(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】電極組立体、電池セル、電池及び電力消費装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0587 20100101AFI20241108BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20241108BHJP
H01M 4/70 20060101ALI20241108BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20241108BHJP
【FI】
H01M10/0587
H01M10/052
H01M4/70 A
H01M4/13
(21)【出願番号】P 2022554387
(86)(22)【出願日】2021-08-05
(86)【国際出願番号】 CN2021110976
(87)【国際公開番号】W WO2022088824
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2022-09-08
(31)【優先権主張番号】202022421832.4
(32)【優先日】2020-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】524304976
【氏名又は名称】香港時代新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CONTEMPORARY AMPEREX TECHNOLOGY (HONG KONG) LIMITED
【住所又は居所原語表記】LEVEL 19, CHINA BUILDING, 29 QUEEN’S ROAD CENTRAL, CENTRAL, CENTRAL AND WESTERN DISTRICT, HONG KONG, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】林 明峰
(72)【発明者】
【氏名】史 松君
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲海▼明
(72)【発明者】
【氏名】▲喩▼ ▲鴻▼▲鋼▼
(72)【発明者】
【氏名】来 佑磊
【審査官】小森 利永子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-020821(JP,A)
【文献】中国実用新案第208127332(CN,U)
【文献】国際公開第2019/017257(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/026492(WO,A1)
【文献】特開2013-073763(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/052-10/587
H01M 4/13
H01M 4/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極集電体及び前記正極集電体の二つの表面に設置された正極活物質層を含む正極シートと、負極集電体及び前記負極集電体の二つの表面に設置された負極活物質層を含む負極シートとを備え、
前記正極シート及び前記負極シートは、巻回された後に折り曲げ領域を形成し、前記正極シートは前記折り曲げ領域に位置する第1の正極折り曲げ層を備え、前記負極シートは前記折り曲げ領域に位置する第1の負極折り曲げ層を備え、前記第1の正極折り曲げ層は前記第1の負極折り曲げ層の外側に位置し、かつ前記第1の負極折り曲げ層に隣接して設置されており、
前記第1の負極折り曲げ層は、前記負極集電体を貫通する開口を有し、前記開口は、前記第1の正極折り曲げ層の前記正極活物質層から脱離された一部のイオンが前記開口を通過しかつ前記第1の負極折り曲げ層の前記負極集電体の内側に設置された前記負極活物質層に挿入されるように設置されており、
前記開口は、前記負極集電体及び前記負極集電体の内側の前記負極活物質層を貫通し、
又は、
前記開口は、前記負極集電体及び前記負極集電体の外側の前記負極活物質層を貫通し、
又は、
前記開口は、前記負極集電体、前記負極集電体の外側の前記負極活物質層及び前記負極集電体の内側の前記負極活物質層を貫通し、
前記負極シートは、前記折り曲げ領域に位置する複数の負極折り曲げ層を備え、前記折
り曲げ領域における最内側の一つの前記負極折り曲げ層のみは、前記第1の負極折り曲げ層である、電極組立体。
【請求項2】
前記開口は、一つであり、又は、
前記開口は、非連続的な複数であり、複数の前記開口は前記折り曲げ領域の折り曲げ方向に沿って間隔を置いて分布されてい
る請求項
1に記載の電極組立体。
【請求項3】
前記折り曲げ方向に垂直な方向において、前記第1の負極折り曲げ層の寸法に対する前記開口の寸法の比が0.05~1.00である、請求項
2に記載の電極組立体。
【請求項4】
前記電極組立体は、平坦領域を有し、前記折り曲げ領域は、二つであり、かつそれぞれ前記平坦領域の両端に接続されており、二つの前記折り曲げ領域は、いずれも前記第1の負極折り曲げ層を備える、請求項1乃至
3のいずれか一項に記載の電極組立体。
【請求項5】
ケースと、カバープレートと、少なくとも一つの請求項1乃至
4のいずれか一項に記載の電極組立体とを含み、
前記ケースは、収容キャビティ及び開口を有し、前記電極組立体は、前記収容キャビティ内に収容されており、
前記カバープレートは、前記ケースの開口を閉鎖する、電池セル。
【請求項6】
筐体と少なくとも一つの請求項
5に記載の電池セルとを含み、且つ、前記電池セルが前記筐体内に収容されている、電池。
【請求項7】
電気エネルギーを供給するための請求項
6に記載の電池を備える電力消費装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年10月27日に提出された「電極組立体、電池セル、電池及び電力消費装置」という名称の中国特許出願202022421832.4の優先権を主張し、該出願の全ての内容は引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、電池の分野に関し、特に電極組立体、電池セル、電池及び電力消費装置に関する。
【背景技術】
【0003】
再充電可能な電池は、二次電池と呼ばれてもよく、電池が放電した後に充電で活物質を活性化させて使用し続けることができる電池である。再充電可能な電池は、電子機器、例えば携帯電話、ノートパソコン、電動スクーター、電気自動車、電動飛行機、電動船舶、電動玩具自動車、電動玩具船舶、電動玩具飛行機及び電動ツール等に広く用いられている。
【0004】
再充電可能な電池は、カドミウムニッケル電池、水素ニッケル電池、リチウムイオン電池及び亜鉛マンガンアルカリ二次電池等を含むことができる。
【0005】
現在、自動車に多く使用される電池は通常リチウムイオン電池である。リチウムイオン電池は、再充電可能な電池として、体積が小さく、エネルギー密度が高く、電力密度が高く、サイクル使用回数が多くかつ記憶時間が長い等の利点を有する。
【0006】
再充電可能な電池は電極組立体及び電解質溶液を含む。電極組立体は、正極シート、負極シート及び正極シートと負極シートとの間に位置するセパレータを含む。正極シートは、アノードシートと呼ばれてもよく、正極シートの二つの表面にいずれも正極活物質層を備える。例えば、正極活物質層の正極活物質は、マンガン酸リチウム、コバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム又はニッケルコバルトマンガン酸リチウムであってもよい。負極シートは、カソードシートと呼ばれてもよく、負極シートの二つの表面にいずれも負極活物質層を備える。例えば、負極活物質層の負極活物質は、黒鉛又はケイ素であってもよい。
【0007】
リチウム析出は、リチウムイオン電池のよく見られる異常現象であり、リチウムイオンの充電効率及びエネルギー密度に影響を与える。リチウム析出が深刻である場合にリチウム結晶を形成することができ、リチウム結晶は、セパレータを突き通すことにより内部短絡して熱暴走を引き起こし、電池の安全を深刻に損なうことができる。
【0008】
したがって、どのようにリチウム析出を低減又は回避し、電池の安全を向上させるかは、業界の一つの課題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本願は、リチウム析出のリスクを低減し、安全性能を向上させることができる電極組立体、電池セル、電池及び電力消費装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願の第1の態様は、正極集電体及び正極集電体の二つの表面に設置された正極活物質層を含む正極シートと、負極集電体及び負極集電体の二つの表面に設置された負極活物質層を含む負極シートとを備える電極組立体を提供する。正極シート及び負極シートは、巻回された後に折り曲げ領域を形成し、正極シートは折り曲げ領域に位置する第1の正極折り曲げ層を備え、負極シートは折り曲げ領域に位置する第1の負極折り曲げ層を備え、第1の正極折り曲げ層は第1の負極折り曲げ層の外側に位置し、かつ第1の負極折り曲げ層に隣接して設置されている。第1の負極折り曲げ層は、負極集電体を貫通する開口を有し、開口は、第1の正極折り曲げ層の正極活物質層から脱離された一部のイオンが開口を通過しかつ第1の負極折り曲げ層の負極集電体の内側に設置された負極活物質層に挿入されるように設置されている、。
【0011】
第1の負極折り曲げ層の負極集電体の内側の負極活物質層は第1の正極折り曲げ層の正極活物質層に対しリチウム挿入空間を提供することができ、第1の負極折り曲げ層の負極集電体の外側の負極活物質層におけるリチウム析出のリスクを低減し、電極組立体の安全性能及び耐用年数を向上させることができる。
【0012】
いくつかの実施例において、開口は負極集電体及び負極集電体の内側の負極活物質層を貫通する。他のいくつかの実施例において、開口は負極集電体及び負極集電体の外側の負極活物質層を貫通する。さらに他のいくつかの実施例において、開口は、負極集電体、負極集電体の外側の負極活物質層及び負極集電体の内側の負極活物質層を貫通する。
【0013】
いくつかの実施例において、第1の負極折り曲げ層の負極活物質層は、第1の部分、第2の部分及び第3の部分を備え、第1の部分は、負極集電体の内側に設置され、第2の部分は、負極集電体の外側に設置され、第3の部分は、開口内に設置されかつ第1の部分と第2の部分とに接続されている。開口内に設置された第3の部分もリチウムイオンに対しリチウム挿入空間を提供することができ、それによりリチウム析出のリスクを低減することができる。
【0014】
いくつかの実施例において、負極シートは、折り曲げ領域に位置する複数の負極折り曲げ層を備え、折り曲げ領域における最内側の一つの負極折り曲げ層は、第1の負極折り曲げ層である。折り曲げ領域における最内側の一つの負極折り曲げ層は、リチウム析出のリスクが最も高いため、このように設置されるとリチウム析出のリスクを効果的に低減することができる。
【0015】
いくつかの実施例において、折り曲げ領域における最内側の一つの負極折り曲げ層のみは、第1の負極折り曲げ層である。このようにして開口の数量を減少させ、負極シートの製造プロセスを簡略化することができる。
【0016】
いくつかの実施例において、折り曲げ領域における全ての負極折り曲げ層は、いずれも第1の負極折り曲げ層である。
【0017】
いくつかの実施例において、開口は一つである。他のいくつかの実施例において、開口は非連続的な複数であり、複数の開口は折り曲げ領域の折り曲げ方向に沿って間隔を置いて分布されている。さらに他のいくつかの実施例において、複数の開口は、折り曲げ方向に垂直な方向に沿って間隔を置いて分布されている。複数の開口は、イオンチャネルをより均一に分布させ、イオンが負極集電体を通過する効率を向上させることができる。
【0018】
いくつかの実施例において、折り曲げ方向に垂直な方向において、第1の負極折り曲げ層の寸法に対する開口の寸法の比が0.05~1.00である。
【0019】
いくつかの実施例において、電極組立体は、平坦領域を有し、折り曲げ領域は、二つであり、かつそれぞれ平坦領域の両端に接続されており、二つの折り曲げ領域は、いずれも第1の負極折り曲げ層を備える。
【0020】
本願の第2の態様は、ケースと、カバープレートと、少なくとも一つの上記実施例の電極組立体を含む電池セルを提供する。ケースは、収容キャビティ及び開口を有し、電極組立体は、収容キャビティ内に収容されている。カバープレートは、ケースの開口を閉鎖する。
【0021】
本願の第3の態様は、筐体と、少なくとも一つの上記実施例の電池セルとを含み、且つ、電池セルが筐体内に収容されている電池を提供する。
【0022】
本願の第4の態様は、上記実施例の電池から供給された電気エネルギーを受け取るように設置される電力消費装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
以下に図面を参照して本願の例示的な実施例の特徴、利点及び技術的効果を説明する。
【0024】
【
図1】本願の一つの実施例に係る電力消費装置の構造概略図である。
【
図2】本願の一つの実施例に係る電池の構造概略図である。
【
図3】本願の一つの実施例に係る電池モジュールの概略図である。
【
図4】本願の一つの実施例に係る電池セルの構造概略図である。
【
図5】本願の一つの実施例に係る電極組立体の立体構造概略図である。
【
図6】
図5の電極組立体の巻回軸線に垂直な方向に沿った断面の構造概略図である。
【
図7】
図6の電極組立体の折り曲げ領域の構造概略図である。
【
図8】
図7の折り曲げ領域の円枠部分Aでの拡大概略図である。
【
図9】本願の一つの実施例に係る電極組立体の負極シートが平坦化された後の構造概略図である。
【
図10】本願の一つの実施例に係る電極組立体の正極シートが平坦化された後の構造概略図である。
【
図11】本願の他の実施例に係る電極組立体の負極シートが平坦化された後の構造概略図である。
【
図12】本願の他の実施例に係る電極組立体の負極シートが平坦化された後の構造概略図である。
【
図13】本願の他の実施例に係る電極組立体の巻回軸線に垂直な方向に沿った断面の構造概略図である。
【
図14】
図13の電極組立体のブロック部分Bでの拡大概略図である。
【
図15】本願の他の実施例に係る電極組立体の巻回軸線に垂直な方向に沿った断面の構造概略図である。
【
図16】
図15の電極組立体のブロック部分Cでの拡大概略図である。
【
図17】本願の他の実施例に係る電極組立体の巻回軸線に垂直な方向に沿った断面の構造概略図である。
【
図18】
図17の電極組立体のブロック部分Dでの拡大概略図である。
【
図19】本願の他の実施例に係る電極組立体の巻回軸線に垂直な方向に沿った断面の構造概略図である。
【
図20】
図19の電極組立体のブロック部分Eでの拡大概略図である。図面において、図面は、実際の縮尺で描かれない。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本願の実施例の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、本願の実施例における図面を参照して、本願の実施例における技術案を明確で、完全に説明する。明らかに、説明された実施例は、単に本願の一部の実施例であり、全ての実施例ではない。本願における実施例に基づいて、当業者であれば、創造的労働をしない前提で得られた全ての他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0026】
他の定義がない限り、本明細書で使用された全ての技術及び科学用語は、本願の技術分野に属する技術者が通常に理解する意味と同じである。本明細書において、出願の明細書に使用された用語は単に具体的な実施例を説明することを目的とするものであり、本願を限定することを意図するものではない。本願の明細書及び特許請求の範囲及び前記図面の説明における「含む」及び「有する」との用語及びそれらの任意の変形は、非排他的な「包含」をカバーすることを意図する。
【0027】
本願に言及された「実施例」は、実施例を参照して説明された特定の特徴、構造又は特性が本願の少なくとも1つの実施例に含まれることを意味する。本明細書の様々な箇所で当該文章が現れたことは、必ずしもいずれも同じ実施例を指すわけではなく、他の実施例と排他的な、独立した又は代替的な実施例でもない。当業者は、本願に説明された実施例が他の実施例に結合されることを明示的又は暗黙的に理解している。
【0028】
本願における「及び/又は」という用語は、関連するオブジェクトの関連関係を説明するためのものに過ぎず、3種類の関係が存在できることを示す。例えば、A及び/又はBは、Aが単独で存在する状況、AとBが同時に存在する状況、Bが単独で存在する状況の3つの状況を示すことができる。また、本願における文字「/」は一般的に、前後に関連するオブジェクトが「又は」の関係であることを示す。
【0029】
本願の説明において、理解すべきこととしては、用語「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」等で指示された方位又は位置関係は、図面に示した方位又は位置関係に基づいたものであり、単に、本願を容易に説明し、説明を簡略化するに過ぎず、指定された装置又は要素が必ず特定の方位を有し、特定の方位で構成され、操作しなければならないことを指示し又は暗示することでなく、したがって、本願に対する限定と理解することはできない。また、本願の明細書、特許請求の範囲又は上記図面における用語「第1」、「第2」等は異なるオブジェクトを区別するために用いられ、特定の順序を説明するためのものではなく、明示的又は暗示的に一つ又は複数の当該特徴を含むことができる。本願の説明において、他の説明がない限り、「複数」の意味は二つ又は二つ以上である。
【0030】
本願の説明において、説明すべきものとしては、明確な規定及び限定がない限り、用語「取付」、「連結」、「接続」は広義に理解されるべきである。例えば、固定接続であってもよく、取り外し可能に接続されてもよく、又は一体的に接続されてもよく、機械的接続であってもよく、電気的接続であってもよく、直接接続されてもよく、中間媒体を介して間接的に接続されてもよく、二つの素子内部の連通であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0031】
本願の実施例で説明された電池セル及び電池は、いずれも電力消費装置に適用され、電池セル及び電池は、電力消費装置に電気エネルギーを供給する。例えば、電力消費装置は、携帯電話、携帯型機器、ノートパソコン、電動スクーター、電気自動車、船舶、航空機、電動玩具及び電動ツール等であってもよい。例えば、航空機は、飛行機、ロケット、スペースシャトル及び宇宙船等を含む。電動玩具は、固定式又は移動式の電動玩具を含み、例えば、ゲーム機、電気自動車玩具、電動船舶玩具及び電動飛行機玩具等である。電動ツールは、金属切削電動ツール、研磨電動ツール、組立電動ツール及び鉄道用電動ツールを含み、例えば、電動ドリル、電動グラインダー、電動レンチ、電動ドライバ、電動ハンマ、衝撃電動ドリル、コンクリート振動器及び電気カンナ等がある。
【0032】
本願の実施例に記載の電池セル及び電池は、上記説明した電力消費装置に適用することに限定されるものではなく、電池を使用する全ての装置に適用することができるが、説明を簡潔にするために、下記実施例はいずれも電気自動車を例として説明する。
【0033】
例えば、
図1に示すように、本願の一つの実施例に係る電力消費装置の構造概略図である。電力消費装置は車両1であってもよい。車両1は、エンジン駆動車、天然ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよい。新エネルギー自動車は、純電気自動車、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンダー型自動車等であってもよい。車両1の内部に、電池2、コントローラ3及びモータ4が設置されてもよく、コントローラ3は、電池2がモータ4に電力を供給するように制御するために用いられる。例えば、車両1の底部、前部又は後部に電池2を設置することができる。電池2は、車両1の電力供給に用いられる。例えば、電池2は、車両1の操作電源として車両1の回路システムに用いられ、例えば、車両1の起動、ナビゲーション及び運転時の作業電力消費需要に用いられる。本願の他の実施例において、電池2は、車両1の操作電源とするだけでなく、車両1の駆動電源として燃料油又は天然ガスを代えて又は部分的に代えて車両1に駆動力を提供することができる。
【0034】
異なる使用電力需要を満たすために、電池は、複数の電池セルを含むことができる。ここで、複数の電池セルの間は直列接続、並列接続、又は直並列接続されてもよく、直並列接続とは直列接続及び並列接続の混合を指す。好ましくは、複数の電池セルを、まず直列接続、並列接続又は直並列接続して電池モジュールを構成し、次に複数の電池モジュールを直列接続、並列接続又は直並列接続して電池を構成する。即ち、複数の電池セルは、直接的に電池を構成してもよく、先に電池モジュールを構成して、さらに電池モジュールから電池を構成してもよい。
【0035】
本願の他の実施例において、
図2に示すように、本願の一つの実施例に係る電池の構造概略図である。電池2は、一つ又は複数の電池モジュール21を含む。例えば、電池2は複数の電池モジュール21を含む。複数の電池モジュール21は、直列接続、並列接続又は直並列接続されてもよく、直並列接続とは、直列接続及び並列接続の混合を指す。電池2は、筐体22(又はカバー体と呼ばれる)をさらに含み、筐体22の内部は中空構造であり、複数の電池モジュール21は筐体22内に収容されている。
図2に示すように、筐体22は二つの部分を有し、それぞれ第1の部分23と第2の部分24と呼ばれ、第1の部分23と第2の部分24とが互いに係合されている。第1の部分23及び第2の部分24の形状は、複数の電池モジュール21の組み合わせの形状に応じて決定することができ、第1の部分23及び第2の部分24はいずれも一つの開口を有することができる。例えば、第1の部分23と第2の部分24は、いずれも中空の直方体であってもよく、かつそれぞれ一つの面のみが開口面である。第1の部分23の開口と第2の部分24の開口とが対向して設置されており、かつ第1の部分23と第2の部分24とが互いに係合されて密閉キャビティを有する筐体22が形成される。複数の電池モジュール21は、互いに並列接続、直列接続又は直並列接続されて組み合わせられた後に、第1の部分23と第2の部分24とが係合された後に形成された筐体22内に設置される。
【0036】
選択的に、電池2はさらに他の構造を含むことができ、ここで重複して説明しない。例えば、当該電池2は、さらにバスバーを含むことができる。バスバーは、複数の電池セルの間の電気的接続(例えば、並列接続、直列接続又は直並列接続)を実現するために用いられる。具体的には、バスバーは、電池セルの電極端子を接続することにより電池セルの間の電気的接続を実現することができる。さらに、バスバーは、溶接により電池セルの電極端子に固定されている。複数の電池セルの電気エネルギーは、さらに導電機構により筐体22を通過して引き出されてもよい。選択的に、導電機構は、バスバーに属することもできる。
【0037】
異なる電力需要に応じて、電池モジュール21は一つ又は複数の電池セルを含むことができる。
図3に示すように、電池モジュール21は、複数の電池セル25を含む。複数の電池セル25は、直列接続、並列接続又は直並列接続で接続されて大きな容量又は電力を実現することができる。選択的に、電池モジュール21は、さらにバスバー26を含む。バスバー26は、複数の電池セル25の間の電気的接続(例えば、直列接続、並列接続又は直並列接続)を実現するために用いられる。例えば、電池セルは、リチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池を含むが、これに限定されない。電池セルは、円柱体、扁平体、四角形又は他の形状等を呈する。例えば、
図3に示すように、電池セルは、四角形構造である。
【0038】
図4に示すように、本願の一つの実施例に係る電池セルの構造概略図である。電池セルは、ハウジング101及びハウジング101内に収容された一つ又は複数の電極組立体100を備える。ハウジング101は、ケース102及びカバープレート103を備える。ケース102は、収容キャビティを有し、かつ開口を有する。即ち、当該平面は、ケース102の内外を連通するようにケース壁を有せず、それにより電極組立体100はケース102の収容キャビティ内に収容される。カバープレート103とケース102とはケース102の開口に結合されて中空キャビティを形成する。電極組立体100は、ハウジング101内に収容された後、ハウジング101内に電解液が充填されかつ密封される。
【0039】
ケース102は、一つ以上の電極組立体100が組み合わせた後の形状に応じて決定される。例えば、ケース102は、中空の直方体、中空の立方体又は中空の円柱体であってもよい。例えば、ケース102が中空の直方体又は立方体である場合、ケース102の一つの平面は開口面であり、即ち、当該平面はケース102の内外を連通するようにケース壁を有しない。ケース102が中空の円柱体である場合、ケース102の一つの円形側面は開口面であり、即ち、当該円形側面はケース102の内外を連通するようにケース壁を有しない。ケース102は、導電性金属材料又はプラスチックで製造されてもよい。選択的に、ケース102は、アルミニウム又はアルミニウム合金から製造される。
【0040】
図5は、本願の一つの実施例に係る電極組立体の立体構造概略図である。
図6は、
図5の電極組立体の巻回軸線に垂直な方向に沿った断面の構造概略図である。
図5及び
図6に示すとおり、本願の実施例に係る電極組立体100は、正極シート110、負極シート120及びセパレータ130を含む。ここで、正極シート110、負極シート120及びセパレータ130が積層された後に巻回軸線Kの周りに巻回されて巻回構造が形成される。セパレータ130は、負極シート120及び正極シート110を隔てるために用いられて負極シート120と正極シート110との短絡を防止する絶縁膜である。当該電極組立体100の巻回構造は扁平体の形状であり、電極組立体100の巻回軸線Kに垂直な方向に沿った断面の構造概略図は
図6に示すとおりである。
【0041】
図5及び
図6に示すとおり、当該電極組立体100は、折り曲げ領域140及び平坦領域150を有する。折り曲げ領域140は二つであり、かつそれぞれ平坦領域150の両端に接続されている。平坦領域150とは、当該巻回構造において平行構造を有する領域を指す。即ち、当該平坦領域150において、負極シート120、正極シート110及びセパレータ130は基本的に互いに平行である。即ち、電極組立体は、平坦領域150における各層の負極シート120、正極シート110及びセパレータ130の表面がいずれも平面である。折り曲げ領域140は、当該巻回構造において折り曲げ構造を有する領域を指す。即ち、当該折り曲げ領域140における負極シート120、正極シート110及びセパレータ130はいずれも折り曲げられている。即ち、電極組立体は、折り曲げ領域140における各層の負極シート120、正極シート110及びセパレータ130の表面がいずれも曲面である。当該折り曲げ領域140は折り曲げ方向Lを有し、当該折り曲げ方向Lは折り曲げ領域に沿って電極組立体の表面が平坦領域に指向する方向であると理解することができる。例えば、当該折り曲げ方向Lは、当該折り曲げ領域140において当該巻回構造の巻回方向に沿っている。
【0042】
図7は、
図6の電極組立体の折り曲げ領域の構造概略図である。
図7に示すとおり、いくつかの例において、正極シート110は正極集電体111と正極集電体111の二つの表面に設置された正極活物質層112とを含み、負極シート120は負極集電体121と負極集電体121の二つの表面に設置された負極活物質層122とを含む。正極活物質層112は正極活物質を含む。例えば、正極活物質は、マンガン酸リチウム、コバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム又はニッケルコバルトマンガン酸リチウムであってもよい。負極活物質層122は負極活物質を含む。負極活物質は黒鉛又はケイ素であってもよい。いくつかの例において、正極集電体111及び負極集電体121は金属箔材である。例えば、正極集電体111はアルミニウム箔であり、負極集電体121は銅箔である。
【0043】
セパレータ130は、貫通した細孔を大量に有し、電解質イオンが自由に通過することを確保することができ、リチウムイオンに対して高い透過性を有するため、セパレータ130は基本的にリチウムイオンの通過を阻止することができない。例えば、セパレータ130はセパレータ基層とセパレータ基層の表面に位置する機能層とを有する。セパレータ基層はポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン-プロピレン共重合体、ポリブチレンテレフタレート等の少なくとも一種であってもよく、機能層はセラミック酸化物と接着剤の混合物層であってもよい。
【0044】
正極シート110は、折り曲げ領域140に位置する正極折り曲げ層113を有し、負極シート120は折り曲げ領域140に位置する負極折り曲げ層123を有する。いくつかの例において、正極折り曲げ層113は複数であり、負極折り曲げ層123は複数であり、複数の正極折り曲げ層113と複数の負極折り曲げ層123とは交互に積層されている。セパレータ130は、隣接する正極折り曲げ層113と負極折り曲げ層123とを隔離する。
【0045】
リチウムイオン電池は、充電時、リチウムイオンが正極シートから脱離されかつ負極シートに挿入されるが、いくつかの異常事態が発生する可能性がある。例えば、負極シートのリチウム挿入空間が不足してリチウムイオンの負極シートへの挿入抵抗が過大であるか又は正極シートからのリチウムイオンの脱離が速すぎることにより、脱離されたリチウムイオンは負極シートの負極活物質層に等量に挿入されず、負極シートに挿入できないリチウムイオンは負極シートの表面において電子を得るしかないため、金色の金属リチウム単体を形成し、これは、リチウム析出現象である。リチウム析出は、リチウムイオン電池の性能を低下させるだけでなく、サイクル寿命も大幅に減少させ、さらにリチウムイオン電池の急速充電容量を制限する。それ以外に、リチウムイオン電池がリチウム析出を発生した時、析出したリチウム金属は非常に活性であり、低い温度で電解液と反応することができ、電池の自己発熱開始温度(Tonset)の低減及び自己発熱速度の増大を引き起こし、電池の安全を深刻に損なうことができる。また、リチウム析出が深刻である場合、脱離されたリチウムイオンは負極シートの表面にリチウム結晶を形成することができ、リチウム結晶がセパレータを突き刺しやすく、隣接する正極シートと負極シートとを短絡させるリスクがある。
【0046】
発明者は、研究開発過程において、電極組立体がその折り曲げ領域においてリチウム析出現象が頻繁に発生することを発見した。更なる研究により、発明者は、当該リチウム析出現象を引き起こす原因を発見した。その原因として、折り曲げ領域140において、正極折り曲げ層113の半径はその内側の負極折り曲げ層123の半径より大きいため、正極折り曲げ層113の正極集電体111の内表面における正極活物質層112の弧長は負極折り曲げ層123の負極集電体121の外表面における負極活物質層122の弧長よりも大きく、正極折り曲げ層113の正極集電体111の内表面における正極活物質層112から脱離されたリチウムイオンはその内側の負極折り曲げ層123の負極活物質層122に挿入する時に負極活物質層122へのリチウム挿入空間が不足するため、リチウムイオン電池は充電時にリチウム析出現象が発生しやすい。
【0047】
これに鑑みて、本願は、正極集電体111及び正極集電体111の二つの表面に設置された正極活物質層112を含む正極シート110と、負極集電体121及び負極集電体121の二つの表面に設置された負極活物質層122を含む負極シート120とを備える、電極組立体100を提供する。正極シート110及び負極シート120は、巻回された後に折り曲げ領域140を形成する。
【0048】
図8は、
図7の折り曲げ領域の円枠部分Aでの拡大概略図である。
図8に示すとおり、正極シート110は、折り曲げ領域140に位置する第1の正極折り曲げ層113aを備え、負極シート120は、折り曲げ領域140に位置する第1の負極折り曲げ層123aを備える。第1の正極折り曲げ層113aは、第1の負極折り曲げ層123aの外側に位置しかつ第1の負極折り曲げ層123aに隣接して設置されている。セパレータ130は、第1の正極折り曲げ層113aと第1の負極折り曲げ層123aとを隔離する。
【0049】
第1の負極折り曲げ層123aは、負極集電体121を貫通した開口H1を有する。開口H1は、第1の正極折り曲げ層113aの正極活物質層112から脱離された一部のイオンが開口H1を通過しかつ第1の負極折り曲げ層123aの負極集電体121の内側に設置された負極活物質層122に挿入されるように設置されている。開口H1は、第1の負極折り曲げ層123aの負極集電体121に開設されたイオンチャネルである。
【0050】
第1の負極折り曲げ層123aの負極集電体121の内側の負極活物質層122は、第1の正極折り曲げ層113aの正極活物質層112にリチウム挿入空間を提供することができ、第1の負極折り曲げ層123aの負極集電体121の外側の負極活物質層122がリチウム析出を発生するリスクを低減させ、電極組立体100の安全性能及び耐用年数を向上させることができる。
【0051】
また、第1の負極折り曲げ層123aの半径は、その内側の正極折り曲げ層の半径よりも大きいため、第1の正極折り曲げ層113aの正極活物質層112から脱離された一部のイオンが第1の負極折り曲げ層123aの負極集電体121の内側に設置された負極活物質層122に挿入されても、第1の負極折り曲げ層123aの負極集電体121の内側の負極活物質層122は依然として第1の負極折り曲げ層123aの内側の正極折り曲げ層の正極活物質層112から脱離されたイオンにリチウム挿入空間を提供することができ、第1の負極折り曲げ層123aの負極集電体121の内側の負極活物質層122がリチウム析出を発生するリスクを回避することができる。
【0052】
本願の他の実施例において、
図8を参照し、開口H1は、負極集電体121及び負極集電体121の外側の負極活物質層122を貫通する。開口H1は、第1正極折り曲げ層113aに向かって開口する凹溝である。
【0053】
第1の負極折り曲げ層123aの負極活物質層122は、第1の部分1221及び第2の部分1222を有する。第1の部分1221は負極集電体121の内側に設置され、第2の部分1222は負極集電体121の外側に設置され、開口H1は第2の部分1222及び負極集電体121を貫通する。第1部分1221は、開口H1を内側から覆う。
【0054】
本願の他の実施例において、折り曲げ領域140の最内側の一つの負極折り曲げ層123は第1の負極折り曲げ層123aである。折り曲げ領域140の最内側の電極シートの折り曲げの程度は最も大きく、最内側の一つの負極折り曲げ層と当該負極折り曲げ層の外側に位置する正極折り曲げ層との半径の差が大きい。即ち、折り曲げ領域140の最内側の一つの負極折り曲げ層123はリチウム析出を発生するリスクが最も高い。したがって、少なくとも折り曲げ領域140の最内側の一つの負極折り曲げ層123は、開口H1が設けられた第1の負極折り曲げ層123aである。
【0055】
本願の他の実施例において、折り曲げ領域140の最内側の一つの負極折り曲げ層123は第1の負極折り曲げ層123aである。このようにして開口H1の数量を減少させ、負極シート120の製造プロセスを簡略化することができる。
【0056】
図9は、本願の実施例に係る電極組立体の負極シートが平坦化された後の構造概略図である。
図9を参照すると、負極集電体121は、負極本体部1211と負極本体部1211から延びる負極タブ部1212とを有する。負極活物質層122は、少なくとも一部が負極本体部1211の表面に塗布されている。いくつかの例において、負極タブ部1212は複数であり、負極シート120が巻回状態にある場合に、複数の負極タブ部1212は互いに積層されている。
【0057】
平坦化状態で、負極シート120は、複数の負極折り曲げ層123及び複数の負極平坦層124を有する。負極シート120の長さ方向Xに沿って、複数の負極平坦層124と複数の負極折り曲げ層123とが交互に設置されている。巻回成形された電極組立体100において、複数の負極平坦層124は、電極組立体100の平坦領域150に位置し、複数の負極折り曲げ層123は電極組立体100の折り曲げ領域140に位置する。
【0058】
いくつかの実施例において、二つの折り曲げ領域140はいずれも第1の負極折り曲げ層123aを備える。例えば、
図9を参照し、負極シート120の二つの隣接する負極折り曲げ層123に開口H1が形成され、負極シート120が巻回成形された後、この二つの隣接する負極折り曲げ層123は二つの第1の負極折り曲げ層123aであり、かつそれぞれ二つの折り曲げ領域140に位置する。いくつかの例において、この二つの隣接する負極折り曲げ層123は、それぞれ二つの折り曲げ領域140の最内側の負極折り曲げ層123である。
【0059】
いくつかの実施例において、第1の負極折り曲げ層123aの開口H1は一つである。
図9に示すとおり、開口H1は負極シートの幅方向Yに沿って延びる帯状孔である。巻回成形された電極組立体100において、幅方向Yは巻回軸線Kに平行であり、かつ折り曲げ方向Lに垂直である。
【0060】
折り曲げ方向Lに垂直な方向において、第1の負極折り曲げ層123aの寸法d2に対する開口H1の寸法d1の比は、0.05~1.00である。当該比が0.05より小さいと、開口H1のサイズが小さく、開口H1で形成されたイオンチャネルも小さくなり、イオンの通過効率に影響を与える。
【0061】
図10は、本願の一つの実施例に係る電極組立体の正極シートが平坦化された後の構造概略図である。
図10を参照すると、正極集電体111は、正極本体部1111と正極本体部1111から延びる正極タブ部1112とを有する。正極活物質層112は、少なくとも一部が正極本体部1111の表面に塗布されている。いくつかの例において、正極タブ部1112は複数であり、正極シート110が巻回状態にある場合に複数の正極タブ部1112が互いに積層されている。
【0062】
平坦化状態で、正極シート110は、複数の正極折り曲げ層113及び複数の正極平坦層114を備える。正極シート110の長さ方向Xに沿って、複数の正極平坦層114及び複数の正極折り曲げ層113が交互に配置されている。巻回成形された電極組立体100において、複数の正極平坦層114は電極組立体100の平坦領域150に位置し、複数の正極折り曲げ層113は電極組立体100の折り曲げ領域140に位置している。
【0063】
図11は、本願の他の実施例に係る電極組立体の負極シートが平坦化された後の構造概略図である。
図11を参照すると、開口H1は非連続的な複数であり、複数の開口H1は折り曲げ領域140の折り曲げ方向Lに沿って間隔を置いて分布されている。複数の開口H1は、イオンチャネルをより均一に分布させ、イオンが負極集電体121を通過する効率を向上させることができる。いくつかの例において、各開口H1は幅方向Yに沿って延びる帯状孔である。折り曲げ方向Lに垂直な方向において、第1の負極折り曲げ層123aの寸法に対する各開口H1の寸法の比は、0.05~1.00である。
【0064】
図12は、本願の別の実施例に係る電極組立体の負極シートが平坦化された後の構造概略図である。
図12を参照すると、複数の開口H1は折り曲げ方向Lに垂直な方向に沿って間隔を置いて分布されている。複数の開口H1は、イオンチャネルをより均一に分布させ、イオンが負極集電体121を通過する効率を向上させることができる。いくつかの例において、各開口H1は長さ方向Xに沿って延びる帯状孔である。折り曲げ方向Lに垂直な方向において、第1の負極折り曲げ層123aの寸法に対する各開口H1の寸法の比は0.05~0.2である。
【0065】
図13は、本願の他の実施例に係る電極組立体の巻回軸線に垂直な方向に沿った断面の構造概略図である。
図14は、
図13の電極組立体のブロック部分Bでの拡大概略図である。
【0066】
図13及び14に示すとおり、本願の実施例は、正極集電体211及び正極集電体211の二つの表面に設置された正極活物質層212を含む正極シート210と、負極集電体221及び負極集電体221の二つの表面に設置された負極活物質層を含む負極シート220とを備える、電極組立体200をさらに提供する。正極シート210及び負極シート220は、巻回された後に折り曲げ領域240及び平坦領域250を形成する。
【0067】
正極シート210は、折り曲げ領域240に位置する第1の正極折り曲げ層213aを備え、負極シート220は折り曲げ領域240に位置する第1の負極折り曲げ層223aを備え、第1の正極折り曲げ層213aは、第1の負極折り曲げ層223aの外側に位置しかつ第1の負極折り曲げ層223aに隣接して設置されている。セパレータ230は、第1正極折り曲げ層213aと第1負極折り曲げ層223aとを隔離する。
【0068】
第1の負極折り曲げ層223aは、負極集電体221を貫通する開口H2を有する。開口H2は、第1の正極折り曲げ層213aの正極活物質層212から脱離された一部のイオンが開口H2を通過しかつ第1の負極折り曲げ層223aの負極集電体221の内側に設置された負極活物質層に挿入されるように設置されている。開口H2は、第1負極折り曲げ層223aの負極集電体221に開設されたイオンチャネルである。
【0069】
開口H2は、負極集電体121及び負極集電体121の内側の負極活物質層を貫通する。第1の負極折り曲げ層223aの負極活物質層は、第1の部分2221及び第2の部分2222を備える。第1の部分2221は負極集電体221の内側に設置され、第2の部分2222は負極集電体221の外側に設置され、開口H2は第1の部分2221及び負極集電体221を貫通する。第2部分2222は、外側から開口H2を覆う。なお、イオンが負極活物質層中を移動することができ、第2の部分2222がイオンの開口H2への通過を阻止しない。
【0070】
図15は、本願の他の実施例に係る電極組立体の巻回軸線に垂直な方向に沿った断面の構造概略図である。
図16は、
図15の電極組立体のブロック部分Cでの拡大概略図である。
【0071】
図15及び16に示すとおり、本願の実施例は、正極集電体311及び正極集電体311の二つの表面に設置された正極活物質層312を含む正極シート310と、負極集電体321及び負極集電体321の二つの表面に設置された負極活物質層を含む負極シート320とを備える電極組立体300をさらに提供する。正極シート310及び負極シート320は、巻回された後に折り曲げ領域340及び平坦領域350を形成する。
【0072】
正極シート310は、折り曲げ領域340に位置する第1の正極折り曲げ層313aを備え、負極シート320は、折り曲げ領域340に位置する第1の負極折り曲げ層323aを備え、第1の正極折り曲げ層313aは第1の負極折り曲げ層323aの外側に位置しかつ第1の負極折り曲げ層323aに隣接して設置されている。セパレータ330は、第1正極折り曲げ層313aと第1負極折り曲げ層323aとを隔離する。
【0073】
第1の負極折り曲げ層323aは、負極集電体321を貫通する開口H3を有する。開口H3は、第1の正極折り曲げ層313aの正極活物質層312から脱離された一部のイオンが開口H3を通過しかつ第1の負極折り曲げ層323aの負極集電体321の内側に設置された負極活物質層に挿入されるように設置されている。開口H3は、第1の負極折り曲げ層323aの負極集電体321に開設されたイオンチャネルである。
【0074】
開口H3は、負極集電体321、負極集電体321の外側の負極活物質層及び負極集電体321の内側の負極活物質層を貫通する。第1の負極折り曲げ層323aの負極活物質層は第1の部分3221及び第2の部分3222を有する。第1の部分3221は負極集電体321の内側に設置され、第2の部分3222は負極集電体321の外側に設置され、開口H3は第1の部分3221、負極集電体321及び第2の部分3222を貫通する。開口H3は、打ち抜きにより形成され、負極シート320の成形プロセスを簡略化することができる。
【0075】
図17は、本願の他の実施例に係る電極組立体の巻回軸線に垂直な方向に沿った断面の構造概略図である。
図18は、
図17の電極組立体のブロック部分Dでの拡大概略図である。
【0076】
図17及び18に示すとおり、本願の実施例は、正極集電体411及び正極集電体411の二つの表面に設置された正極活物質層412を含む正極シート410と、負極集電体421及び負極集電体421の二つの表面に設置された負極活物質層を含む負極シート420とを備える電極組立体400をさらに提供する。正極シート410及び負極シート420は巻回された後に折り曲げ領域440及び平坦領域450を形成する。
【0077】
正極シート410は、折り曲げ領域440に位置する第1の正極折り曲げ層413aを備え、負極シート420は、折り曲げ領域440に位置する第1の負極折り曲げ層423aを備え、第1の正極折り曲げ層413aは、第1の負極折り曲げ層423aの外側に位置しかつ第1の負極折り曲げ層423aに隣接して設置されている。セパレータ430は、第1正極折り曲げ層413aと第1負極折り曲げ層423aとを隔離する。
【0078】
第1の負極折り曲げ層423aは負極集電体421を貫通する開口H4を有する。開口H4は、第1の正極折り曲げ層413aの正極活物質層412から脱離された一部のイオンが開口H4を通過しかつ第1の負極折り曲げ層423aの負極集電体421の内側に設置された負極活物質層に挿入されるように設置されている。開口H4は、第1負極折り曲げ層423aの負極集電体421に開設されたイオンチャネルである。
【0079】
第1の負極折り曲げ層423aの負極活物質層は第1の部分4221、第2の部分4222及び第3の部分4223を備える。第1の部分4221は負極集電体421の内側に設置され、第2の部分4222は負極集電体421の外側に設置され、第3の部分4223は開口H4内に設置されかつ第1の部分4221と第2の部分4222とに接続されている。開口H4内に設置された第3の部分4223もリチウムイオンにリチウム挿入空間を提供することで、リチウム析出のリスクを低減することができる。
【0080】
図19は、本願の他の実施例に係る電極組立体の巻取り軸線に垂直な方向に沿った断面の構造概略図である。
図20は、
図19の電極組立体のブロック部分Eでの拡大概略図である。
【0081】
図19及び20に示すとおり、本願の実施例は、正極集電体511及び正極集電体511の二つの表面に設置された正極活物質層512を含む正極シート510と、負極集電体521及び負極集電体521の二つの表面に設置された負極活物質層を含む負極シート520とを備える電極組立体500をさらに提供する。正極シート510及び負極シート520は巻回された後に折り曲げ領域540及び平坦領域550を形成する。
【0082】
正極シート510は、折り曲げ領域540に位置する複数の正極折り曲げ層513を備え、負極シート520は、折り曲げ領域540に位置する複数の負極折り曲げ層を備える。複数の正極折り曲げ層513と複数の負極折り曲げ層とは交互に設けられている。折り曲げ領域540の全ての負極折り曲げ層は、いずれも第1の負極折り曲げ層523aである。ここで、各第1の負極折り曲げ層523aは、負極集電体521を貫通する開口H5を有する。開口H5は、第1負極折り曲げ層523aの負極集電体521に開設さられたイオンチャネルである。
【0083】
各第1の負極折り曲げ層523aの負極活物質層は第1の部分5221、第2の部分5222及び第3の部分5223を有する。第1の部分5221は、負極集電体521の内側に設置され、第2の部分5222は負極集電体521の外側に設置され、第3の部分5223は開口H5内に設置され、かつ第1の部分5221と第2の部分5222とに接続されている。開口H5内に設置された第3の部分5223もリチウムイオンにリチウム挿入空間を提供することで、リチウム析出のリスクを低減することができる。
【0084】
他の実施例において、いくつかの負極折り曲げ層は、開口H5を有する第1の負極折り曲げ層523aであり、他のいくつかの負極折り曲げ層は、開口H5を有しない第2の負極折り曲げ層である。
【0085】
好ましい実施例を参照して本願を説明したが、本願の範囲から逸脱しない場合、それに様々な改良を行うことができかつ等価物でその中の部材を置換することができる。特に、構造衝突が存在しない限り、各実施例に言及された各技術的特徴はいずれも任意の方式で組み合わせることができる。本願は本明細書に開示された特定の実施例に限定されるものではなく、請求項の範囲内に属する全ての技術的解決手段を含む。