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特許7584624フレキシブルパッケージにおけるポストインダストリアルリサイクル材料の使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】フレキシブルパッケージにおけるポストインダストリアルリサイクル材料の使用
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/40 20060101AFI20241108BHJP
   B29B 17/02 20060101ALI20241108BHJP
   B29B 17/00 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
B65D65/40 D BRH
B29B17/02 ZAB
B29B17/00
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2023504841
(86)(22)【出願日】2021-07-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-16
(86)【国際出願番号】 US2021043361
(87)【国際公開番号】W WO2022026492
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2023-01-24
(31)【優先権主張番号】20188844.3
(32)【優先日】2020-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【弁理士】
【氏名又は名称】柳本 陽征
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン、コールバイアー
(72)【発明者】
【氏名】ネジメティン、チェリク
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-096410(JP,A)
【文献】特開2019-059552(JP,A)
【文献】特開平08-133337(JP,A)
【文献】特開平07-187168(JP,A)
【文献】特表平06-500963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/40
B29B 17/02
B29B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーフィルムで作製されたフレキシブルパッケージを作成するためのポストインダストリアルリサイクル材料の使用であって、
前記ポストインダストリアルリサイクル材料はプリカーサポリマーフィルムから形成され、前記ポストインダストリアルリサイクル材料は、前記ポリマーフィルムの総重量に基づいて少なくとも30重量%を構成し、
前記プリカーサポリマーフィルムは、フレキシブルプリカーサパッケージから各部分を除去することによって取得され、前記フレキシブルプリカーサパッケージは、プリカーサポリマーフィルムで作製され、
前記フレキシブルプリカーサパッケージは、ウィケットパネルを含んだプリカーサウィケットフレキシブルパッケージであり、前記除去されたプリカーサポリマーフィルムは前記ウィケットパネルである、使用。
【請求項2】
前記除去されたプリカーサポリマーフィルムは、いかなる印刷表面エリアも含まない、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記プリカーサポリマーフィルムは、前記フレキシブルプリカーサパッケージからの除去後に圧縮される、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記ポリマーフィルムは、第1の外層と、第2の外層と、1つ以上の内層と、を含み、
前記第1の外層は、前記第1の外層の第1のエリアが前記第1の外層の第2のエリアに封止されてシームを形成する状態で、前記フレキシブルパッケージの内部に面し、
前記第2の外層は、印刷表面エリアを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
前記1つ以上の内層は、合計で、前記第1の外層及び前記第2の外層の各々と比べて、前記ポストインダストリアルリサイクル材料をより多く含む、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
前記第2の外層は、前記第1の外層と比べて、前記ポストインダストリアルリサイクル材料をより多く含む、請求項4又は5に記載の使用。
【請求項7】
前記ポリマーフィルムはポリエチレンで形成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
前記ポリマーフィルムは、前記プリカーサポリマーフィルムの機械方向の引張強度の少なくとも90%である、機械方向の前記引張強度を有し、前記ポリマーフィルムは、ISO527-1:2012に従って測定したとき、前記プリカーサポリマーフィルムの横方向の引張強度の少なくとも90%である、横方向の前記引張強度を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
前記ポリマーフィルムは、前記プリカーサポリマーフィルムの機械方向の破断点伸びの少なくとも90%である、機械方向の前記破断点伸びを有し、前記ポリマーフィルムは、ISO527-1:2012に従って測定したとき、前記プリカーサポリマーフィルムの横方向の破断点伸びの少なくとも90%である、横方向の前記破断点伸びを有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
ポリマーフィルムで作製されたフレキシブルパッケージを作製する方法であって、
a)プリカーサポリマー材料から形成されたプリカーサポリマーフィルムからポストインダストリアルリサイクル材料を取得するステップと、
b)前記ポリマーフィルムの総重量に基づいて、ステップa)で取得された少なくとも30重量%のポストインダストリアルリサイクル材料を提供するステップと、
c)前記ポリマーフィルムの総重量に基づいて、最大で70重量%のバージンポリマー材料を提供するステップと、
d)前記バージンポリマー材料と前記ポストインダストリアルリサイクル材料とを一緒に溶融させるステップと、
e)ポリマーフィルムを形成するように、前記溶融したポリマー材料及び前記溶融したポストインダストリアルリサイクル材料を押出しするステップと、
f)前記ポリマーフィルムの一方又は両方の表面に印刷を提供するステップと、
g)前記ポリマーフィルムを前記フレキシブルパッケージに変換するステップと、を含み、
前記プリカーサポリマーフィルムは、フレキシブルプリカーサパッケージからの除去によって取得され、
前記フレキシブルプリカーサパッケージは、ウィケットパネルを含んだプリカーサウィケットフレキシブルパッケージであり、前記除去されたプリカーサポリマーフィルムは前記ウィケットパネルである、方法。
【請求項11】
前記フレキシブルプリカーサパッケージから除去された前記プリカーサポリマーフィルムは、いかなる印刷表面エリアも有さない、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ステップe)で形成された前記ポリマーフィルムは、ISO527-1:2012に従って測定したとき、ステップa)で取得された前記プリカーサポリマーフィルムの横方向の引張強度の少なくとも90%である、横方向の前記引張強度を有する、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
ステップe)で形成された前記ポリマーフィルムは、ISO527-1:2012に従って測定したとき、ステップa)で取得された前記プリカーサポリマーフィルムの横方向及び機械方向の引張強度の少なくとも90%である、横方向及び機械方向の前記引張強度を有する、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
ステップe)で形成された前記ポリマーフィルムは、ISO527-1:2012に従って測定したとき、ステップa)で取得された前記プリカーサポリマーフィルムの横方向及び機械方向の破断点伸びの少なくとも90%である、横方向及び機械方向の前記破断点伸びを有する、請求項10~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
ステップe)で形成された前記ポリマーフィルムは、ポリエチレンで形成されている、請求項10~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ステップe)で形成された前記ポリマーフィルムは、前記ポリマーフィルムの総重量に基づいて2.0重量%超の、ステップa)で取得されたもの以外のポストインダストリアルリサイクル材料を含まない、請求項10~15のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フレキシブルパッケージにおけるポストインダストリアルリサイクル材料の使用、並びにそのようなフレキシブルパッケージを作製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマーフィルム材料で作製されたフレキシブルパッケージにおいて様々な異なる製品を提供することが広く知られている。例えば、おむつ、ビブ、ワイプ、生理用ナプキン、タンポンなどの吸収性物品は、一般に、フィルムで作製されたフレキシブルパッケージに包装されている。
【0003】
環境的な側面への関心の高まりを考慮して、これらの製品がパッキングされる方法を含めて、消費者製品の持続可能性が増大している。高分子材料などの石油系原材料に基づくパッケージング材料は、消費者及び製造業者によって、より問題のあるものとして見られている。
【0004】
これらの懸念に対処するために、異なるアプローチが評価されており、また継続的に調査されている。例えば、石油系材料の全て又は少なくとも一定の割合は、デンプンなどの再生可能資源に由来する材料で置き換えられ得る。別のアプローチは、パッケージング材料を包装製造プロセスに戻すリサイクルである。
【0005】
しかしながら、リサイクル材料を製造プロセスに戻すことは、得られる新しいフレキシブルフィルムパッケージングの品質に悪影響を及ぼすことが多い。これらの悪影響は、機械的態様(例えば、引張強度又は破断点伸び)、フィルム材料の光学特性、又は印刷若しくは封止などの加工性の低下などの多くの特性に関連し得る。これらの問題に起因して、フレキシブルフィルムパッケージは、多くの場合、比較的少量のリサイクル材料のみを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、比較的多量のリサイクル材料の使用を可能にすると同時に、上述の悪影響を低減し、又は更には相殺するフレキシブルパッケージを作製するためのリサイクルアプローチを提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ポリマーフィルムで作製されたフレキシブルパッケージを作成するためのポストインダストリアルリサイクル材料の使用に関する。ポリマーフィルムは、20μm~100μmの厚さを有し得る。ポストインダストリアルリサイクル材料は、フレキシブルパッケージのポリマーフィルムと実質的に同じであるプリカーサポリマーフィルムで形成される。ポストインダストリアルリサイクル材料は、新しいポリマーフィルムの総重量に基づいて、少なくとも30重量%、又は少なくとも40重量%、又は少なくとも45重量%、又は少なくとも50重量%、又は少なくとも55重量%を構成する。
【0008】
好ましくは、プリカーサポリマーフィルムは、フレキシブルプリカーサパッケージから各部分を除去することによって取得され、フレキシブルプリカーサパッケージは、プリカーサポリマーフィルムで作製される。フレキシブルプリカーサパッケージは、ウィケットフレキシブルプリカーサパッケージであり得、プリカーサポリマー材料の各部分は、ウィケットパネルであり得る。
【0009】
ポリマーフィルム及びプリカーサポリマーフィルムは、LDPE(低密度ポリエチレン)、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、MDPE(中密度ポリエチレン)などのポリエチレンで形成され得る。
【0010】
本発明はまた、ポリマーフィルムで作製されたフレキシブルパッケージを作製する方法に関する。本方法は、
a)ステップc)のバージンポリマー材料と実質的に同じであるプリカーサポリマー材料から形成されたプリカーサポリマーフィルムのポストインダストリアルリサイクルからポストインダストリアルリサイクル材料を取得するステップと、
b)ポリマーフィルムの総重量に基づいて、ステップa)で取得された少なくとも30重量%、又は少なくとも35重量%、又は少なくとも40重量%、又は少なくとも45重量%、又は少なくとも50重量%、又は少なくとも55重量%のポストインダストリアルリサイクル材料を、例えば樹脂ペレットの形態で提供するステップと、
c)ポリマーフィルムの総重量に基づいて、最大70重量%、又は最大65重量%、又は最大60重量%、又は最大55重量%、又は最大50重量%、又は最大45重量%のバージンポリマー材料を提供するステップと、
d)バージンポリマー材料とポストインダストリアルリサイクル材料とを一緒に溶融させるステップと、
e)ポリマーフィルムを形成するように、溶融したポリマー材料及び溶融したポストインダストリアルリサイクル材料を押出しするステップと、
f)ポリマーフィルムの一方又は両方の表面に印刷を提供するステップと、
g)ポリマーフィルムをフレキシブルパッケージに変換するステップと、を含む。
【0011】
方法ステップa)で取得されるプリカーサポリマーフィルムは、フレキシブルプリカーサパッケージからプリカーサポリマーフィルムを除去することによって取得され得る。
【0012】
本方法のプリカーサポリマーフィルムは、方法ステップa)の前に、フレキシブルプリカーサパッケージからの除去の後に圧縮され得る。
【0013】
方法ステップe)で形成されたポリマーフィルムは、第1の外層と、第2の外層と、1つ以上の内層と、を含み得る。第1の外層は、フレキシブルパッケージの内部に面し得、第1の外層の第1のエリアは、第1の外層の第2のエリアに封止されてシームを形成する。第2の外層は、印刷表面エリアを含み得る。
【0014】
方法ステップe)で形成されたポリマーフィルムの1つ以上の内層は、合計で、第1の外層及び第2の外層の各々と比べて、ポストインダストリアルリサイクル材料をより多く含み得る。
【0015】
方法ステップe)で形成されたポリマーフィルムの第2の外層は、第1の外層と比べて、ポストインダストリアルリサイクル材料をより多く含み得る。
【0016】
本方法は、h)圧縮された製品をフレキシブルパッケージに挿入するステップと、h)閉鎖されたフレキシブルパッケージを提供するためにフレキシブルパッケージを封止するステップと、更に含み得る。圧縮された製品は、おむつ、パンツ、生理用ナプキン、ワイプ又はウェットワイプなどの吸収性物品であり得る。吸収性物品は、使い捨てであってもよい。
【0017】
方法ステップe)で形成されたポリマーフィルムは、ISO527-1:2012に従って測定したとき、少なくとも2N/mmの機械方向及び横方向の引張強度を有し得る。
【0018】
方法ステップe)で形成されたポリマーフィルムは、ISO527-1:2012に従って測定したとき、少なくとも0.75N/mmの、機械方向及び横方向の10%の伸びにおける引張強度を有し得る。
【0019】
方法ステップe)で形成されたポリマーフィルムは、ISO527-1:2012に従って測定したとき、少なくとも700%の機械方向及び横方向の破断点伸びを有し得る。
【0020】
方法ステップe)で形成されたポリマーフィルムは、ISO4593:1993に従って測定したとき、20μm~100μmの厚さを有し得る。
【0021】
方法ステップe)で形成されたポリマーフィルムは、LDPE、LLDPE、MDPEなどのポリエチレンで形成され得る。
【0022】
方法ステップe)で形成されたポリマーフィルムは、ポリマーフィルムの総重量に基づいて2.0重量%超、又は1.0重量%以下、又は0.5重量%以下、又は0.0重量%と同一の、ステップa)で取得されたもの以外のポストインダストリアルリサイクル材料を含まない場合があり、これは、フレキシブルプリカーサパッケージからのプリカーサポリマーフィルムの除去によって取得され得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】フレキシブルパッケージを例示する正面斜視図である。
図2】平坦な構成におけるウィケットフレキシブルパッケージの斜視図である。
図3】ウィケットフレキシブルパッケージのスタックの上面斜視図である。
図4】ウィケットパネルを有するウィケットフレキシブルパッケージの概略平面図である。
図5】ウィケットパネルの除去後のフレキシブルパッケージの概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の諸定義は、本開示を理解するのに有益であり得る。
【0025】
本明細書では、「機械方向」(MD)とは、プロセスを通過する材料の流れの方向を指す。加えて、材料の相対的配置及び動きは、あるプロセスを通過してそのプロセスの上流からそのプロセスの下流に向かう機械方向に流れているものとして述べることができる。
【0026】
本明細書では、「横断方向」(CD)とは、機械方向と平行でなく、通常、機械方向に垂直である方向を指す。
【0027】
「封止」は、本明細書では、パッケージが破裂されるまでアクセス不能である内部を有するパッケージを指す。それはまた、互いに重ね合わされ、例えばフレキシブルパッケージのサイドシームを形成するように互いに接合されているポリマーフィルムの2つ以上の層を指す。サイドシームでは、ポリマーフィルムの各層は、ポリマーフィルムを破裂又は引き裂くことなく分離され得ないように封止される。
【0028】
本明細書で使用される場合、「バージンポリマー材料」は、まだ使用又は処理されていない、天然ガス若しくは原油又はサトウキビなどの石油化学又は植物ベースの供給原料から直接生成されたポリマー材料を意味する。
【0029】
本明細書で使用される場合、「樹脂ペレット」は、円柱又は円板の形状を有し得るポリマー材料の小さな顆粒である。樹脂ペレットのサイズは、数mmの直径を伴って2mm~5mmの範囲に及び得る。これらの樹脂ペレットは、本発明のポリマーフィルムへと溶融及び形成される。
【0030】
本明細書で使用される場合、「吸収性物品」は、身体排泄物を吸収して収容するデバイスを指し、より具体的には、身体から排出された様々な排泄物を吸収して収容するために、着用者の身体に対して又は近位に配置されたデバイスを指す。吸収性物品としては、おむつ(乳児用おむつ及び成人用失禁用おむつ)、パンツ(乳児用又は成人用)、吸収性インサート(おむつ又はパンツを形成するために外側カバーに挿入されることを意図するもの)、生理用ナプキン又はパンティライナーなどの女性用ケア吸収性物品などを挙げることができる。本明細書で使用される場合、用語「排泄物」は、限定するものではないが、尿、血液、膣排泄物、汗、及び糞便を含む。本発明の好ましい吸収性物品は使い捨て吸収性物品であり、より好ましくは、使い捨ておむつ及び使い捨てパンツである。
【0031】
本明細書で使用される場合、「使い捨て」は、通常の意味では、様々な期間にわたって限定された使用回数、例えば、20回未満の使用、10回未満の使用、5回未満の使用、又は2回未満の使用の後に、使い捨て又は廃棄される物品を意味するように使用される。使い捨て吸収性物品が、個人衛生用途のためのおむつ、パンツ、生理用ナプキン、生理用パッド、又はウェットティッシュである場合には、使い捨て吸収性物品は、ほとんどの場合、1回の使用後に処分されることを意図されている。
【0032】
パッケージング材料などの新しい製品又は材料を作製するためのポリマー材料のリサイクルは、広く知られている。一般に、それは、例えば、ISOノルム14021:2016(E)に記載されているように、プレコンシューマ/ポストインダストリアルリサイクル材料(PIRとも呼ばれる)とポストコンシューマリサイクル材料(PCRとも呼ばれる)との間で区別される。
【0033】
PCR材料は、製品がその寿命に達した後に消費者によって生成される廃棄物である。この材料は、埋め土から転用されるか、あるいは再収集システムにおいて回復され、他の商品の生成において利用される。
【0034】
PCR材料とは対照的に、PIRは、製造プロセスで発生した廃棄物を元の製造プロセスに再導入することに関する。リサイクルのレベルは、典型的にはむしろ低く、すなわち、製造される生成物中のPIRのパーセンテージは、最大でPIR材料の約10%など、比較的低い。
【0035】
フレキシブルパッケージの場合、ポリマーフィルムの製造プロセスは1つの製造拠点で行われるが、フレキシブルパッケージの製造、すなわち、フレキシブルパッケージへのポリマーフィルムの変換はほとんどの場合、別の製造拠点で実行される。PIR材料に関して言えば、製造プロセスがポリマーフィルムなどの中間生成物を生成するものである場合、製造プロセスに再び供給されるリサイクル廃棄物は、典型的には、中間プロセスの製造プロセスから生じるものであり、最終製品(フレキシブルパッケージなど)の製造プロセスから生じるものではない。
【0036】
したがって、フレキシブルパッケージの場合、少量の廃棄ポリマーフィルムをリサイクルすることは知られているが、中間生成物(ポリマーフィルム)の製造プロセスへと再び最終製品(すなわち、フレキシブルパッケージ)をリサイクルすることは、これまで実践されていない。
【0037】
フレキシブルパッケージに変換される前に、ポリマーフィルムは、その表面の一方又は両方に印刷を設けられる。ポリマーフィルムは、少なくとも外側表面上に、すなわちフレキシブルパッケージの外部を形成する表面上に印刷が設けられる。
【0038】
シールの形成において、ポリマーフィルムの層は、例えば、サイドシームを形成するように互いに接合される。シールの形成は、しばしば、シールが形成されるポリマーフィルムのエリアに適用される加工助剤の使用を伴う。加工助剤は、例えば、パッケージに収容された製品(特に圧縮吸収性物品などの圧縮製品)によってフレキシブルパッケージに及ぼされる圧力に耐える耐久性の封止を容易にする。印刷のために、インク及び染料がポリマーフィルムの表面に塗布され、最終パッケージの外向き表面を形成する。ワニスなどのポリマーフィルムの表面を変化させる他の表面仕上げも知られている。
【0039】
したがって、フレキシブルパッケージは、フレキシブルパッケージへの変換前にポリマーフィルムに含められていない構成成分を含み、フレキシブルパッケージのリサイクルが問題となっている。
【0040】
ポリマーフィルムで作製されたフレキシブルパッケージを作製するためのPIR材料の使用
本発明は、ポリマーフィルムで作製されたフレキシブルパッケージを作製するためのポストインダストリアルリサイクル材料の使用に関する。
【0041】
フレキシブルパッケージは、当該技術分野で既知であり、その中に収容される製品に好適な任意の形状及びサイズを取り得る。例えば、フレキシブルパッケージは、対向する第1のパネル及び第2のパネルを含み得る。各パネルは、上縁部分、下縁部分、左側縁部分、及び右側縁部分を画定し得る。第1のパネルと第2のパネルは、第1のパネル及び第2のパネルの左側縁部分に沿って第1のサイドシームにおいて、また第1のパネル及び第2のパネルの右側縁部分に沿って第2のサイドシームにおいて接合され得る。フレキシブルパッケージは、パッケージの上縁部分又は下縁部分に沿った、フレキシブルパッケージを開放するための開口機構を含み得る。開放機構は、例えば、穿孔であり得る。開放機構は再閉鎖可能であり得る。再閉鎖可能な機構には、例えば、蓋、テープタブファスナ、フックループファスナー、スナップ、ボタン、又はラッチが含まれ得る。フレキシブルパッケージはまた、運搬を容易にするためのハンドルを備え得る。
【0042】
ポリマーフィルムで作製されたフレキシブルパッケージを作製するために使用されるポストインダストリアルリサイクル材料は、フレキシブルパッケージのポリマーフィルムと実質的に同じであるプリカーサポリマーフィルムから形成される。「プリカーサポリマーフィルム」は、本明細書で使用される場合、PIR材料を指すのに対し、「プリカーサ」という用語が前に付加されない「ポリマーフィルム」は、生成されるものであり、かつ一定のパーセンテージのプリカーサポリマーフィルムを含んだポリマーフィルムを指す。
【0043】
ポリマーフィルムは、フィルムがその厚さ全体にわたって同じ材料組成からなるように、単層材料であり得る。しかしながら、ポリマーフィルムは、第1の外層、第2の外層、及び1つ以上の内層などの2つ以上の層を含むことが好ましい。第1の外層は、第1の外層の第1のエリアが第1の外層の第2のエリアに封止されてシーム(例えば、サイドシーム)を形成する状態で、フレキシブルパッケージの内部に面し得る。第2の外層は、印刷表面エリアを含み得る。
【0044】
したがって、第1の外層は、第1の外層の封止能力を改善する少量の添加剤を含み得る。同様に、第2の外層は、第2の外層の印刷性を改善する少量の添加剤を含み得る。
【0045】
1つ以上の内層は、ポリマーフィルムの全体的な耐久性及び強度(引張強度など)に寄与する。
【0046】
1つ以上の内層は、第1の外層及び第2の外層の各々の坪量よりも高い坪量を有し得る。1つ以上の内層は、第1の外層の坪量と第2の外層の坪量との組み合わせより高い坪量を有し得る。ポリマーフィルムが2つ以上の内層を有する場合、上記は、全ての内層の合計坪量に関する。
【0047】
ポリマーフィルムが2つ以上の層を含む場合、個々の層は、PIR材料の異なるパーセンテージを含み得る。
【0048】
プリカーサポリマーフィルム及びポリマーフィルムのそれぞれの層の各々におけるポリマー組成物が完全に同一ではないこともあり得るため、プリカーサポリマーフィルムは、フレキシブルパッケージのポリマーフィルムと「実質的に」同じである。プリカーサポリマーフィルムは、それを含む層に分離され得ないが、それは、これらの層がほとんどの場合、共押出されるからである。したがって、プリカーサポリマーフィルムは、全ての層を含めて、全体としてのみ溶融され得る。結果として、プリカーサポリマーフィルムの特定の層にのみ存在した添加剤などは、そのような層がプリカーサポリマーフィルムからのリサイクル材料を含む場合に、ポリマーフィルムの特定の他の層に存在し得る。「実質的に」という用語は、本明細書では、そのようなわずかな逸脱を考慮に入れるために用いられている。
【0049】
プリカーサポリマーフィルムから形成されたポストインダストリアルリサイクル材料は、ポリマーフィルムの総重量に基づいて、少なくとも30重量%、又は少なくとも40重量%、又は少なくとも45重量%、又は少なくとも50重量%、又は少なくとも55重量%を構成する。
【0050】
プリカーサポリマーフィルムは、フレキシブルプリカーサパッケージから各部分を除去することによって取得され得、フレキシブルプリカーサパッケージは、プリカーサポリマーフィルムで作製される。したがって、プリカーサポリマーフィルムは、ポリマーフィルムを作製するための製造プロセスにおいて生成され、直接製造プロセスへと再びリサイクルされる廃棄物ではない場合がある。その代わりに、フレキシブルプリカーサパッケージの各部分を除去することによって得られるポリマーフィルムは、製品(吸収性物品など)が作製され、続いてフレキシブルプリカーサパッケージに充填される製造拠点で生成される廃棄物に関連する。したがって、フレキシブルプリカーサパッケージは、フレキシブルパッケージに収容される製品の製造業者によって提供され得る。
【0051】
リサイクルプロセスの効率を高めるために、プリカーサポリマーフィルムは、フレキシブルポリマーフィルムの作製に使用される前に圧縮され得る。そのような圧縮は、プリカーサポリマーフィルムがフレキシブルプリカーサパッケージから除去された製造拠点で行われ得る。例えば、除去が吸収性物品製造業者の生産拠点で行われる場合、プリカーサポリマーフィルムは、この拠点で圧縮され得る。
【0052】
この時点で、フレキシブルパッケージは、例えば耐久性のあるシームのために適切な封止を促進するのに役立つ特定の加工助剤、並びに、様々な画像、色、テキストなどのアートワークをフレキシブルパッケージの外(外部)表面に提供するためのインク及び染料を既に含んでいてもよい。フレキシブルパッケージの外部に印刷される更なるテキスト又はグラフィックは、例えば、ブランド名、サイズ、製品ライン、広告、マーケティングのための主張、安全情報、使用説明などに関連し得る。更に、この時点で、フレキシブルパッケージは、フレキシブルパッケージに再閉鎖性を付与するためのテープ若しくは他の手段、又はフレキシブルパッケージに取り付けられているハンドルなどの追加の構成要素を備えてもよい。そのような別個の構成要素は、例えば、接着剤、超音波溶接、熱、圧力、又はこれらの組み合わせによって、フレキシブルパッケージに取り付けられ得る。
【0053】
本明細書で使用される場合、「フレキシブルプリカーサパッケージ」は、PIR材料が由来するパッケージを指し、「プリカーサ」という用語が追加されない「フレキシブルパッケージ」は、作製されるものであり、フレキシブルプリカーサパッケージの各部分を除去することによって得られるポリマーフィルムを含むフレキシブルパッケージを指す。
【0054】
フレキシブルプリカーサパッケージは、しばしば、以下でより詳細に説明される、いわゆるプリカーサウィケットフレキシブルパッケージとして提供される。
【0055】
ウィケットフレキシブルパッケージは、典型的にはフレキシブルパッケージに製品が充填された後に除去される部分(すなわち、「ウィケットパネル」)を含む。除去されたウィケットパネルは、廃棄材料である。フレキシブルパッケージのサイズ及び寸法に対するウィケットパネルのサイズ及び寸法に応じて、ウィケットパネルは、ウィケットフレキシブルパッケージのうちの相当な割合を構成し得る。したがって、ウィケットパネルの除去によって生成される廃棄材料の量は、非常に多くなり得る。ウィケットパネルは、プリカーサウィケットフレキシブルパッケージなどのウィケットフレキシブルパッケージの総重量に基づいて、少なくとも3重量%、又は少なくとも5重量%、又は少なくとも8重量%、又は少なくとも10重量%を形成し得る。ウィケットパネルは、プリカーサウィケットフレキシブルパッケージなどのウィケットフレキシブルパッケージの総重量に基づいて、20重量%超を形成し得ない。
【0056】
いくつかの状況では、PIR材料を含むポリマーフィルムは、悪臭を呈する。この悪臭は、フレキシブルプリカーサフィルムの表面に印刷エリア(例えば、アートワークなど)を提供するために使用されるインク及び染料に起因することが判明している。プリカーサポリマーフィルムがいかなる印刷エリアも含まない場合、悪臭は低減されるか、あるいは更に排除され得る。
【0057】
上記のように、ポリマーフィルムは、2つ以上の層を含み得る。例えば、ポリマーフィルムは、第1の外層、第2の外層、及び1つ以上の内層を含み得る。
【0058】
第1の外層は、第1の外層の第1のエリアが第1の外層の第2のエリアに封止されてシームを形成する状態で、フレキシブルパッケージの内部に面し得る。そのような封止エリアは、耐久性のあるシームを得るのに役立つように、封止の前に加工助剤で処理されていてもよい。それに代わって、あるいはそれに加えて、第1の外層は、封止強度を改善するための特定の添加剤を含み得る。
【0059】
第2の外層は、印刷表面エリアを含み得る。第1の外層と同様に、第2の外層は、印刷の品質を改善するために、印刷前に加工助剤で処理されていてもよい。それに代わって、あるいはそれに加えて、第2の外層は、印刷品質を改善するための特定の添加剤を含み得る。
【0060】
一般に、ポリマーフィルムの第1の外層及び/又は第2の外層と比べて、1つ以上の内層にPIR材料をより多く有することが望ましい場合がある。
【0061】
1つ以上の内層は、合計で、第1の外層及び第2の外層の各々と比べて、ポストインダストリアルリサイクル材料をより多く含み得る。したがって、1つ以上の内層中のPIR材料の総量は、外層中のPIR材料の総量よりも多くてもよい。
【0062】
1つ以上の内層は、ポリマーフィルムの総坪量の50重量%超を形成し得る。1つ以上の内層の総坪量(2つ以上の内層がある場合の合計坪量)に基づく1つ以上の内層中のポストインダストリアルリサイクル材料のパーセンテージは、外層の総坪量に基づく第1の外層中のポストインダストリアルリサイクル材料のパーセンテージよりも高くなり得る。代替的にあるいは追加的に、1つ以上の内層の総坪量(2つ以上の内層がある場合の合計坪量)に基づく1つ以上の内層中のポストインダストリアルリサイクル材料のパーセンテージは、外層の総坪量に基づく第2の外層中のポストインダストリアルリサイクル材料のパーセンテージよりも高くなり得る。
【0063】
ポリマーフィルムは、ポリオレフィンで形成され得る。例えば、ポリマーフィルムは、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はこれらの組み合わせで形成され得る。好適なポリエチレンは、LDPE、LLDPE、MDPE、チーグラーナッタ重合に基づくポリエチレンなどであり得る。
【0064】
これまで、材料のリサイクルは、多くの場合、リサイクル材料を含む製品の品質低下をもたらしている。したがって、PCR材料、更にはPIR材料は通常、相対的に低いレベルでのみ添加されている。本発明のPIR材料は、重要な機械的特性を実質的に損なうことなく、ポリマーフィルムで作製されたフレキシブルパッケージに比較的高いレベルで添加され得ることが現在見出されている。これは、PIR材料がポリマーフィルム製造プロセスの直接の廃棄物ではないが、より下流の材料であり、すなわち、ポリマーフィルムで作製されたフレキシブルパッケージの各部分を除去することによって(トリミングプロセス、例えば、ウィケットパネルの除去などによって)導出される場合であっても、当てはまる。本発明者らは、ポリマーフィルムの総重量に基づいて、少なくとも30重量%、又は少なくとも40重量%、又は少なくとも45重量%、又は少なくとも50重量%、又は少なくとも55重量%のPIR材料(PIR材料を含むポリマーフィルムと実質的に同じであるプリカーサポリマーフィルムで形成される)を含むポリマーフィルムが、良好な引張強度及び破断点伸びを有するポリマーフィルムをもたらすことを証明した。本発明者らは、PIR材料を含むポリマーフィルムにおいてこれらの特性を測定し、それらを、いかなるリサイクル材料も含まない(すなわち、いわゆるバージン材料でのみ形成される)ポリマーフィルムの機械的特性と比較した。測定結果を以下に記載する。
【0065】
フレキシブルパッケージのポリマーフィルムと実質的に同じであり、ポリマーフィルムの総重量に基づいて少なくとも30重量%を構成するプリカーサポリマーフィルムからPIR材料が形成されるフレキシブルパッケージを作製するためのポストインダストリアルリサイクル材料の使用によって得られるフレキシブルパッケージのポリマーフィルムは、プリカーサポリマーフィルムの機械方向の引張強度の少なくとも90%、好ましくは95%、更により好ましくは少なくとも99%である機械方向の引張強度を有し得る。ポリマーフィルムはまた、ISO527-1:2012に従って測定したとき、プリカーサポリマーフィルムの横方向の引張強度の少なくとも90%、好ましくは95%、更により好ましくは少なくとも99%である、横方向の引張強度を有し得る。それに代わって、あるいはそれに加えて、ポリマーフィルムは、プリカーサポリマーフィルムの機械方向の破断点伸びの少なくとも90%、好ましくは95%、更により好ましくは少なくとも99%である、機械方向の破断点伸びを有し得、また、ISO527-1:2012に従って測定したとき、プリカーサポリマーフィルムの横方向の破断点伸びの少なくとも90%、好ましくは95%、更により好ましくは少なくとも99%である破断点伸びを有し得る。
【0066】
フレキシブルパッケージを作製する方法
本発明はまた、ポリマーフィルムで作製されたフレキシブルパッケージを作製する方法に関する。本方法は、
a)ステップc)のバージンポリマー材料と実質的に同じであるプリカーサポリマー材料から形成されたプリカーサポリマーフィルムのポストインダストリアルリサイクルからポストインダストリアルリサイクル材料を取得するステップと、
b)ポリマーフィルムの総重量に基づいて、ステップa)で取得された少なくとも30重量%のポストインダストリアルリサイクル材料を提供するステップと、好ましくは樹脂ペレットの形態で、
c)ポリマーフィルムの総重量に基づいて、最大で70重量%のバージンポリマー材料を提供するステップと、好ましくは樹脂ペレットの形態で、
d)バージンポリマー材料とポストインダストリアルリサイクル材料とを一緒に溶融させるステップと、
e)ポリマーフィルムを形成するように、溶融したポリマー材料及び溶融したポストインダストリアルリサイクル材料を押出しするステップと、
f)ポリマーフィルムの一方又は両方の表面に印刷を提供するステップと、
g)ポリマーフィルムをフレキシブルパッケージに変換するステップと、を含む。
【0067】
「バージンポリマー材料」は、まだ使用又は処理されていない、天然ガス若しくは原油又はサトウキビなどの石油化学又は植物ベースの供給原料から直接生成されたポリマー材料を意味する。
【0068】
方法ステップb)で提供されるPIR材料と、方法ステップc)で提供されるバージンポリマー材料は、方法ステップe)で形成されるポリマーフィルムの少なくとも95重量%、又は少なくとも97重量%、又は少なくとも98重量%、又は少なくとも99重量%、又は少なくとも99.5重量%、又は100重量%を一緒に形成し得る。
【0069】
方法ステップb)で提供されるPIR材料と、方法ステップc)で提供されるバージンポリマー材料は、それらを一緒に溶融する前に混合され得る。
【0070】
方法ステップe)における溶融したポリマー材料の押出しは、以下により詳細に記載されるように、1つ以上の内層と、第1の外層と、第2の外層と、を有するポリマーフィルムを形成することなどのために行われ得る。異なる層の組成は同じではない場合がある。例えば、1つ以上の内層は、第1の外層と比較して、かつ/又は第2の外層と比較して、方法ステップb)で提供されるより多くのPIR材料を含み得る。したがって、方法ステップb)で提供されるPIR材料と、方法ステップc)で提供されるバージンポリマー材料とを一緒に溶融する方法ステップb)は、一緒に溶融されるポリマー材料の1つの組成物だけが作製されるのではなく、一緒に溶融されるポリマー材料のいくつかの組成物が作製されることを必要とし得、また、一緒に溶融されるポリマー材料の異なる組成物は後に押出しされて、ポリマーフィルムの異なる層を形成する。1つの組成物がポリマーフィルムの1つの層を形成してもよく、あるいはポリマーフィルムの2つ以上の層を形成してもよく、これらは、同じ組成物の層の間に提供される1つ以上の他の層によって互いに分離される。
【0071】
ポリマーフィルムをフレキシブルパッケージに変換する方法ステップg)は、当該技術分野で既知の任意の方法によって行われ得る。ポリマーフィルムのフレキシブルパッケージを形成することは、広く知られており、多数の方法並びにフレキシブルパッケージの多くの異なる構成、形状及びサイズが市場で利用可能である。フレキシブルパッケージの1つの非限定的な例が図1に示されており、以下でより詳細に説明される。
【0072】
既に上述されたように、プリカーサポリマーフィルムは、フレキシブルプリカーサパッケージからの除去によって取得され得、PIRの使用について上に記載された詳細は、本方法に等しく当てはまる。例えば、フレキシブルプリカーサパッケージから除去されるポリマーフィルムは、いかなる印刷表面エリアを有さなくてもよい。
【0073】
フレキシブルプリカーサパッケージは、ウィケットフレキシブルプリカーサパッケージであり得、ウィケットフレキシブルプリカーサパッケージから除去されるポリマーフィルムは、ウィケットパネルであり得る。
【0074】
本方法のプリカーサポリマーフィルムは、方法ステップa)の前に、フレキシブルプリカーサパッケージからの除去の後に圧縮され得る。
【0075】
方法ステップe)で形成されたポリマーフィルムは、第1の外層と、第2の外層と、1つ以上の内層と、を含み得る。第1の外層は、フレキシブルパッケージの内部に面し得、第1の外層の第1のエリアは、第1の外層の第2のエリアに封止されてシームを形成する。第2の外層は、印刷表面エリアを含み得る。
【0076】
方法ステップe)で形成されたポリマーフィルムの1つ以上の内層は、合計で、第1の外層及び第2の外層の各々と比べて、ポストインダストリアルリサイクル材料をより多く含み得る。したがって、1つ以上の内層中のPIR材料の総量は、外層中のPIR材料の総量よりも多くてもよい。
【0077】
1つ以上の内層は、ポリマーフィルムの総坪量の50重量%超を形成し得る。1つ以上の内層の総坪量(2つ以上の内層がある場合の合計坪量)に基づく1つ以上の内層中のポストインダストリアルリサイクル材料のパーセンテージは、外層の総坪量に基づく第1の外層中のポストインダストリアルリサイクル材料のパーセンテージよりも高くなり得る。代替的にあるいは追加的に、1つ以上の内層の総坪量(2つ以上の内層がある場合の合計坪量)に基づく1つ以上の内層中のポストインダストリアルリサイクル材料のパーセンテージは、外層の総坪量に基づく第2の外層中のポストインダストリアルリサイクル材料のパーセンテージよりも高くなり得る。
【0078】
方法ステップe)で形成されたポリマーフィルムは、ポリオレフィンで形成され得る。例えば、ポリマーフィルムは、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はこれらの組み合わせで形成され得る。好適なポリエチレンは、LDPE、LLDPE、MDPE、チーグラーナッタ重合に基づくポリエチレンなどであり得る。
【0079】
本方法は、g)圧縮された製品をフレキシブルパッケージに挿入するステップと、h)閉鎖されたフレキシブルパッケージを提供するためにフレキシブルパッケージを封止するステップと、を更に含み得る。圧縮された製品は、おむつ、パンツ、及び生理用ナプキンなどの吸収性物品であり得る。吸収性物品は、使い捨てであってもよい。圧縮された吸収性物品は、フレキシブルパッケージにかなりの圧力を及ぼし、したがって、フレキシブルパッケージの機械的特性並びにシーム強度は、圧縮されていない製品又は緩く包装された製品を収容するパッケージの場合よりも重要である。
【0080】
方法ステップe)で形成されたポリマーフィルムは、ISO527-1:2012に従って測定したとき、少なくとも2N/mmの、機械方向及び横方向の引張強度を有し得る。
【0081】
方法ステップe)で形成されたポリマーフィルムは、ISO527-1:2012に従って測定したとき、少なくとも0.75N/mmの、機械方向及び横方向の10%の伸びにおける引張強度を有し得る。
【0082】
方法ステップe)で形成されたポリマーフィルムは、ISO527-1:2012に従って測定したとき、少なくとも700%の機械方向及び横方向の破断点伸びを有し得る。
【0083】
方法ステップe)で形成されたポリマーフィルムは、ISO4593:1993に従って測定したとき、20μm~100μmの厚さを有し得る。
【0084】
方法ステップe)で形成されたポリマーフィルムは、ポリマーフィルムの総重量に基づいて2.0重量%超、又は1.0重量%以下、又は0.5重量%以下、又は0.0重量%と同一の、ステップa)で取得されたもの以外のポストインダストリアルリサイクル材料を含まない場合があり、これは、フレキシブルプリカーサパッケージからのプリカーサポリマーフィルムの除去によって取得され得る。
【0085】
ステップe)で形成されたポリマーフィルムは、ISO527-1:2012に従って測定したとき、ステップa)で取得されたプリカーサポリマーフィルムの横方向の引張強度の少なくとも90%、好ましくは95%である、横方向の引張強度を有し得る。
【0086】
ステップe)で形成されたポリマーフィルムは、ISO527-1:2012に従って測定したとき、ステップa)で取得されたプリカーサポリマーフィルムの横方向及び機械方向の引張強度の少なくとも90%、好ましくは95%である、横方向及び機械方向の引張強度を有し得る。
【0087】
ステップe)で形成されたポリマーフィルムは、ISO527-1:2012に従って測定したとき、ステップa)で取得されたプリカーサポリマーフィルムの横方向及び機械方向の破断点伸びの少なくとも90%、好ましくは95%である、横方向及び機械方向の破断点伸びを有し得る。
【0088】
ポリマーフィルム及びプリカーサポリマーフィルムの引張強度と破断点伸びとの全ての比較は、ポリマーフィルムで行われ、プリカーサポリマーフィルムは、同じ厚さを有する。
【0089】
方法ステップe)で形成されたポリマーフィルムは、ポリマーフィルムの総重量に基づいて2.0重量%超、又は1.0重量%以下、又は0.5重量%以下、又は0.0重量%と同一の、ステップa)で取得されたもの以外のポストインダストリアルリサイクル材料を含まない場合がある。
【0090】
フレキシブルパッケージ及びウィケットパネルを有するフレキシブルパッケージ
図2に示すように、空のフレキシブルパッケージは、ウィケットパッケージ148として構成され得る。一例として、そのようなウィケットフレキシブルパッケージ100は、第1のパネル102と、第2のパネル104と、ウィケットパネル172と、を備え得る。第1のパネル102は、第1の右側縁部分106と、第1の左側縁部分108と、第1の下縁部分と、を画定する。第2のパネル104は、第2の右側縁部分107と、第2の左側縁部分109と、フード部分112と、第2の下縁部分111と、を画定する。当然ながら、フード部分を含まないフレキシブルパッケージは、本発明に同様に適用可能であり、有用である。ウィケットパネル172は、第2のパネル104の第2の下縁部分111と接続され得る。第1のパネル102と第2のパネル104は、組み合わされて、パッケージ100の内部及び外部120を画定する。第1のシーム122は、第1のパネル102の第1の右側縁部分106と第2のパネル104の第2の右側縁部分107とを接合する。第2のシーム124は、第1のパネル102の第1の左側縁部分108と第2のパネル104の第2の左側縁部分109とを接合する。
【0091】
ウィケットパネル172は、少なくとも1つのウィケット穴174を含み、各ウィケット穴174はウィケットを受容するように構成されている。図2に示されるように、ウィケットパネル172は2個のウィケット穴174を含み得る。第1のパネル102及び第2のパネル104の第1の下縁部分と第2の下縁部分111は、組み合わされて、パッケージ100内に第2の開口部176を画定する。ウィケットパネル172は第1のパネル102の第1の下縁部分を越えて延在し得るため、ウィケットパネル172は第1のパネル102と重なり合わない。
【0092】
図3に示されるように、複数の空の(すなわち、吸収性物品又はいかなる他の製品でも充填されていない)ウィケットフレキシブルパッケージ148は、各ウィケットフレキシブルパッケージ148のウィケット穴174が整列するように、他方の上に積み重ねられ得る。ウィケット184は、それぞれのウィケットフレキシブルパッケージ148のウィケット穴174を通って延在して、ウィケットフレキシブルパッケージ184のスタックを一緒に保持することができる。スタック内のウィケットフレキシブルパッケージ148が各々2つのウィケット穴174を備える例示的な構成では、2つのウィット184が使用され得る。ウィケットフレキシブルパッケージ148のスタックを一緒に保持するための様々なタイプのウィケット184が使用され得る。図3を参照すると、複数のウィケットフレキシブルパッケージ148は、ウィット184によって一緒に保持され、吸収性物品は、第2の開口部176を通じてウィケットフレキシブルパッケージ148に導入される。ウィケットフレキシブルパッケージ148が、例えば吸収性物品を充填されると、第1のパネル102と第2のパネル104は一緒に封止され得、ウィケットパネル172は第2のパネル104から切り離され得る。除去されたウィケットパネル172は、本発明で使用されるプリカーサポリマーフィルム材料を形成し得る。
【0093】
ポリマーフィルムをフレキシブルパッケージに変換する方法は、フレキシブルパッケージの取ることを意図される構成、形状、及びサイズに応じて、当該技術分野で既知の任意の方法によって実施され得る。例えば、ポリマーフィルムをウィケットフレキシブルパッケージ148に変換する場合、本方法は、第1のパネル、第2のパネル、及びガセットの第1の右側縁部分及び左側縁部分をシーミングすることを含み得る。第1のシーム122は、第1のパネル102及び第2のパネル104の第1の右側縁部分106及び第2の右側縁部分107、並びにガセットの右側縁部分にそれぞれ形成され得る。第2のシーム124は、第1のパネル102及び第2のパネル104の第1の左側縁部分108及び第2の左側縁部分109、並びにガセットの左側縁部分にそれぞれ形成され得る。第1のシーム122及び第2のシーム124は、超音波溶接、ホットエアシーミング、接着剤などを含む様々な方法で形成され得る。個別のウィケットバッグ148を形成するために連続長の材料を切断するステップと、第1のシーム122及び/又は第2のシーム及び124を形成するステップは、同時に発生してもよい。それに代わって、切断するステップと、シーミングするステップは逐次的に発生してもよい。
【0094】
図4を参照すると、第2の開口部176は、第1のパネル102及び第2のパネル104の第2の端部分によって画定される。ウィケットフレキシブルパッケージ148は、第2の開口部176を通じて吸収性物品(又は他の製品)を挿入することによって、吸収性物品(又は他の製品)を充填され得る。
【0095】
図5を参照すると、ウィッキングされたフレキシブルパッケージ148が吸収性物品で充填されると、第1のパネル102及び第2のパネル104の第2の端部分は一緒に接合されてシーム126を形成し得る。第1のシーム122及び第2のシーム124と同様に、第3のシーム126は、上記のように様々な方法で形成され得る。
【0096】
加えて、ウィケットパネル172は、図1に示されるようなフレキシブルパッケージ100を形成するように、第2のパネル104から切り離され得る。フレキシブルパッケージは、穿孔114などの開口機構を備え得る。第3のシーム126を形成するステップと、ウィケットパネル172を切断するステップは、同時に発生してもよい。それに代わって、第3のシーム126を形成するステップと、ウィケットパネル172を切断するステップは、逐次的に発生してもよい。ウィケットパネル172を第2のパネル104から切り離すために、様々な方法が用いられてよい。例示的な切断装置には、ナイフロール、ダイカッター、及びレーザーが挙げられる。
【実施例
【0097】
ポリマーフィルムの機械的特性が測定された。全てのポリマーフィルムが70μmの厚さを有していた。全てのフィルムは、第1の外層、第2の外層、及び1つの内層の3つの層で作製された。1つの内層は、全ポリマーフィルムの50重量%を形成し、第1の外層及び第2の外層は各々、全ポリマーフィルムの25重量%を形成した。
【0098】
異なる量のポストインダストリアル材料がポリマーフィルムに含められた。PIR材料は、ウィケットフレキシブルプリカーサーパッケージから取得された。これらのパッケージから除去された材料は、ウィケットパネルであった。ウィケットパネルは、いかなる印刷エリアも、封止エリアも含まないものであった。
【0099】
サイドシームの引張強度が、ポリマーフィルムによって形成されたフレキシブルパッケージングから試料を取り、サイドシームを含む試料を切り離すことによって測定された。サイドシームでは、ポリマーフィルムの2つの層が互いに封止された(=「2プライ」)。
【0100】
フィルムの厚さは、ISO4593:1993に従って測定された。機械的特性は、ISO527-1:2012に従って測定された。
【0101】
引張強度、10%伸び及び破断点伸びにおける引張強度:
ロードセル力範囲:測定される力は、範囲の10%及び90%以内でなければならない
信号サンプリング周波数:50Hz
ロードセル:5000N;正確性:±0.5%
試料寸法:幅25.4mm(1インチ);試料長さ:150mm
クロスヘッド速度(=伸び速度):127mm/分
試験は22℃及び55%RHで行われた。
【0102】
【表1】
【0103】
【表2】
【0104】
表1のデータは、引張強度及び破断点伸びが、本発明のPIR材料を含むポリマーフィルムの場合にのみ、わずかにより低くなることを示し、その機械的特性は、本発明のPIR材料を含むポリマーフィルムの場合でも、あるいは多量のPIR材料を含むポリマーフィルムの場合でも、同等又は更に良好であることが、このデータによって部分的に証明されている。
【0105】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0106】
あらゆる相互参照又は関連特許若しくは関連出願を含む、本明細書に引用される全ての文献は、明確に除外ないしは別の方法で限定されない限り、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるいかなる発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0107】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5