(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】音響装置
(51)【国際特許分類】
H04R 1/00 20060101AFI20241108BHJP
H04R 1/10 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
H04R1/00 317
H04R1/00 310G
H04R1/10 101Z
(21)【出願番号】P 2022554667
(86)(22)【出願日】2020-11-13
(86)【国際出願番号】 CN2020128525
(87)【国際公開番号】W WO2021196626
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】202010247338.2
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521080118
【氏名又は名称】シェンツェン・ショックス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】レイ・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】シン・チ
(72)【発明者】
【氏名】ジュンジアン・フ
(72)【発明者】
【氏名】ジェン・ワン
(72)【発明者】
【氏名】リウェイ・ワン
【審査官】川▲崎▼ 博章
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-207928(JP,A)
【文献】中国実用新案第209358770(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00
H04R 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気信号に基づいて音声を表す振動信号を発生するように構成された振動スピーカーと、
前記振動スピーカーに機械的に接続され、接触部分によりユーザと接触し、かつ前記接触部分を介して前記振動信号を前記ユーザに伝達するように構成され、前記接触部分は、前記振動スピーカーから一定の距離を離れるとともに、振動強度が前記振動スピーカーの振動強度より小さい伝達機構と、
前記伝達機構により前記振動スピーカーに機械的に接続され、前記伝達機構を支持するように構成された支持アセンブリと、
を含
み、
前記伝達機構は、弾性素子を含み、前記弾性素子は、接続部分及び前記接続部分に接続された円弧部分を含み、
前記円弧部分の第1の端部は、前記支持アセンブリに機械的に接続され、前記円弧部分の第2の端部は、前記接続部分により前記振動スピーカーに機械的に接続され、
前記伝達機構の前記接触部分は、前記円弧部分の外側に位置し、前記振動スピーカーは、前記振動信号に応答して、前記接触部分の周りで振動する、音響装置。
【請求項2】
電気信号に基づいて音声を表す振動信号を発生するように構成された振動スピーカーと、
前記振動スピーカーに機械的に接続され、接触部分によりユーザと接触し、かつ前記接触部分を介して前記振動信号を前記ユーザに伝達するように構成され、前記接触部分は、前記振動スピーカーから一定の距離を離れるとともに、振動強度が前記振動スピーカーの振動強度より小さい伝達機構と、
前記伝達機構により前記振動スピーカーに機械的に接続され、前記伝達機構を支持するように構成された支持アセンブリと、
を含
み、
前記伝達機構と前記ユーザとの間の接触面積は、前記振動信号に応答して変化し、
前記伝達機構は、
第1の端部が前記振動スピーカーに機械的に接続された接続ユニットと、
突起構造を有する楔形ブロックである振動板であって、前記接続ユニットの第2の端部に機械的に接続された振動板と、
弾性素子であって、前記弾性素子の第1の端部は、前記接続ユニットに機械的に接続され、前記弾性素子の第2の端部は、前記振動板の前記突起構造に機械的に接続され、前記支持アセンブリが前記弾性素子により前記接続ユニットに接続され、前記振動スピーカーが、前記振動信号に応答して、前記支持アセンブリと前記弾性素子との間の接続点の周りで振動する弾性素子と、
を含む、音響装置。
【請求項3】
前記ユーザが前記音響装置を装着している場合、前記振動スピーカーの一表面は、前記ユーザの外耳道に面する、ことを特徴とする請求項
2に記載の音響装置。
【請求項4】
前記振動スピーカーは、前記振動スピーカーのハウジング内で発生した空気伝導音波を前記ユーザに伝送するように構成された1つ以上の開孔を含み、前記1つ以上の開孔は、前記ユーザが前記音響装置を装着している場合、前記ユーザの外耳道に向かうように設置される、ことを特徴とする請求項
2又は3に記載の音響装置。
【請求項5】
前記振動スピーカーに直接接続され、前記振動スピーカーを支持するように構成された補助支持アセンブリをさらに含む、ことを特徴とする請求項
2~4のいずれか一項に記載の音響装置。
【請求項6】
前記伝達機構と前記ユーザの皮膚が位置する平面との間の角度の範囲は、0°~90°、又は0°~70°、又は5°~50°、又は10°~50°、又は10°~30°である、ことを特徴とする請求項
2~5のいずれか一項に記載の音響装置。
【請求項7】
前記振動スピーカーの最低共振ピークは、90Hz未満である、ことを特徴とする請求項
2~6のいずれか一項に記載の音響装置。
【請求項8】
前記振動スピーカーは、磁気回路アセンブリ、振動アセンブリ及びハウジングを含み、前記振動スピーカーの前記最低共振ピークは、前記振動スピーカーの前記振動アセンブリの弾性率に関連する、ことを特徴とする請求項
7に記載の音響装置。
【請求項9】
前記支持アセンブリは、U字形又はC字形の固定部分を含む、ことを特徴とする請求項
2~8のいずれか一項に記載の音響装置。
【請求項10】
前記支持アセンブリは、キャビティを有するハウジング構造を含み、前記キャビティは、電池、ブルートゥースデバイス又は回路基板のうちの少なくとも1つを収容可能である、ことを特徴とする請求項
9に記載の音響装置。
【請求項11】
音響装置を備えた電子機器であって、前記音響装置は、
電気信号に基づいて音声を表す振動信号を発生するように構成された振動スピーカーと、
前記振動スピーカーに機械的に接続され、接触部分によりユーザと接触し、かつ前記接触部分を介して前記振動信号を前記ユーザに伝達するように構成され、前記接触部分は、前記振動スピーカーから一定の距離を離れるとともに、振動強度が前記振動スピーカーの振動強度より小さい伝達機構と、
前記伝達機構により前記振動スピーカーに機械的に接続され、前記伝達機構を支持するように構成された支持アセンブリと、
を含
み、
前記伝達機構は、弾性素子を含み、前記弾性素子は、接続部分及び前記接続部分に接続された円弧部分を含み、
前記円弧部分の第1の端部は、前記支持アセンブリに機械的に接続され、前記円弧部分の第2の端部は、前記接続部分により前記振動スピーカーに機械的に接続され、
前記伝達機構の前記接触部分は、前記円弧部分の外側に位置し、前記振動スピーカーは、前記振動信号に応答して、前記接触部分の周りで振動する、電子機器。
【請求項12】
音響装置を備えた電子機器であって、前記音響装置は、
電気信号に基づいて音声を表す振動信号を発生するように構成された振動スピーカーと、
前記振動スピーカーに機械的に接続され、接触部分によりユーザと接触し、かつ前記接触部分を介して前記振動信号を前記ユーザに伝達するように構成され、前記接触部分は、前記振動スピーカーから一定の距離を離れるとともに、振動強度が前記振動スピーカーの振動強度より小さい伝達機構と、
前記伝達機構により前記振動スピーカーに機械的に接続され、前記伝達機構を支持するように構成された支持アセンブリと、
を含
み、
前記伝達機構と前記ユーザとの間の接触面積は、前記振動信号に応答して変化し、
前記伝達機構は、
第1の端部が前記振動スピーカーに機械的に接続された接続ユニットと、
突起構造を有する楔形ブロックである振動板であって、前記接続ユニットの第2の端部に機械的に接続された振動板と、
弾性素子であって、前記弾性素子の第1の端部は、前記接続ユニットに機械的に接続され、前記弾性素子の第2の端部は、前記振動板の前記突起構造に機械的に接続され、前記支持アセンブリが前記弾性素子により前記接続ユニットに接続され、前記振動スピーカーが、前記振動信号に応答して、前記支持アセンブリと前記弾性素子との間の接続点の周りで振動する弾性素子と、
を含む、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、音響装置に関し、特に伝達機構を有する音響装置に関する。
【0002】
[参照による援用]
本願は、2020年3月31日に出願された出願番号202010247338.2の中国特許出願の優先権を主張するものであり、その内容は参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【背景技術】
【0003】
振動スピーカーは、電気信号を機械的振動信号に変換し、かつ機械的振動信号を人体組織及び/又は骨を介してユーザに伝送することができ、ユーザが音声を聞くようにする。一般的に、振動スピーカーがユーザと直接接触してユーザに低周波数の振動信号を伝送する場合、ユーザが強い振動を感じ、これはユーザに不快な体験を与える可能性がある。豊かな低周波数信号を有し、ユーザ体験を改善できる振動スピーカーを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
本願の実施例の一態様に係る音響装置は、電気信号に基づいて音声を表す振動信号を発生するように構成された振動スピーカーと、前記振動スピーカーに機械的に接続され、接触部分によりユーザと接触し、かつ前記接触部分を介して前記振動信号を前記ユーザに伝達するように構成され、前記接触部分は、前記振動スピーカーから一定の距離を離れるとともに、振動強度が前記振動スピーカーの振動強度より小さい伝達機構と、前記伝達機構により前記振動スピーカーに機械的に接続され、前記伝達機構を支持するように構成された支持アセンブリと、を含む。
【0005】
いくつかの実施例において、前記伝達機構は、弾性素子を含み、前記弾性素子は、少なくとも1つの円弧部分を含む。
【0006】
いくつかの実施例において、前記少なくとも1つの円弧部分の第1の端部は、前記支持アセンブリに機械的に接続され、前記少なくとも1つの円弧部分の第2の端部は、前記振動スピーカーに直接接続されるか又は接続部分により機械的に接続され、前記伝達機構の接触部分は、前記少なくとも1つの円弧部分に位置し、前記振動スピーカーは、前記振動信号に応答して、前記接触部分の周りで振動する。
【0007】
いくつかの実施例において、前記伝達機構と前記ユーザとの間の接触面積は、前記振動信号に応答して変化する。
【0008】
いくつかの実施例において、前記伝達機構は、第1の端部が前記振動スピーカーに機械的に接続された接続ユニットと、前記接続ユニットの第2の端部に機械的に接続された振動板と、弾性素子であって、前記支持アセンブリが前記弾性素子により前記接続ユニットに接続され、前記振動スピーカーが、前記振動信号に応答して、前記支持アセンブリと前記弾性素子との間の接続点の周りで振動する弾性素子と、を含む。
【0009】
いくつかの実施例において、前記ユーザが前記音響装置を装着している場合、前記振動スピーカーの表面は、前記ユーザ耳の穴に面する。
【0010】
いくつかの実施例において、前記振動スピーカーは、前記振動スピーカーのハウジング内で発生した空気伝導音波を前記ユーザに伝送するように構成された1つ以上の開孔を含み、前記1つ以上の開孔は、前記ユーザが前記音響装置を装着している場合、前記ユーザの耳の穴に向かうように設置される。
【0011】
いくつかの実施例において、前記音響装置は、前記振動スピーカーに直接接続され、前記振動スピーカーを支持するように構成された補助支持アセンブリをさらに含む。
【0012】
いくつかの実施例において、前記伝達機構と前記ユーザの皮膚が位置する平面との間の角度の範囲は、0°~90°、又は0°~70°、又は5°~50°、又は10°~50°、又は10°~30°である。
【0013】
いくつかの実施例において、前記振動スピーカーの最低共振ピークは、90Hz未満である。
【0014】
いくつかの実施例において、前記振動スピーカーは、磁気回路アセンブリ、振動アセンブリ及びハウジングを含み、前記振動スピーカーの最低共振ピークは、前記振動スピーカーの振動アセンブリの弾性率に関連する。
【0015】
いくつかの実施例において、前記支持アセンブリは、U字形又はC字形の固定部分を含む。
【0016】
いくつかの実施例において、前記支持アセンブリは、キャビティを有するハウジング構造を含み、前記キャビティは、電池、ブルートゥースデバイス又は回路基板のうちの少なくとも1つを収容可能である。
【0017】
本明細書の実施例の一態様に係る、音響装置を備えた電子機器において、前記音響装置は、電気信号に基づいて音声を表す振動信号を発生するように構成された振動スピーカーと、前記振動スピーカーに機械的に接続され、接触部分によりユーザと接触し、かつ前記接触部分を介して前記振動信号を前記ユーザに伝達するように構成され、前記接触部分は、前記振動スピーカーから一定の距離を離れるとともに、振動強度が前記振動スピーカーの振動強度より小さい伝達機構と、前記伝達機構により前記振動スピーカーに機械的に接続され、前記伝達機構を支持するように構成された支持アセンブリとを含む。
【0018】
本願の付加的な特徴の一部は、以下の説明で説明される。以下の説明及び対応する図面の研究、又は実施例の製造又は操作に対する理解により、本願の付加的な特性の一部は、当業者に明らかになるであろう。本願の特徴は、以下に説明する詳細な例に記載の方法、手段及び組み合わせの様々な態様を実践又は使用することにより実現することができる。
本願は、例示的な実施例の方式でさらに説明し、これらの例示的な実施例を図面により詳細に説明する。これらの実施例は、限定的なものではなく、これらの実施例において、同じ番号は同じ構造を表す。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本願のいくつかの実施例に係る音響装置のブロック図である。
【
図2】本願のいくつかの実施例に係る例示的な音響装置がユーザに振動信号を伝達する過程に関連する例示的な画像である。
【
図3】本願のいくつかの実施例に係る例示的な音響装置がユーザに振動信号を伝達する過程に関連する例示的な画像である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の説明は、当業者が本願を実施及び使用することを可能にするためのものであり、特定の用途及びその要件の文脈で提供される。開示されている実施例に対する様々な変更が、当業者には容易に明らかであり、また、本願で定義された一般的な原則は、本願の原則及び範囲から逸脱することなく、他の実施例及び用途にも適用可能である。したがって、本願は、説明された実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲と一致する最も広い範囲を与えられるべきである。
【0021】
本願で使用される用語は、特定の例示的な実施例を説明するためのものにすぎず、本願の範囲を限定するものではない。本願で使用されるように、単数形「1つ」、「1個」、及び「該」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数形を含んでもよい。本願で使用される場合、用語「含み」及び「備え」は、上記特徴、全体、ステップ、操作、アセンブリ及び/又は部材の存在のみを提示するが、1つ以上の他の特徴、全体、ステップ、操作、アセンブリ、部材及び/又はそれらの組み合わせの存在又は追加を排除しないことをさらに理解されたい。
【0022】
以下の図面に対する説明によれば、本願のこれら及び他の特徴、特性及び関連する構造素子の機能及び操作方法、並びに部材の組み合わせ及び製造上の経済性は、より明らかになることができ、これらの図面は、いずれも本願の明細書の一部を構成する。図面は、例示及び説明のみを目的としたものにすぎず、本願の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。図面は、原寸に比例して描かれるものではないことを理解されたい。
【0023】
ここで「第1の」、「第2の」、「第3の」などの用語を使用して様々な要素を説明することができるが、上記様々な要素は、上記用語によって限定されるべきではないことを理解されたい。上記用語は、ある要素と他の要素を区別するためのものにすぎない。例えば、本願の例示的な実施例の範囲から逸脱しない場合、第1の素子は、第2の素子と呼ばれてもよく、同様に、第2の素子は、第1の素子と呼ばれてもよい。
【0024】
要素間(例えば、層間)の空間的及び機能的関係は、「接続」、「関与」、「界面」及び「結合」などの様々な用語で説明することができる。本開示において第1の要素と第2の要素との間の関係を説明する場合、「直接」と明確に説明されない限り、該関係は、第1の要素と第2の要素との間に他の中間要素が存在しないという直接関係を含み、さらに間接関係、すなわち、第1の要素と第2の要素との間に(空間的又は機能的)1つ以上の中間要素が存在するという関係を含む。逆に、ある要素が別の要素に「直接」接続、関与、相互作用又は結合されると説明される場合、中間要素が存在しない。要素間の関係を説明するための他の用語も同様の方式で説明すべきである(例えば、「…の間」は、「…の間に直接」に対するものであり、「隣接」は、「直接隣接」に対するものである)。
【0025】
「頂部」、「底部」、「上部」、「下部」、「垂直」、「横方向」、「上方」、「下方」、「上向き」、「下向き」などの用語、「左側」、「右側」、「水平」及び他のそのような空間参照用語は、車両が通常の操作位置にある場合、ある物体のある表面/部分/アセンブリの、車両の他のそのような特徴に対する位置又は方向を相対的な意味で説明するために使用され、車両の位置又は方向が変化すれば、上記位置又は方向が変化する可能性があることを理解されたい。
【0026】
本願の一態様は、音響装置に関する。該音響装置は、振動スピーカー、伝達機構、及び支持アセンブリを含んでもよい。振動スピーカーは、電気信号に基づいて音声を表す振動信号を発生するように構成されてもよい。伝達機構は、振動スピーカーに機械的に接続されてもよい。伝達機構は、その接触部分によりユーザと接触し、かつ接触部分を介して上記振動信号を上記ユーザに伝達するように構成されてもよい。伝達機構の接触部分は、振動スピーカーから一定の距離を離れるとともに、振動強度が振動スピーカーの振動強度より小さくてもよい。支持アセンブリは、伝達機構により振動スピーカーに機械的に接続されてもよい。支持アセンブリは、伝達機構を支持するように構成されてもよい。
【0027】
いくつかの実施例において、伝達機構とユーザとの間の接触面積は、振動信号に応答して変化してもよい。振動信号の伝達過程において、振動スピーカーがユーザに向かって振動すると、伝達機構の接触部分とユーザ(又はユーザの皮膚)との間の接触面積は、振動スピーカーがユーザと正常に直接接触するときの接触面積より小さくなるように徐々に減少することにより、ユーザの振動感覚をさらに低減することができる。また、伝達機構の接触部分の振動強度が振動スピーカーの振動強度より低いため、伝達機構によりユーザに伝達される振動信号の振動強度を低減することにより、ユーザの振動感覚をさらに低減することができる。
【0028】
いくつかの代替的な実施例において、伝達機構は、円弧部分を有する弾性素子であってもよいため、伝達機構の接触部分とユーザとの間の接触面積は、振動信号によって変化しなくてもよい(或いは、実質的に変化しなくてもよい)。振動信号の伝達過程において、振動スピーカーがユーザに向かって振動すると、振動スピーカーによって発生された振動信号の一部は、弾性素子の弾性変形に変換され得る。したがって、ユーザの振動感覚は、ユーザが振動スピーカーと直接接触するときの振動感覚より小さくなり得る。
【0029】
また、振動スピーカーは、その表面がユーザの外耳道に面するように設置されてもよい。このように、振動スピーカーがユーザに向かって振動すると、振動スピーカーは、振動させるように振動スピーカーの周囲の空気を駆動し、かつ空気を介して音声信号をユーザに伝達することができるため、ユーザに伝達される音声の強度を上げる。したがって、振動スピーカーは、低周波数範囲内の音声エネルギーをより豊かにするように、より低い周波数の信号を提供するように設計することができるため、低周波数の信号の音声(例えば、音楽)に対するユーザの感覚を強め、ユーザに低周波数効果をより感じさせる。
【0030】
図1は、本願のいくつかの実施例に係る音響装置のブロック図である。例えば、音響装置100は、イヤホン、ヘッドホン、仮想現実メガネ、拡張現実メガネなどの電子機器における音響装置であってもよい。
図1に示すように、音響装置100は、振動スピーカー110、伝達機構120及び支持アセンブリ130を含んでもよい。振動スピーカー110は、伝達機構120により支持アセンブリ130に接続されてもよい。
【0031】
振動スピーカー110は、電気信号に基づいて音声を表す振動信号を発生するように構成されてもよい。電気信号は、音声情報を含んでもよい。音声情報は、特定のデータフォーマットを持つビデオファイル又はオーディオファイルであってもよく、特定の方法で音声に変換できる通常のデータ又はファイルであってもよい。電気信号は、マイクロフォン、コンピュータ、携帯電話、MP3プレーヤなどの信号源から受信されてもよい。例えば、マイクロフォンは、音源から音声信号を受信してもよい。そして、マイクロフォンは、受信した音声信号を電気信号に変換し、電気信号を振動スピーカー110に伝送してもよい。別の例として、振動スピーカー110は、MP3プレーヤに接続されるか又は通信してもよく、MP3プレーヤは、電気信号を振動スピーカー110に直接伝送してもよい。いくつかの実施例において、振動スピーカー110は、有線接続、無線接続又はそれらの組み合わせにより、信号源に接続され及び/又は信号源と通信してもよい。有線接続は、電気ケーブル、光ケーブル、電話回線など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。無線接続は、ブルートゥースネットワーク、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、近距離無線通信(NFC)ネットワーク、セルラーネットワークなど、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0032】
いくつかの実施例において、振動スピーカー110は、骨伝導スピーカーであってもよい。いくつかの実施例において、振動スピーカー110は、複合スピーカーであってもよい。この場合に、振動スピーカー110は、振動スピーカーを装着しているユーザが感知できる骨伝導音波及び空気伝導音波を発生することができる。なお、振動スピーカー110は、電磁式(例えば、可動コイル式、バランスドアーマチュア式)、圧電式、逆圧電式、静電式などの様々なタイプを含んでもよいが、本明細書において限定されない。
【0033】
伝達機構120は、振動スピーカー110に機械的に接続されてもよい。したがって、伝達機構120は、振動スピーカー110から振動信号を受信することができる。ユーザが音響装置100を装着している場合、伝達機構120とユーザとの間に角度が形成されてもよい。本明細書に記載されているように、伝達機構120とユーザとの間の角度は、伝達機構120の長軸とユーザの皮膚が位置する平面との間の角度を指す。いくつかの実施例において、該角度の範囲は、0°~90°、0°~70°、5°~50°、10°~50°、10°~30°などであってもよい。
【0034】
伝達機構120は、その接触部分によりユーザと接触し、かつ接触部分を介して受信した振動信号をユーザに伝達するように構成されてもよい。いくつかの実施例において、伝達機構120とユーザ(例えば、ユーザの皮膚)との間の接触面積は、振動信号によって変化してもよい。いくつかの実施例において、伝達機構の接触部分の、ユーザの身体に位置する領域及び/又はユーザの身体と接触する領域は、額、頸部(例えば、喉)、顔(例えば、口の周囲の領域、顎)、頭のてっぺん、乳様突起、耳の周囲の領域、こめかみなど、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0035】
伝達機構120の接触部分は、振動スピーカー110から一定の距離を離れてもよい。振動スピーカー110は、伝達機構120の接触部分近傍の回転軸の周りで振動してもよい。この場合に、伝達機構120の接触部分は、振動スピーカー110より回転軸に近くてもよい。したがって、伝達機構120の接触部分の振動強度を振動スピーカー110の振動強度より小さくするようにすることにより、ユーザに伝達される振動を低減することができる。例えば、伝達機構120は、少なくとも1つの円弧部分を有する弾性素子を含んでもよい。伝達機構120の接触部分は、少なくとも1つの円弧部分の突起部に位置してもよい。振動スピーカー110は、振動信号に基づいて接触部分の周りで振動してもよい。円弧部分についてのより多くの説明は、本明細書の他の箇所(例えば、
図3及びその説明)で見つけることができる。別の例として、伝達機構120は、接続ユニット、振動板及び弾性素子を含んでもよい。振動スピーカー110は、接続ユニットの上面に設置されてもよく、振動板は、接続ユニットの一端部に接続されてもよい。伝達機構120の接触部分は、振動板に位置してもよい。支持アセンブリ130は、弾性素子により接続ユニット又は振動板に接続されてもよい。振動スピーカー110は、振動信号に基づいて、支持アセンブリ130と弾性素子との間の接続点の周りで振動してもよい。接続ユニット、振動板及び弾性素子を有する伝達機構についてのより多くの説明は、本明細書の他の箇所(例えば、
図2及びその説明)で見つけることができる。
【0036】
いくつかの実施例において、伝達機構120の接触部分は、耳の近傍の領域に位置してもよく、該領域において、振動スピーカー110は、その表面がユーザの外耳道に面するように設置されてもよい。このように、振動スピーカーが振動すると、振動スピーカー110は、振動させるように振動スピーカーの周囲の空気を駆動して空気伝導音波を発生することができる。空気伝導音波は、空気を介して耳に伝播することができるため、ユーザに伝達される音声の強度を上げる。したがって、ユーザは、伝達機構の接触部分の振動によって発生される骨伝導音波だけでなく、振動スピーカー110が周囲の空気を駆動して発生する空気伝導音波を聞くことができる。
【0037】
いくつかの代替的な実施例において、振動スピーカー110のハウジングは、例えば、ハウジングの側壁又はユーザの外耳道に向かう側に1つ以上の開孔を含んでもよい。このように、振動スピーカー110が振動すると、振動スピーカー110のハウジングの内部で発生(例えば、ハウジングの内部の振動アセンブリの振動によって発生)する空気伝導音波は、1つ以上の開孔を介してハウジング外部に伝達され、さらにユーザの耳に伝送される。いくつかの実施例において、振動スピーカー110の1つ以上の開孔は、ユーザが音響装置100を装着している場合、ユーザの外耳道に向かうように設置されてもよい。したがって、ユーザは、振動スピーカー110の1つ以上の開孔から伝送された空気伝導音波をさらに受けることができるため、ユーザが聞く音声の強度を上げる。
【0038】
支持アセンブリ130は、伝達機構120により振動スピーカー110に機械的に接続されてもよい。支持アセンブリ130は、伝達機構120がユーザの皮膚と接触するように、伝達機構120及び/又は振動スピーカー110を支持するように構成されてもよい。
【0039】
いくつかの実施例において、支持アセンブリ130は、音響装置100をユーザによりよく固定するとともに、ユーザによる使用中の落下を防止することができる固定部分を含んでもよい。いくつかの実施例において、固定部分は、音響装置100をユーザの身体に単独で装着できるように、U字形、C字形、環形、楕円形、半円形など、人体部位(例えば、耳、頭部、頸部)に適合する任意の形状を有してもよい。例えば、支持アセンブリ130の固定部分の形状は、人の耳介の形状に合わせてもよいため、音響装置100をユーザの耳に単独で装着することができる。別の例として、支持アセンブリ130の固定部分の形状は、人の頭部の形状に合わせてもよいため、支持アセンブリ130をユーザの頭部に装着することにより、音響装置100が頭部から落下しやすいことを防止する。
【0040】
いくつかの実施例において、支持アセンブリ130は、キャビティを有するハウジング構造であってもよい。キャビティは、電池、回路基板、ブルートゥースデバイスなど、又はそれらの任意の組み合わせを収容してもよい。いくつかの実施例において、支持アセンブリ130は、金属材料(例えば、アルミニウム、金、銅)、合金材料(例えば、アルミニウム合金、チタン合金)、プラスチック材料(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、ナイロン)、繊維材料(例えば、アセテート繊維、プロピオン酸繊維、炭素繊維)などの様々な材料で製造されてもよい。いくつかの実施例において、支持アセンブリ130にシースが設置されてもよい。該シースは、例えば、軟質シリコーンゴム、ゴムなど、一定の弾性を有する軟質材料で製造されてもよく、ユーザにより良好な触感を提供することができる。
【0041】
なお、音響装置100についての上記説明は、説明の目的のためのものにすぎず、本願の範囲を限定することを意図するものではない。当業者であれば、本願の説明に基づいて様々な変更及び修正を行うことができる。しかしながら、これらの変更及び修正は本願の範囲から逸脱しない。いくつかの実施例において、音響装置100の任意の2つのアセンブリ(例えば、振動スピーカー110、伝達機構120及び支持アセンブリ130)の間の接続方式は、接着、リベット接続、ボルト接続、一体成形、吸引接続など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0042】
いくつかの実施例において、音響装置100は、ユーザと接触することにより、支持アセンブリ130による振動スピーカー110への支持を補助するように構成された補助支持アセンブリをさらに含んでもよい。該補助支持アセンブリは、ロッド状構造を有してもよく、一端部が振動スピーカー110に直接接続されてもよい。したがって、ユーザが音響装置100を装着している場合、補助支持アセンブリは、ユーザ及び振動スピーカー110と接触することができるため、振動スピーカー110は、補助支持アセンブリを介してユーザに一部の振動信号を伝送することにより、ユーザが聞く音声の強度をさらに上げることができる。
【0043】
図2は、本願のいくつかの実施例に係る例示的な音響装置がユーザに振動信号を伝達する過程に関連する例示的な画像である。
図2(例えば、画像2a)に示すように、音響装置200は、振動スピーカー210、伝達機構220(破線枠220内のアセンブリ)及び支持アセンブリ230を含んでもよい。
【0044】
振動スピーカー210は、伝達機構220により支持アセンブリ230に接続されてもよい。振動スピーカー210は、電気信号に基づいて音声を表す振動信号を発生してもよい。単に例として、振動スピーカー210は、磁気回路アセンブリ、振動アセンブリ及びハウジングを含んでもよい。磁気回路アセンブリは、磁場を提供するように構成されてもよい。振動アセンブリは、振動アセンブリに入力された電気信号を磁場中で機械的振動信号に変換することができる。ハウジングは、人体に面するフロントプレートと、該フロントプレートの反対側のバックプレートとを含んでもよい。ハウジングは、振動アセンブリを収容してもよい。いくつかの実施例において、振動アセンブリは、フロントプレート及びバックプレートを振動させてもよい。振動スピーカー210は、様々な共振ピークを発生させてもよい。いくつかの実施例において、振動スピーカー210は、500Hz未満、又は800Hz未満、又は1000Hz未満の周波数範囲内の1つ以上の低周波数の共振ピークを提供してもよい。低周波数の共振ピークは、振動アセンブリの弾性率に関連する。振動アセンブリの弾性率が低いほど、振動スピーカー210によって発生される低周波数の共振ピークが低くなる。
【0045】
伝達機構220は、ユーザ(例えば、ユーザの蝸牛)と接触することにより振動信号をユーザに伝達することができる。いくつかの実施例において、伝達機構220は、接続ユニット222、振動板224及び弾性素子226を含んでもよい。ユーザと接触する伝達機構220の接触部分は、振動板224に位置してもよい。
【0046】
いくつかの実施例において、接続ユニット222は、2つの端部(例えば、第1の端部E1及び第2の端部E2)を有する構造であってもよい。例えば、接続ユニット222は、2つの端部を有するロッド状構造、シート状構造などであってもよい。振動スピーカー210は、接続ユニット222により振動板224に接続されてもよい。例えば、振動スピーカー210の側壁(例えば、下側壁)は、接続ユニット222の側壁(例えば、上側壁)に接続されてもよい。好ましくは、振動スピーカー210は、接続ユニット222の第1の端部E1の上側に位置してもよく、接続ユニット222の第1の端部E1に接続されてもよい。例えば、
図2に示すように、接続ユニット222が矩形ロッドである場合、振動スピーカー210は、接続ユニット222の上側に位置してもよい。簡潔さのために、接続ユニット222の上側は、接続ユニット222のユーザの皮膚に背向する側を指し、接続ユニット222の下側は、接続ユニット222のユーザの皮膚に面する側を指す。同様に、振動スピーカー210の上側は、振動スピーカー210のユーザの皮膚に背向する側を指し、振動スピーカー210の下側は、振動スピーカー210のユーザの皮膚に面する側を指す。いくつかの実施例において、接続ユニット222がロッド状構造である場合、ロッドの横断面は、矩形、三角形、円、楕円、正六角形、不規則形状などの他の任意の形状であってもよい。いくつかの実施例において、接続ユニット222がシート状構造である場合、シートの形状は、矩形、楕円、不規則形状などを含んでもよい。
【0047】
振動板224は、第2の端部E2で接続ユニット222の下側に接続されてもよい。振動板224及び伝達機構220の接触部分は、振動スピーカー210から一定の距離を離れてもよい。振動板224は、ユーザ(
図2に示すように、破線240は、概ねユーザの皮膚であるとみなすことができる)と接触して、振動信号をユーザに伝達するように構成されてもよい。いくつかの実施例において、振動板224は、接続ユニット222の上面又は下面とユーザの皮膚の表面との間に角度(例えば、
図2の画像2aにおけるθ)を形成するように、振動スピーカー210をユーザの皮膚の上方に吊り下げるようにするブロック状、例えば、楔形ブロックであってもよい。いくつかの実施例において、接続ユニット222の上面又は下面とユーザの皮膚の表面との間の角度の範囲は、0°~90°、0°~70°、5°~50°、10°~50°、10°~30°などであってもよい。いくつかの実施例において、接続ユニット222の上面又は下面とユーザの皮膚の表面との間の角度は、伝達機構220とユーザの皮膚240(又はユーザの皮膚が位置する平面)との間の角度と呼ばれてもよい。
【0048】
弾性素子226と振動板224は、接続ユニット222の同じ端部に位置してもよく、すなわち、弾性素子226も接続ユニット222の第2の端部E2に接続されてもよい。振動板224の上面は、(
図2に示す)突起構造228を有してもよい。弾性素子226の両端は、それぞれ突起構造228と接続ユニット222の第2の端部E2に接続されてもよい。いくつかの実施例において、弾性素子226は、一定の弾性を有するシート状構造又はロッド状構造であってもよい。
【0049】
支持アセンブリ230の第1の端部は、弾性素子226の任意の点(例えば、中心点)で弾性素子226に接続されてもよい。いくつかの実施例において、支持アセンブリ230の第1の端部は、弾性素子226に直接接続されるか又は接続素子232により接続されてもよい。例えば、支持アセンブリ230の第1の端部は、弾性素子226の中心点に直接接続されるか又は接続素子232により接続されてもよい。音響装置200がユーザに固定的に装着されている場合、支持アセンブリ230は、ユーザに対して固定されているとみなすことができ、この場合に、振動スピーカー210は、振動信号に応答して、支持アセンブリ230と弾性素子226との間の特定の接続点250(例えば弾性素子226の中心点)の周りで回転するように接続ユニット222及び振動板224を駆動することができる。
【0050】
図2における画像2a及び画像2bにおいて、画像2aは、振動信号の伝達過程における音響装置200の初期状態を示し、画像2bは、振動信号の伝達過程における音響装置200の中間状態を示す。矢印Aは、振動スピーカー210の振動方向を示し、矢印Aの長さは、振動強度を示す。
【0051】
音響装置200が初期状態(画像2a)にある場合、伝達機構220とユーザの皮膚240との間の角度の値は、θに等しく、このとき、振動板224とユーザの皮膚との間の接触面積は、振動信号の伝達過程において最大である。音響装置200が中間状態(画像2b)にある場合、伝達機構220とユーザの皮膚との間の角度は、音響装置200が初期状態にある場合の、伝達機構220とユーザの皮膚240との間の角度より小さくてもよい。したがって、伝達機構220とユーザの皮膚240との間の接触面積は、振動信号に基づいて変化してもよい。例えば、振動スピーカー210が特定の接続点250の周りでユーザの皮膚240に向かって振動する過程において、伝達機構220とユーザの皮膚240との間の角度は、徐々に減少することができる(すなわち、画像2bにおけるθ’<θ)。この場合に、音響装置200が中間状態にある場合の、振動板224とユーザの皮膚240との間の接触面積は、音響装置200が初期状態にある場合の、振動板224とユーザの皮膚240との間の接触面積より小さくてもよい。したがって、振動スピーカー210がユーザに振動信号を伝達する過程において、ユーザの振動感覚を低減することができる。
【0052】
また、振動板224が振動スピーカー210から一定の距離を離れ、かつ振動板224から特定の接続点250までの距離が振動スピーカー210から特定の接続点250までの距離より小さいため、振動信号の伝達過程において、振動板224の振動強度を振動スピーカー210の振動強度より小さくすることにより、ユーザの振動感覚をさらに低減することができる。単に例として、矢印Bは、接触部分のある点の振動を示し、矢印Bの長さは、該点の振動強度を示す。特定の接続点250から矢印Bまでの垂直距離が矢印Aまでの垂直距離より小さいため、矢印Aの振動強度(すなわち、矢印Aの長さ)は、矢印Bの振動強度(すなわち、矢印Bの長さ)より大きくてもよい。
【0053】
したがって、伝達機構220を使用して振動スピーカー210による振動を低減することにより、ユーザを低周波数範囲内の不快な振動感覚から保護することができる。これに基づいて、様々な需要に適合するように振動スピーカー210の周波数応答をより柔軟に設計することができる。例えば、振動スピーカー210の最低共振ピークは、ユーザにより豊かな低周波数の信号を提供するように、より低い周波数範囲に移動してもよい。上記のように、振動スピーカー210の振動アセンブリの弾性率を変更することにより振動スピーカー210の最低共振ピークを調整してもよい。いくつかの実施例において、振動スピーカー210の最低共振ピーク値の周波数を2500Hz未満、又は2000Hz未満、又は1500Hz未満、又は1200Hz未満、又は1000Hz未満、又は800Hz未満、又は500Hz未満、又は300Hz未満、又は200Hz未満、又は100Hz未満、又は90Hz未満、又は50Hz未満にするように、振動スピーカー210の振動アセンブリの弾性率を設計してもよい。
【0054】
なお、以上の説明は、説明の目的のためのものにすぎず、本願の範囲を限定することを意図するものではない。当業者であれば、本願の説明に基づいて様々な変更及び修正を行うことができる。しかしながら、これらの変更及び修正は本願の範囲から逸脱しない。例えば、振動スピーカー210は、振動板224に直接接続されてもよく、すなわち、接続ユニット222を省略してもよい。この場合に、弾性素子226は、振動スピーカー210に直接接続されてもよい。別の例として、音響装置200は、1つ以上の他のアセンブリ、例えば、補助支持アセンブリ(図示せず)をさらに含んでもよい。さらに例えば、伝達機構220の接触部分は、耳の周囲の領域に設置されてもよく、該領域において、振動スピーカー210は、空気伝導音波を耳によりよく伝送するように、その表面がユーザの外耳道に合わせるように設置されてもよい。いくつかの実施例において、音響装置200の任意の2つのアセンブリ(例えば、振動スピーカー210、接続ユニット222、振動板224、支持アセンブリ230)の間の接続は、接着、リベット接続、ボルト接続、一体成形、吸引接続など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0055】
図3は、本願のいくつかの実施例に係る例示的な音響装置がユーザに振動信号を伝達する過程に関連する例示的な画像である。
図3に示すように、音響装置300は、
図2に示す音響装置と類似してもよい。音響装置300は、振動スピーカー310、伝達機構320及び支持アセンブリ330を含んでもよい。
【0056】
振動スピーカー310は、伝達機構320により支持アセンブリ330に接続されてもよい。振動スピーカー310は、電気信号に基づいて音声を表す振動信号を発生してもよい。振動スピーカー310は、
図2に示す振動スピーカー210と類似するか、又は同じであってもよい。
【0057】
伝達機構320は、弾性素子を含んでもよい。弾性素子は、接続部分322及び円弧部分324を含んでもよく、接続部分322の第1の端部は、円弧部分324の第1の端部E3に接続される。いくつかの実施例において、弾性素子(例えば、接続部分322及び/又は円弧部分324)は、例えば、金属材料(例えば、アルミニウム、金、銅)、合金材料(例えば、アルミニウム合金、チタン合金)、プラスチック材料(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、ナイロン)、繊維材料(例えば、アセテート繊維、プロピオン酸繊維、炭素繊維)などの様々な弾性材料から構成されてもよい。
【0058】
振動スピーカー310は、接続部分322に機械的に接続されてもよい。例えば、接続部分322がシート状構造である場合、振動スピーカー310は、接続部分322の上面に設置されてもよい。さらに例えば、接続部分322がロッド状構造である場合、振動スピーカー310は、接続部分322の上面に設置されてもよく、或いは、振動スピーカー310の側壁は、接続部分322の第2の端部に接続されてもよい。
【0059】
円弧部分324の突起部がユーザの皮膚340と接触するように構成されてもよいため、振動スピーカー310は、伝達機構320を介して振動信号をユーザに伝達してもよい。この場合に、円弧部分324とユーザの皮膚340との間の接触面積は、
図2に示す伝達機構220の接触部分とユーザの皮膚340との間の接触面積より小さくてもよい。伝達機構320とユーザの皮膚340との間の接触面積は、振動信号によってほとんど変化しなくてもよい。振動スピーカー310は、ユーザの皮膚に吊り下げられてもよく、接続部分322とユーザの皮膚340の表面との間には、角度(例えば、
図3の画像3aにおけるα)が形成されてもよい。いくつかの実施例において、接続部分322とユーザの皮膚340の表面との間の角度の範囲は、0°~90°、0°~70°、5°~50°、10°~50°、10°~30°などであってもよい。いくつかの実施例において、接続部分322とユーザの皮膚340の表面との間の角度は、伝達機構320とユーザの皮膚340(又はユーザの皮膚が位置する平面)との間の角度と呼ばれてもよい。
【0060】
いくつかの実施例において、ユーザの皮膚340と接触する円弧部分の突起部は、伝達機構320の接触部分350と呼ばれてもよい。伝達機構320の接触部分350は、振動スピーカー310から一定の距離を離れてもよい。円弧部分324の第2の端部E4は、支持アセンブリ330の一端部に接続されてもよい。音響装置300がユーザに固定的に装着されている場合、支持アセンブリ330は、ユーザに対して固定されているとみなすことができ、この場合に、振動スピーカー310は、振動信号に応答して、振動するか又は接触部分350の周りで回転するように伝達機構320(すなわち、弾性素子、接続部分322及び円弧部分324)を駆動することができる。いくつかの実施例において、円弧部分324の第2の端部E4は、接続素子332により支持アセンブリ330に接続されてもよい。
【0061】
図3における画像3a及び3bにおいて、画像3aは、振動信号の伝達過程における音響装置300の初期状態を示し、画像3bは、振動信号の伝達過程における音響装置300の中間状態を示す。矢印Bは、振動スピーカー310の振動方向を示し、矢印Bの長さは、振動強度を示す。
【0062】
振動信号の伝達過程において、円弧部分324とユーザの皮膚340との間の接触面積が非常に小さく、かつ振動スピーカー310によって発生された振動信号の一部のみが伝達機構320(例えば、接続部分322及び/又は円弧部分324)の弾性変形に変換されるため、ユーザの振動感覚は、振動スピーカー310がユーザの皮膚340と直接接触する場合のユーザの振動感覚に比べて弱くなることができる。
【0063】
また、接触部分350と振動スピーカー310との間に一定の距離が存在するため、振動信号の伝達過程において、接触部分350の振動強度を振動スピーカー310の振動強度より小さくすることにより、ユーザの振動感覚をさらに低減することができる。単に例として、矢印Bは、接触部分350近傍のある点の振動を示し、矢印Bの長さは、該点の振動強度を示す。接触部分350から矢印Bまでの垂直距離が接触部分350から矢印Aまでの垂直距離より小さいため、矢印Aの振動強度(すなわち、矢印Aの長さ)は、矢印Bの振動強度(すなわち、矢印Bの長さ)より大きくてもよい。
【0064】
したがって、伝達機構320を使用して振動スピーカー310による振動を低減することにより、ユーザを低周波数範囲内の不快な振動感覚から保護することができる。これに基づいて様々な需要に適合するように振動スピーカー310の周波数応答をより柔軟に設計することができる。例えば、振動スピーカー310の最低共振ピークは、ユーザにより豊かな低周波数の信号を提供するように、より低い周波数範囲に移動してもよい。上記のように、振動スピーカー310の振動アセンブリの弾性率を変更することにより振動スピーカー310の最低共振ピークを調整してもよい。いくつかの実施例において、振動スピーカー310の最低共振ピーク値の周波数を2500Hz未満、又は2000Hz未満、又は1500Hz未満、又は1200Hz未満、又は1000Hz未満、又は800Hz未満、又は500Hz未満、又は300Hz未満、又は200Hz未満、又は100Hz未満、又は90Hz未満、又は50Hz未満にするように、振動スピーカー310の振動アセンブリの弾性率を設計してもよい。
【0065】
説明のみを目的として、音響装置300について、1つの弾性素子のみが記載されている。なお、本願における音響装置300は、複数の弾性素子を含んでもよいため、振動信号は、複数の弾性素子によって共に伝達されてもよい。いくつかの実施例において、弾性素子は、複数の円弧部分を含んでもよいため、振動信号は、複数の円弧部分によって共に伝達されてもよい。例えば、複数の円弧部分は、並列されてもよい。
【0066】
なお、以上の説明は、説明の目的のためのものにすぎず、本願の範囲を限定することを意図するものではない。当業者であれば、本願の説明に基づいて様々な変更及び修正を行うことができる。しかしながら、これらの変更及び修正は本願の範囲から逸脱しない。例えば、円弧部分324は、振動スピーカー310に直接接続されてもよく、すなわち、接続部分322を省略してもよい。別の例として、音響装置300は、1つ以上の他のアセンブリ、例えば、補助支持アセンブリ(図示せず)をさらに含んでもよい。さらに例えば、伝達機構320の接触部分350は、耳の周囲の領域に設置されてもよく、該領域において、振動スピーカー310は、空気伝導音波を耳によりよく伝送するように、その表面がユーザの外耳道に合わせるように設置されてもよい。いくつかの実施例において、音響装置300の任意の2つのアセンブリ(例えば、振動スピーカー310、円弧部分324、接続部分322、支持アセンブリ330)の間の接続は、接着、リベット接続、ボルト接続、一体成形、吸引接続又は類似する接続、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0067】
上記で基本概念を説明してきたが、当業者にとっては、上記詳細な開示は、単に例として提示されているに過ぎず、本願を限定するものではないことは明らかである。本明細書において明確に記載されていないが、当業者は、本願に対して様々な変更、改良及び修正を行うことができる。これらの変更、改良及び修正は、本願によって示唆されることが意図されているため、本願の例示的な実施例の精神及び範囲内にある。
【0068】
さらに、本願の実施例を説明するために、本願において特定の用語が使用されている。例えば、「1つの実施例」、「一実施例」、及び/又は「いくつかの実施例」は、本願の少なくとも1つの実施例に関連した特定の特徴、構造又は特性を意味する。したがって、本明細書の様々な部分における「一実施例」又は「1つの実施例」又は「1つの代替的な実施例」の2つ以上の言及は、必ずしもすべてが同一の実施例を指すとは限らないことを強調し、理解されたい。また、本願の1つ以上の実施例における特定の特徴、構造、又は特性は、適切に組み合わせられてもよい。
【0069】
また、当業者には理解されように、本願の各態様は、任意の新規かつ有用なプロセス、機械、製品又は物質の組み合わせ、又はそれらへの任意の新規かつ有用な改善を含む、いくつかの特許可能なクラス又はコンテキストで、例示及び説明され得る。よって、本願の各態様は、完全にハードウェアによって実行されてもよく、完全にソフトウェア(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)によって実行されてもよく、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって実行されてもよい。以上のハードウェア又はソフトウェアは、いずれも「データブロック」、「モジュール」、「エンジン」、「ユニット」、「アセンブリ」又は「システム」と呼ばれてもよい。また、本願の各態様は、コンピュータ読み取り可能なプログラムコードを含む1つ以上のコンピュータ読み取り可能な媒体に具現化されたコンピュータプログラム製品の形態を取ることができる。
【0070】
コンピュータ記憶媒体は、例えば、ベースバンドにおいて又は搬送波の一部として具現化されたコンピュータプログラムコードを有する伝播されたデータ信号を含んでもよい。該伝播信号は、電磁気信号、光信号又は適切な組み合わせ形態などの様々な形態を含んでもよい。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体以外の任意のコンピュータ読み取り可能な媒体であってもよく、該媒体は、命令実行システム、装置又はデバイスに接続されることにより、使用されるプログラムの通信、伝播又は伝送を実現することができる。コンピュータ記憶媒体上のプログラムコードは、無線、電気ケーブル、光ファイバケーブル、RF、又は類似の媒体、又は上記媒体の任意の組み合わせを含む任意の適切な媒体を介して伝播されてもよい。
【0071】
本願の各部分の操作に必要なコンピュータプログラムコードは、Java、Scala、Smalltalk、Eiffel、JADE、Emerald、C++、C#、VB.NET、Pythonなどのオブジェクト指向プログラミング言語、C言語、Visual Basic、Fortran 2003、Perl、COBOL 2002、PHP、ABAPなどの従来の手続き型プログラミング言語、Python、Ruby及びGroovyなどの動的プログラミング言語、又は他のプログラミング言語を含む、1つ以上のプログラミング言語のいずれかで書くことができる。該プログラムコードは、完全にユーザコンピュータ上で実行されてもよく、独立したソフトウェアパッケージとしてユーザコンピュータ上で実行されてもよく、部分的にユーザコンピュータ上で部分的にリモートコンピュータ上で実行されてもよく、完全にリモートコンピュータ又はサーバ上で実行されてもよい。後者の場合に、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)又はワイドエリアネットワーク(WAN)などの任意のネットワーク形態を介してユーザコンピュータに接続されてもよく、(例えば、インターネットを介して)外部コンピュータに接続されてもよく、クラウドコンピューティング環境にあってもよく、ソフトウェア・アズ・ア・サービス(SaaS)を利用したサービスであってもよい。
【0072】
また、特許請求の範囲に明確に記載されていない限り、本願に記載の処理要素又はシーケンスの列挙した順序、数字、文字の使用、又は他の名称の使用は、本願の手順及び方法の順序に限定されない。上記開示において、現在発明の様々な有用な実施例であると考えられるものを様々な例を通して説明しているが、そのような詳細は、単にその目的のためであり、添付の特許請求の範囲は、開示される実施例に限定されないことを理解されたい。しかしながら、反対に、特許請求の範囲は、本願の実施例の趣旨及び範囲内にある全ての修正及び同等の組み合わせをカバーすることを意図している。例えば、上述したシステムアセンブリは、ハードウェアデバイスにより実装されてもよいが、ソフトウェアのみのソリューション、例えば、既存のサーバ又はモバイルデバイスに説明されたシステムをインストールすることにより実装されてもよい。
【0073】
同様に、なお、本願の実施例の前述の説明では、本願を簡略化して、1つ以上の発明の実施例への理解を助ける目的で、様々な特徴が1つの実施例、図面又はその説明にまとめられることがある。しかしながら、このような開示方法は、特許請求される主題が各請求項で列挙されるよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。むしろ、特許請求される主題は、前述の単一の開示された実施例のすべての特徴より少ない場合がある。
【0074】
いくつかの実施例において成分及び属性の数を説明する数字が使用されており、このような実施例を説明するための数字は、いくつかの例において修飾語「約」、「ほぼ」又は「実質的」によって修飾されると理解されるべきである。特に明記しない限り、「約」、「ほぼ」又は「実質的」は、上記数字が説明する値の±20%の変動が許容されることを示す。よって、いくつかの実施例において、明細書及び特許請求の範囲において使用されている数値パラメータは、いずれも特定の実施例に必要な特性に応じて変化し得る近似値である。いくつかの実施例において、数値パラメータについては、規定された有効桁数を考慮すると共に、通常の丸め手法を適用するべきである。本願のいくつかの実施例におけるその範囲を決定するための数値範囲及びパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の実施例において、このような数値は、実行可能な限り正確に設定される。
【0075】
本願で参照される全ての特許、特許出願、公開特許公報、及び、論文、書籍、仕様書、刊行物、文書などのような他の資料は、本願の内容と一致しないか又は矛盾する出願経過文書、及び(現在又は後に本願に関連する)本願の特許請求の範囲の最も広い範囲に関して限定的な影響を有し得る文書を除いて、その全体が参照により本願に組み込まれる。なお、本願の添付資料における説明、定義、及び/又は用語の使用が本願に記載の内容と一致しないか又は矛盾する場合、本願における説明、定義、及び/又は用語の使用を優先するものとする。
【0076】
最後に、本願に記載の実施例は、単に本願の実施例の原理を説明するものであることを理解されたい。他の変形例も本願の範囲内にある可能性がある。したがって、限定するものではなく、例として、本願の実施例の代替構成は、本願の教示と一致するように見なされてもよい。よって、本願の実施例は、本願において明確に紹介して説明された実施例に限定されない。
【符号の説明】
【0077】
100、200、300 音響装置
110、210、310 振動スピーカー
120、220、320 伝達機構
130、230、330 支持アセンブリ
222 接続ユニット
E1 第1の端部
E2 第2の端部
224 振動板
226 弾性素子
228 突起構造
232、332 接続素子
240、340 ユーザの皮膚
322 接続部分
324 円弧部分
E3 第1の端部
E4 第2の端部
350 接触部分