IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大宝工業株式会社の特許一覧

特許7584830カプセル体の製造装置およびカプセル体の製造方法
<>
  • 特許-カプセル体の製造装置およびカプセル体の製造方法 図1
  • 特許-カプセル体の製造装置およびカプセル体の製造方法 図2A
  • 特許-カプセル体の製造装置およびカプセル体の製造方法 図2B
  • 特許-カプセル体の製造装置およびカプセル体の製造方法 図2C
  • 特許-カプセル体の製造装置およびカプセル体の製造方法 図3
  • 特許-カプセル体の製造装置およびカプセル体の製造方法 図4
  • 特許-カプセル体の製造装置およびカプセル体の製造方法 図5
  • 特許-カプセル体の製造装置およびカプセル体の製造方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】カプセル体の製造装置およびカプセル体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 5/00 20060101AFI20241111BHJP
   A63F 9/00 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
B65B5/00
A63F9/00 512Z
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2024051133
(22)【出願日】2024-03-27
(62)【分割の表示】P 2021022483の分割
【原出願日】2021-02-16
(65)【公開番号】P2024071601
(43)【公開日】2024-05-24
【審査請求日】2024-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000207757
【氏名又は名称】大宝工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(72)【発明者】
【氏名】松坂 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】米村 恭典
(72)【発明者】
【氏名】小谷 直人
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】特開平1-58606(JP,A)
【文献】特開2001-219921(JP,A)
【文献】特開平6-100086(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 5/00-5/12
A63F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半球状の第一半体と半球状の第二半体とから成る球状のカプセル状容器に内容物が収容されたカプセル体の製造装置であって、
前記第二半体を搬送する搬送機構と、
前記第二半体に前記内容物を投入する投入機構と、
前記投入機構より搬送下流側に設けられ、前記内容物入りの前記第二半体に前記第一半体を開口部同士が向かい合うように当接させる当接機構と、
前記当接機構より搬送下流側に設けられ、前記第二半体と前記第一半体とを結合させカプセル体とする結合機構と、
を有し、前記当接機構は、前記内容物が、前記第二半体の開口部から外側に突出した場合、その突出部分を、前記第一半体と前記第二半体とが離間した状態で側方から押圧し前記第二半体内に戻す戻し動作を行った後、前記第一半体と前記第二半体との開口部を当接させることを特徴とするカプセル体の製造装置。
【請求項2】
半球状の上半体と半球状の下半体とから成る球状のカプセル状容器に内容物が収容されたカプセル体の製造装置であって、
前記下半体を搬送する搬送機構と、
前記下半体に前記内容物を投入する投入機構と、
前記投入機構より搬送下流側に設けられ、前記内容物入りの前記下半体上に前記上半体を載置する載置機構と、
前記載置機構より搬送下流側に設けられ、前記下半体に載置された前記上半体を該下半体側に押圧し前記下半体と前記上半体とを結合させカプセル体とする押圧結合機構と、
を有し、前記載置機構は、前記内容物が、平面視において前記下半体の開口部から外側に突出した場合、その突出部分を、前記上半体と前記下半体とが離間した状態で前記上半体により側方から押圧し前記下半体内に戻す戻し動作を行った後、前記上半体を前記下半体上に載置することを特徴とするカプセル体の製造装置。
【請求項3】
請求項2記載のカプセル体の製造装置において、前記上半体の開口部には第一凹凸部が設けられ、前記下半体の開口部には前記第一凹凸部と嵌合する第二凹凸部が設けられており、前記押圧結合機構は前記第一凹凸部と前記第二凹凸部とが嵌合するように前記上半体を押圧することを特徴とするカプセル体の製造装置。
【請求項4】
請求項2,3いずれか1項に記載のカプセル体の製造装置において、前記上半体若しくは前記下半体は、パルプおよび澱粉系結合剤を主成分とするパルプ成形品であることを特徴とするカプセル体の製造装置。
【請求項5】
請求項2~4いずれか1項に記載のカプセル体の製造装置において、前記カプセル体の良・不良を判別する判別部を有することを特徴とするカプセル体の製造装置。
【請求項6】
請求項5記載のカプセル体の製造装置において、前記判別部は、前記カプセル体を撮影した画像により前記判別を行うことを特徴とするカプセル体の製造装置。
【請求項7】
請求項5,6いずれか1項に記載のカプセル体の製造装置において、前記判別部において良と判別された前記カプセル体および不良と判別された前記カプセル体を区別された所定の位置に移送する移送機構を有することを特徴とするカプセル体の製造装置。
【請求項8】
請求項2~7いずれか1項に記載のカプセル体の製造装置において、前記搬送機構上で前記下半体を支持する支持体を有することを特徴とするカプセル体の製造装置。
【請求項9】
請求項8記載のカプセル体の製造装置において、前記押圧結合機構により、前記カプセル体を完成させた後、前記カプセル体を支持していた前記支持体を搬送下流側で回収し、前記搬送機構の搬送上流側に供給する支持体再利用機構を有することを特徴とするカプセル体の製造装置。
【請求項10】
半球状の第一半体と半球状の第二半体とから成る球状のカプセル状容器に内容物が収容されたカプセル体を製造する方法であって、
前記第二半体を搬送機構で搬送する搬送工程と、
前記第二半体に内容物を投入する投入工程と、
前記投入工程より搬送下流側で前記内容物入りの前記第二半体に前記第一半体を開口部同士が向かい合うように当接させる当接工程と、
前記当接工程より搬送下流側で前記第二半体と前記第一半体とを結合させてカプセル体とする結合工程と、
を含み、前記内容物が、前記第二半体の開口部から外側に突出した場合、その突出部分を、前記第一半体と前記第二半体とが離間した状態で側方から押圧し前記第二半体内に戻す戻し工程を行った後、前記当接工程を行うことを特徴とするカプセル体の製造方法。
【請求項11】
半球状の上半体と半球状の下半体とから成る球状のカプセル状容器に内容物が収容されたカプセル体を製造する方法であって、
前記下半体を搬送機構で搬送する搬送工程と、
前記下半体に内容物を投入する投入工程と、
前記投入工程より搬送下流側で前記内容物入りの前記下半体上に前記上半体を載置する載置工程と、
前記載置工程より搬送下流側で前記下半体に載置された前記上半体を該下半体側に押圧し前記下半体と前記上半体とを結合させてカプセル体とする押圧結合工程と、
を含み、前記内容物が、平面視において前記下半体の開口部から外側に突出した場合、その突出部分を、前記上半体と前記下半体とが離間した状態で前記上半体により側方から押圧し前記下半体内に戻す戻し工程を行った後、前記載置工程を行うことを特徴とするカプセル体の製造方法。
【請求項12】
請求項11記載のカプセル体の製造方法において、前記上半体の開口部には第一凹凸部が設けられ、前記下半体の開口部には前記第一凹凸部と嵌合する第二凹凸部が設けられており、前記押圧結合工程は前記第一凹凸部と前記第二凹凸部とが嵌合するように前記上半体を押圧する工程であることを特徴とするカプセル体の製造方法。
【請求項13】
請求項11,12いずれか1項に記載のカプセル体の製造方法において、前記上半体若しくは前記下半体は、パルプおよび澱粉系結合剤を主成分とするパルプ成形品であることを特徴とするカプセル体の製造方法。
【請求項14】
請求項11~13いずれか1項に記載のカプセル体の製造方法において、前記押圧結合工程により完成した前記カプセル体の良・不良を判別する判別工程を含むことを特徴とするカプセル体の製造方法。
【請求項15】
請求項14記載のカプセル体の製造方法において、前記判別工程は、前記カプセル体を撮影した画像により判別する工程であることを特徴とするカプセル体の製造方法。
【請求項16】
請求項14,15いずれか1項に記載のカプセル体の製造方法において、前記判別工程において良と判別された前記カプセル体および不良と判別された前記カプセル体を区別された所定の位置に移送する移送工程を含むことを特徴とするカプセル体の製造方法。
【請求項17】
請求項11~16いずれか1項に記載のカプセル体の製造方法において、前記下半体を支持体に載置した状態で前記搬送機構により搬送することを特徴とするカプセル体の製造方法。
【請求項18】
請求項17記載のカプセル体の製造方法において、前記押圧結合工程により、前記カプセル体を完成させた後、前記カプセル体を支持していた前記支持体を回収し、前記搬送機構において再利用することを特徴とするカプセル体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプセル体の製造装置およびカプセル体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、硬貨を投入するとカプセル容器に入った玩具等が排出される自動販売機(「カプセルトイ」)が知られている。具体的には、消費者が硬貨を投入して操作部材を操作すると、自動販売機内のカプセル容器が攪拌され、そのうちの一つが排出される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この玩具等が入ったカプセル容器の製造は、通常、プラスチック製のカプセル容器の上半体若しくは下半体の一方に玩具等を入れ、他方で蓋をするように上半体と下半体とを嵌合させることで行われるが、一つ一つ人手で行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-145904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述のような現状に鑑みなされたもので、玩具等が入ったカプセル容器を人手によらず製造することができ、また、環境性に優れたパルプ成形品から成るカプセル容器を用いることも可能なカプセル体の製造装置およびカプセル体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0007】
半球状の第一半体と半球状の第二半体とから成る球状のカプセル状容器3に内容物4が収容されたカプセル体の製造装置であって、
前記第二半体を搬送する搬送機構5と、
前記第二半体に前記内容物を投入する投入機構6と、
前記投入機構より搬送下流側に設けられ、前記内容物4入りの前記第二半体に前記第一半体を開口部同士が向かい合うように当接させる当接機構と、
前記当接機構より搬送下流側に設けられ、前記第二半体と前記第一半体とを結合させカプセル体Aとする結合機構と、
を有し、前記当接機構は、前記内容物4が、前記第二半体の開口部から外側に突出した場合、その突出部分を、前記第一半体と前記第二半体とが離間した状態で側方から押圧し前記第二半体内に戻す戻し動作を行った後、前記第一半体と前記第二半体との開口部を当接させることを特徴とするカプセル体の製造装置に係るものである。
【0008】
また、半球状の上半体1と半球状の下半体2とから成る球状のカプセル状容器3に内容物4が収容されたカプセル体の製造装置であって、
前記下半体2を搬送する搬送機構5と、
前記下半体2に前記内容物4を投入する投入機構6と、
前記投入機構6より搬送下流側に設けられ、前記内容物4入りの前記下半体2上に前記上半体1を載置する載置機構7と、
前記載置機構7より搬送下流側に設けられ、前記下半体2に載置された前記上半体1を該下半体2側に押圧し前記下半体2と前記上半体1とを結合させカプセル体Aとする押圧結合機構8と、
を有し、前記載置機構7は、前記内容物4が、平面視において前記下半体2の開口部から外側に突出した場合、その突出部分を、前記上半体と前記下半体とが離間した状態で前記上半体1により側方から押圧し前記下半体2内に戻す戻し動作を行った後、前記上半体1を前記下半体2上に載置することを特徴とするカプセル体の製造装置に係るものである。
【0009】
また、請求項2記載のカプセル体の製造装置において、前記上半体1の開口部には第一凹凸部11が設けられ、前記下半体2の開口部には前記第一凹凸部11と嵌合する第二凹凸部12が設けられており、前記押圧結合機構8は前記第一凹凸部11と前記第二凹凸部12とが嵌合するように前記上半体1を押圧することを特徴とするカプセル体の製造装置に係るものである。
【0010】
また、請求項2,3いずれか1項に記載のカプセル体の製造装置において、前記上半体1若しくは前記下半体2は、パルプおよび澱粉系結合剤を主成分とするパルプ成形品であることを特徴とするカプセル体の製造装置に係るものである。
【0011】
また、請求項2~4いずれか1項に記載のカプセル体の製造装置において、前記カプセル体Aの良・不良を判別する判別部21を有することを特徴とするカプセル体の製造装置に係るものである。
【0012】
また、請求項5記載のカプセル体の製造装置において、前記判別部21は、前記カプセル体Aを撮影した画像により前記判別を行うことを特徴とするカプセル体の製造装置に係るものである。
【0013】
また、請求項5,6いずれか1項に記載のカプセル体の製造装置において、前記判別部21において良と判別された前記カプセル体Aおよび不良と判別された前記カプセル体Aを区別された所定の位置に移送する移送機構を有することを特徴とするカプセル体の製造装置に係るものである。
【0014】
また、請求項2~7いずれか1項に記載のカプセル体の製造装置において、前記搬送機構5上で前記下半体2を支持する支持体13を有することを特徴とするカプセル体の製造装置に係るものである。
【0015】
また、請求項8記載のカプセル体の製造装置において、前記押圧結合機構8により、前記カプセル体Aを完成させた後、前記カプセル体Aを支持していた前記支持体13を搬送下流側で回収し、前記搬送機構5の搬送上流側に供給する支持体再利用機構を有することを特徴とするカプセル体の製造装置に係るものである。
【0016】
また、半球状の第一半体と半球状の第二半体とから成る球状のカプセル状容器3に内容物4が収容されたカプセル体を製造する方法であって、
前記第二半体を搬送機構5で搬送する搬送工程と、
前記第二半体に内容物4を投入する投入工程と、
前記投入工程より搬送下流側で前記内容物入りの前記第二半体に前記第一半体を開口部同士が向かい合うように当接させる当接工程と、
前記当接工程より搬送下流側で前記第二半体と前記第一半体とを結合させてカプセル体Aとする結合工程と、
を含み、前記内容物4が、前記第二半体の開口部から外側に突出した場合、その突出部分を、前記第一半体と前記第二半体とが離間した状態で側方から押圧し前記第二半体内に戻す戻し工程を行った後、前記当接工程を行うことを特徴とするカプセル体の製造方法に係るものである。
【0017】
また、半球状の上半体1と半球状の下半体2とから成る球状のカプセル状容器3に内容物4が収容されたカプセル体を製造する方法であって、
前記下半体2を搬送機構5で搬送する搬送工程と、
前記下半体2に内容物4を投入する投入工程と、
前記投入工程より搬送下流側で前記内容物4入りの前記下半体2上に前記上半体1を載置する載置工程と、
前記載置工程より搬送下流側で前記下半体2に載置された前記上半体1を該下半体2側に押圧し前記下半体2と前記上半体1とを結合させてカプセル体Aとする押圧結合工程と、
を含み、前記内容物4が、平面視において前記下半体2の開口部から外側に突出した場合、その突出部分を、前記上半体と前記下半体とが離間した状態で前記上半体1により側方から押圧し前記下半体2内に戻す戻し工程を行った後、前記載置工程を行うことを特徴とするカプセル体の製造方法に係るものである。
【0018】
また、請求項11記載のカプセル体の製造方法において、前記上半体1の開口部には第一凹凸部11が設けられ、前記下半体2の開口部には前記第一凹凸部11と嵌合する第二凹凸部12が設けられており、前記押圧結合工程は前記第一凹凸部11と前記第二凹凸部12とが嵌合するように前記上半体1を押圧する工程であることを特徴とするカプセル体の製造方法に係るものである。
【0019】
また、請求項11,12いずれか1項に記載のカプセル体の製造方法において、前記上半体1若しくは前記下半体2は、パルプおよび澱粉系結合剤を主成分とするパルプ成形品であることを特徴とするカプセル体の製造方法に係るものである。
【0020】
また、請求項11~13いずれか1項に記載のカプセル体の製造方法において、前記押圧結合工程により完成した前記カプセル体Aの良・不良を判別する判別工程を含むことを特徴とするカプセル体の製造方法に係るものである。
【0021】
また、請求項14記載のカプセル体の製造方法において、前記判別工程は、前記カプセル体Aを撮影した画像により判別する工程であることを特徴とするカプセル体の製造方法に係るものである。
【0022】
また、請求項14,15いずれか1項に記載のカプセル体の製造方法において、前記判別工程において良と判別された前記カプセル体Aおよび不良と判別された前記カプセル体Aを区別された所定の位置に移送する移送工程を含むことを特徴とするカプセル体の製造方法に係るものである。
【0023】
また、請求項11~16いずれか1項に記載のカプセル体の製造方法において、前記下半体2を支持体13に載置した状態で前記搬送機構5により搬送することを特徴とするカプセル体の製造方法に係るものである。
【0024】
また、請求項17記載のカプセル体の製造方法において、前記押圧結合工程により、前記カプセル体Aを完成させた後、前記カプセル体Aを支持していた前記支持体13を回収し、前記搬送機構5において再利用することを特徴とするカプセル体の製造方法に係るものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明は上述のようにするから、玩具等が入ったカプセル容器を人手によらず製造することができ、また、環境性に優れたパルプ成形品から成るカプセル容器を用いることも可能なカプセル体の製造装置およびカプセル体の製造方法となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本実施例の概略説明斜視図である。
図2A】本実施例の工程説明図である。
図2B】本実施例の工程説明図である。
図2C】本実施例の工程説明図である。
図3】本実施例の工程説明図である。
図4】本実施例の工程説明図である。
図5】カプセル状容器の拡大概略説明図である。
図6】戻し動作の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0028】
ベルトコンベア等の搬送機構5により搬送される下半体2に玩具等の内容物4を投入し、この下半体2に上半体1を載置した後、上半体1を下半体2と結合するように押圧することで、カプセル状の容器に内容物4が収容されたカプセル体Aを製造する。
【0029】
この際、搬送機構5により下半体2を搬送しつつ各工程を行うことができるから、人手によらず自動的に且つ効率的にカプセル体Aを製造できる。また、上半体1を下半体2上に載置する工程と、押圧して両者を結合する工程とを分けることで、載置機構7と押圧結合機構8とに機能を分散して複雑化を抑制することができ、また、搬送機構5による搬送も妨げない。
【0030】
更に、例えば上半体1と下半体2とをパルプ成形品とし、両者に互いに係合する凹凸部を設けた場合でも、上半体1と下半体2との結合作業を良好に行うことができ、環境性に優れたカプセル体Aを効率的に製造可能となる。
【実施例
【0031】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0032】
本実施例は、上半体1と下半体2とから成るカプセル状容器3に玩具等の内容物4が収容されたカプセル体Aを製造する装置である。
【0033】
具体的には、図1に図示したように、前記下半体2および前記下半体2を支持する支持体13を搬送する搬送機構5と、前記下半体2に前記内容物4を投入する投入機構6と、前記投入機構6より搬送下流側に設けられ、前記内容物4入りの前記下半体2上に前記上半体1を載置する載置機構7と、前記載置機構7より搬送下流側に設けられ、前記下半体2に載置された前記上半体1を該下半体2側に押圧する押圧結合機構8とを有するものである。
【0034】
各部を具体的に説明する。
【0035】
搬送機構5は、ベルトコンベアであり、上向き半球状の下半体2を支持する支持体13を搬送するものである。下半体2が支持体13に支持された状態でベルトコンベアにより等速で止まることなく搬送されながら、各種処理がなされる。すなわち、搬送機構5に沿って各機構が設けられる。
【0036】
搬送される支持体13の受け凹部14には、搬送方向上流側所定位置において下半体2を載置せしめる下半体供給機構9により下半体2が載置される(図2A(a)→(b))。下半体供給機構9は、適宜な手先効果器を有するロボットアーム機構等で構成することができる。
【0037】
下半体供給機構9の搬送下流側には、投入機構6が設けられている。
【0038】
投入機構6は、適宜な手段により搬送されてくる玩具等の内容物4を下半体2内に投入するものであり、上記同様にロボットアーム機構等で構成することができる。また、内容物4が複数ある場合には、同時に投入しても良いし、投入機構6を搬送方向に沿って間隔をおいて複数設けて順次投入する構成としてもよい。下半体2内に内容物4を投入する際、内容物4が下半体2外にこぼれ出たりしないように適宜なガイドなどを用い、また、このガイドから内容物4を下半体2内に適正に落下させるため、適宜手段により、内容物4をガイドから押し出すようにすると良い。
【0039】
この投入機構6により、内容物4が下半体2内に投入される(図2A(b)→(c))。
【0040】
投入機構6の搬送下流側には、載置機構7が設けられている。
【0041】
載置機構7は、下向き半球状の上半体1を下半体2上に球状となるように載置するものである。具体的には、前記内容物4が、平面視において前記下半体2の開口部から外側に突出した場合、その突出部分を、前記上半体1で側方から押圧することで前記下半体2内に戻す戻し動作を行った後、前記上半体1を前記下半体2上に載置する(下半体2の上に被せる。図2A(c)→図2B(d))。載置機構7は、上記同様にロボットアーム機構等で構成することができる。本実施例では、上半体1の上面側を吸着および解除可能な手先効果器を有するものを採用している。
【0042】
具体的には、平面視において、上半体1の一部が下半体2と重なり且つ互いの中心がずれた位置から渦巻き状に回転させ、上半体1の中心が下半体2の中心と一致するように上半体1を水平に動かすことで、上半体1の内面で前記突出部分を内側に押し込み、前記戻し動作を行うように前記載置機構7が構成されている。この戻し動作後、上半体1を鉛直下方に移動させ吸着を解除して載置する。
【0043】
上記のように戻し動作を行うことで、渦巻き状に回転させて押し込んだ突出部分が外側に戻らないようにしながら突出部分の戻しを良好に行えることになる。すなわち、図6に図示したように、渦巻き状に回転させ、渦巻き回転径が徐々に小さくなるように回転することで、上半体1の内面により内容物4(袋4a)の突出部分を下半体4の中心に寄せて噛み込みを防止することが可能となる。なお、図6では、内容物4は、袋4aに玩具4bが収納されたものであり、この袋4aの一部が下半体2の開口部から突出する例を誇張して図示している。
【0044】
載置機構7の搬送下流側には、押圧結合機構8が設けられている。
【0045】
押圧結合機構8は、下半体2上の上半体1をブロック状体10で押圧することで、上半体1と下半体2とを嵌合して両者を結合させるものである。具体的には、前記上半体1の開口部には第一凹凸部11が設けられ、前記下半体2の開口部には前記第一凹凸部11と嵌合する第二凹凸部12が設けられており、前記押圧結合機構8は前記第一凹凸部11と前記第二凹凸部12とが嵌合するように前記上半体1を押圧する。
【0046】
本実施例においては、第一凹凸部11は上半体1内面の開口部近傍位置に設けられる上下二本の円弧状凹条であり、第二凹凸部12は下半体2外面の開口部近傍位置に設けられ前記円弧状凹条に夫々嵌合する上下二本の円弧状凸条である。第一凹凸部11および第二凹凸部12は水平方向に環状且つ連続的に設けられる(図5参照)。
【0047】
また、下半体2の第二凹凸部12の下方には、上半体1の開口端面を受ける段差面15が水平方向に環状且つ連続的に設けられている。
【0048】
すなわち、押圧結合機構8により、上半体1を、上半体1の開口端面が段差面15に当接するように押圧すると、二本の凹条および凸条が嵌合して上半体1と下半体2とが結合されることになる(図2B(d)→(e))。
【0049】
カプセル状容器3(上半体1若しくは下半体2または双方)は、プラスチック製としても良いし、パルプおよび澱粉系結合剤を主成分とするパルプ成形品としても良い。
【0050】
本実施例では、上半体1および下半体2を、パルプと澱粉系結合剤と水とを混練した混合物を圧縮成形したパルプ成形品としている。パルプとしては、天然繊維を用いることができる。例えば、製紙用パルプ、溶解パルプ、マーセル化パルプ、フラッフパルプなどの木材パルプ、木綿、リンター、亜麻、マニラ麻、サイザル麻、バガス、ケナフ、藁等より得られる非木材パルプ、古紙より得られる古紙パルプ、籾殻、木粉等の植物粉砕物が挙げられる。また、天然繊維のセルロースを精製したリヨセル繊維、天然セルロースを再生したレーヨン繊維も天然繊維の範疇に入れて使用することができる。また、澱粉系結合剤には、コーンスターチを用いられている。なお、澱粉系結合剤としては、このコーンスターチや馬鈴薯澱粉や米粉などを用いることができる。
【0051】
パルプ成形品とした場合でも、上記押圧結合機構8により良好に結合できることは確認済みである。
【0052】
押圧結合機構8による処理後、カプセル体Aは、カプセル体Aの良・不良(嵌合不良や傷等)を判別して良品と不良品とを分けて集積するための判別機構が設けられた判別用エリアの搬送部19に適宜な移動機構20により移動せしめられる。本実施例では、移動機構20としては上半体1の上面側を吸着および解除可能な手先効果器を有するロボットアームが採用されている。この移動機構20により、カプセル体Aの上半体1を吸着し、カプセル体Aを持ち上げて(図2B(f)→図2C(g))、判別用エリアに平行移動させ(図2C(g)→(h))、搬送部19に配設する(図2C(h)→(i))。
【0053】
なお、本実施例は、押圧結合機構8による処理後、支持体13は、前記カプセル体Aを支持していた前記支持体13を搬送下流側で回収し、前記搬送機構5の搬送上流側に供給する支持体再利用機構を有する。具体的には、支持体13は、搬送下流側所定位置で上下方向に搬送するための適宜なリフト機構16により下方の他の搬送機構17(回収用ベルトコンベア)に移動せしめられ、回収用ベルトコンベアで所定の位置まで搬送された後、別のリフト機構18により上側の搬送機構5の搬送上流側所定位置(投入機構6の手前)に移動せしめられることで再利用される(図2Cの2つの支持体13参照)。図中、符号27は支持体13をリフト機構からベルトコンベア上に移動させるための押圧ロッドである。
【0054】
判別用エリアは、前記搬送機構5と離間して設けられている(図1,3,4参照)。上述の通り、押圧結合機構8による押圧後のカプセル体Aは、移動機構20により搬送機構5の支持体13から判別用エリアの搬送部19に移動せしめられる。
【0055】
判別機構は、カプセル体Aを支持して搬送する搬送部19と、搬送部19で搬送されるカプセル体Aの不良(嵌合不良や傷等)を検知する(判別工程を行う)判別部21と、検知結果に応じてカプセル体Aの集積場所を決定する集積位置決定部22とを有する。
【0056】
搬送部19は、レール部23と、レール部23に嵌合することで前記レール部23に沿って安定的に移動するカプセル支持部24とを有する構成としている。また、判別部21は、カプセル体Aの外観を撮影するカメラ部と、カメラ部で撮影した画像を処理して嵌合不良や傷等を検知して判別を行う(カプセル容器の異常が検知されない場合には良と判断し、検知された場合には不良と判断する)画像処理部とを有する構成としている。また、集積位置決定部22は、画像処理結果に応じてカプセル支持部24上のカプセル体Aを所定の方向に押圧して適宜な集積場所に誘導する構成としている。集積位置決定部22と良品誘導路25・不良品誘導路26とで、前記判別部22において良と判別された前記カプセル体Aおよび不良と判別された前記カプセル体Aを区別された所定の位置に移送する移送機構が構成される。
【0057】
図5にカプセル体Aが良品であった場合の動作を示す。移動機構20によりカプセル支持部24に移動せしめられたカプセル体Aは(図3(a)→(b))、レール部23に沿って判別部21の前方を通過して検査が行われ(図3(b)→(c))、検査結果(判別)に基づいて動作する集積位置決定部22により押圧されて良品誘導路25(から良品集積部)に移動(移送)せしめられる(図3(d)→(e))。
【0058】
一方、カプセル体Aが不良品であった場合(カプセル状容器3に傷があった場合)の動作は、図4に示すように、検査後の集積位置決定部22の動作が異なり、集積位置決定部22は図3とは反対方向に移動してカプセル体Aを不良品誘導路26(から不良品集積部)に移動(移送)せしめるように動作する(図4(d)→(e))。
【0059】
本実施例は上述のように構成したから、カプセル体Aを人手によらず製造することができ、また、環境性に優れたパルプ成形品から成るカプセル容器を用いることも可能なカプセル体の製造装置となる。
【符号の説明】
【0060】
1 上半体
2 下半体
3 カプセル状容器
4 内容物
5 搬送機構
6 投入機構
7 載置機構
8 押圧結合機構
11 第一凹凸部
12 第二凹凸部
13 支持体
21 判別部
A カプセル体
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6