IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
  • -情報処理装置及び情報処理方法 図1
  • -情報処理装置及び情報処理方法 図2
  • -情報処理装置及び情報処理方法 図3
  • -情報処理装置及び情報処理方法 図4
  • -情報処理装置及び情報処理方法 図5
  • -情報処理装置及び情報処理方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20241108BHJP
【FI】
G06Q50/10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023191043
(22)【出願日】2023-11-08
【審査請求日】2024-02-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高山 伸也
(72)【発明者】
【氏名】須田 洋行
【審査官】木村 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特許第7326576(JP,B1)
【文献】特開2012-014676(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザを識別するためのユーザ識別情報と、前記ユーザが使用する携帯端末が存在した位置を示す端末位置情報と、前記位置に前記携帯端末が存在した時刻を示す時刻情報とを関連付けた位置履歴情報を取得するとともに、前記ユーザによる所定の学校を示す所定の場所を模した仮想空間の利用状況を示し、前記ユーザが前記仮想空間を利用した時刻を示す利用時刻情報と、前記ユーザの前記仮想空間における前記所定の学校の関係者とのコミュニケーションの度合いを示す第1の指標値と、前記ユーザの前記仮想空間における前記所定の学校とは関係のない他のユーザとのコミュニケーションの度合いを示す第2の指標値との少なくともいずれかと、を含む利用状況情報を取得する取得部と、
前記所定の学校の位置と、前記取得部が取得した所定の時期の前後の前記位置履歴情報に基づいて、前記ユーザの前記所定の場所への移動に関連する移動関連行動として、前記ユーザが前記所定の学校に入学したかを推定する推定部と、
前記推定部が推定した前記ユーザの移動関連行動としての前記ユーザが所定の学校に入学したかの推定と、前記取得部が取得した前記利用状況情報が示す前記利用状況としての前記仮想空間の利用時刻とに基づいて、前記ユーザによる前記仮想空間の利用と、前記所定の場所に対する前記ユーザの移動関連行動との関係としての、前記ユーザが前記仮想空間を利用したことにより前記所定の学校に入学したか否かを分析する分析部と、
前記分析部による分析結果を示す分析結果情報を出力する出力部と、
を有し、
前記取得部は、複数のユーザそれぞれの前記位置履歴情報を取得するとともに、前記複数のユーザそれぞれの前記利用状況情報を取得し、
前記分析部は、前記第1の指標値及び前記第2の指標値の少なくともいずれかと、前記ユーザの前記所定の学校への入学との関係を分析する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記推定部は、前記位置履歴情報に基づいて、前記移動関連行動の実施時刻を推定し、
前記分析部は、前記推定部が推定した前記移動関連行動の実施時刻と、前記取得部が取得した前記利用状況情報が示す前記仮想空間の利用時刻とに基づいて、前記ユーザが前記仮想空間を利用したことにより前記所定の場所に移動したか否かを分析する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記推定部は、前記取得部が取得した前記位置履歴情報に基づいて、前記移動関連行動として、前記所定の場所に移動する行動を伴うイベントに対する前記ユーザの参加の有無を推定し、
前記分析部は、前記ユーザによる前記仮想空間の利用と、前記推定部が推定した前記ユーザの移動関連行動としての前記イベントに対する前記ユーザの参加の有無との関係を分析する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記推定部は、前記取得部が取得した前記複数のユーザそれぞれの前記位置履歴情報に基づいて、前記複数のユーザそれぞれの前記移動関連行動を推定し、
前記分析部は、前記推定部が推定した前記複数のユーザそれぞれの移動関連行動と、前記取得部が取得した前記複数のユーザそれぞれの前記利用状況情報が示す前記利用状況とに基づいて、前記仮想空間の利用と、前記移動関連行動との関係を分析する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記分析部は、前記推定部が推定した前記ユーザの移動関連行動と、前記取得部が取得した前記利用状況情報が示す前記利用状況とに基づいて、前記仮想空間を利用したユーザの前記ユーザの移動関連行動の発生の有無と、前記仮想空間を利用していないユーザの前記移動関連行動の発生の有無とを分析する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記分析部は、前記ユーザに対して前記推定部が前記移動関連行動を推定できなかった場合に、前記取得部が取得した前記利用状況情報が示す前記利用状況に基づいて、前記ユーザが前記所定の場所に移動する見込みが高いか否かを分析する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記取得部は、前記利用状況情報として、前記所定の場所を模した前記仮想空間における前記ユーザの決済を示す決済情報を取得し、
前記分析部は、前記取得部が取得した前記利用状況情報が示す前記決済情報に基づいて、前記ユーザが前記所定の場所に移動する見込みが高いか否かを分析する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記ユーザには、前記ユーザの生体情報を計測する計測装置が装着されており、
前記取得部は、前記利用状況情報として、前記所定の場所を模した前記仮想空間において前記ユーザが活動している場合において前記計測装置が計測した前記ユーザの生体情報を取得し、
前記分析部は、前記取得部が取得した前記利用状況情報が示す前記生体情報に基づいて、前記ユーザが前記所定の場所に移動する見込みが高いか否かを分析する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータが実行する、
ユーザを識別するためのユーザ識別情報と、前記ユーザが使用する携帯端末が存在した位置を示す端末位置情報と、前記位置に前記携帯端末が存在した時刻を示す時刻情報とを関連付けた位置履歴情報を取得するとともに、前記ユーザによる所定の学校を示す所定の場所を模した仮想空間の利用状況を示し、前記ユーザが前記仮想空間を利用した時刻を示す利用時刻情報と、前記ユーザの前記仮想空間における前記所定の学校の関係者とのコミュニケーションの度合いを示す第1の指標値と、前記ユーザの前記仮想空間における前記所定の学校とは関係のない他のユーザとのコミュニケーションの度合いを示す第2の指標値との少なくともいずれかと、を含む利用状況情報を取得するステップと、
前記所定の学校の位置と、取得した所定の時期の前後の前記位置履歴情報に基づいて、前記ユーザの前記所定の場所への移動に関連する移動関連行動として、前記ユーザが前記所定の学校に入学したかを推定するステップと、
推定した前記ユーザの移動関連行動としての前記ユーザが所定の学校に入学したかの推定と、取得した前記利用状況情報が示す前記利用状況としての前記仮想空間の利用時刻とに基づいて、前記ユーザによる前記仮想空間の利用と、前記所定の場所に対する前記ユーザの移動関連行動との関係としての、前記ユーザが前記仮想空間を利用したことにより前記所定の学校に入学したか否かを分析するステップと、
前記分析の結果を示す分析結果情報を出力するステップと、
を有し、
前記取得するステップにおいて、前記コンピュータは、複数のユーザそれぞれの前記位置履歴情報を取得するとともに、前記複数のユーザそれぞれの前記利用状況情報を取得し、
前記分析するステップにおいて、前記コンピュータは、前記第1の指標値及び前記第2の指標値の少なくともいずれかと、前記ユーザの前記所定の学校への入学との関係を分析する、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自治体や学校等がメタバース等の仮想空間を利用して情報を発信することが行われている。具体的には、自治体が地方創生などを目的としてDAO(Decentralized Autonomous Organization:分散型自立組織)を立ち上げ、メタバース等の運営を通じて地方の魅力を伝え地方への寄付や移住に繋げていく動きが活発化してきている。例えば、特許文献1には、仮想空間に設けられた学校、旅行先といった所定の場所の映像を、これらの場所と異なる位置に存在するユーザに閲覧させることにより、所定の場所の疑似体験をユーザに行わせる装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2023-150583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、仮想空間に対して所定の場所を設けたことに対する評価が行われていないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、仮想空間に対して所定の場所を設けたことを評価できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る情報処理装置は、ユーザを識別するためのユーザ識別情報と、前記ユーザが使用する携帯端末が存在した位置を示す端末位置情報とを関連付けた位置履歴情報を取得するとともに、前記ユーザによる所定の場所を模した仮想空間の利用状況を示す利用状況情報を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記位置履歴情報に基づいて、前記ユーザの前記所定の場所への移動に関連する移動関連行動を推定する推定部と、前記推定部が推定した前記ユーザの移動関連行動と、前記取得部が取得した前記利用状況情報が示す前記利用状況とに基づいて、前記ユーザによる前記仮想空間の利用と、前記所定の場所に対する前記ユーザの移動関連行動との関係を分析する分析部と、前記分析部による分析結果を示す分析結果情報を出力する出力部と、を有する。
【0007】
前記位置履歴情報は、前記携帯端末が存在した位置を示す前記端末位置情報と、前記位置に前記携帯端末が存在した時刻を示す時刻情報とを含んでいるとともに、前記利用状況情報は、前記ユーザが前記仮想空間を利用した時刻を示す利用時刻情報を含んでおり、前記推定部は、前記位置履歴情報に基づいて、前記移動関連行動の実施時刻を推定し、前記分析部は、前記推定部が推定した前記移動関連行動の実施時刻と、前記取得部が取得した前記利用状況情報が示す前記仮想空間の利用時刻とに基づいて、前記ユーザが前記仮想空間を利用したことにより前記所定の場所に移動したか否かを分析してもよい。
【0008】
前記推定部は、前記取得部が取得した前記位置履歴情報に基づいて、前記移動関連行動として、前記所定の場所に移動する行動を伴うイベントに対する前記ユーザの参加の有無を推定し、前記分析部は、前記ユーザによる前記仮想空間の利用と、前記推定部が推定した前記ユーザの移動関連行動としての前記イベントに対する前記ユーザの参加の有無との関係を分析してもよい。
【0009】
前記取得部は、複数のユーザそれぞれの前記位置履歴情報を取得するとともに、前記複数のユーザそれぞれの前記利用状況情報を取得し、前記推定部は、前記取得部が取得した前記複数のユーザそれぞれの前記位置履歴情報に基づいて、前記複数のユーザそれぞれの前記移動関連行動を推定し、前記分析部は、前記推定部が推定した前記複数のユーザそれぞれの移動関連行動と、前記取得部が取得した前記複数のユーザそれぞれの前記利用状況情報が示す前記利用状況とに基づいて、前記仮想空間の利用と、前記移動関連行動との関係を分析してもよい。
【0010】
前記分析部は、前記推定部が推定した前記ユーザの移動関連行動と、前記取得部が取得した前記利用状況情報が示す前記利用状況とに基づいて、前記仮想空間を利用したユーザの前記ユーザの移動関連行動の発生の有無と、前記仮想空間を利用していないユーザの前記移動関連行動の発生の有無とを分析してもよい。
【0011】
前記推定部は、前記ユーザ識別情報に関連付けられている前記ユーザの住所を示す住所情報、又は前記位置履歴情報に基づいて前記ユーザの居住地を特定し、特定した前記ユーザの居住地と前記所定の場所との関係に基づいて、前記移動関連行動としての、前記ユーザが前記所定の場所に長期滞在する行動である長期滞在行動を実施したか、前記所定の場所に短期滞在する行動である短期滞在行動を実施したかを推定してもよい。
【0012】
前記利用状況情報は、前記ユーザの前記仮想空間における他のユーザとの関係の強さを示す指標値を含み、前記分析部は、前記推定部が、前記ユーザが前記移動関連行動として前記所定の場所への長期滞在を実施したと推定した場合に、前記指標値が示す前記ユーザの他のユーザとの関係の強さと、前記所定の場所への長期滞在との関係を分析してもよい。
前記指標値は、前記ユーザの前記仮想空間における他のユーザとのコミュニケーションの度合いを示す指標値であってもよい。
【0013】
前記利用状況情報は、前記ユーザの前記仮想空間の利用時間又は利用回数を示す指標値を含み、前記分析部は、前記指標値が示す前記ユーザの前記仮想空間の利用時間又は利用回数と、前記ユーザの前記所定の場所への長期滞在との関係を分析してもよい。
【0014】
前記推定部は、前記移動関連行動として前記ユーザが前記所定の場所への短期滞在を実施したと推定した場合に、前記位置履歴情報が示す前記携帯端末の位置と、前記所定の場所に存在する観光用の施設に対応する位置との関係に基づいて、前記ユーザが観光目的で前記所定の場所に訪問したかを推定してもよい。
【0015】
前記利用状況情報は、前記仮想空間における前記観光用の施設の利用状況を示し、前記分析部は、前記利用状況情報が示す前記仮想空間における前記観光用の施設の利用状況と、前記ユーザの観光目的による前記所定の場所への訪問との関係を分析してもよい。
【0016】
前記所定の場所は、所定の学校を示しており、前記位置履歴情報は、前記携帯端末が存在した位置を示す前記端末位置情報と、前記位置に前記携帯端末が存在した時刻を示す時刻情報とを含んでいるとともに、前記利用状況情報は、前記ユーザが前記仮想空間を利用した時刻を示す利用時刻情報を含んでおり、前記推定部は、前記所定の学校の位置と、所定の時期の前後の前記位置履歴情報とに基づいて前記ユーザが前記所定の学校に入学したかを前記移動関連行動として推定し、前記分析部は、前記推定部による前記ユーザが所定の学校に入学したかの推定と、前記取得部が取得した前記利用状況情報が示す前記仮想空間の利用時刻とに基づいて、前記ユーザが前記仮想空間を利用したことにより前記所定の学校に入学したか否かを分析してもよい。
【0017】
前記利用状況情報は、前記ユーザの前記仮想空間における前記所定の学校の関係者とのコミュニケーションの度合いを示す第1の指標値と、前記ユーザの前記仮想空間における前記所定の学校とは関係のない他のユーザとのコミュニケーションの度合いを示す第2の指標値との少なくともいずれかを含み、前記取得部は、複数のユーザそれぞれの前記位置履歴情報を取得するとともに、前記複数のユーザそれぞれの前記利用状況情報を取得し、前記分析部は、前記第1の指標値及び前記第2の指標値の少なくともいずれかと、前記所定の学校への入学との関係を分析してもよい。
【0018】
前記分析部は、前記ユーザに対して前記推定部が前記移動関連行動を推定できなかった場合に、前記取得部が取得した前記利用状況情報が示す前記利用状況に基づいて、前記ユーザが前記所定の場所に移動する見込みが高いか否かを分析してもよい。
【0019】
前記取得部は、前記利用状況情報として、前記所定の場所を模した前記仮想空間における前記ユーザの決済を示す決済情報を取得し、前記分析部は、前記取得部が取得した前記利用状況情報が示す前記決済情報に基づいて、前記ユーザが前記所定の場所に移動する見込みが高いか否かを分析してもよい。
【0020】
前記ユーザには、前記ユーザの生体情報を計測する計測装置が装着されており、前記取得部は、前記利用状況情報として、前記所定の場所を模した前記仮想空間において前記ユーザが活動している場合において前記計測装置が計測した前記ユーザの生体情報を取得し、前記分析部は、前記取得部が取得した前記利用状況情報が示す前記生体情報に基づいて、前記ユーザが前記所定の場所に移動する見込みが高いか否かを分析してもよい。
【0021】
本発明の第2の態様に係る情報処理方法は、コンピュータが実行する、ユーザを識別するためのユーザ識別情報と、前記ユーザが使用する携帯端末が存在した位置を示す端末位置情報とを関連付けた位置履歴情報を取得するとともに、前記ユーザによる所定の場所を模した仮想空間の利用状況を示す利用状況情報を取得するステップと、取得した前記位置履歴情報に基づいて、前記ユーザの前記所定の場所への移動に関連する移動関連行動を推定するステップと、推定した前記ユーザの移動関連行動と、取得した前記利用状況情報が示す前記利用状況とに基づいて、前記ユーザによる前記仮想空間の利用と、前記所定の場所に対する前記ユーザの移動関連行動との関係を分析するステップと、前記分析の結果を示す分析結果情報を出力するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、仮想空間に対して所定の場所を設けたことを評価することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】情報処理装置の概要を示す図である。
図2】情報処理装置の機能構成を示す図である。
図3】ユーザ情報の一例を示す図である。
図4】位置履歴情報の一例を示す図である。
図5】利用状況情報の一例を示す図である。
図6】分析結果画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[情報処理装置1の概要]
図1は、情報処理装置1の概要を示す図である。情報処理装置1は、例えば、ユーザの仮想空間の利用状況とユーザの行動との関係を分析するサーバである。
【0025】
情報処理装置1は、ユーザが使用する携帯端末2と、仮想空間を提供するサーバ3と、仮想空間の利用状況とユーザの行動との関係を分析する分析者が使用する分析者端末4とに通信可能に接続されている。ユーザは、携帯端末2及び携帯端末2とは異なるユーザの端末(不図示)を使用して、サーバ3が提供する仮想空間を利用できるものとする。
【0026】
サーバ3が提供する仮想空間は、例えば、現実空間を模して構築されたメタバース空間であり、ユーザが扮するアバターを用いて、メタバース空間内で他のユーザとコミュニケーションを取る等の社会生活を送ることができる。また、仮想空間には、所定の場所を模した仮想空間が含まれている。所定の場所は、例えば、町、村等の人口増加を政策として掲げている自治体や、学生を募集する学校等が所在している場所である。なお、以下の説明において、所定の場所を模した仮想空間を、所定仮想空間ともいう。
【0027】
情報処理装置1は、ユーザを識別するためのユーザ識別情報としてのユーザID(Identification)と、ユーザが使用する携帯端末2が存在した位置を示す端末位置情報とを関連付けた位置履歴情報を携帯端末2から取得する(図1における(1))。情報処理装置1は、ユーザIDと、所定仮想空間の利用状況とを関連付けた利用状況情報をサーバ3から取得する(図1における(2))。
【0028】
情報処理装置1は、取得した位置履歴情報に基づいて、ユーザの所定の場所への移動に関連する行動である移動関連行動を推定する(図1における(3))。情報処理装置1は、推定したユーザの移動関連行動と、取得した利用状況情報が示すユーザの所定仮想空間の利用状況とに基づいて、ユーザによる仮想空間の利用と、ユーザの移動関連行動との関係を分析する(図1における(4))。
【0029】
そして、情報処理装置1は、分析結果を示す分析結果情報を分析者端末4に送信する(図1における(5))。このようにすることで、分析者は、分析結果情報に基づいて、仮想空間に対して所定の場所を設けたことを評価することができる。
【0030】
[情報処理装置1の機能構成]
続いて、情報処理装置1の構成の詳細を説明する。図2は、情報処理装置1の機能構成を示す図である。情報処理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを有する。
【0031】
通信部11は、インターネット等のネットワークを介して携帯端末2及びサーバ3とデータを送受信するための通信インターフェースである。
記憶部12は、各種のデータを記憶する記憶媒体であり、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及びハードディスク等を有する。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを記憶する。記憶部12は、制御部13を、取得部131、推定部132、分析部133及び出力部134として機能させるプログラムを記憶する。
【0032】
また、記憶部12は、ユーザのユーザIDと、ユーザの属性を示す属性情報とを関連付けたユーザ情報を記憶する。図3は、ユーザ情報の一例を示す図である。図3に示すように、属性情報は、例えば、ユーザの年代、性別、職業、居住地を示す情報を含んでいる。なお、属性情報には、図3に示すものの他に、ユーザの家族構成、趣味、興味や関心があるジャンルを示す情報、保有資産の金額が含まれていてもよい。
【0033】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、取得部131、推定部132、分析部133及び出力部134として機能する。
【0034】
[位置履歴情報及び利用状況情報の取得]
取得部131は、ユーザのユーザIDと、ユーザが使用する携帯端末2が存在した位置を示す端末位置情報と、当該位置に携帯端末2が存在した時刻とを関連付けた位置履歴情報を取得するとともに、ユーザによる所定仮想空間の利用状況を示す利用状況情報を取得する。取得部131は、複数のユーザそれぞれの位置履歴情報を取得するとともに、複数のユーザそれぞれの利用状況情報を取得する。
【0035】
取得部131は、例えば所定時間おきに、位置履歴情報を複数のユーザそれぞれの携帯端末2から取得する。図4は、位置履歴情報の一例を示す図である。図4に示すように、位置履歴情報が、ユーザIDと、時刻と、端末位置情報とを関連付けた情報であることが確認できる。取得部131は、取得した位置履歴情報を記憶部12に記憶させる。
【0036】
また、取得部131は、例えば所定時間おきに、仮想空間を提供するサーバ3から、複数のユーザそれぞれの利用状況情報を取得する。利用状況情報は、仮想空間において現実空間を模擬している場所又は施設を示す場所空間IDと、当該場所又は施設を利用したユーザのユーザIDと、当該場所又は施設を当該ユーザが利用した時刻と、ユーザのコミュニケーション度と、ユーザの仮想空間利用度と、を関連付けた情報である。
【0037】
図5は、利用状況情報の一例を示す図である。図5に示すように、利用状況情報が、ユーザIDと、場所空間IDと、時刻と、コミュニケーション度と、仮想空間利用度とを含んでいることが確認できる。取得部131は、取得した利用状況情報を記憶部12に記憶させる。
【0038】
ここで、コミュニケーション度は、ユーザの仮想空間における他のユーザとの関係の強さを示す指標値であり、例えば、ユーザの仮想空間における他のユーザとのコミュニケーションの度合いを示す指標値である。コミュニケーション度が高ければ高いほど、ユーザが仮想空間において、他のユーザと積極的にコミュニケーションを行っており、コミュニケーションの度合いが高いものとする。コミュニケーション度は、例えば、単位時間当たりのユーザと他のユーザとのテキストチャット、音声チャットのデータ量、又は動画を介したコミュニケーションの時間に基づいて決定されるものとする。
【0039】
また、仮想空間利用度は、仮想空間において現実空間を模擬している場所又は施設をユーザが利用した利用時間又は利用回数を示す指標値である。仮想空間利用度が高ければ高いほど、ユーザが仮想空間を積極的に利用していることを示すものとする。なお、仮想空間において、所定の場所に対応する各種のコンテンツの提供等のサービスが行われている場合、仮想空間利用度は、当該サービスの利用時間、及び利用回数の少なくともいずれかに基づいて算出されてもよい。また、利用状況情報には、所定仮想空間を含む仮想空間全体におけるユーザの決済を示す決済情報が含まれていてもよい。この場合、場所空間IDとユーザIDと時刻とに、決済情報が関連付けられているものとする。ここで、決済情報には、ユーザが購入した商品、商品の種別、決済額を示す情報が含まれていてもよい。
【0040】
[移動関連行動の推定]
推定部132は、取得部131が取得し、記憶部12に記憶されている位置履歴情報に基づいて、ユーザの所定の場所への移動に関連する移動関連行動と、ユーザによる当該移動関連行動の実施時刻とを推定する。推定部132は、取得部131が取得した複数のユーザそれぞれの位置履歴情報に基づいて、複数のユーザそれぞれの移動関連行動及び移動関連行動の実施時刻を推定する。
【0041】
所定の場所が所定の自治体の所在場所である場合、移動関連行動は、例えば、所定の場所への長期滞在行動、及び所定の場所への短期滞在行動である。長期滞在行動は、例えば、移住や長期滞在である。また、短期滞在行動は、例えば、観光目的の旅行や長期滞在のための所定の場所への視察行動である。推定部132は、所定の場所への長期滞在行動を実施したか、所定の場所への短期滞在行動を実施したかを推定する。
【0042】
この場合、推定部132は、まず、ユーザのユーザIDに関連付けられている位置履歴情報に基づいて居住地を特定する。例えば、推定部132は、ユーザIDに関連付けられている位置情報と時刻とに基づいて、ユーザが所定期間において最も滞在している場所をユーザの居住地と特定する。なお、推定部132は、位置履歴情報に基づいて居住地を特定したが、これに限らず、記憶部12に記憶されているユーザ情報を参照し、ユーザIDに関連付けられているユーザの居住地を示す居住地情報を取得して、ユーザの居住地を特定してもよい。
【0043】
また、例えば、ユーザIDが、通信事業者が、自身が提供するサービスを利用するユーザに対して割り当てたユーザIDである場合、推定部132は、通信事業者がユーザIDと関連付けて管理しているユーザの通信サービスに係る通信事業者との契約情報に含まれるユーザの居住地情報を取得し、当該居住地情報に基づいてユーザの居住地を特定してもよい。
【0044】
推定部132は、特定したユーザの居住地と所定の場所との関係に基づいて、移動関連行動として、長期滞在行動を実施したか、短期滞在行動を実施したかを推定する。例えば、推定部132は、特定したユーザの居住地が所定の場所を示す位置の範囲に含まれている場合、ユーザが所定の場所に長期滞在していることを示す長期滞在行動を実施したと判定する。また、推定部132は、特定したユーザの居住地が所定の場所を示す位置の範囲に含まれておらず、位置履歴情報に含まれるユーザのユーザIDに関連付けられている複数の端末位置情報それぞれが示す携帯端末2の複数の位置に、所定の場所の範囲に含まれる位置が含まれている場合、ユーザが所定の場所に短期滞在していることを示す短期滞在行動を実施したと判定する。
【0045】
また、推定部132は、ユーザが移動関連行動としての所定の場所への短期滞在行動を実施したと推定した場合に、位置履歴情報が示す携帯端末2の位置と、所定の場所に存在する観光用の施設に対応する位置との関係に基づいて、ユーザが観光目的で所定の場所に訪問したかを推定する。観光用の施設は、例えば、観光案内を行う施設、特産品等の物品を提供する施設、観光名所である。この場合、記憶部12には、所定の場所に存在する観光用の施設の位置を示す施設位置情報が記憶されている。推定部132は、ユーザの位置履歴情報が示す携帯端末2の位置に、当該施設位置情報が示す観光用の施設の位置が含まれていることを条件として、ユーザが観光目的で所定の場所に訪問したと推定する。
【0046】
また、所定の場所が所定の学校の所在場所である場合、移動関連行動は、所定の学校への入学行動である。所定の場所が所定の学校の所在場所である場合、推定部132は、所定の学校の位置と、所定の時期としての学校の入学時期の前後のユーザの位置履歴情報とに基づいてユーザが所定の学校に入学したかを移動関連行動として推定する。
【0047】
この場合、記憶部12には、所定の学校の位置を示す学校位置情報が記憶されている。推定部132は、所定の時期としての所定の学校の入学時期よりも前に、ユーザの位置履歴情報が示す携帯端末2の位置に、記憶部12に記憶されている学校位置情報が示す所定の学校の位置が含まれておらず、当該入学時期以降に、ユーザの位置履歴情報が示す携帯端末2の位置に、当該所定の学校の位置が含まれていることを条件として、ユーザが所定の学校に入学したと推定する。
【0048】
なお、移動関連行動は、長期滞在行動、短期滞在行動、学校への入学行動に限らず、所定の場所に移動する行動を伴うイベントである移動関連イベントに対するユーザの参加行動であってもよい。そして、推定部132は、取得部131が取得した位置履歴情報に基づいて、移動関連行動としての、移動関連イベントに対するユーザの参加行動の有無を推定する。例えば、所定の場所が所定の自治体の所在場所である場合、移動関連イベントは、自治体の場所への移住説明会や、観光ツアーの説明会である。また、所定の場所が所定の学校の所在場所である場合、移動関連イベントは、所定の学校への入学説明会や、オープンキャンパスである。
【0049】
この場合、例えば、記憶部12は、イベントの開催場所と、開催時間とを関連付けたイベント開催情報を予め記憶する。推定部132は、イベント開催情報を参照して、イベントの開催時間と開催場所を特定し、取得部131が取得したユーザの位置履歴情報を参照し、ユーザの携帯端末2が当該開催時間において当該開催場所に存在したか否かを判定することにより、移動関連イベントに対するユーザの参加の有無を推定する。
【0050】
[所定仮想空間の利用と移動関連行動との関係分析]
分析部133は、推定部132が推定したユーザの移動関連行動と、取得部131が取得した利用状況情報が示すユーザの利用状況とに基づいて、ユーザによる所定仮想空間の利用と、所定の場所に対するユーザの移動関連行動との関係を分析する。分析部133は、推定部132が推定した複数のユーザそれぞれの移動関連行動と、取得部131が取得した複数のユーザそれぞれの利用状況情報が示す利用状況とに基づいて、所定仮想空間の利用と移動関連行動との関係を分析する。
【0051】
例えば、分析部133は、推定部132が推定したユーザの移動関連行動と、取得部131が取得した利用状況情報が示す利用状況とに基づいて、所定仮想空間を利用したユーザの移動関連行動の発生の有無と、所定仮想空間を利用していないユーザの移動関連行動の発生の有無との関係を分析する。
【0052】
この場合、まず、分析部133は、利用状況情報を参照し、複数のユーザそれぞれの所定期間における利用状況に基づいて、複数のユーザそれぞれの所定仮想空間の利用の有無を特定する。例えば、分析部133は、所定期間(例えば6カ月間)に対応する利用状況情報において、所定の場所に対応する場所空間IDと、ユーザのユーザIDとが関連付けられているか否かに基づいて、当該ユーザの所定仮想空間の利用の有無を特定する。
【0053】
そして、分析部133は、複数のユーザそれぞれに対して推定部132が推定した、所定の場所への移動関連行動としての長期滞在行動及び短期滞在行動の実施の有無と、複数のユーザそれぞれに対して特定した所定仮想空間の利用の有無とに基づいて、所定仮想空間を利用したユーザの移動関連行動の実施の有無と、所定仮想空間を利用していないユーザの移動関連行動の実施の有無との関係を分析する。
【0054】
例えば、分析部133は、所定仮想空間を利用したユーザの数に対する、当該ユーザのうちの移動関連行動を実施したユーザの数の割合と、当該ユーザのうちの移動関連行動を実施していないユーザの数の割合とを算出する。同様に、分析部133は、所定仮想空間を利用していないユーザ数に対する、当該ユーザのうちの移動関連行動を実施したユーザの数の割合と、当該ユーザのうちの移動関連行動を実施していないユーザの数の割合とを算出する。
【0055】
ここで、分析部133は、ユーザの属性ごとに、これらの割合を算出するようにしてもよい。例えば、分析部133は、ユーザの性別、年代、職業ごとに、これらの割合を算出してもよい。このようにすることで、分析者は、所定仮想空間の利用と、所定の場所への移動との関係が高いユーザがどのような属性を有しているのかを分析することができる。
【0056】
また、分析部133は、移動関連行動を実施した複数のユーザの利用状況情報に含まれる決済情報に基づいて、移動関連行動を実施したユーザが購入する商品の傾向を分析してもよい。例えば、分析部133は、移動関連行動を実施した複数のユーザの利用状況情報に含まれる決済情報に基づいて、移動関連行動を実施したユーザが購入する傾向が高い商品の種別を特定する。このようにすることで、分析者は、特定された商品の種別に基づいて、所定の場所に関する関心を高めるための新たな商品を検討することができる。
【0057】
また、分析部133は、推定部132が推定した移動関連行動の実施時刻と、取得部131が取得した利用状況情報が示す所定仮想空間の利用時刻とに基づいて、ユーザが所定仮想空間を利用したことにより所定の場所に移動したか否かを分析してもよい。この場合、分析部133は、移動関連行動を実施したユーザの数に対する、所定仮想空間の利用時刻よりも前に移動関連行動がなく、所定仮想空間の利用時刻よりも後に移動関連行動を実施したユーザの数の割合を算出する。同様に、分析部133は、移動関連行動を実施したユーザのユーザ数に対する、移動関連行動の前に所定仮想空間を利用していないユーザの数の割合を算出する。このようにすることで、分析者は、算出した2つの割合を比較して、所定仮想空間の利用が所定の場所への移動に寄与しているか否かを分析することができる。
【0058】
また、分析部133は、ユーザによる所定仮想空間の利用と、推定部132が推定したユーザの移動関連行動としてのイベントに対するユーザの参加の有無との関係を分析してもよい。この場合、分析部133は、例えば、所定仮想空間を利用したユーザの数に対する、当該ユーザのうちの移動関連イベントに参加したユーザの数の割合を算出する。同様に、分析部133は、例えば、所定仮想空間を利用していないユーザの数に対する、当該ユーザのうちの移動関連イベントに参加したユーザの数の割合を算出する。このようにすることで、分析者は、算出した2つの割合を比較して、所定仮想空間の利用が移動関連イベントへの参加に寄与しているか否かを分析することができる。
【0059】
また、分析部133は、推定部132が、ユーザが移動関連行動として所定の場所への長期滞在を実施したと推定した場合に、当該ユーザの所定仮想空間における他のユーザとの関係の強さを示すコミュニケーション度が示すユーザの他のユーザとの関係の強さと、所定の場所への長期滞在との関係を分析してもよい。この場合、分析部133は、例えば、長期滞在を実施した複数のユーザのコミュニケーション度の平均値と、長期滞在を実施していない複数のユーザのコミュニケーション度の平均値とを算出する。また、分析部133は、長期滞在を実施した複数のユーザのコミュニケーション度の分布と、長期滞在を実施していない複数のユーザのコミュニケーション度の分布とを算出する。
【0060】
また、所定の場所が所定の自治体の所在場所である場合、分析部133は、所定仮想空間におけるユーザの、所定の場所の関係者とのコミュニケーション度合い及び所定の場所とは関係のない他のユーザとのコミュニケーション度合いと、ユーザの所定の場所への長期滞在との関連とを分析してもよい。この場合、利用状況情報は、ユーザの所定仮想空間における、所定の自治体の住民や就労者といった所定の自治体の関係者とのコミュニケーション度と、ユーザの所定仮想空間における所定の自治体とは関係のない他のユーザとのコミュニケーション度とを含むものとする。
【0061】
そして、分析部133は、例えば、長期滞在を実施した複数のユーザの、所定の自治体の関係者とのコミュニケーション度の平均値又はコミュニケーション度の分布と、所定の自治体と関係のない他のユーザとのコミュニケーション度の平均値又はコミュニケーション度の分布とを算出する。同様に、分析部133は、長期滞在を実施していない複数のユーザの、所定の自治体の関係者とのコミュニケーション度の平均値又はコミュニケーション度の分布と、所定の自治体と関係のない他のユーザとのコミュニケーション度の平均値又はコミュニケーション度の分布とを算出する。
【0062】
このようにすることで、ユーザの所定仮想空間における所定の自治体の関係者とのコミュニケーション、及び当該関係者とは異なる他のユーザとのコミュニケーションが、例えば実世界での移住等の長期滞在にどのように影響しているかを分析することができる。これにより、所定の自治体等において、移住者等の長期滞在者を増やすために、自治体の住民等の所定仮想空間の利用人数を増やすか、当該自治体とは関係のない他のユーザの所定仮想空間の利用人数を増やすか等の検討を行うことができる。
【0063】
また、分析部133は、仮想空間利用度が示すユーザの所定仮想空間の利用時間又は利用回数と、ユーザの所定の場所への長期滞在との関係を分析してもよい。この場合、分析部133は、例えば、長期滞在を実施した複数のユーザの所定仮想空間に対応する仮想空間利用度の平均値と、長期滞在を実施していない複数のユーザの所定仮想空間に対応する仮想空間利用度の平均値とを算出する。また、分析部133は、長期滞在を実施した複数のユーザの仮想空間利用度の分布と、長期滞在を実施していない複数のユーザの仮想空間利用度の分布とを算出する。
【0064】
このように、長期滞在を実施しているユーザと、長期滞在を実施していないユーザとで、当該コミュニケーション度又は仮想空間利用度の平均値や分布を算出することにより、分析者は、ユーザの所定仮想空間における他のユーザとの関係の強さ、又は仮想空間利用度が、長期滞在の実施と関係があるのかを判断することができる。
【0065】
また、利用状況情報には、所定仮想空間における観光用の施設の利用状況を示す情報が含まれており、分析部133は、当該利用状況情報が示す、ユーザの所定仮想空間における観光用の施設の利用状況と、推定部132により推定された、ユーザの観光目的による所定の場所への訪問との関係を分析してもよい。この場合、分析部133は、例えば、所定仮想空間における観光用の施設を利用したユーザの、所定の場所における観光用の施設の利用率と、所定仮想空間における観光用の施設を利用していないユーザの、所定の場所における観光用の施設の利用率とを算出する。このようにすることで、分析者は、所定仮想空間における観光用の施設の利用が、実在する所定の場所の観光用の施設の集客に寄与しているかを判断することができる。
【0066】
また、所定の場所が、所定の学校の所在場所である場合、分析部133は、推定部132によるユーザが所定の学校に入学したかの推定と、取得部131が取得した利用状況情報が示す仮想空間の利用時刻とに基づいて、ユーザが所定の学校に対応する所定仮想空間を利用したことにより所定の学校に入学したか否かを分析してもよい。この場合、分析部133は、所定の学校に入学した複数のユーザの利用状況情報に基づいて、複数のユーザそれぞれが、所定の学校に入学する前に、所定の学校に対応する所定仮想空間を利用したか否かを判定する。そして、分析部133は、所定の学校に入学したユーザの人数に対する、所定の学校への入学前に所定仮想空間を利用したユーザの人数の割合と、所定の学校に入学したユーザの人数に対する、所定の学校への入学前に所定仮想空間を利用していないユーザの人数の割合とを算出する。このようにすることで、分析者は、所定仮想空間に対して所定の学校を設けることが、ユーザの所定の学校への入学に効果的であるかを判断することができる。
【0067】
また、所定の場所が、所定の学校の所在場所である場合、分析部133は、所定仮想空間におけるユーザの他のユーザとのコミュニケーション度合いと、ユーザの所定の学校への入学との関連とを分析してもよい。この場合、利用状況情報は、ユーザの所定仮想空間における所定の学校の関係者とのコミュニケーションの度合いを示す第1の指標値と、ユーザの所定仮想空間における所定の学校とは関係のない他のユーザとのコミュニケーションの度合いを示す第2の指標値との少なくともいずれかを含むものとする。第1の指標値及び第2の指標値は、例えば、単位時間当たりのユーザと他のユーザとのテキストチャット、音声チャットのデータ量、又は動画を介したコミュニケーションの時間に基づいて決定されるものとし、指標値の値が高ければ高いほど、コミュニケーションの量が多いものとする。
【0068】
そして、分析部133は、第1の指標値及び第2の指標値の少なくともいずれかと、所定の学校への入学との関係を分析する。例えば、分析部133は、所定の学校に入学したと推定された複数のユーザそれぞれの、第1指標値及び第2指標値の少なくともいずれかの平均値及び指標値の分布と、所定の学校に入学しなかったと推定された複数のユーザそれぞれの、第1指標値及び第2指標値の少なくともいずれかの平均値及び指標値の分布とを算出する。このようにすることで、分析者は、ユーザの所定仮想空間における所定の学校の関係者とのコミュニケーション、及び所定の学校とは関係のない他のユーザとのコミュニケーションが、所定の入学に影響しているかを判断することができる。
【0069】
[移動見込に係る分析]
なお、分析部133は、ユーザによる所定仮想空間の利用と、所定の場所に対するユーザの移動関連行動との関係を分析したが、この分析とは異なる分析を行うようにしてもよい。例えば、分析部133は、ユーザに対して推定部132が移動関連行動を推定できなかった場合に、取得部131が取得した利用状況情報が示す利用状況に基づいて、ユーザが所定の場所に移動する見込みが高いか否かを分析してもよい。
【0070】
具体的には、分析部133は、所定仮想空間の利用に対して、移動関連行動を実施した複数のユーザの利用状況情報に基づいて、当該複数のユーザのコミュニケーション度、所定仮想空間の仮想空間利用度の平均値を特定する。そして、分析部133は、ユーザに対して推定部132が移動関連行動を推定できなかった場合に、取得部131が取得した、当該ユーザに対応する利用状況情報が示すコミュニケーション度及び仮想空間利用度と、特定した複数のユーザのコミュニケーション度及び仮想空間利用度の平均値とに基づいて、ユーザが所定の場所に移動する見込みを示すスコアである見込スコアを算出する。例えば、分析部133は、ユーザのコミュニケーション度から複数のユーザのコミュニケーション度の平均値を減算するとともに、ユーザの仮想空間利用度から複数のユーザの仮想空間利用度の平均値を減算する。そして、分析部133は、減算結果の値が大きいほど見込スコアが高くなるように見込スコアを算出する。
【0071】
この場合において、分析部133は、移動関連行動を実施しなかったと推定されたユーザの属性にさらに基づいて、ユーザが所定の場所に移動する見込みを分析してもよい。この場合、分析部133は、ユーザの属性別に、ユーザによる所定仮想空間の利用と、所定の場所に対するユーザの移動関連行動との関係を分析し、複数の属性のうち、所定仮想空間の利用に対し、移動関連行動が発生しやすい属性の値を特定する。例えば、分析部133は、所定仮想空間の利用に対し、移動関連行動を実施する確率が高いユーザの属性の値として、年代、性別、職業、家族構成、趣味、興味があるジャンル、保有資産の金額を特定する。
【0072】
そして、分析部133は、移動関連行動を実施しなかったと推定されたユーザの属性の値と、特定した属性の値との一致率に基づいて、ユーザの見込スコアを調整する。例えば、分析部133は、特定した一致率が高いほど見込スコアが高くなるように見込スコアを調整する。
【0073】
また、分析部133は、取得部131が取得した、移動関連行動を実施しなかったと推定されたユーザの利用状況情報が示す所定仮想空間におけるユーザの決済を示す決済情報に基づいて、当該ユーザが所定の場所に移動する見込みが高いか否かを分析してもよい。例えば、分析部133は、決済情報が示す決済額が高いほど、見込スコアが高くなるように見込スコアを調整する。
【0074】
また、分析部133は、決済情報に、ユーザが購入した商品を示す商品情報が含まれている場合には、移動関連行動を実施した複数のユーザが購入する傾向が高い商品の種類を特定する。そして、分析部133は、移動関連行動を実施しなかったと推定されたユーザの利用状況情報が示す決済情報が示す、当該ユーザが購入した商品に、特定した種類の商品が含まれている場合には、見込スコアが高くなるように見込スコアを調整する。
【0075】
また、取得部131は、利用状況情報として、所定仮想空間においてユーザが活動している場合におけるユーザの生体情報を取得してもよい。この場合、ユーザには、ユーザの生体情報としての心拍数や感情を計測する計測装置が装着されている。そして、取得部131は、所定仮想空間においてユーザが活動している場合に当該計測装置が計測した生体情報を取得する。そして、分析部133は、取得部131が取得した利用状況情報が示す生体情報に基づいて、ユーザが所定の場所に移動する見込みが高いか否かを分析する。ここで、取得部131は、計測装置が計測した生体情報を取得したが、これに限らない、例えば、取得部131は、例えば携帯端末2が集音したユーザの音声データを取得し、当該音声データを解析することにより、ユーザの感情を示す感情情報を生体情報として取得してもよい。また、取得部131は、例えば携帯端末2が撮像したユーザの顔画像を示す画像データを取得し、当該画像データを解析することにより、ユーザの表情を示す表情情報を生体情報として取得してもよい。
【0076】
例えば、生体情報が示す心拍数が高い場合、生体情報が示す感情又は表情が高揚感や喜びといった肯定的な感情を示している場合には、所定仮想空間の利用を肯定的に捉えており、所定の場所に対する好感度が高いと考えられる。このため、分析部133は、移動関連行動を実施しなかったと推定されたユーザが所定仮想空間において活動している場合に取得した生体情報としての心拍数の平均値が所定値を超える場合、又は、生体情報としての感情が、肯定的な感情を示している時間が所定時間を超える場合、見込スコアが高くなるように見込スコアを調整する。
【0077】
このように、ユーザの属性、所定仮想空間に対応する決済情報及び生体情報にさらに基づいて見込スコアを算出することで、複数のユーザの中から見込スコアの高いユーザを、所定の場所に移動する確率が高いユーザとして特定し、所定の場所の関係者が、所定仮想空間上で当該ユーザに積極的にコミュニケーションをとるなどの対応を行うことができる。
【0078】
出力部134は、分析部133による分析結果を示す分析結果情報を出力する。例えば、出力部134は、分析結果情報として、分析部133が分析した複数の分析結果をまとめた分析結果画面を分析者端末4に出力し、分析者端末4に表示させる。図6は、分析結果画面の一例を示す図である。図6に示す例では、所定仮想空間を利用したユーザ及び利用していないユーザに対する、移動関連行動が発生したユーザの数の割合及び移動関連行動が発生していないユーザの数の割合と、所定仮想空間を利用したユーザの属性別の割合とが表示されていることが確認できる。
【0079】
[情報処理装置1による効果]
以上説明したように、本実施の形態に係る情報処理装置1は、ユーザを識別するためのユーザIDと、ユーザが使用する携帯端末2が存在した位置を示す端末位置情報とを関連付けた位置履歴情報に基づいて、ユーザの所定の場所への移動に関連する移動関連行動を推定し、当該移動関連行動と、ユーザによる所定の場所を模した仮想空間の利用状況とに基づいて、ユーザによる仮想空間の利用と、所定の場所に対するユーザの移動関連行動との関係を分析し、当該分析の結果を示す分析結果情報を出力する。このようにすることで、情報処理装置1は、仮想空間に対して所定の場所を設けたことを評価可能とすることができる。
【0080】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0081】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0082】
1 情報処理装置
2 携帯端末
3 サーバ
4 分析者端末
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 取得部
132 推定部
133 分析部
134 出力部
【要約】      (修正有)
【課題】仮想空間に対して所定の場所を設けたことを評価する情報処理装置及び情報処理方法を提供する。
【解決手段】ユーザの携帯端末と、仮想空間を提供するサーバと、分析者端末とに、通信により接続する情報処理装置1は、ユーザIDと、ユーザが使用する携帯端末が存在した位置を示す端末位置情報とを関連付けた位置履歴情報を取得するとともに、ユーザによる所定の場所を模した仮想空間の利用状況を示す利用状況情報を取得する取得部131、取得部が取得した位置履歴情報に基づいて、ユーザの所定の場所への移動に関連する移動関連行動を推定する推定部132、推定部が推定したユーザの移動関連行動と、取得部が取得した利用状況情報が示す利用状況とに基づいて、ユーザによる仮想空間の利用と、所定の場所に対するユーザの移動関連行動との関係を分析する分析部133及び分析部による分析結果を示す分析結果情報を出力する出力部134を有する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6