(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】選別システム、および選別方法
(51)【国際特許分類】
B03C 7/02 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
B03C7/02 B
(21)【出願番号】P 2024553548
(86)(22)【出願日】2024-04-02
(86)【国際出願番号】 JP2024013655
【審査請求日】2024-09-09
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2023 年度、独立行政法人環境再生保全機構、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)課題「サーキュラーエコノミーシステムの構築」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】中村 保博
(72)【発明者】
【氏名】黒田 真司
(72)【発明者】
【氏名】木本 勲
(72)【発明者】
【氏名】小池 徹弥
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】特許第7367269(JP,B1)
【文献】特開平07-251901(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B03C 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリサイクル工程のうち複数種類の材料を含む混合物を材料の種類ごとに選別する選別工程を行う選別装置と、
情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記情報に基づいて前記選別装置の選別条件を算出する演算部と、前記演算部により算出された選別条件を前記選別装置に送信する送信部と、を備える演算装置と、
前記複数のリサイクル工程に対応した複数のリサイクル履歴情報を記憶する情報記憶システムと、を備え、
前記取得部は、選別対象混合物に関連する情報を前記選別装置から取得し、前記選別対象混合物に関連する前記リサイクル履歴情報を前記情報記憶システムから取得し、
前記演算部は、前記選別装置から取得した選別対象混合物に関連する情報、および、前記情報記憶システムから取得した前記選別対象混合物に関連する前記リサイクル履歴情報に基づいて前記選別条件を算出する、
選別システム。
【請求項2】
前記情報記憶システムは、複数のリサイクル工程に対応した複数のリサイクル業者装置と、前記複数のリサイクル業者装置から取得した前記リサイクル履歴情報を管理する情報管理装置とを備え、
前記リサイクル業者装置のそれぞれは、自装置に対応したリサイクル工程に関するリサイクル履歴情報を前記情報管理装置に記憶させ、
前記情報管理装置は、前記複数のリサイクル履歴情報の紐づけ情報を管理する、
請求項1に記載の選別システム。
【請求項3】
前記取得部は、前記選別装置から取得した選別対象混合物に関連する情報に基づいて前記選別対象混合物を使用した製品情報を前記情報記憶システムから取得し、
前記演算部は、前記選別装置から取得した選別対象混合物に関連する情報、および、前記情報記憶システムから取得した前記製品情報に基づいて前記選別条件を算出する、
請求項1に記載の選別システム。
【請求項4】
前記取得部は、前記選別装置から取得した選別対象混合物に関連する情報に基づいて前記選別対象混合物に含まれるプラスチック片の詳細情報を前記情報記憶システムから取得し、
前記演算部は、前記選別装置から取得した選別対象混合物に関連する情報、および、前記情報記憶システムから取得した前記詳細情報に基づいて前記選別条件を算出し、
前記詳細情報は、前記プラスチック片の組成、粒度、色、添加剤、表面加工、表面汚染度、または、リサイクル回数に関連する情報の少なくとも一つを含む、
請求項1に記載の選別システム。
【請求項5】
複数の前記選別装置を備え、
前記取得部は、前記選別対象混合物のリサイクル工程に含まれる前記選別装置が行う選別とは別の選別工程に関連する選別工程情報を前記情報記憶システムから取得し、
前記演算部は、前記選別装置から取得した選別対象混合物に関連する情報、および、前記情報記憶システムから取得した前記選別工程情報に基づいて前記選別条件を算出する、
請求項1に記載の選別システム。
【請求項6】
前記取得部は、前記選別装置から取得した選別対象混合物に関連する情報に基づいて前記選別工程の後の工程に関連する後工程情報を前記情報記憶システムから取得し、
前記演算部は、前記選別装置から取得した選別対象混合物に関連する情報、および、前記情報記憶システムから取得した前記後工程情報に基づいて前記選別条件を算出する、
請求項1に記載の選別システム。
【請求項7】
前記取得部は、前記選別装置から取得した選別対象混合物に関連する情報に基づいて前記複数のリサイクル工程において循環されている材料の種類ごとの循環量を示す循環量情報を前記情報記憶システムから取得し、
前記演算部は、前記選別装置から取得した選別対象混合物に関連する情報、および、前記情報記憶システムから取得した前記循環量情報に基づいて前記選別条件を算出する、
請求項1に記載の選別システム。
【請求項8】
前記取得部は、前記選別装置から取得した前記選別対象混合物に関連する情報および前記選別装置の選別結果を示す選別結果情報を取得し、
前記送信部は、前記取得部により取得した前記選別対象混合物に関連する情報および前記選別結果情報を前記情報記憶システムに送信する、
請求項1に記載の選別システム。
【請求項9】
前記送信部は、前記選別装置が動作を停止しているときに前記取得部により取得した情報を前記情報記憶システムに送信する、請求項1に記載の選別システム。
【請求項10】
前記選別装置は前記混合物に含まれる樹脂の種別毎の帯電量の違いを利用して選別を行う静電選別装置である、請求項1に記載の選別システム。
【請求項11】
前記選別装置は前記混合物に含まれる樹脂の種別毎の比重の違いを利用して選別を行う比重式選別装置である、請求項1に記載の選別システム。
【請求項12】
前記選別装置は選別対象の前記混合物に含まれる樹脂の種別毎の撮像画像の違いを利用して選別を行う光学式選別装置である、請求項1に記載の選別システム。
【請求項13】
演算装置が、複数種類の材料を含む選別対象混合物に関連する情報を選別装置から取得するステップと、
前記演算装置が、複数のリサイクル工程に対応した複数のリサイクル履歴情報を記憶する情報記憶システムから前記選別対象混合物に関連する前記リサイクル履歴情報を取得するステップと、
前記演算装置が、前記選別装置から取得した選別対象混合物に関連する情報、および、前記情報記憶システムから取得した前記選別対象混合物に関連する前記リサイクル履歴情報に基づいて選別条件を算出するステップと、
前記演算装置が、前記選別条件を示す情報を前記選別装置に送信するステップと、
前記選別装置が、複数種類の材料を含む混合物を材料の種類ごとに選別するステップと、
を含む、選別方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、選別システム、および選別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数種類の物体を含む混合物を物体の種類毎に選別する技術が知られている。この選別技術において、例えば、混合物に含まれる複数種類の物体を帯電させ、静電選別により特定の物体をリサイクル対象の物体として選別する静電選別装置がある。静電選別といった選別工程などのリサイクル工程に関する技術として、例えば下記の特許文献1、2に記載された技術が知られている。
【0003】
特許文献1のリサイクル金属カウンティングシステムは、回収した金属含有物を、分解業者が部品毎に分別し、回収業者、分解業者、鉄鋼製造業者、アルミ製錬業者、非鉄製錬業者などの業者が部品を処理してリサイクル金属を回収し、製造会社へ戻す循環型社会システムで、金属含有物の総量、回収した各種のリサイクル金属とその量とを明示している。このリサイクル金属カウンティングシステムは、ホストコンピュータと各業者用の複数のクライアントとを備える。ホストコンピュータは、金属含有物の総量に基づいて、分解業者で部品毎に分別される予想量、各業者で搬入される予想量、各業者で処理されて回収されるリサイクル金属の予想量を記憶する。各業者用の複数のクライアントは、ホストコンピュータに記憶されている自己の業務に関連する予想量を修正している。
【0004】
特許文献2のリサイクル装置は、機器に付加されている第1の製品情報を読み込む入力手段と、機器に付加されている第1の製品情報と対応した当該機器の照合、解体、分別するための情報の機器回収解体情報データベースを記憶する記憶手段と、入力手段で得た機器の第1の製品情報と機器回収解体情報データベースに対応した当該機器を照合する照合手段とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-164792号公報
【文献】特開2002-197147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した静電選別装置において、高い精度で選別を行うためには十分なデータを収集する必要がある。しかし、顧客が静電選別装置を導入した直後や、静電選別装置に投入する材料に大幅な変動があった場合、データ収集に時間を要し、十分なデータが収集されるまでの期間において選別効率が低下する課題があった。
【0007】
上述した特許文献1、2に記載された技術は、他の工程で得られた情報を選別工程に利用することは記載されていないため、選別工程の精度向上を図ることはできなかった。
【0008】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであり、リサイクル工程における情報を選別工程に利用することによって混合物に対する選別の精度を高くすることができる選別システム、および選別方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は上述した課題を解決するためになされたもので、本開示の一態様は、複数のリサイクル工程のうち複数種類の材料を含む混合物を材料の種類ごとに選別する選別工程を行う選別装置と、情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記情報に基づいて前記選別装置の選別条件を算出する演算部と、前記演算部により算出された選別条件を前記選別装置に送信する送信部と、を備える演算装置と、前記複数のリサイクル工程に対応した複数のリサイクル履歴情報を記憶する情報記憶システムと、を備え、前記取得部は、選別対象混合物に関連する情報を前記選別装置から取得し、前記選別対象混合物に関連する前記リサイクル履歴情報を前記情報記憶システムから取得し、前記演算部は、前記選別装置から取得した選別対象混合物に関連する情報、および、前記情報記憶システムから取得した前記選別対象混合物に関連する前記リサイクル履歴情報に基づいて前記選別条件を算出する、選別システムである。
【0010】
本開示の他の態様は、演算装置が、複数種類の材料を含む選別対象混合物に関連する情報を選別装置から取得するステップと、前記演算装置が、複数のリサイクル工程に対応した複数のリサイクル履歴情報を記憶する情報記憶システムから前記選別対象混合物に関連する前記リサイクル履歴情報を取得するステップと、前記演算装置が、前記選別装置から取得した選別対象混合物に関連する情報、および、前記情報記憶システムから取得した前記選別対象混合物に関連する前記リサイクル履歴情報に基づいて選別条件を算出するステップと、前記演算装置が、前記選別条件を示す情報を前記選別装置に送信するステップと、前記選別装置が、複数種類の材料を含む混合物を材料の種類ごとに選別するステップと、を含む、選別方法である。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、混合物に対する選別の精度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1の実施の形態における静電選別システム1の一例を示すブロック図である。
【
図2】第1の実施の形態における情報記憶システム500の一例を示すブロック図である。
【
図3】第1の実施の形態における学習部308の一例を示すブロック図である。
【
図4】第1の実施の形態における静電選別装置100の一例を示す図である。
【
図5】第1の実施の形態における第1の演算部204の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】第1の実施の形態における静電選別システム1の動作の一例を示すシーケンス図である。
【
図7】第1の実施の形態におけるエッジサーバ装置200および演算装置300の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】第2の実施の形態における比重式選別装置600の一例を示す図である。
【
図9】第3の実施の形態における光学式選別装置700の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を適用した選別システム、および選別方法を、図面を参照して説明する。
【0014】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態における静電選別システム1の一例を示すブロック図である。静電選別システム1は、例えば、複数の静電選別装置100A、100B、100C、・・・と、複数のエッジサーバ装置200A、200B、200C、・・・と、演算装置300と、データベース装置400と、情報記憶システム500とを備える。以下の説明において、複数の静電選別装置を総称する場合には「静電選別装置100」と記載し、複数のエッジサーバ装置を総称する場合には「エッジサーバ装置200」と記載する。なお、実施の形態の静電選別システム1はエッジサーバ装置200を備えているが、これに限定されない。静電選別システム1は、エッジサーバ装置200を備えずに通信ネットワークNWを介して静電選別装置100と演算装置300とが接続されていてよい。
【0015】
静電選別装置100およびエッジサーバ装置200と、演算装置300と、データベース装置400と、情報記憶システム500とは、インターネット等の通信ネットワークNWに接続するためのNIC(Network Interface Card)または無線通信モジュールなどの通信インターフェース(不図示)を有する。通信ネットワークNWは、例えばインターネット等の汎用ネットワーク、およびローカル5GまたはWiFi(登録商標)などのプライベートなネットワークを含んでよい。
【0016】
なお、実施の形態において、混合物に含まれる樹脂(プラスチック)の種別毎の帯電量の違いを利用して選別を行う静電選別装置100を選別装置として説明するが、これに限定されない。実施の形態の静電選別システム1は、複数種類の材料を含む混合物を材料の種類ごとに選別する選別装置であればよい。実施の形態の静電選別システム1は、例えば、金属またはガラスを含む混合物から特定の物体を選別する選別装置にも適用可能であり、食品を含む混合物から特定の物体を選別する選別装置にも適用可能である。
【0017】
静電選別装置100は、複数のリサイクル工程のうち複数種類の樹脂片を含む混合物(以下、原料とも呼ぶ。)を樹脂の種類毎に選別する選別工程を行う。静電選別装置100の選別対象は、リサイクル対象物である。リサイクル対象物は、帯電特性が異なる複数種のプラスチック片を含む。静電選別装置100は、例えば、検出部102と、選別部104と、受信部106と、送信部108とを備える。検出部102は、センシングデータを検出する。センシングデータは、混合物の状態を示すデータである。選別部104は、混合物からプラスチック片を選別する動作を行う。受信部106は、エッジサーバ装置200から制御命令を受信する。送信部108は、センシングデータをエッジサーバ装置200に送信する。
【0018】
エッジサーバ装置200は、例えば、静電選別装置100および演算装置300と通信を行う機能を持つ情報処理装置である。エッジサーバ装置200は、例えば、一つの工場に設置された静電選別装置100に対応して設置される。エッジサーバ装置200と静電選別装置100とは、例えば工場内に設けられたLAN回線などの通信回線により接続される。
【0019】
エッジサーバ装置200は、例えば、取得部202と、第1の演算部204と、受信部206と、送信部208と、制御部210とを備える。第1の演算部204および制御部210は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサがプログラムメモリに格納されたプログラムを実行することで実現される機能部である。取得部202は、例えばLAN回線を介して静電選別装置100に接続される。取得部202は、混合物情報、動作状態情報、および選別結果情報を取得する。混合物情報は、静電選別装置100における混合物に関する情報である。混合物情報は、例えば、材料の種類、組成、および粒度の少なくとも一つを含む情報であってもよい。動作状態情報は、静電選別装置100の動作状態を示す情報である。動作状態情報は、例えば、静電界を発生させるための電圧値や仕切り版位置などである。選別結果情報は、静電選別装置100の選別結果を示す情報である。選別結果情報は、例えば、選別された樹脂の純度および回収量などである。
【0020】
第1の演算部204は、取得部202により取得された混合物情報、動作状態情報、および選別結果情報の少なくとも一つに対して第1の演算処理を行う。第1の演算処理は、例えば、混合物情報、動作状態情報、および選別結果情報のうち少なくとも一部の情報を抽出する処理である。第1の演算処理は、例えば、混合物情報、動作状態情報、および選別結果情報を整理することによって演算装置300に送信するデータ量を削減する処理である。送信部208は、第1の演算部204より第1の演算処理が行われた情報を送信する。
【0021】
受信部206は、演算装置300から選別条件を受信する。制御部210は、受信部206により受信された選別条件に基づいて静電選別装置100を制御する。選別条件は、静電選別装置100を動作する目標値となる情報である。具体的に、選別条件は、電界発生部130に印加する電圧値の目標値、仕切り板位置の目標値などである。
【0022】
演算装置300は、例えば、エッジサーバ装置200からの要求に応じて処理を行い、エッジサーバ装置200に処理結果を送信するサーバとしての機能を持つ情報処理装置である。演算装置300は、例えば、複数のエッジサーバ装置200に対応した一つの装置である。
【0023】
演算装置300は、例えば、取得部302と、第2の演算部304と、学習済モデル306と、学習部308と、送信部310と、を備える。第2の演算部304および学習部308は、例えばCPU等のプロセッサがプログラムメモリに格納されたプログラムを実行することで実現される機能部である。
【0024】
取得部302は、選別対象混合物に関連する情報を静電選別装置100から取得し、選別対象混合物に関連するリサイクル履歴情報を情報記憶システム500から取得する。選別対象混合物は、静電選別装置100に供給された選別対象の混合物である。第2の演算部304は、静電選別装置100から取得した選別対象混合物に関連する情報、および、情報記憶システム500から取得した選別対象混合物に関連するリサイクル履歴情報に基づいて選別条件を算出する。学習済モデル306は、第2の演算処理に用いられる機械学習モデルである。学習部308は、学習済モデル306を学習させる処理を行う。送信部310は、第2の演算部304により算出された選別条件を、エッジサーバ装置200を介して静電選別装置100に送信する。なお、第2の演算部304は、学習済モデル306を用いることなく、演算式を用いた演算処理や、ルールベースの演算処理によって選別条件を演算してよい。
【0025】
データベース装置400は、データ記憶装置、およびデータベース(DB)を構築するプロセッサ等を備える情報処理装置である。データベース装置400は、例えば、ユーザデータベース410と、選別装置データベース412と、学習済モデル414とを記憶する。ユーザデータベース410は、例えば、静電選別装置100のユーザ、業種、商品などを特定するユーザ情報と学習済モデル414とを対応付けたデータベースである。選別装置データベース412は、静電選別装置100ごとの混合物情報、動作状態情報(センシングデータ)、選別結果情報を対応付けたデータベースである。学習済モデル414は、学習データを示す情報、機械学習モデルを特定するための処理パラメータ等の学習済モデルを特定するための情報である。学習済モデル414は、樹脂片の種類別、組成別、粒度別に構築されてよい。学習済モデル414は、ユーザごと、業界ごと、商品ごとに構築されてよい。
【0026】
実施の形態における静電選別システム1は、複数の静電選別装置100A、100B、100Cと、複数の静電選別装置100A、100B、100Cのそれぞれに対応した複数のエッジサーバ装置200A、200B、200Cと、複数のエッジサーバ装置200A、200B、200Cに対応した一つの演算装置300を備える。第2の演算部304は、複数のエッジサーバ装置200A、200B、200Cにより送信された複数の選別条件に基づいて一つの静電選別装置100の選別条件を演算してよい。静電選別システム1は、これに限定されず、例えば、静電選別装置100とエッジサーバ装置200と演算装置300とが一台ずつであってよい。
【0027】
情報記憶システム500は、複数のリサイクル工程に対応した複数のリサイクル履歴情報を記憶する情報処理装置を含む。複数のリサイクル工程は、例えば、選別工程、素材製造工程、製品製造工程、使用工程、回収工程、分別工程、および粉砕工程を含む。複数のリサイクル工程は、静電選別装置100により行われる選別工程、選別工程前の工程である上流工程、および選別工程後の下流工程を含む。上流工程は、例えば、粉砕工程である。下流工程は、例えば素材製造工程である。
【0028】
図2は、第1の実施の形態における情報記憶システム500の一例を示すブロック図である。情報記憶システム500は、複数のリサイクル工程に対応した複数のリサイクル業者装置(510A、510B、510C、D、510E、510F)と、複数のリサイクル業者装置から取得したリサイクル履歴情報を管理する情報管理装置520とを備える。リサイクル業者装置は、例えば、粉砕業者装置510Aと、素材製造業者装置510B、製品製造業者装置510C、使用者装置510D、回収業者装置510E、および分別業者装置510Fの少なくも一つである。なお、粉砕業者装置510Aと、素材製造業者装置510B、製品製造業者装置510C、使用者装置510D、回収業者装置510E、および分別業者装置510Fを総称する場合には「リサイクル業者装置510」と記載する。
【0029】
リサイクル業者装置510は、例えば、取得部512と、情報処理部514と、送信部516とを備える。取得部512および送信部516は、例えば、通信ネットワークNWを介して他の装置と通信を行う通信回路である。情報処理部514は、例えば、CPUによりプログラムを実行することにより実現される機能部である。
【0030】
取得部512は、情報管理装置520からリサイクル品に関するリサイクル履歴情報を取得する。例えば、演算装置300(選別業者)は、選別工程よりも上流工程の混合プラスチックに関するリサイクル履歴情報を取得する。リサイクル履歴情報は、例えば、上流工程のリサイクル品を特定する情報と、リサイクル工程により加工されたリサイクル品を特定する情報との対応関係を示す情報である。リサイクル履歴情報は、リサイクル品の詳細情報を含んでよい。リサイクル品の詳細情報は、例えば、プラスチック片の組成、粒度、色、添加剤、表面加工、表面汚染度、または、リサイクル回数に関連する情報の少なくとも一つを含んでよい。
情報処理部514は、リサイクル履歴情報を作成する。
送信部516は、リサイクル履歴情報を情報管理装置520に送信する。
【0031】
リサイクル品には、ブロックチェーン技術によって紐づけが行われる。ブロックチェーン技術は、複数のリサイクル業者装置510によって同一のデータを分散して記憶する仕組みである。リサイクル業者装置510および情報管理装置520は、例えば、同一の単一プラスチックを用いた素材に関する情報、製品または部品に関する情報、混合物に関する情報を同一のリサイクル履歴情報に含めてよい。各リサイクル業者は、リサイクル履歴情報を参照することにより、単一プラスチック、素材、製品または部品、回収品、分別物、粉砕物の紐づけを確認することができる。
【0032】
情報管理装置520は、取得部522と、情報処理部524と、送信部526とを備える。取得部522および送信部526は、例えば、通信ネットワークNWを介して他の装置と通信を行う通信回路である。情報処理部524は、例えば、CPUによりプログラムを実行することにより実現される機能部である。
【0033】
取得部522は、リサイクル業者装置510からリサイクル履歴情報を取得する。
【0034】
情報処理部524は、複数のリサイクル履歴情報の紐づけ情報を管理する。情報処理部524は、例えば、複数のリサイクル業者装置510から取得した複数のリサイクル履歴情報を対応付ける紐づけ情報を生成する。紐づけ情報は、例えば、演算装置300が選別した単一プラスチックを識別する識別情報である。演算装置300が選別した単一プラスチックを使用した素材、製品または部品には、演算装置300が選別した単一プラスチックを識別する識別情報を読み取るためのコードが貼付される。これにより、情報処理部524は、例えば、単一プラスチック、素材、製品または部品、使用者、回収された製品または部品、分別された製品または部品、および、粉砕された混合プラスチックを対応付けて複数のリサイクル履歴情報を記憶することができる。
【0035】
送信部526は、リサイクル業者装置510から受け付けた要求に応じてリサイクル履歴情報を送信する。送信部526は、例えば、演算装置300からの要求に応じて選別対象混合物に対応したリサイクル履歴情報を演算装置300に送信する。
【0036】
粉砕業者装置510Aは粉砕業者により使用される情報処理装置である。素材製造業者装置510Bは素材製造業者により使用される情報処理装置である。製品製造業者装置510Cは製品製造業者により使用される情報処理装置である。使用者装置510Dは使用者により使用される情報処理装置である。回収業者装置510Eは回収業者により使用される情報処理装置である。分別業者装置510Fは分別業者により使用される情報処理装置である。演算装置300は、情報記憶システム500における選別業者装置である。リサイクル業者装置510のそれぞれは、自装置に対応したリサイクル工程に関するリサイクル履歴情報を情報管理装置520に記憶させる。
【0037】
リサイクル工程は、例えば、粉砕工程、選別工程、素材製造工程、製品製造工程、使用工程、回収工程、および分別工程を含む。
選別工程は、静電選別装置100によって混合物を複数種類のプラスチック片に選別する工程である。選別工程は混合プラスチックを単一プラスチックに選別する。単一プラスチックは選別工程によりリサイクルされたリサイクル品である。
素材製造工程は、素材製造業者によって選別工程を経た単一プラスチックから素材を製造する工程である。
製品製造工程は、製品製造業者によって素材製造工程を経た素材から製品や部品を製造する工程である。
使用工程は、使用者によって、製品製造工程を経た製品または部品を使用する工程である。
回収工程は、回収業者によって、使用工程を経た製品または部品を回収する工程である。
分別工程は、分別業者によって、分別業者によって、回収工程を経た製品または部品を分別する工程である。
粉砕工程は、粉砕業者によって、分別工程を経た製品または部品を混合物に粉砕する工程である。
【0038】
このように複数のリサイクル工程によって各工程により加工されたリサイクル品が循環される。粉砕業者装置510A、素材製造業者装置510B、製品製造業者装置510C、使用者装置510D、回収業者装置510E、および分別業者装置510Fは、各工程に関連する情報をリサイクル履歴情報として情報管理装置520に送信する。情報管理装置520は、複数のリサイクル工程に対応した複数のリサイクル履歴情報を記憶する。
【0039】
情報記憶システム500は、例えば、粉砕業者装置510Aと、素材製造業者装置510Bと、製品製造業者装置510Cと、使用者装置510Dと、回収業者装置510Eと、分別業者装置510Fと、情報管理装置520を含む。演算装置300は、情報記憶システム500における選別業者装置であってよい。情報管理装置520は、演算装置300、粉砕業者装置510A、素材製造業者装置510B、製品製造業者装置510C、使用者装置510D、回収業者装置510E、および分別業者装置510Fに通信ネットワークNWを介して接続される。
【0040】
図3は、第1の実施の形態における学習部308の一例を示すブロック図である。学習部308は、複数のエッジサーバ装置200A、200B、200Cから取得したセンシングデータ、動作状態情報、選別結果情報、第1の演算処理の処理結果、第2の演算部304により演算された選別条件、リサイクル履歴情報を学習データとして取得する。リサイクル履歴情報は、粉砕業者装置510Aから取得したリサイクル履歴情報、素材製造業者装置510Bから取得したリサイクル履歴情報、製品製造業者装置510Cから取得したリサイクル履歴情報、使用者装置510Dから取得したリサイクル履歴情報、回収業者装置510Eから取得したリサイクル履歴情報、分別業者装置510Fから取得したリサイクル履歴情報の少なくとも一つであってよい。
【0041】
学習部308は、学習データを学習済モデル306に入力し、学習済モデル306からの出力に基づいて学習済モデル306の処理パラメータを更新する。処理パラメータは、例えばニューラルネットワークに含まれるフィルタ(重み、バイアスともいう)であるが、これに限定されない。学習済モデル306における機械学習の手法は、一般に使用されるディープラーニングまたはランダムフォレストなどであってよい。
【0042】
図4は、第1の実施の形態における静電選別装置100の一例を示す図である。静電選別装置100は、例えば、投入側検出部110Aと、回収側検出部110Bと、帯電筒120と、振動フィーダ122と、電界発生部130と、回収箱140と、制御装置150とを備える。
【0043】
帯電筒120には、選別対象となる複数種類のプラスチック片を含む原料(混合物)が供給される。帯電筒120には、例えば、単位時間当たりに予め定められた量の原料が投入される。実施の形態における原料は、例えばリサイクルされる空調機、冷蔵庫、洗濯機等の家電の筐体を粉砕工程で破砕して得られた複数種類の材質が混在するプラスチック片を含む。実施の形態におけるプラスチック片は、互いに異なる帯電特性を有するABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)片およびPS(Polystyrene)片である。プラスチック片は、例えば5mm角程度の大きさである。
【0044】
帯電筒120は、回転することにより原料を攪拌する。原料に含まれるプラスチック片AおよびBは、帯電筒120内において、回転攪拌により互いに摩擦して帯電する。帯電したプラスチック片AおよびBは、それぞれ摩擦帯電系列に応じた極性および電荷量を持つ。具体的には、プラスチック片A(例えばABS)はプラスに帯電し、プラスチック片B(例えばPS)はマイナスに帯電する。
【0045】
帯電筒120により帯電されたプラスチック片AおよびBは、振動フィーダ122に排出される。プラスに帯電したプラスチック片Aとマイナスに帯電したプラスチック片Bとは静電気力によって吸引し合う。振動フィーダ122は、プラスチック片AおよびBを上下に振動させながら電界発生部130側に押し出すことで、プラスチック片AおよびBを引き離しつつ振動フィーダ122の先端から落下させる。振動フィーダ122におけるプラスチック片AおよびBの一部が採取され、分離投入装置124に投入される。
【0046】
電界発生部130は、静電界を発生させる。電界発生部130は、例えば、一対の電極131および132と、直流電源133とを備える。一対の電極131および132のそれぞれは、例えば平板状に形成される。一対の電極131および132は、プラスチック片AおよびBが落下する経路を挟むようにして、互いに対向して配置される。電極131には接地電圧が印加される。直流電源133は、電極131と電極132との間に直流電圧を印加することで一対の電極131および132の間に静電界を発生させる。電極131と電極132との間に直流電圧は、制御装置150から出力された制御信号により調整される。
【0047】
振動フィーダ122から落下したプラスチック片AおよびBは、極性および電荷量等の帯電状態に応じた静電気力で一対の電極131および132のいずれかに引き寄せられながら落下する。つまり、プラスチック片AおよびBは、帯電状態に応じて異なる位置に落下する。実施の形態において、プラスチック片Aはプラスに帯電しているため電極131側に引き寄せられて落下する。プラスチック片Bはマイナスに帯電しているため電極132側に引き寄せられて落下する。
【0048】
落下したプラスチック片AおよびBは、回収箱140に回収される。回収箱140は、プラスチック片AおよびBを回収する。回収箱140は、例えば、仕切り板141および142と、仕切り駆動装置143とを備える。仕切り板141および142は、例えば図中の矢印方向に移動可能である。仕切り板141および142が移動することにより、仕切り板141および142により形成される3つの領域の広さが調整される。仕切り駆動装置143は、モータ等の駆動機構を備える。仕切り駆動装置143は、制御装置150から供給された制御信号に基づいて駆動力を仕切り板141および142に供給する。
【0049】
なお、仕切り板141および142の移動は、手動で行われてよい。実施の形態において静電力により誘導された材料を収容する領域を区分する仕切り部として仕切り板141および142を説明したが、板形状に限定されず、他の形状であってよい。
【0050】
振動フィーダ122から落下されたプラスチック片AおよびBは、帯電状態に応じて仕切り板141および142により形成される3つの領域の何れかに回収される。プラスに帯電したプラスチック片Aは、主に仕切り板141側領域に回収される。マイナスに帯電したプラスチック片Bは、主に仕切り板142側領域に回収される。十分に帯電しなかったプラスチック片は仕切り板141と仕切り板142との間の領域に回収される。それぞれの領域に回収されたプラスチック片は、搬送機(図示せず)によって運ばれて別々の容器に収容される。静電選別装置100は、仕切り板141と142との間の領域に回収されたプラスチック片を供給部220に戻し、再度選別を行ってもよい。
【0051】
投入側検出部110Aは、例えば、プラスチック種識別センサ111と、帯電量センサ112と、プラスチック種識別センサ113と、質量センサ114とを備える。
【0052】
プラスチック種識別センサ111は、帯電筒120に投入されるプラスチック片のプラスチック種を識別するためのセンシングデータを検出する。プラスチック種識別センサ111は、例えば、混合物を撮像する光学センサである。光学センサは、例えば、近赤外カメラや可視光カメラなどの画像情報を生成するものであってよい。また、プラスチック種識別センサ111は、粒度や異物を検出するためのセンサであってもよい。
【0053】
帯電量センサ112は、例えば通過型ファラデーケージ式のセンサである。帯電量センサ112は、上方から帯電したプラスチック片を落下させ、プラスチック片が落下する際に生じる静電誘導電圧波形(センシングデータ)を検出する。静電誘導電圧波形は、第1の演算部204により解析されることによって帯電量に換算される。プラスチック種識別センサ113は、例えば、混合物を撮像する光学センサである。プラスチック種識別センサ113は、帯電量センサ112を通過したプラスチック片のプラスチック種を識別するためのセンシングデータを検出する。質量センサ114は、帯電量センサ112を通過したプラスチック片の質量を求めるためのセンシングデータを検出する。
【0054】
回収側検出部110Bは、例えば、プラスチック種識別センサ115と、質量センサ116とを備える。プラスチック種識別センサ115は、例えば、混合物を撮像する光学センサである。プラスチック種識別センサ115は、回収箱140における仕切り板141および142により形成される3つの領域それぞれに回収されたプラスチック片のプラスチック種を識別するためのセンシングデータを検出する。質量センサ116は、仕切り板141および仕切り板142により形成される3つの領域それぞれに回収されたプラスチック片の質量を求めるためのセンシングデータを検出する。
【0055】
制御装置150は、静電選別装置100における各部の制御および各種の演算を行う。制御装置150は、投入側検出部110Aおよび回収側検出部110Bにより検出したセンシングデータを取得したことに応じ、取得したセンシングデータを少なくとも一つを即座にエッジサーバ装置200に送信する。制御装置150は、エッジサーバ装置200から受信した制御命令に従って、帯電筒120、振動フィーダ122、電界発生部130、および回収箱140の少なくとも一つの動作を制御する。
【0056】
図5は、第1の実施の形態における第1の演算部204の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
静電選別装置100は、上述したように、投入側検出部110A、回収側検出部110B、および制御装置150を備える。投入側検出部110Aは、例えば、近赤外画像または可視画像、帯電量情報、質量情報をセンシングデータとして検出し、制御装置150は、センシングデータを第1の演算部204に出力する。第1の演算部204は、例えば、投入側検出部110Aにより検出されたセンシングデータを処理するため、画像処理部204aと、データ変換部204b、204cとを備える。
【0057】
静電選別装置100は、上述したように選別対象の混合物を撮像して画像信号を混合物情報として生成する光学センサとしてのプラスチック種識別センサ111を備え、第1の演算部204の画像処理部204aは、プラスチック種識別センサ111により生成された画像信号に基づいて混合物の混合比を示す混合比データを生成する。画像処理部204aは、例えば、プラスチック種識別センサ111により検出された赤外線画像信号を解析し、混合物におけるプラスチック片の混合比を示す混合比データに変換してよい。
【0058】
静電選別装置100は、上述したように選別対象の混合物を撮像して画像信号を混合物情報として生成する光学センサとしてのプラスチック種識別センサ111を備え、第1の演算部204の画像処理部204aは、プラスチック種識別センサ111により生成された画像信号の一部を抽出し、送信部108は、画像信号の一部を演算装置300に送信してよい。
【0059】
なお、第1の演算部204は、可視画像信号を解析し、混合物の粒度データ、異物データに変換してよい。また、第1の演算部204は、例えば帯電筒120に供給される混合物に対して粒体センサ(不図示)により検出された粒体通過波形信号を流体通過量に変換し、粒度・異物データを出力してよい。
【0060】
静電選別装置100は、選別対象の混合物の帯電量に従って変化する帯電量信号を混合物情報として生成する帯電量センサとしての112を備える。静電選別装置100は、帯電された混合物に静電力を与える電極131、132(電極対)に印加される電圧の大きさ、または静電力により誘導された混合物を収容する領域を区分する仕切り板141、142の位置を調整する静電選別装置である。第1の演算部204のデータ変換部204bは、帯電量センサ112により生成された帯電量信号を解析して混合物の帯電量を示す帯電量データを生成する。データ変換部204bは、プラスチック種識別センサ113から静電誘導電圧波形を入力し、帯電量データに変換する。データ変換部204cは、質量センサ114から質量信号を入力し、質量データに変換する。
【0061】
静電選別装置100は選別対象の混合物の流量に従って変化する流量信号を混合物情報として生成する流量センサを備えてよい。流量センサは、例えば、帯電筒120に投入される原料の投入量を検出するセンサであってよい。プラスチック種識別センサ111と一体化されたセンサであってよく、111と別個に設けられた流量センサであってよい。第1の演算部204のデータ変換部204dは、流量センサにより生成された流量信号を解析して混合物の流量を示す流量情報を生成して演算装置300に送信してよい。
【0062】
制御装置150は、例えば仕切り板位置情報、電圧情報、MID循環情報、帯電筒情報、およびフィーダ速度情報等の静電選別装置100の動作状態を示す動作状態情報をデータ加工部204eに出力する。仕切り板位置情報は、仕切り板141および142の位置を示す情報である。電圧情報は、電極131および132間における電圧を示す情報である、MID循環情報は、仕切り板141と仕切り板142との間の領域から帯電筒120に循環されたプラスチック片の量を示す情報である。帯電筒情報は、帯電筒120の回転数を示す情報である。フィーダ速度情報は、振動フィーダ122の振動速度を示す情報である。データ加工部204eは、例えば、所定のデータ加工を行い、時刻ごとに仕切り板位置情報、電圧情報、MID循環情報、帯電筒情報、およびフィーダ速度情報を紐付けした動作状態データを、演算装置300に送信する。
【0063】
第1の演算部204は、例えば、回収側検出部110Bにより検出されたセンシングデータを処理するため、画像処理部204fと、データ変換部204gを備える。画像処理部204fは、プラスチック種識別センサ115により検出された赤外線画像を解析し、混合物の組成比を示す組成比データに変換する。データ変換部204gは、質量センサ116から質量信号を入力し、質量データに変換する。
【0064】
図6は、第1の実施の形態における静電選別システム1の動作の一例を示すシーケンス図である。
情報記憶システム500は、リサイクル業者装置510から情報管理装置520にリサイクル履歴情報を送信し、情報管理装置520がリサイクル履歴情報を蓄積する(ステップS100)。なお、実施の形態においてリサイクル履歴情報は情報管理装置520に蓄積されるが、これに限定されず、リサイクル業者装置510のそれぞれに蓄積されてよい。
【0065】
静電選別装置100に供給される原料(選別対象混合物)の原料情報が読み取られる(ステップS102)。原料情報は、例えば、選別工程の上流工程において付与された原料の識別情報である。原料情報は、静電選別装置100からエッジサーバ装置200を介して演算装置300に送信される。演算装置300は、原料情報に対応したリサイクル履歴情報の要求を情報管理装置520に送信する。情報管理装置520は、要求に対応したリサイクル履歴情報を抽出し、演算装置300に送信する(ステップS104)。これにより演算装置300は、選別対象混合物に関連するリサイクル履歴情報を取得する。
【0066】
静電選別装置100は、選別対象の原料の供給が開始されると(ステップS106)、プラスチック種識別センサ111により検出されたセンシングデータを選別対象混合物に関連する情報として取得し、エッジサーバ装置200に送信する(ステップS108)。
【0067】
第1の演算部204は、取得部202により取得したセンシングデータを用いて第1の演算処理を実行する(ステップS110)。送信部208は、第1の演算処理の処理結果を演算装置300に送信する(ステップS112)。
【0068】
制御装置150は、プラスチック種識別センサ111、帯電量センサ112、プラスチック種識別センサ113、質量センサ114のそれぞれからセンシングデータを取得することに応じて即座にそれぞれのセンシングデータをエッジサーバ装置200に送信する。第1の演算部204は、複数のセンシングデータをそれぞれ受信したことに応じて、複数のセンシングデータそれぞれに対して即座に第1の演算処理を行い、複数のセンシングデータそれぞれに対応した複数の処理結果を演算装置300に送信する。
【0069】
演算装置300の取得部302は、第1の演算処理の処理結果を受信し、第2の演算部304は、第1の演算処理の処理結果、および情報記憶システム500から取得した選別対象混合物に関連するリサイクル履歴情報に基づいて第2の演算処理を実行することで選別条件を算出する(ステップS114)。送信部310は、第2の演算処理の処理結果としての選別条件を示す情報をエッジサーバ装置200に送信する(ステップS116)。
【0070】
第2の演算部304は、第1の演算処理の処理結果およびリサイクル履歴情報に基づいて、原料の混合比、選別結果、およびプラスチック片の比電荷分布をセンシングすることで高度な自動選別を行う。比電荷は、摩擦により帯電したプラスチック片の帯電量を質量で除した物性値である。プラスチック片ごとの形状ばらつきや摩擦帯電時の擦れ方の違いなどによって、同種のプラスチック片であっても、比電荷は、一定の値にはならず分布を取る。比電荷分布と電極131、132間を通過した後のプラスチック片の落下位置の分布には相関性がある。このため、第2の演算部304は、比電荷分布を演算し、比電荷分布に基づいて最適な仕切り板141、142の位置を予測する。
【0071】
静電選別装置100は、帯電筒120により摩擦帯電させた直後の混合プラスチックの一部を採取し、分離投入装置124によって1片ずつプラスチック種識別センサ113に投入する。その後、プラスチック種識別センサ113(光学センサ)および質量センサ114により得られたセンシングデータを、エッジサーバ装置200を介して演算装置300に送信する。演算装置300は、比電荷分布を基にプラスチック片の落下位置の分布の予測を行うことで最適な仕切り板141および142の位置(選別条件)を決定し、仕切り駆動装置143を遠隔で制御することができる。
【0072】
エッジサーバ装置200の受信部206は、演算装置300から選別条件を示す情報を受信し、送信部208は、選別条件を示す情報を制御命令として静電選別装置100に送信する(ステップS118)。
【0073】
静電選別装置100の受信部106は制御命令を受信し、制御装置150は、帯電筒120、振動フィーダ122、電界発生部130、および回収箱140を含む選別部104を制御することによって、静電選別装置100は、単一プラスチックを選別する(ステップS120)。回収側検出部110Bは、センシングデータを検出し、制御装置150は、回収側検出部110Bから取得したセンシングデータをエッジサーバ装置200に送信する(ステップS122)。
【0074】
第1の演算部204は、エッジサーバ装置200により送信されたセンシングデータを用いて第1の演算処理を行い(ステップS124)、第1の演算処理の処理結果を演算装置300に送信する(ステップS126)。
【0075】
取得部302は、エッジサーバ装置200から取得した選別対象混合物に関連する情報および前記選別装置の選別結果を示す選別結果情報を取得し、送信部310は、取得部302により取得した選別対象混合物に関連する情報および選別結果情報を情報記憶システム500に送信する(ステップS128)。情報管理装置520は、演算装置300から取得した情報に基づいて選別工程についてのリサイクル履歴情報を更新する(ステップS130)。
【0076】
静電選別装置100は、選別後に仕切り板141および142により形成される3つの領域に回収されたプラスチック片についてもプラスチック種識別センサ115および質量センサ116によりセンシングデータを取得する。第2の演算部304は、仕切り板141および142により形成される3つの領域ごとにプラスチック片の選別結果を算出する。第2の演算部304は、プラスチック片の落下位置の分布の予測値と、プラスチック片の落下位置の分布の実測値との照合を行って最適な仕切り板141および142の位置(選別条件)を再計算する。これにより、第2の演算部304は、原料変動による仕切り板141および142の位置の決定精度を高めていく。
【0077】
取得部302は、静電選別装置100から取得した選別対象混合物に関連する情報に基づいて選別対象混合物を使用した製品情報を情報記憶システム500から取得してよい(ステップS104)。製品情報は、選別対象混合物の元となった製品のメーカ、型番、製品中のどの部品かを示す情報などである。製品情報は、回収業者装置510E、分別業者装置510F、粉砕業者装置510Aにより開示されたリサイクル履歴情報であってよい。第2の演算部304は、静電選別装置100から取得した選別対象混合物に関連する情報、および、情報記憶システム500から取得した製品情報に基づいて選別条件を算出することができる(ステップS114)。例えば、製品によって添加剤、表面加工、表面の汚染度など、選別対象混合物の状態が異なることがある。これに対し、第2の演算部304は、製品に応じた適切な選別条件を演算することができる。演算装置300は、製品ごとに学習済モデル306を構築することにより、製品に応じて適した選別条件を演算することができる。
【0078】
前記取得部は、前記選別装置から取得した選別対象混合物に関連する情報に基づいて選別対象混合物に含まれるプラスチック片の詳細情報を情報記憶システム500から取得してよい(ステップS104)。詳細情報は、選別対象混合物に含まれるプラスチック片の組成、粒度、色、添加剤、表面加工、表面汚染度、または、リサイクル回数に関連する情報の少なくとも一つを含む。第2の演算部304は、静電選別装置100から取得した選別対象混合物に関連する情報、および、情報記憶システム500から取得した詳細情報に基づいて選別条件を算出することができる(ステップS114)。第2の演算部304は、プラスチック片の組成や粒度に基づいて選別結果の予測値をシミュレーションし、予測値に応じて選別条件を演算することができる。また、演算装置300は、プラスチック片の詳細情報および選別結果を記憶しておくことにより、帯電異常に起因する選別不良が生じた場合に原因を推定することや、選別不良を未然に防止するための選別条件を演算することができる。また、静電選別システム1は、選別工程後に、単一プラスチックの販売後や下流工程で品質不良等が起こった場合に、品質不良の原因を推定することや品質不良を未然に予防するための選別条件を演算することができる。
【0079】
静電選別システム1は、複数の静電選別装置100を備える。取得部302は、選別対象混合物のリサイクル工程に含まれる静電選別装置100Aが行う選別とは別の選別工程に関連する選別工程情報を情報記憶システム500から取得してよい(ステップS104)。第2の演算部304は、静電選別装置100Aから取得した選別対象混合物に関連する情報、および、情報記憶システム500から取得した選別工程情報に基づいて選別条件を算出する。これにより、演算装置300は、静電選別装置100Aが選別工程を行うときに、静電選別装置100Aから取得したセンシングデータに加えて、他の静電選別装置100Bなどから取得したセンシングデータ、動作状態情報、および選別結果情報を用いて静電選別装置100Aの選別条件を演算することができる(ステップS114)。また、演算装置300は、静電選別装置100Aの選別条件を演算するための学習済モデル306を、静電選別装置100A以外の静電選別装置100から取得したセンシングデータ、動作状態情報、および選別結果情報を用いて学習させ、学習済モデル306の出力に基づいて静電選別装置100Aの選別条件を演算することができる(ステップS114)。
【0080】
取得部302は、静電選別装置100から取得した選別対象混合物に関連する情報に基づいて前記選別工程の後の工程に関連する後工程情報を前記情報記憶システムから取得してよい(ステップS104)。後工程情報は、選別工程後の素材製造工程等のリサイクル履歴情報である。後工程情報は、例えば、素材製造工程に販売した単一プラスチックの最終的な用途を示す情報であってよい。用途を示す情報は、例えば、選別工程により選別された単一プラスチックが、マテリアルリサイクルされたか、ケミカルリサイクルされたか、サーマルリカバリーされたかを示す情報である。第2の演算部304は、静電選別装置100から取得した選別対象混合物に関連する情報、および、情報記憶システム500から取得した後工程情報に基づいて選別条件を算出することができる(ステップS114)。
【0081】
取得部302は、静電選別装置100から取得した選別対象混合物に関連する情報に基づいて前記複数のリサイクル工程において循環されている樹脂の種類ごとの循環量を示す循環量情報を情報記憶システム500から取得してよい(ステップS104)。第2の演算部304は、静電選別装置100から取得した選別対象混合物に関連する情報、および、情報記憶システム500から取得した循環量情報に基づいて選別条件を算出することができる(ステップS114)。これにより静電選別システム1は、材料ごとの循環量、製品サイクル等を考慮して選別条件を演算することができる。
【0082】
図7は、第1の実施の形態におけるエッジサーバ装置200および演算装置300の処理の一例を示すフローチャートである。
エッジサーバ装置200は、静電選別装置100が動作中か否かを判定する(ステップS200)。エッジサーバ装置200は、静電選別装置100が動作中である場合(ステップS200:YES)、
図6を参照して説明した処理を行う(ステップS202)。
【0083】
エッジサーバ装置200は、静電選別装置100が停止している場合(ステップS200:NO)、未送信データがあるか否かを判定する(ステップS204)。未送信データは、プラスチック種識別センサ111やプラスチック種識別センサ113により生成された画像信号の一部を抽出した場合における、画像信号の一部以外の画像信号である。未送信データは、静電選別装置100が動作しているときには第1の演算部204により第1の演算処理が行われた演算結果情報を送信している場合において、演算結果情報を演算するために用いられた元情報であってよい。
【0084】
第1の演算部204は、静電選別装置100から未送信データを取得する(ステップS206)。第1の演算部204は、内部記憶装置から第1の演算処理の元情報を取得してよい。送信部208は、取得した未送信データを演算装置300に送信する(ステップS208)。
【0085】
演算装置300の取得部302は、未送信データを受信し、未送信データを情報管理装置520に送信する(ステップS210)。未送信データは、取得部302が取得した選別対象混合物に関連する情報および静電選別装置100の選別結果を示す選別結果情報を含む。これにより送信部310は、静電選別装置100が停止しているときに取得部302により取得した情報を情報記憶システム500に送信する。学習部308は、受信した未送信データを用いて学習済モデル306を学習させる(ステップS212)。情報管理装置520は、演算装置300から取得した選別対象混合物に関連する情報および静電選別装置100の選別結果を示す選別結果情報をリサイクル履歴情報として蓄積する(ステップS214)。
【0086】
以上説明したように、実施の形態における静電選別システム1は、演算装置300の取得部302により選別対象混合物に関連する情報を静電選別装置100から取得し、選別対象混合物に関連するリサイクル履歴情報を情報記憶システム500から取得し、第2の演算部304により、静電選別装置100から取得した選別対象混合物に関連する情報、および、情報記憶システム500から取得した選別対象混合物に関連するリサイクル履歴情報に基づいて選別条件を算出することができる。この静電選別システム1によれば、リサイクル工程における情報を用いて演算した選別条件によって選別工程を行うことで、選別の精度を高くすることができる。すなわち、静電選別システム1によれば、リサイクル工程のうち選別工程以外の工程の情報を選別工程に用いて最適な選別条件を算出して、選別工程を遠隔制御することができる。
【0087】
リサイクル工程では、業界によらず、常に同じ状態の廃棄製品が回収されてくることはあり得ないため、それらを破砕して得られる混合プラスチック片(原料)の混合比は様々に変動する。例えば原料の混合比が変わるとプラスチックの摩擦帯電量が影響を受け電極間での各種プラスチックの落下位置が変動する。したがって、選別工程において各種プラスチックの純度および回収量を最適な状態で維持するためには電極131および132に印加する電圧や仕切り板141および142の位置調整といったオペレーションノウハウが必要になる。原料変動に対応するオペレーションノウハウが無いと、静電選別装置100の性能を最大限に引き出せず再生材の品質を安定化できない。そこで、静電選別システム1によれば、情報記憶システム500から得られた他工程の情報(上流工程の破砕条件、分別時に得られた部品情報、製品情報など)に学習済モデル306を学習させて、最適な選別条件を導出することができる。
【0088】
さらに、静電選別システム1によれば、例えば、静電選別装置100についてのセンシングデータ、動作状態情報、および選別結果の収集が十分でない場合や、ある業界の製品等についての選別工程のデータが少なく場合がある。この場合、十分なデータが蓄積されるまでは高い選別効率が得られないが、静電選別システム1によれば、情報記憶システム500からリサイクル履歴情報を取得することで、上流工程の分別工程や破砕工程のデータ(破砕粒度、原料の由来となった部品の比率・材料種・添加剤情報、選別システムに送られてくる量、など)を取得することによって、原料の混合比、組成、比電荷を予測して、静電選別装置100を制御することができる。
【0089】
(第2の実施の形態)
図8は、第2の実施の形態における比重式選別装置600の一例を示す図である。
上述した第1の実施の形態における選別装置は静電選別装置100であるが、選別装置は比重式選別装置600であってよい。比重式選別装置600は、選別対象の混合物に含まれる樹脂片の比重の違いを利用して選別を行う選別装置である。比重式選別装置600は、例えば、湿式比重選別方式により混合物に含まれるプラスチック片を選別する。比重式選別装置600は、浮沈選別部610と、ジグ選別部620とを備える。
【0090】
浮沈選別部610は、媒体として水を用い、水より軽いPPを浮上させ、水より重いPS、ABS、およびその他のプラスチックを沈殿させることにより、プラスチック片を分離する。浮沈選別部610において水に浮いているプラスチック片は回収される。浮沈選別部610において沈殿されたプラスチック片は、ジグ選別部620に運ばれる。
【0091】
ジグ選別部620は、ピストン運動を水に伝達することで揺動水流を発生させて比重ごとの層を形成する。ジグ選別部620は、軽比重のPSおよびABS混合物と重比重の難燃性プラスチックなどに選別し、軽比重のプラスチック片および重比重のプラスチック片を別々に回収する。
【0092】
比重式選別装置600には、上述したようにエッジサーバ装置200および演算装置300が接続される。第1の演算部204は、比重式選別装置600における混合物に関する混合物情報、比重式選別装置600の動作状態を示す動作状態情報、および比重式選別装置600の選別結果を示す選別結果情報の少なくとも一部の情報に第1の演算処理を行い、第1の演算処理の処理結果を演算装置300に送信する。演算装置300は、第1の演算処理の処理結果および比重式選別装置600から取得した情報に基づく第2の演算処理によって比重式選別装置600の選別条件を演算し、演算した選別条件をエッジサーバ装置200に送信する。エッジサーバ装置200は、演算装置300から受信した選別条件に基づいて比重式選別装置600を制御する。
【0093】
(第3の実施の形態)
図9は、第3の実施の形態における光学式選別装置700の一例を示す図である。
上述した第1の実施の形態における選別装置は静電選別装置100であるが、選別装置は光学式選別装置700であってよい。光学式選別装置700は、選別対象の混合物に含まれる樹脂片を撮像する光学センサ(X線源720、検出器722)を備え、X線源720および検出器722により撮像した樹脂片に対する撮像画像の違いを利用して選別を行う光学式選別装置である。光学式選別装置700は、例えば、コンベア部710と、X線源720と、検出器722と、エアガン部730と、回収部740、742と、制御装置750とを備える。
【0094】
光学式選別装置700は、コンベア部710により搬送された混合物に対し、X線源720からX線を照射し、透過光を検出器722により検出する。これにより選別対象の混合物のX線透過像信号を生成する。X線透過像信号は、例えば、臭素含有プラスチックに対して影が映し出された画像である。X線透過像信号は、制御装置750によりセンシングデータとしてエッジサーバ装置200に送信される。第1の演算部204は、センシングデータに対する第1の演算処理の処理結果を演算装置300に送信する。演算装置300は、第1の演算処理の処理結果および情報記憶システム500から取得した情報に基づいてエアガン部730の動作を示す選別条件をエッジサーバ装置200に送信する。エッジサーバ装置200は、演算装置300から受信した選別条件に基づいてエアガン部730を制御する。これにより光学式選別装置700は、例えば、臭素系難燃剤含有プラスチックを回収部742に選別し、臭素系難燃剤非含有プラスチックを回収部740に選別する。
【0095】
なお、各実施形態および変形例について説明したが、一例であってこれらに限られず、例えば、各実施形態や各変形例のうちのいずれかや、各実施形態の一部や各変形例の一部を、他の1または複数の実施形態や他の1または複数の変形例と組み合わせて本発明の一態様を実現させてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1…静電選別システム、100、100A、100B、100C…静電選別装置、102…検出部、104…選別部、106…受信部、108…送信部、110A…投入側検出部、110B…回収側検出部、111、113、115…プラスチック種識別センサ、112…帯電量センサ、114、116…質量センサ、120…帯電筒、122…振動フィーダ、124…分離投入装置、130…電界発生部、131、132…電極、133…直流電源、140…回収箱、141、142…仕切り板、143…駆動装置、150…制御装置、200、200A、200B、200C…エッジサーバ装置、202…取得部、204…第1の演算部、204a、204f…画像処理部、204b、204c、204d、204g…データ変換部、204e…データ加工部、206…受信部、208…送信部、210…制御部、220…供給部、300…演算装置、302…取得部、304…第2の演算部、306…学習済モデル、308…学習部、310…送信部、400…データベース装置、410…ユーザデータベース、412…選別装置データベース、414…学習済モデル、500…情報記憶システム、510…リサイクル業者装置、510A…粉砕業者装置、510B…素材製造業者装置、510C…製品製造業者装置、510D…使用者装置、510E…回収業者装置、510F…分別業者装置、512…取得部、514…情報処理部、516…送信部、520…情報管理装置、522…取得部、524…情報処理部、526…送信部、600…比重式選別装置、610…浮沈選別部、620…ジグ選別部、700…光学式選別装置、710…コンベア部、720…X線源、722…検出器、730…エアガン部、740、742…回収部、750…制御装置
【要約】
本開示の一態様の選別システムは、複数のリサイクル工程のうち複数種類の材料を含む混合物を材料の種類ごとに選別する選別工程を行う選別装置と、情報を取得する取得部と、取得された情報に基づいて選別装置の選別条件を算出する演算部と、算出された選別条件を選別装置に送信する送信部と、を備える演算装置と、複数のリサイクル工程に対応した複数のリサイクル履歴情報を記憶する情報記憶システムとを備え、取得部は、選別対象混合物に関連する情報を選別装置から取得し、選別対象混合物に関連する前記リサイクル履歴情報を情報記憶システムから取得し、演算部は選別装置から取得した選別対象混合物に関連する情報、および、情報記憶システムから取得した選別対象混合物に関連する前記リサイクル履歴情報に基づいて選別条件を算出する。