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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】加圧装置
(51)【国際特許分類】
   B30B 15/34 20060101AFI20241108BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
B30B15/34 A
H01L21/60 311T
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2024083315
(22)【出願日】2024-05-22
【審査請求日】2024-05-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】森 隆博
(72)【発明者】
【氏名】森永 高広
(72)【発明者】
【氏名】井手迫 聡
(72)【発明者】
【氏名】森本 崇
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-152913(JP,A)
【文献】特開昭56-113947(JP,A)
【文献】特公昭56-024192(JP,B2)
【文献】特開平11-257884(JP,A)
【文献】特開平09-326263(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 15/00 - 15/34
B21D 22/20 - 24/00
B21D 37/16
F28D 15/02 - 15/06
B29C 43/10
H01L 21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを加圧する加圧装置であって、
前記ワークよりも下方向に配置されて、前記ワークを加熱または冷却可能な第1金型ユニットと、
前記第1金型ユニットと共に前記ワークを加熱または冷却可能な第2金型ユニットと、
を有してなり、
前記第2金型ユニットは、
複数のヒートパイプと、
複数の前記ヒートパイプが固定されて、前記ワークが加熱または冷却されているとき、前記ワークと前記第1金型ユニットとの間に配置される金型本体部と、
複数の前記ヒートパイプのうち、対応する前記ヒートパイプを加熱または冷却可能な熱源ユニットと、
を備えて、
前記ヒートパイプそれぞれは、
前記金型本体部から水平方向に突出する突出端部、
を備えて、
前記熱源ユニットは、
前記突出端部それぞれに対して移動可能であり、対応する前記突出端部に当接可能な複数の当接部と、
前記突出端部に対する前記当接部の当接と離間とを切り替える当接切替部と、
を備え
前記当接切替部は、
前記第2金型ユニットが前記ワークの加熱または冷却を開始するとき、前記当接部を前記突出端部に当接させて、
前記第2金型ユニットが前記ワークの加熱または冷却を終了するとき、前記当接部を前記突出端部から離間させる、
加圧装置。
【請求項2】
前記第2金型ユニットは、
前記金型本体部の温度を測定可能な温度測定器、
を備えて、
前記当接切替部は、前記温度測定器の測定結果に基づいて、前記当接部の前記当接と前記離間とを切り替える、
請求項1に記載の加圧装置。
【請求項3】
前記第1金型ユニットは、
前記ワークを加熱する加熱金型ユニット、
を備えて、
前記熱源ユニットは、
前記ヒートパイプを冷却する冷却源、
または、
前記ヒートパイプを加熱する加熱源、
を備えて、
前記当接切替部は、規定の温度プロファイルに沿って、前記ワークが加熱されるように、前記当接部の前記当接と前記離間とを切り替える、
請求項2に記載の加圧装置。
【請求項4】
前記第1金型ユニットは、
前記ワークを冷却する冷却金型ユニット、
を備えて、
前記熱源ユニットは、
前記ヒートパイプを冷却する冷却源、
または、
前記ヒートパイプを加熱する加熱源、
を備えて、
前記当接切替部は、規定の温度プロファイルに沿って、前記ワークが冷却されるように、前記当接部の前記当接と前記離間とを切り替える、
請求項2に記載の加圧装置。
【請求項5】
前記第1金型ユニットは、
前記ワークを加熱する加熱金型ユニット、
または、
前記ワークを冷却する冷却金型ユニット、
を備えて、
前記熱源ユニットは、
前記ヒートパイプを加熱する加熱源と、
前記ヒートパイプを冷却する冷却源と、
前記加熱源と前記冷却源とを切り替える熱源切替部、
を備えて、
前記熱源切替部は、規定の温度プロファイルに沿って、前記ワークが加熱または冷却されるように、前記加熱源と前記冷却源とを切り替える、
請求項2に記載の加圧装置。
【請求項6】
前記熱源ユニットは、
対応する前記ヒートパイプを加熱する加熱ユニットと、
対応する前記ヒートパイプを冷却する冷却ユニットと、
前記加熱ユニットと前記冷却ユニットとを切り替えるユニット切替部、
を備えて、
前記ユニット切替部は、
前記ヒートパイプが加熱されるとき、前記加熱ユニットの前記当接部が対応する前記突出端部に当接可能となるように、前記加熱ユニットと前記冷却ユニットとを切り替えて、
前記ヒートパイプが冷却されるとき、前記冷却ユニットの前記当接部が対応する前記突出端部に当接可能となるように、前記加熱ユニットと前記冷却ユニットとを切り替える、
請求項1に記載の加圧装置。
【請求項7】
前記ヒートパイプそれぞれは、
前記金型本体部から水平方向における第1方向に突出して、前記突出端部として機能する第1突出端部と、
前記金型本体部から前記第1方向の反対方向である第2方向に突出して、前記突出端部として機能する第2突出端部と、
を備えて、
前記熱源ユニットは、
前記第1突出端部に対応する第1熱源ユニットと、
前記第2突出端部に対応する第2熱源ユニットと、
を備えて、
前記第1熱源ユニットは、
対応する前記ヒートパイプを加熱する加熱ユニット、
または、
対応する前記ヒートパイプを冷却する冷却ユニットであり、
前記第2熱源ユニットは、
前記加熱ユニット、
または、
前記冷却ユニットである、
請求項1に記載の加圧装置。
【請求項8】
前記熱源ユニットは、
複数の前記当接部が配置される熱源本体部、
を備えて、
前記当接切替部は、前記熱源本体部を移動させることにより、複数の前記当接部を前記突出端部に一括して当接させて、または、離間させる、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の加圧装置。
【請求項9】
複数の前記ヒートパイプは、
第1ヒートパイプと、
第2ヒートパイプと、
を備えて、
複数の前記当接部は、
前記第1ヒートパイプの前記突出端部に対応する第1当接部と、
前記第2ヒートパイプの前記突出端部に対応する第2当接部と、
を備えて、
前記第1当接部と前記第2当接部それぞれは、独立して移動可能である、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の加圧装置。
【請求項10】
上下方向視において、前記金型本体部は、
第1領域と、
前記第1領域とは、異なる温度制御が実行される第2領域と、
を備えて、
前記第1ヒートパイプは、前記第1領域に配置されて、
前記第2ヒートパイプは、前記第2領域に配置されて、
前記当接切替部は、前記第1当接部と前記第2当接部それぞれの前記当接と前記離間とを異なるタイミングで切り替える、
請求項9に記載の加圧装置。
【請求項11】
前記第1金型ユニットは、
前記金型本体部に固定される複数の第1加熱源、または、複数の第1冷却源、
を備えて、
複数の前記ヒートパイプは、複数の前記第1加熱源、または、複数の前記第1冷却源よりも上方向に配置されて、
上下方向において、前記金型本体部のうち、複数の前記第1加熱源、または、複数の前記第1冷却源が配置されている領域は、前記第1金型ユニットとして機能して、
上下方向において、前記金型本体部のうち、複数の前記ヒートパイプが配置されている領域は、前記第2金型ユニットとして機能する、
請求項1に記載の加圧装置。
【請求項12】
前記第2金型ユニットは、前記第1金型ユニットと別体であり、
前記金型本体部は、前記第1金型ユニットに対して、水平方向に相対移動可能であり、
前記ワークが加熱または冷却されないとき、
前記金型本体部は、前記第1金型ユニットの上方向の処理位置から、前記処理位置から水平方向に離間した待機位置に相対移動する、
請求項1に記載の加圧装置。
【請求項13】
前記第1金型ユニットは、
複数の第1加熱源、または、複数の第1冷却源、
を備えて、
前記第1加熱源または前記第1冷却源の形状は、直線状であり、
複数の前記第1加熱源それぞれ、または、複数の前記第1冷却源それぞれは、相互に平行に配置されて、
上下方向視において、複数の前記ヒートパイプは、前記第1加熱源または前記第1冷却源と直交する、または、平行となるように、相互に平行に配置される、
請求項1に記載の加圧装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子部品などの被加圧物(以下「ワーク」という。)を加圧するために、加圧装置が用いられている。例えば、特許文献1に開示された加圧装置は、上下加圧ユニットを備えて、両ユニットによりワークを挟持・加圧する。同加圧装置は、下加圧ユニットが備えるヒータによりワークを加熱する。ヒータは、金型の内部に配置されている。同加圧装置では、ワークの加圧および加熱が完了した後、ワークは金型に当接したまま冷却される。金型は、ヒータに大きな圧力が加えられないように、加圧に耐える構造を有している。そのため、金型の体積は大きく、金型の熱容量も大きい。したがって、ワークの加熱時間および冷却時間は、長くなる。すなわち、ワークの加熱時および冷却時の温度変化率は、比較的小さくなる(緩やかになる)。
【0003】
一方、特許文献2に開示された加圧装置では、下加圧ユニットは、常時加熱されている加熱ユニット、および、常時冷却されている冷却ユニットを備える。加熱ユニットおよび冷却ユニットは、ワークを保持した上加圧ユニットに対して移動可能に構成されていて、加圧処理の進行状況に応じて、適宜切り替えられる。そのため、下加圧ユニットによる加熱と冷却との切り替え時間が短縮されて、ワークの加熱時間および冷却時間も短縮される。すなわち、ワークの加熱時および冷却時の温度変化率は、大きくなる(急峻になる)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-296746号公報
【文献】特開2017-199812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、それぞれの加圧装置は、ワークの加熱時および冷却時の温度勾配(加熱時間および冷却時間)において、反対の特徴を有する。しかし、ワークの加熱時および冷却時の温度変化率(加熱時間および冷却時間)は、成り行きとなり、制御し難い。
【0006】
本発明は、ワークの加熱時および/または冷却時の温度変化率を制御可能な加圧装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施態様における加圧装置は、ワークを加圧する加圧装置であって、前記ワークよりも下方向に配置されて、前記ワークを加熱または冷却可能な第1金型ユニットと、前記第1金型ユニットと共に前記ワークを加熱または冷却可能な第2金型ユニットと、を有してなり、前記第2金型ユニットは、複数のヒートパイプと、複数の前記ヒートパイプが固定されて、前記ワークが加熱または冷却されているとき、前記ワークと前記第1金型ユニットとの間に配置される金型本体部と、複数の前記ヒートパイプのうち、対応する前記ヒートパイプを加熱または冷却可能な熱源ユニットと、を備えて、前記ヒートパイプそれぞれは、前記金型本体部から水平方向に突出する突出端部、を備えて、前記熱源ユニットは、前記突出端部それぞれに対して移動可能であり、対応する前記突出端部に当接可能な複数の当接部と、前記突出端部に対する前記当接部の当接と離間とを切り替える当接切替部と、を備え前記当接切替部は、前記第2金型ユニットが前記ワークの加熱または冷却を開始するとき、前記当接部を前記突出端部に当接させて、前記第2金型ユニットが前記ワークの加熱または冷却を終了するとき、前記当接部を前記突出端部から離間させる、加圧装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ワークの加熱時および/または冷却時の温度勾配を変更可能な加圧装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る加圧装置の実施の形態を示す、加圧装置の模式断面図である。
図2図1のA矢視における本装置の模式断面図である。
図3】上記加圧装置の第2金型ユニットの模式平面図である。
図4図3のB矢視における上記第2金型ユニットの第1熱源ユニットの模式図である。
図5図3のC矢視における上記第2金型ユニットの第2熱源ユニットの模式図である。
図6】ワークが上記加圧装置の収容室に収容された状態を示す、加圧装置の模式断面図である。
図7】上記加圧装置の加熱金型ユニットおよび本体部が処理位置に位置している状態を示す、加圧装置の模式断面図である。
図8図7のD矢視における加圧装置の模式断面図である。
図9】上記加圧装置のチャンバユニットが下降した状態を示す、加圧装置の模式断面図である。
図10】ワークの加熱時におけるワーク、上記加熱金型ユニット、および上記本体部の温度変化の一例を示すタイミングチャートである。
図11】上記加圧装置の第1クランプ部材が挟持位置に移動した状態を示す、加圧装置の模式断面図である。
図12】上記第1クランプ部材が非挟持位置に移動した状態を示す、加圧装置の模式断面図である。
図13】上記加圧装置の冷却金型ユニットが処理位置に移動した状態を示す、加圧装置の模式断面図である。
図14図13のE矢視における加圧装置の模式断面図である。
図15】上記チャンバユニットが下降した状態を示す、加圧装置の模式断面図である。
図16】ワークの冷却時におけるワーク、上記冷却金型ユニット、および上記本体部の温度変化の一例を示すタイミングチャートである。
図17】上記第1クランプ部材が挟持位置に移動した状態を示す、加圧装置の模式断面図である。
図18】上記第1クランプ部材が非挟持位置に移動した状態を示す、加圧装置の模式断面図である。
図19】ワークの実際の温度変化の一例を示す模式図である。
図20】ワークの加熱時に上記加圧装置の第2クランプ部材が挟持位置に移動した状態を示す、加圧装置の模式断面図である。
図21】本発明に係る加圧装置の別の実施の形態を示す、加圧装置の模式断面図である。
図22図21のF矢視における加圧装置の模式断面図である。
図23】上記加圧装置の加熱金型ユニットの模式平面図である。
図24】上記加圧装置の冷却金型ユニットの模式平面図である。
図25】上記加圧装置の第1クランプ部材が挟持位置に移動した状態を示す、加圧装置の模式断面図である。
図26】本発明に係る加圧装置の第1変形例を示す、加圧装置の模式断面図である。
図27】(a)は本発明に係る加圧装置の第2変形例を示す、第2金型ユニットの模式平面図であり、(b)は本発明に係る加圧装置の第3変形例を示す、第2金型ユニットの模式平面図であり、(c)は本発明に係る加圧装置の第4変形例を示す、第2金型ユニットの模式平面図である。
図28】(a)は本発明に係る加圧装置の第5変形例を示す、第2金型ユニットの模式平面図であり、(b)は(a)のG矢視における加圧装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る加圧装置(以下「本装置」という。)の実施の形態が、以下に説明される。以下の説明において、各図面は、適宜参照される。各図面において、同一の部材および要素については同一の符号が付されて、重複する説明は省略される。また、各要素の寸法比率は、説明の便宜上、誇張されている場合が有り、各図面に示されている比率に限定されない。
【0011】
以下の説明および図面において、特に断りがない限り、空間において相互に直交する3軸がX軸、Y軸およびZ軸であるとき、X軸およびY軸は水平方向に平行であり、Z軸は上下方向に平行である。「X軸方向」はX軸に沿う方向であり、「+X方向」はX軸方向の一方向であり、「-X方向」はX軸方向の他方向である。+X方向は本発明における第1方向の一例であり、-X方向は本発明における第2方向の一例である。「Y軸方向」はY軸に沿う方向であり、「+Y方向」はY軸方向の一方向であり、「-Y方向」はY軸方向の他方向である。「Z軸方向」は、Z軸に沿う方向であり、上下方向である。「+Z方向」は上方向であり、「-Z方向」は下方向である。「XY方向」はX軸方向およびY軸方向に沿う方向であり、「XY平面」はXY方向(水平方向)に平行な仮想平面である。「XZ方向」はX軸方向およびZ軸方向に沿う方向であり、「XZ平面」はXZ方向(鉛直方向)に平行な仮想平面である。
【0012】
以下の説明において、下面は、下方向に面していて、XY方向に平行な面である。上面は、上方向に面していて、XY方向に平行な面である。すなわち、下面および上面の形状は、平面状である。
【0013】
●加圧装置(1)●
●加圧装置(1)の構成
図1は、本装置の実施の形態を示す、本装置の模式断面図である。
図2は、図1のA矢視における本装置の模式断面図である。
図1は、本装置1がX軸方向における中央部で切断された、YZ平面に沿う本装置1の切断面を示している(図6図7図13、および図20も同じ。)。図2は、本装置1がY軸方向における中央部で切断された、XZ平面に沿う本装置1の切断面を示している(図8図11図14図17図21図24図26も同じ。)。
【0014】
本装置1は、上下方向においてワークWを挟み込んで加圧する。本装置1は、制御装置2、載置板3、第1金型ユニット4、第2金型ユニット5、ベース部材12、サイド部材13、上型14、枠部材15、加圧パッド16、第1ばね部材17、第2ばね部材18、2つのシール部材19,20、およびポンプPを備える。載置板3、第1金型ユニット4、および第2金型ユニット5は、ワークWよりも下方向に配置されていて、ワークWを下方向から加圧する下加圧ユニットDPとして機能している。ベース部材12、サイド部材13、上型14、枠部材15、加圧パッド16、第1ばね部材17、第2ばね部材18、および2つのシール部材19,20は、ワークWよりも上方向に配置されていて、ワークWを上方向から加圧する上加圧ユニットUPとして機能している。
【0015】
制御装置2は、本装置1全体の動作を制御する。制御装置2は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ、CPUの作業領域として機能するRAM(Random Access Memory)などの揮発性メモリ、制御プログラムなどの各種情報を記憶するROM(Read Only Memory)などの不揮発性メモリ、および、本装置1の動作に必要な情報(例えば、後述される温度プロファイルPr1,Pr2:図12および図18参照)を記憶する記憶部を備える。
【0016】
載置板3は、ワークWが載置される部材であり、後述される収容室R(図6参照。以下同じ。)を区画する。載置板3は、例えば、高い熱伝導性を有する金属(例えば、銅合金)製である。載置板3の形状は、上方視においてXY軸方向に沿う矩形状であり、板状である。載置板3は、上面3aおよび下面3bを備える。上面3aは、ワークWが載置される載置面である。
【0017】
第1金型ユニット4は、ワークWを加熱および冷却する。第1金型ユニット4は、加熱金型ユニット40、冷却金型ユニット41、および第1ユニット搬送装置42を備える。
【0018】
加熱金型ユニット40は、ワークWを加熱する。加熱金型ユニット40は、上加圧ユニットUPの下方向の処理位置と、処理位置から水平方向(本実施の形態では、-Y方向)に離間した待機位置と、の間で移動可能である。加熱金型ユニット40は、本体部40a、断熱部材40b、複数の加熱源40c、および複数の冷却源40dを備える。
【0019】
本体部40aは、加熱源40cおよび冷却源40dを内包する。本体部40aは、例えば、高い剛性を有する金属(例えば、炭素鋼)製である。本体部40aの形状は、上下方向視においてXY方向に沿う矩形状であり、直方体状である。本体部40aは、上面40eを備える。断熱部材40bは、本体部40aを上下に2分割するように配置されている。断熱部材40bは、加熱源40cの熱の下方向への伝達を抑制している。加熱源40cは、ワークWを加熱する。加熱源40cは、例えば、公知の直管状ヒータである。加熱源40cは、本体部40aの上半部の内部に、Y軸方向に平行となるように配置されている。冷却源40dは、例えば、本体部40aの下半部を冷却する冷媒が流れる直管状の流路である。冷媒は、冷却装置(不図示。以下同じ。)により冷却されていて、冷却源40dと冷却装置との間で循環されている。冷却源40dは、本体部40aの下半部の内部に、Y軸方向に平行となるように配置されている。
【0020】
冷却金型ユニット41は、ワークWを冷却する。冷却金型ユニット41は、上加圧ユニットUPの下方向の処理位置と、処理位置から水平方向(本実施の形態では、+Y方向)に離間した待機位置と、の間で移動可能である。冷却金型ユニット41は、本体部41a、および複数の冷却源41bを備える。
【0021】
本体部41aは、冷却源41bを保護する。本体部41aは、例えば、高い剛性を有する金属(例えば、炭素鋼)製である。本体部41aの形状は、上下方向視においてXY方向に沿う矩形状であり、直方体状である。本体部41aは、上面41cを備える。冷却源41bの構成は、冷却源40dの構成と共通する。冷却源41bは、本体部41aの内部に、Y軸方向に平行となるように配置されている。
【0022】
第1ユニット搬送装置42は、加熱金型ユニット40および冷却金型ユニット41を処理位置とそれぞれの待機位置との間で搬送する。第1ユニット搬送装置42は、例えば、公知の動力源(例えば、モータ:不図示)、動力伝達機構(例えば、ギア、ボールねじなど:不図示)、およびレール(不図示)を備える。
【0023】
第2金型ユニット5は、ワークWが加熱または冷却されているとき、第1金型ユニット4と共にワークWを加熱または冷却する。また、第2金型ユニット5は、ワークWの加熱時の加熱時間および温度変化率、および、ワークWの冷却時の冷却時間および温度変化率を制御する。第2金型ユニット5は、第1金型ユニット4とは別体である。第2金型ユニット5は、本体部6、複数のヒートパイプ7、第1熱源ユニット8、第2熱源ユニット9、複数の温度測定器10、および第2ユニット搬送装置11を備える。
【0024】
本体部6は、ヒートパイプ7を保護する。本体部6は、例えば、高い剛性を有する金属(例えば、炭素鋼)製である。本体部6の形状は、上下方向視においてXY方向に沿う矩形状であり、直方体状である。本体部6は、後述される本加圧力に耐えられる程度の強度を有すると共に、ワークWの加熱時/冷却時の本体部6の熱容量が比較的小さくなるような厚みを有する。本体部6の体積は本体部40a,41aの体積よりも小さく(例えば、1/n:nは2以上の整数)、本体部6の熱容量は本体部40a,41aの熱容量よりも小さい。本体部6は、上加圧ユニットUPの下方向の処理位置と、処理位置から水平方向(本実施の形態では、-Y方向)に離間した待機位置と、の間で移動可能である。本体部6は、本発明における金型本体部の一例である。本体部6は、上面6a、下面6b、複数(本実施の形態では、6個)の挿通孔6c、および複数(本実施の形態では、3個)の挿入穴6dを備える。
【0025】
図3は、第2金型ユニット5の模式平面図である。
同図は、本体部6が処理位置に位置している状態を示している。以下の説明において、図1および図2は、図3と共に適宜参照される。
【0026】
挿通孔6cは、本体部6をX軸方向に沿って貫通する貫通孔である。以下の説明において、挿通孔6cそれぞれが特に区別されるとき、これらの符号の末尾には「1」~「6」が付記される。Y軸方向において、挿通孔6c1~6c6は、+Y方向側から順に等間隔で配置されている。
【0027】
挿入穴6dは、X軸方向に沿い、本体部6の+X方向側に向けて開口している非貫通孔である。以下の説明において、挿入穴6dそれぞれが特に区別されるとき、これらの符号の末尾には「1」~「3」が付記される。挿入穴6d1は挿通孔6c1,6c2間に配置されていて、挿入穴6d2は挿通孔6c3,6c4間に配置されていて、挿入穴6d3は挿通孔6c5,6c6間に配置されている。
【0028】
ヒートパイプ7は、例えば、揮発性の作動流体が封入されている、公知のヒートパイプである。ヒートパイプ7の形状は、直管状である。ヒートパイプ7は、第1端部7aおよび第2端部7bを備える。ヒートパイプ7は、対応する挿通孔6cに挿通されていて、本体部6に固定されている。すなわち、上下方向視において、ヒートパイプ7は、X軸方向に平行に配置されていて、加熱源40cおよび冷却源41bと直交するように、相互に平行に配置されている。第1端部7aは本体部6から+X方向に突出していて、第2端部7bは本体部6から-X方向に突出している。第1端部7aは本発明における突出端部および第1突出端部の一例であり、第2端部7bは本発明における突出端部および第2突出端部の一例である。以下の説明において、ヒートパイプ7それぞれが特に区別されるとき、これらの符号の末尾には「1」~「6」が付記される。
【0029】
図4は、図3のB矢視における第1熱源ユニット8の模式図である。
同図は、説明の便宜上、後述される当接部80bを太い実線で示していて、第1端部7aのYZ平面に沿う断面も図示している。以下の説明において、図1および図2は、図3と共に適宜参照される。
【0030】
第1熱源ユニット8は、第1端部7aに対応していて、ヒートパイプ7(作動流体)を冷却する。すなわち、第1熱源ユニット8は、ヒートパイプ7を冷却する冷却ユニットである。第1熱源ユニット8は、2個の第1クランプ部材80,81、2個の第1熱源82,83、および第1熱源移動機構84を備える。
【0031】
第1クランプ部材80,81は、ヒートパイプ7が冷却されるとき、ヒートパイプ7の第1端部7aに当接して、ヒートパイプ7からの熱を第1熱源82,83に伝達する。第1クランプ部材80,81は、例えば、高い熱伝導性を有する金属(例えば、銅合金)製である。第1クランプ部材80,81の形状は、例えば、上下方向視においてXY方向に沿う矩形状であり、Y軸方向に沿う長手方向を有する直方体状である。第1クランプ部材80は、下面80aを備える。下面80aのうち、一部の領域は、ヒートパイプ7が冷却されるとき、対応する第1端部7aに当接する当接部80bとして機能している。すなわち、第1クランプ部材80は、複数(本実施の形態では、6個)の当接部80bを備える。Y軸方向において、当接部80bは、等間隔で配置されている。第1クランプ部材81は、上面81aを備える。上面81aのうち、一部の領域は、ヒートパイプ7が冷却されるとき、対応する第1端部7aに当接する当接部81bとして機能している。すなわち、第1クランプ部材81は、複数(本実施の形態では、6個)の当接部81bを備える。Y軸方向において、当接部81bは、等間隔で配置されている。本体部6が待機位置に位置しているとき、当接部81bは、当接部80bと対向している。第1クランプ部材80,81は、上下方向に移動可能である。第1クランプ部材80,81は、本発明における熱源本体部の一例である。以下の説明において、当接部80b,81bそれぞれが特に区別されるとき、これらの符号の末尾には「1」~「6」が付記される。
【0032】
第1熱源82,83は、第1クランプ部材80,81を介して、ヒートパイプ7を冷却する冷却源である。第1熱源82,83は、例えば、第1クランプ部材80,81を冷却する冷媒が流れる流路である。冷媒は、冷却装置により冷却されていて、第1熱源82,83と冷却装置との間で循環されている。第1熱源82は第1クランプ部材80の内部に配置されていて、第1熱源83は第1クランプ部材81の内部に配置されている。
【0033】
第1熱源移動機構84は、第1クランプ部材80,81を、挟持位置と非挟持位置との間で上下方向に移動させる。「挟持位置」は、第1クランプ部材80,81が第1端部7aを挟持する位置である。「非挟持位置」は、第1クランプ部材80,81が第1端部7aから離間する位置である。第1クランプ部材80,81が挟持位置と非挟持位置との間で移動することにより、当接部80b,81bは第1端部7aに対して相対移動する。すなわち、第1熱源移動機構84は、第1端部7aに対する当接部80b,81bの当接と離間とを切り替える。第1熱源移動機構84は、例えば、公知の動力源(例えば、モータ:不図示)、および動力伝達機構(例えば、ギア、ボールねじなど:不図示)を備える。第1熱源移動機構84は、本発明における当接切替部の一例である。
【0034】
図5は、図3のC矢視における第2熱源ユニット9の模式図である。
同図は、説明の便宜上、後述される当接部90bを太い実線で示していて、第2端部7bのYZ平面に沿う断面も図示している。
【0035】
第2熱源ユニット9は、第2端部7bに対応していて、ヒートパイプ7(作動流体)を加熱する。すなわち、第2熱源ユニット9は、ヒートパイプ7を加熱する加熱ユニットである。第2熱源ユニット9は、2個の第2クランプ部材90,91、2個の第2熱源92,93、および第2熱源移動機構94を備える。
【0036】
第2クランプ部材90,91は、ヒートパイプ7が加熱されるとき、ヒートパイプ7の第2端部7bに当接して、第2熱源92,93からの熱をヒートパイプ7に伝達する。第2クランプ部材90,91の構成は、第1クランプ部材80,81の構成と共通する。すなわち、第2クランプ部材90は、下面90aおよび複数(本実施の形態では、6個)の当接部90bを備える。第2クランプ部材91は、上面91aおよび複数(本実施の形態では、6個)の当接部91bを備える。本体部6が待機位置に位置しているとき、当接部91bは、当接部90bと対向している。第2クランプ部材90,91は、上下方向に移動可能である。第2クランプ部材90,91は、本発明における熱源本体部の一例である。以下の説明において、当接部90b,91bそれぞれが特に区別されるとき、これらの符号の末尾には「1」~「6」が付記される。
【0037】
第2熱源92,93は、第2クランプ部材90,91を介して、ヒートパイプ7を加熱する加熱源である。第2熱源92,93は、例えば、公知の管状ヒータである。第2熱源92は第2クランプ部材90の内部に配置されていて、第2熱源93は第2クランプ部材91の内部に配置されている。
【0038】
第2熱源移動機構94は、第2クランプ部材90,91を、挟持位置と非挟持位置との間で上下方向に移動させる。「挟持位置」は、第2クランプ部材90,91が第2端部7bを挟持する位置である。「非挟持位置」は、第2クランプ部材90,91が相互に遠ざかって第2端部7bから離間する位置である。第2クランプ部材90,91が挟持位置と非挟持位置との間で移動することにより、当接部90b,91bは第2端部7bに対して相対移動する。すなわち、第2熱源移動機構94は、第2端部7bに対する当接部90b,91bの当接と離間とを切り替える。第2熱源移動機構94の構成は、第1熱源移動機構84の構成と共通する。第2熱源移動機構94は、本発明における当接切替部の一例である。
【0039】
挿通孔6c、ヒートパイプ7、当接部80b,81b,90b,91bそれぞれにおいて、区別のために付記された符号の番号が同じ部材同士は、相互に対応している。すなわち、例えば、挿通孔6c1はヒートパイプ71に対応していて、ヒートパイプ71は挿通孔6c1に挿通されている。当接部80b1,81b1は第1端部7a1に対応していて、第1端部7a1に当接可能である。当接部90b1,91b1は第2端部7b1に対応していて、第2端部7b1に当接可能である。
【0040】
ここで、第1熱源ユニット8および第2熱源ユニット9は、本発明における熱源ユニットの一例である。換言すれば、本発明における熱源ユニットは、第1熱源ユニット8および第2熱源ユニット9を備える。
【0041】
温度測定器10は、本体部6の温度を測定する。温度測定器10は、例えば、公知の熱電対である。温度測定器10は、本体部6の対応する挿入穴6dに挿入されている。以下の説明において、温度測定器10それぞれが特に区別されるとき、これらの符号の末尾には「1」~「3」が付記される。温度測定器101は挿入穴6d1に挿入されていて、温度測定器102は挿入穴6d2に挿入されていて、温度測定器103は挿入穴6d3に挿入されている。
【0042】
以下の説明において、図1および図2が主に参照される。
第2ユニット搬送装置11は、本体部6を処理位置と待機位置との間で搬送する。第2ユニット搬送装置11は、例えば、公知の動力源(例えば、モータ:不図示)、動力伝達機構(例えば、ギア、ボールねじなど:不図示)、およびレール(不図示)を備える。
【0043】
ベース部材12は、上型14、第1ばね部材17、および第2ばね部材18を支持する。ベース部材12の形状は、上方向視においてXY方向に沿う矩形状であり、直方体状である。
【0044】
サイド部材13は、後述される収容室Rを区画する。下方向視において、サイド部材13の形状は、XY方向に沿う矩形状であり、枠状である。サイド部材13は、上型14、枠部材15、および加圧パッド16を収容している。サイド部材13は、第2ばね部材18を介して、ベース部材12に支持されている。サイド部材13は、下面13a、および、サイド部材13の内面および外面に開口している貫通孔13bを備える。
【0045】
上型14は、加圧パッド16を介して、上方向からワークWを加圧する。上型14は、ベース部材12の下方向に配置されていて、ベース部材12に取り付けられている。上型14の形状は、下方向視においてXY方向に沿う矩形状であり、直方体状である。
【0046】
枠部材15は、加圧パッド16を保持する。下方向視において、枠部材15の形状は、XY軸方向に沿う矩形状であり、枠状である。水平方向において、枠部材15は、上型14を囲むように配置されている。上下方向において、枠部材15の下端部は、上型14よりも下方向に位置している。枠部材15は、第1ばね部材17を介して、ベース部材12に支持されている。
【0047】
加圧パッド16は、ワークWが加圧されるとき、ワークWの表面の形状に追従するように変形して、ワークWを均等に加圧すると共に、後述される収容室Rを区画する。加圧パッド16は、枠部材15の下端部に保持されていて、上型14の下方向に配置されている。加圧パッド16は、柔軟層16aおよび断熱層16bを備える。
【0048】
柔軟層16aは、例えば、公知の高い流動性および低い反発弾性率を有する弾性体材料製である。柔軟層16aは、例えば、柔軟層16aの上下に配置されている2枚の膜部材(不図示。以下同じ。)の間に充填されていて、枠部材15に囲まれている。
【0049】
断熱層16bは、例えば、公知の高い柔軟性および低い熱伝導性を有する繊維素材製である。断熱層16bは、柔軟層16aの下方向に、柔軟層16aに隣接して配置されている。断熱層16bは、例えば、柔軟層16aと同様に、上下方向において2枚の膜部材(不図示。以下同じ。)の間に充填されていて、枠部材15に囲まれている。
【0050】
なお、本発明において、ワークWの温度が柔軟層16aの耐熱温度よりも低いとき、加圧パッド16は、断熱層16bを備えていなくてもよい。
【0051】
第1ばね部材17は、枠部材15を上型14に対して上下方向に相対移動可能に支持する。第1ばね部材17は、ベース部材12と枠部材15との間に配置されていて、それぞれに取り付けられている。
【0052】
第2ばね部材18は、サイド部材13を上型14および枠部材15に対して上下方向に相対移動可能に支持する。第2ばね部材18は、ベース部材12とサイド部材13との間に配置されていて、それぞれに取り付けられている。
【0053】
シール部材19,20は、サイド部材13と枠部材15との間、および載置板3とサイド部材13との間を気密に封止する。シール部材19,20は、例えば、公知のO-リングである。シール部材19は、サイド部材13と枠部材15との間に配置されている。シール部材20は、サイド部材13の下面13aに配置されている。
【0054】
ポンプPは、貫通孔13bに接続されている、公知の真空ポンプである。
【0055】
本実施の形態では、ワークWが加圧されるとき、上加圧ユニットUP、および載置板3により、ワークWが収容されるチャンバユニットCU(図7参照)が組み立てられている。チャンバユニットCUが組み立てられたとき、ワークWは、載置板3、サイド部材13、枠部材15、加圧パッド16、およびシール部材19,20により区画された密閉空間(以下「収容室R(図6参照)」という。)に、収容されている。
【0056】
●加圧装置(1)の動作
次に、本装置1の動作が、以下に説明される。以下の説明において、図1図5は、適宜参照される。本装置1において、ワークWが搬入される前、加熱金型ユニット40は処理位置に位置していて、冷却金型ユニット41は待機位置に位置していて、上加圧ユニットUPは加熱金型ユニット40の上方向に位置している。
【0057】
先ず、ワークWが載置された載置板3が、冷却金型ユニット41に載置される。次いで、第1ユニット搬送装置42は、加熱金型ユニット40を待機位置に搬送して、冷却金型ユニット41を処理位置に搬送する。
【0058】
次いで、制御装置2は、シール部材20が載置板3に密着するまで、上加圧ユニットUPを下降させる。このとき、載置板3と上加圧ユニットUPとの間には収容室Rが形成されていて、ワークWは収容室Rに収容されている。
【0059】
図6は、ワークWが収容室Rに収容された状態を示す、本装置1の模式断面図である。
【0060】
次いで、制御装置2は、ポンプPを動作させて、収容室R内の雰囲気を減圧雰囲気にする。このとき、真空圧(収容室RとチャンバユニットCU(図7参照。以下同じ。)の外部空間との圧力差)により、載置板3がサイド部材13に密着して(取り付けられて)、第2ばね部材18が収縮して載置板3およびサイド部材13が上昇する。その結果、加圧パッド16がワークWに接触して、ワークWは真空圧に応じた予備加圧力により予備加圧される。予備加圧により、加圧パッド16がワークWの表面の形状に応じて変形して、ワークWは載置板3および加圧パッド16に保持される。ここで、予備加圧力は、後述される本加圧力よりも十分に小さい。このように、載置板3が上加圧ユニットUPに取り付けられることにより、チャンバユニットCUが組み立てられて、ワークWがチャンバユニットCUに収容される。
【0061】
次いで、制御装置2は、チャンバユニットCUを上昇させる。次いで、第1ユニット搬送装置42および第2ユニット搬送装置11は、加熱金型ユニット40および本体部6を処理位置に搬送して、冷却金型ユニット41を待機位置に搬送する。
【0062】
図7は、加熱金型ユニット40および本体部6が処理位置に位置している状態を示す、本装置1の模式断面図である。
図8は、図7のD矢視における本装置1の模式断面図である。
【0063】
ヒートパイプ7の第1端部7aは第1クランプ部材80,81の間に位置していて、第2端部7bは第2クランプ部材90,91の間に位置している。本体部6の下面6bは、加熱金型ユニット40の本体部40aの上面40eに当接している。加熱金型ユニット40は、既定の加熱用の温度「T1:例えば、約400℃」まで加熱されている。そのため、加熱金型ユニット40からの熱は本体部6に伝達されて、本体部6は温度「T1」まで加熱される。ここで、温度「T1」は、ワークWの加熱速度を上げるため、既定の処理用の温度「T2:例えば、300℃」よりも高い温度に設定されている。
【0064】
次いで、制御装置2は、載置板3が本体部6に当接するまでチャンバユニットCUを下降させる。このとき、本体部6およびヒートパイプ7は、載置板3と加熱金型ユニット40との間に配置されている。
【0065】
図9は、チャンバユニットCUが下降した状態を示す、本装置1の模式断面図である。
図10は、ワークWの加熱時におけるワークW、加熱金型ユニット40、および本体部6の温度変化の一例を示すタイミングチャートである。
図10は、制御装置2がワークWの温度制御において参照する温度プロファイルPr1の一例も示している。以下の説明において、図10は、適宜参照される。
【0066】
次いで、制御装置2は、ワークWに所定の加圧力(以下「本加圧力」という。)が加えられるまで、ベース部材12を下降させる。このとき、上型14は、枠部材15およびサイド部材13に対して相対的に下降する。そのため、上型14は、加圧パッド16を下方向へ向けて押圧して、加圧パッド16はワークWの表面の形状に追従するように変形して、ワークWを均等に加圧する。
【0067】
また、載置板3が本体部6に当接したとき、制御装置2は、加熱金型ユニット40の設定温度を「T2」に変更する。本体部40aの熱容量は大きいため、加熱金型ユニット40および本体部6の温度は、温度「T1」から温度「T2」へと比較的緩やかに低下する。このとき、加熱金型ユニット40からの熱は、本体部6および載置板3を介して、ワークWに伝達される。このとき、ワークWの加熱速度は、ワークWの温度が加熱金型ユニット40および本体部6の温度(温度「T1」~「T2」)近くになるまでは速く、ワークWの温度がさらに同温度に近づくにつれて遅くなる。そのため、本実施の形態では、同加熱速度を速くするため、載置板3が当接する前の加熱金型ユニット40の設定温度は、温度「T2」よりも高い温度「T1」に設定されている。この温度「T1」が高くなるにつれて、ワークWの加熱速度は速くなるが、ワークWの温度は温度「T2」を超過し易くなる(オーバーシュートし易くなる)。そこで、この温度超過を抑制するために、第2金型ユニット5が用いられる。
【0068】
次いで、ワークWが既定の温度「T3」まで加熱されたとき、第1熱源移動機構84は、第1クランプ部材80,81を挟持位置に移動させる。このとき、当接部80b1~80b6,81b1~81b6は、一括して移動して、一括して対応する第1端部7a1~7a6に当接する。その結果、第1熱源ユニット8は、ヒートパイプ7に接触する。
【0069】
温度「T3」は、後述されるヒートパイプ7の冷却により、ワークWの温度が温度「T2」を超過しないように(または、仮に、ワークWの温度が温度「T2」を超過しても、超過温度が小さくなるように)、温度「T2」よりも低い温度に予め設定されている。本実施の形態では、例えば、ワークWの温度変化率は、予め測定されている。第1熱源移動機構84は、その温度変化率、および、載置板3が本体部6に当接した時からの経過時間、に基づいて、所定の経過時間においてワークWの温度が温度「T2」に到達したものとして、第1クランプ部材80,81を移動させる。
【0070】
なお、本発明において、第1熱源移動機構84は、本体部6が既定の温度「Tx」まで冷却されたとき、第1クランプ部材80,81を挟持位置に移動させてもよい。すなわち、第1熱源移動機構84は、温度測定器10の測定結果に基づいて、当接部80b1~80b6,81b1~81b6の離間と当接とを切り替えてもよい。この場合、例えば、ワークWの温度変化率は予め測定されていて、温度「Tx」は同温度変化率に基づいて予め設定されている。
【0071】
図11は、第1クランプ部材80,81が挟持位置に移動した状態を示す、本装置1の模式断面図である。
【0072】
第1クランプ部材80,81が挟持位置に移動したとき、当接部80b,81bは、上下方向から対応する第1端部7aに当接している。第1クランプ部材80,81は、第1熱源82,83により、予め既定の温度「Tc:例えば、約20℃」まで冷却されている。すなわち、第1クランプ部材80,81は、第1端部7aに対する冷却源としても機能する。前述のとおり、第1クランプ部材80,81の形状は直方体状であり、全ての当接部80b,81bは1個の第1クランプ部材80,81に配置されている。すなわち、第1クランプ部材80,81の熱容量は、比較的大きい。そのため、第1クランプ部材80,81はヒートパイプ7により加熱され難く、第1端部7aは第1クランプ部材80,81により急冷却される。したがって、(加熱金型ユニット40から伝達される)本体部6の熱は、ヒートパイプ7を介して第1クランプ部材80,81に伝達される。その結果、本体部6の温度は、加熱金型ユニット40の温度よりも低くなり、温度「T2」に近づく。ワークWの加熱速度は、温度「T3」から温度「T2」までの間で、急速に低下する。このとき、ワークWの加熱時の温度変化率は、ヒートパイプ7を冷却することなく加熱源40cの電源をOFFにした場合と比較して、小さくなる。その後、ワークWの温度は、温度「T2」で安定する。このように、本装置1は、ワークWの加熱時にヒートパイプ7を冷却することにより、ワークWの加熱時の温度変化率を制御する。その結果、本装置1は、ワークWの加熱速度を速めつつ、ワークWの温度超過を抑制するような温度制御を実現する。
【0073】
次いで、加熱金型ユニット40の温度が温度「T2」まで低下したとき、第1熱源移動機構84は、第1クランプ部材80,81を非挟持位置に移動させる。このとき、当接部80b1~80b6,81b1~81b6は、一括して移動して、一括して対応する第1端部7a1~7a6から離間する。その結果、第1熱源ユニット8は、ヒートパイプ7から離間する。
【0074】
図12は、第1クランプ部材80,81が非挟持位置に移動した状態を示す、本装置1の模式断面図である。
【0075】
第1クランプ部材80,81が非挟持位置に移動したとき、第1クランプ部材80,81は、第1端部7aから機械的に離間される。その結果、本体部6、ヒートパイプ7、およびワークWの温度は、加熱金型ユニット40の温度である温度「T2」に維持される。
【0076】
なお、本発明において、第1熱源移動機構84は、例えば、温度測定器10の温度測定結果に基づいて、規定の温度プロファイルPr1に沿ってワークWが加熱されるように、当接部80b,81bの第1端部7aへの当接と離間とを1回以上切り替えてもよい。この場合、ワークWの加熱時の温度は、温度プロファイルPr1にさらに沿うように変化する。その結果、本装置1は、ワークWの加熱時の温度変化率を温度プロファイルPr1に沿って正確に制御できる。このように、ワークWの加熱時の温度変化率は、第1金型ユニット4および第2金型ユニット5により制御される。換言すれば、ワークWが加熱されているとき、第2金型ユニット5は、第1金型ユニット4と共にワークWを加熱している。
【0077】
次いで、所定時間の経過後、制御装置2は、ワークWの加圧を終了させる。次いで、制御装置2は、チャンバユニットCUを上昇させて、載置板3を本体部6から離間させる。次いで、第1ユニット搬送装置42は、加熱金型ユニット40を待機位置に移動させて、冷却金型ユニット41を処理位置に移動させる。このとき、本体部6およびヒートパイプ7は、載置板3と冷却金型ユニット41との間に配置されている。
【0078】
図13は、冷却金型ユニット41が処理位置に移動した状態を示す、本装置1の模式断面図である。
図14は、図13のE矢視における本装置1の模式断面図である。
【0079】
ヒートパイプ7の第1端部7aは第1クランプ部材80,81の間に位置していて、第2端部7bは第2クランプ部材90,91の間に位置している。本体部6の下面6bは、冷却金型ユニット41の本体部41aの上面41cに当接している。冷却金型ユニット41は、予め既定の温度「T4:例えば、約20℃」に冷却されている。また、前述のとおり、本体部6の熱容量は本体部41aの熱容量よりも小さい。そのため、本体部6からの熱は冷却金型ユニット41に伝達されて、本体部6は温度「T4」まで冷却される。
【0080】
次いで、制御装置2は、載置板3が本体部6に当接するまでチャンバユニットCUを下降させる。
【0081】
図15は、チャンバユニットCUが下降した状態を示す、本装置1の模式断面図である。
図16は、ワークWの冷却時におけるワークW、冷却金型ユニット41、および本体部6の温度変化の一例を示すタイミングチャートである。
図16は、制御装置2がワークWの温度制御において参照する温度プロファイルPr2の一例も示している。以下の説明において、図16は、適宜参照される。
【0082】
載置板3が本体部6に当接したとき、ワークWおよび載置板3からの熱は、本体部6に伝達される。その結果、ワークWおよび載置板3は急冷却されて、本体部6は急加熱される。このとき、本体部6は、ワークW、載置板3、および、本体部6よりも熱容量の大きい本体部41aを備える冷却金型ユニット41、に冷却されている。そのため、本体部6の温度変化率(加熱速度)は、ワークWおよび載置板3の温度変化率(冷却速度)よりも小さい。
【0083】
次いで、第1熱源移動機構84は、本体部6が既定の温度「T5」まで加熱されたとき、第1クランプ部材80,81を挟持位置に移動させる。このとき、当接部80b1~80b6,81b1~81b6は、一括して移動して、一括して対応する第1端部7a1~7a6に当接する。その結果、第1熱源ユニット8は、ヒートパイプ7に接触する。
【0084】
温度「T5」は、本体部6の温度が上昇し過ぎないように、後述される温度「T6」よりも低い温度に予め設定されている。本実施の形態では、第1熱源移動機構84は、温度測定器10の測定結果に基づいて、当接部80b1~80b6,81b1~81b6の離間と当接とを切り替えている。
【0085】
なお、本発明において、第1熱源移動機構84は、ワークWが既定の温度「Ty」まで冷却されたとき、第1クランプ部材80,81を挟持位置に移動させてもよい。この場合、例えば、ワークWの温度変化率は予め測定されていて、温度「Ty」は同温度変化率に基づいて予め設定されている。第1熱源移動機構84は、載置板3が本体部6に当接した時からの経過時間に基づいて、ワークWの温度を推定する。
【0086】
図17は、第1クランプ部材80,81が挟持位置に移動した状態を示す、本装置1の模式断面図である。
【0087】
第1クランプ部材80,81が挟持位置に移動したとき、当接部80b,81bは、上下方向から対応する第1端部7aに当接している。前述のとおり、第1クランプ部材80,81は、第1端部7aに対する冷却源として機能する。その結果、本体部6の加熱は抑制されて、本体部6の温度は、温度「T5」近傍(例えば、温度「T5」と温度「T6」との間の温度)に維持されて、次いで、緩やかに低下する。その結果、本体部6の温度上昇によるワークWの冷却速度の低下は、抑制される。すなわち、ワークWの温度変化率の減少は、抑制される。
【0088】
次いで、第1熱源移動機構84は、ワークWの温度が既定の温度「T6」まで冷却されたとき、第1クランプ部材80,81を非挟持位置に移動させる。このとき、当接部80b1~80b6,81b1~81b6は、一括して移動して、一括して対応する第1端部7a1~7a6から離間する。本実施の形態では、例えば、ワークWの温度変化率は、予め測定されている。第1熱源移動機構84は、その温度変化率、および、載置板3が本体部6に当接した時からの経過時間、に基づいて、所定の経過時間においてワークWの温度が温度「T6」に到達したものとして、第1クランプ部材80,81を移動させる。
【0089】
なお、本発明において、第1熱源移動機構84は、本体部6が既定の温度「Tz」まで冷却されたとき、第1クランプ部材80,81を非挟持位置に移動させてもよい。すなわち、第1熱源移動機構84は、温度測定器10の測定結果に基づいて、当接部80b1~80b6,81b1~81b6の当接と離間とを切り替えてもよい。この場合、例えば、ワークWの温度変化率は予め測定されていて、温度「Tz」は同温度変化率に基づいて予め設定されている。
【0090】
図18は、第1クランプ部材80,81が非挟持位置に移動した状態を示す、本装置1の模式断面図である。
【0091】
第1クランプ部材80,81が非挟持位置に移動したとき、第1クランプ部材80,81は、第1端部7aから機械的に離間される。その後、ワークWの温度は緩やかに低下して、冷却金型ユニット41および本体部6の温度も緩やかに温度「T4」に低下する。
【0092】
なお、本発明において、第1熱源移動機構84は、例えば、温度測定器10の温度測定結果に基づいて、規定の温度プロファイルPr2に沿ってワークWが冷却されるように、当接部80b,81bの第1端部7aへの当接と離間とを1回以上切り替えてもよい。この場合、ワークWの冷却時の温度は、温度プロファイルPr2にさらに沿うように変化する。その結果、本装置1は、ワークWの冷却時の温度変化率を温度プロファイルPr2に沿って正確に制御できる。このように、ワークWの冷却時の温度変化率は、第1金型ユニット4および第2金型ユニット5により制御される。換言すれば、ワークWが冷却されているとき、第2金型ユニット5は、第1金型ユニット4と共にワークWを冷却している。
【0093】
次いで、所定時間の経過後、制御装置2は、チャンバユニットCUを上昇させて、載置板3を本体部6から離間させる。次いで、第2ユニット搬送装置11は、本体部6を待機位置に移動させる。次いで、制御装置2は、載置板3が冷却金型ユニット41に当接するまで、チャンバユニットCUを下降させる。次いで、制御装置2は、ポンプPを停止させて、収容室Rの雰囲気を不活性ガスでパージすることにより、ワークWをチャンバユニットCUから取り出す。
【0094】
図19は、ワークWの実際の温度変化の一例を示す模式図である。
【0095】
同図において、「例1」は、本発明の一実施例として、本装置1により、加熱時にヒートパイプ7を冷却したときの温度変化を示している。「例2」は、比較例として、予め加熱されている加熱金型ユニット40にチャンバユニットCUを当接させたときの温度変化を示している。「例3」は、予め加熱されていない加熱金型ユニット40にチャンバユニットCUを当接させた後に、加熱金型ユニット40を加熱したときの温度変化を示している。同図に示されるとおり、「例1」では、「例2」と同じ加熱時間で、「例2」とは異なる温度変化率(「例3」に近い温度変化率)が得られている。
【0096】
このように、本装置1では、ワークWの加熱時に、ヒートパイプ7が冷却されることにより、本体部6は冷却されて、ワークWの加熱速度は急速に減少する。すなわち、ワークWの温度変化率は、急速に小さくなる(大きく変更される)。その結果、ワークWが温度「T3」まで急加熱されても、ワークWの温度は温度「T2」を超過しない。そして、ヒートパイプ7から冷却源(第1クランプ部材80,81および第1熱源82,83)が機械的に離間されることにより、ヒートパイプ7の冷却は強制的に終了する。その結果、ヒートパイプ7の熱的状態は、冷却状態(温度平衡状態)から、加熱金型ユニット40による加熱状態に瞬間的に切り替わる。同様に、本装置1では、ワークWの冷却時に、ヒートパイプ7が冷却されることにより、本体部6は冷却されて、本体部6の温度上昇によるワークWの冷却速度の低下は抑制される。すなわち、ワークWの温度変化率の減少は、抑制される。その結果、ヒートパイプ7が冷却されない場合と比較して、ワークWの温度変化率は大きくなり、ワークWは急冷却される。そして、ヒートパイプ7から冷却源が機械的に離間されることにより、ヒートパイプ7の冷却は強制的に終了する。その結果、ヒートパイプ7の熱的状態は、冷却状態(温度平衡状態)から冷却金型ユニット41による冷却状態に瞬間的に切り替わる。この熱的状態の瞬間的な切替は、ヒートパイプ7から熱源が機械的に離間されることにより可能となるものであり、ヒートパイプ7の熱源のON/OFFの切替では得られないものである。
【0097】
本装置1は、第2金型ユニット5が第1金型ユニット4と共にワークWを冷却することにより、加熱時および冷却時におけるワークWの温度変化率を少なくとも2段階で制御可能である。したがって、本装置1は、ワークWの加熱時間および冷却時間を変更可能である。また、本装置1は、ヒートパイプ7に対する熱源の当接および離間の回数およびタイミングを制御することにより、ワークWの複雑な温度制御を可能とすると共に、ワークWの加熱時(冷却時)の温度変化率を目的に応じて制御可能である。すなわち、例えば、ワークWが焼結材であり、ワークWの温度が焼結開始温度に到達する前に、ワークWに本加圧力が加えられていなければならないとき、本装置1は、焼結開始温度前後における加熱時の温度変化率を変えることにより、同ワークWに対応可能である。このように、本装置1は、ワークWに加えられる加圧力と、温度と、の関係を、ワークWの種類ごとに制御可能となる。
【0098】
なお、本発明において、ワークWの加熱時、第1クランプ部材80,81に代えて、第2クランプ部材90,91が当接位置に移動していてもよい。
【0099】
図20は、ワークWの加熱時に第2クランプ部材90,91が挟持位置に移動した状態を示す、本装置1の模式断面図である。
【0100】
この場合、ワークWは、急加熱される。すなわち、ワークWの加熱時の温度変化率は大きくなり、加熱時間は短くなる。ワークWが温度「T3」まで加熱されたとき、第2熱源移動機構94は第2クランプ部材90,91を非当接位置に移動させて、第1熱源移動機構84は第1クランプ部材80,81を当接位置に移動させる。その結果、ワークWの温度は、温度「T2」を超過しない。この構成は、特に、加熱金型ユニット40の加熱性能が低い場合に有効である。
【0101】
また、本発明において、ワークWの冷却時、第1クランプ部材80,81に代えて、第2クランプ部材90,91が当接位置に移動してもよい。この場合、ワークWは徐冷される。すなわち、ワークWの冷却時の温度変化率は小さくなり、冷却時間は長くなる。
【0102】
さらに、本発明において、第1端部7aに対する当接部80b,81bの当接および離間のタイミングは、本実施の形態に限定されない。第2端部7bに対する当接部90b,91bの当接および離間のタイミングも、同様である。
【0103】
●まとめ(1)
以上説明された実施の形態によれば、本装置1は、第1金型ユニット4および第2金型ユニット5を備える。第2金型ユニット5は、第1金型ユニット4と共にワークWを加熱または冷却する。第2金型ユニット5は、本体部6、複数のヒートパイプ7、第1熱源ユニット8、および第2熱源ユニット9を備える。本体部6は、ワークWの加熱時および冷却時に、第1金型ユニット4とワークW(載置板3)との間に配置されている。第1熱源ユニット8は、複数の当接部80b,81b、および第1熱源移動機構84を備える。第2熱源ユニット9は、複数の当接部90b,91b、および第2熱源移動機構94を備える。第1熱源移動機構84は、第1端部7aに対する当接部80b,81bの当接と離間とを切り替える。第2熱源移動機構94は、第2端部7bに対する当接部90b,91bの当接と離間とを切り替える。この構成によれば、本装置1は、ヒートパイプ7の熱的状態を、加熱状態と冷却状態との間で瞬間的に切り替え可能である。したがって、本装置1は、ヒートパイプ7に対する熱源の当接および離間の回数およびタイミングを制御することにより、ワークWの複雑な温度制御を可能とすると共に、ワークWの加熱時および冷却時の温度変化率を目的に応じて制御できる。
【0104】
また、以上説明された実施の形態によれば、第2金型ユニット5は、温度測定器10を備える。第1熱源移動機構84および第2熱源移動機構94は、温度測定器10の温度測定結果に基づいて、第1端部7aに対する当接部80b,81bの当接と離間とを制御して、第2端部7bに対する当接部90b,91bの当接と離間とを制御する。この構成によれば、ワークWの温度(温度変化率)は、下加圧ユニットDPのうち、最もワークWに近い部材である本体部6の実温度に基づいて、制御される。そのため、ワークWの温度制御の精度は、向上する。
【0105】
さらに、以上説明された実施の形態によれば、第1金型ユニット4は、加熱金型ユニット40を備える。第1熱源ユニット8は、ヒートパイプ7を冷却する第1熱源82,83を備える。第1熱源移動機構84は、温度プロファイルPr1に沿ってワークWが加熱されるように、第1端部7aに対する当接部80b,81bの当接と離間とを制御する。この構成によれば、本装置1は、ワークWの加熱時の温度変化率および加熱時間を、温度プロファイルPr1に沿って制御できる。
【0106】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、第1金型ユニット4は、冷却金型ユニット41を備える。第2熱源ユニット9は、ヒートパイプ7を加熱する第2熱源92,93を備える。第2熱源移動機構94は、温度プロファイルPr2に沿ってワークWが冷却されるように、第2端部7bに対する当接部90b,91bの当接と離間とを制御する。この構成によれば、本装置1は、ワークWの冷却時の温度変化率および冷却時間を、温度プロファイルPr2に沿って制御できる。
【0107】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、ヒートパイプ7が冷却されるとき、当接部80b,81bが第1端部7aに当接していて、ヒートパイプ7が加熱されるとき、当接部90b,91bが第2端部7bに当接している。換言すれば、第1熱源移動機構84および第2熱源移動機構94は、ヒートパイプ7の加熱および冷却に応じて、第1熱源ユニット8と第2熱源ユニット9とを切り替えている。すなわち、第1熱源移動機構84および第2熱源移動機構94は、本発明におけるユニット切替部として機能している。この構成によれば、本装置1は、ワークWの加熱時/冷却時の温度変化率および加熱時間/冷却時間をさらに制御できる。
【0108】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、第2金型ユニット5は、第1端部7aに対応する第1熱源ユニット8、および、第2端部7bに対応する第2熱源ユニット9を備える。第1熱源ユニット8は冷却ユニットであり、第2熱源ユニット9は加熱ユニットである。この構成によれば、ワークWの加熱時に当接部80b,81bを第1端部7aに当接させると、ワークWの加熱時の温度変化率は小さくなり、加熱時間は長くなる。また、ワークWの冷却時に当接部80b,81bを第1端部7aに当接させると、ワークWの冷却時の温度変化率は大きくなり、冷却時間は短くなる。一方、ワークWの加熱時に当接部90b,91bを第2端部7bに当接させると、ワークWの加熱時の温度変化率は大きくなり、加熱時間は短くなる。また、ワークWの冷却時に当接部90b,91bを第2端部7bに当接させると、ワークWの冷却時における温度変化率は小さくなり、冷却時間は長くなる。このように、本装置1は、ワークWの加熱時/冷却時の温度変化率および加熱時間/冷却時間を制御できる。
【0109】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、第1熱源移動機構84は、第1クランプ部材80,81を移動させることにより、複数の当接部80b,81bを対応する第1端部7aに一括して当接させて、または、一括して離間させる。第2熱源移動機構94は、第2クランプ部材90,91を移動させることにより、複数の当接部90b,91bを対応する第2端部7bに一括して当接させて、または、一括して離間させる。この構成によれば、第1クランプ部材80,81および第2クランプ部材90,91の構造は、単純化できる。また、第1クランプ部材80,81および第2クランプ部材90,91の熱容量は、比較的大きくなる。
【0110】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、第2金型ユニット5は、第1金型ユニット4と別体である。本体部6は、第1金型ユニット4に対して、水平方向に相対移動可能である。ワークWが加熱または冷却されないとき、本体部6は、処理位置から待機位置に相対移動する。この構成によれば、第2金型ユニット5の使用の有無は、自由に選択可能である。すなわち、本装置1は、第1金型ユニット4のみを用いて、ワークWを加熱/冷却できる。その結果、本装置1は、第2金型ユニット5の使用の有無の選択により、ワークWの加熱時/冷却時の温度変化率および時間を変更できる。また、加熱金型ユニット40および冷却金型ユニット41に対して1個の第2金型ユニット5が、使用可能である。そのため、加熱金型ユニット40および冷却金型ユニット41それぞれ専用の第2金型ユニット5が必要な場合と比較して、本装置1の構成は簡素化される。さらに、加熱金型ユニット40に本体部6を当接させることにより、本体部6は、加熱金型ユニット40の温度ではなく、室温から加熱可能である。
【0111】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、上下方向視において、ヒートパイプ7は、加熱源40cおよび冷却源41bと直交するように、相互に平行に配置されている。この構成によれば、ヒートパイプ7が第1熱源ユニット8または第2熱源ユニット9により加熱または冷却されていないとき、本体部6の均温性は、向上する。
【0112】
●加圧装置(2)●
次に、本装置の別の実施の形態(以下「第2実施形態」という。)が、先に説明した実施の形態(以下「第1実施形態」という。)とは異なる部分を中心に、以下に説明される。第2実施形態では、第2金型ユニットが第1金型ユニットと一体である点が、第1実施形態と異なる。以下の説明において、第1実施形態と同じ要素、および、共通する機能を有する要素には、第1実施形態と同一の符号が付されていて、その説明は省略される。以下の説明において、図4および図5は、適宜参照される。
【0113】
●加圧装置(2)の構成
図21は、本装置の第2実施形態を示す、本装置の模式断面図である。
図22は、図21のF矢視における本装置の模式断面図である。
【0114】
本装置1Zは、上下方向においてワークWを挟み込んで加圧する。本装置1Zは、制御装置2、載置板3、金型ユニット4Z、ベース部材12、サイド部材13、上型14、枠部材15、加圧パッド16、第1ばね部材17、第2ばね部材18、2つのシール部材19,20、およびポンプPを備える。載置板3、および金型ユニット4Zは、ワークWよりも下方向に配置されていて、ワークWを下方向から加圧する下加圧ユニットDPZとして機能している。
【0115】
金型ユニット4Zは、ワークWを加熱および冷却する。金型ユニット4Zは、加熱金型ユニット40Z、冷却金型ユニット41Z、第1ユニット搬送装置42、複数(第2実施形態では、各6個)のヒートパイプ7,7Z、第1熱源ユニット8、第2熱源ユニット9、および複数(第2実施形態では、各3個)の温度測定器10を備える。
【0116】
加熱金型ユニット40Zは、ワークWを加熱する。加熱金型ユニット40Zは、処理位置と待機位置との間で移動可能である。加熱金型ユニット40Zは、本体部40Za、断熱部材40b、複数の加熱源40c、複数の冷却源40d、上面40e、および複数(第2実施形態では、6個)の挿通孔40f、および複数(第2実施形態では、3個)の挿入穴40gを備える。
【0117】
本体部40Zaは、加熱源40c、冷却源40d、およびヒートパイプ7を保護する。本体部40Zaは、例えば、高い剛性を有する金属(例えば、炭素鋼)製である。本体部40Zaの形状は、上下方向視においてXY方向に沿う矩形状であり、直方体状である。断熱部材40bは、本体部40Zaを上下に2分割するように配置されている。加熱源40cは、本体部40Zaの上半部の内部に、Y軸方向に平行となるように配置されている。冷却源40dは、本体部40Zaの下半部の内部に、Y軸方向に平行となるように配置されている。
【0118】
図23は、加熱金型ユニット40Zの模式平面図である。
同図は、加熱金型ユニット40Zが処理位置に位置している状態を示している。以下の説明において、図21および図22は、図23と共に適宜参照される。
【0119】
挿通孔40fは、本体部40ZaをX軸方向に沿って貫通する貫通孔である。挿通孔40fは、加熱源40cよりも上方向であって、本体部40Zaの上部に配置されている。以下の説明において、挿通孔40fそれぞれが特に区別されるとき、これらの符号の末尾には「1」~「6」が付記される。Y軸方向において、挿通孔40f1~40f6は、+Y方向側から順に等間隔で配置されている。
【0120】
挿入穴40gは、X軸方向に沿い、本体部40Zaの+X方向側に向けて開口している非貫通孔である。以下の説明において、挿入穴40gそれぞれが特に区別されるとき、これらの符号の末尾には「1」~「3」が付記される。挿入穴40g1は挿通孔40f1,40f2間に配置されていて、挿入穴40g2は挿通孔40f3,40f4間に配置されていて、挿入穴40g3は挿通孔40f5,40f6間に配置されている。
【0121】
ヒートパイプ7は、対応する挿通孔40fに挿通されていて、本体部40Zaに固定されている。すなわち、本体部40Zaは、本発明における金型本体部としても機能している。その結果、上下方向において、本体部40Zaのうち、ヒートパイプ7が固定されている領域(上部側の領域)は、第1熱源ユニット8、第2熱源ユニット9、および温度測定器10と共に、第1実施形態の第2金型ユニット5として機能している。同様に、本体部40Zaのうち、ヒートパイプ7が固定されている領域よりも下部側の領域(加熱源40cおよび冷却源40dが配置されている領域)は、第1実施形態の第1金型ユニット4として機能している。すなわち、金型ユニット4Zは、第1実施形態の第1金型ユニット4および第2金型ユニット5を備えている。このように、第2実施形態では、第1実施形態の第1金型ユニット4(加熱金型ユニット40)と第2金型ユニット5の一部(本体部6およびヒートパイプ7)とは、一体である。
【0122】
挿通孔40f、ヒートパイプ7、当接部80b,81b,90b,91bそれぞれにおいて、区別のために付記された符号の番号が同じ部材同士は、相互に対応している。すなわち、例えば、挿通孔40f1はヒートパイプ7Z1に対応していて、ヒートパイプ7Z1は挿通孔40f1に挿通されている。当接部80b1,81b1は第1端部7a1に対応していて、第1端部7a1に当接可能である。当接部90b1,91b1は第2端部7b1に対応していて、第2端部7b1に当接可能である。
【0123】
以下の説明において、図21および図22が主に参照される。
冷却金型ユニット41Zは、ワークWを冷却する。冷却金型ユニット41Zは、処理位置と待機位置との間で移動可能である。冷却金型ユニット41は、本体部41Za、複数の冷却源41b、上面41c、および複数(本実施の形態では、6個)の挿通孔41d、および複数(本実施の形態では、3個)の挿入穴41eを備える。
【0124】
本体部41Zaは、冷却源41bおよびヒートパイプ7Zを保護する。本体部41Zaは、例えば、高い剛性を有する金属(例えば、炭素鋼)製である。本体部41Zaの形状は、上下方向視においてXY方向に沿う矩形状であり、直方体状である。冷却源41bは、本体部41Zaの内部に、Y軸方向に平行となるように配置されている。
【0125】
図24は、冷却金型ユニット41Zの模式平面図である。
同図は、冷却金型ユニット41Zが処理位置に位置している状態を示している。以下の説明において、図21および図22は、図24と共に適宜参照される。
【0126】
挿通孔41dは、本体部41ZaをX軸方向に沿って貫通する貫通孔である。挿通孔41dは、冷却源41bよりも上方向であって、本体部41Zaの上部に配置されている。以下の説明において、挿通孔41dそれぞれが特に区別されるとき、これらの符号の末尾には「1」~「6」が付記される。Y軸方向において、挿通孔41d1~41d6は、+Y方向側から順に等間隔で配置されている。
【0127】
挿入穴41eは、X軸方向に沿い、本体部41Zaの+X方向側に開口している非貫通孔である。以下の説明において、挿入穴41eそれぞれが特に区別されるとき、これらの符号の末尾には「1」~「3」が付記される。挿入穴41e1は挿通孔41d1,41d2間に配置されていて、挿入穴41e2は挿通孔41d3,41d4間に配置されていて、挿入穴41e3は挿通孔41d5,41d6間に配置されている。
【0128】
ヒートパイプ7Zの構成は、ヒートパイプ7の構成と共通する。ヒートパイプ7Zは、第1端部7Zaおよび第2端部7Zbを備える。ヒートパイプ7Zは、対応する挿通孔41dに挿通されていて、本体部41Zaに固定されている。すなわち、本体部41Zaは、本発明における金型本体部としても機能している。その結果、本体部41Zaのうち、ヒートパイプ7Zが固定されている領域(上部側の領域)は、第1熱源ユニット8、第2熱源ユニット9、および温度測定器10と共に、第1実施形態の第2金型ユニット5として機能している。同様に、本体部41Zaのうち、ヒートパイプ7Zが固定されている領域よりも下部側の領域(冷却源41bが配置されている領域)は、第1実施形態の第1金型ユニット4として機能している。このように、第2実施形態では、第1実施形態の第1金型ユニット4(冷却金型ユニット41Z)と第2金型ユニット5の一部とは、一体である。
【0129】
第1端部7Zaは本体部41Zaから+X方向に突出していて、第2端部7Zbは本体部41Zaから-X方向に突出している。第1端部7Zaおよび第2端部7Zbは、本発明における突出端部の一例である。以下の説明において、ヒートパイプ7Zそれぞれが特に区別されるとき、これらの符号の末尾には「1」~「6」が付記される。
【0130】
以下の説明において、図21図24が主に参照される。
温度測定器10は、対応する挿入穴40g,41eに挿入されている。以下の説明において、温度測定器10それぞれが特に区別されるとき、これらの符号の末尾には「1」~「6」が付記される。温度測定器101は挿入穴40g1に挿入されていて、温度測定器102は挿入穴40g2に挿入されていて、温度測定器103は挿入穴40g3に挿入されている。温度測定器104は挿入穴41e1に挿入されていて、温度測定器105は挿入穴41e2に挿入されていて、温度測定器106は挿入穴41e3に挿入されている。
【0131】
挿通孔41d、ヒートパイプ7Z、当接部80b,81b,90b,91bそれぞれにおいて、区別のために付記された符号の番号が同じ部材同士は、相互に対応している。すなわち、例えば、挿通孔41d1はヒートパイプ7Z1に対応していて、ヒートパイプ7Z1は挿通孔41d1に挿通されている。当接部80b1,81b1は第1端部7Za1に対応していて、第1端部7Za1に当接可能である。当接部90b1,91b1は第2端部7Zb1に対応していて、第2端部7Zb1に当接可能である。
【0132】
●加圧装置(2)の動作
次に、本装置1Zの動作が、以下に説明される。以下の説明において、図8図9、および図21図24は、適宜参照される。本装置1Zにおいて、ワークWが搬入される前、加熱金型ユニット40Zは処理位置に位置していて、冷却金型ユニット41Zは退避位置に位置している。
【0133】
先ず、ワークWが載置された載置板3が、冷却金型ユニット41Zに載置される。次いで、第1ユニット搬送装置42は、加熱金型ユニット40Zを待機位置に搬送して、冷却金型ユニット41Zを処理位置に搬送する。このとき、第1熱源ユニット8および第2熱源ユニット9は、ヒートパイプ7Zに接触していない。
【0134】
次いで、第1実施形態と同様に、ワークWがチャンバユニットCUに収容される。
【0135】
次いで、制御装置2は、チャンバユニットCUを上昇させて、加熱金型ユニット40Zを処理位置に移動させて、冷却金型ユニット41Zを待機位置に移動させる。このとき、ヒートパイプ7の第1端部7aは第1クランプ部材80,81の間に位置していて、第2端部7bは第2クランプ部材90,91の間に位置している。加熱金型ユニット40Zは、予め既定の温度「T1」まで加熱されている。
【0136】
次いで、制御装置2は、載置板3が本体部40Zaに当接するまでチャンバユニットCUを下降させる。このとき、制御装置2は、加熱金型ユニット40の設定温度を「T2」に変更する。また、制御装置2は、ベース部材12を下降させて、ワークWに本加圧力を加える。次いで、ワークWが所定の温度「T3」まで加熱されたとき、第1熱源移動機構84は、第1クランプ部材80,81を挟持位置に移動させる。
【0137】
図25は、第1クランプ部材80,81が挟持位置に移動した状態を示す、本装置1Zの模式断面図である。
【0138】
次いで、第1熱源移動機構84は、温度測定器10の温度測定結果に基づいて、規定の温度プロファイルPr1(図10参照。以下同じ。)に沿ってワークWが加熱されるように、当接部80b,81bの第1端部7aへの当接と離間とを切り替える。その結果、ワークWの加熱時の温度変化率は、温度プロファイルPr1に沿うように変化する。
【0139】
次いで、加熱金型ユニット40の温度が温度「T2」まで低下したとき、第1熱源移動機構84は、第1クランプ部材80,81を非挟持位置に移動させる。その結果、本体部6、ヒートパイプ7、およびワークWの温度は、加熱金型ユニット40の温度である温度「T2」に維持される。
【0140】
次いで、所定時間の経過後、制御装置2は、ワークWの加圧を終了させる。次いで、制御装置2は、チャンバユニットCUを上昇させて、載置板3を本体部40Zaから離間させる。次いで、第1ユニット搬送装置42は、加熱金型ユニット40Zを待機位置に移動させて、冷却金型ユニット41Zを処理位置に移動させる。このとき、ヒートパイプ7Zの第2端部7Zbは第1クランプ部材80,81の間に位置していて、第2端部7Zbは第2クランプ部材90,91の間に位置している。ここで、冷却ユニット50は、予め既定の温度「T4」に冷却されている。
【0141】
次いで、制御装置2は、載置板3が本体部6に当接するまでチャンバユニットCUを下降させる。次いで、第1熱源移動機構84は、本体部6が所定の温度「T5」まで加熱されたとき、第1クランプ部材80,81を挟持位置に移動させる。次いで、第1熱源移動機構84は、ワークWの温度が既定の温度「T6」まで冷却されたとき、第1クランプ部材80,81を非挟持位置に移動させる。次いで、制御装置2は、第1実施形態と同様に、ワークWをチャンバユニットCUから取り出す。
【0142】
●まとめ(2)
以上説明された実施の形態によれば、本装置1Zは、金型ユニット4Zを備える。金型ユニット4Zのうち、第1実施形態の第2金型ユニット5として機能する領域は、第1実施形態の第1金型ユニット4として機能する領域とワークW(載置板3)との間に配置されている。金型ユニット4Zは、本体部40Za,41Za、複数のヒートパイプ7,7Z、第1熱源ユニット8、および第2熱源ユニット9を備える。第1熱源ユニット8は、複数の当接部80b,81b、および第1熱源移動機構84を備える。第2熱源ユニット9は、複数の当接部90b,91b、および第2熱源移動機構94を備える。第1熱源移動機構84は、第1端部7aに対する当接部80b,81bの当接と離間とを切り替える。第2熱源移動機構94は、第2端部7Zbに対する当接部90b,91bの当接と離間とを切り替える。この構成によれば、第1実施形態と同様に、本装置1Zは、ワークWの複雑な温度制御を可能とすると共に、ワークWの加熱時および冷却時の温度変化率を目的に応じて制御できる。
【0143】
また、以上説明された実施の形態によれば、金型ユニット4Zは、温度測定器10を備える。第1熱源移動機構84および第2熱源移動機構94は、温度測定器10の温度測定結果に基づいて、第1端部7aに対する当接部80b,81bの当接と離間とを制御して、第2端部7Zbに対する当接部90b,91bの当接と離間とを制御する。この構成によれば、第1実施形態と同様に、ワークWの温度制御の精度は、向上する。
【0144】
さらに、以上説明された実施の形態によれば、第1熱源移動機構84は、温度プロファイルPr1に沿ってワークWが加熱されるように、第1端部7aに対する当接部80b,81bの当接と離間とを制御する。この構成によれば、本装置1Zは、ワークWの加熱時の温度変化率および加熱時間を、温度プロファイルPr1に沿って制御できる。
【0145】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、第2熱源移動機構94は、温度プロファイルPr2に沿ってワークWが冷却されるように、第2端部7Zbに対する当接部90b,91bの当接と離間とを制御する。この構成によれば、本装置1Zは、ワークWの冷却時の温度変化率および冷却時間を、温度プロファイルPr2に沿って制御できる。
【0146】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、第1実施形態と同様に、第1熱源移動機構84および第2熱源移動機構94は、本発明におけるユニット切替部として機能している。この構成によれば、本装置1Zは、ワークWの加熱時/冷却時の温度変化率および加熱時間/冷却時間をさらに制御できる。
【0147】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、金型ユニット4Zは、第1端部7aに対応する第1熱源ユニット8、および、第2端部7Zbに対応する第2熱源ユニット9を備える。第1熱源ユニット8は冷却ユニットであり、第2熱源ユニット9は加熱ユニットである。この構成によれば、本装置1Zは、第1実施形態と同様に、ワークWの加熱時/冷却時の温度変化率および加熱時間/冷却時間を制御できる。
【0148】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、第1熱源移動機構84は、複数の当接部80b,81bを対応する第1端部7aに一括して当接させて、または、一括して離間させる。第2熱源移動機構94は、複数の当接部90b,91bを対応する第2端部7Zbに一括して当接させて、または、一括して離間させる。この構成によれば、第1クランプ部材80,81および第2クランプ部材90,91の構造は、単純化できる。また、第1クランプ部材80,81および第2クランプ部材90,91の熱容量は、比較的大きくなる。
【0149】
さらにまた、以上説明された実施の形態では、加熱金型ユニット40Zは本体部40Zaに固定される複数の加熱源40cを備えて、冷却金型ユニット41Zは本体部41Zaに固定される複数の冷却源41bを備える。ヒートパイプ7は加熱源40cよりも上方向に配置されていて、ヒートパイプ7Zは冷却源41bよりも上方向に配置されている。上下方向において、本体部40Zaのうち、加熱源40cが配置されている領域は第1実施形態の第1金型ユニット4として機能していて、ヒートパイプ7が配置されている領域は第1実施形態の第2金型ユニット5として機能している。上下方向において、本体部41Zaのうち、冷却源41bが配置されている領域は第1実施形態の第1金型ユニット4として機能していて、ヒートパイプ7Zが配置されている領域は第1実施形態の第2金型ユニット5として機能している。この構成では、第1実施形態のように、第2金型ユニット5の移動が必要なく、本装置1Zは、第1実施形態の本装置1よりも、小型化できる。
【0150】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、上下方向視において、ヒートパイプ7は加熱源40cと直交するように相互に平行に配置されていて、ヒートパイプ7Zは冷却源41bと直交するように相互に平行に配置されている。この構成によれば、ヒートパイプ7,7Zが第1熱源ユニット8または第2熱源ユニット9により加熱または冷却されていないとき、本体部6の均温性は、向上する。
【0151】
なお、第2実施形態において、加熱金型ユニット40Zはヒートパイプ7を備えていなくてもよく、または、冷却金型ユニット41Zはヒートパイプ7Zを備えていなくてもよい。
【0152】
また、第2実施形態において、加熱金型ユニット40Zは本体部40aおよび本体部6を備えていて、冷却金型ユニット41Zは本体部41aおよび本体部6を備えていてもよい。この場合、本体部6それぞれは、本体部40a,41aに固定される。この構成では、加熱金型ユニット40Zおよび冷却金型ユニット41Zのメンテナンス性は、向上する。
【0153】
●変形例●
次に、本装置の変形例が、第1実施形態とは異なる部分を中心に、以下に説明される。以下の変形例の説明において、第1実施形態と同じ要素、および、共通する機能を有する要素には、説明の便宜上、第1実施形態と同一の符号が付されていて、その説明は省略される。各変形例は、第2実施形態にも適用可能である。以下の説明において、図1図5は、適宜参照される。
【0154】
●第1変形例
図26は、本装置の第1変形例を示す、本装置の模式断面図である。
【0155】
第1変形例では、第2金型ユニット5は、本体部6、複数のヒートパイプ7、第1熱源ユニット8、第2熱源ユニット9、複数の温度測定器10、第2ユニット搬送装置11、およびユニット切替装置21を備える。ユニット切替装置21は、本発明におけるユニット切替部の一例である。
【0156】
第1変形例では、第2熱源ユニット9も、第1端部7aに対応している。すなわち、第2クランプ部材90,91は、ヒートパイプ7が加熱されるとき、ヒートパイプ7の第1端部7aに当接して、第2熱源92,93からの熱をヒートパイプ7に伝達する。
【0157】
ユニット切替装置21は、第1端部7aに対して、第1熱源ユニット8と第2熱源ユニット9とを切り替える。具体的には、ユニット切替装置21は、ヒートパイプ7が加熱されるとき、当接部80b,81bまたは当接部90b,91bが対応する第1端部7aに当接可能となるように、第1熱源ユニット8と第2熱源ユニット9とを切り替える。同様に、ユニット切替装置21は、ヒートパイプ7が冷却されるとき、当接部80b,81bまたは当接部90b,91bが対応する第1端部7aに当接可能となるように、第1熱源ユニット8と第2熱源ユニット9とを切り替える。この構成においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0158】
なお、第1変形例において、第2端部7bは、後述される第2変形例のように、本体部6から突出していなくてもよい。
【0159】
また、第1変形例において、第2金型ユニット5は、第2端部7bに対応する第1熱源ユニット8、第2熱源ユニット9、およびユニット切替装置21を備えていてもよい。
【0160】
●第2変形例~第4変形例
図27(a)は本装置の第2変形例を示す、第2金型ユニットの模式平面図であり、(b)は、本装置の第3変形例を示す、第2金型ユニットの模式平面図であり、(c)は、本装置の第4変形例を示す、第2金型ユニットの模式平面図である。
第2変形例~第4変形例では、ヒートパイプ7の配置および/または数が、第1実施形態と異なる。
【0161】
図27(a)に示されるとおり、第2変形例では、ヒートパイプ7の第1端部7aのみが本体部6から突出していて、第2端部7bは本体部6の内部に配置されている。また、第2金型ユニット5は、第2熱源ユニット9を備えていない。この構成では、第1端部7aが加熱されているとき、第2端部7bは大気中に曝されていない。そのため、第2端部7bは放熱板のように機能せず、本体部6の-X方向側の端部の温度は低下し難い。
【0162】
なお、第2変形例において、第1熱源82は加熱源であり、第1熱源83は冷却源でもよい。この場合、第1熱源82がONのとき第1熱源83はOFFとなり、第1熱源83がONのとき第1熱源82はOFFとなる。このON/OFFの切替は、例えば、制御装置2において制御される。すなわち、制御装置2は、本発明における熱源切替部として機能し得る。この構成では、本装置1は、1つの第1熱源ユニット8で、ヒートパイプ7を加熱および冷却できる。この場合、換言すれば、この第1熱源ユニット8は、加熱ユニットおよび冷却ユニットとして機能していて、本発明におけるユニット切替部としても機能する。
【0163】
図27(b)に示されるとおり、第3変形例では、半数のヒートパイプ72,74,76の第1端部7a2,7a4,7a6は本体部6から+X方向に向けて突出していて、第2端部7b2,7b4,7b6は本体部6の内部に配置されている。同様に、半数のヒートパイプ71,73,75の第2端部7b1,7b3,7b5は本体部6から-X方向に向けて突出していて、第1端部7a1,7a3,7a5は本体部6の内部に配置されている。
【0164】
図27(c)に示されるとおり、第4変形例では、第2金型ユニット5は、8個のヒートパイプ71~78を備える。Y軸方向において、ヒートパイプ71~78は、+Y方向から順に配置されている。ヒートパイプ71,72間の間隔は、ヒートパイプ77,78の間隔と同じであり、ヒートパイプ72,73間の間隔よりも小さい。ヒートパイプ73~76は等間隔で配置されていて、その間隔はヒートパイプ72,73間の間隔よりも大きい。すなわち、Y軸方向において、隣り合うヒートパイプ71~78間の間隔は、本体部6の端部に近づくと狭くなる(間隔は均一ではない)。この構成では、本体部6のうち、温度が低下し易い端部にヒートパイプ7を集中して配置させることにより、同端部の温度の低下は抑制される。
【0165】
●第5変形例
図28(a)は本装置の第5変形例を示す、第2金型ユニット5の模式平面図であり、(b)は(a)のG矢視における第1熱源ユニット8の模式図である。
同図では、説明の便宜上、後述される第1領域A11、第3領域A13はハッチングで示されていて、第2領域A12はグレーで示されている。
【0166】
図28に示されるとおり、第5変形例では、第1熱源ユニット8は、当接部80b1,81b1を備える第1部8A、当接部80b2~80b5,81b2~81b5を備える第2部8B、および当接部80b6,81b6を備える第3部8C、の3部に物理的に区分けされている。第1部8A、第2部8B、および第3部8Cそれぞれは、独立して動作可能である。第1熱源移動機構84は、第1部8A、第2部8B、および第3部8Cそれぞれの当接と離間とを異なる/同じタイミングで切り替える。すなわち、当接部80b1,80b6,81b1,81b6は、当接部80b2~80b5,81b2~81b5と独立して移動可能である。上下方向視において、本体部6のうち、ヒートパイプ71が配置されている領域は第1領域A11であり、ヒートパイプ72~75が配置されている領域は第2領域A12であり、ヒートパイプ76が配置されている領域は第3領域A13である。第2金型ユニット5は、5個の温度測定器101~105を備える。温度測定器104は本体部6の+Y方向側の端部に配置されていて、温度測定器105は本体部6の-Y方向側の端部に配置されている。ヒートパイプ71(76)は本発明における第1ヒートパイプの一例であり、ヒートパイプ72~75は本発明における第2ヒートパイプの一例である。当接部80b1,80b6,81b1,81b6は本発明における第1当接部の一例であり、当接部80b2~80b5,81b2~81b5は本発明における第2当接部の一例である。この構成では、第1領域A11、第2領域A12、および第3領域A13において、異なる温度制御および同じ温度制御が可能となる。
【0167】
なお、第5変形例において、第1熱源ユニット8において物理的に区分けされる部の数は、「3」に限定されない。すなわち、例えば、第1熱源ユニット8は、ヒートパイプ71~76ごとに区分けされていてもよい。この場合、ヒートパイプ71,73,75に対応する部は加熱ユニットとして機能して、ヒートパイプ72,74,76に対応する部は冷却ユニットとして機能してもよい。
【0168】
また、第5変形例において、第2部8Bは、冷却ユニットとして機能してもよい。
【0169】
●その他の実施形態●
なお、各実施形態において、本装置1,1Zは、加熱金型ユニット40,40Zまたは冷却金型ユニット41,41Z、および第1ユニット搬送装置42を備えていなくてもよい。この場合、本装置1において、チャンバユニットCUは、上下方向に移動しなくてもよい。
【0170】
また、第1実施形態において、第2金型ユニット5は、ワークWの加熱時または冷却時のみ用いられてもよい。
【0171】
さらに、各実施形態において、第1熱源ユニット8は加熱ユニットでもよく、第2熱源ユニット9は冷却ユニットでもよい。
【0172】
さらにまた、各実施形態において、第1熱源ユニット8および第2熱源ユニット9は、共に、加熱ユニットまたは冷却ユニットでもよい。
【0173】
さらにまた、各実施形態において、ヒートパイプ7,7Zの数は、「6」に限定されない。この場合、挿通孔6c,40f,41dの数は、ヒートパイプ7,7Zの数に応じて設定される。
【0174】
さらにまた、各実施形態において、ヒートパイプ7が沿う方向は、ヒートパイプ7が水平方向に平行に配置されていればよく、X軸方向に限定されない。すなわち、例えば、ヒートパイプ7は、Y軸方向に沿って配置されていてもよい。この場合、上下方向視において、ヒートパイプ7は、加熱源40cおよび冷却源41bと平行に配置される。この構成でも、ヒートパイプ7が第1熱源ユニット8または第2熱源ユニット9により加熱または冷却されていないとき、本体部6の均温性は、向上する。
【0175】
さらにまた、各実施形態において、ヒートパイプ7は、等間隔で配置されていなくてもよい。すなわち、例えば、第4変形例のように、ヒートパイプ7の一部の間隔は、他の一部の間隔と異なっていてもよい。また、例えば、ヒートパイプ7は、上下方向視において、ワークWが載置される位置に集中的に配置されていてもよい。
【0176】
さらにまた、各実施形態において、第1熱源ユニット8および第2熱源ユニット9がヒートパイプ7,7Zに当接する方法は、挟持による方法に限定されない。すなわち、例えば、第1熱源ユニット8および第2熱源ユニット9は、第1端部7aまたは第2端部7bが挿入(嵌入)される挿入孔を備えていてもよい。この場合、第1熱源移動機構84および第2熱源移動機構94は、第1端部7aまたは第2端部7bに対して挿入孔を相対的に移動させるように構成される。挿入孔は、本発明における当接部として機能する。また、例えば、第1クランプ部材80または第1クランプ部材81のみがヒートパイプ7に当接していてもよい。この場合、第1熱源ユニット8は、第1クランプ部材80,81のいずれか一方のみを備えていてもよい。第2熱源ユニット9も同様である。
【0177】
さらにまた、各実施形態において、本装置1,1Zは、温度測定器10を備えていなくてもよい。この構成でも、既に温度変化が既知のワークWであれば、本装置1,1Zは、ワークWに応じた温度制御(温度勾配の制御)が可能である。
【0178】
さらにまた、各実施形態において、温度測定器10の数は、「3」または「6」に限定されない。この場合、挿入穴6d,40g,41eの数は、温度測定器10の数に応じて設定される。
【0179】
さらにまた、各実施形態において、温度測定器10は、熱電対に限定されない。
【0180】
さらにまた、各実施形態において、記憶部は、温度プロファイルPr1,Pr2を記憶していなくてもよい。すなわち、第1熱源移動機構84は、温度プロファイルPr1に沿ってワークWが加熱されるように、当接部80b,81bの第1端部7aへの当接と離間とを切り替えなくてもよい。第2熱源移動機構94も同様である。
【0181】
さらにまた、各実施形態において、記憶部は、温度プロファイルPr1,Pr2とは異なる温度プロファイルを記憶していてもよい。
【0182】
さらにまた、各実施形態において、加熱金型ユニット40,40Zおよび冷却金型ユニット41,41Zは、X軸方向に沿って搬送されていてもよい。
【0183】
さらにまた、第1実施形態において、本体部6は、X軸方向に沿って搬送されていてもよい。
【0184】
●本発明の実施態様●
次に、以上説明した各実施形態から把握される本発明の実施態様について、各実施形態において記載された用語と符号とを援用しつつ、以下に記載する。
【0185】
本発明の第1の実施態様は、ワーク(例えば、ワークW)を加圧する加圧装置(例えば、加圧装置1,1Z)であって、前記ワークよりも下方向に配置されて、前記ワークを加熱または冷却可能な第1金型ユニット(例えば、第1金型ユニット4、金型ユニット4Z)と、前記第1金型ユニットと共に前記ワークを加熱または冷却可能な第2金型ユニット(例えば、第2金型ユニット5、金型ユニット4Z)と、を有してなり、前記第2金型ユニットは、複数のヒートパイプ(例えば、ヒートパイプ7,7Z)と、複数の前記ヒートパイプが固定されて、前記ワークが加熱または冷却されているとき、前記ワークと前記第1金型ユニットとの間に配置される金型本体部(例えば、本体部6、本体部40Za,41Za)と、複数の前記ヒートパイプのうち、対応する前記ヒートパイプを加熱または冷却可能な熱源ユニット(例えば、第1熱源ユニット8、第2熱源ユニット9)と、を備えて、前記ヒートパイプそれぞれは、前記金型本体部から水平方向に突出する突出端部(例えば、第1端部7a、第2端部7b)、を備えて、前記熱源ユニットは、前記突出端部それぞれに対して移動可能であり、対応する前記突出端部に当接可能な複数の当接部(例えば、当接部80b,81b,90b,91b)と、前記突出端部に対する前記当接部の当接と離間とを切り替える当接切替部(例えば、第1熱源移動機構84、第2熱源移動機構94)と、を備える、加圧装置である。
この構成によれば、ワークの複雑な温度制御が可能となると共に、ワークの加熱時および冷却時の温度変化率は目的に応じて制御できる。
【0186】
本発明の第2の実施態様は、第1の実施態様において、前記第2金型ユニットは、前記金型本体部の温度を測定可能な温度測定器(例えば、温度測定器10)、を備えて、前記当接切替部は、前記温度測定器の測定結果に基づいて、前記当接部の前記当接と前記離間とを切り替える、加圧装置である。
この構成によれば、ワークの温度制御の精度は、向上する。
【0187】
本発明の第3の実施態様は、第2の実施態様において、前記第1金型ユニットは、前記ワークを加熱する加熱金型ユニット(例えば、加熱金型ユニット40,40Z)、を備えて、前記熱源ユニットは、前記ヒートパイプを冷却する冷却源(例えば、第1熱源82,83)、または、前記ヒートパイプを加熱する加熱源(例えば、第2熱源92,93)、を備えて、前記当接切替部は、規定の温度プロファイル(例えば、温度プロファイルPr1)に沿って、前記ワークが加熱されるように、前記当接部の前記当接と前記離間とを切り替える、加圧装置である。
この構成によれば、ワークの加熱時の温度変化率および加熱時間は、温度プロファイルに沿って制御できる。
【0188】
本発明の第4の実施態様は、第2の実施態様において、前記第1金型ユニットは、前記ワークを冷却する冷却金型ユニット(例えば、冷却金型ユニット41,41Z)、を備えて、前記熱源ユニットは、前記ヒートパイプを冷却する冷却源、または、前記ヒートパイプを加熱する加熱源、を備えて、前記当接切替部は、規定の温度プロファイル(例えば、温度プロファイルPr2)に沿って、前記ワークが冷却されるように、前記当接部の前記当接と前記離間とを切り替える、加圧装置である。
この構成によれば、ワークの冷却時の温度変化率および冷却時間は、温度プロファイルに沿って制御できる。
【0189】
本発明の第5の実施態様は、第2の実施態様において、前記第1金型ユニットは、前記ワークを加熱する加熱金型ユニット、または、前記ワークを冷却する冷却金型ユニット、を備えて、前記熱源ユニットは、前記ヒートパイプを加熱する加熱源(例えば、第1熱源82、第2熱源92)と、前記ヒートパイプを冷却する冷却源(例えば、第1熱源83、第2熱源93)と、前記加熱源と前記冷却源とを切り替える熱源切替部(例えば、第1熱源移動機構84、第2熱源移動機構94)と、を備えて、前記熱源切替部は、規定の温度プロファイルに沿って、前記ワークが加熱または冷却されるように、前記加熱源と前記冷却源とを切り替える、加圧装置である。
この構成によれば、本装置は、1個の第1熱源ユニットで、ヒートパイプを加熱および冷却できる。
【0190】
本発明の第6の実施態様は、第1の実施態様において、前記熱源ユニットは、対応する前記ヒートパイプを加熱する加熱ユニット(例えば、第2熱源ユニット9)と、対応する前記ヒートパイプを冷却する冷却ユニット(例えば、第1熱源ユニット8)と、前記加熱ユニットと前記冷却ユニットとを切り替えるユニット切替部(例えば、ユニット切替装置21)と、を備えて、前記ユニット切替部は、前記ヒートパイプが加熱されるとき、前記加熱ユニットの前記当接部が対応する前記突出端部に当接可能となるように、前記加熱ユニットと前記冷却ユニットとを切り替えて、前記ヒートパイプが冷却されるとき、前記冷却ユニットの前記当接部が対応する前記突出端部に当接可能となるように、前記加熱ユニットと前記冷却ユニットとを切り替える、加圧装置である。
この構成によれば、本装置は、ワークの加熱時/冷却時の温度変化率および加熱時間/冷却時間を制御できる。
【0191】
本発明の第7の実施態様は、第1の実施態様において、前記ヒートパイプそれぞれは、前記金型本体部から水平方向における第1方向(例えば、+X方向)に突出して、前記突出端部として機能する第1突出端部(例えば、第1端部7a)と、前記金型本体部から前記第1方向の反対方向である第2方向(例えば、-X方向)に突出して、前記突出端部として機能する第2突出端部(例えば、第2端部7b)と、を備えて、前記熱源ユニットは、前記第1突出端部に対応する第1熱源ユニット(例えば、第1熱源ユニット8)と、前記第2突出端部に対応する第2熱源ユニット(例えば、第2熱源ユニット9)と、を備えて、前記第1熱源ユニットは、対応する前記ヒートパイプを加熱する加熱ユニット、または、対応する前記ヒートパイプを冷却する冷却ユニットであり、前記第2熱源ユニットは、前記加熱ユニット、または、前記冷却ユニットである、加圧装置である。
この構成によれば、本装置は、ワークの加熱時/冷却時の温度勾配および加熱時間/冷却時間をさらに制御できる。
【0192】
本発明の第8の実施態様は、第1乃至第7のいずれかの実施態様において、前記熱源ユニットは、複数の前記当接部が配置される熱源本体部(例えば、第1クランプ部材80,81、第2クランプ部材90,91)、を備えて、前記当接切替部は、前記熱源本体部を移動させることにより、複数の前記当接部を前記突出端部に一括して当接させて、または、離間させる、加圧装置である。
この構成によれば、第1クランプ部材および第2クランプ部材の構造は、単純化できる。
【0193】
本発明の第9の実施態様は、第1乃至第7のいずれかの実施態様において、複数の前記ヒートパイプは、第1ヒートパイプ(例えば、ヒートパイプ71)と、第2ヒートパイプ(例えば、ヒートパイプ72~75)と、を備えて、複数の前記当接部は、前記第1ヒートパイプの前記突出端部(例えば、第1端部7a1,7a6)に対応する第1当接部(例えば、当接部80b1,80b6,81b1,81b6)と、前記第2ヒートパイプの前記突出端部(例えば、第1端部7a2~7a5)に対応する第2当接部(例えば、当接部80b2~80b5,81b2~81b5)と、を備えて、前記第1当接部と前記第2当接部それぞれは、独立して移動可能である、加圧装置である。
この構成によれば、第1ヒートパイプおよび第2ヒートパイプにおいて、異なる温度制御が可能となる。
【0194】
本発明の第10の実施態様は、第9の実施態様において、上下方向視において、前記金型本体部は、第1領域(例えば、第1領域A11)と、前記第1領域とは、異なる温度制御が実行される第2領域(例えば、第2領域A12)と、を備えて、前記第1ヒートパイプは、前記第1領域に配置されて、前記第2ヒートパイプは、前記第2領域に配置されて、前記当接切替部は、前記第1当接部と前記第2当接部それぞれの前記当接と前記離間とを異なるタイミングで切り替える、加圧装置である。
この構成によれば、第1領域および第2領域において、異なる温度制御が可能となる。
【0195】
本発明の第11の実施態様は、第1の実施態様において、前記第1金型ユニット(例えば、加熱金型ユニット40Z、冷却金型ユニット41Z)は、前記金型本体部に固定される複数の第1加熱源(例えば、加熱源40c)、または、複数の第1冷却源(例えば、冷却源41b)、を備えて、複数の前記ヒートパイプ(例えば、ヒートパイプ7,7Z)は、複数の前記第1加熱源、または、複数の前記第1冷却源よりも上方向に配置されて、上下方向において、前記金型本体部のうち、複数の前記第1加熱源、または、複数の前記第1冷却源が配置されている領域は、前記第1金型ユニットとして機能して、上下方向において、前記金型本体部のうち、複数の前記ヒートパイプが配置されている領域は、前記第2金型ユニットとして機能する、加圧装置である。
この構成によれば、ワークの複雑な温度制御が可能となると共に、ワークWの加熱時および冷却時の温度変化率は目的に応じて制御できる。
【0196】
本発明の第12の実施態様は、第1の実施態様において、前記第2金型ユニット(例えば、第2金型ユニット5)は、前記第1金型ユニット(例えば、第1金型ユニット4)と別体であり、前記金型本体部は、前記第1金型ユニットに対して、水平方向に相対移動可能であり、前記ワークが加熱または冷却されないとき、前記金型本体部は、前記第1金型ユニットの上方向の処理位置から、前記処理位置から水平方向に離間した待機位置に相対移動する、加圧装置である。
この構成によれば、本装置は、第2金型ユニットの使用の有無の選択により、ワークの加熱時/冷却時の温度変化率および加熱時間/冷却時間を制御できる。
【0197】
本発明の第13の実施態様は、第1の実施態様において、前記第1金型ユニットは、複数の第1加熱源(例えば、加熱源40c)、または、複数の第1冷却源(例えば、冷却源41b)、を備えて、前記第1加熱源または前記第1冷却源の形状は、直線状であり、複数の前記第1加熱源それぞれ、または、複数の前記第1冷却源それぞれは、相互に平行に配置されて、上下方向視において、複数の前記ヒートパイプは、前記第1加熱源または前記第1冷却源と直交する、または、平行となるように、相互に平行に配置される、加圧装置である。
この構成によれば、ヒートパイプが第1熱源ユニットまたは第2熱源ユニットにより加熱または冷却されていないとき、本体部の均温性は、向上する。
【符号の説明】
【0198】
1 加圧装置
2 制御装置
4 第1金型ユニット
40 加熱金型ユニット
40c 加熱源
41 冷却金型ユニット
41b 冷却源
5 第2金型ユニット
6 本体部
7 ヒートパイプ
71 ヒートパイプ(第1ヒートパイプ)
72~75 ヒートパイプ(第2ヒートパイプ)
7a 第1端部(突出端部、第1突出端部)
7b 第2端部(突出端部、第2突出端部)
8 第1熱源ユニット(熱源ユニット、冷却ユニット)
80 第1クランプ部材(熱源本体部)
80b 当接部
80b1~80b6 当接部(第1当接部、第2当接部)
81 第1クランプ部材(熱源本体部)
81b 当接部
81b1~81b6 当接部(第1当接部、第2当接部)
82 第1熱源(冷却源、加熱源)
83 第1熱源(冷却源、加熱源)
84 第1熱源移動機構(当接切替部、熱源切替部)
9 第2熱源ユニット(熱源ユニット、加熱ユニット)
90 第2クランプ部材(熱源本体部)
90b 当接部
91 第2クランプ部材(熱源本体部)
91b 当接部
92 第2熱源(加熱源、冷却源)
93 第2熱源(加熱源、冷却源)
94 第2熱源移動機構(当接切替部、熱源切替部)
10 温度測定器
21 ユニット切替部
1Z 加圧装置
4Z 金型ユニット
40Z 加熱金型ユニット
40Za 本体部
41Z 冷却金型ユニット
41Za 本体部
7Z ヒートパイプ
A11 第1領域
A12 第2領域
Pr1 温度プロファイル
Pr2 温度プロファイル
【要約】
【課題】ワークの加熱時および/または冷却時の温度勾配を変更可能な加圧装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る加圧装置1は、第1金型ユニット4と、第2金型ユニット5と、を有してなる。第2金型ユニットは、複数のヒートパイプ7と、複数のヒートパイプが固定されて、ワークが加熱または冷却されているとき、ワークと第1金型ユニットとの間に配置される金型本体部6と、複数のヒートパイプのうち、対応するヒートパイプを加熱または冷却可能な熱源ユニット8,9と、を備える。ヒートパイプそれぞれは、金型本体部から水平方向に突出する突出端部7a,7b、を備える。熱源ユニットは、突出端部それぞれに対して移動可能であり、対応する突出端部に当接可能な複数の当接部80b,81b,90b,91bと、突出端部に対する当接部の当接と離間とを切り替える当接切替部84,94と、を備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
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