(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】有機廃棄物の熱分解装置及び熱分解方法
(51)【国際特許分類】
B09B 3/40 20220101AFI20241111BHJP
C08J 11/00 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
B09B3/40
C08J11/00
(21)【出願番号】P 2020163758
(22)【出願日】2020-09-29
【審査請求日】2023-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】510075387
【氏名又は名称】活水プラント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188765
【氏名又は名称】赤座 泰輔
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100136995
【氏名又は名称】上田 千織
(74)【代理人】
【識別番号】100163164
【氏名又は名称】安藤 敏之
(72)【発明者】
【氏名】飯田 克己
(72)【発明者】
【氏名】飯田 祐史
(72)【発明者】
【氏名】飯田 倫之
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-255841(JP,A)
【文献】特開2012-021067(JP,A)
【文献】特開2005-238120(JP,A)
【文献】特開2007-001740(JP,A)
【文献】米国特許第05388537(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 3/40
B09B 101:75
C08J 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機廃棄物を乾留する乾留槽と、該有機廃棄物を該乾留槽に投入する投入装置と、該有機廃棄物を乾留するために該乾留槽を加熱する加熱炉と、該有機廃棄物が乾留されて生じる炭化物を回収する回収装置と、を備える熱分解装置であって、
該投入装置
は、該乾留槽に該有機廃棄物を投入する第1ねじポンプと、該第1ねじポンプに該有機廃棄物を供給する第2ねじポンプと、を備えて構成され、
該第1ねじポンプに該有機廃棄物が供給される供給口と、該供給口に該有機廃棄物を送出する該第2ねじポンプの送出口と、の間が、連結管によって連結され、
該連結管の該供給口側と該送出口側とに、該有機廃棄物の移動を規制する仕切弁がそれぞれ設けられ、
該連結管に、脱気装置が備えられる、ことを特徴とする有機廃棄物の熱分解装置。
【請求項2】
前記連結管に、窒素ガスを注入する注入口が備えられることを特徴とする請求項1に記載の有機廃棄物の熱分解装置。
【請求項3】
前記有機廃棄物が乾留されて生じる乾留ガスを前記加熱炉に導風する導風管を備え、該加熱炉に設けられた該乾留ガスを導風する導風口に、該導風管から該乾留ガスを吸引し該導風口に導風するアスピレータを備えることを特徴とする請求項1
又は2に記載の有機廃棄物の熱分解装置。
【請求項4】
前記導風管が前記加熱炉内に配設されていることを特徴とする請求項
3に記載の有機廃棄物の熱分解装置。
【請求項5】
請求項1に記載の有機廃棄物の熱分解装置の前記加熱炉の燃焼の燃料にバイオマス燃料を使用することを特徴とする有機廃棄物の熱分解方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機廃棄物を熱分解し、有機廃棄物から熱分解された炭化物を回収する熱分解装置及び熱分解方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有機廃棄物を熱分解し、有機廃棄物から熱分解された炭化物を回収する熱分解装置として、内容物の有機廃棄物を熱分解させる内容器と、内容器を加熱する外容器と、を備え、内容器の軸心を回転中心として回転駆動されつつ加熱されて熱分解を行なう、熱分解装置が、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載された熱分解装置は、内容器に有機廃棄物を投入する際に空気(酸素)が共に混入され、回収する炭化物が酸化されてしまうという課題があった。
【0005】
本発明は、上記にかんがみて、回収する炭化物の酸化を抑制することができる熱分解装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る熱分解装置は、有機廃棄物を乾留する乾留槽と、該有機廃棄物を該乾留槽に投入する投入装置と、該有機廃棄物を乾留するために該乾留槽を加熱する加熱炉と、該有機廃棄物が乾留されて生じる炭化物を回収する回収装置と、を備える熱分解装置であって、
該投入装置がねじポンプであることを特徴とする。
【0007】
本発明の熱分解装置によれば、乾留槽に投入された有機廃棄物は、乾留槽を加熱する加熱炉によって加熱され、加熱されることによって乾留(熱分解)され、炭化物を生じる。炭化物は、燃料、土壌改良剤又は水質浄化剤などとして再利用することができる。乾留される有機廃棄物は、ねじポンプの圧送によって乾留槽に投入される。有機廃棄物は、ねじポンプの圧送によって、脱気されるため、空気(酸素)が取り除かれた状態で乾留される。このため、有機廃棄物が乾留されて生じる炭化物は、酸化が抑制されたものとすることができる。
【0008】
ここで、上記熱分解装置において、前記乾留槽に前記有機廃棄物を投入する前記ねじポンプ(以下、「第1ねじポンプ」という。)に、該有機廃棄物を供給する装置がねじポンプ(以下、「第2ねじポンプ」という。)である構成とすることができる。
【0009】
これによれば、有機廃棄物は、第2ねじポンプの圧送によって、脱気されるため、空気(酸素)が取り除かれ、第1ねじポンプの圧送によって、さらに脱気されるため、空気(酸素)がさらに取り除かれた状態で乾留される。このため、有機廃棄物が乾留されて生じる炭化物を、より酸化が抑制されたものとすることができる。
【0010】
また、上記熱分解装置において、前記第1ねじポンプに前記有機廃棄物が供給される供給口と、該供給口に該有機廃棄物を送出する前記第2ねじポンプの送出口と、の間が、連結管によって連結され、
該連結管の該供給口側と該送出口側とに、該有機廃棄物の移動を規制する仕切弁がそれぞれ設けられ、
該連結管に、脱気装置が備えられる構成とすることができる。
【0011】
これによれば、連結管の供給口側と送出口側とに、有機廃棄物の移動を規制する仕切弁がそれぞれ設けられ、連結管に、脱気装置が備えられているため、仕切弁を閉じて脱気装置を運転することにより、連結管内部の有機廃棄物を隔離して脱気することができる。このため、有機廃棄物が乾留されて生じる炭化物を、より酸化が抑制されたものとすることができる。
【0012】
また、上記熱分解装置において、前記連結管に、窒素ガスを注入する注入口が備えられる構成とすることができる。
【0013】
これによれば、連結管内部の脱気された有機廃棄物に窒素ガスを充填することができる。このため、有機廃棄物が乾留されて生じる炭化物を、より酸化が抑制されたものとすることができる。
【0014】
また、上記熱分解装置において、前記有機廃棄物が乾留されて生じる乾留ガスを前記加熱炉に導風する導風管を備え、該加熱炉に設けられた該乾留ガスを導風する導風口に、該導風管から該乾留ガスを吸引し該導風口に導風するアスピレータを備える構成とすることができる。
【0015】
これによれば、乾留ガスを加熱炉に導風し、乾留ガスを分解又は燃焼させることができる。
【0016】
また、上記熱分解装置において、前記導風管が前記加熱炉内に配設されている構成とすることができる。
【0017】
これによれば、乾留ガスが高温を保つことができるため、乾留ガスに含まる融点の高いタールが冷えて導風管に付着することを抑制することができる。
【0018】
上記熱分解装置を用いた熱分解方法において、前記加熱炉の燃焼の燃料にバイオマス燃料を使用することができる。
【0019】
これによれば、バイオマス燃料が成長過程において二酸化炭素を吸収しているため、環境破壊を抑制しつつ熱分解処理を行なうことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の熱分解装置によれば、有機廃棄物が乾留されて生じる炭化物を、酸化が抑制されたものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1実施形態の熱分解装置の概念図である。
【
図2】同熱分解装置の乾留槽と加熱炉の左側面図である。
【
図3】同乾留槽と加熱炉の水平方向の断面図であり、
図2のIII-III線断面図である。
【
図4】同乾留槽の鉛直方向の断面図であり、
図2のIV-IV線断面図である。
【
図5】同乾留槽と加熱炉の鉛直方向の断面図であり、
図2のV-V線断面図である。
【
図7】同熱分解装置の乾留槽と加熱炉の水平方向の断面図であり、
図6のVII-VII線断面図である。
【
図9】同熱分解装置の乾留槽と熱風路の鉛直方向の断面図であり、
図8のIX-IX線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下、本発明の熱分解装置の第1実施形態について説明する。
図1及び
図2に示すように、第1実施形態の熱分解装置Aは、有機廃棄物としての廃プラスチックWPを移動させながら連続的に乾留する円筒形状の乾留槽1と、廃プラスチックWPを乾留槽1に投入する投入装置3と、乾留槽1を覆い乾留槽1を燃焼により加熱する加熱炉2と、加熱されることによって廃プラスチックWPの熱分解から生じる炭化物CBや乾留ガスDGを回収する回収装置4と、を備える。乾留槽1は、後述するように、円筒形状の中心軸(回動軸RA)を中心に回動可能に構成されている。なお、本明細書において、熱分解装置Aの向きは、
図1~
図3に示すように、投入装置3を有する側を前とし、回収装置4を有する側を後とする。上下左右は、熱分解装置Aを前側から見た際の上下左右とし、図示で使用する、Fは前、Bは後、Uは上、Dは下、Lは左、Rは右を示す。また、乾留槽1の回動などの円周の方向は、熱分解装置Aを前側から見た際の方向(時計回り方向など)とする。
【0023】
図1に示すように、乾留槽1は、有機廃棄物としての廃プラスチックWPを移動させながら連続的に乾留する円筒体であり、円筒形状の乾留槽本体11が円筒の軸方向を水平前後方向とするように配置される。乾留槽本体11の前端部側の外周面の周方向に無端状に、回動歯車15が設けられ、回動歯車15の下側に、回動歯車15と噛合う回転歯車17と回転歯車17を回動させるモータ17aが備えられ、モータ17aの回動により、乾留槽本体11が円筒の中心軸(回動軸RA)を中心に周方向に回動可能に構成されている。乾留槽1は、
図4に示すように、架台18に、回転ローラ18aを介して回動可能に設置される。
【0024】
図3及び
図4に示すように、乾留槽1は、乾留槽本体11の内周面の軸方向(前後方向)に沿って一列に並んだ8枚の撹拌羽根14からなる撹拌羽根列を8列備えている。撹拌羽根列は、乾留槽本体11の内周面を周方向に沿って八等分するように、乾留槽本体11の内周面から突設されている。このため、乾留槽1を回動させることにより、廃プラスチックWPは、容易に撹拌・転動させられ、廃プラスチックWPに加熱ムラが生じることを抑制する。撹拌羽根14は、その各々の後端部が前端部に比して反時計回りに5°(正面視において回動軸RAに対して)シフトして備えられている。このため、乾留槽1を時計回りに回動させると、収容物としての廃プラスチックWPは後方に移動するように撹拌・転動され、乾留槽1を反時計回りに回動させると、廃プラスチックWPは前方に移動するように撹拌・転動される。乾留槽1の回動方向を変えることにより、廃プラスチックが前後に移動するため、廃プラスチックWPを乾留させる時間の調整をすることができる。
【0025】
乾留槽1は、前壁部11bに次に述べる投入装置3が接続され、後壁部11cが後述する回収装置4に覆われて、外部から閉塞される。乾留槽1は、投入装置3によって、流入する空気(酸素)が取り除かれ、回収装置4によって、流入する空気(酸素)が抑制されるため、廃プラスチックWPが酸化するのを抑制されて乾留することができる。
【0026】
図1に示すように、乾留槽1の前壁部11bの回動軸RA上に、有機廃棄物としての廃プラスチックWPを乾留槽1に投入する投入装置3の後述する送出口31dが配置されている。投入装置3は、乾留槽1に廃プラスチックWPを投入する第1ねじポンプ31と、第1ねじポンプ31に廃プラスチックWPを供給する第2ねじポンプ32と、を備えて構成される。
【0027】
第1ねじポンプ31は、筐体となるポンプ外筒31c内に、廃プラスチックWPを回転により圧送するスクリュ31bを備え、ポンプ外筒31c前方にスクリュ31bを回転させるモータ31aを備える。ポンプ外筒31cの前側上部に第2ねじポンプ32から廃プラスチックWPが供給される供給口31eを有し、供給口31eから供給された廃プラスチックWPは、スクリュ31bの回転によって後方に圧送され、ポンプ外筒31cの後端の送出口31dから乾留槽1に投入される。乾留槽1の前壁部11bに、廃プラスチックWPが投入される投入口12が設けられ、投入口12は、ポンプ外筒31cの送出口31dを有する前端部を回動可能に支持する。投入口12の内周には、グランドパッキン16が施され、ポンプ外筒31cの送出口31dに対して乾留槽1の投入口12が回動可能としつつ、乾留槽1への空気(酸素)の流入を防ぐ構造となっている。
図2の拡大図に示すように、グランドパッキン16は、ポンプ外筒31cの外周を覆う環状のパッキン16aが、後方が投入口12と一体化された収容体としてのパッキンケース16bに収容され、前方からパッキン押さえ16cに押さえられる構造である。これによって、グランドパッキン16は、投入口12をポンプ外筒31cに対して回動可能としつつ、投入口12(乾留槽1)への空気の流入を防ぐ。
【0028】
第2ねじポンプ32は、第1ねじポンプ31に廃プラスチックWPを供給するポンプであり、基本的な構成は、第1ねじポンプ31と同じである。第2ねじポンプ32は、筐体となるポンプ外筒32c内に、廃プラスチックWPを回転により圧送するスクリュ32bを備え、ポンプ外筒32c前方にスクリュ32bを回転させるモータ32aを備える。第2ねじポンプ32は、ポンプ外筒32cの前方上部に、廃プラスチックWPを溜めるホッパー容器33を備え、ホッパー容器33とポンプ外筒32cとの接続部に、ホッパー容器33から廃プラスチックWPが供給される供給口32eを備えている。供給口32eから供給された廃プラスチックWPは、スクリュ32bの回転によって後方に圧送され、ポンプ外筒32cの後端下側の送出口32dから第1ねじポンプ31に移送される。
【0029】
これら第1ねじポンプ31及び第2ねじポンプ32では、スクリュ31b、32bの回転によって後方に圧送される廃プラスチックWPは、スクリュ31b、32bの回転の圧力によって脱気され、空気(酸素)が取り除かれるように、ポンプ外筒31c、32c内を後方に移送され、第1ねじポンプ31に移送、乾留槽1に投入される。
【0030】
図1に示すように、第1ねじポンプ31及び第2ねじポンプ32のポンプ外筒31c、32cは、それぞれ、後方に向けて水平方向から角度αとして5°上向きに配置されている。廃プラスチックWPの自重が供給元側に加わるため、廃プラスチックWPは、自重の圧力によって脱気され、空気(酸素)が取り除かれるように、ポンプ外筒31c、32c内を後方に移送される。
【0031】
また、
図1に示すように、第1ねじポンプ31及び第2ねじポンプ32のスクリュ31b、32bは、その1回転のピッチPが後方に向けて短くなるように形成されている。このため、廃プラスチックWPは、後方に向けて圧縮され、空気(酸素)が取り除かれるように、ポンプ外筒31c、32c内を後方に移送される。
【0032】
第1ねじポンプ31の供給口31eと第2ねじポンプ32の送出口32dは、上下方向に配設される連結管34によって連結されている。連結管34の下側(第1ねじポンプ31の供給口31e側)に、連結管34内を閉じる第1仕切弁35が設けられ、連結管34の上側(第2ねじポンプ32の送出口32d側)に、連結管34内を閉じる第2仕切弁36が設けられている。第1仕切弁35及び第2仕切弁36を閉じることによって、連結管34内は、第1ねじポンプ31及び第2ねじポンプ32から閉ざされた流路となる。
【0033】
連結管34には、気体を脱気する脱気口34aと窒素ガスを注入する注入口34bが設けられ、脱気口34aには連結管34内の空気を吸引する脱気装置としての吸引ブロワ34cが接続され、注入口34bには連結管34内に窒素ガスを注入する窒素ボンベ34dが接続されている。連結管34の第1仕切弁35と第2仕切弁36のそれぞれを閉じ、廃プラスチックWPを連結管34内に閉ざし、脱気口34aから脱気することにより、廃プラスチックWPは、空気(空気に含まれる酸素)が取り除かれる。また、脱気後又は脱気の途中から、注入口34bから窒素ガスを注入することにより、空気に含まれる酸素をより取り除くことができる。
【0034】
加熱炉2は、前端部と後端部を除いて乾留槽1を覆い、バイオマス燃料BFを燃焼させて、燃焼から生じる熱風を用いて乾留槽1を加熱する炉である。加熱炉2は、
図2に示す如く、乾留槽1を覆う略円筒形状であり、円筒形状の加熱炉筐体21の軸方向を乾留槽1の軸方向と重ねて、前後方向に配置される。加熱炉筐体21の前壁部21aには、周方向に回動する乾留槽1を支持する前側軸孔21cが形成され、後壁部21bには、同様に、周方向に回動する乾留槽1を支持する後側軸孔21dが形成される。乾留槽1に接する前側軸孔21c及び後側軸孔21dの内周には、グランドパッキン16が施され、前側軸孔21c及び後側軸孔21dに対して乾留槽1を回動可能としつつ、加熱炉2の熱が外部に漏れない構造としている。加熱炉2の適所の複数箇所に、加熱炉2内の温度を測定する温度センサ27が備えられている。
【0035】
加熱炉2の前端部側の上部に、燃焼装置24が設置され、燃焼装置24の設置位置から後方にかけて、加熱炉2内に形成される熱風路23が乾留槽本体11を覆い、燃焼装置24の燃焼から生じる熱風により乾留槽1を加熱する。加熱炉2の後端部側の上部に熱風を大気に放出する煙突26が設けられ、熱風を排出する。加熱炉筐体21の前壁部21aと後壁部21bの間には、熱風路23を区切る3枚の間仕切板22が前後方向に熱風路23を4分割するように配置され、熱風路23は、4つのパーティションに区切られる。なお、間仕切板22は、乾留槽本体11を支える支柱としての役割も果たしている。
【0036】
4つのパーティションは、前から、第1パーティション23a、第2パーティション23b、第3パーティション23c、第4パーティション23d、とする。第1パーティション23a上部に、燃焼装置24が設置され、第4パーティション23dの上部には、熱風を大気に放出する煙突26が設けられている。
図2に示すように、前から1枚目の間仕切板22は、下側に通風路22aが形成され、前から2枚目の間仕切板22は、上側に通風路22aが形成され(
図5)、前から3枚目の間仕切板22は、下側に通風路22aが形成されている。間仕切板22の通風路22a以外は、熱風路23が前後に隔離され、パーティションが形成される。燃焼装置24の燃焼から生じる熱風は、第1パーティション23aを下に流れ、1枚目の間仕切板22の下側の通風路22aから、第2パーティション23bに流れ、第2パーティション23bを上に流れ、2枚目の間仕切板22の上側の通風路22aから、第3パーティション23cに流れ、第3パーティション23cを下に流れ、3枚目の間仕切板22の下側の通風路22aから、第4パーティション23dに流れ、第4パーティション23dを上に流れる。つまり、燃焼装置24の燃焼から生じる熱風は、加熱炉筐体21内の上下を行き来しつつ後方に流れ、加熱炉2の後端部側の上部の煙突26に流れる。煙突26の内部には、熱風の流量を規制又は調整するダンパ26aが備えられ、熱風の流量を調整することにより、加熱炉2内の温度を調整することができる。
【0037】
熱分解装置Aは、加熱炉2の燃焼の燃料にバイオマス燃料BFを使用することによって、環境破壊を抑制しつつ熱分解処理を行なうことができる。バイオマス燃料BFは、その原材料の成長過程において二酸化炭素を吸収しているため、二酸化炭素総排出量を抑制することができるためである。
【0038】
回収装置4は、廃プラスチックWPを熱分解することにより生じる炭化物CBや乾留ガスDGを回収する装置である。回収装置4は、前側に、炭化物CBや乾留ガスDGを搬入する搬入口46が設けられ、搬入口46が乾留槽1の乾留槽本体11の後端部を覆うように連結される。搬入口46は、乾留槽本体11の後端部を回動可能に支持し、搬入口46の内周には、グランドパッキン16が施され、空気(酸素)の流入を防ぐ構造となっている。乾留槽1で発生する粒状の炭化物CBと気体の乾留ガスDGは、回収装置4に流入し、比重の大きい炭化物CBが回収装置4の下部の固体溜部42に溜まり、比重の小さい乾留ガスDGが回収装置4の上部の気体溜部41に溜まる。固体溜部42の下側に、外気を遮断して粒状の固体を下側に排出するロータリーバルブ44が備えられ、炭化物CBは、下側に排出され回収される。気体溜部41の上側に、外気の流入を抑え気体を排出する逆止弁43が備えられ、乾留ガスDGは、次に述べる凝縮装置5へと移送される。回収装置4は、ロータリーバルブ44が外気を遮断し、逆止弁43が外気の流入を抑えるため、乾留槽1への空気(酸素)の流入を抑制する。
【0039】
凝縮装置5は、回収装置4から移送された乾留ガスDGを冷却し、冷却され液化した液滴LDを回収する装置である。凝縮装置5は、乾留ガスDGを冷却する冷却器としてのラジエータ51と、乾留ガスDGが冷却されて液化した液滴LDを油滴ODと水滴WDとに分離する油水分離槽55と、を備える。
【0040】
凝縮装置5のラジエータ51は、導入口52から導入された乾留ガスDGを冷却し、冷却され液化した液滴LDを液体出口53から油水分離槽55へ流出させ、冷却されても凝縮しない揮発油VOを気体出口54から加熱炉2に移送させることにより、液体と気体とが分離される。液体出口53は、ラジエータ51の下方に設けられ、下方に溜まった液滴LDを排出する。気体出口54は、ラジエータ51の液体出口53より上側に設けられ、上側に集積する揮発油VOを排出する。ラジエータ51は、冷却水が冷却水入口51aから流入しラジエータ51の内部を循環し冷却水出口51bから排出されることによって冷却され、乾留ガスDGを冷却する。ラジエータ51には、上方の気体(揮発油VO)の圧力を測定する圧力計51cが設けられている。揮発油VOは、後に述べる導風装置6のアスピレータ62によって減圧吸引されて、最終的には、導風口25から加熱炉2に移送され、分解又は燃焼される。
【0041】
油水分離槽55は、ラジエータ51によって液化した液滴LDを油滴ODと水滴WDとに分離するものである。油滴ODと水滴WDは相溶しないため、液滴LDは、比重の違いから油滴ODと水滴WDとに分離する。油水分離槽55の上側に浮く油滴ODは、油分回収槽56に回収され、再生油として燃料等として使用することができる。油水分離槽55の下部に溜まった水滴WDは、水分回収槽57に回収され、有害成分が含有されていないことを確認したうえで、下水として廃棄することができる。
【0042】
導風装置6は、燃焼装置24の後方に設置され、乾留ガスDGのうち、凝縮装置5で冷却されても凝縮しなかった揮発油VOを、導風口25から加熱炉2に移送する装置である。揮発油VOは、加熱炉2に移送されることによって、加熱炉2の高熱に晒され、分解又は燃焼される。導風装置6は、アスピレータ62の吸引能力によって凝縮装置5内の揮発油VOを吸引し、さらには、凝縮装置5を介して連通する乾留槽1内を減圧させる。アスピレータ62は、送風機61の送風力により吸引力を発揮し、凝縮装置5内の揮発油VOを吸引し、送風機61の送風と共に揮発油VOを導風口25から加熱炉2に導風する。
【0043】
次に、第一実施形態の熱分解装置Aの動作について説明する。第一実施形態では、乾留させる有機廃棄物に廃プラスチックWPを使用し、加熱炉2の燃焼装置24の燃料にバイオマス燃料BFを使用した。
【0044】
有機廃棄物としての廃プラスチックWPは、第2ねじポンプ32と第1ねじポンプ31とが直列に配置された投入装置3によって、乾留槽1に投入される。投入は、廃プラスチックWPの移送と、移送を止めて廃プラスチックWPの脱気(窒素パージ)と、を繰り返しながら行われる。廃プラスチックWPの移送時は、第2ねじポンプ32と第1ねじポンプ31を起動させて、第2ねじポンプ32と第1ねじポンプ31の間の連結管34の上下の第2仕切弁36と第1仕切弁35がそれぞれ開かれて、廃プラスチックWPが第2ねじポンプ32と第1ねじポンプ31を経て乾留槽1に投入される。廃プラスチックWPの脱気と窒素パージ時は、第2ねじポンプ32と第1ねじポンプ31を停止させて、第2仕切弁36と第1仕切弁35をそれぞれ閉じて、脱気口34aから脱気され、脱気後に、注入口34bから窒素ガスが注入される。廃プラスチックWPの脱気(窒素パージ)と廃プラスチックWPの移送を繰り返すことにより、廃プラスチックWPは、周りの空気が取り除かれ、窒素パージされ、空気に含まれる酸素が取り除かれた状態となり、第2ねじポンプ32及び第1ねじポンプ31に圧送されることにより、スクリュ32b、31bの回転の圧力によって脱気されながら、ポンプ外筒32c、31c内を移送されて、乾留槽1に投入される。
【0045】
乾留槽1に投入された廃プラスチックWPは、乾留槽1の回動と乾留槽本体11の内周面の撹拌羽根14によって撹拌されながら、乾留槽1から物理的に隔離された加熱炉2の燃焼装置24のバイオマス燃料BFの燃焼によって加熱され、乾留される。
【0046】
加熱炉2では、燃焼装置24の燃焼から生じる熱風が加熱炉筐体21内の上下を行き来しつつ後方に流れ、乾留槽本体11が回動軸RAを中心に回動するため、乾留槽本体11は均一に加熱される。乾留槽本体11を加熱した熱風は、加熱炉2の後端部側の上部の煙突26に流れる。煙突26の内部には、熱風の流量を規制又は調整するダンパ26aが備えられ、熱風の流量を調整することにより、加熱炉2内の温度が調整される。加熱炉2内の温度は、800℃を10℃程度超えるように調整される。ダイオキシンの発生を防ぐためである。なお、この場合、乾留槽1内は、300℃前後となる。
【0047】
乾留槽1は、略円筒形状の乾留槽本体11の内周面に撹拌羽根14を備えて、乾留槽本体11自体が回動軸RAを中心に周方向に回動する。このため、廃プラスチックWPが撹拌されながら加熱され、加熱ムラが抑制され、均等に加熱され、加熱の熱効率に優れるものとなる。廃プラスチックWPは、脱気および窒素パージされた状態で乾留槽1に投入され、その状態で加熱されるため、酸化が抑制されて熱分解が進行する。廃プラスチックWPは約90分かけて乾留を行なう。廃プラスチックWPは、熱分解により乾留ガスDGと炭化物CBを発生する。廃プラスチックWPから発生した乾留ガスDGと炭化物CBは、酸化が抑制されているため、劣化(酸化)が少ないものとなる。
【0048】
乾留された廃プラスチックWPから発生した炭化物CBは、乾留槽1内を転動し、導出口13から回収装置4に落下し、固体溜部42に溜まる。炭化物CBは、固体溜部42の下側に設置されたロータリーバルブ44によって、排出され回収される。回収された炭化物CBは、炭(カーボン)を多く含み、燃料、土壌改良剤又は水質浄化剤などとして再利用することができる。
【0049】
乾留された廃プラスチックWPから発生した乾留ガスDGは、導風装置6のアスピレータ62の吸引によって、回収装置4を経て、凝縮装置5に導入される。凝縮装置5に導入された乾留ガスDGは、ラジエータ51で冷却され、凝縮した液滴LDと、冷却されても凝縮しない揮発油VOとに分けられる。揮発油VOは、導風装置6のアスピレータ62によって吸引され、送風機61からの送風と共に、導風口25から加熱炉2に移送され、分解又は燃焼される。液滴LDは、油水分離槽55に流出され、油滴ODと水滴WDとに分離される。油滴ODは、油分回収槽56に回収され、再生油として燃料等に使用することができる。水滴WDは、水分回収槽57に回収され、有害成分が含有されていないことを確認したうえで、下水として排出することができる。
【0050】
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
図6に示すように、第二実施形態の熱分解装置Bは、第一実施形態の熱分解装置Aと比較して、回収装置204の構成が異なる。具体的には、円筒状の乾留槽201の後端側の周方向に、排出孔246が等間隔に8つ設けられ、乾留槽201が回動軸RAを中心に周方向に回動することによって、下側の排出孔246から炭化物CBが排出され、上側の排出孔246から乾留ガスDGが排出されるように構成されている。また、第二実施形態の熱分解装置Bは、凝縮装置を備えず、発生する乾留ガスDGの全てを加熱炉202に導風し、乾留ガスDGを分解又は燃焼させるように構成されている。その他については第一実施形態の熱分解装置Aとほぼ同じであり、第二実施形態において、第一実施形態と共通する要素については、同じ符号を用いてその説明を省略する(第三実施形態においても同様)。
【0051】
図6に示すように、乾留槽201は、円筒体の乾留槽本体211が円筒の軸方向を水平方向とするように配置される。円筒体の乾留槽本体211の後端側に、乾留槽本体211を回動させるチェーンホイール217aが備えられ、チェーンホイール217aの下側に、チェーン217を介してチェーンホイール217aと噛合うチェーンリング217bとチェーンリング217bを回動させるモータ217cとが備えられている。モータ217cの回動により、チェーンリング217b、チェーン217及びチェーンホイール217aを介して、円筒体の乾留槽本体211が円筒の中心軸(回動軸RA)を中心に周方向に回動するように構成されている。
【0052】
図7に示すように、乾留槽201は、乾留槽本体211の内周面側の軸方向に沿って一列に並んだ7枚の撹拌羽根214からなる撹拌羽根列を4列備えている。撹拌羽根列は、乾留槽201の内周面を周方向に沿って四等分するように、乾留槽201の内周面から突設されている。撹拌羽根214は、その各々の後端部が前端部に比して反時計回りに20°(正面視において回動軸RAに対して)シフトし、前方側に弧を描いて備えられている。
【0053】
乾留槽本体211の後端部の周方向に、排出孔246が等間隔に8つ設けられ、乾留槽本体211が回動することによって、下側に位置する排出孔246から炭化物CBが排出され、上側に位置する排出孔246から乾留ガスDGが排出される。上側に位置する排出孔246から排出された乾留ガスDGは、アスピレータ62に吸引され、加熱炉202内に配置された導風管45を通り、導風口25から加熱炉202に送られ、分解又は燃焼される。導風管45が加熱炉202内に配置されているため、乾留ガスDGにタールなどの高融点溶剤が含まれている場合であっても、導風管45への高融点溶剤の付着を防止することができる。
【0054】
(第三実施形態)
次に、本発明の第三実施形態について説明する。
図8に示すように、第三実施形態の熱分解装置Cは、第一実施形態の熱分解装置Aと比較して、加熱炉302の構成が異なる。具体的には、第一実施形態では、熱分解装置Cの設置場所に固定された加熱炉2に対して乾留槽1が回動する構成であったが、第三実施形態では、乾留槽301に加熱炉302の熱風路323が接合され、乾留槽301と加熱炉302が共に回動する構成としている。加熱炉302の燃焼装置324は熱分解装置Cの設置場所に固定され、燃焼装置324に対して、加熱炉302と乾留槽301とが回動する。
【0055】
熱風路323が乾留槽301に接合されて共に回動するため、熱風は、乾留槽301の周方向に循環される。このため、第一実施形態のように、熱風路23をパーティションに区切り上下に循環させる(
図2)必要がない。従って、
図9に示すように、第三実施形態の間仕切板322は、円周状の全周に亘って12個の通風路322aが等間隔に配置されている。
【実施例】
【0056】
(実施例1)
実施例1では、第一実施形態の熱分解装置Aを用いて、下記の条件で連続的に熱分解を行なった。
【0057】
加熱炉2 810℃に調整 バイオマス燃料BF:建築廃木材粉砕物80kg/h
乾留槽1 φ500mm(外径500mm)×L900mm 容量160L 回転数1rpm 有機廃棄物の通過時間約70分 乾留槽内温度約300℃
第1ねじポンプ31及び第2ねじポンプ32 移送量20kg/h 6分移送、6分停止(脱気・窒素パージ中)、を繰り返す
脱気・窒素パージ 6分移送、5分脱気、1分窒素パージ、を繰り返す
ラジエータ51(凝縮装置5) 25A(内径25mm)×L300mm×12本 冷却水ポンプ 40L/min
アスピレータ62(導風装置6) 65A(エアー入口)×50A(吸引口)×50A(出口)
送風機61(導風装置6) 6m3/min
有機廃棄物 使用済みポリエチレン容器粉砕物10kg/h
【0058】
実施例1では、定常運転状態で、油滴OD(再生油)として灯油・軽油クラスの油が4kg/h得られた。水滴WDは確認できなかった。炭化物CBとして最大10mm程度の炭を主成分とする粒子が1kg/h得られた。
【0059】
(実施例2)
実施例2では、第二実施形態の熱分解装置Bを用いて、下記の条件で連続的に熱分解を行なった。
【0060】
加熱炉2 810℃に調整 バイオマス燃料BF:建築廃木材粉砕物80kg/h
乾留槽1 φ500mm(外径500mm)×L900mm 容量160L 回転数1rpm 有機廃棄物の通過時間約70分 乾留槽内温度約300℃
第1ねじポンプ31及び第2ねじポンプ32 移送量20kg/h 6分移送、6分停止(脱気・窒素パージ中)、を繰り返す
脱気・窒素パージ 6分移送、5分脱気、1分窒素パージ、を繰り返す
アスピレータ62(導風装置6) 65A(エアー入口)×50A(吸引口)×50A(出口)
送風機61(導風装置6) 6m3/min
有機廃棄物 自動車シュレッダーダスト10kg/h
【0061】
実施例2では、定常運転状態で、炭化物CBとして最大10mm程度の炭を主成分とする粒子が1.5kg/h得られた。
【0062】
(実施例3)
実施例3では、第三実施形態の熱分解装置Cを用いて、下記の条件で連続的に熱分解を行なった。
【0063】
加熱炉2 810℃に調整 バイオマス燃料BF:木材加工廃棄物80kg/h
乾留槽1 φ500mm(外径500mm)×L900mm 容量160L 回転数0.5rpm 有機廃棄物の通過時間約140分 乾留槽内温度約300℃
第1ねじポンプ31及び第2ねじポンプ32 移送量10kg/h 6分移送、6分停止(脱気中)を繰り返す
脱気 6分移送、6分脱気、を繰り返す
ラジエータ51(凝縮装置5) 25A(内径25mm)×L300mm×12本 冷却水ポンプ 40L/min
アスピレータ62(導風装置6) 65A(エアー入口)×50A(吸引口)×50A(出口)
送風機61(導風装置6) 6m3/min
有機廃棄物 木材加工廃棄物10kg/h
【0064】
実施例3では、定常運転状態で、油滴ODは確認できなかった。水滴WDとして木酢液が4kg/h得られた。炭化物CBとして最大1mm程度の炭を主成分とする粒子が0.5kg/h得られた。
【0065】
(比較例1)
比較例1では、上記の熱分解装置Aの投入装置3を取り外した熱分解装置を用いた。廃プラスチックWPは、人がショベルで投入した。
【0066】
乾留槽1 φ500mm(外径500mm)×L900mm 容量160L 回転数1rpm
加熱炉2 810℃に調整 バイオマス燃料BF:建築廃木材粉砕物80kg/h
ラジエータ51(凝縮装置5) 25A(内径25mm)×L300mm×12本 冷却水ポンプ 40L/min
アスピレータ62(導風装置6) 65A(エアー入口)×50A(吸引口)×50A(出口)
送風機61(導風装置6) 6m3/min
廃プラスチックWP 使用済みポリエチレン容器粉砕物10kg/h
【0067】
実施例1では、定常運転状態で、油滴OD(再生油)として灯油・軽油クラスの油が1kg/h得られた。水滴WDは確認できなかった。炭化物CBとして最大10mm程度の炭を主成分とする粒子が0.1kg/h得られた。実施例1と比較して、油滴ODと炭化物CBの回収量が少なく、酸素を取り除かなかったために、油滴ODと炭化物CBの大半が燃焼されたと考えられる。
【0068】
(その他実施形態)
実施形態の熱分解装置は、以下のような形態であってもその実施をすることができる。
【0069】
実施形態の熱分解装置ではバイオマス燃料BFとして建築廃木材粉砕物及び木材加工廃棄物を使用したが、バイオマス燃料BFとして食用油廃棄物、穀物油なども使用することができる。また、乾留槽1を加熱する燃料は、バイオマス燃料BFに限定さるものではなく、汎用の燃料(都市ガス、プロパンガスなど)であっても使用することができる。
【0070】
実施形態の熱分解装置では有機廃棄物として、使用済みポリエチレン容器粉砕物、自動車シュレッダーダスト及び木材加工廃棄物を使用したが、有機廃棄物は特に限定されることなく使用することができるものであり、生ゴミや糞尿なども使用することができる。
【符号の説明】
【0071】
1…乾留槽、2…加熱炉、3…投入装置、4…回収装置、5…凝縮装置、6…導風装置、11…乾留槽本体、11b…前壁部、11c…後壁部、12…投入口、13…導出口、14…撹拌羽根、15…回動歯車、16…グランドパッキン、16a…パッキン、16b…パッキンケース、16c…パッキン押さえ、17…回転歯車、17a…モータ、18…架台、18a…回転ローラ、21…加熱炉筐体、21a…前壁部、21b…後壁部、21c…前側軸孔、21d…後側軸孔、22…間仕切板、22a…通風路、23…熱風路、23a…第1パーティション、23b…第2パーティション、23c…第3パーティション、23d…第4パーティション、24…燃焼装置、25…導風口、26…煙突、26a…ダンパ、27…温度センサ、31…第1ねじポンプ、31a…モータ、31b…スクリュ、31c…ポンプ外筒、31d…送出口、31e…供給口、32…第2ねじポンプ、32a…モータ、32b…スクリュ、32c…ポンプ外筒、32d…送出口、32e…供給口、33…ホッパー容器、34…連結管、34a…脱気口、34b…注入口、34c…吸引ブロワ、34d…窒素ボンベ、35…第1仕切弁、36…第2仕切弁、41…気体溜部、42…固体溜部、43…逆止弁、44…ロータリーバルブ、45…導風管、46…搬入口、51…ラジエータ、51a…冷却水入口、51b…冷却水出口、51c…圧力計、52…導入口、53…液体出口、54…気体出口、55…油水分離槽、56…油分回収槽、57…水分回収槽、61…送風機、62…アスピレータ、201…乾留槽、202…加熱炉、204…回収装置、211…乾留槽本体、214…撹拌羽根、217…チェーン、217a…チェーンホイール、217b…チェーンリング、217c…モータ、246…排出孔、301…乾留槽、302…加熱炉、311…乾留槽本体、321…加熱炉筐体、322…間仕切板、322a…通風路、323…熱風路、324…燃焼装置、A…熱分解装置、B…熱分解装置、C…熱分解装置、BF…バイオマス燃料、CB…炭化物、DG…乾留ガス、LD…液滴、OD…油滴、P…ピッチ、RA…回動軸、VO…揮発油、WD…水滴、WP…廃プラスチック、α…角度。