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特許7584634翼環アッセンブリ、ガスタービン、及びガスタービンの改修方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】翼環アッセンブリ、ガスタービン、及びガスタービンの改修方法
(51)【国際特許分類】
   F01D 9/04 20060101AFI20241108BHJP
   F02C 7/18 20060101ALI20241108BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
F01D9/04
F02C7/18 E
F02C7/00 D
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2023516455
(86)(22)【出願日】2022-04-12
(86)【国際出願番号】 JP2022017571
(87)【国際公開番号】W WO2022224871
(87)【国際公開日】2022-10-27
【審査請求日】2023-09-08
(31)【優先権主張番号】P 2021070571
(32)【優先日】2021-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 宏明
(72)【発明者】
【氏名】永井 宜彦
(72)【発明者】
【氏名】廣川 一晴
(72)【発明者】
【氏名】橋本 真也
(72)【発明者】
【氏名】武田 直輝
(72)【発明者】
【氏名】梅原 猛
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 康司
(72)【発明者】
【氏名】福井 嘉夫
(72)【発明者】
【氏名】中村 賢太
【審査官】津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0221720(US,A1)
【文献】特開平7-189738(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0126337(US,A1)
【文献】特開2008-240712(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0067378(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 9/04
F02C 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線を中心とする周方向に延びたタービン翼環と、
前記タービン翼環の内周側に配置された冷却対象部品と、
前記タービン翼環の外周側に配置された外周側部品と、
を備え、
前記タービン翼環は、当該タービン翼環の外周面から内周面に通じる冷却媒体取り込み口を有し、
前記外周側部品は、
前記タービン翼環の外周側から前記冷却媒体取り込み口の少なくとも一部を覆うとともに、前記冷却媒体取り込み口よりも、前記軸線が延びる軸線方向における両側のうち軸線下流側まで延びた第1壁部と、
前記第1壁部の前記軸線下流側の端部から前記タービン翼環の前記外周面に向けて延び、前記第1壁部と前記冷却媒体取り込み口との間の空間の少なくとも一部を前記軸線下流側から覆う第2壁部と、
を有し
前記外周側部品は、前記タービン翼環の外周側に配置された外周側カバーであり、
前記タービン翼環は、前記軸線方向における両側のうち軸線上流側に向けて突出した第1突出部と、前記周方向において前記第1突出部とは異なる位置に設けられ、前記軸線上流側に向けて突出した第2突出部と、をさらに有し、
前記冷却媒体取り込み口は、前記周方向において前記第1突出部と前記第2突出部との間に位置し、
前記外周側カバーは、前記第1突出部と前記第2突出部との間の領域を跨ぐように配置されている、
翼環アッセンブリ。
【請求項2】
前記外周側部品は、前記第1壁部の前記周方向の端部から前記タービン翼環の前記外周面に向けて延び、前記空間の少なくとも一部を前記周方向から覆う第3壁部をさらに有した、
請求項1に記載の翼環アッセンブリ。
【請求項3】
前記第1突出部及び前記第2突出部は、缶型燃焼器の尾筒が固定される固定部品と接続可能な接続部を有する、
請求項に記載の翼環アッセンブリ。
【請求項4】
前記タービン翼環と前記外周側カバーは、同じ材料で形成されている、
請求項に記載の翼環アッセンブリ。
【請求項5】
前記外周側カバーを前記タービン翼環に取り外し可能に連結する連結構造をさらに備えた、
請求項に記載の翼環アッセンブリ。
【請求項6】
軸線を中心とする周方向に延びたタービン翼環と、
前記タービン翼環の内周側に配置された冷却対象部品と、
前記タービン翼環の外周側に配置された外周側部品と、
を備え、
前記タービン翼環は、当該タービン翼環の外周面から内周面に通じる冷却媒体取り込み口を有し、
前記外周側部品は、
前記タービン翼環の外周側から前記冷却媒体取り込み口の少なくとも一部を覆うとともに、前記冷却媒体取り込み口よりも、前記軸線が延びる軸線方向における両側のうち軸線下流側まで延びた第1壁部と、
前記第1壁部の前記軸線下流側の端部から前記タービン翼環の前記外周面に向けて延び、前記第1壁部と前記冷却媒体取り込み口との間の空間の少なくとも一部を前記軸線下流側から覆う第2壁部と、
を有し、
前記外周側部品は、前記タービン翼環の外周側に配置された外周側カバーであり、
前記タービン翼環の内周側に配置され、前記タービン翼環の径方向で前記冷却媒体取り込み口と重なり、前記冷却媒体取り込み口を通じて前記タービン翼環の外周側に取り外し可能な取外可能部材をさらに備え、
前記外周側カバーは、前記径方向で前記取外可能部材と重ならない領域に配置されている、
翼環アッセンブリ。
【請求項7】
軸線を中心とする周方向に延びたタービン翼環と、
前記タービン翼環の内周側に配置された冷却対象部品と、
前記タービン翼環の外周側に配置された外周側部品と、
を備え、
前記タービン翼環は、当該タービン翼環の外周面から内周面に通じる冷却媒体取り込み口を有し、
前記外周側部品は、
前記タービン翼環の外周側から前記冷却媒体取り込み口の少なくとも一部を覆うとともに、前記冷却媒体取り込み口よりも、前記軸線が延びる軸線方向における両側のうち軸線下流側まで延びた第1壁部と、
前記第1壁部の前記軸線下流側の端部から前記タービン翼環の前記外周面に向けて延び、前記第1壁部と前記冷却媒体取り込み口との間の空間の少なくとも一部を前記軸線下流側から覆う第2壁部と、
を有し、
前記外周側部品は、前記タービン翼環の外周側に配置された外周側カバーであり、
前記タービン翼環の内周側に配置され、前記タービン翼環の径方向で前記冷却媒体取り込み口と重なり、前記冷却媒体取り込み口を通じて前記タービン翼環の外周側に取り外し可能な取外可能部材をさらに備え、
前記外周側カバーは、前記径方向で前記取外可能部材と重なる領域に切り欠き部を有する、
翼環アッセンブリ。
【請求項8】
軸線を中心とする周方向に延びたタービン翼環と、
前記タービン翼環の内周側に配置された冷却対象部品と、
前記タービン翼環の外周側に配置された外周側部品と、
を備え、
前記タービン翼環は、当該タービン翼環の外周面から内周面に通じる冷却媒体取り込み口を有し、
前記外周側部品は、
前記タービン翼環の外周側から前記冷却媒体取り込み口の少なくとも一部を覆うとともに、前記冷却媒体取り込み口よりも、前記軸線が延びる軸線方向における両側のうち軸線下流側まで延びた第1壁部と、
前記第1壁部の前記軸線下流側の端部から前記タービン翼環の前記外周面に向けて延び、前記第1壁部と前記冷却媒体取り込み口との間の空間の少なくとも一部を前記軸線下流側から覆う第2壁部と、
を有し、
前記外周側部品は、前記タービン翼環の外周側に配置された外周側カバーであり、
前記第1壁部の少なくとも一部は、前記軸線方向における両側のうち軸線上流側に向けて進むに従い前記タービン翼環の前記外周面から離れる方向に傾いた傾斜部を有する、
翼環アッセンブリ。
【請求項9】
軸線を中心とする周方向に延びたタービン翼環と、
前記タービン翼環の内周側に配置された冷却対象部品と、
前記タービン翼環の外周側に配置された外周側部品と、
を備え、
前記タービン翼環は、当該タービン翼環の外周面から内周面に通じる冷却媒体取り込み口を有し、
前記外周側部品は、
前記タービン翼環の外周側から前記冷却媒体取り込み口の少なくとも一部を覆うとともに、前記冷却媒体取り込み口よりも、前記軸線が延びる軸線方向における両側のうち軸線下流側まで延びた第1壁部と、
前記第1壁部の前記軸線下流側の端部から前記タービン翼環の前記外周面に向けて延び、前記第1壁部と前記冷却媒体取り込み口との間の空間の少なくとも一部を前記軸線下流側から覆う第2壁部と、
を有し、
前記冷却対象部品は、前記タービン翼環の内周側に配置された静翼であり、
前記静翼に取り付けられた内周側カバーをさらに備え、
前記静翼は、
燃焼ガス流路内に配置されて翼形を成す翼体と、
前記翼体の外周側の端に設けられ、第1空間を持つ外側シュラウドと、
前記翼体の内周側の端に設けられ、第2空間を持つ内側シュラウドと、
前記外側シュラウドから前記翼体を通り前記内側シュラウドに延びた冷却媒体通路と、
を有し、
前記内周側カバーは、前記内側シュラウドに取り付けられ、前記第2空間の少なくとも一部を前記翼体の内周側から覆う、
翼環アッセンブリ。
【請求項10】
軸線を中心とする周方向に延びたタービン翼環と、
前記タービン翼環の内周側に配置された冷却対象部品と、
前記タービン翼環の外周側に配置された外周側部品と、
を備え、
前記タービン翼環は、当該タービン翼環の外周面から内周面に通じる冷却媒体取り込み口を有し、
前記外周側部品は、
前記タービン翼環の外周側から前記冷却媒体取り込み口の少なくとも一部を覆うとともに、前記冷却媒体取り込み口よりも、前記軸線が延びる軸線方向における両側のうち軸線下流側まで延びた第1壁部と、
前記第1壁部の前記軸線下流側の端部から前記タービン翼環の前記外周面に向けて延び、前記第1壁部と前記冷却媒体取り込み口との間の空間の少なくとも一部を前記軸線下流側から覆う第2壁部と、
を有し、
前記外周側部品は、L字状に形成されたL字管であり、
前記L字管は、
前記冷却媒体取り込み口から前記タービン翼環の径方向に延びる第1管部と、
前記第1管部の前記タービン翼環とは反対側の端部から前記軸線下流側とは反対側に延びる第2管部と、
を有し、
前記第2管部は、前記第1管部と連通するとともに、前記第1管部とは反対側に開口部を有する、
翼環アッセンブリ。
【請求項11】
前記第2管部は、前記第1管部から前記軸線方向における両側のうち軸線上流側に向けて延び、
前記開口部は、前記軸線上流側に向けて開口している、
請求項10に記載の翼環アッセンブリ。
【請求項12】
前記L字管は、前記L字管の他の部分よりも流路面積の小さいオリフィス部を有する、
請求項10に記載の翼環アッセンブリ。
【請求項13】
前記オリフィス部は、前記L字管の他の部分に対して着脱可能に設けられている、
請求項12に記載の翼環アッセンブリ。
【請求項14】
前記オリフィス部の内径は、前記開口部の内径よりも小さい、
請求項12に記載の翼環アッセンブリ。
【請求項15】
前記タービン翼環と前記L字管は、同じ材料で形成されている、
請求項10に記載の翼環アッセンブリ。
【請求項16】
軸線を中心とする周方向に延びたタービン翼環と、前記タービン翼環の内周側に配置された冷却対象部品と、前記タービン翼環の外周側に配置された外周側部品と、を備える翼環アッセンブリと、
前記軸線を中心として回転可能なロータと、
前記ロータの外周側を覆うケーシングと、
燃料の燃焼により燃焼ガスを生成し、前記ケーシング内に前記燃焼ガスを送る缶型燃焼器と、
を備え、
前記翼環アッセンブリは、前記ケーシングの内周側に配置され、
前記タービン翼環は、当該タービン翼環の外周面から内周面に通じる冷却媒体取り込み口を有し、
前記外周側部品は、
前記タービン翼環の外周側から前記冷却媒体取り込み口の少なくとも一部を覆うとともに、前記冷却媒体取り込み口よりも、前記軸線が延びる軸線方向における両側のうち軸線下流側まで延びた第1壁部と、
前記第1壁部の前記軸線下流側の端部から前記タービン翼環の前記外周面に向けて延び、前記第1壁部と前記冷却媒体取り込み口との間の空間の少なくとも一部を前記軸線下流側から覆う第2壁部と、
を有し、
前記ケーシングは、前記翼環アッセンブリが露出して冷却媒体が流れる収容室を規定する壁部の一部として、前記冷却媒体取り込み口よりも前記軸線下流側に設けられて前記タービン翼環の径方向に延びた隔壁を有する、
ガスタービン。
【請求項17】
前記翼環アッセンブリに含まれる前記冷却対象部品は、前記軸線方向における1段目のタービン静翼を成す、
請求項16に記載のガスタービン。
【請求項18】
軸線を中心とする周方向に延びたタービン翼環と、前記タービン翼環の内周側に配置された静翼と、を有したガスタービンの改修方法であって、
前記タービン翼環から前記静翼を取り外す工程と、
前記静翼に遮蔽カバーを取り付ける工程であって、前記静翼は、燃焼ガス流路内に配置されて翼形を成す翼体と、前記翼体の前記内周側の端に設けられて空間を持つ内側シュラウドと、を有し、前記内側シュラウドに前記遮蔽カバーを取り付けることで、前記遮蔽カバーによって前記内側シュラウドの前記空間の少なくとも一部を前記内周側から覆う工程と、
異物分離用カバーが取り付けられている前記タービン翼環に、前記遮蔽カバーが取り付けられた前記静翼を取り付ける工程であって、前記タービン翼環は、当該タービン翼環の外周面から内周面に通じる冷却媒体取り込み口を有し、前記異物分離用カバーは、前記タービン翼環の外周側に配置され、前記冷却媒体取り込み口の少なくとも一部を覆っている、工程と、
を含むガスタービンの改修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、翼環アッセンブリ、ガスタービン、及びガスタービンの改修方法に関する。
本願は、2021年4月19日に日本に出願された特願2021-070571号について優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、冷却空気に含まれる粒子を分離するための機構を備えたガスタービンが開示されている。このガスタービンは、静翼よりも内周側(ロータ側)に配置された粒子分離用保護要素を備え、この粒子分離用保護要素によって浮遊粒子が取り入れ開口に流入することを困難にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2010-501764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の粒子分離用保護要素は、圧縮機からケーシング内に供給された冷却空気が静翼の内部に通じる空気通路にそのまま流入することを抑制するものではない。このため、異物を含む冷却空気が静翼の内部に流入し、静翼内部の冷却路に目詰まりが生じる可能性がある。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、異物が例えば静翼等の冷却対象部品内に流入することを抑制することができる翼環アッセンブリ、ガスタービン、及びガスタービンの改修方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係る翼環アッセンブリは、軸線を中心とする周方向に延びたタービン翼環と、前記タービン翼環の内周側に配置された冷却対象部品と、前記タービン翼環の外周側に配置された外周側部品と、を備える。前記タービン翼環は、当該タービン翼環の外周面から内周面に通じる冷却媒体取り込み口を有する。前記外周側部品は、前記タービン翼環の外周側から前記冷却媒体取り込み口の少なくとも一部を覆うとともに、前記冷却媒体取り込み口よりも、前記軸線が延びる軸線方向における両側のうち軸線下流側まで延びた第1壁部と、前記第1壁部の前記軸線下流側の端部から前記タービン翼環の前記外周面に向けて延び、前記第1壁部と前記冷却媒体取り込み口との間の空間の少なくとも一部を前記軸線下流側から覆う第2壁部と、を有し、前記外周側部品は、前記タービン翼環の外周側に配置された外周側カバーであり、前記タービン翼環は、前記軸線方向における両側のうち軸線上流側に向けて突出した第1突出部と、前記周方向において前記第1突出部とは異なる位置に設けられ、前記軸線上流側に向けて突出した第2突出部と、をさらに有し、前記冷却媒体取り込み口は、前記周方向において前記第1突出部と前記第2突出部との間に位置し、前記外周側カバーは、前記第1突出部と前記第2突出部との間の領域を跨ぐように配置されている。
また、本開示に係る翼環アッセンブリは、軸線を中心とする周方向に延びたタービン翼環と、前記タービン翼環の内周側に配置された冷却対象部品と、前記タービン翼環の外周側に配置された外周側部品と、を備え、前記タービン翼環は、当該タービン翼環の外周面から内周面に通じる冷却媒体取り込み口を有し、前記外周側部品は、前記タービン翼環の外周側から前記冷却媒体取り込み口の少なくとも一部を覆うとともに、前記冷却媒体取り込み口よりも、前記軸線が延びる軸線方向における両側のうち軸線下流側まで延びた第1壁部と、前記第1壁部の前記軸線下流側の端部から前記タービン翼環の前記外周面に向けて延び、前記第1壁部と前記冷却媒体取り込み口との間の空間の少なくとも一部を前記軸線下流側から覆う第2壁部と、を有し、前記外周側部品は、前記タービン翼環の外周側に配置された外周側カバーであり、前記タービン翼環の内周側に配置され、前記タービン翼環の径方向で前記冷却媒体取り込み口と重なり、前記冷却媒体取り込み口を通じて前記タービン翼環の外周側に取り外し可能な取外可能部材をさらに備え、前記外周側カバーは、前記径方向で前記取外可能部材と重ならない領域に配置されている。
また、本開示に係る翼環アッセンブリは、軸線を中心とする周方向に延びたタービン翼環と、前記タービン翼環の内周側に配置された冷却対象部品と、前記タービン翼環の外周側に配置された外周側部品と、を備え、前記タービン翼環は、当該タービン翼環の外周面から内周面に通じる冷却媒体取り込み口を有し、前記外周側部品は、前記タービン翼環の外周側から前記冷却媒体取り込み口の少なくとも一部を覆うとともに、前記冷却媒体取り込み口よりも、前記軸線が延びる軸線方向における両側のうち軸線下流側まで延びた第1壁部と、前記第1壁部の前記軸線下流側の端部から前記タービン翼環の前記外周面に向けて延び、前記第1壁部と前記冷却媒体取り込み口との間の空間の少なくとも一部を前記軸線下流側から覆う第2壁部と、を有し、前記外周側部品は、前記タービン翼環の外周側に配置された外周側カバーであり、前記タービン翼環の内周側に配置され、前記タービン翼環の径方向で前記冷却媒体取り込み口と重なり、前記冷却媒体取り込み口を通じて前記タービン翼環の外周側に取り外し可能な取外可能部材をさらに備え、前記外周側カバーは、前記径方向で前記取外可能部材と重なる領域に切り欠き部を有する。
また、本開示に係る翼環アッセンブリは、 軸線を中心とする周方向に延びたタービン翼環と、前記タービン翼環の内周側に配置された冷却対象部品と、前記タービン翼環の外周側に配置された外周側部品と、を備え、前記タービン翼環は、当該タービン翼環の外周面から内周面に通じる冷却媒体取り込み口を有し、前記外周側部品は、前記タービン翼環の外周側から前記冷却媒体取り込み口の少なくとも一部を覆うとともに、前記冷却媒体取り込み口よりも、前記軸線が延びる軸線方向における両側のうち軸線下流側まで延びた第1壁部と、前記第1壁部の前記軸線下流側の端部から前記タービン翼環の前記外周面に向けて延び、前記第1壁部と前記冷却媒体取り込み口との間の空間の少なくとも一部を前記軸線下流側から覆う第2壁部と、を有し、前記外周側部品は、前記タービン翼環の外周側に配置された外周側カバーであり、前記第1壁部の少なくとも一部は、前記軸線方向における両側のうち軸線上流側に向けて進むに従い前記タービン翼環の前記外周面から離れる方向に傾いた傾斜部を有する。
また、本開示に係る翼環アッセンブリは、軸線を中心とする周方向に延びたタービン翼環と、前記タービン翼環の内周側に配置された冷却対象部品と、前記タービン翼環の外周側に配置された外周側部品と、を備え、前記タービン翼環は、当該タービン翼環の外周面から内周面に通じる冷却媒体取り込み口を有し、前記外周側部品は、前記タービン翼環の外周側から前記冷却媒体取り込み口の少なくとも一部を覆うとともに、前記冷却媒体取り込み口よりも、前記軸線が延びる軸線方向における両側のうち軸線下流側まで延びた第1壁部と、前記第1壁部の前記軸線下流側の端部から前記タービン翼環の前記外周面に向けて延び、前記第1壁部と前記冷却媒体取り込み口との間の空間の少なくとも一部を前記軸線下流側から覆う第2壁部と、を有し、前記冷却対象部品は、前記タービン翼環の内周側に配置された静翼であり、前記静翼に取り付けられた内周側カバーをさらに備え、前記静翼は、燃焼ガス流路内に配置されて翼形を成す翼体と、前記翼体の外周側の端に設けられ、第1空間を持つ外側シュラウドと、前記翼体の内周側の端に設けられ、第2空間を持つ内側シュラウドと、前記外側シュラウドから前記翼体を通り前記内側シュラウドに延びた冷却媒体通路と、を有し、前記内周側カバーは、前記内側シュラウドに取り付けられ、前記第2空間の少なくとも一部を前記翼体の内周側から覆う。
また、本開示に係る翼環アッセンブリは、軸線を中心とする周方向に延びたタービン翼環と、前記タービン翼環の内周側に配置された冷却対象部品と、前記タービン翼環の外周側に配置された外周側部品と、を備え、前記タービン翼環は、当該タービン翼環の外周面から内周面に通じる冷却媒体取り込み口を有し、前記外周側部品は、前記タービン翼環の外周側から前記冷却媒体取り込み口の少なくとも一部を覆うとともに、前記冷却媒体取り込み口よりも、前記軸線が延びる軸線方向における両側のうち軸線下流側まで延びた第1壁部と、前記第1壁部の前記軸線下流側の端部から前記タービン翼環の前記外周面に向けて延び、前記第1壁部と前記冷却媒体取り込み口との間の空間の少なくとも一部を前記軸線下流側から覆う第2壁部と、を有し、前記外周側部品は、L字状に形成されたL字管であり、前記L字管は、前記冷却媒体取り込み口から前記タービン翼環の径方向に延びる第1管部と、前記第1管部の前記タービン翼環とは反対側の端部から前記軸線下流側とは反対側に延びる第2管部と、を有し、前記第2管部は、前記第1管部と連通するとともに、前記第1管部とは反対側に開口部を有する。
【0007】
上記課題を解決するために、本開示に係るガスタービンは、翼環アッセンブリと、軸線を中心として回転可能なロータと、前記ロータの外周側を覆うケーシングと、燃料の燃焼により前記燃焼ガスを生成し、前記ケーシング内に前記燃焼ガスを送る缶型燃焼器と、を備える。前記翼環アッセンブリは、前記軸線を中心とする周方向に延びたタービン翼環と、前記タービン翼環の内周側に配置された冷却対象部品と、前記タービン翼環の外周側に配置された外周側部品と、を備える。前記タービン翼環は、当該タービン翼環の外周面から内周面に通じる冷却媒体取り込み口を有する。前記外周側部品は、前記タービン翼環の外周側から前記冷却媒体取り込み口の少なくとも一部を覆うとともに、前記冷却媒体取り込み口よりも、前記軸線が延びる軸線方向における両側のうち軸線下流側まで延びた第1壁部と、前記第1壁部の前記軸線下流側の端部から前記タービン翼環の前記外周面に向けて延び、前記第1壁部と前記冷却媒体取り込み口との間の空間の少なくとも一部を前記軸線下流側から覆う第2壁部と、を有する。前記翼環アッセンブリは、前記ケーシングの内周側に配置されている。前記ケーシングは、前記翼環アッセンブリが露出して前記冷却媒体が流れる収容室を規定する壁部の一部として、前記冷却媒体取り込み口よりも前記軸線下流側に設けられて前記タービン翼環の径方向に延びた隔壁を有する。
【0008】
上記課題を解決するために、本開示に係るガスタービンの改修方法は、軸線を中心とする周方向に延びたタービン翼環と、前記タービン翼環の内周側に配置された静翼と、を有したガスタービンの改修方法であって、前記タービン翼環から前記静翼を取り外す工程と、前記静翼に遮蔽カバーを取り付ける工程であって、前記静翼は、燃焼ガス流路内に配置されて翼形を成す翼体と、前記翼体の前記内周側の端に設けられて空間を持つ内側シュラウドと、を有し、前記内側シュラウドに前記遮蔽カバーを取り付けることで、前記遮蔽カバーによって前記内側シュラウドの前記空間の少なくとも一部を前記内周側から覆う工程と、異物分離用カバーが取り付けられている前記タービン翼環に、前記遮蔽カバーが取り付けられた前記静翼を取り付ける工程であって、前記タービン翼環は、当該タービン翼環の外周面から内周面に通じる冷却媒体取り込み口を有し、前記異物分離用カバーは、前記タービン翼環の外周側に配置され、前記冷却媒体取り込み口の少なくとも一部を覆っている、工程と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示の翼環アッセンブリ、ガスタービン、及びガスタービンの改修方法は、異物が例えば静翼等の冷却対象部品内に流入することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の第1実施形態に係るガスタービンの全体を模式的に示す断面図である。
図2】本開示の第1実施形態に係るガスタービンの一部を拡大して示す断面図である。
図3】本開示の第1実施形態に係る翼環アッセンブリの一部を模式的に示す斜視図である。
図4】本開示の第1実施形態に係る翼環アッセンブリの一部を分解して示す斜視図である。
図5図3中に示された翼環アッセンブリのF5-F5線に沿う断面図である。
図6】本開示の第1実施形態に係るダストセパレータを示す平面図である。
図7】本開示の第1実施形態に係るダストセパレータを示す正面図である。
図8】本開示の第1実施形態に係る遮蔽カバーを示す断面図である。
図9】本開示の第1実施形態に係るガスタービンの改修方法の手順を示すフローチャートである。
図10】本開示の第1実施形態に係るダストセパレータの作用を示す断面図である。
図11】本開示の第2実施形態に係る翼環アッセンブリの一部を模式的に示す斜視図である。
図12】本開示の第2実施形態に係る翼環アッセンブリの一部を拡大して模式的に示す断面図である。
図13】本開示の第2実施形態に係るL字管を分解して示す斜視図である。
図14】本開示の第2実施形態に係るL字管の作用を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の第1実施形態に係る翼環アッセンブリ、ガスタービン、及びガスタービンの改修方法について、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一又は類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
【0012】
<第1実施形態>
(ガスタービンの構成)
図1は、第1実施形態のガスタービン10の全体を模式的に示す断面図である。ガスタービン10は、空気Aを圧縮する圧縮機20と、圧縮機20で圧縮された空気A中で燃料Fを燃焼させて燃焼ガスGを生成する燃焼器30と、燃焼ガスGにより駆動するタービン40と、を備えている。
【0013】
圧縮機20は、軸線Arを中心として回転する圧縮機ロータ21と、圧縮機ロータ21の外周側を覆う圧縮機車室25と、複数の静翼段26と、を有する。タービン40は、軸線Arを中心として回転するタービンロータ41と、タービンロータ41の外周側を覆うタービン車室45と、複数の静翼段46と、を有する。
【0014】
圧縮機ロータ21とタービンロータ41とは、同一軸線Ar上に位置し、互いに接続されてガスタービンロータ11を成す。ガスタービンロータ11には、例えば、発電機GENのロータが接続されている。圧縮機車室25とタービン車室45とは、互いに接続されてガスタービン車室15を成す。ガスタービン車室15は、「ケーシング」の一例である。燃焼器30は、例えば、缶型燃焼器である。
【0015】
ここで以下の説明では、軸線Arが延びる方向を軸線方向Da、軸線Arを中心とした周方向を周方向Dc、軸線Arに対して垂直な方向を径方向Drと定義する。軸線方向Daにおける両側のうちタービン40を基準にして圧縮機20側を軸線上流側Dau、その反対側を軸線下流側Dadと定義する。また、径方向Drにおける両側のうち軸線Arに近づく側を径方向内側Dri、その反対側を径方向外側Droと定義する。また、周方向Dcにおける両側のうち後述する静翼46aの翼体110の正圧面から負圧面に向かう方向を周方向Dcn、翼体110の負圧面から正圧面に向かう方向を周方向Dcpと定義する。以下では、軸線方向Daの軸線上流側Dauを前側、軸線方向Daの軸線下流側Dadを後側と称する場合がある。軸線方向Daは、燃焼ガスGの流れ方向である。
【0016】
圧縮機ロータ21は、軸線Arを中心として軸線方向Daに延びたロータ軸22と、ロータ軸22に取り付けられている複数の動翼段23と、を有する。複数の動翼段23は、軸線方向Daに並んでいる。各動翼段23は、いずれも、周方向Dcに並んでいる複数の動翼23aで構成されている。複数の動翼段23の各軸線下流側Dadには、静翼段26が配置されている。各静翼段26は、圧縮機車室25の内側に設けられている。各静翼段26は、いずれも、周方向Dcに並んでいる複数の静翼26aで構成されている。
【0017】
タービンロータ41は、軸線Arを中心として軸線方向Daに延びたロータ軸42と、ロータ軸42に取り付けられている複数の動翼段43と、を有する。複数の動翼段43は、軸線方向Daに並んでいる。各動翼段43は、いずれも、周方向Dcに並んでいる複数の動翼43aで構成されている。複数の動翼段43の各軸線上流側Dauには、静翼段46が配置されている。各静翼段46は、タービン車室45の内側に設けられている。各静翼段46は、いずれも、周方向Dcに並んでいる複数のガスタービン静翼46aで構成されている。以下の説明では、ガスタービン静翼を単に静翼と呼ぶ。ガスタービン静翼(静翼)46aは、「冷却対象部品」の一例である。
【0018】
図2は、第1実施形態のガスタービン10の一部を拡大して示す断面図である。なお図2は、説明の便宜上、図3中に示された翼環アッセンブリWSのF2-F2線に沿う断面を模式的に示す。タービン車室45は、当該タービン車室45の外殻を構成する筒状の外側車室45aと、外側車室45aの内側に固定されている内側車室45bと、内側車室45bの内側に固定されている複数の分割環45cと、を有する。複数の分割環45cは、いずれも、複数の静翼段46において隣り合う2つの静翼段46の間の位置に設けられている。各分割環45cの径方向内側Driには、動翼段43が配置されている。
【0019】
径方向Drにおけるロータ軸42とタービン車室45との間であって、静翼46a及び動翼43aが配置されている空間は、燃焼器30からの燃焼ガスGが流れる燃焼ガス流路49を成す。燃焼ガス流路49は、軸線Arを中心とした環状を成し、軸線方向Daに長い。
【0020】
本実施形態のガスタービン10は、軸線方向Daにおける2段目以降の静翼46a及び分割環45cに冷却空気を供給する冷却装置50を有する。冷却装置50は、異物捕集器51と、冷却器52と、ブースト圧縮機53と、冷却空気ライン54と、を有する。異物捕集器51は、例えば複数の細孔を有するストレーナであり、冷却空気ライン54を流れる冷却空気に含まれる異物を分離する。冷却器52は、冷却空気ライン54を流れる冷却空気を冷却する。ブースト圧縮機53は、冷却空気ライン54を流れる冷却空気を昇圧させる。冷却空気ライン54は、ガスタービン車室15内の圧縮空気Acを冷却空気として抽気し、抽気した冷却空気を、異物捕集器51、冷却器52、及びブースト圧縮機53を経由させて、外側車室45aの内側に供給する。
【0021】
タービン車室45の内側車室45bには、径方向外側Droから径方向内側Driに貫通する冷却空気通路45pが形成されている。冷却空気ライン54から外側車室45aの内側に供給された冷却空気は、内側車室45bの冷却空気通路45pを経由して、2段目以降の静翼46a内及び分割環45c内に導入されて、それら静翼46a及び分割環45cの冷却に利用される。ここで、冷却空気ライン54に異物捕集器51が設けられていることで、2段目以降の静翼46a及び分割環45cには異物が到達しにくい。なお、静翼46aへ冷却空気を供給する経路は、上記に限られない。
【0022】
(ガスタービンの動作)
図1に戻り、ガスタービン10の動作について説明する。圧縮機20は、空気Aを圧縮して圧縮空気Acを生成する。圧縮機20により生成された圧縮空気Acは、燃焼器30内に流入する。燃焼器30には、燃料Fが供給される。燃焼器30内では、圧縮空気中で燃料Fが燃焼して、高温高圧の燃焼ガスGが生成される。燃焼器30により生成された燃焼ガスGは、燃焼器30からタービン40内の燃焼ガス流路49に送られる。燃焼ガスGは、燃焼ガス流路49を軸線下流側Dadへ流れる過程で、タービンロータ41を回転させる。このタービンロータ41の回転で、ガスタービンロータ11に接続されている発電機GENのロータが回転する。その結果、発電機GENは発電する。
【0023】
(翼環アッセンブリ)
図2に示すように、ガスタービン10は、翼環アッセンブリWSを有する。翼環アッセンブリWSは、ガスタービン車室15の内周側に配置されている。本実施形態では、翼環アッセンブリWSは、軸線方向Daにおけるタービン40の最上流側に配置され、タービン翼環70と、軸線方向Daにおける1段目の静翼46aをそれぞれ成す複数の静翼46a1と、を有する。本実施形態では、1段目の静翼46a1には、圧縮機20からガスタービン車室15内に供給された圧縮空気Acが、異物捕集器を経由せずに冷却空気として直接供給される。そのため本実施形態では、タービン翼環70には、圧縮空気Acに含まれる異物が静翼46a1に到達することを抑制するダストセパレータ90が設けられている。以下、この内容について詳しく説明する。以下では説明の便宜上、圧縮空気Acを冷却空気Acと称する場合がある。
【0024】
(翼環アッセンブリの周囲の構成)
ガスタービン車室15は、燃焼器30が収容される収容室Cを規定する壁部として、前壁61、周壁62、及び後壁63を有する。収容室Cは、翼環アッセンブリWSが露出し、圧縮空気Acが流れるガスタービン車室15内の空間である。
【0025】
前壁61は、収容室Cに対して軸線上流側Dauに位置する。前壁61は、開口61hを有した筒部61aと、筒部61aに取り付けられて開口61hを覆う筒状蓋部61bとを有する。燃焼器30の一部は、筒部61a及び筒状蓋部61bの内部に配置される。例えば、燃焼器30の吸気部31は、筒状蓋部61bの内部に配置される。
【0026】
周壁62は、収容室Cに対して径方向外側Droに位置する。周壁62は、前壁61と後壁63との間に延びており、前壁61と後壁63とを繋いでいる。周壁62は、第1部分62aと、第2部分62bとを有する。第1部分62aは、前壁61に繋がる部分である。第1部分62aは、軸線方向Daに延びている。第2部分62bは、第1部分62aよりも軸線下流側Dadに位置し、後壁63に繋がる部分である。第2部分62bは、例えば、軸線下流側Dadに進むに従い径方向内側Diに位置するように傾いた傾斜部(縮径部)である。第2部分62bは、例えば、軸線下流側Dadに進むに従い軸線方向Daに対する傾斜が急となる円弧部を含む。
【0027】
後壁63は収容室Cに対して軸線下流側Dadに位置する。後壁63は、径方向Drに沿って広がる。後壁63は、収容室Cの軸線下流側Dadを塞ぐ隔壁である。後壁63には、後述するタービン翼環70の翼環固定部71が固定される。後壁63は、後述するタービン翼環70の空気取り込み口72よりも軸線下流側Dadに位置する。
【0028】
図2に示すように、圧縮機20から見て収容室Cの入口には、圧縮空気Acの案内部64が設けられている。案内部64は、例えば軸線方向Daに対して傾斜して設けられたターニングベーンであり、圧縮機20から流入する圧縮空気Acの流れ方向をガスタービン車室15の周壁62に向けて変化させる。ただし、圧縮機20から流入する圧縮空気Acの一部が周壁62又は後壁63に向かう構成であれば、案内部64は省略されてもよい。
【0029】
(翼環アッセンブリの構成)
図3は、翼環アッセンブリWSの一部を示す斜視図である。翼環アッセンブリWSは、タービン翼環70と、複数の燃焼器接続部材80と、複数のシール部材85と、複数の静翼46a1(図5に1つのみ図示)と、複数のダストセパレータ90と、複数の遮蔽カバー150(図5に1つのみ図示)を有する。
【0030】
(タービン翼環)
タービン翼環70は、軸線Arを中心とする周方向Dcに延びており、円環状に形成されている。タービン翼環70は、外周面70o、内周面70i、上流側端面70u、及び下流側端面70dを有する。外周面70oは、径方向外側Droを向いている。外周面70oは、ガスタービン車室15の収容室Cに露出している。内周面70iは、外周面70oとは反対側に位置し、径方向内側Driを向いている。内周面70iは、複数の静翼46a1に面している。上流側端面70uは、軸線上流側Dauを向いている。下流側端面70dは、軸線下流側Dadを向いている。
【0031】
タービン翼環70は、ガスタービン車室15に固定される翼環固定部71を有する。翼環固定部71は、タービン翼環70の軸線下流側Dadの端部に設けられている。翼環固定部71は、例えば、径方向外側Droに張り出したフランジである。翼環固定部71は、ガスタービン車室15の後壁63の径方向内側Driに位置する(図2参照)。翼環固定部71は、ガスタービン車室15の後壁63に固定されて支持される。
【0032】
図3に示すように、タービン翼環70には、複数の空気取り込み口72が設けられている。複数の空気取り込み口72は、周方向Dcにおいて、所定の間隔を空けてタービン翼環70の全周に分かれて設けられている。空気取り込み口72は、タービン翼環70の外周面70oから内周面70iに貫通している。空気取り込み口72は、翼環固定部71よりも軸線上流側Dauに位置する。
【0033】
図4は、翼環アッセンブリWSの一部を分解して示す斜視図である。本実施形態では、空気取り込み口72は、タービン翼環70の軸線上流側Dauの端部に設けられた切欠部(溝部)である。すなわち、空気取り込み口72は、タービン翼環70の外周面70oから内周面70iに貫通するとともに、軸線上流側Dauに開放されている。これに代えて、空気取り込み口72は、軸線方向Daにおけるタービン翼環70の中央部において外周面70oから内周面70iに貫通した貫通孔でもよい。空気取り込み口72は、ガスタービン車室15の収容室Cを流れる冷却空気Acの一部を、タービン翼環70の外周側から内周側に導く。空気取り込み口72は、「冷却媒体取り込み口」の一例である。本実施形態では、圧縮機20により圧縮された圧縮空気Acは、「冷却媒体」の一例である。
【0034】
本実施形態では、タービン翼環70の軸線上流側Dauの端部は、複数の突出部73を有する。複数の突出部73は、周方向Dcで異なる位置に配置されるとともに、それぞれ軸線上流側Dauに向けて突出している。複数の突出部73の軸線上流側Dauの端面は、上述したタービン翼環70の上流側端面70uを形成している。複数の突出部73と、複数の空気取り込み口72とは、周方向Dcにおいて交互に配置されている(図3参照)。このため、1つの空気取り込み口72に着目した場合、複数の突出部73は、空気取り込み口72の周方向Dcn側に位置した第1突出部73aと、空気取り込み口72の周方向Dcp側に位置した第2突出部73bとを有する。言い換えると、空気取り込み口72は、周方向Dcにおいて、第1突出部73aと、第2突出部73bとの間に位置する。
【0035】
(燃焼器接続部材)
次に、燃焼器接続部材80について説明する。燃焼器接続部材80は、燃焼器30の尾筒32が固定される固定部品である。複数の燃焼器接続部材80は、周方向Dcにおいてタービン翼環70の複数の突出部73と対応する位置に設けられている。
【0036】
図4に示すように、燃焼器接続部材80は、枠体部81と、フランジ82とを有する。 枠体部81は、燃焼器30の尾筒32が接続される部分である。燃焼器30の尾筒32は、例えば溶接によって枠体部81に固定される。フランジ82は、枠体部81から径方向外側Droに延びた部分である。フランジ82は、周方向Dc及び径方向Drに沿う平面形状である。フランジ82は、軸線方向Daにおいて、突出部73の軸線上流側Dauの端面73uと面する。突出部73の軸線上流側Dauの端面73uには、ボルトのような結合具83が結合可能な結合穴73hが設けられている。
【0037】
フランジ82は、結合具83が通される挿通穴82hが設けられている。フランジ82の挿通穴82hに通された結合具83が突出部73の結合穴73hに結合されることで、フランジ82が突出部73に固定される。結合穴73hを含む突出部73の端面73uは、燃焼器接続部材80と接続可能な「接続部」の一例である。本実施形態では、上述した第1突出部73a及び第2突出部73bの各々の端面73uは、結合穴73hを有し、燃焼器接続部材80が取り付けられる。
【0038】
(シール部材)
次は、シール部材85について説明する。シール部材85は、周方向Dcで隣り合う2つの燃焼器30の尾筒32の間に配置され、2つの燃焼器30の尾筒32の間の隙間を気密に塞ぐ。シール部材85は、タービン翼環70の内周側に配置されている(図5参照)。シール部材85は、径方向Drで空気取り込み口72と重なる位置に配置されている(図5及び図6参照)。シール部材85は、燃焼器30の尾筒32が燃焼器接続部材80から取り外されている状態で、空気取り込み口72を通じてタービン翼環70の外周側に取り外し可能である。シール部材85は、「取外可能部材」の一例である。
【0039】
(静翼)
次に、静翼46a1について説明する。
図5は、図3中に示された翼環アッセンブリWSのF5-F5線に沿う断面図である。複数の静翼46a1(図5では1つのみ図示)は、タービン翼環70の内周側に配置され、周方向Dcに並べて配置されている。静翼46a1は、タービン翼環70に設けられた保持部材74によって保持されている。静翼46a1は、翼体110と、外側シュラウド120と、内側シュラウド130と、空気通路140と、を有する。
【0040】
翼体110は、翼形を成し径方向Drに延びている。つまり、翼体110の翼高さ方向は、径方向Drである。翼体110は、燃焼ガスGが通る燃焼ガス流路49内に配置される。翼体110の表面で、周方向Dcを向く面のうち、凸状の面が背側面(=負圧面)を成し、凹状の面が腹側面(=正圧面)を成す。翼体110のうち軸線上流側Dauの端部及び軸線下流側Dadの端部には、複数の排気孔110hが設けられている。
【0041】
外側シュラウド120は、翼体110の径方向外側Droの端に設けられ、環状の燃焼ガス流路49の外周側位置を規定する。外側シュラウド120は、シュラウド本体121と、周壁122と、衝突板123と、を有する。
【0042】
シュラウド本体121は、軸線方向Da及び周方向Dcに広がる板状に形成されている。シュラウド本体121は、ガスパス面121aと、外側内面121bと、を有している。ガスパス面121aは、燃焼ガスGに接する面(燃焼ガス流路49に面する面)であり、径方向内側Driを向いている。外側内面121bは、ガスパス面121aと反対側を向く面である。
【0043】
周壁122は、シュラウド本体121の外周縁に沿ってシュラウド本体121から径方向外側Droに突出している。本実施形態では、周壁122は、シュラウド本体121の外周縁の全周に亘り形成されている。周壁122は、軸線上流側Dauを向いた前壁と、軸線下流側Dadを向いた後壁と、周方向Dcnを向いた背側壁と、周方向Dcpを向いた腹側壁(不図示)とを、有する。外側シュラウド120は、周壁122によって4方向から囲まれる空間である第1空間S1を持つ。
【0044】
衝突板123は、外側シュラウド120の第1空間S1内に設けられ、第1空間S1を径方向外側Droの領域と径方向内側Driの領域であるキャビティCAとに仕切っている。衝突板123には、径方向Drに貫通する複数の空気孔123hが形成されている。静翼46a1の径方向外側Droに存在する冷却空気Acの一部は、衝突板123の空気孔123hを経て、キャビティCA内に流入する。キャビティCA内に流入した空気の一部は、外側シュラウド120を冷却した後、外側シュラウド120に設けられた不図示の排気孔から燃焼ガス流路49に排気される。
【0045】
内側シュラウド130は、翼体110の径方向内側Driの端に設けられ、環状の燃焼ガス流路49の内周側位置を規定する。内側シュラウド130は、シュラウド本体131と、周壁132と、衝突板133と、を有する。
【0046】
シュラウド本体131は、軸線方向Da及び周方向Dcに広がる板状に形成されている。シュラウド本体131は、ガスパス面131aと、内側内面131bと、を有している。ガスパス面131aは、燃焼ガスGに接する面(燃焼ガス流路49に面する面)であり、径方向外側Droを向いている。内側内面131bは、ガスパス面131aと反対側を向く面である。シュラウド本体131は、後述する第2空間S2を燃焼ガス流路49に連通させる排気孔131hを有する。
【0047】
周壁132は、シュラウド本体131の外周縁に沿ってシュラウド本体131から径方向内側Driに突出している。本実施形態では、周壁132は、シュラウド本体131の外周縁の全周に亘り形成されている。周壁132は、軸線上流側Dauを向いた前壁と、軸線下流側Dadを向いた後壁と、周方向Dcnを向いた背側壁と、周方向Dcpを向いた腹側壁(不図示)とを、有する。内側シュラウド130は、周壁132によって4方向から囲まれる空間である第2空間S2を持つ。
【0048】
衝突板133は、内側シュラウド130の第2空間S2内に設けられ、第2空間S2を径方向内側Driの領域と径方向外側Droの領域であるキャビティCAとに仕切っている。衝突板133には、径方向Drに貫通する複数の空気孔133hが形成されている。なお、衝突板133は、省略されてもよい。
【0049】
複数の空気通路140は、外側シュラウド120から翼体110を通り内側シュラウド130に延びている。複数の空気通路140のうち隣接する空気通路140の一部は、径方向外側Droの部分又は径方向内側Driの部分で互いに連通していてもよい。複数の空気通路140のうちいずれかは、外側シュラウド120の第1空間S1に連通している。複数の空気通路140のうちいずれかは、内側シュラウド130の第2空間S2に連通している。空気通路140は、翼体110の複数の排気孔110hと連通している。空気通路140は、「冷却媒体通路」の一例である。
【0050】
タービン翼環70の空気取り込み口72を通じてタービン翼環70の内周側に流入した冷却空気Acの一部は、外側シュラウド120の衝突板123の空気孔123hに流入し、外側シュラウド120のキャビティCAを流れることで外側シュラウド120を冷却する。タービン翼環70の内周側に流入した冷却空気Acの別の一部は、空気通路140に流入し、空気通路140を通る過程で翼体110を冷却する。空気通路140を流れた冷却空気Acの一部は、翼体110に設けられた複数の排気孔110hから燃焼ガス流路49に排気される。空気通路140を流れた冷却空気Acの別の一部は、内側シュラウド130の第2空間S2に流入し、内側シュラウド130を冷却する。内側シュラウド130の第2空間S2を流れた冷却空気Acは、内側シュラウド130の排気孔131hから燃焼ガス流路49に排気される。
【0051】
(ダストセパレータ)
次に、ダストセパレータ90について説明する。
図3に示すように、複数のダストセパレータ90は、タービン翼環70の外周側に配置されている。複数のダストセパレータ90は、周方向Dcに分かれて配置され、複数の空気取り込み口72に対応して位置する。ダストセパレータ90とタービン翼環70とは、同じ材料(例えばステンレス鋼)で形成され、同じ熱膨張率を持つ。ダストセパレータ90は、「外周側部品」の一例である。ダストセパレータ90は、「外周側カバー」の一例であり、「異物分離用カバー」の一例である。
【0052】
図4に示すように、ダストセパレータ90は、対応する空気取り込み口72の両側に分かれた第1突出部73aと第2突出部73bとの間の領域を跨ぐように配置されている。ダストセパレータ90は、天井壁91と、後壁92と、第1側壁93と、第2側壁94と、を有する。
【0053】
図6は、ダストセパレータ90を示す平面図である。
天井壁91は、タービン翼環70の外周面70oとの間に隙間を空けて、タービン翼環70の外周面70oと平行に広がる。すなわち、天井壁91は、タービン翼環70の外周面70oに沿う緩やかな円弧状である。天井壁91は、タービン翼環70の外周側から空気取り込み口72の少なくとも一部を覆う。本実施形態では、天井壁91の周方向Dcの幅W1は、空気取り込み口72の周方向Dcの最大幅W2よりも大きい。天井壁91は、空気取り込み口72の一部よりも軸線上流側Dauから空気取り込み口72よりも軸線下流側Dadまで延びている。天井壁91は、「第1壁部」の一例である。
【0054】
本実施形態では、天井壁91は、空気取り込み口72の全部を覆うのではなく、空気取り込み口72の一部のみを覆う。詳しく述べると、天井壁91は、径方向Drでシール部材85と重ならない領域に配置されている。例えば、天井壁91は、径方向Drでシール部材85と重なる領域に切り欠き部95を有する。シール部材85を取り外す際には、シール部材85は、空気取り込み口72および切り欠き部95の内側を通じて、径方向Drに沿ってタービン翼環70の外周側に取り外し可能である。
【0055】
より詳しく述べると、天井壁91は、第1領域91aと、第2領域91bと、第3領域91cとを有する。第1領域91aは、空気取り込み口72を覆う領域である。第1領域91aは、軸線方向Daにおいて、突出部73の端面73uよりも軸線下流側Dadに設けられている。第2領域91bは、第1領域91aに対して周方向Dcn側に配置されている。第3領域91cは、第1領域91aに対して周方向Dcp側に配置されている。第2領域91b及び第3領域91cは、第1領域91aと比べて、軸線上流側Dauに突出している。これにより、第1領域91a、第2領域91b、及び第3領域91cによって囲まれる領域が切り欠き部95となる。
【0056】
天井壁91の第1領域91aは、傾斜部96を有する。傾斜部96は、天井壁91の第1領域91aの軸線上流側Dauに設けられている。傾斜部96は、軸線上流側Dauに向けて進むに従いタービン翼環70の外周面70oから離れる方向に傾いている(図5参照)。
【0057】
後壁92は、天井壁91の軸線下流側Dadの端部からタービン翼環70の外周面70oに向けて延びている。後壁92は、周方向Dcに延びている。後壁92は、天井壁91と空気取り込み口72との間の空間S(図5参照、以下「内部空間S」と称する)の少なくとも一部を軸線下流側Dadから覆う。本実施形態では、後壁92は、タービン翼環70に接している。すなわち、後壁92とタービン翼環70の外周面70oとの間に隙間は存在しない。これに代えて、後壁92とタービン翼環70の外周面70oとの間には、隙間(例えば天井壁91の板厚よりも小さな隙間)が存在してもよい。後壁92は、「第2壁部」の一例である。
【0058】
図7は、ダストセパレータ90を示す正面図である。
第1側壁93は、周方向Dcにおける天井壁91の周方向Dcn側の端部からタービン翼環70の外周面70oに向けて延びている。第1側壁93は、軸線方向Daに延びている。例えば、第1側壁93は、切り欠き部95の一部よりも軸線上流側Dauに延びている。また、第1側壁93は、空気取り込み口72よりも軸線下流側Dadまで延びており、後壁92に接続されている。第1側壁93は、ダストセパレータ90の内部空間Sの少なくとも一部を周方向Dcn側から覆う。本実施形態では、第1側壁93は、タービン翼環70に接している。すなわち、第1側壁93とタービン翼環70の外周面70oとの間に隙間は存在しない。これに代えて、第1側壁93とタービン翼環70の外周面70oとの間には、隙間(例えば天井壁91の板厚よりも小さな隙間)が存在してもよい。第1側壁93は、「第3壁部」の一例である。
【0059】
第2側壁94は、周方向Dcにおける天井壁91の周方向Dcp側の端部からタービン翼環70の外周面70oに向けて延びている。第2側壁94は、軸線方向Daに延びている。例えば、第2側壁94は、切り欠き部95の一部よりも軸線上流側Dauに延びている。また、第2側壁94は、空気取り込み口72よりも軸線下流側Dadまで延びており、後壁92に接続されている。第2側壁94は、ダストセパレータ90の内部空間Sの少なくとも一部を周方向Dcp側から覆う。本実施形態では、第2側壁94は、タービン翼環70に接している。すなわち、第2側壁94とタービン翼環70の外周面70oとの間に隙間は存在しない。これに代えて、第2側壁94とタービン翼環70の外周面70oとの間には、隙間(例えば天井壁91の板厚よりも小さな隙間)が存在してもよい。第2側壁94は、「第4壁部」の一例である。
【0060】
以上のような構成により、ダストセパレータ90の内部空間Sは、天井壁91、後壁92、第1側壁93、及び第2側壁94によって囲まれている。一方で、ダストセパレータ90の内部空間Sは、軸線上流側Dauに開放されている。
【0061】
次に、ダストセパレータ90を固定する連結構造CSについて説明する。
図4に示すように、連結構造CSは、複数(例えば4つ)の連結部97を含む。各連結部97は、タービン翼環70の外周面70oに固定された支持部97aと、支持部97aに着脱可能に取り付けられる結合具97bとを有する。支持部97aは、例えば、タービン翼環70の外周面70oに設けられたボスであり、径方向外側Droに開口した係合穴97hを有する。ダストセパレータ90の天井壁91は、支持部97aの上に載置される。天井壁91は、係合穴97hに対応する位置に、結合具97bが挿通可能な挿通穴91hを有する。結合具97bは、例えばボルトであり、ダストセパレータ90の天井壁91の挿通穴91hに通され、支持部97aの係合穴97hに係合する。結合具97bが係合穴97hに係合することで、タービン翼環70の外周面70oに対してダストセパレータ90が取り外し可能に連結される。
【0062】
(遮蔽カバー)
図8は、遮蔽カバー150を示す断面図である。遮蔽カバー150は、内側シュラウド130に取り付けられ、溶接などで内側シュラウド130に固定される。遮蔽カバー150は、内側シュラウド130の第2空間S2の少なくとも一部を径方向内側Driから覆う。本実施形態では、遮蔽カバー150は、内側シュラウド130の周壁132に取り付けられ、内側シュラウド130の第2空間S2の全部を覆う。遮蔽カバー150が内側シュラウド130に取り付けられることで、内側シュラウド130の第2空間S2には、径方向内側Driから圧縮空気Acが供給されなくなる。内側シュラウド130の第2空間S2には、タービン翼環70の空気取り込み口72から流入し、外側シュラウド120及び翼体110の空気通路140を流れた圧縮空気Acが供給される。遮蔽カバー150は、「内周側カバー」の一例である。
【0063】
(ガスタービンの改修方法)
次に、ガスタービン10の改修方法の一例について説明する。ここでは、ダストセパレータ90及び遮蔽カバー150が設けられていないガスタービン10に対して、ダストセパレータ90及び遮蔽カバー150を追加する改修方法について説明する。なお、ダストセパレータ90が既に設置されているガスタービン10に対して遮蔽カバー150を追加する改修方法では、後述するダストセパレータ取付工程(S12)が省略される。
【0064】
図9は、ガスタービン10の改修方法の手順を示すフローチャートである。本実施形態の改修方法は、例えば、分解工程(S11)、ダストセパレータ取付工程(S12)、遮蔽カバー取付工程(S13)、及び組立工程(S14)を含む。
【0065】
分解工程(S11)では、ガスタービン10の必要部分が分解される。例えば、ガスタービン車室15が分解され、翼環アッセンブリWSが取り出される。さらに、翼環アッセンブリWSにおいて、タービン翼環70から複数の静翼46a1が取り外される。
【0066】
ダストセパレータ取付工程(S12)では、タービン翼環70に対してダストセパレータ90が取り付けらる。具体的には、タービン翼環70の外周面70oに支持部97aを固定するための穴部70h(図7参照)が設けられ、タービン翼環70の外周面70oに支持部97aが固定される。次に、支持部97aの上にダストセパレータ90が載置される。次に、結合具97bを、ダストセパレータ90の天井壁91の挿通穴91hに通し、支持部97aの係合穴97hに結合させる。これにより、タービン翼環70の外周側にダストセパレータ90が取り付けられる。
【0067】
遮蔽カバー取付工程(S13)では、各静翼46a1の内側シュラウド130に遮蔽カバー150が取り付けられる。例えば、遮蔽カバー150は、内側シュラウド130の周壁132に溶接固定されることで、内側シュラウド130に取り付けられる。これにより、遮蔽カバー150によって、内側シュラウド130の第2空間S2が塞がれる。
【0068】
組立工程(S14)では、ガスタービン10が組み立てられる。具体的には、それぞれ遮蔽カバー150が取り付けられた複数の静翼46a1がタービン翼環70の内周側に取り付けられる。次に、タービン翼環70の外周側にガスタービン車室15が組み立てられる。これにより、ガスタービン10の改修が完了する。
【0069】
(作用効果)
次に、ダストセパレータ90の作用効果について説明する。
図2に示すように、圧縮機20により圧縮された圧縮空気Acは、圧縮機20から燃焼器30が配置された収容室Cに供給される。収容室Cに供給された圧縮空気Acは、案内部64によって流れ方向の角度が変えられ、ガスタービン車室15の周壁62に向けて流れる。そして、周壁62にぶつかった圧縮空気Acは、二手に分かれる。すなわち、圧縮空気Acの一部(例えば大部分)は、燃焼器30の吸気部31に向かうように流れ方向を変え、燃焼器30の吸気部31に向かう(図2中の矢印A1参照)。一方で、圧縮空気Acの別の一部は、ガスタービン車室15の周壁62にぶつかった後、周壁62から後壁63に沿って流れるように流れ方向を変える(図2中の矢印A2参照)。その結果、収容室Cの内部では、タービン翼環70に対して径方向外側Droに位置する空間を、軸線下流側Dadから軸線上流側Dauに向けて圧縮空気Acが流れる渦流れ(Counter Vortex)Vが発生する。そして、この渦流れVで流れる圧縮空気Acの一部がタービン翼環70の空気取り込み口72からタービン翼環70の内周側に取り込まれる。
【0070】
図10は、ダストセパレータ90の作用を示す断面図である。
本実施形態では、タービン翼環70の外周側にダストセパレータ90が設けられている。ダストセパレータ90は、タービン翼環70の外周側から空気取り込み口72の少なくとも一部を覆う天井壁91と、ダストセパレータ90の内部空間Sを軸線下流側Dadから覆う後壁92とを有する。このため、ガスタービン車室15の後壁63に沿って流れた圧縮空気Acは、そのまま空気取り込み口72に流入するのではなく、ダストセパレータ90に対して径方向外側Droに位置する空間を、軸線下流側Dadから軸線上流側Dauに向けて流れた後、90度を超える角度(例えば約180度)でターンして空気取り込み口72に流入する(図10中の矢印A3参照)。この過程で、圧縮空気Acに含まれる異物M(例えば錆やごみ)は、当該異物Mが持つ慣性力によって、空気取り込み口72よりも軸線上流側Dauに流れる。このため、圧縮空気Acに含まれる異物Mが空気取り込み口72に入りにくくなる。その結果、静翼46a1の冷却構造(例えば、翼体110の排気孔110hや、内側シュラウド130の排気孔131h)に異物Mが詰まることが抑制される。
【0071】
慣性力によって空気取り込み口72よりも軸線上流側Dauに流れた異物Mは、燃焼器30の吸気部31から燃焼器30に取り込まれ、燃焼ガスGに含まれてガスタービン10の外部に排出される。燃焼ガス流路49は、異物によって目詰まりする小さな孔が静翼46a1と比べて少ない又は存在しないため、異物Mによる不具合が生じにくい。
【0072】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、翼環アッセンブリWSがダストセパレータ90に代えてL字管290を含む点で、第1実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1実施形態と同様である。
【0073】
(タービン翼環)
図11は、本開示の第2実施形態に係る翼環アッセンブリWSの一部を模式的に示す斜視図である。
図12は、本開示の第2実施形態に係る翼環アッセンブリWSの一部を拡大して模式的に示す断面図である。
図11図12に示すように、タービン翼環70の翼環固定部71に近い軸線下流側Dadの外周面70oには、空気取り込み口72が形成されている。空気取り込み口72は、軸線方向Daにおける1段目と2段目の静翼46aの間に位置する分割環45cと径方向Drに重なる位置に設けられている。
【0074】
空気取り込み口72と径方向Drで重なる分割環45cとタービン翼環70の内周面70iとの間の第3空間S3には、第2衝突板223が設けられている。第2衝突板223は、第3空間S3を径方向外側Droの領域と径方向内側Driの領域とに仕切っている。第2衝突板223には、径方向Drに貫通する複数の第2空気孔223hが形成されている。第2衝突板223及び第2衝突板223と径方向Drで重なる分割環45cは、タービン翼環70の内周側に配置されており、「冷却対象部品」の一例である。
【0075】
(L字管)
タービン翼環70の外周側には、L字管290が配置されている。より具体的には、タービン翼環70の外周面70oのうち空気取り込み口72と重なる位置には、L字管290が設けられている。L字管290は、例えば、タービン翼環70と同じ材料で形成されている。L字管290及びタービン翼環70は、例えばステンレス鋼等の金属材料により形成されている。L字管290は、周方向Dcから見てL字状に形成されている。L字管290は、第1管部290aと、第2管部290bとを有する。
【0076】
第1管部290aは、空気取り込み口72からタービン翼環70の径方向Drに延びている。
【0077】
第2管部290bは、第1管部290aのタービン翼環70とは反対側の端部から軸線下流側Dadとは反対側に延びている。本実施形態では、第2管部290bは、第1管部290aから軸線方向Daにおける両側のうち軸線上流側Dauに向けて延びている。なお、第2管部290bは、軸線Arに対して、例えば±10度以内の角度で傾斜してもよい。第2管部290bは、第1管部290aと連通するとともに、第1管部290aとは反対側に開口部290cを有する。開口部290cは、軸線上流側Dauに向けて開口している。
【0078】
別の観点では、上述した形状のL字管290は、天井壁291と、後壁292と、第1側壁293と、第2側壁294と、を有する。
【0079】
天井壁291は、タービン翼環70の外周面70oとの間に隙間を空けて、タービン翼環70の外周面70oに沿って広がる。天井壁291は、タービン翼環70の外周側から空気取り込み口72の少なくとも一部を覆っている。本実施形態では、天井壁291は、タービン翼環70の外周側から空気取り込み口72の全体を覆っている。天井壁291は、空気取り込み口72よりも、軸線方向Daにおける両側のうち軸線上流側Dauまで延びている。天井壁291は、「第1壁部」の一例である。
【0080】
後壁292は、天井壁291の軸線下流側Dadの端部からタービン翼環70の外周面70oに向けて延びている後壁292は、天井壁291と空気取り込み口72との間の空間Sの少なくとも一部を軸線下流側Dadから覆っている。本実施形態では、後壁292は、天井壁291と空気取り込み口72との間の空間Sの全体を軸線下流側Dadから覆っている。後壁292は、「第2壁部」の一例である。
【0081】
第1側壁293は、周方向Dcにおける天井壁291の周方向Dcn側の端部からタービン翼環70の外周面70oに向けて延びている。第1側壁293は、天井壁291と空取り込み口72との間の空間Sの少なくとも一部を周方向Dcnから覆っている。第1側壁293は、周方向Dcから見てL字状に形成されている。第1側壁293は、「第3壁部」の一例である。
【0082】
第2側壁294は、周方向Dcにおける天井壁291の周方向Dcp側の端部からタービン翼環70の外周面70oに向けて延びている。第2側壁294は、天井壁291と空取り込み口72との間の空間Sの少なくとも一部を周方向Dcpから覆っている。第2側壁294は、周方向Dcから見てL字状に形成されている。第2側壁294は、「第3壁部」の別の一例である。
【0083】
図13は、本開示の第2実施形態に係るL字管290を分解して示す斜視図である。
また別の観点では、図13に示すように、L字管290は、エルボ管295と、着脱管296と、を有する。
【0084】
(エルボ管)
エルボ管295は、円筒部295aと、接続部295bとを有する。円筒部295aは、径方向Drに延びる管である。
【0085】
円筒部295aの径方向内側Driの端部は、開口している。円筒部295aの径方向外側Droの端部は、閉塞されている。円筒部295aは、空気取り込み口72に挿入されている。円筒部295aは、例えば空気取り込み口72にねじ込まれた状態で、タービン翼環70に対して全周溶接されている。円筒部295aの軸線上流側Dauの側面のうち、径方向外側Droの端部には、接続部295bが設けられている。
【0086】
接続部295bは、軸線方向Daに延びる筒状に形成されている。接続部295bの外形は、四角形筒状に形成され、接続部295bの内周面は、軸線方向Daから見て円形状に形成されている。接続部295bは、円筒部295aと連通している。接続部295bは、軸線上流側Dauに向けて開口している。この接続部295bの軸線上流側Dauの開口部を、エルボ開口部295cとする。
【0087】
着脱管296は、エルボ管295のエルボ開口部295cに接続されている。着脱管296は、大径管296aと、オリフィス部296bと、を有する。
【0088】
大径管296aは、エルボ管29から軸線上流側Dau位置に配置される。大径管296aは、軸線方向Daに延びる円筒状に形成されている。大径管296aの軸線方向Daの両端部は、それぞれ開口している。大径管296aの開口部のうち軸線上流側Dauの開口部が、上述したL字管290の開口部290cである。
【0089】
オリフィス部296bは、大径管296aの軸線下流側Dadの端部に設けられている。オリフィス部296bは、軸線方向Daに延びる円筒状に形成されている。オリフィス部296bの中心軸線は、大径管296aの中心軸線と一致している。
【0090】
オリフィス部296bの外径寸法は、大径管296aの外径寸法よりも小さく、オリフィス部296bの内径寸法は、大径管296aの内径寸法よりも小さい。すなわち、オリフィス部296bの内径は、L字管290の軸線上流側Dauの開口部290cの内径よりも小さくなっている。オリフィス部296bは、大径管296aに挿入されているかのように形成されている。オリフィス部296bは、大径管296aと一体形成されている。
【0091】
オリフィス部296bは、エルボ管295のエルボ開口部295cに挿入されている。オリフィス部296bの外周面には、不図示の平行ねじ山が形成されている。エルボ管295の接続部295bの内周面には、不図示の平行ねじ溝が形成されている。オリフィス部296bは、例えばエルボ開口部295cにねじ込まれた状態で、エルボ管295に対して点溶接されている。
【0092】
また、オリフィス部296bは、L字管290の他の部分よりも流路面積が小さくなるように形成されている。本実施形態では、オリフィス部296bは、L字管290のオリフィス部296b以外の部分全てよりも、流路面積が小さくなるように形成されている。
【0093】
また、オリフィス部296bは、L字管の他の部分に対して着脱可能に設けられている本実施形態では、オリフィス部296bは、エルボ管295に対して点溶接されている。このため、オリフィス部296bがエルボ管295に対して全周溶接される場合と比較して、オリフィス部296bをエルボ管295に対して容易に着脱することができる。これにより、オリフィス部296bは、エルボ管295に対して十分に着脱可能となっている。
【0094】
(作用効果)
次に、L字管290の作用効果について説明する。
図14は、L字管290の作用を示す断面図である。
本実施形態では、タービン翼環70の外周側にL字管290が設けられている。L字管290は、タービン翼環70の外周側から空気取り込み口72の少なくとも一部を覆う天井壁291と、天井壁291と空気取り込み口72との間の空間Sを軸線下流側Dadから覆う後壁292とを有する。このため、ガスタービン車室15の後壁63に沿って流れた圧縮空気Acは、そのまま空気取り込み口72に流入するのではなく、L字管290に対して径方向外側Droに位置する空間を、軸線下流側Dadから軸線上流側Dauに向けて流れた後、90度を超える角度(例えば約180度)でターンして空気取り込み口72に流入する(図14中の矢印A4参照)。この過程で、圧縮空気Acに含まれる異物M(例えば錆やごみ)は、当該異物Mが持つ慣性力によって、空気取り込み口72よりも軸線上流側Dauに流れる。このため、圧縮空気Acに含まれる異物Mが空気取り込み口72に入りにくくなる。その結果、第2衝突板223の第2空気孔223hや、第2衝突板223と分割環45cからなる構造体に、異物Mが詰まることが抑制される。
【0095】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、ダストセパレータ90は、連結構造CSによってタービン翼環70に取り付けられる部品に限らず、タービン翼環70と一体に鋳造されることで設けられてもよい。ダストセパレータ90の第1側壁93及び第2側壁94は、省略されてもよい。ただし、ダストセパレータ90が第1側壁93及び第2側壁94を有すると、異物が静翼46aに入ることをさらに抑制することができる。ダストセパレータ90は、傾斜部96を有しなくてもよい。翼環アッセンブリWSは、遮蔽カバー150を有しなくてもよい。
【0096】
また、例えば、L字管290では、着脱管296にオリフィス部296bが設けられている場合に限られず、エルボ管295にオリフィス部296bの機能を持たせてもよい。
【0097】
<付記>
実施形態に記載の翼環アッセンブリWS、ガスタービン10、ガスタービン10の改修方法は、例えば以下のように把握される。
【0098】
(1)第1態様に係る翼環アッセンブリWSは、軸線Arを中心とする周方向Dcに延びたタービン翼環70と、タービン翼環70の内周側に配置された冷却対象部品(静翼46a1、第2衝突板223、分割環45c)と、タービン翼環70の外周側に配置された外周側部品(ダストセパレータ90、L字管290)と、を備える。タービン翼環70は、当該タービン翼環70の外周面70oから内周面70iに通じる冷却媒体取り込み口(空気取り込み口72)を有する。外周側カバーは、タービン翼環70の外周側から冷却媒体取り込み口の少なくとも一部を覆うとともに、冷却媒体取り込み口よりも、軸線Arが延びる軸線方向Daにおける両側のうち軸線下流側Dadまで延びた第1壁部(天井壁91、天井壁291)と、前記第1壁部の軸線下流側Dadの端部からタービン翼環70の外周面70oに向けて延び、第1壁部と冷却媒体取り込み口との間の空間Sの少なくとも一部を軸線下流側Dadから覆う第2壁部(後壁92、後壁292)と、を有する。
【0099】
このような構成によれば、翼環アッセンブリWSが配置されるガスタービン車室15内の冷却媒体の流れを利用し、異物に作用する慣性力によって、異物と冷却媒体とを分離することができる。これにより、異物が冷却対象部品内に流入することを抑制することができる。すなわち、本発明者らは、収容室C内の圧縮空気Acの流れを解析した結果、タービン翼環70の冷却媒体取り込み口の周囲では、軸線下流側Dadから軸線上流側Dauに向かう圧縮空気Acの渦流れ(Counter Vortex)が存在することを見出した。上述した第1態様の構成は、上記渦流れを利用することで、比較的単純な形状の外周側部品によって異物と冷却媒体とを効率的に分離するものである。
【0100】
(2)第2態様に係る翼環アッセンブリWSは、(1)の翼環アッセンブリWSであって、外周側部品は、周方向Dcにおける第1壁部の端部からタービン翼環70の外周面70oに向けて延び、空間Sの少なくとも一部を周方向Dcから覆う第3壁部(第1側壁93、第1側壁293)をさらに有する。
【0101】
このような構成によれば、外周側カバーの内側に周方向Dcから入り込む冷却媒体の流れを抑制することができる。これにより、異物と冷却媒体とをより高い確率で分離することができ、異物が冷却対象部品内に流入することをさらに抑制することができる。
【0102】
(3)第3態様に係る翼環アッセンブリWSは、(1)又は(2)の翼環アッセンブリWSであって、外周側部品は、タービン翼環70の外周側に配置された外周側カバー(ダストセパレータ90)であってもよい。
【0103】
このような構成によれば、比較的単純な形状の外周側カバーによって異物と冷却媒体とを効率的に分離することができる。
【0104】
(4)第4態様に係る翼環アッセンブリWSは、(3)の翼環アッセンブリWSであって、タービン翼環70は、軸線方向Daにおける両側のうち軸線上流側Dauに向けて突出した第1突出部73aと、周方向Dcにおいて第1突出部73aとは異なる位置に設けられ、軸線上流側Dauに向けて突出した第2突出部73bと、をさらに有する。冷却媒体取り込み口は、周方向Dcにおいて第1突出部73aと第2突出部73bとの間に位置する。外周側カバーは、第1突出部73aと第2突出部73bとの間の領域を跨ぐように配置されている。
【0105】
このような構成によれば、第1突出部73aと第2突出部73bとの間の領域を跨ぐことで、軸線上流側Dauに比較的大きく延びた第1壁部を設けることができる。これにより、異物と冷却媒体とをより高い確率で分離することができる。これにより、異物が冷却対象部品内に流入することをさらに抑制することができる。
【0106】
(5)第5態様に係る翼環アッセンブリWSは、(4)の翼環アッセンブリWSであって、第1突出部73a及び第2突出部73bは、缶型燃焼器(燃焼器30)の尾筒32が固定される固定部品(燃焼器接続部材80)と接続可能な接続部(結合穴73hを含む端面73u)を有する。
【0107】
このような構成によれば、固定部品と接続される接続部が設けられる第1突出部73a及び第2突出部73bを利用して、軸線上流側Dauに比較的大きく延びた第1壁部を設けることができる。これにより、特別な突出部を追加して設けることなく、異物と冷却媒体とをより高い確率で分離することができ、異物が冷却対象部品内に流入することをさらに抑制することができる。
【0108】
(6)第6態様に係る翼環アッセンブリWSは、(3)から(6)のうちいずれか1つの翼環アッセンブリWSであって、タービン翼環70と外周側カバーは、同じ材料で形成されていてもよい。このような構成によれば、タービン翼環70と外周側カバーとの間に作用するタービン翼環70の熱膨張の影響を小さくすることができる。これにより、タービン翼環70と外周側カバーとの固定部に不具合が生じることを抑制し、翼環アッセンブリWSの寿命を長くすることができる。
【0109】
(7)第7態様に係る翼環アッセンブリWSは、(3)から(6)のうちいずれか1つの翼環アッセンブリWSであって、外周側カバーをタービン翼環70に取り外し可能に連結する連結構造CSをさらに備えてもよい。ここで、例えば、外周側カバーをタービン翼環70に直接に溶接によって固定すると、タービン翼環70の熱膨張によりタービン翼環70と外周側カバーとの間の溶接部にクラックが入る可能性がある。一方で、上述したような連結構造CSを用いた固定方式によれば、タービン翼環70と外周側カバーとの間の溶接部にクラックが生じることを抑制することができる。これにより、翼環アッセンブリWSの寿命を長くすることができる。
【0110】
(8)第8態様に係る翼環アッセンブリWSは、(3)から(7)のうちいずれか1つの翼環アッセンブリWSであって、タービン翼環70の内周側に配置され、タービン翼環70の径方向Drで冷却媒体取り込み口と重なり、冷却媒体取り込み口を通じてタービン翼環70の外周側に取り外し可能な取外可能部材(シール部材85)をさらに備える。外周側カバーは、径方向Drで取外可能部材重ならない領域に配置される。
【0111】
このような構成によれば、外周側カバーを設けても、冷却媒体取り込み口を通じて取外可能部材を外周側に取り外すことができる。これにより、翼環アッセンブリWSに関する組立作業性を維持又は向上させつつ、異物が冷却対象部品内に流入することを抑制することができる。
【0112】
(9)第9態様に係る翼環アッセンブリWSは、(3)から(7)のうちいずれか1つの翼環アッセンブリWSであって、タービン翼環70の内周側に配置され、タービン翼環70の径方向Drで冷却媒体取り込み口と重なり、冷却媒体取り込み口を通じてタービン翼環70の外周側に取り外し可能な取外可能部材(シール部材85)をさらに備える。外周側カバーは、径方向Drで取外可能部材と重なる領域に切り欠き部95を有する。
【0113】
このような構成によれば、外周側カバーを設けても、冷却媒体取り込み口を通じて取外可能部材を外周側に取り外すことができる。これにより、翼環アッセンブリWSに関する組立作業性を維持又は向上させつつ、異物が冷却対象部品内に流入することを抑制することができる。
【0114】
(10)第10態様に係る翼環アッセンブリWSは、(3)から(9)のうちいずれか1つの翼環アッセンブリWSであって、第1壁部の少なくとも一部は、軸線上流側Dauに向けて進むに従いタービン翼環70の外周面70oから離れる方向に傾いた傾斜部96を有する。
【0115】
このような構成によれば、第1壁部の近くを通過する圧縮空気Acの流れ方向を冷却媒体取り込み口から離れる方向に変えることができる。これにより、慣性力が作用する異物は、冷却媒体取り込み口にさらに入りにくくなる。その結果、異物が冷却対象部品内に流入することをさらに抑制することができる。
【0116】
(11)第11態様に係る翼環アッセンブリWSは、(1)から(10)のうちいずれか1つの翼環アッセンブリWSであって、冷却対象部品は、タービン翼環の内周側に配置された静翼46a1である。
【0117】
ここで、静翼46a1は、ある一定以上の体積があり、ガスタービン10の性能への影響が他の部分よりも大きい。本態様の構成によれば、静翼46a1内に異物が流入することを抑制することができるので、静翼46a1を効率良く冷却し、ガスタービン10の性能低下をより一層抑制することができる。
【0118】
(12)第12態様に係る翼環アッセンブリWSは、(11)の翼環アッセンブリWSであって、静翼46a1は、燃焼ガス流路49内に配置されて翼形を成す翼体110と、翼体110の外周側の端に設けられ、第1空間S1を持つ外側シュラウド120と、翼体110の内周側の端に設けられ、第2空間S2を持つ内側シュラウド130と、外側シュラウド120から翼体110を通り内側シュラウド130に延びた冷却媒体通路(空気通路140)と、内側シュラウド130に取り付けられ、第2空間S2の少なくとも一部を内周側から覆う内周側カバー(遮蔽カバー150)と、を有する。
【0119】
このような構成によれば、内周側から静翼46a1の内部に冷却媒体が流入することが抑制される。静翼46a1の内部には、外周側カバーによって異物が分離された冷却媒体が多く供給される。これにより、異物が静翼46a1内に流入することをさらに抑制することができる。
【0120】
(13)第13態様に係る翼環アッセンブリWSは、(1)又は(2)の翼環アッセンブリWSであって、外周側部品は、L字状に形成されたL字管290である。L字管290は、冷却媒体取り込み口からタービン翼環70の径方向Drに延びる第1管部290aと、第1管部290aのタービン翼環70とは反対側の端部から軸線下流側Dadとは反対側に延びる第2管部290bと、を有する。第2管部290bは、第1管部290aと連通するとともに、第1管部290aとは反対側に開口部290cを有する。
【0121】
このような構成によれば、比較的単純な形状のL字管290によって異物と冷却媒体とを効率的に分離することができる。
【0122】
(14)第14態様に係る翼環アッセンブリWSは、(13)の翼環アッセンブリWSであって、第2管部290bは、第1管部290aから軸線方向Daにおける両側のうち軸線上流側Dauに向けて延び、開口部290cは、軸線上流側Dauに向けて開口している。
【0123】
このような構成によれば、異物がL字管290内に流入することをより一層抑制することができる。これにより、異物と冷却媒体とをより一層効率的に分離することができる。
【0124】
(15)第15態様に係る翼環アッセンブリWSは、(13)又は(14)の翼環アッセンブリWSであって、L字管290は、L字管290の他の部分よりも流路面積の小さいオリフィス部296bを有する。
【0125】
このような構成によれば、オリフィス部296bで冷却対象部品に流れ込む冷却媒体の流量を適切に調整することができる。これにより、冷却対象部品を効率良く冷却することができる。
【0126】
(16)第16態様に係る翼環アッセンブリWSは、(15)の翼環アッセンブリWSであって、オリフィス部296bは、L字管290の他の部分に対して着脱可能に設けられている。
【0127】
このような構成によれば、オリフィス部296bを容易に交換することができる。これにより、オリフィス部296bの内径の変更が容易となる。
【0128】
(17)第17態様に係る翼環アッセンブリWSは、(16)の翼環アッセンブリWSであって、オリフィス部296bの内径は、開口部290cの内径よりも小さい。
【0129】
このような構成によれば、オリフィス部296bよりも軸線上流側Dauに位置する開口部290cが、オリフィス部296bの内径よりも大きくなる。これにより、冷却媒体が開口部290cからL字管290内部に流入する際に、冷却媒体の流速が速くなることを抑制することができる。このため、異物がL字管290内部に吸い込まれることを抑制することができる。
【0130】
(18)第18態様に係る翼環アッセンブリWSは、(13)から(17)のうちいずれかの翼環アッセンブリWSであって、タービン翼環70とL字管290は、同じ材料で形成されている。このような構成によれば、タービン翼環70とL字管290との間に作用するタービン翼環70の熱膨張の影響を小さくすることができる。これにより、タービン翼環70とL字管290との固定部に不具合が生じることを抑制し、翼環アッセンブリWSの寿命を長くすることができる。
【0131】
(19)第19態様に係るガスタービン10は、(1)から(18)のうちいずれか1つの翼環アッセンブリWSと、軸線Arを中心として回転可能なロータ(ガスタービンロータ11)と、ロータの外周側を覆うケーシング(ガスタービン車室15)と、燃料の燃焼により前記燃焼ガスを生成し、ケーシング内に前記燃焼ガスを送る缶型燃焼器(燃焼器30)と、を備える。翼環アッセンブリWSは、ケーシングの内周側に配置されている。ケーシングは、翼環アッセンブリWSが露出して冷却媒体が流れる収容室Cを規定する壁部の一部として、冷却媒体取り込み口よりも軸線下流側Dadに設けられてタービン翼環70の径方向Drに延びた隔壁を有する。このような構成によれば、ガスタービン10において、慣性力を用いて異物と冷却媒体とを分離することができ、異物が冷却対象部品内に流入することを抑制することができる。
【0132】
(20)第20態様に係るガスタービン10は、(19)のガスタービン10であって、翼環アッセンブリWSに含まれる冷却対象部品は、軸線方向Daにおける1段目のタービン静翼を成す。ここで、1段目のタービン静翼は、2段目以降のタービン静翼と比較して、燃焼ガスGの熱の受け温度が上昇しやすく、ガスタービン10の性能への影響が大きい。本態様の構成によれば、1段目のタービン静翼内に異物が流入することを抑制することができるので、1段目のタービン静翼を効率良く冷却し、ガスタービン10の性能低下をより一層抑制することができる。
【0133】
(21)第21態様に係るガスタービン10の改修方法は、タービン翼環70と、タービン翼環70の内周側に配置された静翼46a1と、を有したガスタービン10の改修方法であって、タービン翼環70から静翼46a1を取り外す工程と、タービン静翼に遮蔽カバー150を取り付ける工程と、異物分離用カバー(ダストセパレータ90)が取り付けられているタービン翼環70に、遮蔽カバー150が取り付けられた静翼46a1を取り付ける工程と、を含む。タービン静翼は、燃焼ガス流路49内に配置されて翼形を成す翼体110と、翼体110の内周側の端に設けられて空間(第2空間S2)を持つ内側シュラウド130と、を有する。内側シュラウド130に遮蔽カバー150を取り付けることで、遮蔽カバー150によって内側シュラウド130の空間の少なくとも一部が内周側から覆われる。タービン翼環70は、当該タービン翼環70の外周面70oから内周面70iに通じる冷却媒体取り込み口(空気取り込み口72)を有し、異物分離用カバーは、タービン翼環70の外周側に配置され、冷却媒体取り込み口の少なくとも一部を覆っている。
【0134】
このような構成によれば、内周側から静翼46a1の内部に冷却媒体が流入することが抑制される。静翼46a1の内部には、外周側カバーによって異物が分離された冷却媒体が多く供給される。これにより、異物が静翼46a1内に流入することをさらに抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0135】
本開示の翼環アッセンブリ、ガスタービン、及びガスタービンの改修方法によれば、異物が例えば静翼等の冷却対象部品内に流入することを抑制することができる。
【0136】
10…ガスタービン
11…ガスタービンロータ
15…ガスタービン車室
20…圧縮機
30…燃焼器
41…タービンロータ
45…タービン車室
46a1…静翼
61…前壁
62…周壁
63…後壁
70…タービン翼環
70o…外周面
70i…内周面
72…空気取り込み
73a…第1突出部
73b…第2突出部
73h…結合穴
80…燃焼器接続部材
81…枠体部
82…フランジ
90…ダストセパレータ
91…天井壁
92…後壁
93…第1側壁
94…第2側壁
95…切り欠き部
96…傾斜部
110…翼体
120…外側シュラウド
130…内側シュラウド
140…空気通路
150…遮蔽カバー
WS…翼環アッセンブリ
223…第2衝突板
223h…第2空気孔
290…L字管
290a…第1管部
290b…第2管部
290c…開口部
291…天井壁
292…後壁
293…第1側壁
294…第2側壁
295…エルボ管
295a…円筒部
295b…接続部
296…着脱管
296a…大径管
296b…オリフィス部
S1…第1空間
S2…第2空間
S3…第3空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14