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特許7584650位置センシングシステム、位置センシング信号の取得方法及び電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】位置センシングシステム、位置センシング信号の取得方法及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/12 20060101AFI20241108BHJP
   G01D 5/14 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
G01D5/12 N
G01D5/14 H
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023527709
(86)(22)【出願日】2021-11-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-17
(86)【国際出願番号】 CN2021128324
(87)【国際公開番号】W WO2022095875
(87)【国際公開日】2022-05-12
【審査請求日】2023-05-16
(31)【優先権主張番号】202011209677.8
(32)【優先日】2020-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】523163978
【氏名又は名称】上海艾為電子技術股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】楊 超
(72)【発明者】
【氏名】魏 昊
(72)【発明者】
【氏名】尹 有杰
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-169813(JP,A)
【文献】特開2003-35504(JP,A)
【文献】特開2015-184209(JP,A)
【文献】国際公開第2006/064687(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/230203(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/126023(WO,A1)
【文献】特開2019-203854(JP,A)
【文献】特表2008-514913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/12-5/252
G01B 7/00-7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置センシングシステムであって、信号処理モジュール、第1の位置センシング素子及び少なくとも1つの第2の位置センシング素子を含み、
前記第1の位置センシング素子は、所定信号の駆動に応答して、第1の位置センシング信号を出力し、
前記第2の位置センシング素子は、前記所定信号に応答して、第2の位置センシング信号を出力し、
前記信号処理モジュールは、前記所定信号を前記第1の位置センシング素子及び第2の位置センシング素子に提供し、前記第1の位置センシング信号を利用して少なくとも1つの前記第2の位置センシング素子から出力される第2の位置センシング信号を修正し、少なくとも1つの修正後の第2の位置センシング信号に基づいて、ターゲットセンシング信号を決定し、
前記信号処理モジュールはデジタル制御回路を含み、前記デジタル制御回路が、前記第1の位置センシング信号を利用して少なくとも1つの前記第2の位置センシング素子から出力される第2の位置センシング信号を修正するステップは具体的に、前記第1の位置センシング信号を第1の所定式に代入し、修正後の第2の位置センシング信号を算出して取得し、
前記第1の所定式は
【数1】
を含み、V2は修正後の第2の位置センシング信号を示し、VOUTは振幅が所定固定値である第1の位置センシング信号を示し、A2は、前記信号処理モジュールの、前記第2の位置センシング素子に対する増幅倍数を示し、A1は前記信号処理モジュールの、前記第1の位置センシング素子に対する増幅倍数を示し、B2は所在する磁場から前記第2の位置センシング素子に提供された磁場強度を示し、B1は所在する磁場から前記第1の位置センシング素子に提供された磁場強度を示すことを特徴とする位置センシングシステム。
【請求項2】
前記信号処理モジュールは、選択制御回路、可変利得増幅器、サンプリング保持回路、及び電流源制御回路をさらに含み、
前記選択制御回路は、前記第1の位置センシング素子及び少なくとも1つの前記第2の位置センシング素子に一々対応する複数のパスを含み、前記選択制御回路は複数のパスを介して第1の位置センシング素子及び少なくとも1つの第2の位置センシング素子と、前記可変利得増幅器とを接続し、
前記可変利得増幅器は、前記第1の位置センシング素子及び前記第2の位置センシング素子の出力信号を増幅させることで、増幅後の第1の位置センシング信号及び第2の位置センシング信号を取得し、
前記サンプリング保持回路は、増幅後の第1の位置センシング信号をアナログ電圧信号形態からデジタル信号形態に変換して、前記デジタル制御回路に伝送し、
前記デジタル制御回路は、前記所定信号を前記第1の位置センシング素子及び前記第2の位置センシング素子に提供するように前記電流源制御回路を制御し、デジタル信号形態の第1の位置センシング信号を利用して少なくとも1つのデジタル信号形態の第2の位置センシング信号を修正して、少なくとも1つの修正後の第2の位置センシング信号に基づいて、前記ターゲットセンシング信号を決定することを特徴とする請求項1に記載の位置センシングシステム。
【請求項3】
前記デジタル制御回路はさらに、前記第1の位置センシング素子から出力される第1の位置センシング信号の振幅が所定固定値であるように、前記第1の位置センシング素子から出力される第1の位置センシング信号に基づいて前記所定信号を調整することを特徴とする請求項2に記載の位置センシングシステム。
【請求項4】
前記第2の位置センシング素子の数が1つより大きく、且つ修正後の第2の位置センシング信号の数が1つより大きい場合、前記デジタル制御回路が少なくとも1つの修正後の第2の位置センシング信号に基づいて、ターゲットセンシング信号を決定するステップは具体的に、何れか1つの修正後の第2の位置センシング信号を前記ターゲットセンシング信号に決定することを特徴とする請求項2に記載の位置センシングシステム。
【請求項5】
前記第2の位置センシング素子の数が1つより大きく、且つ修正後の第2の位置センシング信号の数が1つより大きい場合、前記デジタル制御回路が少なくとも1つの修正後の第2の位置センシング信号に基づいて、ターゲットセンシング信号を決定するステップは具体的に、修正後の全ての第2の位置センシング信号の平均値を前記ターゲットセンシング信号に決定することを特徴とする請求項2に記載の位置センシングシステム。
【請求項6】
前記デジタル制御回路は、さらに前記所定信号をミラーリングするように前記電流源制御回路を制御し、ミラーリングによる前記所定信号を前記第1の位置センシング素子及び前記第2の位置センシング素子にそれぞれ伝送することを特徴とする請求項2に記載の位置センシングシステム。
【請求項7】
前記選択制御回路及び前記サンプリング保持回路は、同一クロックで動作することを特徴とする請求項2に記載の位置センシングシステム。
【請求項8】
前記デジタル制御回路は、さらに前記ターゲットセンシング信号に基づいてターゲット位置情報を決定することを特徴とする請求項2に記載の位置センシングシステム。
【請求項9】
前記所定信号は、所定電流信号又は所定電圧信号を含むことを特徴とする請求項1に記載の位置センシングシステム。
【請求項10】
位置センシング信号の取得方法であって、第1の位置センシング素子及び少なくとも1つの第2の位置センシング素子を含む位置センシングシステムに適用され、前記位置センシング信号の取得方法は、
所定信号に応答して、前記第1の位置センシング素子から出力される第1の位置センシング信号を取得するステップと、
前記所定信号に応答して、前記第2の位置センシング素子から出力される第2の位置センシング信号を取得するステップと、
前記第1の位置センシング信号を利用して少なくとも1つの前記第2の位置センシング素子から出力された第2の位置センシング信号を修正し、少なくとも1つの修正後の第2の位置センシング信号に基づいて、ターゲットセンシング信号を決定するステップと、を含み、
前記第1の位置センシング信号を利用して少なくとも1つの前記第2の位置センシング素子から出力される第2の位置センシング信号を修正するステップは、
前記第1の位置センシング信号を第1の所定式に代入し、修正後の第2の位置センシング信号を算出して取得するステップを含み、
前記第1の所定式は
【数2】
を含み、V2は修正後の第2の位置センシング信号を示し、VOUTは振幅が所定固定値である第1の位置センシング信号を示し、A2は、信号処理モジュールの、前記第2の位置センシング素子に対する増幅倍数を示し、A1は前記信号処理モジュールの、前記第1の位置センシング素子に対する増幅倍数を示し、B2は所在する磁場から前記第2の位置センシング素子に提供された磁場強度を示し、B1は所在する磁場から前記第1の位置センシング素子に提供された磁場強度を示すことを特徴とする方法。
【請求項11】
前記第2の位置センシング素子の数が1つより大きく、且つ修正後の第2の位置センシング信号の数が1つより大きい場合、前記少なくとも1つの修正後の第2の位置センシング信号に基づいて、ターゲットセンシング信号を決定するステップは、
何れか1つの修正後の第2の位置センシング信号を前記ターゲットセンシング信号に決定するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の位置センシング素子の数が1つより大きく、且つ修正後の第2の位置センシング信号の数が1つより大きい場合、前記少なくとも1つの修正後の第2の位置センシング信号に基づいて、ターゲットセンシング信号を決定するステップは、
修正後の全ての第2の位置センシング信号の平均値を前記ターゲットセンシング信号に決定するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
電子機器であって、請求項1~の何れか1項に記載の位置センシングシステム及び磁場を提供するための磁石を含むことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2020年11月03日にて中国特許庁に提出され、出願番号が202011209677.8であり、発明の名称が「位置センシングシステム、位置センシング信号の取得方法及び電子機器」である中国特許出願の優先権を主張して、その全ての内容は本出願に援用される。
【0002】
(技術分野)
本出願は、センシング技術分野に関し、より具体的に、位置センシングシステム、位置センシング信号の取得方法及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0003】
センシング技術の継続的な発展について、各類のセンサーの測定精度も進歩し、位置又は距離センシングを例として、センサーの精度は既にミクロンレベルに達している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、実際の応用過程から発見するように、距離に対するセンシング精度要求がミクロンレベルであると、位置センシング素子が所在する環境のわずかな変化も位置センシング素子の測定精度に悪影響を及ぼす。
【0005】
従って、位置センシング素子が所在する環境の環境要因の、センシング精度に対する悪影響を如何に除去するかということは、当業者の研究方向の1つになっている。
【0006】
上記の技術問題を解決するために、本出願はセンシングシステム、位置センシング信号の取得方法及び電子機器を提供することで、位置センシング素子が所在する環境の環境要因の、センシング精度に対する悪影響を除去するという目的を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の技術目的を実現するために、本出願は以下の技術案を提供し、
位置センシングシステムであって、信号処理モジュール、第1の位置センシング素子及び少なくとも1つの第2の位置センシング素子を含み、
前記第1の位置センシング素子は所定信号の駆動に応答して、第1の位置センシング信号を出力し、
前記第2の位置センシング素子は前記所定信号に応答して、第2の位置センシング信号を出力し、
前記信号処理モジュールは前記所定信号を前記第1の位置センシング素子及び第2の位置センシング素子に提供し、前記第1の位置センシング信号を利用して少なくとも1つの前記第2の位置センシング素子から出力される第2の位置センシング信号を修正し、少なくとも1つの修正後の第2の位置センシング信号に基づいて、ターゲットセンシング信号を決定する。
【0008】
好ましくは、前記信号処理モジュールは選択制御回路、可変利得増幅器、サンプリング保持回路、デジタル制御回路及び電流源制御回路を含み、
前記選択制御回路は、前記第1の位置センシング素子及び少なくとも1つの前記第2の位置センシング素子に一々対応する複数のパスを含み、前記選択制御回路は複数のパスを介して第1の位置センシング素子及び少なくとも1つの第2の位置センシング素子と、前記可変利得増幅器とを接続し、
前記可変利得増幅器は前記第1の位置センシング素子及び前記第2の位置センシング素子の出力信号を増幅させることで、増幅後の第1の位置センシング信号及び第2の位置センシング信号を取得し、
前記サンプリング保持回路は増幅後の第1の位置センシング信号をアナログ電圧信号形態からデジタル信号形態に変換して、前記デジタル制御回路に伝送し、
前記デジタル制御回路は前記所定信号を前記第1の位置センシング素子及び前記第2の位置センシング素子に提供するように前記電流源制御回路を制御し、デジタル信号形態の第1の位置センシング信号を利用して少なくとも1つのデジタル信号形態の第2の位置センシング信号を修正して、少なくとも1つの修正後の第2の位置センシング信号に基づいて、前記ターゲットセンシング信号を決定する。
【0009】
好ましくは、前記デジタル制御回路はさらに、前記第1の位置センシング素子から出力される第1の位置センシング信号の振幅が所定固定値であるように、前記第1の位置センシング素子から出力される第1の位置センシング信号に基づいて前記所定信号を調整する。
【0010】
好ましくは、前記デジタル制御回路が前記第1の位置センシング信号を利用して少なくとも1つの前記第2の位置センシング素子から出力される第2の位置センシング信号を修正するステップは具体的に、前記第1の位置センシング信号を第1の所定公式に代入し、修正後の第2の位置センシング信号を算出して取得し、
前記第1の所定式は
【数1】
を含み、V2は修正後の第2の位置センシング信号を示し、VOUTは振幅が所定固定値である第1の位置センシング信号を示し、A2は、前記信号処理モジュールの、前記第2の位置センシング素子に対する増幅倍数を示し、A1は前記信号処理モジュールの、前記第1の位置センシング素子に対する増幅倍数を示し、B2は所在する磁場から前記第2の位置センシング素子に提供された磁場強度を示し、B1は所在する磁場から前記第1の位置センシング素子に提供された磁場強度を示す。
【0011】
好ましくは、前記第2の位置センシング素子の数が1つより大きく、且つ修正後の第2の位置センシング信号の数が1つより大きい場合、前記デジタル制御回路が少なくとも1つの修正後の第2の位置センシング信号に基づいて、ターゲットセンシング信号を決定するステップは具体的に、何れか1つの修正後の第2の位置センシング信号を前記ターゲットセンシング信号に決定する。
【0012】
好ましくは、前記第2の位置センシング素子の数が1つより大きく、且つ修正後の第2の位置センシング信号の数が1つより大きい場合、前記デジタル制御回路が少なくとも1つの修正後の第2の位置センシング信号に基づいて、ターゲットセンシング信号を決定するステップは具体的に、修正後の全ての第2の位置センシング信号の平均値を前記ターゲットセンシング信号に決定する。
【0013】
好ましくは、前記デジタル制御回路はさらに前記所定信号をミラーリングするように前記電流源制御回路を制御し、ミラーリングによる前記所定信号を前記第1の位置センシング素子及び前記第2の位置センシング素子にそれぞれ伝送する。
【0014】
好ましくは、前記選択制御回路及び前記サンプリング保持回路は同一クロックで動作する。
【0015】
好ましくは、前記デジタル制御回路はさらに前記ターゲットセンシング信号に基づいてターゲット位置情報を決定する。
【0016】
好ましくは、前記所定信号は所定電流信号又は所定電圧信号を含む。
【0017】
本出願は位置センシング信号の取得方法をさらに提供し、第1の位置センシング素子及び少なくとも1つの第2の位置センシング素子を含む位置センシングシステムに適用され、前記位置センシング信号の取得方法は、
所定信号に応答して、前記第1の位置センシング素子から出力された第1の位置センシング信号を取得するステップと、
前記所定信号に応答して、前記第2の位置センシング素子から出力された第2の位置センシング信号を取得するステップと、
前記第1の位置センシング信号を利用して少なくとも1つの前記第2の位置センシング素子から出力された第2の位置センシング信号を修正し、少なくとも1つの修正後の第2の位置センシング信号に基づいて、ターゲットセンシング信号を決定するステップと、を含む。
【0018】
好ましくは、前記第1の位置センシング信号を利用して少なくとも1つの前記第2の位置センシング素子から出力される第2の位置センシング信号を修正するステップは、
前記第1の位置センシング信号を第1の所定式に代入し、修正後の第2の位置センシング信号を算出して取得するステップを含み、
前記第1の所定式は
【数2】
を含み、V2は修正後の第2の位置センシング信号を示し、VOUTは振幅が所定固定値である第1の位置センシング信号を示し、A2は、前記信号処理モジュールの、前記第2の位置センシング素子に対する増幅倍数を示し、A1は前記信号処理モジュールの、前記第1の位置センシング素子に対する増幅倍数を示し、B2は所在する磁場から前記第2の位置センシング素子に提供された磁場強度を示し、B1は所在する磁場から前記第1の位置センシング素子に提供された磁場強度を示す。
【0019】
好ましくは、前記第2の位置センシング素子の数が1つより大きく、且つ修正後の第2の位置センシング信号の数が1つより大きい場合、前記少なくとも1つの修正後の第2の位置センシング信号に基づいて、ターゲットセンシング信号を決定するステップは、
何れか1つの修正後の第2の位置センシング信号を前記ターゲットセンシング信号に決定するステップを含む。
【0020】
好ましくは、前記第2の位置センシング素子の数が1つより大きく、且つ修正後の第2の位置センシング信号の数が1つより大きい場合、前記少なくとも1つの修正後の第2の位置センシング信号に基づいて、ターゲットセンシング信号を決定するステップは、
修正後の全ての第2の位置センシング信号の平均値を前記ターゲットセンシング信号に決定するステップを含む。
【0021】
本出願は電子機器をさらに含み、上記の何れか1項に記載の位置センシングシステム及び磁場を提供するための磁石を含む。
【発明の効果】
【0022】
上記の技術案から分かるように、本出願はセンシングシステム、位置センシング信号の取得方法及び電子機器を提供し、前記位置センシングシステムには第1の位置センシング素子及び少なくとも1つの第2の位置センシング素子が配置され、所定信号に応答して、前記第1の位置センシング素子から出力される第1の位置センシング信号は、第2の位置センシング素子から出力される第2の位置センシング信号に対する修正信号として機能でき、これによって、前記信号処理モジュールは前記第1の位置センシング信号によって少なくとも1つの前記第2の位置センシング素子から出力された第2の位置センシング信号を修正して、少なくとも1つの修正後の第2の位置センシング信号に基づいて、ターゲットセンシング信号を決定し、位置センシング素子が所在する環境の環境要因の、最終的に取得した位置センシング信号に対する悪影響を除去し、前記位置センシングシステムが取得した位置センシング信号の精度を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本出願の実施例又は従来技術の技術案をより明らかに説明するために、以下、実施例又は従来技術の記載の必要な図面を簡単に紹介し、明らかに、以下に記載の図面は本出願の実施例であり、当業者にとって、進歩性に値する労働をしないことを前提として、提供された図面に基づいて他の図面を取得できる。
【0024】
図1】本出願の1つの実施例が提供する位置センシングシステムの構成概略図である。
図2】本出願の別の実施例が提供する位置センシングシステムの構成概略図である。
図3】本出願の1つの実施例が提供する位置センシング信号の取得方法のフロー概略図である。
図4】本出願の別の実施例が提供する位置センシング信号の取得方法のフロー概略図である。
図5】本出願の別の実施例が提供する位置センシング信号の取得方法のフロー概略図である。
図6】本出願の別の実施例が提供する位置センシング信号の取得方法のフロー概略図である。
図7】本出願の1つの実施例が提供する電子機器の構成概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
背景技術に記載したように、位置又は距離のセンシング精度がミクロンレベルである場合、位置センシング素子が所在する環境の環境要因の変化は、位置センシング素子のセンシング精度に大きく影響する。ホール素子及び可変利得増幅器などのデバイスからなる位置センシングシステムを例として、当該システムにおいて、ホール素子のある駆動電流での感度、システムにおける可変利得増幅器の増幅倍数、及び磁石から前記ホール素子に提供される磁場強度は何れも前記ホール素子から出力される信号と正の相関関係にあり、ここから分かるように、ホール素子のある駆動電流での感度は環境温度に関連して、磁石から前記ホール素子に提供される磁場強度は磁石とホール素子との間の角度に関連し、これらの環境要因は何れもホール素子の最終的な出力信号に悪影響を及ぼす。
【0026】
当該影響を除去するために、本出願の実施例は位置センシングシステムを提供し、信号処理モジュール、第1の位置センシング素子及び少なくとも1つの第2の位置センシング素子を含み、
前記第1の位置センシング素子は、所定信号に応答して、第1の位置センシング信号を出力し、
前記第2の位置センシング素子は、前記所定信号に応答して、第2の位置センシング信号を出力し、前記所定信号は所定電流信号又は所定電圧信号を含み、
前記信号処理モジュールは、前記所定信号を前記第1の位置センシング素子及び第2の位置センシング素子に提供し、前記第1の位置センシング信号を利用して少なくとも1つの前記第2の位置センシング素子から出力される第2の位置センシング信号を修正し、少なくとも1つの修正後の第2の位置センシング信号に基づいて、ターゲットセンシング信号を決定する。
【0027】
前記位置センシングシステムには第1の位置センシング素子及び少なくとも1つの第2の位置センシング素子が配置され、所定信号に応答して前記第1の位置センシング素子から出力される第1の位置センシング信号は、第2の位置センシング素子から出力される第2の位置センシング信号に対する修正信号として機能でき、これによって、前記信号処理モジュールは前記第1の位置センシング信号を利用して少なくとも1つの前記第2の位置センシング素子から出力される第2の位置センシング信号を修正して、少なくとも1つの修正後の第2の位置センシング信号に基づいて、ターゲットセンシング信号を決定し、位置センシング素子が所在する環境の環境要因の、最終的に取得した位置センシング信号に対する悪影響を除去し、前記位置センシングシステムが取得した位置センシング信号の精度を向上させる。
【0028】
以下、本出願の実施例の図面を結合して、本出願の実施例の技術案を明らか且つ完全に説明し、明らかに、記載された実施例は全ての実施例ではなく、本出願の一部の実施例である。本出願の実施例に基づいて、当業者が進歩性に値する労働をしないことを前提として、取得した他の全ての実施例は何れも本出願の保護範囲に属している。
【0029】
本出願の実施例は、位置センシングシステムを提供し、図1に示すように、信号処理モジュール30、第1の位置センシング素子10及び少なくとも1つの第2の位置センシング素子20を含み、
前記第1の位置センシング素子10は、所定信号の駆動に応答して、第1の位置センシング信号を出力し、
前記第2の位置センシング素子20は、前記所定信号に応答して、第2の位置センシング信号を出力し、前記所定信号は所定電流信号又は所定電圧信号を含み、
前記信号処理モジュール30は、前記所定信号を前記第1の位置センシング素子10及び第2の位置センシング素子20に提供して、前記第1の位置センシング信号を利用して少なくとも1つの前記第2の位置センシング素子20から出力される第2の位置センシング信号を修正し、少なくとも1つの修正後の第2の位置センシング信号に基づいて、ターゲットセンシング信号を決定する。
【0030】
1つの第2の位置センシング素子を例として、前記信号処理モジュールは所定信号を第1の位置センシング素子及び第2の位置センシング素子に提供した後、所定信号は前記第1の位置センシング素子によって応答されて、第1の位置センシング信号を出力し、前記第2の位置センシング素子によって応答されて、第2の位置センシング信号を出力し、その後、前記信号処理モジュールは第1の位置センシング信号に基づいて第2の位置センシング信号を修正した後、修正後の第2の位置センシング信号に基づいて、ターゲットセンシング信号を決定する。
【0031】
ここで、本出願の実施例において、第2の位置センシング素子の数は限定されず、位置センシングシステムの実際の設計ニーズに応じて決定すればよい。
【0032】
また、第1の位置センシング素子10から出力される第1の位置センシング信号の、前記第2の位置センシング素子20から出力される第2の位置センシング信号に対する修正効果を保証するために、好ましくは、前記第1の位置センシング素子10と前記第2の位置センシング素子20とは、型番且つパラメータが同様である位置センシング素子であり、このように、環境要因の、第1の位置センシング信号に対する影響方向と、前記第2の位置センシング信号に対する影響方向とは同様である(例えば、何れも正の相関又は負の相関である)ことを保証する。前記第1の位置センシング素子10及び第2の位置センシング素子20は何れもホール素子であってもよい。
【0033】
つまり、第1の位置センシング素子10と第2の位置センシング素子20との異なりのため、環境要因の、第1の位置センシング信号に対する影響方向と、前記第2の位置センシング信号に対する影響方向とが異なって、さらに、第1の位置センシング信号の、第2の位置センシング信号に対する修正効果に影響することを回避するために、本出願の実施例において、好ましくは、前記第1の位置センシング素子10と前記第2の位置センシング素子20とは、2つの全く同じ位置センシング素子である。
【0034】
これに基づいて、本出願が提供する位置センシングシステムにおいて、そのうちの1つの位置センシング素子のセンシング信号に基づいて、他の位置センシング素子のセンシング信号を修正して、修正後のセンシング信号に基づいてターゲットセンシング信号を決定することで、単一位置センシング素子が所在する環境の環境要因の、最終的に取得したターゲットセンシング信号に対する悪影響を除去し、位置センシングシステムが取得した位置センシング信号の精度を高める。
【0035】
図2を参照して、図2は可能な信号処理モジュール30の構成を示し、前記信号処理モジュール30は、選択制御回路、可変利得増幅器、サンプリング保持回路、電流源制御回路及びデジタル制御回路を含み、前記選択制御回路は、前記第1の位置センシング素子及び少なくとも1つの前記第2の位置センシング素子に一々対応する複数のパスを含み、前記選択制御回路は複数のパスを介して第1の位置センシング素子10及び少なくとも1つの第2の位置センシング素子20と、可変利得増幅器とを接続し、前記選択制御回路の各パスは1つの位置センシング素子(第1の位置センシング素子10又は第2の位置センシング素子20)に対応する。
【0036】
前記可変利得増幅器は、第1の位置センシング素子10及び第2の位置センシング素子20の出力信号を増幅させることで、増幅後の第1の位置センシング信号及び第2の位置センシング信号を取得し、増幅後の第1の位置センシング信号及び第2の位置センシング信号はアナログ電圧信号である。
【0037】
前記サンプリング保持回路は、増幅後の第1の位置センシング信号をアナログ電圧信号形態からデジタル信号形態に変換して、前記デジタル制御回路に伝送し、
前記デジタル制御回路は、前記所定信号を前記第1の位置センシング素子及び前記第2の位置センシング素子に提供するように前記電流源制御回路を制御し、デジタル信号形態の第1の位置センシング信号を利用して少なくとも1つのデジタル信号形態の第2の位置センシング信号を修正して、少なくとも1つの修正後の第2の位置センシング信号に基づいて、前記ターゲットセンシング信号を決定する。
【0038】
なお、デジタル制御回路は、電流源制御回路から第1の位置センシング素子10に提供される所定信号の振幅の大きさを調整することで、前記第1の位置センシング素子10の出力信号(第1の位置センシング信号)の振幅を所定固定値に調整して、この時の所定信号の大きさを保留する。
【0039】
同時に、デジタル制御回路は、前記電流源制御回路によって前記所定信号を第2の位置センサーが所在するブランチにミラーリングすることで、前記所定信号は前記第2の位置センサーを駆動する。
【0040】
また、前記デジタル制御回路は、デジタル信号から形成された第1の位置センシング信号を利用して、少なくとも1つのデジタル信号から形成された第2の位置センシング信号を修正し、少なくとも1つの修正後の第2の位置センシング信号に基づいて、ターゲットセンシング信号を決定することで、ターゲットの位置情報を決定する。
【0041】
ここで、ターゲットセンシング信号を決定した後、デジタル制御回路はさらに前記ターゲットセンシング信号に基づいてターゲット位置情報を決定し、前記ターゲット位置情報に基づいて以降の応用を行ってもよい。
【0042】
図2に示すように、前記第1の位置センシング素子10及び第2の位置センシング素子20を動作させるように駆動する所定信号は、前記信号処理モジュール30から提供されてもよく、前記信号処理モジュール30におけるデジタル制御回路はさらに、前記第1の位置センシング素子10から出力された第1の位置センシング信号の振幅が所定固定値であるように、前記第1の位置センシング素子10から出力される第1の位置センシング信号に基づいて前記所定信号を調整する。前記所定信号を調整している中、前記デジタル制御回路は前記所定信号に対してミラーリングを行うように電流源制御回路を制御し、ミラーリングによる所定信号を前記第1の位置センシング素子及び前記第2の位置センシング素子にそれぞれ伝送し、即ち、電流源制御回路は前記所定信号をミラーリングして、2つの同じ所定信号を形成し、ミラーリングによる2つの同じ所定信号を第1の位置センシング素子及び第2の位置センシング素子にそれぞれ伝送する。
【0043】
前記所定信号は、所定電流信号及び所定電圧信号を含む。図1及び図7に示すように、ある時点で、前記所定電流信号はI1であり、第1の位置センシング素子10の、所定電流信号がI1である時に対する感度はKI1であり、可変利得増幅器の、第1の位置センシング素子10の所定電流信号に対する増幅倍数はA1であり、第2の位置センシング素子20の、所定電流信号がI1である時に対する感度は同じくKI1であり、前記第2の位置センシング素子20の所定電流信号に対する増幅倍数はA2であり、第1の位置センシング素子10が所在する位置で磁石40が生じた磁場強度はB1であり、第2の位置センシング素子20が所在する位置で磁石40が生じた磁場強度はB2であると、第1の位置センシング素子10から出力された第1の位置センシング信号は可変利得増幅器によって増幅された後、V1=A1*KI1*B1=VOUT(1)になって、VOUTは振幅が所定固定値である第1の位置センシング信号を示し、所定電流の大きさを調整することで、可変利得増幅器を介した後の信号V1は固定電圧信号VOUTになって、第2の位置センシング素子20の、可変利得増幅器によって増幅された第2の位置センシング信号はV2=A2*KI1*B2(2)になる。式(1)からKI1=VOUT/A1/B1(3)を取得し、式(3)を式(2)に代入すれば、第2の位置センシング信号を修正するための第1の所定式
【数3】
を取得できる。
【0044】
即ち、前記デジタル制御回路が前記第1の位置センシング信号を利用して少なくとも1つの前記第2の位置センシング素子20から出力される第2の位置センシング信号を修正するステップは、具体的に、前記第1の位置センシング信号を第1の所定式に代入し、修正後の第2の位置センシング信号を算出して取得してもよく、
前記第1の所定式は
【数4】
を含み、V2は修正後の第2の位置センシング信号を示し、VOUTは振幅が所定固定値である第1の位置センシング信号を示し、A2は、前記信号処理モジュール30の、前記第2の位置センシング素子20から出力されるアナログ信号に対する増幅倍数(具体的に、可変利得増幅器の、第2の位置センシング素子20から出力されるアナログ信号に対する増幅倍数である)を示し、A1は前記信号処理モジュール30の、前記第1の位置センシング素子10から出力されるアナログ信号に対する増幅倍数(具体的に、可変利得増幅器の、第1の位置センシング素子10から出力されるアナログ信号に対する増幅倍数である)を示し、B2は、所在する磁場から前記第2の位置センシング素子20に提供される磁場強度を示し、B1は、所在する磁場から前記第1の位置センシング素子10に提供される磁場強度を示す。
【0045】
上記の所定式に基づいて分かるように、修正後の第2の位置センシング信号V2は感度KI1と関係がなく、環境温度が主にセンシング素子から出力されるアナログ信号の感度に影響するため、修正後の第2の位置センシング信号は環境温度と関係がなく、即ち、環境温度の、最終的に取得したターゲットセンシング信号に対する影響を除去し、位置センシングシステムが取得した位置センシング信号の精度を高める。
【0046】
また、単一位置センサーに対して、磁石40と位置センシング素子との角度が位置センシング素子の実効磁束を决定し、磁石の、位置センシング素子での磁場強度に影響し、さらに、位置センシング素子による出力信号の精度に影響する。上記の所定式に基づいて分かるように、複数の位置センシング素子と磁石40との角度が異なって、他の位置センシング素子によって単一位置センシング素子を修正することで、角度の、出力信号精度に対する影響を大幅に低減させる。位置センシング素子の間の距離が短いほど、角度の、出力信号精度に対する影響が小さくなる。例えば、第1の位置センシング素子と第2の位置センシング素子とが同じくホール素子であり、且つ距離が近い場合、磁石の、2つの素子に対する角度差が小さいほど、2つの素子に対する実効磁束の差が小さく、そのうちの1つの素子に基づく別の素子に対する修正がより正確である。
【0047】
以下、前記デジタル制御回路の具体的な動作過程を説明し、本出願の1つの実施例において、前記デジタル制御回路は前記第1の位置センシング信号を取得した後、何れか1つ、例えば1つの前記第2の位置センシング素子20をランダムに選択して、選択した第2の位置センシング素子20から出力される第2の位置センシング信号を修正し、当該修正後の第2の位置センシング信号を位置センシング信号に決定して出力する。
【0048】
本出願の他の実施例において、前記デジタル制御回路はさらに、前記第1の位置センシング信号を取得した後、2つ又は2つ以上の前記第2の位置センシング素子20から出力される第2の位置センシング信号を何れも修正し(即ち、前記第2の位置センシング素子20の数が1つより大きく、且つ修正後の第2の位置センシング信号の数が1つより大きい場合)、前記デジタル制御回路は何れか1つの修正後の第2の位置センシング信号を前記ターゲットセンシング信号に決定してもよく(即ち、デジタル制御回路が少なくとも1つの修正後の第2の位置センシング信号に基づいて、ターゲットセンシング信号を決定するステップは具体的に、何れか1つの修正後の第2の位置センシング信号を前記ターゲットセンシング信号に決定する)、また、デジタル制御回路は、修正後の全ての第2の位置センシング信号の平均値を前記ターゲットセンシング信号に決定してもよい(即ち、デジタル制御回路が少なくとも1つの修正後の第2の位置センシング信号に基づいて、ターゲットセンシング信号を決定するステップは具体的に、修正後の全ての第2の位置センシング信号の平均値を前記ターゲットセンシング信号に決定する)。
【0049】
好ましくは、本実施例において、選択制御回路及びサンプリング保持回路は同一クロックで動作し、同一クロックで動作する選択制御回路及びサンプリング保持回路はクロック同期を保持でき、サンプリング保持回路から出力される信号のグリッチを減少させ、システム全体の安定性及び信号処理精度を向上させる。
【0050】
以下、本出願の実施例が提供する位置センシング信号の取得方法を記載し、以下に記載の位置センシング信号の取得方法について、以上に記載の位置センシングシステムに対応して参照すればよい。
【0051】
対応して、本出願の実施例は位置センシング信号の取得方法を提供し、第1の位置センシング素子及び少なくとも1つの第2の位置センシング素子を含む位置センシングシステムに適用され、図3に示すように、前記位置センシング信号の取得方法は以下のステップを含み、
S101:所定信号に応答して、前記第1の位置センシング素子から出力される第1の位置センシング信号を取得する;
S102:前記所定信号に応答して、前記第2の位置センシング素子から出力される第2の位置センシング信号を取得する;
S103:前記第1の位置センシング信号を利用して少なくとも1つの前記第2の位置センシング素子から出力される第2の位置センシング信号を修正し、少なくとも1つの修正後の第2の位置センシング信号に基づいて、ターゲットセンシング信号を決定する。
【0052】
好ましくは、図4を参照し、前記第1の位置センシング信号を利用して少なくとも1つの前記第2の位置センシング素子から出力される第2の位置センシング信号を修正するステップは以下のステップを含み、
S1031:前記第1の位置センシング信号を第1の所定式に代入し、修正後の第2の位置センシング信号を算出して取得する;
前記第1の所定式は
【数5】
を含み、V2は修正後の第2の位置センシング信号を示し、VOUTは振幅が所定固定値である第1の位置センシング信号を示し、A2は、前記信号処理モジュールの、前記第2の位置センシング素子から出力されるアナログ信号に対する増幅倍数(具体的に、可変利得増幅器の、第2の位置センシング素子から出力されるアナログ信号に対する増幅倍数)であり、A1は前記信号処理モジュールの、前記第1の位置センシング素子に対する増幅倍数を示し、B2は所在する磁場から前記第2の位置センシング素子に提供された磁場強度を示し、B1は所在する磁場から前記第1の位置センシング素子に提供された磁場強度を示す。
【0053】
前記第2の位置センシング素子の数が1つより大きく、且つ修正後の第2の位置センシング信号の数が1つより大きい場合、図5を参照して、前記少なくとも1つの修正後の第2の位置センシング信号に基づいて、ターゲットセンシング信号を決定するステップは以下のステップを含んでもよく、
S1032:何れか1つの修正後の第2の位置センシング信号を前記ターゲットセンシング信号に決定する。
【0054】
また、前記第2の位置センシング素子の数が1つより大きく、且つ修正後の第2の位置センシング信号の数が1つより大きい場合、図6を参照して、前記少なくとも1つの修正後の第2の位置センシング信号に基づいて、ターゲットセンシング信号を決定するステップは以下のステップを含んでもよく、
S1033:修正後の全ての第2の位置センシング信号の平均値を前記ターゲットセンシング信号に決定する。
【0055】
対応して、本出願の実施例は電子機器をさらに提供し、上記の何れか1つの実施例に記載の位置センシングシステムを含み、当該電子機器は、磁場を提供するためのデバイス、例えば磁石をさらに含む。具体的に、当該電子機器はスマートフォン、タブレットなどであってもよく、本発明の実施例はこれに対して限定しない。
【0056】
図7を参照して、図7は本出願の1つの実施例が提供する位置センシングシステムの動作概略図であり、図1の位置センシングシステム及び1側に位置して、磁場を提供するための磁石40を含み、位置センシングシステムは磁石40から提供された磁場に基づいてターゲット物品の位置を検出する。前記第1の位置センシング素子10と第2の位置センシング素子20とが、型番且つパラメータが同様である位置センシング素子(何れもホール素子)である場合、ターゲット出力信号に影響できる要因は主に環境温度、及び磁石と位置センシング素子との間の角度を含む。環境温度は主に前記信号処理モジュール30の、第1の位置センシング素子10及び第2の位置センシング素子20から出力されるアナログ信号に対する感度に影響し、位置センシング素子から出力されるアナログ信号に影響する。磁石40は、位置センシング素子との間の角度によって、磁石の、位置センシング素子での磁場強度に影響し、例えば、磁石40と第1の位置センシング素子10との間の角度は主に、第1の位置センシング素子10で磁石40が生じる実効磁束、即ち、第1の位置センシング素子10で磁石40が生じる磁場強度に影響する。磁石40と第2の位置センシング素子20との間の角度は主に、第2の位置センシング素子20で磁石40が生じる実効磁束、即ち、第2の位置センシング素子20で磁石40が生じる磁場強度に影響し、位置センシング素子から出力される位置センシング信号に影響する。
【0057】
従って、上記の位置センシングシステムによる電子機器は、そのうちの1つの位置センシング素子のセンシング信号に基づいて、他の位置センシング素子のセンシング信号を修正して、修正後のセンシング信号に基づいてターゲットセンシング信号を決定し、単一位置センシング素子が所在する環境の環境要因の、最終的に取得したターゲットセンシング信号に対する悪影響を除去し、位置センシングシステムが取得した位置センシング信号の精度を高める。
【0058】
以上のように、本出願の実施例は位置センシングシステム、位置センシング信号の取得方法及び電子機器を提供し、前記位置センシングシステムには第1の位置センシング素子及び少なくとも1つの第2の位置センシング素子が配置され、所定信号に応答して、前記第1の位置センシング素子から出力される第1の位置センシング信号は、第2の位置センシング素子から出力される第2の位置センシング信号に対する修正信号として機能でき、これによって、前記信号処理モジュールは前記第1の位置センシング信号によって少なくとも1つの前記第2の位置センシング素子から出力される第2の位置センシング信号を修正して、少なくとも1つの修正後の第2の位置センシング信号に基づいて、ターゲットセンシング信号を決定し、位置センシング素子が所在する環境の環境要因の、最終的に取得した位置センシング信号に対する悪影響を除去し、前記位置センシングシステムが取得した位置センシング信号の精度を向上させる。
【0059】
本明細書の各実施例に記載の特徴を互いに置き換え又は組み合わせてもよく、各実施例は主に他の実施例との相違点を説明し、各実施例の間の同様又は類似の部分について、互いに参照してもよい。
【0060】
開示された実施例に対する上記の説明によって、当業者は本発明を実現又は使用できる。これらの実施例に対する多種の補正は当業者にとって自明であり、本明細書に定義された一般な原理は本発明の精神又は範囲から逸脱しない場合、他の実施例において実現できる。従って、本発明は本明細書に示されたこれらの実施例に限定されず、本明細書に開示された原理及び新規特点と一致する最も幅広い範囲に合う。
【0061】
(付記1)
位置センシングシステムであって、信号処理モジュール、第1の位置センシング素子及び少なくとも1つの第2の位置センシング素子を含み、
前記第1の位置センシング素子は、所定信号の駆動に応答して、第1の位置センシング信号を出力し、
前記第2の位置センシング素子は、前記所定信号に応答して、第2の位置センシング信号を出力し、
前記信号処理モジュールは、前記所定信号を前記第1の位置センシング素子及び第2の位置センシング素子に提供し、前記第1の位置センシング信号を利用して少なくとも1つの前記第2の位置センシング素子から出力される第2の位置センシング信号を修正し、少なくとも1つの修正後の第2の位置センシング信号に基づいて、ターゲットセンシング信号を決定することを特徴とする位置センシングシステム。
【0062】
(付記2)
前記信号処理モジュールは、選択制御回路、可変利得増幅器、サンプリング保持回路、デジタル制御回路及び電流源制御回路を含み、
前記選択制御回路は、前記第1の位置センシング素子及び少なくとも1つの前記第2の位置センシング素子に一々対応する複数のパスを含み、前記選択制御回路は複数のパスを介して第1の位置センシング素子及び少なくとも1つの第2の位置センシング素子と、前記可変利得増幅器とを接続し、
前記可変利得増幅器は、前記第1の位置センシング素子及び前記第2の位置センシング素子の出力信号を増幅させることで、増幅後の第1の位置センシング信号及び第2の位置センシング信号を取得し、
前記サンプリング保持回路は、増幅後の第1の位置センシング信号をアナログ電圧信号形態からデジタル信号形態に変換して、前記デジタル制御回路に伝送し、
前記デジタル制御回路は、前記所定信号を前記第1の位置センシング素子及び前記第2の位置センシング素子に提供するように前記電流源制御回路を制御し、デジタル信号形態の第1の位置センシング信号を利用して少なくとも1つのデジタル信号形態の第2の位置センシング信号を修正して、少なくとも1つの修正後の第2の位置センシング信号に基づいて、前記ターゲットセンシング信号を決定することを特徴とする付記1に記載の位置センシングシステム。
【0063】
(付記3)
前記デジタル制御回路はさらに、前記第1の位置センシング素子から出力される第1の位置センシング信号の振幅が所定固定値であるように、前記第1の位置センシング素子から出力される第1の位置センシング信号に基づいて前記所定信号を調整することを特徴とする付記2に記載の位置センシングシステム。
【0064】
(付記4)
前記デジタル制御回路が、前記第1の位置センシング信号を利用して少なくとも1つの前記第2の位置センシング素子から出力される第2の位置センシング信号を修正するステップは具体的に、前記第1の位置センシング信号を第1の所定式に代入し、修正後の第2の位置センシング信号を算出して取得し、
前記第1の所定式は
【数6】
を含み、V2は修正後の第2の位置センシング信号を示し、VOUTは振幅が所定固定値である第1の位置センシング信号を示し、A2は、前記信号処理モジュールの、前記第2の位置センシング素子に対する増幅倍数を示し、A1は前記信号処理モジュールの、前記第1の位置センシング素子に対する増幅倍数を示し、B2は所在する磁場から前記第2の位置センシング素子に提供された磁場強度を示し、B1は所在する磁場から前記第1の位置センシング素子に提供された磁場強度を示すことを特徴とする付記2に記載の位置センシングシステム。
【0065】
(付記5)
前記第2の位置センシング素子の数が1つより大きく、且つ修正後の第2の位置センシング信号の数が1つより大きい場合、前記デジタル制御回路が少なくとも1つの修正後の第2の位置センシング信号に基づいて、ターゲットセンシング信号を決定するステップは具体的に、何れか1つの修正後の第2の位置センシング信号を前記ターゲットセンシング信号に決定することを特徴とする付記2に記載の位置センシングシステム。
【0066】
(付記6)
前記第2の位置センシング素子の数が1つより大きく、且つ修正後の第2の位置センシング信号の数が1つより大きい場合、前記デジタル制御回路が少なくとも1つの修正後の第2の位置センシング信号に基づいて、ターゲットセンシング信号を決定するステップは具体的に、修正後の全ての第2の位置センシング信号の平均値を前記ターゲットセンシング信号に決定することを特徴とする付記2に記載の位置センシングシステム。
【0067】
(付記7)
前記デジタル制御回路は、さらに前記所定信号をミラーリングするように前記電流源制御回路を制御し、ミラーリングによる前記所定信号を前記第1の位置センシング素子及び前記第2の位置センシング素子にそれぞれ伝送することを特徴とする付記2に記載の位置センシングシステム。
【0068】
(付記8)
前記選択制御回路及び前記サンプリング保持回路は、同一クロックで動作することを特徴とする付記2に記載の位置センシングシステム。
【0069】
(付記9)
前記デジタル制御回路は、さらに前記ターゲットセンシング信号に基づいてターゲット位置情報を決定することを特徴とする付記2に記載の位置センシングシステム。
【0070】
(付記10)
前記所定信号は、所定電流信号又は所定電圧信号を含むことを特徴とする付記1に記載の位置センシングシステム。
【0071】
(付記11)
位置センシング信号の取得方法であって、第1の位置センシング素子及び少なくとも1つの第2の位置センシング素子を含む位置センシングシステムに適用され、前記位置センシング信号の取得方法は、
所定信号に応答して、前記第1の位置センシング素子から出力される第1の位置センシング信号を取得するステップと、
前記所定信号に応答して、前記第2の位置センシング素子から出力される第2の位置センシング信号を取得するステップと、
前記第1の位置センシング信号を利用して少なくとも1つの前記第2の位置センシング素子から出力された第2の位置センシング信号を修正し、少なくとも1つの修正後の第2の位置センシング信号に基づいて、ターゲットセンシング信号を決定するステップと、を含むことを特徴とする方法。
【0072】
(付記12)
前記第1の位置センシング信号を利用して少なくとも1つの前記第2の位置センシング素子から出力される第2の位置センシング信号を修正するステップは、
前記第1の位置センシング信号を第1の所定式に代入し、修正後の第2の位置センシング信号を算出して取得するステップを含み、
前記第1の所定式は
【数7】
を含み、V2は修正後の第2の位置センシング信号を示し、VOUTは振幅が所定固定値である第1の位置センシング信号を示し、A2は、前記信号処理モジュールの、前記第2の位置センシング素子に対する増幅倍数を示し、A1は前記信号処理モジュールの、前記第1の位置センシング素子に対する増幅倍数を示し、B2は所在する磁場から前記第2の位置センシング素子に提供された磁場強度を示し、B1は所在する磁場から前記第1の位置センシング素子に提供された磁場強度を示すことを特徴とする付記11に記載の方法。
【0073】
(付記13)
前記第2の位置センシング素子の数が1つより大きく、且つ修正後の第2の位置センシング信号の数が1つより大きい場合、前記少なくとも1つの修正後の第2の位置センシング信号に基づいて、ターゲットセンシング信号を決定するステップは、
何れか1つの修正後の第2の位置センシング信号を前記ターゲットセンシング信号に決定するステップを含むことを特徴とする付記11に記載の方法。
【0074】
(付記14)
前記第2の位置センシング素子の数が1つより大きく、且つ修正後の第2の位置センシング信号の数が1つより大きい場合、前記少なくとも1つの修正後の第2の位置センシング信号に基づいて、ターゲットセンシング信号を決定するステップは、
修正後の全ての第2の位置センシング信号の平均値を前記ターゲットセンシング信号に決定するステップを含むことを特徴とする付記11に記載の方法。
【0075】
(付記15)
電子機器であって、付記1~10の何れか一つに記載の位置センシングシステム及び磁場を提供するための磁石を含むことを特徴とする電子機器。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7