(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】光学式タッチセンサ
(51)【国際特許分類】
G06F 3/042 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
G06F3/042 483
(21)【出願番号】P 2023519843
(86)(22)【出願日】2021-09-28
(86)【国際出願番号】 US2021052370
(87)【国際公開番号】W WO2022072331
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-06-19
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522229134
【氏名又は名称】ネオノード インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】ホルムグレン ステファン ヨハネス
【審査官】亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-513375(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106886342(CN,A)
【文献】特表2016-528584(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0138158(US,A1)
【文献】特開2015-072632(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1308098(KR,B1)
【文献】特開2012-208914(JP,A)
【文献】中国実用新案第202257517(CN,U)
【文献】特表2010-525485(JP,A)
【文献】特開2006-171854(JP,A)
【文献】特表2005-507520(JP,A)
【文献】特開平05-119909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/03 - 3/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物体の位置を検出するための光学式センサであって、
長方形状の検出領域の2つの対向する縁部に沿って配置された複数のレンズと、
前記複数のレンズの下方に取り付けられた回路基板と、
前記長方形状の検出領域の前記2つの対向する縁部のうちの特定の1つの縁部に沿って前記回路基板上に取り付けられた複数の光エミッタと、
前記長方形状の検出領域の前記特定の1つの縁部に対向する方の縁部に沿って前記回路基板に取り付けられた複数の光検出器と、
前記複数の光検出器からの出力を受信するプロセッサと、
を備え、
各光エミッタは、起動される時、前記複数のレンズのそれぞれの1つを通して光ビームを投射するように動作可能であって、当該複数のレンズは、各光エミッタから投射される光ビームを、前記長方形状の検出領域を横切って、前記特定の1つの縁部に対向する方の前記縁部に沿って配置された前記複数のレンズのそれぞれに向けられる、複数の発散光ビームに分割するように構成されており、
向けられる発散光ビームの各々の光強度が、当該向けられる発散光ビームの中心に沿って最大化されており、
向けられる発散光ビームの各々の内部の光強度分布が、知られており、
前記複数のレンズは、当該複数のレンズによって異なる幅の光ビームが前記長方形状の検出領域を横切るように向けられるように設計されており、
各光検出器は、前記長方形状の検出領域を横切って、前記特定の1つの縁部に対向する方の前記縁部に沿って配置された前記複数のレンズのそれぞれの1つを通して向けられる前記発散光ビームを受容するようになっており、
前記プロセッサは、前記知られている向けられる発散光ビームの各々の内部の光強度分布と、受信された前記出力と、に基づいて、前記長方形状の検出領域内の物体の位置を計算するようになっている
ことを特徴とする光学式センサ。
【請求項2】
前記複数の光エミッタは、前記複数の光検出器に対して、シフトされた状態で整列されている
ことを特徴とする請求項1に記載の光学式センサ。
【請求項3】
前記複数のレンズは、前記長方形状の検出領域のコーナー部の近くに配置された前記複数のレンズの一部が、前記複数のレンズの他部によって前記長方形状の検出領域を横切るように向けられる光ビームよりも狭い光ビームを前記長方形状の検出領域を横切るように向ける、というように設計されている
ことを特徴とする請求項
1に記載の光学式センサ。
【請求項4】
前記長方形状の検出領域のコーナー部の近くに配置された前記複数のレンズの一部は、前記複数のレンズの他部よりも、小さい
ことを特徴とする請求項
1に記載の光学式センサ。
【請求項5】
複数の物体の位置を検出するための光学式センサであって、
長方形状の検出領域の2つの対向する縁部に沿って配置された複数のレンズと、
前記複数のレンズの下方に取り付けられた回路基板と、
前記長方形状の検出領域の前記2つの対向する縁部のうちの特定の1つの縁部に沿って前記回路基板上に取り付けられた複数の光エミッタと、
前記長方形状の検出領域の前記特定の1つの縁部に対向する方の縁部に沿って前記回路基板に取り付けられた複数の光検出器と、
前記複数の光検出器からの出力を受信するプロセッサと、
を備え、
各光エミッタは、起動される時、前記複数のレンズのそれぞれの1つを通して光ビームを投射するように動作可能であって、当該複数のレンズは、各光エミッタから投射される光ビームを、前記長方形状の検出領域を横切って、前記特定の1つの縁部に対向する方の前記縁部に沿って配置された前記複数のレンズのそれぞれに向けられる、複数の発散光ビームに分割するように構成されており、
向けられる発散光ビームの各々の光強度が、当該向けられる発散光ビームの中心に沿って最大化されており、
向けられる発散光ビームの各々の内部の光強度分布が、知られており、
各光検出器は、前記長方形状の検出領域を横切って、前記特定の1つの縁部に対向する方の前記縁部に沿って配置された前記複数のレンズのそれぞれの1つを通して向けられる前記発散光ビームを受容するようになっており、
前記プロセッサは、前記知られている向けられる発散光ビームの各々の内部の光強度分布と、受信された前記出力と、に基づいて、前記長方形状の検出領域内の物体の位置を計算するようになっており、
前記長方形状の検出領域のコーナー部の近くに配置された前記複数のレンズの一部は、前記複数のレンズの他部よりも、前記複数の光エミッタのそれぞれの1つからの光ビームをより少ない数の発散光ビームに分割する、というように設計されている
ことを特徴とする
光学式センサ。
【請求項6】
複数の物体の位置を検出するための光学式センサであって、
長方形状の検出領域の2つの対向する縁部に沿って配置された複数のレンズと、
前記複数のレンズの下方に取り付けられた回路基板と、
前記長方形状の検出領域の前記2つの対向する縁部のうちの特定の1つの縁部に沿って前記回路基板上に取り付けられた複数の光エミッタと、
前記長方形状の検出領域の前記特定の1つの縁部に対向する方の縁部に沿って前記回路基板に取り付けられた複数の光検出器と、
前記複数の光検出器からの出力を受信するプロセッサと、
を備え、
各光エミッタは、起動される時、前記複数のレンズのそれぞれの1つを通して光ビームを投射するように動作可能であって、当該複数のレンズは、各光エミッタから投射される光ビームを、前記長方形状の検出領域を横切って、前記特定の1つの縁部に対向する方の前記縁部に沿って配置された前記複数のレンズのそれぞれに向けられる、複数の発散光ビームに分割するように構成されており、
向けられる発散光ビームの各々の光強度が、当該向けられる発散光ビームの中心に沿って最大化されており、
向けられる発散光ビームの各々の内部の光強度分布が、知られており、
各光検出器は、前記長方形状の検出領域を横切って、前記特定の1つの縁部に対向する方の前記縁部に沿って配置された前記複数のレンズのそれぞれの1つを通して向けられる前記発散光ビームを受容するようになっており、
前記プロセッサは、前記知られている向けられる発散光ビームの各々の内部の光強度分布と、受信された前記出力と、に基づいて、前記長方形状の検出領域内の物体の位置を計算するようになっており、
前記複数のレンズは、前記複数の発散光ビームを扇状の形状に広げ、
各扇状の形状は、頂角を有し、
前記長方形状の検出領域のコーナー部の近くに配置された前記複数のレンズの一部は、前記複数のレンズの他部によって生成される光ビームの扇状の形状の頂角よりも小さい頂角を有するように、光ビームの扇形の形状を生成する
ことを特徴とする
光学式センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は、タッチスクリーンであり、特には光学式タッチスクリーンである。
【背景技術】
【0002】
図1が参照される。
図1は、第1の従来技術の光学式タッチスクリーンの簡略図であり、「LIGHT-BASED TOUCH SCREEN WITH SHIFT-ALIGNED EMITTER AND RECEIVER LENSES」と題されて本発明の譲受人に譲渡された米国特許第9,471,170号に記載されている。このタッチスクリーン900は、レンズアレイ300~303によって取り囲まれている。エミッタ100~121が、タッチスクリーンの2つの隣接する縁部に沿って配置されており、検出器200~223が、残りの2つの縁部に沿って配置されている。タッチスクリーンの縁部に沿ったエミッタは、タッチスクリーンの反対側の縁部に沿った検出器に対して、シフトされた状態で整列されている。レンズ300及び301は、各エミッタからの光を広げて、2つの対向する検出器に到達するように構成されており、レンズ302及び303は、各検出器が2つの対向するエミッタから光を受け取るように構成されている。
【0003】
図1は、水平光ビーム400~407及び垂直光ビーム408~421を示しており、各ビームは、それぞれのエミッタから発して、2つの検出器に到達する。各エミッタは、プロセッサ901によって、対応する検出器と同期して活性化(アクティブ化)される。プロセッサ901はまた、検出器の出力を記憶し、これらの出力に基づいてタッチ位置を計算する。
【0004】
図2が参照される。
図2は、第2の従来技術の光学式タッチスクリーンの簡略図であり、「OPTICAL TOUCH SCREENS」と題されて本発明の譲受人に譲渡された米国特許第9,063,614号に記載されている。このタッチスクリーン902は、レンズアレイ304~307によって取り囲まれている。エミッタ122~174が、タッチスクリーンの2つの隣接する縁部に沿って配置されており、検出器224~278が、残りの2つの縁部に沿って配置されている。
図1のレンズ300及び301とは対照的に、レンズ305及び306は、各エミッタからの光を広げて、多数の検出器に到達するように構成されている。同様に、レンズ304及び307は、各検出器が多数のエミッタから光を受け取るように構成されている(例えば1ダイオードあたり±8チャンネル)。
図2は、検出される光ビーム422~474の密なメッシュを示している。各エミッタは、プロセッサ903によって、対応する検出器と同期して活性化(アクティブ化)される。プロセッサ903はまた、検出器の出力を記憶し、これらの出力に基づいてタッチ位置を計算する。
【0005】
図1に示されたタッチスクリーンシステムは、タッチ検出に良好な信号レベルを提供する比較的狭い光チャネルを備えている。更に、各光ビームは、ビームの幅に亘る信号勾配を提供するように整形されている。これらの信号勾配が、異なるエミッタ-検出器の対によって検出される遮蔽光の量を比較することによって、遮蔽物体がビーム内のどこに位置しているのかを正確に特定することを可能にする。従って、当該システムは、各光チャネルから優れた情報を提供する。また、当該システムは、コンポーネント間の大きなピッチ(pで示される)で良好に機能する(例えば、pは、15mm~18mmの間である)。ただし、当該システムは、水平光ビームと同様に、垂直光ビームがほぼ平行であるため、ゴーストタッチの抑制については、最適ではない。
【0006】
図3が参照される。
図3は、ゴーストタッチ問題の簡略図である。ブロック化されたビーム(検出用)725~728が、位置910~913のいずれがタッチ物体を含むのか、に関して、曖昧さを生み出す。この場合、実際の物体は、位置910と位置911とにある。
【0007】
ゴーストタッチ問題は、
図1のタッチスクリーンに存在する。対照的に、
図2に示されるタッチスクリーンシステムは、水平光ビーム及び垂直光ビームについて異なる角度範囲、例えば±20°、を提供する。これは、システムがゴーストタッチを良好に抑制することを可能にする。当該システムは、p≒12.5mm等、わずかに多くのコンポーネントで最適に機能するが、これは当該システムをより高価にする。エミッタビームの角度がより広いと、エミッタ-検出器の各対の信号レベルがより低くなり、更に、エミッタ-検出器の各光チャネルが、
図1のシステムのようにビームの幅を横切る信号勾配を特徴としないため、タッチ位置の計算の正確性が悪くなる。
図2のタッチスクリーンシステムは、また、より多くの光チャネルを備えており、全てのエミッタ-検出器のチャネルを活性化(アクティブ化)して検出信号を記憶及び処理するという点で、よりコストがかかる。
【0008】
以下の表は、
図1及び
図2に示されたシステムの特徴を纏めている。
【0009】
「OPTICAL TOUCH SCREEN WITH TRI-DIRECTIONAL MICRO-LENSES」と題された、US 2012/0188206 A1(「‘206公開公報」)は、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第13/424,472号の公開公報である。‘206公開は、各エミッタビームが3つの別個のビームに分割される光学式タッチスクリーンについて論じており、特に‘206公開公報の
図83、
図89、
図90、
図98及び
図99を参照している。各エミッタビームが3つの別個のビームに分割される光学式タッチスクリーンの動機付けは、特に‘206公開公報の
図83、
図89、
図90、
図98及び
図99を参照して、以下の通りである。
図1の光学式タッチスクリーンにおいて、ゴーストタッチ問題、すなわち、不十分な位置データに基づく複数のタッチを一意に(単一解に)特定しようとする問題、を解決するには、より多くの情報が必要とされる。‘206公開公報で提案されている解決策は、より多くの検出チャネル、すなわち、より多くの光ビームのグリッドを提供することである。グリッドがより異なれば、情報コンテンツがより良好となる。従って、既存のグリッドに対して45度傾いたグリッドを追加すると、多くのチャネルを追加しなくても、ほとんどの情報が得られる。
【0010】
しかしながら、追加の45度のグリッドは、検出器のフォトダイオード(PD)がスクリーンの4つの縁部の全てに沿って配置されることを要求し、従って、タッチスクリーンの2つの縁部にLEDがあってタッチスクリーンの反対側の縁部に沿ってPDがある
図1の構成は、使用されることができない。これは、スクリーンの縁部に沿って、LEDとPDとが交互に配置される構成を導く。
【0011】
この時、スクリーンの4つの縁部のうちの2つにハーフレンズを使用するか、あるいは、全ての縁部に標準のレンズのみを使用するか、の選択がなされる。すなわち、スクリーンの対向する縁部に沿ったレンズが整列されるか、あるいは、
図1のようにシフト状態で整列されるか、の選択がなされる。特に米国特許第9,471,170号で論じられているように、シフト状態で整列される構成には利点がある。しかしながら、追加の45度のチャネルを考慮すると、シフト状態で整列される構成は複雑である。従って、追加の45度のチャネルを考慮して、整列される構成が要求される。
【0012】
スクリーンの反対側の縁部にレンズが整列される構成は、スクリーンの反対側の縁部にLEDコンポーネント及びPDコンポーネントも同様に整列されることを意味する。ただし、各LEDが、別のLEDの反対側にあるのか、PDの反対側にあるのか、が決定される必要がある。各LEDからの中央ビームが、スクリーンを横切る時に広がって、スクリーンの反対側の縁部に沿って3つのコンポーネントに到達すると仮定すると、各LEDが別のLEDの反対側にある場合、1つのLEDからの当該中央ビームは、2つのPDに到達する。ただし、これは、中央において悪情報の問題を引き起こす。なぜなら、当該中央ビームの中央は、PDではなくLEDに向けられるからである。他方、各LEDがPDの反対側にある場合、チャネルは、LEDからPDまで真っ直ぐであり、3つの反対側のコンポーネントに広がる中央ビームは、1つのPD(及び当該PDの両側にある2つのLED)のみに到達する。この場合、チャネルのオーバーラップが無いため、幾つかの信号(チャネル)の補間を使用する可能性が、大幅に限定される。オーバーラップするチャネルを補間することの利点は、特に米国特許第9,471,170号に説明されている。‘206公開公報の段落[0332]に示されているように、各LEDをPDの反対側に整列して重複するチャネルを特徴としない構成は、比較的大きな物体のために使用され得る。
【0013】
オーバーラップするチャネルを提供する方法は、‘206公開公報の段落[0333]で説明されている。すなわち、小さなファセットを使用して異なる光チャネルにインターリーブして、3方向パターンの均一な分布を得る。多くの小さなファセットが、光を幾つかの方向に広げて隣接するビームにインターリーブすることによって、信号を希釈する。更に、‘206公開公報の段落[0333]で説明されているシステムは、米国特許第9,471,170号で説明されているシステムよりも、ピッチ幅に関して柔軟性が低い。なぜなら、‘206公開公報のシステムは、スクリーンの両側で等数のピッチを要求するからである。信号は、焦点距離とピッチとによって整形され、良好な情報は存在するが、ほとんど調整されることはできず、‘206公開公報の
図94及び
図95と同様である。
【0014】
本発明は、従来技術の欠点に対処する。本発明の他の利点が、以下の説明から明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0015】
本発明の一実施形態によれば、複数の物体の位置を検出するための光学式センサが提供される。当該光学式センサは、長方形状の検出領域の2つの対向する縁部に沿って配置された複数のレンズと、前記複数のレンズの下方に取り付けられた回路基板と、前記長方形状の検出領域の前記2つの対向する縁部のうちの特定の1つの縁部に沿って前記回路基板上に取り付けられた複数の光エミッタと、前記長方形状の検出領域の前記特定の1つの縁部に対向する方の縁部に沿って前記回路基板に取り付けられた複数の光検出器と、前記複数の光検出器からの出力を受信するプロセッサと、を備え、各光エミッタは、起動される時、前記複数のレンズのそれぞれの1つを通して光ビームを投射するように動作可能であって、当該複数のレンズは、各光エミッタから投射される光ビームを、前記長方形状の検出領域を横切って、前記特定の1つの縁部に対向する方の前記縁部に沿って配置された前記複数のレンズのそれぞれに向けられる、複数の発散光ビームに分割するように構成されており、向けられる発散光ビームの各々の光強度が、当該向けられる発散光ビームの中心に沿って最大化されており、向けられる発散光ビームの各々の内部の光強度分布が、知られており、各光検出器は、前記長方形状の検出領域を横切って、前記特定の1つの縁部に対向する方の前記縁部に沿って配置された前記複数のレンズのそれぞれの1つを通して向けられる前記発散光ビームを受容するようになっており、前記プロセッサは、前記知られている向けられる発散光ビームの各々の内部の光強度分布と、受信された前記出力と、に基づいて、前記長方形状の検出領域内の物体の位置を計算するようになっている。
【0016】
本発明の実施形態の更なる特徴によれば、前記複数の光エミッタは、前記複数の光検出器に対して、シフトされた状態で整列される。
【0017】
本発明の実施形態の更なる特徴によれば、前記複数のレンズは、当該複数のレンズによって異なる幅の光ビームが前記長方形状の検出領域を横切るように向けられるように設計される。
【0018】
本発明の実施形態の更なる特徴によれば、前記複数のレンズは、前記長方形状の検出領域のコーナー部の近くに配置された前記複数のレンズの一部が、前記複数のレンズの他部によって前記長方形状の検出領域を横切るように向けられる光ビームよりも狭い光ビームを前記長方形状の検出領域を横切るように向ける、というように設計される。
【0019】
本発明の実施形態の更なる特徴によれば、前記長方形状の検出領域のコーナー部の近くに配置された前記複数のレンズの一部は、前記複数のレンズの他部よりも、小さい。
【0020】
本発明の実施形態の更なる特徴によれば、前記長方形状の検出領域のコーナー部の近くに配置された前記複数のレンズの一部は、前記複数のレンズの他部よりも、前記複数の光エミッタのそれぞれの1つからの光ビームをより少ない数の発散光ビームに分割する、というように設計される。
【0021】
本発明の実施形態の更なる特徴によれば、前記複数のレンズは、前記複数の発散光ビームを扇状の形状に広げ、各扇状の形状は、頂角を有し、前記長方形状の検出領域のコーナー部の近くに配置された前記複数のレンズの一部は、前記複数のレンズの他部によって生成される光ビームの扇状の形状の頂角よりも小さい頂角を有するように、光ビームの扇形の形状を生成する。
【0022】
本発明は、以下の詳細な説明を図面と併せて読むことにより、より完全に理解され、認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、第1の従来技術の光学式タッチスクリーンの概略図である。
【0024】
【
図2】
図2は、第2の従来技術の光学式タッチスクリーンの概略図である。
【0025】
【0026】
【
図4】
図4は、本発明に従う、
図1の光学式タッチスクリーンにおいて光学信号に基づいてタッチ位置を計算する原理の概略図である。
【0027】
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態に従う、1つのエミッタからの光が3つの光学チャネルに分割される様子を示す概略図である。
【0028】
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態に従う、1つのエミッタからの光が2つの光学チャネルに分割される様子を示す概略図である。
【0029】
【
図7】
図7は、本発明の幾つかの実施形態に従う、実際のタッチをゴーストタッチから区別する様子を示す概略図である。
【0030】
【
図8】
図8は、本発明の幾つかの実施形態に従う、1つのレンズによって生成され得る5つの異なるビームを示す概略図である。
【0031】
【
図9】
図9乃至
図12は、本発明の一実施形態に従う、光学式センサ内で用いられるレンズを示す概略図である。
【
図10】
図9乃至
図12は、本発明の一実施形態に従う、光学式センサ内で用いられるレンズを示す概略図である。
【
図11】
図9乃至
図12は、本発明の一実施形態に従う、光学式センサ内で用いられるレンズを示す概略図である。
【
図12】
図9乃至
図12は、本発明の一実施形態に従う、光学式センサ内で用いられるレンズを示す概略図である。
【0032】
【
図13】
図13は、本発明の一実施形態に従う、光学式タッチスクリーン検出領域を示す概略図である。
【0033】
【
図14】
図14乃至
図16は、本発明の一実施形態に従う、光学式タッチスクリーン内の部分的に重複する中央光ビームの概略図である。
【
図15】
図14乃至
図16は、本発明の一実施形態に従う、光学式タッチスクリーン内の部分的に重複する中央光ビームの概略図である。
【
図16】
図14乃至
図16は、本発明の一実施形態に従う、光学式タッチスクリーン内の部分的に重複する中央光ビームの概略図である。
【0034】
【
図17】
図17乃至
図19は、本発明の一実施形態に従う、光学式タッチスクリーン内の部分的に重複する左寄り光ビームの概略図である。
【
図18】
図17乃至
図19は、本発明の一実施形態に従う、光学式タッチスクリーン内の部分的に重複する左寄り光ビームの概略図である。
【
図19】
図17乃至
図19は、本発明の一実施形態に従う、光学式タッチスクリーン内の部分的に重複する左寄り光ビームの概略図である。
【0035】
【
図20】
図20乃至
図22は、本発明の一実施形態に従う、光学式タッチスクリーン内の部分的に重複する右寄り光ビームの概略図である。
【
図21】
図20乃至
図22は、本発明の一実施形態に従う、光学式タッチスクリーン内の部分的に重複する右寄り光ビームの概略図である。
【
図22】
図20乃至
図22は、本発明の一実施形態に従う、光学式タッチスクリーン内の部分的に重複する右寄り光ビームの概略図である。
【0036】
【
図23】
図23及び
図24は、本発明の一実施形態に従う、
図14乃至
図22のビームを特徴とするタッチスクリーンの様々な部分において、タッチ検出のために提供される重複する光ビームの数を示す概略図である。
【
図24】
図23及び
図24は、本発明の一実施形態に従う、
図14乃至
図22のビームを特徴とするタッチスクリーンの様々な部分において、タッチ検出のために提供される重複する光ビームの数を示す概略図である。
【0037】
【
図25】
図25乃至
図27は、本発明の一実施形態に従う、光学式タッチスクリーン内の部分的に重複する更なる左寄り光ビームの概略図である。
【
図26】
図25乃至
図27は、本発明の一実施形態に従う、光学式タッチスクリーン内の部分的に重複する更なる左寄り光ビームの概略図である。
【
図27】
図25乃至
図27は、本発明の一実施形態に従う、光学式タッチスクリーン内の部分的に重複する更なる左寄り光ビームの概略図である。
【0038】
【
図28】
図28及び
図29は、本発明の一実施形態に従う、光学式タッチスクリーン内の部分的に重複する更なる右寄り光ビームの概略図である。
【
図29】
図28及び
図29は、本発明の一実施形態に従う、光学式タッチスクリーン内の部分的に重複する更なる右寄り光ビームの概略図である。
【0039】
【0040】
【
図32】
図32は、本発明の一実施形態に従う、スクリーンを交差する外側ビーム及び内側ビームのための異なる光学系を有する光学式タッチスクリーンを示す概略図である。
【0041】
【
図33A】
図33Aは、本発明の一実施形態に従う、光学式タッチスクリーン内の異なるスクリーンセクションを示すマップである。当該異なるセクションは、異なる数の重複する検出チャネルを有する。
【0042】
【0043】
【
図34】
図34は、本発明の一実施形態に従う、そのレンズが各エミッタビームを3つではなく2つの発散ビームに分割するように構成されているタッチスクリーンの様々な部分において、タッチ検出のために提供される重複する光ビームの数を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本開示及び図面では、以下の符号付けスキームが使用される。同一の符号の要素は、類似してはいるが、必ずしも同一ではない。
【0045】
以下の表は、
図1及び
図2に示された従来技術のタッチスクリーンの特徴との関連で、本発明によるタッチスクリーンの所定の特徴を纏めている。
【0046】
図4が参照される。
図4は、本発明に従う、
図1の光学式タッチスクリーンにおいて、光学信号に基づいてタッチ位置を計算する原理の概略図である。
図4は、タッチスクリーンの実施形態における信号勾配を示している。エミッタ109が、隣接する検出器221、222によって検出される、検出領域900を横切る垂直光ビーム409を投射する。具体的には、ビーム部分475が検出器222によって検出され、ビーム部分476が検出器221によって検出される。ビーム部分475は、エミッタ109のレンズから検出器222のレンズまで延びる平行四辺形として示されており、ビーム部分476は、エミッタ109のレンズから検出器221のレンズまで延びる平行四辺形として示されている。ビーム部分475、476内の破線は、各ビーム部分の中心を示している。検出(検出領域)709、708によって表されるように、最大強度がビームの中心に沿っていて、強度勾配がビームの縁部に向かって減少する、というように、レンズ301がビーム409を整形している。レンズ303は、レンズ301と同様であり、入射光を検出器上に集める。ある物体が、ビーム部分475の一部が検出器222に到達するのを阻止し、且つ、ビーム部分476の一部が検出器221に到達するのを阻止する時、ビーム409の幅に沿った当該物体の位置が、検出器221、222での検出を比較することによって決定される。両検出が等しい場合、当該物体はビームの中心軸に沿っており、両検出が等しくない場合、それらの比率が、当該物体がビームの中心に対して片側にどれだけシフトしているかを示す。
【0047】
図4はまた、検出器219が2つのエミッタ111、112から光を受け取る様子を示している。具体的には、エミッタ111からのビームの部分477、及び、エミッタ112からのビームの部分478が、検出器219に到達している。ビーム部分477、478が重複する(重なり合う)ため、当該システムは、エミッタ-検出器の対111~219による検出をエミッタ-検出器の対112~219による検出と比較することによって、当該重複の幅に沿ってどこに物体が位置決めされているかを決定する。
【0048】
図4は、エミッタ117~119から検出器211~214への垂直ビーム417~419を示している。これらのビームの重複検出部分479は、検出領域900内に配置された物体が、少なくとも2つのエミッタ-検出器の対、すなわち、{(e,d),(e,d+1)}または{(e,d),(e+1,d)}によって検出されることを示している。ここで、eとe+1は、2つの隣接するエミッタであり、dとd+1は、2つの隣接する検出器である。前述されたように、重複する検出と整形された光ビームとが、信号勾配を提供し、これが、幾つかの(複数の)エミッタ-検出器の対による単一物体の検出の大きさを比較することによって、スクリーンに接触する物体またはこれら光ビームの面に入る物体の位置の正確な計算を可能にする。これらの検出を比較する1つの方法は、補間による方法である。エミッタ-検出器の対の同期起動は、プロセッサ903によって制御される。プロセッサ903はまた、検出器の出力を記憶し、それらの出力に基づいて検出物体の位置を計算する。
【0049】
図4は、検出領域900の2つの縁部に沿ったエミッタレンズが、検出領域900の反対側の縁部に沿った検出器レンズと、シフトされた状態で整列されている様子を示し、2つの反対側の検出器によって検出される各エミッタからのビームは、当該エミッタの反対側から+/-0.5レンズピッチだけオフセットされた検出器によって検出されるように表示されている。本発明によれば、各エミッタからの光は、検出器の追加の対によって検出される幾つかのビームに分割され、ゴーストタッチ抑制のための追加の検出チャネル及びより多くの(より広い)角度を提供する。
【0050】
従って、本発明の特定の実施形態では、第1の追加ビームが、エミッタの反対側から1.5レンズピッチ及び2.5レンズピッチだけオフセットされた、検出領域の反対側の縁部に沿った検出器に向けられ、第2の追加ビームが、エミッタの反対側から-1.5レンズピッチ及び-2.5レンズピッチだけオフセットされた、検出領域の反対側の縁部に沿った検出器に向けられる。これらの追加ビームは、
図17乃至
図22に示されている。3セットのビームの全て、すなわち、エミッタの反対側から+/-0.5レンズピッチだけオフセットされた検出器に向けられる最初のビームと、2つの追加ビームと、が提供される時、6セットの検出チャネルが提供される。これが、
図23及び
図24に示されている。
【0051】
本発明の他の実施形態では、異なる追加ビームが使用されて、ゴーストタッチ抑制のために、より広い範囲の角度が提供される。すなわち、第1の追加ビームが、エミッタの反対側から3.5レンズピッチ及び4.5レンズピッチだけオフセットされた隣接する検出器に向けられ、第2の追加ビームが、エミッタの反対側から-3.5レンズピッチ及び-4.5レンズピッチだけオフセットされた検出器に向けられる。これらの追加ビームは、
図25乃至
図29に示されている。これらのビームが、エミッタから+/-0.5レンズピッチだけオフセットされた検出器に向けられる最初のビームと共に提供される時、
図30及び
図31に示されるように、6セットの検出チャネルが提供される。本発明の更に別の実施形態は、
図25乃至
図29に示されるように、より大きなエミッタ-検出器のオフセットを有する追加のビームを提供し得るし、また、
図32及び
図33に示されるように、検出領域の縁部の近くでより小さなエミッタ-検出器のオフセットを有する追加のビームを提供し得る。
【0052】
図5が参照される。
図5は、本発明の一実施形態に従う、1つのエミッタからの光が3つの光学チャネルに分割される様子を示す概略図である。
図5は、各エミッタビームを3つの別個の発散ビーム484~486に分割することを示しており、各別個のビームは、
図4に関して前述されたように勾配付きで整形されており、別個のビームの各々の中心に沿って最も高い強度があり、当該光強度はビームの中心から外側に向かって減少されている。これらの分割されて整形されるビームは、レンズ309によって形成され、同様のレンズ311が、検出器において、各検出器上の3方向の各々にビームを差し向けるべく、設けられている。ビーム484~486の各々は、2つの検出器に到達する。具体的には、ビーム484は、検出器214、215に到達し、ビーム485は、検出器212、213に到達し、ビーム486は、検出器210、211に到達する。従って、ビーム484、485間の最小角度、及び、ビーム485、486間の最小角度は、
である。ここで、pは、隣接するコンポーネント間のピッチであり、Lは、エミッタ列と反対側の検出器列との間の距離である。
【0053】
図5は、各ビームが3つの別個の整形ビームに分割されることを示しているが、本発明の他の実施形態では、各ビームは2つのみの別個の整形ビームに分割されて、各別個のビームにより多くの光量を提供する。
【0054】
図6が参照される。
図6は、エミッタ118からの光が2つの別個のビーム484、485に分割される様子を示しており、各別個のビームは、
図4及び
図5に関して前述されたように勾配付きで整形されており、別個のビームの各々の中心に沿って最も高い強度があり、当該光強度はビームの中心から外側に向かって減少されている。これらの分割されて整形されるビームは、レンズ309によって形成され、同様のレンズ311が、検出器において、各検出器上の2方向の各々にビームを差し向けるべく、設けられている。ビーム484、485の各々は、2つの検出器に到達する。具体的には、ビーム484は、検出器213、214に到達し、ビーム485は、検出器211、212に到達する。従って、ビーム484、485間の最小角度は、
である。ここで、pは、隣接するコンポーネント間のピッチであり、Lは、エミッタ列と反対側の検出器列との間の距離である。
【0055】
ビーム484、485は、両方とも、エミッタ118によって投射される。レンズ309が、これら2つのビームを分割して整形し、それらをレンズ311を介して検出器211~214に向ける。検出器211~214での検出が、傾斜曲線711~714によって示されている。各ビームの最大強度は、その中心に沿っており、各曲線711~714の最大値がビーム中心の近傍にあって、外側に向かって減少していることが示されている。
【0056】
図7が参照される。
図7は、本発明の幾つかの実施形態に従う、実際のタッチをゴーストタッチから区別する様子を示す概略図である。
図7は、検出領域904における2つのタッチを示し、
図6に示されるように各エミッタごとに2つの発散ビームを有するシステムにおいて、
図6の遮蔽された左傾斜のビーム484によって示される4つの候補タッチ点の位置が、
図6の遮蔽された右傾斜のビーム485によって示される4つの候補タッチ点の位置とは僅かに異なる、ということを示している。矢印931が、右傾斜の垂直ビーム及び水平ビームの方向を示し、矢印932が、左傾斜の垂直ビーム及び水平ビームの方向を示している。右傾斜のビームは、可能性あるタッチ位置910、911、912’、913’を示し、左傾斜のビームは、可能性あるタッチ位置910、911、912”、913”を示している。従って、実際の物体が存在する位置910、911は、両方のセットのビームについて同一であるが、ゴースト位置912、913は同じではない。従って、ビームの異なるセットによって示されるタッチ位置を比較することによって、ビームの異なるセットについて同一である位置が実際のタッチ位置であり、ビームの異なるセットについて同一でない位置はタッチ位置はない、ということが判定(決定)される。換言すれば、全てのビームからのタッチ検出を組み合わせることにより、ビームの異なるセットによる検出が特定の位置に集中している場合、当該位置が実際のタッチ位置であり、ビームの異なるセットからの組み合わせ検出がより拡散している位置は、タッチ位置ではない、と判定(決定)される。各エミッタビームを3つの発散ビームに分割することは、ゴーストタッチ問題に対してより堅牢な解決策を提供する。また、以下で説明されるように、発散ビーム間の角度がより大きければ、ゴーストタッチの除去がより堅牢(確実)になる。
【0057】
このように、各エミッタからの光を2つまたは3つのビームに分割することにより、異なる角度のビームが提供され、これは、
図1のタッチスクリーンでは解決できない多くのゴーストタッチ状況を解決する。また、分割されたビームが、多くの異なる重複ビームとして表示領域の大部分をカバーするため、タッチ位置を計算するためにより良好な解像度と精度とを提供する。
【0058】
図8が参照される。
図8は、本発明の幾つかの実施形態に従う、1つのレンズによって生成され得る5つの異なるビームを示す概略図である。
図8は、1つのレンズによってエミッタ118から生成され得る5つの異なるビーム487~491を示している。前述のように、5つのビームの各々は、中心に沿って最大強度を有し、且つ、中心線から離れるにつれて強度が減少するように、整形される。このビーム形状は、物体が遮蔽する光量に基づいて、ビームの幅内のどこに物体が位置しているか、を識別することを可能にする。各ビームは、検出領域の反対側の縁部にある一対の検出器に向けられる。本発明の特定の実施形態では、各レンズは、これら5つのビームのうちの3つを生成する。以下で説明される特定の実施形態では、検出領域904のコーナー部からより遠いレンズは、大きな角度で分離されたビームを提供するために、中央ビーム489と2つの外側ビーム487、491を生成するが、一方で、検出領域904のコーナー部に近いレンズは、3つの内側ビーム488~490を生成するように構成されている(外側ビーム487または491は、検出領域904の外側に向けられてしまって、反対側の縁部上の検出器に到達しないからである)。
【0059】
図9乃至
図12が参照される。
図9乃至
図12は、本発明の一実施形態に従う光学センサで使用されるレンズの概略図である。
図9は、レンズ構造309~312によって取り囲まれた検出領域904を有するタッチスクリーンと、その断面と、を示す。
【0060】
図10は、
図9のタッチスクリーンのレンズ構造309を示す。このレンズ構造309は、一連の光エミッタの上方に取り付けられ、各エミッタからの光を3つの別個のビームに分割する。
図10は、焦点合わせレンズ324、325と、光を別個のビームに分割するレンズ327、328と、を示している。
【0061】
図11は、焦点合わせレンズ325の1つと、光を3つの別個のビームに分割する3つの矢印によって示された反復する3ファセットパターンを有するレンズ327の関連部分と、を示している。エミッタごとに3つではなく2つのビームで構成されたセンサでは、レンズ327は、2つの発散ビームを作成するために2方向の反復する鋸歯状のファセットパターンを有する。
【0062】
図12は、タッチ検出領域のコーナー部の近くのレンズ構造309の一部分(セクション)を示す。この部分(セクション)は、焦点合わせレンズ324と、光を分割するための関連するレンズ328と、を含む。このレンズ328は、検出領域のコーナー部に近いため、最も右側のビームが検出領域の反対側の縁部にある検出器に到達するように光を向けるように構成され、幾つかの実施形態では、この部分(セクション)は、光を他の部分(セクション)より少ない数のビームに分割する。特定の実施形態では、レンズのこの部分(セクション)は、他の部分(セクション)よりも小さく、他の部分(セクション)よりも集中した光ビームを生成するように構成される。なぜなら、スクリーンの縁部が他のスクリーン部分(セクション)よりも少ない重複ビームによってカバーされるからである。
【0063】
図13が参照される。
図13は、本発明の一実施形態に従う、光学式タッチスクリーン検出領域を示す概略図である。
図13は、本発明の一実施形態に従う、検出領域904を取り囲むレンズ308~311のフレームを示す。レンズアレイ308内の各レンズが、エミッタ100~107のそれぞれ1つからのビームを検出領域904を横切るように差し向ける。レンズアレイ310内の各レンズが、入射光を検出器200~208のそれぞれ1つに指し向ける。検出器200~208の数は、エミッタ及び検出器がシフトされた状態で整列されているので、反対側のエミッタ100~107の数よりも多い。これは、7個のフルレンズと当該アレイ310の両端における2個のハーフレンズとを特徴として有するレンズアレイ310から明らかである。レンズアレイ308は、8個のフルレンズを特徴として有する。レンズアレイ309の各レンズが、エミッタ108~121のそれぞれ1つからの光ビームを検出領域904を横切るように差し向ける。レンズアレイ311内の各レンズまたは両端のハーフレンズが、入射光を検出器209~223のそれぞれ1つに指し向ける。検出器209~223の数は、エミッタ及び検出器がシフトされた状態で整列されているので、対向するエミッタ108~121の数よりも多い。これは、13個のフルレンズと当該アレイ311の両端における2個のハーフレンズとを特徴として有するレンズアレイ311から明らかである。レンズアレイ309は、14個のフルレンズを特徴として有する。
図5及び
図6を参照して前述されたように、各エミッタからの光は、複数の別個の整形ビームに分割され、各ビームは、検出領域904の反対側の縁部に沿った2つの隣接する検出器に到達する。エミッタと検出器との対が、1つのエミッタから反対側の1つの検出器に到達する光ビームの一部を参照する。以下の図は、これらの部分を示し、本発明の幾つかの実施形態に従って検出情報を提供する様々なエミッタ-検出器の対を示す。
【0064】
図14乃至
図16が参照される。
図14乃至
図16は、本発明の一実施形態に従う、光学式タッチスクリーン内の部分的に重複する中央光ビームの概略図である。
図14は、ビーム部分の第1セット500~513、すなわち、各エミッタからの中央ビームの左側部分、を示す。これらのビーム部分は、エミッタ-検出器による検出チャネルの第1セットを提供する。
【0065】
図15は、ビーム部分の第2セット514~527、すなわち、各エミッタからの中央ビームの右側部分、を示す。これらのビーム部分は、エミッタ-検出器による検出チャネルの第2セットを提供する。
【0066】
図16は、
図14及び
図15に示されるビーム部分500~527による検出領域904のカバー範囲(適用範囲)を示す。
図16は、検出領域904の外側縁部の2つの狭い三角形部分(三角形セクション)を除いて、検出領域904の大部分が2つのビーム部分すなわち2つの検出チャネルによってカバーされることを示している。狭い三角形部分は、1つの検出チャネルによってのみカバーされる。同様のカバー範囲マップが、エミッタ100~107から検出器200~208に移行する水平ビームにも存在する。
【0067】
図17乃至
図19が参照される。
図17乃至
図19は、本発明の一実施形態に従う、光学式タッチスクリーン内の部分的に重複する左寄り光ビームの概略図である。
図17は、ビーム部分の第3セット528~539、すなわち、各エミッタからの左寄りビームの左側部分、を示す。これらのビーム部分は、エミッタ-検出器による検出チャネルの第3セットを提供する。
【0068】
図18は、ビーム部分の第4セット540~551、すなわち、各エミッタからの左寄りビームの右側部分、を示す。これらのビーム部分は、エミッタ-検出器による検出チャネルの第4セットを提供する。
【0069】
図19は、
図17及び
図18に示される左寄りビームすなわちビーム部分528~551による検出領域904の追加のカバー範囲(適用範囲)を示す。
図19は、左寄りビーム528の外側左縁部に沿った第1の狭い三角形部分(三角形セクション)と左寄りビーム551の外側右縁部に沿ったより広い三角形部分(三角形セクション)とを除いて、検出領域904の大部分が2つのビーム部分すなわち2つの検出チャネルによってカバーされることを示している。それらの三角形部分は、1つの検出チャネルによってのみカバーされる。
図19は、これらの左寄りビームによってカバーされない検出領域904の外縁部の2つの三角形部分(三角形セクション)をも示している。同様のカバー範囲マップが、エミッタ100~107から検出器200~208に移行する水平ビームにも存在する。
図19は、例示された検出チャネル528~551を提供する際にアクティブである一連のエミッタ921及び一連の検出器920を示している。
【0070】
図20乃至
図22が参照される。
図20乃至
図22は、本発明の一実施形態に従う、光学式タッチスクリーン内の部分的に重複する右寄り光ビームの概略図である。
図20は、ビーム部分の第5セット563~574、すなわち、各エミッタからの右寄りビームの左側部分、を示す。これらのビーム部分は、エミッタ-検出器による検出チャネルの第5セットを提供する。
【0071】
図21は、ビーム部分の第6セット575~586、すなわち、各エミッタからの右寄りビームの右側部分、を示す。これらのビーム部分は、エミッタ-検出器による検出チャネルの第6セットを提供する。
【0072】
図22は、
図20及び
図21に示される右寄りビームすなわちビーム部分563~586による検出領域904の追加のカバー範囲(適用範囲)を示す。
図22は、右寄りビーム586の外側右縁部に沿った第1の狭い三角形部分(三角形セクション)と右寄りビーム563の外側左縁部に沿ったより広い三角形部分(三角形セクション)とを除いて、検出領域904の大部分が2つのビーム部分すなわち2つの検出チャネルによってカバーされることを示している。それらの三角形部分は、1つの検出チャネルによってのみカバーされる。
図22は、これらの右寄りビームによってカバーされない検出領域904の外縁部の2つの三角形部分(三角形セクション)をも示している。同様のカバー範囲マップが、エミッタ100~107から検出器200~208に移行する水平ビームにも存在する。
図22は、例示された検出チャネル563~586を提供する際にアクティブである一連のエミッタ923及び一連の検出器922を示している。
【0073】
図23及び
図24が参照される。
図23及び
図24は、本発明の一実施形態に従う、
図14乃至
図22のビームを特徴とするタッチスクリーンの様々な部分において、タッチ検出のために提供される重複する光ビームの数を示す概略図である。
図23は、
図14乃至
図22を参照して前述された6セットの検出チャネルの全てが組み合わされる時の検出領域904のカバー範囲を示す。検出領域904の中央部分は、検出ビームの6セット全てからの複数の検出信号、すなわち中央ビーム、左寄りビーム及び右寄りビーム、によってカバーされる。もっとも、
図23は、3セットまたは4セットのみの検出信号によってカバーされる検出領域904の縁部の近くの領域、及び、1セットまたは2セットのみの検出信号によってカバーされる領域、をも示している。
【0074】
図24は、
図23に示される実施形態において、検出領域904の様々な部分をカバーする検出チャネルの数を示している。検出チャネルの数は、1~6の間で変化する。同様の検出チャネルのマップが、エミッタ100~107から検出器200~208までの水平ビームに適用される。
【0075】
図25乃至
図27が参照される。
図25乃至
図27は、本発明の一実施形態に従う、光学式タッチスクリーン内の部分的に重複する更なる左寄り光ビームの概略図である。
図25は、各エミッタと、当該エミッタの反対側から4.5レンズピッチだけオフセットされたそれぞれ1つの検出器と、の間の検出チャネルを示す。
図26は、各エミッタと、当該エミッタの反対側から3.5レンズピッチだけオフセットされたそれぞれ1つの検出器と、の間の検出チャネルを示す。
図27は、これら2つの検出チャネルによってカバーされる組み合わせ領域を示す。
図27は、例示された検出チャネル600~619を提供する際にアクティブである一連のエミッタ925及び一連の検出器924を示す。
【0076】
図28及び
図29が参照される。
図28及び
図29は、本発明の一実施形態に従う、光学式タッチスクリーン内の部分的に重複する更なる右寄り光ビームの概略図である。
図28は、各エミッタと、当該エミッタの反対側から-3.5レンズピッチだけオフセットされたそれぞれ1つの検出器と、の間の検出チャネルを示す。
図29は、各エミッタと、当該エミッタの反対側から-4.5レンズピッチだけオフセットされたそれぞれ1つの検出器と、の間の検出チャネルを示す。
【0077】
図30及び
図31が参照される。
図30及び
図31は、本発明の一実施形態に従う、
図4、
図14、
図15、
図25乃至
図29のビームを特徴とするタッチスクリーンの様々な部分において、タッチ検出のために提供される重複する光ビームの数を示す概略図である。
図30及び
図31は、
図4、
図14、
図15、
図25乃至
図29に示されるビームを利用する検出領域の様々な部分をカバーするチャネルの数を示す。
図30及び
図31は、検出領域の外側部分が、検出領域の中央部分よりも少ない検出チャネルを有することを示している。
図30及び
図31は、例示された検出チャネル600~619を提供する際にアクティブである一連のエミッタ925、927及び一連の検出器924、926を示す。
【0078】
図32及び
図33が参照される。
図32及び
図33は、本発明の一実施形態に従う、スクリーンを交差する外側ビーム及び内側ビームのために異なる光学系を有する光学式タッチスクリーンを示す概略図である。
図32は、
図5のビーム484、486と同様のビームによって検出領域の外縁に沿って提供される検出チャネルを示す。これらのビームを
図30及び
図31に示されたシステムに追加すると、検出領域の外縁に関連する部分に追加の検出チャネルが提供される。
【0079】
図33A及び
図33Bは、
図32に示される追加のビーム及びチャネルが検出領域の縁部に沿って提供される時の、
図30及び
図31のシステムの検出チャネルのカバー範囲の2つの図である。
図33Aは、色分けされており、
図33Bは、テキスト(文字)と矢印とを使用しており、タッチスクリーンの各部分(各セクション)の検出チャネルの数を示している。
図33A及び
図33Bは、検出領域の一部が最大9個の検出チャネルを有することを示している。レンズ及びエミッタ-検出器の起動シーケンスを変更することにより、更に大きなエミッタ-検出器のオフセットを有する追加のビームが当該光学センサに追加され得る。そのようなシステムもまた、本発明の範囲内である。
【0080】
前述されたように、各エミッタからの光を追加のビームに分割することは、精度を向上させ、ゴーストタッチのより良好な区別を可能にする。
図34が参照される。
図34は、本発明の一実施形態に従う、そのレンズが各エミッタビームを3つではなく2つの発散ビームに分割するように構成されているタッチスクリーンの様々な部分において、タッチ検出のために提供される重複する光ビームの数を示す概略図である。
図34は、各エミッタからの光が4つのビーム、すなわち、
図6の2つのビーム484、485とビーム484の左側の1つのビームとビーム485の右側の1つのビームとに分割される時の、タッチスクリーンの各部分をカバーするビームの数すなわち検出チャネルの数を示している。
【0081】
タッチスクリーンの縁部は、当該スクリーンの中央よりもビームまたは検出チャネルが少ない。更に、スクリーンの縁部に沿って使用され得るチャネルが少ないことにより、コーナー部の近くのエミッタからの光は、より少ない部分がタッチ検出に使用される。従って、本発明の特定の実施形態では、スクリーンの縁部に沿ってスクリーンを横切る光チャネルがより広く整形され、これにより、スクリーンの中央のチャネルよりも多くの信号強度を含む。これは、スクリーンのコーナー部の近くのレンズが他のレンズよりも長く、光チャネルが他の光チャネルよりもコーナー部の近くの縁部のより大きな部分(セグメント)を横切って広がっていることを要求する。タッチ位置の計算に関しては、各ビームにその中心線に基づいて座標が割り当てられ、信号が遮断された量に応じて、これらの座標の全ての加重合計が計算される。従って、縁部のビームにも座標が割り当てられ、他のビームと同様に加重平均に加算される。スクリーンの縁部の近くでのより大きなレンズとより広いビームとの結果として、スクリーンの縁部の近くのビームの中心線とその隣接するビームとの間の距離が、他の隣接するビームの中心線の間の距離よりも大きくなる。
【0082】
前述の明細書において、本発明は、その特定の例示的な実施形態を参照して説明された。もっとも、本発明のより広い精神及び範囲から逸脱することなく、特定の例示的な実施形態に対して様々な修正及び変更がなされ得ることが明らかであろう。従って、本明細書及び図面は、限定的な意味ではなく、例示的な意味であると見なされるべきである。