(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】ヒトの代謝に由来する有機化合物によって汚染された使用済み吸収性衛生製品を滅菌及び除染するための方法
(51)【国際特許分類】
A61L 2/04 20060101AFI20241108BHJP
B09B 3/40 20220101ALI20241108BHJP
B09B 3/70 20220101ALI20241108BHJP
B09B 101/67 20220101ALN20241108BHJP
【FI】
A61L2/04
B09B3/40 ZAB
B09B3/70
B09B101:67
(21)【出願番号】P 2023534700
(86)(22)【出願日】2021-12-13
(86)【国際出願番号】 IB2021061635
(87)【国際公開番号】W WO2022137008
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-06-07
(31)【優先権主張番号】102020000031721
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】ジョルジョ、バッカーロ
(72)【発明者】
【氏名】ファビオ、パゴット
(72)【発明者】
【氏名】トニーノ、カルーゾ
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-536606(JP,A)
【文献】特開2019-076902(JP,A)
【文献】国際公開第2018/179618(WO,A1)
【文献】特開2013-150976(JP,A)
【文献】特開2013-111479(JP,A)
【文献】特開平10-258113(JP,A)
【文献】特開2016-064325(JP,A)
【文献】特表2012-531979(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0268606(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/04
B09B 3/40
B09B 3/70
B09B 101/67
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リサイクルされる使用済み吸収性衛生製品を滅菌及び除染するための方法であって、前記使用済み吸収性衛生製品が、ヒトの代謝に由来しかつ薬物残留物を含む有機化合物によって汚染されており、前記使用済み吸収性衛生製品が、プラスチック、超吸収性ポリマー(SAP)、及び任意選択でセルロースの画分を含み、前記方法が、
-前記使用済み吸収性衛生製品を、140℃以下の温度に、1バール~3.6バールに含まれる圧力で加熱することによって滅菌して、滅菌された使用済み吸収性衛生製品を得る工程(SR)と、
-前記滅菌された使用済み吸収性衛生製品を、酸化処理によって前記有機化合物から除染する工程(DC)と、を含み、
前記酸化処理が、前記滅菌された使用済み吸収性衛生製品をオゾン含有ガスと接触させることによって実施され、
前記酸化処理が、60℃以上の温度で実施され、
前記酸化処理による前記除染工程(DC)に供された前記滅菌された使用済み吸収性衛生製品が、80%未満の湿度を有
し、
前記方法が、前記使用済み吸収性衛生製品を水又は水溶液に浸漬する工程を含まない、方法。
【請求項2】
リサイクルされる前記使用済み吸収性衛生製品が、プラスチック、セルロース、及びSAPの画分を含み、かつ乳児用おむつ、成人用失禁パッド、生理用ナプキン、ベッドライニングを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ガス中のオゾンの濃度が、0.6kg/m
3~0.14kg/m
3に含まれ
る、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記除染工程(DC)の前記酸化処理が、0.3バール~1.5バールに含まれる圧
力で実施される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記除染工程(DC)の前記酸化処理が、30分~90分に含まれる期
間にわたって実施される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記滅菌工程(SR)及び後続の前記除染工程(DC)が、密閉反応
器内で実施される、請求項1~
5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記除染工程(DC)の前記酸化処理が、前記オゾン含有ガスを前記反応器内に導入することによって実施される、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記除染工程(DC)が、前記反応器内に真空状態を作る工程を含み、前記真空を作る工程が、前記反応器内への前記オゾン含有ガスの導入に先行する、請求項
6又は
7に記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、前記有機化合物から滅菌及び除染された前記使用済み吸収性衛生製品を細断し、10cm未
満の粒径を有する、細断された使用済み吸収性衛生製品を得る工程(SH)を更に含む、請求項1~
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記方法が、前記細断された使用済み吸収性衛生製品を乾燥させ、プラスチック、SAP、及び任意選択でセルロースを含む、細断及び乾燥された使用済み吸収性衛生製品を得る工程(DR)を更に含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記方法が、前記細断及び乾燥された使用済み吸収性衛生製品から、プラスチック、任意選択でセルロース、及びSAPを分離する工程を更に含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
請求項
11に記載の方法によって得られる、使用済み吸収性衛生製品から分離されたプラスチックであって、前記プラスチックが、ヒトの代謝に由来しかつ薬物残留物を含む有機化合物によって除染されている、プラスチック。
【請求項13】
請求項
11に記載の方法によって得られる、使用済み吸収性衛生製品から分離されたセルロースであって、前記セルロースが、ヒトの代謝に由来しかつ薬物残留物を含む有機化合物によって除染されている、セルロース。
【請求項14】
請求項
11に記載の方法によって得られる、使用済み吸収性衛生製品に由来する超吸収性ポリマー(SAP)であって、前記SAPが、ヒト代謝に由来しかつ薬物残留物を含む有機化合物によって除染され、吸収能力(AC)が、元のSAPの吸収能力と比較して4%未満の低下を有する、超吸収性ポリマー(SAP)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、使用済み吸収性衛生製品のリサイクルに関する。具体的には、本開示は、ヒト用の使用済み吸収性衛生製品を、ヒトの代謝に由来する有機化合物から滅菌及び除染するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒト用の吸収性衛生製品は、一般に、様々な材料から構成され、その中には、例えば、プラスチック材料のフィルム、セルロース軟毛、超吸収性ポリマー(superabsorbent polymer、SAP)、及び合成繊維材料から作製された蒸散シートがある。したがって、このような衛生製品は、高品質の材料を含有するため、市場での再利用にその材料を回収することが、決定的に望ましい目的である。
【0003】
使用済み吸収性衛生製品の処理に関連する重要な態様は、有機排泄物及び細菌汚染の存在だけでなく、特定の治療処置のために使用者が使用する薬物に由来する代謝後の性質の化合物の存在にも関する。
【0004】
したがって、使用済み吸収性衛生製品は、後にリサイクルしてリサイクル原料として(廃棄物としてではなく)販売するためには、滅菌するだけでなく、化学的観点から除染しなければならない。
【0005】
しかしながら、使用済み吸収性衛生製品を滅菌温度に曝露することは、例えば薬物に由来する代謝後の性質の有機残留物からの除染も得るには十分ではない場合がある。
【0006】
一方、使用済み吸収性衛生製品を非常に高い温度及び圧力での加熱工程に供することを想定する方法は、無視できない致命的な態様を提示し得る。現在、例えば欧州特許第3162455(B1)号の明細書に記載されている方法が知られており、この方法は、少なくとも200℃の温度及び20バールより高い圧力での使用済み吸収性衛生製品の処理を想定している。しかしながら、このような温度及び圧力レジームは、代謝後の性質の化学残留物からの除染の観点からも潜在的に有効であるが、処理に供される混合材料に対して決定的に攻撃的であることが証明され得る。具体的には、セルロース系成分(グルコース単位からなる炭水化物)は、140℃を超えると褐変し、160℃を超えるとカラメル化し、200℃を超えると解重合し、その結果として柔軟性及び吸収能力が低下し、プラスチックは、160℃を超えると軟化し始め、溶融して他の材料を包み込み、その結果、その固有の機械的特性を失う。したがって、リサイクルされる材料の収率及び品質が損なわれる可能性がある。
【0007】
代替として、吸収性衛生製品は、過酸化水素、過硫酸塩、ペルオキシ一硫酸塩、及びオゾンなどの化学酸化剤で処理されてもよい。
【0008】
例えば、国際公開第2019/084203(A1)号、ルーマニア特許第129 948(B1)号、及び米国特許出願公開第2011/076192(A1)号の明細書に記載されているように、このような化合物の酸化作用は、手術器具、医療デバイス、電子デバイス、表面(例えば、作業空間、病室、及び有機材料)を処理するための方法に使用されてきた。
【0009】
しかしながら、利便性の高いリサイクルのために処理される使用済み吸収性衛生製品の場合、前述の化合物の酸化作用(化学除染だけでなく、殺菌、漂白、及び脱臭作用にも限定されてはならない)は、SAPの破壊及びセルロース繊維の解重合を伴う可能性がある。
【0010】
更に、過酸化水素及びオゾンなどの酸化剤は、それらがそれぞれ水と酸素とに分解するときに特定の汚染物質を放出しないとしても、それらは、所与の動作条件において、その場で形成し、存在する固体有機材料の燃焼を引き起こし得る、特に反応性の種である過酸化物の形成を引き起こす場合がある。
【0011】
例えば、韓国特許第101 044 439(B1)号の明細書は、使用済みおむつを洗浄及び滅菌工程に曝露することによって使用済みおむつを処理するための方法を記載しており、ここで、オゾンは、使用済み吸収性衛生製品の水流への曝露と同時に滅菌反応器内に導入される。
【0012】
しかしながら、水に溶解したオゾンは、ガス状オゾンの反応性よりも低い反応性を提示し、更に、水流に曝露された材料の湿度が高いことは、i)滅菌工程後に材料を圧搾すること、及びii)材料をその後の乾燥工程に曝露するために材料を開放することの必要性を示唆する。更に、材料を洗浄工程及び水流に曝露することは、廃水の処理及び処分を想定する必要性を伴う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】欧州特許第3162455(B1)号
【文献】国際公開第2019/084203(A1)号
【文献】ルーマニア特許第129 948(B1)号
【文献】米国特許出願公開第2011/076192(A1)号
【文献】韓国特許第101 044 439(B1)号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本明細書の目的は、前述の欠点を克服すること、並びにヒトの代謝に由来する有機化合物、例えば薬物残留物からの滅菌及び除染を可能にし、同時に、市場での利便性の高い再利用又はリサイクルのために、使用済み材料(プラスチック、超吸収性ポリマー(SAP)、及び任意選択でセルロース)から回収された製品の品質を維持する、使用済み吸収性衛生製品をリサイクルするための方法を提供することである。
【0015】
本開示の方法に供される使用済み吸収性衛生製品は、例えば、乳児用おむつ、成人用失禁パッド、女性用生理用ナプキン、及びベッドライニングを含み得る。これらの吸収性衛生製品は、プラスチック、超吸収性ポリマー、セルロース、又は単にプラスチック及び超吸収性ポリマーを含み得る。
【0016】
本明細書によれば、上記目的は、添付の特許請求の範囲の主題を形成する特性を有する方法によって達成される。特許請求の範囲は、記載される方法に関して本明細書に提供される教示の不可欠な部分を形成する。
【0017】
本開示のある実施形態は、ヒトの代謝に由来しかつ薬物残留物を含む有機化合物によって汚染された使用済み吸収性衛生製品を滅菌及び除染するための方法であって、当該使用済み吸収性衛生製品が、プラスチック、超吸収性ポリマー(SAP)、及び任意選択でセルロースの画分を含み、この方法が、
-当該使用済み吸収性衛生製品を、140℃以下の温度に、1バール~3.6バールに含まれる圧力で加熱することによって滅菌して、滅菌された使用済み吸収性衛生製品を得る工程SRと、
-当該滅菌された使用済み吸収性衛生製品を、酸化処理によって当該有機化合物から除染する工程DCと、を含み、
当該酸化処理が、滅菌された使用済み吸収性衛生製品を、60℃以上、好ましくは60℃~80℃に含まれる温度でオゾン含有ガスと接触させることによって実施される、方法、を提供する。
【0018】
オゾンによる処理に供された、滅菌された使用済み吸収性衛生製品は、80%未満、好ましくは60%~75%に含まれる湿度を有する。
【0019】
試料の湿度は、試料中に含有される水の百分率であり、既知量の試料を一定重量まで乾燥させることによって得られる乾燥物質の含有量を100から差し引くことによって計算される(IRSA-CNR Procedures 1-10-manuale_3_2011_compost-2:Umidita e sostanza secca)。
【0020】
使用済み吸収性衛生製品の湿度を80%未満の値に維持しながら(したがって、洗浄及び水への浸漬の工程に曝露せずに)、使用済み吸収性衛生製品をガス状オゾンで処理することにより、水の使用を企図した酸化処理よりも一連の利点が提示される。第1に、ガス状オゾンは、水に溶解したオゾンよりも反応性が高いことが証明されており、酸化処理のためのプラントは、より簡略化され、ひいては経済的により有利になる。次いで、処理された材料は、圧搾工程に供される必要はなく、乾燥機内に直接搬送される。更に、この方法は、処理された後に処分されなければならない廃水及び汚水を発生させない。
【0021】
本開示の主題を形成する方法は、滅菌及び除染された使用済み吸収性衛生製品を細断して、10cm未満、好ましくは3cm未満、更により好ましくは1cm未満の粒径を有する、細断された使用済み吸収性衛生製品を得る工程SHを更に含み得る。
【0022】
この方法は、細断された使用済み吸収性衛生製品を乾燥させて、プラスチック、SAP、及び任意選択でセルロースを含む、細断及び乾燥された使用済み吸収性衛生製品を得る工程DRを更に含み得る。
【0023】
更に、この方法は、プラスチック、セルロース、及びSAPを、当該細断及び乾燥された使用済み吸収性衛生製品から分離する工程を含み得る。
【0024】
1つ以上の実施形態では、除染工程DCは、滅菌工程SRの後、かつ細断工程SHの前に実施され得る。
【0025】
本開示の主題を形成する方法は、薬物に由来する代謝後の性質の残留物などの有機化合物によって除染された、セルロース、プラスチック、及びSAPの別個の滅菌された成分を得ることに有利に働く。これらの成分は、漂白されており、不快な臭気がない。これらの特徴によって、これらの成分は、利便性の高い再利用に適したものになる。
【0026】
更に、本開示の主題は、ヒトの代謝に由来しかつ薬物残留物を含む有機化合物によって除染された使用済み吸収性衛生製品から分離された、記載された方法で得られたプラスチック、超吸収性ポリマー(SAP)、及びセルロースである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
この方法は、純粋に非限定的な例として提供される添付の図面を参照して詳細に記載される。
【
図1】使用済み吸収性衛生製品からプラスチック、超吸収性ポリマー(SAP)、及びセルロースを滅菌及び分離するための当該技術分野で既知の方法の図を示す。
【
図2】
図1に概略的に表された方法に使用することができる装置の上部平面図である。
【
図3】滅菌工程の下流で、細断工程の前に実施される化合物からの除染の工程が想定される本明細書のある実施形態による方法の図を示す。
【
図4】本明細書の一実施形態によるガス状オゾンの生成及び反応器内への導入に関する図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の説明では、実施形態の徹底的な理解を可能にするために多数の特定の詳細が提供される。実施形態は、特定の詳細のうちの1つ以上を含まずに、又は他の方法、成分、材料などを含んで実装されてもよい。他の事例では、周知の構造、材料、又は動作は、実施形態の態様が不明瞭にならないように、詳細に図示又は記載されない。
【0029】
全ての添付の図面において、別途文脈において指定のない限り、同様である部分又は要素は、同一符号及び番号によって指定され、簡潔化のために対応する説明は繰り返さない。
【0030】
本明細書全体を通した「一実施形態」又は「ある実施形態」への言及は、その実施形態に関連して記載される特定の態様、構造、又は特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを示す。したがって、説明の様々な点に存在し得る「一実施形態では」又は「ある実施形態では」などの句は、必ずしも全てが1つの同じ実施形態を指すわけではない。更に、特定の態様、構造、又は特性は、1つ以上の実施形態において任意の好適な方式で組み合わせてもよい。本明細書で使用されるセクションの見出しは、単に便宜的に提供されており、実施形態の範囲又は目的を解釈するものではない。
【0031】
前述のセクションで予想されるように、使用済み吸収性衛生製品を滅菌するための方法は、代謝後の性質の有機残留物、例えば薬物に由来する残留物からの除染を保証しない場合がある。
【0032】
本発明者らは、セルロース、プラスチック、及び超吸収性ポリマー(SAP)などのこのような使用済み吸収性衛生製品から分離及び回収される成分の品質を損なう可能性がある動作条件(例えば、200℃より高い温度に、20バールより高い圧力で加熱する工程)に頼る必要なく、使用済み吸収性衛生製品の滅菌及び同時に有機化合物からの除染に有利に働くことができる方法の特定の動作条件を特定した。
【0033】
具体的には、本開示の主題を形成する方法は、ヒトの代謝に由来しかつ薬物残留物を含む有機化合物によって汚染された使用済み吸収性衛生製品を滅菌及び除染するための方法であって、当該使用済み吸収性衛生製品が、プラスチック、超吸収性ポリマー(SAP)、及び任意選択でセルロースの画分を含み、この方法が、
-当該使用済み吸収性衛生製品を、140℃以下の温度に、1バール~3.6バールに含まれる圧力で加熱することによって滅菌して、滅菌された使用済み吸収性衛生製品を得る工程SRと、
-滅菌された使用済み吸収性衛生製品を、酸化処理によって当該有機化合物から除染する工程DCと、を含み、
当該酸化処理が、滅菌された使用済み吸収性衛生製品をオゾン含有ガスと接触させることによって実施され、
当該酸化処理が、60℃以上、及び好ましくは60℃~80℃に含まれる温度で実施される、方法である。
【0034】
除染工程に供された、滅菌された使用済み吸収性衛生製品は、80%未満、好ましくは60%~75%に含まれる湿度の含有量を有する。
【0035】
試料の湿度は、試料中に含有される水の量(百分率量として表される)を示し、既知量の試料を一定重量に達するまで乾燥させることによって得られる乾燥物質の含有量を100から差し引くことによって計算される。予め秤量された試料P°の乾燥は、一般に、ストーブ内で、103℃~105℃に含まれる温度で少なくとも4時間にわたって、通常は一定重量で実行される。ストーブ内での乾燥の終わりに、試料を再び秤量し、P、乾燥物質の含有量、DS、を以下の式:DS=P/P°×100を適用することによって得、式中、Pは、脱水後の試料のグラム単位の重量であり、P°は、脱水前の試料のグラム単位の重量である。試料の湿度は、乾燥物質の含有量DSを100から差し引くことによって計算される(IRSA-CNR Procedures l-10-manuale_3_2011_compost-2:Umidita e sostanza secca:procedures IRSA-CNR 1984及びUNICHIM 10780/1998)。
【0036】
有利には、この方法の様々な工程に供される使用済み吸収性衛生製品は、水溶液と接触せず、また、水溶液に浸漬されない。この方法は、処理された後に処分される汚泥が結果として形成される、水中で洗浄する工程を想定していない。
【0037】
「吸収性衛生製品」という表現は、一般に、使い捨て吸収性衛生製品、例えば、乳児用おむつ、成人用失禁パッド、女性用生理用ナプキン、及びベッドライニングを示す。吸収性衛生製品は、プラスチック、SAP、セルロース、又は単にプラスチック及びSAPを含み得る。
【0038】
1つ以上の実施形態では、滅菌工程は、使用済み吸収性衛生製品を120℃~140℃に含まれる温度に加熱することによって実施され得る。滅菌工程が実施される時間間隔は、20分~2時間の範囲であり得る。
【0039】
滅菌工程は、除染工程と同様に、密閉反応器内で、好ましくはオートクレーブ内で、より好ましくは使用済み衛生製品の移動を維持することを可能にする回転オートクレーブ内で実施され得る。
【0040】
1つ以上の実施形態では、この方法は、滅菌工程及び除染工程に供された使用済み吸収性衛生製品を移動させる工程を含む。
【0041】
除染工程の酸化処理は、滅菌された使用済み吸収性衛生製品をオゾン含有ガスと接触させることを想定し、好ましくはそれからなる。この処理は、使用済み吸収性衛生製品を水又は水溶液に浸漬する工程を含まない。酸化処理による除染工程は、オゾン以外の更なる酸化剤の使用を含まない。
【0042】
吸収性衛生製品の湿度を80%未満の値に維持すること(ひいては、洗浄及び水への浸漬の工程への製品の曝露を防止すること)は、オゾンのより大きな反応性に有利に働き、製品を圧搾工程に供する必要性を回避し、かつ処理された後に処分されなければならない廃水及び汚泥を発生させない。
【0043】
オゾン含有ガスによる酸化処理は、60℃以上、好ましくは60℃~80℃に含まれる温度で実施される。
【0044】
ガス中のオゾン濃度は、0.06kg/m3~0.14kg/m3に含まれ得る。好ましくは、ガス中のオゾン濃度は、0.08kg/m3に等しい。ガス状オゾンによる酸化処理は、0.3バール~1バールに含まれる圧力、好ましくは0.5バールに等しい圧力で実施され得る。
【0045】
好ましくは、酸化処理は、30分~90分に含まれる期間、好ましくは60分の期間にわたって実施され得る。
【0046】
特定の動作条件のおかげで、本開示の主題を形成する方法により、使用済み材料から回収される製品(セルロース、プラスチック、SAP)が得られることが可能になり、品質は、再利用のために便利に販売され得るように保たれる。
【0047】
例えば
図1及び
図3に概略的に示されるように、この方法は、例えば本出願人の名義で出願された国際公開第2018/060827号の明細書に記載されているように、使用済み吸収性衛生製品を細断する工程SHと、細断された製品を乾燥させる工程DRと、細断及び乾燥された製品をプラスチック及びセルロースに分離する工程SEP Iと、セルロースをSAP及びセルロース軟毛に分離する工程SEP IIとを、更に含み得る。
【0048】
具体的には、本開示の主題を形成する方法は、分別収集から来る使用済み吸収性衛生製品を蓄積容器内に収集する工程STを含み得る。
図2は、蓄積容器が参照番号12で示される装置10を示す。ごみ収集車は、使用済み吸収性衛生製品を投棄領域14に降ろし、コンベヤ16が使用済み吸収性衛生製品を蓄積容器12内に装填する。収集された使用済み吸収性衛生製品は、150~300kg/m
3の範囲の密度及び65~80%の範囲の湿度を提示し得る。
【0049】
材料中に含有される水の百分率量として理解される材料の湿度は、試料の乾燥重量から計算される(IRSA-CNR Procedures l-10-manuale_3_2011_compost-2:Umidita e sostanza secca:procedures IRSA-CNR 1984及びUNICHIM 10780/1998)。
【0050】
収集工程STに続いて滅菌工程SRが行われ、この滅菌工程SRは、例えば製品を回転オートクレーブ18内に装填することによって実施される。
図2に示す例では、装置10は、蓄積容器12から来る使用済み吸収性衛生製品が交互に装填される2つのオートクレーブ18を備える。コンベヤ28は、蓄積容器12から製品を拾い上げ、それらをオートクレーブ18に搬送する。2つのローダ30は、それぞれのオートクレーブ18内に製品を装填する。製品の装填中、オートクレーブのハッチ20は開いており、円筒形本体を回転駆動させて、製品を後方部分に徐々に移動させる。装填が完了すると、ハッチ20は閉じられ、オートクレーブ18は、約135℃の温度及び約3.1バールの内圧に達するまで、蒸気の直接及び間接供給によって加熱及び加圧される。滅菌処理中、オートクレーブは、その中に収容された製品の移動を可能にするために、それ自体の軸を中心に時計回り方向及び反時計回り方向に交互に回転駆動し得る。滅菌工程SRは、製品の温度を121℃超、すなわち、細菌負荷の完全な滅菌を得ることが可能な温度まで上昇させる目的を有する。滅菌工程は、20分~2時間に含まれる時間間隔で実施され得る。
【0051】
滅菌処理の終わりに、オートクレーブ18内に収容された蒸気が抽出され、スクラバ34内で浄化される。次いで、ハッチ20を開き、本体が回転駆動して製品を取り出す。
図2の例では、交互に動作する2つのオートクレーブ18が設けられている。第1のオートクレーブ18は、滅菌処理を実行し、他方のオートクレーブ18は、滅菌された材料の取り出し及び新しいバッチの装填の動作を実行する。このようにして、オートクレーブ18の下流で、滅菌された材料の実質的に連続した流れを得ることが可能である。滅菌された材料は、約300~400kg/m
3の密度、80~100℃の温度、及び約70~85%の湿度を有し得る。
【0052】
本開示の主題を形成する方法は、
図3に概略的に表されるように、滅菌された使用済み吸収性衛生製品を、滅菌工程SRの下流で、例えば薬物に由来する化合物から除染する工程DCを実施することを想定する。具体的には、オゾン含有ガスを使用する酸化処理は、既に滅菌に供され、かつオートクレーブ内に収容された使用済み吸収性衛生製品の装填に対して実施される。
【0053】
本発明者らは、オゾン含有ガスの導入に先立って反応器内に真空状態が作られる場合、除染の有効性が増加することに注目した。真空状態は、例えば、
図4に概略的に表されるように、反応器に接続された真空ポンプを使用して得られる。真空ポンプVPは、-0.6バール~-0.8バールに含まれ得る相対圧力を反応器内に発生させる。オゾン含有ガスの導入に先立って反応器内に真空を作り、空気の含有量を低下させることによって、ガス状オゾンの含有量を最適化することが可能になる。
【0054】
真空が作られた後、ガス状オゾンを含有するガスがオートクレーブAC内に導入され、この段階で80%未満、好ましくは60%~75%に含まれる湿度を有する滅菌製品と接触する。
【0055】
オゾン含有ガスによる処理は、オートクレーブ内の温度を60℃以上、好ましくは60℃~80℃に含まれる温度に維持しながら実施される。
【0056】
オゾン含有ガスは、例えばオゾン発生器を使用して生成され得る。
図4に概略的に示されるように、ガス状オゾンの生成のために、液体酸素(O
2)を使用してもよく、これは、200バールの圧力でタンクに収容され、例えば、それをタンカーで輸送する専門企業によって供給される。減圧器PRを介して得られた1.5バールへの圧力の低下の後に、ガス状酸素が得られる。
【0057】
オゾン発生器又はイオナイザ(ozone generator、OG)は、酸素分子の一部をイオン化してオゾン(O3)に変換する高電圧発生器を備える。オゾン発生器によって発生したガスは、0.06kg/m3~0.14kg/m3、好ましくは0.08kg/m3の濃度のガス状オゾンを含む。
【0058】
1つ以上の実施形態では、オゾン含有ガスは、滅菌された材料が収容されている反応器内に、好ましくはオートクレーブ内に直接導入される。圧力下(最大圧力1.5バール)のオゾン含有ガスは、オゾン発生器OGとオートクレーブACの内部との間の圧力差によって、蒸気入口ダクトを通してオートクレーブAC内に徐々に注入され得る。
【0059】
オートクレーブACの内部は、最初は負圧であり、オゾン含有ガスを導入することによって徐々に圧力が増加し、0.3バール~1.5バールに含まれる値、好ましくは0.5バールに等しい値に達する。
【0060】
滅菌された使用済み吸収性衛生製品のガス状オゾンによる処理は、30分~90分に含まれる期間、好ましくは60分に等しい期間にわたって実施され得る。示された期間の終わりに、反応しなかった過剰のオゾン含有ガスが、
図4に概略的に示されるように、例えば真空ポンプVPによってオートクレーブACから排除される。
【0061】
酸化処理の終わりに、オートクレーブからの出力における材料は、例えば
図2に示される貯蔵容器32内に収集され得る。オゾンによる処理工程の後、製品は、以下に記載されるように、細断工程、乾燥工程、及び分離工程に供され得る。
【0062】
滅菌及び除染された材料は、貯蔵容器32からコンベヤベルト38を介して細断機36に送られる。細断機は、例えば、モータによって駆動される2つのロータを備え得る。ロータには、材料の細断を実施する歯が設けられている。細断によって、10cm未満、好ましくは3cm未満、より好ましくは1cm未満の粒径を有する、細断された材料を得ることが可能になる。細断SHの後、材料は、400~500kg/m3の範囲の密度、約75~95℃の温度、及び70~85%の範囲の湿度を提示し得る。
【0063】
滅菌工程SR、除染工程DC、及び細断工程SHに供された材料は、コンベヤ44を介して乾燥機42に送られ、そこで乾燥工程DRが実施される。乾燥機42は、ケーシングを備え、ケーシング内には、交互に反対方向に駆動し、垂直方向に互いの上に設置された有孔水平コンベヤが格納されている。コンベヤ44は、材料を上部コンベヤに降ろす。各水平コンベヤからの出力において、材料は、下にあるコンベヤ上に落下する。材料が水平方向に搬送され、一方のコンベヤから下にあるコンベヤへと順次通過する間に、加熱された空気流がケーシングを下から上へと横切る。空気流は、有孔コンベヤ及びその上に置かれた材料を横断する。空気流は、フィルタに接続されたファン50によって発生する。空気流は、蒸気が供給される一連の熱交換器54において加熱される。熱交換器42からの出力における空気流は、第2のファンによって吸い込まれ、凝縮排出デバイス及びスクラバに送られる。乾燥機42からの出力において、材料は、コンベヤベルト62上に降ろされる。乾燥機42には、材料の加熱を加速し、ひいては乾燥効果を増加させるために、上部コンベヤに面するマイクロ波発生器が設けられ得る。乾燥機への入口における材料は、約70~90℃の温度を有する。乾燥機42内の乾燥空気の温度は、約140℃である。乾燥機42からの出力における製品は、約50~70℃の温度、約35~50kg/m3の密度、及び5%~20%の湿度を有する。
【0064】
乾燥工程DRの下流で、滅菌、除染、細断、及び乾燥された材料は、分離アセンブリ64に送られ、そこで、プラスチック及びセルロースの分離工程(SEP I)が実施される。分離アセンブリ64は、基部を含み、かつ分離される材料のための入口を有する、少なくとも1つの第1の遠心分離機を備え得る。
図2に示す例では、カスケード式に配置された2つの遠心分離機66、67が設けられている。遠心分離機66は、ロータが水平軸を中心に回転可能に取り付けられている有孔円筒形フィルタが中に格納された分離チャンバを備え得る。入口における材料は、有孔フィルタに対して内側から外側に、半径方向に投入される。セルロースは、プラスチックよりも小さい粒径を有し、フィルタを通過して第1の出口で収集されるが、プラスチックは、フィルタに対して内側に留まり、第2の出口で収集される。好ましくは、第1の遠心分離機66からの出力におけるプラスチックは、より小さい穿孔を有するフィルタを有する第2の遠心分離機67に送られる。第1の遠心分離機からの出力において、85%~95%の範囲の純度を有するセルロース及び60%~80%の範囲の純度を有するプラスチックが得られる。第2の遠心分離機からの出力において、85%~95%の範囲の純度を有するセルロース及び85%~97%の範囲の純度を有するプラスチックが得られる。
【0065】
分離機66からの出力におけるプラスチックは、プラスチック細断機84に送られ、次いで、押出機又は高密度化機86に送られ得る。
【0066】
図2を参照すると、遠心分離機66からの出力において、セルロース80の流れは、セルロース細断機及びセルロースペレタイザ82に送られ得る。代替的に、セルロースの流れは、更なる分離工程SEP IIのために、セルロース及びSAPの分離のための更なる分離装置に送られて、より高い純度のセルロース及びSAPを得ることができる。具体的には、工程SEP IIにおけるセルロースからのSAPの分離は、2つの工程を含み得る。
【0067】
第1の分離工程SEP IIは、有孔固定シールド及び中央ロータを装備した機械的分離機の使用を想定し得る。より大きなサイズのセルロース繊維は、スクリーンによって引き留められたままであるが、SAPを含む画分は、2mm~5mmに含まれるサイズを有する穴を通過し、第2の機械的分離機を通して搬送され、第2の分離工程を受ける。第2の機械的分離機からの出力において、SAPの画分は、機械的分離機のシールドによって引き留められなかった小さいサイズのセルロース繊維を含み得る。
【0068】
第2の分離工程SEP IIは、約4500rpmの速度で回転することができる金属ホイールを装備したサイクロンシステムを有する空気分級機などの更なる分級機を使用し得る。分離される材料は、分級機の上部に挿入され、10m3/分~30m3/分の流量の空気流が当てられる。分離機は、高純度SAPの画分及びセルロース繊維の画分がそれぞれ搬送される2つの出口を備える。
【0069】
1つ以上の実施形態では、オゾンによる酸化処理による除染工程は、滅菌工程の下流で、滅菌された吸収性衛生製品の細断工程の前に実施される(
図3)。
【0070】
本開示の主題を形成する方法は、使用済み吸収性衛生製品の滅菌に有利に働き、また、薬剤の使用にも由来する代謝後の性質の可能性のある有機残留物量の低減として有機化合物からの有効な除染にも有利に働く。
【0071】
オゾン含有ガスによる処理工程を、滅菌された製品に対して直接実施することから得られる利点は、以下の点にある:
-滅菌工程SRの終わりに、オートクレーブからの出力における製品は、60%~75%の範囲の湿度及び60℃以上の温度を有し、これにより、ガス状オゾンによる酸化処理に供される材料の加熱及び加湿の工程を排除することが可能になる;
-ガス状オゾンによる処理は、製品の滅菌工程SRが実施されたのと同じ反応器、好ましくはオートクレーブ内で実施することができる;
-滅菌工程SRは、分別収集に由来する使用済み衛生製品に作用して、オゾン含有ガスとのより有効な接触のためにそれらを調製する。
【0072】
本発明者らは更に、記載された方法を使用して回収されたSAPが有意な吸収能力(absorption capacity、AC)を維持することに注目した。具体的には、吸収能力は、元のSAPの吸収能力と比較して4%未満の低下を提示する。前述の吸収能力は、予め秤量した量Miの試料を、過剰の脱イオン水(100g/mlの液体対固体比)に分配することによって測定される。完全に膨張した後、混合物を1350rpmで3分間遠心分離する。質量M2を有する膨化した材料を秤量する。吸収能力は、式:AC=(M2M1)/M1(g/g)を適用することによって計算され、式中、M1及びM2は、それぞれ無水材料及び膨化材料の重量(グラム単位)である。
【0073】
したがって、本明細書に記載の方法によって、(廃棄物としてではなく)回収された原材料として処理された衛生製品のリサイクル及び販売が可能になる。
【実施例】
【0074】
以下の説明は、処理された使用済み吸収性衛生製品の残留化合物からの除染を得る際の、本開示の主題を形成する方法の有効性を試験するために行われた実験的試験に関する。以下の結果は、滅菌に供された使用済み衛生製品をガス状オゾンで処理することによって実施される除染工程によって、95%より高いレベルであっても、残留有機化合物の有意な低減を得ることが可能になることを実証する。
【0075】
滅菌に供された使用済み衛生製品の化学的汚染
オゾンを使用して実行した酸化分解の有効性を、2019年5月15日の法令第621の表3bに記載の物質の低減に従って評価した。135℃の温度及び3.1バールの内部圧力で、20分間にわたってオートクレーブ内で実施される滅菌に供された使用済み吸収性衛生製品に由来するセルロース試料を、前述の物質で、具体的には、法令自体に記載の限界よりも100倍高い濃度を使用して強化した。異なる圧力条件及び異なる処理時間を使用して、試料(60%~75%に含まれる湿度)をガス状オゾンによる処理に供した。
1ジアゼパムを除いて、その購入は、それが麻薬性物質であるため、政府による制約によって制限される。
【0076】
最初に強化された後に処理された材料の水性抽出物に対して行われた分析によって、動作条件に従って、汚染指標として使用される物質が、前述の法令に示された限界よりも多い量で存続し得ることが明らかになった。
【0077】
予備的な結果によって、0.08kg/m3の濃度及び1.5バールの圧力でオゾン含有ガスを用いて合計60分間にわたって実施された処理が、試料が上流で強化された指標物質の低減に関してより大きな有効性を得ることを可能にすることが示された。
【0078】
酸化処理が1.5バールの圧力で60分間実施されたとき、低減は全初期汚染の93%に等しかった。低減率は、圧力の低下とともに降下した。具体的には、低減率は、ガスへの曝露の等圧値に移動して89%に降下したが、20分未満の曝露時間では、等時性曝露値への切り替えに移動して87%に降下したが、圧力は最も極端な条件と比較して3分の1に低下した。1.5バールへの圧力の増加は、除染の観点から有効性の増加を引き起こすが、しかしながら、SAP及びセルロースそれぞれの装填下での脱架橋及び解重合の反応をもたらし得る。漂白効果に関して、これは、圧力ではなくガス状オゾンへの曝露時間と相関するようである。最適な漂白効果は、実際、材料をオゾン含有ガスに0.5バールの圧力で合計60分間にわたって曝露することによって得られる。
【0079】
更なる実験試験を、強化セルロース試料に対して、予備試験と同様に、前述の法令(2019年5月15日付けの法令第62の表3b)に記載の限界値よりも100倍高い濃度で、上記の試験に既に用いられ、以下の表1に示される物質を使用して繰り返した。試料を、0.5バールの圧力、70℃の温度で60分間にわたってガス状オゾンによる処理に供し、移動した状態で維持した。結果を以下の表1に提供し、95%より高い総低減率を実証する。
【0080】
【表1】
*ジアゼパム、トラセミド、及びクラブラン酸による強化は、対照試料に対して実施しなかった。値は、重量比(一定重量まで105℃で乾燥させた試料の質量に対する物質の質量)として表される。放出試験は、L/S=100mL/g(24時間の浸漬での溶出液の回収)に等しい液体対固体比において水中で実施した。物質は、法律(2019年5月15日付けの法令第62)に従ってアルカリ性pHで抽出された。
【0081】
本開示の主題を形成する方法の工程の特定の動作条件によって、有効な除染に有利に働くこと、漂白及び臭気の排除の効果を得ること、同時に、再利用のために回収及び販売される材料の劣化に対抗することが可能になる。
【0082】
当然ながら、本発明の原理を損なうことなく、構成及び実施形態の詳細は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、広く変更することができる。