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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】バネ弾性構造体
(51)【国際特許分類】
   A43C 11/22 20060101AFI20241111BHJP
   A43B 23/02 20060101ALI20241111BHJP
   F16F 1/12 20060101ALI20241111BHJP
   F16F 3/04 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
A43C11/22
A43B23/02 105Z
F16F1/12 B
F16F3/04 Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2023000898
(22)【出願日】2023-01-06
(62)【分割の表示】P 2021164812の分割
【原出願日】2021-10-06
(65)【公開番号】P2023055703
(43)【公開日】2023-04-18
【審査請求日】2023-01-06
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】593138285
【氏名又は名称】杉山 茂明
(74)【代理人】
【識別番号】100143085
【弁理士】
【氏名又は名称】藤飯 章弘
(72)【発明者】
【氏名】杉山 茂明
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-089792(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 23/02
A43C 11/22
G01N 29/04
F16F 1/12
F16F 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部材間を接続するバネ弾性構造体であって、
前記バネ弾性構造体は、部材間の締め付け力を調整可能な締め付け力可変弾性構造体であり、
中空筒状の調整軸体と、ナット部材と、ボルト部材と、第1コイルバネと、第2コイルバネとを備えており、
前記調整軸体には、その外周面に雄右ネジ部又は雄左ネジ部が形成されており、その中空部に雌左ネジ部又は雌右ネジ部が形成されており、かつ、一方の端部に径方向外側に張り出す張出部が形成されており、
前記ナット部材には、雌右ネジ部又は雌左ネジ部が形成され、前記調整軸体の外周面に形成される前記雄右ネジ部又は雄左ネジ部に螺合移動可能に構成されており、
前記ボルト部材には、雄左ネジ部又は雄右ネジ部が形成され、前記調整軸体の中空部に形成される前記雌左ネジ部又は雌右ネジ部に螺合移動可能に構成されており、
前記第1コイルバネは、一方の端部が一方の部材に固定可能であるとともに、他方の端部が前記ナット部材に固定されており、
前記第2コイルバネは、一方の端部が他方の部材に固定可能であるとともに、他方の端部が前記ボルト部材に固定されており、
前記調整軸体をその軸周りに回転させることによって、前記ナット部材及び前記ボルト部材の前記調整軸体における位置を変更することにより、前記第1コイルバネは、その内部に前記調整軸体を収容して伸び量が調整可能に構成され、かつ、前記第2コイルバネは、前記調整軸体の前記中空部内に収容されながら伸び量が調整可能に構成されるバネ弾性構造体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バネ弾性構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、部材間を接続して締め付け力を付与するコイルバネ(バネ弾性構造体)が知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
接続される部材同士の締め付け力を所望の力に設定したいとの要望があった。
【0004】
本発明は、係る要望に鑑み、部材間の締め付け力を調整可能とするバネ弾性構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の上記目的は、部材間を接続するバネ弾性構造体であって、前記バネ弾性構造体は、部材間の締め付け力を調整可能な締め付け力可変弾性構造体であり、調整軸体と、第1ナット部材と、第2ナット部材と、第1コイルバネと、第2コイルバネとを備えており、前記調整軸体の一方の端部側には雄右ネジ部が形成され、他方の端部側には雄左ネジ部が形成されており、前記第1ナット部材には、雌右ネジ部が形成され、前記調整軸体の前記雄右ネジ部に螺合移動可能に構成されており、前記第2ナット部材には、雌左ネジ部が形成され、前記調整軸体の前記雄左ネジ部に螺合移動可能に構成されており、前記第1コイルバネは、一方の端部が一方の部材に固定可能であるとともに、他方の端部が前記第1ナット部材に固定されており、前記第2コイルバネは、一方の端部が前記他方の部材に固定可能であるとともに、他方の端部が前記第2ナット部材に固定されており、前記調整軸体をその軸周りに回転させることによって、前記第1ナット部材及び前記第2ナット部材の前記調整軸体上の位置を変更することにより、前記第1コイルバネ及び前記第2コイルバネの伸び量を調整可能に構成されるバネ弾性構造体により達成される。
【0006】
また、本発明の上記目的は、部材間を接続するバネ弾性構造体であって、前記バネ弾性構造体は、部材間の締め付け力を調整可能な締め付け力可変弾性構造体であり、中空筒状の調整軸体と、第1ボルト部材と、第2ボルト部材と、第1コイルバネと、第2コイルバネとを備えており、前記調整軸体の中空部の一方の端部側には雌右ネジ部が形成され、他方の端部側には雌左ネジ部が形成されており、前記第1ボルト部材には、雄右ネジ部が形成され、前記調整軸体の前記雌右ネジ部に螺合移動可能に構成されており、前記第2ボルト部材には、雄左ネジ部が形成され、前記調整軸体の前記雌左ネジ部に螺合移動可能に構成されており、前記第1コイルバネは、一方の端部が一方の部材に固定可能であるとともに、他方の端部が前記第1ボルト部材に固定されており、前記第2コイルバネは、一方の端部が他方の部材に固定可能であるとともに、他方の端部が前記第2ボルト部材に固定されており、前記調整軸体をその軸周りに回転させることによって、前記第1ボルト部材及び前記第2ボルト部材の前記調整軸体における位置を変更することにより、前記第1コイルバネ及び前記第2コイルバネの伸び量を調整可能に構成されるバネ弾性構造体により達成される。
【0007】
また、本発明の上記目的は、部材間を接続するバネ弾性構造体であって、前記バネ弾性構造体は、部材間の締め付け力を調整可能な締め付け力可変弾性構造体であり、中空筒状の調整軸体と、ナット部材と、ボルト部材と、第1コイルバネと、第2コイルバネとを備えており、前記調整軸体には、その外周面に雄右ネジ部又は雄左ネジ部が形成されており、その中空部に雌左ネジ部又は雌右ネジ部が形成されており、前記ナット部材には、雌右ネジ部又は雌左ネジ部が形成され、前記調整軸体の外周面に形成される前記雄右ネジ部又は雄左ネジ部に螺合移動可能に構成されており、前記ボルト部材には、雄左ネジ部又は雄右ネジ部が形成され、前記調整軸体の中空部に形成される前記雌左ネジ部又は雌右ネジ部に螺合移動可能に構成されており、前記第1コイルバネは、一方の端部が一方の部材に固定可能であるとともに、他方の端部が前記ナット部材に固定されており、前記第2コイルバネは、一方の端部が他方の部材に固定可能であるとともに、他方の端部が前記ボルト部材に固定されており、前記調整軸体をその軸周りに回転させることによって、前記ナット部材及び前記ボルト部材の前記調整軸体における位置を変更することにより、前記第1コイルバネ及び前記第2コイルバネの伸び量を調整可能に構成されるバネ弾性構造体により達成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、部材間の締め付け力を調整可能とするバネ弾性構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係るバネ弾性構造体を有する履物の一実施形態に係る概略構成平面図である。
図2図1に示す履物の変形を示す概略構成平面図である。
図3】(a)は図2に示す履物が有するバネ弾性構造体の概略構成正面図であり、(b)はその概略構成分解図である
図4】(a)は図2に示す履物が有するバネ弾性構造体の変形例に係る概略構成正面図であり、(b)はその概略構成断面図であり、(c)は概略構成分解図である。
図5】(a)は図2に示す履物が有するバネ弾性構造体の他の変形例に係る概略構成正面図であり、(b)はその概略構成断面図であり、(c)は概略構成分解図である。
図6図2に示す履物が有するバネ弾性構造体の他の変形例に係る概略構成正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係るバネ弾性構造体を有する履物について添付図面を参照して説明する。なお、各図は、構成の理解を容易ならしめるために部分的に拡大・縮小している。
【0011】
履物は図1の概略構成平面図に示すように、履物底となる板状のソール部2と、使用者の足を包むアッパー部3とを備えている。ソール部2は、使用者が歩いたり、走ったりした際に地面から受ける衝撃を緩和させることができる機能を備えており、ゴムや樹脂等を素材として形成されている。また、ソール部2の底面には、適宜のすべり止めが形成されて構成されている。ここで、図1においては、いわゆる靴タイプの履物を例示している。
【0012】
アッパー部3は、ソール部2上に配置される部材であり、開口4と、ベロ部5と、左右一対の羽根部6と、バネ弾性構造体7とを備えている。
【0013】
開口4は、使用者が履物1を履く際に足を挿入するための入り口となるものであり、ベロ部5の外縁の一部、一対の羽根部6の外縁により規定されている。
【0014】
ベロ部5は、使用者が履物1を履いた際に、使用者の足の甲を覆うものであり、その下端側が、アッパー部3と接続されており、上端側が自由端とされている。
【0015】
一対の羽根部6は、ベロ部5の幅方向両端側を覆うように形成され、ベロ部5の下端側から開口4の前端側にかけて延びるように形成されている。各羽根部6は、アッパー部3の幅方向中心に対して、ほぼ線対称(左右対称)となるように形成されている。なお、この一対の羽根部6も使用者の足の甲を覆うように形成される。
【0016】
バネ弾性構造体7は、左右一対の羽根部6同士を締め付ける部材であり、図1の構成においては、コイルバネが用いられている、このバネ弾性構造体7(コイルバネ)の両端部は、それぞれ羽根部6に固定されて構成されている。また、バネ弾性構造体7を複数備えるように構成されており、各バネ弾性構造体7は、ベロ部5の長手方向に沿って配置されている。
【0017】
また、バネ弾性構造体7としては、図2及び図3に示すように締め付け力可変弾性構造体として形成してもよい、このようなバネ弾性構造体7は、左右一対の羽根部6間の締め付け力を調整可能に構成されており、調整軸体71と、第1ナット部材72と、第2ナット部材73と、第1コイルバネ74と、第2コイルバネ75とを備えて構成される。
【0018】
調整軸体71は、例えば金属材料又は樹脂材料から形成される棒状体であり、一方の端部側の外表面には雄右ネジ部が形成され、他方の端部側の外表面には雄左ネジ部が形成されている。また、調整軸体71の中央部分には、径方向外側に張り出す張出部76が形成されており、この張出部76の外表面には滑り止めのための複数の溝が形成されている。各溝は、調整軸体71の長手方向に沿って形成されている。
【0019】
第1ナット部材72には、雌右ネジ部が形成されており、調整軸体71の雄右ネジ部に螺合し、当該調整軸体71上を移動可能に構成されている。また、第2ナット部材73には、雌左ネジ部が形成されており、調整軸体71の雄左ネジ部に螺合して、調整軸体71上を移動可能に構成されている。
【0020】
第1コイルバネ74は、一方の端部が一方の羽根部6に固定されるとともに、他方の端部が第1ナット部材72に固定されている。また、第2コイルバネ75は、一方の端部が他方の羽根部6に固定されるとともに、他方の端部が第2ナット部材73に固定されて構成される。第1コイルバネ74と第1ナット部材72との固定方法、第2コイルバネ75と第2ナット部材73との固定方法は特に限定されないが、例えば、第1ナット部材72(第2ナット部材73)貫通孔を設け、当該貫通孔に第1コイルバネ74(第2コイルバネ75)の端部を挿入し、接着剤やハンダ付け等により固定することができる。また、第1コイルバネ74と羽根部6との固定方法や第2コイルバネ75と羽根部6との固定方法についても特に限定されないが、例えば、第1コイルバネ74(第2コイルバネ75)の端部をリング状に形成し、別途接続部材を用いて当該リング状部分を介して羽根部6に第1コイルバネ74(第2コイルバネ75)の端部を固定することができる。
【0021】
この図3に示すようにバネ弾性構造体7を構成することにより、調整軸体71をその軸周りに一の方向に回すことにより、第1ナット部材72及び第2ナット部材73が互いに近づく方向に調整軸体71上を移動し、その結果、第1コイルバネ74及び前記第2コイルバネ75の伸び量が増大し、バネ弾性構造体7による左右一対の羽根部6間の締め付け力が増加することになる。また、調整軸体71をその軸周りに他の方向に回すことにより、第1ナット部材72及び第2ナット部材73が互いに離隔する方向に調整軸体71上を移動し、その結果、第1コイルバネ74及び前記第2コイルバネ75の伸び量が減少し、バネ弾性構造体7による左右一対の羽根部6間の締め付け力が低下することになる。つまり、調整軸体71回すことにより、第1ナット部材72及び第2ナット部材73の調整軸体71上の位置を変更することにより、第1コイルバネ74及び第2コイルバネ75の伸び量が調整可能となり、左右一対の羽根部6間の締め付け力を調整できるようになる。
【0022】
また、締め付け力可変弾性構造体として構成されるバネ弾性構造体7の具体的形態は図3に示される構造に限定されず、例えば、図4図5に示すような構造として形成することもできる。まず、図4に示す構造について説明すると、この図4に示すバネ弾性構造体7は、調整軸体71と、第1ボルト部材77と、第2ボルト部材78と、第1コイルバネ74と、第2コイルバネ75とを備えている。
【0023】
調整軸体71は、例えば金属材料又は樹脂材料から形成される中空筒状体であり、中空部79の一方の端部側(一方の端部から中央部分までの領域)には雌右ネジ部が形成され、他方の端部側(他方の端部から中央部分までの領域)には雌左ネジ部が形成されて構成されている。また、中空筒状の調整軸体71の外表面には滑り止めのための複数の溝が形成されている。各溝は、調整軸体71の長手方向に沿って形成されている。
【0024】
第1ボルト部材77には、雄右ネジ部が形成されており、調整軸体71の雌右ネジ部に螺合し、当該調整軸体71の中空部79内を移動可能に構成されている。また、第2ボルト部材78には、雄左ネジ部が形成されており、調整軸体71の雌左ネジ部に螺合して、調整軸体71の中空部79内を移動可能に構成されている。
【0025】
第1コイルバネ74は、一方の端部が一方の羽根部6に固定されるとともに、他方の端部が第1ボルト部材77の端部に固定されている。また、第2コイルバネ75は、一方の端部が他方の羽根部6に固定されるとともに、他方の端部が第2ボルト部材78の端部に固定されて構成される。第1コイルバネ74と第1ボルト部材77との固定方法、第2コイルバネ75と第2ボルト部材78の端部との固定方法は特に限定されないが、例えば、第1ボルト部材77(第2ボルト部材78の端部)に貫通孔を設け、当該貫通孔に第1コイルバネ74(第2コイルバネ75)の端部を挿入し、接着剤やハンダ付け等により固定することができる。また、第1コイルバネ74と羽根部6との固定方法や第2コイルバネ75と羽根部6との固定方法についても特に限定されないが、例えば、第1コイルバネ74(第2コイルバネ75)の端部をリング状に形成し、別途接続部材を用いて当該リング状部分を介して羽根部6に第1コイルバネ74(第2コイルバネ75)の端部を固定することができる。
【0026】
この図4に示すような構成でバネ弾性構造体7を形成することにより、調整軸体71をその軸周りに一の方向に回すことにより、第1ボルト部材77及び第2ボルト部材78が互いに近づく方向に調整軸体71の中空部79内を移動し、その結果、第1コイルバネ74及び前記第2コイルバネ75の伸び量が増大し、バネ弾性構造体7による左右一対の羽根部6間の締め付け力が増加することになる。また、調整軸体71をその軸周りに他の方向に回すことにより、第1ボルト部材77及び第2ボルト部材78が互いに離隔する方向に調整軸体71上を移動し、その結果、第1コイルバネ74及び第2コイルバネ75の伸び量が減少し、バネ弾性構造体7による左右一対の羽根部6間の締め付け力が低下することになる。つまり、調整軸体71回すことにより、第1ボルト部材77及び第2ボルト部材78の調整軸体71における位置を変更することにより、第1コイルバネ74及び第2コイルバネ75の伸び量が調整可能となり、左右一対の羽根部6間の締め付け力を調整できるようになる。
【0027】
次に、図5に示す構造について説明すると、この図5に示すバネ弾性構造体7は、調整軸体71と、ナット部材80と、ボルト部材81と、第1コイルバネ74と、第2コイルバネ75とを備えている。
【0028】
調整軸体71は、例えば金属材料又は樹脂材料から形成される中空筒状体であり、その外周面に雄右ネジ部又は雄左ネジ部が形成されており、その中空部79内に雌左ネジ部又は雌右ネジ部が形成されている。より詳細には、調整軸体71の外周面に雄右ネジ部が形成される場合には、中空部79内に雌左ネジ部が形成され、調整軸体71の外周面に雄左ネジ部が形成される場合には、中空部79内に雌右ネジ部が形成されるように構成される。また、調整軸体71のいずれか一方の端部エリアには、径方向外側に張り出す張出部76が形成されており、この張出部76の外表面には滑り止めのための複数の溝が形成されている。各溝は、調整軸体71の長手方向に沿って形成されている。
【0029】
ナット部材80には、雌右ネジ部又は雌左ネジ部が形成され、調整軸体71の外周面に形成される雄右ネジ部又は雄左ネジ部に螺合して、調整軸体71上を移動可能に構成されている。
【0030】
ボルト部材81には、雄左ネジ部又は雄右ネジ部が形成され、調整軸体71の中空部79内に形成される雌左ネジ部又は雌右ネジ部に螺合して、中空部79内を移動可能に構成されている。
【0031】
第1コイルバネ74は、一方の端部が一方の羽根部6に固定されるとともに、他方の端部がナット部材80の端部に固定されている。また、第2コイルバネ75は、一方の端部が他方の羽根部6に固定されるとともに、他方の端部がボルト部材81の端部に固定されて構成される。第1コイルバネ74とナット部材80との固定方法、第2コイルバネ75とボルト部材81の端部との固定方法は特に限定されないが、例えば、ナット部材80の端部(ボルト部材81の端部)に貫通孔を設け、当該貫通孔に第1コイルバネ74(第2コイルバネ75)の端部を挿入し、接着剤やハンダ付け等により固定することができる。また、第1コイルバネ74と羽根部6との固定方法や第2コイルバネ75と羽根部6との固定方法についても特に限定されないが、例えば、第1コイルバネ74(第2コイルバネ75)の端部をリング状に形成し、別途接続部材を用いて当該リング状部分を介して羽根部6に第1コイルバネ74(第2コイルバネ75)の端部を固定することができる。
【0032】
この図5に示すような構成でバネ弾性構造体7を形成する場合も、調整軸体71をその軸周りに一の方向に回すことにより、ナット部材80及びボルト部材81が互いに近づく方向に調整軸体71上を移動し、その結果、第1コイルバネ74及び前記第2コイルバネ75の伸び量が増大し、バネ弾性構造体7による左右一対の羽根部6間の締め付け力が増加することになる。また、調整軸体71をその軸周りに他の方向に回すことにより、ナット部材80及びボルト部材81が互いに離隔する方向に調整軸体71上を移動し、その結果、第1コイルバネ74及び第2コイルバネ75の伸び量が減少し、バネ弾性構造体7による左右一対の羽根部6間の締め付け力が低下することになる。つまり、調整軸体71回すことにより、ナット部材80及びボルト部材81の調整軸体71における位置を変更することにより、第1コイルバネ74及び第2コイルバネ75の伸び量が調整可能となり、左右一対の羽根部6間の締め付け力を調整できるようになる。
【0033】
本発明に係る履物1は、上述のように、左右一対の羽根部6同士を締め付けるバネ弾性構造体7を備えるように構成しているため、極めて簡便に履物1の脱ぎ履きを行うことが可能となる。従来のように紐やベルトを使った履物を履く場合や脱ぐ場合には、紐やベルトに手が届くように姿勢を低く屈む、膝を曲げる、しゃがむ、腰を落とすなどして、紐を結んだり、解いたり、またベルトを止めたり、外したりしなければならず、例えば、シニア世代にとっては、このような腰を曲げる、膝を曲げる、屈むなどの姿勢をとることが困難になる場合がある。一方、本願のように、左右一対の羽根部6同士を締め付けるバネ弾性構造体7を備えるように構成される履物1の場合には、最初にばねの強度を自分の足に合わせておけば後は履物を触る必要はなく、履く時は直立状態のまま長い柄の靴ベラを履物1の踵に当てて足を滑り込ませれば容易履くことが出来、また脱ぐ時も直立のまま、脱ぐ履物1の踵に反対の足を添えて、脱ぐ履物1の動きを止めれば容易に履物1から足を抜くことが出来て、腰や膝に負担をかけることを効果的に防止することができる。また、履物1を履いた後は、バネ弾性構造体7による左右一対の羽根部6同士の締め付け力によって、足の左右方向が一対の羽根部6によってホールドされるため、ウォーキングやランニング中に履物1が足から抜け落ちることもない。
【0034】
また、従来のように紐やベルトを用いるタイプの履物を使用して、長時間ウォーキングやランニングをする場合、紐の結束部分やベルト固定部分が緩んでしまい、ウォーキングやランニングの途中で、再度、紐を結び直す、ベルトを固定し直す必要が生じる場合があるが、本発明のように、バネ弾性構造体7によって左右一対の羽根部6を接続するような場合、そのような紐の結び直しやベルトの固定のやり直しを行う必要が全くなく、ウォーキングやランニングに集中することが可能となる。
【0035】
また、従来のように紐やベルトによって左右一対の羽根部6同士を締め付けるのではなく、バネ弾性構造体7によって一対の羽根部6同士を締め付けるように構成しているため、長時間履物1を履いてウォーキングやランニングを行ったとしても、足に疲れが蓄積されることを効果的に防止することができる。具体的に説明すると、足の甲の周長は、足に体重がかかっていない時、即ち歩行中ですと接地していた足を前に出し足が空に浮いた状態の時の寸法が最小になり、その足が接地して体重が完全にその足に乗りきった時点でのその足の周りの寸法は最大になる。従来のように紐やベルトで羽根部6同士を締め付ける履物の場合、履物が脱げない様に紐やベルトで固定することは固定する時の足に掛かる重力に応じた足のサイズにフィットする様に固定することになり、足の回りの寸法の増減の変化には対応することができない。これに対して、バネ弾性構造体7によって一対の羽根部6同士を締め付けるように構成されている本願発明においては、足が地面に接地し体重が足に乗り切って、足の甲が左右方向に膨らむような変形をした場合には、その変形度合いに応じてバネ弾性構造体7が伸びて、足の左右方向をホールドする一対の羽根部6同士の間隔が広がることになり、足の変形に対してスムーズに一対の羽根部6が追従変形してフィットすることになる。また、接地していた足を前に出し足が空に浮いた状態の場合には、足の甲の周長が短くなるが、バネ弾性構造体7によって一対の羽根部6同士を締め付けるように構成されている本願発明においては、短くなった足の甲の周長に追従してバネ弾性構造体7が縮み、一対の羽根部6が、足の甲にフィットした状態を維持する。つまり、本願に係る履物1の場合、ウォーキングやランニング中において、一対の羽根部6がスムーズに追従変形することにより、足に、左右方向に膨らむ変形方向とは反対側の力(足を左右方向から圧縮するような力)が作用することを効果的に防止することができ、その結果、長時間、ウォーキングやランニングを行ったとしても、足に疲れが蓄積されることを効果的に防止することができる。
【0036】
また、従来のように紐によって左右一対の羽根部6同士を締め付けるタイプの履物の場合、例えば、毎日1万歩を超える様なウォーキングを続けると、おおよそ3か月~4か月くらいで紐が切れてしまい、紐の交換作業が必要となるが、本願のように、左右一対の羽根部6同士を締め付けるバネ弾性構造体7を備えるように構成される履物1の場合には、1年程度の期間ではバネ弾性構造体7が破損等することがなく、長期間にわたって履物1を使用することが可能となる。
【0037】
また、バネ弾性構造体7によって一対の羽根部6同士を締め付けるように構成することにより、上述のように地面に対する足の着地時における足の変形に対してスムーズに一対の羽根部6が追従変形することになるが、地面から足が上方側へと離脱する際においても、左右方向に膨らんだ状態から通常状態に戻る足の変形に対して、一対の羽根部6はスムーズに追従変形することになる。このように、着地時・離脱時の足の変形に対して羽根部6が追従変形することは、足をホールドしている一対の羽根部6が、適度な力での押圧を繰り返して足に付与するものであり、ウォーキングやランニング中において、いわば、足をマッサージしている状況を作り出すことができ、これにより、足の血行が良くなり、足に疲れが蓄積されることを効果的に防止することとなる。
【0038】
また、上述のように、左右一対の羽根部6間の締め付け力を調整可能な締め付け力可変弾性構造体としてバネ弾性構造体7を形成することにより、使用者は、自身の足の大きさや形に合わせて、一対の羽根部6間の締め付け力を適宜好ましい状態に設定することが可能となり、より一層、足に疲れが蓄積されることを効果的に防止することができ、また、上述のマッサージ効果をより一層向上させることが可能となる。
【0039】
以上、本発明の一実施形態に係る履物1について説明したが、その具体的構成は、上記実施形態に限定されない。例えば、バネ弾性構造体7として、図6に示すようなコイルバネを左右方向に引っ張った場合に、コイルバネ部分が圧縮されるような構造として構成してもよい。このようなバネ弾性構造体7は、圧縮して使用される圧縮コイルバネ82と、一対の棒状の支持部83,84とを備えるように構成されている。一の支持部83は、圧縮コイルバネ82の内側に挿入されて配置されており、一方の端部が83a、圧縮コイルバネ82の一方の端部82aに接続固定されており、他方の端部83bが、圧縮コイルバネ82の他方の端部82bから外方に突出されるように配置される。同様に、他の支持部84は、圧縮コイルバネ82の内側に挿入されて配置されており、一方の端部84aが、圧縮コイルバネ82の他方の端部82bに接続固定されており、他方の端部84bが、圧縮コイルバネ82の一方の端部82aから外方に突出されるように配置される。一方の支持部83の他方の端部83b、及び、他方の支持部84の他方の端部84bは、それぞれ左右一対の羽根部6に接続固定される部分となる。
【0040】
この図6に示す構造のバネ弾性構造体7を用いる場合、履物1を脱ぎ履きする際に、一対の羽根部6間隔を広げすぎてしまった場合であっても、圧縮コイルは縮む方向に変形することとなり、コイル部分が伸びきってしまって使用できなくなってしまうような事態が発生することを効果的に抑制することができる。
【0041】
また、上記実施例においては、いわゆる靴タイプの履物1が、左右一対の羽根部同士を締め付けるバネ弾性構造体7を備える構成について説明したが、履物のタイプとしては靴に限定されるものではなく、例えば、履物としては、スリッパタイプや草履タイプ、下駄タイプのものであってもよい。スリッパタイプの履物として構成する場合には、例えば、足の甲を覆うアッパー部(甲表)を左右一対の羽根部と、該左右一対の羽根部同士を締め付けるバネ弾性構造体とを備えるように構成すればよく、また、草履タイプや下駄タイプの履物として構成する場合には、鼻緒の代わりに、左右一対の羽根部と、該左右一対の羽根部同士を締め付けるバネ弾性構造体とを有するアッパー部3を、ソール部である草履台や下駄台上に設置して構成すればよい。なお、スリッパタイプや草履タイプ、下駄タイプとして履物1を構成する場合、アッパー部3が、ベロ部5を備えないようにして構成することができる。このように左右一対の羽根部同士を締め付けるバネ弾性構造体7を備えるように構成されるスリッパタイプや草履タイプ、下駄タイプの履物であっても、上述の効果、つまり、長時間履物1を履いて歩行した場合に、足に疲れが蓄積されることを効果的に防止することができ、また、歩行中において、足をマッサージしている状況を作り出すことができるため、これにより、足の血行が良くなり、足に疲れが蓄積されることをより効果的に防止するという効果を得ることができる。
【0042】
また、上記実施例において、一対の羽根部6間を接続するバネ弾性構造体7として、図3図5に示すような締め付け力を調整できるバネ弾性構造体7(締め付け力可変弾性構造体)を例示しているが、このようなバネ弾性構造体7は、履物1が備える一対の羽根部6間を接続する部材としてだけではなく、広く、様々な部材間を接続するコイルバネ状接続部材として、接続される部材同士の引っ張り力あるいは締め付け力を所望の力に設定したいと希望するような場合に有用に使用することができる。また、上記実施例において、一対の羽根部6間を接続するバネ弾性構造体7として、図6に示すような圧縮コイルバネ82を使用したバネ弾性構造体7についても例示しているが、この図6に示すバネ弾性構造体7についても、履物1が備える一対の羽根部6間を接続する部材としてだけではなく、広く、様々な部材間を接続するコイルバネ状接続部材として、引っ張りによってコイル部分が伸びきってしまって使用できなくなってしまう事態が発生すること防止して部材間を接続したい場合に有用に使用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 履物
2 ソール部
3 アッパー部
4 開口
5 ベロ部
6 羽根部
7 バネ弾性構造体
71 調整軸体
72 第1ナット部材
73 第2ナット部材
74 第1コイルバネ
75 第2コイルバネ
76 張出部
77 第1ボルト部材
78 第2ボルト部材
79 中空部
80 ナット部材
81 ボルト部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6