(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】無線通信システム
(51)【国際特許分類】
H04B 7/08 20060101AFI20241108BHJP
H04B 7/06 20060101ALI20241108BHJP
H04W 16/28 20090101ALI20241108BHJP
H04W 84/06 20090101ALI20241108BHJP
H04W 52/18 20090101ALI20241108BHJP
【FI】
H04B7/08 802
H04B7/06 950
H04W16/28
H04W84/06
H04W52/18
(21)【出願番号】P 2024109598
(22)【出願日】2024-07-08
【審査請求日】2024-07-17
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)令和6年2月26日に、EiC電子情報通信学会2024年総合大会講演論文集(WEB公開),B-5A-55(一般社団法人電子情報通信学会)にて公開 (2)令和6年3月6日に、EiC電子情報通信学会2024年総合大会,広島大学東広島キャンパス(東広島市鏡山一丁目3番2号)にて発表 (3)令和6年4月18日に、電子情報通信学会技術研究報告,Vol.124,No.9,RCS2024-11,pp.48-53(一般社団法人電子情報通信学会)にて公開 (4)令和6年4月26日に、電子情報通信学会 無線通信システム研究会,天然温泉尾道ふれあいの里(広島県尾道市御調町高尾1369)にて発表
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度、国立研究開発法人情報通信研究機構、「移動通信三次元空間セル構成」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【氏名又は名称】黒田 壽
(74)【代理人】
【識別番号】100128691
【氏名又は名称】中村 弘通
(72)【発明者】
【氏名】藤井 輝也
(72)【発明者】
【氏名】藤井 隆史
【審査官】川口 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2024-030061(JP,A)
【文献】国際公開第2022/154012(WO,A1)
【文献】橘田真,藤井輝也,ビームフォーミング技術を活用した地上と上空セルの周波数共用の基礎検討,電子情報通信学会2020年総合大会講演論文集 通信1,2020年03月03日,p.300
【文献】田代 晃司ほか,地上モバイルネットワークとの周波数共用を実現するためのHAPS向けヌルステアリング技術,電子情報通信学会技術研究報告,2021年06月16日,第121巻,第72号,p.267~272
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/02 - 7/12
H04W 4/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一又は複数の基地局を備える無線通信システムであって、
前記基地局は、
互いに異なる複数の指向性ビームを形成可能なアンテナと、
同一周波数帯を使用する地上セル及び上空セルを個別に形成し、前記地上セルに在圏する地上端末装置及び前記上空セルに在圏する上空端末装置との間で前記アンテナを介して無線通信を行う無線通信部と、
前記地上端末装置に対して指向性ビームを向けるビームフォーミングを行う地上ビーム制御部と、
前記上空端末装置に対して指向性ビームを向けるビームフォーミングを行う上空ビーム制御部と、
前記アンテナを介して前記地上端末装置から受信した受信信号に前記上空端末装置からの干渉信号を抑圧する干渉抑圧ウェイトを重畳し、前記アンテナを介して前記上空端末装置から受信した受信信号に前記地上端末装置からの干渉信号を抑圧する干渉抑圧ウェイトを重畳する干渉抑圧部と、
を備える、ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
請求項1の無線通信システムにおいて、
前記地上端末装置及び前記上空端末装置は、前記基地局から受信した送信電力制御情報に基づいて前記基地局に対する送信電力を制御する送信電力制御部を備え、
前記基地局は、
前記干渉抑圧部において前記地上端末装置及び前記上空端末装置の干渉抑圧量を推定し、
前記推定した干渉抑圧量に応じて、前記地上端末装置及び前記上空端末装置の所要受信電力を設定し、前記設定した所要受信電力に応じて前記地上端末装置及び前記上空端末装置の送信電力量を決定し、前記決定した送信電力量を前記送信電力制御情報として前記地上端末装置及び前記上空端末装置に送信する、
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
請求項1又は2の無線通信システムにおいて、
前記基地局は、前記地上端末装置から受信した受信信号の通信品質と前記上空端末装置から受信した受信信号の通信品質とを推定し、前記通信品質の推定結果に基づいて、前記干渉抑圧部における前記干渉抑圧ウェイトを重畳する干渉抑圧機能のオン/オフを切り替える干渉抑圧制御部を備える、ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項4】
請求項1又は2の無線通信システムにおいて、
前記基地局は、前記アンテナの位置を基準にした前記地上端末装置の方向と前記上空端末装置の方向との間の角度差を推定し、前記角度差の推定結果に基づいて、前記干渉抑圧部における前記干渉抑圧ウェイトを重畳する干渉抑圧機能のオン/オフを切り替える干渉抑圧制御部を備える、ことを特徴とする無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信の無線通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、上空エリアを移動するドローン、空飛ぶ自動車(タクシー)等の実現により、上空エリアで端末装置を利用できる移動通信の上空サービスエリアの構築が期待されている。本出願人は、同一基地局で地上サービスエリアに向けて地上セルを形成するとともに上空サービスエリアに向けて上空セルを形成し、地上セルと上空セルで同一周波数帯の共用を実現する三次元空間セル構成を構築する無線通信システムを提案した(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記地上セルと上空セルで同一周波数帯の共用を実現する三次元空間セル構成では、基地局が地上端末装置から受信する受信信号と上空端末装置から受信する受信信号との間で発生するおそれがある干渉を低減したい、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係るシステムは、一又は複数の基地局を備える無線通信システムである。この無線通信システムにおいて、前記基地局は、互いに異なる複数の指向性ビームを形成可能なアンテナと、同一周波数帯を使用する地上セル及び上空セルを個別に形成し、前記地上セルに在圏する地上端末装置及び前記上空セルに在圏する上空端末装置との間で前記アンテナを介して無線通信を行う無線通信部と、前記地上端末装置に対して指向性ビームを向けるビームフォーミングを行う地上ビーム制御部と、前記上空端末装置に対して指向性ビームを向けるビームフォーミングを行う上空ビーム制御部と、前記アンテナを介して前記地上端末装置から受信した受信信号に前記上空端末装置からの干渉信号を抑圧する干渉抑圧ウェイトを重畳し、前記アンテナを介して前記上空端末装置から受信した受信信号に前記地上端末装置からの干渉信号を抑圧する干渉抑圧ウェイトを重畳する干渉抑圧部と、を備える。
【0006】
前記無線通信システムにおいて、前記地上端末装置及び前記上空端末装置は、前記基地局から受信した送信電力制御情報に基づいて前記基地局に対する送信電力を制御する送信電力制御部を備え、前記基地局は、前記干渉抑圧部において前記地上端末装置及び前記上空端末装置の干渉抑圧量を推定し、前記推定した干渉抑圧量に応じて前記地上端末装置及び前記上空端末装置が送信する送信電力閾値を設定し、前記設定した送信電力閾値に応じて前記地上端末装置及び前記上空端末装置の送信電力量を決定し、前記決定した送信電力量を前記送信電力制御情報として前記地上端末装置及び前記上空端末装置に送信する。
【0007】
前記無線通信システムにおいて、前記基地局は、前記地上端末装置から受信した受信信号の通信品質と前記上空端末装置から受信した受信信号の通信品質とを推定し、前記通信品質の推定結果に基づいて、前記干渉抑圧部における前記干渉抑圧ウェイトを重畳する干渉抑圧機能のオン/オフを切り替える干渉抑圧制御部を備えてもよい。
【0008】
前記無線通信システムにおいて、前記基地局は、前記アンテナの位置を基準にした前記地上端末装置の方向と前記上空端末装置の方向との間の角度差を推定し、前記角度差の推定結果に基づいて、前記干渉抑圧部における前記干渉抑圧ウェイトを重畳する干渉抑圧機能のオン/オフを切り替える干渉抑圧制御部を備えてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、地上セルと上空セルで同一周波数帯の共用を実現する三次元空間セル構成において、基地局が地上端末装置から受信する受信信号と上空端末装置から受信する受信信号との間の干渉を抑圧することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係る三次元空間セル構成の無線通信システムの構成の一例を示す説明図である。
【
図2】
図2は、三次元空間セル構成の基地局における上り回線の受信時の干渉の発生の一例を示す説明図である。
【
図3】
図3は、三次元空間セル構成の基地局における基地局アンテナ適応ビームフォーミングの一例を示す説明図である。
【
図4】
図4(a)は、上空セルの高い高度に位置する上空端末と地上セルの内側に位置する地上端末との間の位置関係の一例を示す説明図である。
図4(b)は、
図4(a)の基地局における上空端末に向かう上空アンテナビームと地上端末に向かう地上アンテナビームとの重なりの一例を示す説明図である。
【
図5】
図5(a)は、上空セルの低い高度に位置する上空端末と地上セルのセル端部に位置する地上端末との間の位置関係の一例を示す説明図である。
図5(b)は、
図5(a)の基地局における上空端末に向かう上空アンテナビームと地上端末に向かう地上アンテナビームとの重なり及び干渉の発生の様子の一例を示す説明図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る無線通信システムにおける基地局の主要構成の一例を示す説明図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る無線通信システムにおける上り回線の干渉抑圧処理を適用した干渉抑圧システムの基本構成の一例を示す説明図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る干渉抑圧システムの一構成例を示す説明図である。
【
図9】
図9(a)は、
図8の干渉抑圧システムにおける干渉抑圧処理を適用しない場合の上空セルの低い高度に位置する上空端末と地上セルのセル端部に位置する地上端末との間の位置関係の一例を示す説明図である。
図9(b)は、
図9(a)の基地局における上空端末に向かう上空アンテナビームと地上端末に向かう地上アンテナビームとの重なり及び干渉の発生の様子の一例を示す説明図である。
【
図10】
図10(a)は、
図8の干渉抑圧システムにおける干渉抑圧処理を適用した場合の上空セルの低い高度に位置する上空端末と地上セルのセル端部に位置する地上端末との間の位置関係の一例を示す説明図である。
図10(b)は、
図10(a)の基地局における上空端末に向かう上空アンテナビームと地上端末に向かう地上アンテナビームとの重なりの一例を示す説明図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る干渉抑圧システムの他の構成例を示す説明図である。
【
図12】
図12(a)は、
図11の干渉抑圧システムの地上端末及び上空端末に適用する送信電力制御に適用する設定変更前の所要受信電力の一例を示す説明図である。
図12(b)は、
図11の干渉抑圧システムの地上端末及び上空端末に適用する送信電力制御に適用する設定変更後の所要受信電力の一例を示す説明図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係る無線通信システムにおける干渉抑圧処理を適用した干渉抑圧システムの他の構成例を示す説明図である。
【
図14】
図14(a)は、
図13の干渉抑圧システムにおける干渉抑圧処理をOFFにした場合の上空セルの低い高度に位置する上空端末と地上セルのセル端部に位置する地上端末との間の位置関係の一例を示す説明図である。
図14(b)は、
図14(a)の基地局における上空端末に向かう上空アンテナビームと地上端末に向かう地上アンテナビームとの重なり及び干渉の発生の様子の一例を示す説明図である。
【
図15】
図15(a)は、
図12の干渉抑圧システムにおける干渉抑圧処理をONにした場合の上空セルの低い高度に位置する上空端末と地上セルのセル端部に位置する地上端末との間の位置関係の一例を示す説明図である。
図15(b)及び
図15(c)はそれぞれ、
図15(a)の基地局における上空端末に向かう上空アンテナビームと地上端末に向かう地上アンテナビームとの重なりの一例を示す説明図である。
【
図16】
図16は、実施形態に係る無線通信システムにおける干渉抑圧処理を適用した干渉抑圧システムの更に他の構成例を示す説明図である。
【
図17】
図17(a)は、
図16の干渉抑圧システムにおける上空端末方向の角度θ
U及び上空端末方向の角度θ
Dの定義を示す説明図である。
図17(b)は、
図17(a)の角度の差を有する上空端末に向かう上空アンテナビームと地上端末に向かう地上アンテナビームとの重なりの一例を示す説明図である。
【
図18】
図18(a)及び
図18(b)はそれぞれ、実施形態に係る無線通信システムにおける基地局のアンテナから端末装置に向かう最適な指向性ビームの選択の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
本書に記載された実施形態に係るシステムは、携帯通信の「地上サービスエリア」とともに、ドローン、空飛ぶ自動車(タクシー)等の実現により期待される携帯通信の「上空サービスエリア」を構築するにあたって、地上セルと上空セルで同一周波数共用を実現する三次元空間セル構成の無線通信システムである。実施形態の無線通信システムは、地上セルと上空セルで同一周波数帯の共用を実現する三次元空間セル構成において、地上セルに在圏する端末装置(地上端末)及び上空セルに在圏する端末装置(上空端末)に対する基地局アンテナビームフォーミングと、基地局における地上端末及び上空端末からの上り回線の受信時の干渉を抑圧(除去)する干渉抑圧処理(干渉除去処理)とを組み合わせることにより、基地局が地上端末から受信する受信信号と上空端末から受信する受信信号との間の干渉を抑圧することができる。
【0012】
図1は、実施形態に係る三次元空間セル構成の無線通信システムの構成の一例を示す説明図である。本実施形態に係る無線通信システム10は、複数の基地局20A~20Cを含む。無線通信システム10は、複数の基地局20A~20Cと、これらの基地局と無線通信を行う複数の端末装置30A~30C,40A~40Cとを含んでもよい。なお、
図1には、3つの基地局20A~20Cと6つの端末装置30A~30C,40A~40Cが図示されているが、基地局や端末装置の数は任意である。例えば、無線通信システム10は、単一の基地局、2つの基地局、又は、4つ以上の基地局を含んでもよい。また、各基地局が形成するセルのそれぞれ複数の端末装置が在圏してもよい。なお、広帯域の周波数帯を用いる移動通信では、広帯域周波数を複数の周波数に分割して、分割した周波数分だけ同時に端末装置を収容できる。但し、分割した各周波数で利用可能な端末装置の数は上空セル及び地上セルでそれぞれ一台である。従って、本実施形態において、各基地局との間で同一周波数を同時に利用する端末装置は上空セル及び地上セルで各一台である。
【0013】
本実施形態の無線通信システム10における無線技術は、例えば、LTE(Long Term Evolution)/LTE-Advancedの標準規格に準拠した無線技術である。無線通信システム10における無線技術は、第5世代(5G)、第6世代(6G)等の次世代の標準規格における無線技術であってもよい。
【0014】
基地局20A~20Cは、例えば、eNodeB、gNodeB等と呼ばれ、端末装置30A~30C,40A~40Cと移動通信網との間の通信を中継する。
【0015】
端末装置30A~30C,40A~40Cは、基地局20A~20Cを介して移動通信網に接続して各種の通信を行うことができる。端末装置は、例えば、通信サービスの利用者によって使用されるためユーザー装置(UE:User Equipment)と呼ばれる。また、端末装置は、移動可能なものであるため移動局又は移動機と呼ばれたり、また、無線機と呼ばれたりする場合もある。
【0016】
本実施形態の各基地局20A~20Cが形成する無線通信エリアとしてセルは、地上サービスエリア(以下「地上エリア」という。)A1に形成される第一セルとしての地上セル100A~100Cと、上空サービスエリア(以下「上空エリア」という。)A2に形成される第二セルとしての上空セル200A~200Cとを含む。
【0017】
地上セル100A~100Cは、既存の一般的な基地局と同様、地上サービスエリアA1(地上から一定の高さまでのエリア。例えば基地局のアンテナよりも下方のエリア)に位置する端末装置(以下「地上端末」ともいう。)30A,30B,30Cとの無線通信を行うための2次元的又は3次元的な無線通信エリアである。一方、上空セル200A~200Cは、地上サービスエリアA1よりも上方の上空サービスエリアA2に位置する端末装置(以下「上空端末」ともいう。)40A,40B,40Cとの無線通信を行うための2次元的又は3次元的な無線通信エリアである。
【0018】
地上サービスエリアA1に位置する地上端末30A,30B,30Cは、例えば、歩行者が所持しているスマートフォン、タブレット端末等の携帯型の通信端末、地上の建物などに設置されるIoT機器(センサやカメラなど)に搭載されている通信端末、自動車や鉄道などの地上移動体に搭載されている通信端末などである。
【0019】
上空サービスエリアA2に位置する上空端末40A,40B,40Cは、例えば、無人のドローン(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)、有人のドローン、空飛ぶ自動車(タクシー)、ヘリコプター等の飛行体に搭載されている通信端末である。上空端末40Bは、航空機、ヘリコプター等の飛行体に搭乗している搭乗者が所持するスマートフォン、タブレット端末などの携帯型の通信端末であってもよい。なお、本実施形態では、
図1に示すように、上空端末40Bがドローン50Bに搭載された通信端末である場合について説明する。
【0020】
本実施形態において、基地局20A~20Cと地上端末30A,30B,30C及び上空端末40A,40B,40Cはそれぞれ、所定の周波数帯において、各セルで割り当てられた無線リソース(周波数リソース、時間リソース)を用いて無線通信を行う。無線リソースの割り当ては、例えば基地局20A~20Cで管理される。
【0021】
基地局20A~20Cと地上端末30A,30B,30C及び上空端末40A,40B,40Cとの無線通信の上り回線及び下り回線の複信方式は、特定の方式に限定されず、例えば、時分割複信(Time Division Duplex:TDD)方式でもよいし、周波数分割複信(Frequency Division Duplex:FDD)方式でもよい。また、無線通信のアクセス方式は、特定の方式に限定されず、例えば、FDMA(Frequency Division Multiple Access)方式、TDMA(Time Division Multiple Access)方式、CDMA(Code Division Multiple Access)方式、又は、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)であってもよい。
【0022】
上記三次元空間セル構成では、地上サービスエリアA1とは独立に上空サービスエリアA2が構築され、地上サービスエリアA1と上空サービスエリアA2は同一基地局で構築し、地上サービスエリアA1と上空サービスエリアA2は同一周波数帯を共用する。そのため、地上セル100A~100Cと上空セル200A~200Cとの間の同一周波数干渉が課題である。
【0023】
図2は、三次元空間セル構成の基地局20A,20Bにおける上り回線の受信時の干渉の発生の一例を示す説明図である。
図2において、基地局20A,20Bがそれぞれ自セルの地上端末及び上空端末から上り回線信号の電波を受信しているとき、他セルの上空端末や地上端末からの上り回線信号の電波が干渉する上り回線の干渉が発生するおそれがある。例えば、基地局20Aが自セル100Aの地上端末30A及び自セル200Aの上空端末40Aから上り回線信号の電波を受信しているとき、他セル100Bの地上端末30Bや他セル200Bの上空端末40Bからの上り回線信号の電波が干渉するおそれがある。特に、基地局20A,20Bと上空端末40A,40Bとの間の電波伝搬経路は、障害物のない見通しとなるため、上空端末40A,40Bから基地局20A,20Bに到達する上り回線信号の電波は比較的強く、上り回線の干渉が発生しやすい。
【0024】
上記上り回線の干渉を低減するため、次の(A1)及び(A2)の干渉低減技術がある。
(A1)基地局20A,20B,20Cはそれぞれ、自セルの地上端末30A,30B,30C及び上空端末40A,40B,40Cに対して指向性ビーム(以下「ビーム」又は「アンテナビーム」ともいう。)102A,102B,202A,202Bを向ける基地局アンテナ適応ビームフォーミングを適用する。
(A2)基地局20A,20B,20Cのそれぞれにおける自セルの地上端末30A,30B,30C及び上空端末40A,40B,40Cからの受信電力が所定の受信電力(以下「所要受信電力」ともいう。)になるように、地上端末30A,30B,30C及び上空端末40A,40B,40Cのそれぞれに適応送信電力制御を適用する。
【0025】
上記(A1)及び(A2)の干渉低減技術により、地上セルと上空セルとの間の同一周波数干渉を低減でき、同一周波数の共用が可能になる。具体的には、各基地局におけるビームフォーミング制御により、自セル及び他セルの端末装置からの干渉を抑圧できる。また、各基地局におけるビームフォーミング制御により自セル基地局での受信電力が増大できるので、ビームフォーミング制御なしの場合に比べて、端末装置における送信電力を大幅に低減できる(制御量を大幅に増大)ことから、他セル端末への干渉を大幅に抑圧できる。
【0026】
図3は、本実施形態の三次元空間セル構成の基地局20A~20Cにおける基地局アンテナ適応ビームフォーミングの一例を示す説明図である。基地局20A~20Cのアンテナ(以下「基地局アンテナ」ともいう。)26は、例えば、当該アンテナを中心とした仮想垂直面内の互いに異なる方向に指向性を形成可能な地上セル用のビーム102と上空セル用のビーム202である。アンテナ26は、複数のダイポールアンテナ、パッチアンテナ(平面アンテナ)などからなるアンテナ素子を配列したアレイアンテナを用い、各アンテナ素子の信号の振幅及び位相を制御して所定方向に指向性をもつビームを形成するものであってもよい。
【0027】
本実施形態において、アンテナ26は、複数のアンテナ素子261(1)~261(3)が2次元的に又は3次元的に配列されたアレイアンテナ(以下「基地局アレイアンテナ」ともいう。)で構成され、ビームの本数、ビーム幅及びビーム方向を制御可能なビームフォーミング機能を有するMassiveMIMO(Multiple-Input and Multiple-Output)伝送方式に用いることができるアンテナ(以下「Massiveアンテナ」ともいう。)であってもよい。アンテナ26のアンテナ素子261の個数は特定の個数に限定されない。但し、アンテナ素子261の総数は地上セル及び上空セルの端末の送信する信号数を上回る必要がある。例えば、地上セル及び上空セルの送信アンテナ数が各2つでMIMO送信する場合は最低でも2×2の4アンテナ素子が必要となる。
【0028】
Massiveアンテナ26の形状は特定の形状に限定されない。例えば、Massiveアンテナ26は、複数のアンテナ素子26aを平面状に配置した平面状のMassiveアンテナである。平面状のMassiveアンテナ26は、基地局を中心とした水平面内における互いに異なる複数方向のそれぞれにセクタセルのビームを形成するように複数設けてもよい。また、Massiveアンテナ26は、複数のアンテナ素子261を円筒状の外周面や底面に配置した円筒状のMassiveアンテナでもよい。
【0029】
Massiveアンテナ26で形成するビーム102,202のビーム幅及びビーム方向は、水平方向及び垂直方向について制御可能である。Massiveアンテナ26は、例えば最大128個の多数のアンテナ素子を有することで、ビームフォーミングや空間多重などの技術を用いて、ユーザーごとに専用の電波を割り当てることもできる。
【0030】
基地局20A~20Cはそれぞれ、Massiveアンテナ26を用いた垂直面内ビームフォーミングにより同一周波数帯で地上端末用の指向性ビーム(以下「地上アンテナビーム」ともいう。)102と上空端末用の指向性ビーム(以下「上空アンテナビーム」ともいう。)202を別々に形成する空間分割多重を行い、地上セル100A~100Cと上空セル200A~200Cの干渉を抑圧することができる。
【0031】
図3において、基地局20A~20Cのそれぞれの基地局装置21は、アンテナ26を介して地上端末30A~30C及び上空端末40A~40Cとの間で無線通信を行う無線通信部23を備える。基地局装置21は、無線通信部23のほか、スケジューラ、基地局装置21の全体の制御、処理を担う制御部や記憶部なども備えている。
【0032】
無線通信部23は、送受信機24と、ビーム制御部(以下「基地局アンテナBF制御部」ともいう。)25と、を有する。
図3のビーム制御部25は、地上端末30に対して指向性ビームを向けるビームフォーミングを行う地上ビーム制御部として機能するとともに、上空端末40装置に対して指向性ビームを向けるビームフォーミングを行う上空ビーム制御部としても機能する。ビーム制御部25は、ビーム制御装置251とアンテナウェイト適用部252とを有する。ビーム制御装置251は、アンテナ(Massiveアンテナ)26の複数のアンテナ素子261(1)~261(3)のそれぞれの受信信号及び送信信号の振幅及び位相を設定するためのアンテナウェイト適用部252内のアンテナビームフォーミングウェイト(以下「BFウェイト」ともいう。)w
B(w
1,w
2,w
3)を設定する。
【0033】
図3の基地局装置21のビームフォーミング制御では、アンテナ26の各アンテナ素子261の振幅、位相(BFウェイト)を調整することで、垂直面内におけるビーム方向を変化させる。
ビームフォーミング制御は、例えば、アンテナ素子261の振幅、位相を予め設定して、複数の異なる方向のビームを生成するプリコーディング制御であってもよいし、アンテナ素子261の振幅、位相を適宜設定して、任意の方向のビームを生成する連続追従制御であってもよい。
【0034】
上記ビームフォーミング制御で制御されたビームにより、端末装置(上空端末40、地上端末30)への送信電力及び端末装置からの受信電力を集中させることで、アンテナ利得を向上させることができ、また、自セル以外の他セルへの干渉を抑圧できる。更に、アンテナ利得が向上し、基地局20での受信電力を向上できるとともに、端末装置(上空端末40、地上端末30)の送信電力制御技術により、送信電力を大きく低減できることから、他セルへの干渉を大きく低減できる。
【0035】
上記ビームフォーミング及び送信電力制御だけを適用した三次元空間セル構成の無線通信システムにおいて、上空端末40と地上端末30の位置関係により、通信品質が低下したり高速の伝送速度が得られなくなったりするおそれがある。
【0036】
例えば、
図4(a)に示すように上空セルの高い高度に上空端末40が位置し、地上セル100の内側に地上端末30が位置する場合、
図4(b)に示すように基地局20から上空端末40に向かう上空アンテナビーム202と基地局20から地上端末30に向かう地上アンテナビーム102との重なりがないため、上空セル200と地上セル100との間の干渉は小さい。
【0037】
一方、
図5(a)に示すように上空セルの低い高度に上空端末40が位置し、地上セル100の基地局から遠方にあるセル端部に地上端末30が位置する場合、
図5(b)に示すように基地局20から上空端末40に向けた上空アンテナビーム202と基地局20から地上端末30に向けた地上アンテナビーム102とが重なる。そのため、ビームフォーミングによる干渉抑圧効果が低下し、ビームフォーミングでは上空セル200と地上セル100との間の干渉を相互に抑圧できないため、通信品質が低下する。また、所定の受信電力となるように地上端末30及び上空端末40の送信電力を制御する適応送信電力制御において、特に干渉を抑圧するために所要の受信電力を地上端末、上空端末で一律に低く設定すると、通信品質(SNR)の上限が制限され、高速な伝送速度(例えば、64QAM、256QAM等の変調方式を採用した場合の高速な伝送速度)が得られなくなる。
【0038】
本実施形態では、上り回線における地上セルと上空セルとの間の干渉をより効果的に低減するために、前述の適応送信電力制御と、干渉抑圧ウェイト(「干渉除去ウェイト」ともいう。)WCを用いた干渉抑圧制御(干渉除去制御)を適用する。すなわち、本実施形態の無線通信システムは、上記上り回線の干渉を低減するため、次の(B1)~(B2)の干渉低減技術を用いた干渉抑圧システムを有する。
(B1)各基地局(例えば基地局20A)における自基地局の地上端末(例えば地上端末30A)及び上空端末(例えば上空端末40A)からの受信電力が所定の受信電力(所要受信電力)になるように適応送信電力制御を適用するが、それぞれの所要受信電力は異なる値を設定できるようにする。
(B2)基地局毎(例えば基地局20A)に、干渉抑圧ウェイト(干渉除去ウェイト)WCを用いて、基地局毎の地上端末(例えば地上端末30A)からの受信信号と上空端末(例えば上空端末40A)からの受信信号と間の干渉を抑圧する干渉抑圧制御(干渉除去制御)を適用する。
【0039】
図6は、実施形態に係る無線通信システムにおける基地局20の主要構成の一例を示す説明図である。
図6の構成例では,上記適応ビームフォーミングと適応送信電力制御と適応干渉抑圧制御とを適用した干渉抑圧システムを有する。なお、
図6において、前述の
図3と共通する構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0040】
図6において、基地局20A~20Cのそれぞれの基地局装置21に備える無線通信部23は、送受信機24と、地上セル及び上空セルのそれぞれに対応するように設けられた地上ビーム制御部25-1及び上空ビーム制御部25-2と、干渉抑圧部27とを有する。地上ビーム制御部25-1は、地上端末30に対して指向性ビームを向けるビームフォーミングを行う。上空ビーム制御部25-2は、上空端末40装置に対して指向性ビームを向けるビームフォーミングを行う。
【0041】
地上ビーム制御部25-1は、ビーム制御装置251-1とアンテナウェイト適用部252-1とを有する。ビーム制御装置251-1は、アンテナ(例えば、Massiveアンテナ)26の複数のアンテナ素子261(1)~261(3)のそれぞれの受信信号及び送信信号の振幅及び位相に設定する値を算出する「アンテナビームフォーミングウェイト(BFウェイト)wBD(wd1,wd2,wd3)」の計算部であり、アンテナウェイト適用部252-1はBFウェイトwBDを設定する装置である。
【0042】
上空ビーム制御部25-2は、ビーム制御装置251-2とアンテナウェイト適用部252-2とを有する。ビーム制御装置251-2は、アンテナ(Massiveアンテナ)26の複数のアンテナ素子261(1)~261(3)のそれぞれの受信信号及び送信信号の振幅及び位相に設定する値を算出する「アンテナビームフォーミングウェイト(BFウェイト)wBU(wU1,wU2,wU3)」の計算部であり、アンテナウェイト適用部252-2はBFウェイトwBUを設定する装置である。
【0043】
図7は、実施形態に係る無線通信システムにおける上り回線の干渉抑圧処理を適用した干渉抑圧システムの基本構成の一例を示す説明図である。なお、
図7において、実線の矢印は、上空端末40から送信された信号の流れを示し、破線の矢印は地上端末30から送信された信号の流れを示す(後述の
図8、
図11、
図13及び
図16においても同様)。
【0044】
図7において、上空端末40及び地上端末30のそれぞれから送信された送信信号S
1,S
2は、伝搬路60に示す伝搬路行列Hとして伝搬し、次式(1)に示すように他セルの干渉信号を含む受信信号X
1,X
2として受信され、干渉抑圧部27に入力される。
【数1】
【0045】
干渉抑圧部27では、次式(2)の干渉抑圧ウェイトW
Cが重畳され、次式(3)の受信信号行列で示す干渉抑圧後の受信信号Xが出力される。
【数2】
【数3】
【0046】
ここで、干渉抑圧ウェイトW
Cは、次式(4)に示すように伝搬路行列Hに掛けたときに対角化行列になるように決定される。干渉抑圧ウェイトW
Cとしては、例えば、ZF(ゼロフォーシング)規範のウェイト、MMSE(平均二乗誤差最小化)規範のウェイト、ブロック対角化法(BD法)によるウェイト等を用いることができる。
【数4】
【0047】
上記式(3)に示す干渉抑圧後の受信信号Xが送受信機24に入力されると、上空端末40及び地上端末30のそれぞれから送信された送信信号S1,S2は相互に干渉の無い受信信号として送受信機24から出力される。
【0048】
図8は、実施形態に係る干渉抑圧システムの一構成例を示す説明図である。なお、
図8において、
図7と共通する構成については同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
図8の干渉抑圧システムは、基地局20に設けられた基地局アンテナBF制御部25及び干渉抑圧部27を含む。上空端末40及び地上端末30から送信された送信信号は、伝搬路60で示す伝搬路行列Hとして伝搬し、前述の式(1)に示すように他セルの干渉信号を含む受信信号として受信される。
【0049】
基地局20で受信された受信信号は、基地局アンテナBF制御部25でビームフォーミングウェイトW
Bが重畳され、更に干渉抑圧部27で干渉抑圧ウェイトW
Cが重畳され、次式(5)の受信信号行列で示す干渉抑圧後の受信信号Xが送受信機24に入力される。
【数5】
【0050】
上記式(5)に示す干渉抑圧後の受信信号Xが送受信機24に入力されると、上空端末40及び地上端末30のそれぞれから送信された送信信号S1,S2は相互に干渉の無い受信信号として送受信機24から出力される。
【0051】
図8の干渉抑圧システムでは、基地局アンテナBF制御部25でのビームフォーミングにより、地上端末30と上空端末40との間の干渉を一定量除去する。更に、ビームフォーミングにより除去できない地上端末30と上空端末40との間の干渉を、干渉抑圧部27での干渉抑圧処理(干渉除去機能)により除去する。このようにビームフォーミングと干渉除去機能との組み合わせにより、基地局20の上り回線において地上端末30と上空端末40との間の干渉を大きく抑圧することができる。
【0052】
図9(a)に示すように上空セルの低い高度に上空端末40が位置し、地上セル100の基地局から遠方にあるセル端部に地上端末30が位置する場合、
図9(b)に示すように基地局20から上空端末40に向かう上空アンテナビーム202と基地局20から地上端末30に向かう地上アンテナビーム102とが重なる。この場合に、
図8のビームフォーミングと干渉抑圧処理(干渉除去機能)との組み合わせを適用しないと、上り回線における上空セル200と地上セル100との間の干渉が発生する。
【0053】
一方、
図10(a)に示すように上空セルの低い高度に上空端末40が位置し、地上セル100の基地局から遠方にあるセル端部に地上端末30が位置する場合、
図8のビームフォーミングと干渉抑圧処理(干渉除去機能)との組み合わせを適用することにより、
図10(b)に示すように基地局20から上空端末40に向かう上空アンテナビーム202及び基地局20から地上端末30に向かう地上アンテナビーム102において相互の方向にビームのヌルを形成する。すなわち、上空アンテナビーム202において地上端末30に向かう方向にヌルを形成し、地上アンテナビーム102において上空端末40に向かう方向にヌルを形成する。このように上空アンテナビーム202及び地上アンテナビーム102のそれぞれのヌルを形成することにより、上り回線における上空セル200と地上セル100との間の干渉を大幅に抑圧することができる。
【0054】
図11は、実施形態に係る干渉抑圧システムの他の構成例を示す説明図である。なお、
図11において、
図7及び
図8と共通する構成については同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
図11の干渉抑圧システムは、基地局20に設けられた基地局アンテナBF制御部25及び干渉抑圧部27と、端末装置(上空端末40,地上端末30)に設けられた送信電力制御部410,320とを含む。上空端末40及び地上端末30のそれぞれにおいて、送信電力制御部410,320で所定の送信電力制御ウェイトW
Pが重畳されて送信される。上空端末40及び地上端末30から送信電力制御ウェイトW
Pが重畳されて送信された送信信号は、伝搬路60に示す伝搬路行列Hとして伝搬し、前述の式(1)に示すように他セルの干渉信号を含む受信信号として受信される。
【0055】
基地局20で受信された受信信号は、基地局アンテナBF制御部25でビームフォーミングウェイトW
Bが重畳され、更に干渉抑圧部27で干渉抑圧ウェイトW
Cが重畳され、次式(6)の受信信号行列で示す干渉抑圧後の受信信号Xが送受信機24に入力される。
【数6】
【0056】
上記式(6)に示す干渉抑圧後の受信信号Xが送受信機24に入力されると、上空端末40及び地上端末30のそれぞれから送信された送信信号S1,S2は相互に干渉の無い受信信号として送受信機24から出力される。
【0057】
図11の干渉抑圧システムにおいても、前述の
図8の干渉抑圧システムと同様に、ビームフォーミングと干渉除去機能との組み合わせにより、基地局20の上り回線において地上端末30と上空端末40との間の干渉を大きく抑圧することができる。
【0058】
更に、
図11の干渉抑圧システムでは、地上セルと上空セル間の干渉低減技術として、基地局20における地上端末30及び上空端末40からの上り回線の受信電力がそれぞれ所定の受信電力(所要受信電力)となるように、地上端末30及び上空端末40に対して適応送信電力制御を適用している。
【0059】
図11において、上空端末40及び地上端末30に設けられた送信電力制御部410,320はそれぞれ、基地局20から受信した送信電力制御情報に基づいて、適応送信電力制御を実行する。
【0060】
上記適応送信電力制御では、一般に、
図12(a)に示すように地上端末30及び上空端末40に対して同一の所要受信電力Γ
D、Γ
Uが設定される。ここで、地上端末30の所要受信電力をΓ
Dとし、上空端末40の所要受信電力をΓ
Uとする。本実施形態では、ビームフォーミングと干渉除去機能との組み合わせで想定される干渉除去量に応じて、地上端末30及び上空端末40それぞれの適応送信電力制御の所要受信電力Γ
D,Γ
Uを適宜変更することにより、地上端末30及び上空端末40それぞれの通信品質(通信容量)を改善する。
【0061】
特に、本実施形態では、上空端末40の適応送信電力制御の所要受信電力ΓUを適宜変更することにより、上空端末40の通信品質(通信容量)を改善することができる。上空端末40は基地局20に対して見通し内となることから、基地局20での受信電力(SNR)が非常に大きくなる。そのため、多値変調(例えば、7ビット伝送(128QAM)~10ビット伝送(1024QAM)等)が利用できることから、高速伝送が可能となる。しかし、基地局20の自セルの地上端末30への干渉が増大することから、上空端末40の送信電力を大幅に低減する必要があるため所要受信電力ΓUを低く設定することが一般である。そのため、上空端末40に低いビットレートの多値変調(例えば、4ビット伝送(16QAM))しか適用できない。
【0062】
本実施形態では、上記ビームフォーミングと干渉除去機能との組み合わせにより、地上端末30は上空端末40からの干渉を除去できることから、上空端末40の受信電力を大きく低減させる必要がない。従って、
図12(b)に示すように上空端末40の所要受信電力Γ
Uを比較的高く設定できる。例えば、干渉除去量を10dBとすれば、所要受信電力Γ
Uを10dB高くできることから、低いビットレートの多値変調(例えば、4ビット伝送(16QAM))ではなく、高いビットレートの多値変調(例えば、7ビット伝送(128QAM)~10ビット伝送(1024QAM)等)を適用できるようになり、高速伝送が可能となる。
【0063】
図11の干渉抑圧システムにおいて、基地局20は、地上端末30及び上空端末40について干渉抑圧部27による干渉抑圧量を推定し、その干渉抑圧量に応じて、各端末装置の所要受信電力Γ
D、Γ
Uを設定する。例えば、基地局20は、地上端末30及び上空端末40のそれぞれについて干渉抑圧部27による干渉抑圧量を推定し、その干渉抑圧量に応じて、地上端末30及び上空端末40の所要受信電力Γ
D、Γ
Uを設定する。この場合、Γ
D、Γ
Uは同じ値であっても、異なった値でもよい。なお、干渉抑圧量の推定及び所要受信電力Γ
D、Γ
U(送信電力閾値)の設定は、後述の干渉抑圧制御部で行ってもよい。
[コメント]
【0064】
上空端末、地上端末の基地局での受信電力が所要受信電力ΓD、ΓUとなるように各端末の送信電力を制御する。例えば、送信電力を100dBで送信した時の端末の受信電力を50dBとし、所要受信電力ΓDを30dBとすると、受信電力が50dB-30dB=20dBだけ大きく、その分送信電力も大きいことになる。そこで、この差分20dBの送信電力を制御して、送信電力は80dB(=100dB-20dB)とする。
【0065】
図13は、実施形態に係る無線通信システムにおける干渉抑圧処理を適用した干渉抑圧システムの他の構成例を示す説明図である。なお、
図13において、
図7、
図8及び
図11と共通する構成については同じ符号を付し、それらの説明は省略する。また、
図13中の左向き矢印の太線からなる実線及び破線はそれぞれ上空端末40及び地上端末30から受信された希望信号の流れを示し、左向き矢印の細線からなる線及び破線はそれぞれ上空端末40及び地上端末30から受信された干渉信号の流れを示している(後述の
図16においても同様)。
【0066】
図13の干渉抑圧システムでは、同一基地局20の位置と地上端末30及び上空端末40の位置との間の関係により、基地局アンテナ適応ビームフォーミングだけで十分に干渉を抑圧できる場合は、干渉抑圧処理を機能させずに干渉抑圧処理に関わる信号処理量の削減を図る。
【0067】
図13において、基地局20は、基地局アンテナBF制御部25から出力された受信信号の中間信号を分岐する分岐部28と、干渉抑圧部27における干渉抑圧ウェイトWcを重畳する干渉抑圧機能のオン/オフを切り替える干渉抑圧制御部29を備える。干渉抑圧制御部29は、分岐部28で分岐された受信信号の中間信号に基づいて、上り回線の基地局アンテナ適応ビームフォーミング適用時の同一基地局20における地上端末30及び上空端末40それぞれの受信電力(希望信号の電力)及び干渉電力(干渉信号の電力)を測定し、地上端末30及び上空端末40それぞれについて上り回線の受信信号の通信品質(SINR)λ
D、λ
Uを推定する(S291)。
【0068】
次に、干渉抑圧制御部29は、地上端末30及び上空端末40それぞれの上り回線の受信信号の通信品質(SINR)λ
D、λ
Uの推定結果に基づき、地上端末30及び上空端末40それぞれの通信品質(SINR)λ
D、λ
Uが所定の条件を満たすか否かを判断する(S292)。
図14の例では、干渉抑圧制御部29は、地上端末30及び上空端末40それぞれの通信品質(SINR)λ
D、λ
Uが所定の閾値(以下「所要値」ともいう。)Λ以上か否かを判断する。ここで、地上端末30及び上空端末40の通信品質(SINR)λ
D、λ
Uがともに閾値(所要値)Λ以上(λ
D、λ
U≧Λ)であれば、干渉抑圧部27における干渉抑圧処理(干渉除去処理機能)をOFFにするように制御する。
【0069】
上記干渉抑圧処理(干渉除去処理機能)のON/OFFは、干渉抑圧部27において受信信号行列に重畳する干渉抑圧ウェイト(干渉除去ウェイト)W
Cの設定を変更することによって切り替えることができる。例えば、次式(7)の干渉抑圧ウェイトW
Cに設定することにより、干渉抑圧処理(干渉除去処理機能)をONにし、次式(8)の干渉抑圧ウェイトW
Cに設定することにより、干渉抑圧処理(干渉除去処理機能)をOFFにすることができる
【数7】
【数8】
【0070】
例えば、
図14(a)に示すように上空セルの高い高度に上空端末40が位置し、地上セル100の内側に地上端末30が位置する場合、基地局アレイアンテナ26のビーム幅に応じて、
図14(b)に示すように基地局20から上空端末40に向かう上空アンテナビーム202と基地局20から地上端末30に向かう地上アンテナビーム102との重なりがない。この場合、上空セル200と地上セル100との間の干渉は小さく、所定の条件(λ
D≧Λ AND λ
U≧Λ)を満たすと判断され、干渉抑圧部27における干渉抑圧処理(干渉除去処理機能)をOFFにする。
【0071】
一方、基地局アレイアンテナ26のビーム幅に応じて、
図15(a)に示すように上空セルの低い高度に上空端末40が位置し、地上セル100の基地局から遠方にあるセル端部に地上端末30が位置する場合、基地局アレイアンテナ26のビーム幅に応じて、
図15(b)に示すように基地局20から上空端末40に向かう上空アンテナビーム202と基地局20から地上端末30に向かう地上アンテナビーム102とが重なる。この場合、上空セル200と地上セル100との間の干渉が大きく、所定の条件(λ
D≧Λ AND λ
U≧Λ)を満たさない、すなわち、干渉発生の条件(λ
D<Λ OR λ
U<Λ)を満たすと判断され、干渉抑圧部27における干渉抑圧処理(干渉除去処理機能)をONにする。この干渉抑圧処理のONにより、基地局20から上空端末40に向かう上空アンテナビーム202及び基地局20から地上端末30に向かう地上アンテナビーム102において相互の方向にビームのヌルが形成され、
図15(c)に示すように、上空セル200と地上セル100との間の干渉が小さくなり、所定の条件(λ
D≧Λ AND λ
U≧Λ)を満たすようになる。
【0072】
図16は、実施形態に係る無線通信システムにおける干渉抑圧処理を適用した干渉抑圧システムの更に他の構成例を示す説明図である。
図16の干渉抑圧システムにおいても、同一基地局20の位置と地上端末30及び上空端末40の位置との間の関係により、基地局アンテナ適応ビームフォーミングだけで十分に干渉を抑圧できる場合は、干渉抑圧処理を機能させずに干渉抑圧処理にかかわる信号処理量の削減を図る。
【0073】
図16において、干渉抑圧制御部29は、上空端末40及び地上端末30の位置(基地局20との距離、高度)に応じて、干渉キャンセラー適用の有無すなわち干渉抑圧部27における干渉抑圧処理(干渉除去処理機能)ON/OFFを決定する。
【0074】
一般に、基地局20のアンテナ26の位置を基準にした上空端末40の方向(θU)と地上端末30の方向(θD)との間の角度差(|θD-θU|)が大きければ、基地局アンテナ適応ビームフォーミングで十分に干渉を抑圧できる。
【0075】
ここで、
図17(a)に示すように、上空端末40の方向の角度θ
Uは、図中の基地局20のアンテナ26の位置を通る横方向(水平方向)の線を基準(0°)にして、基地局20のアンテナ26の位置から上空端末40の方向を見た上向きの角度が上空端末40の方向の角度θ
Uであり、基地局20のアンテナ26の位置から地上端末30の方向を見た下向きの角度が地上端末30の方向の角度θ
Uである。
【0076】
図16の干渉抑圧システムにおいて、干渉抑圧制御部29は、上空端末40の方向の角度θ
Uと地上端末30の方向の角度θ
Dとを推定し、地上端末30及び上空端末40それぞれの方向の角度差(|θ
D-θ
U|)が所定の条件を満たすか否かを判断する(S293)。
図16の例では、干渉抑圧制御部29は、地上端末30及び上空端末40それぞれの方向の角度差(|θ
D-θ
U|)が所定の閾値Γ
θ以上か否かを判断する。ここで、上記角度差(|θ
D-θ
U|)が閾値Γ
θ以上(|θ
D-θ
U|≧Γ
θ)であれば(
図17(b)参照)、干渉抑圧部27における干渉抑圧処理(干渉除去処理機能)をOFFにし、上記角度差(|θ
D-θ
U|)が閾値Γ
θ未満(|θ
D-θ
U|<Γ
θ)であれば、干渉抑圧部27における干渉抑圧処理(干渉除去処理機能)をONにするように制御する。
【0077】
特に、
図16の干渉抑圧システムでは、上空端末40の方向の角度(θ
U)及び地上端末30の方向の角度(θ
D)の情報だけで、干渉抑圧機能のON/OFFを簡易に行うことができる。
【0078】
図18(a)及び
図18(b)はそれぞれ、実施形態に係る無線通信システムにおける基地局20のアンテナから端末装置(例えば、図示の例では地上端末30)に向かう最適な指向性ビームの選択の一例を示す説明図である。本実施形態において、例えば、基地局20のアンテナ26で形成可能な垂直面内の方向が互いに異なる複数(図示の例では5本)の指向性ビームの候補を設定しておき、その指向性ビームの候補の情報を基地局20と端末装置(地上端末30、上空端末40)との間で共有しておき、基地局20のアンテナ26から見た端末装置(地上端末30、上空端末40)の方向に応じて最適な指向性ビームを選択する。例えば、端末装置(地上端末30、上空端末40)は、基地局20から上記複数の指向性ビームで送信された信号を受信して受信電力を測定し、受信電力の測定値が最大となる指向性ビームを選択し、選択した指向性ビームの情報(例えば、ビーム識別番号)を基地局20に通知する。基地局20は、端末装置(地上端末30、上空端末40)との間で、選択された指向性ビームで通信を行う。
【0079】
例えば、
図18(a)に示すように、基地局20のアンテナ26から離れた遠方に地上端末30が位置する場合、地上端末30は、受信電力の測定値が最大となる上から4番目の指向性ビーム102(4)を選択し、選択した指向性ビーム102(4)のビーム識別番号を基地局20に通知する。基地局20は、地上端末30との間で、選択された4番目の指向性ビーム102(4)で通信を行う。
【0080】
また例えば、
図18(b)に示すように、基地局20のアンテナ26の近くに地上端末30が位置する場合、地上端末30は、受信電力の測定値が最大となる上から5番目の指向性ビーム102(5)を選択し、選択した指向性ビーム102(5)のビーム識別番号を基地局20に通知する。基地局20は、地上端末30との間で、選択された5番目の指向性ビーム102(5)で通信を行う。
【0081】
以上、本実施形態によれば、地上セル100と上空セル200で同一周波数帯の共用を実現する三次元空間セル構成において、基地局20が地上端末30から受信する受信信号と上空端末40から受信する受信信号との間の干渉を抑圧することができる。
【0082】
なお、本実施形態におけるウェイトの計算等には、機械学習によって作成された機械学習済モデルを用いてもよい。
【0083】
本発明は、地上セルと上空セルで同一周波数帯の共用を実現する三次元空間セル構成を構築することができるため、持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」の達成に貢献できる。
【0084】
なお、本明細書で説明された処理工程並びに無線通信システムの構成要素は、様々な手段によって実装することができる。例えば、これらの工程及び構成要素は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又は、それらの組み合わせで実装されてもよい。
【0085】
ハードウェア実装については、実体(例えば、各種無線通信装置、送受信機、送信機、受信機、基地局装置、e-NodeB、g-NodeB、端末装置、ハードディスクドライブ装置、又は、光ディスクドライブ装置)において前記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、1つ又は複数の、特定用途向けIC(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書で説明された機能を実行するようにデザインされた他の電子ユニット、コンピュータ、又は、それらの組み合わせの中に実装されてもよい。
【0086】
また、ファームウェア及び/又はソフトウェア実装については、前記構成要素を実現するために用いられる各部は、本明細書で説明された機能を実行するプログラム(例えば、プロシージャ、関数、モジュール、インストラクション、などのコード)で実装されてもよい。一般に、ファームウェア及び/又はソフトウェアのコードを明確に具体化する任意のコンピュータ/プロセッサ読み取り可能な媒体が、本明細書で説明された前記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段の実装に利用されてもよい。例えば、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば制御装置や記憶装置において、メモリに記憶され、コンピュータやプロセッサにより実行されてもよい。そのメモリは、コンピュータやプロセッサの内部に実装されてもよいし、又は、プロセッサの外部に実装されてもよい。また、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、磁気又は光データ記憶装置、などのような、コンピュータやプロセッサで読み取り可能な媒体に記憶されてもよい。そのコードは、1又は複数のコンピュータやプロセッサにより実行されてもよく、また、コンピュータやプロセッサに、本明細書で説明された機能性のある態様を実行させてもよい。
【0087】
また、前記媒体は非一時的な記録媒体であってもよい。また、前記プログラムのコードは、コンピュータ、プロセッサ、又は他のデバイス若しくは装置機械で読み込んで実行可能であればよく、その形式は特定の形式に限定されない。例えば、前記プログラムのコードは、ソースコード、オブジェクトコード及びバイナリコードのいずれでもよく、また、それらのコードの2以上が混在したものであってもよい。
【0088】
また、本明細書で開示された実施形態の説明は、当業者が本開示を製造又は使用するのを可能にするために提供される。本開示に対するさまざまな修正は当業者には容易に明白になり、本明細書で定義される一般的原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他のバリエーションに適用可能である。それゆえ、本開示は、本明細書で説明される例及びデザインに限定されるものではなく、本明細書で開示された原理及び新規な特徴に合致する最も広い範囲に認められるべきである。
【符号の説明】
【0089】
10 :無線通信システム
20A~20C:基地局
21 :基地局装置
23 :無線通信部
26 :アンテナ
261 :アンテナ素子
23 :無線通信部
24 :送受信機
25 :基地局アンテナBF制御部(ビーム制御部)
26 :アンテナ
261 :アンテナ素子
27 :干渉抑圧部
28 :分岐部
29 :干渉抑圧制御部
30、30A~30C:端末装置(地上端末)
40、40A~40C:端末装置(上空端末)
60 :伝搬路
100、100A~100C:地上セル
102 :地上アンテナビーム
200、200A~200C:上空セル
202 :上空アンテナビーム
251 :ビーム制御装置
252 :アンテナウェイト適用部
261 :アンテナ素子
320 :送信電力制御部
410 :送信電力制御部
A1 :地上サービスエリア
A2 :上空サービスエリア
【要約】
【課題】地上セルと上空セルで同一周波数帯の共用を実現する三次元空間セル構成において、基地局が地上端末から受信する受信信号と上空端末から受信する受信信号との間の干渉を抑圧することができる無線通信システムを提供する。
【解決手段】無線通信システムに備える基地局は、アンテナと、同一周波数帯を使用する地上セル及び上空セルを形成し、地上端末及び上空端末との間でアンテナを介して無線通信を行う無線通信部と、地上端末に対して指向性ビームを向けるビームフォーミングを行う地上ビーム制御部と、上空端末に対して指向性ビームを向けるビームフォーミングを行う上空ビーム制御部と、アンテナを介して地上端末から受信した受信信号に上空端末からの干渉信号を抑圧する干渉抑圧ウェイトを重畳し、アンテナを介して上空端末から受信した受信信号に地上端末からの干渉信号を抑圧する干渉抑圧ウェイトを重畳する干渉抑圧部とを備える。
【選択図】
図6