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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】液体循環システム
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/00 20230101AFI20241108BHJP
   C02F 1/44 20230101ALI20241108BHJP
   C02F 1/42 20230101ALI20241108BHJP
【FI】
C02F1/00 S
C02F1/00 B
C02F1/00 V
C02F1/44 B
C02F1/44 J
C02F1/42 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023098744
(22)【出願日】2023-06-15
【審査請求日】2024-03-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000245531
【氏名又は名称】野村マイクロ・サイエンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鬼頭 貴次
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-162569(JP,A)
【文献】特開昭64-038185(JP,A)
【文献】特開昭64-038186(JP,A)
【文献】特開平02-056293(JP,A)
【文献】特開2012-050971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F1/00-1/78
C02F9/00-9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留するタンクと、
前記タンクから供給された液体にそれぞれ異なる処理を行う複数の処理部と、
前記タンク内の液体を複数の前記処理部を経由して供給先であるユースポイントに供給する供給配管と、前記ユースポイントから液体を前記タンクに戻す返送配管と、を備えた循環経路と、
前記供給配管における複数の前記処理部の途中に設けられ、液体を前記ユースポイントの側に供給する第1のポンプと、
前記返送配管に設けられ、前記返送配管の内部の圧力を検出する第1の圧力検出部と、
前記返送配管における前記第1の圧力検出部の下流側に設けられ、前記第1の圧力検出部によって検出された圧力に応じて、前記返送配管の内部の圧力を調整する調整弁と、
前記供給配管における複数の前記処理部のうちの最下流の処理部と前記ユースポイントとの間に設けられ、前記供給配管の内部の液体の流量を検出する流量検出部と、
前記流量検出部によって検出された流量に応じて、前記供給配管を流れる液体が所定の流量となるように前記第1のポンプを制御する第1のポンプ制御部と、
を有する液体循環システム。
【請求項2】
前記供給配管における前記タンクの下流側に設けられ、前記タンク内の液体を複数の前記処理部の側に供給する第2のポンプと、
前記供給配管における前記第1のポンプの上流側に設けられ、前記供給配管の内部の圧力を検出する第2の圧力検出部と、
前記第2の圧力検出部によって検出された圧力に応じて、前記供給配管の内部の圧力が所定の圧力となるように前記第2のポンプを制御する第2のポンプ制御部と、
を有する請求項1に記載の液体循環システム。
【請求項3】
前記第1の圧力検出部は、前記返送配管における前記ユースポイントとの分岐の最後段から、該最後段と前記タンクとの間の前記返送配管の長さの20%未満のところに設けられている請求項1に記載の液体循環システム。
【請求項4】
前記第1のポンプは、前記供給配管の圧力の不足分を加圧して液体を供給するブースタポンプである請求項1に記載の液体循環システム。
【請求項5】
複数の前記処理部は、
前記最下流の処理部を構成し、限外濾過膜を備えた濾過装置と、
前記濾過装置の直前の上流側に設けられ、イオン交換樹脂を備えたイオン交換装置と、を含み、
前記イオン交換装置は、前記供給配管に並列に接続され、液体がそれぞれ導入され、かつ排出される2以上のイオン交換樹脂処理部を有する請求項1に記載の液体循環システム。
【請求項6】
前記イオン交換装置のメンテナンス時に、一の前記イオン交換樹脂処理部を停止し、他の前記イオン交換樹脂処理部を通った液体を前記濾過装置に供給する構成とされている請求項に記載の液体循環システム。
【請求項7】
前記イオン交換装置のメンテナンス時に、
液体を一の前記イオン交換樹脂処理部に導入して前記イオン交換樹脂を洗浄し、洗浄した液を前記供給配管以外の排出路に排出し、
液体を他の前記イオン交換樹脂処理部に導入し、他の前記イオン交換樹脂処理部を通った液体を前記濾過装置に供給する構成とされている請求項に記載の液体循環システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体循環システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、純水を製造する装置が知られている。
【0003】
下記特許文献1には、タンク内の純水を循環ラインに流通させるポンプと、ポンプの下流側で循環ラインから分岐してユースポイントに接続された送水ラインと、を備えた純水製造装置が開示されている。この純水製造装置では、送水ラインへの純水の流通の有無又は送水ラインを流れる純水の流量変化を検知した結果に基づいて、ポンプの回転数を切り替える制御手段が設けられている。
【0004】
下記特許文献2には、タンク内の液体をユースポイントに供給するポンプと、ユースポイントから返送される液体をタンクに戻す配管と、配管内の戻り圧力を測定する圧力計と、配管内の戻り流量を測定する流量計と、を備えた液体供給装置が開示されている。この液体供給装置では、戻り圧力及び戻り流量に基づいて、戻り圧力を調整するための圧力調整手段を制御する制御部が設けられている。制御部は、戻り流量に基づいて戻り圧力の目標値を決定し、戻り圧力が目標値となるように圧力調整手段を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2023-8823号公報
【文献】特許第7011958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
超純水のユースポイントでの使用量は、ユースポイントに設置された半導体等の製造装置の稼働状況等によって変化する。また、半導体等の製造装置においては、常に圧力一定の超純水が求められ、圧力の変動が起きると、製造する半導体等の歩留まりに影響する恐れがある。したがって、超純水製造装置には、流量が変動しても、常に圧力一定で供給することが求められる。
特に、50m/h以上の処理流量の超純水製造装置の場合、超純水製造装置自体の規模が大きくなるとともに、複数並列に超純水製造装置が設置される場合も多く、さらに、ユースポイント、すなわち、工場の規模が大きくなるので、超純水製造装置の末端(UF)からユースポイントまでの供給配管の距離が長くなる。同時に、戻り配管も長くなり、供給配管および戻り配管での圧力損失が大きくなってしまう。
【0007】
特許文献1に記載の純水製造装置では、ポンプの下流側で循環ラインから分岐してユースポイントに接続された送水ラインを備えている。このため、ユースポイントを経由した純水をタンクに返送させる循環経路を備えた装置には、特許文献1に記載の純水製造装置の構成を適用することができず、改善の余地がある。また、ユースポイントへの送水ラインは、通常、複数備えられるので、この各々の流量を正確に測定する必要があり、流量計を多数備える必要がある。測定器が増えると、水質悪化源が増加することにもなる。
【0008】
また、特許文献2に記載の液体供給装置では、戻り流量に基づいて戻り圧力の目標値を決定し、戻り圧力が目標値となるように圧力調整手段を制御している。例えば、ユースポイントに液体を供給する供給配管内の圧力に基づいてポンプの回転数を制御する構成では、圧力調整手段を制御するときの戻り圧力の目標値を変更すると、ユースポイントに供給される液体の流量が変化し、水質が悪化する可能性がある。また、制御系が複雑になるため、実用性にも難がある。
【0009】
本開示は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ユースポイントでの液体の使用の有無にかかわらず、ユースポイントに供給される液体の流量の変動を抑制することができる液体循環システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明者は誠意検討を行った結果、超純水装置末端からユースポイントまでの供給配管および返送配管における流量変動がユースポイントの圧力変動の原因であることを見出し、本開示の技術を完成させた。
上記問題点を解決するために、第1態様に記載の液体循環システムは、液体を貯留するタンクと、前記タンクから供給された液体にそれぞれ異なる処理を行う複数の処理部と、前記タンク内の液体を複数の前記処理部を経由して供給先であるユースポイントに供給する供給配管と、前記ユースポイントから液体を前記タンクに戻す返送配管と、を備えた循環経路と、前記供給配管における複数の前記処理部の途中に設けられ、液体を前記ユースポイントの側に供給する第1のポンプと、前記返送配管に設けられ、前記返送配管の内部の圧力を検出する第1の圧力検出部と、前記返送配管における前記第1の圧力検出部の下流側に設けられ、前記第1の圧力検出部によって検出された圧力に応じて、前記返送配管の内部の圧力を調整する調整弁と、前記供給配管における複数の前記処理部のうちの最下流の処理部と前記ユースポイントとの間に設けられ、前記供給配管の内部の液体の流量を検出する流量検出部と、前記流量検出部によって検出された流量に応じて、前記供給配管を流れる液体が所定の流量となるように前記第1のポンプを制御する第1のポンプ制御部と、を有する。
【0011】
第1態様に記載の液体循環システムによれば、供給配管と返送配管とを備えた液体の循環経路が設けられており、タンク内の液体が供給配管によって複数の処理部を経由して供給先であるユースポイントに供給される。複数の処理部では、タンクから供給された液体にそれぞれ異なる処理が行われる。さらに、ユースポイントから液体が返送配管によってタンクに戻される。これにより、液体が循環経路を循環される。
返送配管には第1の圧力検出部が設けられており、第1の圧力検出部によって返送配管の内部の圧力が検出される。返送配管における第1の圧力検出部の下流側には、調整弁が設けられており、第1の圧力検出部によって検出された圧力に応じて、調整弁により返送配管の内部の圧力が調整される。
さらに、供給配管における複数の処理部のうちの最下流の処理部とユースポイントとの間には、流量検出部が設けられており、流量検出部によって供給配管の内部の液体の流量が検出される。そして、流量検出部によって検出された流量に応じて、第1のポンプ制御部により、供給配管を流れる液体が所定の流量となるように第1のポンプが制御される。これにより、流量検出部からユースポイントに供給される流量の変動が抑制される。このため、ユースポイントでの液体の使用の有無にかかわらず、ユースポイントに供給される液体の流量の変動を抑制することができる。また、流量の変動が小さいため、流量の変動による超純水の水質の悪化が最小限に抑制される。
【0012】
第2態様に記載の液体循環システムは、第1態様に記載の液体循環システムにおいて、前記供給配管における前記タンクの下流側に設けられ、前記タンク内の液体を複数の前記処理部の側に供給する第2のポンプと、前記供給配管における前記第1のポンプの上流側に設けられ、前記供給配管の内部の圧力を検出する第2の圧力検出部と、前記第2の圧力検出部によって検出された圧力に応じて、前記供給配管の内部の圧力が所定の圧力となるように前記第2のポンプを制御する第2のポンプ制御部と、を有する。
【0013】
第2態様に記載の液体循環システムによれば、供給配管におけるタンクの下流側に第2のポンプが設けられており、第2のポンプによってタンク内の液体が複数の処理部の側に供給される。供給配管における第1のポンプの上流側に第2の圧力検出部が設けられており、第2の圧力検出部によって、供給配管の内部の圧力が検出される。そして、第2のポンプ制御部により、他の圧力検出部によって検出された圧力に応じて、供給配管の内部の圧力が所定の圧力となるように第2のポンプが制御される。このため、タンク内の液体を第2のポンプにより供給配管を通じて複数の処理部の側に供給する際に、第2の圧力検出部の位置での供給配管の内部の圧力の変動を抑制することができる。
【0014】
第3態様に記載の液体循環システムは、第1態様に記載の液体循環システムにおいて、前記第1の圧力検出部は、前記返送配管における前記ユースポイントとの分岐の最後段から、該最後段と前記タンクとの間の前記返送配管の長さの20%未満のところに設けられている。
【0015】
第3態様に記載の液体循環システムによれば、第1の圧力検出部は、返送配管におけるユースポイントとの分岐の最後段から、該最後段とタンクとの間の返送配管の長さの20%未満のところに設けられている。例えば、タンクとユースポイントとの間の返送配管の長さが長い場合に、第1の圧力検出部が返送配管におけるユースポイントとの分岐の最後段から、該最後段とタンクとの間の返送配管の長さの20%以上のところに設けられている構成では、ユースポイントで液体を使用し始めると、返送配管の口径が同じであると返送配管の液体の流量が減少し、圧力損失が減る。したがって、ユースポイントとの分岐の最後段から返送配管の長さの20%以上のところに設けられた第1の圧力検出部では、調整弁によって返送配管の内部の圧力が適切に調整されない可能性がある。
これに対し、第1の圧力検出部が返送配管におけるユースポイントとの分岐の最後段から返送配管の長さの20%未満のところに設けられていると、返送配管の液体の流量が減っても、圧力損失の減少を無視できるようになる。このため、第1の圧力検出部によって検出された圧力に応じて、調整弁により、返送配管の内部の圧力を適切に調整することができる。
【0016】
第4態様に記載の液体循環システムは、第1態様に記載の液体循環システムにおいて、前記第1の圧力検出部は、前記返送配管における前記タンクよりも前記ユースポイントとの分岐の最後段に近い側であって、前記返送配管の液体の流量が最大と最小のときの差圧を比較したとき、前記差圧が9.8kPa以内となるところに設けられている。
【0017】
第4態様に記載の液体循環システムによれば、第1の圧力検出部は、返送配管におけるタンクよりもユースポイントとの分岐の最後段に近い側であって、返送配管の液体の流量が最大と最小のときの差圧が9.8kPa以内となるところに設けられている。例えば、タンクとユースポイントとの間の返送配管の長さが長い場合に、第1の圧力検出部が返送配管におけるユースポイントとの分岐の最後段よりもタンクに近い側で返送配管の液体の流量が最大と最小のときの差圧が9.8kPaより大きいところに設けられている構成では、ユースポイントで液体を使用し始めると、返送配管の口径が同じであると返送配管の液体の流量が減少し、圧力損失が減る。したがって、タンクに近い位置に設けられた第1の圧力検出部では、調整弁によって返送配管の内部の圧力が適切に調整されない可能性がある。
これに対し、第1の圧力検出部が返送配管におけるタンクよりもユースポイントとの分岐の最後段に近い側であって、返送配管の液体の流量が最大と最小のときの差圧が9.8kPa以内となるところに設けられていると、返送配管の液体の流量が減っても、圧力損失の減少による影響を受けにくくなる。このため、第1の圧力検出部によって検出された圧力に応じて、調整弁により、返送配管の内部の圧力を適切に調整することができる。
【0018】
第5態様に記載の液体循環システムは、第1態様に記載の液体循環システムにおいて、前記第1のポンプは、前記供給配管の圧力の不足分を加圧して液体を供給するブースタポンプである。
【0019】
第5態様に記載の液体循環システムによれば、供給配管における複数の処理部の途中に設けられた第1のポンプは、供給配管の圧力の不足分を加圧して液体を供給するブースタポンプである。これにより、供給配管における複数の処理部のうちの最下流の処理部とユースポイントとの間の流量検出部によって検出された供給配管の内部の液体の流量に応じて、ブースタポンプの出口側の液体の流量を制御しやすくなる。このため、ユースポイントに供給される液体の流量の変動をより確実に抑制することができる。
【0020】
第6態様に記載の液体循環システムは、第1態様に記載の液体循環システムにおいて、複数の前記処理部は、前記最下流の処理部を構成し、限外濾過膜を備えた濾過装置と、前記濾過装置の直前の上流側に設けられ、イオン交換樹脂を備えたイオン交換装置と、を含み、前記イオン交換装置は、前記供給配管に並列に接続され、液体がそれぞれ導入され、かつ排出される2以上のイオン交換樹脂処理部を有する。
【0021】
第6態様に記載の液体循環システムによれば、イオン交換装置は、供給配管に並列に接続された2以上のイオン交換樹脂処理部を有しており、2以上のイオン交換樹脂処理部に液体がそれぞれ導入され、各イオン交換樹脂で処理された液体が排出される。これにより、2以上のイオン交換樹脂処理部のうちの1つを停止し、そのイオン交換樹脂処理部のメンテナスを行い、他のイオン交換樹脂処理部に液体を通すことができる。このため、液体循環システムの運転を継続したまま、2以上のイオン交換樹脂処理部のうちの1つのメンテナンスを行うことができる。
【0022】
第7態様に記載の液体循環システムは、第6態様に記載の液体循環システムにおいて、前記イオン交換装置のメンテナンス時に、一の前記イオン交換樹脂処理部を停止し、他の前記イオン交換樹脂処理部を通った液体を前記濾過装置に供給する構成とされている。
【0023】
第7態様に記載の液体循環システムによれば、イオン交換装置のメンテナンス時に、一のイオン交換樹脂処理部を停止し、他のイオン交換樹脂処理部を通った液体を濾過装置に供給する。
例えば、供給配管における最下流の処理部とユースポイントとの間に設けられた圧力計によって検出された供給配管の内部の圧力に応じて第1のポンプを制御する構成では、ユースポイントの液体の使用量の変更とイオン交換樹脂処理部の1つの停止とを同時に行った場合、圧力計による第1のポンプの制御と、第1の圧力検出部による調整弁の制御とを行う必要がある。このとき、圧力制御が2つになるため、液体の流量と圧力を予測できず、タイミングによって液体の運転流量が変化し、元の状態に戻せなくなる可能性がある(液体循環システムの液体の運転流量が不安定になる可能性がある)。
これに対し、上記液体循環システムでは、ユースポイントの液体の使用量の変更とイオン交換樹脂処理部の1つの停止とを同時に行った場合に、供給配管における最下流の処理部とユースポイントとの間の流量検出部によって検出された液体の流量に応じて第1のポンプを制御する。このため、流量検出部による第1のポンプの制御と第1の圧力検出部による調整弁の制御となるため、液体循環システムの液体の運転流量を安定させることができる。
【0024】
第8態様に記載の液体循環システムは、第6態様に記載の液体循環システムにおいて、前記イオン交換装置のメンテナンス時に、液体を一の前記イオン交換樹脂処理部に導入して前記イオン交換樹脂を洗浄し、洗浄した液を前記供給配管以外の排出路に排出し、液体を他の前記イオン交換樹脂処理部に導入し、他の前記イオン交換樹脂処理部を通った液体を前記濾過装置に供給する構成とされている。
【0025】
第8態様に記載の液体循環システムによれば、イオン交換装置のメンテナンス時に、液体を一のイオン交換樹脂処理部に導入してイオン交換樹脂を洗浄し、洗浄した液を排出路に排出し、他のイオン交換樹脂処理部を通った液体を濾過装置に供給する。
例えば、供給配管における最下流の処理部とユースポイントとの間に設けられた圧力計によって検出された供給配管の内部の圧力に応じて第1のポンプを制御する構成では、ユースポイントの液体の使用量の変更と一のイオン交換樹脂処理部のイオン交換樹脂を洗浄とを同時に行った場合、圧力計による第1のポンプの制御と、第1の圧力検出部による調整弁の制御とを行う必要がある。このとき、圧力制御が2つになるため、液体の流量と圧力を予測できず、タイミングによって液体の運転流量が変化し、元の状態に戻せなくなる可能性がある(液体循環システムの液体の運転流量が不安定になる可能性がある)。
これに対し、上記液体循環システムでは、ユースポイントの液体の使用量の変更と一のイオン交換樹脂処理部のイオン交換樹脂を洗浄とを同時に行った場合に、供給配管における最下流の処理部とユースポイントとの間の流量検出部によって検出された液体の流量に応じて第1のポンプを制御する。このため、流量検出部による第1のポンプの制御と第1の圧力検出部による調整弁の制御となるため、液体循環システムの液体の運転流量を安定させることができる。
【発明の効果】
【0026】
本開示の液体循環システムによれば、ユースポイントでの液体の使用の有無にかかわらず、ユースポイントに供給される液体の流量の変動を抑制することができる。
【0027】
本開示の技術は、循環系をもつ液体供給装置および液体供給システムに広く適用可能であるが、超純水製造装置および超純水製造システムに好適に適用可能である。特に、50m/h以上の供給量の超純水製造装置および超純水製造システム、および、または、複数並列に供えられた超純水製造装置および超純水製造システムに、より好適に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】第1実施形態の液体循環システムを示す構成図である。
図2】第1実施形態の液体循環システムの第2イオン交換装置及び限外濾過膜と、ユースポイントを示す構成図である。
図3】第1実施形態の液体循環システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
図4】第1実施形態の液体循環システムの第2イオン交換装置及び限外濾過膜と、ユースポイントを示す構成図であって、ユースポイントで液体を使用した状態を示す図である。
図5】第1実施形態の液体循環システムの第2イオン交換装置及び限外濾過膜と、ユースポイントを示す構成図であって、第1イオン交換樹脂処理部を停止した状態を示す図である。
図6】第1実施形態の液体循環システムの第2イオン交換装置及び限外濾過膜と、ユースポイントを示す構成図であって、第1イオン交換樹脂処理部の樹脂洗浄を行っている状態を示す図である。
図7】第1比較例の液体循環システムを示す構成図である。
図8】第1比較例の液体循環システムの第2イオン交換装置及び限外濾過膜と、ユースポイントを示す構成図である。
図9】第1比較例の液体循環システムの第2イオン交換装置及び限外濾過膜と、ユースポイントを示す構成図であって、ユースポイントで液体を使用した状態を示す図である。
図10】第2比較例の液体循環システムの第2イオン交換装置及び限外濾過膜と、ユースポイントを示す構成図であって、ユースポイントで液体を使用した状態を示す図である。
図11】第1比較例の液体循環システムの第2イオン交換装置及び限外濾過膜と、ユースポイントを示す構成図であって、ユースポイントで液体を使用せずに第1イオン交換樹脂処理部を停止した状態を示す図である。
図12】第1比較例の液体循環システムの第2イオン交換装置及び限外濾過膜と、ユースポイントを示す構成図であって、ユースポイントで液体を使用し、かつ第1イオン交換樹脂処理部を停止した状態を示す図である。
図13】第1比較例の液体循環システムの第2イオン交換装置及び限外濾過膜と、ユースポイントを示す構成図であって、ユースポイントで液体を使用せずに第1イオン交換樹脂処理部の樹脂洗浄を行っている状態を示す図である。
図14】第1比較例の液体循環システムの第2イオン交換装置及び限外濾過膜と、ユースポイントを示す構成図であって、ユースポイントで液体を使用し、かつ第1イオン交換樹脂処理部の樹脂洗浄を行っている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本開示の実施の形態を図面に基づいて説明する。各図面において、本開示と関連性の低いものは図示を省略している。
【0030】
[液体循環システムの全体構成]
図1には、第1実施形態の液体循環システムの全体構成が示されている。第1実施形態の液体循環システムでは、液体の一例として超純水を供給、回収する例として説明する。
【0031】
図1に示すように、液体循環システム10は、前処理装置12、一次純水装置14、純水タンク16、二次純水装置20、及びユースポイント50を有している。さらに、二次純水装置20は、循環ポンプ(P1)22、熱交換器(HEX)24、紫外線照射装置(UV)26、第1イオン交換装置(ポリッシャー-1)28、膜脱気装置(MDG)30、ブースタポンプ(P2)32、第2イオン交換装置(ポリッシャー-2)34、及び限外濾過装置(UF)36を有している。
【0032】
また、液体循環システム10は、純水タンク16内の液体(第1実施形態では後述する一次純水)を、二次純水装置20を経由して供給先であるユースポイント50に供給する供給配管62と、ユースポイント50から液体を純水タンク16に戻す返送配管64と、を備えている。液体循環システム10では、供給配管62と返送配管64とによって、純水タンク16の液体を循環させる循環経路60が構成されている。二次純水装置20の内部の熱交換器24、紫外線照射装置26、第1イオン交換装置28、膜脱気装置30、第2イオン交換装置34、及び限外濾過装置36は、液体にそれぞれ異なる処理を行う複数の処理部の一例である。
【0033】
また、液体循環システム10は、液体循環システム10の各部を制御する制御装置80を備えている。なお、図1では、1つの制御装置80が示されているが、制御装置80は、離れた場所に配置された複数の制御部によって構成されていてもよい。
【0034】
また、液体循環システム10は、供給配管62における膜脱気装置30と第2イオン交換装置34との間に設けられた圧力検出器(PT1)40と、供給配管62における最下流の限外濾過装置36とユースポイント50との間に設けられた流量検出器(FT1)と、備えている。さらに、液体循環システム10は、返送配管64に設けられた圧力検出器(PT2)66と、返送配管64における圧力検出器66の下流側に設けられた調整弁68と、を備えている。
【0035】
(前処理装置)
前処理装置12には、原水が供給される。前処理装置12は、供給された原水に対し、凝集沈澱手段や、砂濾過手段、膜濾過手段などを用いて原水を除濁し、懸濁物質及び有機物の一部が除去された前処理水を得る。原水としては、工業用水、水道水、地下水、河川水等を挙げることができる。
【0036】
(一次純水装置)
一次純水装置14では、前処理装置12で処理して得られた前処理水に対し、さらに清浄化処理を行って、前処理水から不純物を除去し、一次純水を得る。具体的には、不純物イオンの除去を行う脱塩装置、無機イオン、有機物、微粒子等の除去を行う逆浸透膜装置、溶存酸素等の溶存ガスの除去を行う真空脱気装置又は膜脱気装置、残存するイオン等を除去する再生型混床式脱塩装置や電気再生式脱塩装置、等の各種装置を有する。
【0037】
(純水タンク)
一次純水装置14で得られた一次純水は、純水タンク16へ送水される。純水タンク16は、タンクの一例であり、一次純水装置14で得られた一次純水を一時的に貯留する容器である。純水タンク16としては、容器からの成分溶出や錆の発生等がなく、一次純水を安定して貯留できるものであれば、その材質や形状等は特に限定されない。例えば、繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastics)、ポリエチレン、SUS304、SUS316、及びそれらをポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂でライニングしたもの等の材質が好ましく使われる。また、純水タンク16の上部は、炭酸ガス、酸素等の不純物ガスの吸収を防ぐため、純窒素でパージされていることが好ましい。
【0038】
純水タンク16は、後述するように、製造された超純水のうちユースポイント50で未使用の超純水を循環回収する際、上記の一次純水と混合して貯留する。純水タンク16に貯留された一次純水とユースポイントから戻された超純水との混合水についても、以下「一次純水」と称する。
【0039】
(二次純水装置)
図1に示すように、二次純水装置20では、供給配管62における純水タンク16の下流側に設けられた循環ポンプ22により、純水タンク16から一次純水が熱交換器24の側に供給される。循環ポンプ22は、第2のポンプの一例である。循環ポンプ22には、電源44が接続されている。
【0040】
また、二次純水装置20では、供給配管62における膜脱気装置30と第2イオン交換装置34との間に設けられたブースタポンプ32により、二次純水装置20によって製造された超純水がユースポイント50の側に供給される。ブースタポンプ32は、供給配管62の圧力の不足分を加圧して一次純水を供給するポンプである。ブースタポンプ32は、第1のポンプの一例である。ブースタポンプ32には、電源46が接続されている。
【0041】
二次純水装置20の熱交換器24では、一次純水に対する熱交換(加熱又は冷却)により、一次純水の熱交換による温度調整を行う。熱交換器24としては、例えば、プレート型の熱交換器を挙げることができるが、具体的構造は特に限定されない。
【0042】
熱交換器24で温度調整された一次純水は、紫外線照射装置26へ送水される。紫外線照射装置26では、一次純水に対して紫外線を照射することにより、一次純水中の有機物の分解や生菌の殺菌を行う。紫外線照射装置26としては、例えば、185nm付近の波長や254nm付近の波長を照射可能な紫外線ランプを備えたものであれば、一次純水中の有機物の分解や殺菌を確実に行うことが可能である。用いる紫外線ランプとしては特に限定されないが、低圧水銀ランプが、取り扱いの容易さの点で好ましい。
【0043】
第1イオン交換装置28は、紫外線照射装置26で生じた過酸化水素、有機酸などの不純物イオンをイオン交換樹脂により除去する装置である。イオン交換樹脂としては、例えば、アニオン樹脂、アニオン樹脂とカチオン樹脂を混合した混床樹脂が用いられる。第1イオン交換装置28は、例えば、円筒形の密閉容器に、イオン交換樹脂が充填された構造である。
【0044】
膜脱気装置30は、水分を透過させず気体は透過させる気体分離膜を用いて、一次純水中の気体、特に溶存酸素を除去する装置である。膜脱気装置30で処理された一次純水は、溶存酸素の濃度が低い状態となる。膜脱気装置30によって溶存酸素濃度を低下された一次純水は、ブースタポンプ32により第2イオン交換装置34へ送水される。
【0045】
第2イオン交換装置34は、第1イオン交換装置28と同様に、有機酸などの不純物イオンをイオン交換樹脂により除去する装置である。イオン交換樹脂としては、例えば、アニオン樹脂、アニオン樹脂とカチオン樹脂を混合した混床樹脂が用いられる。なお、二次純水装置20では、第1イオン交換装置28が設けられているが、第1イオン交換装置28を設けずに第2イオン交換装置34のみを設ける構成でもよい。第2イオン交換装置34によって不純物イオンを除去された一次純水は、限外濾過装置36へ送水される。第2イオン交換装置34の構成については、後に説明する。
【0046】
限外濾過装置36は、限界濾過膜を備えており、限界濾過膜により微粒子を除去して超純水を製造する装置である。限外濾過装置36は、濾過装置の一例である。限外濾過装置36は、二次純水装置20内の供給配管62の供給方向の末端に配置されており、二次純水装置20の内部の最下流の処理部を構成している。二次純水装置20によって得られた超純水は、供給配管62により使用場所であるユースポイント50に供給される。限外濾過装置36の構成については、後に説明する。なお、本開示において、限外濾過装置の出口側が超純水装置の末端である。
【0047】
なお、二次純水装置20においては、例えば、PtやPd金属を担持した触媒樹脂や亜硫酸基、亜硫酸水素基、亜硝酸基等を担持した還元性樹脂の供えられた酸化剤除去装置、ほう素選択性イオン交換装置を設置することもできる。また、これらの装置の樹脂を第1イオン交換装置、もしくは、第2イオン交換装置内に充填することも可能である。
【0048】
圧力検出器40は、膜脱気装置30とブースタポンプ32との間で供給配管62の内部の圧力を検出する。圧力検出器40は、第2の圧力検出部の一例である。圧力検出器40として、例えば、圧力トランスミッターが用いられている。圧力トランスミッターは、圧力のデータを信号化し電波として発する通信装置である。制御装置80は、圧力検出器40によって検出された圧力に応じて、供給配管62の内部の圧力が所定の圧力となるように循環ポンプ22を制御する。循環ポンプ22の制御については後に説明する。
【0049】
流量検出器42は、二次純水装置20内の最下流の限外濾過装置36とユースポイント50との間で、供給配管62の内部の超純水の流量を検出する。流量検出器42は、流路検出部の一例である。流量検出器42として、例えば、流量トランスミッターが用いられている。流量トランスミッターは、流量のデータを信号化し電波として発する通信装置である。制御装置80は、流量検出器42によって検出された流量に応じて、供給配管62を流れる超純水が所定の流量となるようにブースタポンプ32を制御する。ブースタポンプ32の制御については後に説明する。
【0050】
図2には、第2イオン交換装置34、限外濾過装置36、及びユースポイント50付近の構成が示されている。図2に示すように、第2イオン交換装置34は、供給配管62に並列に接続された第1イオン交換樹脂処理部(ポリッシャー2-1)102、及び第2イオン交換樹脂処理部(ポリッシャー2-2)104を備えている。具体的には、供給配管62は、2つの導入配管106A、106Bに分岐されており、導入配管106Aが第1イオン交換樹脂処理部102に接続され、導入配管106Bが第2イオン交換樹脂処理部104に接続されている。これにより、供給配管62から一次純水が導入配管106A、106Bを介してそれぞれ第1イオン交換樹脂処理部102、第2イオン交換樹脂処理部104に導入される。導入配管106A、106Bには、それぞれ流路を開閉する弁107A、107Bが設けられている。
【0051】
第1イオン交換樹脂処理部102には、排出配管108Aが接続され、第2イオン交換樹脂処理部104には、排出配管108Bが接続されている。排出配管108Aと排出配管108Bとは、下流側の供給配管62に合流されている。排出配管108A、108Bには、それぞれ流路を開閉する弁109A、109Bが設けられている。
【0052】
排出配管108A、108Bの途中には、それぞれ排出路110A、110Bが接続されている。排出路110A、110Bには、それぞれ流路を開閉する弁111A、111Bが設けられている。二次純水装置20の通常の使用時には、弁111A、111Bは閉止されている(図2参照)。これにより、第1イオン交換樹脂処理部102で処理された一次純水が排出配管108Aを介して供給配管62に供給され、第2イオン交換樹脂処理部104で処理された一次純水が排出配管108Bを介して供給配管62に供給される。
【0053】
なお、第2イオン交換装置34では、第1イオン交換樹脂処理部102及び第2イオン交換樹脂処理部104が2つ設けられているが、これに代えて、3つ以上のイオン交換樹脂処理部を備える構成でもよい。
【0054】
図2に示すように、限外濾過装置36は、2つの限外濾過膜処理部120A、120Bを備えたユニットとして構成されている。第2イオン交換装置34によって処理された一次純水は、供給配管62を介して2つの限外濾過膜処理部120A、120Bにそれぞれ導入され、限外濾過膜で濾過される。2つの限外濾過膜処理部120A、120Bで濾過された超純水は、供給配管62によりユースポイント50に供給される。
【0055】
(ユースポイント)
図1及び図2に示すように、ユースポイント50では、供給された超純水が使用される。ユースポイント50に供給された超純水のうち、使用されなかった超純水は、返送配管64を経て純水タンク16へ循環回収され、一次純水と一緒に純水タンク16内に貯留される。また、ユースポイント50で超純水を使用しない場合は、二次純水装置20からユースポイント50に供給された超純水は、そのまま返送配管64を経て純水タンク16へ戻される(図2参照)。
【0056】
一例として、ユースポイント50は、二次純水装置20から離れた場所に配置されたクリーンルーム52に設けられている。二次純水装置20の最下流端からユースポイント50の接続部までの供給配管62、及びユースポイント50との分岐から純水タンク16までの返送配管64は、比較的長い流路を構成している。例えば、二次純水装置302の下流側端部からユースポイント50の接続部までの供給配管62の長さL1は、例えば、0.1km以上1.5km以下である。また、返送配管64におけるユースポイント50との分岐から純水タンク16までの返送配管64の長さは、例えば、0.1km以上1.5km以下である。
【0057】
供給配管62や返送配管64の素材としては、特に限定はないが、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、SUS304、SUS316等のステンレス等を用いることが可能であるが、液体が超純水の場合には、PVDFを用いることが好ましい。
【0058】
圧力検出器66は、ユースポイント50に接続された返送配管64に設けられており、返送配管64の内部の圧力を検出する。圧力検出器66は、第1の圧力検出部の一例である。圧力検出器66として、例えば、圧力トランスミッターが用いられている。返送配管64における圧力検出器66の下流側に設けられた調整弁68は、返送配管64の内部の圧力を調整する。
【0059】
圧力検出器66は、返送配管64におけるユースポイント50との分岐から、該分岐と純水タンク16との間の返送配管64の長さの20%未満の位置に設けられていることが好ましく、返送配管64の長さの10%未満の位置に設けられていることがより好ましく、返送配管64の長さの5%未満の位置に設けられていることがさらに好ましい。ここで、返送配管64の長さとは、返送配管64におけるユースポイント50との分岐から純水タンク16との接続部までの長さである。
【0060】
なお、図示を省略するが、液体循環システム10では、循環経路60においてユースポイント50への分岐点が複数設けられていてもよい。この場合は、圧力検出器66は、返送配管64におけるユースポイント50との分岐の最後段から、該最後段と純水タンク16との間の返送配管64の長さの20%未満の位置に設けられていることが好ましい。
【0061】
(液体循環システムのハードウェア構成)
図3には、液体循環システム10のハードウェア構成のブロック図が示されている。図3に示すように、制御装置80は、CPU(Central Processing Unit)81、ROM(Read Only Memory)82、RAM(Random Access Memory)83、ストレージ84、及び入出力インタフェース85の各構成を有する。各構成は、バス86を介して相互に接続されている。
【0062】
CPU81は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU81は、ROM82又はストレージ84からプログラムを読み出し、RAM83を作業領域としてプログラムを実行する。CPU81は、ROM82又はストレージ84に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。第1実施形態では、ROM82又はストレージ84には、液体循環処理プログラムが格納されている。
【0063】
ROM82は、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM83は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ84は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する。
【0064】
入出力インタフェース85には、圧力検出器40、流量検出器42、圧力検出器66、及び調整弁68が接続されている。さらに、入出力インタフェース85には、電源44を介して循環ポンプ22が接続され、電源46を介してブースタポンプ32が接続されている。
【0065】
制御装置80には、供給配管62の圧力検出器40によって検出された圧力の値が入力される。制御装置80は、圧力検出器40によって検出された圧力に応じて、電源44から循環ポンプ22に給電する電気の周波数を制御する。これにより、循環ポンプ22の出口の圧力、流量を調整する。制御装置80は、第2のポンプ制御部の一例である。制御装置80は、圧力検出器40の圧力が予め設定された圧力となるように電源44から循環ポンプ22に給電する電気の周波数を制御する。
【0066】
制御装置80には、供給配管62の流量検出器42によって検出された超純水の流量の値が入力される。制御装置80は、流量検出器42によって検出された超純水の流量に応じて、電源46からブースタポンプ32に給電する電気の周波数を制御する。ブースタポンプ32は、供給配管62の圧力の不足分を加圧して一次純水を供給するポンプである。これにより、ブースタポンプ32の出口の圧力、流量を調整する。制御装置80は、第1のポンプ制御部の一例である。例えば、制御装置80は、流量検出器42の超純水の流量が80m/hとなるように電源46からブースタポンプ32に給電する電気の周波数を制御する(図2参照)。
【0067】
制御装置80には、返送配管64の圧力検出器66によって検出された圧力の値が入力される。制御装置80は、圧力検出器66によって検出された圧力に応じて、調整弁68の開口状態を制御することで、返送配管64の内部の圧力を調整する。例えば、制御装置80は、圧力検出器66の圧力が343kPa(すなわち3.5kgf/cm)となるように調整弁68を制御する(図2参照)。
【0068】
[第1実施形態の作用及び効果]
次に、第1実施形態の作用及び効果について説明する。
【0069】
図1に示すように、液体循環システム10では、供給配管62と返送配管64とを備えた循環経路60が設けられており、純水タンク16内の一次純水が供給配管62によって二次純水装置20を経由してユースポイント50に供給される。二次純水装置20では、熱交換器24、紫外線照射装置26、第1イオン交換装置28、膜脱気装置30、第2イオン交換装置34、及び限外濾過装置36によって一次純水がそれぞれ処理されることで、超純水が得られる。二次純水装置20で得られた超純水は、ユースポイント50に供給される。さらに、ユースポイント50で使用されなかった超純水が返送配管64によって純水タンク16に戻される。
【0070】
図1及び図2に示すように、返送配管64には圧力検出器66が設けられており、圧力検出器66によって返送配管64の内部の圧力が検出される。返送配管64における圧力検出器66の下流側には、調整弁68が設けられており、圧力検出器66によって検出された圧力に応じて、調整弁68により返送配管64の内部の圧力が調整される。
【0071】
さらに、図1及び図2に示すように、供給配管62における二次純水装置20の最下流の限外濾過装置36とユースポイント50との間には、流量検出器42が設けられており、流量検出器42によって供給配管62の内部の液体の流量が検出される。そして、流量検出器42によって検出された流量に応じて、制御装置80により、供給配管62を流れる一次純水が所定の流量となるようにブースタポンプ32が制御される。これにより、供給配管62における流量検出器42からユースポイント50に供給される超純水の流量の変動が抑制される。このため、ユースポイント50での超純水の使用の有無にかかわらず、ユースポイント50に供給される超純水の流量の変動を抑制することができる。
【0072】
また、図1に示すように、液体循環システム10では、供給配管62における純水タンク16の下流側に循環ポンプ22が設けられており、循環ポンプ22によって純水タンク16内の一次純水が二次純水装置20の熱交換器24の側に供給される。供給配管62におけるブースタポンプ32の上流側に圧力検出器40が設けられており、圧力検出器40によって、供給配管62の内部の圧力が検出される。そして、制御装置80により、圧力検出器40によって検出された圧力に応じて、供給配管62の内部の圧力が所定の圧力となるように循環ポンプ22が制御される。このため、純水タンク16内の一次純水を循環ポンプ22により供給配管62を通じて二次純水装置20の熱交換器24の側に供給する際に、圧力検出器40の位置での供給配管62の内部の圧力の変動を抑制することができる。
【0073】
また、液体循環システム10では、供給配管62における膜脱気装置30と第2イオン交換装置34との間にブースタポンプ32が設けられている。これにより、供給配管62における最下流の限外濾過装置36とユースポイント50との間の流量検出器42によって検出された超純水の流量に応じて、ブースタポンプ32の出口側の一次純水の流量を制御しやすくなる。このため、ユースポイント50に供給される超純水の流量の変動をより確実に抑制することができる。
【0074】
(ユースポイントで超純水を使用しない例)
ここで、液体循環システム10において、ユースポイント50で超純水の使用がない例について説明する。図2は、ユースポイント50で超純水の使用がない場合(超純水の使用量が0m/hの場合)が示されている。
【0075】
図2に示すように、制御装置80は、流量検出器42の超純水の流量が80m/hとなるように、ブースタポンプ32に給電する電源46の周波数を制御する。このとき、ユースポイント50では、例えば、要求圧力が343kPa(すなわち、3.5kgf/cm)に対し、実際の圧力が343kPa(すなわち、3.5kgf/cm)である。ユースポイント50での圧力は、図示しない圧力計によって測定される。これにより、供給配管62によりユースポイント50に供給される超純水の流量は、80m/hであり、圧力検出器40の圧力とユースポイント50の圧力との圧力差(ΔP)は、49kPa(すなわち、0.5kgf/cm)となる。
【0076】
この例では、ユースポイント50で超純水の使用がないため、返送配管64により純水タンク16に戻される超純水の流量は、80m/hである。制御装置80は、返送配管64におけるユースポイント50との分岐の側に設けられた圧力検出器66の圧力が343kPa(すなわち、3.5kgf/cm)となるように、調整弁68により返送配管64の内部の圧力を制御する。
【0077】
(ユースポイントで超純水を使用する例)
次に、図4を用いて、液体循環システム10において、ユースポイント50で超純水を使用する例について説明する。
【0078】
図4に示すように、制御装置80は、流量検出器42の超純水の流量が80m/hとなるように、ブースタポンプ32に給電する電源46の周波数を制御する。このとき、ユースポイント50では、要求圧力が343kPa(すなわち、3.5kgf/cm)に対し、実際の圧力が343kPa(すなわち、3.5kgf/cm)である。このため、供給配管62によりユースポイント50に供給される超純水の流量は、80m/hであり、供給配管62の内部の圧力(流量検出器42付近の圧力)とユースポイント50の圧力との圧力差(ΔP)は、49kPa(すなわち、0.5kgf/cm)となる。
【0079】
ユースポイント50では、例えば、超純水の使用量が50m/hであるため、返送配管64により純水タンク16に戻される超純水の流量は、30m/hである。制御装置80は、返送配管64におけるユースポイント50との分岐に近い側に設けられた圧力検出器66の圧力が343kPa(すなわち、3.5kgf/cm)となるように、調整弁68により返送配管64の内部の圧力を制御する。
【0080】
以上のように、液体循環システム10では、ユースポイント50での超純水の使用の有無にかかわらず、ユースポイント50に供給される超純水の流量の変動を抑制することができる。また、液体循環システム10では、超純水の流量の変動が小さいため、流量の変動による超純水の水質の悪化が最小限に抑制される。
【0081】
(圧力検出器の位置)
液体循環システム10では、圧力検出器66は、返送配管64におけるユースポイント50との分岐から、該分岐と純水タンク16との間の返送配管64の長さの20%未満の位置に設けられている。
【0082】
例えば、純水タンクとユースポイントとの間の返送配管の長さが長い場合に、圧力検出部が返送配管におけるユースポイントとの分岐から純水タンク16までの返送配管64の長さの20%以上の位置に設けられている構成では、ユースポイントで超純水を使用し始めると、返送配管の口径が同じであると返送配管の超純水の流量が減少し、圧力損失が減る。したがって、返送配管におけるユースポイントとの分岐から返送配管64の長さの20%以上の位置に設けられた圧力検出部では、調整弁68によって返送配管の内部の圧力が適切に調整されない可能性がある。
【0083】
これに対し、液体循環システム10では、圧力検出器66が返送配管64におけるユースポイント50との分岐から返送配管64の長さの20%未満の位置に設けられており、返送配管64の超純水の流量が減っても、圧力損失の減少を無視できるようになる。このため、圧力検出器66によって検出された圧力に応じて、調整弁68により、返送配管64の内部の圧力を適切に調整することができる。なお、調整弁68は、返送配管64の圧力検出器66の下流であれば、特に設置場所に制限はない。
【0084】
[第1比較例の液体循環システム]
ここで、第1比較例の液体循環システムについて説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0085】
図7に示すように、第1比較例の液体循環システム300は、第1実施形態の液体循環システム10と異なる構成として、二次純水装置302と、制御装置320と、を備えている。二次純水装置302には、最下流の限外濾過装置36とユースポイント50との間に、供給配管62の内部の圧力を検出する第2圧力検出器310が設けられている。制御装置320は、第2圧力検出器310によって検出された圧力に基づき、ブースタポンプ32に給電する電源46の周波数を制御する。すなわち、液体循環システム300では、第1実施形態の液体循環システム10のような流量検出器42(図1参照)は設けられていない。液体循環システム300では、二次純水装置302の下流側端部からユースポイント50の接続部までの供給配管62の長さL2は、例えば、0.5km以上1.5km以下である。
【0086】
また、液体循環システム300では、第1実施形態の液体循環システム10と異なる構成として、返送配管64における調整弁68の上流側であって純水タンク16に近い側に、返送配管64の内部の圧力を検出する第3圧力検出器312が設けられている。制御装置320は、第3圧力検出器66によって検出された圧力に応じて、調整弁68の開口状態を制御することで、返送配管64の内部の圧力を調整する。制御装置320は、例えば、第3圧力検出器312の圧力が294kPa(すなわち、3kgf/cm)となるように、調整弁68の開口状態を制御することで、返送配管64の内部の圧力を調整する。液体循環システム300では、返送配管64におけるユースポイント50との分岐から第3圧力検出器312までの返送配管64の長さは、例えば、0.5km以上1.5km以下である。第3圧力検出器312は、例えば、返送配管64におけるユースポイント50との分岐から返送配管64の長さの80%以上の位置に設けられている。
【0087】
(ユースポイントで超純水を使用しない例)
図8に示すように、第1比較例の液体循環システム300では、ユースポイント50で超純水の使用がない(超純水の使用量が0m/hの)場合、制御装置320は、例えば、第2圧力検出器310の圧力が392kPa(すなわち、4kgf/cm)となるように、ブースタポンプ32に給電する電源46の周波数を制御する。このとき、ユースポイント50では、要求圧力が343kPa(すなわち、3.5kgf/cm)に対し、実際の圧力が343kPa(すなわち、3.5kgf/cm)である。供給配管62によりユースポイント50に供給される超純水の流量は、80m/hであり、第2圧力検出器310の圧力とユースポイント50の圧力との圧力差(ΔP)は、49kPa(すなわち、0.5kgf/cm)となる。
【0088】
ユースポイント50では超純水の使用がないため(超純水の使用量が0m/hのため)、返送配管64により純水タンク16側に流れる超純水の流量は、80m/hである。制御装置320は、返送配管64の第3圧力検出器312の圧力が343kPa(すなわち、3.5kgf/cm)となるように、調整弁68により返送配管64の内部の圧力を制御する。このとき、ユースポイント50の圧力と第3圧力検出器312の圧力との圧力差(ΔP)は、49kPa(すなわち、0.5kgf/cm)となる。
【0089】
(ユースポイントで超純水を使用する例)
図9には、液体循環システム300において、ユースポイント50で超純水を50m/h使用する例が示されている。図9に示すように、返送配管64では、第3圧力検出器312により調整弁68の設定圧力が294kPa(すなわち、3kgf/cm)に制御されている。ユースポイント50で超純水を使用し始めると、返送配管64の口径が同じであると返送配管64の超純水の流量が減少し、圧力損失が減る。例えば、ユースポイント50の圧力と第3圧力検出器312の圧力との圧力差(ΔP)は、49kPa(すなわち、0.5kgf/cm)から29.4kPa(すなわち、0.3kgf/cm)となる。
【0090】
ユースポイント50では、要求圧力が343kPa(すなわち、3.5kgf/cm)に対し、実際の圧力が323.4kPa(すなわち、3.3kgf/cm)であり、圧力が下がる。このとき、第2圧力検出器310の圧力が392kPa(すなわち、4kgf/cm)となるように制御されており、第2圧力検出器310の圧力とユースポイント50の圧力との圧力差(ΔP)は、68.6kPa(すなわち、0.7kgf/cm)となり、圧力損失が増え、供給流量が増える。例えば、供給配管62の超純水の供給流量は、本当は80m/hで流したいが、供給流量は100m/hに増加する。すなわち、供給配管62の超純水の設計流量に対して実際の超純水の供給流量が増加する。このため、圧力の変化が超純水の品質に影響する可能性がある。また、ユースポイントに設置された半導体製造装置等の運転条件が変わるため、製品の歩留まりへの影響も懸念される。
【0091】
なお、第3圧力検出器312と調整弁68は、メンテナンスの都合上、純水タンク16付近に設置することが一般的である。すなわち、第3圧力検出器312と調整弁68をユースポイント付近に設置すると、例えば、純水装置の設置建屋とは異なる建屋、異なる階に、さらにクリーンルーム内部、もしくはクリーンルーム付近に設置されるため、メンテナンス性が著しく損なわれるため、一般的には行われない。
【0092】
[第2比較例の液体循環システム]
次に、第2比較例の液体循環システムについて説明する。なお、前述した第1実施形態及び第1比較例と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0093】
(ユースポイントで超純水を使用する例)
図10には、第2比較例の液体循環システム330において、例えば、ユースポイント50で超純水を50m/h使用する例が示されている。図10は、図9の状態となった直後に、第3圧力検出器312の設定を変化させる例である。すなわち、図10に示すように、第2比較例の液体循環システム330では、第3圧力検出器312の設定圧力を手動で323.4kPa(すなわち、3.3kgf/cm)での制御に変更し、調整弁68の開口を絞る。これにより、第1比較例の液体循環システム330と比較すると、返送配管64により戻される超純水の流量が50m/hから30m/hに減少し、返送配管64の圧力損失が減る。ユースポイント50の圧力は、343kPa(すなわち、3.3+0.2=3.5kgf/cmとなる。さらに、供給配管62の第2圧力検出器310とユースポイント50との圧力差(ΔP)が49kPa(すなわち、0.5kgf/cm)に戻り、供給配管62の超純水の供給量も80m/hに戻る。
【0094】
しかし、液体循環システム330では、第3圧力検出器312の設定圧力を手動でいきなり323.4kPa(すなわち、3.3kgf/cm)での制御に変更すると、超純水の水質が悪化する可能性がある。また、制御装置320は、第2圧力検出器310によるブースタポンプ32の制御と、第3圧力検出器312による調整弁68の制御の2つの圧力制御が必要であるため、運転系統の制御が複雑となる。
【0095】
これに対して、第1実施形態の液体循環システム10では、制御装置80は、供給配管62における限外濾過装置36とユースポイント50との間の流量検出器42の超純水の流量に応じて、ブースタポンプ32に給電する電源46の周波数を制御する。これにより、供給配管62によりユースポイント50に供給される超純水の流量の変動が抑制される。このため、ユースポイント50での超純水の使用の有無にかかわらず、供給配管62によりユースポイント50に供給される超純水の流量の変動を抑制することができる。
【0096】
また、液体循環システム10では、圧力検出器66は、返送配管64におけるユースポイント50との分岐から返送配管64の長さの20%未満の位置に設けられている。このため、返送配管64の超純水の流量が減っても、圧力損失の減少を無視できるようになる。したがって、圧力検出器66によって検出された圧力に応じて、調整弁68により、返送配管64の内部の圧力を適切に調整することができる。
【0097】
[第1実施形態の液体循環システムにおけるメンテナンスの第1例]
次に、第1実施形態の液体循環システム10におけるメンテナンスの第1例について説明する。
【0098】
図5は、液体循環システム10のメンテナンス時に、第2イオン交換装置34の第1イオン交換樹脂処理部102を停止した状態が示されている。図5に示すように、液体循環システム10では、ユースポイント50での超純水の使用量の変更と、第1イオン交換樹脂処理部102とを同時に行っている。ユースポイント50では、超純水の使用量が50m/hである。
【0099】
液体循環システム10では、導入配管106Aの弁107Aを閉止し、排出配管108Aの弁109Aを閉止することで、第1イオン交換樹脂処理部102に一次純水が流れなくなる。これにより、第1イオン交換樹脂処理部102が停止し、第1イオン交換樹脂処理部102のメンテナンスを行うことができる。また、弁111A、111Bも閉止する。また、導入配管106Bの弁107Bを開放し、排出配管108Bの弁109Bを開放することで、第2イオン交換樹脂処理部104のみに一次純水が流れる。第2イオン交換樹脂処理部104で処理された一次純水は、排出配管108Bから供給配管62を経て限外濾過装置36に供給される。
【0100】
制御装置80は、流量検出器42の超純水の流量が80m/hとなるように、ブースタポンプ32に給電する電源46の周波数を制御する。これにより、供給配管62によりユースポイント50に供給される超純水の供給量は、80m/hとなる。
【0101】
ここで、第1実施形態の液体循環システム10の第2イオン交換装置34の構成による作用及び効果について説明する。
【0102】
液体循環システム10では、第2イオン交換装置34は、供給配管62に並列に接続された第1イオン交換樹脂処理部102、第2イオン交換樹脂処理部104を有している。第1イオン交換樹脂処理部102の弁107Aと弁107Aが開放され、第2イオン交換樹脂処理部104の弁107Bと弁109Bが開放された状態では、第1イオン交換樹脂処理部102と第2イオン交換樹脂処理部104にそれぞれ一次純水が導入され、第1イオン交換樹脂処理部102と第2イオン交換樹脂処理部104で処理された一次純水が排出される(図4参照)。このような構成では、第1イオン交換樹脂処理部102及び第2イオン交換樹脂処理部104の一方を停止してメンテナンスを行い、第1イオン交換樹脂処理部102及び第2イオン交換樹脂処理部104の他方に一次純水を通すことができる。このため、液体循環システム10の運転を継続したまま、第1イオン交換樹脂処理部102、第2イオン交換樹脂処理部104のうちの1つのメンテナンスを行うことができる。
【0103】
また、液体循環システム10では、第2イオン交換装置34のメンテナンス時に、第1イオン交換樹脂処理部102及び第2イオン交換樹脂処理部104の一方を停止し、第1イオン交換樹脂処理部102及び第2イオン交換樹脂処理部104の他方を通った一次純水を限外濾過装置36に供給する。例えば、第1イオン交換樹脂処理部102を停止し、第2イオン交換樹脂処理部104を通った一次純水を限外濾過装置36に供給する(図5参照)。
【0104】
図5に示すように、液体循環システム10では、供給配管62における最下流の限外濾過装置36とユースポイント50との間の流量検出器42によって検出された超純水の流量に応じてブースタポンプ32を制御する。例えば、制御装置80は、流量検出器42の超純水の流量が80m/hとなるように、ブースタポンプ32に給電する電源46の周波数を制御する。これにより、流量検出器42によるブースタポンプ32の制御と、圧力検出器66による調整弁68の制御との2つとなるため、液体循環システム10の超純水の運転流量を安定させることができる。このため、液体循環システム10では、ユースポイント50の超純水の使用量の変更と第1イオン交換樹脂処理部102の停止とを同時に行っても、ユースポイント50への超純水の供給流量とユースポイント50の圧力をほぼ一定に保持できる。
【0105】
[第1比較例の液体循環システムにおけるメンテナンスの第1例]
次に、第1比較例の液体循環システム300におけるメンテナンスの第1例について説明する。
【0106】
図11は、第1比較例の液体循環システム300において、ユースポイント50の超純水の使用量に変化がない場合(超純水を使用しない場合)の第2イオン交換装置34のメンテナンスの例が示されている。図11に示すように、第2イオン交換装置34の第1イオン交換樹脂処理部102を停止すると、第2イオン交換樹脂処理部104での圧力損失が増加する。この圧力損失の増加分は、ブースタポンプ32に給電する電源46の周波数増加で補填する。
【0107】
図12は、第1比較例の液体循環システム300において、ユースポイント50で超純水の使用量を変更した場合(例えば、超純水を50m/h使用した場合)の第2イオン交換装置34のメンテナンスの例が示されている。図12に示すように、液体循環システム300では、ユースポイント50での超純水の使用量の変更と、第1イオン交換樹脂処理部102の停止とを同時に行った場合、第2圧力検出器310によるブースタポンプ32の制御と第3圧力検出器312による調整弁68の制御とを行う必要がある。このとき、自動圧力制御が同じ系統に2つあることから、超純水の流量及び圧力の変動が予測できない。このため、タイミングによっては、液体循環システム300の運転流量が変化し、運転流量を元の状態に戻せなくなる可能性があり、液体循環システム300の運転状態が不安定になる。
【0108】
これに対して、第1実施形態の液体循環システム10では、供給配管62における最下流の限外濾過装置36とユースポイント50との間の流量検出器42によって検出された超純水の流量に応じてブースタポンプ32を制御する。これにより、流量検出器42によるブースタポンプ32の制御と圧力検出器66による調整弁68の制御となる。このため、液体循環システム10では、ユースポイント50の超純水の使用量の変更と第1イオン交換樹脂処理部102の停止とを同時に行っても、ユースポイント50への超純水の供給流量とユースポイント50の圧力をほぼ一定に保持できる。
【0109】
[第1実施形態の液体循環システムにおけるメンテナンスの第2例]
次に、第1実施形態の液体循環システム10におけるメンテナンスの第1例について説明する。
【0110】
図6は、液体循環システム10のメンテナンス時に、第2イオン交換装置34の第1イオン交換樹脂処理部102のイオン交換樹脂の洗浄を行っている状態が示されている。図6に示すように、液体循環システム10では、ユースポイント50での超純水の使用量の変更と、第1イオン交換樹脂処理部102のイオン交換樹脂の洗浄とを同時に行っている。ユースポイント50では、超純水の使用量が50m/hである。
【0111】
液体循環システム10では、導入配管106Aの弁107Aを開放し、排出配管108Aの弁109Aを閉止し、排出路110Aの弁111Aを開放することで、第1イオン交換樹脂処理部102を通った一次純水が排出路110Aに排出される。これにより、第1イオン交換樹脂処理部102のイオン交換樹脂の洗浄を行うことができる。また、導入配管106Bの弁107Bを開放し、排出配管108Bの弁109Bを開放し、弁111Bを閉止することで、第2イオン交換樹脂処理部104を通った一次純水は、排出配管108Bから供給配管62を経て限外濾過装置36に供給される。第1イオン交換樹脂処理部102のイオン交換樹脂の洗浄時の流量は、10m/hとなる。
【0112】
制御装置80は、流量検出器42の超純水の流量が80m/hとなるように、ブースタポンプ32に給電する電源46の周波数を制御する。これにより、供給配管62によりユースポイント50に供給される超純水の供給量は、80m/hとなる。
【0113】
上記の液体循環システム10では、第2イオン交換装置34のメンテナンス時に、一次純水を第1イオン交換樹脂処理部102に導入してイオン交換樹脂を洗浄し、洗浄した液を排出路110Aに排出する。これと共に、第2イオン交換樹脂処理部104を通った一次純水を限外濾過装置36に供給する。そのとき、供給配管62における最下流の限外濾過装置36とユースポイント50との間の流量検出器42によって検出された超純水の流量に応じてブースタポンプ32を制御する。例えば、制御装置80は、流量検出器42の超純水の流量が80m/hとなるように、ブースタポンプ32に給電する電源46の周波数を制御する。これにより、流量検出器42によるブースタポンプ32の制御と圧力検出器66による調整弁68の制御となるため、液体循環システム10の超純水の運転流量を安定させることができる。このため、液体循環システム10では、ユースポイント50の超純水の使用量の変更と、第1イオン交換樹脂処理部102のイオン交換樹脂を洗浄とを同時に行っても、ユースポイント50への超純水の供給流量とユースポイント50の圧力をほぼ一定に保持できる。
【0114】
[第1比較例の液体循環システムにおけるメンテナンスの第2例]
次に、第1比較例の液体循環システム300におけるメンテナンスの第2例について説明する。
【0115】
図13は、第1比較例の液体循環システム300において、ユースポイント50の超純水の使用量に変化がない場合(超純水を使用しない場合)の第2イオン交換装置34のメンテナンスの例が示されている。図13に示すように、第1イオン交換樹脂処理部102のイオン交換樹脂の洗浄を行うと、排出路110Aに排出される洗浄流量が増加する。この洗浄流量の増加分は、ブースタポンプ32に給電する電源46の周波数増加で補填する。
【0116】
図14は、第1比較例の液体循環システム300において、ユースポイント50で超純水の使用量を変更した場合(例えば、超純水を50m/h使用した場合)の第2イオン交換装置34のメンテナンスの例が示されている。図14に示すように、液体循環システム300では、ユースポイント50での超純水の使用量の変更と、第1イオン交換樹脂処理部102のイオン交換樹脂の洗浄とを同時に行った場合、第2圧力検出器310によるブースタポンプ32の制御と第3圧力検出器312による調整弁68の制御とを行う必要がある。このとき、自動圧力制御が同じ系統に2つあることから、超純水の流量及び圧力の変動が予測できず、液体循環システム300の運転状態がさらに不安定になる。
【0117】
これに対して、第1実施形態の液体循環システム10では、供給配管62における最下流の限外濾過装置36とユースポイント50との間の流量検出器42によって検出された超純水の流量に応じてブースタポンプ32を制御する。これにより、流量検出器42によるブースタポンプ32の制御と、圧力検出器66による調整弁68の制御の2つとなる。このため、液体循環システム10では、ユースポイント50の超純水の使用量の変更と、第1イオン交換樹脂処理部102のイオン交換樹脂を洗浄とを同時に行っても、ユースポイント50への超純水の供給流量とユースポイント50の圧力をほぼ一定に保持できる。
【0118】
[その他]
なお、第1実施形態の液体循環システム10の構成に代えて、圧力検出器66の位置を下記の条件で変更してもよい。圧力検出器66は、返送配管64における純水タンク16よりもユースポイント50に近い側であって、返送配管64の超純水の流量が最大と最小のときの差圧を比較したとき、差圧が9.8kPa(すなわち、0.1kgf/cm)以内となる位置に設けられていることが好ましく、差圧が4.9kPa(すなわち、0.05kgf/cm以内となる位置に設けられていることがより好ましく、差圧が2.94kPa(すなわち、0.03kgf/cm)以内となる位置に設けられていることがさらに好ましい。
【0119】
例えば、圧力検出器66は、返送配管64における純水タンク16よりもユースポイント50に近い側であって、返送配管64の超純水の流量が最大と最小のときの差圧が9.8kPa(すなわち、0.1kgf/cm)以内となる位置に設けられていると、返送配管64の超純水の流量が減っても、圧力損失の減少による影響を受けにくくなる。このため、圧力検出器66によって検出された圧力に応じて、調整弁68により、返送配管64の内部の圧力を適切に調整することができる。
【0120】
また、循環経路60においてユースポイント50への分岐点が複数設けられている構成では、圧力検出器66は、返送配管における純水タンク16よりもユースポイントとの分岐の最後段に近い側であって、返送配管の液体の流量が最大と最小のときの差圧を比較したとき、差圧が9.8kPa(すなわち、0.1kgf/cm)以内となる位置に設けられている構成としてもよい。
【0121】
なお、本開示を特定の実施形態について詳細に説明したが、本開示はかかる実施形態に限定されるものではなく、本開示の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。
【0122】
[本開示の好ましい態様]
以下、本開示の好ましい態様について付記する。
【0123】
[付記項1]
液体を貯留するタンクと、
前記タンクから供給された液体にそれぞれ異なる処理を行う複数の処理部と、
前記タンク内の液体を複数の前記処理部を経由して供給先であるユースポイントに供給する供給配管と、前記ユースポイントから液体を前記タンクに戻す返送配管と、を備えた循環経路と、
前記供給配管における複数の前記処理部の途中に設けられ、液体を前記ユースポイントの側に供給する第1のポンプと、
前記返送配管に設けられ、前記返送配管の内部の圧力を検出する第1の圧力検出部と、
前記返送配管における前記第1の圧力検出部の下流側に設けられ、前記第1の圧力検出部によって検出された圧力に応じて、前記返送配管の内部の圧力を調整する調整弁と、
前記供給配管における複数の前記処理部のうちの最下流の処理部と前記ユースポイントとの間に設けられ、前記供給配管の内部の液体の流量を検出する流量検出部と、
前記流量検出部によって検出された流量に応じて、前記供給配管を流れる液体が所定の流量となるように前記第1のポンプを制御する第1のポンプ制御部と、
を有する液体循環システム。
【0124】
[付記項2]
前記供給配管における前記タンクの下流側に設けられ、前記タンク内の液体を複数の前記処理部の側に供給する第2のポンプと、
前記供給配管における前記第1のポンプの上流側に設けられ、前記供給配管の内部の圧力を検出する第2の圧力検出部と、
前記第2の圧力検出部によって検出された圧力に応じて、前記供給配管の内部の圧力が所定の圧力となるように前記第2のポンプを制御する第2のポンプ制御部と、
を有する付記項1に記載の液体循環システム。
【0125】
[付記項3]
前記第1の圧力検出部は、前記返送配管における前記ユースポイントとの分岐の最後段から、該最後段と前記タンクとの間の前記返送配管の長さの20%未満のところに設けられている付記項1又は付記項2に記載の液体循環システム。
【0126】
[付記項4]
前記第1の圧力検出部は、前記返送配管における前記タンクよりも前記ユースポイントとの分岐の最後段に近い側であって、前記返送配管の液体の流量が最大と最小のときの差圧を比較したとき、前記差圧が9.8kPa以内となるところに設けられている付記項1又は付記項2に記載の液体循環システム。
【0127】
[付記項5]
前記第1のポンプは、前記供給配管の圧力の不足分を加圧して液体を供給するブースタポンプである付記項1から付記項4までいずれか1つに記載の液体循環システム。
【0128】
[付記項6]
複数の前記処理部は、
前記最下流の処理部を構成し、限外濾過膜を備えた濾過装置と、
前記濾過装置の直前の上流側に設けられ、イオン交換樹脂を備えたイオン交換装置と、を含み、
前記イオン交換装置は、前記供給配管に並列に接続され、液体がそれぞれ導入され、かつ排出される2以上のイオン交換樹脂処理部を有する付記項1から付記項5までのいずれか1つに記載の液体循環システム。
【0129】
[付記項7]
前記イオン交換装置のメンテナンス時に、一の前記イオン交換樹脂処理部を停止し、他の前記イオン交換樹脂処理部を通った液体を前記濾過装置に供給する構成とされている付記項6に記載の液体循環システム。
【0130】
[付記項8]
前記イオン交換装置のメンテナンス時に、
液体を一の前記イオン交換樹脂処理部に導入して前記イオン交換樹脂を洗浄し、洗浄した液を前記供給配管以外の排出路に排出し、
液体を他の前記イオン交換樹脂処理部に導入し、他の前記イオン交換樹脂処理部を通った液体を前記濾過装置に供給する構成とされている付記項6に記載の液体循環システム。
【符号の説明】
【0131】
10 液体循環システム
16 純水タンク(タンク)
20 二次純水装置
22 循環ポンプ(第2のポンプ)
24 熱交換器(複数の処理部)
26 紫外線照射装置(複数の処理部)
28 第1イオン交換装置(複数の処理部)
30 膜脱気装置(複数の処理部)
32 ブースタポンプ(第1のポンプ)
32 返送配管
34 第2イオン交換装置(複数の処理部)
36 限外濾過膜(濾過装置、最下流の処理部)
40 圧力検出器(第2の圧力検出部)
42 流量検出器(流量検出部)
50 ユースポイント
60 循環経路
62 供給配管
64 返送配管
66 圧力検出部
66 圧力検出器(第1の圧力検出部)
68 調整弁
80 制御装置(第1のポンプ制御部、第2のポンプ制御部)
102 第1イオン交換樹脂処理部(イオン交換樹脂処理部)
104 第2イオン交換樹脂処理部(イオン交換樹脂処理部)
【要約】
【課題】ユースポイントでの液体の使用の有無にかかわらず、ユースポイントに供給される液体の流量の変動を抑制することができる液体循環システムを提供する。
【解決手段】液体循環システムは、タンク内の液体を複数の処理部を経由してユースポイントに供給する供給配管とユースポイントから液体をタンクに戻す返送配管とを備えた循環経路と、供給配管における複数の処理部の途中に設けられた第1のポンプと、返送配管に設けられた圧力検出部と、返送配管における圧力検出部の下流側に設けられ、圧力検出部によって検出された圧力に応じて、返送配管の内部の圧力を調整する調整弁と、供給配管における最下流の処理部とユースポイントとの間に設けられ、供給配管の内部の液体の流量を検出する流量検出部と、流量検出部によって検出された流量に応じて、供給配管を流れる液体が所定の流量となるように第1のポンプを制御する第1のポンプ制御部と、を有する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14