(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】空気調和機および空気調和機の制御方法
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20241108BHJP
F25B 41/26 20210101ALI20241108BHJP
F25B 41/38 20210101ALI20241108BHJP
B61D 27/00 20060101ALN20241108BHJP
【FI】
F25B1/00 331Z
F25B1/00 385A
F25B41/26 Z
F25B41/38
B61D27/00 F
(21)【出願番号】P 2023576302
(86)(22)【出願日】2022-01-26
(86)【国際出願番号】 JP2022002772
(87)【国際公開番号】W WO2023144902
(87)【国際公開日】2023-08-03
【審査請求日】2024-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】井上 武志
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/047506(WO,A1)
【文献】特開平10-238895(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0123689(US,A1)
【文献】特開昭59-12271(JP,A)
【文献】特開平4-257661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F25B 41/26
F25B 41/30 - 41/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を室外の空気と熱交換させる室外熱交換器、前記冷媒を膨張させる第一膨張弁、前記冷媒を室内の空気と熱交換させる室内熱交換器、前記冷媒を圧縮する圧縮機および、前記冷媒が流れる向きを切り替える第一切り替え装置を有し、前記室外熱交換器、前記第一膨張弁、前記室内熱交換器および前記第一切り替え装置が順次接続されると共に、前記圧縮機が前記第一切り替え装置に接続された冷媒回路と、
前記第一切り替え装置と前記圧縮機とにつなげられた第一流路および、前記室外熱交換器を前記第一膨張弁に接続する冷媒管が有する分岐部と前記冷媒管の前記分岐部よりも前記第一膨張弁側にある部分に設けられて前記冷媒の流れを切り替える第二切り替え装置とにつなげられた第二流路を有し、前記第一流路を流れる前記冷媒と前記第二流路を流れる前記冷媒を熱交換させる内部熱交換器と、
前記第一膨張弁と並列に接続され、前記室内熱交換器から前記室外熱交換器へ向かう方向へ前記冷媒が流れることが可能であり、その逆方向に前記冷媒が流れることが不能な第一逆止弁と、
前記冷媒管の前記第二切り替え装置がある部分よりも前記室外熱交換器の側に設けられ、前記冷媒を膨張させる第二膨張弁と、
前記冷媒管の前記第二切り替え装置がある部分と前記第二膨張弁が設けられた部分との間から分岐し、前記第二流路につながる分岐管と、
前記分岐管に設けられ、前記第二流路の側へ前記冷媒が流れることが可能であり、その逆方向に前記冷媒が流れることが不能な第二逆止弁と、
前記室内熱交換器に室内の空気を冷房させるときに、前記第二流路と前記第一膨張弁とが連通する状態に前記第二切り替え装置を切り替えて、前記内部熱交換器によって熱交換された前記冷媒を前記第一膨張弁へ流し、
かつ前記第二膨張弁を閉じると共に、前記第一膨張弁を開けて、前記第一膨張弁を通過する冷媒を膨張させ、
前記室内熱交換器に室内の空気を暖房させるときに、前記第二流路と前記第一膨張弁との連通を解除する状態に前記第二切り替え装置を切り替えて、前記第二流路から前記第一膨張弁への前記冷媒の流れを止め
、かつ前記第一膨張弁を閉じると共に、前記第二膨張弁を開けて、前記第二膨張弁を通過する冷媒を膨張させる制御装置と、
を備える空気調和機。
【請求項2】
前記室外熱交換器が前記冷媒を収容する部分の容積は、前記室内熱交換器が前記冷媒を収容する部分の容積よりも大きい、
請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記第二流路は、前記分岐部の側に、前記分岐部から前記第二切り替え装置へ向かう方向へ前記冷媒を流すことが可能である第三逆止弁を備える、
請求項1
または2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記第一切り替え装置は、並列に接続された2つの三方弁である、
請求項1から
3のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記第一切り替え装置は、四方弁である、
請求項1から
3のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記圧縮機が圧縮した前記冷媒を前記室外熱交換器へ流すと共に、前記室内熱交換器から排出される前記冷媒を前記第一流路へ流す状態に前記第一切り替え装置を切り替えることにより、前記室内熱交換器に室内の空気を冷房させ、かつ前記圧縮機が圧縮した前記冷媒を前記室内熱交換器へ流すと共に、前記室外熱交換器から排出される前記冷媒を前記第一流路へ流す状態に前記第一切り替え装置を切り替えることにより、前記室内熱交換器に室内の空気を暖房させる、
請求項1から
5のいずれか1項に空気調和機。
【請求項7】
冷媒を室外の空気と熱交換させる室外熱交換器、前記冷媒を膨張させる第一膨張弁、前記冷媒を室内の空気と熱交換させる室内熱交換器および、圧縮機によって圧縮された前記冷媒が流れる向きを切り替える第一切り替え装置を有し、前記室外熱交換器、前記第一膨張弁、前記室内熱交換器および前記第一切り替え装置が順次接続された冷媒回路と、
前記第一切り替え装置と前記圧縮機とにつなげられた第一流路および、前記室外熱交換器を前記第一膨張弁に接続する冷媒管が有する分岐部と前記冷媒管の、前記分岐部よりも前記第一膨張弁側にある部分に設けられて前記冷媒の流れを切り替える第二切り替え装置とにつなげられた第二流路を有し、前記第一流路を流れる前記冷媒と前記第二流路を流れる前記冷媒を熱交換させる内部熱交換器と、
前記第一膨張弁と並列に接続され、前記室内熱交換器から前記室外熱交換器へ向かう方向へ前記冷媒が流れることが可能であり、その逆方向に前記冷媒が流れることが不能な第一逆止弁と、
前記冷媒管の前記第二切り替え装置がある部分よりも前記室外熱交換器の側に設けられ、前記冷媒を膨張させる第二膨張弁と、
前記冷媒管の前記第二切り替え装置がある部分と前記第二膨張弁が設けられた部分との間から分岐し、前記第二流路につながる分岐管と、
前記分岐管に設けられ、前記第二流路の側へ前記冷媒が流れることが可能であり、その逆方向に前記冷媒が流れることが不能な第二逆止弁と、
を備える空気調和機の制御方法であって、
前記圧縮機が圧縮した前記冷媒を前記室外熱交換器へ流すと共に、前記室内熱交換器から排出される前記冷媒を前記第一流路へ流す状態に前記第一切り替え装置を切り替えることにより、前記室内熱交換器に室内の空気を冷房させるステップと、
前記圧縮機が圧縮した前記冷媒を前記室内熱交換器へ流すと共に、前記室外熱交換器から排出される前記冷媒を前記第一流路へ流す状態に前記第一切り替え装置を切り替えることにより、前記室内熱交換器に室内の空気を暖房させるステップと、
を備え、
前記室内熱交換器に室内の空気を冷房させるステップでは、前記第二流路と前記第一膨張弁とが連通する状態に前記第二切り替え装置を切り替えて、前記内部熱交換器によって熱交換された前記冷媒を前記第一膨張弁へ流し、
かつ前記第二膨張弁を閉じると共に、前記第一膨張弁を開けて、前記第一膨張弁を通過する冷媒を膨張させ、
前記室内熱交換器に室内の空気を暖房させるステップでは、前記第二流路と前記第一膨張弁との連通を解除する状態に前記第二切り替え装置を切り替えて、前記第二流路から前記第一膨張弁への前記冷媒の流れを止め
、かつ前記第一膨張弁を閉じると共に、前記第二膨張弁を開けて、前記第二膨張弁を通過する冷媒を膨張させる、
空気調和機の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は空気調和機および空気調和機の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機には、冷房運転時に、室外熱交換器から排出される冷媒を冷却する内部熱交換器を備えるものがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、冷媒を圧縮する圧縮機と、室外熱交換器から排出される冷媒が流れる高圧液管に設けられた分岐部と、圧縮機と分岐部の間に設けられ、冷房運転時に、分岐部で分岐され、かつ絞り装置によって減圧されることにより、冷却された冷媒と分岐部で分岐されたままの冷媒とを熱交換させ、分岐部で分岐されたままの冷媒を冷却して高圧液管に戻す内部熱交換器と、を備える空気調和機が開示されている。
【0004】
特許文献1に記載の空気調和機では、冷房運転時に、室外熱交換器から排出される冷媒を内部熱交換器が冷却する。このため、空気調和機の冷房性能が高められている。また、この空気調和機は、2つの室内熱交換器を備えるところ、一方を蒸発器、他方を凝縮器として使用して、他方の室内熱交換器がある室内を暖房する場合に、圧縮機と分岐部の間に設けられた切り替え弁を閉じることにより、内部熱交換器を余剰冷媒の貯留器として使用することができる。その結果、空気調和機の暖房性能が高められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の空気調和機は、内部熱交換器が、冷媒を減圧するための絞り装置を備える。このため、構造が複雑である。
【0007】
本開示は上記の課題を解決するためになされたもので、簡易な構造により、冷房性能と暖房性能が高められた空気調和機および空気調和機の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本開示に係る空気調和機は、冷媒回路と、内部熱交換器と、第一逆止弁と、第二膨張弁と、分岐管と、第二逆止弁と、制御装置と、を備える。冷媒回路は、冷媒を室外の空気と熱交換させる室外熱交換器、冷媒を膨張させる第一膨張弁、冷媒を室内の空気と熱交換させる室内熱交換器、冷媒を圧縮する圧縮機および、冷媒が流れる向きを切り替える第一切り替え装置を有し、室外熱交換器、第一膨張弁、室内熱交換器および第一切り替え装置が順次接続されると共に、圧縮機が第一切り替え装置に接続されている。また、内部熱交換器は、第一切り替え装置と圧縮機とにつなげられた第一流路および、室外熱交換器を第一膨張弁に接続する冷媒管が有する分岐部と冷媒管の分岐部よりも第一膨張弁側にある部分に設けられて冷媒の流れを切り替える第二切り替え装置とにつなげられた第二流路を有し、第一流路を流れる冷媒と第二流路を流れる冷媒を熱交換させる。第一逆止弁は、第一膨張弁と並列に接続され、室内熱交換器から室外熱交換器へ向かう方向へ冷媒が流れることが可能であり、その逆方向に冷媒が流れることが不能である。第二膨張弁は、冷媒管の第二切り替え装置がある部分よりも室外熱交換器の側に設けられ、冷媒を膨張させる。分岐管は、冷媒管の第二切り替え装置がある部分と第二膨張弁が設けられた部分との間から分岐し、第二流路につながる。第二逆止弁は、分岐管に設けられ、第二流路の側へ冷媒が流れることが可能であり、その逆方向に冷媒が流れることが不能である。制御装置は、室内熱交換器に室内の空気を冷房させるときに、第二流路と第一膨張弁とが連通する状態に第二切り替え装置を切り替えて、内部熱交換器によって熱交換された冷媒を第一膨張弁へ流し、かつ第二膨張弁を閉じると共に、第一膨張弁を開けて、第一膨張弁を通過する冷媒を膨張させる。また、制御装置は、室内熱交換器に室内の空気を暖房させるときに、第二流路と第一膨張弁との連通を解除する状態に第二切り替え装置を切り替えて、第二流路から第一膨張弁への冷媒の流れを止め、かつ第一膨張弁を閉じると共に、前記第二膨張弁を開けて、前記第二膨張弁を通過する冷媒を膨張させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の構成によれば、制御装置は、室内熱交換器に室内の空気を冷房させるときに、第二流路と第一膨張弁とが連通する状態に第二切り替え装置を切り替えて、内部熱交換器によって熱交換された冷媒を第一膨張弁へ流す。このため、第一膨張弁を経由して室内熱交換器へ流れる冷媒の温度が低くなる。その結果、空気調和機の冷房性能が高められる。
【0010】
また、制御装置は、室内熱交換器に室内の空気を暖房させるときに、第二流路と第一膨張弁との連通を解除する状態に第二切り替え装置を切り替えて、第二流路から第一膨張弁への冷媒の流れを止める。このため、室内熱交換器に室内の空気を暖房させるときに第二流路に入った冷媒が第二流路にとどまる。その結果、暖房時に冷媒回路内で冷媒が余剰となることが抑制される。これにより、空気調和機の暖房性能が高められる。
【0011】
さらに、内部熱交換器が、室外熱交換器を第一膨張弁に接続する冷媒管が有する分岐部と冷媒管の分岐部よりも第一膨張弁側にある部分に設けられて冷媒の流れを切り替える第二切り替え装置とにつなげられた第二流路を備え、制御装置が、第二切り替え装置を切り替えるだけで、第二流路と冷媒管が連通したり、その連通が解除されたりする。その結果、空気調和機の冷房性能と暖房性能が高まる。空気調和機は、簡易な構造により、冷房性能と暖房性能が高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の実施の形態に係る空気調和機の冷媒回路図
【
図2】実施の形態に係る空気調和機が備える制御装置のハードウエア構成図
【
図3】実施の形態に係る空気調和機の冷房運転時の冷媒の流れを示す冷媒回路図
【
図4】実施の形態に係る空気調和機の暖房運転時の冷媒の流れを示す冷媒回路図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施の形態に係る空気調和機および、空気調和機の制御方法について図面を参照して詳細に説明する。なお、図中、同一又は同等の部分には同一の符号を付す。
【0014】
実施の形態に係る空気調和機は、鉄道車両の室内空気を調和する空気調和機である。この空気調和機は、室内熱交換器と室外熱交換器のほかに、冷房性能を高めるために使用する内部熱交換器を備える。そして、この空気調和機は、冷房運転時に、三方弁を切り替えて内部熱交換器に冷媒を流す制御を行う制御装置を備える。まず、
図1を参照して、制御装置の制御対象である空気調和機の構成について説明する。
【0015】
図1は、実施の形態に係る空気調和機1の冷媒回路図である。なお、
図1では、理解を容易にするため、空気調和機1の各構成を示すほか、制御装置80と各部品との電気的接続を点線で示している。
【0016】
図1に示すように、空気調和機1は、冷媒を圧縮する圧縮機10と、冷媒の流れる向きを切り替える三方弁21、22と、冷媒を室外空気と熱交換させる室外熱交換器30と、冷媒を膨張させる膨張弁41、42と、冷媒と室内空気を熱交換させる室内熱交換器50とを備える。圧縮機10、三方弁21、22、室外熱交換器30、膨張弁41、42および室内熱交換器50は、この順序で接続されて冷媒回路2を形成している。
【0017】
圧縮機10は、低圧の冷媒を圧縮することにより、高圧の冷媒に変換する装置である。圧縮機10は、図示しない吸入口と吐出口を有し、その吸入口から低圧の冷媒を吸入し、また、吐出口から高圧の冷媒を吐出する。吸入口は、後述する内部熱交換器60に接続されている。これに対して、吐出口は、圧縮機10から三方弁21へ向かう方向に冷媒を流すことが可能であり、かつ、その逆方向には冷媒を流すことが不能な逆止弁11を介して、三方弁21に接続されている。
【0018】
三方弁21と22は、並列に接続されている。詳細には、三方弁21は3つの接続口を有する。それらの3つの接続口のうち、第一接続口には、室外熱交換器30につながる冷媒管31から分岐する管が接続されている。また、第二接続口には、圧縮機10から延びる冷媒管12が接続されている。さらに、第三接続口には、室内熱交換器50につながる冷媒管51から分岐する管が接続されている。
【0019】
一方、三方弁22も、第一接続口、第二接続口、第三接続口を有する。そして、第一接続口には、冷媒管31から分岐する管が接続されている。また、第二接続口には、内部熱交換器60から延びる冷媒管63が接続されている。さらに、第三接続口には、冷媒管51から分岐する管が接続されている。
【0020】
三方弁21、22は、例えば、電磁弁または、電動弁である。そして、三方弁21、22には、後述する制御装置80が電気的に接続されている。三方弁21、22は、制御装置80によって切り替えられることにより、圧縮機10から冷媒管12を通って流れ込む冷媒を、室外熱交換器30につながる冷媒管31へ流す。さらに、三方弁21、22は、室内熱交換器50から冷媒管51を通って排出される冷媒を、内部熱交換器60につながる冷媒管63へ流す。その結果、三方弁21、22は、空気調和機1の運転状態を冷房運転状態にする。
【0021】
或いは、三方弁21、22は、制御装置80によって切り替えられることにより、圧縮機10から流れ込む冷媒を、室内熱交換器50につながる冷媒管51へ流す。さらに、室外熱交換器30から冷媒管31を通って排出される冷媒を、内部熱交換器60につながる冷媒管63へ流す。その結果、三方弁21、22は、空気調和機1の運転状態を暖房運転状態にする。
【0022】
このように、三方弁21、22は、冷媒回路2の冷媒が流れる方向を切り替えて、空気調和機1を冷房運転または暖房運転の状態にする。その結果、三方弁21、22は、圧縮機10によって圧縮された冷媒を、室外熱交換器30または室内熱交換器50へ流す。
【0023】
室外熱交換器30は、フィン・アンド・チューブ型の構造を有する。詳細には、室外熱交換器30は、図示しない複数のフィンと複数のチューブを有し、それらフィンには、図示しないファンにより室外空気が送風される。また、それらチューブには、冷房運転時に圧縮機10から流れる冷媒が流れる。または、暖房運転時に膨張弁41から流れる冷媒が流れる。これにより、室外熱交換器30は、フィンに送風される室外空気とチューブ内を流れる冷媒を熱交換させて、冷房運転時には冷媒を凝縮させ、または、暖房運転時には冷媒を蒸発させる。その結果、室外熱交換器30は、冷房運転時に凝縮器として機能し、または暖房運転時に蒸発器として機能する。室外熱交換器30は、冷房運転時には、
図1に示す膨張弁42へ冷媒を流し、暖房運転時には三方弁21、22へ冷媒を流す。
【0024】
膨張弁41、42は、冷媒の流路の開度を調整する、図示しない弁体を備える。そして、膨張弁41、42は、例えば、電磁弁または、電動弁である。膨張弁41、42には、
図1に示す制御装置80が電気的に接続され、その制御装置80の出力によって、弁体による流路の開度が調整される。これにより、膨張弁41、42は、弁体の開度によって冷媒を減圧する。その結果、膨張弁41、42は、冷媒を、制御装置80の出力に応じた圧力に冷媒を減圧して膨張させる。
【0025】
また、膨張弁41と42は、暖房運転と冷房運転それぞれで冷媒を膨張させるために設けられている。膨張弁41は、暖房運転時にだけ使用され、冷房運転時に使用されない状態とするため、逆止弁68と並列に接続されている。ここで、逆止弁68は、膨張弁41と室外熱交換器30との間から分岐する冷媒管32から内部熱交換器60へ向かう方向に、または室内熱交換器50へ向かう方向に冷媒を流すことが可能であり、その逆方向へ冷媒を流すことが不能である。一方、膨張弁42は、冷房運転時にだけ使用され、暖房運転時に使用されない状態とするため、逆止弁46と並列に接続されている。ここで、逆止弁46は、室内熱交換器50側から室外熱交換器30側へ向かう方向へ冷媒を流すことが可能であるが、その逆方向には冷媒を流すことが不能である。
【0026】
また、膨張弁41、42は、制御装置80に制御されることにより、冷房運転または暖房運転のいずれであるかに応じて、それぞれの弁体の開度が調整される。その結果、冷房運転である場合には、膨張弁42が冷媒を膨張させ、膨張した冷媒は、室内熱交換器50へ排出される。また、暖房運転である場合には、膨張弁41が冷媒を膨張させ、膨張した冷媒は、室外熱交換器30へ排出される。
【0027】
室内熱交換器50は、室外熱交換器30と同様に、フィン・アンド・チューブ型の構造を有する。詳細には、室内熱交換器50は、室外熱交換器30と同様に、図示しないフィンを有し、そのフィンには、図示しないファンから室内空気が送風される。また、室内熱交換器50は、図示しないチューブを有し、そのチューブには、冷房運転の場合、膨張弁42によって膨張された冷媒が流れる。または、暖房運転の場合、圧縮機10によって圧縮された冷媒が流れる。その結果、室内熱交換器50は、送風される室内空気とチューブ内を流れる冷媒とを熱交換させる。これにより、室内熱交換器50は、冷房運転時には、室内空気の熱を吸収して、冷媒を蒸発させる蒸発器として機能し、または、暖房運転時には、室内空気へ熱を放って、冷媒を凝縮させる凝縮器として機能する。その結果、室内熱交換器50は、冷房運転時に室内空気を冷やし、暖房運転時に室内空気を温める。室内熱交換器50は、冷房運転時には冷媒を三方弁21、22へ戻し、暖房運転時には冷媒を膨張弁41へ流す。
【0028】
このような部品で形成された冷媒回路2によって、空気調和機1は、冷房運転または暖房運転を行う。基本的に、それら運転では、凝縮器は蒸発器における空気からの吸熱と圧縮仕事による入熱を空気へ放熱する必要がある。このため、凝縮器には蒸発器よりも大きな熱交換性能が要求される。そして、環境保護のため、冷媒には、自然界に存在する物質により構成された冷媒が使用されている。詳細には、冷媒には、二酸化炭素、すなわちCO2が用いられている。
【0029】
そのCO2は、圧力が超臨界点を超えて、超臨界状態となった場合に液化することがない。このため、冷房運転時に凝縮器として機能する室外熱交換器30には、ガスクーラーと呼ばれることがある大型の容積を有する熱交換器が用いられることが望ましい。このような背景から、室外熱交換器30の冷媒を収容する部分の容積は、冷媒の凝縮変化を伴う空気調和機と比較する場合、室内熱交換器50の冷媒を収容する部分の容積よりも更に大きい。
【0030】
この場合、冷房運転時に凝縮器として機能する室外熱交換器30の容積にあわせて、冷媒回路2で使用される冷媒の量が決められてしまうと、暖房運転時に、室外熱交換器30よりも小さい容積の室内熱交換器50が凝縮器として機能することになるため、余剰な冷媒が発生してしまう。その結果、室内熱交換器30を流れる冷媒の温度と圧力が暖房運転時に上昇してしまい、空気調和機1の暖房性能が低下してしまう。一方、空気調和機1の暖房性能の低下を防ぐため、室内熱交換器50の容積を室外熱交換器30よりも大きくすると、必要となる冷媒量が増加し且つ空気調和機1が大型化するという問題が生じてしまう。
【0031】
そこで、空気調和機1は、冷房性能を高めるための内部熱交換器60と、暖房運転時に内部熱交換器60へ余剰冷媒を溜めるために、内部熱交換器60への冷媒の流れを切り替える三方弁70とをさらに備える。
【0032】
内部熱交換器60は、状態の異なる2種類の冷媒を互いに熱交換させるため、多管円筒式の構造を有する。詳細には、内部熱交換器60は、互いに連通した複数のチューブ61と、それらチューブ61を内部に収容し、チューブ61の延在方向に円筒軸を向けた円筒の形状のシェル62とを有する。
【0033】
複数のチューブ61には、熱交換対象となる冷媒を流し込むため、詳細には、冷房運転時に室内熱交換器50から流れる低温の冷媒を流し込むため、または、暖房運転時に室外熱交換器30から流れる低温の冷媒を流し込むため、上述した三方弁22の第二接続口につながる冷媒管63が接続されている。また、複数のチューブ61には、その流し込まれた冷媒を排出するため、圧縮機10につながる冷媒管64が接続されている。
【0034】
これに対して、シェル62には、熱交換対象となる、冷房運転時に室外熱交換器30によって凝縮された高温の冷媒を流し込むため、冷媒管65が接続されている。その冷媒管65は、室外熱交換器30と膨張弁41をつなぐ冷媒管32にある分岐部33に接続されている。また、冷媒管65には、冷媒の水分と異物を除去するためのフィルタ67が設けられている。さらに、シェル62には、流し込まれた冷媒を排出するため、冷媒管66が接続されている。その冷媒管66は、膨張弁41から延びる冷媒管43と膨張弁42から延びる冷媒管44との接続部分に接続されている。
【0035】
なお、冷媒管65には、上述した、冷媒の流れる方向を規定するため、冷媒管32からシェル62へ向かう方向に冷媒を流すことが可能であり、その逆方向へ冷媒を流すことが不能な逆止弁68が設けられている。また、冷媒管65の延在方向にある中間部分651には、膨張弁41側にある冷媒を取り込むため、膨張弁41につながる冷媒管43から分岐する冷媒管45が接続されている。そして、その冷媒管45には、冷媒管65から膨張弁41へ冷媒が逆流することを防ぐため、冷媒管43からシェル62へ向かう方向に冷媒を流すことが可能であり、その逆方向へ冷媒を流すことが不能な逆止弁69を有する冷媒管45が設けられている。
【0036】
内部熱交換器60では、シェル62の内部空間に、複数のチューブ61が互いの間に隙間を有すると共に、シェル62の内壁との間に隙間を有する状態で配置されている。そして、チューブ61は、熱伝導性の高い金属、例えば、アルミニウムで形成されている。その結果、上述した接続関係により、冷房運転時に、室内熱交換器50からチューブ61に低温の冷媒が流れ込み、かつ室外熱交換器30からシェル62に高温の冷媒が流れ込むと、それら冷媒同士が互いに熱交換をする。これにより、室外熱交換器30からシェル62に流れ込んだ冷媒が冷却される。シェル62には、冷媒管66が接続されているため、冷却された冷媒は、その冷媒管66へ排出される。その冷媒管66には、排出された冷媒を室内熱交換器50へ流すか否かを制御するため、三方弁70が設けられている。
【0037】
三方弁70には、内部熱交換器60が備えるシェル62に接続された冷媒管66と、膨張弁41に接続された冷媒管43と、膨張弁42に接続された冷媒管44とが接続されている。そして、三方弁70は、三方弁21、22と同様に、例えば、電磁弁または、電動弁である。また、三方弁70は、制御装置80と電気的に接続されている。三方弁70は、その制御装置80によって切り替えられることにより、冷房運転時にシェル62から冷媒管66へ排出される冷却された冷媒を、冷媒管44へ流して膨張弁42に供給する。これにより、膨張弁42によって膨張される冷媒がより低温となる。その結果、室内熱交換器50で室内空気がより高い効率で冷却される。
【0038】
このような三方弁70の切り替えを冷房運転、暖房運転の状態に応じて行うため、空気調和機1は、制御装置80を備える。次に、
図2-
図4を参照して、制御装置80の構成と、制御装置80による空気調和機1の制御方法について説明する。
【0039】
図2は、空気調和機1が備える制御装置80のハードウエア構成図である。
図3は、空気調和機1の冷房運転時の冷媒の流れを示す冷媒回路図である。
図4は、空気調和機1の暖房運転時の冷媒の流れを示す冷媒回路図である。なお、
図2では、理解を容易にするため、制御装置80の接続先も示している。また、
図3および
図4では、冷媒の流れる方向を示すため、冷媒回路2の各部分に矢印を記載している。さらに、制御装置80および、制御装置80と各部品の電気的接続を省略している。
【0040】
図2に示すように、制御装置80は、I/Oポート(Input/Output Port)81を備え、そのI/Oポート81には、上述した冷媒の流れを実現するため、制御装置80の制御対象となる圧縮機10、三方弁21、22、70および膨張弁41、42が電気的に接続されている。
【0041】
なお、
図2には示さないが、I/Oポート81には、
図1、
図3-
図4に示す圧力センサ91、92とスイッチ93が電気的に接続されている。
【0042】
ここで、圧力センサ91は、空気調和機1が動作しているときと空気調和機1が停止しているときに冷媒の圧力が低圧になっていないかを確認して冷媒の漏れを検出するため、冷媒の圧力を検出するセンサである。圧力センサ92は、冷媒の圧力が許容値を超えた高圧になっていないかどうかを確認するため、空気調和機1の動作中に冷媒の圧力を検出するセンサである。スイッチ93は、冷媒の圧力が許容値を超えた高圧になっている場合に、空気調和機1の動作を停止させるためのスイッチである。
【0043】
また、制御装置80は、
図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)82、ROM(Read-Only Memory)83およびRAM(Random Access Memory)84を含むコンピュータを備える。そして、CPU82、ROM83および、RAM84は、I/Oポート81に電気的に接続されている。制御装置80は、CPU82がROM83に記憶された各種プログラムをRAM84に読み出して実行することにより、空気調和機1の各部品を制御する各種処理を行う。例えば、制御装置80は、CPU82がROM83に記憶された制御プログラムを実行することにより、上述したI/Oポート81に電気的に接続された圧縮機10を動作させると共に、三方弁21、22、70と膨張弁41、42の開閉および開度を制御する処理を行う。
【0044】
その処理をより詳細に説明すると、制御装置80は、図示しない起動ボタンが押され、その後、図示しないモード選択ボタンが押されることにより、冷房運転が選択されると、圧縮機10を動作させる。さらに、制御装置80は、三方弁21、22それぞれが有する接続口同士の接続関係を切り替えることにより、
図3に示す圧縮機10につながる冷媒管12と室外熱交換器30につながる冷媒管31を連通させる。また、室内熱交換器50につながる冷媒管51と内部熱交換器60が有するチューブ61につながる冷媒管63を連通させる。
【0045】
また、制御装置80は、三方弁70が有する接続口同士の接続関係を切り替えることにより、内部熱交換器60が有するシェル62につながる冷媒管66と膨張弁42につながる冷媒管44を連通させる。そして、その状態で、制御装置80は、膨張弁41を閉じると共に、膨張弁42を開ける。
【0046】
制御装置80は、これら三方弁21、22、70および膨張弁41、42の制御により、
図3の矢印が示すように、圧縮機10、三方弁21、室外熱交換器30、逆止弁68、フィルタ67、内部熱交換器60が有するシェル62、三方弁70、膨張弁42、室内熱交換器50、三方弁22、内部熱交換器60が有するチューブ61、圧縮機10の順序で、これら部品に冷媒を循環させる。これにより、制御装置80は、室外熱交換器30を凝縮器として機能させ、かつ室内熱交換器50を蒸発器として機能させる。その結果、室内空気が冷却される冷房運転が行われる。
【0047】
この冷房運転では、室外熱交換器30によって凝縮された高温の冷媒が、冷媒管65を通って内部熱交換器60が有するシェル62に流れ込む。一方、室内熱交換器50によって蒸発された低温の冷媒が、冷媒管63を通って内部熱交換器60が有するチューブ61に流れ込む。その結果、内部熱交換器60では、シェル62を流れる高温の冷媒とチューブ61を流れる低温の冷媒が熱交換する。これにより、シェル62を流れる高温の冷媒が冷却される。その結果、シェル62から冷媒管66へ排出されて膨張弁42に供給される冷媒がより低温となる。また、膨張弁42で膨張されて室内熱交換器50に供給される冷媒もより低温となる。これにより、室内熱交換器50で室内空気がより高い効率で冷却される。その結果、空気調和機1の冷房効率が高まる。
【0048】
一方、制御装置80は、図示しないモード選択ボタンが押されることにより、暖房運転が選択されると、三方弁21、22それぞれが有する接続口同士の接続関係を切り替えることにより、
図4に示す圧縮機10につながる冷媒管12と室内熱交換器50につながる冷媒管51を連通させる。また、室外熱交換器30につながる冷媒管31と内部熱交換器60が有するチューブ61につながる冷媒管63を連通させる。
【0049】
また、制御装置80は、三方弁70が有する接続口同士の接続関係を切り替えることにより、内部熱交換器60が有するシェル62につながる冷媒管66と膨張弁42につながる冷媒管44の連通を解除して、冷媒管44を膨張弁41につながる冷媒管43に連通させる。そして、その状態で、制御装置80は、膨張弁41を開けると共に、膨張弁42を閉じる。
【0050】
制御装置80は、これら三方弁21、22、70および膨張弁41、42の制御により、
図4の矢印が示すように、圧縮機10、三方弁21、室内熱交換器50、逆止弁46、三方弁70、膨張弁41、室外熱交換器30、三方弁22、内部熱交換器60が有するチューブ61、圧縮機10の順序で、これら部品に冷媒を循環させる。これにより、制御装置80は、室外熱交換器30を蒸発器として機能させ、かつ室内熱交換器50を凝縮器として機能させる。その結果、室内空気が加熱される暖房運転が行われる。
【0051】
この暖房運転では、三方弁70によって、内部熱交換器60のシェル62につながる冷媒管66の冷媒管43、44側の端部が閉鎖される。これにより、冷媒管66が冷媒管43、44から分離される。その結果、
図4に示す領域A1内の、冷媒管66にある冷媒が冷媒管43、44へ流れ出すことが防がれる。また、シェル62内の冷媒が冷媒管66を介して冷媒管43、44へ流れ出すことが防がれる。
【0052】
また、シェル62につながる冷媒管65には、シェル62から室外熱交換器30につながる冷媒管32へ冷媒を流すことが不能な逆止弁68が設けられている。また、冷媒管65の中間部分651に接続された冷媒管45には、冷媒管65から冷媒管45がつながる膨張弁41の冷媒管43へ冷媒を流すことが不能な逆止弁69が設けられている。その結果、
図4に示す領域A2内の、冷媒管65と冷媒管45の一部にある冷媒が冷媒管32、43へ流れ出すことが防がれる。また、シェル62内の冷媒が冷媒管65を介して冷媒管32、43へ流れ出すことが防がれる。
【0053】
このように、暖房運転では、内部熱交換器60のシェル62が冷媒管32、43、44から分離されている。そして、冷媒がシェル62から冷媒管32、43、44に流れ出すことが防がれている。その結果、冷房運転のときに、シェル62に流れ込んだ冷媒がシェル62に閉じ込められる。これにより、暖房運転の状態と比較して冷房運転の状態よりも余剰とされる冷媒が、シェル62内に溜め込まれる。換言すると、余剰な冷媒が内部熱交換器60に溜め込まれる。その結果、暖房運転時に室外熱交換器30での余剰な冷媒による冷媒の温度上昇と圧力上昇を抑制することができる。これにより、空気調和機1の暖房性能の低下が抑制される。
【0054】
また、暖房運転では、内部熱交換器60が有するチューブ61に、室外熱交換器30により蒸発された低温の冷媒が流れ込む。その結果、シェル62内の冷媒が冷却される。これにより、シェル62内の冷媒が減圧される。一方、シェル62内の冷媒よりも冷媒管32、43を流れる冷媒が高圧である場合、その冷媒は、逆止弁68、69を介して、冷媒管65と、その冷媒管65につながるシェル62とへ流れ込む。その結果、より多くの冷媒がシェル62に溜め込まれる。暖房運転のときに余剰となる冷媒がより多くシェル62に溜め込まれるため、空気調和機1の暖房性能の低下がより抑制される。
【0055】
冷房運転または暖房運転を終了させる場合、空気調和機1のユーザーは、図示しない起動ボタンを再度押す。これにより、制御装置80は、上記の処理を強制的に終了させる。その結果、空気調和機1の動作が停止する。
【0056】
なお、上記の実施の形態で説明した膨張弁42は、本開示でいうところの第一膨張弁の一例である。膨張弁41は、本開示でいうところの第二膨張弁の一例である。また、三方弁21、22、70は、冷媒の流れを切り替えることから、切り替え装置ともいう。そして、三方弁21、22は、本開示でいうところの第一切り替え装置の一例である。さらに、三方弁70は、本開示でいうところの第二切り替え装置の一例である。
【0057】
また、冷媒管63、チューブ61および冷媒管64は、本開示でいうところの内部熱交換器60が有する第一流路の一例である。冷媒管65、シェル62および冷媒管66は、本開示でいうところの内部熱交換器60が有する第二流路の一例である。冷媒管45は、本開示でいうところの分岐管一例である。さらに、逆止弁46は、本開示でいうところの第一逆止弁の一例である。逆止弁69は、本開示でいうところの第二逆止弁の一例である。逆止弁68は、本開示でいうところの第三逆止弁の一例である。
【0058】
以上のように、実施の形態に係る空気調和機1では、制御装置80が、冷房運転のときに、三方弁70を切り替えることにより、内部熱交換器60が有するシェル62につながる冷媒管66と膨張弁42につながる冷媒管44とを連通させる。これにより、シェル62で熱交換されて冷却された冷媒を膨張弁42へ流す。このため、膨張弁42を経由して室内熱交換器50へ流れる冷媒の温度が低くなる。これにより、室内熱交換器50が室内空気を冷却する冷却効率が高まる。その結果、空気調和機1では、冷房性能が高い。
【0059】
また、制御装置80は、暖房運転のときに、三方弁70を切り替えることにより、冷媒管66と冷媒管44との連通を解除して、シェル62から膨張弁42への冷媒の流れを止める。このため、冷房運転時にシェル62に入った冷媒が、暖房運転のときに、シェル62にとどまる。その結果、暖房運転時に冷媒回路2内で冷媒が余剰となることが抑制される。換言すると、冷房運転時にガス状態または超臨界状態にある冷媒が、暖房運転時に液状態に状態変化をするところ、その密度差分の冷媒をシェル62に貯えることができる。これにより、室内熱交換器50で余剰な冷媒による圧力上昇と温度上昇を抑制することができる。その結果、空気調和機1では、暖房性能が高い。
【0060】
また、暖房運転時に、余剰な冷媒による圧力上昇が抑制されるので、圧縮機10が冷媒を吐出するときの温度が低下する。その結果、圧縮機10の圧縮効率が高まる。
【0061】
さらに、制御装置80が三方弁70を切り替えるだけで、冷房運転時に空気調和機1の冷房性能が高まり、暖房運転時に空気調和機1の暖房性能が高まる。このように、空気調和機1は、冷房性能と暖房性能を高める構造が簡易である。その結果、製造が容易である。
【0062】
なお、空気調和機1は、冷房運転時を終了させた後に、短時間でよいので、暖房運転をするとよい。これにより、より多くの冷媒を内部熱交換器60に貯えることができる。その結果、空気調和機1が停止中に冷媒が液化して圧縮機10にとどまる現象を抑制することができる。
【0063】
以上、本開示の実施の形態に係る空気調和機1および、空気調和機1の制御方法について説明したが、空気調和機1および、空気調和機1の制御方法は、これに限定されない。
【0064】
実施の形態では、冷媒がCO2であるが、冷媒はこれに限定されない。冷媒は空気調和機で一般に使用されるものであるとよい。この場合、空気調和機1では、暖房運転時に余剰冷媒を内部熱交換器60が溜め込むため、冷房運転と暖房運転での体積の差により余剰冷媒が発生してしまう冷媒であればよい。例えば、冷媒は、高温と低温で体積が変化する物質であればよい。
【0065】
実施の形態では、三方弁21、22が、冷媒回路2の冷媒が流れる向きを切り替えているが、空気調和機1は、これに限定されない。空気調和機1では、三方弁21、22は、圧縮機10によって圧縮された冷媒が流れる向きを切り替える切り替え装置であればよい。例えば、三方弁21、22は、四方弁であってもよい。
【0066】
実施の形態では、内部熱交換器60が多管円筒式の構造を有する。しかし、内部熱交換器60はこれに限定されない。内部熱交換器60は、第一流路を流れる冷媒と第二流路を流れる冷媒を熱交換させる構造を有する熱交換器であればよい。例えば、内部熱交換器60は、管の内部に、別の管が入れられた二重管式の構造を有する熱交換器であってもよい。また、内部熱交換器60は、渦巻き状に屈曲する板により形成されたスパイラル式の構造を有するものであってもよい。さらに、内部熱交換器60は、板が積層されることにより形成されたプレート式の構造を有する熱交換器であってもよい。
【0067】
また、実施の形態では、空気調和機1は鉄道車両の室内空気を調和する空気調和機であるが、空気調和機1はこれに限定されない。本開示は、空気調和機全般に適用可能である。空気調和機1は、例えば、建築物の室内を調和する空気調和機に適用可能である。
【0068】
なお、上記実施形態では、制御プログラムがROM83に格納されているが、制御プログラムは、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto-Optical Disc)等のコンピュータが読み取り可能な記録媒体に格納されて配布されてもよい。この場合、その記録媒体に格納された制御プログラムがコンピュータにインストールされることにより、制御処理を実行する制御装置80が構成されてもよい。
【0069】
また、制御プログラムは、インターネットの通信ネットワーク上のサーバー装置が有するディスク装置に格納され、その制御プログラムが、例えば、搬送波に重畳されて、ダウンロードされてもよい。
【0070】
本開示は、本開示の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態および変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本開示を説明するためのものであり、本開示の範囲を限定するものではない。つまり、本開示の範囲は、実施形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内およびそれと同等の開示の意義の範囲内で施される様々な変形が、本開示の範囲内とみなされる。
【符号の説明】
【0071】
1 空気調和機、2 冷媒回路、10 圧縮機、11 逆止弁、12 冷媒管、21,22 三方弁、30 室外熱交換器、31,32 冷媒管、33 分岐部、41,42 膨張弁、43,44,45 冷媒管、46 逆止弁、50 室内熱交換器、51 冷媒管、60 内部熱交換器、61 チューブ、62 シェル、63-66 冷媒管、67 フィルタ、68,69 逆止弁、70 三方弁、80 制御装置、81 I/Oポート、82 CPU、83 ROM、84 RAM、91,92 圧力センサ、93 スイッチ、651 中間部分、A1,A2領域。