(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】運転支援システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/26 20060101AFI20241111BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
G01C21/26 C
G08G1/0969
(21)【出願番号】P 2023143389
(22)【出願日】2023-09-05
(62)【分割の表示】P 2021136125の分割
【原出願日】2013-12-10
【審査請求日】2023-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】391001848
【氏名又は名称】株式会社ユピテル
(72)【発明者】
【氏名】清水 勇喜
(72)【発明者】
【氏名】阿部 和範
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-251934(JP,A)
【文献】特開2010-151664(JP,A)
【文献】特開2012-251888(JP,A)
【文献】特開2013-224836(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00 - 21/36
G08G 1/00 - 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転を支援する情報を報知する運転支援システムであって、
交通監視活動の実施予定に関する監視予定情報と、現在に関する情報である現在情報と、を取得し、
前記監視予定情報と前記現在情報とに基づいて決定した報知タイミングで、
前記現在情報と前記監視予定情報とに基づく情報である報知情報を報知させる制御を実行する制御手段を備え、
前記報知タイミングには、前記現在情報が前記監視予定情報には一致しない場合で、交通監視活動に対する事前の状況にあると設定された状況である事前状況下のタイミングが含まれて
おり、
前記現在情報には
、車両周辺の状況を表す運転情報が含まれ
、
前記車両周辺の状況を表す運転情報
として、前方に車両が走行していること、後方から接近してくる車両があること、併走する車両があること、前方の信号が赤であること、前方に横断歩道があること、前方に歩行者がいること、夕方になって暗くなったこと、雨が降ってきたことの少なくともいずれか1つを備えたこと
を特徴とする運転支援システム。
【請求項2】
前記現在情報には
、車両の状況を表す運転情報が含まれ
、
前記車両の状況を表す運転情報として、車速、加速度、またはウィンカー(方向指示器)の少なくともいずれかの動作情報、あるいは、シートベルト装着情報の車両情報の、少なくともいずれかを備えること
を特徴とする請求項1に記載の運転支援システム。
【請求項3】
前記現在情報には
、車両の状況を表す運転情報が含まれ
、
前記車両の状況を表す運転情報として、車両側に設けられたOBDコネクタを経由して取得される車両情報を備えること
を特徴とする請求項1または2に記載の運転支援システム。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれか1項に記載された運転支援システ
ムの機能をコンピュータに実現させるため
のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通監視活動に関する情報を運転者に提供することで運転を支援するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、検出対象となる目標物の位置情報を記憶していると共に、GPSにより車両の位置を検出可能な運転支援システムが知られている。この運転支援システムによれば、車両の位置と目標物の位置とが所定の位置関係になったとき、運転者に対して警報を発することができる。目標物としては、例えば、車両速度を測定する装置や取締・検問エリアなどがある。目標物までの距離が設定距離に到達したとき、目標物に関する情報をディスプレイ上に表示したり、音声による警報を出力する運転支援システムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
速度計測装置や検問エリアなどの警報対象の目標物は、交通事故の発生し易い危険な場所に設置されるケースが多い。目標物への接近を警報すれば、交通事故の発生し易い危険な場所への接近を運転者に知らしめて安全運転を促すことが可能になる。上記のように構成された運転支援システムは、目標物への接近を警報することで運転者に安全運転を動機付けることができ、交通安全を促進するために有意義なシステムである。
【0004】
移動式オービス等の取締や検問など、安全運転を推進するために警察が実施する交通監視活動の監視地点や監視期間は、インフラ設備として設置される速度計測装置とは異なり不特定かつ不定期である。このような交通監視活動についても、過去に交通監視活動が行われた場所を目標物として記憶しておくことも良い。この場合には、その場所に車両が近づいたとき、交通監視活動に関する情報を運転者に対して提供可能になる。交通監視活動の実施地点は、交通事故の発生し易い場所であることが多い。このような地点への接近を警報すれば、運転者に安全運転を促し、事故等が発生するおそれを未然に抑制できる。
【0005】
各都道府県の警察は、所轄管内で実施予定の交通監視活動に関する交通取締情報を公表する場合がある。交通取締情報を公表する目的は、例えば年末など飲酒の機会が増える時期に飲酒検問の予定を公表することで飲酒運転を未然に抑制すること等にある。近年、このような交通取締情報を取得して報知する運転支援システムも提案されている。
【0006】
各都道府県の警察等が公表する交通取締情報では、県、市区町村、警察の所轄単位、路線等が、交通監視活動の対象地域として指定されることが多い。このような交通取締情報を報知する運転支援システムの中には、都道府県ごとに交通取締情報を記憶する一方、どの都道府県の交通取締情報を報知するかを予め設定しておくシステムがある。この運転支援システムは、例えば、エンジン始動等によって電源供給が開始されたとき、自宅の所在地など予め設定された都道府県の公開取締情報を報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
自宅の所在する都道府県の公開取締情報を報知する従来の運転支援システムでは、自宅から相当離れた場所に出向いた場合であっても、自宅の位置を含む都道府県の公開取締情報が報知されることになる。この運転支援システムは、自宅と同一の都道府県内である限り、自宅から相当離れた地点や地域で実施される交通監視活動を含め、その都道府県の公開取締情報を全て報知する。運転者にとって縁の少ない離れた場所の交通取締情報まで含めると報知する情報量が過大になり、例えば、自宅近くで行われる交通監視活動に関する重要な情報が見逃されてしまうおそれが生じる。
【0009】
本発明は、各都道府県の警察等が公表する交通取締情報等を運転者に適切に報知する運転支援システム等を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、車両の運転を支援する情報を報知する運転支援システムであって、 交通監視活動の実施予定に関する監視予定情報と、現在に関する情報である現在情報と、を取得し、
前記監視予定情報と前記現在情報とに基づいて決定した報知タイミングで、
前記現在情報と前記監視予定情報とに基づく情報(報知情報という)を報知させる制御を実行する制御手段を備え、
前記報知タイミングには、前記現在情報が前記監視予定情報には一致しない場合で、交通監視活動に対する事前の状況にあると設定された状況(事前状況という)下のタイミングが含まれている運転支援システムにある(1)。
【0011】
本発明の一態様は、前記運転支援システムとしての機能をコンピュータに実現させるための運転支援プログラムにある(18)。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る運転支援システムは、現在情報と監視予定情報とに基づいて決定された報知タイミングで、現在情報と監視予定情報とに基づく報知情報の報知を実行する。この運転支援システムは、監視予定情報をそのまま報知するのではなく、現在情報と監視予定情報に基づく報知情報を報知する。例えば、現在位置や現在時刻や車速など運転状況が反映された現在情報に基づく報知情報は、報知対象の運転者にとって有用な情報となり得る。
【0013】
前記報知タイミングには、前記現在情報が前記監視予定情報には一致しない場合で、交通監視活動に対する事前の状況にあると設定された前記事前状況下のタイミングが含まれている。事前状況下のタイミングを報知タイミングに設定すれば、報知対象の運転者に対して適切なタイミングで報知情報を報知できる。このような報知タイミングで報知情報を報知すれば、例えば、現在情報が監視予定情報には一致しない事前状況において、現在実施中ではないが運転者に係わりがある可能性がある交通監視活動に対して運転者の注意を向かわせ安全運転を動機付けることができる。
【0014】
一方、このような報知情報を事前状況に限って報知する場合であれば、運転者にほとんど関係のない情報の提示を未然に回避できる。このように係わりがほとんどない情報の報知を回避して報知する情報量を抑制すれば、報知する情報に対する運転者の注意レベルを高く維持できる。報知情報に対する注意レベルを高く維持すれば、その報知情報の取りこぼしを未然に防止でき、確実性高く運転者等に認識させることができる。報知情報の報知効果を向上でき、安全運転に対する意識を確実性高く向上できる。
【0015】
このように、本発明に係る運転支援システムは、各都道府県の警察等が公表する交通取締情報などの監視予定情報に基づく情報を運転者に適切に報知可能なシステムである。
【0016】
本発明において、前記現在情報が前記監視予定情報に一致しないことの意味としては、現在情報により特定される状況が、監視予定情報により特定される交通監視活動の対象には該当していないこととすると良い。前記現在情報が前記監視予定情報に一致しない場合としては、例えば、現在情報により特定される現在の日付が、監視予定情報によって特定される交通監視活動の監視期間に属しておらず過ぎている場合や、現在情報により特定される現在位置が、監視予定情報により特定される交通監視活動が実施される監視地点から離れている場合や、現在情報により特定される現在時刻が、監視予定情報によって特定される交通監視活動の実施時間帯に属しておらず過ぎている場合等とすると良い。
【0017】
本発明における好適な一態様の運転支援システムにおいては、前記現在情報には、車両の状況又は車両周辺の状況を表す運転情報が含まれる(2)。
車両の状況を表す運転情報としては、例えば、車速や加速度やウィンカー(方向指示器)動作情報やシートベルト装着情報等の車両情報等がある。車両情報としては、さらに、例えば、車両の点検規格であるOBD(On-board Diagnostics)-II(IIはローマ数字の「2」。以下「OBD」と記載する。)規格に沿って車両側に設けられたOBDコネクタを経由して取得される各種の車両情報を含めることも良い。
【0018】
例えば、車速が高い状況について、速度取締等の交通監視活動に対する事前状況と判断することもできる。例えば、移動式オービス等による過去の速度取締の監視予定情報に基づく報知情報を報知すれば、運転者に制限速度を意識付けでき、制限速度を遵守した安全運転を促すことができる。例えば、シートベルトを非装着の状況について、検問等の交通監視活動に対する事前状況と判断することも良い。過去の交通安全週間や検問等の監視予定情報に基づく報知情報を報知すれば、運転者にシートベルト装着を促すことができる。
【0019】
車両周辺の状況を表す運転情報としては、前方に車両が走行しているとか、後方から接近してくる車両があるとか、併走する車両がある等の情報や、前方の信号が赤であるとか、前方に横断歩道があるとか、前方に歩行者がいる等の情報や、夕方になって暗くなったとか、雨が降ってきた等の情報等、さまざまな情報がある。これらの情報は、例えば、ミリ波レーダーや、レーザーレーダや、超音波ソナーや、撮像カメラや、雨滴センサや、照度センサや、赤外線センサ等の検知センサによって取得可能である。
【0020】
本発明における好適な一態様の運転支援システムにおいては、前記監視予定情報としては、交通監視活動が実施される監視期間が現在よりも先の未来に設定されている第1の監視予定情報のほかに、交通監視活動が実施される監視期間が現在よりも以前の過去に設定されていた第2の監視予定情報が含まれており、
前記制御手段では、前記第2の監視予定情報に関する前記事前状況として、前記現在情報と所定の関連性を有する状況が設定されている(3)。
【0021】
例えば警察等が交通監視活動の実施予定を公表する目的のひとつは、交通安全に対する意識の高揚にある。過去の交通監視活動に関する第2の監視予定情報を報知すれば、実施が予定された交通監視活動だけでなく、過去の交通監視活動を有効に活用して運転者に安全運転の意識を高揚できる。
【0022】
前記現在情報と関連性を有する状況としては、例えば、交通監視活動がシートベルト取締であれば、エンジン始動を特定する情報を現在情報として取得したときの状況や、エンジンを始動したあと運転を開始するまでの時間として想定される所定時間(例えば夏場であれば1分、暖機が必要となる冬場であれば5分等。)が経過した後の状況等とすると良い。例えば、交通監視活動が飲酒取締であれば、例えば、午後6時以降の現在時刻と共に、繁華街方向から遠ざかる方向に向かう走行を示す情報を現在情報として取得した状況を、前記現在情報と関連性を有する状況とすると良い。例えば、交通監視活動が交差点関連取締であれば、交差点で停止したことを示す情報を現在情報として取得した状況を、前記現在情報と関連性を有する状況とすると良い。
【0023】
本発明における好適な一態様の運転支援システムにおいては、前記監視予定情報には、交通監視活動が実施される監視期間に関する情報が含まれている一方、現在日時に関する情報が前記現在情報として取得され、
前記事前状況は、当該交通監視活動が実施される監視期間を基準とし、当該監視期間を除く所定の時間的な範囲内に現在時刻が属しているという時間的な近接性の条件が満たされる状況である(4)。
【0024】
前記所定の時間的範囲としては、監視期間を基準としたときに未来に当たる先の時間的範囲とすると良い。また、前記所定の時間的範囲としては、監視期間を基準としたときに過去に当たる以前の時間的範囲とすると良い。監視期間よりも先の時間的範囲に現在日時が属している場合としては、例えば、その監視期間が既に終了し過去になっている場合とすると良い。監視期間よりも以前の時間的範囲に現在日時が属している場合としては、監視期間が現在よりも先の未来の期間であり、その交通監視活動が未実施である場合とすると良い。
【0025】
本発明における好適な一態様の運転支援システムにおいては、前記監視予定情報としては、交通監視活動が実施される監視期間が現在よりも先の未来に設定されている第1の監視予定情報のほかに、交通監視活動が実施される監視期間が現在よりも以前の過去に設定されていた第2の監視予定情報が含まれており、
前記第1の監視予定情報に対する前記所定の時間的な範囲としては、前記監視期間よりも時間的に遡る側の範囲が設定され、
前記第2の監視予定情報に対する前記所定の時間的な範囲としては、前記監視期間に対して時間が経過する側の範囲が設定される(5)。
【0026】
前記第1の監視予定情報に加えて、過去の交通監視活動に関する前記第2の監視予定情報に基づく報知情報を報知すれば、過去の交通監視活動の活用をして運転者に安全運転の意識を高揚できる。その際、運転者に関係のない過去の交通監視活動に関する情報を報知しても効果は少ないが、運転者に係わりのある事前状況下であれば報知により安全運転に対する運転者の意識を高めることができる。
【0027】
本発明における好適な一態様の運転支援システムにおいては、前記所定の時間的な範囲としては、交通監視活動の種別毎に異なる範囲が設定されている構成とすると良い(6)。
例えば、速度取締など運転者側の関心度合いが高い交通監視活動について長めの範囲を設定する一方、交通安全キャンペーンなど一般的な交通監視活動については短めの範囲を設定すると良い。
【0028】
本発明における好適な一態様の運転支援システムにおいては、前記監視予定情報には、交通監視活動が実施される監視地点あるいは監視エリアを表す位置情報が含まれており、
前記事前状況は、前記現在情報の一つである車両の現在位置が前記監視地点あるいは前記監視エリアに適合していないが、その現在位置が当該監視地点あるいは監視エリアに対して所定の位置的な範囲内であるという場所的な近接性の条件が満たされる状況である(7)。
【0029】
現在位置が監視地点あるいは監視エリアの外に位置する場合に前記事前状況を判断でき、これにより報知情報の報知が可能になる。このような場所的な近接性が満たされる事前状況下で前記報知情報を報知すれば、交通監視活動の監視地点に近づく可能性がある早い段階での報知が可能になり、安全運転に対する運転者の意識を早期に高揚できるようになる。早い段階で報知すれば、報知情報の取りこぼし等を未然に抑制でき、運転者に確実性高く認識させることが可能になる。
【0030】
本発明における好適な一態様の運転支援システムにおいては、土地が区画された区画領域を表す領域情報が記憶されており、
前記所定の位置的な範囲としては、前記監視地点あるいは監視エリアを包含する区画領域ではなく、当該区画領域に隣接する他の区画領域のうちの少なくともいずれかが設定される(8)。
この場合には、前記区画領域を単位として、事前状況を判断するための位置的な範囲を設定できる。監視地点等を包含する区画領域ではなく、隣接する他の区画領域が事前状況の対象となる。前記区画領域としては、例えば、都道府県や、市区町村や、各都道府県の所轄管内等、様々な領域を設定できる。
【0031】
本発明における好適な一態様の運転支援システムにおいては、車両が走行可能な経路を表す経路情報を利用し、前記監視地点を通る経路あるいは一部が前記監視エリアに属する経路が特定され、前記所定の位置的な範囲として設定される(9)。
監視地点を通る経路、あるいは一部が監視エリアに属する経路を前記所定の位置的な範囲として設定すれば、その経路を運転中の運転者に対して、遠方に位置する早い段階での早期の報知が可能になる。
【0032】
本発明における好適な一態様の運転支援システムにおいては、異なる経路間の接続関係を表すリンク情報を利用し、前記監視地点を通る経路あるいは一部が監視エリアに属する経路に加えて当該経路に接続する他の経路が特定され、前記所定の位置的な範囲として設定される(10)。
前記監視地点を通る経路あるいは一部が監視エリアに属する経路に加えて当該経路に接続する他の経路を設定すれば、監視地点を通る経路に進入する可能性がある早い段階での報知が可能になる。
【0033】
前記所定の位置的な範囲として、例えば、ナビゲーション装置等の経路計算機能によって演算された経路のうち、前記監視地点を通る経路や、一部が前記監視エリアに属する経路を設定することも良い。経路計算機能によって演算された経路は、その後、走行する可能性が非常に高い経路である。この経路を所定の位置的な範囲に設定すれば、その経路上に監視地点等が存在したり、監視エリアを通過する場合に、遠方に位置する早い段階から報知を実行できるようになる。
【0034】
本発明における好適な一態様の運転支援システムにおける前記事前状況としては、交通監視活動の種別毎に異なる状況が設定されている(11)。
例えば、シートベルト取締については、イグニッションオン時等を事前状況として設定したり、速度取締については、車速が所定速度以上になった時等を事前状況として設定するなど、交通監視活動の種別毎に事前状況の設定を変更することも良い。
【0035】
本発明における好適な一態様の運転支援システムにおいては、前記現在情報の一部は、車外あるいは車内に向けて検知領域が設けられた検知センサによって取得される情報である(12)。
検知センサとしては、例えば、車内の乗員を検知する乗員センサや、車両の内外を撮影する車載カメラや、前方や周辺を監視するレーダー装置やソナー等がある。
【0036】
本発明における好適な一態様の運転支援システムにおける前記報知情報の報知では、これから実施される交通監視活動に関する報知であるか、実施済みの交通監視活動に関する報知であるか、によって報知態様が異なる(13)。
本発明における好適な一態様の運転支援システムにおける前記報知情報の報知では、実施中の交通監視活動に関する報知であるか、実施予定あるいは実施済みの交通監視活動に関する報知であるか、によって報知態様が異なる(14)。
これらの場合には、報知態様に応じて、報知情報の種別を直ちに判断できるようになり、運転者にとってわかり易い報知が可能になる。運転中であっても報知情報を確実性高く認識できるようになり、報知情報の取りこぼしを抑制できる。
【0037】
本発明における好適な一態様の運転支援システムは、通信回線を介して電子的に公開される交通監視活動の実施予定に関する情報を収集して前記監視予定情報を生成する収集手段を備えている(15)。
前記監視予定情報を自動生成することで、監視予定情報を生成するためのコストを抑制できる。
【0038】
本発明における好適な一態様の運転支援システムは、前記収集手段を備えるコンピュータ装置と、
前記制御手段を備える車載機器と、を含み、
この車載機器は、前記コンピュータ装置が生成した前記監視予定情報を利用する(16)。
前記コンピュータ装置が生成した監視予定情報は、例えば、メモリカード等の記憶媒体や、WiFiやブルートゥース等の無線通信を経由して車載機器に取り込むことが可能である。
【0039】
本発明における好適な一態様の運転支援システムは、前記収集手段及び前記制御手段を備える車載機器よりなる(17)。
この場合には、外部機器から車載機器に監視予定情報を転送する作業等が一切必要なくなる。スタンドアローンの非常に便利かつ有用な装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】実施例1における、運転支援システムの電気的構成を示すブロック図。
【
図2】実施例1における、第3DBに記憶される監視予定情報を示す模式図。
【
図3】実施例1における、表示部に表示される表示画面の一例を示す正面図。
【
図4】実施例1における、メッセージの構成を示す模式図。
【
図5】実施例1における、メッセージの一例を示す図。
【
図6】実施例1における、メイン処理を示すフロー図。
【
図7】実施例1における、時間的な近接性を説明する図。
【
図8】実施例1における、場所的な近接性の一例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0041】
(実施例1)
本例は、本発明に係る運転支援システムの一実施形態である運転支援システム1の例である。この内容について、
図1~
図8を参照して説明する。
運転支援システム1の具体例としては、例えば、レーダ探知システム、カーナビゲーションシステム等の車載機器がある。運転支援システム1は、物理的に単一の機器あるいは装置によって実現されるシステムであっても良く、複数の機器や装置を組み合わせて実現されるシステムであっても良い。
図1のごとく運転支援システム1は、システムの全体動作を統括する制御部(制御手段)11を備えている。
【0042】
制御部11は、CPU、ROM、RAM、I/O、RTC、周辺回路等を含むマイコンを含めて構成されている。制御部11には、無線受信部12、GPS受信部13、表示部14、スピーカ15、記憶部15、及びカードリーダ17等が電気的に接続されている。ROMには、制御部11に所定の動作を実行させるためのプログラム等が記憶されている。制御部11のマイコンがプログラムを実行することにより、運転支援システム1の各種機能が実現される。
【0043】
無線受信部12は、無線信号を受信するための無線モジュールである。無線受信部12が受信する無線信号としては、例えば、速度計測装置から出力されるレーダ信号、取締連絡用の無線機から送信される無線信号、各警察本部と移動局との間で送受信されるデジタル無線信号、警察専用の自動車携帯電話システムにおいて使用される無線信号、緊急車両から送信される無線信号等がある。
【0044】
無線受信部12は、異なる周波数の無線信号を個別に受信する複数の無線モジュールを備える受信部であっても良い。無線受信部12は、無線信号を受信したとき、受信した無線信号の信号レベルを検出し、その信号レベルをReceived Signal Strength Indication(RSSI)として出力する。制御部11側では、無線受信部12から出力されたRSSIの電圧レベルに基づいて無線信号の信号レベルを認識し、無線信号の送信元の対象物と自車両との間の距離を推測可能である。
【0045】
GPS受信部13は、GPS衛星から送信される無線信号を受信するための無線モジュールである。GPS受信部13は、受信した無線信号に基づいて自車両の位置情報を検出して出力する。位置情報は、自車両位置(車両の現在位置)の緯度及び経度である。制御部11は、GPS受信部13から出力された位置情報に基づいて自車両位置を特定する。さらに、本例のGPS受信部13は、移動速度を車速として出力する。
【0046】
本例の運転支援システム1では、制御部11で取得可能な様々な情報が、車両の状況や車両周辺の状況等の運転情報を表す現在情報として取り扱われている。現在情報としては、RTC(リアルタイムクロック)による現在の日付・時刻を表す現在日時、無線受信部12が出力する各種の受信情報、GPS受信部13が出力する位置情報や車速等がある。
【0047】
車両の点検規格であるOBD(On-board Diagnostics)-II(IIはローマ数字の「2」。以下「OBD」と記載する。)規格に沿って車両側に設けられたOBDコネクタ(故障診断コネクタ)とOBDアダプタ等を介して接続された状態であれば、例えば、車速、エンジン回転数、エンジン負荷率、点火時期、インテークマニホールドの圧力、吸入空気量(MAF)、インジェクション開時間、エンジン冷却水の温度(冷却水温度)、エンジンに吸気される空気の温度(吸気温度)、車外の気温(外気温度)、燃料流量、瞬間燃費、アクセル開度(スロットル開度)、ウインカー情報(左右のウインカーの動作情報)、ブレーキ開度、ハンドルの回転操舵角情報等の車両情報を、現在情報として取得可能である。さらに、車両に実装された乗員検知センサや、ミリ波レーダや、前方カメラや、超音波ソナーや、周辺カメラ等の各種の検知センサの検知信号を取り込み、現在情報として取り扱うこともできる。
【0048】
表示部14は、例えば液晶ディスプレイやELディスプレイ等によって構成されている。表示部14は、制御部11による制御に応じて所望の画像を表示する。
スピーカ15は、制御部11による制御に応じて所望の音を出力する。
カードリーダ17は、SDカード171にアクセスするためのインタフェースである。制御部11は、カードリーダ17を介してSDカード171に記憶された情報を読み出し可能である。
【0049】
記憶部16は、各種情報を記憶する不揮発性記憶素子である。記憶部16は、例えばEEPROM、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ等により構成されている。記憶部16には、地図データ、表示部14に表示される画像のデータ、スピーカ15から出力される音のデータ、各種データベース等が記憶されている。各種データベースとしては、少なくとも、次に説明する第1DB及び第2DBがある。
【0050】
第1DBは、位置情報に基づいて行政区画を特定可能なポリゴンデータを記憶するデータベースである。例えば、行政区画は、都道府県単位よりも小さい市区町村毎に定められる。以下、行政区画によって表される領域を区画領域ともいう。ポリゴンデータには、区画領域を識別するための領域情報が対応付けられている。
【0051】
制御部11は、GPS受信部13から出力される位置情報に基づいて第1DBを参照することで、自車両が位置する区画領域を識別するための領域情報を市区町村単位で特定する。なお、区画領域によって表される領域は、市区町村に限定されない。区画領域は、各都道府県の警察の所轄管内の領域や都道府県の領域など、他の領域を表すものであっても良い。
【0052】
第2DBは、運転者に報知する目標物(適宜、報知対象物という。)に関する情報を記憶するデータベースである。目標物としては、例えば、速度計測装置、制限速度切替ポイント、取締エリア、検問エリア、駐禁監視エリア、Nシステム、交通監視システム、交差点監視ポイント、信号無視抑止システム、警察署、事故多発エリア、車上狙い多発エリア、急/連続カーブ(高速道)、分岐/合流ポイント(高速道)、ETCレーン事前案内(高速道)、サービスエリア(高速道)、パーキングエリア(高速道)、パーキングエリア(高速道)、ハイウェイオアシス(高速道)、スマートインターチェンジ(高速道)、PA/SA内ガソリンスタンド(高速道)、トンネル(高速道)、ハイウェイラジオ受信エリア(高速道)、県境告知、道の駅、ビューポイントパーキング等がある。なお、上記の速度計測装置には、レーダのようにレーダ波(マイクロ波)を発する速度計測装置や、ループコイルのようにレーダ波を発しない速度計測装置等が含まれる。
【0053】
第2DBには、報知対象物の種別を示す情報、報知対象物の位置を示す緯度及び経度の情報、表示部14に表示する模式図または写真のデータ、及びスピーカ15から出力する音のデータ等が、各目標物に対応付けて記憶されている。制御部11は、GPS受信部13から出力される位置情報に基づいて第2DBを参照することにより、自車両の近くにある報知対象物を特定する。
【0054】
第1DB及び第2DBは、製品出荷の際、記憶部16の記憶領域に予め格納されている。製品出荷後では、周知の手法を用いて、第1DB及び第2DBのデータを更新可能である。データの更新方法としては、例えば、第1DB及び第2DBを格納したSDカード171を利用した方法がある。カードリーダ17にセットされたSDカード171から第1DB及び第2DBを読み出し、記憶部16に記憶させればデータの更新を実現できる。また、例えば、運転支援システム1が具備する赤外線通信機能等の各種の通信機能を利用したデータ更新の方法もある。外部機器と赤外線通信を実行することで更新後の第1DB及び第2DBを取得し、記憶部16に記憶させればデータの更新を実現できる。なお、古い第1DB等と新しい第1DB等との差分のデータのみを取得し、データを更新することも可能である。
【0055】
SDカード171には、交通監視活動に関する監視予定情報が複数格納された第3DBが記憶される。交通監視活動は、安全運転を推進するために不特定の場所で不定期に行われる交通監視活動に関する情報であり、例えば、警察が行う取締や検問等がある。本例の運転支援システム1では、第3DBを参照することにより、自車両に関係のある交通監視活動の詳細が特定される。
【0056】
第3DBの詳細なデータ仕様について、
図2の例を参照しながら説明する。同図中、インデックス1~15に格納されている各情報が監視予定情報である。監視予定情報は、全国の各都道府県警察のホームページ(以下、HPという。)を介して公表される公開取締情報に基づく情報である。監視予定情報は、この公開取締情報を所定のフォーマットでデータ化して生成される。特に、本例の第3DBに格納される監視予定情報には、交通監視活動が実施される監視期間が現在に該当する監視予定情報に加えて、現在よりも先の未来に監視期間が設定されている第1の監視予定情報、及び現在よりも以前の過去に監視期間が設定されていた第2の監視予定情報が含まれている。
【0057】
監視予定情報には、交通監視活動が実施される「都道府県」、「開始日」、「開始時間」、「終了日」、「終了時間」、交通監視活動を行う「管轄」警察署、「実施場所」、テキストベースの報知情報である「表示内容」が含まれている。例えば、
図2中、インデックス2の情報は、2011年3月7日12時00分から18時00分までの間、岩手県警の管轄で、葛巻町内のいずれかの地域において取締が行われることを意味している。「実施場所」のうち「302」は、市区町村を特定するための領域情報である。
【0058】
監視予定情報のうちの「実施場所」には、市区町村単位で区画領域を識別するための領域情報が格納される。例えば、交通監視活動が実施される場所として公表された情報が「県道」等のように複数の市区町村にまたがるような場合、該当する市区町村を識別する領域情報は、すべて「実施場所」とされる。例えば、
図2の第3DBのうち、「県道」において交通監視活動が実行されるインデックス5の監視予定情報には、領域情報「302(葛巻町)」「501(軽米町)」及び「209(一関市)」が監視地点に当たる「実施場所」に含められている。このように、交通監視活動が広域に渡って公開されている場合、複数の領域情報が監視予定情報に含められる。このような監視予定情報を構成すれば、交通監視活動が実施される地域(監視エリア)を確実性高く特定できる。
【0059】
本例の運転支援システム1では、市区町村単位で領域情報を特定可能なポリゴンデータが第1DBに記憶されているので、これらにもとづいて自車両の位置する区画領域の領域情報を市区町村単位で特定する。自車両の位置する区画領域の領域情報と、監視予定情報に「実施場所」として対応付けられている領域情報とは、何れも市区町村単位となっている。例えば、自車両が位置している区画領域と同一の地域及び隣接する地域を、監視予定情報における「実施場所」から画一的に検索できるので、自車両の近くで実施されている交通監視活動の監視予定情報を容易に特定できる。
【0060】
例えば、交通監視活動が実施される地域が、A県警では「~署管内」、B県警では「~方面」、C県警では「~号線沿線」のように、地域の単位で公開取締情報が公表されたとする。この場合、公開取締情報は、公表元の都道府県警察毎に、交通監視活動が実施される地域の単位が異なってくる。本例の運転支援システム1によれば、このような場合であっても、全ての都道府県警の発表する公開取締情報について、市区町村単位の領域情報を監視予定情報に対応付け可能であり、「実施場所」として統一的に利用できる。これにより、本例の運転支援システム1は、車両が位置する区画領域で実施されている交通監視活動に関する監視予定情報を、統一的、正確、かつ容易に特定可能である。例えば、「~号線沿線」や「~方面」のごとく交通監視活動が実施される地域が抽象的に公表された場合であっても、車両の近くで実施されている交通監視活動に関する情報を確実性高く特定できる。
【0061】
監視予定情報を構成する「表示内容」には、交通監視活動に関する報知情報がテキスト情報として格納される。「表示内容」に格納された報知情報は、表示部14(
図1参照。)に表示されるメッセージとしてそのまま使用される。報知情報のうち[ ]で囲まれた部分には、交通監視活動の種別を表すカテゴリが格納される。「表示内容」の報知情報の文言は、運転中のチラ見でも内容を把握することができるように「なにを」、「いつ」、「どこで」の構成が単文で表現されている。「なにを」の情報は、例えば、「速度違反」、「飲酒」、「一時停止」などの取締の内容を示す情報である。「いつ」の情報は、交通監視活動が実施される時間帯や日付を示す情報である。「どこで」の情報は、例えば、交通監視活動が実施される住所や路線を示す情報である。
【0062】
制御部11は、「表示内容」の報知情報に基づくメッセージを、所定の報知タイミングで表示部14にテロップ表示する。詳しくは後述するが、本例の運転支援システム1では、監視予定情報と現在情報とに基づいて報知タイミングが決定される。
メッセージとしてテロップ表示される報知情報には、交通監視活動の種別(「なにを」)、交通監視活動が実施される期間(「いつ」)、及び交通監視活動が実施される地域(「どこで」)が含まれている。メッセージのテロップ表示があれば、例えば、交通監視活動の種別として取締の重点項目を運転者等が認識できる。取締の重点項目としては、例えば、速度超過、過積載、シートベルト、飲酒運転、信号無視等が挙げられる。さらに、例えば、交通監視活動が実施される地域として、警察管轄、路線、市区町村等を運転者等が認識できる。上記のようなメッセージをテロップ表示すれば、運転者に報知情報を詳細に把握させることができ、これらの点に特に留意した安全運転を動機付けできる。
【0063】
ここで、第3DBに格納される監視予定情報の生成方法の一例について説明する。監視予定情報は、例えば、全国の各都道府県警察のHPを介して公表されている公開取締情報をオペレータ等がデータ化して生成される。監視予定情報をデータ化する際には、
図2のごとく、実施日、時間帯、場所、種別等を公開取締情報から出来る限り同じ文言で抽出した上で、テキスト情報である報知情報が対応付けられる。公開取締情報は、各都道府県警察のHPを介して公表されるため、同図に例示するごとく都道府県毎の監視予定情報となっている。それぞれの情報は、日付、時間帯、管轄、市区町村、もしくは取締種別毎に1件分となっている。SDカード171の記憶容量の制約を考慮し、監視予定情報は簡潔にデータ化されている。なお、公開取締情報によっては、第3DBの格納情報のうちの特定の項目が未公表の場合もある。未発表の項目についてはデータ化は行わず、空きデータとなる。なお、監視予定情報に対応付けられる項目は、上述の例には限定されない。第3DBに格納される情報の生成効率を向上できるよう、それぞれの項目をまとめることも考えられる。
【0064】
公開取締情報をデータ化して生成された監視予定情報を含む第3DBは、ユーザー側で専用HPからダウンロード可能である。ダウンロードされた第3DBの内容は、SDカード171に記憶される。制御部11は、第3DBに格納された監視予定情報の中から報知対象の監視予定情報を選択して読み出す。
【0065】
選択される監視予定情報としては、まず、「開始日」、「開始時間」、「終了日」、「終了時間」、「実施場所」等の監視予定情報に対して、自車両位置や現在時刻等の現在情報が一致している監視予定情報がある。さらに、自車両位置や現在時刻等の現在情報が監視予定情報とは一致していないが、現在情報が交通監視活動の「事前状況」にあると判断される監視予定情報も選択される。なお、「事前状況」の具体的な内容、及び選択され読み出された監視予定情報に基づいて生成されたメッセージが表示部14に表示される処理の詳細については後述する。
【0066】
次に、表示部14に表示される表示画面の一例である表示画面20について、
図3を参照して説明する。表示画面20には、メイン表示領域21、第1サブ表示領域22、及び第2サブ表示領域23が配置されている。メイン表示領域21は、自車両と報知対象物との位置関係を示すための画像を表示するための領域である。第1サブ表示領域22は、自車両が位置する区画領域の名称を表示するための領域である。第2サブ表示領域23は、交通監視活動に関するメッセージを表示するための領域である。
【0067】
メイン表示領域21には、地図画像を表示する領域211、報知対象物の種別及び報知対象物までの距離を表示する領域212、車両の走行速度を表示する領域213、表示モード及び現在時刻を表示する領域214等が配置されている。
地図画像は、自車両位置の周辺の地図データを記憶部16から読み出して生成される画像である。メイン表示領域21のうち領域211に表示する地図画像の範囲は、運転者による設定に応じて決定される。領域211に表示された地図画像上には、自車アイコン31、及びターゲットアイコン32が重ねて表示される。自車アイコン31は、地図画像に対して自車両がどの位置にあるかを示すためのアイコン表示である。制御部11は、GPS受信部13から出力された位置情報により自車両位置を特定し、地図画像の中の自車両位置に対応する箇所に重ねて自車アイコン31を表示する。
【0068】
ターゲットアイコン32は、地図画像における報知対象物の位置を示すためのアイコン表示である。ターゲットアイコン32の内部に表示された図形は、報知対象物の種類(カテゴリー)を示している。制御部11は、第2DBに基づいて報知対象物の位置を特定し、地図画像の中の報知対象物の位置に対応する箇所に重ねてターゲットアイコン32を表示する。報知対象物の種別及び報知対象物までの間の距離は、領域212にテキスト表示される。
【0069】
制御部11は、自車両から報知対象物までの距離が所定距離よりも小さくなったとき、報知対象物の種類に応じて模式図または写真のデータを第2DBから読み出し、地図画像に重ねて表示する。さらに報知対象物に応じた音声データを第2DBから読み出し、スピーカ15から出力する。例えば、速度計測装置が500m未満に接近したときには、速度計測装置の模式図または写真のデータを第2DBから読み出して地図画像に重ねて表示すると共に、「500m先 速度計測装置です。スピード注意」という音声を第2DBから読み出してスピーカ15から出力する。
【0070】
制御部11は、無線受信部12から出力されるRSSIの電圧レベルに基づき、報知対象物が自車両の近くにあるか否かを判断する。RSSIの信号レベルは、無線受信部12が受信する無線信号の強度に比例して大きくなる。制御部11は、RSSIに関する閾値判断により、自車両から報知対象物までの距離が所定距離よりも小さくなったか否かを判断する。制御部11は、この距離が所定距離よりも小さくなったと判断したとき、報知対象物の種類に応じて模式図または写真のデータを第2DBから読み出し、地図画像に重ねて表示する。さらに、報知対象物に応じた音声データを第2DBから読み出してスピーカ15から出力する。例えば、緊急車両が所定距離内に接近したときには、緊急車両の模式図または写真のデータを第2DBから読み出して地図画像に重ねて表示すると共に、「緊急車両です。スピード注意」という音声を第2DBから読み出してスピーカ15から出力する。
【0071】
以上のように動作する本例の運転支援システム1は、自車両の近くに報知対象物が存在することを運転者に報知可能である。運転者は、メイン表示領域21を視認することで自車両近くの報知対象物を認識できる。交通事故の発生し易い危険な場所に設置される場合が多い報知対象物への接近を運転者に知らせれば、危険な場所への接近時に安全運転を促すことができる。
【0072】
メイン表示領域21には地図画像が表示されるので、運転者は、自車両の周辺の地理の情報を把握できる。例えば、運転者は、周辺の道路環境を把握することで、事前に走行速度を減速したり、事前に周囲の環境に十分注意できる。このように本例の運転支援システム1は、運転者の安全運転のために必要な情報を、報知情報のメッセージと共に運転者に提示することが可能になっている。
【0073】
制御部11は、メイン表示領域21のうち領域211に表示する自車アイコン31及びターゲットアイコン32と地図画像との間で位置合わせをし、同期をとりながら表示を行う。自車アイコン31の表示位置は、領域211の下方中央部位に固定されている。地図画像の向きは、車両の進行方向が上側になるように設定される。自車両の進行方向が変わった(曲がった)場合には、それに合わせて地図画像が回転する。自車両が前進した場合、地図画像は下方にスクロール移動する(いわゆるヘディングアップ表示)。なお、このような表示の制御は、カーナビゲーションシステムにおける地図の表示制御、すなわち、自車両の位置を画面中央に固定した状態で地図画像を適宜スクロール等させる制御を利用して実現される。
【0074】
第1サブ表示領域22には、自車両が位置する区画領域の名称が表示される。制御部11は、GPS受信部13から出力された位置情報に基づき、上記の第1DBを参照することにより自車両が位置する区画領域の領域情報を特定する。特定された領域情報に対応する区画領域の名称が第1サブ表示領域22に表示される。運転者は、第1サブ表示領域22に表示された名称を視認することで自車両が位置する区画領域を把握できる。
【0075】
第2サブ表示領域23には、交通監視活動に関する報知情報としてのメッセージ(報知情報)が表示される。このメッセージは、SDカード171に記憶された第3DBに格納された監視予定情報に基づいて生成されるテキストベースの報知情報である。メッセージは、取締実施日、時間、取締種別、取締場所(路線、管轄など)等の情報を含んでいる。なお、各都道府県警察から公表される公開取締情報の内容には若干の相違があるため、表示される内容は都道府県よって異なる部分がある。メッセージに含まれる報知情報の数が2件以上となってメッセージの文字数が多くなった場合には、制御部11は、メッセージをテロップで流して第2サブ表示領域23に表示する。
【0076】
第2サブ表示領域23に表示するメッセージの具体例について、
図4及び
図5を参照して説明する。同図のごとくメッセージ41は、監視予定情報のカテゴリ毎に区分された複数のフェーズ(第1フェーズ42、及び第2フェーズ43)を含んでいる。第1フェーズ42、及び第2フェーズ43には、報知情報が1件以上含まれている。複数の報知情報が1つのフェーズに含まれる場合、これらは順番に並べられる。
図4のうち、「○○情報」「△△情報」が、各件の報知情報に相当している。各フェーズの先頭には、報知情報の概要を示すタイトルが付加される。
【0077】
このように、第2サブ表示領域23に表示されるメッセージは、運転者に報知される複数の報知情報が種別(カテゴリ)ごとに分類されて作成された情報となっている。このメッセージによれば、交通監視活動に関する報知情報をカテゴリ毎に区別して運転者に認識させることができる。なお、1フェーズに登録可能な文字数は、例えば、全角文字で128文字(バイト数換算で256バイト)までに制限される。このような文字数の制限を設定すれば、運転者が運転しながらでも内容を把握し易くなる。
【0078】
1フェーズに登録される文字数が128文字を超えた場合、報知情報はさらに詳細なカテゴリに区分される。例えば、
図5では、タイトルが「<<公開取締情報 愛知県警>>」である第1フェーズと、タイトルが「<<交通規制情報 愛知県警>>」である第2フェーズと、に区分されている。第1フェーズには、「取締」に関する情報(
図2におけるインデックス2及び3の監視予定情報に相当する。)が格納されている。
【0079】
一般的に、運転中に表示部14を視認する場合、運転者が長時間、表示部14を見続けることは困難である。それ故、多くのメッセージを表示部14に一度に表示すると、運転者等がメッセージを正確に認識できなくなるおそれがある。これに対して、本例の運転支援システム1では、第2サブ表示領域23に収まらないメッセージをスクロール表示することで、一度に表示される情報量を抑制して上記のような問題を未然に回避している。この運転支援システム1では、監視予定情報に基づいて作成された報知情報であるメッセージをカテゴリ毎に区分し、第2サブ表示領域23にスクロール表示している。これにより、第2サブ表示領域23に一度に表示されるメッセージの情報量を抑制できると共に、表示されるテキストの文字を大きくできる。運転者にあっては、運転中に短い間隔で繰り返し表示部14を視認する場合でも、第2サブ表示領域23に表示されるメッセージを正確に認識できるようになる。
【0080】
例えば、
図4に示すメッセージ41を第2サブ表示領域23に表示させる場合、第1フェ-ズ42(タイトル、○○情報(1件目)、○○情報(2件目))を第2サブ表示領域23に順次スクロール表示させ、第1フェーズ42のスクロール表示がすべて完了したら、第2フェーズ43に突入する。残りのフェーズがなくなった場合、第1フェーズ42から順にスクロール表示を繰り返す。スクロール表示は複数回にわたって繰り返し実行されるので、運転者は、メッセージを一旦見逃してしまった場合でも、繰り返して表示されるメッセージを認識可能である。
【0081】
なお、メッセージのうち第1フェーズ42のタイトルをはじめに第2サブ表示領域23に表示させると同時に、スピーカ15からアラーム音(ピロリーン、ピロリーン)を出力させている。これにより、報知情報であるメッセージが第2サブ表示領域23に表示されていることを運転者に知らしめることができる。
【0082】
車両の走行に応じて車両の位置する区画領域が変化し、第2サブ表示領域23に表示するメッセージを更新した場合、同様に、スピーカ15からアラーム音を出力する。これによって運転者は、アラーム音によって通知が行われた場合に表示部14を視認することで、更新されたメッセージを確実に認識できる。このようにして運転支援システム1は、更新されたメッセージについて、運転者による見落としを未然に防止できる。
【0083】
制御部11は、メッセージを第2サブ表示領域23にスクロール表示する場合のスクロール速度を車速(車両の走行速度)に応じて変化させる。例えば、車速が高い場合、長時間連続して表示部14に視線を向けることができない運転状況を想定できる。このような場合、運転者が単文でも理解できるようにメッセージのスクロール速度を遅くする。これにより、運転者が短い時間内でメッセージを確実に認識できるようになる。一方、例えば車速が低い場合、比較的長時間連続して表示部14に視線を向けることが可能な運転状況を想定できる。このような場合、メッセージのスクロール速度を速める。これにより、運転者が大量のメッセージを確実性高く認識できるようになる。さらに、車両が停車している間は、様々な公開取締情報も閲覧できるよう、メッセージのスクロール速度を更に速くする。
【0084】
さらに、制御部11は、メッセージを第2サブ表示領域23に表示する際、対象の交通監視活動が実施中であるか、実施済みであるか、実施予定であるかによって異なる表示色でメッセージを表示する。実施中の交通監視活動のメッセージが赤、実施予定に対応するメッセージが黄色、実施済みが青となっている。なお、これに代えて、例えば、テキスト表示色を一定にする一方、第2サブ表示領域23の背景色を変更することで表示態様を異ならせることも良く、実施中であるか実施予定であるか実施済みであるかを表す表示ランプを設け、メッセージ表示中にいずれかの表示ランプを点灯させることで表示態様を異ならせることも良い。
【0085】
第1サブ表示領域22には車両が位置する区画領域の名称が表示されるので、運転者は、第2サブ表示領域23に表示されるメッセージと区画領域とを併せて認識できる。例えば、交通監視活動が広域にわたって実施される場合では、自車両の位置が監視活動が実施される地域全体のうちどの部分に相当するか、運転者が確認できるようになる。例えば、交通監視活動が実施される地域として路線が公表された場合を仮定する。自車両が移動し、公表された路線が属する区画領域に自車両が進入したとする。このとき、第1サブ表示領域22には、自車両が位置する区画領域の名称が表示される。第2サブ表示領域23には、公表された路線を含むメッセージが表示される。運転者は、メイン表示領域21に表示された地図画像を参照することによって、第1サブ表示領域22に表示された名称の区画領域内から、メッセージに含まれている路線の場所を容易に特定でき、自車両と路線との位置関係を認識できる。運転者は、自車両が路線に接近しているか否かを判断することによって、安全運転に特に留意するべき場所を把握し、運転を続けることができる。
【0086】
次に、
図6を参照しながら制御部11において実行されるメイン処理について説明する。運転支援システム1に電源が投入された場合に、ROMに記憶されたプログラムを制御部11が実行することによりメイン処理が実行される。メイン処理の開始に応じて、制御部11は、まず最初に、GPS受信部13が出力する位置情報を取得すると共に、その位置情報に基づき自車両位置の緯度及び経度を特定することにより地図画像上における自車両位置を特定する(S101)。続いて、制御部11は、取得した位置情報に基づき、記憶部16の第1DBを参照することにより自車両が位置する区画領域の領域情報を取得し(S102)、その領域情報をRAMに記憶させる。
【0087】
制御部11は、自車両位置を含む周辺の地図画像を記憶部16に記憶された地図データに基づいて生成する。地図画像は、表示部14の画面のメイン表示領域21のうちの領域211に表示される(S103)。領域211に表示される地図画像の大きさは、運転者によって予め設定された条件に基づいて調整される。制御部11は、続いて、地図画像のうち、S101で特定された自車両位置に対応する箇所に重ねて自車アイコン31を表示する(S104)。運転者は、メイン表示領域21に表示された地図画像及び自車アイコン31を視認すれば、自車両の位置を含む周辺の地理の情報を把握可能である。
【0088】
制御部11は、S102で取得した領域情報に基づいて、自車両が位置する区画領域の名称を市区町村単位で特定する。区画領域の名称は、記憶部16に予め記憶された領域情報と名称との対応表を参照することで特定される。特定された区画領域の名称は、表示部14の画面のうち第1サブ表示領域22に表示される(S105)。運転者側では、第1サブ表示領域22に表示された名称を視認することで、自車両が位置する区画領域を市区町村単位で認識可能である。
【0089】
続いて、制御部11は、現在日時(日付及び時刻)等の現在情報を特定する(S106)。例えば現在日時は、図示外のリアルタイムクロック(RTC)から取得する。続いて、SDカード171に記憶された第3DBを読み出し、第3DBに格納された監視予定情報を参照する(S107)。そして、SDカード171から読み出した第3DBに格納された監視予定情報に基づいて、第2サブ表示領域23に表示する報知情報であるメッセージを次のように生成する。
【0090】
SDカード171の第3DBに格納された監視予定情報のうち、自車両位置(領域情報)や現在日時等の現在情報が一致する監視予定情報、及び現在情報が「事前状況」にあると判断される監視予定情報を選択する。
例えば、現在情報が一致する監視予定情報を選択する際には、まず、S102で特定した領域情報と同一の領域情報が「実施場所」として対応付けられている監視予定情報を抽出する。制御部11は、その監視予定情報にに対応付けられた「開始日」、「開始時間」、「終了日」、「終了時間」(
図2参照)に基づいて交通監視活動が実施される監視期間を特定し、現在日時が監視期間に含まれるという条件を満たす監視予定情報を選択する。
例えば、時間的な近接性が満たされる「事前状況」にあると判断される監視予定情報を選択する際には、まず、自車両位置に対応する領域情報(S102で特定)と同一の領域情報が「実施場所」として対応付けられている監視予定情報を抽出する。制御部11は、その監視予定情報にに対応付けられた「開始日」、「開始時間」、「終了日」、「終了時間」(
図2参照)に基づいて交通監視活動が実施される監視期間を特定し、その監視期間に対して現在日時が時間的な近接性を満たしている監視予定情報を選択する。なお、時間的な近接性の内容については後で詳しく説明する。
例えば、隣接する他の区画領域に対応する監視予定情報であって、場所的な近接性が満たされる「事前状況」にあると判断される監視予定情報を選択する際には、まず、各監視予定情報の監視期間を特定し、その監視期間が現在日時を包含している監視予定情報を抽出する。制御部11は、自車両位置が属する区画領域に隣接する他の区画領域の領域情報が「実施場所」として対応付けられた監視予定情報を、場所的な近接性を満たす監視予定情報として選択する。なお、場所的な近接性の内容については後で詳しく説明する。
【0091】
監視予定情報が選択されなかった場合(S108:NO)、第2サブ表示領域23に表示する報知情報(メッセージ)が生成されることなく処理がS101に戻る。一方、1件以上の監視予定情報が選択された場合は(S108:YES)、その監視予定情報に基づき、第2サブ表示領域23に表示させる報知情報が以下のようにして生成される(S109)。
【0092】
制御部11は、選択された監視予定情報を交通監視活動の種別(カテゴリ)ごとに区分して並べる。カテゴリ毎に並べた報知情報の先頭には、各カテゴリの概要を示すタイトルが付加される。タイトルは、予め用意された複数のタイトルのうち最適なタイトルが選択される。最適なタイトルの選択は、例えば次のようにして行う。タイトルとカテゴリとを対応付けたテーブルを、記憶部16に予め記憶しておく。報知情報をカテゴリ毎に区分して並べた場合、区分した各カテゴリに対応するタイトルを、記憶部16に記憶されたテーブルを参照することによって特定する。特定したタイトルを、カテゴリを示す最適なタイトルとして、並べた監視予定情報の先頭に付加する。これによって、メッセージを構成する各フェーズを作成し、RAMに記憶させる。
【0093】
続いて制御部11は、車速を特定する(S110)。本例では、GPS受信部13が出力する移動速度が車速として取り扱われる。これに代えて、図示外の加速度センサに基づいて特定しても良いし、車両側のOBDコネクタを介して取得したOBDデータに基づいて特定しても良い。制御部11は、S109で生成したメッセージをスクロール表示させる際のスクロール速度を車速に応じて決定する。具体的には、車速に反比例するようにスクロール速度が決定される。制御部11は、このように決定したスクロール速度で第2サブ表示領域23にメッセージをスクロール表示する(S111)。このような制御によれば、車速が速く運転者が長時間連続して表示部14を視認できない状態下でスクロール速度を遅くすることで、”ちら見”等の短時間の間でのメッセージの認識を確実にしている。一方、車速が遅いときにはスクロール速度が速くなるので、大量のメッセージ(報知情報)を表示できるようになる。車速が遅い状況では、運転者が比較的長時間連続して表示部14を視認できるので、大量のメッセージを表示しても取りこぼし等が発生する可能性は低い。なお、第2サブ表示領域23にメッセージをはじめてスクロール表示した場合、スピーカ15からアラーム音を出力する。
【0094】
制御部11は、車両の移動に伴ってS102で取得した領域情報が変更されたか否かを判断する。領域情報が変更されたか否かは、RAMに前回記憶した領域情報と、今回記憶した領域情報と、が相違するか否かによって判断する。領域情報が変更された場合、S109で作成したメッセージが新たに更新されている可能性がある。そこで、制御部11は、S109で作成したメッセージが新たに更新されたか否かを判断する(S112)。メッセージが更新されたか否かは、RAMに前回記憶したメッセージと、今回記憶したメッセージとが相違するか否かによって判断できる。
【0095】
S109で作成したメッセージに変更がない場合(S112:NO)、そのまま処理がS10に戻る。一方、メッセージが新たに更新されている場合(S112:YES)、スピーカ15からアラーム音を出力する(S122)。このようにアラーム音を出力すれば、第2サブ表示領域23に対して運転者の注意を惹くことができ、新たに更新されたメッセージを確実性高く運転者に認識させることが可能になる。本例の運転支援システム1では、このような工夫によって更新されたメッセージの見落としを未然に抑制している。なお、アラーム音の出力後、処理はS101に戻る。
【0096】
なお、メイン処理において、例えば、S108、S112及びS122の後、S101に戻る場合につき、所定のウェイト時間(例えば1秒間)を設定しても良い。また例えばメイン処理では、S108、S112及びS122の後、車両の走行距離が所定距離以上となった場合にS101に戻る処理を行うようにしても良い。そして、S10において自車両位置を繰り返し特定し、特定した自車両位置に基づいて、メッセージを繰り返し生成することも良い。このように構成すれば、制御部11の処理負荷を軽減させつつ、監視活動に関するメッセージを的確に生成して表示できるようになる。
【0097】
以上のように構成された本例の運転支援システム1は、自車両位置や現在時刻等の現在情報が一致しない監視予定情報の中から前記「事前状況」に有ると判断される監視予定情報を選択し、メッセージを表示可能である。この運転支援システム1では、自車両位置が不一致であったり、過去に実施された交通監視活動に関するものであっても、一定の関連性を有する監視予定情報については、運転者に関係のある重要な情報として取り扱われる。
【0098】
自車両位置や現在日時等の現在情報が、監視予定情報には一致しないが、対応する交通監視活動と所定の関連性を有する事前状況について例を挙げて説明する。事前状況としては、下記の通り、(1)時間的な近接性が満たされる事前状況、(2)場所的な近接性が満たされる事前状況、(3)現在情報と関連性を有する事前状況、等がある。
【0099】
(1)時間的な近接性が満たされる事前状況。
時間的な近接性が満たされる「事前状況」としては、例えば、現在時刻が監視期間には属していないが、自車両が位置する区画領域内で過去に交通監視活動が実施されたか、あるいは交通監視活動の予定があるような状況がある。例えば、自車両が位置する区画領域において、先月とか先週など過去に実施されたシートベルト取締に関する監視予定情報については、現在情報が表す状況が時間的な近接性を満たす「事前状況」にあると判断されて選択される。
【0100】
時間的な近接性が満たされる事前状況は、交通監視活動が実施される監視期間を基準とし、その監視期間を含まない所定の時間的な範囲内に現在時刻が属しているという状況である。
図7のごとく、監視期間(同図中丸囲みゼロの範囲)を含まない所定の時間的な範囲としては、監視期間よりも時間的に遡る側の同図中丸囲み1の範囲と、監視期間に対して時間が経過する側の同図中丸囲み2の範囲と、がある。
【0101】
例えば、
図7において、丸囲み1の範囲に現在時刻(例えば、同図中の逆三角囲み1)が属している状況は、丸囲みゼロの範囲の交通監視活動に対する「事前状況」となる。この「事前状況」では、交通監視活動が実施される監視期間が、同図中の逆三角囲み1の現在よりも先の未来に設定されている。それ故、丸囲み1の範囲に現在時刻が属しているこの「事前状況」においては、丸囲みゼロの範囲の交通監視活動に関する情報が第1の監視予定情報となる。
一方、例えば、
図7において、丸囲み2の範囲に現在時刻(例えば、同図中の逆三角囲み2)が属している状況も、丸囲みゼロの範囲の交通監視活動に対する「事前状況」となる。この「事前状況」においては、交通監視活動が実施される監視期間が、同図中の逆三角囲み2の現在よりも以前の過去に設定されている。それ故、丸囲み2の範囲に現在時刻が属しているこの「事前状況」においては、丸囲みゼロの範囲の交通監視活動に関する情報が第2の監視予定情報となる。
【0102】
例えば、自車両が位置する区画領域でのシートベルト取締に関する監視予定情報については、現在実施中あるいは実施予定の監視予定情報だけでなく、実施済みの監視予定情報についても時間的な近接性が満たされる「事前状況」にあるとして取り扱いできる。例えば、「○月×日午後、○○署管内で、シートベルト取締が行われました。シートベルトが着用されているか確認しましょう。」等のように実施された頻度や、直近に実施された時期等を併せて報知することも良い。このような報知を実行すれば、日頃から取締に対する「意識付け」を行うことができる。
【0103】
実施済みの過去の監視予定情報であっても、同じ場所で再度、同様の取締が実施される可能性がある。あるいは次回の交通監視活動に関する情報が公開取締情報として公表されていない可能性もある。それ故、上記のような過去の交通監視活動に関するメッセージは、運転者が安全運転を遂行する上での有用な参考となる。実施済みの過去の監視予定情報等は、現在時刻等の現在情報が監視予定情報には一致していないが、時間的な近接性の条件を満たすとして選択される。
【0104】
なお、過去の監視予定情報を選択等するためには、例えば、スマートフォン(多機能型携帯電話)等で採用されているSQLiteのような組込用データベースを搭載すると共に、日時、場所の座標範囲、取締内容等をテーブルに設定しておくことも良い。当然ながら「過去分」の監視予定情報をある程度の期間、消さずにとっておく必要がある。例えば、場所を検索キーとして設定すれば、GPS受信部13による位置情報がテーブル中の「場所の座標範囲」に含まれる監視予定情報の選択等が可能になる。検索キーとしては場所に限らず、時刻や車速等の車両情報等を利用できる。例えば、時間を検索キーに設定すれば、現在時刻から先の時間帯の取締を自車両位置を含む比較的広い範囲(例えば県単位)で検索することができる。例えば、「○○地区ではこれからの時間帯、○日前に、××取締が実施されました。注意しましょう。」のような報知が可能になる。実施済みの交通監視活動に対応する過去の監視予定情報(第2の監視予定情報)に限らず、実施予定の交通監視活動に対応する未来の監視予定情報(第1の監視予定情報)に関するメッセージによる報知を実行することも良い。このような報知があれば、運転者等が、数日前にこれからの取締の予定を前もって知ることができる。
【0105】
なお、過去の交通監視活動の監視予定情報に関するメッセージであるか、未来の交通監視活動の監視予定情報に関するメッセージであるか、を運転者側から区別可能なようにメッセージを表示することも良い。例えば、メッセージの表示色や背景色を変更すれば、運転者側から区別し易くなる。
所定の時間的な範囲は、交通監視活動の種別毎に異なる範囲を設定することもできる。例えば、速度取締など重要度合いの高い交通監視活動について長めの時間的範囲を設定する一方、交通キャンペーンなど重要度合いの低い交通監視活動については短めの時間的範囲を設定できる。
【0106】
(2)場所的な近接性が満たされる事前状況。
場所的な近接性が満たされる「事前状況」としては、例えば、自車両が位置する区画領域が交通監視活動の対象区画領域に隣接している一方、現在時刻がその監視期間に含まれるか、あるいは直前であるような状況がある。例えば、自車両が位置する区画領域に隣接する他の区画領域において実施中のシートベルト取締に関する監視予定情報については、現在情報が表す状況が場所的な近接性を満たす「事前状況」にあると判断される。なお、そのシートベルト取締の監視予定情報に基づくメッセージは、隣接する区画領域で実施中の交通監視活動であることを特定可能に表示することが良い。例えば、現在情報に適合する監視予定情報とは、メッセージの表示色を変えたり、背景色を変更したりするのが良い。
【0107】
場所的な近接性が満たされる事前状況は、現在情報の一つである自車両位置が監視地点あるいは監視エリアに一致していないが、その監視地点あるいは監視エリアに対して所定の位置的な範囲内であるという場所的な近接性の条件が満たされる状況である。例えば、監視地点あるいは監視エリアを包含する区画領域(
図8中の丸囲みゼロの領域)ではなく、その区画領域に隣接する他の区画領域(同図中の丸囲み数字1~6の領域)のうちの少なくともいずれかを、前記所定の位置的な範囲として設定することも良い。なお、
図8では、各領域を模式的に正六角形で図示しているが、当然ながら、各領域の形状は領域毎に様々である。
【0108】
例えば、監視予定情報に係る区画領域外に自車両が位置しているが、数時間以内にその区画領域への進入が可能な所定の(距離)範囲内であって、かつ、進行方向の延長線がその区画領域と交差する場合に、その区画領域に係る監視予定情報を「事前状況」にあると判断することも良い。この場合には、監視予定情報に係る区画領域に進入する前に、事前にその監視予定情報に係る取締予定を運転者に認識させることができる。例えば、交通監視活動が一時停止取締であれば、その取締が実施される区画領域内への進入が予想される他の区画領域内のいずれかの交差点で停止した旨の現在情報が取得された報知タイミングで、一時停止取締に関する報知情報が事前に報知されることになる。交差点での停止という状況と、交通監視活動が一時停止取締であるという関係付けにより、運転者に対して事前に一時停止取締の実施を報知でき、これにより、交差点通過時は注意を要する旨を運転者に印象付けできる。
【0109】
例えば、監視地点を通る経路あるいは一部が前記監視エリアに属する経路を、場所的な近接性が満たされる所定の位置的な範囲として設定することも良い。当然ながら、このような位置的な範囲を設定するためには、例えば、道路を表す経路情報を第1DBに格納しておく必要がある。
例えば、監視地点を通る経路あるいは一部が監視エリアに属する経路に加えて当該経路に接続する他の経路を、前記所定の位置的な範囲として設定することも良い。当然ながら、この場合には、異なる経路間の接続関係を表すリンク情報を第1DBに格納しておく必要がある。
【0110】
例えば、目的地までの経路のうち監視地点を通る経路あるいは一部が監視エリアに属する経路を、前記所定の位置的な範囲として設定することも良い。このような位置的な範囲を設定するためには、例えば、目的地までの経路を計算するナビゲーション機能を設けるか、あるいは別体のナビゲーション装置から経路計算結果である経路案内情報を取り込む必要がある。この経路案内情報を活用すれば、目的地までの経路が属する区画領域に監視地点が位置する交通監視活動に関する監視予定情報を「事前状況」にあると判断できるようになる。さらに、道路の接続関係を表すリンク情報を第1DBに格納しておくことも良い。リンク情報を利用すれば、自車両が走行中の経路に接続されており、これから自車両が進入する可能性がある他の経路を選択できる。選択された他の経路が属する区画領域に監視地点が位置する交通監視活動に関する監視予定情報を「事前状況」にあると判断できるようになる。
【0111】
(3)現在情報と関連性を有する事前状況。
交通監視活動の事前状況として、現在情報と所定の関連性を有する状況を設定することも良い。例えば、車速(現在情報)が高いという状況について、速度取締等の交通監視活動に対する事前状況と判断することも良い。例えば、移動式オービス等による過去の速度取締の監視予定情報に基づく報知情報を報知すれば、運転者に制限速度を意識付けでき、制限速度を遵守した安全運転を促すことができる。この場合には、例えば、(1)時間的な近接性や(2)場所的な近接性が満たされていなくても、事前状況と判断して報知を実行しても良い。スピードの出し過ぎに注意するように運転者の動機付けとなる。
例えば、シートベルトを非装着の状況について、検問等の交通監視活動に対する事前状況と判断することも良い。過去の交通安全週間や検問等の監視予定情報に基づく報知情報を報知すれば、運転者にシートベルト装着を促すことができる。
【0112】
車両周辺の状況を表す現在情報(運転情報)としては、前方に車両が走行しているとか、後方から接近してくる車両があるとか、併走する車両がある等の情報や、前方の信号が赤であるとか、前方に横断歩道があるとか、前方に歩行者がいる等の情報や、夕方になって暗くなったとか、雨が降ってきた等の情報等、さまざまな情報がある。これらの現在情報は、例えば、ミリ波レーダーや、レーザーレーダや、超音波ソナーや、撮像カメラや、雨滴センサや、照度センサや、赤外線センサ等の検知センサによって取得可能である。
【0113】
例えば、前方に車両が走行している状況では、例えば、事故多発地帯という交通情報の事前状況にあるとして報知を実行し、運転者の注意を促すことも良い。追突事故等の発生を未然に防止できる。例えば、歩行者が歩いている交差点に近づいたことを検知した状況や、交差点に近づいたときに運転者の視線が前方に向かっていない状況等であれば、過去の一時停止取締に関する情報を報知することも良い。歩行者に対する注意や、交差点に対する注意等を喚起でき、交通安全を向上できる。
【0114】
なお、場所的な近接性や時間的な近接性による「事前状況」について、例えば、いずれか一方の近接性が満たされたときに報知を実行することも良い。このとき、報知する情報量が過大になる場合であれば、場所的な近接性または時間的な近接性が満たされた状況下であって、かつ、現在情報に関連性を有する事前状況にあるときに報知を実行するように構成しても良い。例えば、場所的な近接性と時間的な近接性との組み合わせによる「事前状況」を設定しても良い。例えば、自車両位置も、現在時刻も、監視予定情報には適合していないが、場所的な近接性の条件および時間的な近接性の条件を満たす監視予定情報が選択されることになる。例えば、自車両が位置する区画領域の隣の区画領域において、過去に実施されたシートベルト取締に関する監視予定情報を選択できるようになり、対応するメッセージの表示が可能になる。
【0115】
報知情報としてのメッセージを表示する報知タイミングとして、次のようなタイミングを設定することも良い。例えば、自車両が位置する区画領域あるいは隣接する区画領域について、シートベルト取締に関する監視予定情報があれば、車両イグニションがオンに切り換えられて運転支援システム1への電力供給が開始された時点を報知タイミングとして、シートベルト取締に関する報知情報を報知することも良い。
【0116】
シートベルト装着を表す車両信号(車両情報)を現在情報として取得することも良い。シートベルト装着済みである場合と非装着の場合とでは、シートベルト取締に関する報知を行う必要性に差がある。非装着の場合には、例えば、報知する際にチャイム音を出力する等、重要な情報であることを示して報知したり、繰り返し報知することができる。一方、装着済みの場合には、一般情報であるように簡単に報知することも良く、報知を止めても良い。
【0117】
一般道路を走行中に車速(現在情報)が制限速度を超過したとき、自車両が位置する区画領域あるいは隣接する区画領域について、速度取締に関する監視予定情報があれば、車速が制限速度を超過した時点を報知タイミングとして、速度取締に関する報知情報を報知することも良い。
一般道路を走行中に交差点に近づいたとき、交通安全キャンペーンに関する監視予定情報があれば、交差点への接近を報知タイミングとして、交通安全に関する報知情報を報知することも良い。なお、交差点への接近は、第1DBに格納された地図情報あるいは道路の路線情報と、GPS受信部13が取得する位置情報と、に基づいて検知可能である。
【0118】
本例の運転支援システム1によれば、公開取締情報に係る交通監視活動の対象ではない状況下で、「事前」にその交通監視活動に関する情報を報知することが可能となっている。「事前」に情報を報知する場合としては、公開取締情報が未来の情報であって現在情報はその対象範囲外であるが交通監視活動の事前の段階として報知する場合と、現在情報に関連する過去(実施済み)の公開取締情報を報知して運転者自身に予見させる(意識させる)ために報知する場合と、がある。
【0119】
このように、本例の運転支援システム1では、場所が一致しない監視予定情報や過去の監視予定情報についても、現在の状況と所定の関連性を有する状況下で報知される。例えば、過去の監視予定情報に基づく報知を実行すれば、現在の状況に関連した取締が過去になされていることから、注意を要することを運転者に意識付けることが可能になる。実施済みの交通監視活動に関する公開取締情報であっても、運転者側では、その事後的な情報を利用して交通監視活動に対する事前の予測や推測が可能となる。
【0120】
この運転支援システム1によれば、現時点で実際に実施されている交通監視活動だけでなく、将来的に実施される交通監視活動や、過去に実施された交通監視活動に関する情報を運転者に提供することができる。さらに、自車両位置に対して場所が一致している交通監視活動だけでなく、場所は不一致であるが現在の状況と関連性を有する交通監視活動に関する情報を運転者に提供できる。運転者は、自車両の近くで実施されている監視活動だけでなく、将来的に実施される可能性のある交通監視活動や、過去に実施された交通監視活動や、離れた場所で実施される交通監視活動を把握でき、交通事故が発生し易い場所での運転に一層留意できる。
【0121】
なお、本例の運転支援システム1は、自車両が位置する区画領域を市区町村単位で特定可能である。この運転支援システム1によれば、高速道路上であるか、一般道上であるかに関わらず、自車両位置を市区町村単位でより詳細に特定でき、運転者にとって有用な情報を提示できる。
【0122】
運転支援システム1は、監視活動が実施される地域をカバーする区画領域を、SDカード171に記憶された第3DBに基づいて特定することができる。第3DBには、領域情報が1つ以上対応付けられた監視予定情報が格納されている。自車両が位置する区画領域の領域情報と、監視予定情報に含まれる区画領域の領域情報とは、何れも市区町村単位で定められている。運転支援システム1は、自車両が位置する区画領域において監視活動が実施されているか否かを、第3DBに基づいて画一的に特定可能である。この運転支援システム1によれば、自車両が実際に位置する場所の近くで実施されている監視活動に関する情報のメッセージを、容易かつ確実に特定して運転者に通知できる。
【0123】
表示部14には、運転者にとって必要なメッセージ(報知情報)のみ表示されることになる。したがって、不要なメッセージが多数表示されてしまうことによって、必要な情報を運転者が見落としてしまうおそれを未然に抑制できる。運転支援システム1は、監視活動が実施される地域として「~署管内」「~方面」「~号線沿線」等が公表された場合でも、公表された地域を少なくとも含む市区町村に車両が進入したか否かを特定できる。第3DBに格納されている監視予定情報には、交通監視活動が実施される区画領域の領域情報が、市区町村単位で対応付けられるためである。このため運転支援システム1は、車両の位置に適したメッセージを監視予定情報に基づいて生成でき、運転者に対して報知可能となっている。運転者にあっては、自車両位置の近くで実施されている監視活動に関する情報を容易に把握できる。
【0124】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば運転支援システム1は、無線受信部12を備えない構成であっても良い。運転支援システム1は、外部に取り付けられた無線受信部から出力されるRSSIの電圧レベルに基づいて、報知対象物と車両との間の距離を把握してもよい。また運転支援システム1は、GPS受信部13を備えない構成であっても良い。運転支援システム1は、外部に取り付けられたGPS受信部から出力される位置情報に基づいて、車両位置を把握しても良い。また運転支援システム1は、表示部14及びスピーカ15を備えない構成であっても良い。運転支援システム1は、外部のディスプレイを制御することによって、外部のディスプレイに所望の画像を表示させても良い。外部のディスプレイは、例えば車両に取り付けられたカーナビゲーションシステムのディスプレイであっても良い。また運転支援システム1は、外部のスピーカを制御することによって、外部のスピーカから所望の音を出力させても良い。外部のスピーカは、例えば、車両に取り付けられたスピーカであっても良い。
【0125】
例えば、現在情報として特定された車速が高い状況について、速度取締等の交通監視活動に対する事前状況と判断することも良い。例えば、移動式オービス等による過去の速度取締の監視予定情報に基づく報知情報を報知すれば、運転者に制限速度を意識付けでき、制限速度を遵守した安全運転を促すことができるという効果が生じる。例えば、シートベルトを非装着という現在情報について、検問等の交通監視活動に対する事前状況と判断することも良い。過去の交通安全週間や検問等の監視予定情報に基づく報知情報を報知すれば、運転者にシートベルト装着を促すことができるという効果が生じる。
【0126】
現在情報と関連性を有する事前状況としては、例えば、シートベルト取締であれば、エンジン始動を特定する現在情報が取得されたときの状況や、エンジンの始動後、運転を開始するまでの時間として想定される所定時間が経過したときの状況等がある。例えば、交通監視活動が飲酒取締であれば、午後6時以降の現在時刻と共に、繁華街方向から遠ざかる方向に向かう走行を示す現在情報が取得された状況が事前状況になり得る。例えば、交通監視活動が交差点関連取締であれば、交差点で停止したことを示す現在情報が取得された状況が事前状況になり得る。
【0127】
運転者に対する報知情報であるメッセージの内容は、各都道府県警察署から公表された公開取締情報に限定されず、例えば、各地方整備局で公表されている情報(規制内容、路線、住所、月日時間など)であってもよい。
【0128】
オペレータは、公表された公開取締情報に基づき、次のようにして第3DBを作成しても良い。オペレータは、公表された公開取締情報が、下記(1)かつ(3)の条件を満たすか、又は、下記(2)かつ(3)の条件を満たす場合、各種項目が対応付けられた監視予定情報を作成する。
(1)公開取締情報として、監視活動が実施される市区町村が公表されている場合。
(2)公開取締情報として、監視活動が実施される所轄や地域が公表されている場合。
(3)公開取締情報として、監視活動が実施される年月日及び時間が公表されている場合。
【0129】
上述では、公表された公開取締情報に基づき、監視予定情報を含む第3DBをオペレータが作成している。当然ながら本発明はこれに限定されない。交通取締情報を収集して監視予定情報を生成する収集手段を備えるサーバ(コンピュータ装置)により、監視予定情報を含む第3DBを自動的に作成する処理を行うようにしてもよい。具体的には以下のようにして実施すると良い。さらに、無線通信機能を備えた車載機器であれば、このサーバから監視予定情報をダウンロードしたり、第3DB自体をダウンロードすることも良い。
【0130】
各都道府県警察署のHPを介して公表された公開取締情報を、インターネットに接続されたサーバによって取得する。サーバは、例えば、予め記憶しているURLの各都道府県警察署のHPを定期的(例えば1日に1回など)にチェックし、公開取締情報が更新されているか否かを判断する。公開取締情報が更新されている場合、そのURLのページの公開取締情報を取得する。取得した公開取締情報のページの中の複数の公開取締情報から、監視予定情報、及び監視予定情報に対応付ける各情報(「都道府県」、「開始日」、「開始時間」、「終了日」、「終了時間」、及び「管轄」)を抽出する。そのページ内の複数の情報を抽出し、監視予定情報に対応付けて、
図2に例示したような情報を作成する。作成した情報は、サーバの記憶部に記憶される。
【0131】
公開取締情報によって公表される監視活動の実施地域は、例えば「都道府県」「所轄」「路線」等であり、監視予定情報に対応付けられる「実施場所」の単位である市区町村ごとに定められた区画領域の単位とは異なっている場合が多い。このような場合、サーバは以下のようにして、監視予定情報に対応付ける「実施場所」を特定する。
【0132】
サーバは、各都道府県警察毎に公開取締情報として公表される、交通監視活動が実施される地域(都道府県、所轄、路線等、以下「公開地域」という。)と、各都道府県警察間で共通の単位である市区町村の単位で特定された領域情報とが対応付けられた対応テーブルを、予め記憶部に記憶している。公開地域に対応付けられる領域情報は、交通監視活動が実際に実施される区画領域の領域情報を少なくとも含んでいる。例えば、一の公開地域に複数の領域情報が対応付けられる場合もある。サーバは、各都道府県警察署のHPから公開取締情報を取得した場合、取得した公開取締情報に含められている公開地域を抽出する。そして、記憶部に記憶された対応テーブルを参照し、抽出した公開地域に対応する領域情報を特定する。特定した領域情報を「実施場所」として監視予定情報に対応付ける。さらに、監視予定情報には、公開取締情報から抽出した「都道府県」、「開始日」、「開始時間」、「終了日」、「終了時間」、及び「管轄」を対応付ける。そして、各種情報を対応付けた監視予定情報を記憶部に記憶する。なお、区画領域の特定方法は、上述の方法に限定されない。
【0133】
第2サブ表示領域23に表示するメッセージに、監視予定情報以外の情報、例えば、強化月間、旬感、習慣などのイベント等の情報、道路規制情報(工事規制、災害による交通規制)等を含めても良い。例えば道路規制情報を表示することによって、運転者は、規制されているルートを未然に回避することができる。なお交通監視活動以外の情報は、第3DBと共にSDカード171に記憶されており、これらの情報を読み出して、メッセージに格納してもよい。
【0134】
第2サブ表示領域23に表示するメッセージ中の各フェーズに格納するタイトル及び監視予定情報は、連続して並べられスクロール表示された場合であってもわかりやすいように、監視活動の種別、監視活動が実施される期間、及び、監視活動が実施される地域ごとに背景色や色文字で仕分けしたり、先頭にアイコンをつけたりしてもよい。また
図4に示すように、メッセージ全体が把握できるように、タイトルに全件数を付加し、監視予定情報毎にページ件数を付加しても良い。
【0135】
運転支援システム1は、次のような場合にも、第2サブ表示領域23に表示するメッセージを生成しても良い。「実施場所」が対応付けられていない監視予定情報が第3DBに格納されていると仮定する。このような監視予定情報のうち、自車両が位置する都道府県と同一の都道府県が、「都道府県」として対応付けられている監視予定情報をすべて抽出する。抽出した監視予定情報に対応付けられている「開始日」、「開始時間」、「終了日」、「終了時間」(
図2参照)に基づき、交通監視活動が実施される期間を特定する。特定された期間内に、S106で特定された現在日時が含まれる監視予定情報を選択し、選択した監視予定情報に基づいてメッセージを作成する。運転支援システム1は、自車両が位置する都道府県内で実施されている監視活動に関する監視予定情報を選択し、メッセージを生成することになる。
【0136】
以上、実施例のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形、変更、あるいは適宜組み合わせた技術を包含している。
【符号の説明】
【0137】
1 運転支援システム
11 制御部(制御手段)
12 無線受信部
13 GPS受信部
14 表示部
15 スピーカ
16 記憶部
17 カードリーダ
171 SDカード
41 メッセージ