(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】音響信号の解析
(51)【国際特許分類】
A61B 5/02 20060101AFI20241108BHJP
A61B 5/0245 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
A61B5/02 350
A61B5/0245 100E
(21)【出願番号】P 2023507271
(86)(22)【出願日】2021-07-28
(86)【国際出願番号】 EP2021071159
(87)【国際公開番号】W WO2022023420
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2023-03-28
(32)【優先日】2020-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500242786
【氏名又は名称】フラウンホファー ゲセルシャフト ツール フェールデルンク ダー アンゲヴァンテン フォルシュンク エー.ファオ.
(73)【特許権者】
【識別番号】523033165
【氏名又は名称】ベーリンガー・インゲルハイム・ヴェトメディカ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・パントフォルダー
(72)【発明者】
【氏名】ピナール・ビスギン
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・マティアス・シュマー
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・ベアダウ
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-287943(JP,A)
【文献】特開2003-108185(JP,A)
【文献】特表2009-540971(JP,A)
【文献】特表2019-531792(JP,A)
【文献】Wenjie Zhang,Heart sound classification based on scaled spectrogram and partial least squares regression,Biomedical Signal Processing and Control,2017年,32,20-28,https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1746809416301616
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/03、5/06-5/22、7/00-7/04、9/00-10/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間期間(T0からT6)を有し、複数の反復オーディオパターンを含む、音響信号(12a、12b、および12c)を解析する(150)ための方法(100)であって、次の、
前記音響信号(12a、12b、ならびに12c)を含むオーディオ信号(10、10'、10''、10'''、10'''')を受け取る(110)ステップであって、前記オーディオ信号(10、10'、10''、10'''、10'''')が、動物の、またはヒト以外の哺乳類の、またはイヌの、心拍系列の記録、および/または動物の、またはヒト以外の哺乳類の、またはイヌの、心雑音系列の記録である、ステップと、
前記音響信号(12a、12b、および12c)内で反復する前記オーディオパターンを決定する(120)ステップと、
複数の窓(14a、14b、14c、14a'から14o'、14a''から14o'')についての窓長を決定する(130)ステップであって、前記窓長を決定する(130)ステップが、前記複数の窓(14a、14b、14c、14a'から14o'、14a''から14o'')の各窓について別々に実施される、ステップと、
前記複数の窓(14a、14b、14c、14a'から14o'、14a''から14o'')を得るために、反復される前記オーディオパターンを分離することによって前記音響信号(12a、12b、および12c)に窓かけする(140)ステップであって、前記窓長が前記音響信号(12a、12b、ならびに12c)の前記時間期間(T0からT6)を前記複数の窓(14a、14b、14c、14a'から14o'、14a''から14o'')に分割する、ステップと
を含み、
前記オーディオパターンを決定する(120)前記ステップ、窓長を決定する(130)前記ステップ、および前記窓かけする(140)前記ステップが自動的に実施される、
方法(100)。
【請求項2】
それぞれの前記窓(14a、14b、14c、14a'から14o'、14a''から14o'')を解析する(150)さらなるステップを含む、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項3】
解析する(150)前記さらなるステップが、それぞれのパターンを表す1つまたは複数の抽出される特徴量を得るために特徴量抽出を実施するステップを含む、請求項2に記載の方法(100)。
【請求項4】
抽出される前記特徴量が、名称特徴量、時間領域特徴量、および/もしくは周波数領域特徴量を含む群からのものであり、かつ/または
抽出される前記特徴量が、最大値、平均値、中央値、標準偏差、分散、歪度、尖度、平均絶対偏差、第1四分位数、第3四分位数、エントロピー、ゼロ交差率、波高率、パターン内の第1のピークおよび/もしくは第2のピークの持続時間、パターン内の前記第1のピークと前記第2のピークとの間の持続時間、第1のパターンの前記第2のピークと後続のパターンの前記第1のピークとの間の持続時間、メル周波数ケプストラム係数、ピッチクロマ、スペクトルフラットネス、スペクトル尖度、スペクトル歪度、スペクトル傾斜、スペクトルエントロピー、優位周波数、バンド幅、スペクトル重心、スペクトルフラックス、スペクトルロールオフ、クラス情報、重症度情報、位置情報、品種情報、体重情報、さらなる情報かつ/または他のパラメータ、もしくはそれらの組合せを含む群からのものであり、ならびに/あるいは
特徴量抽出の前記ステップが、前記1つまたは複数の抽出される特徴量の値範囲が最小値または0から最大値もしくは1の間に定義されるように、前記1つまたは複数の抽出される特徴量の値範囲を再定義するステップを含む、
請求項3に記載の方法(100)。
【請求項5】
前記解析に関するレポートを出力するステップを含み、または
前記解析に関するレポートを出力するステップであって、前記レポートが、前記動物の、または前記ヒト以外の哺乳類の、または前記イヌの疾患もしくは心雑音に関する情報を含む、ステップを含む、
請求項2~4のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項6】
前記反復オーディオパターンが、互いに等しく、互いに実質的に等しく、互いに類似しており、時間にわたってプロットされたそれぞれの振幅の同等な形状の1つもしくは複数のピークを含み、かつ/または時間にわたってプロットされた振幅の同等な形状の1つもしくは複数のピーク、および前記窓長内のそれぞれの時点における同等な振幅値を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項7】
前記窓長が一律である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項8】
前記窓長が前記反復
オーディオパターンの反復の周波数に基づいて決定される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項9】
前記複数の反復オーディオパターンに類似のオーディオパターンまたは前記複数の反復オーディオパターンに等しいオーディオパターンのない1つまたは複数の窓(14a、14b、14c、14a'から14o'、14a''から14o'')を無視するステップをさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項10】
各反復オーディオパターンが、1つもしくは複数のピークによって定義され、かつ/または
各反復オーディオパターンが、1つもしくは複数のピークと基準レベルとの組合せによって定義され、前記1つまたは複数のピークが前記基準レベルよりも少なくとも5倍大きい振幅値を有し、かつ/もしくは
各反復オーディオパターンが、収縮期および/または拡張期によって定義される、
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項11】
前記オーディオ信号(10、10'、10''、10'''、10'''')を正規化するステップを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項12】
前記オーディオパターンを決定する(120)前記ステップ、窓長を決定する(130)前記ステップ、および前記窓かけする(140)前記ステップが、人工知能の使用によって実施される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項13】
前記ステップが、決定木アルゴリズム、ランダムフォレストアルゴリズム、ナイーブベイズアルゴリズム、アダブーストアルゴリズム、および/またはサポートベクタマシンアルゴリズムの使用によって実施される、請求項12に記載の方法(100)。
【請求項14】
前記音響信号(12a、12b、および12c)が、動物の、またはヒト以外の哺乳類の、またはイヌの前記心拍系列を含み、前記心拍系列が前記複数の反復オーディオパターンを形成する、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項15】
前記窓長を決定する(130)ステップが、前記それぞれの窓についての前記窓長を決定するために2つの反復オーディオパターン間のボーダーラインを決定するステップを含み、かつ/または
前記窓長を決定する(130)ステップが、窓の始端を決定するために窓の特徴的な特徴量、パルス、ピーク、パターン、収縮期、および/もしくは拡張期を決定するステップと、前記窓の終端を決定するために後続の窓のそれぞれの前記特徴量、前記パルス、前記ピーク、前記パターン、前記収縮期、かつ/または前記拡張期を決定するステップとを含み、および/もしくは
前記窓長を決定する(130)ステップが、窓の始端および終端を決定することによって前記窓長を決定するステップを含む、
請求項1から14のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項16】
前記窓長が時間にわたって変化し、かつ/または前記窓長が前記複数の窓(14a、14b、14c、14a'から14o'、14a''から14o'')の第1の窓と、前記複数の窓(14a、14b、14c、14a'から14o'、14a''から14o'')の後続の窓とで変化する、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項17】
前記窓長が、前記動物の、または前記ヒト以外の哺乳類の、または前記イヌの心拍数に応じて変化し、かつ/または
前記方法が、前記心拍数を決定するステップをさらに含む、
請求項1から16のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項18】
時間期間(T0からT6)を有し、複数の反復オーディオパターンを含む、音響信号(12a、12b、および12c)を解析する(150)ための装置(30)であって、
前記音響信号(12a、12b、ならびに12c)を含むオーディオ信号(10、10'、10''、10'''、10'''')を受け取る(110)ためのインターフェースであって、前記オーディオ信号(10、10'、10''、10'''、10'''')が、動物の、またはヒト以外の哺乳類の、またはイヌの心拍系列の記録、および/または動物の、またはヒト以外の哺乳類の、またはイヌの心雑音系列の記録である、インターフェースと、
プロセッサ(32)であって、前記音響信号(12a、12b、ならびに12c)内で反復する前記オーディオパターンを決定すること、および複数の窓(14a、14b、14c、14a'から14o'、14a''から14o'')についての窓長を決定することであって、前記プロセッサ(32)が、前記複数の窓(14a、14b、14c、14a'から14o'、14a''から14o'')の各窓についての前記窓長を別々に決定する、こと、および前記複数の窓(14a、14b、14c、14a'から14o'、14a''から14o'')を得るために、反復される前記オーディオパターンを分離することによって前記音響信号(12a、12b、ならびに12c)に窓かけすることであって、前記窓長が前記音響信号(12a、12b、ならびに12c)の前記時間期間(T0からT6)を前記複数の窓(14a、14b、14c、14a'から14o'、14a''から14o'')に分割することを行うように構成されている、プロセッサ(32)と
を備え、
前記オーディオパターンを決定する(120)こと、窓長を決定する(130)こと、および前記窓かけする(140)ことが自動的に実施される、
装置(30)。
【請求項19】
請求項18に記載の装置(30)と、マイクロホン(34)とを備え、または請求項18に記載の装置(30)と、マイクロホン(34)を備えた聴診器とを備え、もしくは請求項18に記載の装置(30)と、マイクロホン(34)を備えたデジタル聴診器とを備える、解析を実施するためのシステム。
【請求項20】
請求項1から17のいずれか一項に記載の方法(100)を実施するための命令を含むプログラムコードを有する、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態では、音響信号を解析するための方法、および対応する装置に言及する。さらなる実施形態では、それぞれの装置を備える、解析を実施するためのシステムに言及する。さらなる実施形態では、コンピュータプログラムに言及する。
【背景技術】
【0002】
音響信号を用いると、機械の損傷、またはヒト以外の哺乳類、特にイヌなどの動物の疾患のような、望ましくない影響を決定することが可能になる。
【0003】
次の刊行物が従来技術をなす。Hebden JEら、「Identification of aortic stenosis and mitral regurgitation by heart sound analysis」、Computers in Cardiology 1997、24: 109~112頁、Zhang Wら、「Heart sound classification based on scaled spectrogram and partial least squares regression」、Biomedical Signal Processing and Control、2017、32: 20~28頁、Ari Sら、「Detection of cardiac abnormality from PCG signal using LMS based least square SVM classifier」、Expert Systems with Applications、2010、37: 8019~8026頁、Jamous Gら、「Optimal time-window duration for computing time/frequency representations of normal phonocardiograms in dogs」、Med. & Biol. Eng. & Comput.、1992、30: 503~508頁、およびIsmail Sら、「Localization and classification of heart beats in phonocardiography signals - a comprehensive review」、EURASIP Journal on Advances in Signal Processing、2018 (1): 1~27頁。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Hebden JEら、「Identification of aortic stenosis and mitral regurgitation by heart sound analysis」、Computers in Cardiology 1997、24: 109~112頁
【文献】Zhang Wら、「Heart sound classification based on scaled spectrogram and partial least squares regression」、Biomedical Signal Processing and Control、2017、32: 20~28頁
【文献】Ari Sら、「Detection of cardiac abnormality from PCG signal using LMS based least square SVM classifier」、Expert Systems with Applications、2010、37: 8019~8026頁
【文献】Jamous Gら、「Optimal time-window duration for computing time/frequency representations of normal phonocardiograms in dogs」、Med. & Biol. Eng. & Comput.、1992、30: 503~508頁
【文献】Ismail Sら、「Localization and classification of heart beats in phonocardiography signals - a comprehensive review」、EURASIP Journal on Advances in Signal Processing、2018 (1): 1~27頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現時点で、音響信号の解析を改善することにより、損傷または疾患の決定が、例えば精度および信頼性に関して著しく改善する可能性があることが分かっている。したがって、音響解析を改善することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、独立請求項の主題によって解決される。
【0007】
本発明の実施形態は、時間期間を有し、複数の反復オーディオパターン、例えば列車が鉄道の枕木を通過する周期的な音や、ヒト以外の哺乳類、特にイヌなどの動物の心拍を含む、音響信号を解析するための方法を提供する。方法は次の、
- 音響信号を含む、オーディオ記録のようなオーディオ信号を受け取るステップと、
- 音響信号内で反復するオーディオパターンを決定するステップと、
- 複数の窓についての窓長を決定するステップであって、窓長が音響信号の時間期間を複数の窓に分割する、ステップと、
- 複数の窓を得るために音響信号に窓かけするステップと
を含む。
【0008】
一実施形態によれば、方法は、複数の窓のそれぞれの(別々の)窓を解析するステップをさらに含む。
【0009】
本出願の実施形態は、一連の心拍、または回転機械から生じる一連の副次的な音のような音響信号が周期性を有するという知見に基づいている。この周期性を知る/決定することによって、音響信号を、反復オーディオパターンのうちの少なくとも1つを各窓が含むように、複数の窓に細分することができる。これにより、反復オーディオパターンをそれぞれ、それ以外のパターンとは独立に、例えばこのオーディオパターンを既知のオーディオパターンと比べることによって、解析することが可能になる。あるいは、反復オーディオパターンを、それぞれのオーディオパターンに続くそれ以外のオーディオパターンに関して解析することもできる。
【0010】
反復オーディオパターンは、互いに等しくてもよく、互いに実質的に等しくてもよく、互いに類似していてもよく、同等な形状(時間にわたってプロットされたそれぞれの振幅の形状)の1つもしくは複数のピークを含んでもよく、かつ/または同等な形状(時間にわたってプロットされた高さの形状)の1つもしくは複数のピーク、および窓長内のそれぞれの時点における同等な振幅値などを含んでもよいことに留意されたい。実施形態によれば、窓長は一律である。例えば、窓長は反復パターンの反復の周波数に基づいて決定することができる。別の変形形態によれば、それぞれの窓についての窓長を決定するために2つのパターン間のボーダーラインが決定される。これは、各窓についての各窓長が別々に決定されることを意味する。
【0011】
さらなる実施形態によれば、それぞれの窓を解析するステップが、(窓の)それぞれのパターンを表す1つまたは複数の抽出される特徴量を得るために特徴量抽出を実施するステップを含む。実施形態によれば、抽出される特徴量は、名称付き特徴量(named feature)、時間領域特徴量、および/または周波数領域特徴量を含む群からのものである。その例は、
最大値、平均値、中央値、標準偏差、分散、歪度、尖度、平均絶対偏差、第1四分位数、第3四分位数、エントロピー、ゼロ交差率、波高率、パターン内の第1のピークおよび/もしくは第2のピークの持続時間、パターン内の第1のピークと第2のピークとの間の持続時間、第1のパターンの第2のピークと後続のパターンの第1のピークとの間の持続時間、メル周波数ケプストラム係数、ピッチクロマ、スペクトルフラットネス(spectral flatness)、スペクトル尖度、スペクトル歪度、スペクトル傾斜、スペクトルエントロピー、優位周波数(dominant frequency)、バンド幅、スペクトル重心、スペクトルフラックス、スペクトルロールオフ、クラス情報、重症度情報、位置情報、品種情報(race information)、体重情報、さらなる情報および/もしくは他のパラメータ、またはそれらの組合せである。
【0012】
それに加えて、かつ/またはその代わりに、特徴量抽出は、1つまたは複数の抽出される特徴量の値範囲が最小値(例えば0)から最大値(例えば1)の間に定義されるように、1つまたは複数の抽出される特徴量の値範囲を低減させるステップを含むこともできる。
【0013】
実施形態によれば、オーディオパターンは1つまたは複数のピークによって定義されることに留意されたい。各反復オーディオパターンは、その代わりにまたはそれに加えて、1つまたは複数のピークと基準(basis)との組合せによって定義されてもよく、1つまたは複数のピークは基準レベルよりも少なくとも5倍大きい振幅値を有する。それに加えて/その代わりに、各反復オーディオパターンは、例えば音響信号がヒト以外の哺乳類、特にイヌなどの動物の心拍系列であるときに、収縮期および/または拡張期によって定義されてもよい。
【0014】
実施形態によれば、方法は、オーディオ信号を正規化するステップを含む。
【0015】
実施形態によれば、オーディオパターンを決定するステップ、窓長を決定するステップ、および窓かけするステップが、自動的に実施されるか、または人工知能の使用によって実施される。これらのステップは、例えば、決定木アルゴリズム、ランダムフォレストアルゴリズム、ナイーブベイズアルゴリズム、アダブーストアルゴリズム、および/またはサポートベクタマシンアルゴリズムの使用によって実施されてよい。
【0016】
上で示したように、可能な応用例は、ヒト以外の哺乳類、特にイヌなどの動物の疾患の診断である。したがって、実施形態によれば、音響信号/オーディオ信号は、イヌの、もしくは別の動物の、または別のヒト以外の哺乳類の心拍系列の記録、および/もしくはイヌの、あるいは別の動物の、もしくは別のヒト以外の哺乳類の心雑音系列の記録である。
【0017】
別の実施形態は、時間期間を有し、複数の反復オーディオパターンを含む、音響信号を解析するための装置を提供する。装置は、音響信号を含むオーディオ信号を受け取るためのインターフェースと、プロセッサとを備える。プロセッサは、音響信号内で反復するオーディオパターンを決定すること、および複数の窓についての窓長を決定することであって、窓長が音響信号の時間期間を複数の窓に分割する、ことを行うように構成されている。さらに、プロセッサは、複数の窓を得るために音響信号に窓かけすることを行うように構成されている。別の実施形態は、装置と、マイクロホンとを備える、解析を実施するためのシステムを提供する。好ましい一実施形態によれば、システムは、装置と、マイクロホンを備えた聴診器とを備える。別のより好ましい変形形態によれば、システムは、装置と、マイクロホンを備えたデジタル聴診器とを備える。
【0018】
さらなる実施形態によれば、上述した方法はコンピュータにより実装されることが可能であり、したがって、一実施形態ではコンピュータプログラムに言及する。
【0019】
全ての実施形態は、動物、とりわけイヌやネコのようなヒト以外の哺乳類、特にイヌを医療的に検査するために使用することができる。
【0020】
以下では、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して引き続き論じる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1a】基本的な一実施形態による、音響信号を解析するための方法を示す概略フローチャートである。
【
図1b】さらなる実施形態による、
図1aの文脈の中で論じられるステップの入力信号および出力信号を概略的に示す図である。
【
図2a】一実施形態による、処理される音響信号の例を示す図である。
【
図2b】一実施形態による、処理される音響信号の例を示す図である。
【
図3】実施形態について示すために、音響信号の特定の処理ステップを概略的に示す図である。
【
図4a】実施形態について論じるために、音響信号の処理中に発生する問題を概略的に示す図である。
【
図4b】実施形態について論じるために、音響信号の処理中に発生する問題を概略的に示す図である。
【
図5】音響信号を解析するための装置の概略ブロック図である。
【
図6a】さまざまな疾患を示す概略パターンを示す図である。
【
図6b】さまざまな疾患を示す概略パターンを示す図である。
【
図6c】さまざまな疾患を示す概略パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、本発明の実施形態について、添付の図を参照して引き続き論じる。図では、同一または類似の機能を有する対象物には、それらの説明が交換可能でありかつ相互に当てはまるように、同一の参照符号が与えられている。
【0023】
図1は、方法100を示す。方法100は、4つの基本ステップと、4つの基本ステップに続くオプションのステップを含む。
【0024】
4つの基本ステップは、参照符号110、120、130、140によって印付けしてあり、オプションのステップは、参照符号150によって印付けしてある。図示の順序は、好ましい順序であるが、必須のものではない。
【0025】
第1のステップ110において、オーディオ信号10(
図1b参照)が受け取られる。オーディオ信号10は、時間期間T0からT6を有する音響信号12を含む。音響信号12は、時点T1、T3、およびT5に12a、12b、ならびに12cによって印付けした、複数の反復オーディオパターンを含む。
【0026】
次のステップ120において、オーディオパターン12a、12b、および12cが識別/決定される。例えば、決定は、(オーディオ)信号内の反復を見いだすアルゴリズムに基づいてよい。このアルゴリズムは、人工知能/自己学習アルゴリズムに基づいてよい。
【0027】
次のステップ130において、窓長が決定される。窓長は、その長さが単一のパターン12a/12b/12cと同程度になるように決定される。例えば、時間期間T0からT6全体を、決定されたパターン12a、12b、および12cの数で分割することができる。そのようにすることによって、各パターンについて窓長を一律にする窓長が決定される。例えば、窓長T0からT2、T2からT4、およびT4からT6が決定される。この窓長に基づいて、時間期間T0からT6が細分される(ステップ140参照)。この窓かけステップ140の結果が、参照符号14a、14b、および14cによって印付けした複数の窓である。ここでは、窓14aはパターン12aを含み、窓14bはパターン12bを含み、窓14cはパターン12cを含む。
【0028】
その後、解析する150オプションのステップが続いてよい。ここでは、窓14a、14b、および14cが解析される。例えば、窓14bが抽出され、残りの窓とは独立に、例えば特徴量抽出を実施することによって、解析される。この特徴量抽出は、窓14aおよび14cについても実施することができる。それに加えてまたはその代わりに、パターンの規則性を決定するために、窓14bを残りの窓、例えば窓14aおよび14bと比べることもできる。
【0029】
図2aに関して、心拍系列の例示的な解析について論じる。
図2aは、音響信号12'を含むオーディオ信号10'を示す。この音響信号は、例えば心拍系列(例えばイヌの)を表す。記録10'の持続時間は約10秒とすることができ、その場合、この10秒は、参照符号12a'、12b'などから12k'までを用いて印付けした11個の心拍パターンを含むことができる。その代わりに、持続時間は、少なくとも3秒、少なくとも5秒、少なくとも15秒、少なくとも30秒、または少なくとも1分、一般には5から180秒、もしくは1から300秒、または少なくとも1秒、または少なくとも10秒とすることもできる。各パターン12a'、12b'は、
図2bによって示す2つの信号S1およびS2を含むことができる。
【0030】
図2bは、例えば2つのパターン12a'および12b'の拡大図である。信号S1は、収縮期の始まりを示すピークとすることができ、一方S2は、拡張期の始まりを示すピークである。各ピークS1およびS2は、基準信号と比べて同等に高い振幅によって形成される。図から分かるように、パターン12a'の基本構造はパターン12b'の構造と同等である。これは、S1とS2との間の時間間隔も2つのパターン12a'および12b'について同等であるとき、ピークS1の振幅がほぼ同じ高さを有することを意味する。
図2bに関して図から分かるように、各パターン12a'および12b'は、2つ以上のピークS1およびS2を有することができる。それに加えて、パターンは、2つのピークS1とS2との間にベース信号/ゼロ信号を有することができる。2つのピークS1およびS2と、2つのピーク間のベース信号および/または最後のピークS2の後のベース信号との組合せが、パターンを定義することができる。この段階では、パターン12a'、12b'などは、ただ1つのピークと1つのベース信号とによって、または間のベース信号なしで2つのピークのみによって、もしくは別の組合せによって、定義することもできると言及しておきたい。
【0031】
パターン12a'、12b'などを分離するために、窓かけが実施される。このことから、窓長が決定される。窓長は、音響信号12'の持続時間、この場合は10秒と、パターン12a'などの数、この場合は11パターンとに基づいて決定することができる。計算は、単純な除算によって実施することができる。この例では、結果として、各窓についての窓長が約0.9秒という値になる。言うまでもなく、窓長は、さらなる実施形態によれば別様に、例えば各パターンの持続時間、すなわちS1と後続のS1との間の間隔を決定し、これらの持続時間を平均することによって、決定することができる。さらなる実施形態によれば、窓長は、例えばパターンの周期性が変化するときに、時間にわたって変化することがある。これは、例えば現在の状況下で心拍数が減少するときに起こり得る。この例では、全てのパターン12a'から12k'についての窓長WLは一律である。したがって、11個の窓14a'から14k'を使用して、オーディオ信号12'が細分される。したがって、各窓14a'から14k'は、それぞれのパターン12a'から12k'を含む。これにより、各窓14a'から14k'内で、すなわち音響信号12'の記録10'全体についてではなく、それぞれ、各パターン12a'から12k'または各心拍について、特徴量抽出を実施できることが可能になる。
【0032】
実施形態によれば、窓長は、例えば第1の窓から第2の窓(複数の窓のうちの後続の窓)へと適応させることができる。各窓長または少なくとも2つの窓の窓長が異なる/変化することが、解決される。実施形態によれば、動物の、またはイヌやネコなど、ヒト以外の哺乳類の、パターン内の収縮期(S1)のような心拍音もしくは別の特徴的な特徴量、または現在の心拍数の決定に基づいて、適応を実施することができる。したがって、方法はオプションで、窓長を適応させるために、(心拍)パターンの特徴的な特徴量、または心拍数を決定するステップを含むことができる。その結果、窓長は心拍数に応じて決まる。結果として、心拍相/心拍パターンの長さを決定できることになり得る。
【0033】
実施形態によれば、これには、解析をその中で実施することのできる同等な窓が得られ、それによって、それぞれの窓内での収縮期または拡張期(S1、S2)のそれぞれの位置が得られ、その結果、解析が改善し得る、という目的があってよい。窓/パターン/心拍相内での心雑音の位置は、関連の要素である。
【0034】
実施形態によれば、ウェーブレット変換を使用して動的な窓かけを実施することができる。例えば、オーディオ信号内のピークS1およびS2が正確に決定され、それによって、各窓をそのようなピークS1またはS2に関して特定の位置に、例えば各ピーク(上昇する傾斜(increasing slope))の始まりに、設定することができる。したがって、実施形態によれば、各窓の始端は、パターンのそのようなピークまたは特徴的な要素に基づいて決定される。さらなる実施形態によれば、各窓のそれぞれの終端が同様に、例えば、その次の同等な特徴の、例えばその次の同等な特徴、例えばシステムS1の始まりに、決定される。これが意味するのは、実施形態によれば、各パターン内のそれぞれの特徴を決定することによって窓かけが実施され、その際、第1のパターンの特徴がそれぞれの窓の始端として使用され、一方、前記窓の終端が後続の窓のそれぞれの特徴に基づいて決定される、ということである。
【0035】
実施形態によれば、窓内の心雑音の位置により、疾患に関するさらなる情報を得ることが可能になる。したがって、方法は、それぞれの窓内での心雑音の位置(時間位置)を決定するステップをさらに含む。例えば、心雑音が、第1の収縮期S1と第2の収縮期S2との間で決定されるか、それとも第2の収縮期S2よりも第1の収縮期S1の近くに決定されるか、それとも第1の収縮期S1よりも第2の収縮期S2の近くに決定されるか、それとも第2の収縮期S2の後に決定されるかの弁別を行うことができる。そのような診断の例が、左心室僧帽弁(僧帽弁逆流/僧帽弁の漏れ)に由来する収縮期心雑音、もしくは三尖弁の漏れ(右心室)に由来する収縮期心雑音、または大動脈弁狭窄もしくは肺動脈狭窄から生じる収縮期心雑音、または動脈管開存、心室壁(chamber wall)もしくは心房壁の異常などの先天性疾患に由来する持続性の(収縮期および拡張期)心雑音である。また、拡張期においては、弁狭窄および/または弁閉鎖不全から生じる異常などの心雑音を聴診することができる。これらのさまざまな診断は、それらの特徴的な音パターンのため、自動的に弁別することができる。
【0036】
さまざまな疾患を示すパターンの例を、
図6a~
図6cによって示す。
図6aは、僧帽弁逆流(ME)の典型的なパターンを示す。この場合、心雑音はS1とS2との間にある。
【0037】
図6bは、肺動脈弁狭窄の心雑音(PS)を示す。この場合、ノイズは、クレッシェンド-デクレッシェンド特性を有し、収縮期の50~85%にわたって延在する。
【0038】
図6cは、血液の左右短絡を伴う動脈管開存(PDA)を示す。収縮期の間、短絡の低下、短絡の減少、あるいは逆向きの短絡さえ発生することがある。
【0039】
別の心雑音は、いわゆる拡張型心筋症(DCM)である。DCMを有する一部のイヌは、ノイズを発しないが、心房側の弁輪(atrial valve annulus)の拡張が、収縮期ノイズ(心尖上で最大強度)を有する僧帽弁逆流および三尖弁逆流を生じさせることがある。
【0040】
これらは、アルゴリズムを使用して決定することのできる典型的な心雑音である。
【0041】
さらなる実施形態によれば、さまざまな機械学習手法を使用して、パターンをカテゴリ分けすることができる。その例は、ランダムフォレスト、サポートベクタマシン、ニューラルネットワーク、決定木、ランダムフォレスト、およびアダブーストである。例えば、僧帽弁疾患の検出は、好ましくは、ランダムフォレストアルゴリズムまたはアダブーストアルゴリズムの使用によって行われ、一方、他の疾患では、使用されるアルゴリズムはさまざまとなり得る。
【0042】
実施形態によれば、この特別な情報は自動的に決定される。したがって、方法は、それぞれの心雑音/それぞれの疾患の診断を、窓内での心雑音の位置に基づいて、または一般には音響パターンの構造に基づいて決定するステップを含む。実施形態によれば、パターンは、反復パターン系列内で決定されるかまたはその系列から抽出/分離され、系列は、互いに等しいかまたは同等な、複数のパターンを含む。
【0043】
さらなる実施形態によれば、下で論じるように、各窓14a'から14k'について特徴量抽出を実施することができる。例えば、特徴量として振幅値を抽出することができる。その後、特徴量を、例えば平均値/中央値を計算することによって処理することができる。
【0044】
手短に説明すると、次の通りである。
- それぞれの記録について窓ボーダーラインを決定する
- 窓ごとに1つまたは複数の特徴量を決定する
- 1つまたは複数の特徴量を処理する、例えば平均値の決定、中央値の決定
- その次の記録に進む
【0045】
以下では、
図3に関して、特徴量最大の場合の特徴量抽出について論じる。
【0046】
図3は、複数の窓14a''から14o''に細分されている音響信号12''を含むオーディオ記録10''を示し、簡単のため、フレーム14x''によって印付けした窓14h''、14m''のみを考慮する。この場合、ピークの最大振幅が決定される。これらの最大振幅は、参照符号16m1''から16m5''によって印付けしてある。最大値16m4''は、約100という値になり、窓14l''に属する。この最大値14m''が最大値14m1''、14m2''、14m3''、14m5''と比べて著しく高いので、また窓14l''内の信号全体に乱れがあるように思われるので、これらの値は考慮されない。窓14h''、14i''、14j''、および14m''の最大値特徴量は、約(15,000、17,000、19,000、10,000)である。平均値feat_maxは15,215であり、一方中央値:feat_max=16.000である。4つの特徴量16m1''、14m2''、14m3''、および14m5''全てを取り除く代わりに、4つの特徴量全てをさらに使用することができる。
【0047】
図3に関して示すように、窓内の一部のパターンは使用できない。
【0048】
これについては、
図4aに関して示す。
図4aは、複数の窓に細分されるべき音響信号12'''を含むオーディオ信号10'''を示す。ここでは、いくつかの窓14a'''から14o'''が示されている。とりわけ窓14a'''、14h'''、および14o'''について、それぞれのパターン12a'''、12h'''、および12o'''に乱れがある。したがって、これらの窓14a'''、14h'''、および14o'''は、使用されない/無視される。あまりにも高い最大値を有する、
図3の乱れのある窓14l''とは対照的に、窓14a'''、14h'''、および14o'''を無視する理由は、前の窓と後続の窓との間のボーダーラインを決定できないからである。窓14a'''、14h'''、および14o'''、または14l''のそのような乱れのある信号は、特徴量抽出の結果を偽るので、それぞれの窓14a'''、14h'''、14o'''、および14l''は無視される。
図4aの実施形態に関して、これが意味するのは、明確なボーダーラインをそれについて決定することのできない全ての窓14a'''、14h'''、および14o'''が無視される、ということである。
【0049】
図4bは、別の乱れ(disruption)を示す。この場合、音響信号12''''全体が、範囲外であるとともに明確な信号のない振幅値を含み、その結果、窓かけを実施することができない。したがって、いくつかの場合には、完全に乱れた信号12''''を含む記録10''''全体が、窓かけせずに無視されることがある。
【0050】
以下では、それぞれの窓14a、14b、および14c(
図1参照)の、または他の実施形態に属する他の窓の、可能な解析ステップについて論じる。窓かけにより、各窓14a、14b、および14cならびに各パターン12a、12b、および12cを別々に解析できることが可能になる。実施形態によれば、3つの異なるタイプの特徴量、すなわち名称特徴量(name feature)、時間領域特徴量、および周波数領域特徴量を抽出することができる。時間領域特徴量および周波数領域特徴量は、主として音響信号12a、12b、ならびに12cに言及し、一方、主要な特徴量は、側面的な情報に言及する。各窓14a、14b、および14cについて解析することのできる可能な時間領域特徴量は、次の通りである。
パターンの平均値、パターンの中央値、パターン内の標準偏差、パターン内のまたは別のパターンに関する分散、パターンの歪度、パターンの尖度、パターンの平均絶対偏差、パターンの第1四分位数、パターンの第3四分位数、パターンのエントロピー、パターン内の0交差率、波高率、1としての第1のピークの持続時間、他方のピークS2の持続時間、S1の終わりからS1の開始までの持続時間、S2の終わりから次のS1の開始までの持続時間。とりわけ、信号12が窓かけされて窓14aから14cになるとき、持続時間特徴量がより有意義である。
【0051】
周波数領域特徴量は、メル周波数ケプストラム係数、ピッチクロマ、スペクトルフラットネス、スペクトル尖度、スペクトル歪度、スペクトル傾斜、スペクトルエントロピー、優位周波数、バンド幅、スペクトル重心、スペクトルフラックス、および/またはスペクトルロールオフとすることができる。
【0052】
上で論じたように、オーディオ信号の例は、動物の、またはイヌのようなヒト以外の哺乳類の、心拍とすることができる。このため、さらなる情報、すなわちいわゆる名称特徴量を考慮に入れることのできる可能性が存在する。名称特徴量は、クラス、重症度(ステップ0~6で表した疾患の重症度)、位置(動物における測定位置、例えば正面左側、正面右側、背面左側、背面右側)、品種、体重(体重区分、例えば0~10kg、10~20kg、≧20kg)とすることができる。それに加えて、ノード、例えば手術後または手術前)を選択することも可能である。
【0053】
さまざまな特徴量タイプのリスト、および特徴量タイプは、言及したものに限定されないことに留意されたい。
【0054】
実施形態によれば、上記の解析ステップは、主としてまたは完全に、自動的に実施される。とりわけ、窓かけは自動的に実施することができる(窓かけの)。学習フェーズの間、窓かけおよび例示的な解析を実施することができる。学習フェーズでは、窓かけ/自動窓かけについて、特徴量リストについて(とりわけ窓かけの用法について、この場合は平均値/中央値または全てを解析に使用することができる、(またテストサイズ)テストデータセットのパーセンテージ(例えば0.3)について、パラメータを設定することができる。この場合、テストデータセットは分割およびランダム化され、そのうち例えば30%が学習に使用される。学習には、さまざまなモデル、例えば決定木モデル、ランダムフォレストモデル、ナイーブベイズベースモデル、アダブーストモデル、および/またはサポートベクタマシンモデルを使用することができる。ランダムフォレストモデルが最良の結果を可能にすることが分かっている。
【0055】
上で論じたように、論じた手法を、動物の、またはヒト以外の哺乳類、例えばイヌの診断に使用することができる。以下では、背景について論じる。僧帽弁心内膜症は、イヌの最も一般的な心疾患である。その有症率は年齢とともに上昇し、5から8歳の全てのイヌの約10%、9から12歳の全てのイヌの約25%、および13歳以上の全てのイヌの約35%が冒されている。主として、トイプードル、ミニチュアシュナウザー、ヨークシャーテリア、ダックスフントなどの小型種の比較的老齢のイヌが冒される。罹患しやすい別の犬種は、キャバリアキングチャールズスパニエルである。キャバリアキングチャールズスパニエルは、しばしば幼齢において僧帽弁心内膜症を患うという点で、特別な品種である。大型犬は、はるかにそれほど頻繁には冒されない。
【0056】
初期段階における疾患の徴候:
心雑音:この心雑音は、飼い主が飼い主自身のペットのどんな変化に気付く前でも、獣医師が聴診器の助けを借りて聞き取ることのできるものである。これが、この疾患が予防接種の診察などの日常的な診察の間に場合によっては検出されることのある理由である。さらなる過程における疾患の徴候:咳、呼吸頻度の上昇、息切れ、気力低下、動作不良(poor performance)、食欲不振、短期間の意識消失。原因:非常に不規則な心拍、もしくは重度の咳のため、または左心房の断裂の結果として。従来技術によれば、3つの診断解決策が知られている。
・X線
・心臓の大きさ:最初に左心房のエリア内に心陰影の拡大があり、後に左心室のエリア内にもある。
・左主気管支の変位。
・X線画像の別の重要なタスクは、肺血管および肺野のアセスメントである。肺静脈がうっ血している場合、これは治療の適応となる。肺水腫が存在する場合、通常は肺門領域内に、肺胞陰影が示されることがある。
・肺うっ血:最初に肺静脈がうっ血しているように見え、後に肺水腫(肺水腫(water on the lungs))が診断されることがある。
・ECG
・ECGは、主として心不整脈を診断する。僧帽弁疾患をもつイヌは不整脈を患うことがあるので、ECGは重要な診断基準である。ECGが有用であるかどうかは、心臓病専門医によって最終的に決定されるが、モニタリング中に不整脈またはさらなる心音が検出される場合は、ECGが常に選択されなければならない。
・心臓超音波
・心房および心室のサイズを測定することができ、それによって、どんな倍率も高信頼に決定できるようになる。
・心筋が収縮できる能力を測定することができる。
・加えて、カラードプラ心エコーを使用して、弁閉鎖不全の程度を定量化することができる。
【0057】
本発明の実施形態によれば、動物の、またはヒト以外の哺乳類、特にイヌの、病的な心雑音と健康な心雑音との間の差を自動的に弁別することが可能である。イヌごとに4つの異なる位置(正面左側、背面左側、正面右側、背面右側)において音を聴診した。音の記録から、時間領域と周波数領域の両方におけるさまざまな特徴が計算され、合計データセットをトレーニングデータセットとテストデータセットに分割した後で、これらの特徴がいくつかの機械学習アルゴリズムのための入力としての役割を果たす。病的な音と心臓の健康に良い音との分類は、残念なことには、満足のいく結果を約束するものではなかった。このため、分類を当初、2つのクラスに限定した。これらは、健康な心臓をもつイヌからの記録、および僧帽弁閉鎖不全(MR)をもつイヌからの記録から構成される。MRは、血液の左心室から左心房内への逆流を招く心臓弁異常である。決定木というアルゴリズムを用いて、体重20kg未満のイヌの分類は、84%の正解率、81%の適合率、および81%の再現率を達成した(最初のテスト結果)。正解率は上昇することが見込まれる。さらなる音のサンプルを使用することによって、93%への上昇が達成されている。データセットは非常に小さいことに留意されたい。MRをもつイヌからの記録によってのみ表される品種がある。特徴量「品種」の使用は、偽りの結果を招き、したがって使用していない。かくして、実施形態は、例えば、動物の、またはヒト以外の哺乳類、特にイヌの心疾患の診断を、安価で実施の迅速な(動物にとってストレスの少ない)単純なセットアップ(例えばデジタル聴診器およびスマートフォン)を用いて可能にする。これによりさらに、有益なことには、遠隔医療検査が可能になる。
【0058】
上で論じた手法を使用することによって、単純な装置を形成することができる。この装置を
図5によって示す。
図5は、少なくともプロセッサ32とマイクロホン34とを備える装置30を示す。マイクロホン信号は、ADCを使用してデジタル化することができる。単純な一構成では、装置は、マイクロホンなしで形成することができ、その場合、オーディオ信号を受け取るためのインターフェースをその代わりに有することができる。この構成は図示していない。プロセッサ32は、音響信号内で反復するオーディオパターンを決定すること、および複数の窓についての窓長を決定することを行うように構成されている。窓長が音響信号の時間期間を複数の窓に(均等または不均等に)分割する。プロセッサは、複数の窓を得るために音響信号に(窓長から開始して)窓かけすることを行うようにさらに構成されている。さらに、プロセッサは、例えば複数の窓内でのパターンの特徴量抽出によって解析を実施することを行うように構成することができる。装置全体は、スマートデバイス/スマートフォンとして実装することができ、解析は一様に実施することができる。より洗練された一実装形態は、聴診器またはデジタル聴診器としての装置とすることができる。
【0059】
実施形態によれば、上で論じた装置は、プロセッサ32を備えた、スマートフォン、タブレットPC、または他のデバイスのようなスマートデバイスによって実装することができる。プロセッサ32を使用することによって、上で定義した、または下の実施形態の文脈の中で定義する、方法または少なくともいくつかの方法ステップを実行することができる。方法は、例えば、スマートデバイス用のソフトウェア、アプリケーション、またはアルゴリズムとして実装することができる。
【0060】
実施形態によれば、レポート、例えば診断に関するレポートを、装置/聴診器によって出力することができる。例えば、レポートは、決定された疾患/決定された心雑音疾患を表す診断を含むことができる。レポートは、イエロー、レッド、およびグリーンの3色を有する一種のトラフィックライトレポート(traffic light report)に要約することができる。グリーンは、疾患/心雑音が見いだされておらず、したがって、動物/ヒト以外の哺乳類/イヌは良好な状態にあることを意味することができる。イエローは、心雑音/疾患の危険性がある/確率が高いことを意味することができる。イエローはそれに加えて、動物/ヒト以外の哺乳類/イヌのさらなるモニタリング/さらなる解析が必要であることを示すことができる。レッドカラーは、心雑音/疾患が見いだされており、その結果、動物/ヒト以外の哺乳類/イヌの治療が必要である/提案されることを示すことができる。
【0061】
別の実施形態によれば、レポートは次の通りとすることができる。
- グリーンライト:動物/ヒト以外の哺乳類/イヌに心雑音がある可能性は非常に低い。心音はかなり生理的である。
- イエローライト:心音は、生理的な音とはわずかに異なる。動物/ヒト以外の哺乳類/イヌは、僧帽弁の漏れ/僧帽弁疾患以外の、心疾患および/または血管疾患を患っている可能性がある。繰り返し聴診することも考慮されたい。
-レッドライト:動物/ヒト以外の哺乳類/イヌに、僧帽弁心疾患に典型的な僧帽弁心雑音がある可能性は非常に高い。心雑音は、臨床的に関連のある心雑音と見なされる大きな心雑音(loud heart murmur)に段階分けされる。心臓が拡大しており治療が必要である(段階B2)かどうかを判定するために、胸部x線または心エコーを含む心臓検査などのさらなる検査を行うことが推奨される。オプションB:心音は、ソフトな心雑音(soft heart murmur)に段階分けされる。6カ月ごとのまたは年1回の心臓検査が推奨される。
【0062】
実施形態によれば、簡単な要約を出力することができる。そのような要約の一例は、次の通りとすることができる。
「これは医療診断ではありません。医療診断を受けるために、獣医師に掛かることが推奨されます。心雑音検出により、次のことが明らかになりました。
- これは95%の確率で僧帽弁逆流(MMVD)です。
- それは78%の確率で肺動脈弁狭窄(PS)です。
- …」
【0063】
さらなる実施形態によれば、別の種類のレポートも可能である。このレポート/診断は自動的に生成されることに留意されたい。
【0064】
以下では、さらなる実施形態について、条項の文脈の中で論じる。
【0065】
条項1:時間期間(T0からT6)を有し、複数の反復オーディオパターンを含む、音響信号(12a、12b、および12c)を解析する(150)ための方法(100)であって、次の、
音響信号(12a、12b、および12c)を含むオーディオ信号(10、10'、10''、10'''、10'''')を受け取る(110)ステップと、
音響信号(12a、12b、および12c)内で反復するオーディオパターンを決定する(120)ステップと、
複数の窓(14a、14b、14c、14a'から14o'、14a''から14o'')についての窓長を決定する(130)ステップであって、窓長が音響信号(12a、12b、および12c)の時間期間(T0からT6)を複数の窓(14a、14b、14c、14a'から14o'、14a''から14o'')に分割する、ステップと、
複数の窓(14a、14b、14c、14a'から14o'、14a''から14o'')を得るために音響信号に窓かけする(140)ステップと
を含む、方法(100)。
【0066】
条項2:それぞれの窓(14a、14b、14c、14a'から14o'、14a''から14o'')を解析する(150)さらなるステップを含む、条項1に記載の方法(100)。
【0067】
条項3:解析する(150)さらなるステップが、それぞれのパターンを表す1つまたは複数の抽出される特徴量を得るために特徴量抽出を実施するステップを含む、条項2に記載の方法(100)。
【0068】
条項4:抽出される特徴量が、名称特徴量、時間領域特徴量、および/もしくは周波数領域特徴量を含む群からのものであり、かつ/または
抽出される特徴量が、最大値、平均値、中央値、標準偏差、分散、歪度、尖度、平均絶対偏差、第1四分位数、第3四分位数、エントロピー、ゼロ交差率、波高率、パターン内の第1のピークおよび/もしくは第2のピークの持続時間、パターン内の第1のピークと第2のピークとの間の持続時間、第1のパターンの第2のピークと後続のパターンの第1のピークとの間の持続時間、メル周波数ケプストラム係数、ピッチクロマ、スペクトルフラットネス、スペクトル尖度、スペクトル歪度、スペクトル傾斜、スペクトルエントロピー、優位周波数、バンド幅、スペクトル重心、スペクトルフラックス、スペクトルロールオフ、クラス情報、重症度情報、位置情報、品種情報、体重情報、さらなる情報かつ/または他のパラメータ、もしくはそれらの組合せを含む群からのものであり、ならびに/あるいは
特徴量抽出のステップが、1つまたは複数の抽出される特徴量の値範囲が最小値または0から最大値もしくは1の間に定義されるように、1つまたは複数の抽出される特徴量の値範囲を再定義するステップを含む、
条項3に記載の方法(100)。
【0069】
条項5:反復オーディオパターンが、互いに等しく、互いに実質的に等しく、互いに類似しており、時間にわたってプロットされたそれぞれの振幅の同等な形状の1つもしくは複数のピークを含み、かつ/または時間にわたってプロットされた振幅の同等な形状の1つもしくは複数のピーク、および窓長内のそれぞれの時点における同等な振幅値を含む、条項1から4のいずれか一項に記載の方法(100)。
【0070】
条項6:窓長が一律である、条項1から5のいずれか一項に記載の方法(100)。
【0071】
条項7:窓長が反復パターンの反復の周波数に基づいて決定される、条項1から6のいずれか一項に記載の方法(100)。
【0072】
条項8:複数の反復オーディオパターンに類似のオーディオパターンまたは複数の反復オーディオパターンに等しいオーディオパターンのない1つまたは複数の窓(14a、14b、14c、14a'から14o'、14a''から14o'')を無視するステップをさらに含む、条項1から7のいずれか一項に記載の方法(100)。
【0073】
条項9:各反復オーディオパターンが、1つもしくは複数のピークによって定義され、かつ/または
各反復オーディオパターンが、1つもしくは複数のピークと基準レベルとの組合せによって定義され、1つまたは複数のピークが基準レベルよりも少なくとも5倍大きい振幅値を有し、かつ/もしくは
各反復オーディオパターンが、収縮期および/または拡張期によって定義される、
条項1から8のいずれか一項に記載の方法(100)。
【0074】
条項10:オーディオ信号(10、10'、10''、10'''、10'''')を正規化するステップを含む、条項1から9のいずれか一項に記載の方法(100)。
【0075】
条項11:オーディオパターンを決定する(120)ステップ、窓長を決定する(130)ステップ、および窓かけする(140)ステップが、自動的に実施され、かつ/または人工知能の使用によって実施される、条項1から10のいずれか一項に記載の方法(100)。
【0076】
条項12:これらのステップが、決定木アルゴリズム、ランダムフォレストアルゴリズム、ナイーブベイズアルゴリズム、アダブーストアルゴリズム、ニューロンネット(neuronal net)によって実装されたアルゴリズム、および/またはサポートベクタマシンアルゴリズムの使用によって実施される、条項11に記載の方法(100)。
【0077】
条項13:オーディオ信号(10、10'、10''、10'''、10'''')が、イヌの心拍系列の記録、および/またはイヌの心雑音系列の記録である、条項1から12のいずれか一項に記載の方法(100)。
【0078】
条項14:時間期間(T0からT6)を有し、複数の反復オーディオパターンを含む、音響信号(12a、12b、および12c)を解析する(150)ための装置(30)であって、
音響信号(12a、12b、ならびに12c)を含むオーディオ信号(10、10'、10''、10'''、10'''')を受け取る(110)ためのインターフェースと、
プロセッサ(32)であって、音響信号(12a、12b、および12c)内で反復するオーディオパターンを決定すること、ならびに複数の窓(14a、14b、14c、14a'から14o'、14a''から14o'')についての窓長を決定することであって、窓長が音響信号(12a、12b、および12c)の時間期間(T0からT6)を複数の窓(14a、14b、14c、14a'から14o'、14a''から14o'')に分割する、こと、ならびに複数の窓(14a、14b、14c、14a'から14o'、14a''から14o'')を得るために音響信号(12a、12b、および12c)に窓かけすることを行うように構成されている、プロセッサ(32)と
を備える、装置(30)。
【0079】
条項15:条項14に記載の装置(30)と、マイクロホン(34)とを備え、または好ましくは条項14に記載の装置(30)と、マイクロホン(34)を備えた聴診器とを備え、もしくはより好ましくは条項14に記載の装置(30)と、マイクロホン(34)を備えたデジタル聴診器とを備える、解析を実施するためのシステム。
【0080】
条項16:条項1から13のいずれか一項に記載の方法(100)を実施するための命令を含むプログラムコードを有する、コンピュータプログラム。
【0081】
いくつかの態様について、装置の文脈の中で説明してきたが、これらの態様が、対応する方法の説明も表しており、その場合、ブロックまたはデバイスが方法ステップもしくは方法ステップの特徴に対応することは、明らかである。同様に、方法ステップの文脈の中で説明した態様は、対応する装置の対応するブロックまたは項目もしくは特徴の説明も表している。方法ステップの一部または全ては、例えばマイクロプロセッサ、プログラマブルコンピュータ、または電子回路のようなハードウェア装置によって(またはそのハードウェア装置を使用して)実行することができる。いくつかの実施形態では、最も重要な方法ステップのうちのいずれか1つまたは複数を、そのような装置によって実行することができる。
【0082】
特定の実装要件に応じて、本発明の実施形態をハードウェアとして、またはソフトウェアとして実装することができる。この実装は、それぞれの方法が実施されるようにプログラマブルコンピュータシステムと協働する(または協働することの可能な)、電子的に読み取り可能な制御信号がその上に記憶された、デジタル記憶媒体、例えばフロッピーディスク、DVD、ブルーレイ、CD、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、またはフラッシュメモリを使用して、実施することができる。したがって、デジタル記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能とすることができる。
【0083】
本発明によるいくつかの実施形態は、本明細書において説明した方法のうちの1つが実施されるようにプログラマブルコンピュータシステムと協働することの可能な、電子的に読み取り可能な制御信号を有する、データ担体を備える。
【0084】
一般に、本発明の実施形態は、プログラムコードを有するコンピュータプログラム製品として実装することができ、プログラムコードは、コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で実行されたときに方法のうちの1つを実施するように動作可能である。プログラムコードは、例えば、機械読み取り可能な担体上に記憶させることができる。
【0085】
他の実施形態は、機械読み取り可能な担体上に記憶された、本明細書において説明した方法のうちの1つを実施するためのコンピュータプログラムを含む。
【0086】
換言すれば、したがって、本発明の方法の一実施形態は、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されたときに本明細書において説明した方法のうちの1つを実施するためのプログラムコードを有する、コンピュータプログラムである。
【0087】
したがって、本発明のさらなる一実施形態は、本明細書において説明した方法のうちの1つを実施するためのコンピュータプログラムを含む、すなわちそのコンピュータプログラムがその上に記憶された、データ担体(またはデジタル記憶媒体もしくはコンピュータ読み取り可能な媒体)である。データ担体、デジタル記憶媒体、または記録された媒体は、典型的には、有形および/もしくは非一時的である。
【0088】
したがって、本発明の方法のさらなる一実施形態は、本明細書において説明した方法のうちの1つを実施するためのコンピュータプログラムを表す、データストリームまたは信号系列である。データストリームまたは信号系列は、例えば、データ通信接続を介して、例えばインターネットを介して、転送されるように構成することができる。
【0089】
さらなる一実施形態は、本明細書において説明した方法のうちの1つを実施するように構成または適合された、処理手段、例えばコンピュータまたはプログラマブル論理デバイスを備える。
【0090】
さらなる一実施形態は、本明細書において説明した方法のうちの1つを実施するためのコンピュータプログラムがその上にインストールされた、コンピュータを備える。
【0091】
本発明によるさらなる一実施形態は、本明細書において説明した方法のうちの1つを実施するためのコンピュータプログラムをレシーバに、(例えば電子的または光学的に)転送するように構成された、装置またはシステムを備える。レシーバは、例えば、コンピュータ、モバイルデバイス、メモリデバイスなどとすることができる。装置またはシステムは、例えば、コンピュータプログラムをレシーバに転送するためのファイルサーバを備えることができる。
【0092】
いくつかの実施形態では、プログラマブル論理デバイス(例えばフィールドプログラマブルゲートアレイ)を使用して、本明細書において説明した方法の機能のうちの一部または全てを実施することができる。いくつかの実施形態では、本明細書において説明した方法のうちの1つを実施するために、フィールドプログラマブルゲートアレイがマイクロプロセッサと協働することができる。一般に、方法は、好ましくは任意のハードウェア装置によって実施される。
【0093】
上述した実施形態は、本発明の原理を例示するものにすぎない。本明細書において説明した構成および詳細の修正形態および変形形態が当業者にとって明らかであることが、理解されよう。したがって、本明細書における実施形態の説明および解説によって提示された具体的詳細によってではなく、目前の特許請求の範囲に記載の範囲のみによって限定されることが意図されている。
【符号の説明】
【0094】
10 オーディオ信号
12 音響信号
12a オーディオパターン、音響信号
12b オーディオパターン、音響信号
12c オーディオパターン、音響信号
14a 参照符号、窓
14b 参照符号、窓
14c 参照符号、窓
30 装置
32 プロセッサ
34 マイクロホン
100 方法
S1 信号、ピーク、収縮期、システム、第1の収縮期
S2 信号、ピーク、拡張期、第2の収縮期
T0からT6 時間期間
WL 窓長