
前記ハウジングは、流体が前記ハウジングに導入されるリザーバポートと、流体が前記ハウジングから吐出される患者ポートと、を備える、請求項1に記載の流体送達デバイス。
【請求項3】
前記ピストンは、前記流体送達デバイスの吸入動作中に前記流体チャンバを前記リザーバポートと整合させ、前記流体送達デバイスの吐出動作中に前記流体チャンバを前記患者ポートと整合させるように制御可能に並進される、請求項2に記載の流体送達デバイス。
【請求項4】
前記プラグは、前記ハウジングに対して摩擦係合するように構成され、前記プラグの並進を前記ピストンに対して遅らせる摩擦量が、前記ピストンの並進によって克服されるまで提供される、請求項1に記載の流体送達デバイス。
【請求項5】
前記ピストンの前記近位端は、前記プラグの前記遠位端が、前記ピストンに対して移動できるように寸法決めされた前記ノッチ領域を有し、
前記プラグの前記遠位端が前記ピストン内の前記ノッチ領域の2つの端部停止位置の間で並進し、前記プラグの前記遠位端が前記2つの端部停止位置のうちの1つに到達すると、前記摩擦量が克服され、前記プラグが前記ハウジングに対して前記ピストンと並進する、請求項4に記載の流体送達デバイス
【請求項6】
前記プラグ及び前記ピストンは、それぞれ、シールを備え、それぞれの前記シールは、前記シール間の前記流体チャンバに流体を閉じ込めるように構成される、請求項3に記載の流体送達デバイス。
【請求項7】
前記プラグは、前記ハウジングに対して摩擦係合するように構成され、前記プラグの並進を前記ピストンに対して遅らせる摩擦量が、前記ピストンの並進によって克服されるまで提供され、前記ピストン上の前記シールは、前記摩擦量に寄与するように構成される、請求項に記載の流体送達デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例示的な実施形態は、一般に、装着可能な薬物注入パッチに使用するためのポンプサブシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、インスリン分泌、インスリン作用、又は、その両方の障害により、血糖値が高くなることが特徴の疾患群である。糖尿病は、深刻な健康上の合併症及び早期死亡を引き起こす可能性があるが、糖尿病患者のために、病気のコントロールや合併症のリスクを低減するための製品がよく知られている。
【0003】
糖尿病患者の治療には、専門的な食事療法、経口薬、及び/又は、インスリン療法などがある。糖尿病治療の主な目標は、合併症のない生活の可能性を高めるために、患者の血糖値を制御することである。しかし、他の生活上の要求や状況とのバランスを取りながら、良好な糖尿病管理を実現することは、必ずしも容易ではない。
【0004】
現在、1型糖尿病の治療には、主に、2つのモードの日常インスリン療法がある。第1のモードは、通常1日3から4回、各注射時に針刺しを必要とする注射器及びインスリンペンが含まれる。これらのデバイスは、使い方が簡単で、比較的低コストである。また、糖尿病を管理するための有効な治療法として広く採用されているのが、インスリンポンプを使用する方法である。インスリンポンプは、膵臓の働きをより忠実に再現するために、インスリンをさまざまな速度で持続的に注入し、血糖値を個々のニーズに合わせて目標範囲内に保つことを支援する。インスリンポンプを使用することで、インスリン注射の効き具合にライフスタイルを合わせるのではなく、ライフスタイルに合わせたインスリン治療が可能になる。
【0005】
しかし、従来のインスリンポンプには、いくつかの欠点がある。例えば、インスリンポンプで一般的に使用されているリードスクリューや、ピストンタイプのポンプサブシステムは、装着可能なインスリンポンプとしては大きな高さと大きな設置面積を必要とし、使用者にとって煩雑である場合が多い。
【0006】
また、従来のインスリンポンプは、多くの部品や可動部を必要とするため、機械的な故障のリスクが高くなっていた。
【0007】
また、従来のインスリンポンプは、システムの背圧が高くなると、バルブが漏れやすくなるのが一般的だった。その結果、用量の精度と信頼性が低下する可能性があった。
【0008】
また、従来のインスリンポンプは、一般的に、潜在的に高い背圧にさらされる大きな作動容量及び大きなシステム容量を必要としていた。その結果、用量の精度と信頼性が低下する可能性があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記及び他の問題は、例示的な実施形態によって、克服され、さらなる利点が実現される。
【0010】
例示的な実施形態の別の態様は、従来のポンプサブシステムと比較して、リザーバとカニューレとの間に直接的な流体経路がないポンプサブシステムを提供し、それによって、使用者を過剰投与からより安全に保護することである。
【0011】
例示的な実施形態の別の態様は、従来のポンプサブシステムと比較して、潜在的に高い背圧にさらされる小さな作動容量及び低いシステム容量を有するポンプサブシステムを提供し、それによって、インスリンパッチなどのポンプの精度及び信頼性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
例示的な実施形態によれば、ハウジングと、ハウジング内で制御可能に並進されるように構成されたピストンと、ピストンの近位端に接続される遠位端を有するプラグであって、プラグが、ハウジング内で並進するように構成される、プラグと、を備える、流体送達デバイスが提供される。ピストンの近位端は、伸縮性流体チャンバを画定する領域で構成され、プラグの遠位端がピストンに対して相対的に並進して、流体が流体チャンバに流れ込み、流体チャンバから流体を吐出することを可能にする。
【0013】
例示的な実施形態の態様によれば、ハウジングが、流体がハウジングに導入されるリザーバポートと、流体がハウジングから吐出される患者ポートとを備える。
【0014】
例示的な実施形態の態様によれば、ピストンが、流体送達デバイスの吸入動作中に、流体チャンバをリザーバポートと整合させ、流体送達デバイスの吐出動作中に、流体チャンバを患者ポートに整合させるように、制御可能に並進される。
【0015】
例示的な実施形態の態様によれば、プラグは、ハウジングに対して摩擦係合するように構成され、プラグの並進をピストンに対して遅らせる摩擦量が、ピストンの並進によって克服されるまで提供される。
【0016】
例示的な実施形態の態様によれば、プラグの遠位端が、ピストン領域内の2つの端部停止位置の間で並進し、プラグの遠位端が、2つの端部停止位置のうちの1つに到達すると、摩擦量が克服されて、プラグはピストンと共にハウジングに対して並進する。
【0017】
例示的な実施形態の態様によれば、流体送達デバイスは、ハウジングとピストンの一方に設けられた円弧状のカムスロットと、カムスロットと係合するように構成され、ハウジングとピストンの他方に設けられたピンと、を含むハウジングとピストンの間のインターロック機構をさらに備える。ピストンが回転するとき、カムスロットは、ピストンがハウジングに対して相対的に並進する距離を制御するように構成される。
【0018】
例示的な実施形態の態様によれば、プラグ及びピストンは、それぞれシールを備え、それぞれのシールは、シール間の流体チャンバに流体を閉じ込めるように構成される。
【0019】
例示的な実施形態の態様によれば、プラグは、ハウジングに対して摩擦係合するように構成され、プラグの並進をピストンに対して遅らせる摩擦量が、ピストンの並進によって克服されるまで提供され、ピストン上のシールは、摩擦量に寄与するように構成される。
【0020】
例示の実施形態の追加および/もしくは他の態様ならびに利点は、以下の説明に記載されることになるか、説明から明らかとなるか、または、例示の実施形態の実施により知り得る。例示的な実施形態は、上記の態様のうちの1つもしくは複数、および/またはそれらの特徴もしくは組み合わせのうちの1つもしくは複数を有する同様な動作のための装置および方法を含み得る。例示の実施形態は、例えば、添付の特許請求の範囲に記載されている上記の態様の1つもしくは複数の特徴、および/または、組み合わせを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の実施形態の上記および/または他の態様ならびに利点は、添付の図面と併せて、以下の詳細な説明からより容易に理解されるであろう。
【0022】
図1図1は、パッチポンプの例示的な実施形態のアーキテクチャの図を示す。
図2図2は、例示的な実施形態による例示的なポンプサブシステムの斜視図である。
図3図3は、図2の例示的なポンプサブシステムの分解斜視図である。
図4図4は、図2の例示的なポンプサブシステムの部分斜視図である。
図5図5は、図2の例示的なポンプサブシステムの部分斜視図である。
図6図6は、図2の例示的なポンプサブシステムの遠位端図である。
図7図7は、図2の例示的なポンプサブシステムの近位端図である。
図8図8は、図2の例示的なポンプサブシステム内のハウジングの斜視図である。
図9図9は、図2の例示的なポンプサブシステム内のハウジングの斜視図である。
図10図10は、図2の例示的なポンプサブシステムにおける例示的なシールの斜視図である。
図11図11は、図2の例示的なポンプサブシステムにおけるピストンの斜視図である。
図12図12は、図2の例示的なポンプサブシステムにおけるピストンの斜視図である。
図13図13は、図11及び図12のピストンの側面図である。
図14図14は、図11から図13のピストンの遠位端図である。
図15図15は、図2の例示的なポンプサブシステム内のプラグの斜視図である。
図16図16は、図15及び図17のプラグの側面図である。
図17図17は、図2の例示的なポンプサブシステム内のプラグの斜視図である。
図18A図18Aは、例示的な実施形態による、ポンプサイクルの状態中の図2の例示的なポンプサブシステムの側面図である。
図18B図18Bは、例示的な実施形態による、ポンプサイクルの状態中の図2の例示的なポンプサブシステムの側面図である。
図18C図18Cは、例示的な実施形態による、ポンプサイクルの状態中の図2の例示的なポンプサブシステムの側面図である。
図18D図18Dは、例示的な実施形態による、ポンプサイクルの状態中の図2の例示的なポンプサブシステムの側面図である。
図18E図18Eは、例示的な実施形態による、ポンプサイクルの状態中の図2の例示的なポンプサブシステムの側面図である。
図18F図18Fは、例示的な実施形態による、ポンプサイクルの状態中の図2の例示的なポンプサブシステムの側面図である。
図18G図18Gは、例示的な実施形態による、ポンプサイクルの状態中の図2の例示的なポンプサブシステムの側面図である。
図18H図18Hは、例示的な実施形態による、ポンプサイクルの状態中の図2の例示的なポンプサブシステムの側面図である。
図18I図18Iは、例示的な実施形態による、ポンプサイクルの状態中の図2の例示的なポンプサブシステムの側面図である。
図18J図18Jは、例示的な実施形態による、ポンプサイクルの状態中の図2の例示的なポンプサブシステムの側面図である。
図18K図18Kは、例示的な実施形態による、ポンプサイクルの状態中の図2の例示的なポンプサブシステムの側面図である。
図18L図18Lは、例示的な実施形態による、ポンプサイクルの状態中の図2の例示的なポンプサブシステムの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
当業者によって理解されるように、本明細書に開示される実施形態によるポンプの実施例、改善、及び配置を実施するための多数の方法がある。図面及び以下の説明に示される例示的な実施形態を参照するが、本明細書に開示される実施形態は、開示される技術的解決策に包含される様々な代替設計及び実施形態を網羅するものではなく、当業者は、様々な修正が行われ得、開示される技術的解決策の範囲から逸脱して様々な組み合わせが行われ得ることを容易に理解するであろう。
【0024】
患者又は医療従事者を含み、これらに限定されない様々な人も、本開示の例示的な実施形態を操作又は使用することができるが、簡潔さのために、以下では、操作者又は使用者を、「使用者」と称することにする。
【0025】
本開示の例示的な実施形態では、様々な流体を採用することができるが、簡潔にするために、以下では、注入デバイス内の液体を、「流体」と称することにする。
【0026】
図1から図18Lに例示的な実施形態を示す。例示的な実施形態では、ポンプサブシステムは、装着可能なインスリン注入パッチに使用するために提供されるが、上記のように、装着可能な注入パッチは、インスリン以外の医薬などの他のタイプの流体を送達するために使用することができる。例えば、本開示の例示的な実施形態では、ポンプサブシステムは、インスリンを保管するためのリザーバと、インスリンを皮下組織に送達するためのカニューレアセンブリと、を含む、より大きな流体工学サブシステムの一部である。ポンプサブシステムは、リザーバから少量の液体を吸引し、カニューレラインから患者へと押し流す。流体用量は、リザーバ容量に対して少ないので、リザーバを完全に空にするには多くのポンプストロークが必要である。
【0027】
図1は、本開示の例示的な実施形態に係るパッチ型ポンプ100のアーキテクチャの図を示す。パッチポンプ100は、流体工学サブシステム120、電子機器サブシステム140、及び、蓄電サブシステム160を含む。
【0028】
流体工学サブシステム120は、リザーバ124と流体連通している補充ポート122を含む。リザーバ124は、補充ポートを通じて、シリンジから流体を受け取るように適合される。
【0029】
流体工学サブシステム120は、リザーバ124に結合された任意の容量センサ126をさらに含む。容量センサ126は、リザーバの流体容量を検出又は決定するように適合されている。
【0030】
流体工学サブシステム120は、ポンプサブシステム130をさらに含み、これは、ポンプアクチュエータ134に機械的に結合された一体型ポンプ及びバルブシステム132を含む。一体型ポンプ及びバルブシステム132は、流体工学サブシステム120のリザーバ124と流体連通しており、ポンプアクチュエータ134によって作動される。
【0031】
流体工学サブシステム120は、カニューレ129に機械的に結合された展開アクチュエータ128を有するカニューレ機構をさらに含む。展開アクチュエータ128は、カニューレ129を使用者に挿入するように適合される。カニューレ129は、ポンプサブシステム130の一体型ポンプ及びバルブシステム132と流体連通している。
【0032】
流体工学サブシステム120は、カニューレ129と一体型ポンプ及びバルブシステム132との間の流体経路に結合された任意の閉塞センサ136をさらに含む。閉塞センサ136は、カニューレ129と一体型ポンプ及びバルブシステム132との間の経路における閉塞を検出又は決定するように適合される。
【0033】
電子機器サブシステム140は、流体工学サブシステム120の容量センサ126に電気的に結合された任意の容量検知用電子機器142、ポンプサブシステム130のポンプアクチュエータ134に電気的に結合されたポンプコントローラ144、流体工学サブシステム120の閉塞センサ136に電気的に結合された任意の閉塞検知用電子機器146、及び、流体工学サブシステムのカニューレ129に電気的に結合された(例えば、カニューレ展開アクチュエータ128がマニュアルでもよい)任意の展開用電子機器148を含む。電子機器サブシステム140は、容量検知用電子機器142、ポンプコントローラ144、閉塞検知用電子機器146、及び、展開用電子機器148に電気的に結合されたマイクロコントローラ149をさらに含む。
【0034】
蓄電サブシステム160は、バッテリ162又は当技術分野で知られている他の任意の電力源を含む。バッテリ162は、パッチポンプ100の任意の要素又は電子コンポーネントに電力を供給するように適合させることができる。
【0035】
図2は、例示的な実施形態による例示的なポンプサブシステム200の斜視図である。図3は、例示的なポンプサブシステム200の分解斜視図である。ポンプサブシステム200は、ポンプハウジング208と、ピストン204に接続されたポンプアクチュエータ134によってポンプハウジング内で制御可能かつ選択的に並進及び回転させられる相互接続されたピストン204及びプラグ206とを備える。例えば、ポンプアクチュエータ134は、図2から図4には示されていないギアボックスとすることができる。ギアボックスの一例は、参照により本明細書に組み込まれる通称WO2015/157174に記載されている。
【0036】
図2から図7を参照すると、ポンプハウジング208は、一般に、ピストン204及びその中にプラグ206を受け入れるように寸法決めされた内部空間246を画定する円筒形又は管状をなす外壁240を有する管状部材として構成される。ピストン204及びプラグ206の外周は、ピストン204の外壁とポンプハウジング208の壁240の内面との間、及び、プラグ206の外壁とポンプハウジング208の外壁240の内面との間に画定される環状領域260にリザーバ流体の容量を入れるように寸法決めされている。以下に記載されるように、ポンプハウジング208内の環状領域260の一部を用いて伸縮自在なポンプチャンバ262を画定するためにシールが設けられる。ピストン204、及び/又は、プラグ206、及び/又は、ポンプハウジング208の壁240の内面の一部は、環状領域260内の流体の容量を増加させるために、平坦部又は窪みを有することができる。
【0037】
図4は、その遠位端244から延びるピストン204の一部を示すポンプハウジング208の斜視図であり、図5図8及び図9は、ポンプハウジング208の追加的な斜視図である。ポンプハウジング208の外側には、後述するポート248,250を有する部分254よりも大きな円周を有する部分252が形成される。ポンプハウジングの部分252には、インターロック機構として動作する後述の内部カムスロット242と、組み立て中にポンプのベースプレートとの嵌合を容易にし、ポンプのプロファイルを小さくするように構成されたノッチ256と、ピン218の組み立てを容易にする穴部258とが設けられる。図6及び図7は、そのそれぞれの端部におけるポンプハウジング208の断面図であり、一端(すなわち、図7)におけるプラグ206、他端(すなわち、図6)におけるピストン204、及び、環状領域260を示す。ポンプハウジング208は、円柱以外の形状とすることができ、形状及び外周と内径は、ポンプハウジング208の長手軸方向に沿って変化し得ることが理解されよう。
【0038】
外壁240には、パッチポンプ100内の流体経路(図示せず)を介して、ポンプハウジング208からリザーバ124に流体接続するために、ポンプハウジング208の内部空間246から外壁240を貫通して延びるリザーバポート248が形成される。また、外壁240には、パッチポンプ100内の流体経路(図示せず)を介して、ポンプハウジング208からカニューレ129に流体接続するために、ポンプハウジング208の内部空間246から外壁240を通って延びる患者ポート250が形成される。ポンプハウジング208は、図2に図示されるように、ピストン204を受け入れる遠位端244bを有する。ピストン204の遠位端204bは、ポンプチャンバ262内に流体を受け入れ(例えば、リザーバポート248を介して)、ポンプチャンバ262から流体を吐出する(例えば、患者ポート250を介して)ために、ピストン204及びプラグ206をポンプハウジング208内で制御可能に動かすギアボックス又は他のデバイス134に接続することが可能である。
【0039】
次に、図11から図14を参照して、ピストン204について説明する。ピストン204は、ギアボックス又は他のデバイス134(図示せず)により係合される遠位端204bを有する。ピストン204の遠位端204bは、ギアボックスによる機械的な係合又はグリップを容易にする長手方向リブを備えることができる。ピストン204の近位端204aは、プラグ206の遠位端206bと係合する。ピストン204の近位端204aは、プラグ206の遠位端206bを受容し、インターロック機構に関連して後述するように、ピン218がポンプハウジング208内のカムスロット242に従うとき、プラグの遠位端206bがノッチ領域210内でピストン204に対して移動できるように寸法決めされたノッチ領域210を有するように構成される。ノッチ領域210は、プラグ206の遠位端206bを受け入れる開口部212と、プラグ206のネック226を保持するフランジ214a,214bとから構成される。
【0040】
ノッチ領域210におけるピストン204とプラグ206の係合、及び、後述の2つのシールによって囲まれたポンプハウジング208内の周囲の環状領域260は、ポート248及びポート250が露出する可動又は並進ポンプチャンバ262を画定する。ピストン204は、ノッチ領域210、及び、2つのシールの間にある環状領域260の一部が、ポンプサイクル中の吸入及び吐出ストロークの実行を促進する伸縮効果を生み出すために、以下でより詳細に説明する方法で、ギアボックス又は他のデバイス134によって並進される。
【0041】
ピストン204は、ピストン204の外壁とポンプハウジング208の内壁との間に規定される環状領域260内のリザーバ流体の容量を可能にするように寸法決めされた外周(複数可)を有する1つ以上のセクション216a,b,c,dを有することが可能である。ピストン204の近位端204aを有するセクション216aは、ピストン204の外壁とポンプハウジング208の内壁との間の環状領域260の容量を増加させるために、その外周に関する他の領域に対して平坦であるか、又は、窪んだ領域を有することが可能である。また、ピストン204は、それぞれのセクション216a,b,c,gの間に介在し、外周よりも小さい円周(複数可)を有するセクション216d,e,fを有しており、2つのシールセクション216e,fと、ピン結合セクション216dと、を含む。
【0042】
シールセクション216e,fはそれぞれ、図3及び図10に示される対応するシール222a,bのようなシールを受けるように寸法決めされる。シール222a,bはそれぞれ、例えば、ピストンのセクション216e,fを囲む環状領域260の一部を埋めるように寸法決めされた外周を有し、それによって、(1)これらの部分260a,bへの任意の流体の漏れを防止するため、かつ、(2)ピストン204が、ギアボックス又は他の装置によって制御可能に並進するときに、シールがポンプハウジング208の長手軸方向に沿ってスライドすることも可能にするために、これらの部分内のポンプハウジング208の内部壁に対して十分な圧力嵌めを提供するOリングであってよい。また、このインターロック機構は、ピストンとプラグの並進だけでなく、回転も伴う。シール222a,bは、シール222a,bとして使用されるOリング内で、ピストン204が回転し、シール222a,bが、ピストン204と共に回転しないように相対するように構成される。トルクバランスは、ハウジングからのトルクがシール押え内のトルクよりも大きくなるようにでき、その結果、シール222a,bに対してピストンの相対的な動きをもたらす。実際の摩擦値によっては、特に、シールが液体に濡れている場合、トルクバランスが変化することがある。ただし、シール機能が維持されている場合のポンプ機能については、この限りではない。ピストン204は、ピン結合セクション216dにおいて、ポンプハウジング208のカムスロット242に追従するピン218を支持する。例えば、セクション216dは、穴部224を必要とせずにセクション216dの一部に圧入、接着、成形、又は、その他の方法で固定され得るピン218を受けるための穴部224を備えることができる。
【0043】
次に、プラグ206について、図3図15図16図17を参照して説明する。プラグ206は、近位端206aと、ピストン204の近位端204aに係合する遠位端206bと、を有する。プラグ206の遠位端206bは、ネック226及びフランジ228a,bを有する。ネック226は、ピストン204のノッチ領域210の開口部212内に摺動可能に受け入れられ、ノッチ領域210内のネック226の端部に設けられたフランジ214a,bを並進させるためにポンプサブシステムの長手軸方向に沿って十分に延びる長さを有するように寸法決めされる。可動又は並進ポンプチャンバ262のノッチ領域210内でプラグ206に対するピストン204の可動又は並進係合を提供するために、プラグ206の遠位端206b及びピストン204の近位端204aに異なる形状及び寸法を使用できることが理解される。
【0044】
図15,16及び17を引き続き参照すると、プラグ206は、プラグ206の外壁とポンプハウジング208の内壁との間に画定される環状領域260内のリザーバ流体の容量を許容にするように寸法決めされた外周(複数可)を有する3つのセクション230a,b,cを備える。プラグ206の遠位端206bを有するセクション230cは、ピストン204の外壁とポンプハウジング208の内壁との間の環状領域260の容量を増加させるために、その外周に関する他の領域に対して平坦又は窪んだ領域を有することが可能である。また、プラグ206は、それぞれのセクション230a,b,cの間に介在し、外周よりも小さい円周(複数可)を有する2つのシールセクション232a,bを有する。シールセクション232a,bはそれぞれ、図3及び図10に示される対応するシール234a,bのようなシールを受けるように寸法決めされる。シール234a,bは、シール222a,bと同様に構成され得る。例えば、シール234a,bは、ポンプハウジングの外壁に対してシール222a,bと同様の寸法にすることができ、摩擦嵌めを提供することができる。シール234a,bは、また、プラグ206がシール234a,bに対して回転するような寸法にすることができる。シール234a,b、及び、シール222a,bは、例えば、ブチルゴムからなるOリングとすることができる。シールは、薬物適合性と望ましい機械的機能(例えば、サイズ調整、圧縮永久ひずみ、摩擦など)を有するように設計されている。プラグ206の遠位シール234b及びピストン204の近位シール222aは、ポンプチャンバ262と一致しない環状領域260の残りの部分から、可動又は並進ポンプチャンバ262内のリザーバ流体をシールする。
【0045】
図3から図10を引き続き参照すると、ポンプハウジング208の遠位セクションは、ピストン204に設けられたピン218を受け、案内する外壁240の内面に形成されたカムスロット242を含むインターロック機構で構成される。カムスロット242の長さ及びその長さに沿った湾曲の程度は、まず、リザーバ124から可動ポンプチャンバ262の内部空間246に流体を引き込むポンプサイクルの吸入ストロークのために2つのシール(すなわち、プラグ206のシール234b及びピストン204のシール222a)の間にリザーバポート248を制御可能に整合させ、可動ポンプチャンバ262からカニューレ129に向かって流体を押し出す吐出ストロークのために患者ポート250を同じ2つのシール234b及びシール222aの間で制御可能に整合させ、そして、ストロークの間にピストンを制御可能に回転させ、次のストローク(例えば、ポンプサイクルの所望の位相に応じて、時計回りのピストン204の回転から反時計回りのピストン204の回転へ)に対して回転方向を逆転させるために、ポンプハウジング208の長手軸方向に沿って、ピストン204が移動する指定された距離に依存する。インターロック機構は、ハウジング208上のピンをガイドするピストン204のカムスロットで構成できることが理解されよう。
【0046】
吐出ストローク及び吸入ストロークからなる完全なポンプサイクル中のポンプサブシステム200の動作は、例示的な実施形態に従って、図18Aから図18Lを参照して本明細書で説明される。図18Aから図18Lに示されるように、ポンプサブシステム200が、ギアボックス又は他の装置によって駆動される場合、ポンプ作用は、ピストン204に相互接続されるプラグ206を2つの機械的極限(例えば、プラグ206の遠位端上のフランジ228a,bの上面及び底面が、ピストン204内のノッチ領域210のそれぞれの近位端及び遠位端に係合する)の間で引き込む直線ピストン204運動によって生成される。このような相互接続により、ピストン204とプラグ206は、互いに対して一定の距離を移動することができる。この距離は、ポンプサブシステム200の予め定められた掃引容量に対応する。このような相互接続は、プラグ206上に配置されたシール234a,bの摩擦によって可能になるピストン204内でプラグ206が移動する「伸縮」的な効果を提供し、これは、ピストン204の運動に対する抵抗を提供し、したがって、図18Aから図18Lと関連して以下に説明されるポンプサイクルの一部の間、プラグ206の並進運動がピストン204の並進運動に対して遅れるようにする働きをする。
【0047】
また、上述したように、ピストン204には、リザーバ流体の漏れを防止するためのシール222a,b(例えば、Oリング)が装着されているが、ピストンの長手軸方向に沿ったそれらの間隔を介して、ピストン204の運動中の位置を安定させ中央に配置するためにも装着される。ピストン204は、ポンプハウジング208のカムスロット242に乗り入れるピン218によって回転駆動される。
【0048】
上述したように、2つのポート248,250は、それぞれ、リザーバ124(例えば、流体源)及び患者側(例えば、カニューレ129)への接続を提供する。これらのポート孔248,250は、対応するポート248,250のために必要な距離だけピストンを動かすために、ポンプサブシステム200の長手軸方向に沿ったOリング222a,b及び234a,bの選択的位置決めと、カムスロット242のサイズ調整によって可動ポンプチャンバ262に制御可能に露出される。ポンプチャンバ262がリザーバ側に露出するとき(例えば、図18Aから図18Cに関連して説明したような吸入ストローク)、ピストン204がプラグ206から引き離され、プラグ206がそのOリングの摩擦によって引き止められる動作中にリザーバポート248が露出される。ポンプチャンバ262が完全に伸長される(例えば、プラグフランジ228a,bがノッチ領域210の近位壁に係合する)、次に、プラグ206がピストン204と共に引っ張られ(例えば、図18D)、リザーバポート248は、もはやポンプチャンバ262に接続されない。ピストン204の運動が続くと、患者側ポート250は、ポンプチャンバ262に露出する(例えば、図18Eから図18Hに関連して説明されるように)。
【0049】
次に、ポンプサイクル中の例示的な吸入ストロークについて、図18Aを参照しながら説明する。ピストン204内のピン218は、カムスロット242の近位端242cに示されており、リザーバポート248は、チャンバ262に露出して示される。ピストンが回転(例えば、反時計回り)し、ピン218がスロット242のセクション242aに沿って滑走する。プラグ206とピストン204は回転するが、まだどちらも並進しない。
【0050】
図18Bでは、ピン218はカムスロット242のセクション242Aに沿って続いており、ピストン204は回転し並進するが、プラグは並進しない。そのフランジ228a,bは、ピストンが並進するにつれて、ノッチ領域210の遠位側からノッチ領域210の近位側に向かって離れ、流体チャンバ262内の負圧を引き起こしてポート248を通して流体を引き入れる。
【0051】
図18Cにおいて、ピン218は、ピストンの回転中に、カムスロット242のセクション242bに沿ってガイドされ、ピストン204の並進を引き起こす。図18Cは、プラグフランジ228a,bがノッチ領域210の近位側に接触する機械的限界又は極限を示す。カムスロットの形状242bは、プラグ206がシール摩擦及びラグを克服し、ピストン204と共に患者ポート250に向かって移動することを可能にする。
【0052】
図18Dにおいて、ピン218は、カムスロット242のセクション242bに沿って案内され、ピストン204及びプラグ206の患者ポート250に向けた回転及び並進を引き起こす。図18Eに示すように、ピン218がカムスロット242のセクション242bの端に達すると、ピストン204及びプラグ206は回転するが、並進は停止する。患者250のポートが、流体チャンバ262と位置合わせされた状態である。ピン218は、図18に示すように、カム溝の端部242cに向かって移動し、ピストン204とプラグ206を回転させる。カム溝の端部242cでは、例えば、ピストン204の回転を逆転させ、ピストン204及びプラグ206は、時計回りに回転することが可能である。
【0053】
図18Gから図18Jに示すように、ピン218は、ピストン204及びプラグ206の回転に伴って、カムスロット242のセクション242bに向かって案内される。プラグ206は並進せず、回転のみする。ピストン204の近位端204aは、プラグの遠位端206bに向かって押し、ポンプサイクルの吐出ストロークの間、チャンバ262内の正圧を引き起こし、患者ポート250を通して、患者に向かって流体を押し出す。図18I及び18Jは、ピン218を案内するスロット242のセクション242bの湾曲及び長さ、並びに、ピストン近位端204aがプラグ遠位端206bに対して押すことによって達成されるプラグ206の機械的限界によって、ピストン204及びプラグ206が、リザーバポート248に向かって一緒に回転及び並進している後の吐出ストローク完了を示す。
【0054】
図18J及び図18Kは、別の吸入ストロークのためにリザーバポート248に向かって移動したチャンバ262を示す図である。図18Lに示されるように、ピン210は、カムスロット242のセクション242aにある。ピストン204とプラグ206は、ピン218がカムスロット242の端部に接触するまで、回転のみ(例えば、時計回り)し、並進しない。ピストン204の回転は、(例えば、ギアボックス又は他のアクチュエータ134によって)逆転され、それによって、ピストン204が最初にプラグ206から引き離され、プラグ摩擦によってプラグ206がピストンに対するその移動で遅れを生じ、チャンバ262内の負圧及びリザーバポート248を介して、チャンバへの液体の吸込みを引き起こす別の吸込みを開始することができる。
【0055】
図18Aから図18Lは、ピストン204の回転方向が逆である吸入ストローク及び吐出ストロークからなるポンプサイクルを示しているが、ポンプサブシステム200は、単一の回転方向で動作するように構成することができ、これは、ポンプアクチュエータ134の電子機器を単純化し、おそらくバッテリ162消費を低減することができることは理解されよう。ポンプサブシステム200は、回転とは対照的に、直線作動で駆動することも可能である。
【0056】
ポンプサブシステム200の利点は、ポンプチャンバ262のポート248及び250への露出のタイミングが、リザーバと患者との間の直接接続を不可能にする方法で機械的に達成されることである。ポンプチャンバ262がポート250を介して患者側に露出し、ピストン204が完全に引き込まれると、ポンプ動作が開始される。プラグ206の摩擦は、ピストン204の動きがプラグ206の抵抗力を克服するまで、最大30psi(例えば、選択されたOリング234a,bとポンプハウジング208との摩擦による干渉)の背圧に対しても、プラグ206を所定の位置に保持することができる。その時点で、ピストン204は前方へ押し出し始め、可動ポンプチャンバ262から患者へ向けて流体を吐出する。分配ストロークが完了すると、ピストン204はプラグ206上で底につき、それを前方に押し出してポンプサイクルを完了させる。この間、ピストン204とプラグ206は、インターロック機構によって一緒に回転する。
【0057】
ポンプサブシステム200は、そのポンプの高さが(例えば、ポンプハウジングとは別に、リザーバ及び患者ポートに流体をそれぞれ導くためにバルブを有するマニホールドを使用するWO2015/157174に記載の計量サブシステムと比較して)著しく低減され、他の構成要素のためのより多くの空間を可能にするため、有利である。さらに、ポンプサブシステム200は、マニホールドシール及びスリーブインターフェースの必要性を排除し、したがって、速効性で安定性の低いインスリンに対するインスリン分解の可能性を最小限にし、ポンプサブシステム200が多くの種類のインスリンとの使用に適することを可能にする。
【0058】
ポンプサブシステム200は、十分に小さい投与量を送達することができ、それによって、他の薬物療法のための溶液と同様に、1型糖尿病ポンプとしての使用を可能にするため有利である。
【0059】
本開示が、以下で説明にされるか、または図面に図示される、構造の詳細、および構成要素の配置に、その適用が限定されないことが当業者によって理解されよう。本明細書の実施形態は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実行または実施することができる。また、本明細書にて使用される表現、および用語は、説明を目的とするものであり、限定するものとみなすべきではないことが理解されよう。本明細書における「含む」、「備える」、または「有する」、およびそれらの変形例の使用は、その後に列挙される項目およびその等価物に加えて。追加のアイテムを包含することを意味する。特に限定されない限り、本明細書における「接続された」、「結合された」、および「据え付けられた」という用語、およびそれらの変形例は、広範囲に用いられ、直接的および間接的な接続、結合、および取り付けを包含する。さらに、「接続された」および「結合された」という用語、およびそれらの変形例は、物理的または機械的な、接続または結合に限定されない。さらに、上、下、底面、および上面などの用語は、相対的であって、図解を補助するために使用されるものではあるが、限定するものではない。
【0060】
図示された実施形態に従って採用された図示の装置、システム、および方法の構成要素は、少なくとも部分的には、デジタル電子回路、アナログ電子回路、またはコンピュータのハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、もしくはそれらの組み合わせで実装することができる。これらの構成要素は、例えば、プログラム可能なプロセッサ、コンピュータ、もしくは複数のコンピュータのようなデータ処理装置による実行用の、またはそれらの動作を制御するための情報媒体もしくは機械可読記憶デバイスに明確に具現化されたコンピュータプログラム、プログラムコード、またはコンピュータ命令などのコンピュータプログラム製品として実装することができる。
【0061】
コンピュータプログラムは、コンパイル型言語もしくはインタプリタ型言語を含んだ任意の形式のプログラミング言語で作成されてよく、コンピュータプログラムは、スタンドアロンプログラムまたはモジュール、構成要素、サブルーチン、もしくはコンピューティング環境での使用に適した他のユニットを含んだ任意の形式で展開されてよい。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータもしくは1つのサイトの複数のコンピュータで実行されるようにデプロイすること、または、複数のサイトに分散して配置し、通信ネットワークで相互接続することができる。また、例示的な実施形態を達成するための機能プログラム、コード、およびコードセグメントは、例示された実施形態が属する技術分野の当業者であるプログラマーによって、例示的な実施形態により例示された特許請求の範囲内であると容易に解釈することができる。本発明の例示的な実施形態に関連する方法ステップは、(例えば、入力データの操作、および/または出力を生成することにより)機能を実行するためのコンピュータプログラム、コード、または命令を実行する1つもしくは複数のプログラム可能なプロセッサによって実行できる。たとえば、方法ステップは、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)などの特別な目的の論理回路によって実行することもでき、例示した実施形態の装置は、そのように実装することができる。
【0062】
本明細書に開示される実施形態に関連して説明される様々な例示的な論理ブロック、モジュール、および回路は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ASIC、FPGA、または他のプログラム可能な論理デバイス、個別ゲート、又は、トランジスタロジック、個別ハードウェアコンポーネント、又は、本書で説明する機能を実行するように設計されたそれらの任意の組み合わせにより、実装または実行され得る。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであり得るが、代替として、プロセッサは、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、または状態機械であり得る。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組み合わせ、例えば、DSPとマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと組み合わせた1つ以上のマイクロプロセッサ、または他のそのような構成として実装されてもよい。
【0063】
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサは、例として、汎用および専用の両方のマイクロプロセッサ、および任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つまたは複数のプロセッサを含む。一般に、プロセッサは、読み取り専用メモリおよび/またはランダムアクセスメモリから命令とデータを受け取る。コンピュータの重要な要素は、命令を実行するためのプロセッサと、命令とデータを格納するための1つ以上のメモリデバイスである。一般に、コンピュータはまた、例えば、磁気、光磁気ディスク、又は、光ディスクなど、データを格納するための1つまたは複数の大容量記憶装置を含むか、または、それらからデータを転送するように動作可能に結合される。コンピュータプログラム命令およびデータを具現化するのに適した情報媒体には、例として、電気的にプログラム可能な読み取り専用メモリまたはROM(EPROM)、電気的に消去可能なプログラム可能なROM(EEPROM)、フラッシュメモリデバイスなどの半導体メモリデバイス、及び、データストレージディスク(磁気ディスク、内蔵ハードディスク、またはリムーバブルディスク、光磁気ディスク、CDーROM、及び、DVD-ROMディスク等)を含む、あらゆる形式の不揮発性メモリが含まれる。プロセッサとメモリは、特別な目的のロジック回路によって補完または組み込むことができる。
【0064】
当業者は、情報および信号が、様々な異なる技術および技法のいずれかを使用して表され得ることを理解するであろう。例えば、上記の説明全体で参照される可能性があるデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、およびチップは、電圧、電流、電磁波、磁場もしくは磁気粒子、光学場もしくは光粒子、またはそれらの任意の組み合わせによって表し得る。
【0065】
本明細書に開示される実施形態に関連して説明される様々な例示的な論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、または、両方の組み合わせとして実装され得ることを当業者はさらに理解する。ハードウェアとソフトウェアのこの互換性を明確に示すために、さまざまな実例となるコンポーネント、ブロック、モジュール、回路、及び、ステップを、それらの機能の観点から一般的に上記で説明した。このような機能がハードウェアとして実装されるかソフトウェアとして実装されるかは、特定の用途とシステム全体に課される設計の制約に依存する。当業者は、特定の用途ごとに様々な方法で説明した機能を実装することができるが、そのような実装の決定は、例示された実施形態によって例示される請求項の範囲からの逸脱を引き起こすと解釈されるべきではない。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、ROM、EPROM、EEPROM、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CDーROM、または、この技術分野で知られている任意の他の形式の記憶媒体に常駐し得る。例示的な記憶媒体は、プロセッサが記憶媒体から情報を読み取り、記憶媒体に情報を書き込むことができるようにプロセッサに結合される。代替として、記憶媒体は、プロセッサに統合されてもよい。言い換えれば、プロセッサおよび記憶媒体は、集積回路内に常駐するか、または別個のコンポーネントとして実装され得る。
【0066】
コンピュータ可読非一時的媒体は、磁気記憶媒体、光学記憶媒体、フラッシュ媒体、および固体記憶媒体を含む、あらゆるタイプのコンピュータ可読媒体を含む。ソフトウェアは、中央処理装置(CPU)デバイスにインストールして販売できることを理解されたい。または、ソフトウェアを取得してCPUデバイスにロードすることもでき、これには、例えば、ソフトウェア作成者が所有するサーバーから、またはソフトウェア作成者が所有していないが使用するサーバーからなど、物理メディアまたは配布システムを通じてソフトウェアを取得することが含まれる。ソフトウェアは、例えばインターネットを介して配布するためにサーバーに保存することができる。
【0067】
上記の説明および図は、例としてのみ意図されており、以下の特許請求の範囲に記載されている場合を除いて、決して本発明を限定することは意図されていない。当業者は、上で説明した様々な例示的な実施形態の様々な要素の様々な技術的態様を、他の多くの方法で容易に組み合わせることができ、それらはすべて本発明の範囲内であると見なされることに特に留意されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図18C
図18D
図18E
図18F
図18G
図18H
図18I
図18J
図18K
図18L