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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】エンジン駆動電力供給ユニット
(51)【国際特許分類】
   F02B 63/04 20060101AFI20241108BHJP
   B62M 7/02 20060101ALI20241108BHJP
   B60K 6/40 20071001ALI20241108BHJP
   B60K 6/24 20071001ALI20241108BHJP
【FI】
F02B63/04 C
B62M7/02 D
B60K6/40 ZHV
B60K6/24
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022577978
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(86)【国際出願番号】 JP2021003365
(87)【国際公開番号】W WO2022162905
(87)【国際公開日】2022-08-04
【審査請求日】2023-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001531
【氏名又は名称】弁理士法人タス・マイスター
(72)【発明者】
【氏名】北村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】大久保 明彦
(72)【発明者】
【氏名】前田 和之
【審査官】家喜 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-220738(JP,A)
【文献】特開2017-075563(JP,A)
【文献】特開平04-308323(JP,A)
【文献】国際公開第2020/189708(WO,A1)
【文献】国際公開第2005/063559(WO,A1)
【文献】特開2006-347427(JP,A)
【文献】特開2006-281858(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 40/00
B62M 7/00
F02M 35/00
F01N 13/00
F02B 63/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン駆動電力供給ユニットであって、
前記エンジン駆動電力供給ユニットは、
クランク軸を収容するクランクケースと、前記クランクケースに取付けられたシリンダと、前記シリンダに取付けられたシリンダヘッドとを有する発電用エンジンと、
前記発電用エンジンに駆動され発電する発電機と、
前記シリンダヘッドに接続され、前記発電用エンジンに空気を供給する吸気系と、
前記シリンダヘッドに接続され、前記発電用エンジンからの排気が供給される排気系と
を備え、
前記クランク軸の機械的な回転動力を前記エンジン駆動電力供給ユニットの外部に取り出さないように構成され、
前記発電機は、クランク軸線方向に見て、前記発電機の半分以上が前記発電用エンジンと重なるように設けられ、
前記吸気系及び前記排気系は、前記吸気系及び前記排気系と、前記シリンダ、前記シリンダヘッド、前記クランク軸及び前記クランクケースとの位置関係が、下記(A)から(C)の全てを満たすように配置され、前記(A)から(C)は、
(A)前記シリンダが、前記クランク軸線方向に見て、前記吸気系と前記排気系との間に位置し、
(B)前記吸気系及び前記排気系の各々が、前記クランク軸線方向に見て、前記クランクケースとの最短距離が前記クランク軸のクランク半径未満になる態様で、前記シリンダヘッドから前記シリンダの軸線方向に向かって第一領域からクランク軸中心基準線を越えて第二領域まで延在し、前記クランク軸中心基準線は、前記シリンダの軸線及び前記クランク軸の軸線の両方と直交する直線として定義され、前記第一領域は、前記クランク軸中心基準線により画成される2つの領域のうち、前記シリンダを含む領域として定義され、前記第二領域は、前記2つの領域のうち、前記第一領域ではない領域を指し、
(C)前記排気系の復路部にはチャンバが配置され、前記クランクケースが、前記クランク軸線方向に見て、前記クランク軸中心基準線上において、前記吸気系と、前記排気系の往路部及び前記チャンバを含む前記復路部との間に位置するように配置され、前記往路部は、前記排気系のうち、前記シリンダヘッドから前記第一領域を通って前記第二領域へ延びる部分を指し、前記復路部は、前記排気系のうち、前記往路部と接続され、前記第二領域から前記第一領域へ延びる部分を指す。
【請求項2】
請求項1に記載のエンジン駆動電力供給ユニットであって、
前記吸気系及び前記排気系は、
前記(C)に関して、前記クランクケースが、前記クランク軸線方向に見て、前記クランク軸中心基準線上において、前記吸気系と、前記排気系の前記往路部、前記復路部及び再往路部との間に位置するように配置され、前記再往路部は、前記排気系のうち、前記復路部と接続され、前記第一領域から前記第二領域へ延びる部分を指す、
ように配置されている。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のエンジン駆動電力供給ユニットであって、
前記排気系の往路部には、触媒が配置される。
【請求項4】
請求項1から3の何れか1項に記載のエンジン駆動電力供給ユニットであって、
前記吸気系は、前記シリンダヘッドに接続された吸気通路と、前記吸気通路が挿入されるエアクリーナとを有し、
吸気通路は、前記エアクリーナへの挿入部分が、前記吸気通路の入り口と、前記入り口が対向している前記エアクリーナの内壁との距離よりも長い。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項に記載のエンジン駆動電力供給ユニットであって、
前記発電用エンジンは、水冷エンジンである。
【請求項6】
請求項1から5の何れか1項に記載のエンジン駆動電力供給ユニットであって、
前記エンジン駆動電力供給ユニットは、燃料タンクを構成の一部に含まない。
【請求項7】
請求項1から6の何れか1項に記載のエンジン駆動電力供給ユニットであって、
前記発電用エンジンは、単気筒エンジン、又は、2つの前記シリンダを有し、前記2つのシリンダのシリンダ軸線が互いに平行な2気筒エンジンである。
【請求項8】
シリーズハイブリッド式鞍乗型車両であって、
前記シリーズハイブリッド式鞍乗型車両は、請求項1からの何れか1項に記載のエンジン駆動電力供給ユニットと、
前記シリーズハイブリッド式鞍乗型車両を駆動する駆動輪と、
前記エンジン駆動電力供給ユニットから蓄電装置を介して又は介さずに電力が供給され、前記駆動輪を駆動する駆動モータと
を備え、
前記シリーズハイブリッド式鞍乗型車両は、前記クランク軸の回転により出力される動力が前記駆動輪に機械的に伝達されず、且つ前記駆動輪が前記駆動モータによって駆動されるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン駆動電力供給ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
発電用エンジンにより発電機を駆動して電力を出力するエンジン駆動電力供給ユニットがある(例えば特許文献1)。特許文献1に記載のエンジン駆動動力供給ユニットは、発電用ロータリーエンジンと、発電用ロータリーエンジンに駆動される発電機と、発電用ロータリーエンジンに空気を供給する吸気系と、発電用ロータリーエンジンからの排気が供給される排気系とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】出願公開第2016-078622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エンジン駆動電力供給ユニットは、コンパクトに構成しつつ、音を抑えて出力性能を得ることが求められている。本発明の目的は、コンパクトであるとともに、音を抑えつつ出力性能を得ることができるエンジン駆動電力供給ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、エンジン駆動電力供給ユニットをコンパクトに構成しつつ、音を抑えて出力性能を得ることについて検討した。特許文献1に記載のエンジン駆動電力供給ユニットは、自動車のエンジンルームに搭載された専用品である。特許文献1に記載の発電用エンジンに接続された吸気系及び排気系は、エンジンルーム内に広がっている。従って、特許文献1のエンジン駆動電力供給ユニットは、ユニットとしてコンパクトに構成されているとは言い難い。
ここで、特許文献1に記載のエンジン駆動電力供給ユニットをコンパクトに構成することを考えると、発電用エンジンに接続される吸気系及び排気系を短く構成する必要がある。しかし、吸気系及び排気系を短く構成すると、出力性能を得るために必要な吸気系及び排気系の長さを得ることができなくなる。また、発電用エンジンから生じる音も大きくなる。
【0006】
そこで、本発明者は、エンジン駆動電力供給ユニットをコンパクトに構成しつつ、音を抑えて出力性能を得ることについて、更に検討した。この検討の中で、本発明者は、吸気系と排気系との間にシリンダを配置し、吸気系及び排気系がシリンダに沿って延在するように、吸気系及び排気系を設置することにより、吸気系及び排気系の長さを得つつコンパクトなレイアウトを実現できるという知見を得た。より具体的な吸気系及び排気系のレイアウトについては、後述の通りである。このようにエンジン駆動電力供給ユニットの吸気系及び排気系を配置することにより、エンジン駆動電力供給ユニットをコンパクトに構成しつつ、音を抑えて出力性能を得ることができる。
【0007】
以上の目的を達成するために、本発明の一つの観点によれば、エンジン駆動電力供給ユニットは、次の構成を備える。
(1) クランク軸を収容するクランクケースと、前記クランクケースに取付けられたシリンダと、前記シリンダに取付けられたシリンダヘッドとを有する発電用エンジンと、
前記発電用エンジンに駆動され発電する発電機と、
前記シリンダヘッドに接続され、前記発電用エンジンに空気を供給する吸気系と、
前記シリンダヘッドに接続され、前記発電用エンジンからの排気が供給される排気系と
を備えるエンジン駆動電力供給ユニットであって、
前記エンジン駆動電力供給ユニットは、前記クランク軸の機械的な回転動力を前記エンジン駆動電力供給ユニットの外部に取り出さないように構成され、
前記発電機は、クランク軸線方向に見て、前記発電機の半分以上が前記発電用エンジンと重なるように設けられ、
前記吸気系及び前記排気系は、
(A)前記シリンダが、前記クランク軸線方向に見て、前記吸気系と前記排気系との間に位置し、
(B)前記吸気系及び前記排気系の各々が、前記クランク軸線方向に見て、前記クランクケースとの最短距離が前記クランク軸のクランク半径未満になる態様で、前記シリンダヘッドから前記シリンダの軸線方向に向かって第一領域からクランク軸中心基準線を越えて第二領域まで延在し、前記クランク軸中心基準線は、前記シリンダの軸線及び前記クランク軸の軸線の両方と直交する直線として定義され、前記第一領域は、前記クランク軸中心基準線により画成される2つの領域のうち、前記シリンダを含む領域として定義され、前記第二領域は、前記2つの領域のうち、前記第一領域ではない領域を指し、
(C)前記クランクケースが、前記クランク軸線方向に見て、前記クランク軸中心基準線上において、前記吸気系と、前記排気系の往路部及び復路部との間に位置するように配置され、前記往路部は、前記排気系のうち、前記シリンダヘッドから前記第一領域を通って前記第二領域へ延びる部分を指し、前記復路部は、前記排気系のうち、前記往路部と接続され、前記第二領域から前記第一領域へ延びる部分を指す、
ように配置されている。
【0008】
(1)のエンジン駆動電力供給ユニットは、発電用エンジンと、発電機と、吸気系と、排気系とを備える。
発電用エンジンは、クランクケースと、シリンダと、シリンダヘッドとを有する。クランクケースは、クランク軸を収容する。シリンダは、クランクケースに取付けられる。シリンダヘッドは、シリンダに取付けられる。
発電機は、発電用エンジンに駆動され発電する。発電機は、クランク軸線方向に見て、発電機の半分以上が発電用エンジンと重なるように設けられる。
吸気系は、シリンダヘッドに接続され、発電用エンジンに空気を供給する。
排気系は、シリンダヘッドに接続され、発電用エンジンからの排気が供給される。
吸気系及び排気系は、下記(A)から(C)を満たすように配置される。
(A)シリンダが、クランク軸線方向に見て、吸気系と排気系との間に位置する。
(B)吸気系及び排気系の各々が、クランク軸線方向に見て、クランクケースとの最短距離がクランク軸のクランク半径未満になる態様で、シリンダヘッドからシリンダの軸線方向に向かって第一領域からクランク軸中心基準線を越えて第二領域まで延在する。クランク軸中心基準線は、シリンダの軸線及びクランク軸の軸線の両方と直交する直線として定義される。第一領域は、クランク軸中心基準線により画成される2つの領域のうち、シリンダを含む領域として定義される。第二領域は、クランク軸中心基準線により画成される2つの領域のうち、第一領域ではない領域を指す。
(C)クランクケースが、クランク軸線方向に見て、クランク軸中心基準線上において、吸気系と、排気系の往路部及び復路部との間に位置するように配置される。往路部は、排気系のうち、シリンダヘッドから第一領域を通って第二領域へ延びる部分を指し、復路部は、排気系のうち、往路部と接続され、第二領域から第一領域へ延びる部分を指す。
(1)のエンジン駆動電力供給ユニットは、クランク軸の機械的な回転動力をエンジン駆動電力供給ユニットの外部に取り出さないように構成される。
【0009】
(1)のエンジン駆動電力供給ユニットでは、吸気系及び排気系を(A)を満たすように配置したうえで(B)を満たすように配置することで、吸気系及び排気系を発電用エンジンに近づけることができる。これにより、エンジン駆動電力供給ユニットをコンパクトに構成することができる。更に、吸気系及び排気系を(C)を満たすように配置することにより、音を抑えて出力性能を取得できるように吸気系及び排気系の長さを得つつ、吸気系及び排気系を発電用エンジンに近づけることができる。従って、(1)のエンジン駆動電力供給ユニットは、コンパクトであるとともに、音を抑えて出力性能を得ることができる。
【0010】
本発明の一つの観点によれば、エンジン駆動電力供給ユニットは、以下の構成を採用できる。
(2) (1)のエンジン駆動電力供給ユニットであって、
前記吸気系及び前記排気系は、
前記(C)に関して、前記クランクケースが、前記クランク軸線方向に見て、前記クランク軸中心基準線上において、前記吸気系と、前記排気系の前記往路部、前記復路部及び再往路部との間に位置するように配置され、前記再往路部は、前記排気系のうち、前記復路部と接続され、前記第一領域から前記第二領域へ延びる部分を指す、
ように配置されている。
【0011】
(2)のエンジン駆動電力供給ユニットでは、クランクケースが、クランク軸線方向に見て、クランク軸中心基準線上において、吸気系と、排気系の前記往路部、復路部及び再往路部との間に位置するように配置される。再往路部は、排気系のうち、復路部と接続され、第一領域から前記第二領域へ延びる部分を指す。これにより、(2)のエンジン駆動電力供給ユニットは、コンパクトに構成しつつ、排気系の長さを得ることにより音を抑えて出力性能を得ることができる。
【0012】
本発明の一つの観点によれば、エンジン駆動電力供給ユニットは、以下の構成を採用できる。
(3) (1)又は(2)のエンジン駆動電力供給ユニットであって、
前記排気系の往路部には、触媒が配置される。
【0013】
(3)のエンジン駆動電力供給ユニットでは、排気系の往路部に触媒が配置されるため、シリンダヘッドからの排気通路の距離を稼ぐことができる。これにより、(3)のエンジン駆動電力供給ユニットは、排気系の長さを得つつコンパクトに構成することができる。
【0014】
本発明の一つの観点によれば、エンジン駆動電力供給ユニットは、以下の構成を採用できる。
(4) (1)から(3)の何れか1つのエンジン駆動電力供給ユニットであって、
前記排気系の復路部には、チャンバが配置される。
【0015】
(4)のエンジン駆動電力供給ユニットでは、排気系の復路部にチャンバが配置されるため、シリンダヘッドからの排気通路の距離をより長くすることができる。これにより、(4)のエンジン駆動電力供給ユニットは、排気系の長さを得つつコンパクトに構成することができる。
【0016】
本発明の一つの観点によれば、エンジン駆動電力供給ユニットは、以下の構成を採用できる。
(5) (1)から(4)の何れか1つのエンジン駆動電力供給ユニットであって、
前記吸気系は、前記シリンダヘッドに接続された吸気通路と、前記吸気通路が挿入されるエアクリーナとを有し、
吸気通路は、前記エアクリーナへの挿入部分が、前記吸気通路の入り口と、前記入り口が対向している前記エアクリーナの内壁との距離よりも長い。
【0017】
(5)のエンジン駆動電力供給ユニットでは、吸気系の吸気通路のエアクリーナへの挿入部分を、吸気通路の入り口と、入り口が対向しているエアクリーナの内壁との距離よりも長くしている。これにより、(5)のエンジン駆動電力供給ユニットは、吸気系の長さを得ることにより出力性能を得ることができる。
【0018】
本発明の一つの観点によれば、エンジン駆動電力供給ユニットは、以下の構成を採用できる。
(6) (1)から(5)の何れか1つのエンジン駆動電力供給ユニットであって、
前記発電用エンジンは、水冷エンジンである。
【0019】
(6)のエンジン駆動電力供給ユニットの発電用エンジンは、水冷エンジンである。発電用エンジンが水冷エンジンであれば、空冷エンジンのように、冷却フィン及び冷却ファン等を設けなくてもよいため、エンジンをコンパクトにしつつ、発電用エンジンの出力性能を得ることができる。
【0020】
本発明の一つの観点によれば、エンジン駆動電力供給ユニットは、以下の構成を採用できる。
(7) (1)から(6)の何れか1つのエンジン駆動電力供給ユニットであって、
前記エンジン駆動電力供給ユニットは、燃料タンクを構成の一部に含まない。
【0021】
(7)のエンジン駆動電力供給ユニットは、燃料タンクを構成の一部に含まないため、燃料タンクは別途取り付けられる。従って、(7)のエンジン駆動電力供給ユニットは、コンパクトに構成することができる。
【0022】
本発明の一つの観点によれば、エンジン駆動電力供給ユニットは、以下の構成を採用できる。
(8) (1)から(7)の何れか1つのエンジン駆動電力供給ユニットであって、
前記発電用エンジンは、単気筒エンジン、又は、2つの前記シリンダを有し、前記2つのシリンダのシリンダ軸線が互いに平行な2気筒エンジンである。
【0023】
(8)のエンジン駆動電力供給ユニットは、クランク軸中心基準線と平行な方向の幅が大きくなることを抑制することができる。従って、(8)のエンジン駆動電力供給ユニットは、コンパクトであるとともに、音を抑えて出力性能を得ることができる。2つのシリンダのシリンダ軸線が互いに平行な2気筒エンジンは、例えば並列型2気筒エンジン又は水平対向型2気筒エンジンである。なお、発電用エンジンとして2気筒エンジンを備えるエンジン駆動電力供給ユニットにおいて、2つのシリンダのうち、1つのシリンダに対して、吸気系及び排気系が上記(A)から(C)の要件を満たすように配置されている場合、当該エンジン駆動電力供給ユニットは、上記(1)のエンジン駆動電力供給ユニットに該当し得る。
【0024】
本発明の一つの観点によれば、エンジン駆動電力供給ユニットは、以下の構成を採用できる。
(9) シリーズハイブリッド式鞍乗型車両であって、
前記シリーズハイブリッド式鞍乗型車両は、(1)から(8)の何れか1つのエンジン駆動電力供給ユニットと、
前記シリーズハイブリッド式鞍乗型車両を駆動する駆動輪と、
前記エンジン駆動電力供給ユニットから蓄電装置を介して又は介さずに電力が供給され、前記駆動輪を駆動する駆動モータと
を備え、
前記シリーズハイブリッド式鞍乗型車両は、前記クランク軸の回転により出力される動力が前記駆動輪に機械的に伝達されず、且つ前記駆動輪が前記駆動モータによって駆動されるように構成されている。
【0025】
(9)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両は、コンパクトに構成されたエンジン駆動電力供給ユニットを備えるため、小型軽量にすることができる。
【0026】
本明細書にて使用される専門用語は特定の実施例のみを定義する目的であって発明を制限する意図を有しない。本明細書にて使用される用語「及び/又は」は一つの、又は複数の関連した列挙された構成物のあらゆる又は全ての組み合わせを含む。本明細書中で使用される場合、用語「含む、備える(including)」「含む、備える(comprising)」又は「有する(having)」及びその変形の使用は、記載された特徴、工程、操作、要素、成分及び/又はそれらの等価物の存在を特定するが、ステップ、動作、要素、コンポーネント、及び/又はそれらのグループのうちの1つ又は複数を含むことができる。本明細書中で使用される場合、用語「取り付けられた」、「接続された」、「結合された」及び/又はそれらの等価物は広く使用され、直接的及び間接的な取り付け、接続及び結合の両方を包含する。更に、「接続された」及び「結合された」は、物理的又は機械的な接続又は結合に限定されず、直接的又は間接的な電気的接続又は結合を含むことができる。他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書に定義された用語のような用語は、関連する技術及び本開示の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想的又は過度に形式的な意味で解釈されることはない。本発明の説明においては、多数の技術及び工程が開示されていると理解される。これらの各々は個別の利益を有し、それぞれは、他の開示された技術の1つ以上、又は、場合によっては全てと共に使用することもできる。従って、明確にするために、この説明は、不要に個々のステップの可能な組み合わせを全て繰り返すことを控える。それにもかかわらず、明細書及び特許請求の範囲は、そのような組み合わせが全て本発明及び請求項の範囲内にあることを理解して読まれるべきである。
【0027】
本明細書では、新しいエンジン駆動電力供給ユニットについて説明する。以下の説明では、説明の目的で、本発明の完全な理解を提供するために多数の具体的な詳細を述べる。しかしながら、当業者には、これらの特定の詳細無しに本発明を実施できることが明らかである。本開示は、本発明の例示として考慮されるべきであり、本発明を以下の図面または説明によって示される特定の実施形態に限定することを意図するものではない。
【0028】
発電用エンジンは、例えば、高負荷領域と低負荷領域とを有するエンジンである。発電用エンジンは、例えば、4ストロークエンジンである。4ストロークエンジンは、4ストロークの間に、高負荷領域と低負荷領域とを有する。高負荷領域と低負荷領域とを有する4ストロークエンジンは、例えば、単気筒エンジンである。また、高負荷領域と低負荷領域とを有する。高負荷領域と低負荷領域とを有する4ストロークエンジンは、例えば、2気筒エンジン、不等間隔燃焼型3気筒エンジン、又は、不等間隔燃焼型4気筒エンジンである。高負荷領域と低負荷領域とを有する4ストロークエンジンは、1サイクル720度の間に180度以上の連続不燃焼区間を含む。本開示の一実施形態において、4ストロークエンジンは、例えば、単気筒エンジン又は多気筒エンジンである。多気筒エンジンは、複数のシリンダを有する不等間隔燃焼エンジンであってもよい。複数の気筒を有する不等間隔燃焼エンジンとして、例えば水平対向型のエンジンが挙げられる。上記(1)から(9)に関連して、発電用エンジンが多気筒エンジンである場合は、吸気系及び排気系とシリンダとの位置関係(例えば上記(A)~(C))については、必ずしも、全てのシリンダが当該位置関係を満足する必要はない。少なくとも1つのシリンダが当該位置関係を満足する場合、当該エンジン駆動電力供給ユニットは、本発明に係るエンジン駆動電力供給ユニットに該当し得る。
高負荷領域と低負荷領域とを有する4ストロークエンジンでは、低い回転速度における回転の変動が、他のタイプのエンジンと比べ大きい。高負荷領域とは、エンジンの1燃焼サイクルのうち、負荷トルクが1燃焼サイクルにおける負荷トルクの平均値よりも高い領域をいう。低負荷領域とは、1燃焼サイクルにおける高負荷領域以外の領域をいう。クランク軸の回転角度を基準として見ると、エンジンでの低負荷領域は、例えば、高負荷領域より広い。圧縮行程は、高負荷領域と重なりを有する。
例えば、高負荷領域と低負荷領域とを有するエンジンにおいて、エンジンの始動時にクランク軸の回転力が高負荷領域の圧縮反力を乗り越えるための助走区間を得るように、クランク軸の始動開始位置を調整することができる。
クランク半径とは、クランク軸のクランクアームに取付けられたクランクピンの中心点からクランク軸の回転中心までのクランク軸に垂直方向の距離である。クランク半径の2倍がエンジンのストロークである。
【0029】
発電機は、例えば永久磁石式の始動発電機である。発電機は、例えば永久磁石を使用しないモータであってもよい。永久磁石式の発電機は、例えば、ブラシレスモータである。ブラシレスモータは、整流子を有さないモータである。発電機は、発電用エンジンによって駆動され発電するモータジェネレータである。発電機は、発電用エンジンを始動する始動モータとして機能してもよい。発電機は、これに限られない。永久磁石式の発電機は、例えば、ブラシ付き直流モータでもよい。ブラシレスモータは、例えば、アウターロータ型でもよく、また、インナーロータ型でもよい。また、ブラシレスモータは、ラジアルギャップ型でなく、アキシャルギャップ型でもよい。また、発電機は、例えばロータに永久磁石を有さないタイプでもよい。
【0030】
吸気系は、エンジンに空気を供給する経路を構成する部品群である。吸気系がエンジンに送り込む空気には、燃料が混合されていてもよく、また、混合されていなくともよい。吸気系は、例えば、吸気通路、エアクリーナ、キャブレタ、エアーエレメント及びリードバルブ等の部品のうち、少なくとも1つの部品を含む。
【0031】
排気系は、エンジンからの排気が通過する経路を構成する部品群である。排気系は、排気通路、触媒、チャンバ等の部品のうち、少なくとも1つの部品を含む。チャンバは、膨張室及びサイレンサーの少なくとも何れかを含んでいてもよい。
【0032】
シリーズハイブリッド式鞍乗型車両に関して、鞍乗型車両(straddled vehicle)とは、運転者がサドルに跨って着座する形式のビークルをいう。鞍乗型車両としては、例えば、モペット型、オフロード型、オンロード型の自動二輪車が挙げられる。また、鞍乗型車両としては、自動二輪車に限定されず、例えば、自動三輪車、ATV(All-Terrain Vehicle)等であってもよい。自動三輪車は、2つの前輪と1つの後輪とを備えていてもよく、1つの前輪と2つの後輪とを備えていてもよい。鞍乗型車両の駆動輪は、後輪であってもよく、前輪であってもよい。また、鞍乗型車両の駆動輪は、後輪及び前輪の双方であってもよい。また、鞍乗型車両は、リーン姿勢で旋回可能に構成されていることが好ましい。リーン姿勢で旋回可能に構成された鞍乗型車両は、カーブの中心に傾いた姿勢で旋回するように構成される。これにより、リーン姿勢で旋回可能に構成された鞍乗型車両は、旋回時にビークルに加わる遠心力に対抗する。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、コンパクトであるとともに、音を抑えて出力性能を得ることができるエンジン駆動電力供給ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の第1実施形態に係るエンジン駆動電力供給ユニットの構成を示す左側面図である。
図2】本発明の第2実施形態に係るエンジン駆動電力供給ユニットの構成を示す左側面図である。
図3】本発明の第3実施形態に係るエンジン駆動電力供給ユニットの構成を示す左側面図である。
図4】本発明の第4実施形態に係るエンジン駆動電力供給ユニットの構成を示す左側面図である。
図5】本発明の第5実施形態に係る鞍乗型車両を拡大して示す左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明を、図面を参照しつつ説明する。
【0036】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係るエンジン駆動電力供給ユニット1の構成を示す左側面図である。
【0037】
図1のエンジン駆動電力供給ユニット1は、発電用エンジン10と、発電機20と、吸気系30と、排気系40とを備える。
発電用エンジン10は、クランクケース11と、シリンダ12と、シリンダヘッド13とを有する。クランクケース11は、クランク軸111を収容する。シリンダ12は、クランクケース11に取付けられる。シリンダヘッド13は、シリンダ12に取付けられる。発電機20は、発電用エンジン10に駆動され発電する。発電機20は、クランク軸線S方向に見て、発電機20の半分以上が発電用エンジン10と重なるように設けられる。吸気系30は、シリンダヘッド13に接続され、発電用エンジン10に空気を供給する。排気系40は、シリンダヘッド13に接続され、発電用エンジン10からの排気が供給される。
【0038】
吸気系30及び排気系40は、下記(A)から(C)を満たすように配置される。
(A)発電用エンジン10のシリンダ12が、クランク軸線S方向に見て、吸気系30と排気系40との間に位置する。
(B)吸気系30が、クランク軸線S方向に見て、シリンダヘッド13からシリンダ12のシリンダ軸線T方向に向かって第一領域A1からクランク軸中心基準線Uを越えて第二領域A2まで延在する。この時、クランク軸線S方向に見て、吸気系30とクランクケース11との最短距離X1が、クランク軸111のクランク半径Y1未満になる。また、排気系40が、クランク軸線S方向に見て、シリンダヘッド13からシリンダ12のシリンダ軸線T方向に向かって第一領域A1からクランク軸中心基準線Uを越えて第二領域A2まで延在する。この時、クランク軸線S方向に見て、排気系40とクランクケース11との最短距離X2が、クランク軸111のクランク半径Y1未満になる。クランク軸中心基準線Uは、シリンダ12のシリンダ軸線T及びクランク軸111のクランク軸線Sの両方と直交する直線として定義される。第一領域A1は、クランク軸中心基準線Uにより画成される2つの領域のうち、シリンダ12を含む領域として定義される。第二領域A2は、クランク軸中心基準線Uにより画成される2つの領域のうち、第一領域A1ではない領域を指す。
(C)クランクケース11が、クランク軸線S方向に見て、クランク軸中心基準線U上において、吸気系30と、排気系40の往路部41及び復路部42との間に位置するように配置される。往路部41は、排気系40のうち、シリンダヘッド13から第一領域A1を通って第二領域A2へ延びる部分を指し、復路部42は、排気系40のうち、往路部41と接続され、第二領域A2から第一領域A1へ延びる部分を指す。
また、エンジン駆動電力供給ユニット1は、クランク軸111の機械的な回転動力をエンジン駆動電力供給ユニット1の外部に取り出さないように構成される。
【0039】
本実施形態のエンジン駆動電力供給ユニット1では、吸気系30及び排気系40を(A)を満たすように配置したうえで(B)を満たすように配置することで、吸気系30及び排気系40を発電用エンジン10のクランクケース11に、クランク半径Y1よりも近づけることができる。これにより、エンジン駆動電力供給ユニット1をコンパクトに構成することができる。更に、エンジン駆動電力供給ユニット1では、吸気系30及び排気系40を(C)を満たすように配置することにより、音を抑えて出力性能を取得できるように吸気系30及び排気系40の長さを得つつ、吸気系30及び排気系40を発電用エンジン10に近づけることができる。従って、本実施形態では、エンジン駆動電力供給ユニット1を、コンパクトに構成しつつ、音を抑えて出力性能を得ることができる。
【0040】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態について説明する。図2は、本発明の第2実施形態に係るエンジン駆動電力供給ユニット2の構成を拡大して示す左側面図である。本実施形態では、エンジン駆動電力供給ユニット2が、下記のように構成される。本実施形態において第1実施形態と同一の構成には、図1に示すエンジン駆動電力供給ユニット1と同じ符号を付する。
【0041】
図2のエンジン駆動電力供給ユニット2の吸気系30及び排気系40は、クランクケース11が、クランク軸線S方向に見て、クランク軸中心基準線U上において、吸気系30と、排気系40の往路部41、復路部42及び再往路部43との間に位置するように配置される。再往路部43は、排気系40のうち、復路部42と接続され、第一領域A1から第二領域A2へ延びる部分を指す。本実施形態のエンジン駆動電力供給ユニット2は、コンパクトに構成しつつ、排気系40の長さを得ることにより音を抑えて出力性能を得ることができる。
【0042】
また、本実施形態においては、排気系40の往路部41に、触媒411を配置することができる。また、排気系40の復路部42に、チャンバ421を配置することができる。これにより、本実施形態のエンジン駆動電力供給ユニット2は、シリンダヘッド13からの排気通路の距離を稼ぐことにより排気系40の長さを得ることができるため、音を抑えて出力性能を得ることができる。
【0043】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態について説明する。図3は、本発明の第3実施形態に係るエンジン駆動電力供給ユニット3の構成を拡大して示す左側面図である。本実施形態では、エンジン駆動電力供給ユニット3が、下記のように構成される。本実施形態において第1実施形態と同一の構成には、図1に示すエンジン駆動電力供給ユニット1と同じ符号を付する。
図3のエンジン駆動電力供給ユニット3の吸気系30は、シリンダヘッド13に接続された吸気通路31と、吸気通路31が挿入されるエアクリーナ32とを有する。吸気通路31は、エアクリーナ32への挿入部分Z1が、吸気通路31の入り口311と、入り口311が対向しているエアクリーナ32の内壁322との距離Z2よりも長い。これにより、本実施形態のエンジン駆動電力供給ユニット3では、吸気系30を長くして出力性能を得ることができる。
【0044】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態について説明する。図4は、本発明の第4実施形態に係るエンジン駆動電力供給ユニット4の構成を拡大して示す左側面図である。本実施形態では、エンジン駆動電力供給ユニット4が、下記のように構成される。本実施形態において第1実施形態と同一の構成には、図1に示すエンジン駆動電力供給ユニット1と同じ符号を付する。
【0045】
図4のエンジン駆動電力供給ユニット4は、燃料タンク50を構成の一部に含まない。従って、エンジン駆動電力供給ユニット4は、燃料タンク50は別途取り付けられる。従って、本実施形態のエンジン駆動電力供給ユニット5は、コンパクトに構成することができる。
【0046】
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態について説明する。図5は、本発明の第5実施形態に係るシリーズハイブリッド式鞍乗型車両100を拡大して示す左側面図である。本実施形態では、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両100のエンジン駆動電力供給ユニット5として、上記第1実施形態から第4実施形態の何れかのエンジン駆動電力供給ユニットが搭載される。本実施形態において第1実施形態と同一の構成には、図1に示すエンジン駆動電力供給ユニット1と同じ符号を付する。
図5で、Fは、鞍乗型車両1における前方向を示す。Bは、鞍乗型車両1における後方向を示す。FBは、鞍乗型車両1における前後方向を示す。Uは、鞍乗型車両1における上方向を示す。Dは、鞍乗型車両1における下方向を示す。UDは、鞍乗型車両1における上下方向を示す。
【0047】
図5のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両100は、エンジン駆動電力供給ユニット5と、駆動輪110と、駆動モータ120とを備える。エンジン駆動電力供給ユニット5は、第1実施形態から第4実施形態の何れかの実施形態のエンジン駆動電力供給ユニットである。駆動輪110は、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両100を駆動する。駆動モータ120は、エンジン駆動電力供給ユニット5から蓄電装置130を介して又は介さずに電力が供給され、駆動輪110を駆動する。シリーズハイブリッド式鞍乗型車両100は、クランク軸111の回転により出力される動力が駆動輪110に機械的に伝達されず、且つ駆動輪110が駆動モータ120によって駆動されるように構成されている。
【0048】
本実施形態のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両100は、コンパクトに構成されたエンジン駆動電力供給ユニット5を備えるため、小型軽量にすることができる。
【0049】
本実施形態のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両100の発電用エンジン10は、水冷エンジンとすることができる。これにより、エンジン駆動電力供給ユニットの発電用エンジンは、空冷エンジンのように、冷却フィン及び冷却ファン等を設けなくてもよいため、エンジンをコンパクトにしつつ、発電用エンジンの出力性能を得ることができる。
【0050】
本実施形態のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両100の発電用エンジン10は、単気筒エンジンである。本実施形態の発電用エンジン10は、2気筒エンジンであってもよい。本実施形態の発電用エンジンが2気筒エンジンである場合、2気筒エンジンは、各々のシリンダのシリンダ軸線Tが、互いに並行である。各々のシリンダのシリンダ軸線Tが、互いに並行である2気筒エンジンの例としては、並列型2気筒エンジン又は水平対向型2気筒エンジンが挙げられる。発電用エンジン10が2気筒エンジンである場合、1つのシリンダに対して、エンジン駆動電力供給ユニット5の吸気系30及び排気系40が上記(A)から(C)の要件を満たすように配置されていればよい。
【0051】
(変形例)
図5のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両100では、上記第1実施形態から第4実施形態のエンジン駆動電力供給ユニットの発電用エンジン10は、クランク軸線Sの方向が左右方向を向き、シリンダ軸線Tが前後方向FBを向いている。但し、この場合、シリンダ軸線Tを、上下方向UDに向けることができる(変形例1)。
また、図5のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両100では、上記第1実施形態から第4実施形態のエンジン駆動電力供給ユニットの発電用エンジン10は、クランク軸111の方向を前後方向FBに向けることができる。この時、シリンダ12のシリンダ軸線Tを、上下方向UD(変形例2)又は左右方向(クランク軸線S方向)(変形例3)に向けることができる。また、発電用エンジン10が水平対向型エンジンである場合、変形例3と同様に発電用エンジン10のクランク軸111の方向を前後方向FBに向け、シリンダ12のシリンダ軸線Tを左右方向に向けることができる(変形例4)。変形例4では、水平対向型エンジンについても、コンパクトに構成しつつ、音を抑えて出力性能を得ることができる。
【0052】
以下、上記実施形態及び変形例を表にして示す。
【0053】
【表1】
【符号の説明】
【0054】
1~5 エンジン駆動電力供給ユニット
10 発電用エンジン
11 クランクケース
12 シリンダ
13 シリンダヘッド
20 発電機
30 吸気系
31 吸気通路
32 エアクリーナ
40 排気系
41 往路部
42 復路部
43 再往路部
100 シリーズハイブリッド式鞍乗型車両
111 クランク軸
図1
図2
図3
図4
図5