(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】シート材加工ユニットおよび位置合わせ状態の評価方法
(51)【国際特許分類】
B26F 1/00 20060101AFI20241108BHJP
B26D 5/30 20060101ALI20241108BHJP
B23Q 17/24 20060101ALI20241108BHJP
G05B 19/404 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
B26F1/00 A
B26D5/30 A
B23Q17/24 C
G05B19/404 H
(21)【出願番号】P 2023521414
(86)(22)【出願日】2021-10-01
(86)【国際出願番号】 EP2021077072
(87)【国際公開番号】W WO2022073861
(87)【国際公開日】2022-04-14
【審査請求日】2023-04-06
(32)【優先日】2020-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512159605
【氏名又は名称】ボブスト メックス ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Bobst Mex SA
【住所又は居所原語表記】Route de Faraz 3,CH-1031 MEX(VD),Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】ピロー フランシス
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン トーマス
(72)【発明者】
【氏名】フォコンノー オリヴィエ
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-081497(JP,A)
【文献】特開2008-293841(JP,A)
【文献】特開2010-023307(JP,A)
【文献】特開平08-234452(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0042929(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26F 1/00 - 3/16
B26D 5/00 - 5/42
B23Q 17/00 - 23/00
G05B 19/404
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装のための紙シート材、厚紙シート材またはプラスチックシート材を加工するシート材加工ユニット(10)であって、
フレーム(12)、上方ツール(18)および下方ツール(14)を有し、前記上方ツール(18)と前記下方ツール(14)は、シート材(26)を加工するために相互作用するよう構成され、前記上方ツール(18)および前記下方ツール(14)は、前記上方ツール(18)と前記下方ツール(14)を互いに対しかつ加工されるべき前記シート材(26)に対して位置合わせするためのそれぞれ対応の上方位置合わせユニット(20)および下方位置合わせユニット(16)を介して前記フレーム(12)に取り付けられ、前記上方ツール(18)は、第1の開口部(28)を有し、
カメラユニット(40)を有し、前記カメラユニットは、前記カメラユニットが前記上方ツール(18)と前記下方ツール(14)を位置合わせするために前記第1の開口部(28)を有する前記上方ツール(18)の一部分および前記第1の開口部(28)の
下に位置する前記下方ツール(14)の一部分を同時に捕捉することができるよう配置され、
捕捉されるべき
前記上方ツール(18)の前記部分および前記下方ツール(14)の前記部分を照明するための少なくとも1つの光源(44a,44b,44c,44d)を含む第1の組をなす光源を有し、
捕捉されるべき
前記上方ツール(18)の前記部分および前記下方ツール(14)の前記部分を照明するための少なくとも1つの光源(44a,44b,44c,44d)を含む第2の組をなす光源を有し、
前記光源の第1の組と前記光源の第2の組は、互いに別々でありかつ捕捉されるべき
前記上方ツール(18)の前記部分および前記下方ツール(14)の前記部分を次々に照明するよう構成されている、シート材加工ユニット(10)。
【請求項2】
第1のマーカ(32)が前記第1の開口部(28)の
下に位置する前記下方ツール(14)の前記部分に設けられている、請求項1記載のシート材加工ユニット(10)。
【請求項3】
前記カメラユニット(40)は、前記カメラユニット(40)が前記上方ツール(18)の幅方向に沿って変位可能であるように直線駆動ユニット(42)を介して前記フレーム(12)上に可動的に支持される、請求項1または2記載のシート材加工ユニット(10)。
【請求項4】
第2の開口部(30)が前記第1の開口部(28)を有する前記上方ツール(18)に設けられ、前記カメラユニット(40)が前記第2の開口部(30)を有する前記上方ツール(18)の一部分および前記第2の開口部(30)の
下に位置する前記下方ツール(14)の一部分を同時に捕捉することができるよう前記カメラユニット(40)を前記直線駆動ユニット(42)で動かすことができる、請求項3記載のシート材加工ユニット(10)。
【請求項5】
第2のマーカ(34)が前記第2の開口部(30)の
下に位置する前記下方ツール(14)の前記部分に設けられている、請求項4記載のシート材加工ユニット(10)。
【請求項6】
較正マーカ(36)が、前記上方ツール(18)または前記上方ツール(18)が取り付けられている対応のツールホルダ上に位置決めされ、前記較正マーカ(36)は、前記カメラユニット(40)によって検出可能であり、特に、前記較正マーカ(36)の一表面は、光を拡散的に反射する材料で作られている、請求項1~5のうちいずれか一に記載のシート材加工ユニット(10)。
【請求項7】
前記較正マーカ(36)は、既定のレイアウトに従って配置された複数のマーカ要素(38)を有する、請求項6記載のシート材加工ユニット(10)。
【請求項8】
前記上方ツール(18)は、垂直駆動ユニット(22)に連結され、前記下方ツール(14)は、実質的に前記フレーム(12)内に固定され、前記上方ツール(18)は、前記シート材(26)を加工するために垂直方向(24)に沿って前記下方ツール(14)に対して動くことができるようになっている、請求項1~7のうちいずれか一に記載のシート材加工ユニット(10)。
【請求項9】
前記光源の第1の組は、単一の光源(44a,44b,44c,44d)から成り、前記光源の第2の組は、単一の光源(44a,44b,44c,44d)から成る、請求項1~8のうちいずれか一に記載のシート材加工ユニット(10)。
【請求項10】
請求項1~9のうちいずれか一に記載のシート材加工ユニット(10)の前記上方ツール(18)と前記下方ツール(14)の相互位置合わせ状態を評価する方法であって、
a)前記カメラユニット(40)が前記第1の開口部(28)を有する前記上方ツール(18)の一部分および前記第1の開口部(28)の
下に位置する前記下方ツール(14)の一部分を同時に捕捉することができるよう前記カメラユニット(40)を位置決めするステップと、
b)少なくとも1つの光源(44a)を有する前記光源の第1の組をアクティブ状態にするが残りの組をなす光源をアクティブ状態にはせず、そして前記第1の開口部(28)を有する前記上方ツール(18)の前記部分および前記第1の開口部(28)の
下に位置しかつ第1のマーカ(32)を有する前記下方ツール(14)の一部分の第1の像を捕捉するステップと、
c)少なくとも1つの光源(44b)を有する前記光源の第2の組をアクティブ状態にするが残りの組をなす光源をアクティブ状態にはせず、そして前記第1の開口部(28)を有する前記上方ツール(18)の前記部分および前記第1の開口部(28)の
下に位置しかつ第1のマーカ(32)を有する前記下方ツール(14)の前記部分の第2の像を捕捉するステップと、
d)前記第1の像および前記第2の像をひとまとめに分析することによって前記第1の開口部(28)の少なくとも2つのエッジ(46a,46b,46c,46d)の位置を識別し、そして前記第1の開口部(28)を有する前記上方ツール(18)の位置を前記少なくとも2つのエッジ(46a,46b,46c,46d)の前記位置から導き出すステップと、
e)前記第1の像および前記第2の像をひとまとめに分析することによって前記第1のマーカ(32)の位置を識別し、そして前記第1のマーカ(32)を有する前記下方ツール(14)の位置を前記第1のマーカ(32)の前記位置から導き出すステップと、
f)前記上方ツール(18)の前記位置と前記下方ツール(14)の前記位置の位置オフセットを算出するステップとを含む、方法。
【請求項11】
請求項1~9のうちいずれか一に記載のシート材加工ユニット(10)の前記上方ツール(18)と前記シート材加工ユニット(10)内に配置されたシート材(26)との位置合わせ状態を評価する方法であって、
a)前記カメラユニット(40)が前記第1の開口部(28)を有する前記上方ツール(18)の一部分および前記第1の開口部(28)の
下に位置する前記シート材(26)の一部分を同時に捕捉することができるよう前記カメラユニット(40)を位置決めするステップと、
b)少なくとも1つの光源(44a)を有する前記光源の第1の組をアクティブ状態にするが残りの組をなす光源をアクティブ状態にはせず、そして前記第1の開口部(28)を有する前記上方ツール(18)の前記部分および前記第1の開口部(28)の
下に位置しかつシート材マーカ(50)を有する前記シート材(26)の一部分の第1の像を捕捉するステップと、
c)少なくとも1つの光源(44b)を有する前記光源の第2の組をアクティブ状態にするが残りの組をなす光源をアクティブ状態にはせず、そして前記第1の開口部(28)を有する前記上方ツール(18)の前記部分および前記第1の開口部(28)の
下に位置しかつ前記シート材マーカ(50)を有する前記シート材(26)の前記部分の第2の像を捕捉するステップと、
d)前記第1の像および前記第2の像をひとまとめに分析することによって前記第1の開口部(28)の少なくとも2つのエッジ(46a,46b,46c,46d)の位置を識別し、そして前記第1の開口部(28)を有する前記上方ツール(18)の位置を前記少なくとも2つのエッジ(46a,46b,46c,46d)の前記位置から導き出すステップと、
e)前記第1の像および前記第2の像をひとまとめに分析することによって前記シート材マーカ(50)の位置を識別し、そして前記シート材(26)の位置を前記シート材マーカ(50)の前記位置から導き出すステップと、
f)前記上方ツール(18)の前記位置と前記シート材(26)の前記位置の位置オフセットを算出するステップとを含む、方法。
【請求項12】
前記方法は、前記上方ツール(18)が前記上方ツールの上方位置にある状態で実施され、前記上方ツール(18)の下方位置と関連した前記上方ツール(18)の位置合わせが較正結果を用いて算出される、請求項10または11記載の方法。
【請求項13】
アクティブ状態では、少なくとも1つの光源(44a)を有する前記光源の第1の組および/または少なくとも1つの光源(44b)を有する前記光源の第2の組は、前記上方ツール(18)および前記下方ツール(14)または前記シート材(26)を照明して前記第1の開口部(28)の少なくとも1つのエッジ(46a,46b,46c,46d)がシャドー(48a,48b,48c,48d)を前記第1の開口部(28)の下に位置する前記部分上に投げるようになっている、請求項10~12のいずれか一に記載の方法。
【請求項14】
第2の開口部(30)が前記上方ツール(18)に設けられ、請求項10~13のうちいずれか一に記載の前記方法は、前記カメラユニット(40)が前記第2の開口部(30)を有する前記上方ツール(18)の一部分および前記第2の開口部(30)の
下に位置する一部分を同時に捕捉することができるよう前記カメラユニット(40)を位置決めした状態で実施される、請求項10~13のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項15】
請求項1~9のうちいずれか一に記載の前記シート材加工ユニット(10)を特にステップa)が実施される前に較正し、前記較正ステップは、
a)前記上方ツール(18)を前記上方ツールの上方位置に動かし、そして前記上方ツール(18)と関連した較正マーカ(36)を前記カメラユニット(40)により捕捉するステップを含み、前記較正マーカ(36)は、既定のレイアウトに従って配置された複数のマーカ要素(38)を有し、
b)前記上方ツール(18)の前記上方位置と関連した水平面内における前記較正マーカ(36)の第1の位置を算出するステップを含み、
c)前記上方ツール(18)を前記上方ツールの中間位置に動かし、そして前記上方ツール(18)と関連した前記較正マーカ(36)を前記カメラユニット(40)により捕捉するステップを含み、
d)前記上方ツール(18)の前記中間位置と関連した水平面内における前記較正マーカ(36)の第2の位置を算出するステップを含み、
e)前記第1の位置と前記第2の位置を結ぶベクトルを含む較正結果を算出するステップを含む、請求項10~14のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項16】
前記上方ツール(18)の前記中間位置は、前記上方ツール(18)の下方位置である、請求項15記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に包装のための紙シート材、厚紙シート材またはプラスチックシート材を加工するシート材加工ユニットに関する。シート材加工ユニットは、フレーム、上方ツールおよび下方ツールを有し、上方ツールと下方ツールは、シート材を加工するために相互作用するよう構成されている。上方ツールおよび下方ツールは、上方ツールと下方ツールを互いに対しかつ加工されるべきシート材に対して位置合わせするためのそれぞれ対応の上方位置合わせユニットおよび下方位置合わせユニットを介してフレームに取り付けられている。上方ツールは、第1の開口部を有する。シート材加工ユニットは、カメラユニットをさらに有し、カメラユニットは、このカメラユニットが上方ツールと下方ツールを位置合わせするために第1の開口部を有する上方ツールの一部分および第1の開口部の後ろに位置する下方ツールの一部分を同時に捕捉することができるよう配置されている。
【0002】
本発明はまた、シート材加工ユニットの上方ツールと下方ツールの相互位置合わせ状態を上述したように評価する方法に関する。
【0003】
加うるに、本発明は、上述した形式のシート材加工ユニット内に配置されたシート材に対するシート材加工ユニットの上方ツールの位置合わせ状態を評価する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
かかるシート材加工ユニットおよび対応の方法が知られている。この技術背景において、シート材加工ユニットは、シート材加工ステーションと呼ばれることもある。例示のシート材加工ユニットまたはステーションは、屑(カス)を裁断または切断シート材から取り除くストリッピング(stripping)ステーションまたはそれぞれのブランクを裁断または切断シート材から取り出すブランキング(blanking)ステーションである。
【0005】
所望の品質の製品を高信頼度で送り出すためには、上方ツールと下方ツールは、互いに対して位置合わせされる必要がある。位置合わせにより、上方ツールと下方ツールが所望の仕方で相互作用するようになる。その結果、適切な位置合わせ形態は、上方ツールと下方ツールが相互作用または相互係合状態にあるときに得られる。上方ツールと下方ツールの相互位置合わせ状態はまた、ツールに対する望ましくない摩耗を回避する。
【0006】
さらに、ツール、すなわち上方ツールおよび下方ツールは、シート材を正確に加工することができるようにするためには、加工されるべきシート材に対して位置合わせされる必要がある。
【0007】
位置合わせは、上方ツールに結合された上方位置合わせユニットおよび下方ツールに結合された下方位置合わせユニットによって行われる。両方の位置合わせユニットは、シート材が加工中に位置する平面に実質的に対応したプロセス平面内におけるそれぞれのツールの位置を調節するよう構成されている。場合によっては、この種の調節は、X方向およびY方向における調節と称される。さらに、位置合わせユニットは、それぞれのツールを回転方向に位置合わせするよう構成され、すなわち、これらツールを既定の間隔の範囲内でZ方向回りに回転させるのがよい。Z方向は、X方向およびY方向に垂直である。Z方向はまた、プロセス平面に垂直である。かかる位置合わせユニットが知られている。
【0008】
位置合わせがシート材の加工開始前に行われる必要があることは自明である。このことは、位置合わせが少なくとも、これらツールのうちの一方を交換したときにかつ/あるいは新たな作業を開始する前に必要であることを意味している。当然のことながら、いわゆる中間位置合わせもまた実施可能であり、すなわち、ツール交換または作業変更に関連しない位置合わせもまた実施可能である。
【0009】
第1の開口部が上方ツールに設けられている。理解されるように、第1の開口部の後ろに位置する下方ツールは、シート材料がシート材加工ユニットからなくなった場合にのみカメラユニットにより捕捉可能である。この形態は、上方ツールと下方ツールを互いに位置合わせするのに適している。シート材がシート材加工ユニット内に、すなわち、上方ツールと下方ツールとの間に存在している場合、カメラユニットは、上方ツールおよびシート材の像を捕捉することができるに過ぎない。この形態は、これらツールを加工されるべきシート材に位置合わせする上で必要である。
【0010】
位置合わせがカメラユニットによって捕捉された像に基づいて行われるので、位置合わせ精度は、像の品質で左右される。像品質は、像を用いて位置合わせ状態を正確に評価するという観点から像が適当であるかどうかということに関連している。像品質としては、シャープネス(鮮鋭度)、解像度および位置合わせマークおよび/またはエッジの視認性が挙げられる。像品質は、ある程度までは、位置合わせを実行するために捕捉されるツールの表面および/またはシート材の表面の光学的性質に依存している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的は、一般に、像品質を高めることによって位置合わせ精度を高めることにある。特に、像を捕捉する際に必要な表面の光学的性質に対する依存性を軽減すべきである。
【0012】
本発明のもう1つの目的は、画像化プロセスの安定性および再現性を向上させ、かくして位置合わせ評価の再現性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題は、上述した形式のシート材加工ユニットであって、捕捉されるべき部分を照明するための少なくとも1つの光源を含む光源の第1の組および捕捉されるべき部分を照明するための少なくとも1つの光源を含む光源の第2の組を有するシート材加工ユニットによって解決される。光源の第1の組と第2の組は、互いに別個であり、かつ捕捉されるべき部分を次々に照明するよう構成されている。光源は、例えばLED(発光ダイオード)である。上方ツールおよび下方ツールの捕捉されるべき部分および/またはシート材を照明することによって、対応の像の品質が高められる。さらに、環境条件からの独立性は、少なくとも照明に関する限りにおいては達成される。その結果として、位置合わせは、高精度で実施できる。捕捉されるべき部分を次々に照明し、すなわち、最初に第1の組をなす光源だけで捕捉されるべき部分を照明し、次に第2の組をなす光源だけで捕捉されるべき部分を照明するために2つの別々の組をなす光源を用いると、像品質をさらに高めることができる。これは、上述の照明条件の各々において像を捕捉し、そして両方の像に含まれている情報を組み合わせる場合に特に当てはまる。このようにする際、例えば非常に光沢のある表面の望ましくない反射光を補償することができる。所与の場所では、かかる反射光は、照明条件の1つのうちにだけ存在するのがよい。かくして、もしそのように構成していなければ検出できないような捕捉像の特徴を少なくとも2つの像の組み合わせから検出することができる。その結果、位置合わせの正確さがさらに高められる。
【0014】
好ましくは、光源の第1の組と第2の組は、互いにばらばらであり(すなわち、均等な言い方としては、別物であり)、すなわち、これらの組は、何らかの光源を共通して備えているわけではない。
【0015】
本発明の根底にある基本的な概念は、単一の像が所与の照明条件下において捕捉されるという言い方ではなく、少なくとも2つの像が互いに異なる特別に作られた照明条件下において捕捉されるという言い方によって要約できる。少なくとも2つの像に含まれている情報を組み合わせる。互いに異なる照明条件は特に、少なくとも2つの像中の光と陰影の互いに異なる分布をもたらす。これらの像を組み合わせることによって、望ましくない反射光または偏向の作用を補償する。
【0016】
当然のことながら、他の構成例では、3つ以上の別々の(またはばらばらの)組をなす光源、例えば、4つの組をなす光源を用いることができる。光源の各組は、特定の照明条件を作るために用いられ、像が照明条件の各々について捕捉される。しかる後、像中に含まれている情報を組み合わせる。
【0017】
このような前後の脈絡においては、カメラユニットは、像を捕捉するシステムと理解される。その結果、カメラユニットは、追加の光学部品、例えばレンズまたは鏡をさらに有するのがよい。鏡は、カメラユニットを制限された空間内に収納することができるよう光軸を傾けるのに特に適している。
【0018】
好ましい実施形態では、光源の組は、カメラユニット上に配置されるのがよい。その結果、カメラユニットおよび光源の組は、コンパクトでありかつ少ない労力でシート材加工ユニット内に設けることができる構造的ユニットを形成する。
【0019】
加うるに、上方ツールと下方ツールの両方が互換性のあるツールであること、すなわち、上方ツールと下方ツールの両方に代えて他の作業を実施する他のツールを用いることができるようにすることが好ましい。したがって、シート材加工ユニットは、多種多様な作業を行うために使用できる。
【0020】
好ましくは、第1のマーカが第1の開口部の後ろに位置する下方ツールの部分に設けられる。第1のマーカは、好ましくは、下方ツールの表面に設けられていてカメラユニットによって容易に検出できる特徴として具体化される。これにより、迅速かつ正確な位置合わせが可能であり、と言うのは、位置合わせは、あまり目立たない表面特徴に代えてマーカを利用するからである。
【0021】
カメラユニットは、カメラユニットが上方ツールの幅方向に沿って変位可能であるように直線駆動ユニットを介してフレーム上に可動的に支持される。幅方向は、シート材加工ユニットの横方向、すなわち、加工されるべきシート材の走向方向に垂直に差し向けられた方向に一致するのがよい。その結果、位置合わせのために用いられる像を捕捉するための適当な位置にカメラを動かすことができる。その結果として、像の品質および位置合わせ精度が高められる。可動的に支持されたカメラユニットはまた、シート材加工ユニットをこのシート材加工ユニット内で用いられる互いに異なるツールに対して融通性があるようにする。種々のツールがそれぞれ対応の第1の開口部を様々な位置で提供することができる。高品質像を捕捉することができる位置にカメラユニットを常に動かすことができる。
【0022】
一実施形態によれば、第2の開口部が第1の開口部を有する上方ツールに設けられる。カメラユニットが第2の開口部を有する上方ツールの一部分および第2の開口部の後ろに位置する下方ツールの一部分を同時に捕捉することができるようカメラユニットを直線駆動ユニットで動かすのがよい。かくして、上方ツールは、2つの開口部、すなわち、第1の開口部および第2の開口部を有する。上方ツールと下方ツールを互いに位置合わせするためかつ上方ツールを加工されるべきシート材に対して位置合わせするため、カメラユニットは、第1の開口部および第2の開口部にそれぞれ対応した2つの位置で像を捕捉するのがよい。これにより、位置合わせ精度が高まる。特に、像を2つの位置で捕捉することにより、上方ツールと下方ツールの回動位置合わせが可能になり、例えば、上方ツールと下方ツールの互いに対するまたは加工されるべきシート材に対するZ方向回りの回転が可能である。1つの位置でのみ捕捉された像を用いると、X方向およびY方向に沿う位置だけを測定することができる。この場合、回動位置合わせ不良が生じることを想定する必要がある。
【0023】
また、第2のマーカが第2の開口部の後ろに位置する下方ツールの部分に設けられるのがよい。また、第2のマーカは、好ましくは、カメラユニットによって容易に検出できる下方ツールの表面上の特徴部として実現される。これにより、位置合わせが目立ちにくい表面特徴部ではなくマーカに依存するので迅速且つ正確な位置合わせが可能である。
【0024】
上述したように、上方ツールと下方ツールの互いに対する位置合わせは、上方ツールと下方ツールが相互作用状態または相互係合状態にある場合には必要不可欠である。しかしながら、作業変更の際、上方ツールと下方ツールは、使用される前に、すなわち、相互作用状態または相互係合状態になる前に位置合わせが行われなければならない。本発明の一観点によれば、較正マーカを用いる較正方法が提供される。較正により、両方のツールが相互係合状態にあるときにおける下方ツールに対する上方ツールの位置を両方のツールが非係合状態にあるときにおける下方ツールに対する上方ツールの位置から算出することができる。換言すると、較正により、上方ツールが下方係合位置にあるそのときの上方ツールの位置を上方ツールが上方の非係合位置にあるそのときの上方ツールの位置から予測することができる。較正方法は、機械のセットアップ段階中に実施される。
【0025】
利用できる較正データのない場合、上方の非係合位置で測定されるX方向およびY方向に沿う上方ツールの位置が下方の係合位置にある上方ツールのXおよびY位置に等しいことが想定される。
【0026】
一変形例によれば、較正マーカが、上方ツールまたは上方ツールが取り付けられている対応のツールホルダ上に位置決めされる。較正マーカは、カメラユニットによって検出可能であり、特に、較正マーカの一表面は、光を拡散的に反射する材料で作られている。別の変形例では、2つ以上の較正マーカ、例えば上方ツール上に分散配置された4つの較正マーカが用いられる。光を拡散的に反射する材料は、他の材料よりも邪魔になる反射光を生じさせる度合いが小さい。その結果として、カメラユニットにより捕捉される像の品質が高められる。
【0027】
較正マーカは、シート材を加工するために移動できる上方ツールと関連している。
【0028】
較正マーカに起因して、上方ツールと下方ツールの係合位置における位置合わせは、両方のツールの非係合位置で対応の像を捕捉しながら達成できる。上方ツールは、非係合状態では上方位置にあり、係合状態では下方位置にある。この目的のため、最初にツールを相互作用または相互係合状態になるよう動かし、較正マーカの像を捕捉する。しかる後、ツールを位置合わせに用いられる位置に動かし、再び、較正マーカの像を捕捉する。較正マーカの2つの像を分析すると、ツールの相互係合位置の座標は、位置合わせが実施されたツールの位置に対して正確に求められる。これら座標またはより一般的に言って較正結果を位置合わせに使用することができる。かくして、較正マーカにより、高い位置合わせ精度が得られる。
【0029】
一変形例によれば、較正は、上方ツールがその上方位置にある状態で第1の較正像を用いるとともに上方ツールが中間位置にある状態で第2の較正像を用いる。上方ツールの上方位置は、位置合わせ方法に用いられる位置に対応している。中間位置は、上方位置よりも低いが、係合位置よりも依然として高い。係合位置にある上方ツールのX座標およびY座標は、上方位置にある上方ツールのX‐Y位置と組み合わせされた上方、中間、および下方位置のそれぞれの高さ(すなわち、Z位置)を用いることによって、中間位置にある上方ツールのXおよびY位置から外挿できる。十分な精度を確保するためには、上方位置と中間位置との間における上方ツールの移動距離(垂直方向移動距離)は、上方位置と下方位置との間の全移動距離の少なくとも30%であることが必要であり、好ましくは80%である。
【0030】
較正マーカは、既定のレイアウトに従って配置された複数のマーカ要素を含むのがよい。マーカ要素は、例えば、スポットまたは他の比較的単純な幾何学的要素である。これらマーカ要素は、例えば、既知のメッシュサイズの長方形アレイの状態に配列される。好ましい実施例では、36個のマーカ要素が6×6のマーカの正方形アレイの状態に配列される。かかる較正マーカに関し、三次元空間内における位置は、カメラユニットによって容易に検出できる。カメラユニットの位置が既知である場合、検出平面内における較正マーカの位置を像中の較正マーカの位置から導き出すことができる。検出平面に垂直な方向Zに沿う較正マーカの位置を求めるには、既知のメッシュサイズからの像中のメッシュサイズの偏差を分析するのがよい。換言すると、マーカのズーム比またはマーカスケールを分析する。その結果、較正マーカにより関連ツールの位置を正確に検出することができる。
【0031】
較正マーカを選択的に覆い隠したりむき出しにしたりするためのカバーが設けられるのがよい。このようにすることでマーカがダストまたは他の望ましくない粒子で覆われることがないようになる。マーカをできるだけきれいな状態に保つとその検出精度および速度を高レベルに維持することができる。
【0032】
上方ツールは、少なくとも1つであるが、好ましくは数個の較正マーカを有する。
【0033】
有利には、上方ツールは、垂直駆動ユニットに連結され、下方ツールは、実質的にフレーム内に固定され、上方ツールは、シート材を加工するために垂直方向に沿って下方ツールに対して動くことができるようになっている。ツールのかかる構成は、シート材を加工する上で好適であることが判明した。この関係で、下方ツールを固定するということは、シート材加工ユニットの動作状態に関連する。このことは、固定状態のツールが位置合わせ目的で依然として動くことができるということを意味している。
【0034】
好ましい実施形態によれば、光源の第1の組は、単一の光源から成り、光源の第2の組は、単一の光源から成る。かかる組をなす光源は、構造的に簡単であり、しかも堅牢である。
【0035】
さらに、本発明の課題は、本発明に従ってシート材加工ユニットの上方ツールと下方ツールの相互位置合わせ状態を評価する方法であって、
a)カメラユニットが第1の開口部を有する上方ツールの一部分および第1の開口部の後ろに位置する下方ツールの一部分を同時に捕捉することができるようカメラユニットを位置決めするステップと、
b)少なくとも1つの光源を有する光源の第1の組をアクティブ状態にするが残りの組をなす光源をアクティブ状態にはせず、そして第1の開口部を有する上方ツールの部分および第1の開口部の後ろに位置しかつ第1のマーカを有する下方ツールの一部分の第1の像を捕捉するステップと、
c)少なくとも1つの光源を有する光源の第2の組をアクティブ状態にするが残りの組をなす光源をアクティブ状態にはせず、そして第1の開口部を有する上方ツールの部分および第1の開口部の後ろに位置しかつ第1のマーカを有する下方ツールの部分の第2の像を捕捉するステップと、
d)第1の像および第2の像をひとまとめに分析することによって第1の開口部の少なくとも2つのエッジの位置を識別し、そして第1の開口部を有する上方ツールの位置を少なくとも2つのエッジの位置から導き出すステップと、
e)第1の像および第2の像をひとまとめに分析することによって第1のマーカの位置を識別し、そして第1のマーカを有する下方ツールの位置を第1のマーカの位置から導き出すステップと、
f)上方ツールの位置と下方ツールの位置の位置オフセットを算出するステップとを含むことを特徴とする方法によって解決される。
【0036】
理解されるように、本方法は、シート材がシート材加工ユニット内に、特に上方ツールと下方ツールとの間に存在していなくても実施される。第1の組をなす光源および第2の組をなす光源をアクティブ状態にすることにより、互いに異なる照明条件が作られる。捕捉されるべき部分の特徴のうちの幾つかは、一方の照明条件の方が他方の照明条件よりも良好に視認できまたは検出できるのがよい。その結果、少なくとも2つのエッジの位置および第1のマーカの位置を高精度かつ高信頼度で識別することができる。その結果、上方ツールと下方ツールの位置を高精度かつ高信頼度で導き出すことも可能である。したがって、位置合わせの高品質指標と見なすことができる位置オフセットを高精度で求めることができる。この位置オフセットは、ツールのうちの一方を動かすべきであるかどうかを決める上で利用でき、その目的は、位置合わせ状態を向上させることにある。位置合わせが上方ツールと下方ツールの互いの相対的向きを定めるので、ツールのうちの一方が位置合わせユニットを備えることで技術的にはこと足りる。しかしながら、後で説明するように、両方のツールが位置合わせユニットを備えることが好ましい。本方法は、ツールセットが動かないでじっとしているときにツールの交換の度に実施される。そのようにすると、上方ツールと下方ツールの互いの適正な位置合わせが保証される。本方法は、完全自動方式で実施できる。また、ツールのその後の位置合わせは、完全に自動であってよい。
【0037】
さらに、本発明の課題は、本発明に係るシート材加工ユニットの上方ツールとシート材加工ユニット内に配置されたシート材との位置合わせ状態を評価する方法であって、
a)カメラユニットが第1の開口部を有する上方ツールの一部分および第1の開口部の後ろに位置するシート材の一部分を同時に捕捉することができるようカメラユニットを位置決めするステップと、
b)少なくとも1つの光源を有する光源の第1の組をアクティブ状態にするが残りの組をなす光源をアクティブ状態にはせず、そして第1の開口部を有する上方ツールの部分および第1の開口部の後ろに位置しかつシート材マーカを有するシート材の一部分の第1の像を捕捉するステップと、
c)少なくとも1つの光源を有する光源の第2の組をアクティブ状態にするが残りの組をなす光源をアクティブ状態にはせず、そして第1の開口部を有する上方ツールの部分および第1の開口部の後ろに位置しかつシート材マーカを有するシート材の部分の第2の像を捕捉するステップと、
d)第1の像および第2の像をひとまとめに分析することによって第1の開口部の少なくとも2つのエッジの位置を識別し、そして第1の開口部を有する上方ツールの位置を少なくとも2つのエッジの位置から導き出すステップと、
e)第1の像および第2の像をひとまとめに分析することによってシート材マーカの位置を識別し、そしてシート材の位置をシート材マーカの位置から導き出すステップと、
f)第1の開口部を有する上方ツールの位置とシート材の位置の位置オフセットを算出するステップとを含むことを特徴とする方法によって解決される。
【0038】
理解されるように、本方法は、シート材料がシート材加工ユニット内に存在している状態でのみ実施できる。シート材を切断し、箔押しし、または印刷することができる。好ましくは、シート材は、切断される。第1の組をなす光源および第2の組をなす光源をアクティブ状態にすることにより、互いに異なる照明条件が作られる。捕捉されるべき部分の特徴のうちの幾つかは、一方の照明条件の方が他方の照明条件よりも良好に視認できまたは検出できるのがよい。その結果、少なくとも2つのエッジの位置およびシート材マーカの位置を高精度かつ高信頼度で識別することができる。その結果、上方ツールの位置を高精度かつ高信頼度で導き出すことも可能である。同じことは、シート材の位置について当てはまる。したがって、位置合わせの高品質指標と見なすことができる位置オフセットを高精度で求めることができる。この位置オフセットは、ツールをシート材に対して動かすべきであるかどうかを決める上で利用でき、その目的は、位置合わせ状態を向上させることにある。この目的のため、上方ツールと下方ツールの両方は、これらツールを互いに動かさないで両方のツールをシート材に対して動かすのに適した位置合わせユニットをそれぞれ備える。本方法は、ツールセットが動かないでじっとしているときにツールの交換の度に実施される。そのようにすると、シート材に対する上方ツールおよび下方ツールの適正な位置合わせが保証される。本方法は、完全自動方式で実施できる。また、ツールのその後の位置合わせは、完全に自動であってよい。
【0039】
第1の開口部のエッジがまっすぐである場合、少なくとも2つのエッジの位置を識別することにより、X方向に沿う位置およびY方向に沿う位置を求めることができるという利点が得られる。同一の結果、すなわちX方向に沿う位置およびY方向に沿う位置を単一の湾曲エッジを識別することによって得ることができる。かくして、湾曲エッジの2つの部分は、本願で言うところの2つのエッジと見なされるべきである。
【0040】
両方の方法は、上方ツールがその上方の非係合位置にある状態で実施でき、上方ツールの下方の係合位置と関連したその上方ツールの位置合わせは、較正結果を用いて算出される。本発明のシート材加工ユニットに関連してすでに説明したように、較正結果は、本質的には、上方ツールの上方位置に対する上方ツールの下方位置の座標系を含む。換言すると、較正結果は、上方位置と下方位置との空間的差またはベクトルを含む。その結果、下方位置と関連した位置合わせを較正結果の使用により上方位置で評価される位置合わせから容易に導き出すことができる。較正結果は、特に、以下に説明する方法ステップを用いることによって得られる。
【0041】
好ましくは、アクティブ状態では、少なくとも1つの光源を有する光源の第1の組および/または少なくとも1つの光源を有する光源の第2の組は、第1の開口部の少なくとも1つのエッジがシャドーを第1の開口部の下に位置する部分上に投げるよう上方ツールおよび下方ツールまたはシート材を照明する。その結果として、エッジを高精度で検出することができる。これは、エッジに隣接して直接結果として生じるシャドーが捕捉した像中の暗い領域として見え、これに対し、第1の開口部を有するそれぞれのツールのエッジに隣接して位置する一部分が捕捉像中の明るい領域として見えるということに起因している。変形例として、照明はまた、2つのエッジが第1の開口部の下に位置する部分上のシャドーに投げるように行われるのがよい。かかるエッジは、好ましくは、隣り合うエッジである。両方の変形例において、対応のツールのエッジおよびかくして位置を高精度で検出することができる。
【0042】
一変形例では、第2の開口部が第1の開口部を有する上方ツールに設けられ、本方法は、カメラユニットが第2の開口部を有する上方ツールの一部分および第2の開口部の後ろに位置する一部分を同時に捕捉することができるようカメラユニットを位置決めした状態で実施される。好ましくは、かかる第2の開口部と組み合わせて、第2のマーカが第2の開口部の後ろに位置する下方ツールの部分に設けられると共に/あるいは別のシートマーカが第2の開口部の後ろに位置するシート材料に設けられる。第2の開口部は、第1の開口部と関連してすでに説明したのと本質的に同一の作用効果および同一の利点を奏する。しかしながら、上方ツールと下方ツールの相互位置合わせ状態を評価するためにまたはシート材に対する上方ツールの位置合わせ状態を評価するために第1の開口部と第2の開口部の両方を用いると、検出精度をさらに高めることができる。換言すると、第1の開口部と第2の開口部を用いることによって、位置合わせ状態が2つの互いに異なる位置で評価される。
【0043】
本発明に係るシート材加工ユニットは、特にステップa)が実施される前に較正されるのがよく、この較正ステップは、
a)上方ツールを上方ツールの上方位置に動かし、そして上方ツールと関連した較正マーカをカメラユニットにより捕捉するステップを含み、較正マーカは、既定のレイアウトに従って配置された複数のマーカ要素を有し、
b)上方ツールの上方位置と関連した水平面内における較正マーカの第1の位置を算出するステップを含み、
c)上方ツールを上方ツールの中間位置に動かし、そして上方ツールと関連した較正マーカをカメラユニットにより捕捉するステップを含み、
d)上方ツールの中間位置と関連した水平面内における較正マーカの第2の位置を算出するステップを含み、
e)第1の位置と第2の位置を結ぶベクトルを含む較正結果を算出するステップを含む。
【0044】
較正マーカと関連した上方ツールの位置の算出については本発明に係るシート材加工ユニットと関連してすでに詳細に説明した。かくして、較正マーカの位置を三次元空間内で検出することができる。シート材加工ユニットと関連して記載した作用効果および利点もまた、較正のための方法ステップに当てはまる。
【0045】
これに基づいて、上方ツールの中間位置と上方位置との間における実際の運動方向がカメラの光軸から逸脱する角度をも算出することができる。上述したように、上方位置および中間位置における較正マーカの像を捕捉すると、これら位置相互間の空間的差またはベクトルを算出することができる。この空間的差もまた、較正結果と呼ばれる場合がある。この空間的差は、上方ツールの上方位置が既知である場合に上方ツールの下方位置を予測するために使用できる。
【0046】
較正は、シート材加工ユニットを設けた後に1回実施されるのがよい。好ましくは、較正はまた、シート材加工ユニットの円滑な動作を確保するために必要に応じて時々、例えば定期的に実施される。
【0047】
好ましくは、較正は、カメラユニットの複数の位置で実施され、較正マーカがこれら位置の各々について設けられる。例えば、較正は、4個、6個または9個の較正マーカを用い、かかる較正は、4個、6個または9個のそれぞれの位置で実施される。このようにすると、較正精度がさらに高められる。
【0048】
有利には、上方ツールの中間位置は、上方ツールの下方位置である。換言すると、中間位置は、上方ツールと下方ツールが互いに係合状態にある位置に対応する。次に、添付した図面を参照して本発明について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】本発明に係るシート材加工ユニットの部分切除概略側面図であり、シート材加工ユニットの上方ツールが上方の位置で示され、シート材がシート材加工ユニット内に配置され、上方ツールがシート材上にシャドーを投げている状態を示す図である。
【
図2】本発明に係るシート材加工ユニットの部分切除概略側面図であり、上方ツールの下方位置と上方位置との間の実際の運動方向のなす角度をカメラユニットの光軸からは区別することができない関係を表す図である。
【
図3】
図2のシート材加工ユニットの略図であり、上方ツールの下方位置と上方位置との間における実際の運動方向Z′とカメラユニットの光軸との位置合わせ不良が説明目的で誇張してある図である。
【
図4】
図1のシート材加工ユニットの概略平面図であり、シート材が省かれている状態を示す図である。
【
図5】
図1~
図4のシート材加工ユニットの較正マーカを取り出して示す図である。
【
図6】
図1~
図4のシート材加工ユニットの上方ツールの一部分および下方ツールの一部分を第1の照明状態で示す図である。
【
図7】
図1~
図4のシート材加工ユニットの上方ツールの一部分および下方ツールの一部分を第2の照明状態で示す図である。
【
図8】
図1~
図4のシート材加工ユニットの上方ツールの一部分および下方ツールの一部分を第3の照明状態で示す図である。
【
図9】
図1~
図4のシート材加工ユニットの上方ツールの一部分および下方ツールの一部分を第4の照明状態で示す図である。
【
図10】
図1~
図4のシート材加工ユニットの上方ツールの一部分および下方ツールの一部分の組み合わせ像を示す図であり、第1の照明条件から第4の照明条件が組み合わせてある図である。
【
図11】別の実施形態に係るシート材加工ユニットの上方ツールの一部分および下方ツールの一部分を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1~
図4は、シート材加工ユニット10を示しており、このシート材加工ユニットは、図示の実施例では、厚紙シート材(枚葉紙)のためのストリッピングステーションである。
【0051】
シート材加工ユニット10は、フレーム12を有する。
【0052】
下方ツール14が下方位置合わせユニット16を介してフレームに取り付けられている。
【0053】
位置合わせユニット16に由来して生じる考えられる運動はさておき、下方ツール14は、フレーム12内に固定されている。
【0054】
さらに、上方ツール18が上方位置合わせユニット20を介してフレーム12に取り付けられている。
【0055】
上方ツール18は、さらに、垂直駆動ユニット22に連結されており、その結果、上方ツール18は、下方ツール14上に配置された例示のシート材26を加工するために垂直方向24に沿って下方ツール14に対して動くことができる(
図1を参照)。
【0056】
図2および
図3では、上方ツール18および関連コンポーネントは、上方位置および下方位置で示されている。これら両方の位置を区別するため、上方位置に示されたコンポーネントは、添え字uを付けて示され、下方位置にあるコンポーネントは、添え字lを付けて示されている。
【0057】
上方ツール18と下方ツール14は、シート材26を加工するため、この実施例では、ストリッピング作業を実施するために相互作用するよう構成されている。ストリッピング自体は当該技術分野において知られているので、これについての詳細な説明を省く。
【0058】
上側ツール18と下側ツール14は、互いにかつシート材26に対して位置合わせされるのが良い。この目的のため、位置合わせユニット16,20を用いるのが良く、これら位置合わせユニットは、それぞれ対応のツール14,18をX方向およびY方向に沿って既定の間隔の範囲内で動かすことができる。さらに、位置合わせユニット16,20は、Z方向周りにおけるそれぞれ対応のツール14,18の回転を可能にする。
【0059】
さらに、上方ツール18は、実質的に長方形の形をした第1の開口部28を有する(
図4参照)。
【0060】
加うるに、第2の開口部30が上方ツール18に設けられている。第2の開口部30もまた、実質的に長方形の形をしており、この形は、第1の開口部28の形と実質的に同一である。しかしながら、第2の開口部30は、Y方向に沿って第1の開口部28に対してずらされている(
図4参照)。
【0061】
上側ツール18の上方のある位置を取ると、下方ツール14は、第1の開口部28および第2の開口部30を通して見える。
【0062】
第1の開口部28の後ろに位置する下方ツール14の部分に第1のマーカ32が設けられている。
【0063】
第2の開口部30の後ろに位置する下方ツール14の部分には第2のマーカ34が設けられている。
【0064】
第1のマーカ32と第2のマーカ34の両方は、光学的に検出可能なマーカである。
【0065】
図示の実施例では、第1のマーカ32および第2のマーカ34は、十字として形成されている。
【0066】
較正マーカ36は、実質的に正方形であり、この較正マーカは、既定のレイアウトに従って配置された複数のマーカ要素38を有する。図示の実施例では、較正マーカ36は、一定のメッシュサイズで正方形のアレイをなして配列された9つのマーカ要素38を有する。分かりやすくするために、マーカ要素38の幾つかだけが参照符号で示されている(
図5参照)。
【0067】
さらに、較正マーカの表面は、光を拡散的に反射する材料で作られている。
【0068】
シート材加工ユニット10は、カメラユニット40をさらに有し、カメラユニット40は、直線駆動ユニット42(
図4参照)を介してフレーム12上に可動的に支持されており、カメラユニット40は、Y方向に対応した上方ツール18および下方ツール14の幅方向に沿って変位可能である。
【0069】
この実施形態では、カメラユニット40は、到来する光ビームの向きを変える鏡40aを有し、到来光ビームは、実質的に垂直方向24に沿ってレンズ40bに当たるよう差し向けられる。
【0070】
レンズ40bは、実質的に水平方向に見て鏡40aに隣接して配置されている。像検出器40cがレンズの後ろに位置決めされていてレンズ40bを透過して送られた光ビームを受ける。
【0071】
位置合わせ方法と関連して説明するように、カメラユニット40は、これが第1の開口部28を有する上方ツール18の一部分および第1の開口部28の後ろに位置していて第1のマーカ32を有する下方ツール14の一部分を同時に捕捉することができるよう配置されている。
【0072】
さらに、カメラユニット40は、これが第2の開口部30を有する上方ツール18の一部分および第2の開口部30の後ろに位置していて第2のマーカ34を有する下方ツール14の一部分を同時捕捉することができる位置に移動できる。
【0073】
さらに、較正マーカ36は、カメラユニット40によって検出可能である。
【0074】
さらに、シート材加工ユニット10は、4つのばらばらの組をなす光源を有し、これら光源組は各々、カメラユニット40によって捕捉されるべき部分を照明するためのちょうど1つの光源44a,44b,44c,44dを含む。
【0075】
以下の説明において、光源44a,44b,44c,44dの各々は、対応の光源組を表している。
【0076】
この例では、ばらばらの組をなす光源を用いているが、より一般的に言って、各組がその隣の組と幾つかの光源を共有する4つのばらばらの光源組を用いる可能性があることに注目されたい。実際には、これは、リング状に配列されたLEDを用いる場合に起こることがあり、各照明は、リングの1/4よりもわずかに多い部分を表している(同じ理由は、リングを2つの組をなす光源として用いる場合に当てはまる)。
【0077】
光源44a,44b,44c,44dは、これらの部分を次々に照明するよう構成され、すなわち、これら光源は、同時にはアクティブ状態にはならない。これについては本発明の方法と関連して以下において説明する。
【0078】
高品質プロセス結果をもたらすため、すなわち、シート材料26を正確かつ確実にシート材料26をストリッピングする(シート材から屑を取り除く)ため、上方ツール18と下方ツール14は、上方ツール18がその下方位置にあるときに正確に位置合わせされる必要がある。上方ツール18と下方ツール14が相互作用するのがこの位置でのみ行われる。さらに、上方ツール18および下方ツール14は、加工されるべきシート材料26と注意深く位置合わせされる必要がある。
【0079】
しかしながら、上方ツール18がその下方位置ではなくその上方位置にあるときの位置合わせ(アライメント)状態を評価することが好都合であることが判明した。
【0080】
これは、シート材加工ユニット10が適正に較正されている場合に可能である。
【0081】
この目的のため、上方ツール18を中間位置に動かし、この中間位置は、図示の実施例では、その下方位置に対応しており、較正マーカ36の像がカメラユニット40によって捕捉される。
【0082】
カメラユニット40の位置は既知であるので、X方向およびY方向に延びる平面内における較正マーカ36の位置を捕捉した像の分析により算出することができる。
【0083】
さらに、較正マーカ36の垂直位置、すなわちZ方向における較正マーカ36の位置は、カメラユニットの既知の位置および既知の既定レイアウトと組み合わせて捕捉像を分析することによって算出できる。レイアウトが既知であるので、像を分析することによってズーム比を算出することができ、そしてZ方向に沿う位置をズーム比から導き出すことができる。
【0084】
次に、上方ツール18をその上方位置に動かし、較正マーカ36の像をカメラユニット40で捕捉する。
【0085】
また、上方ツール18のこの位置では、X方向およびY方向に延びる平面内における較正マーカ36の位置は、カメラユニット40の既知の位置と組み合わせて捕捉像を分析することによって算出できる。
【0086】
上述した内容と同様、Z方向における較正マーカ36の位置もまた、カメラユニットの既知の位置および既定パターンと組み合わせて捕捉像を分析することによって算出できる。
【0087】
上述の位置を用いて、上方ツール18の上方位置と下方位置の空間的差を算出することができる。空間的差は、ベクトルの形で表せる。
【0088】
また、上方ツール18の下方位置と上方位置との間における実際の運動方向Z′が光軸25からずれている角度αを上述の位置の評価によって算出することができる(
図3参照)。
【0089】
この較正の結果として、上方ツール18の下方位置をその既知の上方位置に基づいて算出することができる。
【0090】
理解されるように、この実施例では、較正マーカ36が1つだけ設けられ、かくして較正は、カメラユニット40の1つの位置のところだけで実施される。しかしながら、理解されるように、上述の較正ステップは、カメラユニット40の複数の位置でも実施でき、この場合、較正マーカ36はこれら位置の各々について設けられる。
【0091】
較正がいったん行われると、上方ツール18と下方ツール14の互いに対する位置合わせを上方ツール18がその上方位置にある状態で評価できる。上述したように、上方ツール18の下方位置は、上述の較正結果を用いて算出できる。位置合わせのためには、下方位置が適切である。
【0092】
カメラユニット40が第1の開口部28を有する上方ツール18の一部分および第1の開口部28の後ろに位置する下方ツール14の一部分を同時に捕捉することができるようカメラユニット40を位置決めする。下方ツール14のこの部分は、第1のマーカ32を含む。
【0093】
次に、第1の光源44aをアクティブ状態にし、これに対し、残りの光源44b,44c,44dは、アクティブ状態にはされない。かくして、第1の光源44aは、上方ツール18および下方ツール14を照明して第1の開口部28の1つのエッジ46aがシャドー48aを第1の開口部28の下に位置する下方ツール14の一部分上に投げるようになっている(
図6参照)。
【0094】
第1の開口部28を有する上方ツール18の一部分および第1の開口部の下に位置していて第1のマーカ32を有する下方ツール14の一部分の第1の像をカメラユニット40によって捕捉する。
【0095】
次に、第2の光源44bをアクティブ状態にし、これに対し、残りの光源44a,44c,44dは、アクティブ状態にはされない。かくして、第2の光源44bは、上方ツール18および下方ツール14を照明して第1の開口部28の1つのエッジ46bがシャドー48bを第1の開口部28の下に位置する下方ツール14の一部分上に投げるようになっている(
図7参照)。
【0096】
第1の開口部28を有する上方ツール18の一部分および第1の開口部の下に位置していて第1のマーカ32を有する下方ツール14の一部分の第2の像をカメラユニット40によって捕捉する。
【0097】
その後、第3の光源44cをアクティブ状態にし、これに対し、残りの光源44a,44b,44dは、アクティブ状態にはされない。かくして、第3の光源44cは、上方ツール18および下方ツール14を照明して第1の開口部28の1つのエッジ46cがシャドー48cを第1の開口部28の下に位置する下方ツール14の一部分上に投げるようになっている(
図8参照)。
【0098】
第1の開口部28を有する上方ツール18の一部分および第1の開口部の下に位置していて第1のマーカ32を有する下方ツール14の一部分の第3の像をカメラユニット40によって捕捉する。
【0099】
最後に、第4の光源44dをアクティブ状態にし、これに対し、残りの光源44a,44b,44cは、アクティブ状態にはされない。かくして、第4の光源44dは、上方ツール18および下方ツール14を照明して第1の開口部28の1つのエッジ46dがシャドー48dを第1の開口部28の下に位置する下方ツール14の一部分上に投げるようになっている(
図9参照)。
【0100】
第1の開口部28を有する上方ツール18の一部分および第1の開口部の下に位置していて第1のマーカ32を有する下方ツール14の一部分の第4の像をカメラユニット40によって捕捉する。
【0101】
次に、4つの像をひとまとめに分析し、第1の開口部28のエッジ46a,46b,46c,46dのそれぞれの位置を識別する。上述の4つの像を組み合わせた像が
図10に示されている。
【0102】
この図で理解できるように、4つの光源44a,44b,44c,44dを順次照明することにより、上方ツール18の比較的明るい領域と投げられたシャドー48a,48b,48c,48dの比較的暗い領域との間の境界線としてエッジ46a,46b,46c,46dを明確に識別することができる。
【0103】
かくして、第1の開口部28の位置をこれらの像から導き出すことができる。
【0104】
上方ツール18の第1の開口部28の位置が既知であるので、上方ツール18の位置もまた容易に導き出せる。
【0105】
さらに、上述したように4つの像をひとまとめに分析することによって、第1のマーカ32の位置もまた高精度で識別することができる。
【0106】
下方ツール14に対する第1のマーカ32の位置が既知であるので、下方ツール14の位置は、容易に導き出せる。
【0107】
上方ツール18の位置および下方ツール14の位置を用いると、これらツール14,18相互間の位置オフセットを算出することができる。
【0108】
この位置オフセットは、上方ツール18と下方ツール14の互いに対する位置合わせの指標である。
【0109】
別のステップでは、カメラユニット40をこれが第2の開口部30を有する上方ツール18の一部分および第2の開口部30の後ろに位置する下方ツール14の一部分を同時に捕捉することができるよう位置決めする。下方ツール14のこの部分は、第2のマーカ34を含む。
【0110】
この目的のため、直線駆動ユニット42を用いてカメラユニット40をY方向に沿って動かす。
【0111】
しかる後、第1の開口部28と関連したカメラユニット40の位置と関連して説明したように4つの光源44a,44b,44c,44dを次々にアクティブ状態にする手順を繰り返す。上記説明を参照されたい。
【0112】
これに基づいて、ツール14,18相互間の別の位置オフセットを算出する。
【0113】
一方または両方位置オフセットが所望の範囲から外れている場合、ツール14,18のうちの一方または両方のツール14,18をそれぞれの位置合わせユニット16,20によって動かすことによってツール14,18の位置合わせ状態を調節するのが良い。
【0114】
その結果、上方ツール18と下方ツール14を互いに対して位置合わせする。
【0115】
今や、シート材26に対する上方ツール18および下方ツール14の位置合わせ状態を評価することができる。注目されるように、こういう状況では、ツール14,18の互いに対する位置合わせ状態は何ら変化しない。換言すると、ツール14,18の相対位置は、維持される。
【0116】
この問題を解決するためには、シート材26は、上方ツール18と下方ツール14との間に配置される必要がある。かくして、上方ツール18の上方に視点を取った場合、下方ツール14は、シート材26によって覆われ、各々がシートマーカ50を有するシート材26のそれぞれの部分は、第1の開口部28の後ろにかつ第2の開口部30の後ろに位置する。
【0117】
シート材26に対する上方ツール18および下方ツール14の位置合わせの評価は、上方ツール18および下方ツール14の互いに対する位置合わせに極めて類似しているので、この場合もまた、
図6~
図10を参照する。これらの図では、シート材26は、下方ツール14の代替手段として表され、シートマーカのうちの1つは、第1のマーカ32の代替手段として表されている。
【0118】
カメラユニット40が第1の開口部28を有する上方ツール18の一部分および第1の開口部28の後ろに位置するシート材26一部分を同時に捕捉することができるようカメラユニット40を位置決めする。シート材26のこの部分は、シート材マーカ50を含む。
【0119】
次に、第1の光源44aをアクティブ状態にし、これに対し、残りの光源44b,44c,44dは、アクティブ状態にはされない。かくして、第1の光源44aは、上方ツール18およびシート材26を照明して第1の開口部28の1つのエッジ46aがシャドー48aを第1の開口部28の下に位置するシート材26の一部分上に投げるようになっている(
図6参照)。
【0120】
第1の開口部28を有する上方ツール18の一部分および第1の開口部の下に位置していてシート材マーカ50を有するシート材26の一部分の第1の像をカメラユニット40によって捕捉する。
【0121】
次に、第2の光源44bをアクティブ状態にし、これに対し、残りの光源44a,44c,44dは、アクティブ状態にはされない。かくして、第2の光源44bは、上方ツール18およびシート材26を照明して第1の開口部28の1つのエッジ46bがシャドー48bを第1の開口部28の下に位置するシート材26の一部分上に投げるようになっている(
図7参照)。
【0122】
第1の開口部28を有する上方ツール18の一部分および第1の開口部の下に位置していてシート材マーカ50を有するシート材26の一部分の第2の像をカメラユニット40によって捕捉する。
【0123】
その後、第3の光源44cをアクティブ状態にし、これに対し、残りの光源44a,44b,44dは、アクティブ状態にはされない。かくして、第3の光源44cは、上方ツール18およびシート材26を照明して第1の開口部28の1つのエッジ46cがシャドー48cを第1の開口部28の下に位置するシート材26の一部分上に投げるようになっている(
図8参照)。
【0124】
第1の開口部28を有する上方ツール18の一部分および第1の開口部の下に位置していてシート材マーカ50を有するシート材26の一部分の第3の像をカメラユニット40によって捕捉する。
【0125】
最後に、第4の光源44dをアクティブ状態にし、これに対し、残りの光源44a,44b,44cは、アクティブ状態にはされない。かくして、第4の光源44dは、上方ツール18およびシート材26を照明して第1の開口部28の1つのエッジ46dがシャドー48dを第1の開口部28の下に位置するシート材26の一部分上に投げるようになっている(
図9参照)。
【0126】
第1の開口部28を有する上方ツール18の一部分および第1の開口部の下に位置していてシート材マーカ50を有するシート材26の一部分の第4の像をカメラユニット40によって捕捉する。
【0127】
次に、4つの像をひとまとめに分析し、第1の開口部28のエッジ46a,46b,46c,46dのそれぞれの位置を識別する。上述の4つの像を組み合わせた像が
図10に示されている。
【0128】
この図で理解できるように、4つの光源44a,44b,44c,44dを順次照明することにより、上方ツール18の比較的明るい領域と投げられたシャドー48a,48b,48c,48dの比較的暗い領域との間の境界線としてエッジ46a,46b,46c,46dを明確に識別することができる。
【0129】
かくして、第1の開口部28の位置をこれらの像から導き出すことができる。
【0130】
上方ツール18の第1の開口部28の位置が既知であるので、上方ツール18の位置もまた容易に導き出せる。
【0131】
さらに、上述したように4つの像をひとまとめに分析することによって、シート材マーカ50の位置もまた高精度で識別することができる。
【0132】
シート材26に対するシート材マーカ50の位置が既知であるので、シート材26の位置は、容易に導き出せる。
【0133】
上方ツール18の位置およびシート材26の位置を用いると、対応の位置オフセットを算出することができる。
【0134】
この位置オフセットは、シート材26に対する上方ツール18および下方ツール14の位置合わせの指標である。
【0135】
次のステップでは、カメラユニット40をこれが第2の開口部30を有する上方ツール18の一部分および第2の開口部30の後ろに位置するシート材26の一部分を同時に捕捉することができるよう位置決めする。シート材26のこの部分もまた、シート材マーカ50のうちの一つを含む。
【0136】
この目的のため、直線駆動ユニット42を用いてカメラユニット40をY方向に沿って動かす。
【0137】
しかる後、第1の開口部28と関連したカメラユニット40の位置と関連して説明したように4つの光源44a,44b,44c,44dを次々にアクティブ状態にする手順を繰り返す。上記説明を参照されたい。
【0138】
これに基づいて、上方ツール18とシート材26との間の別の位置オフセットを算出する。
【0139】
一方または両方位置オフセットが所望の範囲から外れている場合、ツール14,18をそれぞれの位置合わせユニット16,20の使用によりひとまとめに動かすことによって、シート材26に対するツール14,18の位置合わせ状態を調節するのが良い。
【0140】
その結果、上方ツール18および下方ツール14をシート材26に対して位置合わせする。
【0141】
変形実施形態としてのシート材加工ユニット10が
図11に示されている。
【0142】
この変形例は、各々ちょうど1つの光源44a,44bを有する光源の2つのばらばらの組だけが提供されているという点で、上述の実施形態とは異なっている。
【0143】
これら光源のうちの第1の光源44aは、第1の開口部28を有する上方ツール18の部分および第1の開口部28の下に位置するシート材26の下方ツール14の部分を照明するよう構成されており、その結果、2つのエッジ46a,46cがシャドー48a,48cを下方ツール14またはシート材26上に同時投げるようになっている。
【0144】
これら光源のうちの第2の光源44bは、第1の開口部28を有する上方ツール18の部分および第1の開口部28の下に位置する下方ツール14またはシート材26の下方ツール14の部分を照明するよう構成されており、その結果、2つのエッジ46b,46dがシャドー48b,48dを下方ツール14またはシート材26上に同時投げるようになっている。
【0145】
残りの特徴ならびに対応の効果および利点に関しては、
図1~
図10に示した実施形態を参照されたい。
【0146】
注目されるように、上述の実施形態の全てに関し、第1の開口部28および第2の開口部30は、上方ツール18に設けられ、カメラユニット40が上方ツール18の上方に位置決めされる。明らかなように、この解決策は、運動学的に逆にしても良く、したがって、この場合には第1の開口部28および第2の開口部30が下方ツール14に設けられ、カメラユニット40が下方ツール14の下方に配置される。