(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】中継システム、中継機およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04B 7/155 20060101AFI20241111BHJP
B60R 25/24 20130101ALI20241111BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20241111BHJP
F02D 29/02 20060101ALI20241111BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
H04B7/155
B60R25/24
E05B49/00 K
F02D29/02 H
H04Q9/00 301B
(21)【出願番号】P 2023213472
(22)【出願日】2023-12-19
(62)【分割の表示】P 2022030560の分割
【原出願日】2017-03-29
【審査請求日】2024-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】391001848
【氏名又は名称】株式会社ユピテル
(72)【発明者】
【氏名】上村 浩司
(72)【発明者】
【氏名】中西 啓之
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 新也
(72)【発明者】
【氏名】清水 勇喜
【審査官】川口 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-050573(JP,A)
【文献】特開2016-094030(JP,A)
【文献】特開2016-003646(JP,A)
【文献】特開2013-238184(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/155
H04Q 9/00
B60R 25/24
E05B 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両とユーザの携帯する携帯機との間の無線通信を中継する中継システムにお
けるユーザが携帯する携帯中継機であって、
前記携帯機にはボタンを備え、前記携帯中継機にはボタンを備えず、
前記携帯中継機は、前記車両とユーザの携帯する携帯機との間の無線通信を中継するための受信器を備え、前記受信器によって受信した信号が、前記携帯機の所定のボタン押しの操作によって前記携帯機から送出される信号であると検出した場合に、前記車両の側へ前記車両に所定の制御を行わせるための信号を送出する機能を備えること
を特徴とする
携帯中継機。
【請求項2】
前記携帯機の所定のボタン押しの操作は、前記携帯機に備える車両のロックボタンを連続して所定時間以内に所定回数押す操作としたこと
を特徴とする請求項1に記載の
携帯中継機。
【請求項3】
前記携帯中継機は、画面ではなく音での報知を行う機能を備えること
を特徴とする請求項1または2に記載の
携帯中継機。
【請求項4】
前記携帯中継機は、中継動作時間を制限する機能を備えること
を特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の
携帯中継機。
【請求項5】
前記携帯中継機は、同一車種の他の車の携帯機に反応しているかをチェックする機能を備え、同一車種の他の車の携帯機に反応している場合にはその旨を示す報知を行う機能を備えること
を特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の
携帯中継機。
【請求項6】
前記携帯中継機は、正しい携帯機のデータでないと判別された時点でそれ以降の信号の中継をやめる機能を備えること
を特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の
携帯中継機。
【請求項7】
前記携帯中継機は、前記携帯機が前記携帯中継機の近くにあるか否かで携帯中継機の動作を変える機能を備えること
を特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の
携帯中継機。
【請求項8】
前記携帯中継機は、前記携帯機が前記携帯中継機の近くにあると判定した場合に、前記車両の側へ前記車両に所定の制御を行わせるための信号を送出し、ないと判定した場合には前記車両の側へ前記車両に所定の制御を行わせるための信号を送出を行わない機能を備えること
を特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の
携帯中継機。
【請求項9】
前記携帯中継機は、前記携帯機が前記携帯中継機の近くにあると判定した場合に、前記携帯機が前記携帯中継機の近くにないことを示す報知を行う機能を備えること
を特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の
携帯中継機。
【請求項10】
前記携帯中継機が送信するRFデータを、前記車両は正規の信号と認識するが、前記携帯機の出すRFデータとは異なるRFデータとする機能を備えたこと
を特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の
携帯中継機。
【請求項11】
請求項1から10に記載の携帯中継機との間で無線通信を行う前記車両に設置される車載中継機であって、
車両中継機側で車内に前記携帯機があるか否かを検出する機能を備え、前記携帯機が車内に存在すると検出されているにもかかわらず、前記携帯中継機からのエンジンスタート信号を受信した場合には、そのような状況にあることを示す報知を行う機能を備えたこと
を特徴とする車載中継機。
【請求項12】
請求項1から10のいずれかに記載の携帯中継機の機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【請求項13】
請求項11に記載の車両中継機の機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば中継システム、中継装置およびプログラム等に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のセキュリティ対策として、車両制御装置と、車両制御装置と相互に無線通信が可能な携帯機のそれぞれが認証情報をやりとりし、車両制御装置と携帯機との間で認証が成功することを条件の一つとして車両の制御を行うシステムがある。
【0003】
例えば、イモビライザ機能を備える車両において車両制御装置によってエンジンを始動させる場合、車両制御装置は、エンジンを始動させる前に正規の携帯機との間で無線通信による認証処理を行い、認証が成功した場合にエンジンを始動させる。
【0004】
この携帯機と車両制御装置との間で無線通信が可能な距離は、1~2メートル程度と短い。そのため、車両の外部から遠隔でエンジンを始動させる場合には、例えば特許文献1に示すように、車両制御装置と携帯機との間の無線通信を中継するシステムが必要となる。特許文献1に開示された技術では、車両中継機と携帯中継機によって当該無線通信を中継することで、イモビライザ機能を備えた車両で、携帯機を車両の外部に持ち出しても、遠隔でエンジンの始動を行うことができるとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の中継システムを用いた場合、以下に示す課題がある。例えば車両制御装置と携帯機との間での通信仕様(例えば、送受信される通信信号のデータ長)が車種等によって異なる。そのため、例えば中継システムを構成する車両中継機は、車種ごとに異なるデータ長に対応するため、車両制御装置から送信される通信信号(例えば応答要求信号)を受信して携帯中継機に中継送信する状態に切り替えるタイミング、および携帯中継機から中継送信される通信信号(例えば応答信号)を受信して車両制御装置に中継送信する状態に切り替えるタイミングなどのタイミング等を車種ごとに設定しなければならない。
【0007】
中継システムを構成する携帯中継機についても同様に、車両中継機から中継送信される信号(例えば応答要求信号)を受信して携帯機に中継送信する状態に切り替えるタイミング、および携帯機から送信される信号(例えば応答信号)を受信して車両中継機に中継送信する状態に切り替えるタイミングなどのタイミング等を車種ごとに設定しなければならない。そのため、車種ごとに中継システムを用意しなければならないという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、例えば、従来に比べて多くの車種に対応可能な中継システム等を提供することにある。
【0009】
また、本発明の目的はこれに限定されず、本明細書および図面等に開示される構成の部分から奏する効果を得ることを目的とする。例えば本明細書において「~できる」と記載した箇所を「~が課題である」と読み替えた課題が本明細書には開示されている。そしてこの課題を解決することも本発明の目的である。本出願人は本明細書に記載の構成の一部を補正または分割出願にて特許請求の範囲とする意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)例えば、所定の通信仕様で相互に無線通信を行う第1の装置と第2の装置とを備え、前記第1の装置が被制御機器に配置され、前記第1の装置と前記第2の装置との間で所定の信号の通信が行われると前記第1の装置が配置された被制御機器の制御動作を行う制御システムにおいて、前記第1の装置と前記第2の装置との間の無線通信を中継する中継システムであって、前記第1の装置と前記第2の装置との間の前記所定の通信仕様が異なる、複数種類の前記制御システムにおいて無線通信を中継することができ、相互に無線通信を行う第1の中継機と第2の中継機とを備え、前記第1の中継機は前記第1の装置からの信号の受信、および前記第1の装置が認識可能な信号の送信を行い、前記第2の中継機は前記第2の装置からの信号の受信、および前記第2の装置が認識可能な信号の送信を行い、前記第1の装置と前記第2の装置との間で通信が行われる通信信号を受信し、受信した前記通信信号に基づいて前記所定の通信仕様を判別し、前記第1の装置の前記第1の中継機との通信、および前記第2の装置の前記第2の中継機との通信に、前記判別した所定の通信仕様を適用することを特徴とする中継システムとするとよい。
【0011】
このようにすれば、制御システムごとに通信仕様が異なっていても、それぞれの制御システムに対応した通信仕様が自動的に適用されるため、当該制御システムにおける当該第1の装置が配置された被制御機器の制御動作を行うことができる中継システムを得ることができる。
【0012】
通信仕様としては、信号のデータ長さ、ビット数、送信時間、データフレーム等とするとよい。
【0013】
被制御機器および制御システムは、それぞれ例えば車両および当該車両に配置される車両制御システムとするとよく、第1の装置および第2の装置は、例えばそれぞれ車両制御装置および携帯機とするとよい。また、第1の中継機は当該車両に配置される車両中継機、第2の中継機は使用者が携帯する携帯中継機とするとよい。
【0014】
このようにすれば、車種ごとに通信仕様が異なる場合でも、車種ごとの通信仕様が自動的に適用され、その車種の車両の制御動作を行うことができる中継システムを得ることができる。そのため、車種ごとに通信仕様を対応させた中継システムを用意する必要性を低減することができ、販売店での在庫管理が容易となる。
【0015】
制御システムの制御動作により制御される被制御機器の動作はどのようなものであってもよいが、例えば被制御機器が車両である場合には、車両を構成する各部の動作とするとよく、例えば車両のドアのロックの開閉、カーセキュリティの起動および遮断とするとよい。特に、例えば車両の動力源である、エンジンの始動またはモーターのシステムの始動、またはエアコンの始動、およびこれらの停止とするとよい。中継システムは、エンジンの始動またはモーターのシステムの始動、またはエアコンの始動、およびこれらの停止を遠隔操作により行うことができるエンジンスターターとするとよい。
【0016】
制御システムによる被制御機器の制御は、例えば第2の中継機に設けられた操作部または第2の装置に設けられた操作部のユーザの操作を検出することによって開始または停止する構成とするとよい。例えば、被制御機器が車両である場合には、第2の中継機である携帯中継機に設けられた操作部(例えば操作ボタン)に対するユーザの操作を検出して、第1の中継機である車両中継機を介して車両制御システムが被制御機器の制御動作を行う構成とするとよい。
【0017】
第2の装置に設けられた操作部のユーザの操作の検出は、特に、第2の装置に設けられた操作部のユーザの操作に応じて第2の装置が第1の装置に対して無線送信する信号を受信し当該受信した信号に基いて行う構成とするとよい。
【0018】
特に、第2の装置に設けられた操作部のユーザの操作としては、第2の装置から第1の装置に対して第1の装置からの所定の被制御機器の所定の制御動作を行わせるための操作とは、異なる操作とするとよい。
【0019】
また特に、第2の装置に設けられた操作部のユーザの操作としては、第2の装置から第1の装置に対して第1の装置からの所定の被制御機器の所定の制御動作を行わせるため無線信号の送出のトリガとなる操作を含みつつ、当該操作とは異なる操作とするとよい。特に所定時間内に連続して同一の操作がなされることが第1の装置と第2の装置との間ではない操作を含むとよい。また特に、所定時間内に連続して所定回数同一の操作がなされた無線信号を受信したときに、第1の中継機である車両中継機から第2の中継機に対して車両制御システムが所定の被制御機器の所定の制御動作を行う構成とするとよい。
【0020】
例えば、被制御機器が車両でありそのドアロックを制御する構成であって、第2の装置である携帯機には操作部として車両のドアのロックするボタンが設けられている構成等においては、当該ボタンを車両のドアのロックのための操作(例えば、当該ボタンを1回だけ押す)とは異なる操作、例えば1秒以内に3回連続してドアロックボタンを押す等の操作をユーザが行ったことを、第2の中継機が、第2の装置が発した当該3回分のドアロックの無線信号を連続して所定時間内に受信したことを検知することで行うとよい。このような検知がなされた場合に、エンジン等の始動の指示信号を第1の中継機に対して無線送信するとよい。
【0021】
例えば、被制御機器が車両であり、第2の装置である携帯機には操作部として車両のドアのロックを開閉するボタンしか設けられていない場合には、当該ボタンを車両のドアのロックを開閉する操作とは異なる操作、例えば1秒以内に3回連続して押す等の操作をユーザが行うことによって、第2の中継機および第1の中継機を介して車両制御システムがエンジンの始動もしくはモーターのシステムの始動、もしくはエアコンの始動、またはこれらの停止を行うものとするとよい。
【0022】
中継システムは、第1の装置と第2の装置との間の通信距離よりも第1の中継機と第2の中継機との間の通信距離が長い構成とするとよい。このようにすれば、ユーザが第2の中継機または第2の装置を操作することにより、制御システムをより遠くから遠隔操作することができる。第1の中継機と第2の中継機との間の通信距離をより長くする構成としては、例えば、第1の中継機と第2の中継機との間の通信に使用される電波の送信電力を、第1の装置と第2の装置との間の通信に使用される電波の送信電力よりも大きくするとよい。
【0023】
中継システムは、第1の装置と第2の装置との間の通信が次のような順序(以下「シーケンス」ともいう。)で行われる制御システムに適用するとよい。[1]まず、第1の装置を用いて被制御機器の制御を開始するため、例えば第1の装置に設けられた始動スイッチを操作すると、第1の装置から、通信信号として応答要求信号を送信する。[2]第2の装置は、応答要求信号を受信すると、応答要求信号に基づき所定の処理を行って生成した応答信号を通信信号として送信する。[3]第1の装置は、受信した応答信号が、自身が送信した応答要求信号と対比して所定の応答信号である場合には被制御機器の制御を開始し、所定の応答信号ではない場合には被制御機器の制御を開始しない。
【0024】
このようなシーケンスで通信が行われる制御システムにおいて、中継システムによる、制御システムの第1の装置と第2の装置との間の通信の中継は、次のような順序で行うとよい。応答要求信号については、第1の中継機は、第1の装置から送信された応答要求信号を受信すると、応答要求信号に基づく無線応答要求信号を送信する。第2の中継機は、無線応答要求信号を受信すると、この無線応答要求信号から第2の装置が応答要求信号と認識する転送応答要求信号を生成し、この生成した転送応答要求信号を第2の装置に送信する(以下、第1の中継機が応答要求信号を受信し、第2の中継機が転送応答要求信号を送信することを、「応答要求信号を中継する」ともいう。)。
【0025】
応答信号については、第2の中継機は、第2の装置から送信された応答信号を受信すると、応答信号に基づく無線応答信号を送信する。第1の中継機は、無線応答信号を受信すると、この無線応答信号から第1の装置が応答信号と認識する転送応答信号を生成し、この生成した転送応答信号を第1の装置に送信する(以下、第2の中継機が応答信号を受信し、第1の中継機が転送応答信号を送信することを、「応答信号を中継する」ともいう。)。
【0026】
転送応答要求信号は、元の応答要求信号と全く同じものでもよいし、元の応答要求信号と異なっていても、第2の装置が応答要求信号として認識できる範囲の信号であればよい。同様に、転送応答信号は、元の応答信号と全く同じものでもよいし、元の応答信号と異なっていても、第1の装置が応答信号として認識できる範囲の信号であればよい。
【0027】
また、中継システムは、特に、上記シーケンスを2回(例えば、起動シーケンスとそれに続く認証シーケンス)行う制御システムに適用するとよい。
【0028】
通信仕様の判別は、制御システムにおける通信が発生するたびに行う構成としてもよいが、特に、中継システムを制御システムに設けた後最初に制御システムにおける通信が発生した時に行う構成とするとよい。さらに、当該判別結果を第1の中継機および第2の中継機のそれぞれに設けられた記憶手段に判別した通信仕様に関する情報を記録し、当該記録された情報に基づいて第1の中継機および第2の中継機が動作するとよい。また、判別した通信仕様を中継システムに適用しなければ、中継システムを介しての制御システムによる被制御機器の始動等の制御を行うことができないようにするとよい。
【0029】
通信仕様の判別を、中継システムを被制御機器に設置した後最初に制御システムにおける通信が発生した時に行う場合には、例えば中継システムを設置後最初に被制御機器に設けられた始動スイッチで制御システムの始動操作を行い、第1の装置から通信信号を送信した時に行うようにするとよく、例えば第1の中継機にディップスイッチを設けて当該ディップスイッチで中継システムを設定モードとした状態で、被制御機器に設けられた始動スイッチで始動操作を行い、第1の装置から通信信号を送信させて行うようにするとよい。
【0030】
通信仕様の判別は、例えば通信信号のデータ長さに基づいて行うとよい。ここで、制御システムAの通信信号のデータ長さが別の制御システムBの通信信号よりも短い場合において、制御システムAにのみ対応する中継システムを制御システムBに使用した場合を例として考える。
【0031】
相互に無線通信を行う第1の中継機と第2の中継機との間では、通信信号(例えば無線応答要求信号)の第1の中継機からの送信と第2の中継機での受信、および通信信号(例えば無線応答信号)の第2の中継機からの送信と第1の中継機での受信が行うとよい。
【0032】
第1の中継機には、第2の中継機との通信を行う送信手段と受信手段を別個に設けてもよいし、送受信兼用の送受信手段を設けてもよい。同様に、第2の中継機には、第1の中継機との通信を行う送信手段と受信手段を別個に設けてもよいし、送受信兼用の送受信手段を設けてもよい。
【0033】
制御システムAにのみ対応する中継システムの第2の中継機において、第1の中継機との通信信号の送受信を、送受信兼用の送受信手段を用いて行う場合には、第1の中継機からの通信信号の受信状態と、第1の中継機への通信信号の送信状態との切り替えを、制御システムAの通信信号のデータ長さに応じた適切なタイミングで行うとよい。
【0034】
制御システムAの通信信号のデータ長さが別の制御システムBの通信信号よりも短い場合、第1の中継機から通信信号を受信した第2の中継機は、第1の中継機からの通信信号の受信状態から、第1の中継機への通信信号の送信状態への切り替えを、第1の中継機からの通信信号の受信を完了する前に行ってしまい、エラーが生じる可能性がある。
【0035】
しかし、通信信号に基づいて判別した通信仕様を適用するようにすれば、例えば第1の中継機および第2の中継機の送受信状態の切り替えタイミングの設定が、制御システムに応じて自動的に行われる中継システムを得ることができ、このようなエラーが生じることを低減することができる。
【0036】
通信仕様の判別は、第1の中継機のみ、第2の中継機のみ、第1の中継機および第2の中継機の両方のいずれかによって行うとよい。第1の中継機のみで通信信号に基づく通信仕様の判別を行う場合等には、判別した通信仕様に関する情報を第1の中継機から第2の中継機に送信するとよい。
【0037】
通信仕様の判別を行う際に、第1の中継機と第2の中継機とが互いに通信できる距離とし、第1の装置と第2の装置とは互いに通信できない距離とするよう指示する離隔指示手段を設けるとよい。離隔指示手段は、取扱説明書のように紙に記載されたものとしてもよく、第1の中継機と第2の中継機との距離または通信状態および第1の装置と第2の装置との距離または通信状態を判定して、第1の中継機と第2の中継機とが互いに通信できる距離であり、かつ第1の装置と第2の装置とは互いに通信できない距離であるか否かを報知する距離報知手段としてもよい。当該距離報知手段による報知は、第1の中継機または第2の中継機に表示部または音声出力部を設け、当該表示部に表示または音声出力部から音声として出力することにより行うとよい。
【0038】
このようにすれば、中継システムへの特定の通信仕様の適用が完了する前に、第1の装置と第2の装置とが中継システムを介さずに通信を完了してしまうことを抑制することができる。
【0039】
当該距離報知手段は、通信仕様の判別を行う際だけでなく、中継システムの使用時にも、第1の中継機と第2の中継機とが互いに通信できる距離とし、第1の装置と第2の装置とは互いに通信できない距離とするよう指示するものとするとよい。なお、距離報知手段による指示は、通信仕様の判別を行う際には行わず、中継システムの使用時にのみ行うものとしてもよい。
【0040】
第1の中継機には、判別した通信仕様が適用されると、どの通信仕様が適用されたかを報知する仕様報知手段を設けるとよい。仕様報知手段は、判別した通信仕様に対応する報知内容を記憶する記憶部と、表示部または音声出力部とを備えるものとし、通信仕様の適用が完了すると、いずれの通信仕様が適用されたかを当該表示部に表示または音声出力部から音声として出力するとよい。報知内容は、いずれの通信仕様が適用されたかを特定できる情報とするとよく、例えば車両メーカーおよび車種とするとよく、また、中継システムにおいて記憶している通信仕様を番号で管理している場合には、例えば「通信仕様1を適用しました。」等とするとよい。また、表示部には、判別した通信仕様が適用されている状態か、適用されていない状態かを表示するとよい。
【0041】
(2)前記通信仕様の判別は、前記通信信号のうち、前記第1の装置から送信される応答要求信号および前記応答要求信号に対応して前記第2の装置から送信される応答信号の少なくともいずれか1つについて、ビット数、送信時間およびデータフレーム構成の少なくともいずれか1つに基づいて行うとよい。
【0042】
このようにすれば、正確に制御システムの種類を判別することができ、より正確な通信仕様を適用することができる。
【0043】
制御システムが例えば車両制御システムである場合は、正確に車種を判別することができ、第1の中継機および第2の中継機の送受信状態の切り替えタイミングをより正確に設定することができる。
【0044】
制御システムにおいて行われる通信信号のシーケンスが、起動シーケンスとそれに続く認証シーケンスの2回である場合、通信仕様の判別は、起動シーケンスの応答要求信号、例えばWAKE信号の送信時間に基づいて行うとよい。
【0045】
また、通信仕様の判別は、応答要求信号および応答信号の少なくともいずれか1つについて、ビット数、送信時間およびデータフレーム構成の少なくとも2つに基づいて行うとよい。
【0046】
(3)前記制御システムが、前記第1の装置と前記第2の装置との間で、前記通信信号として前記第1の装置から送信される応答要求信号および前記応答要求信号に対応し前記第2の装置から送信される応答信号を複数組使用し、前記各組の前記応答要求信号および前記応答信号に基づいて前記通信仕様の判別を行うとよい。
【0047】
このようにすれば、より正確に制御システムが設けられた被制御機器の機種を特定することができる。被制御機器が例えば車両である場合には、車両制御システムにおいて、2組の応答要求信号および応答信号を用いる起動シーケンス、認証シーケンスのいずれについても通信信号に基づいて通信仕様を判別することができ、これにより正確な通信仕様を適用し、例えば第1の中継機および第2の中継機の送受信状態の切り替えタイミングをより正確に設定することができる。
【0048】
(4)前記通信仕様の判別を前記第1の中継機に設けられた判別手段によって行い、前記第1の中継機および前記第2の中継機への前記判別した通信仕様の適用を完了すると、前記第1の中継機および前記第2の中継機を介した前記制御システムによる前記被制御機器の制御動作の開始または停止をユーザが操作できることを報知する操作可否報知手段が前記第2の中継機に設けられているとよい。
【0049】
このようにすれば、中継システムを用いて被制御機器の操作を行うことができるようになったことを使用者が知ることができ、被制御機器の操作ができない状態で操作を行おうとすることを抑制することが可能となる。
【0050】
第1の中継機に設けられた判別手段による通信仕様の判別結果は、第1の中継機から第2の中継機に対して、制御システムの通信信号の中継以外の通信により送信するとよい。
【0051】
第2の中継機に設けられている操作可否報知手段は、音声出力手段または表示手段とするとよい。音声出力手段は例えば中継システムを用いて被制御機器の操作を行うことができるようになったときに、「ピッ」という短い信号音や「使用できます」という音声を出力するとよい。表示手段は、例えばLEDとし、中継システムを用いて被制御機器の操作を行うことができるようになると赤色の点灯状態から青色の点灯状態に変化するものや、また例えば液晶画面とし、中継システムを用いて被制御機器の操作を行うことができるようになると使用可能を意味する文字やマークを表示するものとするとよい。操作可否報知手段は、第1の中継機に設けられていてもよい。
【0052】
(5)前記被制御機器が車両および前記車両を構成する車両構成機器、前記第1の装置が前記車両に設けられた車両制御装置、前記第2の装置が携帯機であるとよい。
【0053】
このようにすれば、中継システムを用いて車両または車両構成機器の操作を行うことができる。車両構成機器は、どのようなものであってもよいが、例えば車両のドアのロック機構、カーセキュリティ、エアコンとするとよく、特に、車両の動力源であるエンジンまたはモーターとするとよい。
【0054】
(6)複数種類の前記通信信号に関する情報を記憶する記憶手段と、前記第1の中継機または前記第2の中継機が前記第1の装置または前記第2の装置から受信した前記通信信号が、前記記憶手段に記憶された前記複数種類の通信信号のいずれに該当するかを照合する照合手段とを備え、前記所定の通信仕様の判別を、前記照合手段による前記通信信号の照合により行うとよい。
【0055】
このようにすれば、通信仕様の判別を確実に行うことができ、正確に第1の中継機および第2の中継機の設定を行うことができる。
【0056】
複数種類の通信信号に関する情報は、複数種類の通信信号のそれぞれの種類を識別するための情報とするとよく、各通信信号の特徴の情報とするとよく、各通信信号の差異点の情報とするとよい。
【0057】
(7)前記制御システムが、前記通信信号として、前記第1の装置から送信される応答要求信号および前記応答要求信号に対応して前記第2の装置から送信される応答信号を使用するとともに、前記第2の装置が、前記応答要求信号に含まれる周波数指定情報に基づく周波数で前記応答信号を送信するものであり、前記応答要求信号に基づいて判別した前記所定の通信仕様に前記周波数指定情報が含まれ、前記第2の中継機が、前記第2の装置から送信された前記応答信号を、前記周波数指定情報に基づく周波数で受信するとよい。
【0058】
このようにすれば、第2の装置から応答信号を送信する周波数が制御システムごとまたは通信ごと等によって異なる場合であっても、同じ中継システムによって中継することが可能となる。
【0059】
第2の装置が応答信号を送信する周波数は、通信仕様とするとよい。
【0060】
(8)前記第2の中継機が、前記第1の中継機との間で無線通信を行う第1の送受信部と、前記第2の装置との間で無線通信を行うとともに、前記第1の送受信部との間で互いに前記通信信号を伝達する第2の送受信部を備え、前記第2の装置から送信される前記通信信号を受信している時以外は前記第2の送受信部から前記第1の送受信部への前記通信信号の伝達が遮断され、前記第1の送受信部は、前記第1の中継機から送信された前記通信信号の受信を完了すると、前記第1の中継機に前記第2の送受信部から伝達された前記通信信号を送信する状態に切り替えるとよい。
【0061】
第2の中継機において、第2の送受信部が第2の装置から送信された通信信号を第1の送受信部に伝達するものであり、かつ第1の送受信部が第2の送受信部から伝達された通信信号をそのまま送信するもの等である場合、第2の送受信部が第2の装置から送信される通信信号を受信していない時に第2の送受信部がノイズを受信したときには当該ノイズが第1の送受信部から送信されるという問題がある。
【0062】
ここで、第2の中継機において、第1の送受信部が第2の送受信部から伝達された信号をそのまま送信するものであっても、第2の装置から送信される通信信号を受信している時以外は第2の送受信部から第1の送受信部への通信信号の伝達が遮断されるようにすれば、第2の装置から送信された通信信号を第1の装置に対して中継する際に、ノイズを送信することを抑制することができる。
【0063】
また、第2の中継機において、第1の送受信部は、第1の中継機から送信された通信信号の受信を完了すると、第1の中継機に第2の送受信部から伝達された通信信号を送信する状態に切り替えるため、第1の装置から通信信号が送信されてから第1の装置に戻ってくるまでの時間の遅れも生じにくい。そのため、例えば制御システムが車両制御システムであり、エンジンを始動させる際に車両制御装置から応答要求信号を送信してから携帯機から応答信号の送信を開始するまでの時間が車両メーカーによって短時間で設定されている場合であっても、中継システムを用いてエンジンを始動させることができない可能性を低減することができる。
【0064】
第2の送受信部から第1の送受信部への通信信号の遮断は、例えば、第2の装置から通信信号が送信されたことを検知している時にのみ制御信号を出力する制御部と、当該制御部から出力される制御信号と第2の送受信部から出力される通信信号との論理積を第1の送受信部に出力するAND回路を用いて行うとよい。
【0065】
(9)前記制御システムにおいて、前記第1の装置が、複数の前記第2の装置のそれぞれとの間で前記被制御機器の制御動作を行うための前記所定の信号の無線通信を行い、前記第1の装置が前記通信信号として送信する第1の応答要求信号および第2の応答要求信号のそれぞれに対して、前記第2の装置のそれぞれが前記通信信号として対応する固有の第1の応答信号および固有の第2の応答信号のいずれかを送信するものであり、前記第1の中継機が、前記複数の第2の装置から送信される前記第1の応答信号に関する情報を記憶し、前記被制御機器、前記第1の装置、前記第1の中継機、および前記第2の中継機の少なくとも1つの動作を検知する動作検知手段が、前記第1の中継機または前記第2の中継機に接続され、前記第1の装置が送信した前記第1の応答要求信号を受信した前記第1の中継機が、前記記憶する前記第1の応答信号に関する情報に基づき、前記第1の装置が前記固有の第1の応答信号のいずれかと認識する信号の1つを送信し、前記固有の第1の応答信号のいずれかと認識した前記第1の装置が前記第2の応答要求信号を送信し、前記第1の装置が送信した前記第2の応答要求信号に基づく信号を前記第1の中継機を介して受信した第2の中継機から送信された、前記第2の装置が前記第2の応答要求信号と認識する信号を受信した前記第2の装置の1つが、前記固有の第2の応答信号を送信した後において、前記動作検知手段が前記第1の装置、前記被制御機器、前記第1の中継機、および前記第2の中継機の少なくとも1つが動作したことを検知するまで、前記第1の中継機が前記記憶する前記第1の応答信号に関する情報に基づき、前記第1の装置が前記固有の第1の応答信号のいずれかと認識する信号を順に送信するとよい。
【0066】
第1の中継機が、第1の装置が固有の第1の応答信号のいずれかと認識する信号を順に送信する動作(以下「順次送出動作」ともいう。)をこのように行うことにより、中継システムを利用して第1の装置と第2の装置の認証動作を行う際に、第1の応答信号を第2の装置から第1の装置まで中継する必要がなく、中継システムで使用する電力を低減することができる。
【0067】
動作検知手段は、第1の中継機または第2の中継機に有線または無線で接続されるものとするとよい。
【0068】
動作検知手段が検知する第2の中継機の動作は、第2の装置が送信した第2の応答信号を、第2の中継機が受信したこととするとよい。動作検知手段が検知する第1の中継機の動作は、第2の中継機が第2の応答信号に基づいて送信した無線応答信号を、第1の中継機が受信したこととするとよい。動作検知手段が検知する第1の装置の動作は、第1の中継機が送信した、第1の装置が第2の応答信号と認識する信号を、第1の装置が受信したこととするとよい。動作検知手段が検知する被制御機器の動作は、第1の装置が第2の応答信号を認識して行われる制御システムの制御動作に基づく動作とするとよく、被制御機器が車両である場合には、例えばエンジンの始動またはモーターのシステムの始動、またはエアコンの始動とするとよい。
【0069】
中継システムを用いた第1の装置と第2の装置の認証動作は、例えば次のようなステップで行うことができる。
【0070】
[1]第1の中継機が第1の装置に起動トリガ信号を送信するステップと、[2]第1の装置が起動トリガ信号を受信し、第1の応答要求信号を送信するステップと、[3]第1の応答要求信号を受信した第1の中継機が、記憶する第1の応答信号に関する情報に基づき、第1の装置が固有の第1の応答信号のいずれかと認識する信号の1つを送信するステップと、[4]固有の第1の応答信号のいずれかと認識した第1の装置が第2の応答要求信号を送信するステップと、[5]第1の中継機と第2の中継機が第2の応答要求信号を中継するステップと、[6]第2の応答要求信号を認識した第2の中継機の1つが第2の応答信号を送信するステップと、[7]第2の中継機と第1の中継機が第2の応答信号を中継するステップと、を備え、これらのステップの後、第1の装置が、中継された第2の応答信号を受信し、第1の応答信号と第2の応答信号とが対応していることを認識した場合には認証動作を完了し、第1の応答信号と第2の応答信号とが対応していることを認識しない場合には、順次送出動作として、ステップ[3]で送信した信号とは別の第1の装置が固有の第1の応答信号のいずれかと認識する信号を第1の中継機が送信するものとする。
【0071】
(10)前記被制御機器は車両の制御システムであり、前記通信仕様の判別は、車両の製造メーカー間の通信仕様の違いを判別するとよい。このようにすれば、メーカーが異なる車両において同一の中継システムを製造するだけで済み、販売店の中継システムの各メーカー向けの中継システムの在庫管理の必要性を軽減できる。また中継システムの製造現場や車両への取付現場においても作業や管理の負担を軽減可能である。
(11)前記第1の装置と前記第2の装置との間の無線通信の通信仕様を手動で設定する設定手段を備えないとよい。このようにすれば手動設定するための指示書を添付する必要がない。また手動設定を間違える可能性を軽減できる。例えば車種等の通信仕様を手動で設定するためのディップスイッチ等を設けない構成とするとよい。
(12)前記通信仕様の判別を行う判別モードへの切り替え手段を備え、判別モードであるとき第1の中継機は受信した第2の中継機に基づく信号を前記第1の装置に送信しない構成とするとよい。このようにすれば、より安全性や確実性を確保しやすい。前記通信仕様の判別を行う判別モードへの切り替え手段を備え、判別モードであるとき、第2の中継機から受信した信号に基いて通信仕様を判別または設定し、第1の中継機は受信した第2の中継機に基づく信号を前記第1の装置に送信しない構成とするとよい。切り替え手段はスイッチ等で構成してもよいが、第2の装置にボタンを備える車両においては当該ボタンについて車両の操作として定められている操作以外の操作によって送信された電波を第2中継機が受信したときに判別モードとするとよい。判別モードから中継する状態である中継モードへの切り替えはスイッチ等の手動で行うようにしてもよいが、判別モードにて通信仕様の判別に成功した後に自動的に判別モードを終了して中継モードに切り替えるようにするとよい。
【0072】
(13)前記通信仕様の判別のために行う、前記第1の装置と前記第2の装置との間の通信信号の受信は、直接的に前記第1の装置または第2の装置からの信号を受信する手段または前記中継を行う通信信号を受信する手段の少なくともいずれか一つを、少なくとも前記第1の中継機または第2の中継機のいずれか一方に備える構成とするとよい。(1)の「 前記第1の装置と前記第2の装置との間で通信が行われる通信信号を受信し、」は、例えば第1の中継機と第2の中継機とが第1の装置と第2の装置との通信範囲内に位置し、直接的にこの装置間の通信を受信する構成としてもよいが、これに限らない。例えば、第2の中継機は、第1の装置の信号を第1の中継機から、中継を受け、その第1の中継機からの電波を受信することで間接的に第1の装置の信号を受信する構成とするとよい。例えば、第1の中継機は、第2の装置からの信号を第2の中継機から、中継を受け、その第2の中継機からの電波を受信することで間接的に第2の装置の信号を受信する構成とするとよい。その他、間接的に受信する各種の構成とするとよい。このように装置からの信号の中継信号を受信する手段によって間接的に前記第1の装置と前記第2の装置との間の通信信号を受信するとよい。このようにすれば、中継機が直接装置の信号を受信するための受信機の数を減らすことができ、中継機のコストを大幅に低減すること等ができる。
【0073】
(14)例えば上記(1)から(9)までのいずれかに記載の中継システムにおける第1の中継機として構成するとよい。
(15)例えば上記(1)から(9)までのいずれかに記載の中継システムにおける第2の中継機として構成するとよい。
これらのような装置としては、例えば上述した車両制御システムに使用される装置として構成するとよい。車両制御システムに用いる装置は、例えば、エンジンスターターとして用いる中継システム用の装置として、車両中継機またはエンジンのスタートボタンが設けられた携帯中継機として構成するとよい。
【0074】
(16)エンジンがかかっている状態かどうかを判定する機能を備え、エンジンがかかっているときは中継を行わないように処理するとよい。
【0075】
(17)現在の場所(例えば位置)を特定する手段を備え、(例えば予め設定された)特定の場所では中継しないように処理するとよい。また例えば(例えば予め設定された)特定の場所で中継を行うように処理をする(例えばマンションの自宅では中継、別荘では中継しないなど)。例えば中継禁止ポイント(例えばエリア)を設定できるようにしてもよい。
【0076】
(18)(例えば車室内の)温度がある範囲(例えば快適温度範囲)である場合には、中継をしないよう制御するとよい。
【0077】
(19)第2の中継機に第1の装置などが送信するLFデータを受信するLF受信機能を設け、LFデータを受信しているときは中継しないよう制御するとよい。
【0078】
(20)第2の中継機に、第1の装置など車の出す信号(LFデータ)と同じ信号を、車からの信号がないときに送信する機能(例えば第2の中継機に設けられたチェック用のボタンを押したとき、あるいは、一定時間間隔(例えば1分ごと)に送信する機能)を備え、ちゃんと第2の装置である純正キーから、当該第2の中継機が送信した信号に対する応答信号が帰ってくるか(例えば両者が適正な距離範囲にあるか)どうかを判定する。帰って来なかった場合その旨がわかるように報知する機能を備えるとよい。このとき、その純正キーからの応答信号は、第1の中継機側には中継しないよう制御するとよい。予め車種別の信号パターンなどを記憶させておき、記憶されたパターンに基づく信号を送出するようにしてもよいが、特に車両中継機から中継された車両からの信号を記憶しておき、その信号に基づく信号を送出するようにするとよい。
【0079】
(21)第1の中継機に車内LANへの接続機能を備え、車内LANの信号の状態を加味して、中継しない制御を行う機能を備えるとよい。例えばドア開が車内LAN(例えばCAN)から検出されているときには、中継しない構成とするとよい。
【0080】
(22)中継装置の中継動作時間を制限する機能を備えるとよい。例えばエンジンスタートボタンを押してから所定範囲(例えば数秒)に中継動作時間を制限するとよい。例えば、従来の携帯中継機と純正キーとはリングで結ばれて用いることとしているが、2つのものがリングでつながっていると、バッグの中の他のものにひっかかったりして、使い勝手がわるい。そこで両者が数メートル離れていてもよいとした場合には、例えば、同一車種の他の車の純正キーからの信号を携帯中継機(第2の中継機)が中継してしまうといった問題が生じる。このような問題の発生頻度を低減させることができる。また、同一車種の他の車の純正キーが反応しているかをチェックする機能を設けるとよく、そのような場合にはその旨を示す報知を行うとよい。正しい純正キーのデータでないと判別された時点でそれ以降の信号の中継をやめるように制御してもよい。
【0081】
(23)第2の装置と第2の中継機の両方にボタンがあると押し間違えしやすいという課題がある。第2の中継機には中継用のRF受信器があるのでこれを中継以外の用途で使用するとよい。例えば、第2の中継機からボタンをなくす。携帯中継機は中継や報知(特に画面ではなく音での報知が望ましい)に徹する。操作は例えば第2の装置の複数回の特定のボタン押し(ロックボタンを連続して1秒以内に2回押すなど)をエンジンスタートの操作とする。このような特定の操作を純正キーから送出される信号を携帯中継機で受信して検出した場合にエンジンスタート信号を送出するとよい。
【0082】
(24)第2の装置が第2の中継機の近くにあるか否かで第2の中継機の動作を変える機能を備えるとよい。例えば第2の中継機である携帯中継機のエンジンスタートボタンが押下されたことを検出した場合、エンジンスタートの信号を第1の中継機である車両中継機に送る前に(あるいは送った後でもよいがこの場合は車両中継機側でエンジン始動信号を車両に送信するのはディレイを持たせるなどして)、第2の装置である純正キーが携帯中継機の近くにあるかを確認する信号(例えばLFデータ)を送出し、純正キーが携帯中継機の近くにあると判定した場合に、エンジンスタート信号を車両中継機に送信する。ないと判定した場合にはエンジンスタートの信号の車両中継機への送信を行わない。またない場合には純正キーが携帯中継機の近くにないことを示す報知を行うとよい。
【0083】
また、例えば携帯中継機を自宅の中に忘れてきて、運転者が自宅の駐車場の車の中を掃除しているとき、自宅の中の子供が携帯中継機のエンジンスタートボタンを押した場合などを想定すると、車両中継機側で車内に純正キーがあるか否かを検出する機能を備え(例えばECU直結か、車内LAN監視か、RF受信機で検出)、純正キーが車内に存在すると検出されているにもかかわらず、携帯中継機からのエンジンスタート信号を受信した場合には、そのような状況にあることを示す報知を行うとよい。
【0084】
(25)LFデータを、携帯機(純正キー、第2の装置)は正規の信号と認識するが、車(車両制御装置)が出すLFデータとは異なるLFデータとするとよい。LF受信器を備える装置(例えば車両中継機(第1の中継機)にこの機能を備えるとよい)では、この2つのLFデータを弁別していずれのLFデータを受信したかを記録する機能を備えるとよい。
【0085】
(26)RFデータを、車両は正規の信号と認識するが、純正キー(第2の装置)の出すRFデータとは異なるRFデータとする。RF受信器を備える装置(例えば携帯中継機(第2の中継機)にこの機能を備えるとよい)では、この2つのRF信号を弁別していずれのRF信号を受信したかを記録する機能を備えるとよい。
【0086】
(27)例えば上記(1)から(26)までのいずれかに記載の機能をコンピュータに実現させるためのプログラムとして構成するとよい。当該プログラムは、第1の中継機用のプログラムと、第2の中継機用のプログラムとするとよい。
【0087】
上述した(1)から(26)までの発明は、任意に組み合わせることができる。例えば(1)の全部または一部の構成を備えずに他の(2)から(26)までの少なくともいずれか1つの構成を備えたものとしてもよい。但し特に、(1)の構成の全部または一部を備えて、(2)から(26)までの少なくともいずれか1つの構成と組み合わせを備えるとよい。また(1)から(26)までの少なくとも1つから任意の構成要素を抽出し、組み合わせてもよい。本願出願人はこれらのような構成についても特許権を取得する意思を有する。
【0088】
上述した本発明の特定の仕方は一例であって、一部を拡張したり、一部を限定したりしてもよい。
【発明の効果】
【0089】
本発明によれば、例えば、多くの種類の被制御機器(例えば多くの車種)や多くの制御システムに対応可能な中継システム等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【
図1】
図1は、中継システムを用いた車両遠隔操作システムの一例を示すブロック 図である。
【
図2】
図2は、車両遠隔操作システムのうち、車両制御システムのみの通信シーケ ンスを示す図である。
【
図3】
図3は、各データ・信号の通信のシーケンスを示す図である。
【
図4】
図4は、車両制御システムにおけるLFデータとRFデータのタイミングチ ャートであり、同図(a)は車両Aに搭載された車両制御システム、同図(b)は車 両Bに搭載された車両制御システムについて示す。
【
図5】
図5は、第3の実施形態に係る携帯中継機のブロック図である。
【
図6】
図6は、第三の実施形態に係る車両制御システムにおけるLFデータとRF データのタイミングチャートである。
【
図7】
図7は、複数の携帯機が使用可能な車両制御システムにおけるLFデータと RFデータのタイミングチャートである。
【
図8】
図8は、第4の実施形態に係る車両遠隔操作システムにおける各データ・信 号の通信のシーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0091】
以下、発明の好適な実施形態を、添付図面を参照して説明する。なお、本発明は以下に説明する実施形態において例示したものに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲でその教示および精神から他の実施形態があり得ることは当業者に容易に理解できよう。
【0092】
[中継システムを用いた車両遠隔操作システムの基本構成]
図1は、中継システムを用いた車両遠隔操作システムの一例を示すブロック図である。同図を用いて、通信処理の動作を説明しつつ、この車両遠隔操作システムの前提となる基本構成を説明する。車両遠隔操作システム1は、車両制御装置10(第1の装置)と、車両中継機20(第1の中継機)と、携帯中継機30(第2の中継機)と、携帯機40(第2の装置)とを備える。車両制御装置10と車両中継機20とは車両6に設置され、携帯中継機30と携帯機40とは使用者が携帯する。車両遠隔操作システム1において、車両制御装置10と携帯機40とは車両制御システム2を構成し、車両中継機20と携帯中継機30とは中継システム4を構成する。ここでは、車両制御システム2はもともと車両メーカーの工場出荷時に車両に備えられているものであり、中継システム4は車両に後付されるシステムである。
【0093】
[車両制御装置]
車両制御装置10は、車両6に設けられた所定機器を制御するための装置である。この所定機器の制御は、例えば、車両6に設置されたプッシュスタートボタンの押下等のユーザの操作に応じて車両6を走行可能な状態に始動するためのもので、例えば内燃機関を動力源とする自動車においてセルモータをONにすること(エンジン始動)がある。
【0094】
車両制御システム2を構成する車両制御装置10は、制御対象の車両6の機器に対する制御を行うのに先立ち、携帯機40に記憶されている認証情報と、車両制御装置10に記憶されている認証情報によって認証が成功することを条件の一つとして、エンジンの始動等の制御を行う。
【0095】
係る処理を行うため、車両制御装置10は、携帯機40と相互に通信信号を無線通信可能として構成される。車両制御装置10は、制御部12と、送受信部14と、認証情報記憶部16とを備える。車両制御装置10は、車両6のバッテリー6aに接続され、電力供給を受ける。車両制御装置10は、制御対象の車両6の機器との間で例えば有線通信により連係し、所定の機器の制御を行う。認証情報記憶部16は、不揮発性の記憶手段であり、正規の携帯機40の認証情報を記憶する。認証情報は、例えばIDコード等がある。正規の携帯機40が複数存在する場合、その複数の携帯機40のそれぞれの認証情報を記憶する。
【0096】
制御部12は、例えばマイコン等により構成し、内蔵するCPUが内蔵するROMに記憶されたプログラムを実行することにより以下に述べる機能を実現する。制御部12は、制御対象の車両6の機器を制御するための制御信号を出力する機能や、認証情報記憶部16に記憶した認証情報に基づき、正規の携帯機40の存在を確認するための通信信号である応答要求信号等の他の装置と通信を行う際のコマンド・データ等(以下「LFデータ」ともいう。)を出力する機能等を有する。
【0097】
送受信部14は、携帯機40に実装された送受信部44や、車両中継機20に実装された第一車両側送受信部24と無線通信を行うものである。送受信部14は、送受信用RFICにより構成する。送受信部14は、制御部12から出力される各種のコマンド・データ等のLFデータを第一周波数(以下「LF」ともいう。)で無線送信する機能、他の装置から第二周波数(以下「RF」ともいう。)で無線送信されてきたコマンド・データ等(以下「RFデータ」ともいう。)を受信し、制御部12に渡す機能等を有する。
【0098】
第二周波数は第一周波数よりも高い周波数であり、第二周波数を用いたRFデータの通信可能な距離は、第一周波数を用いたLFデータの通信可能な距離よりも長い。一例を示すと、第一周波数(LF)は134kHzであり、第二周波数(RF)は314MHzである。
【0099】
[携帯機]
携帯機40は、例えばスマートキー、純正キーなどと称されるものである。携帯機40は、制御部42と、送受信部44と、認証情報記憶部46を備える。携帯機40の電源は、内蔵した一次電池40aを用いる。一次電池40aは、市販の乾電池やボタン電池等を用いると、容易に入手し実装でき、取り扱いが容易となるので良い。特に、ボタン電池とすると、携帯機40の小型化が図れるので良い。
【0100】
認証情報記憶部46は、イモビライザ機能のための認証情報として固有のIDコードを格納する。制御部42は、例えばマイコン等により構成し、内蔵するCPUが内蔵するROMに記憶されたプログラムを実行することにより以下に述べる機能を実現する。制御部42は、対を構成する車両制御装置10から自己宛の応答要求信号を受信した場合、応答信号(以下「レスポンスデータ」ともいい、「RFデータ」に含まれる。)を出力する。送受信部44は、車両制御装置10に実装された送受信部14や携帯中継機30に実装された第一携帯側送受信部34と無線通信を行うものである。例えば送受信用RFICにより構成する。この送受信部4bは、第一周波数で無線送信されてきたコマンド・データ等のLFデータを受信して制御部42に渡す機能、制御部42から出力される応答信号等の各種のコマンド・データ等のRFデータを第二周波数で無線送信する機能等を備える。
【0101】
[エンジン始動処理]
図2は、車両遠隔操作システムのうち、もともとの車両メーカーの工場出荷時の車両に備えられている車両制御システムのみの通信シーケンスを示す図である。以下の説明における括弧内の数字は、図中の括弧内の数字に対応する。同図に示すシーケンスは、起動シーケンスと認証シーケンスとからなる。
【0102】
(1,2)車両制御装置10の制御部12は、所定のトリガ信号の受信などの送信タイミングを満たすと、応答要求信号としてWAKE信号(LFデータの一種)を送受信部14から送信する。所定のトリガ信号は、例えば、車両6のフットブレーキペダルの踏み込みに伴い出力されるフットブレーキ信号がある。
【0103】
(3)携帯機40が当該WAKE信号の通信可能距離内に存在し、当該WAKE信号を受信すると、携帯機40は応答信号としてACK信号(RFデータの一種)を無線送信する。車両制御装置10の送受信部14が当該ACK信号を受信し、制御部12が携帯機40の存在を確認する。以上が起動シーケンスである。
(4)起動シーケンスで車両制御装置10が携帯機40の存在を確認すると、認証シーケンスに移行する。認証シーケンスでは、車両制御装置10の制御部12が認証情報記憶部16にアクセスし、記憶された認証情報としてのIDコードを取得し、そのIDコードを含む応答要求信号であるチャレンジ信号(LFデータの一種)を出力する。
【0104】
(5)携帯機40は、IDコードから受信した当該チャレンジ信号が自己宛の信号であると認識すると、携帯機40は自己の認証情報を含む応答信号であるレスポンス信号(RFデータの一種)を無線送信する。車両制御装置10の送受信部14が当該レスポンス信号を受信すると、携帯機40の認証を完了する。
【0105】
上述したように、車両制御装置10は、応答要求信号を出力してから一定時間内に正規の認証情報を含む応答信号の受信を条件の一つとして、車両制御装置10の制御部12は、エンジン始動処理を行う。本実施形態では、車両制御装置10がWAKE信号を出力してから、一定時間内にチャレンジ信号を受信して認証が完了すると、この認証完了状態で車両6に設けられたプッシュスタートボタンを押下してエンジン始動要求信号をONにすることにより、エンジンが始動する。
【0106】
[中継システム]
以上説明した
図2に示す車両制御装置10と携帯機40間の通信可能な距離は、例えば携帯機40を携帯した運転者が運転席に座ってエンジン始動の操作を行っている状況で通信可能であれば足りるため、比較的短い。この比較的短い距離は、LFデータを送信する第一周波数が、134kHzとすると、1~2m程度となる。
【0107】
本実施形態では、
図1に示すように、車両制御システム2に中継システム4を構成する車両中継機20と携帯中継機30を設け、それら中継機により車両制御装置10と携帯機40間で行う無線通信を中継することで、通信可能な距離を長くする。
【0108】
このように通信可能な距離を長くすることで、本システムは、例えば、携帯中継機30および携帯機40を携帯したユーザが、車両6から比較的離れた位置にいても、車両制御装置10と携帯機40との間での認証情報を用いた認証を行え、当該離れた位置から携帯中継機30または携帯機40を操作することにより、エンジンの始動を行うことができる。
【0109】
[車両中継機]
車両中継機20は、車両6内の所定位置に配置する。車両中継機20は、車両中継機20の制御を司る制御部22と、車両制御装置10と無線通信を行うための第一車両側送受信部24と、携帯中継機30と無線通信を行うための第二車両側送受信部26と、通信信号や通信仕様の各種パラメータを記憶するパラメータ記憶部28とを備える。車両中継機20は、車両6のバッテリー6aに接続され、電力供給を受ける。制御部22は、例えばマイコン等により構成し、内蔵するCPUが内蔵するROMに記憶されたプログラムを実行することにより以下に述べる機能を実現する。また、第一車両側送受信部24および第二車両側送受信部26は、それぞれ送受信用RFICにより構成する。車両中継機20は、さらに、起動トリガ出力部20aと、設定スイッチ20bと、報知部20cとを備える。
【0110】
第一車両側送受信部24は、車両制御装置10の送受信部14との間でデータの送受を行い、送受信部14の送信周波数帯である第一周波数(LF)で無線送信された電波を受信し、第二周波数(RF)で無線送信する。そして、通信距離が短いので、無線局の一つである微弱無線局で用いられる微弱な電波を用いる。
【0111】
第二車両側送受信部26は、特定小電力無線局に用いられる周波数帯に含まれる第三周波数(以下「SG」ともいう。)の電波を使用する。この特定小電力無線通信を利用することで、通信距離は、例えば見晴らし距離で1~2km程度になり、また、障害物があった場合でも例えば数百m程度になる。よって、例えば自宅が戸建て住宅や、マンションで、車両6を敷地内の駐車場に駐車した場合でも、車両制御装置10と通信可能となる。一例を示すと、第三周波数(SG)は922MHzである。
【0112】
本実施形態では、車両中継機20と車両制御装置10との間は、有線通信を行う通信ケーブル8により接続される。車両中継機20の制御部22は、この有線通信を利用して、起動トリガ出力部20aからフットブレーキ信号と、エンジン始動要求信号を車両制御装置10に送信する。フットブレーキ信号は、車両6のフットブレーキペダルが踏まれたときに出力される信号に対応する信号である。エンジン始動要求信号は、例えば、車両6のプッシュスタートボタンが押下されたときに出力される信号に対応する信号である。
【0113】
[携帯中継機]
携帯中継機30は、携帯中継機30の制御を司る制御部32と、携帯機40と通信を行うための第一携帯側送受信部34と、車両中継機20と通信を行うための第二携帯側送受信部36と、各種パラメータや信号、通信仕様を記憶するパラメータ記憶部38とを備える。さらに、携帯中継機30は、操作部30bと、報知部30cとを備える。
【0114】
操作部30bは、例えば、始動スイッチ、停止スイッチ等の動作指示に対応する押しボタンスイッチである。車両6から離れた位置にいるユーザは、操作部30bを押下することで、車両6に搭載された車両制御装置10を動作させ、遠隔操作によりエンジンを始動させたり、停止させたりする。
【0115】
係る処理を行うため、制御部32は、この操作部30bに対する操作を検知すると、係る操作に対応する指示命令を第二携帯側送受信部36から送信する。携帯中継機30の電源は、内蔵した一次電池30dを用いる。一次電池30dは、市販の乾電池やボタン電池等を用いると、容易に入手し実装でき、取り扱いが容易となるので良い。特に、ボタン電池とすると、携帯中継機30の小型化が図れるので良い。
【0116】
報知部30cは、動作状況等を報知するもので、例えば、車両制御装置10から車両中継機20を介して送られてきた信号に基づき、エンジン始動成功やエラーなどの実行結果を報知する。報知部30cは、視覚や聴覚を用いて報知するものである。視覚を用いるものの場合、報知部30cは、例えば、表示パネルを用い、実行結果を文字、図形等で表示するようにしたり、LEDなどの発光手段を用い、点灯状態(点滅/消灯/点灯)や、発光色により報知したりする。また、聴覚を用いるものの場合、報知部30cは、例えばスピーカを用い音声やブザーなどで報知する。報知部30cは、これらの一つ又は複数を組み合わせて実現し、視覚を用いるものと聴覚を用いるものとを組み合わせてもよい。
【0117】
制御部32は、例えばマイコン等により構成し、内蔵するCPUが内蔵するROMに記憶されたプログラムを実行することにより以下に述べる機能を実現する。また、第一携帯側送受信部34および第二携帯側送受信部36は、それぞれ送受信用RFICにより構成する。第一携帯側送受信部34は、携帯機40の送受信部44の受信周波数帯(第一周波数、LF)で無線送信し、送受信部44の送信周波数(第二周波数、RF)で無線受信する。通信距離が短いので、無線局の一つである微弱無線局で用いられる微弱な電波を用いる。第二携帯側送受信部36は、特定小電力無線局に用いられる周波数帯に含まれる周波数(第三周波数、SG)の電波を使用する。
【0118】
[通信シーケンス]
図3は、各データ・信号の通信のシーケンスを示す図である。本実施形態では、
図1および
図3に示すようなシーケンスでの通信により、中継機能を用いたエンジンの遠隔始動を可能としている。以下の説明における括弧内の数字は、図中の括弧内の数字に対応する。
図3に示すシーケンスは、起動シーケンスと認証シーケンスとからなる。
【0119】
(1)携帯中継機30の制御部32は、操作部30bが押下されると、始動信号を出力する。第二携帯側送受信部36は、当該始動信号を車両中継機20に向けて無線送信する。
【0120】
(2)車両中継機20の第二車両側送受信部26は、携帯中継機30から送信されてきた始動信号を受信する。車両中継機20の制御部22は、当該始動信号を受信すると、始動応答信号を出力する。第二車両側送受信部26は、当該始動応答信号を携帯中継機30に向けて無線送信する。
【0121】
(3)また、車両中継機20の制御部22は、当該始動信号を受信すると、有線通信機能を用いて車両制御装置10に起動トリガ出力部20aから起動トリガであるフットブレーキ信号を送信する。車両中継機20は、以下に示す各データ・信号の中継・送信処理中、フットブレーキ信号をONにした状態を維持する。
【0122】
(4)車両制御装置10の制御部12は、当該フットブレーキ信号を受信すると、応答要求信号であるWAKE信号(LFデータの一種)を出力する。送受信部14は、無線送信機能を用いて無線信号として当該WAKE信号を送信する。なお、車両制御装置10の送受信部14と車両中継機20の第一車両側送受信部24とを図示しない通信線で接続し、送受信部14から有線で当該WAKE信号を送信してもよい。
【0123】
(5)車両中継機20の第一車両側送受信部24は、当該WAKE信号を受信する。車両中継機20は、その受信したWAKE信号に基づく無線応答要求信号として無線WAKE信号を、第二車両側送受信部26の送信機能を用いて携帯中継機30に向けて第三周波数(SG)で無線送信する。無線WAKE信号は、WAKE信号と可逆性を有する。
【0124】
(6)携帯中継機30の第二携帯側送受信部36は、無線WAKE信号を受信する。携帯中継機30は、その受信した無線WAKE信号から、携帯機40がWAKE信号と認識する転送応答要求信号として転送WAKE信号を生成し、当該生成した転送WAKE信号を第一携帯側送受信部34の送信機能を用いて携帯機40に向けて第一周波数(LF)で送信する。以上の「車両中継機20がWAKE信号を受信してから、携帯中継機30が転送WAKE信号を送信するまで」を、以下では「WAKE信号を中継する」ともいう。
【0125】
(7)携帯機40の送受信部44は、当該転送WAKE信号を受信する。携帯中継機30から送信された当該転送WAKE信号は、携帯機40の制御部42において、車両制御装置10から送信されたWAKE信号と認識される。転送WAKE信号を受信した送受信部44は、応答信号であるACK信号(RFデータの一種)を送受信部44の送信機能を用いて送信する。
【0126】
(8)携帯中継機30の第一携帯側送受信部34は、ACK信号を受信する。携帯中継機30は、その受信したACK信号に基づく無線応答信号として無線ACK信号を、第二携帯側送受信部36の送信機能を車両中継機20に向けて第三周波数(SG)で無線送信する。無線ACK信号は、ACK信号と可逆性を有する。
【0127】
(9)車両中継機20の第二車両側送受信部26は、無線ACK信号を受信する。車両中継機20は、その受信した無線ACK信号から、車両制御装置10がACK信号と認識する転送応答信号として転送ACK信号を生成し、当該生成した転送ACK信号を第一車両側送受信部24の送信機能を用いて第二周波数(RF)で送信する。以上の「携帯中継機30がACK信号を受信してから、車両中継機20が転送ACK信号を送信するまで」を、以下では「ACK信号を中継する」ともいう。
【0128】
車両制御装置10の送受信部14は、当該転送ACK信号を受信する。車両中継機20から送信された当該転送ACK信号は、車両制御装置10の制御部12において、携帯機40から送信されたACK信号と認識され、携帯機40の存在が確認される。以上の起動シーケンスにより、車両制御装置10の制御部12において携帯機40の存在が確認されると、認証シーケンスに移行する。
【0129】
(10)車両制御装置10の制御部12は、ACK信号を認識すると、認証情報記憶部16にアクセスし、記憶された認証情報としてのIDコードを取得し、そのIDコードとチャレンジデータを含む応答要求信号であるチャレンジ信号(LFデータの一種。図中では「CH信号」と記載する。)を出力する。送受信部14は、無線送信機能を用いて当該チャレンジ信号を送信する。なお、車両制御装置10の送受信部14と車両中継機20の第一車両側送受信部24とを図示しない通信線で接続し、送受信部14から有線で当該チャレンジ信号を送信してもよい。
【0130】
(11)車両中継機20の第一車両側送受信部24は、当該チャレンジ信号を受信する。車両中継機20は、その受信したチャレンジ信号に基づく無線応答要求信号として無線チャレンジ信号(図中では「無線CH信号」と記載する。)を、第二車両側送受信部26の送信機能を用いて携帯中継機30に向けて第三周波数(SG)で無線送信する。無線チャレンジ信号は、チャレンジ信号と可逆性を有する。
【0131】
(12)携帯中継機30の第二携帯側送受信部36は、無線チャレンジ信号を受信する。携帯中継機30は、その受信した無線チャレンジ信号から、携帯機40がチャレンジ信号と認識する転送応答要求信号として転送チャレンジ信号(図中では「転送CH信号」と記載する。)を生成し、当該生成した転送チャレンジ信号を第一携帯側送受信部34の送信機能を用いて携帯機40に向けて第一周波数(LF)で送信する。
【0132】
(13)携帯機40の送受信部44は、当該転送チャレンジ信号を受信する。携帯中継機30から送信された当該転送チャレンジ信号は、携帯機40の制御部42において、車両制御装置10から送信されたチャレンジ信号と認識される。制御部42は、受信した転送チャレンジ信号が自己宛のものか否かを判断する。具体的には、チャレンジ信号に含まれるIDコードが、認証情報記憶部46に格納された自己のIDコードと一致するか否かを判断する。そして、IDコードが一致する場合、応答信号であるレスポンス信号(RFデータの一種。図中では「RE信号」と記載する。)を送受信部44の送信機能を用いて送信する。IDコードが一致しない場合には、携帯機40からは何も送信しない。
【0133】
(14)携帯中継機30の第一携帯側送受信部34は、レスポンス信号を受信する。携帯中継機30は、その受信したレスポンス信号に基づく無線応答信号として無線レスポンス信号(図中では「無線RE信号」と記載する。)を、第二携帯側送受信部36の送信機能を車両中継機20に向けて第三周波数(SG)で無線送信する。無線レスポンス信号は、レスポンス信号と可逆性を有する。
【0134】
(15,16)車両中継機20の第二車両側送受信部26は、無線レスポンス信号を受信する。車両中継機20は、その受信した無線レスポンス信号から、車両制御装置10がレスポンス信号と認識する転送応答信号として転送レスポンス信号(図中では「転送RE信号」と記載する。)を生成し、当該生成した転送レスポンス信号を第一車両側送受信部24の送信機能を用いて第二周波数(RF)で送信する。また、車両中継機20の制御部22は、第一車両側送受信部24からの転送レスポンス信号の送信に先立ち、有線通信機能を用いて車両制御装置10にエンジン始動要求信号を送信する。車両中継機20は、エンジン始動要求信号をONにした状態を維持しつつ、転送レスポンス信号を無線送信する。
【0135】
車両制御装置10の送受信部14は、当該転送レスポンス信号を受信する。車両中継機20から送信された当該転送レスポンス信号は、車両制御装置10の制御部12において、携帯機40から送信されたレスポンス信号と認識される。制御部12は、受信した転送レスポンス信号が、正規の携帯機40から送信されたレスポンス信号か否かの認証を行う。
【0136】
そして、正規の携帯機40から送信されたレスポンス信号であると認証され、かつ、エンジン始動要求信号とフットブレーキ信号とがともにONの場合、エンジンを始動する制御を行う。なお、エンジンの始動から一定時間経過すると、制御部12はエンジンを停止する制御を行う。このエンジンの運転動作の継続により、暖機運転を行ったり、車両6に搭載されたエアコンにより車室内の温度を適温にしたりする。
【0137】
なおまた、暖機運転中にエンジンを停止する場合、ユーザは、携帯中継機30の操作部30bを操作する。携帯中継機30は、この操作部30bの操作に伴う動作停止命令を受け付けると、当該動作停止命令を送信する。その送信された動作停止命令は、車両中継機20を経由して車両制御装置10に至る。制御部12は、動作停止命令を受信すると、運転動作中のエンジンを停止する制御を行う。さらに、制御部12は、受信した動作命令に対する実行結果を、LFデータと同様に中継・送信し、携帯中継機30に至ると、その結果の通知を行う。
【0138】
なお、上記の説明では、車両制御装置10による車両6に設けられた所定機器の制御を、セルモータのONによるエンジン始動としたが、電動機(モーター)を動力源とする電気自動車における電動機への電源をONにすることとしてもよい。
【0139】
[第1の実施形態]
第1の実施形態では、上述の基本構成の車両遠隔操作システム1における中継システム4が、車両制御装置10と携帯機40との間での通信仕様が異なる、複数種類の車両制御システム2においても無線通信を中継することができる。
【0140】
図4は、車両制御システムにおけるLFデータとRFデータのタイミングチャートであり、同図(a)は車両Aに搭載された車両制御システム、同図(b)は車両Bに搭載された車両制御システムについて示す。同図に示すように、車両Aと車両Bとでは車両制御システム2の通信仕様が異なる。具体的には、車両制御装置10と携帯機40との間での通信に用いられる、LFデータであるWAKE信号およびチャレンジ信号、ならびにRFデータであるACK信号およびレスポンス信号のデータ長さが異なる。そのため、中継システム4を構成する車両中継機20から送信される無線WAKE信号、転送ACK信号、無線チャレンジ信号および転送レスポンス信号、ならびに携帯中継機30から送信される転送WAKE信号、無線ACK信号、転送チャレンジ信号および無線レスポンス信号も、同様に車両Aと車両Bとでデータ長さが異なる。
【0141】
ここで、車両Aに搭載された車両制御システム2に対応している中継システム4では、車両中継機20から送信された無線WAKE信号を受信した携帯中継機30は、受信が予定される信号のデータ長さが事前に分かっている。そのため、無線WAKE信号を受信するのに必要な時間が経過すると、自動的に第二携帯側送受信部36を、車両中継機20から信号を受信する状態から車両中継機20に送信する状態に切り替える。
【0142】
このような送受信状態の切り替えは、携帯中継機30において、無線チャレンジ信号についても同様に行われる。また、車両中継機20の第二車両側送受信部26において、無線ACK信号および無線レスポンス信号についても同様に送受信状態の切り替えが行われる。
【0143】
そのため、中継システム4が、車両Aに搭載された車両制御システム2にしか対応していない場合において、この中継システム4を車両Bに搭載された車両制御システム2に適用すると、次のような問題が生じる。車両中継機20から送信された無線WAKE信号を受信した携帯中継機30は、無線WAKE信号の受信を完了する前に、第二携帯側送受信部36を、車両中継機20から信号を受信する状態から車両中継機20に送信する状態に切り替えてしまい、通信エラーが生じる。無線WAKE信号の送受信が成功したとしても、他の信号の送受信の際にエラーが生じる可能性が非常に高い。
【0144】
そこで、第1の実施形態では、中継システム4を構成する車両中継機20を車両6に設置した後、最初に車両制御システム2を構成する車両制御装置10と携帯機40との間での通信が発生した時に、車両中継機20の制御部22および携帯中継機30の制御部32を用いて通信仕様の判別を行う。具体的なタイミングとしては、中継システム4を構成する車両中継機20を車両6に設置した後、最初に、車両6に設けられたフットブレーキペダルを踏み込んで起動トリガであるフットブレーキ信号を発生させ、車両制御装置10からWAKE信号が送信された時に、自動的に行う。
【0145】
通信仕様の判別は、車両中継機20の制御部22および携帯中継機30の制御部32によって行われる。車両中継機20のパラメータ記憶部28および携帯中継機30のパラメータ記憶部38には、車両制御装置10と携帯機40との間での通信に用いられるLFデータおよびRFデータ等の通信信号に関する情報が記憶される。制御部22および制御部32は、いずれも照合手段として動作し、車両中継機20または携帯中継機30が、車両制御装置10または携帯機40から受信した通信信号が、パラメータ記憶部28およびパラメータ記憶部38に記憶された通信信号のいずれに該当するかを照合する。このようにして、通信仕様の判別が行われる。
【0146】
本実施形態では、通信仕様の判別は、車両制御装置10から送信されるWAKE信号およびチャレンジ信号、これらの信号に基づき車両中継機20から送信される無線WAKE信号および無線チャレンジ信号、ならびに、携帯機40から送信されるACK信号およびレスポンス信号、これらの信号に基づき携帯中継機30から送信される無線ACK信号および無線レスポンス信号のデータ長さに基づいて行う。これらの信号の少なくともいずれか1つのデータ長さに基づいて、車両制御システム2の通信仕様が、どの車種のどの通信仕様に該当するかの判別を行う。
【0147】
そして、その判別結果を、車両中継機20に設けられたパラメータ記憶部28および携帯中継機30に設けられたパラメータ記憶部38に記録し、当該記録された情報に基づいて車両中継機20および携帯中継機30が動作する。
【0148】
通信仕様の判別が完了し、判別した通信仕様が車両中継機20に設けられたパラメータ記憶部28および携帯中継機30に設けられたパラメータ記憶部38に記録されると、車両中継機20に設けられた報知部20cおよび携帯中継機30に設けられた報知部30cによって、どの通信仕様が適用されたかを報知する。報知部20cおよび報知部30cは、いずれも判別した通信仕様に対応する報知内容を記憶する記憶部と、音声出力部とを備え、音声出力部から、「X社の車種Yの通信仕様を適用しました。」と音声で報知する。さらに、通信仕様が適用され、車両制御システム2による車両6の制御動作の開始または停止をユーザが操作できるようになった際には、音声出力部から「使用できます。」と音声で報知する。
【0149】
通信仕様の判別を行う際には、車両中継機20と携帯中継機30とが互いに通信できる距離とし、かつ、車両制御装置10と携帯機40とは互いに通信できない距離とする。そこで、通信仕様の判別を行う際に、車両中継機20と携帯中継機30とが互いに通信できない距離、または、車両制御装置10と携帯機40とは互いに通信できる距離であると、車両中継機20の制御部22または携帯中継機30の制御部32が判定した場合には、車両中継機20の報知部20cおよび携帯中継機30の報知部30cは、音声出力部から、「携帯機を車両から離してください。」と、車両制御装置10と携帯機40とを通信できない距離に離隔する旨を音声で報知する。
【0150】
なお、通信仕様の判別は、車両制御システム2における通信が発生するたびに行ってもよい。また、車両中継機20の設定スイッチ20bによって、中継システム4を設定モードとし、その状態で、車両6に設けられたフットブレーキペダルを踏み込んで起動トリガであるフットブレーキ信号を発生させ、車両制御装置10からWAKE信号を送信させて行うようにしてもよい。設定スイッチ20bはディップスイッチとするとよい。
【0151】
また、通信仕様の判別は、車両中継機20の制御部22および携帯中継機30の制御部32のいずれか一方を用いて行ってもよい。この場合、車両中継機20および携帯中継機30のうち通信仕様の判別を行った方から、通信仕様の判別を行わなかった方に対して、判別した通信仕様のデータを送信する。また、車両中継機20が受信したWAKE信号に基づいて制御部22によって通信仕様の判別を行い、さらに車両中継機20から携帯中継機30にWAKE信号に基づく無線WAKE信号を送信し、携帯中継機30が受信した当該無線WAKE信号に基づいて制御部32によって通信仕様の判別を行ってもよい。
【0152】
また、車両中継機20の報知部20cは、音声出力部に代えて、または音声出力部に加えて、表示部を設けてもよい。表示部は例えば液晶画面等とし、音声出力部で報知する内容を文字として表示する。携帯中継機30の報知部30cも、音声出力部に代えて、または音声出力部に加えて表示部を設けてもよい。表示部は例えばLED等とし、所定の色や点滅の仕方によって、音声出力部で報知する内容を表示する。
【0153】
また、通信仕様の判別は、データ長さのほかに、ビット数、送信時間、もしくはデータフレーム構成等、またはこれらのうち2つ以上の組み合わせによって行ってもよい。
【0154】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、上述の基本構成の車両遠隔操作システム1において、携帯機40から送信される応答信号の周波数が車両制御システム2ごとまたは通信ごとに異なる場合であっても、同じ中継システム4によって通信信号を中継することができる。
【0155】
本実施形態では、上述の基本構成で説明した車両制御装置10から送信される通信信号の第一周波数(LF)が134.2kHz、車両中継機20と携帯中継機30との間での通信に用いられる第三周波数(SG)が922MHzで一定であるが、携帯機40から送信される通信信号の第二周波数(RF)が312MHzまたは314MHzであり、車両制御システム2ごと、エンジンの始動ごと、または個々の通信ごとにいずれかの周波数に変化する。これらの第二周波数は車両6の製造者が設定するものであり、このように変化することは、第三者である発明者らが携帯機40から送信される電波を解析して知見したものである。
【0156】
発明者らの調査によると、この第二周波数の変化は、車両制御装置10から送信されるWAKE信号の通信仕様に含まれる周波数指定情報に基づいて行われる。WAKE信号を受信した携帯機40は、制御部42で周波数指定情報を認識し、認識した後で送受信部44から送信するRFデータを送信する第二周波数を、周波数指定情報で指定された周波数(312MHzまたは314MHz)に設定する。また、車両制御装置10では、周波数指定情報を含むWAKE信号を送信する時点で、送受信部14で通信信号を受信する第二周波数を周波数指定情報で指定する周波数に設定している。
【0157】
ここで、携帯中継機30の第一携帯側送受信部34で通信信号の受信に用いられる第二周波数、および車両中継機20の第一車両側送受信部24で通信信号の送信に用いられる第二周波数が、周波数指定情報で指定された周波数ではない場合には、中継システム4によって通信信号を中継することができない。しかし、本実施形態では、以下の方法により、これらの第二周波数を周波数指定情報で指定された周波数に設定することができる。
【0158】
本実施形態では、中継システム4を適用する車両制御システム2について、あらかじめWAKE信号を調査し、周波数指定情報および第二周波数として使用される周波数を車両中継機20の制御部22および携帯中継機30の制御部32に記憶させる。WAKE信号の調査は、中継システム4を用いて行ってもよいし、中継システム4とは異なる別個の調査装置を用いて行ってもよい。
【0159】
WAKE信号の調査は、具体的には、WAKE信号を検知し、WAKE信号のデータパターンを記憶し、その後、RFデータの周波数検知を行い、記憶したWAKE信号のデータパターンと、検知したRFデータの第二周波数とを対応させることにより行う。
【0160】
そして、車両中継機20を車両6に設置し、中継システム4を車両遠隔操作システム1において使用可能な状態とする。この状態で、携帯中継機30を操作して始動信号を送信すると、
図3を用いて説明したように、車両制御装置10からWAKE信号が送信される。WAKE信号を受信した車両中継機20、およびWAKE信号に基づき車両中継機20から送信された無線WAKE信号を受信した携帯中継機30では、WAKE信号または無線WAKE信号について、通信仕様の判別を行い、判別の結果得られた周波数指定情報に基づき、携帯中継機30の第一携帯側送受信部34で通信信号受信に用いられる周波数、および車両中継機20の第一車両側送受信部24で通信信号の送信に用いられる第二周波数を設定する。
【0161】
これにより、第二周波数が車両制御システム2ごと、エンジンの始動ごと、または個々の通信ごとに変化しても、中継システム4によって通信信号の中継を行うことができる。
【0162】
なお、個々の通信ごとに通信仕様の判別を行い上述した周波数の決定するのではなく、中継システム4を構成する車両中継機20を車両6に設置した後、最初に車両制御システム2を構成する車両制御装置10と携帯機40との間での通信が発生した時に、車両中継機20の制御部22および携帯中継機30の制御部32を用いて通信仕様の判別を行い、その際にWAKE信号の調査を自動的に行ってもよい。このようにすれば通信仕様の判別に要する時間を個々の通信に必要とせず、中継に必要な時間条件を満たす可能性を高めることができ、エンジンの始動等をより確実に行うことができる。
【0163】
中継システム4を構成する車両中継機20を車両6に設置した後、最初に車両制御システム2を構成する車両制御装置10と携帯機40との間での通信が発生した時に、携帯中継機30の制御部32を用いてWAKE信号の調査を自動的に行う場合、次のようにするとよい。車両中継機20から受信した無線WAKE信号に含まれる周波数指定情報と、当該WAKE信号に対して携帯機40から送信される応答信号(RFデータ)の第二周波数との対応関係を携帯中継機30の制御部32に記憶する。その後、携帯中継機30で携帯機40から送信される応答信号を受信する場合には、携帯中継機30は、車両中継機20から受信した無線WAKE信号に含まれる周波数指定情報に対応する制御部32に記憶された第二周波数で受信する。
【0164】
この場合、車両中継機20は、携帯中継機30の制御部32に記憶された周波数指定情報と第二周波数との対応関係の情報を、携帯中継機30から受信し、当該対応関係に基づいて、車両制御装置10から受信したWAKE信号に含まれる周波数指定情報に対応する第二周波数で、車両制御装置10にRFデータを送信するとよい。車両中継機20は、携帯中継機30から受信した当該対応関係の情報を、制御部22に記憶するとよい。
【0165】
また、車両中継機20は、携帯機40から第二周波数で送信される応答信号(RFデータ)を受信できるものとしてもよい。この場合、車両制御装置10から受信したWAKE信号に含まれる周波数指定情報と、当該WAKE信号に対して携帯機40から送信される応答信号(RFデータ)の第二周波数を車両中継機20で検知した結果との対応関係を制御部22に記憶するとよい。その後、例えば車両中継機30が、車両制御装置10からWAKE信号を受信し、中継したものの、携帯機40からの応答信号を受信できなくなった場合には、記憶された当該対応関係に基づいて、車両制御装置10から受信したWAKE信号に含まれる周波数指定情報に対応する第二周波数で、車両制御装置10にRFデータを送信するとよい。
【0166】
なお、当該対応関係の情報は、車両中継機20の制御部22および携帯中継機30の制御部32に記憶させてもよいが、車両中継機20のパラメータ記憶部28および携帯中継機30のパラメータ記憶部38に記憶させてもよい。
【0167】
さらに、車両制御装置10から送信されるWAKE信号に含まれる周波数指定情報と当該WAKE信号に対して携帯機40から送信される応答信号の第二周波数との関係は、次の方法1または2によって調査してもよい。
【0168】
(方法1)車両中継機20が312MHzおよび314MHzを含むいずれかの周波数でACK信号を送信する機能を有するものとする。車両制御装置10からWAKE信号を車両中継機20が受信すると、まず312MHzでACK信号を車両制御装置10に送信し、その後、車両制御装置10から送信されたチャレンジ信号を中継システム4で携帯機40に中継し、携帯機40から送信されたレスポンス信号を中継システム4で車両制御装置10に中継できれば、当該WAKE信号に含まれる周波数指定情報と312MHzとを関連づけて車両中継機20の制御部22に記憶する。携帯機40からレスポンス信号が送信されず、中継システム4で中継できなかった場合には、車両中継機20は314MHzに切り替えてACK信号を送信し、同様にチャレンジ信号を中継システム4で中継し、携帯機40から送信されたレスポンス信号を車両制御装置10に中継できれば、当該WAKE信号に含まれる周波数指定情報と314MHzとを関連づけて車両中継機20の制御部22に記憶する。314MHzでも携帯機40からレスポンス信号が送信されなかった場合には、さらに他の周波数でACK信号の送信を行ってもよいし、そのWAKE信号は規格外のものとして制御部22に記憶してもよい。
【0169】
(方法2)携帯中継機30を、312MHzおよび314MHzを含むいずれかの周波数で電波を受信する機能を有するものとする。携帯中継機30は、受信周波数をまず312MHzとする。車両制御装置10から送信されたWAKE信号を中継システム4で携帯機40に中継し、携帯機40から送信されたACK信号を、受信周波数が312MHzに設定された携帯中継機30において受信でき、中継システム4で車両制御装置10に中継できれば、当該WAKE信号に含まれる周波数指定情報と312MHzとを関連づけて携帯中継機30の制御部32に記憶する。携帯中継機30でACK信号を受信できなかった場合には、受信周波数を314MHzに切り替え、WAKE信号の中継を行い、携帯機40から送信されたACK信号を携帯中継機30において受信でき、中継システム4で車両制御装置10に中継できれば、当該WAKE信号に含まれる周波数指定情報と314MHzとを関連づけて携帯中継機30の制御部32に記憶する。314MHzでもACK信号を受信できなかった場合には、さらに他の周波数で受信を試みてもよいし、そのWAKE信号は規格外のものとして制御部22に記憶してもよい。
【0170】
また、WAKE信号の調査に代えて、中継システム4の設定項目として、携帯中継機30の第一携帯側送受信部34で通信信号受信に用いられる周波数、および車両中継機20の第一車両側送受信部24で通信信号の送信に用いられる周波数を選択できるようしてもよい。この設定項目で、どちらの周波数を使用するかをユーザが選択し、エンジン始動が可能となるまで試行錯誤することにより周波数を決定してもよい。
【0171】
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、上述の基本構成の車両遠隔操作システム1における中継システム4が、通信信号を中継する際にノイズを送信することなく、また、車両制御装置10と携帯機40との間の通信に遅れを生じさせることがない。
【0172】
図5は、第3の実施形態に係る携帯中継機のブロック図である。第3の実施形態に係る車両遠隔システムは、上述した基本構成の車両遠隔システムにおける携帯中継機30が、さらにAND回路50を備える。同図では、上述の基本構成で説明した操作部30b等は省略している。
【0173】
図5に示すように、携帯中継機30の第一携帯側送受信部34は、送信専用RFIC34aと受信専用RFIC34bとを備える。送信専用RFIC34aは第一周波数(LF)の電波を送信し、受信専用RFIC34bは第二周波数(RF)の電波を受信する。また、第二携帯側送受信部36は、第三周波数(SG)の電波を送受信するRFICである。第二携帯側送受信部36は、モードの切り替えにより、送信状態と受信状態のいずれかの状態となる。第二携帯側送受信部36は入力端子36aを備え、送信状態であるときには、入力端子36aから入力された信号に基づく通信信号が送信される。
【0174】
さらに、制御部32と第二携帯側送受信部36、および制御部32と受信専用RFIC34bは、それぞれ図中に破線で示すキャリアセンス用配線により接続されるとともに、図中に実線で示すデータ用配線により接続される。また、制御部32と送信専用RFIC34aは、図中に実線で示すデータ用配線により接続される。
【0175】
第一携帯側送受信部34の受信専用RFIC34bに設けられた出力端子34cからは、受信専用RFIC34bで受信した、携帯機40から送信されたRFデータが出力される。
【0176】
また、制御部32は、第二周波数(RF)および第三周波数(SG)についてキャリアセンスを行い、第二携帯側送受信部36から通信信号を送信する前に送信に使用する周波数が使用されているかどうかの判定、および携帯機40からRFデータが送信されているかどうかの判定を行う。
【0177】
制御部32の出力端子32aからは、キャリアセンスにより携帯機40からRFデータが送信されていると判定されている時にのみ制御信号が出力される。
【0178】
これらのキャリアセンスによる判定のうち、第二携帯側送受信部36から通信信号を送信する前に送信に使用する周波数が使用されているかどうかの判定は法律に基づいて行われるものである。
【0179】
本実施形態で携帯中継機30に設けられたAND回路50は、2つの入力端子50a、50bと1つの出力端子50cとを備える。入力端子50aは送信専用RFIC34aの出力端子34c、入力端子50bは制御部32の出力端子32aに接続され、出力端子50cは第二携帯側送受信部36の入力端子36aに接続される。
【0180】
AND回路50の出力端子50cからは、入力端子50a、50bに入力される信号の論理積が出力される。そのため、AND回路50の出力端子50cからは、携帯機40からRFデータが送信されていることを制御部32で検知している時にのみ、携帯機40から送信された、HiとLoの組み合わせからなるRFデータが出力され、それ以外のときには出力がLoとなる。
【0181】
図6は、第三の実施形態に係る車両制御システムにおけるLFデータとRFデータのタイミングチャートである。RFデータであるACK信号およびレスポンス信号が携帯機40から送信されていないときには、データが存在せず、ノイズが発生している。同図には、ACK信号およびレスポンス信号の直前にノイズを示した。
【0182】
車両制御装置10からLFデータが送信されてから、携帯機40から送信されたRFデータを車両制御装置10が受信しなければならない時間は車両メーカーによって非常に短く(例えば2msや6.5ms)設定されている。そのため、中継システム4でもこの時間に間に合うようにこれらの信号を中継しなければならず、携帯中継機30では、第二携帯側送受信部36は、LFデータの受信を完了するとただちに受信状態から送信状態にモードを切り替える。
【0183】
モードを切り替えた時点で携帯機40からRFデータが送信されていない場合には、送信状態の第二携帯側送受信部36からは、第三周波数でノイズが送信されることとなり、電波法を遵守できない可能性が生じるという問題がある。
【0184】
なお、携帯中継機30の第一携帯側送受信部34は、送信専用RFIC34aおよび受信専用RFIC34bを備えるものとしたが、これらの専用RFICは、ICに代えて、回路によって構成してもよい。
【0185】
しかし、本実施形態では、携帯機40からRFデータが送信されていない場合には、AND回路50によって、第一携帯側送受信部34の受信専用RFIC34bから第二携帯側送受信部36へのノイズは遮断され、送信状態の第二携帯側送受信部36からは、第三周波数でLoの信号が送信されることとなり、電波法上の問題は生じない。
【0186】
[第4の実施形態]
第4の実施形態は、上述の基本構成の車両遠隔操作システム1における中継システム4が、1台の車両6に設けられた車両制御装置10に対して複数の携帯機40が使用可能である場合においても利用可能である。また、携帯中継機30の電力消費量を節減し、一次電池30dを交換する頻度を低減することができる。
【0187】
図7は、複数の携帯機が使用可能な車両制御システムにおけるLFデータとRFデータのタイミングチャートである。同図には、1つの車両制御装置10に対して、4つの携帯機40が使用可能である場合について示す。
【0188】
4つの携帯機40は、それぞれWAKE信号を受信してからACK信号を送信するまでのタイミングが異なる。
図7には、各携帯機40から送信されるACK信号を、送信タイミングが早いものから順にACK信号1から4として示した。また、複数の携帯機40が使用可能である場合、車両制御装置10の認証情報記憶部16には各携帯機40のIDコードが記憶されている。この場合のエンジン始動処理について
図2を用いて説明する。
【0189】
(1,2)所定のトリガ信号を受信した車両制御装置10の制御部12は、WAKE信号を送受信部14から送信する。(3)当該WAKE信号の通信可能距離内に存在する携帯機40は、WAKE信号を受信するとACK信号を固有のタイミングで送信する。
【0190】
(4)車両制御装置10は、当該ACK信号を受信して通信可能距離内に存在する携帯機40の存在を確認すると、認証情報記憶部16にアクセスし、記憶された認証情報としてのIDコードを取得し、そのIDコードを含むチャレンジ信号を出力する。複数の携帯機40がACK信号を送信した場合には、ACK信号の送信タイミングが最も早かった携帯機40についてのIDコードを含むチャレンジ信号を出力する。
【0191】
(5)携帯機40は、IDコードから受信した当該チャレンジ信号が自己宛の信号であると認識すると、携帯機40は自己の認証情報を含むレスポンス信号を無線送信する。車両制御装置10の送受信部14が当該レスポンス信号を受信すると、携帯機40の認証を完了する。
【0192】
このような車両制御システム2において、中継システム4を適用する場合、以下の2つの方法が考えられる。
【0193】
(方法1)
図3に示すように、車両制御装置10から送信されたWAKE信号を車両中継機20および携帯中継機30で携帯機40に中継し、WAKE信号を認識した携帯機40から送信されたACK信号を携帯中継機30および車両中継機20で車両制御装置10に中継する。
【0194】
(方法2)車両中継機20がWAKE信号を受信した後に、車両中継機20のパラメータ記憶部28にあらかじめ記憶させたタイミングでACK信号を第二周波数(RF)で車両制御装置10に送信する。
【0195】
これらの方法には、それぞれ以下の長所と短所とが存在する。
【0196】
方法1の場合、各携帯機40のACK信号を車両中継機20のパラメータ記憶部28にあらかじめ記憶させておく必要がないという長所がある。しかし、車両中継機20、携帯中継機30ともに送受信の切替回数が方法2によりも多く、設計が複雑となるとともに、動作時間も多く、電力消費量が多くなるという短所がある。特に、携帯中継機30では携帯性を向上させるために一次電池30dの大きさに制限があり、電力消費量が多いと電池交換の手間が増加する。
【0197】
方法2の場合、ACK信号の中継を行わないため、携帯中継器30および携帯機40の電力消費量を低減することができる。しかし、4つの携帯機40のいずれによって認証を行うのかを、車両6に中継システム4の使用を開始する前に把握し、車両中継機20のパラメータ記憶部28に携帯中継機30とともに携帯する携帯機40のACK信号を送信するタイミングを調査し、記憶させなければならない。また、携帯中継機30とともに携帯する携帯機40を変更する場合には、新たにタイミングを調査し、記憶させ直す必要がある。
【0198】
本実施形態では、これらの方法の短所を解消する。以下、本実施形態について説明する。
【0199】
まず、車両中継機20を車両6に設置するまで、または設置した後中継システム4の使用を開始するまでに、車両中継機20のパラメータ記憶部28に、車両制御装置10で認証可能な4つの携帯機40のACK信号が送信されるタイミングを記憶させる。その上で、
図8に示すシーケンスで通信を行う。
【0200】
図8は、第4の実施形態に係る車両遠隔操作システムにおける各データ・信号の通信のシーケンスを示す図である。以下の説明における括弧内の数字は、図中の括弧内の数字に対応する。上述の基本構成の説明と共通する部分については説明を簡略とする。
【0201】
(1)携帯中継機30は、操作部30bが押下されると、始動信号を車両中継機20に向けて無線送信する。
【0202】
(2)車両中継機20は、当該始動信号を受信すると、始動応答信号を携帯中継機30に向けて無線送信する。
【0203】
(3)また、車両中継機20は、当該始動信号を受信すると、有線通信機能を用いて車両制御装置10に起動トリガであるフットブレーキ信号を送信する。
【0204】
(4)当該フットブレーキ信号を受信した車両制御装置10は、WAKE信号を送信する。
【0205】
(5)車両中継機20の第一車両側送受信部24は、当該WAKE信号を受信する。車両中継機20は、パラメータ記憶部28に記憶した4つのタイミングのうちいずれかでACK信号を送信する。車両中継機20が送信する当該ACK信号を以下では「疑似ACK信号」ともいう。
【0206】
(6)また、車両中継機20は、無線WAKE信号を携帯中継機30に向けて無線送信する。
【0207】
(7)当該無線WAKE信号を受信した携帯中継機30は、転送WAKE信号を携帯機40に向けて送信する。
【0208】
(8)当該転送WAKE信号を受信した携帯機40は、ACK信号を送信する。しかし、携帯中継機30は、当該ACK信号の受信を行わない。そのため、携帯中継機30は、基本構成で説明した無線ACK信号の送信も行わない。
【0209】
(9)車両制御装置10の送受信部14は、車両中継機20から送信された疑似ACK信号を受信する。車両中継機20から送信された当該ACK信号は、車両制御装置10の制御部12において、疑似ACK信号の送信タイミングに対応する携帯機40(以下、「仮想携帯機」という。)から送信されたACK信号と認識され、仮想携帯機の存在が確認される。以上の起動シーケンスにより、車両制御装置10の制御部12において仮想携帯機の存在が確認されると、認証シーケンスに移行する。
【0210】
車両制御装置10の制御部12は、ACK信号を認識すると、認証情報記憶部16にアクセスし、記憶された認証情報として、仮想携帯機に対応するIDコードを取得し、そのIDコードとチャレンジデータを含むチャレンジ信号を出力する。送受信部14は、無線送信機能を用いて当該チャレンジ信号を送信する。
【0211】
(10)当該チャレンジ信号を受信した車両中継機20は、無線チャレンジ信号を、携帯中継機30に向けて送信する。
【0212】
(11)当該無線チャレンジ信号を受信した携帯中継機30は、転送チャレンジ信号を携帯機40に向けて送信する。
【0213】
(12)携帯機40の送受信部44は、当該転送チャレンジ信号を受信する。携帯中継機30から送信された当該転送チャレンジ信号は、携帯機40の制御部42において、車両制御装置10から送信されたチャレンジ信号と認識される。制御部42は、受信した転送チャレンジ信号が自己宛のものか否かを判断する。具体的には、チャレンジ信号に含まれるIDコードが、認証情報記憶部46に格納された自己のIDコードと一致するか否かを判断する。そして、転送チャレンジ信号を受信した携帯機40のIDコードが、仮想携帯機のIDコードと同じであれば、IDコードが一致し、レスポンス信号を送受信部44の送信機能を用いて送信する。
【0214】
一方、IDコードが一致しない場合には、携帯機40からは何も送信しないため、エンジンの始動を行うことができない。
【0215】
本実施形態では、車両中継機20が上述の(3)で起動トリガであるフットブレーキ信号を送信してから、IDコードが一致しないことや通信トラブル等の理由で一定期間が経過してもエンジンの始動が行われない場合、再び(3)に戻り、車両中継機20はフットブレーキ信号を送信し、(4)フットブレーキ信号を受信した車両制御装置10はWAKE信号を送信する。そして、2回目の(5)では、前回のタイミングとは異なるタイミングでACK信号を送信する。車両中継機20から再度フットブレーキ信号を送信し、送信タイミングを代えてACK信号を送信することを、以下では「順次送出動作」という。この順次送出動作を、転送チャレンジ信号を受信した携帯機40のIDコードと、仮想携帯機のIDコードとが一致するまで行う。IDコードが一致すると、レスポンス信号が送信される。
【0216】
(13)レスポンス信号を受信した携帯中継機30は、無線レスポンス信号を車両中継機20に向けて送信する。
【0217】
(14,15)無線レスポンス信号を受信した車両中継機20は、転送レスポンス信号を送信する。また、車両中継機20は、転送レスポンス信号の送信に先立ち、車両制御装置10にエンジン始動要求信号を送信する。車両中継機20は、エンジン始動要求信号をONにした状態を維持しつつ、転送レスポンス信号を無線送信する。
【0218】
その後、車両制御装置10は、当該転送レスポンス信号を受信し、受信した転送レスポンス信号が、正規の携帯機40から送信されたレスポンス信号か否かの認証を行う。そして、正規の携帯機40から送信されたレスポンス信号であると認証され、かつ、エンジン始動要求信号とフットブレーキ信号とがともにONの場合、エンジンを始動する制御を行う。
【0219】
本実施形態によれば、上記方法1および方法2の短所を解消し、ACK信号の中継を行わないため、携帯中継機30の電力消費量を低減することができ、携帯中継機30とともに携帯する携帯機40のACK信号を送信するタイミングを調査し、車両中継機20のパラメータ記憶部28に記憶させる必要もない。
【0220】
本実施形態では、上述の(5)で送信する疑似ACK信号のタイミングは4つのタイミングから任意で選択し、順次送出動作においても残りのタイミングから任意で選択すればよい。しかし、例えば、タイミングが最も早いACK信号1を最初に送信し、その後の順次送出動作ではACK信号2、ACK信号3の順に送信してもよい。
【0221】
また、エンジン始動が成功した後は、最後に成功したタイミングを車両中継機20のパラメータ記憶部28に記憶しておき、次のエンジン始動操作時には、当該記憶したタイミングでACK信号を送信し、その後の順次送出動作では、残りのタイミングのうち最も早いものから順に送信してもよい。また、順次送出動作では、最後の成功の前の成功のうち新しいものから順に送信してもよい。
【0222】
また、上述の(5)で送信する疑似ACK信号のタイミングの順序は、車両中継機20の設定スイッチ20bでユーザが任意に設定できるようにしてもよい。
【0223】
[中継システムの変形例]
以上の基本構成および各実施形態で説明した中継システム4は、以下のように変形してもよい。
【0224】
[変形例1.所定の条件で「通信信号の中継を行わない」中継システム]
(1)車両中継機20および携帯中継機30の少なくとも一方に、車両6のエンジンがかかっているかどうかを判定する機能を設け、当該機能によりエンジンがかかっていると判定された場合には、通信信号の中継を行わない。
【0225】
(2)車両中継機20および携帯中継機30の少なくとも一方に、現在地を特定する手段(以下「現在地特定手段」ともいう。)を設け、当該現在地特定手段によって特定された位置が所定の場所に位置していると車両中継機20の制御部22または携帯中継機30の制御部32に判定された場合には通信信号の中継を行わない、または所定の場所に位置していると判定された場合にのみ中継を行うようにする。
【0226】
「所定の場所」は、車両中継機20のパラメータ記憶部28または携帯中継機30のパラメータ記憶部38にあらかじめ記憶させておくとよい。「所定の場所」は、中継を行う場所としては例えば「ユーザの自宅マンション」とし、中継を行わない場所としては例えば「ユーザが使用する別荘」とするとよい。逆に、中継を行う場所としては例えば「ユーザが使用する別荘」とし、中継を行わない場所としては例えば「ユーザの自宅マンション」としてもよい。これにより、ユーザの活動場所に応じて通信信号の中継を行うか行わないかを自動的に切り替えることができ、携帯中継機30の一次電池30dの消費電力を節減することができる。
【0227】
また、中継を行わない場所として、気密性の高い空間である場所とするとよい。この気密性の高い場所は、例えば屋内の立体駐車場とするとよい。気密性の高い場所での中継を行わないことにより、気密性の高い場所でエンジンをかけっぱなしにして酸素欠乏状態や一酸化炭素が発生した状態となることを抑制し、不要な事故の発生を抑制することができる。
【0228】
また、現在地特定手段で現在地を特定できない場合も、その場所は屋内である可能性が高いため、中継を行わないこととするとよい。
【0229】
上記現在地特定手段は、例えばGPS機能を有する手段とするとよい。
【0230】
(3)車室内の温度を測定する温度センサを車両中継機20または携帯中継機30に有線または無線で接続し、測定した温度が所定の温度範囲内であるときには、通信信号の中継を行わない。
【0231】
「所定の温度範囲」は、例えば、一般に人が快適と感じる温度範囲とするとよい。このようにすれば、車内の温度が、ユーザが暑いまたは寒いと感じるような温度である場合には、車両に乗り込む前に通信信号の中継を行ってエンジンを始動させ、車内を快適な温度とすることができ、また、ユーザが快適と感じる温度である場合には、エンジンを始動させる必要がないため、通信信号の中継を行わない。
【0232】
(4)携帯中継機30が、第一周波数(LF)の電波を受信する機能を備え、当該機能により携帯中継機30が第一周波数の電波を受信している時には、制御部32により中継しないように制御する。
【0233】
車両制御装置10から送信される第一周波数の電波は、通信可能な距離が短く、また、通常の場合ユーザは携帯中継機30と携帯機40とを合わせて携帯している。そのため、携帯中継機30が、車両制御装置10から送信される第一周波数の電波を受信している場合、携帯中継機30が車両6から非常に近い位置、例えば車内に存在していることとなる。その場合、車両制御装置10と携帯機40とが直接通信することができるため、中継システム4によって通信信号の中継を行う必要がない。これにより、通信信号の不要な中継を低減することができ、携帯中継機30の一次電池30dの消費電力を節減することができる。
【0234】
携帯中継機30の第一周波数の電波を受信する機能は、携帯中継機30に第一周波数受信用のRFICを設け、制御部32と接続することで付与するとよい。
【0235】
(5)携帯中継機30が、車両制御装置10が送信する信号(LFデータ)と同じ通信信号(以下「疑似LFデータ」ともいう。)を第一周波数(LF)で、車両制御装置10から通信信号が送信されていない時に送信する機能を備え、また、疑似LFデータを送信した場合に、当該LFデータを受信した携帯機40からRFデータが送信されたかどうかを判定する機能を備える。これにより、携帯中継機30と携帯機40とが適正な距離範囲であるかどうかを判定することができる。
【0236】
なお、疑似LFデータに対する応答として携帯機40から送信されたRFデータは、携帯中継機30から車両中継機20に中継しない。
【0237】
疑似LFデータは、携帯中継機30のパラメータ記憶部38に記憶させるとよい。
【0238】
携帯中継機30が疑似LFデータを送信し、それに対して携帯機40からRFデータが送信されたことが判定されなかった場合には、その旨を報知する報知機能を携帯中継機30に設けるとよい。当該報知機能による報知は、携帯中継機30の報知部30cによって音声や、表示、発光等によって行うとよい。
【0239】
疑似LFデータの送信は、携帯中継機30の第一携帯側送受信部34で行うとよく、当該LFデータを受信した携帯機40からRFデータが送信されたかどうかの判定は、第一携帯側送受信部34でRFデータが受信されたかどうかを制御部32で行うとよい。
【0240】
疑似LFデータの送信は、携帯中継機30に設けられたチェック用のボタンをユーザが押したとき、または一定時間間隔で行うとよい。当該一定時間間隔は、例えば1分ごととするとよい。チェック用のボタンは、操作部30bに設けるとよい。
【0241】
携帯中継機30のパラメータ記憶部38には、車種別の信号パターン等を記憶させておき、記憶されたパターンに基づく信号を疑似LFデータとして送信するようにするとよい。特に、車両中継機20から中継された、車両制御装置10から送信された信号を記憶しておき、その信号に基づく信号を疑似LFデータとして送信するようにするとよい。
【0242】
(6)車両中継機20が、車両6に設けられた車内LANに接続する機能を備え、当該車内LANを流れる信号の状態を加味して、中継システム4による通信信号の中継を行わない。
【0243】
車内LANは例えばCANとするとよく、当該CANから例えばドアが開いていることを意味する信号が検出されているときには中継システム4による通信信号の中継を行わないようにするとよい。
【0244】
車両中継機20の車内LANへの接続は、車両中継機20の制御部22に接続されるOBD2アダプタを設けて行うとよく、当該OBD2アダプタを、車内LANに接続されたOBD2コネクタに接続するとよい。
【0245】
[変形例2.中継システムの中継動作時間を制限する]
携帯中継機30の押しボタンスイッチである操作部30bを押してから、所定時間範囲に中継システム4による中継動作を行う時間を制限する。
【0246】
例えば、現在は、携帯中継機30と、純正キーとも呼ばれる携帯機40とは、リングで結ばれて使用される使用態様が指定されているケースが多い。しかし、このように2つのものがリングでつながっていると、例えばこれらをバッグに入れた場合には、バッグの中の他のものに引っ掛かったりして使い勝手が悪い。
【0247】
この問題を解決するため、携帯中継機30と携帯機40とが数メートル離れていても使用可能とした場合には、別の問題として、例えば、同一車種の他の車のキーからの信号を携帯中継機30が中継してしまう可能性が高くなってしまう。
【0248】
そこで、本変形例のように中継動作を行う時間を制限することにより、このような問題の発生頻度を低減させることができる。また、同一車種の他の車のキーが反応しているかをチェックする機能を携帯中継機30に設けるとよく、反応していることを検知した場合にその旨を示す報知を報知部30cにより行うとよい。制御部32によって、携帯中継機30が受信したデータが正しい純正キーのデータでないと判別された時点で、それ以降の信号の中継をやめるように制御してもよい。
【0249】
[変形例3.純正キーおよび携帯中継機での誤操作を抑制する]
携帯機40では、操作ボタンを有するものがあり、携帯中継機30にも操作部30bがあるため、ユーザはこれらを押し間違えやすいという問題がある。
【0250】
この問題を解決するため、携帯中継機30から操作部30bをなくす。そして、携帯中継機30は、通信信号の中継や報知に徹するものとする。報知部30cによる報知は、画面ではなく音での報知が望ましい。
【0251】
上述の基本構成で説明した、携帯中継機30の操作部30bを用いて行っていた操作は、携帯機40の特定の操作ボタンを所定時間内に複数回押すことにより行う。このような携帯機40の操作は、例えば、エンジンスタート操作として、ロックボタンを連続して1秒間に2回押すこととするとよい。このような特定の操作によって携帯機40から送信される通信信号を、携帯中継機30で受信し、制御部32で検出した場合に、エンジンスタート信号を送信する。
【0252】
[変形例4.純正キーが携帯中継機の近くにあるか否かで動作を変える]
携帯中継機30の操作部30bが押下されたことを制御部32で検知した場合、エンジンスタート信号を車両中継機20に送信する前に、純正キーである携帯機40が携帯中継機30の近くにあるかどうかを確認する信号を第一周波数(LF)で送信する。この確認信号により携帯機40が携帯中継機30の近くにあると制御部32で判定した場合、エンジンスタート信号を車両中継機20に送信する。
【0253】
一方、携帯機40が携帯中継機30の近くにないと判定した場合は、エンジンスタート信号の車両中継機20への送信は行わない。また、この場合、携帯機40が携帯中継機30の近くにないことについての報知を報知部30cにより行うとよい。
【0254】
なお、エンジンスタート信号を車両中継機20に送信した後で携帯中継機30から確認信号を送信する場合は、車両中継機20からエンジン始動信号を車両制御装置10に送信するのは一定のディレイを持たせる。
【0255】
また、例えば携帯中継機30をユーザが自宅に放置した状態で、ユーザが自宅の駐車場で車両6の室内を掃除している場合において、自宅にいる子供が携帯中継機30の操作部30bを押して、エンジンスタート操作を行った場合を想定する。
【0256】
このような場合には、不要なトラブルを避けるため、エンジンをスタートさせないことが望ましい。そこで、車両中継機20を、車内に携帯機40が存在しているか否かを検出する機能を備えるものとする。携帯機40が車内に存在することを車両中継機20で検出しているにもかかわらず、携帯中継機30からのエンジンスタート信号を車両中継機20で受信した場合には、そのような状況にあることについての報知を車両中継機20の報知部20cおよび携帯中継機30の報知部30cにより行うとよい。
【0257】
[変形例5.LFデータの変形例]
携帯中継機30が第一周波数(LF)で送信するLFデータを、携帯機40は正規のLFデータと認識するものの、車両制御装置10が送信するLFデータとは異なるものとする。携帯機40が、正規のLFデータと認識する範囲は、車両制御装置10が送信するLFデータの範囲を包含し、また、本変形例で携帯中継機30が送信するLFデータの範囲を包含する。
【0258】
中継システム4は、LFデータを受信する機能を備える装置を備え、当該装置はこれらの2種類のLFデータを弁別して、いずれのLFデータを受信したかを記録する機能を備えるとよい。LFデータを受信する機能を備える装置は、例えば車両中継機20とするとよく、LFデータの受信は、第一車両側送受信部24により行ってもよく、第一車両側送受信部24とは別に設けた受信用RFIC等により行ってもよい。LFデータの受信記録は、車両中継機20に記録装置を設けて行うとよい。
【0259】
[変形例6.RFデータの変形例]
車両中継機20が第二周波数(RF)で送信するRFデータを、車両制御装置10は正規のRFデータと認識するものの、携帯機40が送信するRFデータとは異なるものとする。車両中継機20が、正規のRFデータと認識する範囲は、携帯機40が送信するRFデータの範囲を包含し、また、本変形例で車両中継機20が送信するRFデータの範囲を包含する。
【0260】
中継システム4は、RFデータを受信する機能を備える装置を備え、当該装置はこれらの2種類のRFデータを弁別して、いずれのRFデータを受信したかを記録する機能を備えるとよい。RFデータを受信する機能を備える装置は、例えば車両中継機20とするとよく、RFデータの受信は、受信用のRFIC等を設けて行うとよい。RFデータの受信記録は、車両中継機20に記録装置を設けて行うとよい。
【0261】
[変形例7.携帯中継機の付加機能についての変形例]
携帯中継機30を、車両6の情報を取り出す箱とする。例えば、携帯中継機30に、車両6からの情報を取得する機能や、スマートフォン等との通信機能等を付加する。スマートフォン等との通信機能は、Bluetooth機能、NFC機能等とするとよく、例えばBluetooth送受信モジュールを制御部32に接続するとよい。付加機能の例を以下の(1)から(3)で説明する。
【0262】
(1)車両6に関するいろいろな情報を、車両中継機20から携帯中継機30に転送して、携帯中継機30に設けられた記憶部に記憶しておき、当該記憶された情報をスマートフォン等へ転送できるようにする。
【0263】
車内では、スマートフォン等の操作がしにくく、車両6に関する情報の取得操作がしづらいが、自宅やレストラン等の車外では当該取得操作が容易である。一方、自宅やレストラン等では、車両6とユーザが操作するスマートフォン等との距離が大きく、スマートフォン等によって車両6から直接情報を取得するのは困難であるという問題がある。
【0264】
ユーザはスマートフォンと携帯中継機30のいずれも身近に所持しているため、本変形例によれば、容易に車両6に関する情報を取得することができ、上記問題を解決することができる。
【0265】
さらには、本変形例によれば、携帯中継機30を、単なるエンジンスターターの操作ボタンとしてではなく、スマートフォン等とペアで使用する道具とすることができ、ユーザに携帯中継機30を持ち運びするインセンティブとすることができる。一般に、エンジンスターターは、専ら冬季に使用されるため、冬季以外、特に夏季には携帯中継機30はユーザに持ち運びされることが少ないが、本変形例によれば冬季以外でも持ち運ばれるようになる可能性が高まる。
【0266】
(2)上記(1)で記憶する情報は、例えば、車両6の操作(エンジンのオン、オフ)、位置(例えば車載のGPSで検出した、車両6を停めた場所)、車内の温度等とするとよい。スマートフォンでこれらの情報を表示したり、地図上に表示したり、さらにはその情報や情報が表示された地図を他人とシェアしたりできる。これらの情報を用いることにより、ユーザは過去の行動を容易に振り返ることができる。
【0267】
GPS等は電力消費量が激しいため、携帯中継機30に設けると一次電池30dの交換頻度が高まってしまう。そこで、これらのものを携帯中継機30ではなく車両中継機20に設ければ、携帯中継機30は一次電池30dをボタン電池としても駆動できるにもかかわらず、ユーザはリッチな情報を得ることができる。携帯中継機30は、これらの情報を受信するだけなので、電力消費量は小さいままである。
【0268】
(3)携帯中継機30は、Bluetooth(登録商標)等の無線通信機能を有する機器の検出履歴を記憶する機能を備えるとよい。特に検出した時刻を関連付けて記憶するとよい。所定時間間隔(例えば1分間隔)で履歴として記憶するようにしてもよいが、変化があった時点だけ記憶するようにするとよい。
【0269】
Bluetooth等の無線通信機能を有する機器は、例えばヘッドホン、パソコン用のキーボードやマウス、スマートフォン等とするとよい。
【0270】
Bluetooth等の無線通信機能を有する機器の検出は、携帯中継機30に設けられたBluetooth等の無線通信機能によってスキャン信号を送信することによって行うとよい。
【0271】
表1には、携帯中継機30で取得され、記憶されるデータの例を示す。表1に記載の記憶されるデータは、検出された機器のBluetooth(表中では「BT」と記載。)のID、通信状態としての電界強度のレベル、検出した日時を含む。
【0272】
【0273】
このような検出履歴のデータを用いることにより、例えば携帯中継機30を所持したユーザがどの時間にどの機器の近くにいたのか、どのくらい近くにいたのかを把握することができ、自身の行動を容易に振り返ることができる。本変形例では、Bluetoothではなく、Wi-FiのSSID等の差から行動状況を求めてもよい。
【0274】
[変形例8.車両中継機の変形例]
上述の変形例7は携帯中継機30についての変形例であったが、変形例8では、車両中継機20についての同様に、車両6からの情報を取得する機能や、スマートフォン等との通信機能等を付加する。スマートフォン等との通信機能は、Bluetooth機能、NFC機能等とするとよく、例えばBluetooth送受信モジュールを制御部22に接続するとよい。
【0275】
表2には、車両中継機20で取得され、記憶されるデータの例を示す。表2に記載の記憶されるデータも、表1と同様に、検出された機器のBluetooth(表中では「BT」と記載。)のID、通信状態としての電界強度のレベル、検出した日時を含む。表2にIDとして「None」と示したものは、例えば微弱な信号を受信したもののIDを特定するまでに至らなかったものを意味する。
【0276】
【0277】
このような検出履歴のデータを用いることにより、例えば車両中継機20が設けられた車両6に乗車したユーザがどの時間にどの機器の近くにいたのか、どのくらい近くにいたのかを把握することができ、自身の行動を容易に振り返ることができる。本変形例では、Bluetoothではなく、Wi-FiのSSID等の差から行動状況を求めてもよい。
【0278】
また、変形例7と変形例8とを組み合わせると、例えば表1の1行目と表2の1行目のデータを比較して、IDが00001の機器(例えばスマートフォン)が同時刻に携帯中継機30と車両中継機20の両方で検出されており、携帯中継機30と車両6の双方の近傍にあったことがわかり、さらに電界強度のレベルから、当該機器は、車両6よりも携帯中継機30の近くにあった可能性が高いことがわかり、機器の探索の補助とすることができる。さらに、例えば純正キーを見失ったとき等に、そのありかの探索にも応用することができる。
【0279】
[変形例9.携帯中継機のありかの識別]
中継システム4で車両中継機20と携帯中継機30の間で通信信号の中継に用いられる周波数(第三周波数(SG)。例えば922MHz)の電波と、変形例8で使用したBluetooth機能の電波とを併用することにより、車両中継機20を用いて、携帯中継機30がどのあたりに存在しているかを識別するとよい。
【0280】
車両中継機20に、Bluetoothの電波を受信する機能を付加する。車両中継機20において、例えばBluetooth送受信モジュールを制御部22に接続するとよい。これにより、第二車両側送受信部26で第三周波数の電波を受信し、Bluetooth送受信モジュールでBluetoothの電波を受信することができる。
【0281】
第三周波数による通信可能距離は数百メートルであり、Bluetoothの電波では約10メートルである。そのため、車両中継機20で両方の電波を受信していれば、携帯中継機30は車両6から10メートル以内に存在し、第三周波数の電波のみを受信していれば、10メートルより遠く、数百メートル以内に存在し、また、どちらの電波も受信していなければ、数百メートル以内には存在していないことが推測できる。
【0282】
以上のような中継システム4によれば、
図1に示したように、所定の通信仕様で相互に無線通信を行う車両制御装置10(第1の装置)と携帯機40(第2の装置)とを備え、車両制御装置10が車両6(被制御機器)に配置され、車両制御装置10と携帯機40との間で所定の信号の通信が行われると車両制御装置10が配置された車両6の制御動作を行う車両制御システム2(制御システム)において、車両制御装置10と携帯機40との間の無線通信を中継する中継システム4であって、車両制御装置10と携帯機40との間の所定の通信仕様が異なる、複数種類の車両制御システム2において無線通信を中継することができ、相互に無線通信を行う車両中継機20(第1の中継機)と携帯中継機30(第2の中継機)とを備え、車両中継機20は車両制御装置10からの信号の受信、および車両制御装置10が認識可能な信号の送信を行い、携帯中継機30は携帯機40からの信号の受信、および携帯機40が認識可能な信号の送信を行い、車両制御装置10と携帯機40との間で通信が行われる通信信号を受信し、受信した当該通信信号に基づいて当該所定の通信仕様を判別し、車両制御装置10の車両中継機20との通信、および携帯機40の携帯中継機30との通信に、当該判別した所定の通信仕様を適用する。
【0283】
このようにすれば、車両制御システム2ごとに通信仕様が異なっていても、それぞれの車両制御システム2に対応した通信仕様が自動的に適用されるため、当該車両制御システム2における車両制御装置10が配置された車両6の制御動作を行うことができる中継システム4を得ることができる。
【0284】
通信仕様としては、信号のデータ長さ、ビット数、送信時間、データフレーム等とするとよい。
【0285】
上述の実施形態では、車両中継機20は車両6に配置され、携帯中継機30は使用者が携帯するものとした。
【0286】
このようにすれば、車種ごとに通信仕様が異なる場合でも、車種ごとの通信仕様が自動的に適用され、その車種の車両の制御動作を行うことができる中継システム4を得ることができる。そのため、車種ごとに通信仕様を対応させた中継システム4を用意する必要性を低減することができ、販売店での在庫管理が容易となる。
【0287】
車両制御システム2の制御動作により制御される車両6の動作はどのようなものであってもよいが、例えば車両6を構成する各部の動作とするとよく、例えば車両6のドアのロックの開閉、カーセキュリティの起動および遮断とするとよい。特に、例えば車両6の動力源である、エンジンの始動またはモーターのシステムの始動、またはエアコンの始動、およびこれらの停止とするとよい。中継システム4は、エンジンの始動またはモーターのシステムの始動、またはエアコンの始動、およびこれらの停止を遠隔操作により行うことができるエンジンスターターとするとよい。
【0288】
車両制御システム2による車両6の制御は、例えば携帯中継機30に設けられた操作部または携帯機40に設けられた操作部のユーザの操作を検出することによって開始または停止する構成とするとよい。例えば、携帯中継機30の操作ボタンに対するユーザの操作を検出して、車両中継機20を介して車両制御システム2が車両を構成する各部の制御動作を行う構成とするとよい。
【0289】
携帯機40に設けられた操作部のユーザの操作の検出は、特に、携帯機40に設けられた操作部のユーザの操作に応じて携帯機40が車両制御装置10に対して無線送信する信号を受信し当該受信した信号に基いて行う構成とするとよい。
【0290】
特に、携帯機40に設けられた操作部のユーザの操作としては、携帯機40から車両制御装置10に対して行う、車両制御装置10から車両6の所定の制御動作を行わせるための操作とは、異なる操作とするとよい。
【0291】
また特に、携帯機40に設けられた操作部のユーザの操作としては、携帯機40から車両制御装置10に対して行う、車両制御装置10から車両6の所定の制御動作を行わせるため無線信号の送出のトリガとなる操作を含みつつ、当該操作とは異なる操作とするとよい。特に所定時間内に連続して同一の操作がなされることが車両制御装置10と携帯機40との間ではない操作を含むとよい。また特に、所定時間内に連続して所定回数同一の操作がなされた無線信号を受信したときに、車両中継機20から携帯中継機30に対して車両制御システム2が車両6の所定の制御動作を行う構成とするとよい。
【0292】
例えば、車両6のドアロックを制御する構成であって、携帯機40には操作部として車両6のドアのロックするボタンが設けられている構成等においては、当該ボタンを車両のドアのロックのための操作(当該ボタンを1回だけ押す)とは異なる操作、例えば1秒以内に3回連続してドアロックボタンを押す等の操作をユーザが行ったことを、携帯中継機30が、携帯機40が発した当該3回分のドアロックの無線信号を連続して所定時間内に受信したことを検知することで行うとよい。このような検知がなされた場合に、エンジン等の始動の指示信号を車両中継機20に対して無線送信するとよい。
【0293】
例えば、車両6に備え付けられた携帯機40には操作部として車両6のドアのロックを開閉するボタンしか設けられていない場合には、当該ボタンを車両6のドアのロックを開閉する操作とは異なる操作、例えば1秒以内に3回連続して押す等の操作をユーザが行うことによって、携帯中継機30および車両中継機20を介して車両制御システム2がエンジンの始動もしくはモーターの始動、もしくはエアコンの始動、またはこれらの停止を行うものとするとよい。
【0294】
中継システム4は、車両制御装置10と携帯機40との間の通信距離よりも車両中継機20と携帯中継機30との間の通信距離が長い構成とするとよい。このようにすれば、ユーザが携帯中継機30または携帯機40を操作することにより、車両制御システム2をより遠くから遠隔操作することができる。車両中継機20と携帯中継機30との間の通信距離をより長くする構成としては、例えば、車両中継機20と携帯中継機30との間の通信に使用される電波の送信電力を、車両制御装置10と携帯機40との間の通信に使用される電波の送信電力よりも大きくするとよい。
【0295】
中継システム4は、車両制御装置10と携帯機40との間の通信が次のような順序(以下「シーケンス」ともいう。)で行われる車両制御システム2に適用するとよい。[1]まず、車両制御装置10を用いて車両6の制御を開始するため、車両制御装置10に設けられた始動スイッチを操作すると、車両制御装置10から、通信信号として応答要求信号を送信する。[2]携帯機40は、応答要求信号を受信すると、応答要求信号に基づき所定の処理を行って生成した応答信号を通信信号として送信する。[3]車両制御装置10は、受信した応答信号が、自身が送信した応答要求信号と対比して所定の応答信号である場合には車両6の制御を開始し、所定の応答信号ではない場合には車両6の制御を開始しない。
【0296】
このようなシーケンスで通信が行われる車両制御システム2において、中継システム4による、車両制御システム2の車両制御装置10と携帯機40との間の通信の中継は、次のような順序で行うとよい。応答要求信号については、車両中継機20は、車両制御装置10から送信された応答要求信号を受信すると、応答要求信号に基づく無線応答要求信号を送信する。携帯中継機30は、無線応答要求信号を受信すると、この無線応答要求信号から携帯機40が応答要求信号と認識する転送応答要求信号を生成し、この生成した転送応答要求信号を携帯機40に送信する(以下、車両中継機20が応答要求信号を受信し、携帯中継機30が転送応答要求信号を送信することを、「応答要求信号を中継する」ともいう。)。
【0297】
応答信号については、携帯中継機30は、携帯機40から送信された応答信号を受信すると、応答信号に基づく無線応答信号を送信する。車両中継機20は、無線応答信号を受信すると、この無線応答信号から車両制御装置10が応答信号と認識する転送応答信号を生成し、この生成した転送応答信号を車両制御装置10に送信する(以下、携帯中継機30が応答信号を受信し、車両中継機20が転送応答信号を送信することを、「応答信号を中継する」ともいう。)。
【0298】
転送応答要求信号は、元の応答要求信号と全く同じものでもよいし、元の応答要求信号と異なっていても、携帯機40が応答要求信号として認識できる範囲の信号であればよい。同様に、転送応答信号は、元の応答信号と全く同じものでもよいし、元の応答信号と異なっていても、車両制御装置10が応答信号として認識できる範囲の信号であればよい。
【0299】
また、中継システム4は、特に、上記シーケンスを2回(例えば、起動シーケンスとそれに続く認証シーケンス)行う車両制御システム2に適用するとよい。
【0300】
通信仕様の判別は、車両制御システム2における通信が発生するたびに行う構成としてもよいが、特に、中継システム4を車両制御システム2を備える車両6に設けた後最初に車両制御システム2における通信が発生した時に行う構成とするとよい。さらに、当該判別結果を車両中継機20および携帯中継機30のそれぞれに設けられた記憶手段に判別した通信仕様に関する情報を記録し、当該記録された情報に基づいて車両中継機20および携帯中継機30が動作するとよい。また、判別した通信仕様を中継システム4に適用しなければ、中継システム4を介しての車両制御システム2による車両6のエンジンの始動等の制御を行うことができないようにするとよい。
【0301】
通信仕様の判別を、中継システム4を車両6に設置した後最初に車両制御システム2における通信が発生した時に行う場合には、例えば中継システム4を設置後最初に車両6に設けられた始動スイッチで車両制御システム2の始動操作を行い、車両制御装置10から通信信号を送信した時に行うようにするとよく、例えば車両中継機20にディップスイッチを設けて当該ディップスイッチで中継システム4を設定モードとした状態で、車両6に設けられた始動スイッチで始動操作を行い、車両制御装置10から通信信号を送信させて行うようにするとよい。
【0302】
通信仕様の判別は、例えば通信信号のデータ長さに基づいて行うとよい。ここで、車両制御システム2Aの通信信号のデータ長さが別の車両制御システム2Bの通信信号よりも短い場合において、車両制御システム2Aにのみ対応する中継システム4を車両制御システム2Bに使用した場合を例として考える。
【0303】
相互に無線通信を行う車両中継機20と携帯中継機30との間では、通信信号(例えば無線応答要求信号)の車両中継機20からの送信と携帯中継機30での受信、および通信信号(例えば無線応答信号)の携帯中継機30からの送信と車両中継機20での受信が行うとよい。
【0304】
車両中継機20には、携帯中継機30との通信を行う送信手段と受信手段を別個に設けてもよいし、送受信兼用の送受信手段を設けてもよい。同様に、携帯中継機30には、車両中継機20との通信を行う送信手段と受信手段を別個に設けてもよいし、送受信兼用の送受信手段を設けてもよい。
【0305】
車両制御システム2Aにのみ対応する中継システム4の携帯中継機30において、車両中継機20との通信信号の送受信を、送受信兼用の送受信手段を用いて行う場合には、車両中継機20からの通信信号の受信状態と、車両中継機20への通信信号の送信状態との切り替えを、車両制御システム2Aの通信信号のデータ長さに応じた適切なタイミングで行うとよい。
【0306】
車両制御システム2Aの通信信号のデータ長さが別の車両制御システム2Bの通信信号よりも短い場合、車両中継機20から通信信号を受信した携帯中継機30は、車両中継機20からの通信信号の受信状態から、車両中継機20への通信信号の送信状態への切り替えを、車両中継機20からの通信信号の受信を完了する前に行ってしまい、エラーが生じる可能性がある。
【0307】
しかし、通信信号に基づいて判別した通信仕様を適用するようにすれば、例えば車両中継機20および携帯中継機30の送受信状態の切り替えタイミングの設定が、車両制御システム2Aでも車両制御システム2Bでも自動的に行われる中継システム4を得ることができ、このようなエラーが生じることを低減することができる。
【0308】
通信仕様の判別は、車両中継機20のみ、携帯中継機30のみ、車両中継機20および携帯中継機30の両方のいずれかによって行うとよい。車両中継機20のみで通信信号に基づく通信仕様の判別を行う場合等には、判別した通信仕様に関する情報を車両中継機20から携帯中継機30に送信するとよい。
【0309】
通信仕様の判別を行う際に、車両中継機20と携帯中継機30とが互いに通信できる距離とし、車両制御装置10と携帯機40とは互いに通信できない距離とするよう指示する離隔指示手段を設けるとよい。離隔指示手段は、取扱説明書のように紙に記載されたものとしてもよく、車両中継機20と携帯中継機30との距離または通信状態および車両制御装置10と携帯機40との距離または通信状態を判定して、車両中継機20と携帯中継機30とが互いに通信できる距離であり、かつ車両制御装置10と携帯機40とは互いに通信できない距離であるか否かを報知する距離報知手段としてもよい。距離報知手段は、車両中継機20に設けられた報知部20cまたは携帯中継機30に設けられた報知部30cを利用することができる。当該距離報知手段による報知は、車両中継機20または携帯中継機30に表示部または音声出力部を設け、当該表示部に表示または音声出力部から音声として出力することにより行うとよい。
【0310】
このようにすれば、中継システム4への特定の通信仕様の適用が完了する前に、車両制御装置10と携帯機40とが中継システム4を介さずに通信を完了してしまうことを抑制することができる。
【0311】
当該距離報知手段は、通信仕様の判別を行う際だけでなく、中継システム4の使用時にも、車両中継機20と携帯中継機30とが互いに通信できる距離とし、車両制御装置10と携帯機40とは互いに通信できない距離とするよう指示するものとするとよい。なお、距離報知手段による指示は、通信仕様の判別を行う際には行わず、中継システム4の使用時にのみ行うものとしてもよい。
【0312】
車両中継機20には、判別した通信仕様が適用されると、どの通信仕様が適用されたかを報知する仕様報知手段を設けるとよい。仕様報知手段は、判別した通信仕様に対応する報知内容を記憶する記憶部と、表示部または音声出力部とを備えるものとし、通信仕様の適用が完了すると、いずれの通信仕様が適用されたかを当該表示部に表示または音声出力部から音声として出力するとよい。仕様報知手段は、車両中継機20に設けられた報知部20cまたは携帯中継機30に設けられた報知部30cを利用することができる。報知内容は、いずれの通信仕様が適用されたかを特定できる情報とするとよく、例えば車両メーカーおよび車種とするとよく、また、中継システム4において記憶している通信仕様を番号で管理している場合には、例えば「通信仕様1を適用しました。」等とするとよい。また、表示部には、判別した通信仕様が適用されている状態か、適用されていない状態かを表示するとよい。
【0313】
本実施形態では、通信仕様の判別は、通信信号のうち、車両制御装置10から送信される応答要求信号および当該応答要求信号に対応して携帯機40から送信される応答信号の少なくともいずれか1つについて、ビット数、送信時間およびデータフレーム構成の少なくともいずれか1つに基づいて行う。
【0314】
このようにすれば、正確に車両制御システム2の種類を判別することができ、より正確な通信仕様を適用することができる。
【0315】
車両制御システム2を備える車両6の車種を正確に判別することができ、車両中継機20および携帯中継機30の送受信状態の切り替えタイミングをより正確に設定することができる。
【0316】
車両制御システム2において行われる通信信号のシーケンスが、起動シーケンスとそれに続く認証シーケンスの2回である場合、通信仕様の判別は、起動シーケンスの応答要求信号であるWAKE信号の送信時間に基づいて行うとよい。
【0317】
また、通信仕様の判別は、応答要求信号および応答信号の少なくともいずれか1つについて、ビット数、送信時間およびデータフレーム構成の少なくとも2つに基づいて行うとよい。
【0318】
本実施形態では、車両制御システム2が、車両制御装置10と携帯機40との間で、通信信号として車両制御装置10から送信される応答要求信号および当該応答要求信号に対応し携帯機40から送信される応答信号を複数組使用し、各組の応答要求信号および応答信号に基づいて通信仕様の判別を行う。
【0319】
このようにすれば、より正確に車両制御システム2が設けられた車両6の車種を特定することができる。車両6が備える車両制御システム2において、2組の応答要求信号および応答信号を用いる起動シーケンス、認証シーケンスのいずれについても通信信号に基づいて通信仕様を判別することができ、これにより正確な通信仕様を適用し、例えば車両中継機20および携帯中継機30の送受信状態の切り替えタイミングをより正確に設定することができる。
【0320】
本実施形態では、通信仕様の判別を車両中継機20に設けられた判別手段によって行い、車両中継機20および携帯中継機30への判別した通信仕様の適用を完了すると、車両中継機20および携帯中継機30を介した車両制御システム2による車両6の制御動作の開始または停止をユーザが操作できることを報知する操作可否報知手段が携帯中継機30に設けられている。操作可否報知手段は、車両中継機20に設けられた報知部20cまたは携帯中継機30に設けられた報知部30cを利用することができる。
【0321】
このようにすれば、中継システム4を用いて車両6の操作を行うことができるようになったことを使用者が知ることができ、車両6の操作ができない状態で操作を行おうとすることを抑制することが可能となる。
【0322】
車両中継機20に設けられた判別手段による通信仕様の判別結果は、車両中継機20から携帯中継機30に対して、車両制御システム2の通信信号の中継以外の通信により送信するとよい。
【0323】
携帯中継機30に設けられている操作可否報知手段は、音声出力手段または表示手段とするとよい。音声出力手段は例えば中継システム4を用いて車両6の操作を行うことができるようになったときに、「ピッ」という短い信号音や「使用できます」という音声を出力するとよい。表示手段は、例えばLEDとし、中継システム4を用いて車両6の操作を行うことができるようになると赤色の点灯状態から青色の点灯状態に変化するものや、また例えば液晶画面とし、中継システム4を用いて車両6の操作を行うことができるようになると使用可能を意味する文字やマークを表示するものとするとよい。操作可否報知手段は、車両中継機20に設けられていてもよい。
【0324】
本実施形態では、車両制御装置10は車両6および車両6を構成する車両構成機器を制御し、携帯機40は車両6に備え付けられたものとする。
【0325】
このようにすれば、中継システム4を用いて車両6または車両構成機器の操作を行うことができる。車両構成機器は、どのようなものであってもよいが、例えば車両のドアのロック機構、カーセキュリティ、エアコンとするとよく、特に、車両の動力源であるエンジンまたはモーターとするとよい。
【0326】
本実施形態では、複数種類の通信信号に関する情報を記憶する記憶手段と、車両中継機20または携帯中継機30が車両制御装置10または携帯機40から受信した通信信号が、記憶手段に記憶された複数種類の通信信号のいずれに該当するかを照合する照合手段とを備え、所定の通信仕様の判別を、照合手段による通信信号の照合により行う。記憶手段は、車両中継機20のパラメータ記憶部28および携帯中継機30のパラメータ記憶部38を利用することができ、照合手段は車両中継機20の制御部22および携帯中継機30の制御部32を利用することができる。
【0327】
このようにすれば、通信仕様の判別を確実に行うことができ、正確に車両中継機20および携帯中継機30の設定を行うことができる。
【0328】
複数種類の通信信号に関する情報は、複数種類の通信信号のそれぞれの種類を識別するための情報とするとよく、各通信信号の特徴の情報とするとよく、各通信信号の差異点の情報とするとよい。
【0329】
本実施形態では、車両制御システム2が、通信信号として、車両制御装置10から送信される応答要求信号および当該応答要求信号に対応して携帯機40から送信される応答信号を使用するとともに、携帯機40が、応答要求信号に含まれる周波数指定情報に基づく周波数で応答信号を送信するものであり、応答要求信号に基づいて判別した所定の通信仕様に周波数指定情報が含まれ、携帯中継機30が、携帯機40から送信された応答信号を、周波数指定情報に基づく周波数で受信する。
【0330】
このようにすれば、携帯機40から応答信号を送信する周波数が車両制御システム2ごとまたは通信ごと等によって異なる場合であっても、同じ中継システム4によって中継することが可能となる。
【0331】
携帯機40が応答信号を送信する周波数は、通信仕様とするとよい。
【0332】
本実施形態では、携帯中継機30が、車両中継機20との間で無線通信を行う第二携帯側送受信部36(第1の送受信部)と、携帯機40との間で無線通信を行うとともに、第二携帯側送受信部36との間で互いに通信信号を伝達する第一携帯側送受信部34(第2の送受信部)を備え、携帯機40から送信される通信信号を受信している時以外は第一携帯側送受信部34から第二携帯側送受信部36への通信信号の伝達が遮断され、第二携帯側送受信部36は、車両中継機20から送信された通信信号の受信を完了すると、車両中継機20に第一携帯側送受信部34から伝達された通信信号を送信する状態に切り替える。
【0333】
携帯中継機30において、第一携帯側送受信部34が携帯機40から送信された通信信号を第二携帯側送受信部36に伝達するものであり、かつ第二携帯側送受信部36が第一携帯側送受信部34から伝達された通信信号をそのまま送信するもの等である場合、第一携帯側送受信部34が携帯機40から送信される通信信号を受信していない時に第一携帯側送受信部34がノイズを受信したときには当該ノイズが第二携帯側送受信部36から送信されるという問題がある。
【0334】
ここで、携帯中継機30において、第二携帯側送受信部36が第一携帯側送受信部34から伝達された信号をそのまま送信するものであっても、携帯機40から送信される通信信号を受信している時以外は第一携帯側送受信部34から第二携帯側送受信部36への通信信号の伝達が遮断されるようにすれば、携帯機40から送信された通信信号を車両制御装置10に対して中継する際に、ノイズを送信することを抑制することができる。
【0335】
また、携帯中継機30において、第二携帯側送受信部36は、車両中継機20から送信された通信信号の受信を完了すると、車両中継機20に第一携帯側送受信部34から伝達された通信信号を送信する状態に切り替えるため、車両制御装置10から通信信号が送信されてから車両制御装置10に戻ってくるまでの時間の遅れも生じにくい。そのため、例えば車両制御システム2において、エンジンを始動させる際に車両制御装置から応答要求信号を送信してから携帯機から応答信号の送信を開始するまでの時間が車両メーカーによって短時間で設定されている場合であっても、中継システム4を用いてエンジンを始動させることができない可能性を低減することができる。
【0336】
第一携帯側送受信部34から第二携帯側送受信部36への通信信号の遮断は、例えば、携帯機40から通信信号が送信されたことを検知している時にのみ制御信号を出力する制御部と、当該制御部から出力される制御信号と第一携帯側送受信部34から出力される通信信号との論理積を第二携帯側送受信部36に出力するAND回路50を用いて行うとよい。
【0337】
本実施形態では、車両制御システム2において、車両制御装置10が、複数の携帯機40のそれぞれとの間で車両6の制御動作を行うための所定の信号の無線通信を行い、車両制御装置10が通信信号として送信するWAKE信号(第1の応答要求信号)およびチャレンジ信号(第2の応答要求信号)のそれぞれに対して、携帯機40のそれぞれが通信信号として対応する固有のACK信号(第1の応答信号)および固有のレスポンス信号(第2の応答信号)のいずれかを送信するものであり、車両中継機20が、複数の携帯機40から送信されるACK信号に関する情報を記憶し、車両6、車両制御装置10、車両中継機20、および携帯中継機30の少なくとも1つの動作を検知する動作検知手段が、車両中継機20または携帯中継機30に接続され、車両制御装置10が送信したWAKE信号を受信した車両中継機20が、記憶するACK信号に関する情報に基づき、車両制御装置10が固有のACK信号のいずれかと認識する信号(疑似ACK信号)の1つを送信し、固有のACK信号のいずれかと認識した車両制御装置10がチャレンジ信号を送信し、車両制御装置10が送信したチャレンジ信号に基づく信号を車両中継機20を介して受信した携帯中継機30から送信された、携帯機40がチャレンジ信号と認識する信号を受信した携帯機40の1つが、固有のレスポンス信号を送信した後において、動作検知手段が車両6、車両制御装置10、車両中継機20、および携帯中継機30の少なくとも1つが動作したことを検知するまで、車両中継機20が記憶するACK信号に関する情報に基づき、車両制御装置10が固有のACK信号のいずれかと認識する信号を順に送信する。
【0338】
車両中継機20が、車両制御装置10が固有のACK信号のいずれかと認識する信号を順に送信する動作(以下「順次送出動作」ともいう。)をこのように行うことにより、中継システム4を利用して車両制御装置10と携帯機40の認証動作を行う際に、ACK信号を携帯機40から車両制御装置10まで中継する必要がなく、中継システム4で使用する電力を低減することができる。
【0339】
動作検知手段は、車両中継機20または携帯中継機30に有線または無線で接続されるものとするとよい。動作検知手段は、車両中継機20の制御部22または携帯中継機30の制御部32を利用することができる。
【0340】
動作検知手段が検知する携帯中継機30の動作は、携帯機40が送信したレスポンス信号を、携帯中継機30が受信したこととするとよい。動作検知手段が検知する車両中継機20の動作は、携帯中継機30がレスポンス信号に基づいて送信した無線レスポンス信号を、車両中継機20が受信したこととするとよい。動作検知手段が検知する車両制御装置10の動作は、車両中継機20が送信した、車両中継機20がレスポンス信号と認識する信号を、車両制御装置10が受信したこととするとよい。動作検知手段が検知する車両6の動作は、車両制御装置10がレスポンス信号を認識して行われる車両制御システム2の制御動作に基づく動作とするとよく、例えばエンジンまたはモーターシステムの始動、またはエアコンの始動とするとよい。
【0341】
中継システム4を用いた車両制御装置10と携帯機40の認証動作は、例えば次のようなステップで行うことができる。
【0342】
[1]車両中継機20が車両制御装置10に起動トリガ信号を送信するステップと、[2]車両制御装置10が起動トリガ信号を受信し、WAKE信号を送信するステップと、[3]WAKE信号を受信した車両中継機20が、記憶するACK信号に関する情報に基づき、車両制御装置10が固有のACK信号のいずれかと認識する信号(疑似ACK信号)の1つを送信するステップと、[4]固有のACK信号のいずれかと認識した車両制御装置10がチャレンジ信号を送信するステップと、[5]車両中継機20と携帯中継機30がチャレンジ信号を中継するステップと、[6]チャレンジ信号を認識した携帯中継機30の1つがレスポンス信号を送信するステップと、[7]携帯中継機30と車両中継機20がレスポンス信号を中継するステップと、を備え、これらのステップの後、車両制御装置10が、中継されたレスポンス信号を受信し、ACK信号とレスポンス信号とが対応していることを認識した場合には認証動作を完了し、ACK信号とレスポンス信号とが対応していることを認識しない場合には、順次送出動作として、ステップ[3]で送信した信号とは別の車両制御装置10が固有のACK信号のいずれかと認識する信号を車両中継機20が送信するものとする。
【0343】
(10)例えば上記(1)から(9)までのいずれかに記載の中継システム4における車両中継機20として構成するとよい。
【0344】
(11)例えば上記(1)から(9)までのいずれかに記載の中継システム4における携帯中継機30として構成するとよい。
【0345】
これらのような装置は、車両制御システム2に使用される装置として構成される。例えば、エンジンスターターとして用いる中継システム4用の装置として、車両中継機20またはエンジンのスタートボタンが設けられた携帯中継機30として構成するとよい。
【0346】
(12)車両中継機20または携帯中継機30は、エンジンがかかっている状態かどうかを判定する機能を備え、エンジンがかかっているときは中継を行わないように処理するとよい。
【0347】
(13)車両中継機20または携帯中継機30は、現在の場所(例えば位置)を特定する手段を備え、(例えば予め設定された)特定の場所では中継しないように処理するとよい。また例えば(例えば予め設定された)特定の場所で中継を行うように処理をする(例えばマンションの自宅では中継、別荘では中継しないなど)。例えば中継禁止ポイント(例えばエリア)を設定できるようにしてもよい。
【0348】
(14)車両中継機20または携帯中継機30は、車室内の温度を測定する温度センサを備え、(例えば車室内の)温度がある範囲(例えば快適温度範囲)である場合には、中継をしないよう制御するとよい。
【0349】
(15)携帯中継機30は第一車両側送受信部24を備え、車両制御装置10などが送信するLFデータを受信するLF受信機能を有するが、LFデータを受信しているときは中継しないよう制御するとよい。
【0350】
(16)携帯中継機30に、車両制御装置10から車両6の出す信号(LFデータ)と同じ信号を、車両6からの信号がないときに送信する機能(例えば携帯中継機30に設けられたチェック用のボタンを押したとき、あるいは、一定時間間隔(例えば1分ごと)に送信する機能)を備え、ちゃんと携帯機40から、携帯中継機30が送信した信号に対する応答信号が帰ってくるか(例えば両者が適正な距離範囲にあるか)どうかを判定する。帰って来なかった場合その旨がわかるように報知する機能を備えるとよい。このとき、携帯機40からの応答信号は、車両中継機20側には中継しないよう制御するとよい。予め車種別の信号パターンなどを記憶させておき、記憶されたパターンに基づく信号を送出するようにしてもよいが、特に車両中継機20から中継された車両制御装置10からの信号を記憶しておき、その信号に基づく信号を送出するようにするとよい。
【0351】
(17)車両中継機20に車内LANへの接続機能を備え、車内LANを流れる信号の状態を加味して、中継しない制御を行う機能を備えるとよい。例えばドア開が車内LAN(例えばCAN)から検出されているときには、中継しない構成とするとよい。
【0352】
(18)中継システム4を構成する車両中継機20および携帯中継機30による中継動作時間を制限する機能を備えるとよい。例えばエンジンスタートボタンを押してから所定範囲(例えば数秒)に中継動作時間を制限するとよい。例えば、従来の携帯中継機と携帯機40とはリングで結ばれて用いることとしているが、2つのものがリングでつながっていると、バッグの中の他のものにひっかかったりして、使い勝手がわるい。そこで両者が数メートル離れていてもよいとした場合には、例えば、同一車種の他の車の純正キーからの信号を携帯中継機30が中継してしまうといった問題が生じる。車両中継機20および携帯中継機30による中継動作時間を制限することにより、このような問題の発生頻度を低減させることができる。また、同一車種の他の車の携帯機40(純正キー)が反応しているかをチェックする機能を設けるとよく、そのような場合にはその旨を示す報知を行うとよい。正しい携帯機40のデータでないと判別された時点でそれ以降の信号の中継をやめるように制御してもよい。
【0353】
(19)携帯機40と携帯中継機30の両方にボタンがあると押し間違えしやすいという課題がある。携帯中継機30には中継用のRF受信器があるのでこれを中継以外の用途で使用するとよい。例えば、携帯中継機30からボタンをなくす。携帯中継機30は中継や報知(特に画面ではなく音での報知が望ましい)に徹する。操作は例えば携帯機40の複数回の特定のボタン押し(ロックボタンを連続して1秒以内に2回押すなど)をエンジンスタートの操作とする。このような特定の操作を携帯機40から送出される信号を携帯中継機30で受信して検出した場合にエンジンスタート信号を送出するとよい。
【0354】
(20)携帯機40が携帯中継機30の近くにあるか否かで携帯中継機30の動作を変える機能を備えるとよい。例えば携帯中継機30のエンジンスタートボタンが押下されたことを検出した場合、エンジンスタートの信号を車両中継機20に送る前に(あるいは送った後でもよいがこの場合は車両中継機20側でエンジン始動信号を車両に送信するのはディレイを持たせるなどして)、携帯機40が携帯中継機30の近くにあるかを確認する信号(例えばLFデータ)を送出し、携帯機40が携帯中継機30の近くにあると判定した場合に、エンジンスタート信号を車両中継機20に送信する。ないと判定した場合にはエンジンスタートの信号の車両中継機20への送信を行わない。またない場合には純正キーが携帯中継機30の近くにないことを示す報知を行うとよい。
【0355】
また、例えば携帯中継機30を自宅の中に忘れてきて、運転者が自宅の駐車場の車の中を掃除しているとき、自宅の中の子供が携帯中継機30のエンジンスタートボタンを押した場合などを想定すると、車両中継機20側で車内に純正キーがあるか否かを検出する機能を備え(例えばECU直結か、車内LAN監視か、RF受信機で検出)、純正キーが車内に存在すると検出されているにもかかわらず、携帯中継機30からのエンジンスタート信号を受信した場合には、そのような状況にあることを示す報知を行うとよい。
【0356】
(21)LFデータを、携帯機(純正キー、携帯機40)は正規の信号と認識するが、車が出すLFデータとは異なるLFデータとするとよい。LF受信器を備える装置(例えば車両中継機20にこの機能を備えるとよい)では、この2つのLFデータを弁別していずれのLFデータを受信したかを記録する機能を備えるとよい。
【0357】
(22)RFデータを、車両は正規の信号と認識するが、純正キー(携帯機40)の出すRFデータとは異なるRFデータとする。RF受信器を備える装置(例えば携帯中継機30にこの機能を備えるとよい)では、この2つのRF信号を弁別していずれのRF信号を受信したかを記録する機能を備えるとよい。
【0358】
(23)例えば上記(1)から(22)までのいずれかに記載の機能をコンピュータに実現させるためのプログラムとして構成するとよい。当該プログラムは、車両中継機20用のプログラムと、携帯中継機30用のプログラムとするとよい。
【0359】
上述した(1)から(22)までの発明は、任意に組み合わせることができる。例えば(1)の全部または一部の構成を備えずに他の(2)から(22)までの少なくともいずれか1つの構成を備えたものとしてもよい。但し特に、(1)の構成の全部または一部を備えて、(2)から(22)までの少なくともいずれか1つの構成と組み合わせを備えるとよい。また(1)から(22)までの少なくとも1つから任意の構成要素を抽出し、組み合わせてもよい。本願出願人はこれらのような構成についても特許権を取得する意思を有する。
【0360】
以上、本発明の様々な側面を実施形態並びに変形例を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求の範囲とする意思を有する。
【0361】
本願発明は上述した実施の形態に記載の構成に限定されない。上述した各実施の形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施の形態や変形例の任意の構成要素と、発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素または発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成するとよい。これらについても本願の補正または分割出願等において権利取得する意思を有する。
【符号の説明】
【0362】
1 車両遠隔操作システム
2 車両制御システム
4 中継システム
6 車両
6a バッテリー
8 通信ケーブル
10 車両制御装置
12 制御部
14 送受信部
16 認証情報記憶部
20 車両中継機
20a 起動トリガ出力部
20b 設定スイッチ
20c 報知部
22 制御部
24 第一車両側送受信部
26 第二車両側送受信部
28 パラメータ記憶部
30 携帯中継機
30a 設定スイッチ
30b 操作部
30c 報知部
30d 一次電池
32 制御部
32a 出力端子
34 第一携帯側送受信部
34a 送信専用RFIC
34b 受信専用RFIC
34c 出力端子
36 第二携帯側送受信部
36a 入力端子
38 パラメータ記憶部
40 携帯機
40a 一次電池
42 制御部
44 送受信部
46 認証情報記憶部
50 AND回路
50a 入力端子
50b 入力端子
50c 出力端子