(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】作業機械及び作業機械の遠隔操作システム
(51)【国際特許分類】
E02F 9/20 20060101AFI20241108BHJP
E02F 9/26 20060101ALI20241108BHJP
E02F 9/24 20060101ALI20241108BHJP
B60K 28/10 20060101ALI20241108BHJP
F02D 29/00 20060101ALI20241108BHJP
F02D 29/04 20060101ALI20241108BHJP
F02D 29/02 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
E02F9/20 N
E02F9/26 A
E02F9/24 B
B60K28/10 A
F02D29/00 B
F02D29/04 H
F02D29/02 H
F02D29/02 321B
(21)【出願番号】P 2024512447
(86)(22)【出願日】2023-03-27
(86)【国際出願番号】 JP2023012172
(87)【国際公開番号】W WO2023190323
(87)【国際公開日】2023-10-05
【審査請求日】2024-02-16
(31)【優先権主張番号】P 2022054375
(32)【優先日】2022-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 廣紀
(72)【発明者】
【氏名】廣木 武則
(72)【発明者】
【氏名】小宮 泰麿
(72)【発明者】
【氏名】町田 大樹
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-097866(JP,A)
【文献】特開2020-090838(JP,A)
【文献】特開2005-226523(JP,A)
【文献】特開2009-138497(JP,A)
【文献】特開2014-173258(JP,A)
【文献】特開2020-159063(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/20
E02F 9/26
E02F 9/24
B60K 28/10
F02D 29/00
F02D 29/04
F02D 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体と、前記機体に取り付けられる作業装置と、前記作業装置を駆動する複数の油圧アクチュエータと、原動機と、前記原動機によって駆動され前記油圧アクチュエータに作動油を供給する油圧ポンプと、前記機体に取り付けられ前記機体の周囲に存在する物体を検知する物体検知装置と、前記機体に取り付けられ前記機体の周囲を撮影する撮影装置と、外部情報端末と通信を行う通信装置と、前記通信装置を介して前記外部情報端末から取得した原動機始動指令に基づいて前記原動機の始動を制御する制御装置と、を備える作業機械において、
前記制御装置は、
前記物体検知装置により検知された検知信号に基づいて、前記機体の周囲に物体が存在しているか否かを判定し、
前記通信装置を介して前記外部情報端末から前記原動機始動指令を取得した場合であって、前記機体の周囲に物体が存在していないと判定されているときには、前記原動機を始動し、
前記通信装置を介して前記外部情報端末から前記原動機始動指令を取得した場合であって、前記機体の周囲に物体が存在していると判定されているときには、前記原動機を始動せずに、前記撮影装置により撮影された映像のデータ及び前記原動機の始動承認要求を、前記通信装置を介して前記外部情報端末に送信し、
前記通信装置を介して前記外部情報端末から前記原動機の始動承認要求に対する承認指令を取得した場合には、前記原動機を始動する
ことを特徴とする作業機械。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械において、
音出力装置を備え、
前記制御装置は、前記通信装置を介して前記外部情報端末から取得したオペレータの音声を前記音出力装置によって出力させる
ことを特徴とする作業機械。
【請求項3】
請求項1に記載の作業機械において、
前記機体に取り付けられ前記機体の上方に存在する物体を検知する上方検知装置と、
前記機体に取り付けられ前記機体の上方を撮影する上方撮影装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記上方検知装置により検知された検知信号に基づいて、前記機体の上方に物体が存在しているか否かを判定し、
前記通信装置を介して前記外部情報端末から前記原動機始動指令を取得した場合であって、前記機体の周囲及び上方のいずれにも物体が存在していないと判定されているときには、前記原動機を始動し、
前記通信装置を介して前記外部情報端末から前記原動機始動指令を取得した場合であって、前記機体の周囲に物体が存在していると判定されているときには、前記原動機を始動せずに、前記撮影装置により撮影された映像のデータ及び前記原動機の始動承認要求を、前記通信装置を介して前記外部情報端末に送信し、
前記通信装置を介して前記外部情報端末から前記原動機始動指令を取得した場合であって、前記機体の上方に物体が存在していると判定されているときには、前記原動機を始動せずに、前記上方撮影装置により撮影された映像のデータ及び前記原動機の始動承認要求を、前記通信装置を介して前記外部情報端末に送信する
ことを特徴とする作業機械。
【請求項4】
機体と、前記機体に取り付けられる作業装置と、前記作業装置を駆動する複数の油圧アクチュエータと、原動機と、前記原動機によって駆動され前記油圧アクチュエータに作動油を供給する油圧ポンプと、前記機体に取り付けられ前記機体の周囲に存在する物体を検知する物体検知装置と、前記機体に取り付けられ前記機体の周囲を撮影する撮影装置と、外部情報端末と通信を行う通信装置と、を備える作業機械を制御する制御装置と、前記外部情報端末と、を含む、作業機械の前記原動機を前記外部情報端末によって遠隔から操作する遠隔操作システムにおいて、
前記外部情報端末は、オペレータの操作により前記原動機を始動させる原動機始動指令を前記作業機械に送信し、
前記制御装置は、
前記物体検知装置により検知された検知信号に基づいて、前記機体の周囲に物体が存在しているか否かを判定し、
前記通信装置を介して前記外部情報端末から前記原動機始動指令を取得した場合であって、前記機体の周囲に物体が存在していないと判定されているときには、前記原動機を始動し、
前記通信装置を介して前記外部情報端末から前記原動機始動指令を取得した場合であって、前記機体の周囲に物体が存在していると判定されているときには、前記原動機を始動せずに、前記撮影装置により撮影された映像のデータ及び前記原動機の始動承認要求を、前記通信装置を介して前記外部情報端末に送信し、
前記外部情報端末は、
前記撮影装置により撮影された映像及び前記原動機の始動承認要求を表示画面に表示し、
オペレータにより、前記原動機の始動承認要求に対する承認操作が行われた場合に、承認指令を前記作業機械に送信し、
前記制御装置は、前記通信装置を介して前記外部情報端末から前記原動機の始動承認要求に対する前記承認指令を取得した場合には、前記原動機を始動する
ことを特徴とする作業機械の遠隔操作システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔からエンジン等の原動機が始動される作業機械及び作業機械の遠隔操作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
寒冷地で使用される作業機械においては、作業機械による作業の開始前に、原動機であるエンジンの暖機運転が行われる。作業機械のオペレータは、暖機運転が完了するまで、作業機械から離れたところで待機することが多い。したがって、暖機運転を行うためのエンジンの始動は、遠隔操作によって行えることが望ましい。
【0003】
また、エンジンの始動に限られず、遠隔から作業機械の油圧アクチュエータを操作可能に構成するニーズは、オペレータが作業現場へ移動する手間を省くことができ、移動時間の短縮、移動費の節約をすることができることから、さらに高まっている。
【0004】
遠隔からエンジンを始動する装置として、物体を検知した場合にエンジンを始動させないものが知られている(特許文献1参照)。特許文献1には、排気ガスを排出するマフラーの後方に人が存在することが検知された場合には、エンジンを始動させないエンジンの遠隔始動装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
作業機械のエンジンを始動する場合、エンジンの始動前に点検作業が行われる。点検作業には、エンジンオイル、作動油及び冷却水の量の確認作業、油圧アクチュエータの油漏れの有無の確認作業などが含まれる。遠隔から作業機械のエンジンを始動する場合、オペレータ自身が作業機械の点検作業を行うことはできず、オペレータ以外の作業員が作業機械の点検作業を行うことになる。
【0007】
作業員による作業機械の点検作業中に、遠隔から作業機械のエンジンが始動されると、エンジンの始動により動作する冷却ファンが作業員に接触してしまうなどの事象が発生するおそれがある。また、油圧ショベルなどの作業機械の油圧アクチュエータを遠隔操作可能な遠隔操作装置によってエンジンが始動され、作業機械による作業が開始されてしまうと、旋回体が作業員に接触してしまうなどの事象が発生するおそれがある。そこで、作業機械の機体の周囲に作業員が存在する場合には、遠隔からのエンジンの始動を禁止することが考えられる。
【0008】
しかしながら、作業機械の機体の周囲に作業員が存在する場合であっても、エンジンを始動させてよい状況が発生し得る。エンジンを始動させてよい状況とは、例えば、冷却ファンの近くに作業員が位置していなかったり、遠隔操作装置を操作するオペレータに旋回体を旋回させる意思がなかったりする場合などである。このため、機体の周囲に作業員が存在する場合に、常に、遠隔からのエンジンの始動を禁止してしまうと、作業機械による作業効率が低下してしまうおそれがある。
【0009】
本発明は、機体の周囲の状況に応じて、遠隔から適切に原動機の始動が可能な作業機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様による作業機械は、機体と、前記機体に取り付けられる作業装置と、前記作業装置を駆動する複数の油圧アクチュエータと、原動機と、前記原動機によって駆動され前記油圧アクチュエータに作動油を供給する油圧ポンプと、前記機体に取り付けられ前記機体の周囲に存在する物体を検知する物体検知装置と、前記機体に取り付けられ前記機体の周囲を撮影する撮影装置と、外部情報端末と通信を行う通信装置と、前記通信装置を介して前記外部情報端末から取得した原動機始動指令に基づいて前記原動機の始動を制御する制御装置と、を備える。前記制御装置は、前記物体検知装置により検知された検知信号に基づいて、前記機体の周囲に物体が存在しているか否かを判定し、前記通信装置を介して前記外部情報端末から前記原動機始動指令を取得した場合であって、前記機体の周囲に物体が存在していないと判定されているときには、前記原動機を始動し、前記通信装置を介して前記外部情報端末から前記原動機始動指令を取得した場合であって、前記機体の周囲に物体が存在していると判定されているときには、前記原動機を始動せずに、前記撮影装置により撮影された映像のデータ及び前記原動機の始動承認要求を、前記通信装置を介して前記外部情報端末に送信し、前記通信装置を介して前記外部情報端末から前記原動機の始動承認要求に対する承認指令を取得した場合には、前記原動機を始動する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、機体の周囲の状況に応じて、遠隔から適切に原動機の始動が可能な作業機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】
図2は、作業機械の油圧駆動システムについて示す図である。
【
図3】
図3は、遠隔操作システムの構成を示す図である。
【
図4】
図4は、作業機械のエンジン始動コントローラにより実行される携帯端末の存在判定処理の内容について示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、作業機械のエンジン始動コントローラにより実行される制御選択処理の内容について示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、作業機械のエンジン始動コントローラにより実行される第1起動/停止制御の内容について示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、作業機械のエンジン始動コントローラにより実行される第2起動/停止制御の内容について示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、端末コントローラにより実行される遠隔始動制御の内容について示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、タッチパネルに表示される警告画面の一例について示す図である。
【
図10】
図10は、作業機械の制御装置により実行されるエンジンの遠隔始動制御の内容について示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、作業機械のエンジン始動コントローラにより実行される暖機運転制御の内容について示すフローチャートである。
【
図12】本実施形態の変形例に係る作業機械の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面を参照して、本発明の実施形態に係る作業機械1について説明する。作業機械1は、土木作業、建設作業、解体作業等の各種作業に用いられる機械である。本実施形態では、作業機械1が、クローラ式の油圧ショベルである例について説明する。
【0014】
図1は、作業機械1の側面図である。説明の便宜上、
図1に示すように作業機械1の前後及び上下方向を規定する。つまり、本実施形態では、特に断り書きのない場合は、運転席の前方(同図中では左方向)を作業機械1の前方とする。作業機械1は、機体(車体)4と、機体4に取り付けられる作業装置10と、を備える。
【0015】
機体4は、走行体2と、走行体2上に旋回可能に設けられた旋回体3と、を備え、旋回体3の前部に作業装置10が取り付けられている。走行体2は、左側のクローラを駆動させる左側走行用油圧モータ2alと、右側のクローラを駆動させる右側走行用油圧モータ2ar(
図2参照)と、を備える。左右一対のクローラが走行用油圧モータ2al,2arによって駆動されることにより、走行体2が走行する。旋回体3は、旋回用油圧モータ3aを備え、旋回用油圧モータ3aが駆動されることにより旋回する。
【0016】
旋回体3は、旋回フレーム8と、旋回フレーム8の前部左側に設けられる運転室7と、旋回フレーム8の後部に設けられるカウンタウエイト9と、旋回フレーム8における運転室7の後側に設けられるエンジン室6と、を有する。エンジン室6には、原動機であるエンジン20と、エンジン20により駆動される油圧ポンプ25,26(
図2参照)と、作業機械1に搭載される機器(コントローラ等)に電力を供給する電源装置としてのバッテリ28と、が収容されている。旋回フレーム8の前部中央には作業装置10が回動可能に連結されている。
【0017】
エンジン20は、作業機械1の動力源であり、例えば、ディーゼルエンジン等の内燃機関により構成される。エンジン20には冷却ファン27が直結されている。冷却ファン27は、エンジン20により駆動され、エンジン室6の外側から取り込んだ空気をエンジン20に向かって送風することにより、エンジン20を冷却する。
【0018】
作業装置10は、回動可能に連結される複数の駆動対象部材及び駆動対象部材を駆動する複数の油圧シリンダを有する多関節型の作業装置である。本実施形態では、3つの駆動対象部材としてのブーム11、アーム12及びバケット13が、直列的に連結される。ブーム11は、その基端部が旋回フレーム8の前部においてブームピン11bによって回動可能に連結される。アーム12は、その基端部がブーム11の先端部においてアームピン12bによって回動可能に連結される。バケット13は、アーム12の先端部においてバケットピン13bによって回動可能に連結される。
【0019】
ブーム11は、油圧アクチュエータである油圧シリンダ(以下、ブームシリンダ11aとも記す)によって駆動され、旋回フレーム8に対して回動する。アーム12は、油圧アクチュエータである油圧シリンダ(以下、アームシリンダ12aとも記す)によって駆動され、ブーム11に対して回動する。バケット13は、油圧アクチュエータである油圧シリンダ(以下、バケットシリンダ13aとも記す)によって駆動され、アーム12に対して回動する。ブームシリンダ11aは、その一端側がブーム11に接続され他端側が旋回フレーム8に接続されている。アームシリンダ12aは、その一端側がアーム12に接続され他端側がブーム11に接続されている。バケットシリンダ13aは、その一端側がリンク部材を介してバケット13に接続され他端側がアーム12に接続されている。作業装置10の各油圧アクチュエータが駆動されることにより、地山の掘削、整地等の作業が行われる。
【0020】
機体4には、機体4の周囲に存在する物体を検知する物体検知装置30と、機体4の周囲を撮影する撮影装置35と、が取り付けられている。
【0021】
物体検知装置30は、運転室7の外郭の上面に取り付けられ、旋回体3の前方に存在する物体を検知する検知センサ31と、エンジン室6の外郭の上面左側に設けられ、旋回体3の左方に存在する物体を検知する検知センサ32と、エンジン室6の外郭の上面右側に設けられ、旋回体3の右方に存在する物体を検知する検知センサ33(
図2参照、
図1において不図示)と、カウンタウエイト9の上面に設けられ、旋回体3の後方に存在する物体を検知する検知センサ34と、を備える。
【0022】
検知センサ31~34は、超音波を探査波として送信し、物体により反射された反射波を受信して、その物体との距離を測定する。なお、検知センサ31~34は、超音波を利用するものに限らず、赤外線を利用して物体との距離を測定するものであってもよい。はお、検知センサ31~34は、例えば、ミリ波レーダ、3D-Lidarなどであってもよい。
【0023】
撮影装置35は、運転室7の外郭の上面に取り付けられ、旋回体3の前方を撮影するカメラ(以下、前カメラとも記す)36と、エンジン室6の外郭の上面左側に設けられ、旋回体3の左方を撮影するカメラ(以下、左カメラとも記す)37と、エンジン室6の外郭の上面右側に設けられ、旋回体3の右方を撮影するカメラ(以下、右カメラとも記す)38(
図2参照、
図1において不図示)と、カウンタウエイト9の上面に設けられ、旋回体3の後方を撮影するカメラ(以下、後カメラとも記す)39と、を備える。
【0024】
各カメラ36,37,38,39は、例えば、耐久性、耐候性に優れたCCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子と広角レンズを備えた広角ビデオカメラである。
【0025】
運転室7の外郭の上面には、警報音、音声等を出力する音出力装置であるスピーカ79が取り付けられている。
【0026】
運転室7内には、作業機械1の基本的な動作を制御する車体コントローラ120と、エンジン20の回転速度を制御するエンジンコントローラ130と、エンジン20の始動を制御するエンジン始動コントローラ110と、撮影装置35により撮影された映像のデータを、通信装置65(
図2参照)を介して携帯端末5に送信する映像コントローラ150と、物体検知装置30からの検知信号に基づいて、機体4の周囲の物体の存在を検知する物体検知コントローラ140と、が設けられる。
【0027】
運転室7内には、オペレータが着座する運転席と、作業装置10、走行体2及び旋回体3を操作するための複数の操作装置と、エンジン20を始動させるためのイグニッションスイッチ(以下、IGスイッチと記す)61と、が設けられている。IGスイッチ61は、手指等により押されている間だけオン状態となってエンジン始動コントローラ110にオン操作信号を出力し、手指等が離されることによりオフ状態に復帰するモーメンタリ動作方式(自己復帰式)のスイッチである。オペレータは、IGスイッチ61をオン操作(押し操作)することにより、エンジン20を始動させ、その後、操作装置を操作することにより、作業機械1を動作させることができる。
【0028】
作業機械1のオペレータは、作業機械1の暖機運転を行う場合、作業機械1の外側から携帯端末5を操作することによりエンジン20を始動させることができる。携帯端末5は、作業機械1のオペレータが携帯している外部情報端末である。本実施形態では、一例として、携帯端末5が、スマートフォンである例について説明する。なお、携帯端末5は、スマートフォンに限らず、タブレットPC、ノートPC等であってもよい。携帯端末5は、表示装置兼入力装置であるタッチパネル51と、作業機械1と無線通信を行うための通信装置66と、携帯端末5の各部を制御する端末コントローラ160と、オペレータの声を集音する集音装置としてのマイク52と、を備えている。
【0029】
タッチパネル51は、携帯端末5の前面(正面)に設けられている。タッチパネル51は、入力装置と、各種情報が表示される表示装置と、を有する。表示装置は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等であり、端末コントローラ160からの信号に基づいて、各種情報を表す表示画像を表示画面に表示することにより、作業員に対して各種情報の通知を行う。入力装置は、例えば、手指、タッチペン等により入力操作が可能なタッチセンサであり、操作に応じて、所定の情報を端末コントローラ160に入力する。タッチセンサは、例えば、手指等が触れることにより発生する静電容量(電荷)の変化に基づいてタッチ操作された位置を検知する周知の静電容量方式の入力装置である。
【0030】
図2は、作業機械1の油圧駆動システム80について示す図である。なお、以下では、ブームシリンダ11a、アームシリンダ12a及びバケットシリンダ13aを総称して油圧シリンダ10aと記し、左側走行用油圧モータ2al及び右側走行用油圧モータ2arを総称して走行用油圧モータ2aと記す。油圧駆動システム80には、複数の油圧シリンダ10aが設けられているが、
図2では、一つの油圧シリンダ10aを代表して図示している。同様に、油圧駆動システム80には、一対の走行用油圧モータ2ar,2alが設けられているが、
図2では、一つの走行用油圧モータ2aを代表して図示している。
【0031】
図2に示すように、油圧駆動システム80は、エンジン20により駆動される可変容量型の油圧ポンプであるメインポンプ25と、エンジン20により駆動される固定容量型の油圧ポンプであるパイロットポンプ26と、メインポンプ25から吐出される作動油(圧油)によって駆動される複数の油圧アクチュエータ(油圧シリンダ10a、旋回用油圧モータ3a及び走行用油圧モータ2a)と、メインポンプ25から各油圧アクチュエータに供給される作動油の流れ方向及び流量を制御するコントロールバルブ81,82,83と、パイロットポンプ26の吐出圧を遮断可能なシャットオフ弁70と、を備える。
【0032】
パイロットポンプ26から吐出された作動油は、操作装置181,182,183に供給される。操作装置181は作業装置10の油圧シリンダ10aの動作を指令し、操作装置182は旋回用油圧モータ3aの動作を指令し、操作装置183は走行用油圧モータ2aの動作を指令する。
【0033】
操作装置181,182,183は、オペレータによって傾動操作される操作レバー181a,182a,183aと、油圧パイロット方式の一対の減圧弁181b,182b,183bと、を有する。操作装置181,182,183は、操作レバー181a,182a,183aの操作量と操作方向に応じて、一次圧であるパイロットポンプ26の吐出圧を減圧して二次圧(操作圧とも記す)を発生する。このように発生した操作圧は、油圧アクチュエータ(10a,3a,2a)に対応するコントロールバルブ81,82,83の受圧室81a,81b,82a,82b,83a,83bに導かれ、コントロールバルブ81,82,83を駆動して油圧アクチュエータを動作させる指令(信号)として利用される。
【0034】
メインポンプ25から吐出された作動油は、コントロールバルブ81,82,83を通じて油圧アクチュエータ(油圧シリンダ10a、旋回用油圧モータ3a、走行用油圧モータ2a)に供給され、作業装置10、旋回体3及び走行体2のそれぞれが駆動される。
【0035】
作業機械1には、操作装置181,182,183の操作を検出する操作センサ186a,186b,187a,187b,188a,188bが設けられる。本実施形態では、操作センサ186a,186b,187a,187b,188a,188bは、操作装置181,182,183とコントロールバルブ81,82,83の受圧室81a,81b,82a,82b,83a,83bとを接続するパイロットラインに設けられる圧力センサである。操作センサ186a,186b,187a,187b,188a,188bは、オペレータによる操作レバー181a,182a,183aの操作によって生じる操作圧(操作量)を検出する。操作センサ186a,186b,187a,187b,188a,188bは、車体コントローラ120に接続されており、検出した操作量に関する情報を車体コントローラ120に出力する。
【0036】
シャットオフ弁70は、パイロットポンプ26と操作装置181,182,183の減圧弁181b,182b,183bとを接続するパイロットラインに設けられる。シャットオフ弁70は、パイロットポンプ26から減圧弁181b,182b,183bへパイロット圧が供給されることを許容する連通位置と、パイロットポンプ26から減圧弁181b,182b,183bへパイロット圧が供給されることを禁止する遮断位置と、の間で切り換えられる電磁切換弁である。シャットオフ弁70は、ロックレバー装置60によって操作される。
【0037】
ロックレバー装置60は、運転室7の出入りを許可するとともに操作装置181,182,183による油圧アクチュエータ(10a,3a,2a)の動作を不能とするロック位置(上げ位置)と、運転室7の出入りを禁止するとともに操作装置181,182,183による油圧アクチュエータ(10a,3a,2a)の動作を可能とするロック解除位置(下げ位置)とに選択的に操作されるレバー部60bと、バッテリ28からの電力を供給または遮断するためのシャットオフリレー60cと、レバー部60bの操作を検出する操作センサであるロックレバー操作センサ60aと、を有する。
【0038】
レバー部60bがロック解除位置に操作されると、シャットオフリレー60cがオンされ、すなわちシャットオフリレー60cが閉状態とされ、バッテリ28からシャットオフ弁70に電力が供給される。シャットオフ弁70に電力が供給されると、ソレノイドが励磁されてシャットオフ弁70が連通位置に切り換えられる。このため、レバー部60bがロック解除位置にある状態では、操作レバー181a,182a,183aの操作量に応じた操作圧が減圧弁181b,182b,183bによって生成され、操作された操作レバー181a,182a,183aに対応する油圧アクチュエータ(10a,3a,2a)が動作する。
【0039】
レバー部60bがロック位置に操作されると、シャットオフリレー60cがオフされ、すなわちシャットオフリレー60cが開状態とされ、バッテリ28からシャットオフ弁70への電力の供給が遮断される。シャットオフ弁70への電力の供給が遮断されると、ソレノイドが消磁されてシャットオフ弁70が遮断位置に切り換えられる。これにより、減圧弁181b,182b,183bへのパイロットポンプ26の一次圧が遮断され、操作レバー181a,182a,183aによる操作が無効化される。
【0040】
ロックレバー操作センサ60aは、レバー部60bの操作位置を検出し、その検出結果を表す信号をエンジン始動コントローラ110に出力する。
【0041】
図3を参照して、作業機械1のエンジン20を携帯端末5によって遠隔から操作するシステムである遠隔操作システム90について説明する。
図3は、遠隔操作システム90の構成を示す図である。
図3に示すように、遠隔操作システム90は、作業機械1を制御する制御装置100と、制御装置100と無線通信により情報の授受を行う携帯端末5と、を含む。
【0042】
携帯端末5の端末コントローラ160は、処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)161、記憶装置としての所謂RAM(Random Access Memory)と呼ばれる揮発性メモリ162と、記憶装置としてのEEPROM、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ163と、図示しない入出力インタフェース(I/Oインタフェース)と、その他の周辺回路と、を備えたマイクロコンピュータで構成される。
【0043】
端末コントローラ160の不揮発性メモリ163には、各種演算が実行可能なプログラムが格納されている。すなわち、端末コントローラ160の不揮発性メモリ163は、本実施形態の機能を実現するプログラムを読み取り可能な記憶媒体である。
【0044】
不揮発性メモリ163に記憶されるプログラムには、始動アプリケーション163cを含む複数のアプリケーションと、アプリケーションの動作を支援する支援プログラム(OS)163bとが含まれる。始動アプリケーション163cは、作業機械1のエンジン20を始動させるためのアプリケーションである。始動アプリケーション163cは、支援プログラム163bの管理下で動作する。また、不揮発性メモリ163には、携帯端末5のキー認証処理に用いられる認証情報であるキーID163aが記憶されている。キーID163aは、携帯端末5に固有の識別情報である。
【0045】
端末コントローラ160は、通信装置66によって、キーID163a及びエンジン20を始動させるための指令(以下、エンジン始動指令とも記す)を機体4に送信する。
【0046】
図示しないが、タッチパネル51のホーム画面に表示される始動アプリケーション163cのアイコンがタッチ操作されると、端末コントローラ160は、始動アプリケーション163cを実行する。始動アプリケーション163cが実行されると、端末コントローラ160は、タッチパネル51の表示画面に暖機スイッチ51a(
図1参照)を表示させる。
【0047】
端末コントローラ160は、暖機スイッチ51aがタッチ操作されると、エンジン始動指令を生成し、生成したエンジン始動指令を、通信装置66を介して機体4に送信する。後述するように、エンジン始動コントローラ110は、通信装置65を介して携帯端末5から取得したエンジン始動指令に基づいてエンジン20の始動を制御する。したがって、オペレータは、暖機スイッチ51aをタッチ操作することにより、作業機械1から遠く離れた場所からエンジン20を始動させ、エンジン20の暖機運転を行うことができる。
【0048】
端末コントローラ160は、携帯端末5からのエンジン始動指令に基づいてエンジン20の始動が成功し、機体4からエンジン20の始動が成功したことを表す始動成功信号を受信すると、タッチパネル51に暖機運転が開始されたことを表すメッセージ、アイコン等を表示する。
【0049】
端末コントローラ160は、作業機械1から送信された映像のデータに基づいて、タッチパネル51に作業機械1の機体4の周囲の映像を表示させる。
【0050】
図2及び
図3に示すように、制御装置100は、エンジン始動コントローラ110と、車体コントローラ120と、エンジンコントローラ130と、物体検知コントローラ140と、映像コントローラ150と、を含む。エンジン始動コントローラ110は、エンジン20の始動と停止を制御するコントローラである。車体コントローラ120は、車体の各部を統括的に制御するコントローラである。エンジンコントローラ130は、エンジン20の回転速度を制御するコントローラである。物体検知コントローラ140は、検知センサ31~34からの検知信号に基づいて、機体4の周囲の物体を検知したり、検知された物体までの距離を演算したりするコントローラである。映像コントローラ150は、カメラ36~39により撮影された映像のデータを、通信装置65を介して携帯端末5に送信するコントローラである。
【0051】
各コントローラ110,120,130,140,150は、処理装置としてのCPUと、記憶装置としての所謂RAMと呼ばれる揮発性メモリと、記憶装置としてのEEPROM、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ等の不揮発性メモリと、図示しない入出力インタフェース(I/Oインタフェース)と、その他の周辺回路と、を備えたマイクロコンピュータで構成される。各コントローラ110,120,130,140,150は、1のマイクロコンピュータで構成してもよいし、複数のマイクロコンピュータで構成してもよい。また、コントローラ110,120,130,140,150の機能の一部または全部を他のコントローラに持たせてもよい。各コントローラ110,120,130,140,150の不揮発性メモリには、各種演算が実行可能なプログラムが格納されている。すなわち、各コントローラ110,120,130,140,150の不揮発性メモリは、本実施形態の機能を実現するプログラムを読み取り可能な記憶媒体である。
【0052】
各コントローラ110,120,130,140,150は、CAN(Controller Area Network)と呼ばれる車載ネットワーク29を介して相互に通信可能に接続されている。なお、車載ネットワーク29は、CAN以外の通信規格、例えば、Ethernet(登録商標)を用いてもよい。
【0053】
図3に示すように、車体コントローラ120は、操作センサ186a,186b,187a,187b,188a,188b、及び、各種センサ191からの信号に基づいて、作業機械1に搭載されている機器の動作を制御する。各種センサ191には、例えば、油圧駆動システム80に設けられる圧力センサ、作業装置10の姿勢を検出する姿勢センサ等が含まれる。
【0054】
エンジンコントローラ130は、燃料噴射装置22により、エンジン20のシリンダ内に噴射する燃料の噴射量を調整してエンジン回転速度を制御する。車体コントローラ120には、エンジン20の最高目標回転速度を設定するエンジン回転速度設定装置としてのエンジンコントロールダイヤル192が接続されている。車体コントローラ120は、運転室7内に設けられるエンジンコントロールダイヤル192の操作信号等に基づいて、エンジン20の目標回転速度を演算し、エンジンコントローラ130に出力する。
【0055】
エンジン20には、エンジン20の回転速度を検出する回転速度センサ21が設けられ、検出したエンジン20の回転速度(実回転速度)をエンジンコントローラ130に出力する。エンジンコントローラ130は回転速度センサ21で検出されたエンジン20の実回転速度が、車体コントローラ120から入力された目標回転速度となるように燃料噴射装置22を制御する。
【0056】
エンジン始動コントローラ110は、IGスイッチ61または携帯端末5からの信号に基づいて、車体コントローラ120及びエンジンコントローラ130の起動及び停止を制御する。エンジン始動コントローラ110は、IGスイッチ61または携帯端末5からの信号に基づいて、エンジン20の起動(始動)及び停止を制御する。
【0057】
また、エンジン始動コントローラ110は、操作装置60,181,182,183からの信号に基づいて、エンジン20の停止を制御する。エンジン始動コントローラ110の不揮発性メモリ113には、携帯端末5の固有の識別情報(キーID)が登録情報(登録ID113a)として記憶されている。
【0058】
エンジン始動コントローラ110は、車体コントローラ120で取得した操作センサ186a,186b,187a,187b,188a,188bでの検出結果を、車載ネットワーク29を介して取得する。また、エンジン始動コントローラ110は、エンジンコントローラ130で取得した回転速度センサ21での検出結果を、車載ネットワーク29を介して取得する。
【0059】
エンジン始動コントローラ110は、第1始動条件または第2始動条件が成立した場合にエンジン20の始動制御を実行する。第1始動条件は、携帯端末5から送信されるキーID163aが登録ID113aに一致すること、携帯端末5が運転室7内に存在していること、及び、IGスイッチ61が操作されることを含む。第2始動条件は、携帯端末5から送信されるキーID163aが登録ID113aに一致すること、携帯端末5が運転室7外に存在していること、及び、携帯端末5から送信されるエンジン始動指令を取得したことを含む。また、エンジン始動コントローラ110は、所定の条件が成立した場合にエンジン20の停止制御を実行する。
【0060】
エンジン始動コントローラ110には、スターターリレー141、ACCリレー142及びIGリレー143が接続されている。スターターリレー141は、エンジン20を起動させるスターターモータ144に対して、バッテリ28からの電力を供給または遮断するためのリレーである。スターターリレー141がオンされると、すなわちスターターリレー141が閉状態になると、バッテリ28からスターターモータ144に電力が供給されてスターターモータ144が動作し、スターターモータ144によってエンジン20が駆動される。スターターリレー141がオフされると、すなわちスターターリレー141が開状態になると、バッテリ28からスターターモータ144への電力の供給が遮断される。
【0061】
ACCリレー142は、例えばラジオ、オーディオなどのアクセサリ(ACC)系の装置及び図示しない表示装置の制御を行うモニタコントローラに対して、バッテリ28からの電力を供給または遮断するためのリレーである。ACCリレー142がオンされると、すなわちACCリレー142が閉状態になると、バッテリ28からアクセサリ系の装置及びモニタコントローラに電力が供給される。ACCリレー142がオフされると、すなわちACCリレー142が開状態になると、バッテリ28からアクセサリ系の装置及びモニタコントローラへの電力の供給が遮断される。
【0062】
IGリレー143は、例えばエア・コンディショナーなどのイグニッション(IG)系の装置並びに車体コントローラ120、エンジンコントローラ130、物体検知コントローラ140及び映像コントローラ150に対して、バッテリ28からの電力を供給または遮断するためのリレーである。IGリレー143がオンされると、すなわちIGリレー143が閉状態になると、バッテリ28からイグニッション系の装置及びコントローラ120,130,140,150に電力が供給される。IGリレー143がオフされると、すなわちIGリレー143が開状態になると、バッテリ28からイグニッション系の装置及びコントローラ120,130,140,150への電力の供給が遮断される。
【0063】
通信装置65,66は、例えば、2.4GHz帯、5GHz帯等の帯域を感受帯域とする通信アンテナを含む通信インタフェースを有する。機体(作業機械本体)4に搭載される通信装置65は、携帯端末5に搭載される通信装置66と直接、通信を行って情報(データ)の授受を行う。機体4の通信装置65は、携帯端末5の通信装置66との間で、例えば、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)802.11規格に基づく無線通信方式であるWi-Fi(登録商標)に基づいて無線通信を行う。なお、通信方式は、これに限定されるものではなく、例えば、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)などの通信方式を採用することもできる。
【0064】
また、通信装置65,66は、広域ネットワークである通信回線99(
図1参照)を介した通信を行うことにより、間接的に情報の授受を行ってもよい。通信回線99は、インターネット、4G,5G等の携帯電話通信網(移動通信網)、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等である。
【0065】
エンジン始動コントローラ110は、携帯端末5から通信装置65に直接送信される電波の強度に基づいて、携帯端末5が運転室7内に存在しているのか、あるいは運転室7外に存在しているのかの存在判定(位置判定)を行う。
図4を参照して、作業機械1のエンジン始動コントローラ110により実行される携帯端末5の存在判定処理について説明する。
【0066】
図4は、作業機械1のエンジン始動コントローラ110により実行される携帯端末5の存在判定処理の内容について示すフローチャートである。
図4に示すフローチャートの処理は、エンジン始動コントローラ110にバッテリ28が接続されることにより開始され、所定の制御周期で繰り返し実行される。なお、エンジン始動コントローラ110とバッテリ28とは、通常、閉成状態となる常閉型のリレーにより接続されている。
【0067】
図4に示すように、ステップS104において、エンジン始動コントローラ110は、携帯端末5と通信可能か否かを判定する。ステップS104において、エンジン始動コントローラ110は、携帯端末5から送信された電波が通信装置65で受信された場合、携帯端末5と通信可能であると判定し、ステップS107へ進む。ステップS104において、エンジン始動コントローラ110は、携帯端末5から送信された電波が通信装置65で受信されていない場合、携帯端末5と通信不能であると判定し、
図4のフローチャートに示す処理を終了する。
【0068】
ステップS107において、エンジン始動コントローラ110は、携帯端末5から送信され通信装置65を介して取得したデータに含まれるキーID163aが不揮発性メモリ113に予め登録されている登録ID113aに一致するか否かを判定するキー認証処理を行う。ステップS107において、取得したキーID163aが登録ID113aに一致すると判定されると、キー認証は成功したものとしてステップS110へ進む。ステップS107において、取得したキーID163aが登録ID113aに一致しないと判定されると、キー認証は失敗したものとしてステップS113へ進む。
【0069】
ステップS110において、エンジン始動コントローラ110は、キー認証が成功したことを表す認証フラグをオンに設定して、ステップS116へ進む。ステップS113において、エンジン始動コントローラ110は、認証フラグをオフに設定して、
図4のフローチャートに示す処理を終了する。
【0070】
ステップS116において、エンジン始動コントローラ110は、携帯端末5から送信され通信装置65により受信された電波の強度(受信強度)に基づいて、携帯端末5が運転室7内に存在しているか否かを判定する。
【0071】
ステップS116において、エンジン始動コントローラ110は、携帯端末5から送信され通信装置65で受信した電波の強度が強度閾値以上である場合、携帯端末5は運転室7内に存在していると判定し、ステップS119へ進む。ステップS116において、エンジン始動コントローラ110は、携帯端末5から送信され通信装置65で受信した電波の強度が強度閾値未満である場合、携帯端末5は運転室7外に存在していると判定し、ステップS122へ進む。強度閾値は、携帯端末5が運転室7内に存在しているか否かを判定するために用いられる閾値であり、予めエンジン始動コントローラ110の不揮発性メモリ113に記憶されている。なお、この強度閾値は、予め実験等により測定した値から定めることができる。
【0072】
ステップS119において、エンジン始動コントローラ110は、携帯端末5が運転室7内に存在していることを表す運転室内フラグをオンに設定し、
図4のフローチャートに示す処理を終了する。ステップS122において、エンジン始動コントローラ110は、運転室内フラグをオフに設定し、
図4のフローチャートに示す処理を終了する。
【0073】
エンジン始動コントローラ110は、キー認証が成功した携帯端末5が運転室7内に存在している場合には、運転室7内に設けられるIGスイッチ61の操作に応じて、作業機械1のエンジン20及びコントローラ120,130,140,150の起動及び停止の制御を行う。エンジン始動コントローラ110は、エンジン停止中にIGスイッチ61が長押し操作されると、ACCリレー142及びIGリレー143をオンにするとともにスターターリレー141をオンにしてスターターモータ144を駆動することによりエンジン20を始動させる。また、エンジン始動コントローラ110は、エンジン動作中にIGスイッチ61が長押し操作されると、ACCリレー142及びIGリレー143をオフにしてエンジン20を停止させる。さらに、エンジン始動コントローラ110は、エンジン停止中にIGスイッチ61が短押し操作されると、ACCリレー142及びIGリレー143のオンオフを制御する。
図5~
図7を参照して、作業機械1のエンジン始動コントローラ110により実行される、IGスイッチ61の操作に基づく作業機械1の起動/停止制御処理について説明する。
【0074】
図5は、作業機械1のエンジン始動コントローラ110により実行される制御選択処理の内容について示すフローチャートである。
図5に示す処理は、IGスイッチ61がオン操作されることにより開始される。
【0075】
図示しないが、IGスイッチ61がオン操作されると、エンジン始動コントローラ110は、タイマ機能によりIGスイッチ61がオン操作されている時間の計測を行う。なお、IGスイッチ61のオン操作が解除されると、計測された時間(以下、オン操作時間taと記す)のリセット処理を行う(ta=0)。
【0076】
図5に示すように、ステップS130において、エンジン始動コントローラ110は、IGスイッチ61のオン操作時間taに基づいて、IGスイッチ61の長押し操作がなされたか、あるいは短押し操作がなされたかを判定する。ステップS130において、エンジン始動コントローラ110は、IGスイッチ61からのオン操作信号が継続して入力され、オン操作時間taが閾値ta0以上になると、IGスイッチ61の長押し操作がなされたと判定し、ステップS160へ進む。ステップS130において、エンジン始動コントローラ110は、オン操作時間taが閾値ta0を経過する前にIGスイッチ61のオン操作が解除された場合、IGスイッチ61の短押し操作がなされたと判定し、ステップS140へ進む。閾値ta0は、IGスイッチ61の長押し操作がなされたか否かを判定するための閾値であり、予め不揮発性メモリ113に記憶されている。閾値ta0は、例えば、500[msec]程度の値が採用される。
【0077】
エンジン始動コントローラ110は、ステップS140において第1起動/停止制御を行い、ステップS160において第2起動/停止制御を行う。ステップS140において第1起動/停止制御が終了すると、
図5のフローチャートに示す処理が終了する。ステップS160において第2起動/停止制御が終了すると、
図5のフローチャートに示す処理が終了する。
【0078】
図6は、作業機械1のエンジン始動コントローラ110により実行される第1起動/停止制御(
図5のステップS140)の内容について示すフローチャートである。
図6に示すように、ステップS142において、エンジン始動コントローラ110は、認証フラグがオンに設定されているか否かを判定する。ステップS142において、認証フラグがオンに設定されていると判定されると、処理がステップS144へ進み、認証フラグがオフに設定されていると判定されると、
図6に示す第1起動/停止制御が終了する。
【0079】
ステップS144において、エンジン始動コントローラ110は、運転室内フラグがオンに設定されているか否かを判定する。ステップS144において、運転室内フラグがオンに設定されていると判定されると、処理がステップS146へ進み、運転室内フラグがオフに設定されていると判定されると、
図6に示す第1起動/停止制御が終了する。
【0080】
ステップS146において、エンジン始動コントローラ110は、回転速度センサ21で検出されたエンジン20の実回転速度Nに基づいて、エンジン20が停止中であるか否か(すなわちエンジン20が動作中であるか否か)を判定する。ステップS146において、エンジン始動コントローラ110は、エンジン20の実回転速度Nが閾値N0以下である場合、エンジン20が停止中であると判定し、ステップS148へ進む。ステップS146において、エンジン始動コントローラ110は、エンジン20の実回転速度Nが閾値N0よりも大きい場合、エンジン20が動作中であると判定し、
図6に示す第1起動/停止制御を終了する。
【0081】
閾値N0は、エンジン20が停止中であるか、あるいは動作中であるかを判定するための閾値であり、予めエンジン始動コントローラ110の不揮発性メモリ113(
図3参照)に記憶されている。閾値N0は、例えば、エンジンコントロールダイヤル192(
図3参照)で設定可能な最小回転速度よりも小さい値であって、0(ゼロ)以上の値(例えば、0~数rpm)が設定される。
【0082】
ステップS148において、エンジン始動コントローラ110は、ACCリレー142がオフ状態(開状態)であるか否かを判定する。ステップS148において、ACCリレー142がオフ状態であると判定されると、処理がステップS150へ進む。ステップS148において、ACCリレー142がオフ状態でない(オン状態である)と判定されると、処理がステップS152へ進む。
【0083】
ステップS150において、エンジン始動コントローラ110は、ACCリレー142をオンさせるための指令を生成し、ACCリレー142に出力して、
図6に示す第1起動/停止制御を終了する。これにより、作業機械1はACCオン状態となる。
【0084】
ステップS152において、エンジン始動コントローラ110は、IGリレー143がオフ状態(開状態)であるか否かを判定する。ステップS152において、IGリレー143がオフ状態であると判定されると、処理がステップS154へ進む。ステップS152において、IGリレー143がオフ状態でない(オン状態である)と判定されると、処理がステップS156へ進む。
【0085】
ステップS154において、エンジン始動コントローラ110は、IGリレー143をオンさせるための指令を生成し、IGリレー143に出力して、
図6に示す第1起動/停止制御を終了する。これにより、作業機械1はキーオン状態となる。
【0086】
ステップS156において、エンジン始動コントローラ110は、ACCリレー142をオフさせるための指令を生成し、ACCリレー142に出力して、ステップS158へ進む。ステップS158において、エンジン始動コントローラ110は、IGリレー143をオフさせるための指令を生成し、IGリレー143に出力して、
図6に示す第1起動/停止制御を終了する。これにより、作業機械1はキーオフ状態となる。
【0087】
図7は、作業機械1のエンジン始動コントローラ110により実行される第2起動/停止制御(
図5のステップS160)の内容について示すフローチャートである。
図7に示すように、ステップS162(キー認証処理)において、エンジン始動コントローラ110は、認証フラグがオンに設定されているか否かを判定する。ステップS162において、認証フラグがオンに設定されていると判定されると、処理がステップS164へ進み、認証フラグがオフに設定されていると判定されると、
図7に示す第2起動/停止制御が終了する。
【0088】
ステップS164において、エンジン始動コントローラ110は、運転室内フラグがオンに設定されているか否かを判定する。ステップS164において、運転室内フラグがオンに設定されていると判定されると、処理がステップS166へ進み、運転室内フラグがオフに設定されていると判定されると、
図7に示す第2起動/停止制御が終了する。
【0089】
ステップS166において、エンジン始動コントローラ110は、回転速度センサ21で検出されたエンジン20の実回転速度Nに基づいて、エンジン20が停止中であるか否か(すなわちエンジン20が動作中であるか否か)を判定する。ステップS166において、エンジン始動コントローラ110は、エンジン20の実回転速度Nが閾値N0以下である場合、エンジン20が停止中であると判定し、ステップS168へ進む。ステップS166において、エンジン始動コントローラ110は、エンジン20の実回転速度Nが閾値N0よりも大きい場合、エンジン20が動作中であると判定し、ステップS188へ進む。
【0090】
ステップS168において、エンジン始動コントローラ110は、ACCリレー142をオンさせるための指令を生成し、ACCリレー142に出力して、ステップS170へ進む。ステップS170において、エンジン始動コントローラ110は、IGリレー143をオンさせるための指令を生成し、IGリレー143に出力して、ステップS172へ進む。
【0091】
ステップS172において、エンジン始動コントローラ110は、ロックレバー操作センサ60aからの検出結果を表す信号に基づいて、ロックレバー装置60がロック位置に操作されているか否かを判定する。ステップS172において、ロックレバー装置60がロック位置に操作されていると判定されると、処理がステップS179へ進み、ロックレバー装置60がロック位置に操作されていない(すなわちロック解除位置に操作されている)と判定されると、処理がステップS190へ進む。
【0092】
ステップS179において、エンジン始動コントローラ110は、スターターリレー141をオンさせるための指令を生成し、スターターリレー141に出力して、ステップS180へ進む。また、ステップS179において、エンジン始動コントローラ110は、タイマ機能によりスターターリレー141をオンさせている時間(以下、スターターオン時間tbと記す)の計測を開始する。なお、スターターリレー141をオンさせるための指令は、エンジンコントローラ130にも出力され、エンジンコントローラ130によって燃料噴射装置22を用いたエンジン20の始動制御が開始される。
【0093】
ステップS180において、エンジン始動コントローラ110は、回転速度センサ21で検出されたエンジン20の実回転速度Nに基づいて、エンジン20の始動が完了したか否かを判定する。ステップS180において、エンジン始動コントローラ110は、エンジン20の実回転速度Nが閾値N1以上である場合、エンジン20の始動は完了したと判定し、ステップS183へ進む。ステップS180において、エンジン始動コントローラ110は、エンジン20の実回転速度Nが閾値N1未満である場合、エンジン20の始動は完了していないと判定し、ステップS181へ進む。
【0094】
閾値N1は、エンジン20の始動が完了したか否かを判定するための閾値であり、予めエンジン始動コントローラ110の不揮発性メモリ113(
図3参照)に記憶されている。閾値N1は、例えば、エンジンコントロールダイヤル192(
図3参照)で設定可能な最小回転速度と同じ値が設定される。
【0095】
ステップS181において、エンジン始動コントローラ110は、スターターオン時間tbが閾値tb0以上であるか否かを判定する。ステップS181において、スターターオン時間tbが閾値tb0以上であると判定されると、処理がステップS183へ進み、スターターオン時間tbが閾値tb0未満であると判定されると、処理がステップS182へ進む。閾値tb0は、スターターモータ144の連続使用を防止するために設定される閾値であり、予め不揮発性メモリ113に記憶されている。閾値tb0は、例えば、30[sec]程度の値が採用される。
【0096】
ステップS182において、エンジン始動コントローラ110は、IGスイッチ61のオン操作が解除されたか否か、すなわちIGスイッチ61のオフ操作がなされたか否かを判定する。ステップS182において、IGスイッチ61のオン操作が解除されたと判定されると、処理がステップS183へ進み、IGスイッチ61のオン操作が解除されていないと判定されると、処理がステップS180へ戻る。
【0097】
ステップS183において、エンジン始動コントローラ110は、スターターリレー141をオフさせるための指令を生成し、スターターリレー141に出力して、ステップS184へ進む。また、ステップS183において、エンジン始動コントローラ110は、計測されたスターターオン時間tbのリセット処理を行う(tb=0)。なお、スターターリレー141をオフさせるための指令は、エンジンコントローラ130にも出力され、エンジンコントローラ130による燃料噴射装置22を用いたエンジン20の始動制御が終了する。
【0098】
ステップS184において、エンジン始動コントローラ110は、エンジン20の実回転速度Nに基づいて、エンジン20の始動が成功したか否かを判定する。ステップS184において、エンジン始動コントローラ110は、エンジン20の実回転速度Nが閾値N2以上である場合、エンジン20の始動は成功したと判定し、ステップS185へ進む。ステップS184において、エンジン始動コントローラ110は、エンジン20の実回転速度Nが閾値N2未満である場合、エンジン20の始動は失敗したと判定し、ステップS190へ進む。
【0099】
閾値N2は、エンジン20の始動が成功したか否かを判定するための閾値であり、予めエンジン始動コントローラ110の不揮発性メモリ113(
図3参照)に記憶されている。閾値N2は、例えば、エンジンコントロールダイヤル192(
図3参照)で設定可能な最小回転速度と同じ値が設定される。なお、本実施形態では、閾値N1と閾値N2とが同じ値であるが、異なる値としてもよい。
【0100】
ステップS185において、エンジン始動コントローラ110は、IGスイッチ61のオン操作によるエンジン20の始動が成功したことを表す第1始動フラグをオンに設定し、
図7に示す第2起動/停止制御を終了する。ステップS190において、エンジン始動コントローラ110は、第1始動フラグをオフに設定し、
図7に示す第2起動/停止制御を終了する。
【0101】
なお、ステップS166において、エンジン20が動作中であると判定されると、ステップS188へ進み、ステップS188において、エンジン始動コントローラ110は、エンジン停止制御を実行する。エンジン停止制御において、エンジン始動コントローラ110は、停止指令を生成し、エンジンコントローラ130に出力して、エンジンコントローラ130による燃料噴射装置22の制御を終了させてエンジン20を停止させる。エンジン停止制御において、エンジン始動コントローラ110は、ACCリレー142をオフさせるための指令を生成し、ACCリレー142に出力して、ACCリレー142をオフさせる。エンジン停止制御において、エンジン始動コントローラ110は、IGリレー143をオフさせるための指令を生成し、IGリレー143に出力して、IGリレー143をオフさせる。これにより、エンジン20、車体コントローラ120、エンジンコントローラ130、物体検知コントローラ140及び映像コントローラ150が停止する。
【0102】
以上のとおり、本実施形態では、エンジン始動コントローラ110は、携帯端末5が運転室7内に存在している場合には、携帯端末5のキー認証が成功していること、エンジン20が停止していること、ロックレバー装置60がロック位置に操作されていること、及び、運転室7内に設けられているIGスイッチ61が長押し操作されることを条件にエンジン20を始動させる。
【0103】
本実施形態では、携帯端末5の認証が成功し、かつ、運転室7内に携帯端末5が存在している場合にのみ、IGスイッチ61の操作が有効となる。つまり、携帯端末5を所持するオペレータが運転室7内に搭乗している場合に限って、IGスイッチ61の操作によってエンジン20を始動させたり、停止させたりすることができる。換言すれば、携帯端末5を所持しない第三者がIGスイッチ61を操作したとしてもエンジン20を始動させたり、停止させたりすることはできない。このため、第三者による作業機械1の盗難を防止することができる。
【0104】
エンジン始動コントローラ110は、携帯端末5が運転室7外に存在している場合には、携帯端末5から送信されるキーID163a、及び、携帯端末5の暖機スイッチ51aがオン操作されることにより携帯端末5から送信されるエンジン始動指令に基づいて、エンジン20の起動(始動)及び停止の制御を行う。エンジン停止中に、携帯端末5のタッチパネル51に表示される暖機スイッチ51aが長押し操作されると、エンジン始動コントローラ110は、ACCリレー142及びIGリレー143をオンにするとともにスターターリレー141をオンにしてスターターモータ144を駆動することによりエンジン20を始動させる。また、エンジン動作中に暖機スイッチ51aが長押し操作されると、エンジン始動コントローラ110は、ACCリレー142及びIGリレー143をオフにしてエンジン20を停止させる。
【0105】
作業機械1は、エンジン20の始動前に点検作業が行われる。点検作業には、エンジンオイル、作動油及び冷却水の量の確認作業、油圧アクチュエータの油漏れの有無の確認作業などが含まれる。遠隔から作業機械1のエンジン20を始動する場合、オペレータ自身が作業機械1の点検作業を行うことはできず、オペレータ以外の作業員が作業機械1の点検作業を行うことになる。
【0106】
図1に示すように、作業機械1は、エンジン20に直結されエンジン20の回転とともに回転する冷却ファン27などの可動部を備えている。このため、作業員による作業機械1の点検作業中に、遠隔から作業機械1のエンジン20が始動されると、冷却ファン27が作業員に接触してしまうおそれがある。このため、エンジン20を始動する際には、作業員と冷却ファン27等の可動部との接触を防止する必要がある。また、エンジン20の始動により、バッテリ28から電装品に電力が供給されるため、作業員と電装品との接触を防止する必要もある。
【0107】
本実施形態に係る作業機械1の制御装置100は、物体検知装置30により検知された検知信号に基づいて、機体4の周囲に物体が存在しているか否かを判定し、機体4の周囲に物体が存在していると判定されているときには、通信装置65を介して携帯端末5からエンジン始動指令を取得した場合であってもエンジン20を始動しない。
【0108】
このため、作業機械1の機体4の周囲で作業員が点検等の作業を行っている場合にエンジン20が始動することにより、可動部や電装品が作業員に接触することを防止できる。しかしながら、機体4の周囲に作業員が存在する場合に、常に、遠隔からのエンジン20の始動を禁止してしまうと、作業の開始時間が遅れ、作業効率が低下してしまうおそれがある。ここで、作業機械1の機体4の周囲に作業員が存在する場合であっても、エンジン20を始動させてよい状況が発生し得る。例えば、冷却ファン27や電装品の近くに作業員が位置していないときには、エンジン20を始動させても作業員が冷却ファン27や電装品と接触することはない。
【0109】
そこで、本実施形態に係る作業機械1の制御装置100は、通信装置65を介して携帯端末5からエンジン始動指令を取得した場合であって、機体4の周囲に物体が存在していると判定されているときには、エンジン20を始動せずに、エンジン20の始動承認要求を含む警告情報及び撮影装置35により撮影された映像のデータを、通信装置65を介して携帯端末5に送信する。
【0110】
携帯端末5の端末コントローラ160は、通信装置66を介して取得した撮影装置35により撮影された映像及びエンジン20の始動承認要求をタッチパネル51の表示画面に表示する。携帯端末5の端末コントローラ160は、オペレータにより、タッチパネル51に対してエンジン20の始動承認要求に対する承認操作が行われた場合に、承認指令を、通信装置66を介して作業機械1に送信する。
【0111】
作業機械1の制御装置100は、通信装置65を介して携帯端末5からエンジン20の始動承認要求に対する承認指令を取得した場合には、エンジン20を始動する。これにより、オペレータは、携帯端末5のタッチパネル51の表示画面を見て、冷却ファン27や電装品の近くに作業員が存在しないことを確認した上で、エンジン20を始動させることができる。以下、
図8~
図10を参照して、作業機械1のエンジン20を遠隔から始動させ、暖機運転を行う際の端末コントローラ160及び制御装置100による制御の内容について説明する。
【0112】
なお、始動アプリケーション163cが実行された場合、携帯端末5から作業機械1に、始動アプリケーション163cが実行されていることを表すアプリ実行信号、及びキーID163aが送信される。始動アプリケーション163cが実行された場合には、上述の携帯端末5の存在判定処理(
図4参照)は実行されない。エンジン始動コントローラ110は、携帯端末5から送信されるアプリ実行信号を取得すると、
図4のステップS107と同様のキー認証処理を実行する。キー認証が成功した場合には認証フラグがオンに設定され(
図4のステップS110に相当)、キー認証が失敗した場合には認証フラグがオフに設定される(
図4のステップS113に相当)。また、エンジン始動コントローラ110は、携帯端末5から送信されるアプリ実行信号を取得すると、運転室内フラグをオフに設定する(
図4のステップS122に相当)。
【0113】
まず、
図8及び
図9を参照して、端末コントローラ160により実行される遠隔始動制御の内容の一例について説明する。
図8は、端末コントローラ160により実行される遠隔始動制御の内容について示すフローチャートである。
図8に示す処理は、始動アプリケーション163cが実行されることにより開始され、所定の制御周期で繰り返し実行される。
【0114】
図8に示すように、ステップS10において、端末コントローラ160は、暖機スイッチ51a(
図1参照)が長押し操作されたか否かを判定する。暖機スイッチ51aがオン操作されると、端末コントローラ160は、タイマ機能により暖機スイッチ51aがオン操作されている時間の計測を行う。なお、暖機スイッチ51aのオン操作が解除されると、計測された時間(以下、オン操作時間ttcと記す)のリセット処理を行う(ttc=0)。
【0115】
ステップS10において、端末コントローラ160は、オン操作時間ttcが閾値ttc0以上になると、暖機スイッチ51aの長押し操作がなされたと判定し、ステップS15へ進む。ステップS10において、端末コントローラ160は、オン操作時間ttcが閾値ttc0を経過する前に暖機スイッチ51aのオン操作が解除された場合、暖機スイッチ51aの長押し操作はなされていないと判定し、オン操作時間ttcのリセット処理を行う。ステップS10の処理は、肯定判定されるまで繰り返し実行される。閾値ttc0は、暖機スイッチ51aの長押し操作がなされたか否かを判定するための閾値であり、予め不揮発性メモリ163に記憶されている。閾値ttc0は、閾値ta0よりも長く、例えば、3[sec]程度の値が採用される。
【0116】
ステップS15において、端末コントローラ160は、警告情報を受信したか否かを判定する。ステップS15において、警告情報を受信したと判定されると、処理がステップS20へ進み、警告情報を受信していないと判定されると、処理がステップS50へ進む。
【0117】
ステップS50において、端末コントローラ160は、始動成功信号を受信したか、あるは始動失敗信号を受信したかを判定する。ステップS50において、始動成功信号を受信したと判定されると、処理がステップS55へ進む。ステップS50において、始動成功信号を受信せず、始動失敗信号を受信したと判定されると、処理がステップS60へ進む。
【0118】
ステップS55において、端末コントローラ160は、エンジン20の始動が成功したことを表すメッセージ、アイコン等の画像をタッチパネル51の表示画面に表示させ、その後、タッチパネル51の表示画面を、暖機スイッチ51aを有する初期画面に戻す。ステップS60において、端末コントローラ160は、エンジン20の始動が失敗したことを表すメッセージ、アイコン等の画像をタッチパネル51の表示画面に表示させ、その後、タッチパネル51の表示画面を、暖機スイッチ51aを有する初期画面に戻す。ステップS55,S60の処理が終了すると、
図8のフローチャートに示す処理が終了する。
【0119】
ステップS20において、端末コントローラ160は、タッチパネル51の表示画面に警告画面を表示させてステップS25へ進む。
【0120】
図9は、タッチパネル51に表示される警告画面の一例について示す図である。警告画面は、警告メッセージ領域51bと、承認要求メッセージ領域51cと、映像表示領域51dと、操作領域51eと、を有する。
【0121】
警告メッセージ領域51bには、機体4の周囲に物体が検知されたことをオペレータに知らせるとともに、カメラ36~39により撮影された映像をオペレータに確認するように促すためのメッセージが表示される。
【0122】
承認要求メッセージ領域51cには、警告情報に含まれる始動承認要求を表すメッセージ、すなわちエンジン20の始動の承認をオペレータに要求するためのメッセージが表示される。例えば、図示するように、承認要求メッセージ領域51cには、始動許可ボタン51fを操作することにより、エンジン20の始動を承認できることを示すメッセージが表示される。また、承認要求メッセージ領域51cには、始動中止ボタン51gを操作することにより、エンジン20の始動を中止できることを示すメッセージが表示される。なお、図示しないが、タッチパネル51の表示画面には、音声出力ボタン51hを操作することにより、オペレータの音声を作業機械1のスピーカ79によって出力できることを示すメッセージが表示されていてもよい。
【0123】
映像表示領域51dには、複数のカメラ36~39により撮影された映像が表示される。映像表示領域51dに表示される映像は、予め定められた複数の表示態様の中から選択された表示態様で表示される。例えば、第1表示態様は、図示するように、左カメラ37により撮影された左方映像、右カメラ38により撮影された右方映像、前カメラ36により撮影された前方映像、及び後カメラ39により撮影された後方映像から生成される俯瞰映像を映像表示領域51dの全体に表示する表示態様である(俯瞰表示)。また、第2表示態様は、図示しないが、映像表示領域51dを左右に2分割して、左側の分割領域に後方映像を表示し、右側の分割領域に右方映像を表示する表示態様である(左右分割表示)。第3表示態様は、図示しないが、映像表示領域51dを上下に2分割し、さらに上側の分割領域を左右に2分割して、下側の分割領域に後方映像を表示し、左上側の分割領域に左方映像を表示し、右上側の分割領域に右方映像を表示する表示態様である(左右後方分割表示)。
【0124】
操作領域51eには、始動許可ボタン51fと、始動中止ボタン51gと、音声出力ボタン51hと、表示変更ボタン51iと、が表示されている。始動許可ボタン51fは、エンジン20の始動を許可するための操作ボタンである。端末コントローラ160は、始動許可ボタン51fがオペレータによりタッチ操作されると、始動承認要求に対する承認指令を生成し、生成した承認指令を、通信装置66を介して作業機械1に送信する。
【0125】
始動中止ボタン51gは、エンジン20の始動を中止するための操作ボタンである。端末コントローラ160は、始動中止ボタン51gがオペレータによりタッチ操作されると、エンジン20の始動を中止する中止指令を生成し、生成した中止指令を、通信装置66を介して作業機械1に送信する。
【0126】
音声出力ボタン51hは、オペレータが発する音声を作業機械1のスピーカ79によって出力するための操作ボタンである。端末コントローラ160は、音声出力ボタン51hがタッチ操作されると、音声送信処理を実行する。音声送信処理において、端末コントローラ160は、マイク52によって集音された音声のデータを、通信装置66を介して作業機械1に送信する。端末コントローラ160は、音声送信処理の実行中に音声出力ボタン51hがタッチ操作されると、音声送信処理を終了する。
【0127】
表示変更ボタン51iは、映像表示領域51dに表示される映像の表示態様を切り換えるための操作ボタンである。端末コントローラ160は、表示変更ボタン51iがタッチ操作される度に、映像表示領域51dに表示される映像の表示態様を変更する。
【0128】
図8に示すように、ステップS20において警告画面(
図9参照)がタッチパネル51に表示されると、処理がステップS25へ進む。ステップS25において、端末コントローラ160は、タッチパネル51に対する操作に基づいて、始動承認要求に対する承認操作が行われたか否かを判定する。ステップS25において、始動許可ボタン51fがタッチ操作された場合、端末コントローラ160は、承認操作が行われたと判定し、ステップS30へ進む。ステップS25において、始動許可ボタン51fがタッチ操作されていない場合、端末コントローラ160は、承認操作が行われていないと判定し、ステップS32へ進む。
【0129】
ステップS30において、端末コントローラ160は、承認指令を生成し、生成した承認指令を、通信装置66を介して作業機械1に送信し、ステップS50へ進む。
【0130】
ステップS32において、端末コントローラ160は、タッチパネル51に対する操作に基づいて、エンジン20の始動中止操作が行われたか否かを判定する。ステップS32において、始動中止ボタン51gがタッチ操作された場合、端末コントローラ160は、エンジン20の始動中止操作が行われたと判定し、エンジン20の始動を中止する中止指令を、通信装置66を介して作業機械1に送信する。その後、ステップS60に進み、端末コントローラ160は、先に説明したように始動失敗、すなわち始動がなされなかった旨のメッセージをタッチパネル51の表示画面に表示させ、
図8のフローチャートに示す処理を終了する。ステップS32において、始動中止ボタン51gがタッチ操作されていない場合、端末コントローラ160は、エンジン20の始動中止操作が行われていないと判定し、ステップS35へ進む。
【0131】
ステップS35において、端末コントローラ160は、タッチパネル51に対する操作に基づいて、音声出力操作が行われたか否かを判定する。ステップS35において、音声出力ボタン51hがタッチ操作された場合、端末コントローラ160は、音声出力操作が行われたと判定し、ステップS40へ進む。ステップS35において、音声出力ボタン51hがタッチ操作されていない場合、端末コントローラ160は、音声出力操作が行われていないと判定し、ステップS25へ戻る。
【0132】
ステップS40において、端末コントローラ160は、マイク52により集音されたオペレータの音声のデータを、通信装置66を介して作業機械1に送信し、ステップS25へ戻る。
【0133】
図10を参照して、作業機械1の制御装置100により実行される、暖機スイッチ51aの操作に基づくエンジン20の遠隔始動制御について説明する。
【0134】
図10は、作業機械1の制御装置100により実行されるエンジン20の遠隔始動制御の内容について示すフローチャートである。
図10に示す処理は、制御装置100が携帯端末5から送信されたアプリ実行信号を取得したことにより開始される。
【0135】
図示しないが、暖機スイッチ51aがオン操作されると、エンジン始動コントローラ110は、タイマ機能により暖機スイッチ51aがオン操作されている時間の計測を行う。なお、暖機スイッチ51aのオン操作が解除されると、計測された時間(以下、オン操作時間tcと記す)のリセット処理を行う(tc=0)。
【0136】
図10に示すように、ステップS260において、エンジン始動コントローラ110は、暖機スイッチ51aのオン操作時間tcに基づいて、暖機スイッチ51aの長押し操作がなされたか否かを判定する。ステップS260において、エンジン始動コントローラ110は、携帯端末5から送信されるエンジン始動指令が継続して入力され、オン操作時間tcが閾値tc0以上になると、暖機スイッチ51aの長押し操作がなされたと判定し、ステップS262へ進む。ステップS260において、エンジン始動コントローラ110は、オン操作時間tcが閾値tc0を経過する前に暖機スイッチ51aのオン操作が解除された場合、暖機スイッチ51aの長押し操作はなされていないと判定し、
図10のフローチャートに示す処理を終了する。閾値tc0は、暖機スイッチ51aの長押し操作がなされたか否かを判定するための閾値であり、予め不揮発性メモリ113に記憶されている。閾値tc0は、閾値ta0よりも長く、例えば、3[sec]程度の値が採用される。
【0137】
ステップS262において、エンジン始動コントローラ110は、ステップS162(
図7参照)と同様の処理を行う。ステップS262において、認証フラグがオンに設定されていると判定されると、処理がステップS264へ進み、認証フラグがオフに設定されていると判定されると、
図10のフローチャートに示す処理が終了する。
【0138】
ステップS264において、エンジン始動コントローラ110は、運転室内フラグがオフに設定されているか否かを判定する。ステップS264において、運転室内フラグがオフに設定されていると判定されると、処理がステップS266へ進み、運転室内フラグがオンに設定されていると判定されると、
図10のフローチャートに示す処理が終了する。
【0139】
図10のステップS266~S290の処理において、ステップS266,S268,S270,S272,S279,S280,S281,S283,S284,S288の処理は、
図7のステップS166,S168,S170,S172,S179,S180,S181,S183,S184,S188の処理と同様であるため、その説明を省略する。以下、
図7のステップS182,S185,S190の処理に代えて行われるステップS282,S285,S290の処理、及び、ステップS273~S278の処理について説明する。
【0140】
ステップS272において、ロックレバー装置60がロック位置に操作されていると判定されると、処理がステップS273へ進み、ロックレバー装置60がロック位置に操作されていないと判定されると、処理がステップS290へ進む。
【0141】
ステップS273において、物体検知コントローラ140は、物体検知装置30からの検知信号に基づいて、機体4の周囲に物体が存在しているか否かを判定する。ステップS273において、機体4の周囲に物体が存在していると判定されると、処理がステップS274へ進み、機体4の周囲に物体が存在していないと判定されると、処理がステップS279へ進む。
【0142】
ステップS274において、エンジン始動コントローラ110は、エンジン20の始動承認要求を含む警告情報を、通信装置65を介して携帯端末5に送信し、ステップS275へ進む。ステップS275において、映像コントローラ150は、撮影装置35により撮影された映像のデータを、通信装置65を介して携帯端末5に送信し、ステップS276へ進む。
【0143】
ステップS276において、車体コントローラ120は、携帯端末5から通信装置65を介して音声のデータを受信したか否かを判定する。ステップS276において、音声のデータを受信したと判定されると、処理がステップS277へ進み、音声のデータを受信していないと判定されると、処理がステップS278へ進む。
【0144】
ステップS277において、車体コントローラ120は、音声のデータに基づいてスピーカ79を制御し、スピーカ79からオペレータの音声を出力する。音声出力処理(ステップS277)が終了すると、処理がステップS275へ戻る。
【0145】
ステップS278において、エンジン始動コントローラ110は、携帯端末5から通信装置65を介して承認指令を受信したか否かを判定する。ステップS278において、承認指令を受信したと判定されると、処理がステップS279へ進み、承認指令を受信していないと判定されると、
図10のフローチャートに示す処理が終了する。
【0146】
ステップS281において、スターターオン時間tbが閾値tb0未満であると判定されると、処理がステップS282へ進む。ステップS282において、エンジン始動コントローラ110は、暖機スイッチ51aのオン操作が解除されたか否か、すなわち暖機スイッチ51aのオフ操作がなされたか否かを判定する。ステップS282において、暖機スイッチ51aのオン操作が解除されたと判定されると、処理がステップS283へ進み、暖機スイッチ51aのオン操作は解除されていないと判定されると、処理がステップS280へ戻る。
【0147】
なお、フローチャートでは図示しないが、ステップS282の処理は、ステップS273の処理において否定判定された場合、すなわち物体が検知されていない場合に実行され、ステップS273の処理において肯定判定された場合には実行されない。つまり、物体が検知されている場合には、ステップS281においてスターターオン時間tbが閾値tb0未満であると判定されると、処理がステップS280に戻る。
【0148】
ステップS284において、エンジン20の始動は成功したと判定されると、処理がステップS285へ進み、エンジン20の始動は失敗したと判定されると、処理がステップS290へ進む。
【0149】
ステップS285において、エンジン始動コントローラ110は、暖機スイッチ51aのオン操作によるエンジン20の始動が成功したことを表す第2始動フラグをオンに設定し、
図10のフローチャートに示す処理を終了する。なお、エンジン始動コントローラ110は、第2始動フラグがオンに設定されると、通信装置65を介して、エンジン20の始動が成功したこと(暖機運転が開始したこと)を表す始動成功信号を携帯端末5に送信する。これにより、携帯端末5のタッチパネル51にエンジン20の始動が成功したことを表すメッセージ、アイコン等が表示される。その結果、オペレータは、暖機運転が開始されたことを知ることができる。
【0150】
ステップS290において、エンジン始動コントローラ110は、第2始動フラグをオフに設定し、
図10のフローチャートに示す処理を終了する。なお、エンジン始動コントローラ110は、第2始動フラグがオフに設定されると、通信装置65を介して、エンジン20の始動が失敗したことを表す始動失敗信号を携帯端末5に送信する。これにより、携帯端末5のタッチパネル51にエンジン20の始動が失敗したことを表すメッセージ、アイコン等が表示される。その結果、オペレータは、エンジン20の始動が失敗したことを知ることができる。
【0151】
図示しないが、第2始動フラグがオフに設定されると、エンジン始動コントローラ110は、ACCリレー142及びIGリレー143をオフさせるための指令を生成し、ACCリレー142及びIGリレー143に出力して、ACCリレー142及びIGリレー143をオフさせる。
【0152】
また、図示しないが、ステップS278において、承認指令を受信していないと判定された場合、エンジン始動コントローラ110は、エンジン20の始動を中止するための中止指令を受信したか否かの判定も行っている。エンジン始動コントローラ110は、中止指令を受信したと判定した場合、ステップS290へ進み、各リレー142,143をオフさせるとともに、始動失敗信号を携帯端末5に送信する。
【0153】
以上のとおり、本実施形態では、エンジン始動コントローラ110は、携帯端末5が運転室7外に存在している場合には、携帯端末5のキー認証が成功していること、エンジン20が停止していること、ロックレバー装置60がロック位置に操作されていること、携帯端末5の暖機スイッチ51aが長押し操作されること(すなわち、携帯端末5から送信されるエンジン始動指令を所定時間以上継続して取得したこと)、及び、作業機械1の機体4の周囲に物体が存在していないことを条件にエンジン20を始動させる。
【0154】
このように、本実施形態において、制御装置100は、通信装置65を介して携帯端末5からエンジン始動指令を取得した場合であって、機体4の周囲に物体が存在していないと判定されているときには、エンジン20を始動する。また、制御装置100は、機体4の周囲に物体が存在していると判定されている場合には、撮影装置35により撮影された映像のデータ及びエンジン20の始動承認要求を、通信装置65を介して携帯端末5に送信する。制御装置100は、通信装置65を介して携帯端末5からエンジン20の始動承認要求に対する承認指令を取得した場合には、エンジン20を始動する。したがって、機体4の周囲に物体が存在している場合であってもエンジン20を始動させて暖機運転を行うことができるので、作業の開始時刻を早めることができ、作業効率を向上することができる。
【0155】
エンジン始動コントローラ110は、携帯端末5の暖機スイッチ51aの操作によってエンジン20の始動が成功した場合、所定時間が経過するまでエンジン20を動作させる暖機運転を行う。
図11を参照して、作業機械1のエンジン始動コントローラ110により実行される暖機運転制御について説明する。
【0156】
図11は、作業機械1のエンジン始動コントローラ110により実行される暖機運転制御の内容について示すフローチャートである。
図11に示す処理は、
図10のステップS285において、第2始動フラグがオンに設定されることにより開始される。
【0157】
図11に示すように、ステップS305において、エンジン始動コントローラ110は、タイマ機能により第2始動フラグがオンに設定されてからの時間(以下、暖機運転時間twと記す)の計測を開始し、ステップS310へ進む。
【0158】
ステップS310において、エンジン始動コントローラ110は、ロックレバー操作センサ60aからの検出結果を表す信号に基づいて、ロックレバー装置60がロック解除位置に操作されているか否かを判定する。ステップS310において、ロックレバー装置60がロック解除位置に操作されていると判定されると、処理がステップS370へ進み、ロックレバー装置60がロック解除位置に操作されていない(すなわちロックレバー装置60がロック位置で維持されている)と判定されると、処理がステップS320へ進む。
【0159】
ステップS320において、エンジン始動コントローラ110は、操作センサ188a,188bからの検出結果を表す信号に基づいて、操作装置183によって走行用油圧モータ2aを動作させるための操作(すなわち、走行体2を走行させるための走行操作)がなされたか否かを判定する。エンジン始動コントローラ110は、操作センサ188a,188bで検出された操作圧Paが閾値Pa0以上である場合、操作装置183によって走行用油圧モータ2aを動作させるための操作がなされたと判定し、ステップ370へ進む。エンジン始動コントローラ110は、操作センサ188a,188bで検出された操作圧Paが閾値Pa0未満である場合、操作装置183によって走行用油圧モータ2aを動作させるための操作はなされていないと判定し、ステップ330へ進む。閾値Pa0は、走行用油圧モータ2aを動作させるための操作がなされているか否かを判定するための閾値であり、予め不揮発性メモリ113に記憶されている。
【0160】
ステップS330において、エンジン始動コントローラ110は、操作センサ187a,187bからの検出結果を表す信号に基づいて、操作装置182によって旋回用油圧モータ3aを動作させるための操作(すなわち、旋回体3を旋回させるための旋回操作)がなされたか否かを判定する。エンジン始動コントローラ110は、操作センサ187a,187bで検出された操作圧Pbが閾値Pb0以上である場合、操作装置182によって旋回用油圧モータ3aを動作させるための操作がなされたと判定し、ステップ370へ進む。エンジン始動コントローラ110は、操作センサ187a,187bで検出された操作圧Pbが閾値Pb0未満である場合、操作装置182によって旋回用油圧モータ3aを動作させるための操作はなされていないと判定し、ステップ340へ進む。閾値Pb0は、旋回用油圧モータ3aを動作させるための操作がなされているか否かを判定するための閾値であり、予め不揮発性メモリ113に記憶されている。
【0161】
ステップS340において、エンジン始動コントローラ110は、操作センサ186a,186bからの検出結果を表す信号に基づいて、操作装置181によって油圧シリンダ10aを動作させるための操作(すなわち、作業装置10を動作させるための作業操作)がなされたか否かを判定する。エンジン始動コントローラ110は、操作センサ186a,186bで検出された操作圧Pcが閾値Pc0以上である場合、操作装置181によって油圧シリンダ10aを動作させるための操作がなされたと判定し、ステップ370へ進む。エンジン始動コントローラ110は、操作センサ186a,186bで検出された操作圧Pcが閾値Pc0未満である場合、操作装置181によって油圧シリンダ10aを動作させるための操作はなされていないと判定し、ステップ350へ進む。閾値Pc0は、油圧シリンダ10aを動作させるための操作がなされているか否かを判定するための閾値であり、予め不揮発性メモリ113に記憶されている。
【0162】
ステップS350において、エンジン始動コントローラ110は、暖機運転時間twが閾値tw0以上であるか否かを判定する。ステップS350において、暖機運転時間twが閾値tw0以上であると判定されると、処理がステップS370へ進み、暖機運転時間twが閾値tw0未満であると判定されると、処理がステップS310へ戻る。閾値tw0は、エンジン20の暖機運転を行った後、オペレータによるエンジン20の停止操作を忘れてしまった場合に、自動でエンジン20を停止させるために設けられる閾値であり、予め不揮発性メモリ113に記憶されている。閾値tw0は、例えば、10[min]程度の値が採用される。
【0163】
ステップS370において、エンジン始動コントローラ110は、暖機運転終了制御を実行する。暖機運転終了制御において、エンジン始動コントローラ110は、停止指令を生成し、エンジンコントローラ130に出力して、エンジンコントローラ130による燃料噴射装置22の制御を終了させてエンジン20を停止させる。暖機運転終了制御において、エンジン始動コントローラ110は、ACCリレー142をオフさせるための指令を生成し、ACCリレー142に出力して、ACCリレー142をオフさせる。暖機運転終了制御において、エンジン始動コントローラ110は、IGリレー143をオフさせるための指令を生成し、IGリレー143に出力して、IGリレー143をオフさせる。これにより、エンジン20、車体コントローラ120、エンジンコントローラ130、物体検知コントローラ140及び映像コントローラ150が停止する。なお、暖機運転終了制御において、エンジン始動コントローラ110は、暖機運転時間twのリセット処理も行う(tw=0)。
【0164】
以上のとおり、本実施形態では、エンジン始動コントローラ110は、第2始動条件の成立によりエンジン20を始動させた場合であって、操作センサとしてのロックレバー操作センサ60aによってロックレバー装置60がロック位置からロック解除位置に操作されたことが検出されたときには、エンジン20を停止させる。これにより、暖機運転中に、第三者が運転室7に搭乗し、作業機械1を動作させるためにロックレバー装置60をロック位置からロック解除位置に操作するとエンジン20が自動で停止する。したがって、暖機運転中に第三者によって作業機械1が盗難されてしまうことを防止できる。
【0165】
上述した実施形態によれば、次の作用効果を奏する。
【0166】
(1)作業機械の遠隔操作システム90は、作業機械1を制御する制御装置100と、制御装置100と通信を行う携帯端末(外部情報端末)5と、を含む。作業機械1は、機体4と、機体4に取り付けられる作業装置10と、作業装置10を駆動する複数の油圧アクチュエータ(ブームシリンダ11a、アームシリンダ12a及びバケットシリンダ13a)と、エンジン(原動機)20と、エンジン20によって駆動され油圧アクチュエータに作動油を供給する油圧ポンプ25と、機体4に取り付けられ機体4の周囲に存在する物体を検知する物体検知装置30と、機体4に取り付けられ機体4の周囲を撮影する撮影装置35と、携帯端末(外部情報端末)5と通信を行う通信装置65と、を備える。
【0167】
携帯端末5は、オペレータの操作によりエンジン20を始動させるエンジン始動指令(原動機始動指令)を作業機械1に送信する。作業機械1の制御装置100は、通信装置65を介して携帯端末5から取得したエンジン始動指令に基づいてエンジン20の始動を制御する。具体的には、作業機械1の制御装置100は、物体検知装置30により検知された検知信号に基づいて、機体4の周囲に物体が存在しているか否かを判定する。制御装置100は、通信装置65を介して携帯端末5からエンジン始動指令を取得した場合であって、機体4の周囲に物体が存在していないと判定されているときには、エンジン20を始動する。一方、制御装置100は、通信装置65を介して携帯端末5からエンジン始動指令を取得した場合であって、機体4の周囲に物体が存在していると判定されているときには、エンジン20を始動せずに、撮影装置35により撮影された映像のデータ及びエンジン20の始動承認要求を、通信装置65を介して携帯端末5に送信する。
【0168】
携帯端末5は、撮影装置35により撮影された映像及びエンジン20の始動承認要求をタッチパネル51の表示画面に表示する。携帯端末5は、例えば、エンジン20の始動を承認する場合の操作について説明するメッセージを始動承認要求として表示画面に表示する(
図9参照)。携帯端末5は、オペレータにより、エンジン20の始動承認要求に対する承認操作、すなわち始動許可ボタン51fに対するタッチ操作が行われた場合に、承認指令を作業機械1に送信する。制御装置100は、通信装置65を介して携帯端末5からエンジン20の始動承認要求に対する承認指令を取得した場合には、エンジン20を始動する。
【0169】
この構成によれば、携帯端末5からエンジン始動指令が送信された場合であっても、作業機械1の機体4の周囲に作業員等が検知されている場合には、直ちにエンジン20が始動されることがない。このため、冷却ファン27等の可動部、通電された電装品に作業員が接触してしまうことを防止できる。
【0170】
また、作業機械1の制御装置100は、作業員等が検知されている場合にエンジン始動指令を取得すると、撮影装置35により撮影された映像が携帯端末5の表示画面に表示される。これにより、オペレータは、携帯端末5の表示画面に表示される作業機械1の機体4の周囲の映像から冷却ファン27などの可動部や電装品の近くに作業員が位置していないことを確認することができる。オペレータは、作業機械1の可動部や電装品の近くに作業員がいないことを確認した上で承認操作を行うことにより、エンジン20を始動させることができる。これにより、作業機械1の機体4の周囲に物体が検知されている場合であってもエンジン20を始動させることができる。したがって、本実施形態によれば、機体4の周囲の状況に応じて、遠隔から適切にエンジン20の始動が可能な作業機械1及び遠隔操作システム90を提供することができる。その結果、本実施形態によれば、作業機械1の機体4の周囲に物体が検知されている場合、常に、エンジン20の始動を禁止する技術に比べて、作業機械1による作業の開始時期を早めることができ、作業効率を向上することができる。
【0171】
(2)作業機械1は、スピーカ(音出力装置)79を備えている。作業機械1の制御装置100は、通信装置65を介して携帯端末5から取得したオペレータの音声をスピーカ79によって出力させる。
【0172】
この構成によれば、例えば、オペレータは、携帯端末5を用いて作業機械1のスピーカ79から音声を出力することにより、作業機械1の機体4の周囲に存在する作業員に対して、機体4から離れるように促すことができる。これにより、エンジン20の始動の開始時期を早めることができ、作業効率を向上することができる。
【0173】
次のような変形例も本発明の範囲内であり、変形例に示す構成と上述の実施形態で説明した構成を組み合わせたり、以下の異なる変形例で説明する構成同士を組み合わせたりすることも可能である。
【0174】
<変形例1>
作業機械1は、上記実施形態の構成に加え、
図12に示すように、機体4に取り付けられ機体4の上方に存在する物体を検知する上方検知装置30Aと、機体4に取り付けられ機体4の上方を撮影する上方撮影装置35Aと、を備えていてもよい。上方検知装置30A及び上方撮影装置35Aは、例えば、運転室7の外郭の上面または背面に取り付けられる。
【0175】
上方検知装置30Aは、上記実施形態の物体検知装置30と同様、超音波、赤外線を利用して物体までの距離を測定可能な検知センサを備えている。なお、上方検知装置30Aは、ミリ波レーダ、3D-Lidarなどの検知センサを備えていてもよい。上方撮影装置35Aは、上記実施形態の撮影装置35と同様、CCD、CMOSなどの撮像素子と広角レンズを備えたカメラを備えている。
【0176】
制御装置100は、上方検知装置30Aにより検知された検知信号に基づいて、機体4の上方に物体が存在しているか否かを判定する。制御装置100は、通信装置65を介して携帯端末5からエンジン始動指令を取得した場合であって、機体4の周囲及び上方のいずれにも物体が存在していないと判定されているときには、エンジン20を始動する。
【0177】
制御装置100は、通信装置65を介して携帯端末5からエンジン始動指令を取得した場合であって、機体4の周囲に物体が存在していると判定されているときには、エンジン20を始動せずに、撮影装置35により撮影された映像のデータ及びエンジン20の始動承認要求を、通信装置65を介して携帯端末5に送信する。携帯端末5は、撮影装置35により撮影された映像及びエンジン20の始動承認要求を表示画面に表示する。
【0178】
制御装置100は、通信装置65を介して携帯端末5からエンジン始動指令を取得した場合であって、機体4の上方に物体が存在していると判定されているときには、エンジン20を始動せずに、上方撮影装置35Aにより撮影された映像のデータ及びエンジン20の始動承認要求を、通信装置65を介して携帯端末5に送信する。携帯端末5は、上方撮影装置35Aにより撮影された映像及びエンジン20の始動承認要求を表示画面に表示する。
【0179】
この構成によれば、携帯端末5からエンジン始動指令が送信された場合であっても、作業機械1の機体4の上方に作業員が存在している場合には、直ちにエンジン20が始動されることがない。このため、例えば、機体4の上でメンテナンス作業を行っている作業員が、冷却ファン27等の可動部、通電された電装品に接触してしまうことを防止できる。
【0180】
また、作業機械1の制御装置100は、作業員等が検知されている場合にエンジン始動指令を取得すると、上方撮影装置35Aにより撮影された映像のデータを携帯端末5に送信する。これにより、オペレータは、携帯端末5の表示画面に表示される作業機械1の機体4の上方の映像から冷却ファン27などの可動部や電装品の近くに作業員が位置していないことを確認することができる。オペレータは、作業機械1の可動部や電装品の近くに作業員がいないことを確認した上で承認操作を行うことにより、エンジン20を始動させることができる。これにより、作業機械1の機体4の周囲に物体が検知されている場合であってもエンジン20を始動させることができる。
【0181】
したがって、本第2実施形態によれば、機体4の周囲だけでなく、機体4の上方の状況に応じて、遠隔から適切にエンジン20の始動が可能な作業機械1及び遠隔操作システム90を提供することができる。
【0182】
<変形例2>
上記実施形態では、作業機械1のエンジン20の始動指令を送信する外部情報端末が、スマートフォン等の携帯端末5である例について説明したが、本発明はこれに限定されない。外部情報端末は、
図12に示すように、作業機械1の油圧アクチュエータを遠隔から操作可能な遠隔操作装置5Aであってもよい。
【0183】
遠隔操作装置5Aは、作業機械1の制御装置100と通信回線99を介して情報の授受を行う。遠隔操作装置5Aは、作業機械1と通信を行うための通信装置66Aと、作業機械1から送信される車体データ(画像データを含む)を表示画面に表示する表示装置51A1と、作業装置10、走行体2及び旋回体3の油圧アクチュエータの操作指令を出力する操作装置51A2と、通信装置66Aを介して取得した情報に基づいて表示装置51A1に画像を表示する制御、操作装置51A2の操作指令を、通信装置66Aを介して作業機械1に送信する制御を実行する端末コントローラ160Aと、オペレータの声を集音する集音装置としてのマイク52Aと、を備えている。
【0184】
オペレータに、エンジン20の始動後直ちに旋回体3を旋回させる意思がない場合には、エンジン20を始動させても作業員が旋回体3に接触することはない。このため、オペレータは、作業機械1の可動部や電装品の近くに作業員がいないことを確認した上で承認操作を行うことにより、エンジン20を始動させることができる。
【0185】
<変形例3>
上記実施形態では、物体検知装置30が4つの検知センサ31~34を備え、撮影装置35が4つのカメラ36~39を備えている例について説明したが、本発明はこれに限定されない。物体検知装置30は、機体4の周囲に存在する物体を検知する少なくとも1つ以上の検知センサを備えていればよい。また、撮影装置35は、機体4の周囲を撮影する少なくとも1つ以上のカメラを備えていればよい。
【0186】
<変形例4>
オペレータの本人認証処理として、キー認証処理が実行される例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、暗証番号による本人認証処理が実行されてもよいし、顔認証、指紋認証等による本人認証処理が実行されてもよい。
【0187】
<変形例5>
上記実施形態では、携帯端末5から作業機械1に直接送信される電波の強度に基づいて、携帯端末5が運転室7内に存在しているか否かを判定する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。
【0188】
例えば、運転室7内に携帯端末5と接続可能な接続端子を設け、携帯端末5が接続端子に接続されると、キーID163aを有線によりエンジン始動コントローラ110に出力する構成とする。この場合、エンジン始動コントローラ110は、携帯端末5が接続端子に接続されている場合には、携帯端末5が運転室7内に存在していると判定し、携帯端末5が接続端子に接続されていない場合には、携帯端末5が運転室7内に存在していないと判定する。
【0189】
<変形例6>
上記実施形態では、アクチュエータ操作センサ186a,186b,187a,187b,188a,188bが操作圧を検出する圧力センサである例について説明したが、本発明はこれに限定されない。アクチュエータ操作センサは、作業機械1のアクチュエータを動作させるための操作を検出できるものであればよく、例えば、アクチュエータ操作装置181,182,183の操作角(操作量)を検出可能なポテンショメータであってもよい。また、アクチュエータ操作センサとしては、作業機械1のアクチュエータが実際に動作したことを検出可能なセンサを採用してもよい。例えば、アクチュエータ操作センサ186a,186bに代えて、作業装置10の姿勢(角度)を検出する姿勢センサ(角度センサ)を採用してもよい。また、アクチュエータ操作センサ187a,187bに代えて、旋回用油圧モータ3aの回転数を検出する回転数センサを採用してもよい。さらに、アクチュエータ操作センサ188a,188bに代えて、走行用油圧モータ2aの回転数を検出する回転数センサを採用してもよい。
【0190】
<変形例7>
上記実施形態では、作業機械1がクローラ式の油圧ショベルである場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されない。ホイール式の油圧ショベル、ホイールローダ、フォークリフト、クローラクレーン、ダンプトラック等、油圧アクチュエータによって動作する作業装置を備える種々の作業機械に本発明を適用することができる。
【0191】
<変形例8>
上記実施形態では、各コントローラ110,120,130,140,150,160の処理装置がCPUである例について説明したが、本発明はこれに限定されない。処理装置は、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(application specific integrated circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などであってもよい。
【0192】
<変形例9>
また、原動機としてエンジンを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。電動モータや燃料電池等を原動機としても良く、これらを組み合わせたものを原動機としても良い。
【0193】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0194】
1…作業機械、2…走行体、2a…走行用油圧モータ(油圧アクチュエータ)、3…旋回体、3a…旋回用油圧モータ(油圧アクチュエータ)、4…機体、5…携帯端末(外部情報端末)、5A…遠隔操作装置(外部情報端末)、6…エンジン室、7…運転室、8…旋回フレーム、9…カウンタウエイト、10…作業装置、10a…油圧シリンダ(油圧アクチュエータ)、11…ブーム、11a…ブームシリンダ(油圧アクチュエータ)、12…アーム、12a…アームシリンダ(油圧アクチュエータ)、13…バケット、13a…バケットシリンダ(油圧アクチュエータ)、20…エンジン(原動機)、25…メインポンプ(油圧ポンプ)、27…冷却ファン、28…バッテリ、30…物体検知装置、30A…上方検知装置、31~34…検知センサ、35…撮影装置、35A…上方撮影装置、36~39…カメラ、51…タッチパネル、51a…暖機スイッチ、51b…警告メッセージ領域、51c…承認要求メッセージ領域、51d…映像表示領域、51e…操作領域、51f…始動許可ボタン、51g…始動中止ボタン、51h…音声出力ボタン、51i…表示変更ボタン、51A1…表示装置、51A2…操作装置、52,52A…マイク(集音装置)、60…ロックレバー装置(操作装置)、60a…ロックレバー操作センサ、61…IGスイッチ、65…通信装置、66,66A…通信装置、シャットオフ弁、79…スピーカ(音出力装置)、80…油圧駆動システム、81~83…コントロールバルブ、90…遠隔操作システム、99…通信回線、100…制御装置、110…エンジン始動コントローラ、113…不揮発性メモリ(記憶装置)、120…車体コントローラ、130…エンジンコントローラ、140…物体検知コントローラ、141…スターターリレー、142…ACCリレー、143…IGリレー、144…スターターモータ、150…映像コントローラ、160,160A…端末コントローラ、163…不揮発性メモリ(記憶装置)、181~183…操作装置、186a,186b,187a,187b,188a,188b…操作センサ