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特許7584670電気グリッドによって給電される電解槽を備える、電気グリッドの電力を発生させるための発電プラント
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  • 特許-電気グリッドによって給電される電解槽を備える、電気グリッドの電力を発生させるための発電プラント 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】電気グリッドによって給電される電解槽を備える、電気グリッドの電力を発生させるための発電プラント
(51)【国際特許分類】
   F02C 6/14 20060101AFI20241108BHJP
   F02C 3/22 20060101ALI20241108BHJP
   F02C 7/22 20060101ALI20241108BHJP
   F01K 23/10 20060101ALI20241108BHJP
   F02C 7/14 20060101ALI20241108BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20241108BHJP
   H02J 3/46 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
F02C6/14
F02C3/22
F02C7/22 A
F01K23/10 T
F02C7/14
F02C7/22 D
H02J3/38 170
H02J3/46
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2023545736
(86)(22)【出願日】2022-02-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(86)【国際出願番号】 EP2022025063
(87)【国際公開番号】W WO2022179753
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】102021000004421
(32)【優先日】2021-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】517029381
【氏名又は名称】ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Nuovo Pignone Tecnologie S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャンコッティ,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】ペレグリーニ,ティツィアーノ
【審査官】津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-141965(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0053792(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 6/14
F02C 7/22
F01K 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気グリッド(900)に提供される電力を発生するように構成された発電プラント(1000、2000、3000)であって、前記発電プラントが、
1の回転シャフトを有し、一次燃料を燃焼させるように構成されたガスタービン(110、2110、3110)であって、排気出口を有する、ガスタービン(110、2110、3110)と、
記第1の回転シャフトに結合された第1の発電機(120、2120、3120)であって、第1の電力出力を有する、第1の発電機(120、2120、3120)と、
2の回転シャフトを有する蒸気タービン(210、2210、3210)であって、蒸気入口を有する、蒸気タービン(210、2210、3210)と、
記第2の回転シャフトに結合された第2の発電機(220、2220、3220)であって、第2の電力出力を有する、第2の発電機(220、2220、3220)と、
記排気出口に結合されて、蒸気を前記蒸気入口に送給するように配置された蒸気発生器(300、2300、3300)と、
1の電力入力を有する第1の電解槽(410、2410、3410)と、
なくとも前記第1の電解槽(410、2410、3410)によって生成されて、前記ガスタービン(110、2110、3110)によって燃焼させる水素を貯蔵するためのタンク(800、2800、3800)と、を備え、
前記第1の発電機(120、2120、3120)の前記第1の電力出力が、前記電気グリッド(900)に結合されるように配置され、
前記第2の発電機(220、2220、3220)の前記第2の電力出力が、前記電気グリッド(900)に結合されるように配置され、
前記第1の電解槽(410、2410、3410)の前記第1の電力入力が、前記電気グリッド(900)に選択的に結合されるように配置されており、
二次燃料として水素も同様に選択的に燃焼させるために、前記タンク(800、2800、3800)が、前記ガスタービン(110、2110、3110)に流体結合され
少なくとも前記第1の電解槽(2410、3410)によって生成された水素流(H)を冷却し、冷却水素流を生成するための第2の熱交換器(2710、3710)を更に備え、
前記発電プラント(2000、3000)が、前記冷却水素流を前記ガスタービン(2110、3110)に送給するように配置されている、発電プラント(1000、2000、3000)。
【請求項2】
前記ガスタービン(110、2110、3110)への一次燃料流及び二次燃料流を制御するように配置された制御ユニット(600)を更に備える、請求項1に記載の発電プラント(1000、2000、3000)。
【請求項3】
前記制御ユニット(600)が、前記タンク(800、2800、3800)内の水素レベルを確認するように配置されている、請求項2に記載の発電プラント(1000、2000、3000)。
【請求項4】
前記タンク(800、2800、3800)が、限られた容量を有し、前記限られた容量が、前記二次燃料と前記一次燃料との所定の比率での所定の時間にわたる前記ガスタービン(110、2110、3110)の動作を保証するのに十分である、請求項1から3のいずれか1項に記載の発電プラント(1000、2000、3000)。
【請求項5】
前記所定の時間が2~20分の範囲であり、前記所定の比率が15~25重量%の範囲である、請求項4に記載の発電プラント(1000、2000、3000)。
【請求項6】
記第1の電解槽(410、2410、3410)の前記第1の電力入力と前記電気グリッド(900)との間に結合された第1の電気スイッチ(510)と、
記第1の電気スイッチ(510)に結合されて、前記第1の電気スイッチ(510)のスイッチングを制御するように配置された制御ユニット(600)と、を更に備える、請求項1から5のいずれか1項に記載の発電プラント(1000、2000、3000)。
【請求項7】
前記制御ユニット(600)が、前記制御ユニット(600)に記憶された少なくとも1つの所定の規則に従って、前記第1の電気スイッチ(510)のスイッチングを制御するように配置されている、請求項6に記載の発電プラント(1000)。
【請求項8】
前記制御ユニット(600)が、前記制御ユニット(600)によって受信される少なくとも1つの要求に従って、前記第1の電気スイッチ(510)のスイッチングを制御するように配置されている、請求項6に記載の発電プラント(1000)。
【請求項9】
2の電力入力を有する第2の電解槽(420)を更に備え、
前記第2の電解槽(420)の前記第2の電力入力が、前記電気グリッド(900)に選択的に結合されるように配置されている、請求項1から8のいずれか1項に記載の発電プラント(1000)。
【請求項10】
記第2の電解槽(420)の前記第2の電入力と前記電気グリッド(900)との間に結合された第2の電気スイッチ(520)と、
記第2の電気スイッチ(520)に結合されて、前記第2の電気スイッチ(520)のスイッチングを制御するように配置された制御ユニット(600)と、を更に備える、請求項9に記載の発電プラント(1000)。
【請求項11】
前記制御ユニット(600)が、前記制御ユニット(600)に記憶された少なくとも1つの所定の規則に従って、前記第2の電気スイッチ(520)のスイッチングを制御するように配置されている、請求項10に記載の発電プラント(1000)。
【請求項12】
前記制御ユニット(600)が、前記制御ユニット(600)によって受信される少なくとも1つの要求に従って、前記第2の電気スイッチ(520)のスイッチングを制御するように配置されている、請求項10に記載の発電プラント(1000)。
【請求項13】
流(W)を加熱し、加熱水流を生成するための第1の熱交換器(2720、3720)を更に備え、
前記発電プラントが、前記加熱水流を少なくとも前記第1の電解槽(2410、3410)に送給するように配置されている、請求項1から12のいずれか1項に記載の発電プラント(2000、3000)。
【請求項14】
前記第1の熱交換器(2720、3720)が、前記蒸気発生器(2300、3300)から廃熱を受け取るように配置されている、請求項13に記載の発電プラント(2000、3000)。
【請求項15】
前記第2の熱交換器(2710、3710)によって生成された加熱水流を前記第1の熱交換器(2720、3720)に送給するように配置されている、請求項13又は14に記載の発電プラント(2000、3000)。
【請求項16】
前記ガスタービン(2110、3110)が、少なくとも前記第1の電解槽(2410、3410)によって生成された水素を受け取って、それを燃料として使用するように配置される、請求項1から15のいずれか1項に記載の発電プラント(2000、3000)。
【請求項17】
前記第2の熱交換器(2710、3710)が、前記水素流(H)から除去された熱を使用して、水流(W)を加熱し、加熱水流を生成するように配置されている、請求項1から16のいずれか1項に記載の発電プラント(2000、3000)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される主題は、ガスタービンと、蒸気タービンと、電気グリッドに電気的に結合されるように配置された電解槽と、を備える、発電プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
電力を発生させるための発電プラントは様々であり得、典型的には、地方又は全国の電気グリッドに接続され、そこへプラントが電気エネルギーを提供する。
【0003】
発電プラントによって電気グリッドに提供される総電力量は、例えばグリッドの安定性及びグリッド動作性の連続性を確約するために、電力供給と電力需要との釣り合いを確実にしなければならない。例えば、全国グリッドを通る電力の流れを管理し、釣り合わせる活動は、エネルギーディスパッチングとして知られており、典型的には、グリッド運用者によって管理され、イタリアでは、中心的なグリッドの運営会社は、Ternaである。
【0004】
電気の需要に従って電力出力を調節することができる発電プラントは、「ディスパッチ可能な発電プラント」と呼ばれている。ディスパッチ可能な発電プラントは、起動時間及び柔軟性に応じて、長期及び/又は短期の提案をグリッド運用者に対して行って、様々な期間にわたって電気を提供する。例えば、ガスタービン又はガスエンジンの発電プラントは、起動時間が短いので、1日に何時間も動作させることができ、又は1年に数時間だけしか動作されないこともあり、短い起動過渡のため、起動及び停止が何度も行われる。
【0005】
反対に、短い起動過渡を有しない発電プラントは、通常、連続動作用に設計される。起動及び停止するのに数日かかり得るプラントの例は、原子力プラント又はコンバインドサイクルプラント(=combined cycle、CC)である。コンバインドサイクルプラントは、電気を生成するためのガスタービンと、電気を生成するための蒸気タービンと、ガスタービンから高温の排気ガスを使用して、蒸気タービン用の蒸気を発生させる蒸気生成熱交換器と、を含み、ガスタービンには、ガス燃料、しばしば天然ガスが送給される。例えば、ガスタービンは、CC電力出力の75%を生成し得、蒸気タービンは、CC電力出力の25%を生成し得る。
【0006】
従来のコンバインドサイクルプラントでは、蒸気タービンの電力出力が僅かに低減され得、例えば、蒸気タービンの部分化によって、又は蒸気生成熱交換器によって生成されて蒸気タービンに送給される蒸気を調節することによって、30%の蒸気タービン電力減少に達する。蒸気タービンの部分化は、蒸気が1つ以上の円形のセクタだけを通過するように、タービン入口環の1つ以上の部分を閉じることによって実行される。しかしながら、部分化は、蒸気を引き込むブレードの通気損失による追加的な消散、及びタービンホイールへのスラスト力の非対称性をもたらす。蒸気調節は、典型的には、「摺動圧力」制御を使用することによって、すなわち、「熱回収蒸気発生器」(=heat recovery steam generator、HRSG)とも呼ばれる熱交換器中の蒸発圧力を低減することによって実行される。しかしながら、摺動圧力制御は、長い過渡により、エネルギー需要が突然変化する場合には機能しない。
【0007】
CCプラントからの電力出力のより大幅な低減、例えばコンバインドサイクル電力出力の25%の低減が所望される場合、蒸気タービンが停止され(バイパスされ)、ガスタービンから高温の排気熱が無駄になり、コンバインドサイクルの効率の低減をもたらす。停止中に、蒸気タービンは、例えば、蒸気を凝縮器に廃棄する蒸気バイパスシステムによって、又は高温の排気ガスを大気中に排出するHRSGバイパススタックによって、HRSGから結合解除される。これらの設計外の条件は、電力グリッドのエネルギー生成とエネルギー需要とが釣り合っていない間に発生し得、具体的には、生産が需要を超えたときに発生し得、これは、典型的には、製造動作が一般に停止するので、夜に発生する。
【0008】
例えば、欧州特許第2503114号から、将来の使用のために、例えば、車両(限定されないが、自動車、トラック、列車、船、航空機、などが挙げられる)-車両が一般的になりつつある-への燃料補給のために、電気分解を通して水素を生成して、水素を大型タンクに貯蔵することによって、発電プラントからの余剰エネルギーを含むエネルギーを使用することが知られている。しかしながら、大量の水素を長期間貯蔵することは、爆発及び/又は大気中への漏出の可能性に関する安全問題を生じさせる。したがって、これらの問題を解決するために、
【発明の概要】
【0009】
電気グリッドに提供される電力に関して、コンバインドサイクル発電プラントの柔軟性を高めることが望ましい。具体的には、柔軟性の向上は、発電プラントに安全上の問題を加えることなく、比較的容易で安価な方法で得られるべきである。より具体的には、所望の解決策は、既に設置されて稼働している発電プラントにも比較的容易に適用可能でなければならない。
【0010】
一態様によれば、本明細書に開示される主題は、電気グリッドに提供される電力を発生させるための発電プラントに関するものであり、当該発電プラントは、ガスタービンと、蒸気タービンと、水から水素を発生させるために電力を使用するように設計された少なくとも1つの電解槽と、を含み、電解槽は、電気グリッドに選択的に結合されるように配置され、水素は、発電プラントの内部のタンクに一時的に貯蔵され、詳細な説明から明らになるように、タンクの容量は非常に小さく、理論的にはゼロであり得る。発電プラントのエネルギー生成がグリッドのエネルギー需要を超えたとき、電解槽が電気グリッドに接続され、それにより、グリッド運用者によって所望されない電力を有用に消費し、一次燃料とともに二次燃料としてガスタービンエンジンによって使用される水素を発生させる。余剰エネルギーは、有用な目的のためにプラントで局所的に消費されるので、ガスタービン及び/又は蒸気タービンは、同じ又はほぼ同じ動作状態に、好ましくは正確な又はほぼ最適な動作状態に、恒久的に維持され得る。
【0011】
有利には、電気グリッドへの/からの電解槽の結合/結合解除は、所定の規則を記憶及び使用し得、並びに/又は要求を受信及び使用し得る、制御ユニットの制御下で行われる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
開示された実施形態の、及びその付随する利点のより完全な理解は、添付図面と関連して考慮されるときに、以下の詳細な説明を参照することによって、より良く理解されるように、容易に取得されるであろう。
図1図1は、電気グリッドに接続された、電力を発生するための電解槽を備えた発電プラントの第1の実施形態の全般的な概略図を示す。
図2図2は、電解槽を備えた発電プラントの第2の実施形態の詳細な概略図を示す。
図3図3は、電解槽を備えた発電プラントの第3の実施形態の詳細な概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
開示される本明細書の主題は、全体のサイクル効率を低減することなく、プラントによってグリッドに提供される電力量を低減することが可能である、電気グリッドに提供される電力を発生するための発電プラントに関するものである。
【0014】
エネルギー需要が少ない期間、例えば夜間中に、グリッド運用者は、そのプラントから受け取る電力を大幅に、例えば10~40%、低減するようプラント運用者に要求し得る。通常、従来技術によれば、電力出力を低減するために、プラント運用者は、タービンの運転状態を変更するが、変更することで、全体的なサイクル効率の相対的な低減が生じる。
【0015】
プラントによってグリッドに提供される電力の低減を達成し、かつプラントの効率の低減を回避するために、本明細書に開示される主題によれば、タービンは、好ましくはその定格容量、すなわち(ガスタービン及び蒸気タービンの両方による)最大電力生成に維持され、1つ以上の電気負荷がグリッドに接続されて、特定の時間にグリッド運用者によって望まれない電力を局所的に消費する。電気負荷には、有用な目的、すなわち、燃料、具体的には二次燃料である水素を発生させるという目的を有し(発電プラントのタービンは、一次燃料、例えば天然ガス、及び二次燃料、すなわち水素を燃焼させ得る)、水と電気から水素を発生させるための機械は、「電解槽」又は「電解セル」として知られている。
【0016】
以下、図面において例解される本開示の実施形態を詳細に参照する。
【0017】
実施形態は、本開示を限定するものではなく、本開示の説明のために提供されるものである。実際には、本開示の範囲又は趣旨から逸脱しない限り、本開示に様々な修正及び変形を加えることができるということが、当業者には明らかであろう。
【0018】
非限定的な図1を参照すると、発電プラント1000、具体的には、コンバインドサイクル発電プラント)は、電気グリッド900に提供される電力を発生するように配置され、電気グリッド900は、例えば、ナショナルグリッド又はローカルグリッド(例えば、マイクログリッド又はナノグリッド)である。
【0019】
発電プラント1000は、ガスタービン110、具体的には、入口空気Aを圧縮する圧縮機と、以下「一次燃料」とも称され、典型的には天然ガスであるガス燃料Fを受け取る燃焼器と、1種以上の燃料を、典型的には空気-燃料である酸化剤Aとともに燃焼させる、以下で「二次燃料」とも称されるガス水素Hと、燃焼ガスを膨張させる膨張器と、を含み、圧縮機及び膨張器は、第1の回転シャフトを有する。酸化剤Aは、圧縮機の吸入口を通して圧縮機によって吸引され、膨張燃焼ガスは、膨張器の排気出口を通して排出される。一般に、燃焼器は、予備混合型又は拡散型であり得る。ガスタービンは、あるときには、その燃焼器が一次燃料だけを燃焼させ、別のときには、一次燃料及び二次燃料、すなわち水素を燃焼させるように、選択的に燃焼させるように構成され、非常に限られた時間(もしあれば)の間だけ、二次燃料、すなわち水素だけを燃焼させ得る。
【0020】
第1の発電機120(発電プラント1000に含まれる)は、ガスタービン110の第1の回転シャフトに結合され、第1の電力出力を発生する。図1に示されるように、第1の発電機120の電力出力は、電気グリッド900に結合されるように配置され、電力を電気グリッド900に供給する。
【0021】
この実施形態によれば、ガスタービン110の、具体的にはその膨張器の排気出口は、発電プラント1000に含まれる熱交換器300によって利用することができる熱容量を依然として有する高温の排出ガス流を排出する。
【0022】
熱交換器300は、有利には、ガスタービン110の排気出口に結合された熱回収蒸気発生器(HRSG)であり、排気ガスの熱容量の一部を使用して蒸気を発生させ、したがって、熱交換器300は、「蒸気発生器」とも呼ばれ得る。有利には、HRSGによって生成された蒸気は、蒸気タービンに、具体的には蒸気タービンの蒸気入口に送給されるように配置される。
【0023】
発電プラント1000は、第2の発電機220(発電プラント1000に含まれる)が結合される第2の回転シャフトを有する蒸気タービン210を追加的に含み、第2の発電機220は、第2の電力出力を発生する。図1に示されるように、電力出力は、電気グリッド900に結合されるように配置され、電力を電気グリッド900に供給する。
【0024】
更に、発電プラント1000は、少なくとも、電気グリッド900に選択的に結合されるように配置された第1の電力入力を有する、第1の電解槽410を含む。換言すれば、第1の電解槽410は、電気グリッド900に結合/から結合解除すること、及び電気グリッド900から電気入力を受け取ることができる。余剰エネルギーが、有用な目的のために、すなわち少なくとも1つの電解槽410によって水素を発生させるためにプラントで局所的に消費されるので、ガスタービン110及び/又は蒸気タービン120は、同じ又はほぼ同じ動作状態(好ましくは、正確な又はほぼ最適な動作状態)に恒久的に維持され得、これは、発生器120及び/又は220と同じ又はほぼ同じ電力を発生することを意味する。図1は、発電プラント1000とグリッド900との間の直接的な接続を示している。しかしながら、プラントの1つ以上の発生器及びプラントの1つ以上の電解槽は、直接的又は間接的にグリッドに接続され得ることに留意されたい。例えば、発生器の電気エネルギーをグリッドから電解槽に直接に分流するための内部の電線が存在し得る。
【0025】
好ましくは、発電プラント1000は、第1の電解槽410の第1の電気入力と電気グリッド900のとの間に位置付けられた第1の電気スイッチ510と、第1の電気スイッチ510に結合されて、第1の電気スイッチ510のスイッチングを、例えば第1の電気スイッチ510への入力の送信を制御するように配置された制御ユニット600と、を有する。具体的には、電気スイッチ510は、閉じた状態であるときに第1の電解槽410及び電気グリッド900を接続し、開いた状態であるときに第1の電解槽410及び電気グリッド900を接続解除するように配置される。
【0026】
好ましくは、制御ユニット600は、制御ユニット600に記憶された少なくとも1つの所定の規則に従って、第1の電気スイッチ510のスイッチングを制御するように配置される。
【0027】
例えば、発電プラント運用者は、グリッド運用者と協定を締結しており、それによれば、電気スイッチ510が閉じられる期間、及び電気スイッチ510が開かれる期間、すなわち、それぞれ、電解槽410が電気グリッド900と結合されて電気グリッド900から電気入力を受け取る期間、及び電解槽410が電気グリッド900に結合されていない期間があらかじめ定められ得る。
【0028】
有利には、発電プラント1000からのグリッドの電気エネルギー需要が少ないとき、電解槽410は、発電プラント1000によって電気グリッド900に供給される電力の一部が電解槽410によって直ちにかつ局所的に消費されるような方法で電気グリッド900と結合される。このようにして、発電プラント1000は、有利には、公称条件において、グリッド運用者との協定により電気グリッド900への電力供給の低減が定められていた場合であっても、常にそのような公称条件で動作させることができる。
【0029】
代替的又は追加的に、制御ユニット600は、制御ユニット600によって受信される少なくとも1つの要求に従って、第1の電気スイッチ510のスイッチングを制御するように配置される。
【0030】
例えば、制御ユニット600は、例えば電気エネルギー需要の突然の減少により、グリッド運用者又はプラント運用者から即座の要求を受信して、電気グリッド900への電力供給を低減し得る。この場合、制御ユニット600は、発電プラント1000によって電気グリッド900に供給される電力の一部を電解槽410が直ちにかつ局所的に消費するような方法で、電気スイッチ510を閉じて、電解槽410を電気グリッド900と結合する。
【0031】
上での説明とは異なり、第1の電解槽410の電力入力は、最初に電力グリッド900に接続されることなく、発電機120、220の出力に直接接続され得ることに留意されたい。この構成では、電気スイッチ510は、発電機120、220の出力と第1の電解槽410の電力入力との間に位置付けられる。
【0032】
図1に示される実施形態によれば、発電プラント1000は、電気グリッド900に選択的に結合される第2の電力入力を有する、第2の電解槽420を更に備える。換言すれば、第2の電解槽420は、電気グリッド900に接続して、電気グリッド900から第2の電気入力を受け取ることができる。第2の電解槽420は、第1の電解槽420と同じであり得る又は異なり得ることに留意されたい。
【0033】
好ましくは、発電プラント1000は、第2の電解槽420の第1の電気入力と電気グリッド900との間に位置付けられた第2の電気スイッチ520と、第2の電気スイッチ520に結合されて、第2の電気スイッチ520のスイッチング、例えば第2の電気スイッチ520への入力の送信を制御するように配置された制御ユニット600と、を有する。具体的には、電気スイッチ210は、閉じた状態であるときに第2の電解槽420及び電気グリッド900に接続し、開いた状態であるときに第2の電解槽420及び電気グリッド900を接続解除するように配置される。
【0034】
好ましくは、制御ユニット600は、制御ユニット600に記憶された少なくとも1つの所定の規則に従って、第2の電気スイッチ520のスイッチングを制御するように配置される。
【0035】
代替的又は追加的に、制御ユニット600は、制御ユニット600によって受信される少なくとも1つの要求に従って、第2の電気スイッチ520のスイッチングを制御するように配置される。
【0036】
第1の電気スイッチ510に結合された制御ユニット600及び第2の電気スイッチ520に結合された制御ユニット600が、同じ制御ユニットであり得ることに留意されたい。換言すれば、制御ユニット600は、第1の電気スイッチ520及び第2の電気スイッチ520を制御するように配置される。図1は、単一のスイッチング配置500で組み立てられたスイッチ510及びスイッチ520を示す。
【0037】
有利には、制御ユニット600は、異なる方法及び異なる制御論理で、例えば、制御ユニット600に記憶された所定の規則に従って、又は制御ユニット600によって受信される少なくとも1つの要求に従って、第1の電気スイッチ510及び第2の電気スイッチ520を制御することができる。例えば、制御ユニット600は、第1の電気スイッチ510を閉じて、第1の電解槽410を電気グリッド900と結合し得、第2の電解槽420が電気グリッド900から電気入力を受け取らないような方法で第2の電気スイッチ520を開き得る。このようにして、電気グリッド900から発電プラント1000によって、具体的には電解槽410及び420によって、直ちに消費される電力は、少なくとも4つの異なる様式で変調させることができる。
-第1の電気スイッチ510を開き、第2の電気スイッチ520を開く:第1の電解槽410及び第2の電解槽420の両方が電気グリッド900から接続解除される。
-第1の電気スイッチ510を開き、第2の電気スイッチ520を閉じる:第1の電解槽410が電気グリッド900に接続され、第2の電解槽420が電気グリッド900から接続解除される。
-第1の電気スイッチ510を閉じ、第2の電気スイッチ520を開く:第1の電解槽410が電気グリッド900から接続解除され、第2の電解槽420が電気グリッド900に接続される。
-第1の電気スイッチ510を閉じ、第2の電気スイッチ520を閉じる:第1の電解槽410及び第2の電解槽420の両方が電気グリッド900に接続される。
【0038】
有利には、発電プラント1000は、それぞれの電気スイッチを有する追加的な電解槽を有することができ、当該電気スイッチは、制御ユニット600によって電気グリッド900に選択的に結合されて、発電プラント1000によって直ちにかつ局所的に消費される電力をより細かく変調することができる。
【0039】
電解槽によって行われる電気分解は、水並びに電力を必要とするので、電解槽410及び/又は420はまた、電気グリッド900によって提供される電気入力に加えて、水流を提供する水源に流体接続されることに留意されたい。水流源は、発電プラント1000の外部にあり得、必要とされるプラントの構成又は水量に応じて異なり得る。
【0040】
発電プラント1000は、第1の電解槽410によって、及び第2の電解槽420(存在する場合)によって生成され、(必要に応じて)ガスタービン110によって燃焼させる水素を貯蔵するための、タンク800を更に含み、水素の貯蔵は、好ましくは、周囲温度(例えば、-10℃~+40℃の範囲)で行われ、水素の貯蔵は、好ましくは、比較的低い圧力で、例えば、30バール~100バールの範囲で行われるが、タンク800の圧力変動は、例えば、特定の実施形態に応じて5~20バールであり得ることに留意されたい。水素の一時的な貯蔵及び局所的な使用の観点から、タンク800は、非常に小型であり得、理論的には、水素が電解槽によって生成されるとすぐに燃焼器によって使用され得るので、その容量は、ゼロであり得る。典型的には、タンクは、水素を受容するための電解槽だけに、及び水素を送るためのタービンの燃焼器だけに流体結合され、そのような結合は、弁を通して制御され得る。
【0041】
有利には既に言及した制御ユニット600に対応し得る制御ユニットは、例えば1つ以上の弁を通したガスタービン110への一次燃料流及び二次燃料流を制御するように配置され得る。好ましくは、1つ又は複数の燃料流の制御は、制御ユニットに記憶された1つ以上の所定の規則に従って行われる。この制御ユニットは、(タンク内の水素圧力に対応し得る)タンク800内の水素レベルを確認するように更に配置され得、水素レベルに基づいて、制御ユニットは、アラームの発行、及び/又は1つ又は複数の燃料流の適切な調節を決定し得る。
【0042】
既に予測したように、タンク800は限られた容量を有する。その容量は、二次燃料及び一次燃料の所定の比率での所定の時間にわたるガスタービン110の動作を保証するのに十分であり、典型的には正確に十分である。有利には、所定の時間は、範囲に2~20分であるが、所定の期間は、一次燃料流及び二次燃料流の変動が生じて流れ制御弁の速度を考慮するようなる場合であっても、燃焼器のスムーズな動作を保証するように選択され得ることに留意されたい。有利には、所定の比率は、15~25重量%の範囲である。例えば、CH及びHを燃焼させるように設計された12MWの発電プラントでは、約20%の混合比率で、水素タンクによる5分間の燃焼器の動作が保証される場合、タンクは、約25mの容量を有し得、タンク内の圧力は、例えば30バール~例えば40バールで変動し得る。
【0043】
図2に示される(図1のプラントと概念的に同様である)発電プラントの第2の実施形態2000によれば、発電プラントは、水流Wを加熱し、少なくとも第1の電解槽2410に送給される加熱水流を生成するための熱交換器2720を更に備える。熱交換器2720は、電解槽の効率を高め、熱交換器2720によって生成された加熱水流によって送給される中温~高温の電解槽の使用を可能にする。
【0044】
電解槽2410に送給される加熱水流Wは、使用される電解槽のタイプ、例えば、アルカリ電解槽、プロトン交換膜(proton exchange membrane、PEM)電解槽、又は固体酸化物電解槽セル(solid oxide electrolyzer cell、SOEC)に応じた水流、蒸気流、又は混合水蒸気流であり得ることに留意されたい。
【0045】
非限定的な図2を参照すると、熱交換器2720は、熱回収蒸気発生器2300から熱を受け取り、この熱を使用して、電解槽2410に送給される水流Wを加熱する。
【0046】
具体的には、熱回収蒸気発生器2300から受け取った熱は、高温の水流、具体的には蒸気流、例えば、HRSG蒸発器2320とHRSG過熱装置2310との間で取り出される蒸気流の形態である。具体的には、発電プラント1000は、蒸発器2320の下流に弁2315を有し、当該弁は、蒸気タービンエンジンの蒸気流の一部、例えば1~2%を熱交換器2720に迂回させるように適合される。取り出された流れが熱交換器2720を通過して、電解槽2410に送給された水流Wに熱を放出すると、取り出された流れは、典型的には凝縮状態で、蒸気サイクルに再導入される。有利には、取り出された流れは、凝縮器2230に入る前に、蒸気タービン2210の出口流と混合される。
【0047】
図3に示される(図1及び図2のプラントと概念的に同様である)発電プラントの第3の実施形態3000によれば、熱交換器3720は、熱回収蒸気発生器3300から熱を受け取り、この熱を使用して、電解槽3410に送給された水流Wを加熱する。
【0048】
好ましくは、熱回収蒸気発生器3300からの熱は、大気中に放出される前に、排気ガスEGの残留熱容量を利用することによって発生する。これは、排気ガスEGを大気中に放出する直前に、熱回収蒸気発生器3300のエコノマイザ3330内の電解槽3410に送給される水流Wに通すことによって達成される。図3に示されるように、熱交換器3720は、排気ガスEGの残留熱容量を利用すること、及び蒸気タービンエンジンの蒸気流の一部を迂回させること、の両方によって熱を受け取り得ることに留意されたい。
【0049】
グリッド900からの電気エネルギー及び加熱水流を受け取る電解槽2410及び3410は、電気分解によって酸素流O及び水素流Hを出力として生成する。酸素流O及び水素流Hは、純粋な酸素流又は純粋な水素流ではない場合があること、具体的には、水素流Hは、水素流及び水流(具体的には蒸気)の混合物並びに/又は水素流及び酸素流の混合物であり得ることに留意されたい。
【0050】
有利には、発電プラント2000及び3000は、熱交換器2710及び3710を更に備え、少なくとも電解槽2410及び3410によって生成された水素流Hは、熱交換器2710及び3710によって冷却される。有利には、熱交換器2710及び3710はまた、水素流Hから除去された熱を使用して水流Wを加熱するための、水流Wの予熱器として機能する。有利には、熱交換器2710及び3710は、熱交換器2720及び3720に送給される水流Wの予熱器である。換言すれば、熱交換器2710及び3710は、加熱水流を熱交換器2720及び3720に送給するように配置される。非限定的な図3を参照すると、熱交換器3710は、熱回収蒸気発生器3300のエコノマイザ3330と熱交換器3720との間にある。
【0051】
有利には、発電プラント2000及び3000は、冷却水素流をガスタービン2110及び3110に送給するように配置される。換言すれば、ガスタービン2110及び3110は、電解槽2410及び3410によって生成された水素流Hを受け取り、それを燃料として、具体的には「二次燃料」として使用するように配置される。具体的には、水素流Hは、混合器2850及び3850に送給され、そこで、ガス状燃料F、すなわち、典型的には天然ガスである「一次燃料」と混合され、次いで、水素燃料混合物がガスタービン2110及び3110の燃焼器2111及び3111に注入される。
【0052】
有利には、混合器2850及び3850に送給される水素流Hの量は、弁286及び3860を調節することによって調節することができ、混合器2850及び3850に送給されるガス状燃料Fの量は、弁2870及び3870を調節することによって調節することができ、よって、ガスタービン2110及び3110は、異なる量の水素及び燃料を有し得る混合物を補給することができ、例えば、70%の燃料及び30%の水素の混合物を補給することができ、又は電解槽2410及び3410によって生成された水素流Hを最高100%まで補給することができる。
【0053】
発電プラント2000及び3000は、予混合火炎燃焼タイプである。しかしながら、本明細書に開示される技術的教示、具体的には図2及び図3を参照して説明される技術的特徴のうちの1つ以上はまた、拡散火炎燃焼が生じる発電プラントに適用され得る。
【0054】
有利には、発電プラント2000及び3000は、電解槽2410及び3410によって生成された水素流-水流を分離させて、ガスタービン2110及び3110が受け取る水素流Hの純度レベルを高めるために、分離器2810及び3810を備える。
【0055】
有利には、発電プラント2000及び3000は、電解槽2410及び3410によって生成された水素流-酸素流を分離させて、ガスタービン2110及び3110が受け取る水素流Hの純度レベルを高めるために、脱酸素化ステーション2820及び3820を備える。
【0056】
有利には、発電プラント2000及び3000は、水素流Hから水分を除去するためのステーションを備えており、例えば、分離器2810及び3810の後であっても残留し得る水を分離させて、ガスタービン2110及び3110が受け取る水素流Hの純度レベルを高めるために、電解槽又は脱水ステーション2830及び3830のからの同伴液体水の重力分離器を備える。
【0057】
有利には、発電プラント2000及び3000はまた、電解槽2410及び3410(又は例えば図1に示される更なる電解槽)によって生成された水素を貯蔵するためのタンク2800及び3800を備える。具体的には、これらのタンクは、燃焼器2111及び3111の上流、並びに電解槽2410及び3410の下流に位置付けられ、場合によっては、図2に示される構成要素2710、2810、2820、2830及び図3に示される構成要素3710、3810、3820、3830のうちの1つ以上がそれらの間に流体結合される。これらの構成要素のいずれも、圧縮機、すなわち1つ又は複数の電解槽によって発生した水素の圧力を高めるように配置された機械ではないことに留意されたい。
【0058】
一般に、結合構成要素によって、タンク内の圧力が、電解槽の出口の圧力よりも低く(典型的には数パーセントだけ低く)なる。換言すれば、結合構成要素は、(僅かな)圧力降下をもたらす。
【0059】
更に、一般に、結合構成要素によって、タンクの圧力が、燃焼器の入口の圧力よりも高く(典型的には数パーセントだけ高く)なる。換言すれば、結合構成要素は、(僅かな)圧力降下をもたらす。
図1
図2
図3