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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】ブランクシート及び製函前ボックス
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/24 20060101AFI20241111BHJP
【FI】
B65D5/24 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023031459
(22)【出願日】2023-03-01
(65)【公開番号】P2024123787
(43)【公開日】2024-09-12
【審査請求日】2024-01-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000129493
【氏名又は名称】株式会社クラウン・パッケージ
(74)【代理人】
【識別番号】100119091
【弁理士】
【氏名又は名称】豊山 おぎ
(72)【発明者】
【氏名】田岡 正和
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-234205(JP,A)
【文献】特開2021-031079(JP,A)
【文献】登録実用新案第3163315(JP,U)
【文献】登録実用新案第3072173(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/06
B65D 5/24
B65D 5/36
B65D 5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板部と、前記底板部を取り囲んで立ち上がり可能な正面壁部及び前記正面壁部の上端縁から延びた正面フラップと、背面壁部及び背面壁部の上端縁から延びた背面フラップと、前記正面壁部及び前記背面壁部の間で互いに対向して立ち上がる一対の側壁部と、前記一対の側壁部の上端縁から延びた側面フラップとを備え、
前記正面フラップ及び前記背面フラップの少なくともいずれか一方の長手方向の両端縁には、当該正面フラップ及び前記背面フラップの少なくともいずれか一方を前記底板部の内面上に折り畳んだ時に少なくとも一部が前記側面フラップに貼着される連結部が連設し、
前記連結部は、前記側面フラップを前記側壁部との間の前記上端縁において内側に折り曲げることによって前記連結部を連設させている前記正面フラップ及び/又は前記背面フラップとの間の側端縁において分離可能となるよう連結している包装箱形成用ブランクシート。
【請求項2】
前記連結部は、前記側面フラップの側縁にも連設している請求項1に記載の包装箱形成用ブランクシート。
【請求項3】
前記正面フラップ及び前記正面壁部、並びに、前記背面フラップ及び前記背面壁部のうち、前記連結部を有した一方又は双方が折り畳まれ、前記側面フラップに貼着されている請求項1又は2に記載の包装箱形成用ブランクシートにより形成された製函前ボックス。
【請求項4】
底板部と、前記底板部を取り囲んで立ち上がり可能な正面壁部及び前記正面壁部の上端縁から延びた正面フラップと、背面壁部及び背面壁部の上端縁から延びた背面フラップと、前記正面壁部及び前記背面壁部の間で互いに対向して立ち上がる一対の側壁部と、前記一対の側壁部の上端縁から延びた側面フラップとを備え、
前記側面フラップの長手方向の両端縁には、当該側面フラップを前記底板部の内面上に折り畳んだ時に少なくとも一部が前記正面フラップ及び/又は前記背面フラップに貼着される連結部が連設し、
前記連結部は、前記正面フラップ及び/又は前記背面フラップをそれぞれが連設している前記正面壁部及び/又は背面フラップとの間の前記上端縁において内側に折り曲げることによって前記連結部を連設させている前記側面フラップの側端縁において分離可能となるよう連結している包装箱形成用ブランクシート。
【請求項5】
前記連結部は、この連結部を貼着させ得る前記正面フラップ及び/又は前記背面フラップの側縁にも連設している請求項4に記載の包装箱形成用ブランクシート。
【請求項6】
前記正面フラップ及び/又は前記背面フラップに貼着可能な前記連結部を連設している前記側面フラップ及び前記側壁部が、折り畳まれて前記正面フラップ及び/又は前記背面フラップに貼着されている請求項4又は5に記載の包装箱形成用ブランクシートにより形成された製函前ボックス。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブランクシート及び製函前ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネット通販や個人間の商品売買等の拡がりに伴い、包装箱に梱包された商品をポストに投函して郵送で遣り取りするシステムが活用されている。いわゆる薄型の包装箱は、側壁部の高さが限定されているため隣り合う側壁部同士を連結させる接合代の領域が小さくなり、接着剤がはみ出ないように塗布することを考慮すると一層接着領域が小さくなって、接合が弱くなりがちであった。そのために、郵便ポストに投函可能な薄型の包装箱又は包装箱のブランクシートが広く開発されている(例えば下記特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載された包装箱等は、隣り合う第1,第2側壁部1b,1cの上端において延びるフラップ1d,1e間に連設する貼り付け部1f及び折り込み部1g,1hを有した構成とし、十分な貼着領域を確保している。そのために、従来のブランクシートは、特許文献1の図3に示すようにブランクシートを折り畳んで、図6又は図8に示すように、貼り付け部1f,折り込み部1g,1hがつづら折り状態になるように折り畳んで、第1,第2側壁部につながった状態で収めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3163315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の包装箱は、貼り付け部1f及び折りたたみ部1g,1hが隣り合う側壁部間を連続的に連なった状態でつづら折りに折り畳まれるものであるため、特許文献1の図7に示すように折り畳みに対する反発で第1側壁部の閉蓋を阻害してしまうという問題があった。
また、折り込み部1g,1hを箱の内側に折り込んだ場合は、折り込み部1g,1hの反発(すなわち弾性変形から戻ろうとする力)により包装箱の内部空間ないし被梱包物を強く圧迫してしまうという問題があった。
【0006】
一方、貼り付け部1f及び折り込み部1g,1hは、製函前の状態で折り畳んで底板部に重ねておくフラップに連結させていないと、製函機による折り畳み時にフラップと折り込み部及び貼り付け部とをそれぞれ個別に支持する必要が生じる。また、貼り付け部1f及び折り込み部1g,1hと分離したフラップは、折り畳んだ後、反発で底板部から浮いてしまうため組み立て前の製函前ボックスの保管時に嵩張りやすく不便であるという問題があった。
そこで、本発明は、組み立てが非常に簡便であるとともに、隣り合う側壁部間の折り込みを極めて容易にし、被梱包物の圧迫を低減し得るブランクシート及び製函前ボックスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の包装箱形成用ブランクシートは、底板部と、前記底板部を取り囲んで立ち上がり可能な正面壁部及び前記正面壁部の上端縁から延びた正面フラップと、背面壁部及び背面壁部の上端縁から延びた背面フラップと、前記正面壁部及び前記背面壁部の間で互いに対向して立ち上がる一対の側壁部と、前記一対の側壁部の上端縁から延びた側面フラップとを備え、前記正面フラップ及び前記背面フラップの少なくともいずれか一方の長手方向の両端縁には、前記底板部の内面上への折り畳み時に少なくとも一部が前記側面フラップに貼着される連結部が連設し、前記連結部は、この連結部を連設させている前記正面フラップ及び/又は前記背面フラップとの間で分離可能に連結している。
この構成によれば、ブランクシートを組み立てて製函する際に折り込まれる連結部が、正面フラップ又は背面フラップと分離し得るため、折り畳みに基づく連結部が弾性復帰しようとする反発力を解放することができる。
【0008】
本発明のブランクシートの前記連結部は、前記側面フラップの側縁にも連設していてもよい。
この構成によれば、連結部を安定的かつ確実に側面フラップに貼着させることができる。
【0009】
本発明の製函前ボックスは、前記いずれかに記載のブランクシートの前記正面フラップ及び前記正面壁部、並びに、前記背面フラップ及び前記背面壁部のうち、前記連結部を有した一方又は双方が折り畳まれ、前記側面フラップに貼着されている。
この構成によれば、製函前ボックスを組み立てて製函する際に折り込まれる連結部が、正面フラップ又は背面フラップと分離し得るため、折り畳みに基づく連結部が弾性復帰しようとする反発力を解放することができる。
【0010】
本発明の包装箱形成用ブランクシートは、底板部と、前記底板部を取り囲んで立ち上がり可能な正面壁部及び前記正面壁部の上端縁から延びた正面フラップと、背面壁部及び背面壁部の上端縁から延びた背面フラップと、前記正面壁部及び前記背面壁部の間で互いに対向して立ち上がる一対の側壁部と、前記一対の側壁部の上端縁から延びた側面フラップとを備え、前記側面フラップの長手方向の両端縁には、前記底板部の内面上に折り畳み時に少なくとも一部が前記正面フラップ及び/又は前記背面フラップに貼着される連結部が連設し、前記連結部は、この連結部を連設させている前記側面フラップの側端縁において分離可能に連結している。
この構成によれば、ブランクシートを組み立てて製函する際に折り込まれる連結部が、側面フラップと分離し得るため、折り畳みに基づく連結部が弾性復帰しようとする反発力を解放することができる。
【0011】
本発明のブランクシートの前記連結部は、この連結部を貼着させ得る前記正面フラップ及び/又は前記背面フラップの側縁にも連設していてもよい。
この構成によれば、連結部を安定的かつ確実に正面フラップ及び/又は背面フラップに貼着させることができる。
【0012】
本発明の製函前ボックスは、前記いずれかに記載のブランクシートの前記正面フラップ及び/又は前記背面フラップに貼着可能な前記連結部を連設している前記側面フラップ及び前記側壁部が、折り畳まれて前記正面フラップ及び/又は前記背面フラップに貼着されている。
この構成によれば、製函前ボックスを組み立てて製函する際に折り込まれる連結部が、側面フラップと分離し得るため、折り畳みに基づく連結部が弾性復帰しようとする反発力を解放することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のブランクシート、製函前ボックス及びこれにより形成される包装箱は、組み立てが非常に簡便であるとともに、隣り合う側壁部間の折り込みを極めて容易にし、被梱包物の圧迫を低減できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係るブランクシートを、内面が見えるように示した平面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るブランクシートの一部を拡大して示した平面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る製函前ボックスを示した平面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る製函前ボックスの組立工程を示した斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係る製函前ボックスの組立工程を図4と反対側から示した斜視図である。
図6】本発明の一実施形態に係る製函前ボックスの組立工程を示した斜視図である。
図7】本発明の一実施形態に係る製函前ボックスの組立工程を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の包装箱形成用ブランクシート(以下単に「ブランクシート」という)、製函前ボックス及び包装箱の一実施形態について説明する。なお、以下の説明で用いる図の各部分の寸法は実際のものと同一とは限らず、適宜変更することができる。また、本実施形態において、本発明の各部を正面、背面、側壁等と称するが、これらは特に断りのない限り、底板部を下面、正面壁部を正面としてブランクシート、製函前ボックス又は包装箱を視た場合の各部の相対的な位置関係を示すためのものであり、必ずしも包装箱の向き等を定めるものではない。
【0016】
図1に示すように、ブランクシート1は、底板部2、底板部2を取り囲んで立ち上がり可能な正面壁部3及び正面フラップ3F、側壁部4,6及び側面フラップ4F,6F、背面壁部5及び背面フラップ5F、及び連結部7を主として備えている。
ブランクシート1は、剛性のある紙製又は合成樹脂製の1枚のシートを型抜きし,スリットや破断線を入れて形成されている。
【0017】
底板部2は、折り曲げ線となる4辺2a,2b,2b,2cに囲まれた略矩形に形成されている。
正面壁部3は、折り曲げ線2aを介して底板部2に連設している。
正面壁部3は、折り曲げ線2aを下端縁とし、これに平行に延び折り曲げ線を成す上端縁3aと、折り曲げ線2b,2bの延長線上に延び、正面壁部3の高さを出す側端縁3b,3bとにより、矩形に形成されている。特に限定されるわけではないが、投函可能な包装箱となるよう、本実施形態では側端縁3bの長さは、3cm以下に設定されている。
【0018】
正面壁部3の上端縁3aには、正面フラップ3Fが連設している。
正面フラップ3Fは、角部にアールがつけられた略矩形の先端縁3tに上端縁3a方向に幅広な係止凸部8を突出させた形状を有している。係止凸部8は、幅方向の両端に互いに反対方向に膨出する係止部8p、8pを有している。
正面壁部3及び正面フラップ3Fの間の上端縁3aの中央部付近には、後述する差し込み部10を挿入させるスリットS1が形成されている。
【0019】
側壁部4は、折り曲げ線2bを介して底板部2に連設している。
側壁部4は、折り曲げ線2bを下端縁とし、これに平行に延び折り曲げ線を成す上端縁4aと、折り曲げ線2a,2cの延長線上に延び、側壁部4の高さを出す側端縁4b,4bとにより、矩形に形成されている。側端縁4b,4bは、側端縁3b,3bと略同じ長さを有している。
【0020】
側壁部4の上端縁4aには、側面フラップ4Fが連設している。
側面フラップ4Fは、角部にアールがつけられた略矩形に形成されている。
【0021】
側面フラップ4Fの先端縁4tには、正面フラップ3Fの係止凸部8の係止部8pを引っ掛けさせやすくする切欠き9が形成されている。切欠き9は、正面壁部3側に向かって徐々に深くなる概略3角形に形成されている。
側面フラップ4Fには、上端縁4aの背面壁部5側の端部から先端縁4tに向かって延びる折り曲げ線4dが形成されている。折り曲げ線4dは、谷折りにすることで蓋となるフラップ5F側からの被梱包品の挿入を容易にするよう構成されている。
【0022】
側壁部6は、側壁部4側の折り曲げ線2bに対向して平行に延びる折り曲げ線2bを介して底板部2に連設している。
側壁部6及び側面フラップ6Fは、側壁部4及び側面フラップ4Fと左右対称に形成されている。側壁部6の各部は、側壁部4の各部に付された符号4を6に置き換えて符号を付し、対応する構成は側壁部4のそれぞれと同様であるのでその説明を省略する。
【0023】
側壁部4と側面フラップ4Fとの間及び側壁部6と側面フラップ6Fとの間の上端縁4a,6aの中央部付近には、後述する補助差し込み部11,11を差し込み可能なスリットS2がそれぞれ形成されている。
【0024】
正面壁部3及び正面フラップ3Fと、側壁部4及び側面フラップ4Fとの間の角部には、それぞれを長手方向に延長させた交差部分(本実施形態では直交部分)に連結部7が形成されている。
【0025】
図2に示すように、連結部7は、側端縁3b及び正面フラップ3Fの側端縁3e並びに側端縁4b及び側面フラップ4Fの側端縁4eの各々を折り曲げ線とする2辺と、これらにほぼ平行な外縁7x,7y及び7x、7yの角を落とした斜め線7zに囲まれている。連結部7は、側端縁4b及び側端縁4eの長さよりもわずかに短い一辺を有する略正方形に形成されている。
【0026】
連結部7には、直交する側端縁3b,4bがなす角を2等分する折り曲げ線L1が形成されている。連結部7には更に、正面壁部3の上端縁3aの延長上に延びる折り曲げ線L2が形成されている。連結部7には、側壁部4の側端縁4bと、上端縁4aの延長線に平行でわずかに7y側に延びる直線と、折り曲げ線L1との間に囲まれた三角形の開口部H1が形成されている。
正面壁部3及び正面フラップ3Fと、側壁部6及び側面フラップ6Fとの間の角部にも、それぞれを長手方向に延長させた交差部分(本実施形態では直交部分)に、側壁部4側の連結部7と左右対称に形成された連結部7が形成されている。
【0027】
図1に示すように、背面壁部5は、折り曲げ線2cを介して底板部2と連設している。
背面壁部5は、折り曲げ線2cを下端縁とし、これに平行に延び折り曲げ線を成す上端縁5aと、折り曲げ線2b,2bの延長線上に延び、背面壁部5の高さを出す側端縁5b,5bとにより、矩形に形成されている。側端縁5b,5bの長さは、正面壁部3の側端縁3b及び側壁部4,6の側端縁4b,6b等と略同じ長さに設定されている。
【0028】
背面壁部5の上端縁5aには、背面フラップ5Fが連設している。
背面フラップ5Fは、底板部2と略同じ大きさで形成され、角部にアールがつけられた概略矩形に形成されている。
背面フラップ5Fの先端縁5tには、正面壁部3の上端縁3aに形成された差し込みスリットS1に挿入する差し込み部10が形成されている。
【0029】
背面フラップ5Fの両側縁5e,5eには、その延在方向の中央部付近に、側壁部4,6の上端縁4a,6a上に形成された差し込みスリットS2に挿入する補助差し込み部11が形成されている。
背面フラップ5Fには更に、差し込み部10を内側に含む先端縁5t上の2点から延びて、略台形を形成し、差し込み部10と共に台形部を背面フラップ5Fから切り取り可能なミシン目状の破断線L5が形成されている。
【0030】
破断線L5の左右中央部付近には、破断の開始を容易にする開口部H2が形成されている。
開口部H2は、指先をかけることができる程度の概略楕円形に形成されている。
以上の構成をなす背面フラップ5Fは、包装箱に組み立てられた際に蓋部として機能する。
【0031】
側壁部4,6の長手方向の延長部分と背面壁部5の長手方向の延長部分とが交差する角部には、側端縁4b,5b及び側端縁6b,5bが縦又は横の辺を成す略正方形の折り込み部12が形成されている。
【0032】
折り込み部12には、折り曲げ線2b,2cの角部から略対角線上に延びて折り曲げ部を2つに折り畳む折り曲げ線L6が形成されている。
本実施形態のブランクシート1は、以上により構成されている。
【0033】
ブランクシート1を組み立て容易な製函前ボックスにするには、まず、折り曲げ線L1を境とする連結部7の側面フラップ4F,6F側の領域(図1における網掛け部。この領域を以下「貼り付け部15」と称する)に接着剤又は接着テープを付ける。その上で、図3に示すように、折り曲げ線2aで折り曲げて正面壁部3を正面フラップ3Fと共に底板部2の内面に重ねる。
【0034】
これにより貼り付け部15を含む連結部7が側面フラップ4F,6Fに固定される。また、連結部7,7は側端縁3b,3b及び正面フラップ3Fの側端縁3e,3eにおいて正面壁部3及び正面フラップ3Fと連設しているため、正面壁部3及び正面フラップ3Fもまた、連結部7,7の側壁部4,6への固定により、折り曲げから戻ろうとする力を抑えて底板部2の内面上に保持される。
【0035】
以上のように、図1に示すブランクシート1は、貼り付け部15に接着剤を付けて正面壁部3及び正面フラップ3Fを底板部2との間の折り曲げ線2aで折り曲げるだけで、連結部7,7と一体的に折り畳み、図3に示す製函前ボックス1aとすることができる。
【0036】
製函前ボックス1aを包装箱Bに組み立てるときは、図4に示すように、折り畳まれた正面壁部3及び正面フラップ3Fを底板部2に対して直角に立ち上げるように引き起こす。
貼り付け部15は、側面フラップ4F,6Fの端部に固定されているため、正面壁部3の立ち上げにより、側端縁3b,3e及び折り曲げ線L1がそれぞれ正面壁部3及び正面フラップ3Fの外面から見て山折り及び谷折りに折り曲げられて側壁部4,6が立ち上がる。
【0037】
側壁部4,6を折り曲げ線2bにおいて折り目を付けてしっかりと立ち上げたら、側面フラップ4F,6Fを上端縁4a,6aにおいて内側に折り曲げる。
そうすると、図5に示すように、正面フラップ3Fの両端の側端縁3eにおいて、正面フラップ3Fと連結部7との間が分離して、連結部7,7が正面フラップ3Fとの連結から解放されて、側面フラップ4F,6Fの内面に貼着しただけの状態になる。
【0038】
したがって、貼り付け部15が側面フラップ4F,6Fに貼り付けられた連結部7は、折り曲げ線L1において折り曲げられ、連結部7の非貼着部分及び正面フラップ3F側は開放端となることで、折り込まれた部分の弾性復帰力が弱い状態で側面フラップ4F,6Fと共に折り曲げられる。
【0039】
これにより、正面フラップ3Fも側面フラップ4F,6Fの折り曲げの影響を受けずに容易に内側に折り曲げることが可能となる。
更に折り曲げ線2cを介して背面壁部5を底板部2に対して立ち上げることで、図6に示すように、上部が大きく開いた包装箱Bとなるので、所望の被梱包物を内部に収めて、図7に示すように蓋部をなす背面フラップ5Fを閉じる。
【0040】
背面フラップ5Fを閉じる際には、図6に示す差し込み部10及び補助差し込み部11,11をそれぞれ差し込みスリットS1,S2に挿入して背面フラップ5Fを正面壁部3の上端縁3a、側壁部4,6の上端縁4a,6aに固定する。
以上により、被梱包物を収容した包装箱Bができる。
【0041】
包装箱Bの背面フラップ5Fを開けるには、開口部H2に指を掛けて破断線L5に沿って背面フラップ5Fの一部を破り、差し込み部10と共に破断線L5に囲まれた部分を背面フラップ5Fのその他の部分と分離する。そうすることで、背面フラップ5Fの固定を解除して背面フラップ5Fを引き起こし容易にし、側壁部4,6の上端縁4a,6aの補助差し込み部11,11を差し込みスリットS2,S2から引き抜いて、包装箱Bを容易に開けることができる。
【0042】
このように、ブランクシート1によれば、貼り付け部15の内面に接着剤を付け、正面壁部3及び正面フラップ3Fを連結部7,7と一体的に底板部2の内面に折り畳むことができる。したがって、ブランクシート1は、非常にシンプルな2つの動作のみで確実かつ容易に製函前ボックス1aを作成することができるという効果を奏する。
【0043】
特に、ブランクシート1は、折り畳まれた製函前ボックス1aの状態になるまで、正面フラップ3Fと連結部7,7とが分離可能に連設した状態であるので、それぞれが分離している場合に比べて、製函機の構成及び動作をシンプルかつ容易にすることができるという効果を奏する。
【0044】
また、連結部7は、側端縁4e,6eを介して側面フラップ4F,6Fとも連設しているので、正面壁部3及び正面フラップ3Fと共に、より安定的に側面フラップ4F,6Fの内面に折り畳むことができるという効果を奏する。
【0045】
また、正面壁部3及び正面フラップ3Fと連結部7,7とが連結しているため、製函前ボックス1aの状態で、連結部7,7の側面フラップ4F,6Fへの固定により、正面フラップ3Fを底板部2の内面にしっかりと留め置くことができる。したがって、正面壁部3及び正面フラップ3Fの底板部2からの浮きを防止して、製函前ボックス1aを出来るだけ偏平に保持しておくことができ、複数を重ねても嵩張りにくく保管しやすいという効果を奏する。
【0046】
なお、上記実施形態においては、背面フラップ5Fを包装箱Bの主たる蓋部として構成したが、蓋部は、背面フラップ5Fと正面フラップ3Fとの双方により構成されていてもよい。この場合、正面フラップ3Fと背面フラップ5Fとは、互いに重なり合って包装箱Bの上端縁3a~6aに囲まれた全体をしっかりと覆いつつ、封止できる構成であれば、どのような構成であってもよい。
【0047】
また、上記実施形態において、連結部7は、正面壁部3及び正面フラップ3Fと側面フラップ4F,6Fとの間に形成した例を示したが、連結部は、背面壁部5及び背面フラップ5Fと側面フラップ4F,6Fのみとの間に形成されていても、その双方に形成されていてもよい。
【0048】
また、連結部7は、正面フラップ3F(背面フラップ5F側に設ける場合は、背面フラップ5F)のみならず、側面フラップ4F,6Fにも連設していることが好ましいが、必須ではない。
【0049】
また、連結部7は、側面フラップ4F,6Fに貼着するように形成されていることが好ましいが、正面フラップ3F(背面フラップ5F側に設ける場合は、背面フラップ5F)に貼着し、側面フラップ4F,6Fと分離する構成を採ることも可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 包装箱形成用ブランクシート
1a 製函前ボックス
2 底板部
3 正面壁部
3a 上端縁
3e 分離可能に連結した側端縁
3F 正面フラップ
4 側壁部
4a 上端縁
4F 側面フラップ
5 背面壁部
5a 上端縁
5F 背面フラップ
6 側壁部
6a 上端縁
6F 側面フラップ
7 連結部
B 包装箱

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7