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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】車両の管制制御システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
G08G1/09 V
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023579078
(86)(22)【出願日】2022-10-20
(86)【国際出願番号】 JP2022039061
(87)【国際公開番号】W WO2024084645
(87)【国際公開日】2024-04-25
【審査請求日】2023-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154586
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 正広
(74)【代理人】
【識別番号】100180747
【弁理士】
【氏名又は名称】小森 剛彦
(72)【発明者】
【氏名】小山 哉
(72)【発明者】
【氏名】山口 史人
(72)【発明者】
【氏名】石井 一貴
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-135711(JP,A)
【文献】特開2019-079376(JP,A)
【文献】国際公開第2021/038741(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車である車両の走行を制御するための制御値を生成する走行制御部を有する複数の車両と、
複数の前記車両についての走行情報に基づいて複数の前記車両の各々の個別管制情報を生成して複数の前記車両の各々へ個別送信するサーバ装置と、を有し、
複数の前記車両の各々の前記走行制御部は、前記サーバ装置から自車宛ての前記個別管制情報を受信している場合には、受信している自車宛ての前記個別管制情報を用いて自車の走行制御のための制御値を繰り返しに生成して自車の走行を制御可能である、車両の管制制御システムであって、
前記サーバ装置は、
複数の前記車両の各々から前記走行情報を受信するサーバ通信デバイスと、
複数の前記車両の各々の前記走行情報を蓄積して記録するデータベースと、
前記サーバ通信デバイスが前記走行情報を受信した場合に、前記走行情報に係る車両の少なくとも走行位置の情報を前記データベースに記録する前処理部と、
前記データベースに記録されている情報を用いて、複数の前記車両の各々の前記個別管制情報を、周期的に生成する管制情報生成部と、
を有し、
前記管制情報生成部は、
車両同士が合流する合流区間へ向けて走行する各前記車両について、前記データベースに記録されている複数の前記車両の走行情報に基づいて他の車両との干渉を判断し、
前記合流区間へ向けて走行する各前記車両のための前記個別管制情報として、干渉の判断結果を含むものを生成して個別送信するものであり、
さらに、前記合流区間へ向けて走行する前記車両に対して、現在位置よりも前記合流区間の終わりの地点に近い地点である、前記合流区間において通過させる通過地点の情報を生成して、前記個別管制情報とともに個別送信して、該前記車両に、前記合流区間を走行する際に前記サーバ装置から前記個別管制情報を良好に受信できない場合には、受信している前記通過地点を通過する走行により前記合流区間の走行を可能にする、
車両の管制制御システム。
【請求項2】
前記サーバ装置の前記管制情報生成部は、
各前記車両についての前記合流区間での前記通過地点の情報として、少なくとも2つの通過地点の位置と各々での通過時刻を含むものを生成する、
請求項1記載の、車両の管制制御システム。
【請求項3】
前記サーバ装置の前記管制情報生成部は、
少なくとも道路上の合流区間の手前である合流手前区間を走行する各前記車両について、前記通過地点の情報を生成して個別送信するものであり、
各前記車両の前記通過地点の情報として、前記道路上の合流区間の始まりの地点および終わりの地点を含む少なくとも2つの通過地点の位置と各々での通過時刻とを含むものを生成する、
請求項2記載の、車両の管制制御システム。
【請求項4】
各前記車両は、
前記サーバ装置から前記個別管制情報を受信する車両通信デバイス、を有し、
前記走行制御部は、
前記合流区間へ向けて走行する場合、および前記合流区間において走行する場合には、
前記車両通信デバイスにおける前記サーバ装置からの前記個別管制情報の受信状態の良否を判断し、
前記サーバ装置から前記個別管制情報を良好に受信できている状態である場合には、最新の前記個別管制情報を用いて、干渉を抑制するための制御値を生成し、
前記サーバ装置から前記個別管制情報を良好に受信できていない状態である場合には、受信している前記通過地点の情報を用いて、前記通過地点を通過するように走行するための制御値を生成する、
請求項1から3のいずれか一項記載の、車両の管制制御システム。
【請求項5】
各前記車両の前記走行制御部は、
自車宛ての前記通過地点の情報として、少なくとも2つの通過地点の位置と各々での通過時刻を含むものを取得して、2つの通過地点を各々の通過時刻で通過する自車経路を生成し、
前記自車経路にしたがって走行するように制御値を生成する、
請求項4記載の、車両の管制制御システム。
【請求項6】
各前記車両の前記走行制御部は、
前記合流区間での前記自車経路を生成した場合には、前記合流区間を通過するまで、または、前記サーバ装置から受信している前記合流区間の終わりの地点を通過するまで、前記自車経路にしたがった自律的な走行制御を継続する、
請求項5記載の、車両の管制制御システム。
【請求項7】
各前記車両の前記走行制御部は、
前記自車経路として、現在位置から、前記サーバ装置から取得している通過地点を通過するための目標走行パスを生成し、
前記目標走行パス上の将来位置へ向かうためのフィードフォワード項を含む演算により得た加速度に基づいて、走行制御に用いる制御値を演算する、
請求項6記載の、車両の管制制御システム。
【請求項8】
自車である車両の走行を制御するための制御値を生成する走行制御部を有する複数の車両と、
複数の前記車両についての走行情報に基づいて複数の前記車両の各々の個別管制情報を生成して複数の前記車両の各々へ個別送信するサーバ装置と、を有し、
複数の前記車両の各々の前記走行制御部は、前記サーバ装置から自車宛ての前記個別管制情報を受信している場合には、受信している自車宛ての前記個別管制情報を用いて自車の走行制御のための制御値を繰り返しに生成して自車の走行を制御可能である、車両の管制制御システムであって、
前記サーバ装置は、
複数の前記車両の各々から前記走行情報を受信するサーバ通信デバイスと、
複数の前記車両の各々の前記走行情報を蓄積して記録するデータベースと、
前記サーバ通信デバイスが前記走行情報を受信した場合に、前記走行情報に係る車両の少なくとも走行位置の情報を前記データベースに記録する前処理部と、
前記データベースに記録されている情報を用いて、複数の前記車両の各々の前記個別管制情報を、周期的に生成する管制情報生成部と、
を有し、
前記管制情報生成部は、
車両同士が合流する合流区間へ向けて走行する各前記車両について、前記データベースに記録されている複数の前記車両の走行情報に基づいて他の車両との干渉を判断し、
前記合流区間へ向けて走行する各前記車両のための前記個別管制情報として、干渉の判断結果を含むものを生成して個別送信するものであり、
さらに、前記合流区間へ向けて走行する前記車両について、現在位置よりも前記合流区間の終わりの地点に近い地点である、前記合流区間において通過させる通過地点の情報を生成して、個別送信し、
各前記車両は、
前記サーバ装置から前記個別管制情報を受信する車両通信デバイス、を有し、
前記走行制御部は、
前記合流区間へ向けて走行する場合、および前記合流区間において走行する場合には、
前記車両通信デバイスにおける前記サーバ装置からの前記個別管制情報の受信状態の良否を判断し、
前記サーバ装置から前記個別管制情報を良好に受信できている状態である場合には、最新の前記個別管制情報を用いて、干渉を抑制するための制御値を生成し、
前記サーバ装置から前記個別管制情報を良好に受信できていない状態である場合には、受信している前記通過地点の情報を用いて、前記通過地点を通過するように走行するための制御値を生成する、
車両の管制制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の管制制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車といった車両では、自動運転のための研究開発が鋭意に進められている(特許文献1)。
特許文献1では、自動車の車両制御装置と通信する管制装置を用いる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-160885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
たとえば、特許文献1の管制装置のようなサーバ装置を用いて車両の自動運転による走行を制御しようとする場合、サーバ装置は、基本的に、複数の車両の走行情報を収集し、それに基づいて車両の干渉などを判断し、各車両の個別の管制情報を生成して各車両へ個別送信する必要がある。サーバ装置が、各車両の有視界では得られない情報を用いて各車両の走行を管制制御することにより、各車両の走行は、各々の有視界の下での走行制御と比べて、安全性が高まり、かつ、スムースな走行が実現できると考えられる。
【0005】
しかしながら、このようなサーバ装置を用いた管制制御では、サーバ装置と各車両との間での通信状態が、常に良好に維持されることが求められる。
その一方で、走行により移動する各自動車は、たとえば、道路沿いなどに設けられた基地局との間で無線通信路を確立して、その無線通信路を用いてサーバ装置との間で情報を送受する、必要がある。
また、基地局に対するサーバ装置の設置場所などにもよって程度は異なるが、サーバ装置と基地局との間の通信網には、他の目的のための情報が送受されることが多い。
これらの通信システムにおける不確定要素などが原因となって、サーバ装置と各車両との間の通信が、常時的なものではないにせよ、一時的に断絶されてしまうことが起きないとは言い切れない。
そして、このような通信状態の不良が生じているときに、車両がたとえば合流区間といった他の車両との干渉が発生し易い区間を走行していると、サーバ装置から継続的な管制制御を受けることができないことに起因して、車両の走行についての懸念が生じ易くなる、と考えられる。
【0006】
このように車両の管制制御システムでは、合流区間を走行する車両とサーバ装置との間の通信に一時的な通信断絶が生じたとしても、合流区間での車両の走行についての管制下での制御状態を維持して、合流区間での走行についての懸念を抑制することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施の一形態に係る車両の管制制御システムは、自車である車両の走行を制御するための制御値を生成する走行制御部を有する複数の車両と、複数の前記車両についての走行情報に基づいて複数の前記車両の各々の個別管制情報を生成して複数の前記車両の各々へ個別送信するサーバ装置と、を有し、複数の前記車両の各々の前記走行制御部は、前記サーバ装置から自車宛ての前記個別管制情報を受信している場合には、受信している自車宛ての前記個別管制情報を用いて自車の走行制御のための制御値を繰り返しに生成して自車の走行を制御可能である、車両の管制制御システムであって、前記サーバ装置は、複数の前記車両の各々から前記走行情報を受信するサーバ通信デバイスと、複数の前記車両の各々の前記走行情報を蓄積して記録するデータベースと、前記サーバ通信デバイスが前記走行情報を受信した場合に、前記走行情報に係る車両の少なくとも走行位置の情報を前記データベースに記録する前処理部と、前記データベースに記録されている情報を用いて、複数の前記車両の各々の前記個別管制情報を、周期的に生成する管制情報生成部と、を有し、前記管制情報生成部は、車両同士が合流する合流区間へ向けて走行する各前記車両について、前記データベースに記録されている複数の前記車両の走行情報に基づいて他の車両との干渉を判断し、前記合流区間へ向けて走行する各前記車両のための前記個別管制情報として、干渉の判断結果を含むものを生成して個別送信するものであり、さらに、前記合流区間へ向けて走行する前記車両に対して、現在位置よりも前記合流区間の終わりの地点に近い地点である、前記合流区間において通過させる通過地点の情報を生成して、前記個別管制情報とともに個別送信して、該前記車両に、前記合流区間を走行する際に前記サーバ装置から前記個別管制情報を良好に受信できない場合には、受信している前記通過地点を通過する走行により前記合流区間の走行を可能にする、ものである。
本発明の実施の一形態に係る車両の管制制御システムは、自車である車両の走行を制御するための制御値を生成する走行制御部を有する複数の車両と、複数の前記車両についての走行情報に基づいて複数の前記車両の各々の個別管制情報を生成して複数の前記車両の各々へ個別送信するサーバ装置と、を有し、複数の前記車両の各々の前記走行制御部は、前記サーバ装置から自車宛ての前記個別管制情報を受信している場合には、受信している自車宛ての前記個別管制情報を用いて自車の走行制御のための制御値を繰り返しに生成して自車の走行を制御可能である、車両の管制制御システムであって、前記サーバ装置は、複数の前記車両の各々から前記走行情報を受信するサーバ通信デバイスと、複数の前記車両の各々の前記走行情報を蓄積して記録するデータベースと、前記サーバ通信デバイスが前記走行情報を受信した場合に、前記走行情報に係る車両の少なくとも走行位置の情報を前記データベースに記録する前処理部と、前記データベースに記録されている情報を用いて、複数の前記車両の各々の前記個別管制情報を、周期的に生成する管制情報生成部と、を有し、前記管制情報生成部は、車両同士が合流する合流区間へ向けて走行する各前記車両について、前記データベースに記録されている複数の前記車両の走行情報に基づいて他の車両との干渉を判断し、前記合流区間へ向けて走行する各前記車両のための前記個別管制情報として、干渉の判断結果を含むものを生成して個別送信するものであり、さらに、前記合流区間へ向けて走行する前記車両について、現在位置よりも前記合流区間の終わりの地点に近い地点である、前記合流区間において通過させる通過地点の情報を生成して、個別送信し、各前記車両は、前記サーバ装置から前記個別管制情報を受信する車両通信デバイス、を有し、前記走行制御部は、前記合流区間へ向けて走行する場合、および前記合流区間において走行する場合には、前記車両通信デバイスにおける前記サーバ装置からの前記個別管制情報の受信状態の良否を判断し、前記サーバ装置から前記個別管制情報を良好に受信できている状態である場合には、最新の前記個別管制情報を用いて、干渉を抑制するための制御値を生成し、前記サーバ装置から前記個別管制情報を良好に受信できていない状態である場合には、受信している前記通過地点の情報を用いて、前記通過地点を通過するように走行するための制御値を生成する、ものである。

【発明の効果】
【0008】
本発明において、サーバ装置は、複数の自動車の個別的な管制制御のために、車両同士が合流する合流区間へ向けて走行する各車両について、データベースに記録されている複数の車両の走行情報に基づいて他の車両との干渉を判断し、合流区間へ向けて走行する各車両のための個別管制情報として、干渉の判断結果を含むものを生成して個別送信する。これにより、複数の車両の各々は、サーバ装置において各々について個別に生成される個別管制情報を用いて自車の走行を制御することができる。複数の車両の走行は、たとえば合流区間を走行する場合であっても、サーバ装置の管制制御の下で他の車両との間で干渉を生じさせないように走行することができる。
【0009】
しかも、サーバ装置は、さらに、合流区間へ向けて走行する車両については、現在位置よりも合流区間の終わりの地点に近い地点である、合流区間において通過させる通過地点の情報を生成して、個別送信する。
これにより、各車両は、サーバ装置との一時的な通信断絶などにより新たな個別管制情報を受信できなくなってサーバ装置の個別管制情報を用いた管制制御に基づく走行制御ができなくなったとしても、管制制御を実行するサーバ装置から既に受信している合流区間での通過地点の情報を用いて、自律的な走行制御を実行することができる。
しかも、その後に、サーバ装置の個別管制情報を受信できるようなった場合、それまでの自律的な走行が、管制制御を実行するサーバ装置から受信している通過地点の情報を用いたものであるため、各車両の走行制御は、サーバ装置の個別管制情報による走行制御へ復帰するように切り替えることが可能である。この制御の切り替え前後での走行制御は、共に、管制制御を実行するサーバ装置により生成される情報に基づくものである。したがって、この制御の切り替えの際の車両の走行は、大きく走行が変化してしまうような不連続的な制御の切り替えとはなり難くなる。各車両は、サーバ装置から新たな個別管制情報を受信できなくなっている間においても、サーバ装置の管制制御の下での自律的な走行を実行することにより、スムースに、サーバ装置の前記個別管制情報による走行制御へ復帰することができる。
【0010】
このように本発明では、合流区間を走行する車両とサーバ装置との間の通信に一時的な通信断絶が生じたとしても、合流区間での車両の走行についての管制下での制御状態を維持することができ、合流区間での走行についての懸念を抑制することできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施形態に係る自動車の管制制御システムの構成図である。
図2図2は、図1の自動車の制御系の説明図である。
図3図3は、図2の自動車の走行制御装置の構成図である。
図4図4は、図1のサーバ装置の構成図である。
図5図5は、図1の管制制御システムにおける、複数の自動車の走行を個別に制御するための管制制御の全体でのタイミングチャートである。
図6図6は、図2のサーバCPUによる、前処理制御のフローチャートである。
図7図7は、図2のサーバCPUによる、管制制御のフローチャートである。
図8図8は、図4の自動車の走行制御装置による、管制制御下の走行制御のフローチャートである。
図9図9は、道路の合流区間へ向けて第一自動車と第二自動車とが走行している状態の説明図である。
図10図10は、サーバ装置の管制制御部が、図9の合流区間の本線を走行する第一自動車と、合流車線を走行する第二自動車との干渉を判断するための事前処理の説明図である。
図11図11は、図9の第一自動車と第二自動車とを管制制御するためのSチャートの説明図である。
図12図12は、合流する第一自動車と第二自動車との干渉判定の第一例のSチャートの説明図である。
図13図13は、合流する第一自動車と第二自動車との干渉判定の第二例のSチャートの説明図である。
図14図14は、合流する第一自動車と第二自動車との干渉判定の第三例のSチャートの説明図である。
図15図15は、合流する第一自動車と第二自動車との干渉判定の第四例のSチャートの説明図である。
図16図16は、合流する第一自動車と第二自動車との干渉判定の第五例のSチャートの説明図である。
図17図17は、合流する第一自動車と第二自動車との干渉判定の第六例のSチャートの説明図である。
図18図18は、合流する第一自動車と第二自動車との干渉判定の第七例のSチャートの説明図である。
図19図19は、合流する第一自動車と第二自動車との干渉判定の第八例のSチャートの説明図である。
図20図20は、合流する第一自動車と第二自動車との干渉判定の第九例のSチャートの説明図である。
図21図21は、自動車において通過地点に基づく走行制御を実行する際に使用するSチャートの一例の説明図である。
図22図22は、自動車の加速度の制御値を得るための演算処理の一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る自動車の管制制御システム1の構成図である。
図1の管制制御システムは、道路を走行する複数の自動車2と、複数の自動車2と通信システム6を通じて情報を送受するサーバ装置3と、を有する。
ここで、自動車2は、車両の一例である。車両には、この他にもたとえば、トラック、バス、モータサイクル、パーソナルモビリティ、などがある。図1において、複数の自動車2は、本線91と合流車線92とが合流する合流区間の周辺を走行している。
【0014】
通信システム6は、道路に沿って配列される複数の基地局7と、複数の基地局7が接続される通信網8と、を有する。基地局7は、たとえば、商用の5G用のものでも、ADAS(Advanceddriver-assistancesystems)などの高度交通システム用のものでも、よい。通信網8は、5G用の基地局7を提供するキャリア通信網、キャリア通信網に接続されるインターネット、などで構成されてよい。
【0015】
サーバ装置3は、通信システム6の通信網8に接続されるサーバ本体4と、サーバ本体4に接続されるサーバDB5と、を有する。サーバ装置3は、基本的に、通信システム6のインターネットに接続されていればよいが、キャリア通信網に接続されてもよい。また、サーバ装置3は、1つのサーバ本体4ではなく、互いに協働して制御を分散して実行可能な複数のサーバ本体4により構成されてもよい。複数のサーバ本体4は、たとえば階層化されてよい。階層において最下層の複数のサーバ本体4は、キャリア通信網の基地局7や地域通信網に分散して設けられてもよい。このような地域分散で設けられるサーバ本体4は、5G用の基地局7の制御装置などにおいて実現されてもよい。また、5G用の基地局7に設けられるサーバ本体4は、ゾーン内の各自動車2についての、自動運転レベルのレベル2やレベル3の制御に用いる情報を生成してもよい。
【0016】
そして、図1のサーバ装置3は、複数の基地局7のゾーンにより構成される管轄範囲にいる複数の自動車2について管制制御を実行する。
また、図1には、GNSS(GlobalNavigationSatelliteSystem)衛星110が示されている。GNSS衛星110は、その位置および時刻の情報を含む信号を、地上へブロードキャストする。GNSS受信機21は、複数のGNSS衛星110の信号を受信することにより、GNSS受信機21の位置および時刻の情報を得ることができる。各GNSS受信機21の位置および時刻は、他のGNSS受信機21の位置および時刻との間で誤差が生じ難い確からしいものになる。
【0017】
図2は、図1の自動車2の制御系10の説明図である。
図2に示す複数の自動車2の各々は、図2の制御系10を備えてよい。
【0018】
図2の自動車2の制御系10は、車ネットワーク17と、それに接続される複数の制御装置と、を有する。図2には、複数の制御装置の例として、センサ制御装置11、走行制御装置12、駆動制御装置13、操舵制御装置14、制動制御装置15、車外通信制御装置16、が例示されている。自動車2の制御系10は、これ以外の制御装置として、たとえば操作制御装置などを備えてよい。操作制御装置には、ステアリングやペダルなどの乗員が手動運転の際に操作する操作部材が接続される。また、図2に示す各制御装置は、複数に分けて、車ネットワーク17に接続されてもよい。
【0019】
車ネットワーク17は、たとえばCAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)といった車用のものでよい。また、車ネットワーク17は、IEEE(Institute of
Electrical and Electronics Engineers)802.3やIEEE802.11などの一般的に用いられるネットワークを備えてもよい。このような車ネットワーク17を用いることにより、自動車2に設けられる複数の制御装置の各々は、車ネットワーク17を通じて他の制御装置との間で情報を入出力することができる。
【0020】
センサ制御装置11は、自動車2に設けられる各種の自車センサの動作を制御し、各種の自車センサの検出値または検出値を加工した加工情報を、車ネットワーク17を通じて他の制御装置へ出力する。センサ制御装置11は、自動運転レベルでのレベル2やレベル3での制御に使用するための加工情報を生成してもよい。
図2では、センサ制御装置11には、自車センサの例として、GNSS受信機21、車外カメラ22、加速度センサ23、が接続されている。センサ制御装置11には、この他にも、自動車2の速度を検出する車速センサ、自動車2の不図示のステアリングの舵角を検出する操舵センサ、などが接続されてよい。
【0021】
GNSS受信機21は、自動車2の位置および時刻の情報を生成する。
【0022】
車外カメラ22は、道路などを走行する自動車2の周辺を撮像する。車外カメラ22は、単眼カメラであっても、複眼カメラであっても、360度カメラであってもよい。車外カメラ22は、少なくとも走行する自動車2の前側を撮像できるものが望ましい。センサ制御装置11は、車外カメラ22の撮像画像に基づいて、自車の周囲にいる他の自動車の相対的な距離および方向の情報を生成してよい。
【0023】
加速度センサ23は、自動車2の加速度を検出する。加速度センサ23として軸方向の加速度を検出するセンサを用いることにより、センサ制御装置11は、自動車2のヨー、ピッチ、ロールの各方向の角加速度の情報を生成することができる。また、センサ制御装置11は、加速度センサ23の加速度を時間積分して、自動車2の速度の情報を生成してもよい。
【0024】
車外通信制御装置16には、自動車2に設けられる車両通信デバイス29が接続される。車両通信デバイス29は、通信可能な基地局7との間で無線通信路を確立する。車外通信制御装置16は、車両通信デバイス29の動作を制御し、車両通信デバイス29および基地局7を通じて、サーバ装置3との情報の送受を実行する。たとえば、車外通信制御装置16は、車両通信デバイス29がサーバ装置3や基地局7から受信した情報を、車ネットワーク17を通じて他の制御装置へ出力する。車外通信制御装置16は、車ネットワーク17を通じて他の制御装置から入力される情報を、車両通信デバイス29および基地局7を通じて、サーバ装置3へ送信する。
【0025】
駆動制御装置13は、自動車2に設けられるたとえばガソリンや水素を燃料として駆動力を発生するエンジン、電力により駆動力を発生するモータ、トランスミッション、などの駆動系部材が接続される。駆動制御装置13は、車ネットワーク17を通じて取得する制御値により、これらの駆動系部材の動作を制御する。
【0026】
操舵制御装置14は、自動車2に設けられるたとえばステアリング装置が接続される。操舵制御装置14は、車ネットワーク17を通じて取得する制御値により、ステアリング装置の動作を制御する。
【0027】
制動制御装置15は、自動車2に設けられるブレーキ装置が接続される。制動制御装置15は、車ネットワーク17を通じて取得する制御値により、ブレーキ装置の動作を制御する。
【0028】
走行制御装置12は、自動車2の走行を制御する。走行制御装置12は、乗員の操作によらずに自動運転で自動車2を走行させる場合、センサ制御装置11から自車の走行状態の情報および自車の周辺の情報を取得し、それらの情報に応じた制御値を生成する。
走行制御装置12は、たとえば自律的な自動運転の走行制御では、車外カメラ22の最新の撮像画像において自車の前に他の移動体が接近していると判断する場合、減速のための制御値を生成して制動制御装置15へ出力する。制動制御装置15は、制御値にしたがう減速制御を実行する。これにより、自動車2は、減速または停止する。
また、走行制御装置12は、車外カメラ22の最新の撮像画像に基づいて停止している自車が発進可能な状態になったと判断する場合、加速のための制御値を生成して駆動制御装置13へ出力する。駆動制御装置13は、制御値にしたがう加速制御を実行する。これにより、自動車2は、加速して発進する。
また、走行制御装置12は、車外カメラ22の最新の撮像画像に基づいて走行中の自車が車線を逸脱しそうであると判断する場合、操舵のための制御値を生成して操舵制御装置14へ出力する。操舵制御装置14は、制御値にしたがう操舵制御を実行する。これにより、走行中の自動車2の向きが変化し、自動車2は、走行中の車線を維持しながら走行することができる。
また、走行制御装置12は、GNSS受信機21による自車の位置と高精度地図データとを照合して自車が右折、左折または車線変更する必要があると判断する場合、操舵のための制御値を生成して操舵制御装置14へ出力する。操舵制御装置14は、制御値にしたがう操舵制御を実行する。これにより、自動車2は、右折、左折または車線変更することができる。
これらの自律的な自動運転の走行制御により、走行制御装置12は、自動車2を、自車センサの検出に基づいて自律的に走行するように制御することができる。自動車2は、自律的な自動運転により走行することができる。
【0029】
図3は、図2の自動車2の走行制御装置12の構成図である。
図3の走行制御装置12、車両CPU(CentralProcessingUnit)73、車両メモリ72、車ネットワーク17に接続される入出力デバイス71、および、これらが接続される車両内部バス79、を有する。走行制御装置12は、この他にも時間や時刻を計測するタイマなどを備えてよい。
【0030】
車両メモリ72は、半導体メモリなどで構成されてよい。車両メモリ72は、走行制御装置12の制御に用いるプログラム、設定値、車両地図データ74、などのデータを記録する。車両地図データ74は、サーバ装置3からダウンロードしたものであってもよい。
【0031】
車両CPU73は、車両メモリ72に記録されているプログラムを読み込んで実行する。これにより、走行制御装置12の制御部が実現される。走行制御装置12の制御部は、上述した自律的な自動運転の走行制御を実行してよい。
【0032】
図4は、図1のサーバ装置3の構成図である。
図4のサーバ装置3は、サーバ通信デバイス31、サーバGNSS受信機32、サーバDB(データベース)5、サーバメモリ33、サーバCPU34、および、これらが接続されるサーバ内部バス35、を有する。
【0033】
サーバ通信デバイス31は、通信システム6の通信網8に接続される。サーバ通信デバイス31は、自動車2に設けられる車両通信デバイス29との間での情報の送受を実行する。サーバ通信デバイス31は、複数の自動車2の各々から走行情報を受信してよい。
【0034】
サーバGNSS受信機32は、サーバ装置3の位置および時刻の情報を生成する。サーバGNSS受信機32が生成する時刻は、各自動車2のGNSS受信機21が生成する時刻と高精度に一致し得る。
【0035】
サーバDB5は、サーバ装置3が複数の自動車2の管制制御のために使用する各種のデータを蓄積して記録する。サーバDB5には、たとえば後述するように、サーバ地図データ51、車両位置挙動DB(車両位置挙動データベース)53、などが設けられてよい。車両位置挙動DB53には、複数の自動車2の各々の走行情報が蓄積して記録されてよい。
【0036】
サーバメモリ33は、サーバCPU34が実行するプログラム、設定値、などのデータを記録する。
【0037】
サーバCPU34は、サーバメモリ33に記録されているプログラムを読み込んで実行する。これにより、サーバ装置3には、その動作を制御する制御部が実現される。サーバ装置3には、制御部の機能として、たとえば後述する前処理部41、管制制御部42、といったものが実現されてよい。
【0038】
ところで、このようなサーバ装置3を用いて複数の自動車2の走行を管制制御しようとする場合、サーバ装置3は、基本的に、複数の自動車2の走行情報を収集し、それに基づいて自動車2の干渉などを判断し、各自動車2の個別の管制情報を生成して各自動車2へ個別送信する必要がある。サーバ装置3が、各自動車2の有視界では得られない情報を用いて各自動車2の走行を管制制御することにより、各自動車2の走行は、各々の有視界の下での走行制御と比べて、安全性が高まり、かつ、スムースな走行が実現できると考えられる。
【0039】
しかしながら、このようなサーバ装置3を用いた管制制御では、サーバ装置3と各自動車2との間での通信状態が、常に良好に維持されることが求められる。
その一方で、走行により移動する各自動車2は、たとえば、道路沿いなどに設けられた基地局7との間で無線通信路を確立し、その無線通信路を用いてサーバ装置3との間で情報を送受する必要がある。
また、基地局7に対するサーバ装置3の設置場所などにもよって程度は異なるが、サーバ装置3と基地局7との間の通信網8には、他の目的のための情報が送受されることがある。
これらの通信システム6における不確定要素などが原因となって、サーバ装置3と各自動車2との間の通信が、常時的なものではないにせよ、一時的に断絶されてしまうことが起きないとは言い切れない。
そして、このような通信状態の不良が生じているときに、自動車2がたとえば合流区間といった他の自動車との干渉が発生し易い区間を走行していると、サーバ装置3から継続的な管制制御を受けることができないことに起因して、自動車2の走行についての懸念が生じ易くなる、と考えられる。
このように自動車の管制制御システム1では、合流区間を走行する自動車2とサーバ装置3との間の通信に一時的な通信断絶が生じたとしても、合流区間での自動車2の走行についての管制下での制御状態を維持して、合流区間での走行についての懸念を抑制することが求められる。
【0040】
図5は、図1の管制制御システムにおける、複数の自動車2の走行を個別に制御するための管制制御の全体でのタイミングチャートである。なお、図5には、図面の関係上、1つの自動車2のみを示している。
図5には、自動車2に設けられる走行制御装置12と、サーバ装置3に実現される前処理部41、および管制制御部42、が示されている。時間は、上から下へ流れる。
また、図5には、サーバ装置3のサーバDB5として、サーバ地図データ51、車両位置挙動DB53、が示されている。これらは、サーバ装置3のサーバDB5に記録されてよい。
ここで、図5の各処理のステップ番号は、後述する図6から図8のものに対応している。
【0041】
サーバ地図データ51は、道路などの自動車2が走行可能な道路についてのものでよい。サーバ地図データ51は、一般的に、道路の各車線の情報、交差点の詳細な情報、などを含んでいる高精度地図データでよい。たとえば、図1には、本線91と合流車線92とが合流する合流区間の道路が示されている。サーバ地図データ51は、このような合流区間の道路について、図10に後述するように、本線91上の位置を示す本線線分S1の情報と、合流車線92上の位置を示す合流車線線分S2の情報と、を有するとよい。このように道路についての詳細な情報を有するサーバ地図データ51を用いることにより、サーバ装置3は、たとえば道路を走行する複数の自動車2について、各々の自動車2が走行している道路だけでなく、走行している車線および車線上の位置を特定することができる。
【0042】
前処理部41は、サーバ通信デバイス31が新たな走行情報を受信した場合に、前処理制御を実行する。前処理部41は、サーバ地図データ51を読み込み(ステップST12)、走行情報に係る自動車2の少なくとも走行位置を演算し(ステップST13)、走行位置などに基づいて車両挙動計画を生成し(ステップST14)、それらの情報を車両位置挙動DB53に記録する(ステップST15)。
これにより、車両位置挙動DB53には、基本的に、サーバ装置3が管轄する地域を走行する複数の自動車2の位置と挙動とが記録される。車両位置挙動DB53には、サーバ装置3の管轄内のすべての自動車2についての位置などの情報が、個別管制情報を生成しないものも含めて、記録されることが望ましい。ADASのための交差点カメラなどは、交差点を通過する自動車2を基本的にすべて撮像することができる。車両位置挙動DB53には、このような情報に基づいて、サーバ装置3の管制内のすべての自動車2の位置などが記録されるとよい。これにより、車両位置挙動DB53には、サーバ装置3の管轄内のすべての自動車2の走行情報が蓄積して記録される。また、車両位置挙動DB53において、複数の自動車2の走行情報は、自動車2ごとに発行される識別情報に対応付けてよい。
【0043】
管制制御部42は、車両位置挙動DB53に記録されている情報を読み込んで、複数の自動車2の走行を管制制御するための管制制御を実行する(ステップST24)。管制制御部42は、管制制御において、基本的に、管制下にある複数の自動車2の各々の、自動車2ごとに異なる個別管制情報を周期的に生成して、各自動車2へ個別に送信する。各自動車2の車両通信デバイス29は、サーバ装置3から自車のための個別管制情報を受信する。
【0044】
このような管制制御システムにおいて、サーバ装置3は、基本的に、前処理部41と管制制御部42との制御により、管轄内を走行する複数の自動車2の走行を制御するための複数の個別管制情報を繰り返しに生成することができる。そして、個別管制情報を受信する自動車2では、その走行制御装置12が、サーバ装置3から受信した個別管制情報を用いて、個別管制情報の要求にしたがう制御値を生成して、自車の自動運転による走行を制御することができる。複数の自動車2は、サーバ装置3の管制の下で、基本的にサーバ装置3の管制にしたがう走行制御を実行することにより、互いに干渉を生じることなく安全に走行することが可能となる。
【0045】
たとえば自動車2の走行制御装置12は、ステップST31において自車の車両情報を取得し、ステップST32でそれを自車の走行情報としてサーバ装置3へ送信する。また、走行制御装置12は、サーバ装置3から受信により取得している自車の車両情報を用いて、ステップST37において走行制御のための制御値を生成し、ステップST41において自車の走行制御を実行する。自動車2の走行制御装置12は、図5においてステップST31からステップST41を繰り返しに示しているように、このような自律的な走行制御を周期的に実行する。これにより、自動車2の走行制御装置12は、最新の自車の走行状態を確認しながら、各走行状態に対応するように自車の走行を制御し続けることができる。
【0046】
サーバ装置3では、前処理部41は、各自動車2から新たな走行情報を受信すると、ステップST13においてその自動車2についての車線上の位置(以下、車両S位置)を演算する。また、前処理部41は、ステップST12においてサーバ地図データ51を読み込み、ステップST14において道路形状などに応じたその自動車2についての自動車2挙動計画を生成し、ステップST15において生成した自動車2挙動計画などの情報を車両位置挙動DB53に記録する。前処理部41は、各自動車2から新たな走行情報を受信するたびに、ステップST12からステップST15の処理を繰り返す。これにより、車両位置挙動DB53には、複数の自動車2の各々の最新の走行状態に応じた自動車2挙動計画が記録される。ここで、自動車2挙動計画には、各自動車2の加速、速度維持、減速、停止、速度範囲(上限、下限)、車線維持、または車線変更などの情報が含まれてよい。
【0047】
また、サーバ装置3では、管制制御部42が、ステップST21において車両位置挙動DB53から情報を周期的に読み込み、各自動車2の干渉などを判定しながらステップST24において干渉に応じた個別管制情報を生成し、ステップST28で個別管制情報を各自動車2へ個別に送信する。この場合、自動車2の走行制御装置12は、ステップST31において取得している自車の車両情報とともに、サーバ装置3から取得している最新の個別管制情報を用いて、基本的に個別管制情報にしたがうように走行するための制御値を生成して自車の走行を制御することができる。
なお、自動車2が、基本的に個別管制情報にしたがって自車の走行を制御した後においても、その走行状態が干渉などを良好に抑制できるようにはなっていない可能性がある。このような場合、サーバ装置3は、次回の個別管制情報においても、前回と同様の要求を含むものを生成して送信することになる。同様の要求の個別管制情報にしたがう走行制御が繰り返されることにより、自動車2の走行は、サーバ装置3での干渉などの判断結果にしたがった走行状態に近づき、また、その走行状態において走行するようになることが期待できる。
このように複数の自動車2の各々の走行制御装置12は、サーバ装置3から自車宛ての個別管制情報を受信している場合には、受信している自車宛ての個別管制情報を用いて自車の走行制御のための制御値を繰り返しに生成して、サーバ装置3の管制下で自車の走行を制御することが可能になる。
【0048】
図6は、図2のサーバCPU34による、前処理制御のフローチャートである。
サーバCPU34は、前処理部41の処理として、図6の前処理制御を繰り返しに実行する。
【0049】
ステップST11において、前処理部41は、新たな走行情報をサーバ通信デバイス31により受信して取得しているか否かを判断する。新たな走行情報を取得していない場合、前処理部41は、本処理を繰り返す。新たな走行情報を取得すると、前処理部41は、処理をステップST12へ進める。
【0050】
ステップST12において、前処理部41は、サーバDB5から、サーバ地図データ51を読み込む。
【0051】
ステップST13において、前処理部41は、新たに受信した走行情報に含まれる自動車2の位置情報と、サーバ地図データ51とに基づいて、走行情報に係る自動車2が走行している車線および車線上の位置を示す車両S位置を演算する。
【0052】
ステップST14において、前処理部41は、ステップST13までの処理で取得している情報を用いて、新たに走行情報を受信した自動車2についての自動車2挙動計画を生成する。
前処理部41は、基本的には新たに走行情報を受信した自動車2の車両S位置や経路などに基づいて、その自動車2の走行予定を示す自動車2挙動計画を生成する。
自動車2挙動計画は、たとえば自動車2を加速させる情報、速度を維持させる情報、減速させる情報、停止させる情報、速度範囲(上限、下限)の情報、車線維持の情報、車線を変更する情報などが含まれてよい。
【0053】
ステップST15において、前処理部41は、ステップST13までの処理で生成した情報を、車両位置挙動DB53に記録して、車両位置挙動DB53を更新する。その後、前処理部41は、本制御を終了する。
【0054】
図7は、図2のサーバCPU34による、管制制御のフローチャートである。
サーバCPU34は、管制制御部42の処理として、図7の管制制御を周期的に実行する。これにより、サーバCPU34は、管制下にある複数の自動車2に対して周期的に個別管制情報を生成して送信し続けることができる。
【0055】
ステップST21において、管制制御部42は、車両位置挙動DB53を読み込む。
【0056】
ステップST22において、管制制御部42は、車両位置挙動DB53に情報が記録されている複数の自動車2の中から、1つの未処理の自動車2を選択する。
【0057】
ステップST23において、管制制御部42は、ステップST22で選択した自動車2について、車両位置挙動DB53に記録されている情報を用いて、他の自動車との干渉の有無を判定する。
ここで、干渉とは、選択している自動車2の位置と他の自動車の位置とが重なることだけでなく、車間が閾値以下になることを含んでよい。たとえば前の自動車2より高い速度で移動する後の自動車2は、前の自動車2との車間が、その速度差によって閾値以下に縮まる可能性がある。管制制御部42は、このような車間などが閾値以下となることにより、干渉かあると判断してよい。
【0058】
ステップST24において、管制制御部42は、ステップST22で選択した自動車2について、干渉有無を踏む個別管制情報を生成する。
たとえば上述したように前の自動車2との干渉があると判定している場合、管制制御部42は、車両位置挙動DB53にたとえば加速や速度維持の情報が記録されているとしても、速度維持や減速を要求する個別管制情報を生成してよい。
これに対し、他の自動車との干渉がないと判定している場合、管制制御部42は、車両位置挙動DB53に記録されている情報をそのままに個別管制情報として生成してよい。
このように、管制制御部42は、管制下にある各自動車2の個別管制情報として、干渉有無の判断結果、またはこれに応じた情報を含む個別管制情報を生成する。管制制御部42は、各自動車2で走行制御に用いる制御値ではなく、各自動車2の走行についての要求を示す情報を生成する。個別管制情報には、干渉有無の判断結果や、加速、速度維持、減速、停止、速度範囲(上限、下限)、車線維持、または車線変更を要求する情報が含まれてよい。
【0059】
ステップST25において、管制制御部42は、ステップST22で選択した自動車2が、管制上で用いる設定合流区間R3を走行しているか否かを判断する。
ここで、設定合流区間R3とは、図1図9に示す本線91と合流車線92との間で自動車2が車線変更することができる道路上の合流区間R1だけでなく、その手前の合流手前区間R2を含むものとするとよい。これにより、管制制御部42は、道路上の合流区間R1を走行している自動車2だけでなく、道路上の合流区間R1へ向けて走行している自動車2についても、事前から合流のための管制制御を実行することができる。
そして、ステップST22で選択した自動車2が設定合流区間R3を走行している場合、管制制御部42は、処理をステップST26へ進める。ステップST22で選択した自動車2が設定合流区間R3を走行していない場合、管制制御部42は、処理をステップST28へ進める。
【0060】
ステップST26において、管制制御部42は、合流区間へ向けて走行している自動車2について、合流区間において他の自動車と干渉することが起きない経路を生成する。詳細は、後述する。
【0061】
ステップST27において、管制制御部42は、ステップST26で生成した経路について、各自動車2に走行を求める合流区間での通過地点情報を生成する。
ここで、管制制御部42は、ステップST26で生成した経路について、少なくとも2つの地点を選択し、各地点の位置と通過時刻の情報を、通過地点情報として生成するとよい。また、少なくとも2つの地点には、たとえば、合流区間へ向けて走行する自動車2についての現在位置よりも合流区間の終わりの地点に近い地点とするとよい。詳細は、後述する。
【0062】
ステップST28において、管制制御部42は、ステップST22で選択した自動車2についてステップST27までに生成した情報を、ステップST22で選択した自動車2へ個別送信する。この場合、通過地点情報は、ステップST24で生成された個別管制情報とともに、ステップST22で選択した自動車2へ個別送信される。合流区間へ向けて走行する各自動車2のための個別管制情報には、干渉の判断結果を含まれている。
【0063】
ステップST29において、管制制御部42は、管制下のすべての自動車2についてのステップST22での選択が終了したか否かを判断する。管制制御部42は、たとえば、車両位置挙動DB53のすべての自動車2について、ステップST22での選択が終了しているか否かを判断してよい。すべての自動車2についての選択が終了していない場合、管制制御部42は、処理をステップST22へ戻す。管制制御部42は、すべての自動車2の選択が終えるまで、ステップST22からステップST29の処理を繰り返す。これにより、管制下のすべての自動車2には、各々の個別管制情報が送信される。また、管制合流区間を走行している複数の自動車2には、各々の通過地点情報が送信される。
【0064】
図8は、図4の自動車2の走行制御装置12による、管制制御下の走行制御のフローチャートである。
サーバ装置3の管制下で走行している複数の自動車2の各々の走行制御装置12は、図8の管制制御下の走行制御を繰り返しに実行する。
走行制御装置12がサーバ装置3の管制下で走行制御を実行している場合、その自動車2の車両通信デバイス29は、通常は、サーバ装置3から個別管制情報を周期的に受信できている。外通信制御装置は、車両通信デバイス29が周期的に受信している個別管制情報を、車ネットワーク17を通じて走行制御装置12へ出力する。走行制御装置12は、車両メモリ72に、個別管制情報を蓄積して記録してよい。
【0065】
ステップST31において、走行制御装置12は、自車のセンサ制御装置11などから、自車の走行状態を示す情報や自車の周囲の走行環境の情報といった車両情報を収集して取得する。なお、自車のセンサ制御装置11などから取得する情報は、予め取得して走行制御装置12の車両メモリ72などに記録されていてよい。ここで、車両情報には、たとえば車内カメラの撮像画像に含まれる自車周辺の他の自動車や自車についての、位置、方向、速度、加速度、および進行方向、などの情報が含まれてよい。走行制御装置12は、センサ制御装置11などから取得した情報を処理して、これらの情報を生成してよい。また、車両情報には、駆動制御装置13、操舵制御装置14、制動制御装置15などの動作状態、制御内容、および制御結果を示す情報、などが含まれてよい。また、車両情報には、GNSS受信機21が生成する時刻の情報が含まれるとよい。
【0066】
ステップST32において、走行制御装置12は、ステップST31で取得する車両情報に基づく最新の走行情報を、車外通信制御装置16を用いて、サーバ装置3へ送信する。車外通信制御装置16は、走行制御装置12から入力される走行情報を、車両通信デバイス29、基地局7を通じて、サーバ装置3へ送信する。ここで、走行情報は、サーバ装置3が管制制御に使用するための情報であればよい。走行情報は、車両情報そのままでもよいが、車両情報の一部であってもよい。サーバ装置3は、管制制御のために、各自動車2の最小限の情報としてその位置の情報を必要とする。
【0067】
ステップST33において、走行制御装置12は、自車が設定合流区間R3を走行中であるか否かを判断する。走行制御装置12は、自車の現在位置を車両地図データ74と照会して、自車が設定合流区間R3を走行中であるか否かを判断してよい。そして、自車が道路上の合流区間R1を走行している場合、または、自車が合流区間へ向けて走行している場合、走行制御装置12は、自車が設定合流区間R3を走行中であると判断し、処理をステップST34へ進める。自車が設定合流区間R3を走行中であると判断しない場合、走行制御装置12は、処理をステップST36へ進める。
【0068】
ステップST34において、走行制御装置12は、車両通信デバイス29におけるサーバ装置3からの個別管制情報の受信状態の良否を判断する。走行制御装置12は、たとえば、最後に個別管制情報を受信した後の経過時間と受信周期との比較や、受信周期を基準とした個別管制情報の受信間隔についての誤差の大きさ、などに基づいて、サーバ装置3からの個別管制情報の受信状態の良否を判断してよい。たとえばサーバ装置3との通信が断絶している場合、経過時間や受信間隔は、大きくなる。そして、たとえば経過時間と受信周期との差が閾値以下である場合、または、受信間隔の誤差が閾値以下である場合、走行制御装置12は、サーバ装置3からの個別管制情報の受信状態が良好であると判断して、処理をステップST35へ進める。これに対し、受信状態が良好でない場合、走行制御装置12は、処理をステップST38へ進める。これにより、走行制御装置12は、自車が道路上の合流区間R1へ向けて走行している場合、または合流区間において走行している場合には、サーバ装置3の通信状態に応じた処理を実行することができる。
【0069】
ステップST35において、走行制御装置12は、後述するステップST39において自車経路を生成しているか否かを判断する。現在の設定合流区間R3の走行中に既に自車経路を生成している場合、走行制御装置12は、処理をステップST38へ進める。自車経路を生成していない場合、走行制御装置12は、処理をステップST36へ進める。
【0070】
ステップST36において、走行制御装置12は、サーバ装置3から取得している最新の個別管制情報を取得する。
【0071】
ステップST37において、走行制御装置12は、ステップST36までに取得している情報に基づいて、自車の走行を制御するための制御値を生成する。
この場合、走行制御装置12は、ステップST36において最新の個別管制情報を取得している。走行制御装置12は、受信している自車宛ての個別管制情報に基本的にしたがいながら、自車の有視界での車両情報についても対応するように、自車の走行制御のための制御値を生成する。
走行制御装置12は、たとえば自動車2を加速させる制御値、速度を維持させる制御値、減速させる制御値、停止させる制御値、速度範囲(上限、下限)での速度を維持する制御値、車線を維持する操舵の制御値、車線を変更する操舵の制御値などを生成する。
このように、走行制御装置12は、サーバ装置3から個別管制情報を良好に受信できている状態にある場合には、干渉を抑制するための最新の個別管制情報を用いて、管制下での干渉を抑制し得る制御値を生成することができる。
これに対し、サーバ装置3から自車宛ての個別管制情報を受信していない場合、走行制御装置12は、自車の有視界での車両情報に基づいて判断可能な干渉に対応するように、自車の走行制御のための制御値を生成することになる。
その後、走行制御装置12は、処理をステップST41へ進める。
【0072】
ステップST38において、走行制御装置12は、管制制御を実行するサーバ装置3から取得している最新の通過地点情報を取得する。
【0073】
ステップST39において、走行制御装置12は、ステップST38で取得している通過地点を、通過地点情報の条件で通過するための自車経路を生成する。詳細は、後述する。
このように、走行制御装置12は、サーバ装置3から個別管制情報を良好に受信できていない状態である場合には、最新の個別管制情報を用いることなく、最後に良好な通信状態で受信できている通過地点情報を用いて、通過地点を通過するように走行するための制御値を生成することができる。サーバ装置3との通信がたとえば断絶している状態にあっても、走行制御装置12は、管制制御を実行するサーバ装置3から取得している最新の通過地点情報に基づく、制御値を生成することができる。
【0074】
ステップST40において、走行制御装置12は、ステップST39で生成した自車経路にしたがって走行するための制御値を生成する。
その後、走行制御装置12は、処理をステップST41へ進める。
【0075】
ステップST41において、走行制御装置12は、ステップST37またはステップST40で生成した制御値を、車ネットワーク17を通じて、自車の走行制御を実行する各制御装置へ出力する。これにより、たとえば駆動制御装置13は、駆動出力を制御値にする制御を実行する。操舵制御装置14は、操舵方向を含む舵角が制御値となるように制御を実行する。制動制御装置15は、制動力を制御値にする制御を実行する。自動車2の走行が、サーバ装置3の管制の下で制御される。
その後、走行制御装置12は、本制御を終了する。
【0076】
たとえば、自動車2は、管制制御を実行するサーバ装置3から取得している最新の管制制御情報に基づいて制御値を生成し続けることにより、サーバ装置3の管制の下で走行することができる。
また、自動車2は、管制制御を実行するサーバ装置3から最新の管制制御情報を受信して取得できない場合であっても、予めサーバ装置3から受信していた通過地点情報に基づいて制御値を生成することができる。自動車2は、管制制御を実行するサーバ装置3から最新の管制制御情報を取得できない場合であっても、合流区間におけるその自動車2の走行としてサーバ装置3が想定している経路に沿って走行することになる。自動車2の走行は、管制制御を実行するサーバ装置3から最新の管制制御情報を取得できない場合であっても、サーバ装置3の管制下で制御されることになる。
また、自動車2の走行制御装置12は、ステップST35の判断処理を実行する。これにより、設定合流区間R3において自車経路を生成した後に、サーバ装置3からの個別管制情報の受信状態が良好でないものから良好なものへ戻ったとしても、走行制御装置12は、その設定合流区間R3を通過するまで、または、サーバ装置3から受信している合流区間の終わりの地点を通過するまで、自車経路にしたがって走行するように制御値を生成することになる。合流区間を走行する自動車2の走行制御が、個別管制情報に基づく制御と、通過地点情報に基づく制御との間で、合流区間の途中などにおいて頻繁に切り替わると、その結果として自動車2の挙動に予期し得ない状態が発生してしまう可能性もある。管制下での制御の切り替えであったとしても、制御の繰り返しの切り替えによる走行制御の振れが発生しないようにすることは、難しいと考えられる。
そして、本実施形態のように、合流区間の通過後に、各自動車2の走行制御を、通過地点情報に基づく制御から個別管制情報に基づく制御へ戻すようにすることにより、そのような合流中の予期し得ない自動車2の挙動が発生し難くできる。サーバ装置3の管制下で、通過地点情報に基づいて合流区間を走行している複数の自動車2は、各々の通過地点情報に基づいて各々の走行を、予定調和的に制御することができる。また、各自動車2は、その合流区間の走行中に、予期し得ない1の自動車2の挙動に対して対応するように走行を制御する必要性がなくなり得る。サーバ装置3との通信状態が良好でなくなったとしても、合流区間を走行している複数の自動車2は、予定調和的な走行により、合流区間を一定の安全性を担保しながら通過することができる。
【0077】
図9は、道路の合流区間へ向けて第一自動車C1と第二自動車C2とが走行している状態の説明図である。
【0078】
図9では、第一自動車C1が合流手前区間R2の本線91を、図中の破線に沿って走行し、合流区間R1へ向かって走行している。また、第二自動車C2は、合流手前区間R2の合流車線92を、図中の破線に沿って走行し、合流区間R1へ向かって走行している。第一自動車C1と第二自動車C2とは、ほぼ同じ速度で並走している。また、サーバ装置が管制制御に使用する設定合流区間R3は、道路上の合流区間R1と合流手前区間R2とにより構成されている。
サーバ装置3の管制制御部42は、このような走行環境が生じると、第一自動車C1と第二自動車C2とが合流区間R1において干渉すると判断することになる。
【0079】
そして、図9において、G1は、合流区間R1の始まりの位置を示している。G2は、合流区間R1の終わりの位置を示している。WP11は、第一自動車C1が、合流区間の始まりの位置G1を通過する第一通過地点である。WP12は、第一自動車C1が、合流区間の終わりの位置G2を通過する第二通過地点である。WP21は、第二自動車C2が、合流区間の始まりの位置G1を通過する第三通過地点である。WP22は、第二自動車C2が、合流区間の終わりの位置G2を通過する第四通過地点である。
サーバ装置3の管制制御部42は、たとえば、第一自動車C1については、第一通過地点WP11の位置と通過時刻と、第二通過地点WP12の位置と通過時刻と、を通過地点情報として生成して、第一自動車C1へ個別送信する。
サーバ装置3の管制制御部42は、たとえば、第二自動車C2については、第三通過地点WP21の位置と通過時刻と、第四通過地点WP22の位置と通過時刻と、を通過地点情報として生成して、第二自動車C2へ個別送信する。
なお、管制制御部42は、各自動車2へ個別送信する通過地点情報に、3つ以上の通過地点の情報を含めてもよい。
【0080】
図10は、サーバ装置3の管制制御部42が、図9の合流区間の本線91を走行する第一自動車C1と、合流車線92を走行する第二自動車C2との干渉を判断するための事前処理の説明図である。
図10では、図9の合流区間の本線91が、破線による本線線分S1で表され、合流車線92が、破線による合流線分S2で表されている。
合流線分S2は、合流区間の終わりの位置G2において、本線線分S1と交わる。合流車線92を走行する第二自動車C2は、合流区間の始まりの位置G1から合流区間の終わりの位置G2までの間で、合流車線92から本線91へ車線変更することにより、合流区間を走行して通過することができる。
【0081】
この場合、管制制御部42は、干渉判断のために、第一自動車C1を、図中に黒丸で示すように、本線線分S1の上に、合流区間の終わりの位置G2からの処理時点での実距離で離れている位置にプロットする。
また、管制制御部42は、第二自動車C2を、図中に黒丸で示すように、合流線分S2の上に、合流区間の終わりの位置G2からの処理時点での実距離で離れている位置にプロットすることが可能である。しかしながら、管制制御部42は、第二自動車C2を、図中に白丸で示すように、本線線分S1の上に、合流区間の終わりの位置G2からの処理時点での実距離で離れている位置にプロットする。
このような図10の本線線分S1を用いて、管制制御部42は、第一自動車C1と第二自動車C2との間での干渉の有無などを判断する。
【0082】
図11は、図9の第一自動車C1と第二自動車C2とを管制制御するためのSチャートの説明図である。
Sチャートとは、ある時刻での道路上の複数の自動車2の位置と将来予想とを示すものである。管制制御部42は、周期的に、Sチャートを用いて、各自動車2についての合流区間などでの干渉などを判断する。
図11の縦軸は、時間であり、下へ行くほど時間が経過している。横軸は、道路上のS位置である。図11での横軸は、図10の本線線分S1に対応している。
【0083】
図11において、本線91を走行中の第一自動車C1は、第一速度で、本線91を移動している。また、合流車線92を走行中の第二自動車C2は、第一速度より高い第二速度で、合流車線92を移動している。この場合、第二自動車C2の将来予想経路は、図中に第二自動車C2の線分として示すように、第一自動車C1の将来予想経路の線分よりも傾きが小さくなる。
そして、図中に破線円で示すように、道路上の合流区間R1内の位置において、第一自動車C1と第二自動車C2とが干渉する可能性がある。
【0084】
このため、サーバ装置3の管制制御部42は、第一自動車C1については第一速度を維持(Maintain)して合流区間を通過するように個別制御情報を生成し続ける。
また、管制制御部42は、第二自動車C2については第一自動車C1との車間を確保するように減速(Dec)させる個別制御情報を生成する。次に、管制制御部42は、第二自動車C2を第一速度まで加速(Acc)させる個別制御情報を生成する。次に、管制制御部42は、第二自動車C2についても第一速度を維持(Maintain)して合流区間を通過するように個別制御情報を生成する。
これにより、第一自動車C1と、第二自動車C2とは、合流区間において実際に干渉を生じることなく、合流区間を安全に通過することができる。
【0085】
また、管制制御部42は、上述したように、第一自動車C1については、第一通過地点WP11の位置と通過時刻と、第二通過地点WP12の位置と通過時刻と、を通過地点情報として生成して、第一自動車C1へ個別送信している。また、管制制御部42は、第二自動車C2については、第三通過地点WP21の位置と通過時刻と、第四通過地点WP22の位置と通過時刻と、を通過地点情報として生成して、第二自動車C2へ個別送信している。
このような状況下でサーバ装置3との通信状態が良好ではなくなると、第一自動車C1と第二自動車C2との各々の走行制御装置12は、既に受信している各々の通過地点情報に基づく走行制御を実行する。
【0086】
そして、第一自動車C1と第二自動車C2との各々の走行制御装置12は、少なくとも2つ以上の通過地点の情報を受信しているため、図11において実線で示している経路を、自車経路として再現する。第一自動車C1と第二自動車C2との各々の走行制御装置12は、サーバ装置3との通信断絶状態においてもサーバ装置3の管制下での経路で走行するように制御を実施する。第一自動車C1と第二自動車C2とは、サーバ装置3が干渉抑制のために各々について想定した経路に沿って実際に走行することができる。
これに対し、通過地点の情報が1つである場合、走行制御装置12は、図11において実線で示している経路とは異なる経路を生成してしまう可能性がある。走行制御装置12は、図のものとは異なる傾きで折れ曲がるような経路を生成することも可能である。そのようにサーバ装置が想定しているものとは異なる自車経路を生成してしまうと、第一自動車C1と第二自動車C2との各々の走行制御装置12は、サーバ装置3との通信断絶中においてサーバ装置3の管制下での走行制御を実施したとしても、実際の走行経路がサーバ装置3が干渉抑制のために想定したものとは異なるものとなる。この場合、干渉が抑制されるとは限らない。
【0087】
このように、サーバ装置3の管制制御部42が、少なくとも道路上の合流区間R1の手前である合流手前区間R2を走行する各自動車2について、通過地点情報を生成して個別送信し、かつ、各自動車2の通過地点情報として、道路上の合流区間R1の始まりの地点および終わりの地点を含む少なくとも2つの通過地点の位置と各々での通過時刻とを含むものを生成することにより、各自動車2の走行制御装置12は、サーバ装置3が干渉抑制のために想定した経路を自車経路として再現でき、かつ、そのサーバ装置3が想定した経路に沿った再現経路で走行することができる。合流区間を走行する複数の自動車2の各々が、このような管制下の制御を実行することにより、サーバ装置3との通信が断絶した状態においても、その複数の自動車2は、合流区間において干渉を起こすことなく合流区間を安全に通過することが期待できる。
【0088】
以上のように、本実施形態において、サーバ装置3は、複数の自動車2の個別的な管制制御のために、自動車2同士が合流する合流区間へ向けて走行する各自動車2について、サーバDB5に記録されている複数の自動車2の走行情報に基づいて他の自動車との干渉を判断し、合流区間R1へ向けて走行する各自動車2のための個別管制情報として、干渉の判断結果を含むものを生成して個別送信する。これにより、複数の自動車2の各々は、サーバ装置3において各々について個別に生成される個別管制情報を用いて自車の走行を制御することができる。複数の自動車2の走行は、たとえば合流区間R1を走行する場合であっても、サーバ装置3の管制制御の下で他の自動車との間で干渉を起こさないように走行することができる。
【0089】
しかも、サーバ装置3は、さらに、合流区間R1へ向けて走行する自動車2については、処理時点での現在位置よりも合流区間R1の終わりの地点G2に近い地点である、合流区間R1において通過させる複数の地点についての通過地点情報を生成して、個別送信する。
これにより、各自動車2は、合流区間R1において、サーバ装置3との一時的な通信断絶などにより新たな個別管制情報を受信できなくなってサーバ装置3の個別管制情報を用いた管制制御に基づく走行制御ができなくなったとしても、管制制御を実行するサーバ装置3から既に受信している合流区間R1での通過地点情報を用いて、サーバ装置3が想定した経路に沿って自律的な走行制御を実行することができる。
しかも、その後に、サーバ装置3の個別管制情報を受信できるようなった場合には、それまでの自律的な走行が、管制制御を実行するサーバ装置3から受信している通過地点情報を用いたものであるため、各自動車2の走行制御は、サーバ装置3の個別管制情報による走行制御へ復帰するように容易に切り替えることが可能である。この制御の切り替えの前後での走行制御は、共に、管制制御を実行するサーバ装置3により生成される情報に基づくものである。切り替えの際の制御の連続性が担保されやすい。したがって、この制御の切り替えの際の自動車2の走行は、大きく走行が変化してしまうような不連続的な走行の変化を生じるような制御の切り替えとはなり難くなる。各自動車2は、サーバ装置3から新たな個別管制情報を受信できなくなっている間においても、サーバ装置3の管制制御の下での自律的な走行を実行することにより、スムースに、サーバ装置3の個別管制情報による走行制御へ復帰することができる。
このように自動車の管制制御システム1では、サーバ装置3と各自動車2との間の通信に、たとえば一時的に通信が断絶されてしまうような状態が生じたとしても、管制下の制御を維持して、管制制御による安全性をできるかぎり維持できるようにすることができる。
【0090】
ここで、本線91を走行する第一自動車C1と合流車線92を走行する第二自動車C2とが合流する場合での、具体的な干渉判断の例について説明する。
以下の図12から図20に示すSチャートは、図11と同様のものである。
【0091】
図12は、合流する第一自動車C1と第二自動車C2との干渉判定の第一例のSチャートの説明図である。
図12は、本線91を走行する第一自動車C1の前に、合流車線92を走行する第二自動車C2が合流する例である。また、第二自動車C2は、第一自動車C1より早い速度で走行している。
そして、第二自動車C2と第一自動車C1とが現時点での走行を継続した場合、合流区間R1についての始まりの位置G1から終わりの位置G2までの間において、第一自動車C1の線分と第二自動車C2の線分とが接近したり交差したりしない。ここで、接近とは、たとえば最低の車間距離以下に近づくこととしてよい。
この場合、サーバ装置3の管制制御部42は、第二自動車C2と第一自動車C1とは合流区間R1において干渉しないと判断する。
【0092】
図13は、合流する第一自動車C1と第二自動車C2との干渉判定の第二例のSチャートの説明図である。
図13は、本線91を走行する第一自動車C1の前に、合流車線92を走行する第二自動車C2が合流する例である。また、第二自動車C2は、第一自動車C1より遅い速度で走行している。
そして、第二自動車C2と第一自動車C1とが現時点での走行を継続した場合、合流区間R1において、第一自動車C1の線分と第二自動車C2の線分とが接近したり交差したりしない。
この場合、サーバ装置3の管制制御部42は、第二自動車C2と第一自動車C1とは合流区間R1において干渉しないと判断する。
【0093】
図14は、合流する第一自動車C1と第二自動車C2との干渉判定の第三例のSチャートの説明図である。
図14は、本線91を走行する第一自動車C1の前に、合流車線92を走行する第二自動車C2が合流する例である。また、第二自動車C2は、第一自動車C1と略同じ速度で走行している。
そして、第二自動車C2と第一自動車C1とが現時点での走行を継続した場合、合流区間R1において、第一自動車C1の線分と第二自動車C2の線分とが接近したり交差したりしない。
この場合、サーバ装置3の管制制御部42は、第二自動車C2と第一自動車C1とは合流区間R1において干渉しないと判断する。
【0094】
図15は、合流する第一自動車C1と第二自動車C2との干渉判定の第四例のSチャートの説明図である。
図15は、本線91を走行する第一自動車C1の後に、合流車線92を走行する第二自動車C2が合流する例である。また、第二自動車C2は、第一自動車C1より早い速度で走行している。
そして、第二自動車C2と第一自動車C1とが現時点での走行を継続した場合、合流区間R1において、第一自動車C1の線分と第二自動車C2の線分とが交差する。
この場合、サーバ装置3の管制制御部42は、第二自動車C2と第一自動車C1とは合流区間R1において干渉すると判断する。
管制制御部42は、たとえば第二自動車C2について、合流区間R1の前で減速して第一自動車C1から離間して合流し、第一自動車C1と同じ速度で合流区間R1を走行するための、第三通過地点WP21と第四通過地点WP22との情報を生成して、第二自動車C2C2へ個別送信する。
この場合、第二自動車C2は、図中に破線で示すように、第一自動車C1の後側において合流区間R1を走行し、第三通過地点WP21と第四通過地点WP22とを通過するように、自律走行制御を実行することが可能になる。
【0095】
図16は、合流する第一自動車C1と第二自動車C2との干渉判定の第五例のSチャートの説明図である。
図16は、本線91を走行する第一自動車C1の前に、合流車線92を走行する第二自動車C2が合流する例である。また、第二自動車C2は、第一自動車C1より遅い速度で走行している。
そして、第二自動車C2と第一自動車C1とが現時点での走行を継続した場合、合流区間R1において、第一自動車C1の線分と第二自動車C2の線分とが交差する。
この場合、サーバ装置3の管制制御部42は、第二自動車C2と第一自動車C1とは合流区間R1において干渉すると判断する。
管制制御部42は、たとえば第二自動車C2について、合流区間R1の前で減速して第一自動車C1から離間して合流し、元の速度へ復帰して合流区間R1を走行するための、第三通過地点WP21と第四通過地点WP22との情報を生成して、第二自動車C2C2へ個別送信する。
この場合、第二自動車C2は、図中に破線で示すように、第一自動車C1の後側において合流区間R1を走行し、第三通過地点WP21と第四通過地点WP22とを通過するように、自律走行制御を実行することが可能になる。
【0096】
図17は、合流する第一自動車C1と第二自動車C2との干渉判定の第六例のSチャートの説明図である。
図17は、本線91を走行する第一自動車C1の前に、合流車線92を走行する第二自動車C2が合流する例である。また、第二自動車C2は、第一自動車C1と略同じ速度で走行している。
そして、第二自動車C2と第一自動車C1とが現時点での走行を継続した場合、合流区間R1において、第一自動車C1の線分と第二自動車C2の線分とが接近する。
この場合、サーバ装置3の管制制御部42は、第二自動車C2と第一自動車C1とは合流区間R1において干渉すると判断する。
管制制御部42は、たとえば第二自動車C2について、合流区間R1の前で減速して第一自動車C1から離間して合流し、元の速度へ復帰して合流区間R1を走行するための、第三通過地点WP21と第四通過地点WP22との情報を生成して、第二自動車C2C2へ個別送信する。
この場合、第二自動車C2は、図中に破線で示すように、第一自動車C1の後側において合流区間R1を走行し、第三通過地点WP21と第四通過地点WP22とを通過するように、自律走行制御を実行することが可能になる。
【0097】
図18は、合流する第一自動車C1と第二自動車C2との干渉判定の第七例のSチャートの説明図である。
図18は、本線91を走行する第一自動車C1の後に、合流車線92を走行する第二自動車C2が合流する例である。また、第二自動車C2は、第一自動車C1より遅い速度で走行している。
そして、第二自動車C2と第一自動車C1とが現時点での走行を継続した場合、合流区間R1を通過してから、第一自動車C1の線分と第二自動車C2の線分とが交差する。
この場合、サーバ装置3の管制制御部42は、第二自動車C2と第一自動車C1とは合流区間R1において干渉しないと判断する。
なお、管制制御部42は、たとえば第二自動車C2について、合流区間R1において第一自動車C1から離間するように減速するための、第四通過地点WP22の情報を生成して、第二自動車C2C2へ個別送信してもよい。
この場合、第二自動車C2の走行逝去装置は、合流区間R1の途中から、図中に破線で示すように第四通過地点WP22へ向かうように走行制御を実行してよい。
【0098】
図19は、合流する第一自動車C1と第二自動車C2との干渉判定の第八例のSチャートの説明図である。
図19は、本線91を走行する第一自動車C1の後に、合流車線92を走行する第二自動車C2が合流する例である。また、第二自動車C2は、第一自動車C1より遅い速度で走行している。
そして、第二自動車C2と第一自動車C1とが現時点での走行を継続した場合、合流区間R1において、第一自動車C1の線分と第二自動車C2の線分とが接近したり交差したりしない。
この場合、サーバ装置3の管制制御部42は、第二自動車C2と第一自動車C1とは合流区間R1において干渉しないと判断する。
【0099】
図20は、合流する第一自動車C1と第二自動車C2との干渉判定の第九例のSチャートの説明図である。
図20は、本線91を走行する第一自動車C1の後に、合流車線92を走行する第二自動車C2が合流する例である。また、第二自動車C2は、第一自動車C1と略同じ速度で走行している。
そして、第二自動車C2と第一自動車C1とが現時点での走行を継続した場合、合流区間R1において、第一自動車C1の線分と第二自動車C2の線分とが接近したり交差したりしない。
この場合、サーバ装置3の管制制御部42は、第二自動車C2と第一自動車C1とは合流区間R1において干渉しないと判断する。
【0100】
次に、自動車22における通過地点を通過するための制御値の演算方法の一例について説明する。
【0101】
図21は、自動車2において通過地点に基づく走行制御を実行する際に使用するSチャートの一例の説明図である。
図21のSチャートでは、説明のために、縦軸が車線上の位置Sであり、横軸が時間Tとなっている。
原点は、走行制御を実行するタイミングでの自動車2の位置と時刻である。
原点を通る第一破線は、自動車2が、現状の制御値による制御を維持した場合での現状走行維持の走行パスL1である。ここでは、自動車2が一定速度で走行している場合を例示している。
第一破線の下側にある第二破線は、一定速度の走行で第一通過地点WP11と第二通過地点WP12とを通過する仮想的な走行パスL2である。仮想的な走行パスL2において、自動車2は、第一通過地点WP11のs1の地点を時刻t1で通過し、第二通過地点WP12のs2の地点を時刻t2で通過することになる。
【0102】
この場合、自動車2の走行制御装置12は、サーバ装置3から取得している第一通過地点WP11と第二通過地点WP12とに基づいて、仮想的な走行パスL2を生成する。
次に、走行制御装置12は、図中に実線で示す曲線のように、現在位置である原点から、第二通過地点WP12において仮想的な走行パスL2と接する目標走行パスTGTを生成する。
この目標走行パスTGTに基づいて、走行制御装置12は、目標走行パスTGTにそって走行するための、現時点での加速についての制御値を生成する。
【0103】
図22は、自動車2の加速度の制御値を得るための演算処理の一例の説明図である。
図22のSチャートは、説明のために、縦軸が車線上の位置Sであり、横軸が時間Tとなっている。
図中の破線は、現時点の走行を維持する場合での、現状走行維持の走行パスL1である。これは、図21の現状走行維持の走行パスL1と対応してよい。
図中の実線は、目標走行パスTGTである。
図22の関係に基づいて、走行制御装置12は、図中に点で示す制御時点での現状走行維持の走行パスL1と、目標走行パスTGTとの差分αを演算することが可能である。
図中に示す各黒点は、目標走行パスTGTにおける制御タイミングで目標とする将来位置と、現状走行維持の走行パスL1における制御タイミングで目標とする将来位置と、を示している。
【0104】
この場合、図22の原点位置にいる自動車2の走行制御装置12は、自車を目標位置へ向けて走行させるための加速度を演算し、その加速度に対応する加速度の制御値を演算すればよい。
目標走行パスTGTは、たとえば下記式1により現すことができる。これを二回微分すると、加速度の式2が得られる。ここで、Sは位置であり、tは時間であり、a~eは定数である。記号^は、乗算を示す。たとえば、「t^4」は、tの4乗を示す。S(FF)’’は、加速度である。式2により、今回の制御により移動させたい式1の位置へ自動車2を向かわせるための、現在位置から目標位置へ向かうための加速度を演算することができる。式2は、将来的に目標位置へ向かうための加速度S(FF)’’であり、加速度のフィードフォワード項として用いることができる。
また、図22で2つの黒点で示される2つの目標位置には、S軸上での位置に差αがある。この差分αを用いて、下記式3により、フィードフォワード項の加速度S(FB)’’を演算することができる。ここで、f()は関数を示す。式3は、現在位置と目標位置との差に基づく遅れを減らすための加速度S(FB)’’であり、加速度の制御遅れを補うフィードバック項として用いることができる。
本実施形態の走行制御装置12は、たとえば式2の加速度S(FF)’’と、式3の加速度S(FB)’’とを重みづけ加算して最終的な加速度を演算し、その最終的な加速度に対応する加速度の制御値を生成する。この場合に最終的な加速度を得るための演算式には、目標走行パスTGTでの目標位置へ向かうための加速度をフィードフォワード項として含み、かつ、現状走行維持の走行パスL1と目標走行パスTGTとの差分αに対応する加速度をフィードバック項として含む、ことになる。最終的な加速度を得るための演算式は、目標位置へ向かうための加速度S(FF)’’を、フィードフォワード制御により加えるものである。これにより、オーバーシュートなどが発生し難くなる。
【0105】
このように、自動車2の走行制御装置12は、サーバ装置3から取得している第一通過地点WP11と第二通過地点WP12とに基づいて、自車経路としての目標走行パスTGTを生成することができる。
また、走行制御装置12は、その目標走行パスTGTで走行するように、各制御タイミングにおいて必要とされている加速度を演算して、その加速度に基づいて、走行制御に用いる制御値を演算することができる。
しかも、この制御値を生成するために使用する加速度には、現状走行維持の走行パスL1と目標走行パスTGTとの将来的な差分αに対応したフィードバックの加速度S(FB)’’とともに、目標走行パスTGTに沿って走行するためのフィードフォワードの加速度S(FF)’’が含まれている。その結果、制御値や、それを得るための最終的な加速度には、オーバーシュートなどが生じ難くなる。
これに対し、仮にたとえば現状走行維持の走行パスL1と目標走行パスTGTとの将来的な差分αに対応したフィードバックの加速度S(FB)’’のみに基づいて制御値を生成する場合、制御の遅れが大きくなり易く、その結果としてオーバーシュートが生じ易くなる。自律走行制御中の自動車2の加速度は、大きな問題とはならないものの、若干変動し易くなる。
【0106】
S=a×t^4+b×t^3+c×t^2+d×t+e ・・・式1
S(FF)’’=12×a×t^2+6×b×t+2×c ・・・式2
S(FB)’’=f(α) ・・・式3
【0107】
以上の実施形態は、本発明の好適な実施形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形または変更が可能である。
【符号の説明】
【0108】
1…管制制御システム、2…自動車(車両)、3…サーバ装置、4…サーバ本体、5…サーバDB、6…通信システム、7…基地局、8…通信網、10…制御系、11…センサ制御装置、12…走行制御装置、13…駆動制御装置、14…操舵制御装置、15…制動制御装置、16…車外通信制御装置、17…車ネットワーク、21…GNSS受信機、22…車外カメラ、23…加速度センサ、29…車両通信デバイス、31…サーバ通信デバイス、32…サーバGNSS受信機、33…サーバメモリ、34…サーバCPU、35…サーバ内部バス、41…前処理部、42…管制制御部、51…サーバ地図データ、53…車両位置挙動DB、71…入出力デバイス、72…車両メモリ、74…車両地図データ、79…車両内部バス、91…本線、92…合流車線、110…GNSS衛星、C1…第一自動車、C2…第二自動車、R1…合流区間、R2…合流手前区間、R3…設定合流区間、WP11…第一通過地点、WP12…第二通過地点、WP21…第三通過地点、WP22…第四通過地点


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22