(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】ポンピングおよびバルブ操作を備えたバルブシャフトポンプ
(51)【国際特許分類】
A61M 5/145 20060101AFI20241108BHJP
A61M 5/142 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
A61M5/145 500
A61M5/142 520
(21)【出願番号】P 2022546430
(86)(22)【出願日】2021-01-20
(86)【国際出願番号】 US2021014103
(87)【国際公開番号】W WO2021154556
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2023-08-01
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アレッサンドロ ピッツォチェロ
(72)【発明者】
【氏名】マーク ウッド
(72)【発明者】
【氏名】シェリアール シディキ
(72)【発明者】
【氏名】エリザベス グリン
(72)【発明者】
【氏名】キース ナップ
【審査官】星名 真幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0101451(US,A1)
【文献】特表2012-507656(JP,A)
【文献】米国特許第03565298(US,A)
【文献】特表2017-513577(JP,A)
【文献】米国特許第05494420(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/145
A61M 5/142
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体送達用のポンプデバイスであって、
ハウジングと、
可変容積流体チャンバを有するポンプであって、前記可変容積流体チャンバは前記ハウジング内に配置され、ポンピング動作中に前記ハウジングの長手方向軸に沿って前記流体チャンバの長さを変化させるために、前記可変容積流体チャンバの第2の端部に対して移動することができる前記可変容積流体チャンバの第1の端部と共に構成される、ポンプと、
前記流体チャンバ用の流体供給源と流体連通する流体吸入ポートと、
前記流体チャンバから流体を受け入れ、前記流体を流体出力に向ける流体経路と流体連通する流体排出ポートと、
前記流体吸入ポートおよび前記流体排出ポートに対して移動可能なバルブアセンブリであって、第1の通路および第2の通路を備えた
少なくとも1つのバルブシャフトを備えたバルブアセンブリと、を備え、
前記ハウジングは、前記流体チャンバから前記バルブアセンブリへの開口部を有し、前記バルブアセンブリは制御可能に移動し、前記開口部と前記流体吸入ポートの間に配置され、前記流体チャンバへの流体吸入のための前記第1の通路を介して前記開口部と前記流体吸入ポートの間に流体連通を提供するように構成され、前記開口部と前記流体排出ポートとの間で、バルブ動作中、前記流体チャンバから流体を排出するための前記第2の通路を介して前記開口部と前記流体排出ポートとの間の流体連通を提供
し、前記ポンプの前記第1の端部の移動および前記バルブアセンブリの移動が制御され、前記バルブアセンブリのバルブ運動を前記ポンプのポンピング運動と調整し、前記ハウジングおよび前記ポンプは、駆動機構によって回転されると、前記ポンプの前記第1の端部を前記第2の端部に対して移動させるカム作用を利用する第1のインターロック機構を有し、前記バルブアセンブリは、前記駆動機構の回転に対して前記バルブアセンブリを移動させるためにカム作用を利用する第2のインターロック機構を有する、ポンプデバイス。
【請求項2】
前記ポンプは、前記ハウジング内に配置されたプラグおよびピストンをさらに備え、前記プラグの遠位端および前記ピストンの近位端は、前記ポンプの前記第2の端部および前記第1の端部と、前記駆動機構に接続されている前記ピストンの近位端とをそれぞれ形成する、請求項
1に記載のポンプデバイス。
【請求項3】
前記ハウジングと前記ピストンとの間の前記第1のインターロック機構が、前記ハウジングと前記ピストンの一方に弓形のカムスロットを備え、前記ハウジングと前記ピストンの他方に前記カムスロットと係合するように構成されたピンとを備え、
前記ピストンが回転すると、前記カムスロットは、前記ピストンの近位端が前記プラグの遠位端に対して移動する距離と、流体吸入および流体排出操作のために長手方向軸に沿った方向とを制御するように構成される、請求項
2に記載のポンプデバイス。
【請求項4】
前記バルブアセンブリと前記駆動機構との間の前記第2のインターロック機構は、前記バルブアセンブリおよび前記駆動機構の一方に弓形カムスロットを備え、前記バルブアセンブリおよび前記駆動機構の他方に前記カムスロットと係合するように構成されたピンを備え、
前記駆動機構が回転すると、前記カムスロットは、流体吸入および流体排出動作のために前記バルブアセンブリが長手方向軸に沿って移動する距離を制御するように構成される、請求項
1に記載のポンプデバイス。
【請求項5】
前記バルブアセンブリは
、前記第1の通路および前記第2の通路のそれぞれの側に前記少なくとも1つのバルブシャフトに沿って配置されたシー
ルをさらに備えた、請求項1に記載のポンプデバイス。
【請求項6】
前記ポンプデバイスの流体吸入動作中に、前記バルブシャフトが、前記ハウジングの長手方向軸に沿って選択的に移動され、前記ハウジングの前記開口部、前記バルブシャフトの前記第1の通路、および前記流体吸入ポートを整列させ、前記バルブシャフトの前記第2の通路を密閉し、
前記
ポンプデバイスの流体排出動作中に、前記ハウジングの前記開口部、前記バルブシャフトの前記第2の通路、および前記流体排出ポートを整列させ、前記バルブシャフトの前記第1の通路を密封する、請求項
5に記載のポンプデバイス。
【請求項7】
前記プラグおよび前記ピストンはそれぞれ、前記流体チャンバの前記第1の端部および前記第2の端部のそれぞれに対してシールを備え、前記ハウジング内の前記開口部を介して流体が前記流体チャンバ内に受け入れられる場合と、および前記ハウジング内の前記開口部を介して前記流体が前記流体チャンバから排出される場合とを除き、漏れを防止する、請求項
2に記載の
ポンプデバイス。
【請求項8】
前記プラグおよび前記ピストンから選択されたポンプ部材が、
前記流体チャンバの容積を減少させるために結合されたシムを有するように構成される、請求項
2に記載の
ポンプデバイス。
【請求項9】
前記
流体チャンバの容積は、前記
流体チャンバの直径の減少および前記ピストンの移動距離の減少から選択される前記ポンプデバイスの少なくとも1つの変更を使用して減少され、
前記流体チャンバの前記容積を変化させる、請求項
2に記載の
ポンプデバイス。
【請求項10】
前記ピストンおよび前記プラグの一方にボスを設け、前記ピストンおよび前記プラグの他方に対応する凹部を設けることによって、ポンプチャンバの容積を減少させる、請求項
2に記載の
ポンプデバイス。
【請求項11】
流体送達用のポンプデバイスであって、
ハウジングと、
可変容積流体チャンバを有するポンプであって、前記可変容積流体チャンバは前記ハウジング内に配置され、ポンピング動作中に前記ハウジングの長手方向軸に沿って前記流体チャンバの長さを変化させるために、前記可変容積流体チャンバの第2の端部に対して移動することができる前記可変容積流体チャンバの第1の端部と共に構成される、ポンプと、
前記流体チャンバ用の流体供給源と流体連通する流体吸入ポートと、
前記流体チャンバから流体を受け入れ、前記流体を流体出力に向ける流体経路と流体連通する流体排出ポートと、
前記流体吸入ポートおよび前記流体排出ポートに対して移動可能なバルブアセンブリであって、第1の通路および第2の通路を備えたバルブアセンブリと、を備え、
前記ハウジングは、前記流体チャンバから前記バルブアセンブリへの開口部を有し、前記バルブアセンブリは制御可能に移動し、前記開口部と前記流体吸入ポートの間に配置され、前記流体チャンバへの流体吸入のための前記第1の通路を介して前記開口部と前記流体吸入ポートの間に流体連通を提供するように構成され、前記開口部と前記流体排出ポートとの間で、バルブ動作中、前記流体チャンバから流体を排出するための前記第2の通路を介して前記開口部と前記流体排出ポートとの間の流体連通を提供し、
前記バルブアセンブリは、前記第1の通路を備える第1のバルブシャフトおよび前記第2の通路を備える第2のバルブシャフトを備え、
前記第1のバルブシャフトおよび前記第2のバルブシャフトは、それぞれ前記ハウジングの前記長手方向軸に沿って選択的に移動され、
前記ポンプデバイスの流体吸入動作中に、前記ハウジングの前記開口部、前記第1のバルブシャフトの前記第1の通路および前記流体吸入ポートを整列させ、前記第2のバルブシャフトの前記第2の通路を密閉し、
前記ポンプデバイスの流体排出動作中に、前記ハウジングの前記開口部、前記第2のバルブシャフトの前記第2の通路および前記流体排出ポートを整列させ、前記第1のバルブシャフトの前記第1の通路を密封する、ポンプデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例示的な実施形態は、一般に、装着可能な薬物注入パッチに使用するためのポンプサブシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、インスリン分泌、インスリン作用、または、その両方の障害により、血糖値が高くなることが特徴の疾患群である。糖尿病は、深刻な健康上の合併症および早期死亡を引き起こす可能性があるが、糖尿病患者のために、病気のコントロールや合併症のリスクを低減するための製品がよく知られている。
【0003】
糖尿病患者の治療には、専門的な食事療法、経口薬、および/または、インスリン療法などがある。糖尿病治療の主な目標は、合併症のない生活の可能性を高めるために、患者の血糖値を制御することである。しかし、他の生活上の要求や状況とのバランスを取りながら、良好な糖尿病管理を実現することは、必ずしも容易ではない。
【0004】
現在、1型糖尿病の治療には、主に、2つのモードの日常インスリン療法がある。第1のモードは、通常1日3~4回、各注射時に針刺しを必要とする注射器およびインスリンペンが含まれる。これらのデバイスは、使い方が簡単で、比較的低コストである。また、糖尿病を管理するための有効な治療法として広く採用されているのが、インスリンポンプを使用する方法である。インスリンポンプは、膵臓の働きをより忠実に再現するために、インスリンをさまざまな速度で持続的に注入し、血糖値を個々のニーズに合わせて目標範囲内に保つことを支援する。インスリンポンプを使用することで、インスリン注射の効き具合にライフスタイルを合わせるのではなく、ライフスタイルに合わせたインスリン治療が可能になる。
【0005】
しかし、従来のインスリンポンプには、いくつかの欠点がある。例えば、インスリンポンプで一般的に使用されているリードスクリューや、ピストンタイプのポンプサブシステムは、装着可能なインスリンポンプとしては大きな高さと大きな設置面積を必要とし、ユーザにとって煩雑である場合が多い。
【0006】
また、従来のインスリンポンプは、多くの部品や可動部を必要とするため、機械的な故障のリスクが高くなっていた。
【0007】
また、従来のインスリンポンプは、システムの背圧が高くなると、バルブが漏れやすくなるのが一般的だった。その結果、投与量の精度と信頼性が低下する可能性があった。
【0008】
また、従来のインスリンポンプは、典型的に、潜在的に高い背圧にさらされる大きな作動容積および大きなシステム容積を必要とする。その結果、投与量の精度と信頼性が低下する可能性がある。
【0009】
典型的に、従来のインスリンポンプはまた、しばしば確認が困難な多くの要因に応じて、投与量精度のための長すぎる許容ループ(tolerance loop)を有する。これにより、投与量精度が低下する可能性がある。
【発明の概要】
【0010】
上記および他の問題は、本発明の例示的な実施形態により克服され、追加の利点が実現される。
【0011】
例示的な実施形態の別の態様は、従来のポンプサブシステムと比較して、リザーバとカニューレとの間に直接的な流体経路がないポンプサブシステムを提供し、それによって、過剰投与からユーザをより安全に保護する。
【0012】
例示的な実施形態の別の態様は、従来のポンプサブシステムと比較して、潜在的に高い背圧にさらされる小さな作動容積および低いシステム容積を有するポンプサブシステムを提供し、それによって、インスリンパッチなどのポンプの精度および信頼性を向上させる。
【0013】
例示的な実施形態によれば、流体送達用のポンプデバイスであって、ハウジングと、可変容積流体チャンバを有するポンプであって、可変容積流体チャンバはハウジング内に配置され、ポンピング動作中にハウジングの長手方向軸に沿って流体チャンバの長さを変化させるために、可変容積流体チャンバの第2の端部に対して移動することができる可変容積流体チャンバの第1の端部と共に構成される、ポンプと、流体チャンバ用の流体供給源と流体連通する流体吸入ポートと、流体チャンバから流体を受け入れ、流体を流体出力に向ける流体経路と流体連通する流体排出ポートと、流体吸入ポートおよび流体排出ポートに対して移動可能なバルブアセンブリであって、第1の通路および第2の通路を備えたバルブアセンブリと、を備え、ハウジングは、流体チャンバからバルブアセンブリへの開口部を有し、バルブアセンブリは制御可能に移動し、開口部と流体吸入ポートの間に配置され、流体チャンバへの流体吸入のための第1の通路を介して開口部と流体吸入ポートの間に流体連通を提供するように構成され、開口部と流体排出ポートとの間で、バルブ動作中、流体チャンバから流体を排出するための第2の通路を介して開口部と流体排出ポートとの間の流体連通を提供するように構成される。
【0014】
例示的な実施形態の態様によれば、ポンプの第1の端部の移動およびバルブアセンブリの移動が制御され、バルブアセンブリのバルブ運動をポンプのポンピング運動と調整(coordinated)する。
【0015】
例示的な実施形態の態様によれば、ハウジングおよびポンプは、駆動機構によって回転されるときに、ポンプの第1の端部を第2の端部に対して移動させるためにカム作用を利用する第1のインターロック機構を有し、バルブアセンブリは、駆動機構の回転に関してバルブアセンブリを移動させるためにカム作用を利用する第2のインターロック機構を有する。
【0016】
例示的な実施形態の態様によれば、ポンプは、ハウジングに配置されたプラグおよびピストンを備え、プラグの遠位端およびピストンの近位端はそれぞれ、ポンプの第2の端および第1の端を形成する。ピストンの近位端は、駆動機構に接続されている。
【0017】
例示的な実施形態の態様によれば、ハウジングとピストンとの間の第1のインターロック機構は、ハウジングとピストンの一方に弓形のカムスロットと、ハウジングとピストンの他方にカム溝に係合するように構成されるピンを備える。ピストンが回転されるとき、カムスロットは、流体吸入および流体排出動作のために、ピストンの近位端がプラグの遠位端に対して移動する距離、および長手方向軸に沿った方向を制御するように構成される。
【0018】
例示的な実施形態の態様によれば、バルブアセンブリと駆動機構との間の第2のインターロック機構は、バルブアセンブリおよび駆動機構のうちの一方に弓形カムスロットと、バルブアセンブリおよび駆動機構の他方にカムスロットと係合するように構成されたピンとを備える。駆動機構が回転するとき、カムスロットは、流体吸入および流体排出動作のためにバルブアセンブリが長手方向軸に沿って移動する距離を制御するように構成される。
【0019】
例示的な実施形態の態様によれば、バルブアセンブリは、第1の通路および第2の通路を備える少なくとも1つのバルブシャフトと、少なくとも1つのバルブシャフトに沿って第1の通路および第2の通路のそれぞれの側面に配置されたシールとを備える。
【0020】
例示的な実施形態の態様によれば、バルブシャフトはハウジングの長手方向軸に沿って選択的に移動され、ハウジングの開口部、バルブシャフトの第1の通路、および流体吸入ポートを整列させ、流体送達デバイスの流体吸入動作中にバルブシャフトの第2の通路を密封し、ハウジングの開口部、バルブシャフトの第2の通路、および流体排出ポートを整列させ、流体送達デバイスの流体排出動作中にバルブシャフトの第1の通路を密封する。
【0021】
例示的な実施形態の態様によれば、プラグおよびピストンは、流体がハウジング内の開口部を介して流体チャンバ内に受け入れられる場合と、流体がハウジング内の開口部を介して流体チャンバから排出される場合を除いて漏れを防止するために、流体チャンバの第1の端部および第2の端部のそれぞれについてのシールをそれぞれ設けられる。
【0022】
例示的な実施形態の態様によれば、プラグおよびピストンから選択されるポンプ部材は、ポンプチャンバの体積を減少させるために、ポンプ部材に結合されたシムを有するように構成される。
【0023】
例示的な実施形態の態様によれば、ポンプチャンバの体積は、ポンプチャンバの直径の減少、およびポンプチャンバの体積を変化させるためのピストンの移動距離の減少から選択されるポンプデバイスの少なくとも1つの変更を使用して減少される。
【0024】
例示的な実施形態の態様によれば、ポンプチャンバの体積は、ピストンおよびプラグの一方にボスを設けること、ならびにピストンおよびプラグの他方に対応する凹部を設けることによって減少される。
【0025】
本発明の例示的な実施形態の別の態様は、従来の計量ポンプと比較して少数の要因に依存する、投与量精度のための短い許容ループを有する計量システムを提供し、それによって投与量精度を増加させる。例えば、例示的な実施形態では、投与量精度のための許容ループは短く、ポンプチャンバの直径の減少、およびポンプチャンバの体積を変化させるためのピストンの移動距離の減少など、容易に測定可能な寸法の1つまたは2つのみに依存する。
【0026】
例示の実施形態の追加および/もしくは他の態様ならびに利点は、以下の説明に記載されることになるか、説明から明らかとなるか、または、例示の実施形態の実施により知り得る。例示的な実施形態は、上記の態様のうちの1つもしくは複数、および/またはそれらの特徴もしくは組み合わせのうちの1つもしくは複数を有する同様な動作のための装置および方法を含み得る。例示の実施形態は、例えば、添付の特許請求の範囲に記載されている上記の態様の1つもしくは複数の特徴、および/または、組み合わせを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明の実施形態の上記および/または他の態様ならびに利点は、添付の図面と併せて、以下の詳細な説明からより容易に理解されるであろう。
【0028】
【
図1】
図1は、パッチポンプなどの流体ポンプの例示的な実施形態のアーキテクチャの図を示す。
【
図2】
図2は、例示的な実施形態によるポンプサブシステムの斜視図であり、ポンプハウジング構成要素を想像線で示している。
【
図3】
図3は、例示的な実施形態によるポンプサブシステムの斜視図であり、ポンプハウジング構成要素を想像線で示している。
【
図4】
図4は、例示的な実施形態によるポンプサブシステムの斜視図であり、ポンプハウジング構成要素を想像線で示している。
【
図5】
図5は、例示的な実施形態によるポンプサブシステムの斜視図であり、ポンプハウジング構成要素を想像線で示している。
【
図6】
図6は、例示的な実施形態によるポンプサブシステムの斜視図であり、ポンプハウジング構成要素を想像線で示している。
【
図7】
図7は、例示的な実施形態によるポンプサブシステムの斜視図であり、ポンプハウジング構成要素を想像線で示している。
【
図8】
図8は、例示的な実施形態によるポンプサブシステムの斜視図であり、バルブアセンブリ構成要素を想像線で示している。
【
図9】
図9は、例示的な実施形態によるポンプサブシステムの斜視図であり、バルブアセンブリ構成要素を想像線で示している。
【
図10】
図10は、例示的な実施形態によるポンプサブシステムの斜視図であり、バルブアセンブリ構成要素を想像線で示している。
【
図11】
図11は、例示的な実施形態によるポンプサブシステムの斜視図であり、バルブアセンブリ構成要素を想像線で示している。
【
図12】
図12は、例示的な実施形態によるポンプサブシステムの斜視図であり、バルブアセンブリ構成要素を想像線で示している。
【
図13】
図13は、例示的な実施形態によるポンプサブシステムの斜視図であり、バルブアセンブリ構成要素を想像線で示している。
【
図14】
図14は、例示的な実施形態によるポンプサブシステムの斜視図であり、バルブアセンブリ構成要素を想像線で示している。
【
図15】
図15は、例示的な実施形態によるポンプサブシステムの斜視図であり、バルブアセンブリ構成要素を想像線で示している。
【
図16】
図16は、例示的な実施形態によるポンプサブシステムの底面図である。
【
図17】
図17は、例示的な実施形態によるポンプサブシステムの底面図である。
【
図18】
図18は、例示的な実施形態によるポンプサブシステムの底面図である。
【
図19】
図19は、例示的な実施形態によるポンプサブシステムの底面図である。
【
図20】
図20は、例示的な実施形態によるポンプサブシステムの底面図である。
【
図21】
図21は、例示的な実施形態によるポンプサブシステムの底面図である。
【
図22】
図22は、例示的な実施形態によるポンプサブシステムの部分側面図である。
【
図23】
図23は、別の例示的な実施形態によるポンプサブシステムの斜視図である。
【0029】
図面全体を通して、同様の参照番号は、同様の要素、特徴、および構造を指すと理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0030】
当業者によって理解されるように、本明細書に開示される実施形態によるポンプの実施例、改善、および配置を実施するための多数の方法がある。図面および以下の説明に示される例示的な実施形態を参照するが、本明細書に開示される実施形態は、開示される技術的解決策に包含される様々な代替設計および実施形態を網羅するものではなく、当業者は、様々な修正が行われ得、開示される技術的解決策の範囲から逸脱して様々な組み合わせが行われ得ることを容易に理解するであろう。
【0031】
患者または医療従事者を含み、これらに限定されない様々な人も、本開示の例示的な実施形態を操作または使用することができるが、簡潔さのために、以下では、操作者または使用者を、「使用者」と称することにする。
【0032】
本開示の例示的な実施形態では、様々な流体を採用することができるが、簡潔にするために、以下では、注入デバイス内の液体を、「流体」と称することにする。
【0033】
例示的な実施形態を
図1-21に示す。例示的な実施形態では、ポンプサブシステム130、200は、装着可能なインスリン注入パッチに使用するために提供されるが、上記のように、装着可能な注入パッチは、インスリン以外の医薬品などの他のタイプの流体を送達するために使用することができる。例えば、本開示の例示的な実施形態では、ポンプサブシステム130、200は、インスリンを保管するためのリザーバと、インスリンを皮下組織に送達するためのカニューレアセンブリとを含む、より大きな流体サブシステム100の一部である。ポンプサブシステム200は、リザーバから少量の投与量の液体を吸引し、次いでカニューレラインから患者へと押し流す。流体投与量は、リザーバ容積に対して少ないので、リザーバを完全に空にするには多くのポンプストロークが必要である。
【0034】
図1は、本開示の例示的な実施形態に係るパッチ型ポンプ100のアーキテクチャの図を示す。ポンプ100は、流体サブシステム120、電子サブシステム140、および、蓄電サブシステム160を含む。
【0035】
流体サブシステム120は、リザーバ124と流体連通している充填ポート122を含む。リザーバ124は、充填ポートを通じて、シリンジから流体を受け取るように適合される。
【0036】
流体サブシステム120は、リザーバ124に結合された追加的な容積センサ126をさらに含む。容積センサ126は、リザーバの流体容積を検出または決定するように適合されている。
【0037】
流体サブシステム120は、例示的なポンプサブシステム130をさらに含み、ポンプサブシステム130は、ポンプアクチュエータ134に機械的に結合された一体型ポンプおよびバルブシステム132を含む。ポンプサブシステムの例は、参照により本明細書に組み込まれる共通所有WO2015/157174に記載されている。一体型ポンプおよびバルブシステム132は、流体サブシステム120のリザーバ124と流体連通しており、ポンプアクチュエータ134によって作動される。
【0038】
流体サブシステム120は、カニューレ129に機械的に結合された配備アクチュエータ128を有するカニューレ機構をさらに含む。配備アクチュエータ128は、カニューレ129を使用者に挿入するように適合される。カニューレ129は、ポンプサブシステム130の一体型ポンプおよびバルブシステム132と流体連通している。
【0039】
流体サブシステム120は、カニューレ129と一体型ポンプとバルブシステム132との間の流体経路に結合された任意の閉塞センサ136をさらに含む。閉塞センサ136は、カニューレ129と一体型ポンプとバルブシステム132との間の経路における閉塞を検出または決定するように適合される。
【0040】
電子サブシステム140は、流体サブシステム120の容積センサ126に電気的に結合された追加的な容積検知用電子機器142、ポンプサブシステム130のポンプアクチュエータ134に電気的に結合されたポンプコントローラ144、流体サブシステム120の閉塞センサ136に電気的に結合された追加的な閉塞検知用電子機器146、および、流体サブシステムのカニューレ129に電気的に結合された(例えば、カニューレ配備アクチュエータ128がマニュアルでもよい)追加的な配備用電子機器148を含む。電子サブシステム140は、容積検知用電子機器142、ポンプコントローラ144、閉塞検知用電子機器146、および、配備用電子機器148に電気的に結合されたマイクロコントローラ149をさらに含む。
【0041】
蓄電サブシステム160は、バッテリー162または当技術分野で知られている他の任意の電力源を含む。バッテリー162は、パッチポンプ100の任意の要素または電子構成要素に電力を供給するように適合させることができる。
【0042】
例示的な実施形態によれば、統合されたポンプおよびバルブシステム132は、例示的なポンプサブシステム200として提供され、ポンピングおよびバルブ運動は、
図2-21に関連して以下で説明されるように、同じ駆動機構(例えば、駆動アクチュエータ134に接続された出力歯車246)と調整される。例えば、駆動機構の出力は、一実施形態では、アダプタまたは出力歯車246を通してポンプサブシステム200内のピストン208の回転を駆動する。アダプタまたは出力歯車246は、螺旋カムスロット256(例えば、シャトル254に設けられた)に乗ることによってバルブアセンブリ232を前後に駆動するピン250を有する。カムスロット256の形状は、バルブアセンブリ232に固定されたバルブシャフト234、240の位置の機械的移動(例えば、タイミング)を決定する。バルブシャフト234、240は、エラストマーシールおよび2つの通路238、244を備えている。2つの通路238、244は、ピストンポンプチャンバ214に接続された単一の開口部224を有するシャフト234、240の一方の側面で重なり合うように設計される。2つの通路238、244は、シャフト234、240の反対側で、2つのポートの対応する一つと制御可能に整列するように設計される。2つのポート228、230のうちの1つは、リザーバに接続され、2つのポートのうちの他の1つは、患者側に接続される。したがって、バルブシャフトは前後に移動することができ、流体チャンバ214をリザーバまたは患者側のいずれかに接続する。出力歯車246がバルブシャフト234、240を駆動すると、出力歯車246はまた、ピストン208の嵌合機構と係合する。カムトラックまたはスロット218は、バルブアセンブリシャトル254のスロット256と同様の機能で、ポンプハウジング202内に設けられ、ピストンが出力歯車246によって回転されているときにピストン208を前後に駆動するために使用される。ピストン208は、出力歯車246との完全な係合を確実にするのに十分な長さの嵌合特徴を有する。既存の歯車ボックスへの変更を回避するために、バルブアセンブリ232および/またはピストン208と係合する中間アダプタを有することも可能である。したがって、ピストン208の移動は、例示的な実施形態に従って、バルブアセンブリのバルブシャフト(複数可)234、240の移動と調整される。
【0043】
ここで
図2、3、4、5、6、および7を参照すると、これらの図は、ピストンピン216およびカムスロット218を備えるインターロック機構を示すために想像線でポンプハウジング202を有するポンプサブシステム200の斜視図である。ポンプハウジング202は、一般に、ピストン208およびプラグ206を内部に受け入れるように寸法決定された内部を画定する円筒形状または管状形状を形成する外壁を有する管状部材として構成される。ポンプハウジングは、円柱以外の形状とすることができ、形状および外周と内径は、ポンプハウジングの長手方向軸に沿って変化することできることが理解されよう。
【0044】
プラグ206は、ハウジング202の近位端に設けられ、ピストン208は、ハウジング202の遠位端に設けられる。流体チャンバ214は、プラグ206の遠位端とピストン208の近位端との間に画定される。上述のように、ピストン208の遠位端は、出力歯車246に結合され、出力歯車246によって回転される。出力歯車246は、モータおよび/または歯車ボックスなどのポンプアクチュエータ134によって制御可能に回転される。歯車ボックスの例は、共通所有WO2015/157174に記載されている。以下でより詳細に説明するように、ハウジング202およびピストン208は、ピン216およびカムスロット218配置を備えるインターロック機構によって結合され、インターロック機構は、ピストン208をハウジング202の長手方向軸に沿って前後に、プラグ206に対して制御可能に移動させ、流体チャンバ214内の流体を(例えば、ポンプサイクル中の吸気ポンプ運動またはストローク中の流体吸入ポート228を介して)受け入れ、流体チャンバ214から流体を(例えば、ポンプサイクル中の排出ポンプ運動またはストローク中の流体排出ポート230を介して)排出するように構成される。したがって、流体チャンバ214の体積は、出力歯車246およびピン216およびカムスロット218を備えるインターロック機構によるピストン208の変位に応じて可変である。例えば、ピン216は、
図2-7に示されるように、ピストン208に設けられ、ポンプハウジング202に設けられた螺旋カムスロット218に従うことができる。例えば、ピストン208は、ピン216を受け入れるための開口部を備えることができ、ピン216は、圧入、接着、成形、もしくはさもなくば開口部に固定され、またはさもなくば開口部を必要とせずにピストン208に成形されることができる。代替的に、ピン216は、ハウジング202に設けられ、ピストン208の螺旋カムスロットに従うことができる。
【0045】
ピストン208およびプラグ206は、それぞれ、流体チャンバ214のそれぞれの端部にシール212および210を設けられる。ピストン208は、
図2、
図3および
図4に示すように、吸気ストローク中に流体チャンバ214を延ばし、
図5、
図6および
図7に示すように、排出ストローク中に流体チャンバ214を格納するために、歯車ボックスまたは他の駆動機構134によって移動される。ストローク中にピストンが移動する距離は、カムスロット218の曲線の程度および長さによって機械的に制御される。シール(例えば、Oリング)は、流体チャンバ214からのリザーバ流体の漏出を防止するように構成される。シール212および210はまた、(例えば、出力歯車246による回転中に)ポンプハウジング内のピストン208およびプラグ206を安定させ、シール212はまた、ピストン208のハウジング202の長手方向軸に沿った移動中にピストン208の位置を安定させ、中央に配置する。
【0046】
図2-7に示されるように、ポンプハウジング202は、ベースプレート226に取り付けられる。ベースプレート226は、パッチポンプ100内の流体経路(図示せず)を介してポンプハウジングからリザーバ124に流体接続するためにベースプレートを通って延在する流体吸入ポート228と共に形成される。ベースプレートはまた、パッチポンプ100内の流体経路(図示せず)を介してポンプハウジングからカニューレ129への流体接続のためにベースプレートを通って延在する流体排出ポート230と共に形成される。ベースプレート226内のこれらのポート228、230は、バルブアセンブリ232のOリングまたはシール236a、b、および242a、b、c(
図16-21に示される)の選択位置決め、およびポンプサブシステム200の長手方向軸に沿ったそれらのそれぞれのバルブシャフト234、240との移動、バルブシャフト234、240内の通路238、244を移動させるために出力歯車ピン250を含む第2のインターロック機構内のカムスロット256のサイジング、およびポンプサイクル内の現在のポイントに応じて、必要な距離をポンプハウジング202内の対応するポート228、230、および開口部224ならびに流体チャンバ214のそれぞれと整列させることによって、流体チャンバ214に制御可能に露出される。バルブアセンブリはまた、バルブシャフト234、240を押しながらバルブアセンブリ232の任意の潜在的な傾斜を後方にカウンターバランスさせるために、ポンプハウジング202とその上部に向かって摺動可能に係合する1つ以上のシャフトを備えることができる。例えば、
図23に示される例示的な実施形態では、ハウジング202は、バルブアセンブリ232に設けられたバルブシャフト266、268のそれぞれを摺動可能に受け入れる穿孔264aおよび264bをさらに備えることができる。
【0047】
ベースプレート226およびハウジング202は、一体型ユニットであることができ、または別個の成形されたハウジング202がベースプレート226に取り付けられる。ハウジング202は、プラグ206およびピストン208を受け入れ、流体チャンバ214を支持し、開口部224を有する内部を画定する穿孔204(
図8に示される)を有する。ハウジング202はまた、バルブアセンブリ232に設けられたバルブシャフト234、240のそれぞれを摺動可能に受け入れる穿孔222aおよび222b(
図8に示される)を有することができる。
【0048】
吐出ストロークおよび吸入ストロークを備える完全なポンプサイクル中のポンプサブシステム200の動作は、例示的な実施形態に従って、
図8-
図21を参照して本明細書で説明される。
図8、9、10、11、12、13、14、および15は、例示的な実施形態によるポンプサブシステム200の斜視図であり、ポンプサイクル中の異なる時点でのバルブアセンブリ232の構成要素を想像線で示す。
図16、17、18、19、20、および21は、例示的な実施形態による、ポンプサイクル中の異なる時点におけるポンプサブシステム200の底面図である。
【0049】
図8および16に示されるように、バルブシャフト234、240は格納され、ハウジング202内の開口部224は、バルブシャフト240の通路244と整列され、これは、ベースプレート226内の流体排出ポート230と整列される。
図9に示されるように、バルブシャフト234,240は移動していないが、ピストン208はプラグ206に向かって移動し、流体チャンバ214の長さを後退および短縮し、通路244および流体排出ポート30を介して流体をチャンバから患者に向かって押し出す。
【0050】
図10、17および18に示されるように、排出ストロークの終わりに、ピストン208は回転するが、カムスロット218の特徴のために移動しないが、バルブアセンブリは、出力歯車シャフト248に対して移動し始め、ハウジング202の穿孔222aおよび222bからバルブシャフト234,240を延在する。シール242bは流体排出ポート230を覆うが、流体吸入ポート228はもはやバルブシャフトシール236aによって覆われておらず、それによって流体吸入ポート228をハウジングおよび通路238内の開口部224に露出させ、ピストン208が延伸されるときに流体源(例えば、リザーバ)からの流体が流体チャンバ214に入ることを可能にする。
【0051】
図11、12および19に示されるように、出力歯車ピン250およびシャトルグルーブを備える第2のインターロック機構は、ピストン208がプラグ206から離れて移動されて流体チャンバ214を延伸する間、ハウジング202および出力歯車シャフト248の長手方向軸に対してバルブシャフト234、240およびシャトル254を静止させたまま維持するように構成される。このピストン208の移動は、流体を流体チャンバ214に引き込む。
【0052】
図13、14、20および21に示されるように、吸引ストロークの終わりに、ピストン208は回転するが、カムスロット218の特徴のために移動しないが、バルブアセンブリは出力歯車シャフト248に対して移動を開始し、バルブシャフト234、240をハウジング202の穿孔222aおよび222bに引き戻す。シール236aは、流体吸入ポート228を覆うが、流体排出ポート230はもはやバルブシャフトシール242bによって覆われておらず、それによって、流体排出ポート230をハウジングおよび通路244内の開口部224に露出させ、ピストン208がプラグ206に向かって移動されるときに、流体チャンバ214からの流体が流体排出ポート230を介して患者に向かって排出されることを可能にする。
図15は、バルブシャフトが格納されたままである間、別の排出ストロークのためにプラグ206に向かって移動するピストン208を示す。
【0053】
図2-21に例示される例示的なポンプサブシステム200の構成は、ポンプが、各ストロークの終わりに逆運動で駆動されるか、または逆配置を必要とせずに出力歯車を同じ方向に運転させることを可能にする。代替の例示的な実施形態では、リニアアクチュエータでポンプサブシステム200を駆動し、依然としてバルブアセンブリ232を使用してポンプチャンバ214をポート228、230に選択的に露出させるように適切に配向されるカム/スロットアクションに依存することも可能である。同様に、バルブ通路238、244および第2のインターロック機構248、256は、単一のバルブシャフトを利用するように構成されることができる。また、バルブシャフト(複数可)は、組み立ておよび取り付けられた剛性を補助するためにサブ構成要素に分割することができる。
【0054】
例示的なポンプサブシステム200の構成は、既存のポンプシステムよりもいくつかの改善を実現する。例えば、ポンプサブシステム200は、薬物ペイロードとネガティブに相互作用することがある任意のエラストマーとの流体の大きな表面接触を排除し、特定のインスリン不安定化を引き起こし得るポンプ構成要素を排除する。ポンプサブシステム200は、ポンピングおよびバルブ運動の機械的に調整した動きを採用し、これは、部品数を低減したポンプ設計を簡素化し、インターロックまたは運動範囲を検出するための他の手段の必要性を排除する。加えて、ポンプサブシステム200は、ポンプサブシステム200をパッチポンプ100の残りの部分に接続するためのシールの必要性を排除する。ポンプサブシステム200は、多くの従来の流体送達デバイスよりも小さいポンプ体積を有し、ポンプアクチュエータ134による単一方向の回転の場合に簡略化された電子機器を採用することができる。
【0055】
ポンプサブシステム200は、そのポンプの高さが(例えば、ポンプハウジングとは別に、リザーバおよび患者ポートに流体をそれぞれ導くためにバルブを有するマニホールドを使用するWO2015/157174に記載の計量サブシステムと比較して)著しく低減され、他の構成要素のためのより多くの空間を可能にするため、有利である。さらに、ポンプサブシステム200は、マニホールドシールおよびスリーブインターフェースの必要性を排除し、したがって、速効性で安定性の低いインスリンに対するインスリン分解の可能性を最小限にし、ポンプサブシステム200が多くの種類のインスリンとの使用に適することを可能にする。
【0056】
ポンプサブシステム200は、十分に小さい投与量を送達することができ、それによって、他の薬物療法のための溶液と同様に、1型糖尿病ポンプとしての使用を可能にするため有利である。ポンプサブシステム200はまた、センサが出力歯車またはピストンカムスロット内のドライバに位置する場合、分割投与量を送達する能力を有する。
【0057】
別の利点によれば、減少した流体チャンバ214体積は、ポンピング頻度を増加させることによってインスリン分解を低減することができる。例示的な実施形態によれば、サイズ縮小は、高い製品能力をもたらす制御された範囲内で寸法比の許容差を維持しようとするために、投与量体積の直径の二乗の電力効果を利用することによって、上記の共通所有のWO2015/157174に記載されるポンプサブシステム130またはポンプサブシステム200において実施されることができる。そのようなサイズの削減は、投与量体積の削減の主な利点と、より頻繁にポンプする能力を達成するが、パッチポンプ100の全体的な嵌合および組み立て構成要素ならびにソフトウェアアーキテクチャを変更する必要はない。
【0058】
例えば、許容積み重ねを損なうことなく投与量体積を減少させ、したがって(例えば、体積送達が減少する要素によって)より頻繁なポンピングを可能にするための慎重なサイズのポンプチャンバおよびピストンが、インスリン安定性を向上させることが観察されている。一例の実施態様では、(例えば、共通に所有されるWO2015/157174に記載されるように)パッチポンプサブシステム130は、ピストン移動を37%、スリーブ直径を27%減少させるように設計され(例えば、直径は2乗であり、したがって、ポンプ体積の減少により大きな影響を与える)、全投与量体積は1.50マイクロリットルであり、投与量の全体的な減少は29%である。各寸法の許容誤差は、非常に能力的であり、この変化に伴い、寸法に対する許容誤差の比率(例えば、成形上の制限により変更なしと仮定)は、依然として有利であり、動作する設計を可能にする。投与量体積の減少のため、この修正されたポンプサブシステム130は、インスリン送達を超える他の治療にも使用することができる。3.4(1/29%)の投与量体積減少は、ポンプサブシステム130の非修正バージョンよりも3.4倍頻繁にポンピングすることを可能にし、試験は、これがより速効性で安定性の低いインスリンにとって好ましい条件であることを示している。
【0059】
この例示的な実施形態は、いくつかの利点を実現する。例えば、より低い投与量体積は、より広範囲の療法、患者の療法に対するより多くの制御、およびより高いポンプ頻度を可能にする。より高いポンピング頻度は、速効性で安定性の低いインスリンに有益であることが観察される。加えて、より小さな構成要素は、ポンプサブシステム130、200内の嵌合部品および関連する組み立て装置への最小限の変更で、既存のポンプハウジングにパッケージングすることができる。
【0060】
別の例示された実施形態によれば、適合可能なポンプチャンバ214体積は、ポンプチャンバ内のワッシャ(複数可)またはシムディスク(複数可)を使用して、送達体積を低減し、ポンプサブシステム130または200内の成形部品を完全に変更する必要なく、より頻繁なポンピングまたはより小さな個々の投与量を可能にすることによって達成される。これは、組立中にポンプチャンバ214に適切なサイズのディスク(複数可)260(例えば、選択された厚さで)を追加することによって達成される。
図22に例示されるような単一のディスク260または複数のディスクを使用することができる。ポンプサブシステム130、200が格納されると、ポンプチャンバ214は、ディスクによって取り込まれないその体積量に等しい体積で満たされる(すなわち、各ディスク260は、その体積を無地の開放ポンプチャンバから取り除く)。ピストンが前方に移動すると、ディスクによって前進送達走行が制限され、その後、バルブが作動して動作が逆転する。したがって、ポンプサイクルは正常に完了する。ピストン208の近位端は、ディスク260を受け入れるのに十分にシール212を越えて延在するように構成されることができる。代替の実施形態では、より良い位置制御のために、ディスク260はワッシャであることができ、ピストン208’はワッシャ260を支持するためにボス262を有するように修正された成形部品であることができる。等間隔の凹部264は、適切に修正されたプラグ206’部分に設けることができる。この技術的な解決策は、個々の投与量の送達を低下させることにより、より頻繁なポンピングを可能にすることにより、速効性の高い安定性の低いインスリンとの互換性を向上させるというニーズに対処する。代替的に、安定したインスリンのために、この技術的な解決を使用して、より小さな体積を送達して、より良い治療制御を達成することができる。例えば、この技術的な解決は、より小さな投与量を必要とし、ポンプ材料および機構と互換性のある他の薬物をポンプするためにも使用することができる。
【0061】
この例示的な実施形態は、いくつかの利点を実現する。例えば、ポンプチャンバへのディスクまたはシムの追加のこの単純な修正は、成形部品を変更することなく、速効性の低い安定性のインスリンとの従来のポンプサブシステム設計の互換性を可能にすることができる。代わりに、必要なのは、1つの構成要素の追加と、組み立てラインのわずかな調整だけである。次いで、ポンプは、より頻繁にポンプするように構成され、それによって潜在的なインスリン分解の可能性を低減すると同時に、より小さな投与量の安定したインスリンまたは他の薬物がポンプされることを可能にする。
【0062】
本開示が、以下で説明にされるか、または図面に図示される、構造の詳細、および構成要素の配置に、その適用が限定されないことが当業者によって理解されよう。本明細書の実施形態は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実行または実施することができる。また、本明細書にて使用される表現、および用語は、説明を目的とするものであり、限定するものとみなすべきではないことが理解されよう。本明細書における「含む」、「備える」、または「有する」、およびそれらの変形例の使用は、その後に列挙される項目およびその等価物に加えて。追加のアイテムを包含することを意味する。特に限定されない限り、本明細書における「接続された」、「結合された」、および「据え付けられた」という用語、およびそれらの変形例は、広範囲に用いられ、直接的および間接的な接続、結合、および取り付けを包含する。さらに、「接続された」および「結合された」という用語、およびそれらの変形例は、物理的または機械的な、接続または結合に限定されない。さらに、上、下、底面、および上面などの用語は、相対的であって、図解を補助するために使用されるものではあるが、限定するものではない。
【0063】
図示された実施形態に従って採用された図示の装置、システム、および方法の構成要素は、少なくとも部分的には、デジタル電子回路、アナログ電子回路、またはコンピュータのハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、もしくはそれらの組み合わせで実装することができる。これらの構成要素は、例えば、プログラム可能なプロセッサ、コンピュータ、もしくは複数のコンピュータのようなデータ処理装置による実行用の、またはそれらの動作を制御するための情報媒体もしくは機械可読記憶デバイスに明確に具現化されたコンピュータプログラム、プログラムコード、またはコンピュータ命令などのコンピュータプログラム製品として実装することができる。
【0064】
コンピュータプログラムは、コンパイル型言語もしくはインタプリタ型言語を含んだ任意の形式のプログラミング言語で作成されてよく、コンピュータプログラムは、スタンドアロンプログラムまたはモジュール、構成要素、サブルーチン、もしくはコンピューティング環境での使用に適した他のユニットとしてを含んだ任意の形式で配備されてよい。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータもしくは1つのサイトの複数のコンピュータで実行されるようにデプロイすること、または、複数のサイトに分散して配置し、通信ネットワークで相互接続することができる。また、例示的な実施形態を達成するための機能プログラム、コード、およびコードセグメントは、例示された実施形態が属する技術分野の当業者であるプログラマーによって、例示的な実施形態により例示された特許請求の範囲内であると容易に解釈することができる。本発明の例示的な実施形態に関連する方法ステップは、(例えば、入力データの操作、および/または出力を生成することにより)機能を実行するためのコンピュータプログラム、コード、または命令を実行する1つもしくは複数のプログラム可能なプロセッサによって実行できる。たとえば、方法ステップは、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)などの特別な目的の論理回路によって実行することもでき、例示した実施形態の装置は、そのように実装することができる。
【0065】
本明細書に開示される実施形態に関連して説明される様々な例示的な論理ブロック、モジュール、および回路は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ASIC、FPGA、または他のプログラム可能な論理デバイス、個別ゲート、または、トランジスタロジック、個別ハードウェアコンポーネント、または、本書で説明する機能を実行するように設計されたそれらの任意の組み合わせにより、実装または実行され得る。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであり得るが、代替として、プロセッサは、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、または状態機械であり得る。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組み合わせ、例えば、DSPとマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと組み合わせた1つ以上のマイクロプロセッサ、または他のそのような構成として実装されてもよい。
【0066】
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサは、例として、汎用および専用の両方のマイクロプロセッサ、および任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つまたは複数のプロセッサを含む。一般に、プロセッサは、読み取り専用メモリおよび/またはランダムアクセスメモリから命令とデータを受け取る。コンピュータの重要な要素は、命令を実行するためのプロセッサと、命令とデータを格納するための1つ以上のメモリデバイスである。一般に、コンピュータはまた、例えば、磁気、光磁気ディスク、または、光ディスクなど、データを格納するための1つまたは複数の大容量記憶装置を含むか、または、それらからデータを転送するように動作可能に結合される。コンピュータプログラム命令およびデータを具現化するのに適した情報媒体には、例として、電気的にプログラム可能な読み取り専用メモリまたはROM(EPROM)、電気的に消去可能なプログラム可能なROM(EEPROM)、フラッシュメモリデバイスなどの半導体メモリデバイス、および、データストレージディスク(磁気ディスク、内蔵ハードディスク、またはリムーバブルディスク、光磁気ディスク、CDーROM、および、DVD-ROMディスク等)を含む、あらゆる形式の不揮発性メモリが含まれる。プロセッサとメモリは、特別な目的のロジック回路によって補完または組み込むことができる。
【0067】
当業者は、情報および信号が、様々な異なる技術および技法のいずれかを使用して表され得ることを理解するであろう。例えば、上記の説明全体で参照される可能性があるデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、およびチップは、電圧、電流、電磁波、磁場もしくは磁気粒子、光学場もしくは光粒子、またはそれらの任意の組み合わせによって表し得る。
【0068】
本明細書に開示される実施形態に関連して説明される様々な例示的な論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、または、両方の組み合わせとして実装され得ることを当業者はさらに理解する。ハードウェアとソフトウェアのこの互換性を明確に示すために、さまざまな実例となるコンポーネント、ブロック、モジュール、回路、および、ステップを、それらの機能の観点から一般的に上記で説明した。このような機能がハードウェアとして実装されるかソフトウェアとして実装されるかは、特定の用途とシステム全体に課される設計の制約に依存する。当業者は、特定の用途ごとに様々な方法で説明した機能を実装することができるが、そのような実装の決定は、例示された実施形態によって例示される請求項の範囲からの逸脱を引き起こすと解釈されるべきではない。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、ROM、EPROM、EEPROM、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CDーROM、または、この技術分野で知られている任意の他の形式の記憶媒体に常駐し得る。例示的な記憶媒体は、プロセッサが記憶媒体から情報を読み取り、記憶媒体に情報を書き込むことができるようにプロセッサに結合される。代替として、記憶媒体は、プロセッサに統合されてもよい。言い換えれば、プロセッサおよび記憶媒体は、集積回路内に常駐するか、または別個のコンポーネントとして実装され得る。
【0069】
コンピュータ可読非一時的媒体は、磁気記憶媒体、光学記憶媒体、フラッシュ媒体、および固体記憶媒体を含む、あらゆるタイプのコンピュータ可読媒体を含む。ソフトウェアは、中央処理装置(CPU)デバイスにインストールして販売できることを理解されたい。または、ソフトウェアを取得してCPUデバイスにロードすることもでき、これには、例えば、ソフトウェア作成者が所有するサーバーから、またはソフトウェア作成者が所有していないが使用するサーバーからなど、物理メディアまたは配布システムを通じてソフトウェアを取得することが含まれる。ソフトウェアは、例えばインターネットを介して配布するためにサーバーに保存することができる。
【0070】
上記の説明および図は、例としてのみ意図されており、以下の特許請求の範囲に記載されている場合を除いて、決して本発明を限定することは意図されていない。当業者は、上で説明した様々な例示的な実施形態の様々な要素の様々な技術的態様を、他の多くの方法で容易に組み合わせることができ、それらはすべて本発明の範囲内であると見なされることに特に留意されたい。