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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】無電力ティーバッティング装置
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/00 20060101AFI20241111BHJP
【FI】
A63B69/00 503E
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020132051
(22)【出願日】2020-08-03
(65)【公開番号】P2022028564
(43)【公開日】2022-02-16
【審査請求日】2023-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】517343128
【氏名又は名称】株式会社スポーツギア
(74)【代理人】
【識別番号】100120259
【弁理士】
【氏名又は名称】桂田 健志
(72)【発明者】
【氏名】塙 泰明
【審査官】赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録実用新案第20-0447970(KR,Y1)
【文献】特開平02-291881(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0056673(KR,A)
【文献】米国特許第05820475(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/00-69/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、
前記基台に立設された支持枠と、
前記支持枠に支持されたボールストッカーと、
前記支持枠に支持され、第1回転軸を中心として、待機姿勢から供給姿勢へ正回転した後、逆回転して前記供給姿勢から前記待機姿勢へ戻ることが可能なボールガイドと、
前記ボールガイドを前記正回転させる外力が作用する外力作用部と、
前記外力作用部に前記外力が作用するとエネルギーが蓄積され、前記外力が作用しなくなると蓄積されたエネルギーによって前記ボールガイドを前記逆回転させる逆回転部と、
を有し、
前記ボールストッカーは、前記ボールストッカー上のボールが前記ボールガイドに向かって転がることが可能な傾斜路を有し、
前記ボールガイドは、
前記供給姿勢のときに前記ボールが転がることが可能な転送路を有し、
前記転送路の入口側に、前記第1回転軸及びストッパーが設けられており、
前記ストッパーは、半径部と円周部とを備える円弧状であり、
前記転送路の出口側に、前記ボールが落下可能なボール落し穴を有し、
前記ボールガイドが前記待機姿勢のとき、
前記転送路の入口側の底面は、前記傾斜路の出口にて、前記ボールストッカー上の、前記ボールガイドに最も近い位置に存在する第1ボールの転がりを止め、
前記ストッパーの前記半径部は、前記第1ボールの真下に位置し、
前記外力作用部に外力が作用し、前記ボールガイドが前記待機姿勢から前記供給姿勢へ変化する間、
前記ボールガイド及び前記ストッパーの前記半径部は、前記第1回転軸を中心として回転して前記第1ボールのみを運び、
前記ストッパーの前記円周部は、前記ボールストッカー上に前記第1ボールの次に前記ボールガイドに近い位置に第2ボールが存在するとき、前記第2ボールの転がりを止め、
前記ボールガイドが前記供給姿勢のとき、前記ボール落し穴は前記転送路の入口よりも低い位置となり、前記第1ボールは前記転送路を前記ボール落し穴に向かって転がり、
前記外力作用部に外力が作用しなくなると、前記逆回転部に蓄積されたエネルギーによって前記ボールガイドは逆回転し、前記待機姿勢に戻り、
前記ボールストッカーは、ストッパーピンと第2回転軸とをさらに有し、
前記ストッパーピンの上流側の端部は、前記第2回転軸によって回転可能に支持され、
前記第1ボール及び前記第2ボールが、前記ボールストッカー上に存在するとき、
前記第2回転軸は、前記第1ボールの重心の真下と前記第2ボールの重心の真下との間の、前記第2ボールに近い位置に存在し、
前記ストッパーピンの下流側の端部は、前記第1ボールの重心の真下と前記第2ボールの重心の真下との間の、前記第1ボールに近い位置に存在し、
前記ボールガイドが前記待機姿勢のとき、前記ストッパーピンの下流側は、前記ストッパーの前記半径部によって下方から支持されており、
前記ボールガイドが前記待機姿勢から前記供給姿勢へと回転する間、前記回転の開始当初は前記ストッパーの前記半径部が前記ストッパーピンを立ち上げ、その後、前記ストッパーの前記円周部が前記ストッパーピンを立ち上げた状態を維持する、
ことを特徴とする無電力ティーバッティング装置。
【請求項2】
前記逆回転部は、引っ張りばね、トーションばね、及び圧縮ばねからなる群から選択される少なくともいずれか一つである請求項1に記載の無電力ティーバッティング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無電力ティーバッティング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、基台と、基台に立設された支柱と、前記支柱の上部に、前記支柱の長手方向に直交して挿通された回転軸と、前記回転軸に回転自在に固定された、柱状の回転柱体と、前記回転柱体の上端に設けられた、ボールを載置する載置部と、前記回転柱体の下端と前記支柱下部とを連結する弾性体と、前記弾性体の張力を変更する張力変更部とを有し、前記張力変更部は、前記弾性体の端部を、前記支柱下部の複数の位置で固定する固定部材であり、前記張力変更部は、前記弾性体の端部が固定された前記固定部材の位置に応じて前記弾性体の張力を変更するバッティングティー1が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-122721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているバッティングティー等においては、使用者が載置部に載置されたボールを打った後に、再びボールを打つためには、使用者自身又は補助者が載置部にボールを載置する必要がある。
本発明は、使用者自身又は補助者が載置部にボールを載置しなくても、また電気を使用しなくても、ボールが載置部に載置され、連続して効率的な打撃を可能にする無電力ティーバッティング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る無電力ティーバッティング装置は、
基台と、
前記基台に立設された支持枠と、
前記支持枠に支持されたボールストッカーと、
前記支持枠に支持され、第1回転軸を中心として、待機姿勢から供給姿勢へ正回転した後、逆回転して前記供給姿勢から前記待機姿勢へ戻ることが可能なボールガイドと、
前記ボールガイドを前記正回転させる外力が作用する外力作用部と、
前記外力作用部に前記外力が作用するとエネルギーが蓄積され、前記外力が作用しなくなると蓄積されたエネルギーによって前記ボールガイドを前記逆回転させる逆回転部と、
を有する。
【0006】
前記ボールストッカーは、前記ボールストッカー上のボールが前記ボールガイドに向かって転がることが可能な傾斜路を有する。
前記ボールガイドは、
前記供給姿勢のときに前記ボールが転がることが可能な転送路を有し、
前記転送路の入口側に、前記第1回転軸及びストッパーが設けられており、
前記ストッパーは、半径部と円周部とを備える円弧状であり、
前記転送路の出口側に、前記ボールが落下可能なボール落し穴を有する。
【0007】
前記ボールガイドが前記待機姿勢のとき、
前記転送路の入口側の底面は、前記傾斜路の出口にて、前記ボールストッカー上の、前記ボールガイドに最も近い位置に存在する第1ボールの転がりを止め、
前記ストッパーの前記半径部は、前記第1ボールの真下に位置する。
【0008】
前記外力作用部に外力が作用し、前記ボールガイドが前記待機姿勢から前記供給姿勢へ変化する間、
前記ボールガイド及び前記ストッパーの前記半径部は、前記第1回転軸を中心として回転して前記第1ボールのみを運び、
前記ストッパーの前記円周部は、前記ボールストッカー上に前記第1ボールの次に前記ボールガイドに近い位置に第2ボールが存在するとき、前記第2ボールの転がりを止める。
【0009】
前記ボールガイドが前記供給姿勢のとき、前記ボール落し穴は前記転送路の入口よりも低い位置となり、前記第1ボールは前記転送路を前記ボール落し穴に向かって転がり、
前記外力作用部に外力が作用しなくなると、前記逆回転部に蓄積されたエネルギーによって前記ボールガイドは逆回転し、前記待機姿勢に戻る。
【0010】
前記ボールストッカーは、ストッパーピンと第2回転軸とを有し、
前記ストッパーピンの上流側の端部は、前記第2回転軸によって回転可能に支持され、
前記第1ボール及び前記第2ボールが、前記ボールストッカー上に存在するとき、
前記第2回転軸は、前記第1ボールの重心の真下と前記第2ボールの重心の真下との間の、前記第2ボールに近い位置に存在し、
前記ストッパーピンの下流側の端部は、前記第1ボールの重心の真下と前記第2ボールの重心の真下との間の、前記第1ボールに近い位置に存在し、
前記ボールガイドが前記待機姿勢のとき、前記ストッパーピンの下流側は、前記ストッパーの前記半径部によって下方から支持されており、
前記ボールガイドが前記待機姿勢から前記供給姿勢へと回転する間、前記回転の開始当初は前記ストッパーの前記半径部が前記ストッパーピンを立ち上げ、その後、前記ストッパーの前記円周部が前記ストッパーピンを立ち上げた状態を維持する、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、効率的な無電力ティーバッティング装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例における無電力ティーバッティング装置1の構成を説明する斜視図である。
図2】ボールストッカー上のボールが、ボールストッカーからボールガイド上へ移動する付近を拡大した斜視図である。
図3】ボールストッカー上のボールが、ボールストッカーからボールガイド上へ移動する付近を第1回転軸と平行な方向から見た拡大側面図である。
図4】ボールストッカー上のボールが、ボールストッカーからボールガイド上へ移動する付近を第1回転軸と平行な方向から見た拡大側面図である。
図5】ボールストッカー上のボールが、ボールストッカーからボールガイド上へ移動する付近を第1回転軸と垂直な方向から見た拡大平面図である。
図6】変形例1を説明するための拡大側面図である。
図7】変形例2を説明するための斜視図である。
図8】変形例3を説明するための拡大斜視図である。
図9】無電力ティーバッティング装置1の使用方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照して説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、図示例に限定されるものではない。
図1は、実施例における無電力ティーバッティング装置1の構成を説明するための斜視図である。
(a)は、ボールガイド15が立ち上がった状態(以下、待機姿勢とも記載する。)を示し、
(b)は、ボールガイド15が水平位置よりも先端が少し下がった状態(以下、ボール転がり状態とも記載する。)を示す。
図1に例示するように、無電力ティーバッティング装置1は、基台10、支持枠12、バッティングティー支持体13、バッティングティー14、ボールガイド15、及びボールストッカー16を含む。
【0014】
<基台、支持枠、バッティングティー支持体>
支持枠12は、基台に立設され、ボールガイド15、及びボールストッカー16を支持し、バッティングティー支持体13は、バッティングティー14を支持する。
基台10は、無電力ティーバッティング装置1全体を支える。基台10は、ボールガイド15及びボールストッカー16を支持した状態の支持枠12、並びにバッティングティー14を支持した状態のバッティングティー支持体13を、床や地面などの接地面に対して安定した状態で設置することができる。
ボールストッカー16は、ボールストッカー16上のボールが、ボールガイド15へ向かって転がっていく傾斜路を有する。
【0015】
ボールガイド15は、接地面に対して略平行な第1回転軸18を中心として、
図1(a)に示す、待機姿勢から、矢印81方向に回転を始め、
図1(b)に示す、水平位置よりも先端が少し下がった状態(以下、供給姿勢とも記載する。)へ達したら、ボールがボールガイド15の転送路の上を転がっている間はその状態を維持し、ボールがボール落し穴30から落下した後に、矢印82方向に回転(逆回転)を始めて、
図1(a)に示す、待機姿勢へ戻る。
【0016】
ボールガイド15の幅(図5のW)はボールの直径の118%~127%ほどが好ましい。
ボールガイド15の先端に設けられているボール落し穴30の直径はボールの直径の106%~113%ほどが好ましい。
図1(b)に示す状態のとき、ボール落し穴30の略真下かつボール落し穴30よりも少し低い位置に、バッティングティー14の上端が位置するように、バッティングティー支持体13の位置及び長さ、バッティングティー14の高さは規定されている。バッティングティー14は例えば円筒状であり、バッティングティー14の上端の内径はボールの直径の34%~70%ほどである。バッティングティー14の上端の高さ、及び上端の内径は、ボール落し穴30から落下したボールが安定して静止できるものであればよい。
【0017】
ボールが、野球の硬式球又は軟式球である場合、ボールの直径は69mm~74mmであるから、
ボールガイド15の幅は86mm~94mmほどであり、
ボール落し穴30の直径は76mm~84mmほどであり、
バッティングティー14の上端の内径は25mm~50mmほどである、ことが好ましい。
【0018】
ボールが、ソフトボール(1号ボール~3号ボール)である場合、ボールの直径は85mm~97mmであるから、
ボールガイド15の幅は100mm~115mmほどであり、
ボール落し穴30の直径は90mm~105mmほどであり、
バッティングティー14の上端の内径は25mm~50mmほどである、ことが好ましい。
【0019】
バッティングティー14の上端には、バットがボールを打った際の衝撃を吸収し、バットバッティングティーの上端が破損するリスクを低減することができるように、樹脂またはゴム製のボール載置部(不図示)を設けることが好ましい。
【0020】
図1(b)に示す状態のとき、ボールはボールガイド15の転送路に沿って転がり、ボールガイド15の先端のボール落し穴30に到達したら、ボール落し穴30から15mm~30mmほど落ちてバッティングティー14の上端に載置される。
【0021】
図2(a)~(c)は、ボールストッカー上のボールが、ボールストッカーからボールガイド上へ移動する付近を拡大した斜視図である。
図2(a)~(c)に示すように、ボールガイド15はボールガイド支持体32に固定され、支持されている。
ストッパー20も同様にボールガイド支持体32に固定され、支持されている。
ストッパー20の形状は、中心角が90度~105度ほどで、半径がボールの直径よりも10mm~50mmほど長く、厚さが15mm~30mmほどの扇状又は円弧状である。
ストッパー20は、ボールガイド15のボールストッカー16に近い方の端部(転送路の入口付近)に設けられている。
ボールガイド15、ストッパー20及びボールガイド支持体32は、一体となって第1回転軸18を中心に回転可能である。
【0022】
第1回転軸18の外周面には外力作用部としてのレバー26が設けられている。レバー26をバット等で押すなどの外力を作用させることによって、第1回転軸18を回転させることができ、それによって第1回転軸18と共にボールガイド15、ストッパー20及びボールガイド支持体32も回転させることができる。
【0023】
図2(a)に示すように、ボールガイド支持体32は、ボールガイド15が待機姿勢のときボールガイド支持体32の下端部となる部分に、逆回転部としての重り28を有する。
重り28がボールガイド支持体32に対して自由に回転できる状態で支持されており、
図2(a)に示すように、ボールガイド支持体32の長軸がほぼ垂直なときも、
図2(b)に示すように、ボールガイド支持体32の長軸が45度程度傾いているときも、
図2(c)に示すように、ボールガイド15及びボールガイド支持体32の長軸がほぼ水平なときも、
ボールガイド支持体32の向きにかかわらず、重り28の向き(姿勢)は常にほぼ一定となる。
重り28が、ボールガイド支持体32に対して自由に回転できる状態で支持されていると、ボールがボール落し穴30から落ちてボールガイド15が待機姿勢にスムーズに戻ることができるため、好ましい。
【0024】
図2(a)に示すように、ボールガイド15が待機姿勢のときに、3つのボール(B1~B3)がボールストッカー16の上にある場合を例としてより具体的に説明する。
図2(b)に示すように、ボールガイド15、ストッパー20及びボールガイド支持体32が第1回転軸18を中心として回転すると、先頭のボールB1だけがボールガイド15及びストッパー20の半径部に支えられて、ボールガイド15及びストッパー20と共に動く。
一方、2番目のボールB2は、ストッパー20の円周部及び後述するストッパーピン24によって支えられているため、ボールガイド15及びストッパー20が動いても、2番目のボールB2及び3番目のボールB3は、動かない。
【0025】
図2(c)に示すように、ボールガイド15がボール転がり状態(図1(b)に示す状態)になると、先頭のボールB1がボール落し穴30に向かって転がり始める。しかし、先頭のボールB1が転がり始めても、2番目のボールB2及び3番目のボールB3はストッパー20の円周部又は後述するストッパーピン24によって止められていて、転がり始めず、動かないままである。
【0026】
図3(a)~(b)及び図4(c)~(d)は、ボールストッカー上のボールが、ボールストッカーからボールガイド上へ移動する付近(ボールストッカーの傾斜路の出口付近)を、第1回転軸及び第2回転軸と平行な方向から見た図である。
図3(a)は、図1(a)及び図2(a)と同様に、ボールガイド15が待機姿勢にあり、ボールストッカー16の上にボール(B1~B3)が3つある状態を示す。
【0027】
図3(a)に示すように、ボールストッカー16は、ボール(B1~B3)がボールガイド15に向かって転がる傾斜路の底部に第2回転軸22及びストッパーピン24を有することが好ましい。ストッパーピン24の幅は、ボールの直径の20%~25%ほどであり、ストッパーピン24の長さは、ボールの直径の48%~55%ほどである。ボールストッカー16は傾斜を有し、ボールストッカー16上のボール(B1~B3)は上流側から下流側(ボールガイドの方)へ転がる。
ストッパーピン24の上流側の端部は、第2回転軸22によって回転可能に支持されている。
第2回転軸22は、
第2ボールB2の重心の真下、又は
第1ボールB1の重心の真下と第2ボールB2の重心の真下との間であって、第2ボールB2の重心の真下に近い位置にある。
ストッパーピン24の下流側の端部は、第1ボールB1の重心の真下と第2ボールB2の重心の真下との間であって、第1ボールB1の重心の真下に近い位置にある。
【0028】
図3(b)に示すように、ボールガイド15、ストッパー20及びボールガイド支持体32が第1回転軸18を中心として回転し、重り28が上昇すると、位置エネルギーが蓄積される。このとき、先頭のボールB1だけがボールガイド15及びストッパー20の半径部に支えられて、ボールガイド15及びストッパー20と共に動く。
回転開始当初は、ストッパー20の半径部がストッパーピン24を立ち上げる。その後、ストッパー20の円周部がストッパーピン24を立ち上げた状態を維持する。
【0029】
2番目のボールB2は、ストッパー20の円周部によって支えられているストッパーピン24によって支えられていて、ボールガイド15及びストッパー20が動いても、転がらない。2番目のボールB2が転がらないため、3番目のボールB3も同様に、転がらない。
【0030】
図4(c)は、図1(b)及び図2(c)と同様に、ボール落し穴30の位置(高さ)が、ボール落し穴30が設けられていない側のボールガイド15の端部(転送路の入口)の位置(高さ)よりも低くなり、ボールB1がボールガイド15の転送路の上を、ボール落し穴30に向かって転がっている状態を示す。
ボールB1がボールガイド15の転送路の上を転がっている間、使用者がバット等でレバー26を押した状態を維持することによって、ボールガイド15、ストッパー20、重り28及びボールガイド支持体32は停止している。
なお、ボールB1の質量と重り28の質量との関係、ボールB1の位置(第1回転軸からの距離)と重り28の位置(第1回転軸からの距離)との関係等によっては、ボールB1がボール落し穴30にある程度近づいたら、使用者がバット等でレバー26を押した状態を維持しなくても(バット等をレバー26から離しても)、ボールガイド15、ストッパー20、重り28及びボールガイド支持体32は供給姿勢を維持したままとなり、ボールB1は転がり続ける。
【0031】
ボールB1が、ボール落し穴30に到達し、ボール落し穴30から落下すると、重り28に作用する重力(蓄積された位置エネルギー)によって生じる第1回転軸18を中心とする時計回り方向の回転モーメントによって、ボールガイド15及びボールガイド支持体32が、図4(d)に示す矢印34の方向に回転(逆回転)する。
【0032】
ボールガイド15が図4(d)に示す位置に戻ると、ストッパーピン24も図4(d)に示す位置に戻り、それまでストッパーピン24によって止められていた第2のボールB2が矢印36の方向に転がり始める。第2のボールB2が転がり始めると、第2のボールB2によって止められていた第3のボールB3も同様に矢印36の方向に転がり始める。
【0033】
図5は、図3(a)と同様に、ボールガイド15が待機姿勢にあり、ボールストッカー16の上にボール(B1~B3)が3つある状態を示す平面図である。作図の都合上、ボールガイド15は省略し、3つのボール(B1~B3)は輪郭のみを破線で示す。
図5に示すように、
第2回転軸22は、第1ボールB1の重心の真下と第2ボールB2の重心の真下との間の、第2ボールB2に近い位置に存在し、
ストッパーピン24の下流側の端部は、第1ボールB1の重心の真下と第2ボールB2の重心の真下との間の、第1ボールB1に近い位置に存在し、
ボールガイド(不図示)が待機姿勢のとき、ストッパーピン24の下流側は、ストッパー20の半径部によって下方から支持されている。
【0034】
次に、図9を用いて、無電力ティーバッティング装置1の使用方法の一例を説明する。
まずステップ100(S100)において、ボールストッカー16の傾斜路の上にボールを載せる。
次に、ステップ102(S102)において、使用者は、レバー26をバット等で押すことによって、第1回転軸18を回転させて、第1回転軸18と共にボールガイド15、ストッパー20及びボールガイド支持体32も回転させる。使用者は、先頭のボールB1が転送路の上をボール落し穴30に向かって転がり始める位置になるまでボールガイド15を回転させる。
【0035】
図2(b)及び図3(b)に示したように、ボールガイド15、ストッパー20及びボールガイド支持体32が第1回転軸18を中心として回転すると、先頭のボールB1だけがボールガイド15及びストッパー20の半径部に支えられて、ボールガイド15及びストッパー20と共に動く。
一方、2番目のボールB2が、ストッパー20の円周部及び後述するストッパーピン24によって支えられているため、ボールガイド15及びストッパー20が動いても、2番目のボールB2及び3番目のボールB3は、動かない。
【0036】
ステップ104、105(S104、105)において、使用者は、先頭のボールB1が転送路の上を転がり始め、ボール落し穴30に到達し、ボール落し穴30から落下するまでレバー26をバット等で押した状態を維持する。ボール落し穴30から落下したボールは、バッティングティー14の上端に載り静止する。
【0037】
ボールがボール落し穴30から落下し、バッティングティー14の上端に載り静止したら、ステップ106(S106)において、使用者がバット等でレバー26を押した状態を維持することを止める。
すると、ステップ108(S108)において、ボールガイド15、ストッパー20及びボールガイド支持体32は、重り28に作用する重力によって生じる第1回転軸18を中心とする時計回り方向の回転モーメントによって、図4(d)に示す矢印34の方向に回転し、元の状態(位置)に戻る。
なお、ボールがボール落し穴30から落下する前に、使用者がバット等でレバー26を押した状態を維持することを止めてもボールガイド15の供給姿勢が維持される場合は、ボールがボール落し穴30から落下する前に、バット等でレバー26を押した状態を維持することを止めてもよい。
【0038】
その後、使用者は、バッティングティー14の上端に載り静止しているボールをバットで打つ。
使用者が、無電力ティーバッティング装置1の使用の継続を希望する場合は、再びレバー26をバット等で押して、ステップ102(S102)以降を繰り返す。
使用者が、無電力ティーバッティング装置1の使用の継続を希望しない場合は、終了する。
【0039】
以上説明したように、無電力ティーバッティング装置1は、バット等でレバーを押してボールガイドを回転させるという簡単な操作によって電力を消費することなく、ボールストッカー上のボールを1つずつバッティングティーの上端に安定して置く可能である。
【0040】
<変形例1>
上記実施形態では、図3(a)~(b)及び図4(c)~(d)に示したように、使用者がバット等でレバー26を押した状態を維持することを止めたときに、ボールガイドを元の状態(図4(d)に示す状態)に戻すための逆回転部として、重り28を使用した。しかし、ボールガイドを元の状態に戻す方法はこれに限定されず、例えば、図6(a)~(d)に例示するように、引っ張りばねを使用してもよい。
【0041】
例えば、図6(a)に例示するように、引っ張りばね60の一端をボールガイド支持体32に設けられたばね用フック(不図示)に、他端を支持枠12に設けられたばね用フック(不図示)にかける。
図6(a)~(d)に例示するように、
使用者がバット等でレバー26を押し、ボールガイド15が傾斜するにつれて引っ張りばね60は徐々に伸ばされ、
ボール落し穴30が下がり得る最も低い位置まで下がったときに引っ張りばね60は最も伸ばされた状態(弾性エネルギーが蓄積された状態)となり、
使用者がバット等でレバー26を押した状態を維持することを止めると、引っ張りばね60が元の長さに戻ろうとする力(蓄積された弾性エネルギー)によって、ボールガイド15、ストッパー20及びボールガイド支持体32は、元の状態に戻る。
図6(a)~(d)において、引っ張りばね60の取り付け位置をボールガイド15等よりも手前側としたが、手前側である必要はなく、ボールガイド15等より奥側としてもよい。
【0042】
<変形例2>
図1(b)に示す状態となったボールガイドを図1(a)に示す状態に戻すために、図7(a)に例示するように、引っ張りばね62の一端をボールガイド支持体32に設けられたばね用穴64に、他端を基台10に設けられたばね用穴(不図示)にかけるとしてもよい。
【0043】
<変形例3>
図1(b)に示す状態となったボールガイドを図1(a)に示す状態に戻すために、図8に例示するように、第1回転軸18の周りに巻かれたトーションばね(ねじりばね)66の、一端のアームをボールガイド支持体32に設けられたばね止め部(不図示)に、他端のアームを支持枠12に設けられたばね止め部(不図示)にかけるとしてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 無電力ティーバッティング装置
10 基台
12 支持枠
13 バッティングティー支持体
14 バッティングティー
15 ボールガイド
16 ボールストッカー
18 第1回転軸
20 ストッパー
22 第2回転軸
24 ストッパーピン
26 レバー
28 重り
30 ボール落し穴
32 ボールガイド支持体
34、36 矢印
60、62 引っ張りばね
64 ばね用穴
66 トーションばね

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9