(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】回転電機の回転子の製造方法
(51)【国際特許分類】
H02K 15/03 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
H02K15/03 G
(21)【出願番号】P 2024548740
(86)(22)【出願日】2024-03-18
(86)【国際出願番号】 JP2024010546
【審査請求日】2024-08-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】神田 憲人
(72)【発明者】
【氏名】金田 健吾
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 遥平
【審査官】島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-61480(JP,A)
【文献】特開2014-121192(JP,A)
【文献】特開2015-186328(JP,A)
【文献】特開2000-253630(JP,A)
【文献】特開2007-267574(JP,A)
【文献】特開2000-50547(JP,A)
【文献】国際公開第2011/048652(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 15/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセグメント磁石のそれぞれの一部に仮着磁する仮着磁工程と、
仮着磁した各前記セグメント磁石の磁束量を測定する磁束量測定工程と、
測定した前記磁束量に基づいて各前記セグメント磁石の中から使用する複数の前記セグメント磁石を選別する磁石選別工程と、
選別した各前記セグメント磁石の中から磁極性が異なる各前記セグメント磁石をシャフト部の周方向に交互に並べて接着剤で前記シャフト部に貼り付ける磁石接着工程と、
前記接着剤の硬化時間内に各前記セグメント磁石を加圧するとともに各前記セグメント磁石の位置を矯正する磁石位置矯正工程と、
前記接着剤を硬化させる接着剤硬化工程と、
前記接着剤の硬化後に各前記セグメント磁石を本着磁する本着磁工程と、
を含
み、
前記磁石選別工程では、各前記セグメント磁石を前記シャフト部に貼り付けた際に前記周方向に隣り合う前記セグメント磁石同士の間の吸着力により各前記セグメント磁石の位置が変わらないことを条件として前記磁束量の上限値を設定するとともに、各前記セグメント磁石が前記シャフト部から滑り落ちないことを条件として前記磁束量の下限値を設定し、各前記セグメント磁石の中から、測定した前記磁束量が前記上限値から前記下限値までの範囲内にある複数の前記セグメント磁石を選別することを特徴とする回転電機の回転子の製造方法。
【請求項2】
前記仮着磁工程では、各前記セグメント磁石のうち前記接着剤を塗布する部分から仮着磁を行うことを特徴とする請求項1に記載の回転電機の回転子の製造方法。
【請求項3】
前記本着磁工程では、前記接着剤の硬化後に前記仮着磁工程と同一の磁極性で各前記セグメント磁石を本着磁することを特徴とする請求項1に記載の回転電機の回転子の製造方法。
【請求項4】
複数のセグメント磁石のそれぞれの一部に仮着磁する仮着磁工程と、
仮着磁した各前記セグメント磁石の磁束量を測定する磁束量測定工程と、
測定した前記磁束量に基づいて各前記セグメント磁石の中から使用する複数の前記セグメント磁石を選別する磁石選別工程と、
選別した各前記セグメント磁石の中から磁極性が異なる各前記セグメント磁石をシャフト部の周方向に交互に並べて接着剤で前記シャフト部に貼り付けるとともに各前記セグメント磁石を加圧する磁石接着工程と、
前記接着剤の硬化時間内に各前記セグメント磁石の位置を矯正する磁石位置矯正工程と、
前記接着剤を硬化させる接着剤硬化工程と、
前記接着剤の硬化後に各前記セグメント磁石を本着磁する本着磁工程と、
を含
み、
前記磁石選別工程では、各前記セグメント磁石を前記シャフト部に貼り付けた際に前記周方向に隣り合う前記セグメント磁石同士の間の吸着力により各前記セグメント磁石の位置が変わらないことを条件として前記磁束量の上限値を設定するとともに、各前記セグメント磁石が前記シャフト部から滑り落ちないことを条件として前記磁束量の下限値を設定し、各前記セグメント磁石の中から、測定した前記磁束量が前記上限値から前記下限値までの範囲内にある複数の前記セグメント磁石を選別することを特徴とする回転電機の回転子の製造方法。
【請求項5】
前記磁石接着工程では、仮着磁した各前記セグメント磁石の吸着力により前記接着剤を加圧することを特徴とする請求項
4に記載の回転電機の回転子の製造方法。
【請求項6】
前記本着磁工程では、前記接着剤の硬化後に前記仮着磁工程と同一の磁極性で各前記セグメント磁石を本着磁することを特徴とする請求項
4に記載の回転電機の回転子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回転電機の回転子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の回転電機の回転子として、永久磁石を備えた回転子が知られている。この種の回転子として、回転電機に用いた場合のコギングトルクを低減させるために、リング状の永久磁石からセグメント状の永久磁石(以下、「セグメント磁石」と称する)に分割して、さらにセグメント磁石の断面形状をかまぼこ状に形成した回転子が提案されている。
【0003】
各セグメント磁石は、シャフト単体の外周面、または、回転子鉄心とシャフトとで構成されるシャフト組立の回転子鉄心の外周面に周方向に並べられて貼り付けられている。以下、「シャフト単体」および「シャフト組立」を総じて「シャフト部」と称する。セグメント磁石をシャフト部の外周面に貼り付ける方法として、各セグメント磁石を着磁して、周方向に隣り合うセグメント磁石同士が互いに逆の磁極性となるように各セグメント磁石を配置してシャフト部の外周面に接着剤で貼り付ける方法が知られている。
【0004】
しかしながら、上記した従来の方法では、周方向に隣り合うセグメント磁石同士の間隔が狭い場合に、接着剤の硬化前にセグメント磁石同士の互いの吸着力によりセグメント磁石の位置ずれが生じることがある。
【0005】
このような位置ずれを解決するために、各セグメント磁石の幅を狭めて周方向に隣り合うセグメント磁石同士の間隔を広げる方法が考えられるが、そうすると回転電機のトルクが低下するという問題が生じる。
【0006】
上記した位置ずれを解決するために、特許文献1には、周方向に隣り合うセグメント磁石同士を同一の磁極性となるように仮着磁して、仮着磁した各セグメント磁石をシャフト部の外周面に接着剤で貼り付ける方法が開示されている。特許文献1に開示された方法では、周方向に隣り合うセグメント磁石同士の間に働く反発力を利用して、各セグメント磁石が周方向で等間隔に離れた状態に保持される。特許文献1に開示された方法では、各セグメント磁石が周方向で等間隔に離れた状態に保持されることにより、モータ特性が高い回転子を得ることができる。なお、特許文献1に開示された方法は、接着剤の硬化後に、周方向に隣り合うセグメント磁石同士が互いに逆の磁極性となるように各セグメント磁石を本着磁する本着磁工程を含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示された方法では、セグメント磁石を1枚ずつシャフト部の外周面に貼り付けていくと、2枚目のセグメント磁石を正規の位置に貼り付ける際にセグメント磁石同士の間に働く反発力により各セグメント磁石が正規の位置から移動する。3枚目以降のセグメント磁石を貼り付ける際にも同じように、セグメント磁石同士の間に働く反発力により各セグメント磁石が正規の位置から移動する。その結果、シャフト部の外周面に貼り付ける順番が後の方のセグメント磁石ほど、シャフト部の外周面上の空いているスペースが限られてしまい、セグメント磁石をシャフト部の外周面に貼り付けることが困難または不可能になる。
【0009】
したがって、特許文献1に開示された方法では、全てのセグメント磁石をシャフト部の外周面に一度に貼り付けるか、または、全てのセグメント磁石のシャフト部の外周面への貼り付けが完了するまで既に貼り付けたセグメント磁石を一時的に保持する必要がある。前者および後者のいずれの方法でも、セグメント磁石をシャフト部の外周面に貼り付けるための大掛かりな治具が必要となる。
【0010】
また、特許文献1に開示された方法では、仮着磁した各セグメント磁石(初磁化曲線の途中の各セグメント磁石)が未飽和状態であるため、仮着磁した各セグメント磁石に磁束量のばらつきが発生しやすい。そして、仮着磁した各セグメント磁石に磁束量のばらつきが発生すると、各セグメント磁石の吸着力にばらつきが発生して吸着力の低いセグメント磁石がシャフト部の外周面から滑り落ちたり、セグメント磁石同士の間に働く反発力にばらつきが発生して各セグメント磁石が周方向で等間隔に離れた状態に保持されなかったりする。このため、シャフト部の外周面における各セグメント磁石の貼付位置の精度が低いという問題がある。
【0011】
また、特許文献1に開示された方法では、周方向に隣り合うセグメント磁石同士の間に働く反発力を利用して各セグメント磁石の貼付位置を保持するため、周方向に隣り合うセグメント磁石同士を同一の磁極性となるように仮着磁する。これにより、仮着磁工程の後工程である本着磁工程にて一部のセグメント磁石を逆の磁極性とするために、高い着磁電圧を着磁ヨークに印加する必要がある。このため、着磁ヨークの寿命が短くなるという問題がある。
【0012】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、大掛かりな治具を用いることなく、シャフト部の外周面における各セグメント磁石の貼付位置の精度を高めつつ、着磁ヨークの寿命を延ばすことができる回転電機の回転子の製造方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示にかかる回転電機の回転子の製造方法は、複数のセグメント磁石のそれぞれの一部に仮着磁する仮着磁工程と、仮着磁した各セグメント磁石の磁束量を測定する磁束量測定工程と、測定した磁束量に基づいて各セグメント磁石の中から使用する複数のセグメント磁石を選別する磁石選別工程と、を含む。また、本開示にかかる回転電機の回転子の製造方法は、選別した各セグメント磁石の中から磁極性が異なる各セグメント磁石をシャフト部の周方向に交互に並べて接着剤でシャフト部に貼り付ける磁石接着工程と、接着剤の硬化時間内に各セグメント磁石を加圧するとともに各セグメント磁石の位置を矯正する磁石位置矯正工程と、接着剤を硬化させる接着剤硬化工程と、接着剤の硬化後に各セグメント磁石を本着磁する本着磁工程と、を含む。磁石選別工程では、各セグメント磁石をシャフト部に貼り付けた際に周方向に隣り合うセグメント磁石同士の間の吸着力により各セグメント磁石の位置が変わらないことを条件として磁束量の上限値を設定するとともに、各セグメント磁石がシャフト部から滑り落ちないことを条件として磁束量の下限値を設定し、各セグメント磁石の中から、測定した磁束量が上限値から下限値までの範囲内にある複数のセグメント磁石を選別する。
【発明の効果】
【0014】
本開示にかかる回転電機の回転子の製造方法は、大掛かりな治具を用いることなく、シャフト部の外周面における各セグメント磁石の貼付位置の精度を高めつつ、着磁ヨークの寿命を延ばすことができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施の形態1にかかる回転電機の回転子の構成を示した斜視図
【
図3】実施の形態1における仮着磁される前のセグメント磁石の構成を示した斜視図
【
図4】実施の形態1における仮着磁されたセグメント磁石の構成の一例を示した斜視図
【
図5】実施の形態1における仮着磁されたセグメント磁石の構成の別の例を示した斜視図
【
図6】実施の形態1における仮着磁されたセグメント磁石の構成の別の例を示した斜視図
【
図7】実施の形態1における仮着磁されたセグメント磁石がシャフトの外周面に貼り付けられた回転子の構成を示した断面図
【
図8】実施の形態1にかかる回転電機の回転子の製造方法の本着磁工程を示した断面図
【
図9】実施の形態2にかかる回転電機の回転子の構成を示した斜視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、実施の形態にかかる回転電機の回転子の製造方法を図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
実施の形態1.
はじめに、
図1および
図2を参照して、実施の形態1にかかる回転電機の回転子1の構成について説明する。
図1は、実施の形態1にかかる回転電機の回転子1の構成を示した斜視図である。
図2は、
図1に示されるII-II線に沿った断面図である。以下、回転電機の回転子1を回転子1と称する場合もある。
図1に示すように、回転子1は、シャフト部であるシャフト2と、複数のセグメント磁石3とを備えている。図示は省略するが、回転子1の外周には、回転子1とギャップを隔てて円筒形状の固定子が配置される。固定子は、複数のセグメント磁石3のそれぞれと向かい合う複数の巻線を備えている。回転子1および固定子は、図示しないフレームに収容される。回転子1と固定子とフレームとは、回転電機の構成部品である。回転子1は、回転軸AXを中心に固定子に対して回転する。以下、回転子1の各構成要素について方向を説明するときには、回転軸AXに平行な方向を軸方向、回転軸AXに直交する方向を半径方向、回転軸AXを中心とする回転方向を周方向とする。
【0018】
シャフト2は、例えば、炭素鋼板などの磁性材である。シャフト2は、軸方向に延びている。シャフト2は、回転軸AXと同軸に配置されている。シャフト2の形状は、本実施の形態では円柱形状である。具体的に、シャフト2の形状は、直径が異なる複数の円柱が軸方向に連なった形状である。
【0019】
各セグメント磁石3は、例えば、希土類焼結磁石などの永久磁石である。各セグメント磁石3は、シャフト2の外周面に配置されている。各セグメント磁石3は、接着剤によりシャフト2の外周面に貼り付けられている。複数のセグメント磁石3は、周方向に並べられている。複数のセグメント磁石3は、周方向に等角度で配置されている。
図2に示すように、各セグメント磁石3を軸方向に沿って見たときの形状は、概ねかまぼこ形状である。各セグメント磁石3は、半径方向の内側を向く内周面31と、半径方向の外側を向く外周面32とを有している。内周面31および外周面32は、いずれも、半径方向の外側に向かって凸となる円弧形状の面である。内周面31は、回転軸AXを中心とした円弧面である。
【0020】
各セグメント磁石3は、半径方向に磁路が向くように着磁されている。セグメント磁石3は、後記する本着磁工程にて本着磁されたセグメント磁石3Aおよびセグメント磁石3Bを含んでいる。セグメント磁石3Aは、半径方向の外側から内側に向かってNS極になったセグメント磁石である。セグメント磁石3Bは、半径方向の内側から外側に向かってNS極になったセグメント磁石である。セグメント磁石3Aとセグメント磁石3Bとは、周方向に交互に並べられている。すなわち、NS極方向が半径方向を向き、かつ、周方向に隣り合うセグメント磁石3A,3BでN極とS極とが向かい合うように、セグメント磁石3Aおよびセグメント磁石3Bが配置されている。
【0021】
次に、
図2から
図8を参照して、本実施の形態にかかる回転電機の回転子1の製造方法について説明する。
図3は、実施の形態1における仮着磁される前のセグメント磁石3の構成を示した斜視図である。
図4は、実施の形態1における仮着磁されたセグメント磁石3の構成の一例を示した斜視図である。
図5は、実施の形態1における仮着磁されたセグメント磁石3の構成の別の例を示した斜視図である。
図6は、実施の形態1における仮着磁されたセグメント磁石3の構成の別の例を示した斜視図である。
図7は、実施の形態1における仮着磁されたセグメント磁石3がシャフト2の外周面に貼り付けられた回転子1の構成を示した断面図である。
図8は、実施の形態1にかかる回転電機の回転子1の製造方法の本着磁工程を示した断面図である。
【0022】
本実施の形態にかかる回転電機の回転子1の製造方法は、仮着磁工程と、磁束量測定工程と、磁石選別工程と、磁石接着工程と、磁石位置矯正工程と、接着剤硬化工程と、本着磁工程とを含む。
【0023】
図4および
図5に示すように、仮着磁工程は、複数のセグメント磁石3のそれぞれの一部に仮着磁する工程である。仮着磁工程は、各セグメント磁石3の磁束量を調整するために行う。仮着磁工程では、本着磁工程で得られる磁極性と同じく、磁極性が異なる各セグメント磁石3をシャフト2の周方向に交互に並べられるように各セグメント磁石3を仮着磁する。具体的に、仮着磁工程では、
図3に示されるセグメント磁石3に仮着磁を行って、
図4に示される磁極性を備えたセグメント磁石3(以下、セグメント磁石3Cと称する)、または、
図5に示される磁極性を備えたセグメント磁石3(以下、セグメント磁石3Dと称する)を製造する。すなわち、仮着磁工程では、図示しない着磁ヨークを用いて、
図3に示されるセグメント磁石3に仮着磁を行って、異なる磁極性を備えたセグメント磁石3C,3Dを製造する。
図4および
図5では、各セグメント磁石3C,3Dの内周面31側に備えた磁極のみが図示されている。各セグメント磁石3C,3Dの外周面32側は、内周面31側とは逆の磁極を備えている。
図4に示されるセグメント磁石3Cの磁極は、半径方向の外側から内側に向かってNS極となる。
図5に示されるセグメント磁石3Dの磁極は、半径方向の内側から外側に向かってNS極となる。
【0024】
仮着磁工程では、セグメント磁石3のうち仮着磁する範囲(以下、仮着磁範囲33と称する)がセグメント磁石3の周方向および軸方向に対して対称となるように、セグメント磁石3を仮着磁する。仮着磁工程では、
図4に示されるセグメント磁石3Cに代えて、
図6に示されるセグメント磁石3Eを製造してもよい。つまり、仮着磁工程では、仮着磁範囲33がセグメント磁石3の周方向および軸方向に対して対称となるようにセグメント磁石3を仮着磁できれば、
図4に示される軸方向に延びる単一の仮着磁範囲33となるようにセグメント磁石3を仮着磁してもよいし、
図6に示されるように軸方向に互いに離隔する複数の仮着磁範囲33となるようにセグメント磁石3を仮着磁してもよい。図示は省略するが、
図5に示されるセグメント磁石3Dに代えて、軸方向に互いに離隔する複数の仮着磁範囲33となるように仮着磁したセグメント磁石3を製造してもよい。仮着磁範囲33がセグメント磁石3の周方向および軸方向に対して対称となるようにセグメント磁石3を仮着磁することにより、シャフト2に対するセグメント磁石3C,3Dの吸着力は、セグメント磁石3C,3Dのうち内周面31側の部分において均一となる。仮着磁工程では、各セグメント磁石3C,3Dの半径方向の内側から外側に向かって仮着磁を行うことが好ましい。換言すると、仮着磁工程では、各セグメント磁石3C,3Dのうち接着剤を塗布する部分(内周面31)から仮着磁を行うことが好ましい。
【0025】
磁束量測定工程は、仮着磁した各セグメント磁石3C,3Dの磁束量を測定する工程である。磁束量測定工程では、例えば、図示しないサーチコイルとフラックスメータとを用いて、仮着磁した各セグメント磁石3C,3Dの磁束量を測定する。
【0026】
磁石選別工程は、測定した磁束量に基づいて各セグメント磁石3C,3Dの中から使用する複数のセグメント磁石3C,3Dを選別する工程である。磁石選別工程では、各セグメント磁石3C,3Dをシャフト2に貼り付けた際に周方向に隣り合うセグメント磁石3C,3D同士の間の吸着力により各セグメント磁石3C,3Dの位置が変わらないことを条件として磁束量の上限値を設定するとともに、各セグメント磁石3C,3Dがシャフト2から滑り落ちないことを条件として磁束量の下限値を設定する。磁石選別工程では、各セグメント磁石3C,3Dの中から、測定した磁束量が上限値から下限値までの範囲内にある複数のセグメント磁石3C,3Dを選別する。
【0027】
図7に示すように、磁石接着工程は、選別した各セグメント磁石3C,3Dの中から磁極性が異なる各セグメント磁石3C,3Dをシャフト2の周方向に交互に並べて接着剤でシャフト2に貼り付ける工程である。磁石接着工程では、シャフト2に各セグメント磁石3C,3Dを貼り付けた位置で各セグメント磁石3C,3Dを保持する。具体的に、磁石接着工程では、まずシャフト2の外周面およびセグメント磁石3C,3Dの内周面31のうちいずれか一方に、接着剤を塗布する。2液硬化型の接着剤を用いる場合には、シャフト2の外周面およびセグメント磁石3C,3Dの内周面31のうちいずれか一方に主剤を塗布し、他方に硬化剤を塗布してもよい。
【0028】
続いて、磁石接着工程では、シャフト2を一定の角度ずつ回転させながらセグメント磁石3C,3Dを周方向に交互にシャフト2の外周面に等間隔で貼り付ける。このとき、セグメント磁石3C,3Dは、それぞれの磁力によりシャフト2の外周面に吸着する。このため、シャフト2を回転させながらセグメント磁石3C,3Dをシャフト2の外周面に貼り付ける際に、セグメント磁石3C,3Dがシャフト2に対して下側に位置してもシャフト2の外周面から脱落することはない。これにより、仮着磁された複数のセグメント磁石3C,3Dがシャフト2の外周面に周方向に交互に等間隔で配置された回転子1が得られる。
【0029】
周方向に隣り合うセグメント磁石3C,3Dは互いの位置が変わらない磁力となっており、各セグメント磁石3C,3Dはシャフト2の外周面に貼り付けられた位置で保持される。
【0030】
磁石位置矯正工程は、接着剤の硬化時間内に各セグメント磁石3C,3Dを加圧するとともに各セグメント磁石3C,3Dの位置を矯正する工程である。磁石位置矯正工程では、シャフト2の外周面に貼り付けた各セグメント磁石3C,3Dをシャフト2の外周面に押し付ける加圧力を制御することにより、接着剤の厚さを任意に調整して安定化させることができる。特開2012-120366号公報には、接着強度が接着剤の厚さに依存性があることが示されている。このため、上記のように加圧力を制御して接着剤の厚さを任意に調整して安定化させることにより、各セグメント磁石3C,3Dとシャフト2との間の接着強度が安定した回転子1が得られる。磁石位置矯正工程では、例えば、ばねを備えた加圧装置を用いてばねの弾性力により、各セグメント磁石3C,3Dを物理的に加圧する。磁石位置矯正工程では、図示しない治具を用いて、各セグメント磁石3C,3Dを周方向に等間隔に位置するように、かつ、各セグメント磁石3C,3Dを軸方向に揃えるように各セグメント磁石3C,3Dの位置を矯正する。各セグメント磁石3C,3Dの周方向の位置を矯正する際には、各セグメント磁石3C,3Dの移動量が少なくなるような治具と回転方法とを採用することが好ましい。
【0031】
接着剤硬化工程は、接着剤を硬化させる工程である。接着剤硬化工程を行うことにより、各セグメント磁石3C,3Dがシャフト2の外周面に移動不能に固定される。
【0032】
本着磁工程は、接着剤の硬化後に各セグメント磁石3C,3Dを本着磁する工程である。本着磁工程では、
図8に示すように、各セグメント磁石3C,3Dの半径方向の外側に複数の着磁ヨーク4を設置して、各着磁ヨーク4に巻回された着磁用コイル5に通電する。本着磁工程では、着磁用コイル5に通電することで着磁磁界を発生させる。このとき、半径方向の内側から外側に向かって磁束M1が貫通する着磁ヨーク4(
図8の紙面左側の着磁ヨーク4)と、半径方向の外側から内側に向かって磁束M2が貫通する着磁ヨーク4(
図8の紙面右側の着磁ヨーク4)とが周方向に交互に並ぶように各着磁ヨーク4の着磁用コイル5に通電する。本着磁工程では、仮着磁工程によって与えられる各セグメント磁石3C,3Dの磁極性と、本着磁工程によって与えられる各セグメント磁石3A,3Bの磁極性とが同じになるように、仮着磁された各セグメント磁石3C,3Dを備えた回転子1および着磁ヨーク4を配置する。すなわち、本着磁工程では、接着剤の硬化後に仮着磁工程と同一の磁極性で各セグメント磁石3C,3Dを本着磁する。本着磁工程を行うことにより、
図2に示されるセグメント磁石3A,3Bを備えた回転子1が得られる。そして、図示しないフレーム内に収容された固定子の内周に
図2に示される回転子1を配置するとともに、回転子1のシャフト2を図示しないベアリングで軸支する。これにより、回転電機の製造が完了する。
【0033】
次に、本実施の形態にかかる回転電機の回転子1の製造方法の効果について説明する。
【0034】
本実施の形態では、
図4および
図5に示すように、回転電機の回転子1の製造方法は、複数のセグメント磁石3のそれぞれの一部に仮着磁する仮着磁工程を含むことにより、各セグメント磁石3における仮着磁範囲33の限定化を実施することができる。また、回転電機の回転子1の製造方法は、仮着磁した各セグメント磁石3C,3Dの磁束量を測定する磁束量測定工程と、測定した磁束量に基づいて各セグメント磁石3C,3Dの中から使用する複数のセグメント磁石3C,3Dを選別する磁石選別工程とを含むことにより、磁束量の測定による各セグメント磁石3C,3Dの選別を実施することができる。具体的に、磁石選別工程では、各セグメント磁石3C,3Dをシャフト2に貼り付けた際に周方向に隣り合うセグメント磁石3C,3D同士の間の吸着力により各セグメント磁石3C,3Dの位置が変わらないことを条件として磁束量の上限値を設定するとともに、各セグメント磁石3C,3Dがシャフト2から滑り落ちないことを条件として磁束量の下限値を設定する。また、磁石選別工程では、各セグメント磁石3C,3Dの中から、測定した磁束量が上限値から下限値までの範囲内にある複数のセグメント磁石3C,3Dを選別する。
【0035】
このように各セグメント磁石3における仮着磁範囲33の限定化と磁束量の測定による各セグメント磁石3C,3Dの選別とを実施することにより、仮着磁した各セグメント磁石3C,3Dの磁力を、各セグメント磁石3C,3Dをシャフト2の外周面に貼り付けた位置で保持させることのみに利用することができる。これにより、周方向に隣り合うセグメント磁石3C,3D同士の間に吸着力および反発力が働かないため、セグメント磁石3C,3Dの位置ずれが起きにくい。したがって、セグメント磁石3C,3Dをシャフト2の外周面に1枚ずつ貼り付けることが可能である。すなわち、全てのセグメント磁石3C,3Dをシャフト2の外周面に一度に貼り付けたり、全てのセグメント磁石3C,3Dのシャフト2の外周面への貼り付けが完了するまで既に貼り付けたセグメント磁石3C,3Dを一時的に保持したりする必要がないため、セグメント磁石3C,3Dをシャフト2の外周面に貼り付けるための大掛かりな治具が不要となる。
【0036】
本実施の形態では、仮着磁した各セグメント磁石3C,3Dに磁束量のばらつきが発生した場合でも、磁束量の測定による各セグメント磁石3C,3Dの選別を実施することにより、磁束量のばらつきが少ない複数のセグメント磁石3C,3Dを使用することができる。また、本実施の形態では、回転電機の回転子1の製造方法は、接着剤の硬化時間内に各セグメント磁石3C,3Dの位置を矯正する磁石位置矯正工程を含んでいる。これらにより、シャフト2の外周面における各セグメント磁石3C,3Dの貼付位置の精度を高めることができる。すなわち、各セグメント磁石3C,3Dをシャフト2の外周面に貼り付ける際に、周方向だけでなく軸方向においても各セグメント磁石3C,3Dを位置決めすることができる。このため、シャフト2の外周面における各セグメント磁石3C,3Dの周方向および軸方向の貼付位置の精度を高めることができる。
【0037】
本実施の形態では、
図7に示すように、仮着磁した各セグメント磁石3C,3Dの磁力を、各セグメント磁石3C,3Dをシャフト2の外周面に貼り付けた位置で保持させることのみに利用することができるため、周方向に隣り合うセグメント磁石3C,3D同士を、互いに逆の磁極性となるように配置することが可能となる。すなわち、磁石接着工程にて磁極性が異なる各セグメント磁石3C,3Dをシャフト2の周方向に交互に並べて接着剤でシャフト2に貼り付けることが可能となる。これにより、本着磁工程では、接着剤の硬化後に仮着磁工程と同一の磁極性で各セグメント磁石3C,3Dを本着磁することができるため、仮着磁工程の後工程である本着磁工程にて各セグメント磁石3C,3Dを仮着磁工程とは逆の磁極性とする必要がない。したがって、本着磁工程にて高い着磁電圧を着磁ヨーク4に印加する必要がないため、着磁ヨーク4の寿命を延ばすことができるとともに、回転子1の製造工程における省エネルギー化を図ることができる。
【0038】
以上のように、本実施の形態では、大掛かりな治具を用いることなく、シャフト2の外周面における各セグメント磁石3C,3Dの貼付位置の精度を高めつつ、着磁ヨーク4の寿命を延ばすことができる。
【0039】
本実施の形態の仮着磁工程では、
図7に示される各セグメント磁石3C,3Dのうち接着剤を塗布する部分から仮着磁を行う。つまり、仮着磁工程では、各セグメント磁石3C,3Dの半径方向の内側から仮着磁を行う。これにより、回転子1のうち、モータ特性に関わる外周側部分への仮着磁の影響を軽減させるか、または、無くすことができる。また、仮着磁工程を行うことにより、本着磁工程にて高い着磁電圧を各セグメント磁石3C,3Dに印加する必要がないため、着磁ヨーク4の寿命を延ばすことができる。
【0040】
次に、実施の形態1の変形例について説明する。
【0041】
本実施の形態では、磁石位置矯正工程における加圧により、接着剤の厚さを任意に調整したが、これに限定されない。例えば、磁石位置矯正工程における加圧に代えて、磁石接着工程で各セグメント磁石3C,3Dを加圧することにより接着剤の厚さを任意に調整してもよい。磁石接着工程で各セグメント磁石3C,3Dを加圧する方法としては、例えば、各セグメント磁石3C,3Dをシャフト2の外周面に配置するためのバンドや吸着治具などで加圧する方法、仮着磁した各セグメント磁石3C,3Dの吸着力により加圧する方法が挙げられる。このように磁石接着工程で各セグメント磁石3C,3Dを加圧すると、回転子1の製造に加圧装置を使用することなく接着剤の厚さを任意に調整することができるため、回転子1の製造装置の簡素化を図れるとともに、製造費を削減することができる。また、磁石接着工程で各セグメント磁石3C,3Dを加圧すると、シャフト2の外周面への各セグメント磁石3C,3Dの配置と同時に各セグメント磁石3C,3Dの加圧を実施できるため、加工時間(サイクルタイム)の短縮を図ることができる。
【0042】
本実施の形態では、本着磁工程で接着剤の硬化後に仮着磁工程と同一の磁極性で各セグメント磁石3C,3Dを本着磁したが、本着磁工程で接着剤の硬化後に仮着磁工程と逆の磁極性で各セグメント磁石3C,3Dを本着磁してもよい。例えば、装置側の制約により仮着磁の方向が変えられない場合には、仮着磁工程で全てのセグメント磁石3を同一の磁極性となるように仮着磁した後に、本着磁工程にて一部のセグメント磁石3を逆の磁極性となるように本着磁してもよい。このようにしても、磁石選別工程を実施することにより、磁束量の大きいセグメント磁石3の使用を避けられる。したがって、磁石選別工程を実施しない特許文献1に開示された方法に比べて、本着磁工程にて着磁ヨーク4に印加する着磁電圧を下げられるため、着磁ヨーク4の寿命を延ばすことができるとともに、回転子1の製造工程における省エネルギー化を図ることができる。
【0043】
本実施の形態では、複数のセグメント磁石3をシャフト2単体の外周面に貼り付けたが、回転子鉄心とシャフト2とで構成されるシャフト組立の回転子鉄心の外周面に貼り付けてもよい。当該構成の場合、回転子1は、シャフト部であるシャフト組立と、シャフト組立の回転子鉄心の外周面に貼り付けられる複数のセグメント磁石3とを備える。シャフト2は、回転子鉄心の内周に配置されて回転子鉄心に連結される。回転子鉄心は、例えば、圧延鋼板または電磁鋼板の積層体、金属の削り出し品などであり、円筒形状などの筒形状に形成される。
【0044】
実施の形態2.
次に、
図9を参照して、実施の形態2にかかる回転電機の回転子1Aの製造方法について説明する。
図9は、実施の形態2にかかる回転電機の回転子1Aの構成を示した斜視図である。本実施の形態では、複数のセグメント磁石3を軸方向にも配置する点が、上記した実施の形態1と相違する。なお、実施の形態2では、上記した実施の形態1と重複する部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0045】
はじめに、実施の形態2にかかる回転電機の回転子1Aの構成について説明する。複数のセグメント磁石3は、周方向に並べられるとともに、軸方向に並べられている。つまり、本実施の形態では、複数のセグメント磁石3が周方向に並べられて配置された列が軸方向に2列ある。一方の列の各セグメント磁石3A,3Bの周方向の中心線と他方の列の各セグメント磁石3A,3Bの周方向の中心線とは、一直線上に配置されている。軸方向に隣り合うセグメント磁石3A,3B同士は、互いに接触している。軸方向に隣り合うセグメント磁石3A,3B同士は、同一の磁極性を備えている。つまり、セグメント磁石3Aが軸方向に並べられた列とセグメント磁石3Bが軸方向に並べられた列とが周方向に交互に配置されている。
【0046】
次に、
図7および
図9を参照して、本実施の形態にかかる回転電機の回転子1Aの製造方法について説明する。
【0047】
本実施の形態にかかる回転電機の回転子1Aの製造方法は、仮着磁工程と、磁束量測定工程と、磁石選別工程と、磁石接着工程と、磁石位置矯正工程と、接着剤硬化工程と、本着磁工程とを含む。磁石接着工程および磁石位置矯正工程以外は、上記した実施の形態1にかかる回転電機の回転子1の製造方法と概ね同じであるため、ここではその説明を省略する。実施の形態2にかかる回転電機の回転子1Aの製造方法で用いる仮着磁したセグメント磁石3C,3Dの構成は実施の形態1と同一である(
図7参照)。
【0048】
磁石接着工程は、選別した各セグメント磁石3の中から磁極性が異なる各セグメント磁石3C,3Dをシャフト2の周方向に交互に並べて接着剤でシャフト2に貼り付けるとともに、選別した各セグメント磁石3の中から磁極性が同一の各セグメント磁石3C,3Dをシャフト2の軸方向に並べて接着剤でシャフト2に貼り付ける工程である。まず、磁石接着工程では、一方の列の各セグメント磁石3C,3Dをシャフト2の周方向に交互に並べて接着剤でシャフト2に貼り付ける。続いて、磁石接着工程では、他方の列の各セグメント磁石3C,3Dをシャフト2の周方向に交互に並べて接着剤でシャフト2に貼り付ける。
【0049】
磁石位置矯正工程は、接着剤の硬化時間内に各セグメント磁石3C,3Dを加圧するとともに各セグメント磁石3C,3Dの位置を矯正する工程である。磁石位置矯正工程では、図示しない治具を用いて、各セグメント磁石3C,3Dを周方向に等間隔に位置するように、かつ、各セグメント磁石3C,3Dを軸方向に揃えるように各セグメント磁石3C,3Dの位置を矯正する。
【0050】
次に、本実施の形態にかかる回転電機の回転子1Aの製造方法の効果について説明する。
【0051】
本実施の形態では、回転電機の回転子1Aの製造方法は、選別した各セグメント磁石3の中から磁極性が異なる各セグメント磁石3C,3Dをシャフト2の周方向に交互に並べて接着剤でシャフト2に貼り付けるとともに、選別した各セグメント磁石3の中から磁極性が同一の各セグメント磁石3C,3Dをシャフト2の軸方向に並べて接着剤でシャフト2に貼り付ける磁石接着工程を含む。また、本実施の形態では、回転電機の回転子1Aの製造方法は、接着剤の硬化時間内に各セグメント磁石3C,3Dの位置を矯正する磁石位置矯正工程を含んでいる。これらにより、各セグメント磁石3C,3Dをシャフト2の外周面に貼り付ける際に、周方向だけでなく軸方向においても各セグメント磁石3C,3Dを位置決めすることができる。このため、シャフト2の外周面における各セグメント磁石3C,3Dの周方向および軸方向の貼付位置の精度を高めることができる。
【0052】
次に、実施の形態2の変形例について説明する。
【0053】
本実施の形態では、複数のセグメント磁石3が周方向に並べられて配置された列が軸方向に2列であるが、3列以上の複数列でもよい。
【0054】
本実施の形態では、一方の列の各セグメント磁石3C,3Dをシャフト2に貼り付けた後に、他方の列の各セグメント磁石3C,3Dをシャフト2に貼り付けたが、これに限定されない。例えば、一方の列の各セグメント磁石3C,3Dと、他方の列の各セグメント磁石3C,3Dと、をシャフト2に交互に貼り付けてもよい。
【0055】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0056】
1,1A 回転子、2 シャフト、3,3A,3B,3C,3D,3E セグメント磁石、4 着磁ヨーク、5 着磁用コイル、31 内周面、32 外周面、33 仮着磁範囲、AX 回転軸、M1,M2 磁束。
【要約】
回転電機の回転子(1)の製造方法は、複数のセグメント磁石(3)のそれぞれの一部に仮着磁する仮着磁工程と、仮着磁した各セグメント磁石(3)の磁束量を測定する磁束量測定工程と、測定した磁束量に基づいて各セグメント磁石(3)の中から使用する複数のセグメント磁石(3)を選別する磁石選別工程と、選別した各セグメント磁石(3)の中から磁極性が異なる各セグメント磁石(3)をシャフト部の周方向に交互に並べて接着剤でシャフト部に貼り付ける磁石接着工程と、接着剤の硬化時間内に各セグメント磁石(3)を加圧するとともに各セグメント磁石(3)の位置を矯正する磁石位置矯正工程と、接着剤を硬化させる接着剤硬化工程と、接着剤の硬化後に各セグメント磁石(3)を本着磁する本着磁工程と、を含む。