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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】弁付き針組立体および留置針組立体
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/158 20060101AFI20241111BHJP
   A61M 39/10 20060101ALI20241111BHJP
   A61M 39/04 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
A61M5/158 500H
A61M39/10 100
A61M39/04 100
A61M39/10 110
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022117498
(22)【出願日】2022-07-22
(62)【分割の表示】P 2018532012の分割
【原出願日】2017-08-04
(65)【公開番号】P2022136158
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2022-08-22
(31)【優先権主張番号】P 2016153573
(32)【優先日】2016-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(72)【発明者】
【氏名】中神 裕之
(72)【発明者】
【氏名】阪本 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】秋本 春男
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 良介
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-530517(JP,A)
【文献】特開2014-079355(JP,A)
【文献】米国特許第05064416(US,A)
【文献】国際公開第2005/004973(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/10
A61M 39/04
A61M 5/158
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内孔を有し雄ルアーが接続されるコネクタと、コネクタの先端部に固定される管体と、弁体とを有し、人体の皮膚上に留置される弁付き針組立体であって、
前記コネクタと前記管体との一方に設けられた挿入部が他方へ挿入されることにより内外挿状態とされた組付部を備えていると共に、前記弁体が該コネクタと該管体によって嵌合されて組み込まれており、
該組付部における該コネクタと該管体との重ね合わせ面には、相互の係止によって該挿入部の抜け出しを防止する係止突起と係止部とが設けられていると共に、
該コネクタ又は該管体の周壁には、軸方向端部の開口縁から軸方向に延びる線状の切欠部が設けられている一方、該コネクタ又は該管体のうち該切欠部が設けられていない方の周壁には、該切欠部に対応する該切欠部に対応する形状とされており、該切欠部に嵌め入れられる位置決め突起が設けられていると共に、
該切欠部が前記係止突起と前記係止部を周方向で外れた位置に設けられており、且つ、
該切欠部は該係止部よりも軸方向先端側まで延びており、該切欠部の軸方向先端は前記弁体から軸方向基端側へ離れて位置していると共に、
該係止部の周方向長さが該切欠部の周方向長さよりも長くされていることを特徴とする弁付き針組立体。
【請求項2】
前記コネクタと前記管体との前記他方の周壁において、径方向1方向の両側に一対の前記切欠部が設けられていると共に、該一対の切欠部の対向方向と直交する方向の少なくとも一方に前記係止部が設けられている請求項1に記載の弁付き組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管に穿刺されて輸液や採血などに供される針組立体および留置針組立体に係り、特に内部に弁体が設けられて流体流路が閉鎖される弁付きの針組立体および留置針組立体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、輸液や採血などを行う際に用いられる針組立体が知られている。この針組立体は、血管に穿刺される中空針と、外部流路が接続される接続ハブとを備えている。かかる針組立体が患者の血管に穿刺されるとともに接続ハブに外部流路が接続されることで、血管から針組立体の内部を通じて外部流路に至る流体流路が構成されて、当該流体流路を通じて輸液や採血などが実施されるようになっている。
【0003】
ところで、針組立体の内部に弁体を設けて当該弁体により流体流路を遮断可能とした弁付きの針組立体がある。
【0004】
たとえば、米国特許第4917668号明細書(特許文献1)に記載の弁付き針組立体では、外部流路の接続と抜去に連動して弁体を開閉することで、流体流路の連通と遮断が切り換えられるようになっている。すなわち、中空針を固定支持する針ハブの内部にスリット付きの弁体が設けられているとともに、当該弁体の基端側には押し子が配されている。そして、針ハブの基端側に連結された接続ハブに外部流路が挿入接続されることで、外部流路の先端が押し子を押し込み、弁体のスリットを押し開いて流体流路が連通状態とされるようになっている。
【0005】
また、弁体の先端側には圧縮状態のコイルスプリングが設けられており、上記の如き弁体の拡開変形に伴い、コイルスプリングが伸長変形するようになっている。これにより、接続ハブから外部流路を抜去することで、コイルスプリングが復元作用に基づいて変形し、弁体のスリットを閉塞せしめるとともに押し子を初期位置まで押し戻して、流体流路が遮断状態とされるようになっている。
【0006】
さらに、特表2004-530517号公報(特許文献2)には、中空針を固定支持する針ハブと外部流路としてのシリンジが接続される接続ハブとの間に、コイルスプリングと弁体とを組み付けて構成している弁付き針組立体が開示されている。上記特許文献2に記載の弁付き針組立体においても、接続ハブと外部流路との接続と抜去に連動して弁体が開閉せしめられて、流体流路の連通と遮断とが切り換えられるようになっている。
【0007】
ところが、上記特許文献1および特許文献2に記載の弁付き針組立体では、外部流路の抜去時に安定してスリットを閉塞状態とするためにコイルスプリングが設けられていることから、部品点数や組付工程数の増加、更には針組立体の大型化が避けられなかった。また、組立時に、コイルスプリングの付勢力に反して弁体や針ハブ、接続ハブなどを固定する必要があることから、組立てが行いにくかった。それに加えて、針ハブと接続ハブとを接着剤などで固定する場合には、接着剤が針組立体の流体流路に漏れ出したり、接着の工程が増えるなどの問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第4917668号明細書
【文献】特表2004-530517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、簡便な構造で弁体をより強固に固定できると共に、組付けを容易として製造効率の向上を図ることができる、新規な構造の弁付き針組立体および留置針組立体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。
【0011】
本発明の第1の態様は、内孔を有するコネクタと、コネクタの先端部に固定される管体と、弁体とを有する弁付き針組立体であって、前記コネクタと前記管体との一方に設けられた挿入部が他方へ挿入されることにより内外挿状態とされた組付部を備えており、該組付部における該コネクタと該管体との重ね合わせ面には、相互の係止によって該挿入部の抜け出しを防止する係止突起と係止部とが設けられていると共に、該係止部が設けられた該コネクタ又は該管体における組付方向の先端部分には、該係止突起を案内する傾斜案内面が形成されている一方、前記弁体が該コネクタと該管体によって嵌合されて組み込まれていることを特徴とするものである。
【0012】
本態様に従う構造とされた弁付き針組立体によれば、コネクタと管体との一方の挿入部が他方に挿入されて、係止突起が係止部に係止されることで、コネクタと管体とが容易に組み付けられ得る。また、係止突起が傾斜案内面に案内されて係止部との係止位置まで移動することから、コネクタと管体との組付けが一層容易となる。
【0013】
さらに、従来構造の弁付き針組立体のようにコイルスプリングを設ける必要がなく、弁体がコネクタと管体によって嵌合されることで安定して組み込まれ得る。
【0014】
本発明の第2の態様は、前記第1の態様に係る弁付き針組立体であって、前記挿入部の外面において、挿入方向の前方から後方に向かって次第に突出寸法が大きくなる傾斜面を有する前記係止突起が設けられている一方、該挿入部が挿入される前記コネクタ又は前記管体の内面には、組付方向の先端に向かって次第に拡がる前記傾斜案内面が形成されていると共に、該傾斜案内面に対して組付方向の後方に位置して前記係止部が設けられているものである。
【0015】
本態様に従う構造とされた弁付き針組立体によれば、コネクタと管体との一方から他方への挿入に際して、傾斜面と傾斜案内面とが相互に当接することで、良好な案内作用が発揮されるとともに、挿入抵抗の低減が図られ得る。
【0016】
本発明の第3の態様は、前記第1又は第2の態様に係る弁付き針組立体であって、前記コネクタと前記管体とにおいて、前記係止突起と前記係止部とが周方向の相互に対応する位置で周上部分的に設けられていると共に、該係止部が設けられた該コネクタ又は該管体には、組付方向の先端部分から該係止部に向かって延びる案内溝が形成されて、該案内溝の溝底面によって前記傾斜案内面が構成されているものである。
【0017】
本態様に従う構造とされた弁付き針組立体によれば、係止突起と係止部とが、周方向の相互に対応する位置で周上部分的に設けられていることから、係止突起が係止部に係止されることにより、コネクタと管体とが相互に回転不能に組み付けられ得る。また、コネクタまたは管体には、傾斜案内面を溝底面とする案内溝が形成されていることから、係止突起が案内溝に差し入れられることでコネクタと管体との周方向の相対回転が防止されて、係止突起がより確実に係止部に案内され得る。
【0018】
本発明の第4の態様は、前記第1~第3の何れかの態様に係る弁付き針組立体において、前記コネクタ又は前記管体の周壁には前記係止部を有する係合穴が設けられており、前記係止突起が該係合穴に係合されているものである。
【0019】
本態様に従う構造とされた弁付き針組立体によれば、コネクタと管体との一方に設けられた係止突起が、コネクタと管体との他方に設けられた係合穴に係合されていることから、例えば外部流路を回転させて、または回転させずに基端側に引き抜いて接続ハブ(コネクタ)から抜去する場合において、外部流路と共にコネクタが管体から脱落することが効果的に防止され得る。
【0020】
本発明の第5の態様は、前記第1~第4の何れかの態様に係る弁付き針組立体であって、前記コネクタ又は前記管体の周壁には、軸方向端部の開口縁から軸方向内方に向かって延びる切欠部が形成されているものである。
【0021】
本態様に従う構造とされた弁付き針組立体によれば、コネクタまたは管体の軸方向端部に切欠部を設けることで、コネクタまたは管体の軸方向端部の周壁を拡開方向へ撓み変形し易くすることができて、コネクタと管体との一方から他方への挿入時に、挿入抵抗を小さくすることができる。さらに、コネクタまたは管体の軸方向端部が撓み変形し易くなることから、係止突起と係止部とをより容易に係合させることもできる。
【0022】
本発明の第6の態様は、前記第1~第5の何れかの態様に係る弁付き針組立体において、前記弁体はディスク弁であって、該ディスク弁の外周部分には軸方向に延びる筒状支持部が設けられており、該筒状支持部が前記管体と前記コネクタとの間で挟まれて厚さ方向で押圧されているものである。
【0023】
本態様に従う構造とされた弁付き針組立体によれば、ディスク弁に筒状支持部が設けられることで、例えば外部流路の接続時におけるディスク弁の脱落などが効果的に防止される。特に、筒状支持部が、管体とコネクタとの間で押圧状態で挟持されていることから、例えば外部流路の接続時において、ディスク弁が脱落することが一層効果的に防止され得る。
【0024】
本発明の第7の態様は、前記第6の態様に係る弁付き針組立体において、前記筒状支持部が前記ディスク弁の外周部分から基端側に延びていると共に、該ディスク弁の外周部分における基端側面には、該筒状支持部の内周側を周方向に延びる基端側凹溝が形成されており、該基端側凹溝内に前記コネクタの先端部分が位置しているものである。
【0025】
本態様に従う構造とされた弁付き針組立体によれば、ディスク弁の基端側面に基端側凹溝が設けられるとともに、当該基端側凹溝内にコネクタの先端部分が位置していることから、ディスク弁とコネクタとの組付けの際の位置決めが容易に達成されるとともに、コネクタによるディスク弁の支持力が向上され得る。
【0026】
本発明の第8の態様は、前記第6又は第7の態様に係る弁付き針組立体において、前記ディスク弁には中央部分にスリットが形成されていると共に、前記筒状支持部が該ディスク弁の外周部分から基端側に延びており、該筒状支持部の軸方向長さが、該ディスク弁において該スリットが形成された該中央部分の厚さ寸法の半分以上とされているものである。
【0027】
本態様に従う構造とされた弁付き針組立体によれば、筒状支持部の軸方向長さが十分に確保されて、コネクタや管体によるディスク弁の支持効果の向上が図られる。
【0028】
本発明の第9の態様は、前記第1~第8の何れかの態様に係る弁付き針組立体であって、前記弁体はディスク弁であって、該ディスク弁の外周部分において先端側に延びる先端側筒状部が設けられていると共に、前記管体の内周には軸方向基端側に向かって突出する環状支持部が設けられており、該環状支持部の外周面に対して該ディスク弁の該先端側筒状部が被せられて支持されているものである。
【0029】
本態様に従う構造とされた弁付き針組立体によれば、ディスク弁の先端側では、先端側筒状部が管体の環状支持部に被せられて支持されている。したがって、ディスク弁が、コネクタと管体との間で安定して支持されて、例えば外部流路の接続時におけるディスク弁の脱落の防止や、外部流路の抜去に際してのディスク弁の閉塞性能の更なる向上が図られ得る。
【0030】
本発明の第10の態様は、前記第9の態様に係る弁付き針組立体において、前記ディスク弁の外周部分における先端側面には、前記先端側筒状部の内周側を周方向に延びる先端側凹溝が形成されており、該先端側凹溝内に前記環状支持部の先端部分が位置しているものである。
【0031】
本態様に従う構造とされた弁付き針組立体によれば、ディスク弁の先端側面に先端側凹溝が設けられるとともに、当該先端側凹溝内に管体の環状支持部が位置していることから、ディスク弁と管体との組付けの際の位置決めが容易に達成されるとともに、管体によるディスク弁の支持力が向上され得る。
【0032】
特に、前記第7の態様と組み合わせることにより、ディスク弁の軸方向両側面に設けられたそれぞれの凹溝内にコネクタと管体が位置せしめられることから、これらの組付けが一層容易となるだけでなく、ディスク弁の支持力も更に向上され得る。
【0033】
本発明の第11の態様は、前記第1~第10の何れかの態様に係る弁付き針組立体において、前記弁体はディスク弁であって、該ディスク弁は中央部分にスリットを有していると共に、該ディスク弁の外周面が前記コネクタ又は前記管体に設けられた押圧部によって内周側に押圧されているものである。
【0034】
本態様に従う構造とされた弁付き針組立体によれば、ディスク弁である弁体の外周面が押圧部によって内周側に押圧された状態でコネクタと管体との間に支持されていることから、ディスク弁がコネクタと管体との間から脱落することが効果的に防止され得る。
【0035】
なお、本態様に係る弁付き針組立体を外針として、該外針に挿通される内針と組み合わせて留置針組立体として使用する場合には、押圧部からの押圧力により、更に効果的にディスク弁のスリットが閉塞されることから、外針から内針が引き抜かれる際に、内針に付着した血液がディスク弁にしごき取られるだけでなく、スリットの閉塞作動も迅速に実現されて、血液の漏出が一層安定して防止され得る。
【0036】
本発明の第12の態様は、前記第1~第11の何れかの態様に係る弁付き針組立体であって、前記コネクタには前記弁体の基端側面に押し当てられることで該弁体に設けられたスリットを開いて連通状態とする押し子が軸方向に移動可能に収容されていると共に、該コネクタには該押し子の軸方向移動端を規定する係合壁部が設けられているものである。
【0037】
本態様に従う構造とされた弁付き針組立体によれば、例えば係合壁部により押し子の先端側への移動端が規定される場合には、外部流路の接続時において、押し子が先端側へ押し込まれ過ぎることに伴うディスク弁の損傷などが回避され得る。また、係合壁部により押し子の基端側への移動端が規定される場合には、外部流路の抜去時において押し子が基端側へ押し戻された際に、押し子を所定位置に安定して位置決めすることができる。
【0038】
本発明の第13の態様は、前記第1~第12の何れかの態様に係る弁付き針組立体であって、前記コネクタの基端側は、前記管体の基端部から軸方向に延び出していると共に、該コネクタの基端側の端部外周面には、外周面にねじ山が形成された環状の接続突部が形成されているものである。
【0039】
本態様に従う構造とされた弁付き針組立体によれば、コネクタの基端にねじ山が形成された接続突部が形成されていることから、ルアーロックタイプの外部流路を接続することができて、コネクタと外部流路との接続がより確実に実現され得る。
【0040】
本発明の第14の態様は、遠位側に鋭利な針先を有する内針と、前記内針の近位側に設けられている内針ハブとを、有する内針ユニットと、前記内針が挿通される外針と、遠位側開口に前記外針が取り付けられ且つ近位側開口から前記内針が挿通される外針ハブとを有しており、前記第1~第13の何れかの態様に係る弁付き針組立体を含んで構成される外針ユニットと、前記内針ユニットに設けられて、前記内針が針軸方向に移動可能に挿通され、且つ前記内針の前記針先を収納して保護可能に構成されているプロテクタと、前記外針ユニットの近位側に設けられて、前記プロテクタが針軸方向に相対移動可能とされたキャップ体とを備え、前記プロテクタは、前記針先を収容している状態で前記内針と共に、前記キャップ体に対して近位側に相対移動が可能であり、前記キャップ体と前記プロテクタとの間には、各々の対応する部位に互いに係合する係合部及び被係合部が夫々形成され、前記係合部及び前記被係合部は、互いに係合することで前記プロテクタを前記キャップ体への連結状態に保持する一方、前記プロテクタが連結状態から近位側に移動すると節度感を発生させつつ係合を解除して前記キャップ体から前記プロテクタが離脱可能とされていることを特徴とする留置針組立体である。
【0041】
本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、係合部及び被係合部によってキャップ体とプロテクタとを物理的に結合することができる。これにより、係合部及び被係合部の形状を調整することで、係合部及び被係合部の係合の度合い、即ち係合力を調整することができる。これにより、プロテクタをキャップ体から外す際に施術者に求められる引張り力を調整することができ、プロテクタをキャップ体から外す際の節度感を調整することができる。
【0042】
本発明の第15の態様は、前記第14の態様に係る留置針組立体において、前記係合部は、少なくとも1つの凸状係合部分を有しているものである。
【0043】
本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、係合部が凸状係合部分を有していることから、当該凸状係合部分が被係合部に係合することで、キャップ体とプロテクタとを結合することができる。すなわち、凸状係合部分の形状や大きさを変更や調節することで、キャップ体とプロテクタとの係合力を容易に調整することができて、プロテクタをキャップ体から外す際の節度感も容易に調整することができる。
【0044】
本発明の第16の態様は、前記第15の態様に係る留置針組立体において、前記キャップ体が、半径方向に撓む複数の可撓片を有していると共に、複数の前記凸状係合部分の各々が、前記複数の可撓片の各々に対応して配置されているものである。
【0045】
本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、キャップ体とプロテクタとの一方が、半径方向に撓むことができる複数の可撓片を有しており、各可撓片に凸状係合部分が設けられて、キャップ体とプロテクタとの他方に設けられた被係合部に係合されている。すなわち、キャップ体からプロテクタを外す(引き抜く)際には、凸状係合部分により可撓片が半径方向に撓み変形させられることから、引抜抵抗が大きくなり過ぎることが回避され得る。また、可撓片の長さ等を調節することで、可撓片の撓み変形のし易さ、即ちキャップ体からプロテクタを引き抜く際の引抜抵抗の大きさを調整することができて、プロテクタをキャップ体から外す際の節度感を容易に調整することができる。
【0046】
本発明の第17の態様は、前記第16の態様に係る留置針組立体において、前記外針ユニットは、前記外針ハブの近位側に設けられ、前記キャップ体の遠位側が差し入れられる外針キャップを更に有し、前記複数の可撓片は、互いに周方向で間隔をあけて夫々配置されており、前記外針キャップには、前記複数の可撓片の各々に対応する位置に切欠きが形成されているものである。
【0047】
本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、キャップ体が外針キャップに収容されているとともに、外針キャップには、キャップ体における可撓片と対応する位置に切欠きが形成されていることから、可撓片の半径方向外側への撓み変形が、当該切欠きにより許容される。それ故、キャップ体からプロテクタを外す(引き抜く)際に、引抜抵抗が大きくなり過ぎることが効果的に回避され得る。
【0048】
本発明の第18の態様は、前記第14~第17の何れかの態様に係る留置針組立体において、前記プロテクタは、近位側の部分に比べて大径に形成された大径部を遠位側に有し、前記大径部内には、前記針先を収容する収容空間が形成されると共に、前記収容空間を閉じるシャッター機構が設けられ、前記キャップ体は、前記係合部を有し、前記大径部は、前記被係合部として前記キャップ体の前記係合部と係合するようになっているものである。
【0049】
本発明の第19の態様は、前記第14~第17の何れかの態様に係る留置針組立体において、前記プロテクタは、近位側の部分に比べて大径に形成された大径部を遠位側に有し、前記大径部には、前記針先を収容する収容空間が形成されると共に、前記収容空間を閉じるシャッター機構が設けられ、前記大径部には、前記被係合部である蓋体が外装されており、前記係合部は、前記蓋体と係合するようになっているものである。
【0050】
これらの態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、穿刺後の内針の針先が収容空間に収容されて、当該収容空間がシャッター機構により閉鎖されることから、例えば針先が収容空間に収容された後に内針に対して外力が及ぼされた場合にも、針先が収容空間から再突出することが防止される。それ故、穿刺後の内針の保護がより確実に実現されて、誤穿刺などのおそれが効果的に低減され得る。
【発明の効果】
【0051】
本発明に従う構造とされた弁付き針組立体および留置針組立体によれば、コネクタと管体とが簡便に、且つ強固に固定され得る。また、従来構造の針組立体のようにコイルスプリングを設けることがないことから、部品点数および組付工程数の増加抑制、ひいては製造効率の向上が図られ得る。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】本発明の1実施形態としての弁付き針組立体を示す斜視図。
図2図1に示された弁付き針組立体の縦断面図。
図3図2における要部を拡大して示す断面図。
図4図1に示された弁付き針組立体に外部流路を接続した状態を示す縦断面図であって、図2に対応する縦断面図。
図5図4における要部を拡大して示す断面図。
図6】本発明に係る弁付き針組立体を含んで構成される留置針組立体の具体的な一例を示す縦断面斜視図。
図7図6における要部を拡大して示す断面図。
図8図6に示された留置針組立体において、外針から内針を引き抜いて内針の針先をプロテクタに収容すると共に、外針ユニットにおけるキャップ体を押し込んだ状態を示す縦断面図。
図9】本発明に係る弁付き針組立体を含んで構成される留置針組立体の別の具体例を示す縦断面図。
図10図9における要部を拡大して示す断面図。
図11図9に示された弁付き針組立体を構成するコネクタを拡大して示す斜視図。
図12図11に示されたコネクタの縦断面図。
図13図9に示された留置針組立体において、外針から内針を引き抜いて内針の針先をプロテクタに収容した状態を示す縦断面図。
図14】本発明の別の態様としての弁付き針組立体を示す縦断面図であって、図2とは異なる断面位置で示す図。
図15図14における要部を拡大して示す断面図。
図16】本発明の更に別の態様としての弁付き針組立体を示す縦断面図であって、図3に対応する図。
図17】本発明の更に別の態様としての弁付き針組立体を構成するコネクタを拡大して示す斜視図であって、図11に対応する図。
図18図17に示されたコネクタの縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0054】
先ず、図1~3には、本発明の1実施形態としての弁付き針組立体10が示されている。この弁付き針組立体10は、中空針12と、当該中空針12の基端側に、外部流路が接続される接続ハブ14とを備えており、かかる接続ハブ14の内部には弁体としてのディスク弁16が収容配置されている。そして、これら中空針12と接続ハブ14の内部を含んで血管から外部流路に至る流体流路18が構成されている。かかる弁付き針組立体10が血管に穿刺および留置されることにより、流体流路18を通じて輸液や採血が行われるようになっているとともに、接続ハブ14への外部流路の接続と抜去に伴い、ディスク弁16の開放と閉塞、即ち流体流路18の連通と遮断とが切り換えられるようになっている。なお、以下の説明において、軸方向とは、各部材の中心軸方向であって、中空針12の針軸方向に略相当し、長さ方向である図2中の左右方向をいう。また、先端側および遠位端側とは、中空針12の穿刺される側である図2中の左側をいう一方、基端側および近位端側とは、使用者が操作する側である図2中の右側をいう。
【0055】
より詳細には、中空針12は、本実施形態では、軟質の合成樹脂により形成されており、先端部分の外周面は、先端側に向かって次第に外径寸法が小さくなるテーパ状外周面20とされている。また、中空針12の先端部分の周壁には、複数の貫通孔22が形成されており、当該貫通孔22を通じて血液などが中空針12内へ流入し易くされている。
【0056】
一方、中空針12の基端部分には、その他の部分よりも大径とされた固定部24が形成されている。すなわち、固定部24の先端部分および基端部分には、外径寸法が大きくされた環状の先端側大径部26および基端側大径部28が設けられている。そして、これら先端側および基端側大径部26,28の軸方向間には、当該先端側および基端側大径部26,28よりも小径とされた環状凹部30が形成されている。かかる環状凹部30は、周方向の全周に亘って連続して形成されており、所定の軸方向寸法を有している。
【0057】
かかる中空針12の基端部分は、針ハブ32により固定支持されている。針ハブ32は、当該針ハブ32の基端側に設けられるチューブ34と一体的に形成されてもよく、すなわち、軟質の合成樹脂により形成された弾性チューブ36の先端側が針ハブ32とされているとともに、弾性チューブ36の基端側がチューブ34とされるように構成されてもよい。かかるチューブ34がクランプチューブなどである場合は、閉塞することにより、流体流路18を遮断状態とすることも可能である。
【0058】
この弾性チューブ36は、中空針12を固定する前の単品状態では、略一定の内径寸法および外径寸法で軸方向に延びる略円筒形状とされており、単品状態における内径寸法は、中空針12の固定部24における外径寸法よりも小さくされている。そして、かかる弾性チューブ36の先端側開口部から、中空針12の基端部分が圧入されて、必要に応じて接着や溶着などの処理が施されることにより、中空針12が弾性チューブ36により固定支持されている。すなわち、弾性チューブ36の先端部分が、中空針12の固定部24における環状凹部30に入り込んでおり、かかる弾性チューブ36の先端部分により、針ハブ32が構成されている。
【0059】
なお、弾性チューブ36において、中空針12の基端側大径部28の外周に位置する部分は外周側に膨出変形せしめられており、針ハブ32の外周面は、先端側から基端側に向かって次第に外径寸法が大きくなるテーパ状外周面38とされている。また、針ハブ32の基端からチューブ34の先端にかけての外周面は、先端側から基端側に向かって次第に外径寸法が小さくなる逆テーパ状外周面40とされている。すなわち、弾性チューブ36が軟質の合成樹脂により形成されるとともに、その外周面が滑らかな湾曲面で形成されることにより、弁付き針組立体10を、例えば弾性チューブ36にテープを巻いて患者の皮膚上に固定するときなどに、弾性チューブ36が皮膚に強くまたは長時間接触して患者が痛みを感じるおそれが低減されている。
【0060】
さらに、チューブ34の内周面における基端部分には、基端側に向かって次第に内径寸法が大きくなるテーパ面42が設けられている。これにより、後述するディスク弁16の弾性変形時における変形許容領域が十分に確保され得る。
【0061】
かかる弾性チューブ36の基端部分が、接続ハブ14の先端部分に固着されている。この接続ハブ14は、全体として略筒形状とされており、接続ハブ14の先端側開口部から弾性チューブ36の基端部分が挿入されて、必要に応じて接着や溶着の処理が施されることにより、弾性チューブ36と接続ハブ14とが接続されている。すなわち、かかる接続ハブ14の先端部分が、弾性チューブ36が接続されるチューブ接続部43とされている。なお、チューブ接続部43の先端部分における外周面は、先端側になるにつれて次第に外径寸法が小さくなるテーパ面43aとされており、弁付き針組立体10を患者の皮膚上に固定するときなどに、角部が患者の皮膚に接触して患者が痛みを感じるおそれが低減されている。
【0062】
そして、これら中空針12、弾性チューブ36(特にチューブ34)、接続ハブ14(特に接続ハブ14の内部に設けられる後述する押し子78)のそれぞれの内孔により、流体流路18が構成されている。
【0063】
かかる接続ハブ14は、何れも略円筒形状とされた管体としてのコネクタカバー44とコネクタとしてのガイドコネクタ46とが軸方向で相互に連結固定された形状とされている。すなわち、コネクタカバー44の基端側にガイドコネクタ46の先端側が挿し入れられて組み付けられることでガイドコネクタ46の先端部にコネクタカバー44が固定されて、接続ハブ14が構成されており、接続ハブ14の周壁が、コネクタカバー44の周壁48とガイドコネクタ46の周壁49とから構成されている。したがって、コネクタカバー44の先端部分が、前述のチューブ接続部43とされている。また、コネクタカバー44に挿し入れられたガイドコネクタ46の先端側が略円筒状の挿入部46aとされている。また一方、ガイドコネクタ46の挿入部46aが挿し入れられたコネクタカバー44の基端側が略円筒状の被挿入部44aとされている。
【0064】
そして、かかるガイドコネクタ46の基端が、コネクタカバー44よりも、所定の軸方向寸法をもって基端側に延び出している。それ故、接続ハブ14の周壁は、コネクタカバー44とガイドコネクタ46との連結部分において被挿入部44aと挿入部46aとが相互に内外挿状態で二重壁構造とされた組付部50を備えている一方、接続ハブ14の先端側の周壁がコネクタカバー44の周壁48で構成されているとともに、接続ハブ14の基端側の周壁がガイドコネクタ46の周壁49で構成されている。したがって、上記コネクタカバー44とガイドコネクタ46とが連結されて二重壁構造とされている部分(組付部50)において、コネクタカバー44の周壁48の内周面48aとガイドコネクタ46の周壁49の外周面49aとが、コネクタカバー44とガイドコネクタ46との重ね合わせ面とされている。
【0065】
コネクタカバー44は、硬質の合成樹脂により形成されており、筒状の周壁48を備えている。この周壁48は、内径寸法および外径寸法が、軸方向の略全長に亘って略一定とされている。さらに、かかる周壁48の軸方向中間部分における内周面には、環状壁部51が内周側に突出して形成されている。そして、かかる環状壁部51の内周側端部には、基端側に向かって突出する環状支持部52が設けられている。なお、当該環状支持部52は、突出先端側(基端側)に向かって次第に先細となる断面形状とされている。更にまた、環状支持部52の内周面は、内周側に向かって凸となる湾曲凸面53により構成されている。
【0066】
また、コネクタカバー44の周壁48の内周面48aにおける基端部分において、径方向1方向の両側(図2中の上下方向両側)には、内周側に開口する一対の係合穴54,54が形成されており、本実施形態では、これら係合穴54,54が、周壁48の厚さ方向で貫通して形成されている。これらの係合穴54,54は、それぞれ平面視における形状が略矩形状とされており、それぞれ半周に満たない周方向寸法をもって、周上で部分的に形成されている。さらに、コネクタカバー44の周壁48において、これら一対の係合穴54,54を周方向で外れた位置には、軸方向端部(基端側)の開口縁から軸方向内方(先端側)に向かって延びる切欠部56が形成されている。本実施形態では、一対の係合穴54,54の対向方向と直交する方向の両側(図2中の紙面手前奥方向両側)に一対の切欠部56,56が、所定の幅寸法をもって形成されている。
【0067】
さらに、コネクタカバー44の周壁48の内周面48aにおける基端において、係合穴54,54の対向する方向と同方向(図2中の上下方向両側)には一対の傾斜案内面57,57が形成されており、基端側に向かって周壁48の厚さ寸法が次第に小さくなっている。すなわち、コネクタカバー44の内周面48aにおいて、各傾斜案内面57,57が、基端に向かって、要するに後述する組付方向の先端に向かって次第に拡がるようになっている。そして、かかる傾斜案内面57,57と、当該傾斜案内面57,57を挟んだ両側壁部57a,57aにより、コネクタカバー44の周壁48の内周面48aにおける基端には、内周側に開口する一対の案内溝58,58が形成されている。換言すれば、それぞれの案内溝58,58における溝底面が、傾斜案内面57,57とされている。
【0068】
一方、ガイドコネクタ46は、硬質の合成樹脂により形成されており、コネクタカバー44の周壁48よりも小径の周壁49を備えている。この周壁49は、内径寸法および外径寸法が、軸方向の略全長に亘って略一定とされている。本実施形態では、周壁49の外径寸法A(図3参照)が、チューブ34の外径寸法B(図3参照)より大きくされているとともに、コネクタカバー44の周壁48の内径寸法C(図3参照)と略等しくされている。また、周壁49の内径寸法D(図3参照)が、コネクタカバー44の環状支持部52における湾曲凸面53の最小内径寸法E(図3参照)と略等しくされている。
【0069】
かかる周壁49の軸方向中間部分における内周面には、環状の係合壁部60が内周側に突出して形成されている。なお、周壁49において、係合壁部60よりも先端側の内周面は、後述する押し子78の軸方向移動をガイドする案内面62とされており、内径寸法が略一定とされている。一方、係合壁部60よりも基端側の内周面は、内径寸法が基端側へ向かって次第に大きくなるテーパ状面64とされている。
【0070】
また、かかる周壁49の外周面49aにおける軸方向中間部分において、径方向1方向の両側(図2中の上下方向両側)には、一対の係止突起66,66が突出して形成されている。これらの係止突起66,66の平面視における形状は、コネクタカバー44における係合穴54,54と対応する略矩形状とされており、周上で部分的に形成されている。そして、係止突起66,66の先端側端面が、先端側に向かって係止突起66,66の突出高さが次第に小さくなる、即ち後述する挿入方向の前方から後方に向かって係止突起66,66の突出寸法が次第に大きくなる傾斜面68,68とされている一方、基端側端面が、略軸直角方向に広がる垂直面70,70とされている。なお、係止突起66,66における傾斜面68,68の軸方向に対する傾斜方向は、案内溝58,58における傾斜案内面57,57の軸方向に対する傾斜方向と等しくされている。本実施形態では、これら両面57,68の軸方向に対する傾斜角度も略等しくされており、傾斜面68と傾斜案内面57とが軸方向で相互に略平行とされている。
【0071】
さらに、周壁49の外周面において、一対の係止突起66,66の対向する方向と直交する方向の両側(図2中の紙面手前奥方向の両側)には、コネクタカバー44における切欠部56,56と対応する形状とされた一対の位置決め突起71,71が突出形成されている。
【0072】
更にまた、周壁49の基端側開口部72における外周面には、外周側に突出する環状の接続突部74が形成されている。かかる接続突部74の外周面にはねじ山が形成されており、後述する外部流路の接続時において、ルアーロックタイプの外部流路を接続することが可能となる。
【0073】
ここにおいて、かかる周壁49の先端面には、先端側に突出する筒状の支持筒部76が設けられている。この支持筒部76の内径寸法は、周壁49の内径寸法と略等しくされている一方、支持筒部76の外径寸法は、周壁49の外径寸法よりも小さくされている。また、支持筒部76は、先端側に向かって次第に先細となる断面形状とされている。
【0074】
かかる形状とされたガイドコネクタ46の内周側には、中央に軸方向に貫通する内孔77を有する筒状の押し子78が収容されている。すなわち、ガイドコネクタ46の内孔が、押し子78の内孔77を含んで構成されている。この押し子78の内径寸法は、軸方向の略全長に亘って略一定とされている一方、押し子78の外周面には、軸直角方向に広がる環状の段差面80が形成されている。そして、当該段差面80よりも先端側の外周面が、先端側に向かって次第に小径となるテーパ状外周面82とされている一方、段差面80よりも基端側の外周面が、略一定の外径寸法とされたストレート状外周面84とされている。なお、テーパ状外周面82の基端側部分における最大外径寸法は、ストレート状外周面84の外径寸法より大きくされている。一方、テーパ状外周面82の先端側部分における最小外径寸法Fは、ストレート状外周面84の外径寸法より小さくされており、且つコネクタカバー44の環状支持部52における湾曲凸面53の最小内径寸法Eよりも小さくされている。
【0075】
ここにおいて、コネクタカバー44の内周側には、ディスク弁16が収容配置されている。このディスク弁16は、略円板形状とされており、ゴムやエラストマーなどの弾性を有する材質により形成されている。そして、ディスク弁16の中央部分86には、軸方向で貫通するスリット88が形成されている。このスリット88の形状は限定されるものではないが、本実施形態では、周方向の三方に略均等に延びる放射状とされている。なお、外部流路が接続されていない弁付き針組立体10の単品状態では、ディスク弁16が、例えば外周側から内周側に向かって径方向の押圧力を及ぼされて支持されることにより、スリット88は閉塞状態とされている。
【0076】
かかるディスク弁16の外周部分には、基端側に延びる筒状支持部90が設けられている。なお、本実施形態では、ディスク弁16の外径寸法と筒状支持部90の外径寸法が略等しくされており、ディスク弁16の外周面91と筒状支持部90との外周面とにより、軸方向に平坦な環状面が構成されている。また、ディスク弁16の基端側面92における外周部分において、筒状支持部90よりも内周側には、周方向の全周に亘って連続して延びるとともに基端側に開口する基端側凹溝94が形成されている。
【0077】
一方、ディスク弁16の先端側面96における外周部分には、周方向の全周に亘って連続して延びるとともに先端側に開口する先端側凹溝98が形成されている。本実施形態では、これら基端側凹溝94と先端側凹溝98とが、ディスク弁16の径方向において略同位置に形成されており、基端側凹溝94と先端側凹溝98の底面間が、中央部分86よりも厚さ寸法(軸方向寸法)が小さくされた括れ状部100とされている。特に、本実施形態では、かかる括れ状部100における厚さ寸法(軸方向寸法)が、筒状支持部90における厚さ寸法(軸直角方向寸法)よりも小さくされている。
【0078】
すなわち、ディスク弁16において、括れ状部100よりも外周側は、基端側凹溝94と先端側凹溝98の底面よりも基端側および先端側に突出しており、基端側に突出する部分が前述の筒状支持部90とされている一方、先端側に突出する部分が先端側筒状部102とされている。なお、先端側筒状部102の先端面は、ディスク弁16の先端側面96と略同じ軸方向位置とされているとともに、筒状支持部90の基端面は、ディスク弁16の基端側面92よりも基端側に位置している。また、ディスク弁16において、スリット88が形成された中央部分86は、括れ状部100で囲まれた内周部分に位置している。
【0079】
特に、本実施形態では、筒状支持部90の軸方向長さα(図3参照)が、ディスク弁16の中央部分86における厚さ寸法(軸方向長さ)β(図3参照)の半分以上(α≧β/2)とされている。かかる寸法とされることより、後述するディスク弁16の脱落防止効果やガイドコネクタ46による支持効果などが安定して発揮され得る。
【0080】
また、ディスク弁16の先端側面96において、先端側凹溝98の内周側には、先端側凹溝98に隣接して、周方向の全周に亘って連続して延びる周溝104が形成されている。すなわち、先端側凹溝98の内面と周溝104の内面とが径方向で相互に連続している。なお、周溝104の内面と、コネクタカバー44の環状支持部52における湾曲凸面53とは径方向で相互に離隔して、隙間が形成されている。これにより、後述する押し子78の押込時(外部流路の接続時)において、ディスク弁16の弾性変形が容易とされる。
【0081】
以上の如き構造とされたコネクタカバー44、ガイドコネクタ46、ディスク弁16および押し子78により接続ハブ14が構成されている。
【0082】
すなわち、ガイドコネクタ46の先端側開口部から押し子78が挿入されて配設される。その際、押し子78の基端位置は、ガイドコネクタ46の内周面に設けられた係合壁部60と、押し子78の外周面に設けられた段差面80とが相互に当接することで規定される。また、かかる押し子78の収容状態では、押し子78のストレート状外周面84と係合壁部60の内周面とが当接しているか僅かに離隔しているとともに、押し子78のテーパ状外周面82の基端部分における外周面とガイドコネクタ46の案内面62とが当接しているか僅かに離隔している。これにより、押し子78が、ガイドコネクタ46の内周面に案内されつつ、軸方向で移動可能とされている。
【0083】
そして、かかるガイドコネクタ46の先端部分において、ディスク弁16の筒状支持部90が被せられて支持されている。すなわち、ディスク弁16の基端側凹溝94内に、ガイドコネクタ46の先端に設けられた支持筒部76の先端部分が位置しており、本実施形態では、基端側凹溝94に対して支持筒部76の先端部分が挿入されている。それとともに、ディスク弁16の筒状支持部90における内周面が支持筒部76の外周面に当接しており、ディスク弁16の基端側に対してガイドコネクタ46の先端部分が嵌め入れられている。特に、本実施形態では、支持筒部76の先端部分の内外周面が、基端側凹溝94の内面を構成する内外周面にそれぞれ当接している。また、支持筒部76の先端面と基端側凹溝94の底面との軸方向間には隙間が形成されており、後述する押し子78の移動時におけるディスク弁16の弾性変形容易性の向上と、ディスク弁16の耐久性の向上が図られている。なお、かかるディスク弁16の支持状態では、ディスク弁16の基端側面92に対して押し子78の先端が当接しており、押し子78が、ディスク弁16と係合壁部60の軸方向間で位置決めされている。
【0084】
かかるディスク弁16の先端側からコネクタカバー44が組み付けられている。すなわち、先端にディスク弁16を被せて支持した状態でガイドコネクタ46の先端部分をコネクタカバー44の基端側開口部から挿入して、ガイドコネクタ46の係止突起66,66をコネクタカバー44の係合穴54,54に係合させることにより、コネクタカバー44とガイドコネクタ46とが軸方向で直列して同一中心軸上で連結される。すなわち、係止突起66,66の基端側端面である垂直面70,70が係合穴54,54の基端側内面105,105に当接することで、コネクタカバー44の被挿入部44aからのガイドコネクタ46の挿入部46aの抜出しが防止されている。したがって、係合穴54,54の基端側内面105,105により、係止突起66,66を係止せしめる係止部が構成されている。要するに、本実施形態では、当該係止部(基端側内面105,105)が、案内溝58,58と、コネクタカバー44の周壁48の内周面48a上において軸方向の延長線上で重なって位置するようにして、案内溝58,58(傾斜案内面57,57)よりも先端側、即ち後述するコネクタカバー44における組付方向の後方側に設けられている。換言すれば、係止部(基端側内面105,105)が設けられたコネクタカバー44では、後述するように先端側から基端側に向かう方向が組付方向とされており、コネクタカバー44における組付方向の先端部分(軸方向基端部分)に案内溝58,58(傾斜案内面57,57)が設けられている。すなわち、当該案内溝58,58が、コネクタカバー44における組付方向の先端部分から係止部(基端側内面105,105)に向かって延びている。
【0085】
また、上記では、コネクタカバー44とガイドコネクタ46との組付けについては、ガイドコネクタ46をコネクタカバー44に挿入することによって実現される。すなわち、コネクタカバー44とガイドコネクタ46とが相互に接近する方向が組付方向であり、コネクタカバー44においては先端側から基端側に向かう方向が組付方向である一方、ガイドコネクタ46においては基端側から先端側に向かう方向が組付方向である。本実施形態では、ガイドコネクタ46がコネクタカバー44に挿入されることから、上記組付方向のうち、特にガイドコネクタ46における組付方向(基端側から先端側へ向かう方向)が、挿入方向とされている。尤も、挿入方向は、これに限定されたものではなく、後述する第2の実施形態や図16に示される態様のように、先端側に位置する管体(外針キャップ216、コネクタカバー292)を基端側に位置するコネクタ(キャップコネクタ218、ガイドコネクタ294)に挿入してもよく、かかる場合は、管体における組付方向が挿入方向とされて、先端側から基端側へ向かう方向とされる。
【0086】
なお、ガイドコネクタ46をコネクタカバー44に挿入する際、コネクタカバー44の案内溝58,58にガイドコネクタ46の係止突起66,66を挿入すること、およびコネクタカバー44の切欠部56,56にガイドコネクタ46の位置決め突起71,71を挿入することにより、係止突起66,66と係合穴54,54とが周方向で容易に位置決めされ得る。また、案内溝58,58の溝底面である傾斜案内面57,57と係止突起66,66の傾斜面68,68とが相互に当接することにより、係止突起66,66が、案内溝58,58の傾斜案内面57,57に案内されて、案内溝58,58の先端側に位置する係合穴54,54に係止されることが容易となっている。
【0087】
そして、かかるコネクタカバー44の組付状態では、ディスク弁16の外周部分が、相互に組み付けられたコネクタカバー44とガイドコネクタ46との間で軸方向および軸直角方向に位置決めされて保持されることにより、コネクタカバー44とガイドコネクタ46とに嵌め合わされた嵌合状態で組み付けられている。特に、コネクタカバー44における環状支持部52の突出先端部分がディスク弁16の先端側凹溝98内に位置しており、本実施形態では、環状支持部52の突出先端部分が先端側凹溝98に対して挿入されている。それとともに、ディスク弁16の先端側筒状部102の内外周面が、環状支持部52の外周面とコネクタカバー44の周壁48の内周面とのそれぞれに当接している。すなわち、ディスク弁16の先端側にコネクタカバー44の環状支持部52が嵌め入れられており、更には環状支持部52の外周面に対して、ディスク弁16の先端側筒状部102が被せられて支持されている。特に、本実施形態では、かかる先端側筒状部102が、これら環状支持部52の外周面とコネクタカバー44の周壁48の内周面48aとの径方向間で押圧されて挟持されている。また、本実施形態では、環状支持部52の内外周面が、先端側凹溝98の内面を構成する内外周面のそれぞれに当接している。
【0088】
さらに、ディスク弁16の外周面91および筒状支持部90の外周面が、コネクタカバー44の周壁48の内周面48aに当接している。なお、ディスク弁16の組付以前における単品状態では、ディスク弁16の外径寸法がコネクタカバー44の内径寸法より僅かに大きくされており、ディスク弁16をコネクタカバー44とガイドコネクタ46との間に組み付けることにより、ディスク弁16の外周面91が、コネクタカバー44の周壁48の内周面48aにより内周側(軸中心方向)に押圧されている。すなわち、コネクタカバー44の周壁48の内周面48aにより、ディスク弁16を内周側に押圧する押圧部が構成されている。本実施形態では、かかる押圧部(周壁48の内周面48a)が、平坦な環状面とされている。
【0089】
また、ディスク弁16の単品状態では、筒状支持部90の厚さ寸法(軸直角方向寸法)が、ガイドコネクタ46の支持筒部76とコネクタカバー44の周壁48との径方向間距離より僅かに大きくされている。すなわち、ディスク弁16の組付状態では、筒状支持部90が、支持筒部76とコネクタカバー44の周壁48とにより厚さ方向(径方向)間で挟まれて押圧されている。これにより、コネクタカバー44とガイドコネクタ46との間で、ディスク弁16がより安定して支持されるようになっている。かかるディスク弁16の外周部分は、コネクタカバー44とガイドコネクタ46とにより、軸方向間でも圧縮状態で挟持されてもよい。
【0090】
なお、これらコネクタカバー44、ガイドコネクタ46、ディスク弁16および押し子78の組付けを、先端側を上方にして組み付けることにより、組付時におけるガイドコネクタ46からのディスク弁16の脱落が、効果的に防止され得るが、組付方法はこれに限定されたものではない。
【0091】
以上の如き中空針12と弾性チューブ36と接続ハブ14を軸方向で連結することにより、本実施形態の弁付き針組立体10が構成されている。かかる弁付き針組立体10は、例えば弁付き針組立体10を含んで構成される外針ユニットに対して、針先を備える内針を含んで構成される図示しない内針ユニットが挿通されることで弁付きの留置針組立体として使用される。すなわち、当該弁付きの留置針組立体を患者の血管に穿刺して、外針ユニットから内針ユニットを引き抜くことにより、弁付き針組立体10が、患者の血管に留置される。なお、かかる内針ユニットの具体的な構造は何等限定されるものではないが、留置針組立体の具体例を、後述する図6~13に示す。尤も、中空針12が、針先を有する金属などの針とされることで、弁付き針組立体10を患者の血管に直接穿刺して留置することも可能である。
【0092】
そして、図4,5に示されているように、患者の血管に留置された弁付き針組立体10の基端側から外部流路としてのシリンジ106が挿入接続されることで、患者の血管と外部流路(シリンジ)106とが、流体流路18を介して連通される。
【0093】
すなわち、シリンジ106の雄ルアー108が、接続ハブ14(ガイドコネクタ46)の基端側開口部72から挿入されることで、雄ルアー108の先端により、ガイドコネクタ46の内部に収容された押し子78が先端側に移動せしめられる。これにより、押し子78の先端がディスク弁16の基端側面92に押し当てられ、ディスク弁16を弾性変形させて、ディスク弁16のスリット88を開放せしめるようになっている。
【0094】
その際、ディスク弁16は、図5などに示されるように弾性変形せしめられる。すなわち、押し子78の先端によって括れ状部100より内周側(中央部分86)が先端側に引っ張られるように弾性変形せしめられる。かかる弾性変形時には、ディスク弁16の先端側面96に設けられた周溝104の内面が、コネクタカバー44に設けられた環状支持部52の湾曲凸面53の略全面に亘って当接するようになっている。これにより、ディスク弁16の弾性変形時に、ディスク弁16とコネクタカバー44との間に血液が入り込むことが効果的に防止され得る。さらに、後述する外部流路(シリンジ)106の抜去時には、ディスク弁16の弾性復元力もより大きく発揮され得る。それに加えて、本実施形態では、ディスク弁16の中央部分86における先端側面96が、弾性チューブ36の基端側開口部の内周面に当接するようになっている。
【0095】
かかるディスク弁16のスリット88の開放状態では、流体流路18が連通状態とされることから、当該流体流路18を通じて、輸液や採血がなされ得る。
【0096】
また、輸液や採血の処置後または中断時には、シリンジ106を接続ハブ14(ガイドコネクタ46)から抜去することで、ディスク弁16が、それ自体の弾性復元作用によりシリンジ106の接続前の形状(図3などの形状)に復元して、スリット88が閉塞される(流体流路18が遮断状態とされる)。その際、押し子78は、ディスク弁16の中央部分86により基端側へ押し戻されて移動せしめられて、かかる押し子78の基端側への移動端は、押し子78の段差面80がガイドコネクタ46の内周面に設けられた係合壁部60に当接することで規定される。これにより、外部流路(シリンジ)106の抜去時において、押し子78が所定の位置に位置決めされ得る。
【0097】
上記の如き構造とされた弁付き針組立体10では、コネクタカバー44とガイドコネクタ46との一方が他方に対して挿入されるとともに、コネクタカバー44の周壁48に設けられた係合穴54,54に対してガイドコネクタ46に設けられた係止突起66,66が係止されることで、コネクタカバー44とガイドコネクタ46とが相互に組み付けられて接続ハブ14が構成される。すなわち、コネクタカバー44とガイドコネクタ46との組付けに際して、接着剤などを用いることがないことから、接着剤が流体流路18に漏れ出したりすることがないだけでなく、接着工程が省かれることから、接続ハブ14、ひいては弁付き針組立体10の製造効率の向上が図られ得る。
【0098】
さらに、係合穴54,54の基端側には案内溝58,58が設けられており、当該案内溝58,58に係止突起66,66を差し入れることで係止突起66,66が係合穴54,54に対してより確実に案内されることから、コネクタカバー44とガイドコネクタ46とが相互に周方向で位置決めされるだけでなく、コネクタカバー44とガイドコネクタ46とがスムーズに組み付けられて、弁付き針組立体10の製造効率が一層向上され得る。
【0099】
特に、コネクタカバー44には切欠部56,56が設けられている一方、ガイドコネクタ46には位置決め突起71,71が設けられており、切欠部56,56に位置決め突起71,71を挿入することで、コネクタカバー44とガイドコネクタ46との周方向位置が効果的に位置決めされ得る。それ故、上記の如き係合穴54,54と係止突起66,66との係合も安定して実現され得る。それに加えて、コネクタカバー44の基端部分の周壁48に切欠部56,56が設けられていることで、ガイドコネクタ46のコネクタカバー44への挿入時にコネクタカバー44の周壁48が撓みやすく、コネクタカバー44とガイドコネクタ46との組付けが更に一層容易に実現され得る。
【0100】
また、従来構造の針組立体のように、ディスク弁の閉塞変形のために別体のコイルスプリングなどを使用するものではないことから、シリンジ106の挿入抵抗を軽減させることができるとともに、部品点数および組付工程数の増加を抑制して、且つ弁付き針組立体10の大型化も回避され得る。
【0101】
さらに、本実施形態の弁付き針組立体10では、外部流路(シリンジ)106の挿入時において、ディスク弁16の中央部分86が先端側へ引っ張られて弾性変形せしめられるが、ディスク弁16の外周部分に、基端側へ延びる筒状支持部90が設けられていることから、接続ハブ14からのディスク弁16の脱落が効果的に防止され得る。特に、かかる筒状支持部90が、ガイドコネクタ46における支持筒部76とコネクタカバー44の周壁48との径方向間で押圧状態で挟持されていることから、接続ハブ14からのディスク弁16の脱落が一層効果的に防止され得る。
【0102】
このように、ディスク弁16の支持力が、特に筒状支持部90により発揮されることから、例えばディスク弁が単なる平板状とされる場合に比べて、接続ハブ14による径方向の圧縮力などを小さく又は略0とすることもできる。これにより、ディスク弁16における中央部分86が容易に弾性変形することができて、外部流路(シリンジ)106の挿入抵抗が低減される。また、ディスク弁16の外周縁部に設けられた筒状支持部90が、支持筒部76と周壁48との間で挟持されていることから、押し子78による押圧時にもディスク弁16の外周縁部の弾性変形が抑えられることで、シリンジ106抜去時のディスク弁16の初期形状への弾性復元力が一層有利に発揮され得る。
【0103】
また、押し子78の軸方向移動を案内するガイドコネクタ46を含んで接続ハブ14が構成されており、例えば押し子78をガイドする部材が接続ハブ14とは別体とされて接続ハブ14の内周側に収容されている場合に比べて、ガイドコネクタ46、ひいては当該ガイドコネクタ46の先端部分に被せられるディスク弁16の外径寸法を大きく確保することができる。これにより、ディスク弁16のゴムボリュームを十分に確保することができて、例えば耐久性や信頼性の向上が図られると共に、スリット88の開口も大きくすることができる他、押し子78によるディスク弁16の弾性変形が容易となる。
【0104】
更にまた、ディスク弁16の先端側面96と基端側面92にはそれぞれ先端側凹溝98と基端側凹溝94が設けられて、これら凹溝98,94に、コネクタカバー44の環状支持部52とガイドコネクタ46の支持筒部76が挿入されていることから、接続ハブ14によるディスク弁16の保持力が安定して向上され得る。さらに、これら環状支持部52と支持筒部76の軸方向における対向間距離が、筒状支持部90の板厚寸法よりも小さくされることにより、環状支持部52と支持筒部76との間から筒状支持部90が抜け落ちることが効果的に防止されることから、接続ハブ14からのディスク弁16の脱落が一層効果的に防止され得る。
【0105】
以上の如き本発明に係る弁付き針組立体は、例えば外針ユニットの全体または一部として、内針ユニットと組み合わされて、留置針組立体として使用される。すなわち、図6,7には、本発明に係る留置針組立体の具体的な一例が示されている。なお、以下の説明において、前記図1~5に示される弁付き針組立体10と実質的に同一の部材および部位には、図中に、図1~5と同一の符号を付すことにより、詳細な説明を省略する。
【0106】
すなわち、図6,7に示される留置針組立体110は、予め定められる軸線L1に沿う針軸方向に延在するように構成されており、プロテクタ112を含んで構成される内針ユニット114と、外針ユニット116と、これら内針ユニット114と外針ユニット116とを連結する接続キャップ118とを備えている。なお、本実施形態の外針ユニット116は、前記図1~5に示された弁付き針組立体10と略同様の構造とされた弁付き針組立体119と接続キャップ118とを含んで構成されている。
【0107】
なお、留置針組立体110における弁付き針組立体119は、前記図1~5に示された弁付き針組立体10とは異なり、針ハブと当該針ハブの基端側に接続されるチューブが別体として形成されており、外針としての中空針12が硬質の合成樹脂からなる外針ハブ120に固定支持されているとともに、当該外針ハブ120の基端側から軟質の合成樹脂からなるチューブ122が延び出している。具体的には、外針ハブ120が、略筒状の周壁124を備えており、当該周壁124の先端側開口部から中空針12が挿通されて周壁124の内周面に固着されているとともに、外針ハブ120の基端側開口部においてチューブ122の先端が中空針12と周壁124との間に挟まれて、必要に応じて接着や溶着の処理が施されることにより、外針ハブ120の基端側開口部にチューブ122が接続されている。
【0108】
一方、内針ユニット114は、プロテクタ112に加えて、内針126と、内針ハブ128と、内針キャップ130とを有している。内針126は、例えば金属材料又は硬質の合成樹脂から成る大略円筒状の中空針であり、軸線L1に沿って真直ぐに延在している。内針126は、その遠位側端部に鋭利な針先132を有しており、針先132は、血管に穿刺できるように鋭利に形成されている。さらに、内針126の外周面には、針先132寄りに2つの突起部134,134(図8参照)が形成されている。2つの突起部134,134は、内針126の外周面から半径方向外方であって相反する方向に互いに突出している。なお、かかる突起部134は、周方向の全周に亘って設けられてもよい。また、内針126は、中実針であってもよい。そして、内針126の近位側端部には、内針ハブ128が設けられている。
【0109】
内針ハブ128は、大略円柱状に形成されており、その中間部分が近位側の部分及び遠位側の部分に比べて絞られている。また、中間部分の内孔には、内針126の近位端側部分が嵌挿されて接着剤等によって固定されている。更に、内針ハブ128の遠位端および近位端には、それぞれ遠位側開口および近位側開口が形成されており、当該遠位側開口の底壁における中央には、遠位側に突出する天井136が形成されている。一方、内針ハブ128の近位側開口には、内針キャップ130が嵌め込まれており、内針キャップ130によって近位側開口が塞がれている。更に、内針ハブ128の遠位側部分は、残余の部分(即ち、中間部分及び近位側部分)に比べて大径に形成されており、内針ハブ128の遠位側部分内には、後で詳述するルアーキャップ164及びプロテクタ112の各々の一部分が収容されている。このように構成されている内針ユニット114の内針126は、外針ユニット116に挿通されている。
【0110】
なお、内針キャップ130の内部には図示しない通気フィルタが設けられており、当該通気フィルタが、気体は透過するが液体は遮断する性質を有している。かかる内針キャップ130が内針ハブ128に組み付けられることにより、内針ハブ128の近位側開口が液密に覆蓋されており、内針126を通じての逆血が外部に漏れ出さないようになっている。また、内針ハブ128や内針キャップ130が透明な部材で製造されることにより、逆血(フラッシュバック)の確認を容易に行うことができる。
【0111】
プロテクタ112は、内針126の針先132を収納して保護するためのものであり、ケーシング138と、シャッター機構140とを有している。ケーシング138は、合成樹脂から成る大略中空円柱状の部材である。ケーシング138は、その中間部分にテーパ部分142を有しており、テーパ部分142は、遠位側に進むにつれて次第に拡径するようにテーパ状に形成されている。これにより、ケーシング138では、前記テーパ部分142を含む大径部144が遠位側に形成され、近位側に小径部146が形成されている。また、ケーシング138内における近位端部には、円環状のリング部材148が設けられている。一方、ケーシング138の遠位側開口部(大径部144の遠位側開口部)は、全体として略平板形状とされた蓋体150が組み付けられることによって閉塞されている。このように、大径部144の遠位側開口部が蓋体150により閉塞されることで、テーパ部分142を含む大径部144と蓋体150とにより囲まれた空間が収容空間151とされている。
【0112】
そして、かかるケーシング138には、針先132を突出させている状態で内針126が針軸方向で移動可能に挿通されている。即ち、ケーシング138の近位端部には軸線L1回りに基端側挿通孔部152が形成されているとともに、蓋体150には、中間挿通孔部154および先端側挿通孔部156が形成されており、各挿通孔部152,154,156に内針126が挿通されている。また、リング部材148にも内針126が挿通されている。
【0113】
ここで、内針126における2つの突起部134,134は、遠位側にある中間挿通孔部154および先端側挿通孔部156を挿通可能に構成されているが、リング部材148と係合するように構成されている。それ故、プロテクタ112に対して内針126を相対移動させる(即ち、プロテクタ112から内針126を引き抜く)際、2つの突起部134,134は、遠位側にある中間挿通孔部154および先端側挿通孔部156を通ってプロテクタ112内に収まり、その後、リング部材148に係合してプロテクタ112に留まるようになっている。また、内針126では、突起部134,134の位置が調整されており、突起部134,134がリング部材148に係合した際に針先132がプロテクタ112内に収まるようになっている。このようにプロテクタ112内には、そこに収まった針先132がプロテクタ112から出ないように、大径部144内であって中間挿通孔部154と先端側挿通孔部156との軸方向間にシャッター機構140が収容されている。
【0114】
シャッター機構140は、遮蔽部材158と固定部材160とを含んで構成されている。即ち、遮蔽部材158と固定部材160との一方は磁石とされていると共に、他方は磁石あるいは鉄などの強磁性材とされており、相互に磁気的な吸引力が及ぼされている。そして、これら遮蔽部材158と固定部材160は、それぞれ半径方向に対向させて配置されている。かかる固定部材160は、蓋体150に固定されていると共に、遮蔽部材158は、固定部材160の方に向かって移動可能に蓋体150内に設けられており、かかる蓋体150がケーシング138の遠位側開口部に固着されることによって、遮蔽部材158と固定部材160とがケーシング138の大径部144内における収容空間151内に収容配置されている。
【0115】
より詳細に説明すると、遮蔽部材158と固定部材160との間には、図6,7に示すような使用前の状態において内針126が挿通されており、これによって遮蔽部材158と固定部材160とが間をあけて配置されている。他方、内針126がプロテクタ112に対して近位側に引き抜かれ、その針先132がケーシング138に収まると、以下のように作動する。即ち、遮蔽部材158が固定部材160によって吸引され、固定部材160に吸着される。これにより、遮蔽部材158が、ケーシング138内において軸線L1上、即ち針先132と先端側挿通孔部156との間に配置され、針先132が収容空間151内に位置した状態で、収容空間151の先端側の開口部である先端側挿通孔部156が閉められる。このように先端側挿通孔部156が閉じられることで、針先132がプロテクタ112内に脱出不能に収まり、針先132がプロテクタ112によって保護される。このように針先132が収容された状態で内針126を更に近位側に動かすと、プロテクタ112は、内針126と共に後述するルアーキャップ164に対して近位側に相対移動する。
【0116】
以上の如き構造とされた内針126の基端が内針ハブ128に挿入されて、必要に応じて接着や溶着の処理が施されることにより内針126が内針ハブ128に固定支持されるとともに、内針126にプロテクタ112が軸方向で移動可能に外挿装着されることにより、本実施形態の内針ユニット114が構成されている。そして、図6,7に示される初期状態では、当該内針ユニット114において先端側に突出する内針126が、弁付き針組立体119の基端側開口部、即ちガイドコネクタ46の基端側開口部72から挿入されて、更にディスク弁16、チューブ122、外針ハブ120および中空針12に基端側から挿通されて、内針126の針先132が、中空針12の先端から突出している。これにより、内針ユニット114と弁付き針組立体119とが相互に組み付けられている。
【0117】
ここにおいて、弁付き針組立体119のガイドコネクタ46と内針ユニット114のプロテクタ112との間には接続キャップ118が設けられており、当該接続キャップ118により外針ユニット116と内針ユニット114とが連結されている。すなわち、外針ユニット116の基端部分(近位側部分)が接続キャップ118により構成されており、当該接続キャップ118にプロテクタ112が連結されている。この接続キャップ118は、それぞれ略筒状とされた外針キャップ162とキャップ体としてのルアーキャップ164とを含んで構成されている。
【0118】
外針キャップ162は、硬質の合成樹脂等から成る大略円筒状の部材である。外針キャップ162は、その外周面の軸方向中間部分に段差166を有しており、その段差166より遠位側部分が近位側部分に比べて小径に形成されている。外針キャップ162の遠位側部分には、ガイドコネクタ46の近位端部分が挿入されて螺合されており、外針キャップ162が、外針ハブ120よりも近位側、本実施形態ではガイドコネクタ46の近位端部分に着脱可能に設けられている。
【0119】
また、外針キャップ162の内周面には、その軸方向中間部分(より詳細には、段差166に略対応する位置)に内向きフランジ168が形成されている。内向きフランジ168は、外針キャップ162の内周面において周方向全周にわたって形成され、また内周面から半径方向内方に突出している。さらに、内向きフランジ168の内周縁部には、挿入円筒部170が形成されている。挿入円筒部170は、大略円筒状に形成されており、内向きフランジ168の内周縁部から遠位側に突出している。挿入円筒部170の外径寸法は、ガイドコネクタ46の内径寸法と略同一となっており、外針キャップ162をガイドコネクタ46に螺合させた状態で挿入円筒部170がガイドコネクタ46内に挿通されるようになっている。
【0120】
さらに、外針キャップ162の近位側開口部において、径方向1方向両側(図6,7中の上下方向両側)には、近位側に開口して、且つ厚さ方向(径方向)に貫通する一対の切欠き172,172が形成されている。これら切欠き172,172は、平面視において略矩形状とされており、所定の周方向寸法をもって形成されている。
【0121】
かかる外針キャップ162の内孔は、内向きフランジ168によって遠位側領域174と近位側領域176とに隔てられている。遠位側領域174には、前述の通りガイドコネクタ46の近位端部が挿入されている。他方、近位側領域176には、ルアーキャップ164の遠位側の一部が差し入れられている。すなわち、接続キャップ118において外針キャップ162とルアーキャップ164とが軸方向で直列的に設けられており、外針ユニット116の最も近位側の部分が、キャップ体としてのルアーキャップ164により構成されている。
【0122】
ルアーキャップ164は、硬質の合成樹脂等から成る大略円筒状部材であり、押込部178と、収容部180とを有している。押込部178は、収容部180より小径に形成されており、その外径寸法は、外針キャップ162の挿入円筒部170の内径寸法と略同一となっている。押込部178は、挿入円筒部170に挿通され、また押込部178の遠位端がガイドコネクタ46内に設けられた押し子78の近位端と対向している。このように配置される押込部178は、針軸方向において挿入円筒部170より長尺に形成されており、押込部178の近位側部分には、収容部180が一体的に設けられている。
【0123】
収容部180は、大略有底筒状に形成されており、その外径寸法は、外針キャップ162における近位側領域176の孔径寸法と略同一になっている。このような形状を有する収容部180は、近位側領域176に差し入れられており、接続キャップ118の近位側に設けられている。更に詳細に説明すると、押込部178が挿入円筒部170より長尺に形成されているため、収容部180は、内向きフランジ168に対して近位側に離して(即ち、基準位置に)設けられている。それ故、ルアーキャップ164は、この基準位置から更に遠位側に押し込むことができ、押し込むことによって押し子78によってディスク弁16のスリット88を押し開いて、流体流路18を連通状態とさせることができる。
【0124】
また、収容部180には、その中心軸回りに貫通孔182が形成されている。貫通孔182は、押込部178の内孔と連通しており、内針126は、貫通孔182及び押込部178の内孔に針軸方向に相対移動可能に挿通され、針先132が中空針12の遠位側へと突出している。他方、収容部180の近位端部は、外針キャップ162の近位端から近位側へと突出している。また、外針キャップ162の近位端には、内針ハブ128の遠位端が対向しており、内針ハブ128内に収容部180の近位端部が挿入されている。このように構成されているルアーキャップ164には、その収容部180にプロテクタ112が差し入れられている。
【0125】
かかるルアーキャップ164の収容部180は、複数の可撓片184,184(本実施形態では、一対の可撓片184,184)を有しており、一対の可撓片184,184の各々は周方向に略等間隔(即ち、約180度の間隔)をあけて配置されている。すなわち、本実施形態では、収容部180の近位側開口部において、径方向1方向の両側(図6,7中の上下方向両側)に、一対の可撓片184,184が形成されている。また、各可撓片184は、図7や後述する図11などにも示されているように、一対の切欠き溝186,186によって夫々形成されている。即ち、収容部180の外周面には、一対の切欠き溝186,186が周方向に間隔をあけて形成されている。また、一対の切欠き溝186,186は、収容部180を半径方向に貫通しており、針軸方向において収容部180の近位端から軸方向中間部分まで延在している。一対の切欠き溝186,186はこのように形成され、その結果それらの間に板状の可撓片184が形成される。
【0126】
このように形成される可撓片184は、半径方向外側に撓むことができるようになっており、可撓片184の内周面(即ち、収容部180の内周面)には、凸状係合部分188が形成されている。即ち、ルアーキャップ164の収容部180は、その内周部に一対の凸状係合部分188,188を有しており、一対の凸状係合部分188,188を含んで係合部190が構成されている。また、一対の凸状係合部分188,188は、互いに半径方向に対向するよう配置されている。
【0127】
凸状係合部分188は、可撓片184の内周面から半径方向内方に突出しており、周方向において可撓片184の一端から他端に亘って延在している。更に、凸状係合部分188は、図6,7に示すように軸線L1を含む仮想平面で切断して見て断面山形状に形成されている。このような形状を有する凸状係合部分188は、プロテクタ112がルアーキャップ164に収納されている状態で、プロテクタ112のケーシング138のテーパ部分142に対応するように(即ち、ケーシング138のテーパ部分142の半径方向外方に)位置している。これにより、凸状係合部分188は、大径部144(より詳細には、テーパ部分142)に係合し、プロテクタ112とルアーキャップ164とを連結状態で保持しておくことができる。すなわち、本実施形態では、係合部190と係合する被係合部が、ケーシング138の外周部に設けられた、テーパ部分142を含む大径部144により構成されている。
【0128】
また、このように収まるプロテクタ112は、ケーシング138の小径部146をルアーキャップ164内から内針ハブ128内へと突出させており、ケーシング138の小径部146の近位側部分が内針ハブ128内に収容されている。本実施形態では、内針ハブ128に設けられた天井136にケーシング138の近位端が当てられている。これにより、プロテクタ112が天井136と収容部180の底面とによって挟持され、プロテクタ112の動きが規制されている。他方、内針ハブ128を近位側に動かしてルアーキャップ164から離すことで、プロテクタ112をルアーキャップ164から針軸方向で引き抜いて移動させることができるようになる。
【0129】
すなわち、内針ハブ128を動かしてプロテクタ112をルアーキャップ164から抜く際には、凸状係合部分188が断面山形状になっているので、大径部144によって凸状係合部分188が半径方向外側に押される。それに伴って一対の可撓片184,184が半径方向外側に撓み、一対の凸状係合部分188,188の間隔を大きくすることができる。これにより、一対の凸状係合部分188,188と大径部144との間の係合が解除され、プロテクタ112がルアーキャップ164から離脱させる(即ち、抜く)ことができる。また、凸状係合部分188が断面山形状になっているので、プロテクタ112をルアーキャップ164に入れる際も、大径部144によって凸状係合部分188が半径方向外側に押されて一対の可撓片184,184が半径方向外側に撓む。これにより、一対の凸状係合部分188,188における半径方向の間隔が大きくなり、プロテクタ112を円滑にルアーキャップ164に入れることができる。
【0130】
また、ルアーキャップ164は、前述の通り外針キャップ162内に差し入れられている。ここで、外針キャップ162の外周面には、一対の可撓片184,184の各々に夫々対応する位置に切欠き172,172が形成されている。当該切欠き172,172は、基準位置に位置するルアーキャップ164の一対の可撓片184,184より更に遠位側まで延びている。これにより、一対の可撓片184,184を外針キャップ162に当てることなく撓ませることができ、ルアーキャップ164からプロテクタ112を円滑に着脱させることができる。
【0131】
他方、使用時等において、ルアーキャップ164の近位端部は、内針ハブ128に挿入されて覆われている。即ち、一対の可撓片184,184が内針ハブ128によって半径方向外側から覆われている。これにより、一対の可撓片184,184が半径方向外側に撓んで押し広げられることを抑制している。
【0132】
このように構成されている留置針組立体110では、図6,7に示されるように、内針126がプロテクタ112、外針ユニット116(接続キャップ118及び弁付き針組立体119)に挿通され、針先132が中空針12から突出しており、この状態で人工透析等の血液浄化療法で使用される。更に詳細にすると、留置針組立体110は、針先132の刃面を上側に向けた状態で患者の血管に穿刺され、中空針12の遠位側部分が患者の血管に入るまで押し込まれる。その後、透析液等の輸液を血管に流し込むべく内針ユニット114が外針ユニット116から抜かれる。即ち、使用者は、内針ハブ128を把持し、それを外針ユニット116に対して近位側に相対移動させる。そうすると、内針126の針先132は、やがて中空針12の中に収まり、更に中空針12、外針ハブ120、ディスク弁16、押し子78、及び接続キャップ118を通ってプロテクタ112に達する。そうすることで、図8に示されるように、針先132がプロテクタ112内に収まり、収まることでシャッター機構140によって先端側挿通孔部156が塞がれて針先132がプロテクタ112によって保護される。
【0133】
保護されると共に、内針126の突起部134,134は、プロテクタ112内のリング部材148に係合され、プロテクタ112は、内針126と一体的に動くようになっている。他方、プロテクタ112は、ルアーキャップ164と係合して連結状態に保持されており、プロテクタ112の近位側への動きが規制されている。内針ユニット114を更に近位側に所定の荷重で引っ張ることによってプロテクタ112によって一対の凸状係合部分188,188が押されて一対の可撓片184,184が開かれる。これにより、係合が解除され、プロテクタ112がルアーキャップ164から外される。係合が解除される際、一対の凸状係合部分188,188がプロテクタ112の大径部144のテーパ部分142を除いた部分に乗り上げ、プロテクタ112が近位側の方へと自由に移動することが可能になる。
【0134】
すなわち、係合が解除される前後においてプロテクタ112を近位側に動かすために必要な引張り力が急激に変化するようになっており、この急激な変化がプロテクタ112の節度感として使用者に与えられる。この変化の割合が大きい、即ち係合力が大きい程、使用者に節度感をより好適に伝えることができる。他方、係合力を大きくすると、ルアーキャップ164からプロテクタ112を抜くことが困難になる。留置針組立体110では、前述の通り、一対の凸状係合部分188,188と大径部144とを係合させてルアーキャップ164とプロテクタ112とを物理的に連結させているので、凸状係合部分188の形状、及び大径部144の形状を変えることによって、使用者に節度感をより好適に伝えることができ且つ適度に係合力を有するように係合力を調整することができる。なお、凸状係合部分188の軸と交差する方向の長さ(即ち、突出寸法)は0.1~3mmであることが好ましい。この範囲を超えると、適切な節度感を得られない可能性がある。
【0135】
このように適度な係合力によって係合されたプロテクタ112をルアーキャップ164から外すと、外針ユニット116(接続キャップ118および弁付き針組立体119)が患者の血管に留置される。この状態で、ルアーキャップ164を遠位側に押すと、それに伴って押し子78がディスク弁16に押し付けられ、ディスク弁16のスリット88が押し開かれる。これにより、弁付き針組立体119の内部に設けられた流体流路18が、接続キャップ118の内孔、即ち押込部178の内孔と収容部180の貫通孔182を通じて外部空間に連通される。その結果、流体流路18内を血液が逆流して、流体流路18中に残留するエアが当該血液により押し出されて、収容部180の貫通孔182を通じて外部へと排出される。かかる操作を行うことで、流体流路18中に残留するエアが効果的に外部へ排出されて、外部流路の接続時に、患者の体内にエアが混入することが効果的に防止され得る。
【0136】
その後、例えば血液が所定位置まで逆流したことを目視により確認した後、ガイドコネクタ46から接続キャップ118が外されることで、患者の血管に弁付き針組立体119が留置されて、ガイドコネクタ46に図示しない人工透析装置等のコネクタやシリンジ等の外部流路が取り付けられることで、輸液や採血、血液透析等が実施され得る。なお、ガイドコネクタ46から接続キャップ118が取り外される際には、チューブ122をクランプなどで閉鎖するなどしてもよい。
【0137】
このように構成されている留置針組立体110では、ルアーキャップ164が、凸状係合部分188の形状に応じた係合力によってプロテクタ112と係合し、この係合力より大きな力でプロテクタ112を引くことによってプロテクタ112をルアーキャップ164から外すことができるようになっている。ルアーキャップ164では、凸状係合部分188の形状、本実施形態において例えば半径方向内方への突出量、周方向の長さ、及び斜面の傾斜角度等を変えることによって係合力を調整することができ、それによってルアーキャップ164からプロテクタ112を引き抜く際に必要な力を調整することができる。使用者がルアーキャップ164からプロテクタ112を外す際、プロテクタ112が外れたという感覚、即ちプロテクタ112の節度感は、前述する係合力に依存する。それ故、凸状係合部分188の形状を変えてルアーキャップ164及びプロテクタ112の係合力を調整することによって、プロテクタ112の節度感を調整することができる。
【0138】
また、本実施形態の留置針組立体110では、凸状係合部分188が可撓片184に形成されている。可撓片184は、その針軸方向の長さを変えることによって、撓み量及び撓ませる際に必要な荷重を調整することができる。即ち、可撓片184の針軸方向の長さを変えることによってもルアーキャップ164とプロテクタ112との係合力を調整することができる、特にプロテクタ112をルアーキャップ164から容易に外せるように係合力を調整することができる。また、外針キャップ162に切欠き172を形成することによって、外針キャップ162内にルアーキャップ164を収容しつつ可撓片184を撓ませることができる。これにより、係合力の調整を可能にしつつ留置針組立体110が針軸方向に長くなることを抑制することができる。
【0139】
さらに、本実施形態の留置針組立体110では、一対の凸状係合部分188,188をプロテクタ112の大径部144に係合させてプロテクタ112がルアーキャップ164内に保持されるようにしている。従って、プロテクタ112に新たな部材等を設けることなくプロテクタ112とルアーキャップ164とを物理的に連結させることができる。これにより、留置針組立体110の部品点数が増加することを抑制することができる。
【0140】
次に、図9,10には、本発明の第2の実施形態としての弁付き針組立体200を備える留置針組立体202が示されている。なお、前記第1の実施形態では、チューブ122の基端側に接続される接続ハブ14が、管体(コネクタカバー44)とコネクタ(ガイドコネクタ46)とを含んで構成されており、これらコネクタカバー44とガイドコネクタ46との間に弁体(ディスク弁16)が嵌合されて組み込まれていたが、本実施形態では、チューブ122の基端側に接続される接続ハブ204が1部品で構成されているとともに、弁体としてのディスク弁206が、接続ハブ204の基端側に連結される接続キャップ208に嵌合状態で組み付けられている。
【0141】
すなわち、本実施形態では、外針としての中空針12と、外針ハブ120と、チューブ122と、接続ハブ204とを含んで針組立体210が構成されているとともに、当該針組立体210に対して弁付きの接続キャップ208が連結されることで、弁付き針組立体200が構成されている。そして、当該弁付き針組立体200を外針ユニットとして、当該外針ユニット200に内針ユニット212が組み付けられることで、留置針組立体202が構成されている。なお、前記第1の実施形態と同一の部材および部位には、図中に、前記第1の実施形態と同一の符号を付すことにより、詳細な説明を省略する。
【0142】
本実施形態の接続ハブ204は、大略円筒状に形成されており、その遠位側部分にチューブ122が挿通され、近位側部分の内周面にメスルアーテーパ214が形成されている。また、接続ハブ204の近位端部には、その外周面に接続キャップ208が螺合されている。
【0143】
本実施形態の接続キャップ208は、管体としての外針キャップ216と、コネクタとしてのキャップコネクタ218とを含んで構成されており、キャップコネクタ218の先端部に外針キャップ216が固定されている。そして、ディスク弁206が、これら外針キャップ216とキャップコネクタ218との間に嵌合状態で組み付けられている。
【0144】
かかる外針キャップ216は、硬質の合成樹脂等から成る大略円筒状の部材である。外針キャップ216は、その外周面217の軸方向中間部分に段差166を有しており、その段差166より遠位側部分が近位側部分に比べて大径に形成されている。すなわち、外針キャップ216において、段差166より先端側(遠位側)が大径筒部220とされている一方、段差166より基端側(近位側)が小径筒部222とされている。
【0145】
ここにおいて、小径筒部222の外周面217aには、外周側に開口する係合穴224が設けられている。本実施形態では、当該係合穴224が、湾曲する内面形状をもって、周方向の全周に亘って連続して形成されている。特に、本実施形態では、係合穴224が、図10などの縦断面にも示されるように、軸方向中央部分に頂部224aを有する内面形状とされており、当該頂部224aにおいて、小径筒部222の外径寸法が最も小さくされている。
【0146】
また、小径筒部222の突出先端(軸方向基端)の外周面217aには、面取り状の傾斜案内面226が形成されている。本実施形態では、当該傾斜案内面226が、基端側から先端側に向かって(後述する挿入方向の前方から後方に向かって)小径筒部222の径方向寸法(図9,10中の上下方向寸法)が次第に大きくなる方向に傾斜する傾斜面とされて、周方向の全周に亘って連続して形成されている。特に、本実施形態では、かかる傾斜案内面226が、R面状に湾曲する湾曲傾斜面とされている。なお、後述するように、本実施形態では、外針キャップ216においては、先端側から基端側に向かう方向が、キャップコネクタ218に対する組付方向とされており、傾斜案内面226の組付方向の後方に位置して係合穴224が設けられている。
【0147】
さらに、外針キャップ216の内周面の軸方向中間部分(段差166に略対応する位置)には、内向きフランジ168が形成され、更に内向きフランジ168の内周縁部には、挿入円筒部170が形成されている。挿入円筒部170は、接続キャップ208(外針キャップ216)を接続ハブ204に螺合させた状態で接続ハブ204に挿通されるようになっている。なお、本実施形態では、内向きフランジ168の基端面に、基端側に突出する押圧突起228が、周方向の全周に亘って連続して形成されている。
【0148】
また、外針キャップ216の内孔は、内向きフランジ168によって遠位側領域174と近位側領域176とに隔てられており、即ち大径筒部220によって囲まれた領域が遠位側領域174とされている一方、小径筒部222によって囲まれた領域が近位側領域176とされている。そして、かかる遠位側領域174に前述の通り接続ハブ204の近位端部が挿入されて螺合されている。
【0149】
他方、近位側領域176、即ち小径筒部222によって囲まれた領域には、ディスク弁206が嵌合されており、挿入円筒部170の開口がディスク弁206によって塞がれている。ディスク弁206は、弾性変形可能であって且つ内針126が貫通可能な材料、例えばポリイソプレン等の合成ゴム又は熱可塑性エラストマーから成り、本実施形態では、一対のディスク弁206,206が、軸方向で隣接して配置されている。なお、これらディスク弁206,206の中央部分には、前記第1の実施形態の如きスリット(88)が形成されてもよいし、されなくてもよい。また、これらディスク弁206,206は、その外周面229,229が、小径筒部222によって内周側に押圧されることが好適であるが、押圧されていなくてもよい。すなわち、本実施形態では、ディスク弁206,206の外周面229,229を内周側に押圧する押圧部を小径筒部222によって構成することも可能である。このようにディスク弁206,206が嵌め入れられた小径筒部222に対して、キャップコネクタ218が外装されている。
【0150】
図11,12に示すように、キャップコネクタ218は、合成樹脂から成る大略円筒状の部材であり、その内周面230の中間部分には、内向きフランジ232が形成されている。内向きフランジ232は、キャップコネクタ218の内周面230から半径方向内方に突出し、且つキャップコネクタ218の内周面230において周方向全周にわたって形成されている。これにより、キャップコネクタ218の内径寸法が、内向きフランジ232の形成位置において小さくされている。なお、内向きフランジ232の基端側面において、径方向中間部分には、所定の径方向幅寸法をもって周方向に延びる位置決め凹部233が形成されており、本実施形態では、当該位置決め凹部233が、周方向の全周に亘って連続して延びる環状の凹部とされている。また、内向きフランジ232の先端側面には、先端側に突出する押圧突起234が、周方向の全周に亘って連続して形成されている。
【0151】
キャップコネクタ218の内孔235は、この内向きフランジ232によって遠位側領域236及び近位側領域238に分けられており、即ちキャップコネクタ218には、内向きフランジ232を底壁部として先端側に開口する先端側筒状部240と、内向きフランジ232を底壁部として基端側に開口する基端側筒状部242とが設けられている。そして、かかる先端側筒状部240の内周面230aには、内周側に突出する係止突起244が設けられている。本実施形態では、当該係止突起244が、外針キャップ216における小径筒部222の外周面217aに設けられた係合穴224と略対応する湾曲形状の外面をもって、周方向の全周に亘って形成されている。特に、本実施形態では、係止突起244が、図12などの縦断面にも示されるように、軸方向中央部分に頂部244aを有する外面形状とされており、当該頂部244aにおいて、先端側筒状部240の内径寸法が最も小さくされている。
【0152】
一方、キャップコネクタ218における基端側筒状部242の周壁には、前記第1の実施形態と同様に、一対の切欠き溝186,186が周方向に略等間隔(即ち、約180度の間隔)をあけて形成されており、一対の切欠き溝186,186の間に可撓片184が形成されている。即ち、キャップコネクタ218における基端側筒状部242の周壁には、一対の可撓片184,184が周方向に略等間隔をあけて形成されている。また、各可撓片184の内周面(即ち、キャップコネクタ218の内周面230)における近位端部には、凸状係合部分188が形成されている。即ち、キャップコネクタ218の内周面230には、一対の凸状係合部分188,188が形成されおり、一対の凸状係合部分188,188によって係合部190が構成されている。なお、可撓片184の軸方向長さは0.5~20mmであることが好ましい。可撓片184の軸方向長さが0.5mm以下であると可撓片184が撓みにくく、後述するケーシング254の着脱が難しくなる。他方、20mm以上であると、可撓片184が簡単に撓んでしまいケーシング254が外れやすくなる可能性がある。
【0153】
かかる構造とされたキャップコネクタ218における遠位側領域236(先端側筒状部240)に外針キャップ216が嵌合されている。すなわち、キャップコネクタ218における先端側筒状部240に対して、外針キャップ216の小径筒部222が挿入されて、先端側筒状部240の内周面230aに設けられた係止突起244が、小径筒部222の外周面217aに設けられた係合穴224に係止されることで、キャップコネクタ218の先端部に外針キャップ216が固定されている。したがって、係止突起244と係合穴224における基端側内面246とが相互に当接することにより、キャップコネクタ218からの外針キャップ216の抜出しが防止されており、かかる係合穴224の基端側内面246、即ち係合穴224の内面における頂部224aよりも基端側の面により係止部が構成されている。
【0154】
特に、本実施形態では、外針キャップ216の外周面217に設けられた段差166に対してキャップコネクタ218の先端面(先端側筒状部240の先端面)が当接しているとともに、外針キャップ216の基端面(小径筒部222の基端面)が、キャップコネクタ218に設けられた内向きフランジ232の先端面に対して当接しており、接続キャップ208の外周面が、略平坦な環状面となるようになっている。
【0155】
要するに、本実施形態では、外針キャップ216の小径筒部222によりキャップコネクタ218に挿入される挿入部が構成されているとともに、キャップコネクタ218の先端側筒状部240により当該挿入部(小径筒部222)が挿入される被挿入部が構成されている。すなわち、接続キャップ208において、これら挿入部と被挿入部(小径筒部222と先端側筒状部240)とが内外挿される部分が二重壁部とされた組付部248とされており、小径筒部222の外周面217aと先端側筒状部240の内周面230aとが、組付部248においてそれぞれ相互に重ね合わされる重ね合わせ面とされている。
【0156】
また、かかる外針キャップ216とキャップコネクタ218との組付けにおいて、外針キャップ216とキャップコネクタ218とが相互に接近する方向が組付方向であり、外針キャップ216においては先端側から基端側に向かう方向が組付方向である一方、キャップコネクタ218においては基端側から先端側に向かう方向が組付方向である。本実施形態では、外針キャップ216がキャップコネクタ218に挿入されることから、上記組付方向のうち、特に外針キャップ216における組付方向(先端側から基端側へ向かう方向)が、挿入方向とされている。
【0157】
すなわち、本実施形態では、係止突起244における先端側面250、即ち係止突起244の頂部244aから先端側の面が、挿入方向の前方から後方に向かって次第に突出寸法が小さくされる傾斜面とされており、小径筒部222の突出先端(軸方向基端)に設けられた傾斜案内面226と軸方向に対する傾斜方向が等しくされている。特に、係合穴224(係止部246)が、外針キャップ216において傾斜案内面226よりも組付方向後方に設けられていることから、外針キャップ216とキャップコネクタ218との組付けの際には、係止突起244が傾斜案内面226に案内されて、より確実に係合穴224(係止部246)に導かれるようになっている。なお、本実施形態では、かかる係止突起244における先端側面250の軸方向に対する傾斜角度と、傾斜案内面226の軸方向に対する傾斜角度とが、相互に異ならされている。
【0158】
そして、以上のように外針キャップ216とキャップコネクタ218とが相互に組み付けられることにより、外針キャップ216の小径筒部222内に嵌め入れられたディスク弁206,206が、外針キャップ216およびキャップコネクタ218により嵌合状態で組み付けられている。また、外針キャップ216は、その近位端(小径筒部222の基端)をキャップコネクタ218の内向きフランジ232に当接させており、ディスク弁206,206が2つの内向きフランジ168,232によって挟持されている。特に、これら内向きフランジ168,232には、それぞれ基端側および先端側に突出する押圧突起228,234が設けられており、ディスク弁206,206の外周部分が、これら押圧突起228,234により軸方向で圧縮されている。これにより、挿入円筒部170の基端側開口部が液密的に封止されている。
【0159】
かかる構造とされた外針ユニット(弁付き針組立体)200に対して内針ユニット212が組み付けられている。すなわち、図9,10に示される初期状態では、内針126が、キャップコネクタ218の内孔235に挿通されて、一対のディスク弁206,206を貫通するとともに、挿入円筒部170および針組立体210を通じて、内針126の針先132が中空針12の先端よりも先端側に突出している。なお、本実施形態では、内針126は、中実針とされている。そして、かかる内針ユニット212を構成するプロテクタ252の一部分が、キャップコネクタ218の近位側領域238(基端側筒状部242)に差し入れられている。
【0160】
プロテクタ252は、内針126の針先132を収納して保護するためのものであり、ケーシング254と、前記第1の実施形態と同様のシャッター機構140とを有している。ケーシング254は、合成樹脂から成る大略中空円柱状の部材であり、ケーシング本体256と蓋体258とを有している。ケーシング本体256は、大略有底円筒状に形成されている。更に詳細に説明すると、ケーシング本体256は、その中間部分にテーパ部分142を有しており、テーパ部分142は、遠位側に進むにつれて拡径するようにテーパ状に形成されている。これにより、ケーシング本体256では、前記テーパ部分142を含む大径部144が遠位側に形成され、近位側に小径部146が形成されている。また、大径部144の外周面には、テーパ部分142より遠位側において係止爪260が形成されている。係止爪260は、大径部144の外周面において径方向1方向の両側(図9,10中の上下方向両側)に一対形成されており、外周面から半径方向外方に突出している。
【0161】
また、ケーシング本体256の底である近位端部には、基端側挿通孔部152が形成されており、当該基端側挿通孔部152には、内針126が挿通されている。なお、ケーシング本体256内であって近位端部に、前記第1の実施形態と同様の円環状のリング部材(148)を設けて、このリング部材(148)にも内針126を挿通するようにしてもよい。内針126は、ケーシング本体256内を通り、ケーシング本体256の遠位側の開口からキャップコネクタ218における内向きフランジ232の内孔及びディスク弁206,206に向かって突出している。また、ケーシング本体256の遠位側の開口部には、蓋体258が挿入されており、当該蓋体258によってケーシング本体256の遠位側の開口部が塞がれている。
【0162】
すなわち、蓋体258は、ケーシング本体256の遠位側開口部に嵌まり込む中央部分262と、ケーシング本体256の遠位側開口部に外嵌される外嵌部264とを一体的に備えている。そして、外嵌部264には、ケーシング本体256の係止爪260,260と対応する位置に係止窓266,266が形成されており、当該係止窓266,266に対して係止爪260,260がそれぞれ嵌まり込んで係止されることにより、蓋体258が、ケーシング本体256の遠位側開口部(大径部144の遠位側開口部)を覆蓋するようにして固定的に外装されている。このようにケーシング本体256の遠位側開口部(大径部144の遠位側開口部)を閉塞する蓋体258は中空構造とされており、蓋体258の内部の空間が収容空間268とされている。
【0163】
また、蓋体258内には、中間挿通孔部154および先端側挿通孔部156が形成されており、これら両挿通孔部154,156に内針126が挿通されるとともに、収容空間268内における両挿通孔部154,156間(収容空間268)には、シャッター機構140が設けられている。シャッター機構140は、内針126が挿通されている状態で遮蔽部材158と固定部材160とが互いに半径方向に離れており、内針126が近位側に引き抜かれて針先132がこれら遮蔽部材158および固定部材160より近位側に位置することによって、遮蔽部材158が固定部材160に吸引されて、針先132が収容空間268内に位置した状態で、収容空間268の先端側の開口部である先端側挿通孔部156を閉じるようになっている。それ故、ケーシング本体256における小径部146の針軸方向の長さは、後述する図13に示されるように、内針126の突起部134,134が小径部146の基端部分(またはリング部材148)と係合した際にその針先132が遮蔽部材158および固定部材160より近位側に位置するように設定されている。
【0164】
なお、本実施形態では、蓋体258の先端面に、先端側に突出する位置決め凸部270が設けられている。当該位置決め凸部270は、初期状態において、キャップコネクタ218の内向きフランジ232に設けられた位置決め凹部233に嵌め入れられており、接続キャップ208とプロテクタ252とを径方向で位置決めするようになっている。これにより、例えば内針126を引き抜いて、即ちプロテクタ252に対して内針ハブ128を基端側に移動させてプロテクタ252が外部に露出した場合に、プロテクタ252に外力が及ぼされた際にも、接続キャップ208に対してプロテクタ252が径方向で移動することが抑制されて、キャップコネクタ218とプロテクタ252との連結が意図せず解除されることが効果的に防止され得る。
【0165】
このように構成されるプロテクタ252は、キャップコネクタ218の近位側領域238(基端側筒状部242)に差し入れられている。すなわち、キャップコネクタ218における可撓片184,184の近位端部に配置された一対の凸状係合部分188,188が、キャップコネクタ218内に差し入れられるプロテクタ252と係合するようになっている。より詳細に説明すると、一対の凸状係合部分188,188は、プロテクタ252における蓋体258の外嵌部264と係合するようになっており、係合することによってプロテクタ252がキャップコネクタ218に対して連結状態で保持されるようになっている。すなわち、本実施形態では、キャップコネクタ218によりプロテクタ252と相互に係合するキャップ体が構成されており、キャップコネクタ218に設けられた凸状係合部分188,188(係合部190)と係合する被係合部が、蓋体258における外嵌部264を含んで構成されている。
【0166】
他方、プロテクタ252を引き抜くと蓋体258の外嵌部264は、一対の凸状係合部分188,188を乗り越えようと、一対の可撓片184,184を半径方向外側に押し開く。これにより、プロテクタ252をキャップコネクタ218から脱出させることができる。また、一対の凸状係合部分188,188の各々は、係合する際、蓋体258における外嵌部264の近位側の外周縁部と当接しており、この外周縁部がR面取りされて円弧状に形成されている。これにより、外嵌部264が一対の凸状係合部分188,188上で引っ掛かって止まることを抑制することができ、プロテクタ252の抜けを良好にすることができる。
【0167】
このように構成されている留置針組立体202は、前記第1実施形態の留置針組立体110と同様の方法で使用される。即ち、針先132の刃面を上側に向けた状態で患者の血管に穿刺され、中空針12の遠位側部分が患者の血管に入るまで押し込まれる。その後、透析液等の輸液を血管に流し込むべく内針ユニット212が外針ユニット200から抜かれる。抜いていくと、やがて針先132がプロテクタ252内に収まり、収まることでシャッター機構140によって蓋体258の先端側挿通孔部156が塞がれて針先132がプロテクタ252によって保護される。更に、相対移動させると、内針126の突起部134,134がプロテクタ252の基端部分(ケーシング本体256の小径部146の基端部分またはリング部材148)に係合し、プロテクタ252を内針126や内針ハブ128と一体的に動かすことができるようになる。
【0168】
その後も内針ユニット212を近位側に所定の荷重で引っ張ることによって、図13に示されるように、プロテクタ252によって一対の凸状係合部分188,188が押し開かれて係合が解除され、プロテクタ252がキャップコネクタ218から外される。係合が解除される際、一対の凸状係合部分188,188が蓋体258の外嵌部264に乗り上げ、プロテクタ252が近位側の方へと自由に移動することが可能になる。即ち、係合が解除される前後においてプロテクタ252を近位側に動かすために必要な引張り力が急激に変化するようになっており、この急激な変化がプロテクタ252の節度感として使用者に与えることができる。この節度感は、凸状係合部分188の形状やプロテクタ252における蓋体258の形状、特に蓋体258の外径寸法などを変えることによって係合力を調整することができる。このようにプロテクタ252がキャップコネクタ218から外されると、外針ユニット(弁付き針組立体)200が患者の血管に留置される。この状態で、チューブ122をクランプなどで封止し、接続ハブ204から接続キャップ208を外す。その後、接続ハブ204に人工透析装置等のコネクタ(図示せず)やシリンジなどの外部流路が取り付けられる。
【0169】
このように構成されている留置針組立体202では、前述の通り、蓋体258の外径寸法を変えることによって、係合力を調整することができる。それ故、外形寸法の異なる蓋体258を採用することによってキャップコネクタ218とプロテクタ252との係合力を好みに合わせることができるので、係合力の調整が容易である。
【0170】
また、本実施形態の接続キャップ208は、キャップコネクタ218の先端側筒状部(被挿入部)240に対して外針キャップ216の小径筒部(挿入部)222が挿入されることを含んで構成されており、先端側筒状部240の内周面230aに係止突起244が設けられる一方、小径筒部222の外周面217aにおいては、挿入方向前方端部に傾斜案内面226が設けられているとともに、当該傾斜案内面226の挿入方向後方側に係止部(基端側内面246)を有する係合穴224が設けられている。それ故、小径筒部222を先端側筒状部240に挿入するに際して、係止突起244が傾斜案内面226に案内されて、より確実に係合穴224に導かれる。特に、これら係止突起244と係合穴224が周方向の全周に亘って連続して設けられていることから、外針キャップ216とキャップコネクタ218とを周方向で位置決めする必要もなく、組付作業性の向上が図られ得る。また、挿入部および被挿入部の関係は上記に限定されたものではなく、接続キャップ208は、先端側に突出する挿入部としての小径筒部がキャップコネクタ218に設けられるとともに、基端側に突出する被挿入部としての筒状部が外針キャップ216に設けられて、外針キャップ216に設けられる筒状部(被挿入部)に対してキャップコネクタ218に設けられる小径筒部(挿入部)が挿入されることを含んで構成されていてもよい。この場合、キャップコネクタ218に設けられる小径筒部(挿入部)によってディスク弁206の外周面229が内周側に押圧され得る。
【0171】
その他、本実施形態の留置針組立体202は、前記第1実施形態の留置針組立体110と同様の作用効果を奏する。
【0172】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はかかる実施形態における具体的な記載によって限定的に解釈されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良などを加えた態様で実施可能である。
【0173】
たとえば、前記実施形態では、ディスク弁16,206の外周面91,229を内周側に押圧する押圧部が、環状で平坦なコネクタカバー44における周壁48の内周面48aや外針キャップ216における小径筒部222の内周面により構成されていたが、かかる態様に限定されるものではない。すなわち、図14,15に示される弁付き針組立体280のように、コネクタカバー44の周壁48の内周面48aには、内周側に突出して、環状壁部51の基端面から基端側に延び出す環状リブ282が設けられてもよい。かかる環状リブ282の内径寸法が、ディスク弁16の組付以前の単品状態における外径寸法より小さくされることで、ディスク弁16の組付時に、ディスク弁16の外周面91が環状リブ282により内周側(軸中心方向)に押圧されることから、本態様では、環状リブ282により押圧部が構成される。すなわち、環状リブ282の内径が、単品状態におけるディスク弁16の外周面91の外径よりも小さく設けられていることで、ディスク弁16が軸中心方向へ押圧されるようになっている。その結果、血液の漏出が安定して防止され得る。
【0174】
また、本態様では、ガイドコネクタ46における支持筒部76の先端には、外周側に突出する外周突部284が設けられている。この外周突部284は、全周に亘って連続して形成されており、環状リブ282と径方向で対向している。そして、これら環状リブ282と外周突部284とで、ディスク弁16から基端側に延び出す筒状支持部90が押圧状態で挟持されることで、コネクタカバー44およびガイドコネクタ46からのディスク弁16の脱落が一層効果的に防止されている。
【0175】
なお、押圧部は、環状で平坦なコネクタカバー44における周壁48の内周面48aや外針キャップ216における小径筒部222の内周面、または上記の如き環状リブ282に限定されるものではなく、ディスク弁16,206の外周面91,229を内周側(軸中心方向)に押圧していればよく、例えば周方向で部分的に設けられた複数の突起などから構成されてもよい。また、ディスク弁16,206は、かかる押圧部に圧入されることで内周側に押圧されて固定されるが、必要に応じて接着剤などを用いて固定してもよい。さらに、ディスク弁16にスリット88が設けられる場合には、かかる押圧部がディスク弁16のスリット88の外周側に設けられることで、ディスク弁16におけるスリット88の安定した閉作動や、更に当該ディスク弁16に内針126が挿通される場合には内針126に対するディスク弁16の押圧作用が発揮されて、血液の漏出が効果的に防止され得る。
【0176】
また、前記第1の実施形態や上記図14,15に示される態様では、コネクタカバー44とガイドコネクタ46との組付けに際しては、コネクタカバー44の基端部分に対してガイドコネクタ46の先端部分が挿入されており、即ちコネクタカバー44に対するガイドコネクタ46の組付方向(挿入方向)が基端側から先端側への方向であるとともに、コネクタカバー44の基端部分の内周側にガイドコネクタ46の先端部分が位置していたが、かかる態様に限定されるものではない。すなわち、図16に示される弁付き針組立体290のように、管体としてのコネクタカバー292とコネクタとしてのガイドコネクタ294とは、コネクタカバー292の基端部分が、ガイドコネクタ294の先端部分に対して挿入されることで組み付けられてもよい。かかる態様では、コネクタカバー292の基端部分が、ガイドコネクタ294の先端部分の内周側に位置しており、コネクタカバー292が、ガイドコネクタ294に対して、先端側から基端側への組付方向(挿入方向)をもって挿入されて組み付けられる。したがって、ガイドコネクタ294に挿し入れられたコネクタカバー292の基端側が略円筒状の挿入部296とされている一方、コネクタカバー292の挿入部296が挿し入れられたガイドコネクタ294の先端側が略円筒状の被挿入部298とされている。そして、これら挿入部296と被挿入部298とが内外挿されて二重壁部とされた部分が、組付部299とされている。
【0177】
なお、本態様では、コネクタカバー292の外周面300とガイドコネクタ294の内周面302とが、コネクタカバー292とガイドコネクタ294との組付部299における重ね合わせ面とされている。そして、かかるコネクタカバー292の外周面300に、基端側から先端側に向かって(挿入方向の前方から後方に向かって)次第に突出寸法が大きくなる傾斜面303,303を有して且つ外周側に突出する係止突起304,304が設けられている一方、ガイドコネクタ294の内周面302に、係止突起304,304が係止される係止部306,306を有する係合穴308,308、および係止突起304,304を案内する傾斜案内面310,310を有する案内溝312,312が設けられている。そして、コネクタカバー292をガイドコネクタ294に挿入することにより、係止突起304,304が案内溝312,312における傾斜案内面310,310に当接することでガイドコネクタ294の先端側開口部が僅かに撓み変形(拡開変形)せしめられてコネクタカバー292が挿入可能とされるとともに、係止突起304,304が傾斜案内面310,310に案内されて、係止部306,306に係止されることでガイドコネクタ294からのコネクタカバー292の先端側への移動(被挿入部298からの挿入部296の抜出し)が防止されるようになっている。
【0178】
以上の如き構造とされた弁付き針組立体290においても、前記第1の実施形態に記載の弁付き針組立体10と同様の効果が発揮され得る。
【0179】
さらに、中空針12を固定支持する針ハブの形状や材質などは何等限定されるものではない。特に、前記第1の実施形態や上記図14,15に示される態様では、針ハブ32が、基端側に位置するチューブ34と一体とされて、軟質の合成樹脂により形成されていたが、チューブ34は必須なものではない。すなわち、中空針12を固定支持する針ハブが接続ハブ14の先端(コネクタカバー44)によって構成されていてもよい。かかる場合には、コネクタカバー44にスリーブ状のカシメピンを嵌着することで、中空針12と針ハブ(コネクタカバー44)との固定を強固にすることも可能である。また、前記第2の実施形態についても同様であり、チューブ122は必須なものではなく、中空針12を固定支持する針ハブ(外針ハブ)が、接続ハブ204の先端によって構成されてもよい。
【0180】
また、前記第1の実施形態では、ディスク弁16の先端側面96と基端側面92にそれぞれ、先端側凹溝98と基端側凹溝94が設けられて、両凹溝98,94に対してコネクタカバー44に設けられた環状支持部52とガイドコネクタ46に設けられた支持筒部76が挿入されていたが、これら凹溝98,94は必須なものではない。すなわち、ディスク弁16の先端側面96と基端側面92とがそれぞれ平坦面とされて、ディスク弁16が組み付けられる際に、ディスク弁16の先端側面96と基端側面92にそれぞれ環状支持部52と支持筒部76が押し付けられて挿入されることで、実質的に凹溝98,94が形成されるようにしてもよい。なお、前記第2の実施形態では、外針キャップ216およびキャップコネクタ218に、それぞれディスク弁206,206を先端側および基端側から押圧する押圧突起228,234が設けられており、これら押圧突起228,234を、ディスク弁206,206を先端側および基端側から支持する環状支持部52および支持筒部76として把握することも可能である。すなわち、先端側のディスク弁206において、押圧突起228(環状支持部)よりも外周側の部分を先端側筒状部102と把握したり、基端側のディスク弁206において、押圧突起234(支持筒部)よりも外周側の部分を筒状支持部90と把握したりすることも可能である。また、これら凹溝98,94や環状支持部52(押圧突起228)、支持筒部76(押圧突起234)は、周方向の全周に亘って連続して形成される必要はなく、周方向で部分的に設けられていてもよい。なお、ディスク弁16,206の組付時には、凹溝98,94の内面を構成する内外周面と、環状支持部52(押圧突起228)や支持筒部76(押圧突起234)の内外周面とが当接していることが望ましいが、当接していなくてもよい。尤も、これら凹溝98,94や環状支持部52(押圧突起228)、支持筒部76(押圧突起234)は必須なものではない。
【0181】
更にまた、前記第1の実施形態や上記図14~16に示される態様では、ディスク弁16の基端側面92において、基端側に突出する筒状支持部90が設けられて、コネクタカバー44とガイドコネクタ46との間で少なくとも径方向で圧縮せしめられて支持されていたが、かかる態様に限定されるものではない。すなわち、例えば、かかる筒状支持部90は、コネクタカバー44とガイドコネクタ46との間で圧縮されずに支持されていてもよいし、周方向の全周に亘って連続して形成される必要はなく、周方向で部分的に設けられてもよい。尤も、かかる筒状支持部90は必須なものではない。
【0182】
さらに、前記第1の実施形態や上記図14~16に示される態様では、ガイドコネクタ46の内周面において環状の係合壁部60が設けられて、当該係合壁部60により押し子78の基端側への移動が制限されていたが、かかる係合壁部60は、周方向の全周に亘って連続して設けられる必要はなく、周方向で部分的に設けられてもよい。また、ガイドコネクタ46の内周面などに、押し子78の先端側への移動を制限する係合壁部が設けられてもよい。かかる係合壁部を設けることにより、押し子78が先端側へ移動し過ぎることが防止されて、ディスク弁16の損傷などを防止することも可能となる。なお、かかる押し子78の先端側への移動を制限する係合壁部は、押し子78の基端側への移動を制限する係合壁部60と同時に設けられてもよいし、押し子78の基端側への移動を制限する係合壁部60を設けることなく、押し子78の先端側への移動を制限する係合壁部のみが設けられてもよい。
【0183】
更にまた、管体(コネクタカバー44,292、外針キャップ216)とコネクタ(ガイドコネクタ46,294、キャップコネクタ218)との一方に設けられる係合穴54,224,308は、前記第1の実施形態や上記図14~16に示される態様の如き貫通孔であってもよいし、前記第2の実施形態の如き有底の穴形状でもよい。すなわち、前記第1の実施形態や上記図14~16に示される態様において、係合穴54,308は、例えばコネクタカバー44やガイドコネクタ294の内周面に、周方向の全周に亘って連続して設けられた有底の穴であってもよいし、前記第2の実施形態において、係合穴224は、周上で部分的に設けられた有底の穴や貫通孔であってもよい。
【0184】
また、前記第1の実施形態や上記図14,15に示される態様では、コネクタカバー44の周壁48において、一対の切欠部56,56が所定の幅寸法をもって形成されていたが、かかる切欠部56,56の幅寸法は略0とされてスリット状とされてもよい。すなわち、幅寸法に拘らず基端側の開口縁から先端側に向かって延びる切欠部56,56が設けられることで、コネクタカバー44へのガイドコネクタ46の挿入抵抗が低減され得る。なお、前記第2の実施形態や図16に示される態様のように、先端側に位置する管体(外針キャップ216、コネクタカバー292)が基端側のコネクタ(キャップコネクタ218、ガイドコネクタ294)に挿入される場合には、コネクタ218,294の先端側の開口縁から基端側に向かって延びる切欠部が設けられることで、管体のコネクタへの挿入抵抗が低減され得る。尤も、このような切欠部56,56や、ガイドコネクタ46の周壁49に設けられる位置決め突起71,71は、本発明において必須なものではない。
【0185】
さらに、管体(コネクタカバー44,292、外針キャップ216)とコネクタ(ガイドコネクタ46,294、キャップコネクタ218)との連結固定の手段は、前記実施形態や上記図14~16に示される態様の如き凹凸嵌合に組み合わせて、接着や溶着、圧入などの従来公知の各種固定手段を採用してもよい。
【0186】
更にまた、前記第1の実施形態や上記図14~16に示される態様では、係止突起66,304における傾斜面68,303の軸方向に対する傾斜角度と、案内溝58,312における傾斜案内面57,310の針軸方向に対する傾斜角度が略等しくされていたが、これら傾斜案内面57,310と傾斜面68,303とは、傾斜方向が等しくされていればよく、前記第2の実施形態のように、針軸方向に対する傾斜角度は相互に異ならされていてもよい。
【0187】
また、前記第1および第2の実施形態の留置針組立体110,202では、ルアーキャップ164およびキャップコネクタ218が、それぞれ2つの凸状係合部分188,188を有しているが、かかる凸状係合部分188は、図17,18に示されるキャップコネクタ320のように3つであってもよいし、周上に1つまたは周方向で略全周に亘って連続して設けられてもよい。このような凸状係合部分188が、1つまたは複数形成される場合には、凸状係合部分188毎に可撓片184が形成されることが好ましい。なお、前記第1の実施形態において、ルアーキャップ164に1つまたは複数の可撓片184が設けられる場合には、当該ルアーキャップ164を収容する外針キャップ162において、可撓片184と対応する位置に切欠き172が設けられることが好ましい。さらに、凸状係合部分188,188の形状も断面山形状に限定されず、断面半円形又は円弧状であってもよく、その形状は問わない。
【0188】
また、外針ユニット116,200と組み合わされて留置針組立体110,202として利用される内針ユニット114,212は、前記実施形態に記載のものに限定されるものではなく、従来公知の内針ユニットが採用され得る。尤も、前述のように、中空針12が金属製や硬質の合成樹脂製などとされる場合には、内針ユニット114,212は必須なものではなく、弁付き針組立体10,119,200,280,290を患者に直接穿刺して使用してもよい。
【0189】
さらに、前記第1、第2の実施形態および図18に示される態様では、ルアーキャップ164の収容部180およびキャップコネクタ218,320の近位側領域238にプロテクタ112,252の先端部分が差し入れられるとともに、ルアーキャップ164およびキャップコネクタ218,320の基端部分において、半径方向外側に撓み変形可能な可撓片184が設けられて、当該可撓片184の突出先端部分の内周面に、プロテクタ112,252におけるテーパ部分142および大径部144(被係合部)と係合する凸状係合部分188(係合部190)が設けられていたが、かかる態様に限定されるものではない。すなわち、前記第1、第2の実施形態および図18に示される態様のように、ルアーキャップ164およびキャップコネクタ218,320にプロテクタ112,252の先端部分が差し入れられる場合であっても、例えば外周側に突出する凸状係合部分188を有する可撓片184がプロテクタ112,252の長さ方向に延びるように設けられるとともに、当該プロテクタ112,252において凸状係合部分188(係合部190)と対応する部位に内周側に突出する被係合部が設けられて、これら係合部190と被係合部が係合することで、キャップ体(ルアーキャップ164およびキャップコネクタ218,320)とプロテクタ112,252とが連結されるようになっていてもよい。かかる場合には、外針ユニット116,200から内針ユニット114,212を引き抜くことで可撓片184が半径方向内側に撓んで係合部190と被係合部の係合が解除されて、キャップ体164,218,320からプロテクタ112,252が離脱され得る。あるいは、プロテクタ112,252の先端部分にキャップ体164,218,320の基端部分が差し入れられるようになっていてもよく、かかる場合においても、プロテクタ112,252とキャップ体164,218,320との何れか一方に凸状係合部分188(係合部190)を有する可撓片184が設けられるとともに、何れか他方に当該係合部190と係合する被係合部が設けられる。そして、外針ユニット116,200から内針ユニット114,212を引き抜くことで可撓片184が半径方向外側または内側に撓んで、キャップ体164,218,320からプロテクタ112,252が離脱され得る。すなわち、係合部190と被係合部とは、キャップ体164,218,320とプロテクタ112,252との間において各一方が設けられればよい。
【0190】
また、以下に記載の留置針組立体の各態様は、本願発明とは異なる課題を解決し得る独立した発明として認識され得る。
【0191】
すなわち、特許第5880983号公報に記載の留置針組立体では、外針キャップにプロテクタの遠位側端部が挿入されており、外針キャップに対してプロテクタが着脱できるように、プロテクタの遠位側端部及び外針キャップには、互いに対応する位置に固定磁石が夫々設けられている。固定磁石は、遠位側端部を外針キャップに挿入した際に互いの固定磁石の位置を合わせることで吸着し合うようになっている。これにより、プロテクタが外針キャップ内にて保持されるようになっている。また、内針を近位側に引き抜く際に固定磁石同士の吸着力より大きな力をプロテクタに作用させることによって、プロテクタを外針キャップから外すことができる。
【0192】
上記特許第5880983号公報に記載の留置針組立体で用いられている固定磁石は、小さく且つ安定した吸着力を発揮することができるため、プロテクタを外針キャップから容易に外すことができる。他方、固定磁石の吸着力が小さいので、外針キャップからプロテクタを外す際にプロテクタが外針キャップから外れたという感覚、即ちプロテクタからの節度感が施術者に伝わらないことがある。というのも、節度感は、外針キャップからプロテクタを外す際に施術者がプロテクタを引っ張る力、即ち固定磁石同士の吸引力に依存する。それ故、施術者が求めるような脱出感を得るためには、固定磁石同士の吸引力を調整する(より詳細には、吸引力を大きくする)必要がある。しかし、留置針組立体に組み込み得る固定磁石では固定磁石同士の吸引力が低く、施術者が求めるような節度感を与えることができない。また、固定磁石の場合、磁石同士が少しでもずれて配置されるだけで吸着力が急激に低下する。それ故、固定磁石の設計の自由度も低く、節度感を調整すること自体が難しい。
【0193】
そこで以下に記載の態様では、プロテクタをキャップ体から外す際の節度感を調整することができる留置針組立体を提供することを目的としている。
【0194】
第1の態様は、遠位側に鋭利な針先を有する内針と、前記内針の近位側に設けられている内針ハブとを、有する内針ユニットと、前記内針が挿通される外針と、遠位側開口に前記外針が取り付けられ且つ近位側開口から前記内針が挿通される外針ハブとを、有する外針ユニットと、前記内針ユニットに設けられて、前記内針が針軸方向に移動可能に挿通され、且つ前記内針の前記針先を収納して保護可能に構成されているプロテクタと、前記外針ユニットの近位側に設けられて、前記プロテクタが針軸方向に相対移動可能とされたキャップ体とを備え、前記プロテクタは、前記針先を収容している状態で前記内針と共に、前記キャップ体に対して近位側に相対移動が可能であり、前記キャップ体と前記プロテクタとの間には、各々の対応する部位に互いに係合する係合部及び被係合部が夫々形成され、前記係合部及び前記被係合部は、互いに係合することで前記プロテクタを前記キャップ体への連結状態に保持する一方、前記プロテクタが連結状態から近位側に移動すると節度感を発生させつつ係合を解除して前記キャップ体から前記プロテクタが離脱可能とされている留置針組立体である。
【0195】
第2の態様は、上記第1の態様に係る留置針組立体において、前記係合部は、少なくとも1つの凸状係合部分を有しているものである。
【0196】
第3の態様は、上記第2の態様に係る留置針組立体において、前記キャップ体が、半径方向に撓む複数の可撓片を有していると共に、複数の前記凸状係合部分の各々が、前記複数の可撓片の各々に対応して配置されているものである。
【0197】
第4の態様は、上記第3の態様に係る留置針組立体において、前記外針ユニットは、前記外針ハブの近位側に設けられ、前記キャップ体の遠位側が差し入れられる外針キャップを更に有し、前記複数の可撓片は、互いに周方向で間隔をあけて夫々配置されており、前記外針キャップには、前記複数の可撓片の各々に対応する位置に切欠きが形成されているものである。
【0198】
第5の態様は、上記第1~第4の何れかの態様に係る留置針組立体において、前記プロテクタは、近位側の部分に比べて大径に形成された大径部を遠位側に有し、前記大径部内には、前記針先を収容する収容空間が形成されると共に、前記収容空間を閉じるシャッター機構が設けられ、前記キャップ体は、前記係合部を有し、前記大径部は、前記被係合部として前記キャップ体の前記係合部と係合するようになっているものである。
【0199】
第6の態様は、上記第1~第4の何れかの態様に係る留置針組立体において、前記プロテクタは、近位側の部分に比べて大径に形成された大径部を遠位側に有し、前記大径部には、前記針先を収容する収容空間が形成されると共に、前記収容空間を閉じるシャッター機構が設けられ、前記大径部には、前記被係合部である蓋体が外装されており、前記係合部は、前記蓋体と係合するようになっているものである。
【0200】
上記態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、係合部及び被係合部によってキャップ体とプロテクタとを物理的に結合することができる。これにより、係合部及び被係合部の形状を調整することで、係合部及び被係合部の係合の度合い、即ち係合力を調整することができる。これにより、プロテクタをキャップ体から外す際に施術者に求められる引張り力を調整することができ、プロテクタをキャップ体から外す際の節度感の調整や不用意な外れの防止を実現することが可能になる。
【符号の説明】
【0201】
10,119,200,280,290:弁付き針組立体、12:中空針(外針)、14,204:接続ハブ、16,206:ディスク弁(弁体)、32:針ハブ、43:チューブ接続部、44,292:コネクタカバー(管体)、46,294:ガイドコネクタ(コネクタ)、46a,296:挿入部、48:コネクタカバーの周壁、49:ガイドコネクタの周壁、48a:コネクタカバーの内周面(重ね合わせ面、押圧部)、49a:ガイドコネクタの外周面(重ね合わせ面)、50:組付部、52:環状支持部、54,224,308:係合穴、56:切欠部、57,226,310:傾斜案内面、58,312:案内溝、60:係合壁部、66,244,304:係止突起、68:傾斜面、74:接続突部、77:押し子の内孔、78:押し子、86:中央部分、88:スリット、90:筒状支持部、91,229:ディスク弁の外周面、92:基端側面、94:基端側凹溝、96:先端側面、98:先端側凹溝、102:先端側筒状部、105,246:基端側内面(係止部)、110,202:留置針組立体、112,252:プロテクタ、114,212:内針ユニット、116:外針ユニット、118,208:接続キャップ、120:外針ハブ、126:内針、128:内針ハブ、132:針先、140:シャッター機構、142:テーパ部分(被係合部)、144:大径部(被係合部)、150,258:蓋体、151,268:収容空間、162:外針キャップ、164:ルアーキャップ(キャップ体)、172:切欠き、184:可撓片、188:凸状係合部分、190:係合部、216:外針キャップ(管体)、217a:小径筒部の外周面(重ね合わせ面)、218,320:キャップコネクタ(コネクタ、キャップ体)、222:小径筒部(挿入部、押圧部)、230a:先端側筒状部の内周面(重ね合わせ面)、235:キャップコネクタの内孔、240:先端側筒状部(被挿入部)、250:先端側面(傾斜面)、264:外嵌部(被係合部)、282:環状リブ(押圧部)、299:組付部、300:コネクタカバーの外周面(重ね合わせ面)、302:ガイドコネクタの内周面(重ね合わせ面)、303:傾斜面、306:係止部
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