(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】拡大回折反射が可能な多重視野角モニタシステム
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20241111BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
B60R11/02 C
G09F9/00 313
G09F9/00 362
(21)【出願番号】P 2023567131
(86)(22)【出願日】2021-12-15
(86)【国際出願番号】 KR2021019069
(87)【国際公開番号】W WO2022255577
(87)【国際公開日】2022-12-08
【審査請求日】2023-10-31
(31)【優先権主張番号】10-2021-0069803
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】523412821
【氏名又は名称】エニーラクティブ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】イム,ソンヒョン
【審査官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/117496(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/082798(WO,A1)
【文献】特開2008-064889(JP,A)
【文献】特開2011-180178(JP,A)
【文献】特開2016-053622(JP,A)
【文献】特開2006-011237(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0041629(KR,A)
【文献】特開2019-098841(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡大回折反射が可能な多重視野角モニタシステムであって、
車内の前面部に取り付けられて複数の視野角映像を表示するモニタ装置、および
車内のルーフに設置され、前記複数の視野角映像のうちで選択された映像を拡大および反射させて表示するガラスルーフ(glassroof)を含み、
前記モニタ装置に表示される前記複数の視野角映像は、
第1表示方向を有する第1多重視野角映像、および
前記ガラスルーフが設置された方向を向く第2表示方向を有する第2多重視野角映像を含む、
システム。
【請求項2】
前記ガラスルーフは、
前記第2多重視野角映像を前記第2表示方向から第3表示方向に屈折反射させて前記第2多重視野角映像を前記第3表示方向に表示する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第3表示方向は、
前記車内で運転席の後ろの座席の搭乗者が前記ガラスルーフを見る方向に相応する方向である、
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記モニタ装置は、
前記第1多重視野角映像および前記第2多重視野角映像を生成する多重視野角映像生成部、
前記多重視野角映像生成部から前記第1の多重視野角映像および前記第2の多重視野角映像を受け取って同時に表示する単一のディスプレイパネル、
前記第1多重視野角映像と前記第2多重視野角映像が進行する経路が互いに分離するようにガイドする映像分離光学部、
前記映像分離光学部によってガイドされた前記第1多重視野角映像と前記第2多重視野角映像の焦点をそれぞれ合わせるフォーカシングレンズ部、および
前記フォーカシングレンズ部から伝達される前記第1多重視野角映像と前記第2多重視野角映像をそれぞれ前記第1表示方向と前記第2表示方向に反射させる映像反射部を含む、
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記ガラスルーフの少なくとも一部は、屈折反射部を含み、
前記屈折反射部は、
前記第2表示方向に相応する入射角で伝達される前記第2多重視野角映像を前記第3表示方向に屈折および反射させる透明光学レンズを含み、
前記透明光学レンズは、HOE(Holographic Optical Element)を基盤とした光学パターンが予め記録されている、
請求項3に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡大回折反射が可能な多重視野角モニタシステムに関し、より詳細には、車内のモニタとガラスルーフを利用して拡大回折反射が可能な多重視野角モニタシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両は、単なる移動手段としての意味合いが強かったが、車両に各種サウンドシステムやインフォテインメント(infortainment)システムが搭載されるようになってからは、移動中に運転者や同乗者に各種情報や娯楽性を提供する役割も果たすようになった。
【0003】
一般的には、インフォテインメントシステムのために車両内部の前面(または、センターフェイシア)にディスプレイが設置されることが多いが、このようなディスプレイを通じて娯楽性のある映像を提供する場合、運転中の事故を防ぐために運転者が映像を視認できないように法的に制限されている。
【0004】
これにより、助手席や後部座席の搭乗者に映像を提供する手段として、別途のディスプレイが後部座席または助手席に設置されるれることが多い。
【0005】
しかし、このような場合、後部座席の搭乗者のためのディスプレイを後部座席に個別に設置するためには、制限的な空間内でディスプレイを最大限大きなサイズで適用することは難しいという問題がある。さらに、後部座席の搭乗者の位置によって見える範囲に制限が生じるため、後部座席の各搭乗位置にディスプレイを取り付けるしかないという問題があった。
【0006】
一方、車両の構成の一部であるルーフ(roof)は、従来はサンルーフを取り付けることで若干の開放感を提供する方法が一般的であったが、近年はそのほとんどが全面ガラスで形成され、搭乗者が開放感を高く感じることができるガラスルーフが普及している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したような問題を解決するために、本発明は、車内の前面部に取り付けられたモニタで2つの多重視野角映像を生成し、生成された多重視野角映像それぞれをモニタとガラスルーフに分けて見ることができるように構成することによって空間の活用性を極大化することができ、ガラスルーフに映し出す多重視野角映像を拡大して後部座席の搭乗者に提供することによってワイドな映像を視聴できるようにするシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するために、本発明の一側面は、拡大回折反射が可能な多重視野角モニタシステムを提供する。
【0009】
前記システムは、車内の前面部に取り付けられて多重視野角映像を表示するモニタ装置、および車内のルーフに設置され、前記多重視野角映像のうちで選択された映像を拡大して反射させて表示するガラスルーフ(glassroof)を含む。
【0010】
前記モニタ装置に表示される前記複数の視野角映像は、第1表示方向を有する第1多重視野角映像、および前記ガラスルーフが設置された方向を向く第2表示方向を有する第2多重視野角映像を含む。
【0011】
前記ガラスルーフは、前記第2多重視野角映像を前記第2表示方向から第3表示方向に屈折反射させて前記第3表示方向に前記第2多重視野角映像を表示する。
【0012】
前記第3表示方向とは、前記車内で運転席の後ろの座席の搭乗者が前記ガラスルーフを見る方向に相応する方向であってよい。
【0013】
前記モニタ装置は、前記第1多重視野角映像および前記第2多重視野角映像を生成する多重視野角映像生成部、前記多重視野角映像生成部から前記第1多重視野角映像および前記第2多重視野角映像を受け取って同時に表示する単一のディスプレイパネル、前記第1多重視野角映像と前記第2多重視野角映像が進行する経路が互いに分離するようにガイドする映像分離光学部、前記映像分離光学部によってガイドされた前記第1多重視野角映像と前記第2多重視野角映像の焦点をそれぞれ合わせるフォーカシングレンズ部、およびフォースレンズ部から伝達される前記第1多重視野角映像と前記第2多重視野角映像をそれぞれ前記第1表示方向と第2表示方向に反射させる映像反射部を含む。
【0014】
前記ガラスルーフの少なくとも一部は屈折反射部を含み、前記屈折反射部は、前記第2表示方向に相応する入射角で伝達される前記第2多重視野角映像を前記第3表示方向に屈折および反射させる透明光学レンズを含み、前記透明光学レンズは、HOE(Holographic Optical Element)を基盤とする光学パターンが予め記録されてよい。
【発明の効果】
【0015】
上述したような、本発明に係る拡大回折反射が可能な多重視野角モニタシステムを利用すれば、車内の前面部に取り付けられたモニタで2つの多重視野角映像を生成し、生成された多重視野角映像それぞれをモニタとガラスルーフに分離して視聴されるように構成することにより、空間の活用性を最大化することができる。
【0016】
また、ガラスルーフに表示される多重視野角映像を拡大して後部座席の搭乗者に提供することにより、後部座席の搭乗者がワイドな映像を視聴できるようにする。
【0017】
また、ガラスルーフを通じて後部座席の搭乗者に提供される映像は、運転席に位置する運転手には見えず、後席座席の搭乗者の視野からしか見ることができないため、運転中の事故発生を予防し、法的基準を満たすことができるというメリットがある。
【0018】
さらに、車内の前面モニタ装置を通じて提供される映像は、運転手はもちろん後部座席の搭乗者も見ることができるため、従来の車両前面モニタ装置の役割をそのまま維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】一実施形態における、拡大回折反射が可能な多重視野角モニタシステムを説明するための概念図である。
【
図2】
図1に係るシステムを後部座席の同乗者の観点から示した概念図である。
【
図3】
図1に係る車内前面部に取り付けられたモニタ装置の構成を示したブロック図である。
【
図4】
図3に係るモニタ装置の動作を説明するための概念図である。
【
図5】
図1に係るシステムにおいてガラスルーフの動作を説明するための概念
【
図6】
図5に係る屈折反射部の構成を示した例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、多様な変更を加えることが可能であり、多様な実施形態を有することが可能であることから、特定の実施形態を図面に例示して詳細な説明で詳しく説明する。しかし、これは、本発明を特定の実施形態に限定するものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物、あるいは代替物を含むものと理解されなければならない。各図面を説明するときに、類似の構成要素には類似の参照符号を付与した。
【0021】
第1、第2、A、Bなどの用語は、多様な構成要素を説明するために使用されてよいが、このような構成要素がこのような用語によって限定されてはならない。前記用語は、1つの構成要素を他の構成要素と区別する目的で使用されるものに過ぎず、例えば、本発明の権利範囲を逸脱しない範囲内で、第1構成要素は第2構成要素と命名されてよく、第2構成要素も第1構成要素と命名されてよい。および/またはという用語は、関連して記載される複数の項目の組み合わせ、または関連して記載される複数の項目のいずれかを含む。
【0022】
ある構成要素が他の構成要素に「連結して」いたり「接続して」いると記載される場合、これは、その他の構成要素に直接連結していたり接続していることはもちろん、その間に他の構成要素が存在する場合も含まれるものと理解されなければならない。この反面、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結して」いたり「直接接続して」いると記載されるときには、その間に他の構成要素が存在しないものと理解されなければならない。
【0023】
本出願で使用した用語は、特定の実施形態を説明するために使用されたものに過ぎず、本発明を限定しようとする意図はない。単数の表現は、文脈上で明らかに異なるように意味されていない限り、複数の表現も含む。本出願において「含む」または「有する」などの用語は、明細書に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらの組み合わせが存在することを指定するものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらの組み合わせの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解されなければならない。
【0024】
異なるように定義されていない限り、技術的または科学的な用語を含んでここで使用されるすべての用語は、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が一般的に理解しているものと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上で有する意味と一致する意味をもつと解釈されなければならず、本出願で明確に定義されていない限り、理想的または過度に形式的な意味に解釈されてはならない。
【0025】
以下、本発明に係る好ましい実施形態について、添付の図面を参照しながら詳しく説明する。
【0026】
図1は、一実施形態における、拡大回折反射が可能な多重視野角モニタシステムを説明するための概念図であり、
図2は、
図1に係るシステムを後部座席の搭乗者の観点から示した概念図である。
【0027】
図1を参照すると、一実施形態における、拡大回折反射が可能な多重視野角モニタシステム1000は、車内の前面部に取り付けられて多重視野角映像を表示するモニタ装置100、およびモニタ装置100に表示される多重視野角映像のうちで選択された映像を拡大および反射させて表示するガラスルーフ200を含んでよい。
【0028】
モニタ装置100は、第1表示方向を有する第1多重視野角映像(IMG1)と、ガラスルーフが位置する方向を向く第2表示方向を有する第2多重視野角映像(IMG2)を1つのディスプレイパネルを利用して表示してよい。第1~第2表示方向は、映像が表示される方向を示すものであってよい。
【0029】
ここで、第1表示方向は、車両内部で前部座席(例えば、運転席や運転席横の助手席)の搭乗者がモニタ装置100を眺める方向に相応する(または、眺める方向とは逆方向の)方向であってよい。したがって、車両内部の前部座席の搭乗者がモニタ装置100を見るときには、第1多重視野角映像(IMG1)を視聴することができる。
【0030】
また、第2表示方向は、車両内部のルーフに設置されたガラスルーフを指す方向であってよい。したがって、車両内部の前部座席の搭乗者がモニタ装置100を見たとしても、第2多重視野角映像(IMG2)を視認することはできない。
【0031】
ガラスルーフ200は、第2多重視野角映像(IMG2)を屈折反射させることにより、第2多重視野角映像(IMG2)を第3表示方向に表示してよい。
【0032】
ここで、第3表示方向とは、車両内部の後部座席(例えば、後部座席とは、運転席や運転席の横の助手席を除いた残りの座席であってよい)の搭乗者がガラスルーフ200を眺める方向に相応する(または、眺める方向とは逆方向)方向であってよい。したがって、車両内部の後部座席の搭乗者がガラスルーフ200を見るときに、第2多重視野角映像(IMG2)を視聴することができる。
【0033】
このとき、ガラスルーフ200は、第2多重視野角映像(IMG2)を拡大して屈折反射させてよい。第2多重視野角映像(IMG2)を屈折反射させて後部座席で視認できるようにするためにガラスルーフ200に透明光学レンズ211を挿入あるいは付着してよく、透明光学レンズ211を通じて第2多重視野角映像(IMG2)が第3表示方向に屈折反射されるようにしてよい。透明光学レンズ211は、透過度の高い薄膜タイプのレンズであると同時に、HOE(Holographic Optical Element)を基盤とする光学パターンが記録されてよい。
【0034】
また、透明光学レンズ211は、屈折反射される第2多重視野角映像(IMG2)を予め設定された拡大率で拡大するように、設定された焦点距離でフォーカシングするように構成されることにより、第2多重視野角映像(IMG2)を拡大して第3表示方向に表示してよい。
【0035】
例えば、
図2を参照すると、車両内部の後部座席の搭乗者がガラスルーフ200を見るときに、第3表示方向を有した、拡大された第2多重視野角映像(IMG2)を視聴することができる。
【0036】
一方、後部座席の搭乗者が、視野が車両内部の前面を向くように首を回した場合、第1表示方向を有する第1多重視野角映像(IMG1)も視聴することができる。
【0037】
この反面、車両内部の運転席や助手席の搭乗者の場合は、座席の位置により、第3表示方向に相応する方向でガラスルーフ200を観察することは不可能であるため、運転席や助手席の搭乗者は第2多重視野角映像(IMG2)を視聴することができない。
【0038】
従来のPGU(Picture Generation Unit)を利用したヘッドアップディスプレイ(HUD:Head Up Display)方式では、その面積が大きいほど結像が大きくなることから、大型画面をガラスで拡大して反射させるには、拡大比率に合わせて反射させる距離が必要となるため、PGUを大きな面積で構成しなければならないという問題があり、制限的な空間内ではPGU面積を限度以上に大きくすることができず、大型画面を表現することに困難があった。
【0039】
しかし、本発明に係るガラスルーフ200は、透明光学レンズ211を利用して屈折反射および拡大を行うため、モニタ装置100の面積が小さくても十分に大きな画面の第2多重視野角映像(IMG2)を提供することができるという利点がある。
【0040】
図3は、
図1に係る車内の前面部に取り付けられたモニタ装置の構成を示したブロック図であり、
図4は、
図3に係るモニタ装置の動作を説明するための概念図である。
【0041】
図3と
図4を参照すると、モニタ装置100は、2次元(2D)の第1多重視野角映像(IMG1)および2次元(2D)の第2多重視野角映像(IMG2)を生成する多重視野角映像生成部110、前記多重視野角映像生成部110から第1多重視野角映像(IMG1)および第2多重視野角映像IMG2を受け取って前記第1多重視野角映像(IMG1)および第2多重視野角映像(IMG2)を同時に表示する単一のディスプレイパネル120、第1多重視野角映像(IMG1)の進行経路と第2多重視野角映像(IMG2)の進行経路が互いに分離するようにガイドする映像分離光学部130、映像分離光学部130によってガイドされた第1多重視野角映像(IMG1)および第2多重視野角映像(IMG2)の焦点をそれぞれ合わせるフォーカシングレンズ部140、およびフォーカシングレンズ部140から伝達される第1多重視野角映像(IMG1)および第2多重視野角映像(IMG2)を互いに異なる方向(第1表示方向と第2表示方向)に反射させる映像反射部150を含んでよい。
【0042】
より具体的に説明すると、多重視野角映像生成部110は、車内の前部座席の搭乗者に提供する第1映像と、車内の後部座席の搭乗者に提供する第2映像を取得してよい。例えば、第1映像は、車内の運転席に搭乗した運転者や助手席の搭乗者が見るためのナビゲーション映像や、車両情報を表示する映像であってよい。第2映像は、車内の後部座席の搭乗者が視聴するための娯楽映像であってよい。
【0043】
このとき、第1~2映像は、別途の記憶装置に保存された後、多重視野角映像生成部110によって読み取られるか別途の入力手段によって多重視野角映像生成部110に入力されてよいが、その他の多様な実現方式によって多重視野角映像生成部110に提供されてもよい。
【0044】
多重視野角映像生成部110は、第1映像の進行方向を決定する第1位相プロファイルを第1映像に適用して第1マルチ視野角映像(IMG1)を生成してよく、第2映像の進行方向を決定する第2位相プロファイルを第2映像に適用して第2マルチ視野角映像(IMG2)を生成してよい。
【0045】
例えば、多重視野角映像生成部110は、第1映像に第1位相プロファイルを合成乗算して第1多重視野角映像(IMG1)を生成してよく、第2映像に第2位相プロファイルを合成乗算して第2多重視野角映像(IMG1)を生成してよい。
【0046】
第1位相プロファイルまたは第2位相プロファイルは、周期的な正弦波形のプリズムパターンを形成するデータであってよい。プリズムパターンによって光が一定の方向に屈折されるようになり、屈折角度はプリズムパターンの周期によって決定される。
【0047】
すなわち、第1位相プロファイルまたは第2位相プロファイルはそれぞれ第1映像と第2映像の屈折角度を変え、互いに異なる方向に進むように指示するデータであると言える。
【0048】
多重視野角映像生成部110は、第1多重視野角映像(IMG1)および第2多重視野角映像(IMG2)をディスプレイパネル120に伝達してよい。例えば、多重視野角映像生成部110は、第1多重視野角映像(IMG1)を構成するピクセル値それぞれを第2多重視野角映像(IMG2)を構成するピクセル値それぞれに対応する位置どうし合算した映像データをディスプレイパネル120に伝達してよい。
【0049】
ディスプレイパネル120は、多数のピクセル(pixels)に対する単一アレイ(array)で構成され、構成された単一アレイを利用して第1多重視野角映像(IMG1)および第2多重視野角映像(IMG2)を同時に表示してよい。
【0050】
映像分離光学部130は、ディスプレイパネル120によって表示される第1多重視野角映像(IMG1)を第1方向に進行させ、第2多重視野角映像(IMG2)を第1方向とは異なる第2方向に進行させることによって第1多重視野角映像(IMG1)と第2多重視野角映像(IMG2)を互いに分離してよい。例えば、映像分離光学部130は、入射光を2つのビームに分割するビームスプリッタであってよい。
【0051】
すなわち、第1多重視野角映像(IMG1)および第2多重視野角映像(IMG2)がそれぞれ第1方向と第2方向に進行するため、第2映像分離光学部130を通過する第1多重視野角映像(IMG1)と第2多重視野角映像(IMG2)は、フォーカシングレンズ部140の互いに異なる位置に到達するようになる。
【0052】
例えば、
図4において点線で示された矢印は、第1多重視野角映像(IMG1)が伝達(または、進行)される方向を示してよく、
図4において実線で示された矢印は、第2多重視野角映像(IMG2)が伝達(または、進行)される方向を示してよい。
【0053】
図4を参照すると、ディスプレイパネル120のアレイを構成するピクセルそれぞれで同時に表示する第1多重視野角映像(IMG1)および第2多重視野角映像(IMG2)は、互いに異なる第1方向および第2方向にそれぞれ進行してフォーカシングレンズ140に到達するようにしてよい。
【0054】
フォーカシングレンズ140は、第1多重視野角映像(IMG1)を表示する光を第1位置にフォーカシングしてよく、第2多重視野角映像(IMG2)を表示する光を第2位置にフォーカシングしてよい。例えば、フォーカシングレンズ140は、フーリエレンズであってよい。
【0055】
映像反射部150は、第1位置に設置された第1反射部150aおよび第2位置に設置された第2反射部150bを含んでよい。
【0056】
すなわち、第1反射部150aは、第1位置にフォーカシングされた第1多重視野角映像(IMG1)をモニタ装置100の前面部に該当する第1表示方向に反射させる傾斜角を有するミラーであってよく、第2反射部150bは、第2位置にフォーカシングされた第2多重視野角映像(IMG2)をガラスルーフ200が位置する方向に対応する第2表示方向に反射させる傾斜角を有するミラーであってよい。
【0057】
したがって、第2反射部150bによって反射された第2多重視野角映像(IMG2)はガラスルーフ200に伝達され、第1反射部150aによって反射された第1多重視野角映像(IMG1)はモニタ装置100の前面部に伝達されることで、モニタ装置100の前面に着席した搭乗者(運転者や助手席の搭乗者)が視聴することができるようになる。
【0058】
一方、図に示してはいないが、モニタ装置100は、可干渉性照明光をディスプレイパネル120に入射させる光源部をさらに含んでよい。光源部は、可干渉性照明光を平行光に変更し、変更した平行光を映像分離光学部130を介してディスプレイパネル120に入射させてよい。
【0059】
ディスプレイパネル120は、光源部によって入射される可干渉性照明光を反射および変調する方式によって、第1多重視野角映像(IMG1)および第2多重視野角映像(IMG2)を同時に表示してよい。
【0060】
例えば、ディスプレイパネル120は、照明光を反射させて映像を表示する反射型空間光変調器、照明光を透過させて映像を表示する透過型空間光変調器などであってよく、より具体的な例としては、半導体変調器、LCD(liquid crystal device)、DMD(digital micromirror device)、LCoS(Liquid crystal on silicon)、LED(Light Emitting Diode)などを基盤としたパネルであってよい。
【0061】
一方、
図3および
図4を参照しながら説明した映像分離光学部130、フォーカシングレンズ部140、映像反射部150は、通常の技術者によって多様な形態の視野角調節装置(ライトフィールド)または視野角調節フィルムに変形されて実現されてもよく、このような変形例も一実施形態に含まれるものと解釈されなければならない。
【0062】
図5は、
図1に係るシステムにおけるガラスルーフの動作を説明するための概念図であり、
図6は、
図5に係る屈折反射部の構成の例示図である。
【0063】
図4を参照しながら説明したように、第2多重視野角映像(IMG2)は、ガラスルーフ200に伝達されてよい。
【0064】
より詳しく説明すると、
図5で、第2多重視野角映像(IMG2)は、ガラスルーフ200の少なくとも一部に構成された屈折反射部210に伝達されてよい。
【0065】
屈折反射部210は、指定された入射角で伝達される第2多重視野角映像(IMG2)を第3表示方向に対応する方向に屈折および反射させる透明光学レンズ211を含んでよい。透明光学レンズ211は、HOE(Holographic Optical Element)を基盤とした光学パターン、または、より詳細には、物体ビームと参照ビームの方向が互いに反対に媒体に入射する構造である反射型HOE(Holographic Optical Element)を基盤とした光学パターンが記録されてよい。
【0066】
具体的に、
図6を参照すると、透明光学レンズ211は、ガラスルーフ200を構成する第1ガラス212と第2ガラス213の間に挿入されてよい。
【0067】
このとき、透明光学レンズ211に記録された光学パターンは、予め指定された入射角で入射した第1入射光(IR1)に対しては、指定された反射角で屈折および反射させることで得られる回折光(DR)を放出し、予め指定された入射角以外の他の角度で入射した第2入射光(IR2)はそのまま通過するようにしてよい。
【0068】
ここで、入射角とは、第2反射部150bによって第2多重視野角映像(IMG2)が反射される第2表示方向に対応する角度であってよく、反射角とは、車内の後部座席の搭乗者が屈折反射部210を見る方向に相応する(または、同じ)角度であってよい。
【0069】
したがって、光学パターンは、上述したような、予め指定された入射角で入射された入射光に限って指定された反射角度で反射するように、透明光学レンズ211に予め記録(または、レコーディング)されてよい。ここで、記録(または、レコーディング)されるとは、記録媒体(または、透明光学レンズ211)にレーザを利用した2つの光が交わって得られる干渉模様を生成するという意味であり、ここで生成される干渉模様によって光の回折特性は異なるようなる。
【0070】
透明光学レンズ211は、予め記録された光学パターンによって放出される回折光(DR)を受け取って、予め指定された拡大比による焦点距離で回折光(DR)をフォーカシングするフレネルレンズであってよい。
【0071】
フレネルレンズは、回折光(DR)を予め指定された拡大比による焦点距離でフォーカシングするため、光学パターンによって屈折および反射される第2多重視野角映像(IMG2)を拡大することができる。
【0072】
すなわち、透明光学レンズ211は、予め記録された光学パターンによって、モニタ装置100で第2表示方向にしたがって表示される第2多重視野角映像(IMG2)を第3表示方向に屈折反射させ、フレネルレンズの特性により、屈折反射した第2多重視野角映像(IMG2)のフォーカス位置を拡大比率に応じて移動させて像結するようにすることにより、後部座席の搭乗者が拡大形態の多重視野角映像(IMG2)を視聴することができる。
【0073】
例えば、
図5および
図6を参照すると、車内の後部座席の搭乗者が屈折反射部210を見るときに、屈折反射部210の透明光学レンズ211によってガラスルーフ200の車両外部側の空中に第2多重視野角映像(IMG2)を構成する回折光(DR)がフォーカシングされることにより、後部座席の搭乗者は拡大形態の第2多重視野角映像(IMG2)を視聴することができる。
【0074】
一方、
図6は、透明光学レンズ211が第1ガラス212と第2ガラス213の間に挿入されたものを示しているが、これは例示的なものに過ぎず、必要に応じて、第1ガラス212の一部または第2ガラス213の一部として実現されてもよいし、ガラスルーフ200を構成する単一のガラスの一側面に接合される形態で実現されてもよい。
【0075】
実施形態に係る方法は、多様なコンピュータ手段によって実行可能なプログラム命令の形態で実現されてコンピュータ読み取り可能な媒体に記録されてよい。前記コンピュータで読み取り可能な媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などを単独でまたは組み合わせて含んでよい。前記媒体に記録されるプログラム命令は、実施形態のために特別に設計されたものであってもよいし、コンピュータソフトウエアの当業者に公知された使用可能なものであってもよい。
【0076】
コンピュータ読み取り可能な記録媒体の例としては、ROM、RAM、フラッシュメモリなどのようなプログラム命令を記録して実行するように特別に構成されたハードウェア装置が含まれてよい。プログラム命令の例としては、コンパイラによって生成されるもののような機械語コードだけではなく、インタプリタなどを使用してコンピュータによって実行される高級言語コードを含んでよい。上述したハードウェア装置は、本発明の動作を実行するために少なくとも1つのソフトウェアモジュールとして動作するように構成されてよく、その逆も同様である。
【0077】
また、上述した方法または装置は、その構成または機能のすべてまたは一部が結合されて実現されてもよいし、分離されて実現されてもよい。
【0078】
上述では、本発明の好ましい実施形態を参照しながら説明したが、当該技術分野の当業者は、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の思想ならび領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正して変更することが可能であることが理解できるであろう。