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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】電子機器及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/76 20060101AFI20241111BHJP
   G07C 5/00 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
H04N5/76
G07C5/00 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023171773
(22)【出願日】2023-10-03
(62)【分割の表示】P 2021206692の分割
【原出願日】2014-10-30
(65)【公開番号】P2023174729
(43)【公開日】2023-12-08
【審査請求日】2023-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】391001848
【氏名又は名称】株式会社ユピテル
(72)【発明者】
【氏名】服部 哲也
(72)【発明者】
【氏名】高橋 圭三
(72)【発明者】
【氏名】神谷 忠勝
【審査官】大西 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-145734(JP,A)
【文献】特開2005-151546(JP,A)
【文献】特開2006-254270(JP,A)
【文献】特開2006-345165(JP,A)
【文献】特開2007-317285(JP,A)
【文献】特開2009-087011(JP,A)
【文献】特開2010-074291(JP,A)
【文献】特開2011-221811(JP,A)
【文献】特開2012-003607(JP,A)
【文献】特開2012-169754(JP,A)
【文献】特開2013-061727(JP,A)
【文献】特開2013-225219(JP,A)
【文献】国際公開第2010/150348(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/76 - 5/775
G07C 1/00 -15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられ、
イベント記録を行う機能と、
連続記録を行う機能であって、連続記録による映像データの記録を、イベント記録による映像データの記録と同一の記録領域に対して行う機能と、
前記連続記録に用いられる記録可能領域の容量が所定値以下にならないように、前記イベント記録の少なくとも一部の映像データを前記同一の記録領域から消去する機能と、
を有する電子機器。
【請求項2】
車両に設けられ、
イベント記録を行う機能と、
連続記録を行う機能であって、連続記録による映像データの記録を、イベント記録による映像データの記録と同一の記録領域に対して行う機能と、
前記連続記録に用いられる記録可能領域の容量を一定量確保するように、前記イベント記録の少なくとも一部の映像データを前記同一の記録領域から消去する機能と、
を有する電子機器。
【請求項3】
前記消去する機能が消去する処理は、容量不足により前記連続記録することができない状態を回避することが可能な容量を常に確保する処理である
請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記消去する機能が消去する処理は、過去の所定時間においてイベント記録した頻度に応じたファイル数のイベント記録ファイルを消去する処理である
請求項1から3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の電子機器の機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像データを記録する電子機器及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、映像データを常時記録及びイベント記録するドライブレコーダ等の電子機器が知られている。常時記録は、アクセサリスイッチがオンしている間など、電子機器へ外部から電源が供給されている場合に通常切れ目なく映像データを記録するものである。アクセサリスイッチは、車載バッテリから車両に備わるオーディオ等のアクセサリ類に対する電力の供給と電力の供給の遮断とを切り替えるスイッチである。イベント記録は、電子機器に備わっている加速度センサーにおける検出値が所定の閾値を超えた場合等の、車両の運行中の危険状態や事故等のイベントの発生を契機として映像データを記録するものである。
【0003】
このような電子機器としては、記録方法の相違により、主に2つの方式が存在している。
【0004】
この2つの方式のうち一方の方式は、常時記録のための記録領域と、イベント記録のための記録領域と、を個別に管理して記録するものである(例えば、特許文献1)。この方式によれば、常時記録のための記録領域に記録可能なファイル数と、イベント記録のための記録領域に記録可能なファイル数と、を予め設定しておく。そして、各記録領域において、設定したファイル数に達した場合には、最も古いファイルに上書きして常時記録又はイベント記録を行う。この方式では、イベント記録の頻度が極端に少ない場合、記録領域を効率よく使用できないという課題を有する。
【0005】
上記の2つの方式のうち他方の方式は、常時記録のための記録領域と、イベント記録のための記録領域と、を一体に管理して記録するものである。この方式によれば、同一の記録領域に対して、映像データを常時記録すると共に、イベントが発生する毎に映像データをイベント記録していく。この際、常時記録した映像データと、イベント記録した映像データと、で記録領域が一杯になった場合、イベント記録済みの映像データに対して上書きすることなく、常時記録済みの映像データのうち最も古い映像データに上書きして、新たに常時記録及びイベント記録を行う。そして、イベント記録による映像データで記録領域が一杯になった場合には、記録を停止する。この方式によれば、イベント記録の頻度が少ない場合であっても、記録容量を効率よく使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2010-74291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、常時記録のための記録領域と、イベント記録のための記録領域と、を一体に管理して記録する方式の従来の電子機器においては、イベント記録した映像データで記録領域が一杯になった場合に記録を停止するので、記録領域がなくなったことに気付かない場合には映像データを記録できないために映像を見ることができず、また、再び記録させるためには、例えば、記録媒体を電子機器から取り出して、パーソナルコンピュータ等のハードディスクに移動する等、手動で他の媒体に映像データを移し替えないといけないため面倒であるという課題を有する。
【0008】
本発明の目的は、映像データを移し替える作業等を行わなくても映像データを記録させて見ることができ、映像データを移し替える作業等を行う煩わしさを極力回避することができる電子機器及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)映像データを連続的に記録する連続記録と、前記映像データを所定のイベントが発生する毎に断続的に記録する断続記録と、を同一の記録領域を共用して行う電子機器であって、前記記録領域における前記連続記録に用いられる記録可能領域の容量に応じて、前記記録領域に対して前記断続記録を行った前記映像データの少なくとも一部を消去して前記記録可能領域の容量を確保する記録制御手段を有することを特徴とする。
【0010】
このようにすることで、映像データを移し替える作業等を行わなくても映像データを記録させて見ることができ、映像データを移し替える作業等を行う煩わしさを極力回避することができる。映像データを連続的に記録する連続記録としては、所定時間に亘って切れ目なく映像データを記録するとよく、例えば車両のアクセサリスイッチをONしている間など電子機器に対して車両などの外部から電源が供給されているときに映像データを常時記録するとよい。このようにすることで、所定時間の映像データを漏れなく記録させて見ることができる。所定のイベントの発生としては、車両の状態や車両外の状況に応じて起こる出来事とするとよく、例えば車両の加速度の値が閾値を超えた場合、現在位置と予め設定した眺めの良いビューポイントとの距離が所定距離以内になった場合、現在位置と予め設定した交差点や事故多発地帯等の注意を促す場所との距離が所定距離以内になった場合とするとよい。また、車両の状態や車両外の状況は、測位システムを用いた測位により求めた車両の現在位置と交差点や事故多発地帯等の注意を促す場所との距離、測位システムを用いた測位により求めた車両の現在位置とビューポイントとの距離、又は、電子機器に設けられたセンサーにおける検出値と閾値との比較結果により判断するとよく、例えばGPS(Global Positioning System)を用いた測位により求めた車両の現在位置と交差点や事故多発地帯等の注意を促す場所との距離が所定距離以内か否か、GPSを用いた測位により求めた車両の現在位置とビューポイントとの距離が所定距離以内か否か、又は、加速度センサーにおける加速度の検出値が閾値以上であるか否かなどにより判断するとよい。このようにすることで、測位システムを用いた測位により求めた車両の現在位置、又はセンサーの検出値に応じて、映像データを連続記録とは別に断続記録させて見ることができる。
【0011】
映像データを所定のイベントが発生する毎に断続的に記録する断続記録としては、イベントが発生した際の映像データを、連続記録の記録時間よりも短い時間且つイベント発生時刻を含む時間記録するとよく、例えば加速度センサーにより検出した加速度の検出値が閾値を超えた場合の映像データを、連続記録の記録時間よりも短い時間且つ加速度の検出値が閾値を超えた時刻を含む時間記録するとよい。このようにすることで、イベントが発生した際の映像データを、連続記録した映像データとは別に効率よく見ることができる。記録領域としては、所定のファイルシステムでフォーマットされたメモリカードの所定の領域とするとよく、例えばFAT(File Allocation Table)形式のファイルシステムでフォーマットされたメモリカードにおける、映像データを記録する領域であるデータ領域とするとよい。このようにすることで、連続記録により作成した連続記録ファイルの映像データと、断続記録により作成した断続記録ファイルの映像データと、をメモリカードの所定の領域に記録させてファイルとして管理することができる。同一の記録領域の共用としては、同一の記録領域に映像データを連続記録することも断続記録することもできるようにするとよく、例えば所定のファイルシステムでフォーマットされた記録媒体のデータ領域の各クラスタに、映像データを連続記録することも断続記録することもできるようにするとよい。このようにすることで、記録領域における、映像データを断続記録させる領域
と、映像データを連続記録させる領域と、の割り合いをその記録させる頻度に応じて変化させることで、映像データを移し替える作業等を行わない場合において記録領域を効率よく使用させることができる。
【0012】
記録領域における連続記録に用いられる記録可能領域の容量としては、記録領域における連続記録に用いられる最小管理領域により定まる量とするとよく、例えばファイルシステムでフォーマットした記録媒体のデータ領域に映像データを記録する場合において、連続記録ファイルの映像データを記録するデータ領域のクラスタ数により定まる量とするとよい。このようにすることで、記録領域に記録する映像データの管理の一環として連続記録のための記録可能領域の容量を把握することができる。記録領域に対して断続記録を行った映像データの少なくとも一部の消去としては、断続記録済みの映像データのうち、より過去に記録された映像データから順に選択した少なくとも一部の映像データとするとよい。また、少なくとも一部の消去としては、記録領域に対して断続記録を行った映像データの全部又は一部を消去するようにするとよい。このようにすることで、見る可能性の高い最近に断続記録した映像データを優先的に残しておくことができる。
【0013】
記録可能領域の容量の確保としては、断続記録済みの映像データに上書きすることなく、連続記録済みの映像データに上書きして新たに連続記録及び断続記録する際に、連続記録のための記録可能領域の容量がその後の断続記録により直ぐに無くなってしまうことのない程度の容量を確保するとよく、例えばファイルシステムを用いて管理されるデータ領域において、過去の所定時間において断続記録した頻度に応じたファイル数の断続記録ファイルを消去して記録可能領域の容量を確保するとよい。このようにすることで、断続記録された映像データを消去する処理を頻繁に発生させないようにすることができる。
【0014】
(2)前記記録制御手段は、前記連続記録及び前記断続記録により前記記録領域の容量が一杯になった場合に、前記記録領域に対して前記連続記録を行った前記映像データに上書きして新たに前記連続記録及び前記断続記録を行う一方、前記記録可能領域の容量が所定値以下にならないように前記消去を行うことを特徴とする。
【0015】
このようにすることで、連続記録に用いられる記録可能領域の容量を常に確保することができ、映像データを漏れなく連続記録することができる。連続記録及び断続記録により記録領域の容量が一杯になった場合としては、記録領域に記録された映像データに上書きしないと連続記録及び断続記録することができない状態になった場合とするとよい。このようにすることで、記録領域に記録された映像データに上書きしないと連続記録及び断続記録することができない状態まで、映像データを連続記録及び断続記録させることができ、記録領域を効率よく使用させることができる。記録可能領域に対して連続記録を行った映像データに上書きして連続記録及び断続記録することとしては、連続記録済みの映像データに上書きして映像データを連続記録すると共に、イベントが発生した際に、連続記録済みの映像データに上書きして映像データを断続記録するとよい。このようにすることで、映像データを移し替える作業等を行わない場合であっても映像データを連続記録及び断続記録させることができる。記録可能領域の容量としては、記録領域における連続記録に用いられる最小管理領域により定まる量とするとよく、例えばファイルシステムでフォーマットした記録媒体のデータ領域に映像データを記録する場合において、連続記録ファイルの映像データを記録するデータ領域のクラスタ数と、クラスタの容量と、を乗算して求めた量とするとよい。このようにすることで、記録領域に記録する映像データの管理の一環として連続記録のための記録可能領域の容量を把握することができる。記録可能領域の容量が所定値以下にならないように消去する処理としては、容量不足により連続記録することができない状態を回避することが可能な容量を常に確保する処理とするとよく、例えばファイルシステムでフォーマットした記録領域に映像データを記録する際において、断続記録済みの断続記録ファイルを10ファイル消去して確保した容量とするとよい。この
ようにすることで、容量不足により連続記録できない状態を回避することができるので、映像データを途切れさせることなく連続記録させて見ることができる。
【0016】
(3)前記記録制御手段は、前記連続記録及び前記断続記録により前記記録領域の容量が一杯になった場合に、前記記録領域に対して前記連続記録を行った前記映像データに上書きして新たに前記連続記録及び前記断続記録を行う一方、前記記録可能領域の容量が無くなった場合に前記消去を行うことを特徴とする。
【0017】
このようにすることで、連続記録に用いられる記録可能領域の容量が無くなった場合に、連続記録に用いられる記録可能領域の容量を確保することができる。連続記録及び断続記録により記録領域の容量が一杯になった場合としては、記録領域に記録された映像データに上書きしないと連続記録及び断続記録することができない状態になった場合とするとよい。このようにすることで、記録領域に記録された映像データに上書きしないと連続記録及び断続記録することができない状態まで、映像データを連続記録及び断続記録させることができ、記録領域を効率よく使用させることができる。記録領域に対して連続記録を行った映像データに上書きして連続記録及び断続記録する処理としては、連続記録済みの映像データに上書きして映像データを連続記録すると共に、イベントが発生した際に、連続記録済みの映像データに上書きして映像データを断続記録するとよい。このようにすることで、映像データを移し替える作業等を行わない場合であっても映像データを連続記録及び断続記録させることができる。記録可能領域の容量としては、記録領域における連続記録に用いられる最小管理領域により定まる量とするとよく、例えばファイルシステムでフォーマットした記録媒体のデータ領域に映像データを記録する場合において、連続記録ファイルの映像データを記録するデータ領域のクラスタ数とするとよい。このようにすることで、記録領域に記録する映像データの管理の一環として連続記録のための記録可能領域の容量を把握することができる。記録可能領域の容量が無くなった場合としては、ファイルシステムにより管理される記録領域の最小管理領域毎に連続記録ファイルの映像データを記録する場合において、連続記録ファイルの映像データの記録に用いることが可能な最小管理領域が無くなった場合とするとよく、例えばファイルシステムを用いて管理されるデータ領域において、連続記録ファイルの映像データの記録に用いることが可能なクラスタが無くなった場合とするとよい。このようにすることで、連続記録ファイルの映像データを記録するための最小管理領域が無くなっているか否かを判断するだけの簡単な処理を行うために処理速度の速い電子機器を実現できる。また処理負荷が小さくて済むので、安価の処理装置で電子機器を構成できる。さらには、たとえば判定回路・削除回数等を減らせるため、映像の記録が途切れる可能性を小さくすることもできる。したがって、ユーザは、安価に機器を購入でき、途切れることのない映像を得ることが従来よりも確実にできる。
【0018】
(4)前記記録制御手段は、ファイルシステムを用いて前記記録領域の最小管理領域毎に前記映像データを記録して、前記連続記録により連続記録ファイルを作成する一方、前記断続記録により断続記録ファイルを作成し、前記連続記録ファイルの前記映像データを記録した前記最小管理領域に基づいて前記記録可能領域の容量を算出することを特徴とする。
【0019】
このようにすることで、連続記録ファイル及び断続記録ファイルを、ファイルシステムを用いて記録することができる。ファイルシステムとしては、FAT(File Allocation Table)を用いるとよい。このようにすれば、連続記録ファイルと断続記録ファイルとを区別して管理することができ、パソコン等で記録されたファイルを容易に読み出して再生させることができる。連続記録ファイルは、ファイルシステムを用いて連続記録した映像データのファイルであり、例えばファイルシステムを用いて常時記録した映像データのファイルであり、他のファイルと識別可能なファイル名が付与される。断続記録ファイルは、
ファイルシステムを用いて映像データを所定時間に亘って断続記録したファイルであり、例えばファイルシステムを用いてイベント発生毎にイベント発生時刻を含む1分間に亘って映像データを断続記録したファイルであり、他のファイルと識別可能なファイル名が付与される。このようにすれば、ファイル名を見て連続記録ファイルと断続記録ファイルとを識別することが可能となり、容易に識別することができる。記録領域の最小管理領域としては、クラスタとするとよい。このようにすることで、記録領域に記録された映像データを、クラスタ毎に管理することができる。最小管理領域に基づいて記録可能領域の容量を算出する処理としては、連続記録ファイルを作成して記録する際に、連続記録ファイルの映像データを記録するために用いられる記録可能領域における最小管理領域より容量を算出するとよく、例えばファイルシステムでフォーマットされた記録媒体のデータ領域のクラスタ毎に映像データを記録する際に、連続記録ファイルを記録するために用いられるクラスタ数より記録可能領域の容量を算出するとよい。このようにすることで、連続記録ファイルを作成して記録する際における映像データの管理の一環として、連続記録に用いられる記録可能領域の容量を算出させることができる。
【0020】
(5)前記消去を行う際に報知する報知手段を更に有することを特徴とする。
【0021】
このようにすることで、断続記録された映像データが消去されることを知ることができる。報知としては、断続記録した映像データを消去することを画像や音声でお知らせするとよく、消去を行う際としては、消去を行う前でもよく、消去中でもよいが、特に前記消去を行うことまたは消去をおこなったことをユーザが認識可能な態様での報知をする構成とするとよい。このようにすることで、記録された映像データを移し替えないために断続記録された映像データが消去されることを、消去を行う前、消去中又は消去を行った後に画像や音声で知らせてもらうことができる。消去をおこなったことをユーザが認識可能な態様で報知する構成としては、例えば「古いイベントファイルを消しました」という表示をする構成とするとよい。このようにすることで、古いイベントファイルを消去することにより連続記録ファイルを記録するための容量が確保されたことを認識することができ、途切れることなく連続記録が行われるとの安心感を得ることができる。
【0022】
(6)前記記録制御手段は、前記断続記録により前記記録領域に記録した前記映像データのうち古い前記映像データから順番に前記消去を行うことを特徴とする。
【0023】
このようにすることで、記録しておく必要性の高い映像データを残しておくことができる。古い映像データとしては、ファイルシステムを用いて映像データをファイルとして管理する場合に、ファイル作成時刻が古い断続記録ファイルの映像データとするとよく、例えばファイルシステムを用いて映像データをファイルとして管理する場合に、メモリカードのファイル管理領域に記録されている時刻情報が示すファイル作成時刻の古い断続記録ファイルの映像データとするとよい。このようにすることで、ファイル作成時刻の古い断続記録ファイルから順にファイル単位で一括消去させることができる。
【0024】
電子機器の機能はコンピュータに実現させるためのプログラムとして構成するとよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、映像データを移し替える作業等を行わなくても映像データを記録させて見ることができ、映像データを移し替える作業等を行う煩わしさを極力回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1の実施形態に係る電子機器の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第1の実施形態における常時記録ファイルの映像データを記録した領域及びイベント記録ファイルの映像データを記録した領域のデータ領域における領域の使用容量状態の変化を模式的に示す図である。
図3】本発明の第2の実施形態における常時記録ファイルの映像データを記録した領域及びイベント記録ファイルの映像データを記録した領域のデータ領域における領域の使用容量状態の変化を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を適宜参照して、本発明の実施形態につき、詳細に説明する。
【0028】
(第1の実施形態)
<ドライブレコーダの構成> 本発明の第1の実施形態におけるドライブレコーダ1の構成について、図1を用いて説明する。図1は、本実施形態におけるドライブレコーダ1のブロック図を示している。
【0029】
本発明に係る電子機器の一例であるドライブレコーダ1は、図1に示すように、GPS受信機9と、マイクロ波受信機10と、無線受信機11と、入力部12と、加速度センサー13と、表示部14と、ランプ15と、スピーカ16と、メモリカードリーダ17と、カメラ19と、データベース20と、制御部21と、を有している。
【0030】
GPS受信機9は、GPS衛星から電波により送られるGPS信号を受信し、受信したGPS信号に基づいて現在位置(経度・緯度)を求める。GPS受信機9は、求めた現在位置を現在位置情報として制御部21に出力する。GPS受信機9は、GPS衛星から電波により送られる時刻情報を受信し、受信した時刻情報を制御部21に出力する。
【0031】
マイクロ波受信機10は、外部の速度測定装置から出射される所定周波数のマイクロ波を受信する。マイクロ波受信機10は、受信したマイクロ波の信号レベルを検出し、その検出結果を制御部21に出力する。
【0032】
無線受信機11は、飛来する所定の周波数帯の電波の受信を検出した際に、その検出結果を制御部21に出力する。
【0033】
入力部12は、スイッチである。入力部12は、外部からの操作を検出して、その検出結果を制御部21に出力する。
【0034】
加速度センサー13は、ドライブレコーダ1にかかる加速度、ひいてはドライブレコーダ1を搭載する車両にかかる加速度を検出し、その検出値を制御部21に出力する。
【0035】
表示部14は、ドライブレコーダ1の図示しない本体の前面(車両後方(運転者側)に向く面)に備えられている。表示部14は、液晶ディスプレイであり、制御部21の制御により後述する表示を行う。
【0036】
ランプ15は、制御部21の制御に従って点灯又は点滅することにより、警報又は報知を行う。
【0037】
スピーカ16は、制御部21の制御に従って、音や音声により警報や報知を行う。
【0038】
メモリカードリーダ17は、ドライブレコーダ1の図示しない本体内のカード挿入口の内側に内蔵されており、リーダ、ライタ機能を有している。メモリカードリーダ17には、カード挿入口からメモリカード18が挿入されて着脱自在に装着される。メモリカードリーダ17は、メモリカード18が装着された際に、制御部21の制御により、メモリカ
ード18に記録されている映像データを読み込んで制御部21に出力し、制御部21から入力された映像データをメモリカード18に記録させる。
【0039】
メモリカード18は、FAT(File Allocation Table)32形式でフォーマットされており、映像データを記録したファイルを記録する。メモリカード18は、映像データを記録する領域であるデータ領域、及びその映像データをファイルとして管理するための領域であるファイル管理領域等を有している。メモリカード18のデータ領域は、FAT32を用いて、所定の容量を有するクラスタ毎に管理される。ここで、クラスタは、FAT32を用いて管理する際の最小管理領域である。また、1つのクラスタの容量は、例えば16KBである。
【0040】
カメラ19は、ドライブレコーダ1を車室内のダッシュボード上に取り付けた際に、車両の前方を撮影可能な向きでドライブレコーダ1に設けられている。カメラ19は、CCD(charge coupled device)等の撮像素子及びレンズを備え、そのレンズから入射される車両の前方の映像を撮像素子により検知し、その映像を映像データとして制御部21に出力する。
【0041】
データベース20は、制御部21に外付けしたEEPROM(ElectricallyErasable Programmable Read-Only Memory)である。データベース20には、出荷時に地図データが登録されている。データベース20には、予め設定された注意を促す場所等の位置情報が記録されている。ここで、注意を促す場所とは、交差点や事故多発地帯等である。
【0042】
制御部21は、マイコンであり、コンピュータと、プログラムを格納するEEPROMと、RAM(RandomAccess Memory)と、インタフェース等、を有している。制御部21は、車両に備えられている図示しないアクセサリスイッチがオンされることにより起動して、コンピュータがEEPROMに格納されているプログラムを実行することにより、以下の動作を実現する。
【0043】
制御部21は、メモリカード18の同一のデータ領域に、常時記録ファイル及びイベント記録ファイルの映像データを記録する。制御部21は、同一のデータ領域を共用して常時記録ファイル及びイベント記録ファイルの映像データを記録する。ここで、データ領域の共用とは、ファイルシステムを用いて映像データを記録するデータ領域の各クラスタに、常時記録ファイルの映像データを記録することもできるし、イベント記録ファイルの映像データを記録することもできることを言う。
【0044】
制御部21は、カメラ19から映像データを取得し、取得した映像データを例えば1分毎のファイルとしてメモリカード18に記録する処理を行う。制御部21は、1分分のファイルの記録が完了したらそのファイルをクローズし、次のファイルをオープンして記録を開始する。このようにして、制御部21は、メモリカード18のデータ領域に連続的に映像データを記録(以下、「常時記録」と記載する)する処理を行って、常時記録ファイルを作成する。制御部21は、常時記録ファイルを示す例えば「NOR」のアルファベットに、その常時記録ファイルを作成する日時を付加した常時記録ファイルのファイル名と、その常時記録ファイルを作成する時刻を示す時刻情報と、その常時記録ファイルの映像データを記録するデータ領域に関する情報と、をメモリカード18のファイル管理領域に記録する処理を行う。ここで、データ領域に関する情報は、映像データを記録したデータ領域のクラスタ番号等である。
【0045】
制御部21は、加速度センサー13から入力された加速度の検出値が閾値以上の場合、GPS受信機9から入力された現在位置情報が示す現在位置と、データベース20から読み出した注意を促す場所の位置情報が示す位置と、の距離が所定距離以下になった場合、
所定の周波数の電波を受信した検出結果が無線受信機11から入力された場合、又は、所定の信号レベルのマイクロ波を受信した検出結果がマイクロ波受信機10から入力された場合に、イベントが発生したものと判断する。
【0046】
制御部21は、イベントが発生したものと判断した際の映像データを記録した常時記録ファイルを、イベント発生毎にイベント発生時刻を含む1分分の映像データを断続的に記録するイベント記録ファイルに変更する処理を行う。具体的には、制御部21は、イベント発生時の映像データを記録した常時記録ファイルのファイル名の「NOR」のアルファベットを、イベント記録ファイルを示す例えば「EVT」のアルファベットに変更してイベント記録ファイルとする。これにより、制御部21は、イベントが発生する毎に映像データをメモリカード18のデータ領域に断続的に記録する。なお、イベント記録ファイルの時刻情報及びデータ領域に関する情報は、ファイル名を変更する前の常時記録ファイルのものを使用する。
【0047】
制御部21は、データベース20に記録されている注意を促す場所の位置情報の位置に接近した際に、ランプ15を点滅若しくは点灯させて警報するか、又は、スピーカ16により音声で警報する警報処理を行う。制御部21は、通常カメラ19から取得した映像を表示部14に表示させる表示処理を行い、入力部12に設けた再生スイッチの押下が検出された場合にはメモリカードリーダ17を介してメモリカード18から読み込んだ映像データを、表示部14に表示させる表示処理を行う。
【0048】
<ドライブレコーダの動作>
本発明の第1の実施形態におけるドライブレコーダ1の動作について、図2を用いて説明する。
【0049】
本実施形態におけるドライブレコーダ1は、データ領域50における常時記録ファイルの映像データの記録に用いられる記録可能領域の容量を常に一定量確保するように動作する。
【0050】
図2は、本実施形態における常時記録ファイルの映像データを記録した領域及びイベント記録ファイルの映像データを記録した領域のデータ領域50における領域の使用容量状態の変化を模式的に示す図である。図2において、図2(a)は、メモリカード18を初期化した状態を示している。図2(b)は、データ領域50に常時記録ファイル及びイベント記録ファイルの映像データを記録し始めた状態を示している。図2(c)は、データ領域50に常時記録ファイル及びイベント記録ファイルの映像データを記録することによりデータ領域50の容量が一杯になった状態を示している。図2(d)は、データ領域50の容量が一杯の状態において常時記録ファイルの映像データの記録に用いられる記録可能領域がイベント記録ファイルの映像データを記録した領域により浸食された状態を示している。図2(e)は、常時記録ファイルの映像データの記録に用いられる記録可能領域の容量を確保した状態を示している。
【0051】
メモリカード18のデータ領域50は、常時記録ファイルを例えば120個(2時間分)記録することが可能な容量を有している。データ領域50は、常時記録ファイル及びイベント記録ファイルの映像データの記録先として共用される。ドライブレコーダ1の出荷時には、メモリカード18は初期化されているために、図2(a)に示すように、データ領域50の全領域が映像データが記録されていない空き領域A1である。この際、常時記録ファイルの映像データの記録に用いられる記録可能領域K1は、データ領域50の全領域である。
【0052】
出荷されたドライブレコーダ1を車両に設置した後、制御部21は、図示しない車両の
アクセサリスイッチがONされ、更に上書きONモードの操作の検出結果が入力部12から入力された際において、以下の処理を行う。
【0053】
制御部21は、図2(a)に示す初期化された状態において、データ領域50に映像データを常時記録して最初の1分の常時記録ファイルを作成する。また、制御部21は、その常時記録ファイルのファイル名と、その常時記録ファイルを作成する時刻を示す時刻情報と、その常時記録ファイルの映像データを記録するデータ領域に関する情報と、をメモリカード18のファイル管理領域に記録する処理を行う。これを1分ごとに繰り返していき、これにより、データ領域50には、複数の常時記録ファイルの映像データが記録された領域J1が出来る。
【0054】
また、制御部21は、イベントが発生したものと判断した際に、イベント発生時の映像データを記録した常時記録ファイルを示すファイル名を、イベント記録ファイルを示すファイル名に変更する処理を行って、イベント記録ファイルとする。これにより、データ領域50には、複数のイベント記録ファイルの映像データが記録された領域E1が出来る。
【0055】
次に、データ領域50には、上記の処理が繰り返されることにより、常時記録ファイル及びイベント記録ファイルの映像データが記録されていく。これにより、データ領域50における領域J1及び領域E1は、図2(b)に示すように、広がっていく。この際、データ領域50における記録可能領域K1は、領域J1と空き領域A1とからなる領域である。
【0056】
次に、データ領域50の容量は、上記の処理が更に繰り返されることにより一杯になる。ここで、データ領域50の容量が一杯とは、データ領域50に記録された映像データのファイルに上書きしないと、常時記録ファイル及びイベント記録ファイルの映像データをデータ領域50に記録することができない状態を言う。図示すれば、この状態のデータ領域50は、図2(c)に示すように、領域J1と領域E1とで満たされた状態である。この際、データ領域50における記録可能領域K1は、領域J1と一致する。
【0057】
次に、制御部21は、メモリカード18のファイル管理領域に記録されているデータ領域に関する情報及び時刻情報を見て、常時記録ファイルのうち最も古い時刻に作成された常時記録ファイルの映像データに上書きして、新たに映像データを常時記録する処理を行って、常時記録ファイルを作成する。
【0058】
また、制御部21は、イベントが発生したものと判断した場合、イベント発生時の映像データを記録した常時記録ファイルをイベント記録ファイルに変更する。これらの処理を繰り返すことにより、データ領域50では、図2(d)に示すように、記録可能領域K1と一致する領域J1が領域E1により浸食されていく。
【0059】
制御部21は、上記の過程において、メモリカード18のファイル管理領域に記録されているファイル名及びデータ領域に関する情報に基づいて、記録可能領域K1の容量を算出し、その算出結果より記録可能領域K1の容量が確保されているか否かを判断する。
【0060】
具体的には、制御部21は、メモリカード18のファイル管理領域に記録されているファイル名及びデータ領域に関する情報を見て、空き領域A1及び領域J1のクラスタ数の総数として例えば435,445を算出すると共に、次回に1つの常時記録ファイルを記録するために必要なクラスタ数として例えば8000を算出する。そして、制御部21は、空き領域A1及び領域J1のクラスタ数の総数である435,445から、次回に1つの常時記録ファイルを記録するために必要なクラスタ数である8000を減算して減算値として427,445を求め、この減算値である427,445に1つのクラスタのサイ
ズである例えば32KBを乗算して記録可能領域K1の容量を示す乗算値として13,678,240KBを求める。制御部21は、この乗算値が例えば2つの常時記録ファイルを記録するために必要なクラスタのサイズである512,000KB以下である場合に、記録可能領域K1の容量が確保されていないと判断する。なお、空き領域A1が無い場合には、領域J1のクラスタ数の総数を用いて記録可能領域K1の容量を求める。
【0061】
制御部21は、記録可能領域K1の容量が確保されていないと判断した場合、メモリカード18のファイル管理領域に記録されているファイル名及び時刻情報を見て、データ領域50に記録されているイベント記録ファイルのうち、作成された時刻が古いものから順番に選択した例えば5つのイベント記録ファイルを消去する。これにより、データ領域50には、図2(e)に示すように、新たに常時記録ファイルの映像データを記録するための領域J2が確保される。この際、表示部14は、制御部21の制御により、「古いイベントファイルを消しました」等の文字を表示して報知を行う。そして上記の処理により、データ領域50には、記録可能領域K1として領域J1及び領域J2が確保される。
【0062】
次に、制御部21は、領域J2に対して映像データを常時記録する処理を行って、常時記録ファイルを作成する。
【0063】
また、制御部21は、領域J2に対して映像データを順次常時記録している際においてイベントが発生したものと判断した際に、イベント発生時の映像データを記録した常時記録ファイルを示すファイル名を、イベント記録ファイルを示すファイル名に変更する処理を行って、イベント記録ファイルとする。これにより、領域E1が広がっていく。
【0064】
そして、制御部21は、記録可能領域K1の容量が確保されていないと再び判断した場合に、記録可能領域K1の容量を確保するために、上記と同様の処理を繰り返す。
【0065】
なお、制御部21は、図示しないアクセサリスイッチがONされ、更に入力部12から上書きOFFモードの操作の検出結果が入力された場合において、図2(c)に示す状態になった場合、データ領域50に常時記録ファイル及びイベント記録ファイルの映像データを記録する処理を停止する。この際、表示部14は、制御部21の制御により、記録を停止する旨のPOPUPメッセージを表示する。また、スピーカ16は、制御部21の制御により、記録を停止することを報知音で報知する。これにより、ドライブレコーダ1の使用者は、メモリカード18のデータ領域50に常時記録ファイル及びイベント記録ファイルの映像データを記録する処理が停止されることを認識することができる。
【0066】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る電子機器の一例であるドライブレコーダの構成は図1と同一構成であるので、その説明を省略する。
【0067】
<ドライブレコーダの動作>
本実施形態におけるドライブレコーダ1の動作について、図3を用いて説明する。なお、図1の符号を用いて本実施形態におけるドライブレコーダの動作について説明する。
【0068】
本実施形態におけるドライブレコーダ1は、データ領域60における常時記録ファイルの映像データの記録に用いられる記録可能領域の容量が無くなった際に、その記録可能領域の容量を一定量確保するように動作する。
【0069】
図3は、本実施形態における常時記録ファイルの映像データを記録した領域及びイベント記録ファイルの映像データを記録した領域のデータ領域における領域の使用容量状態の変化を模式的に示す図である。図3において、図3(a)は、メモリカード18を初期化
した状態を示している。図3(b)は、データ領域60に常時記録ファイル及びイベント記録ファイルの映像データを記録し始めた状態を示している。図3(c)は、データ領域60に常時記録ファイル及びイベント記録ファイルの映像データを記録することによりデータ領域60の容量が一杯になった状態を示している。図3(d)は、データ領域60がイベント記録ファイルの映像データを記録した領域で満たされた状態を示している。図3(e)は、常時記録ファイルの映像データの記録に用いられる記録可能領域の容量を確保した状態を示している。
【0070】
メモリカード18は、データ領域60に常時記録ファイルを例えば120個(2時間分)記録することが可能な記録容量を有している。データ領域60は、常時記録ファイル及びイベント記録ファイルの映像データの記録先として共用される。ドライブレコーダ1の出荷時には、メモリカード18は初期化されているために、図3(a)に示すように、データ領域60の全領域が映像データが記録されていない空き領域A11である。この際、常時記録ファイルの映像データの記録に用いられる記録可能領域K11は、データ領域60の全領域である。
【0071】
制御部21は、図示しないアクセサリスイッチがONされ、更に入力部12から上書きONモードの操作の検出結果が入力された際において、以下の処理を行う。
【0072】
制御部21は、図3(c)までは上記第1の実施形態と同様の処理を行う。これにより、データ領域60は、常時記録ファイルの映像データを記録した領域J11と、イベント記録ファイルの映像データを記録した領域E11と、で満たされる図3(c)の状態になる。この際、記録可能領域K11は、常時記録ファイルの映像データを記録している領域J11と一致する。
【0073】
次に、制御部21は、メモリカード18のファイル管理領域に記録されているデータ領域に関する情報及び時刻情報を見て、常時記録ファイルのうち最も古い時刻に作成された常時記録ファイルの映像データに上書きして、新たに映像データを常時記録する処理を行って、常時記録ファイルを作成する。また、制御部21は、その常時記録ファイルのファイル名と、その常時記録ファイルを作成する時刻を示す時刻情報と、その常時記録ファイルの映像データを記録するデータ領域に関する情報と、をメモリカード18のファイル管理領域に記録する処理を行う。
【0074】
また、制御部21は、イベントが発生したものと判断した場合、イベント発生時の映像データを記録した常時記録ファイルを示すファイル名を、イベント記録ファイルを示すファイル名に変更する処理を行って、イベント記録ファイルとする。また、制御部21は、そのイベント記録ファイルのファイル名と、そのイベント記録ファイルを作成する時刻を示す時刻情報と、そのイベント記録ファイルの映像データを記録するデータ領域に関する情報と、をメモリカード18のファイル管理領域に記録する処理を行う。この処理を繰り返すことにより、データ領域60は、記録可能領域K11と一致する領域J11がイベント記録ファイルの映像データを記録した領域E11により徐々に浸食されていき、遂には領域E11で満たされる図3(d)の状態になる。
【0075】
制御部21は、上記の過程において、メモリカード18のファイル管理領域に記録されているファイル名及びデータ領域に関する情報に基づいて、記録可能領域K11の容量を算出し、その算出結果より記録可能領域K11の容量が無くなったか否かを判断する。
【0076】
具体的には、制御部21は、メモリカード18のファイル管理領域に記録されているファイル名及びデータ領域に関する情報を見て、記録可能領域K11の容量を示す領域J11のクラスタ数を算出する。制御部21は、この算出値が「0」である場合に、記録可能
領域K11の容量が無くなったと判断する。
【0077】
制御部21は、記録可能領域K11の容量が無くなったと判断した場合、メモリカード18のファイル管理領域に記録されているファイル名及び時刻情報を見て、データ領域60に記録されているイベント記録ファイルのうち、作成された時刻が古いものから順番に選択した所定数のイベント記録ファイルを消去する。これにより、データ領域60には、図3(e)に示すように、新たに常時記録ファイルの映像データを記録するための領域J12が確保される。この際、表示部14は、制御部21の制御により、「古いイベントファイルを消しました」等の文字を表示して報知を行う。そして上記の処理により、データ領域60には、記録可能領域K11として領域J12が確保される。
【0078】
領域J12は、データ領域60において常時記録ファイルの映像データを記録する領域がなくなるタイミングがあまり早く来ないように設定することが好ましく、例えば10個のイベント記録ファイルを消去して確保した領域とする。
【0079】
そして、制御部21は、記録可能領域K11の容量が無くなったと再び判断した場合に、記録可能領域K11の容量を確保するために、上記と同様の処理を繰り返す。
【0080】
なお、制御部21は、図示しないアクセサリスイッチがONされ、更に入力部12から上書きOFFモードの操作の検出結果が入力された場合において、図3(c)に示す状態になった場合、データ領域60に常時記録ファイル及びイベント記録ファイルの映像データを記録する処理を停止する。この際、表示部14は、制御部21の制御により、記録を停止する旨のPOPUPメッセージを表示する。また、スピーカ16は、制御部21の制御により、記録を停止することを報知音で報知する。これにより、ドライブレコーダ1の使用者は、メモリカード18のデータ領域60に常時記録ファイル及びイベント記録ファイルの映像データを記録する処理が停止されることを認識することができる。
【0081】
本実施形態によれば、記録可能領域K11の容量を所定量確保するか否かを判断する場合には、常時記録ファイルの映像データを記録している領域J11のクラスタ数を算出し、その算出値が「0」であるか否かを判断するだけであるので、処理を簡単にすることができ、ドライブレコーダ1の利用者は処理速度の速いドライブレコーダ1を使用することができる。
【0082】
<その他の実施形態>
第1の実施形態のドライブレコーダ1が有する機能と、第2の実施形態のドライブレコーダ1が有する機能と、をドライブレコーダ1に設けたスイッチにより切り替えるようにしてもよい。
【0083】
なお、上記第1の実施形態及び第2の実施形態において、記録可能領域K1の容量が確保されていない場合又は記録可能領域K11無くなった場合に、所定数のイベント記録ファイルを消去したが、過去の所定時間においてイベント記録ファイルを記録した頻度に応じた数のイベント記録ファイルを消去してもよい。この場合、制御部21は、所定時間におけるイベント記録ファイルの映像データを記録した時間の割り合いと、消去するファイル数と、を対応付けたテーブルを、制御部21のEEPROMに予め記憶しておく。制御部21は、制御部21のリアルタイム・クロック機能又はGPS受信機9から入力された時刻情報を用いて、所定時間、及び、イベント記録ファイルの映像データを記録した時間を計測し、その計測結果より上記の割り合いを算出する。そして、制御部21は、上記テーブルにおいて、算出した上記の割り合いに対応付けられている消去するファイル数だけイベント記録ファイルを消去する。これにより、イベント記録ファイルの記録時間に応じた数のイベント記録ファイルを消去することができるので、イベント記録ファイルを消去
する処理を頻繁に発生させないようにすることができる。
【0084】
また、上記第1の実施形態及び第2の実施形態において、カメラ19は、ドライブレコーダ1を車室内のダッシュボード上に取り付けた際に、車両の前方を撮影可能な向きでドライブレコーダ1に設けられたが、車両の後方を撮影可能な向きでドライブレコーダ1に設けられてもよい。また、カメラ19は、車両の側方を撮影可能な向きでドライブレコーダ1に設けられてもよい。更に、カメラ19は、車室内を撮影可能な向きでドライブレコーダ1に設けられてもよい。
【0085】
また、上記第1の実施形態及び第2の実施形態において、ファイルシステムとしてFATを用いたが、FAT以外のNTFS(NTFile System)等のファイルシステムを用いてもよい。
【0086】
また、上記第1の実施形態及び第2の実施形態において、ナビゲーション装置及びレーダ探知機の機能を有するドライブレコーダ1により常時記録ファイル及びイベント記録ファイルの映像データを記録したが、ナビゲーション機能及びレーダ探知機の機能を有さないドライブレコーダの機能のみを有するドライブレコーダ、ナビゲーション装置の機能を有するドライブレコーダ、又はレーダ探知機の機能を有するドライブレコーダ等により常時記録ファイル及びイベント記録ファイルの映像データを記録してもよい。
【0087】
また、上記第1の実施形態及び第2の実施形態において、車両の現在位置と注意を促す場所との距離が所定距離以下になった場合にイベント記録ファイルを作成したが、車両の現在位置と予め設定してデータベース20に記憶させておいた眺めの良いビューポイントとの距離が所定距離以下になった場合にイベント記録ファイルを作成してもよい。
【0088】
また、上記第1の実施形態及び第2の実施形態において、記録可能領域を確保する際に、記録済みのイベント記録ファイルの一部を消去したが、記録済みのイベント記録ファイルの全部を消去してもよい。
【符号の説明】
【0089】
1 ドライブレコーダ
9 GPS受信機
10 マイクロ波受信機
11 無線受信機
12 入力部
13 加速度センサー
14 表示部
15 ランプ
16 スピーカ
17 メモリカードリーダ
18 メモリカード
19 カメラ
20 データベース
21 制御部
50 データ領域
60 データ領域
図1
図2
図3