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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/10 20180101AFI20241111BHJP
   G01N 23/04 20180101ALI20241111BHJP
   G01N 21/17 20060101ALI20241111BHJP
   G01N 23/18 20180101ALN20241111BHJP
【FI】
G01N23/10
G01N23/04
G01N21/17 A
G01N23/18
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023173263
(22)【出願日】2023-10-04
【審査請求日】2024-07-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】598105802
【氏名又は名称】株式会社 システムスクエア
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【弁理士】
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】安藤 渉
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 悠
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 敦士
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/061461(WO,A1)
【文献】特開2016-014589(JP,A)
【文献】特開2009-008658(JP,A)
【文献】特表2022-535277(JP,A)
【文献】特開平02-113375(JP,A)
【文献】特開2021-189071(JP,A)
【文献】特開2009-174918(JP,A)
【文献】特開2011-112561(JP,A)
【文献】特開平10-149795(JP,A)
【文献】特開2013-007597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/01
G01N 21/17 - G01N 21/61
G01N 21/84 - G01N 21/958
G01N 23/00 - G01N 23/2276
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の方向に包装体である検査対象物を搬送する搬送部と、
前記検査対象物にX線を照射するX線照射部と、
前記検査対象物を透過した前記X線を検出し、X線検出データを出力するX線検出部と、
前記検査対象物に光を照射する照明部と、
前記光が照射された前記検査対象物の背後において光学画像を撮像し、光学画像データを出力する撮像部と、
前記照明部から前記撮像部へ向かう光路の途中に設けられ、前記光路の向きを変更する反射面を備える反射部材と、
前記反射部材が取り付けられ、前記反射面の位置及び/又は向きを調整する反射方向調整部と、
前記X線検出データに基づき前記検査対象物のX線透過画像を生成するとともに、前記光学画像データに基づき前記検査対象物の光学画像を生成する画像生成部と、
前記X線透過画像と前記光学画像とに基づき、前記検査対象物内における内容物の位置を特定する検査部と、
を備え
前記反射方向調整部は、前記反射面の向きを、三次元直交座標系の三軸のうち二軸以上について、各軸を中心に回動可能とされている検査装置。
【請求項2】
前記搬送部は、X軸、Y軸、Z軸の三次元直交座標系の前記X軸の方向に幅を持ち、載置された検査対象物を前記Y軸の方向に移動させ、
前記反射方向調整部は、前記反射面の向きを、少なくとも前記Y軸を中心に回動可能とされている
請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記搬送部は、X軸、Y軸、Z軸の三次元直交座標系の前記X軸の方向に幅を持ち、載置された検査対象物を前記Y軸の方向に移動させ、
前記反射方向調整部は、前記反射面の向きを、少なくとも前記Z軸を中心に回動可能とされている
請求項1に記載の検査装置。
【請求項4】
一定の方向に包装体である検査対象物を搬送する搬送部と、
前記検査対象物にX線を照射するX線照射部と、
前記検査対象物を透過した前記X線を検出し、X線検出データを出力するX線検出部と、
前記検査対象物に光を照射する照明部と、
前記光が照射された前記検査対象物の背後において光学画像を撮像し、光学画像データを出力する撮像部と、
前記照明部から前記撮像部へ向かう光路の途中に設けられ、前記光路の向きを変更する反射面を備える反射部材と、
前記反射部材が取り付けられ、前記反射面の位置及び/又は向きを調整する反射方向調整部と、
前記X線検出データに基づき前記検査対象物のX線透過画像を生成するとともに、前記光学画像データに基づき前記検査対象物の光学画像を生成する画像生成部と、
前記X線透過画像と前記光学画像とに基づき、前記検査対象物内における内容物の位置を特定する検査部と、
を備え
前記反射方向調整部は、前記反射面の位置を、三次元直交座標系の三軸のうち二軸以上について、各軸方向に移動可能とされている検査装置。
【請求項5】
前記搬送部を挟んで、前記X線照射部、前記撮像部及び反射部材が同じ一方の側にあり、前記X線検出部及び前記照明部が同じ他方の側にある請求項1から4のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項6】
前記光学画像及び/又は前記X線透過画像を画像処理により補正する画像調整部を更に備える請求項1から4のいずれか1項に記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体である検査対象物のX線透過画像と光学画像とから、シール部の噛み込み検査等を行う検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
包装体である検査対象物に、X線など物体の透過性が高い電磁波を照射し、透過した電磁波を検出すると、包装体の内部の状態に応じた透過量の強弱の分布を得ることができる。この強弱の分布を画素の色調(色彩の明暗・濃淡・強弱などの調子)により表現した二次元画像(電磁波透過画像)を生成することで、外観からは知りえない包装体内部の状態を可視化することができる。
【0003】
しかし、X線などを用いた検査では、包装を透視して内部を可視化するという性質上、包装自体は画像上判別し難い。そのため例えば、内容物やその破片等が包装内のどこに位置しているか、更にはその位置が包装のシール部にあたり噛み込みが生じているかについて、特定することは困難である。
【0004】
そこで、可視光や近赤外線光など物体の透過性が低い光を包装体の一方の側から照射し、他方の側で撮像することで、周囲と比べ包装体の部分が暗いという形で包装体の位置及び輪郭形状が表現された光学画像を得て、これと電磁波透過画像とを照合することで、包装内における内容物等の位置を特定し、特定された位置がシール部にあたるかどうか、すなわち噛み込みが生じているかどうかを検査する検査装置が、例えば特許文献1に開示されている。
【0005】
図2は、特許文献1に開示された検査装置100のうち、本願の発明に関係する部分を抜粋したものである。
【0006】
検査装置100は、搬送部110、X線照射部120、X線検出部130、照明部140、撮像部150、反射部材160及びデータ処理部170を少なくとも備える。これらの構成部のうち、少なくともX線照射部120、X線検出部130、照明部140、撮像部150及び反射部材160は図示しない筐体内に収容される。検査対象物Wは任意の包装物であり、筐体を貫通する搬送部110に載置されて、筐体に設けられた搬入口から筐体内に搬入され、検査を経た後、筐体に設けられた搬出口から筐体外に搬出される。
【0007】
搬送部110は、ベルトコンベアであり、図2に示すX軸、Y軸、Z軸の三次元直交座標系におけるX軸方向に幅を持ち、ベルトをY軸方向に移動させることで、ベルトに載置された検査対象物WをY軸方向に移動させる。
【0008】
搬送部110は、搬送速度を同じくする、上流側搬送部110aと下流側搬送部110bとに分離され、上流側搬送部110aと下流側搬送部110bとの間に、検査対象物Wを落下させることなく搬送が引き継がれる程度の間隙である間隙部110cが設けられている。
【0009】
X線照射部120は、搬送部110により搬送中の検査対象物Wに向けX線を照射する。
【0010】
X線検出部130は、X線照射部120から検査対象物Wに照射されたX線のうち、検査対象物Wを透過したX線である透過X線を周期的に検出し、X線検出データを出力する。X線検出部130は、複数のX線検出素子がX軸方向に直線配列されたX線ラインセンサであり、検査対象物Wを移動させつつ透過X線を周期的に検出し、順次得られる線状のX線検出データを検査対象物Wの全幅について収集することで、検査対象物W全体のX線検出データを得る。
【0011】
X線照射部120とX線検出部130は、間隙部110cを挟んで、それぞれZ軸方向の一方の側と他方の側に対向配置される。
【0012】
照明部140は、搬送部110により搬送中の検査対象物Wに向け光を照射する。
【0013】
撮像部150は、光が照射された検査対象物Wの背後において、光学画像を周期的に撮像して光学画像データを出力する。撮像部150は、複数の光検出素子がX軸方向に直線配列された光ラインセンサであり、検査対象物Wを移動させつつ光学画像を周期的に撮像し、順次得られる線状の光学画像データを検査対象物Wの全幅について収集することで、検査対象物W全体の光学画像データを得る。
【0014】
照明部140と撮像部150は、間隙部110cを挟んで、それぞれZ軸方向の一方の側と他方の側に配置される。
【0015】
X線照射部120、X線検出部130、照明部140及び撮像部150は、X線照射部120からX線検出部130へ向かう光路L1と、照明部140から撮像部150へ向かう光路L2が、図2に示すように、間隙部110cにおいて平行にZ軸方向に通過するように配置される。また、搬送部110を挟んで、Z軸方向の一方の側にX線照射部120と撮像部150が、他方の側にX線検出部130と照明部140が、それぞれ配置される。
【0016】
加えて、X線照射部120が設けられた側において、光路L2に、XZ平面に対して45度の傾きがある反射面を有する反射部材160を設けて光路L2の向きをZ軸方向からY軸方向に変更し、向きが変更された光路L2の延伸先に撮像部150を配置する。すなわち、照明部140から照射された光は、間隙部110c上を通過する検査対象物Wに向けて照射され、更に反射部材160の反射面で異なる向きに反射されて撮像部150に到達するように構成する。
【0017】
データ処理部170は、X線検出部130により収集されたX線検出データに基づき検査対象物WのX線透過画像を生成するとともに、撮像部150により収集された光学画像データに基づき検査対象物Wの光学画像を生成する。そして、光学画像から把握される、包装体である検査対象物Wの輪郭に基づき、検査対象物W内における内容物等の位置を特定するとともに、特定された位置がシール部にあたるかどうか、すなわち噛み込みが生じているかどうかを検査する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【文献】特許第5884145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
図2に示す検査装置100の場合、撮像部150において光学画像が適切に撮像されるように、出荷前に反射部材160の反射面の位置や向きが調整される。しかし、輸送時の振動、設置場所での振動、反射部材160の固定の緩みなど、出荷後の事情により、位置や向きにズレが生じ、正常な画像が得られなくなる場合がある。ズレが生じた場合の対処方法としては、例えば、画像処理によりソフト的にズレを補償する方法が挙げられる。しかし、ズレが大きいと画像処理では十分に補償することができないため、反射面の位置や向きを調整する必要がある。しかし、反射部材は一般にネジ等により固定されているため、調整するにはネジ等を外して固定を解除し、位置や向きを調整した上で再度ネジ等により固定する必要があるため技術や手間を要し、作業性に問題がある。
【0020】
本発明の目的は、照明部から撮像部へ向かう光路の向きを変更する反射面の位置や向きの調整の作業性向上に資する検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の検査装置は、一定の方向に包装体である検査対象物を搬送する搬送部と、検査対象物にX線を照射するX線照射部と、検査対象物を透過したX線を検出し、X線検出データを出力するX線検出部と、検査対象物に光を照射する照明部と、光が照射された検査対象物の背後において光学画像を撮像し、光学画像データを出力する撮像部と、照明部から撮像部へ向かう光路の途中に設けられ、光路の向きを変更する反射面を備える反射部材と、反射部材が取り付けられ、反射面の位置及び/又は向きを調整する反射方向調整部と、X線検出データに基づき検査対象物のX線透過画像を生成するとともに、光学画像データに基づき検査対象物の光学画像を生成する画像生成部と、X線透過画像と光学画像とに基づき、検査対象物内における内容物の位置を特定する検査部と、を備える。
【0022】
搬送部を挟んで、X線照射部、撮像部及び反射部材が同じ一方の側にあり、X線検出部及び照明部が同じ他方の側にあるように構成してもよい。
【0023】
光学画像及び/又はX線透過画像を画像処理により補正する画像調整部を更に備えてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、反射部材を着脱することなく反射面の位置や傾きを容易に変化させることができるため、調整の作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の検査装置200の構成例を示す図である。
図2】従来の検査装置100の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の各実施形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明及び図面では、同一の機能部には同一の符号を付し、一度説明した機能部については説明を省略するか、必要な範囲で説明する。
【0027】
図1は、本発明の検査装置200の構成例を示す図である。検査装置100は、搬送部110、X線照射部120、X線検出部130、照明部140、撮像部150、反射部材160、反射方向調整部210及びデータ処理部270を備える。
【0028】
これらの構成部のうち、少なくともX線照射部120、X線検出部130、照明部140、撮像部150、反射部材160及び反射方向調整部210は図示しない筐体内に収容される。検査対象物Wは、筐体を貫通する搬送部110に載置されて、筐体に設けられた搬入口から筐体内に搬入され、検査を経た後、筐体に設けられた搬出口から筐体外に搬出される。検査対象物Wは任意の包装物であり、内容物としては例えば、食品や各種製品が挙げられ、異物が混入していることも想定される。
【0029】
搬送部110は、載置された検査対象物Wを一定の方向に連続搬送可能な各種コンベアである。搬送部110は、図1に示すX軸、Y軸、Z軸の三次元直交座標系におけるX軸方向に幅を持ち、XY平面である載置面をY軸正方向に移動させることで、載置された検査対象物WをY軸正方向に移動させる。搬送部110の載置面は、ベルトコンベアのように、自身が面的に移動することで載置された検査対象物Wを伴って移動させる実体的な面であってもよいし、駆動ローラコンベアのように、載置された検査対象物Wに動力を与えることで検査対象物Wを面的に移動させるという意味での仮想的な面であってもよい。搬送速度は、検出素子での検出周期等に依存するが、包装物の検査においては、例えば数m/minから百数十m/min程度が一般的である。
【0030】
搬送部110は、搬送速度を同じくする、上流側搬送部110aと下流側搬送部110bとに分離され、上流側搬送部110aと下流側搬送部110bとの間に、検査対象物Wを落下させることなく搬送が引き継がれる程度の間隙である間隙部110cが設けられている。
【0031】
X線照射部120は、搬送部110により搬送中の検査対象物Wに向けてX線を照射する。
【0032】
X線検出部130は、X線照射部120から検査対象物Wに照射されたX線のうち、検査対象物Wを透過したX線である透過X線を周期的に検出し、X線検出データを出力する。X線検出部130は、複数のX線検出素子がX軸方向に直線配列されたX線ラインセンサである。X線ラインセンサは1列のものでもよいし、Y軸方向に複数列配列されたものでもよい。
【0033】
X線照射部120とX線検出部130は、間隙部110cを挟んで、それぞれZ軸方向の一方の側と他方の側に対向配置される。これにより、検査対象物WをY軸正方向に搬送しつつ、全幅が間隙部110c上を通過するまで透過X線を周期的に検出することで、検査対象物WをX軸方向に線状にスライスした複数のX線検出データが得られ、これらを時系列で配列することで、検査対象物W全体のX線検出データを得ることができる。
【0034】
なお、照射し検出するのは必ずしもX線でなくてもよく、検査対象物に関し、包装の透過性が相対的に高く、内容物や異物の透過性が相対的に低い電磁波であれば適用可能である。この場合、選択した電磁波に対応する照射部と検出部を構成すればよい。
【0035】
照明部140は、搬送部110により搬送中の検査対象物Wに向けて光を照射する。照明部140は、例えば、複数の発光素子がX軸方向に直線配列されたライン照明である。ライン照明は1列のものでもよいし、Y軸方向に複数列配列されたものでもよい。発光素子としては、例えば可視光や近赤外線光を発する発光ダイオードが挙げられる。
【0036】
撮像部150は、光が照射された検査対象物Wの背後において、光学画像を周期的に撮像して光学画像データを出力する。撮像部150は、複数の光検出素子がX軸方向に直線配列された光ラインセンサである。光ラインセンサは1列のものでもよいし、Y軸方向に複数列配列されたものでもよい。
【0037】
照明部140と撮像部150は、間隙部110cを挟んで、Z軸方向の一方の側と他方の側に配置される。これにより、検査対象物WをY軸正方向に搬送しつつ、全幅が間隙部110c上を通過するまで、到達した光を周期的に撮像することで、検査対象物WをX軸方向に線状にスライスした複数の光学画像データが得られ、これらを時系列で配列することで、検査対象物W全体の光学画像データを得ることができる。
【0038】
X線照射部120、X線検出部130、照明部140及び撮像部150は、X線照射部120からX線検出部130へ向かう光路L1と、照明部140から撮像部150へ向かう光路L2が、図1に示すように、間隙部110cにおいて平行にZ軸方向に通過するように配置される。これにより、検査対象物Wが間隙部110cを通過する際に、X線検出データと光学画像データを同じ条件で取得することが可能となる。
【0039】
間隙部110cを通過する検査対象物WのX線検出データと光学画像データを同じ条件で取得する上で、間隙部110cにおいて、光路L1と光路L2をできるだけ近接させるのが望ましい。しかし、間隙部110cを挟んで、Z軸方向の一方の側に、X線照射部120と照明部140を、他方の側にX線検出部130と撮像部150を配置すると、X線照射部120からの照射されたX線が撮像部150に入射し、又は照明部140から照射された光がX線検出部130に入射して、検査に支障を生じさせる場合がある。そこで、図1に示すように、Z軸方向の一方の側にX線照射部120と撮像部150を、他方の側にX線検出部130と照明部140を配置してもよい。
【0040】
また、X線照射部120は一般に体積が大きいため、限られた筐体空間に他の機能部を近接配置するのは容易ではない。そこで、X線照射部120が設けられた側において、照明部140から撮像部150に向かう光路L2の向きを変更することで、近接配置を回避してもよい。例えば、図1に示すように、X線照射部120が設けられた側において、光路L2にXZ平面に対して45度の傾きがある反射面を有する反射部材160を設けて光路L2の向きをZ軸方向からY軸方向に変更し、向きが変更された光路L2の延伸先に撮像部150配置してもよい。すなわち、照明部140から照射された光は、間隙部110c上を通過する検査対象物Wに向けて照射され、更に反射部材160の反射面で異なる向きに反射されて撮像部150に到達するように構成する。
【0041】
反射方向調整部210は、反射部材160が取り付けられ、手動で、又は図示しない任意の入力部からの図示しないアクチュエータへの指示入力に基づき自動で、反射面の位置及び/又は向きを変化させて、照明部140から入射した光の反射方向を調整する機構である。
【0042】
反射方向調整部210として、例えば、反射面の位置や向きを変化させたい形態に応じた、周知の位置決めステージを採用してもよい。この場合、位置決めステージに反射部材160を取り付けて、出荷前に反射面の位置決めを行い、出荷後、反射面の位置や向きのずれが生じた際に、位置決めステージを手動又は自動で動作させて調整を行う。反射面の位置を変化可能としたい場合、例えば、三次元直交座標系の各軸正負方向に摺動可能な直進摺動型の位置決めステージを採用してもよい。また、反射面の向きを変化可能としたい場合、例えば、三次元直交座標系の各軸を中心に回動可能な傾斜型の位置決めステージや360度各方向に傾斜可能なあおり旋回型の位置決めステージを採用してもよい。また、異なるタイプの位置決めステージを組み合わせて採用してもよい。例えば、反射面の位置と向きの双方を変化可能としたい場合、直進摺動型の位置決めステージにあおり旋回型の位置決めステージを取り付け、このあおり旋回型の位置決めステージに反射部材160を取り付けてもよい。
【0043】
データ処理部270は、画像生成部271と検査部272を備える。
【0044】
画像生成部271は、X線検出部130により収集されたX線検出データに基づき検査対象物WのX線透過画像を生成するとともに、撮像部150により収集された光学画像データに基づき検査対象物Wの光学画像を生成する。
【0045】
検査部272は、画像生成部271で生成されたX線透過画像と光学画像とに基づき、検査対象物Wの内容物のシールへの噛み込み等を検査する。X線透過画像には、検査対象物Wの内容物や破片の存在が表現され、光学画像には、包装体である検査対象物Wの輪郭が表現されている。そして、両画像は同じ条件で収集されたデータに基づき生成されている。そこで、両画像の位置を合わせて重ね合わせるなどにより、検査対象物W内における内容物等の位置を特定し、特定された位置がシール部にあたるかどうか、すなわち噛み込みが生じているかどうかを検査することができる。
【0046】
以上のように構成された検査装置200によれば、反射部材を着脱することなく反射面の位置や向きを容易に変化させることができるため、調整の作業性の向上を図ることができる。
【0047】
データ処理部270は、反射面の位置や向きのズレによる画像の異常を、より詳細に調整可能とすべく、画像生成部271で生成された光学画像を画像処理により補正する画像調整部273を更に備えてもよい。また、光学画像のみの補正ではX線透過画像との位置合わせや重ね合わせがうまくできない場合や、光学画像を補正するよりX線透過画像を補正した方が両画像の位置合わせや重ね合わせがしやすい場合も想定されるため、画像調整部273は、画像生成部271で生成されたX線透過画像を画像処理により補正する機能を備えるものであってもよい。
【0048】
画像調整部273における画像処理の内容としては、例えば、位置やサイズの線形変換を行ってもよいし、せん断変換を行ってもよい。画像処理は、予め定めたルールに基づき自動的に行ってもよいし、オペレータが各種パラメータを入力して、それに基づいて行ってもよい。
【0049】
データ処理部270の機能は、プログラムに記述し、コンピュータのCPUで実行することで実現してもよい。
【0050】
本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではない。上記の各実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。すなわち、本発明において表現されている技術的思想の範囲内で適宜変更が可能であり、その様な変更や改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含む。
【符号の説明】
【0051】
100、200…検査装置
110…搬送部
110a…上流側搬送部
110b…下流側搬送部
110c…間隙部
120…X線照射部
130…X線検出部
140…照明部
150…撮像部
160…反射部材
170、270…データ処理部
210…反射方向調整部
271…画像生成部
272…検査部
273…画像調整部
L1、L2…光路
W…検査対象物
【要約】
【課題】照明部から撮像部へ向かう光路の向きを変更する反射面の位置や向きの調整の作業性向上に資する検査装置を提供する。
【解決手段】一定の方向に包装体である検査対象物を搬送する搬送部と、検査対象物にX線を照射するX線照射部と、検査対象物を透過したX線を検出し、X線検出データを出力するX線検出部と、検査対象物に光を照射する照明部と、光が照射された検査対象物の背後において光学画像を撮像し、光学画像データを出力する撮像部と、照明部から撮像部へ向かう光路の途中に設けられ、光路の向きを変更する反射面を備える反射部材と、反射部材が取り付けられ、反射面の位置及び/又は向きを調整する反射方向調整部と、X線検出データに基づきX線透過画像を生成するとともに、光学画像データに基づき光学画像を生成する画像生成部と、X線透過画像と光学画像とに基づき、検査対象物における内容物の位置を特定する検査部と、を備える。
【選択図】図1
図1
図2