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特許7584752締着強度検出装置に使用する無線電波送信装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】締着強度検出装置に使用する無線電波送信装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/00 20060101AFI20241111BHJP
   H01Q 9/26 20060101ALI20241111BHJP
   F16B 31/02 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
G01L5/00 103E
H01Q9/26
F16B31/02 P
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020074682
(22)【出願日】2020-04-20
(65)【公開番号】P2021173543
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】304027349
【氏名又は名称】国立大学法人豊橋技術科学大学
(73)【特許権者】
【識別番号】598013404
【氏名又は名称】トーヨーメタル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149320
【弁理士】
【氏名又は名称】井川 浩文
(74)【代理人】
【識別番号】100113664
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 正往
(74)【代理人】
【識別番号】110001324
【氏名又は名称】特許業務法人SANSUI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 幸大
(72)【発明者】
【氏名】大村 廉
(72)【発明者】
【氏名】ミハイル シドロフ
(72)【発明者】
【氏名】大久保 敦之
【審査官】松山 紗希
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-132841(JP,A)
【文献】特開2002-004798(JP,A)
【文献】特開2007-124010(JP,A)
【文献】国立大学法人豊橋技術科学大学 Press Release,2019年09月17日,2-3、6頁,[online], <URL>https://www.tut.ac.jp/docs/190917kisyakaiken.pdf,[2023年12月25日検索]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 5/00-5/28
H01Q 1/00-1/10,1/27-1/52
H01Q 5/00-11/20
F16B 23/00-43/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心部に締着手段の軸部を挿通可能とする筒状に形成され、該締着手段によって被締着物とともに締着される本体部と、前記本体部に対するひずみの状態を検出する検出手段とを備え前記締着手段による締着強度の状態を検出するための締着強度検出装置において、
前記検出手段によって検出される検出値を無線送信するための送信部と、
前記本体部の筒状を構成する周壁部の外側表面の周方向に延出する適宜長さのショートバーと、
前記周壁部の外側表面の範囲内に配設され、適宜長さを有しつつ線状または帯状に形成されたアンテナと
を備えることを特徴とする締着強度検出装置に使用する無線電波送信装置。
【請求項2】
に締着手段を挿通可能とする挿通部を有する締着力伝達部および該締着力伝達部の周辺に放射状に延出する隔壁部によって構成される計測部を有し、該締着手段によって被締着物とともに締着される本体部と、前記本体部に対するひずみの状態を検出する検出手段とを備え前記締着手段による締着強度の状態を検出するための締着強度検出装置において、
前記検出手段によって検出される検出値を無線送信するための送信部と、
前記本体部の筒状を構成する周壁部に形成されるものであって、前記計測部を構成する前記隔壁部が形成される部分の外周面を含み、前記隔壁部が形成されていない部分を該周壁部の外側を仮想的に包囲するときの表面とすることによって形成される外側表面と、
前記周壁部の前記外側表面の周方向に延出する適宜長さのショートバーと、
前記周壁部の前記外側表面の範囲内に配設され、適宜長さを有しつつ線状または帯状に形成されたアンテナと
を備えることを特徴とする締着強度検出装置に使用する無線電波送信装置。
【請求項3】
心部に締着手段の軸部を挿通可能とする筒状に形成され、該締着手段によって被締着物とともに締着される本体部と、前記本体部に対するひずみの状態を検出する検出手段とを備え前記締着手段による締着強度の状態を検出するための締着強度検出装置において、
前記検出手段によって検出される検出値を無線送信するための送信部と、
前記本体部を構成する部材の周辺を覆うとともに該本体部の一部として設けられ、該本体部の筒状を構成する周壁部の外側表面を形成する包囲部と、
前記周壁部の外側表面の周方向に延出する適宜長さのショートバーと、
前記周壁部の外側表面の範囲内に配設され、適宜長さを有しつつ線状または帯状に形成されたアンテナと
を備えることを特徴とする締着強度検出装置に使用する無線電波送信装置。
【請求項4】
前記アンテナは、前記線状または帯状に形成される軸線を繰り返し折曲または湾曲させて適宜長さを有しつつ、前記本体部の筒状を構成する周壁部の外側表面の周方向へ延出して設けられている請求項1~3のいずれかに記載の締着強度検出装置に使用する無線電波送信装置。
【請求項5】
線状または帯状の形成される前記アンテナの軸線は、2つの任意の方向に断続的に配設された基準領域と、該基準領域の2つの方向の間を連続させるように配設された連続領域とが設けられている請求項4に記載の締着強度検出装置に使用する無線電波送信装置。
【請求項6】
前記基準領域は、前記周方向に平行となる2つの方向に配設されて形成される領域であり、前記連続領域は、該周方向に直交する方向に配設されて形成される領域である請求項5に記載の締着強度検出装置に使用する無線電波送信装置。
【請求項7】
前記ショートバーおよび前記アンテナは、予め柔軟な基板の表面に形成されており、該基板を前記本体部の筒状を構成する周壁部の外側表面に貼着することにより該表面に配置されたものである請求項1~6のいずれかに記載の締着強度検出装置に使用する無線電波送信装置。
【請求項8】
前記基板に形成されるアンテナは、その終端から適宜範囲が切除可能に設けられ、前記基板の表面には、送信すべき無線の周波数に対応する長さを表示する切除位置が表示されている請求項7に記載の締着強度検出装置に使用する無線電波送信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、締着強度検出装置における無線電波送信装置に関するものであり、特に締着手段による締着強度の状態を検出した検出値を送信するための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ボルトおよびナット等により締着させる締着手段は、被締着物を締着固定するために使用するものであるが、締着させた状態を長期間継続させる場合には、その締着強度が変化することがあった。この締着強度の変化とは、専ら緩みを生じさせるものであり、被締着物に生じる振動によって、または温度変化に伴う膨張・収縮によって緩みを生じさせることがあった。
【0003】
締着手段の緩み(締着強度の変化)を検出することは容易でないことから、ひずみゲージによる強度の変化を検出するものや、加速度センサまたは地磁気センサ等により締着部材の姿勢の変化を検出するものがあり、これらのセンサ等によって検出したデータをアンテナによって送信し得る装置が提案されていた(特許文献1および2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-185809号公報
【文献】特開2017-161478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前掲の特許文献1および2に開示される技術は、締着強度を検出すための装置が締着部材(ボルト)の内部に挿入された構成となっており、締着部材(ボルト)そのものの強度を維持する必要があり、その必要性からボルトの加工が困難となることが懸念されていた。また、アンテナによって検出データを送信することとなれているが、そのアンテナの構造については開示されておらず、ボルトの内部に埋設するような極めて微細な構造の装置において所望の送信が可能となり得るかについても懸念されるところであった。
【0006】
本発明は、上記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、締着部材を加工せずに締着強度を検出し、その検出値を電波により送信できる装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明は、締着手段による締着強度の状態を検出するための締着強度検出装置において、中心部に前記締着手段の軸部を挿通可能とする筒状に形成され、該締着手段によって被締着物とともに締着される本体部と、前記本体部に対するひずみの状態を検出する検出手段と、前記検出手段によって検出される検出値を無線送信するための送信部と、前記本体部の筒状を構成する周壁部の外側表面または該周壁部の外方を包囲する仮想面の周方向に延出する適宜長さのショートバーと、前記周壁部の外側表面または該周壁部の外方を包囲する仮想面の範囲内に配設され、適宜長さを有しつつ線状または帯状に形成されたアンテナとを備えることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、本体部は、締着部材(締着手段)とは異なる部材で構成され、この本体部に作用するひずみの状態を測定することで締着強度を検出するものとなる。また、アンテナおよびショートバーは、本体部の筒状を構成する周壁部の外側表面または該周壁部の外方を包囲する仮想面の範囲内に配設されることから、本体部が装着される領域内において無線電波送信装置を構築することができる。なお、本体部は、金属等による導体で構成されるものとすれば、アンテナの給電部との接合により、本体部をグランドとして機能させることができる。この場合、ショートバーは、その先端において導体に接合されることにより短絡させ、アンテナのインピーダンスを調整することができる。このショートバー先端の接合点と導体(本体部)との間に所定の誘電率を有する材料を設けることで、さらにインピーダンス調整を行うことも可能となる。
【0009】
なお、周壁部の外方を包囲する仮想面とは、現実に本体部の周壁部外方を包囲する包囲部材によって構成される面のほか、包囲部材を設けることなく仮想的に包囲する場合に形成される面を含むものと意味する。その仮想面の範囲内または周壁部の外側表面の範囲内とは、当該表面の面積内に収めることと同義であり、当該表面から外部へ逸脱することなく設けられることを意味するものである。従って、締着手段によって被締着物とともに締着された状態にあっても、締着手段その他の部材を支障なく使用できる状態となるものである。
【0010】
上記構成の発明において、前記アンテナは、前記線状または帯状に形成される軸線を繰り返し折曲または湾曲させて適宜長さを有しつつ、前記本体部の筒状を構成する周壁部の外側表面または該周壁部の外方を包囲する仮想面の周方向へ延出して設けられているものとすることができる。
【0011】
このような構成の場合には、限られた範囲内おいて適宜長さのアンテナを構成することができる。適宜長さとは、無線送信すべき電波の波長(λ)の1/4を基準とする長さであり、900~940MHzの周波数の電波の場合であれば、概ね83mm~80mmが基準となることから、上記帯域の電波を送信させる場合においても、本体部の筒状を構成する周壁部の外側表面または周壁部の外方を包囲する仮想面の範囲内に設けることが可能となる。
【0012】
上記構成の発明において、線状または帯状に形成される前記アンテナの軸線は、2つの任意の方向に断続的に配設された基準領域と、該基準領域の2つの方向の間を連続させるように配設された連続領域とが設けられているものとすることができる。この場合における基準領域は、前記周方向に平行となる2つの方向に配設されて形成される領域とし、連続領域は、該周方向に直交する方向に配設されて形成される領域とすることができる。
【0013】
このような構成の場合には、二方向に延出する基準領域と、両者を連続する連続領域とにより、連続するアンテナが形成され、その全長によってアンテナの適宜長さとすることができる。そして、基準領域を周方向に平行な方向に配設し、連続領域を直交方向に配設することにより、基本的には、本体部の周壁部の外側表面または包囲する仮想表面の周方向へ延出して設けられるとともに、該本体部の肉厚寸法を利用することができる。
【0014】
前記各構成の発明において、前記ショートバーおよび前記アンテナは、予め柔軟な基板の表面に形成されており、該基板を前記本体部の筒状を構成する周壁部の外側表面に貼着することにより該表面に配置されたものとすることができる。
【0015】
上記構成によれば、ショートバーおよびアンテナを本体部の外側表面に直接設ける必要はなく、送信すべき電波の周波数に応じた長さのアンテナを予め基板上に設けることができ、本体部の外側表面が平滑でない状態においてもショートバーおよびアンテナを所定の形状および長さによって構成させることが容易となる。
【0016】
上記構成の場合には、前記基板に形成されるアンテナが、その終端から適宜範囲が切除可能に設けられ、前記基板の表面には、送信すべき無線の周波数に対応する長さを表示する切除位置が表示されるように構成することができる。
【0017】
このような構成によれば、アンテナの全長は、終端部分を適宜切除することにより変更することが可能となり、この全長の変更により、所望の周波数による電波を送信させることができる。特に、近隣において、同時に複数の締着手段を使用し、当該締着手段による締着強度を検出するための検出装置を設置する場合には、個々の締着手段における締着強度の検出値を電波の周波数ごとに区別して使用することができる。さらに、周波数ごとに締着手段の位置を関連付けることにより、締着手段の位置を周波数により特定することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、締着手段によって被締着物とともに締着される本体部を使用して締着強度の状態が検出され、当該本体部の周壁部外側にアンテナが配設される構成であることから、締着部材(締着手段)そのものを加工する必要がない。また、検出される本体部のひずみ状態は送信部によって送信用信号に変換され、アンテナによって無線送信されることから、締着強度検出装置による検出値は無線送信され得ることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】締着強度検出装置の形態を示す説明図である。
図2】無線電波送信装置に係る第1の実施形態を示す説明図である。
図3】第1の実施形態の変形例を示す説明図である。
図4】第1の実施形態の変形例を示す説明図である。
図5】無線電波送信装置に係る第2の実施形態を示す説明図である。
図6】無線電波送信装置に係る第3の実施形態を示す説明図である。
図7】第3の実施形態の変形例を示す説明図である。
図8】実施形態の使用態様を示す説明図である。
図9】実施形態の使用態様を示す説明図である。
図10】実施形態の他の変形例を示す説明図である。
図11】実施形態の他の変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の無線電波送信装置が使用される締着強度検出装置の概略を示す図である。なお、図1(a)は分解斜視図であり、図1(b)は装置全体の斜視図である。これらの図に示されているように、締着強度検出装置は、専ら本体部1によって構成され、この本体部1は、計測部10aと、この計測部10aの表裏両面に積層される底面部10bおよび天板部10cとを備える構成である。底面部10bおよび天板部10cは、図1(a)のように、個別に構成した状態で作製し、使用時に一体化させて(積層させた状態で)使用してもよいが、図1(b)に示すように、当初より一体的に設ける構成としてもよい。また、底面部10bおよび天板部10cは、締着時における被締着物の表面または座金によって代替させてもよい。なお、被締着物の表面または座金によって代替させる場合には、計測部10aのみで本体部1を構成することとなる。
【0021】
計測部10aは、中央の締着力伝達部2と、その周辺に放射状に延出する隔壁部3とで構成されており、締着力伝達部2または隔壁部3の一部にひずみセンサ4が設置されるものである。また、隔壁部3によって隔てられた空間部分には電池5および送信部6などを配置することができるようになっている。
【0022】
上記の締着力伝達部2は、中央に挿通部(貫通孔)21aが設けられ、締着手段(例えば、ボルトの軸部)を挿通可能としている。また、十分な幅寸法W1を有する筒状(円筒状)に形成されたものであり、締着手段等と間で十分に当接可能(締着力の伝達可能)な面積を保持させている。さらに、締着力が作用する方向(長さ方向)の肉厚H1は幅寸法W1に比較して十分に小さく構成され、締着力(圧縮力)の作用により座屈しないような形状としている。
【0023】
隔壁部3は、締着力伝達部2と一体的に構成されており、隣接する相互の隔壁部3が、等間隔(同じ中心角)で分散して設けられている。締着力が作用する方向に同じ高さ方向の肉厚H2で構成されるとともに、それぞれの隔壁部3の幅寸法W2は、十分に当接可能な面積を有する程度としている。隔壁部3は、隣接する隔壁部3との間に空隙部22を形成する機能のほかに、締着力伝達部2とともに、締着力を伝達する機能を有するものであるため、上記当接可能な面積を有しつつ、肉厚H2を幅寸法W2に比較して十分に小さくすることにより座屈しないように構成したものである。
【0024】
締着力伝達部2および隔壁部3が、ともに同じ高さ寸法としていることから、締着手段がボルトおよびナットである場合には、これらの締着面に同時に当接することが可能であり、その締着手段による締着力を分散しつつ支持(伝達)することができるものである。締着手段が、座金を使用する場合には、当該座金によって分散される圧縮力を双方によってさらに分散させるものとしている。
【0025】
さらに、締着力が作用する方向(上下方向)には底面部10bおよび天板部10cを配置するものとしており、この底面部10bおよび天板部10cにボルト頭部や座金などが当接されると、締着により作用する圧縮力(締着力)の全部が底面部10bおよび天板部10cを介して、締着力伝達部2および隔壁部3に分散させつつ伝達させることができる。底面部10bおよび天板部10cは、いずれも適宜な肉厚の概略円環状(例えば、図示のような円形の環状)に形成された部材であり、中央には、締着力伝達部2の挿通部(貫通孔)21aと同じ程度の径による挿通部(貫通孔)21b,21cが設けられ、これら全体が一体の挿通部(貫通孔)21を形成し、締着手段を挿通可能としている。
【0026】
図1(b)に示すように、底面部10bおよび天板部10cの外径を締着力伝達部2の外径よりも大きく構成することにより、締着力伝達部2と隔壁部3の上下の両端面(底部表面および上部表面)は、これらの底面部10bおよび天板部10cに対して、同時に当接されることとなる。特に、計測部10aの外径(複数の隔壁部3の先端を結んで形成されるときの外周の径)と同じ径とすることにより、一体化させた状態で、全体の外周を一致させることができる。また、底面部10bおよび天板部10cの外径を計測部10aの外径と同一にすることにより、全体として、挿通部(貫通孔)21の周りに一体となる周壁部11を構成できることとなり、その周壁部11の外周部分には、外側表面12を観念的に形成することができる。
【0027】
このような構成により、締着手段(ボルトの頭部)による締着力を受ける天板部10cは、その締着力を分散し、他方の底面部10bは、締着力伝達部2および隔壁部3から伝達される締着力を被締着材料に分散しつつ伝達することとなる。なお、概略環状とは、外縁形状が円形または他の多角形状を含むこと、および環状の周方向に連続しない(径方向に切断部を有する)場合を含むことを意味している。
【0028】
本発明は、締着強度の検出値を無線送信するものであることから、計測部10aには送信部6が設置されるものである。送信部6は、ひずみセンサ4および電池5に接続されており、ひずみセンサ4による計測部10a(締着力伝達部2もしくは隔壁部3またはその双方)に生じるひずみの測定値の入力を受け、これを送信するものである。
【0029】
具体的には、例えば、ひずみセンサ4としてひずみゲージを用いる場合には、当該ひずみゲージを構成する回路に電圧を印加し、ひずみゲージの変形に伴う抵抗値の変化によって得られる出力電圧から締着強度を算出することができる。この出力電圧(アナログ信号)は、A/D変換器によりデジタル信号に変換されたうえで出力される。本実施形態では、上記の送信データを電波によって無線送信するためにアンテナ7(図2参照)を設けている。従って、上記の送信データ(デジタル信号)は、変調器および発振器を介して高周波電流としてアンテナ7よって無線送信されるものである。
【0030】
アンテナは、図2(a)に示されるように、本体部1の周壁部11の外側表面12に設けられる。本体部1は、上述のように計測部10a、底面部10bおよび天板部10cによって構成されるものであるから、これらが一体化して筒状に形成されるものであり、周壁部11は、その筒状体の周壁を形成する部分であり、その外側表面12を利用してアンテナ7を配置するのである。ここで形成するアンテナ7は、いわゆるモノポールアンテナであり、本体部1(特に底面部10b)の一部または全部を金属等による導体で構成することにより、当該本体部1(底面部10b)をグランドとして機能させることができる。この場合、ショートバー8を設けることにより、アンテナのインピーダンスを調整することができるものである。
【0031】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態は、図2(a)に例示するものであり、周壁部11の外側表面12を仮想面(周壁部11の外側を仮想的に包囲したときの表面)として、その外側表面12に形成されたものである。これは、計測部10aには、隔壁部3が形成されていない部分に外周面が存在しないため、周壁外周に円滑な表面が形成されないことから、仮想的に包囲したときの外側表面12を使用するものである。なお、アンテナ7およびショートバー8は、部分的に支持されていることにより機能するため、そのような構成とするものであってよいものである。
【0032】
このようなアンテナ7およびショートバー8は、全体が支持されていない場合、使用される位置の周辺環境により欠損のおそれもあるため、図2(b)に示すような基板(樹脂等によって構成された柔軟なフィルム等)9にアンテナ7およびショートバー8を形成し、当該基板9を外側表面(仮想面)12に沿って貼着させるように構成することができる。この場合、計測部10aには隔壁部3の一部が外側表面12の一部を構成し、また、底面部10bおよび天板部10cの外周面が外側表面12の一部を構成することとなるから、当該部分を利用して貼着することができる。
【0033】
ところで、アンテナ7およびショートバー8は、この図2(b)に例示しているように、給電部(給電点)70で分岐され、ショートバー8は、外側表面12の周方向へ延出して設けられ、その先端が接合部(接合点)80において導体である本体部1(底面部10b)に接続されている。給電部(給電点)70は、ショートバー8の接合部(接合点)80と同様に、導体である本体部1(底面部10b)に接合され、当該本体部1(底面部10b)をグランドとして機能させている。従って、ショートバー8による短絡によりインピーダンスが調整されるものである。なお、インピーダンスの調整のため、ショートバー8の先端(接合部80)と本体部1(底面部10b)との間に所定の誘電率を有する材料を設けてもよい。上記のアンテナ7は、基本的形状としては、ショートバー8と同様に、外側表面12の周方向へ向かって延出して設けられるものであるが、繰り返し折曲した形状とし、延出方向(周方向)に向かって配置される2つの基本領域71,72と、その中間に配置され両者を連続させている連続領域73とで形成される構成となっている。
【0034】
このように、アンテナ7を基本領域71,72と連続領域73とで構成することにより、本体部1の外側表面12によって構成される僅かな面積部分を有効に利用できるものとしている。すなわち、所定の周波数によって電波を送信する場合には、モノポールアンテナの場合、波長(λ)の1/4の長さを必要とすることから、例えば、900~940MHzの周波数の電波の場合であれば、波長(λ)は約333mm~約319mmとなるため、アンテナ7の全長は概ね83mm~80mmを必要とする。そこで、上述のように、本体部1の外側表面12を利用し、その周方向への長さと幅方向の長さの双方を使用することにより、必要な長さのアンテナ7を当該外側表面12の範囲内に形成させることができるものである。
【0035】
<変形例>
上記のような基本領域71,72は、2つに限定されるものではなく、複数の基本領域を形成してもよい。例えば、図3(a)に示すように、比較的短尺の基本領域71a,71b,・・・71nを周方向へ延出させて設け、この両端の間を交互に連続させる連続領域73a,73b,・・・73nを配置する構成としてもよい。また、外側表面の幅方向の長さによっては、図3(b)に示すように、上記構成を周方向に2箇所配置してもよい。
【0036】
さらに、2つの基本領域71,72を設ける場合、両者を平行に設けることができるが、図4(a)に示すように、平行ではないが、周方向に延出させる構成としてもよい。この場合、図示する例示のように、2つの直線状に構成してもよいが、これらを曲線状で構成してもよい。直線状とすることにより、アンテナ7の全長を設計しやすいが、外側表面12の形状(本体部1の形状)に応じて適宜形状を選択すればよい。図示する本体部1の形状は、円筒状としてものを例示しているが、この本体部1は、その機能の面で筒状であればよく、円筒に限らず楕円または多角形の筒状であってもよいからである。
【0037】
ところで、本実施形態のアンテナ7の先端(末端)から適宜範囲となる末端部75が、図4(b)に示すように、切除可能な状態で形成され、切除位置の目印90をフィルム9の面に表示させている。これは、異なる位置に配置される締着強度検出装置を複数設ける場合に、使用する周波数を変更させるためである。例えば、900~940MHzの周波数の電波を使用する場合において、アンテナ7の全長をミリ単位で変化させることにより、上記に示した範囲の周波数の中で個別に選択させるのである。例えば、全長を83mmとしておき、0.5mm間隔で切除位置の目印を付しておき、これを異なる場所ごとに順次切除して長さを順次短尺化させることにより、83mm~80mmの範囲内に7種類の異なる周波数による電波を送信させることが可能となる。
【0038】
このように異なる周波数による電波を送信させることにより、それぞれ異なる位置に設置される締着強度検出装置の送信機から送信される電波を、一箇所の受信機において個別に受信できるとともに、締着強度検出装置と周波数帯域とを関連付けることで、設置位置ごとの締着強度の変化(緩み)を検出することが可能となる。
【0039】
なお、フィルム9の表面に表示される切除位置の目印90は、アンテナ7の末端部75を切除するための目安であることから、当該末端部75のみが切除可能となっていればよいが、フィルム9とともに目印90に従って切除する構成としてもよい。
【0040】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。この実施形態は、図5(a)に示すように、計測部10aと底面部10bとが予め一体的に構成されたものであり、底面部10bの外径が、計測部10aの外径よりも大径に構成されている。底面部10bが計測部10aと一体に構成されることから、電池5および送信部6は、底面部10bの上面に予め設置させることができる。
【0041】
また、図5(b)に示すように、計測部10aの上部に天板部10cを設けることにより、締着力を計測部10aに伝達させることができるものとなっている。底面部10bは、計測部10aと一体化しているものではあるが、分離して形成される場合と同様に、計測部10aに作用する締着力を底面部10bによって分散されることとなるものである。従って、締着強度は、締着力伝達部2または隔壁部3にひずみセンサ4を設けることにより計測が可能となるものである。
【0042】
この場合においても、アンテナ7は、周壁部11の外側表面(仮想面)12に形成されたものとしている。また、アンテナ7はショートバー8とともに基板9(図2)に形成されたものとし、当該基板9を外側表面(仮想面)12に沿って貼着させるものとしている。このような構成の場合には、電波の送信のためにアンテナ7に出力される高周波電流は、底面部10bの上面に予め設置した配線を利用することができる。給電部(給電点)70は、底面部10bの上面において接合され、当該底面部10bをグランドとして機能させることができ、また、ショートバー8の接合点についても底面部10bの上面に接合するように構成できるものである。
【0043】
なお、底面部10bの上面のみを導体としてもよく、この場合には、当該上面をグランドとして機能させることも可能である。また、アンテナ7の形状に係る変形例、およびアンテナ7の末端部75(図4(b))に切除位置の目印90を設ける変形例については、本実施形態においても同様に採用可能である。
【0044】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態について説明する。本発明の実施形態は、図6(a)に示すように、計測部10a、底面部10bおよび天板部10cの周辺を覆うことができる筒状の包囲部10dが設けられた構成である。この包囲部10dは本体部1の一部として一体的に設けられるものであり、この包囲部10dによって、本体部1の周壁部11の外側表面12が形成されるものである。
【0045】
上記構成におけるアンテナ7およびショートバー8は、包囲部10dの外側表面12に直接設ける構成としてもよいが、基板9(図2)に形成されたものを使用してもよい。この場合においても、アンテナ7の形状に係る変形例、およびアンテナ7の末端部75(図4(b))に切除位置の目印90を設ける変形例については、本実施形態においても同様に採用可能である。切除位置の目印は包囲部10dの表面に設けられ、切除はアンテナ7の部分のみを切除可能とすることとなる。
【0046】
ところで、本実施形態の場合には、計測部10aに形成される(隔壁部3によって形成される)空隙部22(図1)の周辺が包囲されることから、当該空隙部22の外側開口部が閉鎖された状態となる。その結果、当該空隙部22を利用して設置される電池5および送信部6を当該空隙部22の内部に安定的に収容することができるものである。
【0047】
また、送信部6は、包囲部10dの内側に位置するものである一方、アンテナ7およびショートバー8は、包囲部10dの外側表面に設けられることから、送信部6によって出力される高周波電流は、アンテナ7の給電部に接続される配線部を包囲部10dの裏面側に設けることにより、包囲部10dの内側で結線することが可能となる。
【0048】
<変形例>
上記の第2の実施形態における変形例としては、図7に示すように、上述の天板部10cと包囲部10dとを一体化し、全体としてキャップ状に構成した蓋部10eを使用するものがある。この蓋部10eは上部表面に挿通部(貫通孔)21eが設けられ、締着手段を挿通できるものとしており、上部は天板部10cと同様の構成として、計測部10aに当接して締着力を伝達できるものとしている。また、蓋部10eの側壁は、包囲部10dと同様に筒状に形成され、その外側表面12にアンテナ7およびショートバー8を形成できる構成としたものである。
【0049】
<使用態様>
上記の各実施形態については、締着手段によって締着される際、本体部1が締着手段によって挟持されることとなり、締着力の伝達を受けることができるものである。具体的には、図8に示すように、例えば、締着手段としてボルトAおよびナットBを用いる場合、ボルトAの軸部Abを一方の座金Cに挿通させ、実施形態の本体部1の挿通部(貫通孔)21に挿通させたうえ、さらに他方の座金Dに挿通させ、ナットBに螺合させるのである(図8(a)参照)。このとき、本体部1の天板部10cは、一方の座金Cに当接し(図8(b)参照)、他方の座金Dとの間に被締着物を介在させることにより、本体部1の底面部が被締着物に当接することとなる。
【0050】
そして、ボルトAの軸部AbにナットBが螺合することにより、かつボルトAを螺進させることにより、本体部1をボルトAの頭部Aaと被締着部との間に介在させつつ締着させることとなる。このときの本体部1に作用する締着力は、ボルトAの頭部Aaと被締着物との双方から作用し、本体部1の計測部10a(図1)に伝達され、ひずみセンサ4(図1)によってひずみが計測されるのである。
【0051】
たとえは、図9(a)に示すように、二つの板状の被締着物X,Yを締着手段(ボルト・ナット)A,Bによって締着する場合、被締着物X,Yには、挿通部Xa,Yaが予め設けられており、この挿通部Xa,YaにボルトAの軸部Abを挿通して、先端にナットBを螺合するのである。このときの締着強度を検出するため、本体部1は、ボルトAの頭部Aaの側(またはナットBの側)において、軸部Abを挿通部21(図8)に挿通させた状態で装着するのである。これにより、図示のように、本体部1は、ボルトAの頭部Aaと一方の被締着物Xの表面との間に介在され、ボルトAを強く締着させることにより、その締着力が本体部1に作用するのである。
【0052】
また、図9(b)に示すように、予め雌ネジZaが螺刻された被締着物Zに対して他の部材(被締着物)Xを締着する場合についても、同様に、ボルトAの頭部Aaの側において軸部Abを挿通部21(図8)に挿通させて設置することにより、締着強度を測定することができるものとなる。
【0053】
これらの設置状態において測定される締着力は、前述のように、ひずみセンサ4(図1)による計測部10a(特に締着力伝達部2)のひずみとして検出され、送信部6によって送信用の高周波電流に変換されて(図1)、アンテナ7によって電波として送信されることとなる(図2)。これらの送信電波は、特定の受信機によって受信し得ることとなる。
【0054】
なお、例えば、大型建造物のように、被締着物を多数の締着手段で締着する場合には、複数の締着手段に締着力検出装置を設置することとなるが、個々の装置(本体部1)に設けるアンテナ7の長さを適宜変更して異なる周波数の電波を放出させることにより、個々の締着手段ごとの締着強度を受信することができる。締着力検出装置に使用される電源は限られるものであるため、放出される電波が低出力となることが予想される。このような場合には、受信機は締着力検出装置が設けられる位置の近隣に設置されることとなる。近隣に受信機を設置する場合には、当該受信機を携帯しつつ計測結果を受信してもよいが、多数の締着手段をグループ化し、各グループを一括して近隣設置の受信機が受信し、それをさらに他の装置(例えば管理サーバ)へ送信させてもよい。このときの送信は、インターネット回線や携帯電話回線を使用した無線送信のほか、ケーブルを使用した有線による送信としてもよい。
【0055】
<まとめ>
本発明の実施形態および変形例は、上記のとおりであるから、締着手段における締着強度を検出する際、その検出結果(検出値)を電波により無線送信することが可能となる。この無線電波送信において使用するアンテナ7は、本体部1の外側表面12の範囲内において折曲または湾曲を繰り返して構成されるため、比較的小型に構成される締着力検出装置の本体部1に使用可能となる。また、アンテナ7の末端部75において切除可能とすることにより、所望の周波数に合わせて適宜アンテナ7の全長を調整することが可能となり、異なる周波数の電波を使用することができる。これにより、近傍において複数の電波を送信する場合においても相互に干渉されることなく送信することが可能となる。
【0056】
以上のように、本発明の実施形態を示したが、本発明がこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内において種々の形態とすることは可能である。例えば、締着手段(ボルトおよびナット等)が小さく、本体部1を構成するために締着力伝達部2と隔壁部3とを区別することが難しい場合には、図9または図10に示す変形例のように、両者2,3を区別せずに一体的な筒状(円筒形または筒状円錐台形)とした計測部110a,210aおよび底面部110b,210bによって本体部101,201を形成することができる。この場合、計測部110a,210aの上面は、締着手段に用いられる座金Cと同じ外径および面積とすることにより、座金Cを天板部として機能させるものである。
【0057】
このような構成の場合における第1の変形例を図10に示す。この変形例は、図10(a)に示すように、計測部110aを円筒状としつつ底面部110bと一体的に構成されてものである。この計測部110aの側面部分にはひずみセンサ4を設置することにより、当該計測部110aの変位による締着強度の変化を検出することものとしている。また、底面部110bは、その外径を計測部110aの外径よりも大きく構成して鍔状としており、底面部110bの表面部分に電池5および送信部6を設置できるように構成されている。なお、これらの電池5および送信部6は、その離脱を防止するために、底面部110bの周縁を包囲するような包囲部を設けてもよいが、底面部110bの表面部分に貼着するなどにより固定してもよい。さらに、上記のような構成の結果として、計測部110aは周壁部と一致するものとなることから、その外側表面112に、無線電波送信に使用されるアンテナ7およびショートバー8を設けることができる。この場合のアンテナ7およびショートバー8は、上述した各実施形態のように、外側表面112に直接的に形成してもよく、またフィルム9を使用してもよい。アンテナ7の形状についても上述の各種形状とすることができる。
【0058】
このような構成により、図10(b)に示すように、例えば、締着手段がボルトAおよびナットBである場合であって、二つのX,Y被締着物を締着する場合、その締着強度を検出するためには、ボルトAの頭部Aaの側(またはナットBの側)において、座金C(または座金D)を介して本体部101を同時に締着することとなる。この場合、図示のように、計測部110aの上面全体が座金C(または座金D)に当接し、当該座金(または座金D)に作用する締着強度の全部が計測部110aに伝達されることとなり、その変位をひずみセンサ4によって検出することができることとなる。このときの変位は、微細であるため、アンテナ7およびショートバー8に対して変形させるような程度ではなく、当該アンテナ7およびショートバー8は、その形状を維持しつつ無線電波送信を継続して可能にするものである。
【0059】
他方、第2の変形例としては、図11(a)に示すように、上記計測部110aの形状を筒状円錐台形とするものがある。基本的には、第1の変形例と同様の構成であるが、計測部210aが筒状円錐台形であるため、その側面部分(周壁部の外側表面)212が傾斜することとなる。このような形状においても、側面部分(周壁部の外側表面)212にひずみセンサ4を設置すれば、計測部210aの変位による締着強度の変化を検出することができる。これは、計測部210aの上面から受ける荷重を底面部210bに分散させることとなるが、計測部210aが変位することに変わりないからである。また、底面部210bは、筒状円錐台形の底面外径よりも大きい外径として構成していることにより、上述と同様に、その表面部分に電池5および送信部6を設置可能である。ここでも貼着等により固定することで離脱を防止させることができる。
【0060】
この変形例におけるアンテナ7およびショートバー8は、やはり計測部210aの側面部分(周壁部の外側表面)212に設けられるものであるが、円錐台の上面と底面との径が異なる(基本的には同心円となる)ことから、アンテナ7を構成する二つの基準領域は、これらの中間的な径の同心円上に形成し、連続領域は放射状とすることにより、同じピッチによる同一形状を繰り返して形成することができる。なお、この場合においても、アンテナ7およびショートバー8は、当該側面部分(周壁部の外側表面)212に直接設けることができるほか、フィルムを使用して設置することができる。
【0061】
このような構成により、図11(b)に示すように、例えば、締着手段がボルトAおよびナットBである場合であって、二つのX,Y被締着物を締着する場合、その締着強度を検出するためには、ボルトAの頭部Aaの側(またはナットBの側)において、座金C(または座金D)を介して本体部201を同時に締着することとなる。この場合、図示のように、計測部210aの上面全体は座金C(または座金D)に当接して、当該座金(または座金D)を介して締着力の伝達を受けることができる。そのときの計測部210aの変位は、円筒状の場合とは異なる状態となるとしても、変位するものであることから、その変位に基づいて、ひずみセンサ4によって締着強度として検出することができる。アンテナ7およびショートバー8が、当該変位によって影響を受けないことは第1の変形例と同様である。
【0062】
その他、前記各実施形態における本体部1の全体形状は、図面において円筒状を中心に例示したが、筒状であればよく、多角形等の筒状に構成してもよいものである。このことは、変形例においても同様である。また、締着手段にはボルト・ナットを例示したが、構造物そのものに雄ネジが刻設されて締着可能となったものによる締着強度の検出に使用してもよい。被締着物は、鉄骨構造物などのように金属部材であってもよいが、車両などに使用する車軸であってもよい。振動による緩みを検出するために用いる場合は、頻繁に振動が伝達される橋梁のほか、工作機械などでも使用可能である。
【符号の説明】
【0063】
1,101,201 本体部
2 締着力伝達部
3 隔壁部
4 ひずみセンサ
5 電池
6 送信部
7,7a,7b アンテナ
8 ショートバー
9 基板(フィルム)
10a,110a,210a 計測部
10b,110b,210b 底面部
10c 天板部
10d 包囲部
10e 蓋部
11 周壁部
12,112,212 周壁部の外側表面(または仮想面)
21,21a,21b,21c,121,221 挿通部(貫通孔)
22 空隙部
70 給電部(給電点)
71,71a,71b,71c,71n,72 基本領域
73,73a,73b 連続領域
75 末端部
80 接合部(接合点)
90 切除位置の目印
A ボルト
Aa ボルトの頭部
Ab ボルトの軸部
B ナット
C,D 座金
X,Y,Z 被締着物
Xa,Ya 挿通部
Za 雌ネジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11