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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】陳列用具
(51)【国際特許分類】
   A47F 5/00 20060101AFI20241111BHJP
【FI】
A47F5/00 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021002683
(22)【出願日】2021-01-12
(65)【公開番号】P2021115470
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2023-11-15
(31)【優先権主張番号】P 2020011437
(32)【優先日】2020-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591256930
【氏名又は名称】押海 永年
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166796
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 雅至
(72)【発明者】
【氏名】押海 永年
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-272278(JP,A)
【文献】特開2019-216919(JP,A)
【文献】特開2017-189206(JP,A)
【文献】特開2016-059538(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 5/00
F16B 2/24-12/32
B42F 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陳列用の役部材(C)と、これに固着される取付アタッチメント(A1)とから成り、前記取付アタッチメント(A1)を介して角型の支持バー(B)に取り付けられる陳列用具において、
前記取付アタッチメント(A1)は、弾性を有する板材を切断して折り曲げることにより、正面板(1)と背面板(3)とが上面板(2)を介して対向し、その両側方の側帯(5)を介して前記背面板(3)に前記正面板(1)の下方の操作片(6)が繋がった形状とされ、
前記側帯(5)は、前記上面板(2)と前記背面板(3)の稜部よりも後方で折り曲げられると共に、前記上面板(2)と前記正面板(1)の稜部の延長線上で折り曲げられ、前記操作片(6)は、前記正面板(1)よりも後方に入り込むように形成され、
前記操作片(6)が前記正面板(1)に対して同一面又はこれより前方に位置するように前記側帯(5)を撓ませた状態で、支持バー(B)に取付アタッチメント(A1)を上方から被せ、前記正面板(1)、上面板(2)及び背面板(3)をそれぞれ支持バー(B)の正面、上面及び背面にそれぞれ沿わせ、前記操作片(6)を板材の弾性で復元させると、前記操作片(6)の上端側が支持バー(B)の下面に係合し、支持バー(B)に対する取付アタッチメント(A1)の上方への引き抜きが阻止されて、支持バー(B)に取り付けられた状態となることを特徴とする陳列用具。
【請求項2】
陳列用の役部材(C)と、これに固着される取付アタッチメント(A1)とから成り、前記取付アタッチメント(A1)を介して角型の支持バー(B)に取り付けられる陳列用具において、
前記取付アタッチメント(A1)は、弾性を有する板材を切断して折り曲げることにより、正面板(1)と背面板(3)とが上面板(2)を介して対向し、その両側方の側帯(5)を介して前記背面板(3)に前記正面板(1)の下方の操作片(6)が繋がった形状とされ、前記正面板(1)の下方となる端縁に制止突起(7)が設けられ、
前記操作片(6)は、前記正面板(1)よりも後方に入り込むように形成され、前記制止突起(7)は、前記正面板(1)の表面より前方へ張り出すように折り曲げられ、前記操作片(6)の上端が前記制止突起(7)の下端よりも上方に位置しており、
前記操作片(6)が前記正面板(1)に対して同一面又はこれより前方に位置するように前記側帯(5)を撓ませた状態で、前記操作片(6)が前方へ撓んだとき前記制止突起(7)に当接して、前記操作片(6)の撓みが一定に制限され、支持バー(B)に取付アタッチメント(A1)を上方から被せ、前記正面板(1)、上面板(2)及び背面板(3)をそれぞれ支持バー(B)の正面、上面及び背面にそれぞれ沿わせ、前記操作片(6)を板材の弾性で復元させると、前記操作片(6)の上端側が支持バー(B)の下面に係合し、支持バー(B)に対する取付アタッチメント(A1)の上方への引き抜きが阻止されて、支持バー(B)に取り付けられた状態となることを特徴とする陳列用具。
【請求項3】
陳列用の役部材(C)と、これに固着される取付アタッチメント(A1)とから成り、前記取付アタッチメント(A1)を介して角型の支持バー(B)に取り付けられる陳列用具において、
前記取付アタッチメント(A1)は、弾性を有する板材を切断して折り曲げることにより、正面板(1)と背面板(3)とが上面板(2)を介して対向し、その両側方の側帯(5)を介して前記背面板(3)に前記正面板(1)の下方の操作片(6)が繋がった形状とされ、
前記側帯(5)が前記上面板(2)と前記背面板(3)の稜部よりも後方かつ上方で折り曲げられ、前記操作片(6)は、上方の係合片部(6d)とその下方に開口部を介して並設された指掛片部(6e)とからなり、前記正面板(1)の下部には貫穴(1a)が形成され、前記係合片部(6d)の湾曲部分が前記貫穴(1a)を介して前記正面板(1)よりも後方に入り込んでおり、
前記操作片(6)が前記正面板(1)に対して同一面又はこれより前方に位置するように前記側帯(5)を撓ませた状態で、支持バー(B)に取付アタッチメント(A1)を上方から被せ、前記正面板(1)、上面板(2)及び背面板(3)をそれぞれ支持バー(B)の正面、上面及び背面にそれぞれ沿わせ、前記操作片(6)を板材の弾性で復元させると、前記係合片部(6d)の湾曲部分が前記正面板(1)の貫穴(1a)を介して支持バー(B)の下面に係合することにより、支持バー(B)に対する取付アタッチメント(A1)の上方への引き抜きが阻止されて、支持バー(B)に取り付けられた状態となり、
前記指掛片部(6e)を手前に引っ張って板材を撓ませ、前記係合片部(6d)の湾曲部分と支持バー(B)の下面との係合を解除すると、支持バー(B)から取り外し可能となることを特徴とする陳列用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ハンガー掛けとなるフックや仕切等の役部材と、角型の支持バーに取り付けるための取付アタッチメントとを備えた陳列用具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、図13(13A)、(13B)に示すような陳列用具を提案している(下記特許文献1参照)。この陳列用具は、ハンガー掛けとなるフック等の役部材Cと、これに固着される取付アタッチメントAとから成り、取付アタッチメントAは、弾性を有する金属製の板材を切断して折り曲げることにより製造されている。
【0003】
この取付アタッチメントAにおいては、支持バーBの正面及び上面にそれぞれ沿うように正面板51及び上面板52が形成され、上面板52の後端から下向きに支持バーBの背面上部に係合される上部係合片53が延出され、正面板51の下端側に支持バーBの下面に対して圧接係合可能な下部係合段部54が設けられている。
【0004】
また、正面板51からその上下にかけて一対の縦方向のスリット55が入れられ、その下端間にわたる横方向のスリット56が入れられて、スリット55,56の内側が弾性片57とされ、下部係合段部54から下向きに操作片58が延出されている。そして、弾性片57に役部材Cの端部が溶接等により固着されている。
【0005】
この陳列用具を支持バーBに取り付けるには、まず、取付アタッチメントAを、正面板51の下部が前方に位置し、上部が後方に位置するように傾けた状態で、取付アタッチメントAの上部係合片53を支持バーBの後側上部に引っ掛け、上部係合片53の根元を軸として、正面板51が鉛直方向となるように取付アタッチメントAを回転させ、取付アタッチメントAの下部係合段部54を支持バーBの前側下部に係合させる。
【0006】
これにより、取付アタッチメントAの正面板51の下端部と上面板52の後端部間が弾力的に引き伸ばされるような力が作用して、取付アタッチメントAにより支持バーBが締め付けられ、ねじ等を用いることなく、取付アタッチメントAが支持バーBに固定されて、陳列用具が支持バーBに取り付けられる。
【0007】
一方、陳列用具を支持バーBから取り外す際には、取付アタッチメントAの操作片58を手前に引いて、取付アタッチメントAを正面板51の下端側が前方に迫り出す方向へ回転させると、下部係合段部54の支持バーBへの係合が外れるので、上部係合片53を支持バーBから離脱させ、取付アタッチメントAの支持バーBへの固定状態を解除して、陳列用具を支持バーBから簡単に取り外すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2008-272278号公報(明細書段落[0039]-[0041]、図4(e)、(f))
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記のような陳列用具の取付アタッチメントAでは、回転に伴い下部係合段部54を支持バーBの前側下部に係合させる都合上、下部係合段部54の支持バーBへの掛り代dを大きく設定することができない。
【0010】
このため、店内で移動する人や物が役部材Cにぶつかった場合、下部係合段部54の支持バーBへの係合が外れやすく、この係合が外れると、取付アタッチメントAの支持バーBへの固定状態が解除されてしまい、陳列用具が支持バーBから脱落する恐れがある。この問題は、特に横方向から押す力が作用した場合に顕著に生じる。
【0011】
また、長期間使用すると、取付アタッチメントAの弾性による支持バーBの締付力が経年により低下し、取付アタッチメントAの支持バーBへの固定状態が解除されやすくなるという問題もある。
【0012】
このような理由により、上記取付アタッチメントAは、図14に示すように、仕切として使用される役部材Cに固着して、ホームセンターの木材売場や座布団等の売場に設置された支持バーBに取り付ける陳列用具を形成し、役部材Cに横方向から商品を凭れさせるような用途には適さないという問題がある。
【0013】
また、図15に示すように、仕切として使用される陳列用具の役部材Cに、上下に間隔をあけて2個の取付アタッチメントAを固着し、上下に並行する2本の支持バーBに陳列用具を取り付けようとしても、陳列用具を回転させることなく、2個の取付アタッチメントAを2本の支持バーBに固定することは極めて困難であり、このような使用が実質的に不可能であるという問題もある。
【0014】
そこで、この発明は、支持バーへの取り付けが簡単で、支持バーから外れにくい多用途の取付アタッチメントを備えた陳列用具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記のような課題を解決するため、この発明は、陳列用の役部材と、これに固着される取付アタッチメントとから成り、前記取付アタッチメントを介して角型の支持バーに取り付けられる陳列用具において、
前記取付アタッチメントは、弾性を有する板材を切断して折り曲げることにより、正面板と背面板とが上面板を介して対向し、その両側方の側帯を介して前記背面板に前記正面板の下方の操作片が繋がった形状とされ、前記操作片は、前記正面板よりも後方に入り込むように形成され、
前記操作片が前記正面板に対して同一面又はこれより前方に位置するように板材を撓ませた状態で、支持バーに取付アタッチメントを上方から被せ、前記正面板、上面板及び背面板をそれぞれ支持バーの正面、上面及び背面にそれぞれ沿わせ、前記操作片を板材の弾性で復元させると、前記操作片の上端側が支持バーの下面に係合し、支持バーに対する取付アタッチメントの上方への引き抜きが阻止されて、支持バーに取り付けられた状態となるものとしたのである。
【0016】
また、前記取付アタッチメントにおいて、前記側帯が前記上面板と前記背面板の稜部よりも後方で折り曲げられると共に、前記上面板と前記正面板の稜部の延長線上で折り曲げられているものとし、前記側帯の撓みに伴い、前記正面板に対する前記操作片の位置が前後方向に容易に移動するようにしたのである。
【0017】
また、前記取付アタッチメントにおいて、前記正面板の下方となる端縁に制止突起が設けられ、前記制止突起は、前記正面板の表面より前方へ張り出すように折り曲げられ、前記操作片の上端が前記制止突起の下端よりも上方に位置しており、
前記操作片が前方へ撓んだとき前記制止突起に当接して、前記操作片の撓みが一定に制限されるものとし、前記取付アタッチメントを支持バーに上方から被せる際、前記操作片が大きく撓みすぎないようにしたのである。
【0018】
また、前記側帯が前記上面板と前記背面板の稜部よりも後方かつ上方で折り曲げられ、前記操作片は、上方の係合片部とその下方に開口部を介して並設された指掛片部とからなり、前記正面板の下部には貫穴が形成され、前記係合片部の湾曲部分が前記貫穴を介して前記正面板よりも後方に入り込んでおり、
前記係合片部の湾曲部分が前記正面板の貫穴を介して支持バーの下面に係合することにより、支持バーに取り付けられた状態となり、
前記指掛片部を手前に引っ張って板材を撓ませ、前記係合片部の湾曲部分と支持バーの下面との係合を解除すると、支持バーから取り外し可能となるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0019】
この発明に係る陳列用具は、取付アタッチメントの操作片が正面板に対して同一面又はこれより前方に位置するように板材を撓ませると、操作片に妨げられることなく、取付アタッチメントを角型の支持バーに垂直上方から被せることができるので、角型の支持バーに容易に取り付けることができる。
【0020】
また、仕切等の役部材に取付アタッチメントを複数個固着して、回転させることなく、上下に並行する複数本の支持バーに複数個の取付アタッチメントを同時に固定することができるので、工具等を要することなく、複数本の支持バーにしっかりと支持されるように取り付けることもできる。
【0021】
そして、支持バーに取り付けたとき、取付アタッチメントの正面板、上面板及び背面板により支持バーを上方から包囲するような状態となり、板材の弾性での締め付けにより支持バーに固定するものではないため、経年劣化に伴い取付アタッチメントの支持バーへの固定力が低下することがない。
【0022】
また、支持バーに取り付けた状態において、取付アタッチメントの正面板と背面板とが全幅にわたってそれぞれ支持バーの正面及び背面に接するため、横方向から押されても、取付アタッチメントの支持バーへの係合が外れることがなく、支持バーから脱落することがないので、人や物の往来が激しく横方向の大きな力が作用する可能性がある条件下での使用にも適したものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】この発明の実施形態に係る陳列用具を取付アタッチメントにより支持バーに取り付けた状態を示す斜視図
図2】同上の取付アタッチメントの正面側からの斜視図
図3】同上の取付アタッチメントの背面側からの斜視図
図4】同上の取付アタッチメントの(4A)正面図、(4B)背面図
図5】同上の取付アタッチメントの側面図
図6】同上の取付アタッチメントによる陳列用具の(6A)支持バーへの取付過程を示す縦断側面、(6B)支持バーへの取付状態を示す縦断側面
図7】同上の取付アタッチメントの製造時における(I)プレス加工前の切断した板材のブランクを示す平面図、(II)第1プレス工程後の状態を示す平面図、(III)第2プレス工程後の状態を示す縦断側面図、(IV)第3プレス工程後の状態を示す縦断側面図、(V)第4プレス工程後の完成状態を示す縦断側面図
図8】同上の取付アタッチメントの操作片に支持バーへの係合部として(8A)傾斜部を形成した他の形態、(8B)係合凸部を形成した他の形態、(8C)付加する係合部材を差し込んだ他の形態をそれぞれ示す縦断側面図
図9】同上の制止突起を正面板の中央部に設けたことを特徴とする取付アタッチメントの他の形態を示す正面図
図10】同上の制止突起がないことを特徴とする取付アタッチメントの他の形態を示す正面図
図11】同上の側帯の後部を斜めにしたことを特徴とする取付アタッチメントの他の形態を示す縦断側面図
図12】同上の取付アタッチメントの他の実施形態の正面側からの斜視図
図13】特許文献1に記載された陳列用具の取付アタッチメントの支持バーへの固定状態を示す(13A)正面側からの斜視図、(13B)側面図
図14】同上の役部材が仕切として使用される陳列用具への適用例を示す斜視図
図15】同上の仕切として使用される役部材に2個の取付アタッチメントを固着して2本の支持バーに取り付けた状態を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0025】
図1に示す陳列用具は、ハンガー掛けとなるフック等の役部材Cと、これに固着される取付アタッチメントAとから成り、取付アタッチメントAにより角型の支持バーBに取り付けられるものである。この取付アタッチメントAは、弾性を有する金属製の板材を切断したブランクを折り曲げることにより製造される。
【0026】
図2乃至図5に示すように、この取付アタッチメントAにおいては、支持バーBの正面、上面及び背面にそれぞれ沿うように正面板1、上面板2及び背面板3が形成され、これらの両側方にスリット4aを介して側帯5が並行し、正面板1の下方となる端縁側に臨むようにスリット4bを介して操作片6が設けられている。
【0027】
側帯5は、前側となる端部が操作片6に繋がり、後側となる端部が背面板3に繋がっており、正面板1の下端縁の両側部には、それぞれ下方へ向けて制止突起7が設けられている。そして、正面板1に金属製丸棒から成る役部材Cの端部が固着されている。
【0028】
取付アタッチメントAの製造に際しては、板材を切断して、図7(I)に示すようなブランクを形成する。このブランクでは、長方形状の輪郭の両長辺に沿って延びる一対のスリット4aと、その一端側(図示右側)にわたるスリット4bの内側に、右方から左方へかけて正面板1、上面板2及び背面板3が順次配置されている。
【0029】
そして、正面板1、上面板2及び背面板3の外側に一対の側帯5及び操作片6が配置され、操作片6のスリット4bに臨む中間部には、一対の制止突起7の間の部分へ向けて凸部が形成されている。また、一対のスリット4aの他端側(図示左側)は、側帯5の弾力性を確保するため、対向する方向へ曲がっている。
【0030】
このようなブランクは、プレス加工により成形する。その第1プレス工程として、ブランクを水平に置いた状態で、図7(II)に示すように、操作片6の幅方向の中央寄り部分と制止突起7の先端へ至る部分(それぞれ網点を付した部分)を相反する方向(図示の場合、操作片6を上方、制止突起7を下方)へ押し出すように曲げる。
【0031】
次に、第2プレス工程として、図7(III)に示すように、側帯5の背面板3に繋がる端部(図示左端部)に、制止突起7と同方向へ押し出して段部5aを形成する。これに伴い、スリット4bの幅が狭まり、操作片6と制止突起7とが厚さ方向に間隔をおいて重なり合うようになる。
【0032】
続いて、第3プレス工程として、図7(IV)に示すように、背面板3から上面板2を直角に起こすように折り曲げ、これに伴い、側帯5を折り曲げる。このとき、側帯5は、上面板2と背面板3の稜線に対して、上面板2の延長線上にずれた位置で折れ曲がる。
【0033】
その後、第4プレス工程として、図7(V)に示すように、上面板2が底となるように回転(図示右回転)させ、上面板2から正面板1を直角に起こすように折り曲げ、これに伴い、側帯5を折り曲げると、取付アタッチメントAが完成する。そして、図1に示すように、正面板1にフック等の役部材Cを溶接等により固着する。
【0034】
このように製造した陳列用具のアタッチメントAでは、図5に示すように、上面板2が上方に位置するように正立させると、前方となる正面板1の後方に上面板2を介して背面板3が対向し、側帯5が上面板2と背面板3の稜部よりも後方の位置と、上面板2と正面板1の稜部の延長線上の位置とで折り曲げられ、操作片6が正面板1よりも後方に入り込んだ形状となる。
【0035】
また、制止突起7が正面板1の表面より前方へ張り出し、操作片6の上端が制止突起7の下端よりも上方に位置した状態となる。
【0036】
上記のような取付アタッチメントAを備えた陳列用具を支持バーBに取り付ける際には、図6(6A)に示すように、取付アタッチメントAを正立させた状態で、操作片6を支持バーBの正面に押し付ける。
【0037】
これにより、側帯5が撓んで操作片6が前方(図示右側)に移動し、操作片6を正面板1に対して同一面又はこれより前方に位置するまで撓ませると、操作片6に妨げられることなく、取付アタッチメントAを支持バーBに垂直上方から被せることができる。
【0038】
また、正面板1に制止突起7を設けることにより、操作片6が前方へ撓んだとき、制止突起7に当接して、操作片6の撓みが一定に規制されるようにしたので、支持バーBに上方から被せる際、操作片6が大きく撓みすぎることがない。
【0039】
そして、図6(6B)に示すように、正面板1、上面板2及び背面板3がそれぞれ支持バーBの正面、上面及び背面にそれぞれ沿った状態で、操作片6を復元させると、操作片6の上端が支持バーBの下面に係合し、支持バーBに対する取付アタッチメントAの上方への引き抜きが阻止されて、陳列用具が支持バーBに取り付けられた状態となる。
【0040】
このように、上記取付アタッチメントAによると、ハンガー掛けとなるフックや仕切等の役部材Cを備えた陳列用具を支持バーBに容易に取り付けることができる。
【0041】
また、上記取付アタッチメントAを役部材Cに複数個固着して、垂直上方から下降させることにより、複数本の支持バーBに取付アタッチメントAを同時に固定することができるので、フックや仕切等の役部材Cを備えた陳列用具を、工具等を要することなく、複数本の支持バーBにしっかりと支持されるように取り付けることもできる。
【0042】
そして、支持バーBに取り付けたとき、取付アタッチメントAの正面板1、上面板2及び背面板3により支持バーBを上方から包囲するような状態となり、板材の弾性での締め付けにより支持バーBに固定するものではないため、経年劣化に伴い支持バーBへの固定力が低下することがない。
【0043】
また、陳列用具を支持バーBに取り付けた状態において、取付アタッチメントAの正面板1と背面板3とが全幅にわたってそれぞれ支持バーBの正面及び背面に接しているため、店内で移動する人や物が役部材Cにぶつかって横方向から押されても、取付アタッチメントAの支持バーBへの係合が外れることがなく、陳列用具が支持バーBから脱落することがない。
【0044】
このため、例えば、ホームセンターの店内のように、人や物の往来が激しく、陳列される商品は重量のあるものが多く、横方向の大きな力が作用する可能性がある条件下での使用にも適したものとなる。
【0045】
一方、陳列用具を支持バーBから取り外す際には、取付アタッチメントAの操作片6を手前に引いて前方へ撓ませ、操作片6の上端側と支持バーBの下面との係合を解除すると、取付アタッチメントAを支持バーBの上方へ簡単に引き抜いて、陳列用具を支持バーBから取り外すことができる。
【0046】
なお、上記実施形態では、取付アタッチメントAとして、プレス加工する際、操作片6の幅方向の中央寄り部分を正面板1に対して平行になるように押し出したものを例示しているが、図8(8A)に示すように、操作片6の幅方向の中央寄り部分を、正面板1に対して傾斜部6aを形成するように押し出してもよく、図8(8B)に示すように、正面板1に対して直角をなす係合凸部6bを形成するように押し出してもよい。
【0047】
また、図8(8c)に示すように、板材の操作片6の部分に形成した切溝に、別体の係合部材6cを差し込んで突出させてもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、正面板1の下端縁の両側部に制止突起7を設けたものを例示しているが、図9に示すように、操作片6の幅方向の中央寄り部分を上端から切り込むことにより、正面板1の下端縁の中央部に制止突起7が設けられたものとしてもよい。
【0049】
また、操作片6の上端が制止突起7の下端よりも上方に位置し、操作片6の撓みが制止突起7により一定に制限されるものを例示しているが、この機能が不要であれば、制止突起7を省略し、図10に示すように、操作片6の上端が正面板1の下端よりも下方に位置するようにしてもよい。また、操作片6の上端は、凸部のない水平な端縁としてもよい。
【0050】
そのほか、側帯5の背面板3に繋がる端部に段部5aを形成したものを例示したが、このような段部5aを省略し、図11に示すように、側帯5の後部が下端から上端まで背面板3に対して斜めになるようにしてもよい。
【0051】
また、図12に示すように、側帯5が横向きL字状の段部5b及び縦向きコ字状の段部5cで折り曲げられるとともに、上面板2と背面板3の稜部よりも後方かつ上方で折り曲げられ、操作片6は、上方の係合片部6dとその下方に開口部を介して並設された指掛片部6eとからなり、正面板1の下部には貫穴1aが形成され、係合片部6dの湾曲部分が貫穴1aを介して正面板1よりも後方に入り込んだ構成としてもよい。
【0052】
この実施形態では、係合片部6dの湾曲部分が正面板1の貫穴1aを介して支持バーBの下面に係合することにより、支持バーBに取り付けられた状態となり、指掛片部6eを手前に引っ張って板材を撓ませ、係合片部6dの湾曲部分と支持バーBの下面との係合を解除すると、支持バーBから取り外し可能となる。
【符号の説明】
【0053】
取付アタッチメント
1 正面板
1a 貫穴
2 上面板
3 背面板
4a,4b スリット
5 側帯
5a,5b,5c 段部
6 操作片
6a 傾斜部
6b 係合凸部
6c 係合部材
6d 係合片部
6e 指掛片部
7 制止突起
B 支持バー
C 役部材
図1
図2
図3
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