(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】タワーとタワーから延在する2つのブームとを備える風力タービンを建設する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
F03D 13/30 20160101AFI20241111BHJP
F03D 13/25 20160101ALI20241111BHJP
B63B 35/00 20200101ALI20241111BHJP
B63B 75/00 20200101ALI20241111BHJP
【FI】
F03D13/30
F03D13/25
B63B35/00 T
B63B75/00
(21)【出願番号】P 2022550776
(86)(22)【出願日】2021-03-22
(86)【国際出願番号】 IB2021052352
(87)【国際公開番号】W WO2021191766
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-08-23
(31)【優先権主張番号】102020108154.5
(32)【優先日】2020-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】519104363
【氏名又は名称】エアロディーン コンサルティング シンガポール ピーティーイー エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100183656
【氏名又は名称】庄司 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100224786
【氏名又は名称】大島 卓之
(74)【代理人】
【識別番号】100225015
【氏名又は名称】中島 彩夏
(72)【発明者】
【氏名】ジークフリートゼン,ゾンク
【審査官】松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】独国特許発明第102012020052(DE,B3)
【文献】英国特許出願公開第02443886(GB,A)
【文献】特表2019-522147(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 1/00- 80/80
B63B 35/00
B63B 35/34
B63B 75/00
B63C 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮体式基礎(110)と、該浮体式基礎(110)上に配置されるタワー(120)と、2つのブーム(130)とを備える風力タービン(100)を建設する方法であって、前記ブーム(130)は、前記タワー(120)から延在し、ブーム(130)の自由端部に配置されるエネルギー変換ユニット(150)をそれぞれ備え、
該方法は、
タワー(120)を上に配置した状態で浮体式基礎(110)を生産するステップと、
エネルギー変換ユニット(150)に接続することができる前記ブーム(130)のそれぞれの一端を受ける、前記タワー(120)上に配置される少なくとも1つの支持部(122)を設置するステップと、
前記ブーム(130)のそれぞれの一端を前記支持部(122)上に配置するとともに、前記ブーム(130)のそれぞれの他端をタワーベースの高さに配置するステップと、
前記ブーム(130)が座部として作用する前記少なくとも1つの支持部(122)とともに同時に旋回するときに、前記ブーム(130)のそれぞれの、前記タワーベースの高さに配置した前記他端を、所定の高さに達するまで持ち上げるステップと、
旋回した前記ブーム(130)の前記一端を前記タワー(120)上に固定するステップと、
少なくとも1つのガイロープ(160)によって、旋回した前記ブーム(130)の前記他端の間、又は前記エネルギー変換ユニット(150)の間に係留部を形成するステップと、を特徴とする、方法。
【請求項2】
ローター(140)を前記エネルギー変換ユニット(150)のそれぞれに取り付ける更なるステップを特徴とする、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記エネルギー変換ユニット(150)に対する前記ローター(140)の取り付けが、前記ブーム(130)を持ち上げる前に行われることを特徴とする、請求項
2に記載の方法。
【請求項4】
前記ブーム(130)が同じ量だけ同時に持ち上げられることを特徴とする、請求項
1~
3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記支持部(122)が接合部として設計されることを特徴とする、請求項
1~
4のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タワーと、2つのブームとを備える風力タービンを建設する装置及び方法であって、ブームは、タワーから延在し、ブームの自由端部に配置されるとともにローターを有するエネルギー変換ユニットをそれぞれ備える、装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
浮体式基礎上に配置されるような風力タービンの原理は特許文献1から既知である。この浮体式風力タービンは、その全出力が、試験及び承認済みの幾つかの個々のシステムから構成されるため、時間及び労力の消費を比較的少なくして実施することができる。この浮体式風力タービンは、特許文献2から既知のY字形状の浮体式基礎を使用する。このY字形状の浮体式基礎は、エネルギー変換ユニット上で発生する負荷の吸収、及び負荷を受けたシステム全体の浮動安定性に関して幾つかの(非公開の)試験において非常に有利であることが立証されている。
【0003】
特許文献3から既知のように、基礎は、複数のコンクリート部材からモジュール式に建設される。個々のコンクリート部材は、特許文献4から既知の鋳型を使用して生産することができ、このPCT出願においても述べられている取り付けシステムを使用して取り付けることができる。
【0004】
特許文献1から既知の風力タービンの特に好ましい実施形態の生産において未だに実用上解決されていない課題は、理想的には上記設備が、ブーム上に配置されたエネルギー変換ユニットとともに基礎を支えることで初めて安定性を得ることである。材料ひいては重量を節減するためには、これは、ブームが単体では、すなわち係留なしではエネルギー変換ユニットの高重量を引き受けることができないように、ブームが設計されることが好ましいことを意味する。
【0005】
したがって、本件において解決すべき課題は、特許文献1から既知の風力タービンがそのように製造し得ないことではなく、特に有利な風力タービンの特に有利な建設を実現することができるように、特許文献1から既知の風力タービンの製造方法をどのように設計しなければならないかである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2007/206976号
【文献】欧州特許第3019740号
【文献】独国特許出願公開第102016118078号
【文献】国際公開第2019/234488号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、冒頭で述べたタイプの風力タービンを建設する方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、本発明に従って、請求項1の特徴を有する装置、請求項20の特徴を有する港湾、及び請求項22に記載の方法によって達成される。従属請求項のそれぞれは、本発明の有利な実施の形態を記載したものである。
【0009】
したがって、本発明によれば、浮体式基礎と、浮体式基礎上に配置されるタワーと、2つのブームとを備える風力タービンを建設する装置であって、ブームは、タワーから延在し、ブームの自由端部に配置されるとともにローターを有するエネルギー変換ユニットをそれぞれ備え、装置は、ブームによって風力タービンのタワーに接続されるエネルギー変換ユニットを持ち上げる、ウィンチに接続されるロープシステムを備える補助タワーを備える、装置が提案される。
【0010】
本装置は特に、ブームによって風力タービンのタワーに接続されるエネルギー変換ユニットを同期して持ち上げるように構成される。特に、本装置は、補助タワーに隣接して配置されるとともに、浮体式基礎を収容する船台を有し、これにより、完成した製品を容易に送達することができる。
【0011】
浮体式基礎と、浮体式基礎上に配置されるタワーと、2つのブームとを備える風力タービンを建設する装置であって、ブームは、タワーから延在し、ブームの自由端部に配置されるとともにローターを有するエネルギー変換ユニットをそれぞれ備え、風力タービンは、浮体式基礎を保持する第1のポンツーン、それぞれがエネルギー変換ユニットを保持する2つの第2のポンツーンを有し、第2のポンツーンは、第1のポンツーンの両側に配置され、補助タワーは、第2のポンツーンの中心に配置されるとともに、ブームによってエネルギー変換ユニットに接続される風力タービンのタワーを第2のポンツーンから持ち上げる、ウィンチに接続されるロープシステムを備える、装置が提供されることが好ましい。
【0012】
実施の形態が船台又はポンツーンを備えるか否かを問わず、補助タワーのウィンチに接続されるロープシステムは、タワー上で支持される、特に、タワーに連結式に接続されるブームが、同時に同一の量だけ持ち上げられ、補助タワーに作用するブームの死荷重モーメントとエネルギー変換ユニットの死荷重モーメントとが、ブームの同期した持ち上げによって互いに打ち消し合うように設計されることが好ましい。補助タワーには曲げモーメントがほとんど作用せず、圧縮力のみが作用するため、材料消費を比較的少なくして補助タワーを製造することができる。幾つかのウィンチを使用する場合、ブームの同期した持ち上げのためにウィンチを互いに調和させなければならない。
【0013】
ポンツーンが設けられる場合、ポンツーンは、コンクリート及び/又は鋼から作製される浮体式プラットフォームとして設計され、本装置を使用して建設される浮体式風力タービンの構成部材を保持する水位依存式キャリアとして構成されることが好ましい。第1のポンツーンは特に潜水可能であるように設計されるため、第1のポンツーンは、単純な浮きドックとして機能的に設計される。このために、第1のポンツーンは、複数のチャンバーを有することが好ましく、複数のチャンバーは、少なくとも1つのポンプによって浸水させる及び空にすることができ、これにより、第1のポンツーンの浮力を決定することができる。具体的には、第1のポンツーンを微調整する(trim)制御部が設けられ、この制御部は、浮体式風力タービンの生産プロセス時に第1のポンツーンを水平方向に安定させる。
【0014】
第1のポンツーンは、互いに接続される複数のポンツーン部材から形成されることが更に好ましく、複数のポンツーン部材は、要件に応じて、本装置によって建設される風力タービンの浮体式基礎の形状に適合される。したがって、第1のポンツーンは、浮体式基礎を構成する基礎モジュールを輸送するための少なくとも1つの搬送路を有することが好ましい。具体的には、中央接続部に向かって収束する星状の3つの搬送路が存在し、これらの搬送路を用いて、冒頭で述べた風力タービンの既知のY字形状の浮体式基礎を簡単に組み付けることができる。
【0015】
第1のポンツーンの端面と第2のポンツーンの端面とは、互いに位置合わせされることが好ましく、第1のポンツーンを第2のポンツーンに接続する接続部材が設けられる。更なる好ましい実施の形態によれば、これらの接続手段はスペーサーとして設計され、スペーサーは、ポンツーンの間に所定の間隔を空け、第1のポンツーン及び第2のポンツーンの両方に連結式に接続されることが特に好ましい。ポンツーンとスペーサーとの間に形成される接合部は、単一の自由度を有し、ポンツーンの平面内に配置される軸の周りに回転可能であるように構成され、第1のポンツーンに対する第2のポンツーンの移動が、高さに関しては可能であるが、水平方向には可能ではないことが最も好ましい。
【0016】
ポンツーンが設けられる場合、補助タワーは、第1のポンツーン上に配置され、第1のポンツーンが下降すると補助タワーも下降することが好ましい。ウィンチは、タワー内、又は第1のポンツーンによって形成される補助タワーの基礎内に配置されることが好ましい。
【0017】
代替的な実施の形態によれば、本装置は、補助タワーを少なくとも部分的に包囲する、第1のポンツーン内に形成される凹部を有することができ、第1のポンツーンは、補助タワーの長手方向軸に沿って変位可能に配置される。これを理由として、補助タワーを船溜まり(harbor basin)の底に据える必要がある。
【0018】
いずれにせよ、本装置がポンツーンを有して設計される場合、補助タワーは、第2のポンツーンの中心に配置されるだけでなく、第2のポンツーンの間の中心に配置されることが特に好ましい。
【0019】
いずれの場合にも、本装置は、補助タワーから補助タワーの両側に配置されるブームに繋がるロープが位置合わせされた状態であり、補助タワーに作用する曲げモーメントを大幅に低減することができるように設計しなければならない。換言すれば、本装置は、ブームをロープシステム及び補助タワーに接続するためのブーム上(又はエネルギー変換ユニット上)に設けられる取付け点が、仮想直線上に配置されるように、建設される風力タービンに関して設計及び配置される。
【0020】
加えて、補助タワー内に配置されるとともにウィンチと連通する滑車装置(block and tackle)が設けられ、滑車装置は滑車を備えることが特に好ましく、滑車は、補助タワーの長手方向軸に沿って変位可能に構成されるとともに、ブームによって風力タービンのタワーに接続されるエネルギー変換ユニットを持ち上げるロープシステムに接続される。変位可能に構成される滑車は、リフトによって変位可能に構成され、持ち上げプロセスを行った後に元の開始位置に持ち上げることができることが最も好ましい。
【0021】
最後に、補助タワーは、クレーンブームを備えるクレーンとして設計されることが好ましく、クレーンを用いて、風力タービンを構成する構成部材を使用場所へと輸送することができる。クレーンブームは、補助タワーの周りに回転可能であるように構成されることが好ましく、本装置がポンツーンを有して設計される場合、第1のポンツーンは、クレーンブームの旋回範囲内に配置される。
【0022】
具体的には、補助タワーは、クレーンブームを備え、クレーンブーム上には、クレーンブームに沿って移動することができるとともにリフトを備えるトロリーが設けられ、クレーンブームは、補助タワーの長手方向軸の周りに360度回転可能であるように構成されることが特に好ましい。したがって、補助タワーは、一方では、風力タービンを形成する構成部材の負荷を、陸上で、又は、幾つかの場合には、本土と設けられることが好ましいポンツーンとの間で移送する役割を果たす。他方では、補助タワーは、ブームによって風力タービンのタワーに接続されるエネルギー変換ユニットを(幾つかの場合には、第2のポンツーンから)持ち上げるのに必要な、ウィンチを備えるロープシステムを備える。この好ましい実施の形態により、建設される風力タービンの生産される浮体式基礎のあらゆる位置に、クレーンブーム上で移動可能である中心に設置された補助タワーのトロリーによって、更なる輸送手段を必要とすることなく、達することができることが確実になる。
【0023】
さらに、波止場と、波止場に浮体式に取り付けられる装置とを備える港湾も本発明に従って提案される。本件において、港湾とは、船をドックに入れることができる海岸上又は河岸上のエリアであると理解される。そのような港湾は、特に、少なくとも1つの船溜まりと、少なくとも1つの波止場、すなわち壁によって補強された堤防とからなり、波止場の壁の前の堤防は、船が波止場で停泊することができるのに十分な深さである。土地の条件によって有利であると立証されている場合、港湾は、桟橋を備えることもできる又は桟橋によって部分的に包囲することもできる。いずれの場合にも、港湾は、本装置にとって波止場が自由にアクセス可能であり、本発明に係る装置によって完成した風力タービンを、少なくとも1つの曳船によって港湾から牽引し、設置場所に運ぶことができるように構成される。
【0024】
港湾は、特に、直線状の波止場に沿って水辺を延在し、波止場の長さは、製造される風力タービンの単一のローターのローター直径の2倍よりも幾分大きい。単一のローター直径が200 mである場合、波止場はそれに応じておよそ500 mの長さにわたる直線設計を有することになる。港湾の水深は、生産される風力タービンを港湾から牽引することができるように寸法決定され、少なくとも8 m~10 mであることが有利であり、潮差も該当する場合には考慮する必要がある。
【0025】
本発明に係る装置は、港湾自体において製造することもできるし、港に隣接するドックにおいて製造し、個々の部品として港湾内に牽引し、港湾で取り付けることもできる。
【0026】
港湾は、港湾がポンツーンを有して設計される場合、波止場上に配置されるとともに、第1のポンツーン上に配置される搬送路と連通する第2の搬送路を有する場合に有利な設計を有する。これにより、更なる補助を必要とすることなく、基礎部材を港湾から第1のポンツーンに直接搬送することが可能になる。
【0027】
浮体式基礎と、浮体式基礎上に配置されるタワーと、2つのブームとを備える風力タービンを建設する本発明に従って具現化される方法であって、ブームは、タワーから延在し、ブームの自由端部に配置されるとともにローターを有するエネルギー変換ユニットをそれぞれ備える、方法は、第1のステップにおいて、タワーを上に配置した状態で浮体式基礎を作製する。その後、タワー上に配置される少なくとも1つの支持部が、ブームのそれぞれの一端を受けるように構成され、ブームのそれぞれは、幾つかの場合には、エネルギー変換ユニットと予め組み付けられている場合がある。支持部は、タワー上に一時的に取り付けて使用後に解体することができ又はタワーの一体部品として設計され、以下、タワー接続部とも呼ぶ。支持部は、特に、タワーをブームに連結式に接続する接合部として設計される。その後、ブームの一端を支持部上に載置し、ブームの他端をタワーベースの高さに位置決めする。ブームが、座部として作用する少なくとも1つの支持部とともに同時に旋回するときに、ブームのそれぞれの、タワーベースの高さに取り付けた他端を、タービンの建設のために、所定の高さに達するまで持ち上げ、旋回したブームの一端をタワー上に固定する、すなわち、タワーに堅く接続する。少なくとも1つのガイロープによって、旋回したブームの他端の間、又はエネルギー変換ユニットの間に係留装置を形成する。
【0028】
ブームは、同一の量だけ同期して持ち上げられるようにそれぞれ持ち上げられることが好ましい。ブームが同期して持ち上げられることによって、補助タワーに作用するブームの死荷重モーメントとエネルギー変換ユニットの死荷重モーメントとが、互いに打ち消し合い、補助タワーには曲げモーメントがほとんど作用せず、圧縮力のみが作用するため、補助タワーを特に重厚になるように設計する必要はない。
【0029】
エネルギー変換ユニットのローターが最初からブームに取り付けられていない場合、ブームを旋回し、タワーに締結して互いに係留した後に、ローターをエネルギー変換ユニットに取り付けるものとすることが好ましい。
【0030】
基本的には、使用するブレードの数に応じて、ローターの取り付けについて以下の選択肢が浮上する。浮体式風力タービンが2つの2枚羽根ローターを備える場合、ブームを持ち上げる前にローターをエネルギー変換ユニットに取り付けることが有利であり、2枚羽根ローターを、ローターのブレードが水平に延在するように配置する。代わりに、ブームを持ち上げた後に、2枚羽根ローターをエネルギー変換ユニットに取り付けてもよい。
【0031】
一方、3枚羽根ローターが設けられる場合、3つのブレードを備えるローターを、水平面内に位置して取り付け、単体としてともに持ち上げ、90度旋回させ、既に持ち上がっているエネルギー変換ユニットに取り付けることが好ましい。代わりに、3つのブレードのうち2つのみを予め組み付けたローターを、ブームを持ち上げる前にエネルギー変換ユニットに取り付けてもよく、ブームを持ち上げた後に3つ目のブレードをそれぞれ取り付ける。
【0032】
本発明に従って設計される装置のうちの1つは、本発明に係る方法を実行するために使用されることが特に好ましい。
【0033】
下記にて、添付の図面に示す特に好ましい実施形態を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】特に好ましく設計された浮体式風力タービンを建設する第1の生産ステップ時の特に好ましく設計された港湾を示す図であり、2つのブームがタワーに接続され、ブームの各端部にはローターを有するエネルギー変換ユニットが配置される。
【
図2】基礎がほとんど完全に完成した状態の第2の生産ステップ時の前述した港湾を示す図である。
【
図3】浮体を浮体式基礎に取り付けている最中の第3の生産ステップ時の前述した港湾を示す図である。
【
図4】浮体を基礎に接続した後の第4の生産ステップ時の前述した港湾を示す図である。
【
図5】2つのブームをタワーに接続する準備中の第5の生産ステップ時の前述した港湾を示す図である。
【
図6】ブームをタワーに接続した状態の第6の生産ステップ時の前述した港湾を示す図である。
【
図7】建設に必要な補助ロープをブームに接続した後の第7の生産ステップ時の前述した港湾を示す図である。
【
図8】ブームを係留するために設けられるガイロープを互いに接続した後の第8の生産ステップ時の前述した港湾を示す図である。
【
図9】エネルギー変換ユニットを持ち上げている最中の第9の生産ステップ時の前述した港湾を示す図である。
【
図10】エネルギー変換ユニットを完全に持ち上げた状態の第10の生産ステップ時の前述した港湾を示す図である。
【
図11】第1のポンツーンを降下した状態での、浮体式風力タービンが完成した後の前述した港湾を示す図である。
【
図12】完成した浮体式風力タービンが港湾から牽引されている状態を示す図である。
【
図13】上に示した浮体式風力タービンを建設する特に好ましく設計された装置の部分断面図であり、2つのブームがタワーに接続され、ブームの各端部にはローターを有するエネルギー変換ユニットが配置される。
【
図14】システムが港から牽引されている状態での、特に好ましく設計された浮体式風力タービンが完成した後の更なる実施形態に係る特に好ましく設計された港湾を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、特に好ましく設計された浮体式風力タービンを建設する第1の生産ステップ時の特に好ましく設計された港湾を示しており、2つのブームがタワーに接続され、ブームの各端部にはローターを有するエネルギー変換ユニットが配置される。
【0036】
特に好ましく設計された港湾200は、特にその上を走行することができるように設計され、製造される風力タービンの構成部材を保管するように構成される舗装表面を有することが好ましい。例えば、交通流を規制する車線マークを有する道路を設けることができるが、港湾の管理、又は環境による影響から保護する様式での風力タービン部材の保管に使用することができる建物(図示せず)を設けてもよい。港湾200は、直線状の波止場210に沿って水辺を延在し、波止場210の長さは、製造される風力タービンの個々のローターのローター直径の2倍よりも幾分大きい。単一のローター直径が200 mである場合、波止場210は、それに応じておよそ500 mの長さにわたる直線設計を有することになる。港湾200の水深は、本装置によって完成した風力タービンを港湾200において降下して港湾200から牽引することができるように寸法決定される。したがって、港湾200の水深は、完成した風力タービンが配置される第1のポンツーンの高さと、浮体式風力タービンの喫水とを考慮して、少なくとも10 m~15 mであることが有利であり、港湾200における潮汐の変化も必要に応じて考慮しなければならない。
【0037】
波止場210の前に、かつ港湾200の波止場壁に対して本質的に平行に延在して、浮体式基礎と、浮体式基礎上に配置されるタワーと、2つのブームとを備える風力タービンを建設する、特に好ましく設計された装置10であって、ブームは、タワーから延在し、ブームの自由端部に配置されるとともにローターを有するエネルギー変換ユニットをそれぞれ備える、装置が存在する。本装置によって建設される風力タービンの特定の構造は、以下において個々の好ましい生産ステップの説明によって明らかになる。
【0038】
このために使用される装置10は、いずれの場合にも、風力タービンの浮体式基礎を保持する第1のポンツーン20と、風力タービンのエネルギー変換ユニットを保持するとともに、第1のポンツーン20の両側にそれぞれ配置される2つの第2のポンツーンと、第2のポンツーン30の中心に配置される補助タワー40とを備える。特に、補助タワー40は、図示の例において第1のポンツーン20上に配置され、クレーンとして特に設計される。このために、補助タワー40は、クレーンブーム48を備え、クレーンブーム48上には、クレーンブーム48に沿って移動することができるとともにリフトを備えるトロリー49が設けられ、クレーンブーム48は、補助タワー40の長手方向軸の周りに360度回転可能であるように構成されることが特に好ましい。したがって、補助タワー40は、一方では、風力タービンを形成する構成部材の負荷を本土とポンツーン20、30との間で移送する役割を果たす。他方では、補助タワーは、下記に示すように、ウィンチを備えるロープシステムを備える。ロープシステムは、ブームによって風力タービンのタワーに接続されるエネルギー変換ユニットを第2のポンツーンから持ち上げるのに必要である。
【0039】
補助タワー40は、第1のポンツーン20の中心に、第2のポンツーン30を有する平面において配置される。特に、補助タワー40は、波止場210に対して垂直に延在する第2のポンツーン部材20bの長手方向軸に配置される。さらに、補助タワー40を安定させるために、スクルートン螺旋体(Scruton helix)41が少なくとも部分的に設けられ、補助タワー40の周辺を流れる風によって起こるタワー40の振動を低減する。これは、タワー40が第1のポンツーン20上に配置される図示の事例において特に有利である。
【0040】
第1のポンツーン20は、2部品設計を有することが好ましく、浮体式風力タービン用に生産される浮体式基礎の形状に本質的に従う。特に、第1のポンツーン部材20aは波止場210に対して平行に延在し、第2のポンツーン部材20bは波止場210に対して垂直に延在する。第1のポンツーン部材20a及び第2のポンツーン部材20bは、製造(風力タービンの建設用に構成される港湾において行ってもよい)及び互いに対する位置決めの後に、これらの部材の間の相対運動が防止されるように互いに接続される。
【0041】
第1のポンツーン20、より正確には、第1のポンツーン部材20aは、波止場210から垂直に延在する2つの側部が、それぞれ2つのスペーサー部材50によって、それぞれ第2のポンツーン30のうちの1つに接続される。スペーサー部材50は、第1のポンツーン20及び第2のポンツーン30の両方に連結式に接続される。接合部は、或る自由度を有し、波止場210から垂直に延在する軸の周りに回転可能であるようにそれぞれ構成される。これにより、高さ、すなわち鉛直方向に関しては第1のポンツーン20に対する第2のポンツーン30の移動性を、例えば波に対して適合することが可能になるが、ポンツーン同士の相対水平位置においては可能ではない。これにより、波止場210を向く第1のポンツーン20及び第2のポンツーン30の側部が常に位置合わせされた状態であり、波止場210で終端することができることが確実になる。
【0042】
第1のポンツーン20は、生産後に完成した風力タービンを保持するためにのみ構成され、中央接続部に向かって収束するとともに、風力タービンの浮体式基礎の製造において有利であることが立証されている星状の3つの搬送路26を有する。このために、浮体式基礎を形成する個々の基礎モジュール112が、このために構成される工場において製造され、港湾200に輸送される。クレーンとして構成される補助タワー40は、基礎モジュール112を第1のポンツーン20上に構成される搬送路26上に下ろし、搬送路26上において、個々の基礎モジュール112をローラーコンベヤ上の目的位置に押すことができる。このために、
図1に示すように、リフトを備えるトロリー28(キャリア、ストラドルキャリア、ゴムタイヤガントリー(RTG)、クレーン等)を使用することができる。
【0043】
製造される風力タービンの個々の構成部材が第1の生産ステップにおいて設けられる場合、風力タービンの浮体式基礎を、いずれの場合にも最初に第2のポンツーン生産ステップにおいて生産しなければならない。
図2は、基礎110がほとんど完全に完成した状態の第2の生産ステップ時の前に図示した港湾200を示す。基礎110は、個々の基礎部材112から作製される特徴的なY字形状構造を示しており、浮体式基礎110の個々のアームを接続するこの構造の中央接続部には、建設される風力タービンのタワー120が、クレーンとして設計される補助タワー40によって既に配置されている。
【0044】
その後、
図3に示す第3の生産ステップにおいて、浮体114が浮体式基礎110に取り付けられる。これを簡単に達成することができるように、第1のポンツーン20は、ほとんど完全にクレーンブーム48の旋回範囲内に配置され、浮体式基礎110のいずれの位置にも、クレーンブーム48上に変位可能に構成されるトロリー49によって達することができる。補助タワー40として設計されるクレーンのクレーンブーム48は、浮体式基礎110上に配置される浮体114及び浮体式基礎110上に配置されるタワー120を含む、浮体式基礎110の高さを超える高さに配置される。補助タワー40上に回転可能に構成されるクレーンブーム48は、したがって、補助タワー40の軸の周りのこの建設段階で邪魔されずに回転させることができる。
【0045】
このことは、浮体114を浮体式基礎110に接続した後の
図4に示す第4の生産ステップにも当てはまる。浮体式基礎110の長いアーム上に配置される浮体114に取り付けられるヘリコプター着陸プラットフォーム115に加えて、建設される風力タービンのタワー120の自由端部がブームを受ける準備ができていることが分かる。特に、船用の桟橋として設計されるプラットフォームの上方のタワー120の自由端部は、タワー120に接続されるブームの端部用の取付け部として設計される支持部122(以下、タワー接続部と呼ぶ)を備えることが分かる。特に、支持部122は、ブームをタワー120に連結式に接続することができるように接合部として設計される。
【0046】
図示の順番の代わりに、浮体式基礎110を異なる場所で製造し、着水させ、図示の港湾200に牽引することも考えられる。特に、浮体式基礎110を第1のポンツーン20上で製造し、第1のポンツーン20を、浮体式基礎110が完成した後にのみ第2のポンツーン30に接続することが考えられる。
【0047】
タワー120によって保持される2つのブーム130は、
図5に示すように、タワー接続部122によって2つのブーム130をタワー120に接続する準備中の第5の生産ステップ時、及び、
図6に示すように、タワー接続部122によってブーム130をタワー120に接続した第6の生産ステップ時には、クレーンとして設計される補助タワー40によって、それぞれのブーム130の一端が、タワー120の自由端部上に又は自由端部において支持され、エネルギー変換ユニット150が既に予め取り付けられているそれぞれのブーム130の他端が、2つの第2のポンツーン30のそれぞれ上において支持されるように配置される。スペーサー50は、第1のポンツーン20を第2のポンツーン30に接続し、スペーサーの接合部により、ポンツーン20、30の互いに対する水平変位が防止される。スペーサー50により、2つのブーム130が2つの第2のポンツーン30及び建設される風力タービンのタワー120上にしっかりと取り付けられることが確実になる。
【0048】
両方のブーム130は、一端がタワー接続部122によってタワー120に又はタワー120上に連結されるため、両方のブーム130を本質的に水平な軸の周りに旋回させることができ、このようにして、所望の程度まで上昇させることができる。このために、
図7に示すように、補助タワー40内に収容されるロープシステム44は、偏向ローラー(図示せず)によって補助タワー40の外の、補助タワー40の上側にガイドされ、ブーム130に接続されるエネルギー変換ユニット150の領域においてブーム130に接続される。それと同時に、好ましくは2枚羽根ローターとして設計される2つのローター140が、予め組み付けられた状態で準備され、
図8が示すように、エネルギー変換ユニット150上に取り付けられる。
【0049】
特に、
図8は、ロープシステム44上に配置されるキャリッジ45の詳細図(A)を示す。キャリッジ45は、ロープシステム44上に摺動可能に取り付けられ、ロープシステム44上の比較的固定された位置を保ちながら、ロープシステム44とともにロープシステム44に堅く接続することができる。キャリッジ45上の、補助タワー40の両側には、ブーム130の2つのエネルギー変換ユニット150の間に設けられる係留用のガイロープ160が設けられ、ガイロープ160は、下記に示すように、ブーム130が持ち上げられると、補助タワー40の領域において結束し、その領域において、互いに接続される。
【0050】
風力タービンの構成部材を係留するために必要であるとともに、エネルギー変換ユニット50を安定させるように互いに対してだけでなく、浮体式基礎110のアームのうちの2つにも接続する更なるガイロープ160も、予備手段としてこれらの構成部材に接続された後、ブーム130は、ブーム130に取り付けられるとともにローター140を有するエネルギー変換ユニット150とともに、タワー120上に又はタワー120によって形成される軸の周りに旋回しながら、第2のポンツーン30から持ち上げられる。
【0051】
代わりに、上述したように、ローター140が取り付けられていない状態でブーム130を持ち上げることも可能である。しかしながら、これを理由として、ブーム130を上昇させた後、ローター140を更なるクレーン(図示せず)によって持ち上げ、エネルギー変換ユニット150に取り付ける必要がある。
【0052】
図9は、水平線の上方にわずかに持ち上げられたブーム130を示す。その前に、ロープシステム44上のキャリッジ45が、タワー45の方向に近づくように引っ張られ、ロープシステム44上に固定されており(詳細図(A)参照)、
図10に示すように、ブーム130が持ち上げられるにつれて、キャリッジ45はともに更に引っ張られ、互いに隣接するに至っている。詳細図(A)から分かる補助タワー40上に配置される作業プラットフォームから、エネルギー変換ユニット150の領域において取り付けられるガイロープ160の端部は互いに接続されるため、エネルギー変換ユニット150はタワー120によって支持され、ガイロープ160によって相互に支持される。風力タービン100の係留部が所定の予張力を全体で受けるように、他のガイロープ160も特定の量まで予張力を受ける。特に、ガイロープ160は、想定されるあらゆる負荷の事例において、ガイロープ160がいずれも完全に予張力を失うほどには弛緩しないように、予張力を受ける。ガイロープ160の予張力を設定する目的で必要とされる張力付加及び測定装置は、明確にするために図示していない。
【0053】
浮体式風力タービン100が完成し、必要に応じて個々の構成部材をチェックした後は、
図10に示す状態に達する。ここでは、前述のステップに従って完成した浮体式風力タービン100が、第1のポンツーン20上で完全に支持される。
【0054】
浮体式風力タービン100を送達するために、第1のポンツーン20を浸水させ、
図11に示すように、浮体式風力タービン100が第1のポンツーン20の支持なしで独立して浮くまで、第1のポンツーン20及び浮体式風力タービン100をともに下降させる。浮体式風力タービン100は、その後、
図12が示すように、曳船300によって港湾200から牽引し、設置予定地まで牽引することができる。
【0055】
第1のポンツーン20に連結式に接続される第2のポンツーン30は、水面に留まり、浸水した第1のポンツーン20の両側を安定させる。第1のポンツーン20に対する第2のポンツーン30の剛接続により、第2のポンツーン30は、第1のポンツーン20の方向に水平にオフセットされる。第1のポンツーン20は、空になった後には水面に再び現れ、第2のポンツーン30は波止場210に沿って開始位置に移される。
【0056】
図13は、上に示した浮体式風力タービン100を建設する特に好ましく構成された装置10の部分断面図を示しており、2つのブーム130がタワー120に接続され、ブーム130の各端部にはローター140を有するエネルギー変換ユニット150が配置される。装置10は、浮体式風力タービン100の浮体式基礎110、又は全体が生産された後であって、ブーム130に接続される風力タービン100のエネルギー変換ユニット150を(一時的に)保持するように構成される第2のポンツーン30が両側に配置された浮体式風力タービン100を保持する第1のポンツーン20を備える。
【0057】
上記で説明したように、第1のポンツーン20は、2つのポンツーン部材20a、20bから形成することができる。第2のポンツーン30が、第1のポンツーン20の両側に配置され、2つのスペーサー部材50によって第1のポンツーン20に接続される。スペーサー部材50は、第1のポンツーン20及び第2のポンツーン30の両方に連結式に接続される。接合部は、或る自由度を有し、水平に延在する軸の周りに回転可能であるようにそれぞれ構成される。これにより、高さ、すなわち鉛直方向に関しては第1のポンツーン20に対する第2のポンツーン30の移動性を、例えば波に対して適合することが可能になるが、ポンツーン同士の相対水平位置においては可能ではない。これにより、第1のポンツーン20の端面と第2のポンツーン30の端面とが常に位置合わせされた状態であることが確実になる。
【0058】
第1のポンツーン20は、複数のチャンバー22を有して特に設計される。チャンバー22は、所望の浮力をもたらすように少なくとも1つのポンプ24によって浸水させることもできるし、ポンプ24によって空にすることもできる。ポンプ(複数の場合もある)24は、詳細図(A)が示すように、恒久的に乾燥しているように構成される特殊設計のチャンバー23内に配置されることが好ましい。
【0059】
第1のポンツーン20の表面上には、星状に配置される3つの搬送路26が、浮体式基礎110を形成する基礎モジュール112を輸送するために設けられる。これらの搬送路26は特に、上を移動するとともに基礎モジュール112を保持することができるトロリーを備えるローラーコンベヤ又はレールシステムとして設計される。
【0060】
第1のポンツーン20上には、第2のポンツーン30の中心に補助タワー40が配置され、補助タワー40は、補助タワー40の基礎において、すなわち、第1のポンツーン20において、補助タワー40内でガイドされ、エネルギー変換ユニット150を第2のポンツーン30から持ち上げるロープシステム44のウィンチ42を備える。エネルギー変換ユニット150は、ブーム130によって風力タービン100のタワー120に接続される。ウィンチ42及びポンプ24は、第1のポンツーン20内に配置される機械室23として形成される空間内に配置され、この空間には、補助タワー40から又は第1のポンツーン20の表面からアクセスすることができ、この空間は機械的及び電気的な構成部材を集約する。機械室23は、浸水せず可能な限り乾燥した状態が維持される点がチャンバー22とは異なる。代わりに、ウィンチ42及びポンプ24、並びに機械的及び電気的な構成部材をタワー40自体の中に配置してもよい。
【0061】
ウィンチ42と連通する滑車装置46が、補助タワー40内に設けられる。滑車装置46は滑車を備え、滑車は、補助タワー40の長手方向軸に沿って変位可能であるように構成されるとともに、ブーム130によって風力タービン100のタワー120に接続されるエネルギー変換ユニット150を持ち上げるロープシステム44に接続される。特に、変位可能に構成される滑車は、リフト(図示せず)によって変位可能に構成される。この設計により、ウィンチ42から、ブーム130を持ち上げるロープシステム44への十分な力の伝達が可能になり、短くなるのは、ロープシステム44自体ではなく、ウィンチ42上に保管されるとともに滑車装置46においてガイドされるロープであり、ロープシステム44は、一側部が滑車装置46の滑車に接続され、他側部がブーム130に接続され、ロープシステム44を補助タワー40内に引くことができる。
【0062】
補助タワー40は、クレーンブーム48を備えるクレーンとしても設計され、クレーンブーム48は、補助タワー40の周りに回転可能であるように構成される。クレーンブーム48上にはトロリー49が設けられ、トロリー49は、クレーンブーム48に沿って移動することができ、製造される風力タービン100の構成部材を持ち上げるリフトを備える。特に、補助タワー40の一側部上のクレーンブーム48の長さは、第1のポンツーン20がクレーンブーム48の旋回範囲内に配置されるように寸法決定される。したがって、風力タービン100の全ての構成部材を、クレーンによってポンツーン20、30上の必要な場所に配置することができる。
【0063】
第2のポンツーン30は、第2のポンツーン30によって保持される、風力タービン100のエネルギー変換ユニット150の外形に適合される静置プラットフォームを備えることができる。
【0064】
最後に、
図14は、上述の実施形態の特質を本質的に有するが、この実施形態とは対照的にポンツーンなしで稼働する、特に好ましく構成された港湾200の代替的な実施形態を示す。これを理由として、補助タワー40は、港湾エリア200、すなわち本土に配置されるものとする。したがって、補助タワー40と波止場210との間には、船台を有することが好ましいエリアが設けられ、このエリアにおいて、建設される浮体式風力タービン100を建設し、着水させることができる。このために、波止場210の壁は、
図14から容易に分かるように、補助タワー40の領域において低くなる。
【符号の説明】
【0065】
10:風力タービン(100)を建設する装置
100:風力タービン
110:浮体式基礎
112:浮体式基礎(110)を形成する基礎モジュール
120:浮体式基礎(110)上に配置されるタワー
122:支持部
130:ブーム
140:ローター
150:エネルギー変換ユニット
160:ガイロープ
20:ポンツーン
200:港湾
20a、20b:ポンツーン部材
210:波止場
22:チャンバー
24:ポンプ
26:搬送路
30:エネルギー変換ユニット(150)を保持する2つの第2のポンツーン
40:補助タワー
42:ウィンチ
44:ロープシステム
46:滑車装置
48:クレーンブーム
50:第1のポンツーン(20)を第2のポンツーン(30)に接続するスペーサー