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特許7584738ヘリコプターによる救助作業訓練用の建造物
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  • 特許-ヘリコプターによる救助作業訓練用の建造物 図1
  • 特許-ヘリコプターによる救助作業訓練用の建造物 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】ヘリコプターによる救助作業訓練用の建造物
(51)【国際特許分類】
   G09B 9/00 20060101AFI20241111BHJP
   G09B 9/46 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
G09B9/00 K
G09B9/46
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020086372
(22)【出願日】2020-05-16
(65)【公開番号】P2021179585
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-04-29
(73)【特許権者】
【識別番号】510262150
【氏名又は名称】エアロファシリティー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147348
【弁理士】
【氏名又は名称】堀井 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】木下 幹巳
【審査官】西村 民男
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-045876(JP,A)
【文献】特開2008-040501(JP,A)
【文献】特開2001-134168(JP,A)
【文献】登録実用新案第3193739(JP,U)
【文献】イベントステージイントレの設営,世界のウェブアーカイブ|国立国会図書館インターネット資料収集保存事業、ジーズ・クリエイション [online],2018年09月02日,https://web.archive.org/web/20180902024457/http://g-zu.com/disaster.html,[2024年01月11日検索]
【文献】[関西空港海上保安航空基地HP 知得 海上航空]ヘリコプター内で会話するには?,世界のウェブアーカイブ|国立国会図書館インターネット資料収集保存事業 [online],2013年08月13日,https://web.archive.org/web/20130813192644/https://www.kaiho.mlit.go.jp/05kanku/kansai/hp-ics.pdf,[2024年07月23日検索]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00- 9/56
17/00-19/26
23/00-29/14
B64C 27/04
B64D 1/22
A62B 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物本体と、
前記建造物本体に設けられ、ヘリコプターの実機を用いて、搭乗している操縦士、ホイスト操作者及び救助作業者が連携して行う救助作業訓練のための、1つ以上の救助困難場所と
を有し、前記救助困難場所が、屋上から吊り下げられた装置であることを特徴とするヘリコプターによる救助作業訓練用の建造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘリコプターによる救助作業の訓練用の建造物に関し、特に火災発生時などの人命救助の訓練に好適な建造物に関する。
に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ヘリコプターが、災害時や救急時の人命救助、物資の輸送、火災の消火活動などに幅広く利用され、需要は増大しているが、その訓練の体制が十分とは言えない。
【0003】
特に、ビルなどの高層建物における火災時などの人命救助は、難易度が高く、ヘリコプターの操縦士、ホイスト操作者及び救助作業者の連携を必要とするため、実機によって十分な訓練を行うことができる施設(建造物)が望まれていた。
【0004】
このような問題に関して、例えば、特許文献1には、イ)大規模火災時、他ヘリコプターと協調して消火活動する。ロ)ビル火災時、窓へのピンポイント消火を行う。ハ)船舶火災発生時のヘリコプターによる消火・救出訓練。ニ)化学プラント火災発生時のヘリコプターによる消火・救出訓練。などの訓練を行うことができる施設についての技術が開示されている。
【0005】
しかしながら、この訓練施設においては、ヘリコプターは実機ではなく、コックピット部分のみの模擬機体であり、ヘリコプターに搭乗している操縦士、ホイスト操作者及び救助作業者が連携した訓練を行うことができず、更に、実際の建造物における様々な救助困難状況を再現できておらず、十分な訓練効果を得られないという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2001-134168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、ヘリコプターの実機を用いて、搭乗している操縦士、ホイスト操作者及び救助作業者が連携して行う救助作業訓練のために、様々な救助の難しい場所を設けた建造物を用意することが難しい点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、ヘリコプターによる救助作業訓練用の建造物であって、
-建造物本体と、
-前記建造物本体に設けられた1つ以上の救助困難場所と
を有することを特徴とする。
【0009】
このようにすると、ヘリコプターの実機を用いて、搭乗している操縦士、ホイスト操作者及び救助作業者が連携して、建造物本体に設けた救助困難場所からの救助訓練を行うことができる。
【0010】
また、本発明の第2の態様は、第1の態様のヘリコプターによる救助作業訓練用の建造物であって、更に、前記建造物本体に模擬火災発生装置を有することを特徴としてもよい。
【0011】
ここで、模擬火災発生装置とは、発煙、発炎などを発生しうる機構と、それらを所望の方向に向けることができる送風機構とを有していることが好適である。
【0012】
このようにすると、火災状況下での救助作業の訓練ができ、実際の救助作業を円滑に、かつ、安全に実行することができるようになる。
【0013】
また、本発明の第3の態様は、第1または第2の態様のヘリコプターによる救助作業訓練用の建造物であって、更に、建造物本体に屋上へリポートを有することを特徴としてもよい。
【0014】
そのようにすると、通常の状況での、あるいは、火災発生状況での、ヘリポートへの着陸訓練、ヘリポートからの離陸訓練、屋上における要救助者の救助訓練、屋上から下層階の要救助者の救助訓練、屋上での救助作業員の降機乗機訓練、救助活動に必要な器具工具資材などの積み込み積み下ろしなどを行うことができ、ヘリポートを有する建造物における実際の救助作業に習熟することができる。
【0015】
また、本発明の第4の態様は、第1から第3までの態様のヘリコプターによる救助作業訓練用の建造物であって、前記救助困難場所が、上階に張り出し部を有する場所であることを特徴としてもよい。
【0016】
すなわち、例えば、ベランダやひさしのような張り出し部が上階にあると、その直下の階からの救助作業はベランダなどの張り出し部が障害となり、困難となる。そのような状況において訓練を行うことで、実際の救助作業を円滑に、かつ、安全に実行することができるようになる。
【0017】
なお、この態様において、更に、模擬火災発生装置からの煙や炎をこの場所に適用してもよく、火災発生時における救助困難場所からの訓練が可能となる。このことは、第5から第6の態様についても同様に適用できるものとする。
【0018】
また、本発明の第5の態様は、第1から第3までの態様のヘリコプターによる救助作業訓練用の建造物であって、前記救助困難場所が、救助に障害となる要素を有する窓部であることを特徴としてもよい。
【0019】
ここで、救助に障害となる要素とは、窓部周辺の壁面に凹凸が少ないこと、窓部の開口面積が被救助者の通過にぎりぎりであること、格子などの障害物を有すること、窓枠などを取り外す必要があること、などを含むが、それに限定するものではない。
【0020】
近年、中高層ビルにおいては、壁面に凸凹がないことが好まれており、窓部にも救助作業の際の足掛かりや手掛かりとなる部分がないか、少ない場合が多い。
【0021】
このような状況を訓練用の建造物に再現することで、救助の方法や使用する器具などに習熟することができ、実際の救助作業を円滑に、かつ、安全に実行することができるようになる。
【0022】
なお、窓部には、更に、一部または全面に格子が設けられている場所、あるいはルーバー窓(ジャロジー窓)である場所を有していてもよい。適切な工具・器具を用いて取り外すなどの訓練も実施することができる。
【0023】
また、本発明の第6の態様は、第1から第3までの態様のヘリコプターによる救助作業訓練用の建造物であって、前記救助困難場所が、屋上から吊り下げられた装置であることを特徴としてもよい。
【0024】
屋上から吊り下げられた装置としては、建造物の修理作業や窓の清掃などに用いられる複数人が搭乗可能なゴンドラが典型であるが、それ以外にも、1人作業用のロープで吊るされたブランコと称するものも含まれる。
【0025】
特にゴンドラは、建造物本体と隙間を有して設けられ、吹く風や搭乗者の動きによって大きく揺れることから、救助作業が困難な場所であり、このような場所での訓練を実施し、習熟しておくことで、実際の救助作業を円滑に、かつ、安全に実行することができる。
【0026】
また、本発明の第7の態様は、第1から第6までの態様のヘリコプターによる救助作業訓練用の建造物であって、前記建造物の複数の面に前記救助困難場所を別々に配したことを特徴としてもよい。
【0027】
そのようにすると、建造物の各面において、異なる訓練を実施することができ、必要な訓練を効率的に実施することができる。
【0028】
また、本発明の第8の態様は、第1の態様のヘリコプターによる救助作業訓練用の建造物であって、前記建造物本体の下層階に、墜落した人物を保護するための防護ネットを設けたことを特徴としてもよい。
【0029】
このようにすると、訓練中に万一要救助者または救助作業者が墜落するというような事態が発生した場合でも、それらの者の生命を安全に確保できる。
【発明の効果】
【0030】
上記のように、本発明のヘリコプターによる救助作業訓練用の建造物は、ヘリコプターの実機を用いて、搭乗している操縦士と救助作業者とが連携して行う救助作業訓練のための建造物を用意することができ、これによって、実際の救助作業、特に火災発生時における救助作業に関して極めて大きな効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の第1の実施形態の救助作業訓練用の建造物の斜視図である。
図2】本発明の第1の実施形態の救助作業訓練用の建造物の別の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の第1の実施形態を、図面を用いて説明する。図1は本発明のヘリコプターによる救助作業訓練用の建造物の斜視図であり、図2は同じく別の方向から見た建造物の斜視図である。
【0033】
ヘリコプターによる救助作業訓練用の建造物の本体(以下建造物本体とする)1は、4面に鉛直な壁面を有する四角柱状の形状をしている。
【0034】
なお、建造物本体1の階数は、7階建て位の中層のビルが訓練用には好適であるが、更に高層であっても、低層であっても訓練の目的と期待する成果に応じて選択すればよい。
【0035】
また、形状も四角柱形状が、4面を訓練に使用できることから好適であるが、それに限定せず、三角柱形状、五角以上の柱状、円筒状や錐体形状であってもよい。
【0036】
なお、建造物本体1に、訓練用の場所を設けたものや、訓練用の機材を追加したものを、「救助作業訓練用の建造物」と呼ぶこととする。
【0037】
図1は本発明のヘリコプターによる救助作業訓練用の建造物のある方向からの斜視図であり、屋上には、ヘリポート2が設けられている。ヘリポート2としては、軽量で設置が容易なアルミデッキのヘリポートが好適であるが、コンクリート製であっても、あるいは鉄板製であってもよい。
【0038】
ここで、建造物本体1の四角柱状の各側面を、第1の面10、第2の面20、第3の面30、第4の面40とする。第1の面10の7階部分、6階部分、5階部分には、ベランダ11、ベランダ11への出入りのためのガラス扉12、ベランダ11の外周部に設けられた手すり13、隣の住戸(または事務所)との境に設けられた仕切り14などを有している。
【0039】
このような状態であると、例えば5階部分の要救助者P1を救助する際には、6階部分のベランダがオーバーハングのような状態となり、救助を困難としている。
【0040】
次に、第2の面20には、屋上から空中へ略水平に突出する2本の突りょう21、一端が図示しない屋上に設けられた固定部に固定され、他端が突りょう21を介して下方に延伸する2本のつり索22、つり索22の他端に結合され、作業者が搭乗可能な床部と枠部とを有し、つり索22によって上下に移動可能なゴンドラ23が設けられている。
【0041】
このようなゴンドラ23は、通常、建造物本体1の本体からは少し(60cm程度)離間しており、吹く風やゴンドラの上下動や作業者の移動によって大きく揺動し、要救助者P2の救助には困難な状況である。
【0042】
図2は本発明のヘリコプターによる救助作業訓練用の建造物の図1とは反対の方向からの斜視図であり、建造物本体1の第3の面30は、足掛かりや手掛かりのない凹凸が少ない形状とする。
【0043】
第3の面30には、様々な窓部が設けられている。通常のサイズの窓31、それよりも小さく要救助者P3がぎりぎり抜けられる程度の小窓32、一部に格子を有する一部格子付き窓33、全面に格子が配されている全面格子付き窓34などが準備されている。
【0044】
このほかに図示しないが、回動できる細長ガラス片で構成されるルーバー窓(ジャロジー窓ともいう)や、人間が通過できない上げ下げ窓や片開き窓などであってもよい。
【0045】
このような窓部は、足掛かりがないため、救助作業には困難があり、更に、要救助者P3が窓の開口部から抜け出ることができない場合には、窓枠などの構造物を取り外す作業が必要となる場合もある。
【0046】
図2の第4の面40の7階部分は一部壁面を切り欠いた状態を示し、模擬火災発生装置50が設けられている。模擬火災発生装置50は、煙または/及び炎を発生しうる発煙発炎機構51と、煙または炎を所望の方向に向けることができる送風機構52とを有していることが好適である。
【0047】
これによって、発煙・発炎状態での救助訓練のほか、第1の面10、第2の面20、または、第3の面30へと、煙や炎を向けることで、各面での複合的な訓練が可能となる。
【0048】
建造物本体1の4階部分には、防護ネット60が設けられている。建造物の各角の部分から支柱61を延伸させ、支柱61の間に網部62を張り渡す構造とし、訓練中に救助作業者または要救助者が墜落するような事態に際し、大きな事故とならないようにするものである。
【0049】
なお、墜落の事態への対応としては、建造物本体1の高さや訓練を行う場所の高さなどによっては、防護ネット60によらず、防護マットのようなものであってもよい場合もあり、また、要救助者を人間ではなく人形とする、あるいは、要救護者にも非常用ロープを装着するなどとして、防護策を不要とする場合もあり得る。
【0050】
このような建造物本体1を用いた救助訓練の動作について説明する。建造物本体1の上空には、救助作業のためのヘリコプター100が飛来している。
【0051】
ヘリコプター100には、人や物をロープ110で下降・上昇させるためのホイスト装置120が設けられており、通常は、ヘリコプター100を操縦する操縦士M1、ホイストを操作するホイストマンM2、ヘリコプター100から下降して救助にあたる救助作業員M3が搭乗している。
【0052】
訓練時には、ヘリコプター100が建造物本体1の上空に達したら、操縦士M1はホバリングを続け、ホイストマンM2がホイスト装置120を操作して救助作業者M3を建造物本体1の方へと降下させる。
【0053】
ベランダ11からの救助訓練をする場合は、第1の面10に沿って救助操作者M3を降下させ、上階のベランダ11を過ぎたら、救助作業者M3が、身体を揺する、あるいは、ねじるなどして、下階のベランダ11へと進入し、そこで要救助者P1を確保して、ホイストマンM2の操作にて、ヘリコプター100へと引き上げて、救助が完了する。
【0054】
このような作業については、本発明の建造物を用いての、繰り返しの訓練により取得した救助作業者M3の技量が重要であり、また、操縦士M1、ホイストマンM2との連携も必要である。
【0055】
なお、要救助者P1のいる住戸に直接アクセスできない場合に、隣の住戸から仕切り14を破壊して要救助者P1に到達するような訓練をすることも可能である。
【0056】
次に、ゴンドラ23からの救助訓練をする場合は、第2の面20に沿って救助作業者M3を降下させ、揺れやすいゴンドラ23の内部において要救助者P2を慎重に確保し、ホイストマンM2の操作にて、ヘリコプター100へと引き上げて、救助が完了する。
【0057】
このような作業については、本発明の建造物を用いての、繰り返しの訓練により、習熟することが重要であり、更には、操縦士M1、ホイストマンM2との連携も必要である。
【0058】
次に、窓部からの救助作業をする場合は、第3の面30に沿って救助作業者M3を降下させ、要救助者P3のいる窓部にて、救助作業が開始される。
【0059】
なお、第3の面30は、窓部を含めてほとんど凹凸がなく、足掛かり(足場)あるいは手掛かりとなるようなものがないように構成されており、その状態での難しい作業が必要となる。
【0060】
通常のサイズの窓31からは、比較的容易に救助作業が進められるが、それよりも小さく要救助者P3がぎりぎり抜けられる程度の小窓32からの救助には、操縦士M1、ホイストマンM2、救助作業者M3が連携した作業が必要となる。
【0061】
また、一部に格子を有する一部格子付き窓33や全面に格子が配されている全面格子付き窓34では、それらの格子を取り外す工具類を事前に準備して、救助作業員M3が取り外し作業の訓練を実施するようにしてもよい。
【0062】
このほかに図示しないが、回動できる細長ガラス片で構成されるルーバー窓(ジャロジー窓ともいう)や、人間が通過できない上げ下げ窓や片開き窓など場合でも、それぞれに対応する工具と取り外し作業の訓練を行うことができる。
【0063】
なお、第4の面40の7階部分に設けられた模擬火災発生装置50の発煙発炎機構51にて発生させた煙または炎を、送風機構52によって、第1の面10、第2の面20、または第3の面30の方向に向けることによって、更に厳しい環境での訓練を実施することができる。
【0064】
また、建造物本体1の屋上に設けられた屋上へリポート2を用いて、通常の状況での、あるいは、発煙発火状況での、屋上ヘリポート2への着陸訓練、屋上ヘリポート2からの離陸訓練、屋上における要救助者の救助訓練、屋上から下層階の要救助者の救助訓練、屋上での救難作業員の降機乗機訓練、救助活動に必要な器具工具資材などの積み込み積み下ろしなどを実施することができる。それによって、建造物本体1に屋上ヘリポート2を有する建造物における実際の救助作業に習熟することができる。
【0065】
また、建造物本体1の下層階に設けられた防護ネット60は、訓練中に、万一、要救助者または救助作業者が墜落するというような事態が発生した場合でも、それらの者が地上に激突して生命に危険を及ぼすことなく、防護ネット60にて安全に確保できる。
【0066】
なお、これまでの説明で、救助困難場所を、ベランダ張り出し、ゴンドラ、窓部などを例に説明したが、これに限定せず、施錠された出入口、外階段部分、オーバーハングした壁面、自力移動困難な屋内留置者のいる場所など、救助困難な場所であれば、どのような場所であってもよい。
【0067】
また、異なる救助困難場所を建造物本体1の各面に分散して配置したが、異なる救助困難場所を1つの面に併せて設置してもよい。訓練効果を高めることができる場合もあり得る。
【0068】
なお、模擬火災発生装置50を7階部分に設置するとしたが、それよりも下層の階に設置してもよい。広範囲に炎や煙を送風させることができる場合もある。
【0069】
また、建造物本体1の4階部分に防護ネット60を設けるとしたが、それよりも上層または下層階に設けてもよい。訓練状況によってはより有効な場合もあり得る。
【0070】
また、救助困難場所を7階から5階のあたりに設けるとしたが、これについても、上層階のみ、あるいは、防護ネット60を用いずに下層階まで設けてもよい。訓練のやり方によっては有効な場合もある。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明のヘリコプターによる救助作業訓練用の建造物は、実際の状況に近い、あるいはそれよりも過酷な状況での救助訓練ができるため、ヘリコプター産業及びヘリコプターを用いた救助を行う組織体などに大きく寄与できることから、産業上、大いに利用可能性がある。
【符号の説明】
【0072】
1 建造物本体
2 屋上ヘリポート
10 第1の面
11 ベランダ
20 第2の面
23 ゴンドラ
30 第3の面
40 第4の面
50 模擬火災発生装置
60 防護ネット

図1
図2