(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】コンテナの荷下ろし装置
(51)【国際特許分類】
B60P 1/38 20060101AFI20241111BHJP
B65G 67/26 20060101ALI20241111BHJP
B60P 7/14 20060101ALN20241111BHJP
【FI】
B60P1/38
B65G67/26
B60P7/14
(21)【出願番号】P 2024103599
(22)【出願日】2024-06-27
【審査請求日】2024-07-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524006003
【氏名又は名称】筒井 陽一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130199
【氏名又は名称】松永 充弘
(72)【発明者】
【氏名】筒井 陽一郎
【審査官】近藤 利充
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-170589(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0101588(KR,A)
【文献】実開昭58-99134(JP,U)
【文献】特開2005-112152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/38、7/14
B65G 67/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
後方開口部を有するコンテナの収容空間部に収容された積載物を前記後方開口部から荷下ろしするためのコンテナの荷下ろし装置であって、
前記収容空間部を前後に仕切るとともに前後方向に移動自在な荷下ろしブロックと、前記荷下ろしブロックを移動させるための移動機構と、を備え、
前記移動機構は、
前記収容空間部を形成する箱状のコンテナ本体の天井壁の上面側に配置されるとともに前後方向に伸縮する油圧シリンダと、
前記油圧シリンダのロッドの先端部に取り付けられるとともに前記天井壁の上面に沿って前後方向に移動自在な第1台車と、
前記第1台車の上方に配置されるとともに前記天井壁の上面に沿って前後方向に移動自在な第2台車と、
前記第1台車の前後移動と前記第2台車の前後移動とを連動させる第1連動機構と、
前記第2台車の前後移動と前記荷下ろしブロックの前後移動とを連動させる第2連動機構と、を備え、
前記第1連動機構は、
前記第1台車の前端部に取り付けられる前側スプロケットと、
前記第1台車の後端部に取り付けられる後側スプロケットと、
前記第1台車の前後移動の際に前記前側スプロケットと前記後側スプロケットとの間の位置に常時存在するように前記天井壁の上面に取り付けられるチェーン固定部と、
一端が前記チェーン固定部に固定されるとともに他端が前記前側スプロケットで折り返されて前記第2台車に固定される第1チェーンと、
一端が前記チェーン固定部に固定されるとともに他端が前記後側スプロケットで折り返されて前記第2台車に固定される第2チェーンと、を有し、
前記第2連動機構は、
前記天井壁の前端部に取り付けられる前側滑車と、
前記天井壁の後端部に取り付けられる後側滑車と、
一端が前記荷下ろしブロックの上端部に固定されるとともに他端が前記前側滑車で折り返されて前記第2台車に固定される第1ワイヤと、
一端が前記荷下ろしブロックの上端部に固定されるとともに他端が前記後側滑車で折り返されて前記第2台車に固定される第2ワイヤと、を有する、
ことを特徴とするコンテナの荷下ろし装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレーラ等の車両の荷台に搭載されて運搬されるコンテナに関し、特に、コンテナ内の積載物を荷下ろしするためのコンテナの荷下ろし装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トラクタに連結されるコンテナトレーラであって、コンテナのダンプアップ機構を設けたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されたコンテナトレーラは、前側にランディングギヤを備えたフレームにコンテナをダンプヒンジを介してリヤダンプ可能に取り付け、ダンプアップ機構によりコンテナを傾動させる構造である。ダンプアップ機構は、油圧シリンダを用いて構成されている。コンテナを傾動させると、コンテナ内の積載物が床面を滑って後方へ移動し、コンテナの後方開口部から排出される。
【0003】
図9は、従来のコンテナ100のダンプアップ機構600を備えたトレーラ510およびトラクタ520の一例を示す図であって、(a)は側面図であり、(b)は背面図である。従来のコンテナ100には、前後に長尺に形成されたものがある。このような長尺のコンテナ100を搭載したトレーラ510では、
図9(a)に示すように、コンテナ100をダンプアップ機構600により傾動させた場合、地上からコンテナ100の上端までの高さが非常に高くなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の長尺のコンテナ100をダンプアップ機構600により傾動させると、コンテナ100の重心が大きく上方へ移動する。このとき、
図9(b)に示すように、地面の整地状況が水平になっていないとトレーラ510が正立するのに不安定で危険な状況になり得る。例えば、矢印A方向にトレーラ510が横倒しになるような力が働く。このようにトレーラ510が転倒することを防ぐため、従来ではコンテナ100の傾動をゆっくりして、時間をかけて少しずつ積載物を荷下ろしすることが求められてきた。そのため、従来の長尺のコンテナ100における積載物の荷下ろしには、安全性の問題と荷下ろしの迅速性の問題があった。
【0006】
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであり、その目的は、前後に長尺のコンテナであっても安全かつ迅速に荷下ろしを行い得るコンテナの荷下ろし装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために本明細書に開示する発明は、以下のように構成されている。すなわち、第1の発明は、後方開口部を有するコンテナの収容空間部に収容された積載物を前記後方開口部から荷下ろしするためのコンテナの荷下ろし装置であって、前記収容空間部を前後に仕切るとともに前後方向に移動自在な荷下ろしブロックと、前記荷下ろしブロックを移動させるための移動機構と、を備え、前記移動機構は、前記収容空間部を形成する箱状のコンテナ本体の天井壁の上面側に配置されるとともに前後方向に伸縮する油圧シリンダと、前記油圧シリンダのロッドの先端部に取り付けられるとともに前記天井壁の上面に沿って前後方向に移動自在な第1台車と、前記第1台車の上方に配置されるとともに前記天井壁の上面に沿って前後方向に移動自在な第2台車と、前記第1台車の前後移動と前記第2台車の前後移動とを連動させる第1連動機構と、前記第2台車の前後移動と前記荷下ろしブロックの前後移動とを連動させる第2連動機構と、を備え、前記第1連動機構は、前記第1台車の前端部に取り付けられる前側スプロケットと、前記第1台車の後端部に取り付けられる後側スプロケットと、前記第1台車の前後移動の際に前記前側スプロケットと前記後側スプロケットとの間の位置に常時存在するように前記天井壁の上面に取り付けられるチェーン固定部と、一端が前記チェーン固定部に固定されるとともに他端が前記前側スプロケットで折り返されて前記第2台車に固定される第1チェーンと、一端が前記チェーン固定部に固定されるとともに他端が前記後側スプロケットで折り返されて前記第2台車に固定される第2チェーンと、を有し、前記第2連動機構は、前記天井壁の前端部に取り付けられる前側滑車と、前記天井壁の後端部に取り付けられる後側滑車と、一端が前記荷下ろしブロックの上端部に固定されるとともに他端が前記前側滑車で折り返されて前記第2台車に固定される第1ワイヤと、一端が前記荷下ろしブロックの上端部に固定されるとともに他端が前記後側滑車で折り返されて前記第2台車に固定される第2ワイヤと、を有する、ことを特徴とする。
【0008】
第1の発明によれば、コンテナの収容空間部を前後に仕切るとともに前後方向に移動自在な荷下ろしブロックと、荷下ろしブロックを移動させるための移動機構とを備えている。これにより、コンテナの積載物を荷下ろしする際、荷下ろしブロックをコンテナの前端部から後端部に向かって移動させることで、コンテナの積載物を後方へ移動させてコンテナの後方開口部から排出させることができる。この際、コンテナは従来のようなダンプアップ機構で傾動させる必要がなく、コンテナの水平状態を維持することができる。これにより、コンテナの重心が上方へ移動することがないので、地面の整地状況が水平になっていない場合であっても、従来と比較して不安定で転倒の危険がある状況になりにくい。これにより、コンテナが前後に長尺であっても安全に荷下ろしを行うことができる。また、荷下ろしの際にコンテナの重心が上方へ移動することがないので、荷下ろしブロックの移動速度を上げても不安定で転倒の危険がある状況になりにくい。これにより、荷下ろしブロックの移動速度を十分に上げて迅速な荷下ろしを行うことができる。
【0009】
また、第1台車を前後方向に移動させる油圧シリンダと、第1台車の前後移動と第2台車の前後移動とを連動させる第1連動機構と、第2台車の前後移動と荷下ろしブロックの前後移動とを連動させる第2連動機構とを備えることにより、油圧シリンダのロッド先端の移動距離に対して荷下ろしブロックを2倍の移動距離で動かすことができる。これにより、油圧シリンダが必要とするストローク量をコンテナの前後の長さに比べて小さくできるので、油圧シリンダのロッド先端を荷下ろしブロックに直結する場合と比較して、油圧シリンダの選択の幅を拡げることができる。これにより、長尺のコンテナに対応して荷下ろし装置を容易に設けることができる。
【0010】
また、油圧シリンダ、第1台車、第2台車、および第1連動機構等は、コンテナの天井壁の上面側に設けられている。これにより、荷下ろし装置がコンテナの収容空間部に収容される積載物から発生する粉塵の影響を受けにくくすることができる。これにより、荷下ろし装置を安定して動作させることができる。また、収容空間部に収容された積載物は、荷下ろし装置の各部に引っ掛かることがなくなるので、スムーズな荷下ろしが可能となる。また、荷下ろし装置の荷下ろしブロックとコンテナの前壁との間に油圧シリンダを配置しないので、荷下ろしブロックをコンテナの前壁の近傍まで移動させることができる。これにより、多くの積載物をコンテナの収容空間部に収容することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るコンテナの荷下ろし装置によれば、前後に長尺のコンテナであっても安全かつ迅速に荷下ろしを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置を設けたコンテナの断面側面図である。
【
図2】本実施形態に係る荷下ろし装置を設けたコンテナの断面正面図である。
【
図3】本実施形態に係る荷下ろし装置を設けたコンテナをトレーラに搭載した状態で荷下ろしを行う様子を示す側面図である。
【
図4】荷下ろし装置の第1台車を示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は背面図である。
【
図5】荷下ろし装置の油圧シリンダを示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【
図6】荷下ろし装置の第2台車を示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
【
図7】本実施形態に係る荷下ろし装置を設けたコンテナにおいて荷下ろしブロックをコンテナの前壁近傍まで移動させた状態を示す断面側面図である。
【
図8】本実施形態に係る荷下ろし装置を設けたコンテナにおいて荷下ろしブロックをコンテナの後方開口部近傍まで移動させた状態を示す断面側面図である。
【
図9】従来のコンテナのダンプアップ機構を備えたトレーラおよびトラクタの一例を示す図であって、(a)は側面図であり、(b)は背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置1aを設けたコンテナ1の断面側面図である。
図2は、本実施形態に係る荷下ろし装置1aを設けたコンテナ1の断面正面図である。
図3は、本実施形態に係る荷下ろし装置1aを設けたコンテナ1をトレーラ51に搭載した状態で荷下ろしを行う様子を示す側面図である。本実施形態のコンテナ1は、
図1~
図3に示すように、トレーラ51の荷台に積み降ろし可能に構成されている。コンテナ1は、トレーラ51の荷台に搭載された状態で、またはトレーラ51の荷台に搭載される前に、積載物が収容される。そして、トレーラ51に連結されたトラクタ52によってコンテナ1とともに積載物が目的地まで運搬される。積載物としては、例えば穀類、肥料、牧草、樹皮、おがくず、木材チップ、廃タイヤ、廃プラスチック等のバラ積み貨物が好適である。
【0015】
コンテナ1は、前後方向に長い箱状のコンテナ本体10を備えている。コンテナ本体10は、底壁11と、左右一対の側壁12,12と、天井壁15と、前壁17と、後方開口部16とを有している。後方開口部16は、図示省略の後部扉によって開閉自在となっている。コンテナ本体10の内部には、積載物の収容空間部18が形成されている。また、コンテナ1には、荷下ろし装置1aが設けられている。荷下ろし装置1aは、目的地まで積載物が運搬された後、収容空間部18の積載物を安全かつ迅速に荷下ろしするために使用される。
【0016】
荷下ろし装置1aは、
図1および
図2に示すように、収容空間部18を前後に仕切るとともに前後方向に移動自在な荷下ろしブロック20と、荷下ろしブロック20を移動させるための移動機構30とを備える。移動機構30は、油圧シリンダ31と、第1台車32と、第2台車33と、第1連動機構34と、第2連動機構35とを備える。荷下ろしブロック20は、
図1に示すように、後方開口部16と対向する面(後側の面)の下部に傾斜面20aを有している。荷下ろしブロック20は、左右の上端部側面に上側ローラ21を有している。また、荷下ろしブロック20は、左右の下端部側面に下側ローラ22を有している。コンテナ本体10の側壁12内面側には、
図2に示すように、左右一対の上側ガイドレール14,14と、左右一対の下側ガイドレール13,13が設けられている。左右一対の上側ガイドレール14,14および左右一対の下側ガイドレール13,13は、コンテナ本体10の前端部から後端部まで前後方向に延びている。上側ガイドレール14には、荷下ろしブロック20の上側ローラ21が係合される。また、下側ガイドレール13には、荷下ろしブロック20の下側ローラ22が係合される。これにより、荷下ろしブロック20は、スムーズに前後移動可能に構成されている。
【0017】
図4は、荷下ろし装置1aの第1台車32を示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は背面図である。
図5は、荷下ろし装置1aの油圧シリンダ31を示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。
図6は、荷下ろし装置1aの第2台車33を示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
図1および
図5に示すように、油圧シリンダ31は、シリンダチューブ31aと、シリンダチューブ31aに対して出し入れされるロッド31bと、シリンダチューブ31aのロッド31b側の端部において左右に突出するように形成された取付部31cとを有している。油圧シリンダ31は、図示省略のパワーユニットの駆動力によって伸縮される。
【0018】
油圧シリンダ31のシリンダストロークは、コンテナ1の前後長さの半分程度になるように設定されている。油圧シリンダ31は、コンテナ本体10の天井壁15の上面側に、前後方向に伸縮するように配置される。油圧シリンダ31は、取付部31cをチェーン固定部343に取り付けることにより、天井壁15に対して前後方向に動かないように保持される。チェーン固定部343は、天井壁15における前後方向の中央位置に取り付けられている。これにより、シリンダチューブ31aのロッド31b側の端部は、天井壁15における前後方向の中央位置に配置されている。また、油圧シリンダ31は、チェーン固定部343により、コンテナ本体10の天井壁15との間に隙間を設けた状態で配置される。
【0019】
第1台車32は、天井壁15の上面に沿って前後方向に移動自在に構成されている。第1台車32は、
図4に示すように、前後方向に細長い形状である。第1台車32の前後方向の長さは、コンテナ1の前後方向の長さの約半分程度の長さに設定されている。第1台車32は、前部台車部321と、後部台車部322と、前部台車部321と後部台車部322とを連結する細長い帯板状連結部323とを備えている。前部台車部321は、前後左右合わせて4個のローラ部321aと、上面側において左右のローラ部321aよりも左右方向に突出する前側支持軸部321bと、上面側に設けられるロッド先端取付ブラケット321cとを有している。ロッド先端取付ブラケット321cには、油圧シリンダ31のロッド31bの先端部が取り付けられる。前側支持軸部321bの左右両端部には、前側スプロケット341が取り付けられる。
【0020】
後部台車部322は、前後左右合わせて4個のローラ部322aと、上面側において左右のローラ部322aよりも左右方向に突出する後側支持軸部322bとを有している。後側支持軸部322bの左右両端部には、後側スプロケット342が取り付けられる。
【0021】
天井壁15の上面には、
図2に示すように、左右一対でコの字断面の第1ガイドレール36,36が、前後方向に延びるように設けられている。第1台車32は、第1ガイドレール36,36に対し、ローラ部321a,322aで係合されている。これにより、第1台車32は、第1ガイドレール36,36にガイドされつつ、スムーズに前後方向に移動可能となっている。また、第1台車32は、油圧シリンダ31とコンテナ本体10の天井壁15との間に設けられた隙間を通って前後方向に移動するように構成されている。
【0022】
第2台車33は、第1台車32の上方に配置されるとともに天井壁15の上面に沿って前後方向に移動自在に構成されている。第2台車33は、
図1、
図2および
図6に示すように、扁平直方体形状の本体部33aと、本体部33aの前後左右に取り付けられる4個のローラ部33bと、本体部33aの底面に設けられる左右一対のチェーン取付部33c,33cとを備えている。
【0023】
図2に示すように、天井壁15の上面には、左右一対の第1ガイドレール36,36を左右方向において挟むように、左右一対のレール支持部材37,37が設けられている。左右一対のレール支持部材37,37は、前後方向に延びている。各レール支持部材37の上面には、コの字断面の第2ガイドレール38が、レール支持部材37に沿って前後方向に延びるように設けられている。一対の第2ガイドレール38,38は、レール支持部材37,37によって、第1ガイドレール36,36に係合状態の第1台車32よりも上方位置に配置される。第2台車33は、第2ガイドレール38,38に対し、ローラ部33bで係合されている。これにより、第2台車33は、第2ガイドレール38,38にガイドされつつ、スムーズに前後方向に移動可能となっている。
【0024】
第1連動機構34は、第1台車32の前後移動と第2台車33の前後移動とを連動させる。第1連動機構34は、
図1および
図2に示すように、左右一対の前側スプロケット341,341と、左右一対の後側スプロケット342,342と、左右一対のチェーン固定部343,343と、左右一対の第1チェーン344,344と、左右一対の第2チェーン345,345とを有する。
【0025】
前側スプロケット341は、
図4に示すように、第1台車32の前端部に取り付けられる。また、後側スプロケット342は、第1台車32の後端部に取り付けられる。より具体的には、前側スプロケット341は、前側支持軸部321bの両端部に回転自在に取り付けられる。また、後側スプロケット342は、後側支持軸部322bの両端部に回転自在に取り付けられる。
【0026】
右側の第1チェーン344は、
図1に示すように、一端が右側のチェーン固定部343に固定されるとともに他端が右側の前側スプロケット341で前側から後側に折り返されて第2台車33の右側のチェーン取付部33cに固定される。また、左側の第1チェーン344は、一端が左側のチェーン固定部343に固定されるとともに他端が左側の前側スプロケット341で前側から後側に折り返されて第2台車33の左側のチェーン取付部33cに固定される。右側の第2チェーン345は、一端が右側のチェーン固定部343に固定されるとともに他端が右側の後側スプロケット342で後側から前側に折り返されて第2台車33の右側のチェーン取付部33cに固定される。また、左側の第2チェーン345は、一端が左側のチェーン固定部343に固定されるとともに他端が左側の後側スプロケット342で後側から前側に折り返されて第2台車33の左側のチェーン取付部33cに固定される。
【0027】
第2連動機構35は、第2台車33の前後移動と荷下ろしブロック20の前後移動とを連動させる。第2連動機構35は、
図1および
図2に示すように、左右一対の前側滑車351,351と、左右一対の後側滑車352,352と、左右一対の第1ワイヤ353,353と、左右一対の第2ワイヤ354,354とを有している。左右一対の前側滑車351,351は、天井壁15の前端部に回転自在に取り付けられる。左右一対の後側滑車352,352は、天井壁15の後端部に回転自在に取り付けられる。右側の第1ワイヤ353は、一端が荷下ろしブロック20の前側上端部に固定されるとともに他端が右側の前側滑車351で前側から後側に折り返されて第2台車33の本体部33aの前面右部に固定される。左側の第1ワイヤ353は、一端が荷下ろしブロック20の前側上端部に固定されるとともに他端が左側の前側滑車351で前側から後側に折り返されて第2台車33の本体部33aの前面左部に固定される。右側の第2ワイヤ354は、一端が荷下ろしブロック20の後側上端部に固定されるとともに他端が右側の後側滑車352で後側から前側に折り返されて第2台車33の後面右部に固定される。左側の第2ワイヤ354は、一端が荷下ろしブロック20の後側上端部に固定されるとともに他端が左側の後側滑車352で後側から前側に折り返されて第2台車33の後面左部に固定される。
【0028】
図7は、本実施形態に係る荷下ろし装置1aを設けたコンテナ1において荷下ろしブロック20をコンテナ1の前壁17近傍まで移動させた状態を示す断面側面図である。
図8は、本実施形態に係る荷下ろし装置1aを設けたコンテナ1において荷下ろしブロック20をコンテナ1の後方開口部16近傍まで移動させた状態を示す断面平面図である。本実施形態のコンテナ1では、収容空間部18に積載物を収容する場合、
図7に示すように、荷下ろしブロック20をコンテナ1の前壁17近傍まで移動させる。このとき、油圧シリンダ31は収縮状態にあり、第1台車32は、後進限界位置まで移動した状態にある。また、第1台車32の前側支持軸部321bに取り付けられた前側スプロケット341は、チェーン固定部343より少し前方の位置にある。また、また、第1台車32の後側支持軸部322bに取り付けられた後側スプロケット342は、後側滑車352と側面視で重なる位置にある。第2台車33のチェーン取付部33cは、後側スプロケット342よりも少し前方の位置にある。
【0029】
コンテナ1の収容空間部18に収容された積載物を荷下ろしする場合、油圧シリンダ31のロッド31bをシリンダチューブ31aに対して伸長させていく。油圧シリンダ31のロッド31bの伸長による駆動力は、第1台車32に伝達されて、第1台車32が前進する。第1台車32が前進すると、チェーン固定部343が天井壁15に固定されていることにより、第1台車32がチェーン固定部343から離れていく。これにより、第1台車32の前側スプロケット341およびチェーン固定部343が第1チェーン344を前方へ引っ張る形となるので、第2台車33が前側スプロケット341に向かって前進し、第2台車33のチェーン取付部33cと前側スプロケット341との距離が小さくなっていく。
図1はこのときの状態を示している。
【0030】
図8に示すように、油圧シリンダ31のロッド31bを伸長させて第1台車32が前進限界位置近くまで移動した場合、第1台車32の前側スプロケット341は、前側滑車351と側面視で一部重なる位置になる。また、第1台車32の後側スプロケット342は、チェーン固定部343より少し後方の位置にある。また、第2台車33のチェーン取付部33cは、前側スプロケット341よりも少し後方の位置にある。このとき、荷下ろしブロック20は、後方開口部16の近傍まで後進した状態になる。
図1、
図7および
図8からわかるように、チェーン固定部343は、第1台車32の前後移動の際に前側スプロケット341と後側スプロケット342との間に常時存在するように構成されている。また、油圧シリンダ31のシリンダストロークは、コンテナ1の前後長さの半分程度であるが、油圧シリンダ31の伸縮によって、荷下ろしブロック20をコンテナ本体10の前壁17近傍から後方開口部16まで移動させることが可能となっている。この理由について、詳しく説明する。
【0031】
まず、油圧シリンダ31のシリンダチューブ31aに対するロッド31bの伸長量と第1台車32の移動距離は同じである。第1台車32における前側スプロケット341(後側スプロケット342)に掛け回されている第1チェーン344(第2チェーン345)のうち、チェーン取付部33cと接続されている端部の移動距離は、第1チェーン344(第2チェーン345)が前側スプロケット341(後側スプロケット342)で折り返されているため、第1台車32の移動距離の2倍になる。チェーン取付部33cを有する第2台車33は、第1チェーン344(第2チェーン345)とともに移動するため、油圧シリンダ31のシリンダストロークの2倍の距離を移動する。第1台車32の前側スプロケット341がコンテナ1の中央位置から前端に移動する間に、第2台車33はコンテナ1の後端から前端まで移動する。第1ワイヤ353および第2ワイヤ354に接続された荷下ろしブロック20は、コンテナ1の前端から後端まで移動する。このようにして、荷下ろしブロック20がコンテナ1の後端の後方開口部16まで移動されることにより容空間部18の積載物が全て排出されて、荷下ろしが完了する。
【0032】
以上のとおり、本実施形態に係るコンテナ1の荷下ろし装置1aは、収容空間部18を前後に仕切るとともに前後方向に移動自在な荷下ろしブロック20と、荷下ろしブロック20を移動させるための移動機構30とを備えている。移動機構30は、収容空間部18を形成する箱状のコンテナ本体10の天井壁15の上面側に配置されるとともに前後方向に伸縮する油圧シリンダ31と、油圧シリンダ31のロッド31bの先端部に取り付けられるとともに天井壁15の上面に沿って前後方向に移動自在な第1台車32と、第1台車32の上方に配置されるとともに天井壁15の上面に沿って前後方向に移動自在な第2台車33と、第1台車32の前後移動と第2台車33の前後移動とを連動させる第1連動機構34と、第2台車33の前後移動と荷下ろしブロック20の前後移動とを連動させる第2連動機構35とを備える。
【0033】
第1連動機構34は、第1台車32の前端部に取り付けられる前側スプロケット341と、第1台車32の後端部に取り付けられる後側スプロケット342と、第1台車32の前後移動の際に前側スプロケット341と後側スプロケット342との間に常時存在するように天井壁15の上面に取り付けられるチェーン固定部343と、一端がチェーン固定部343に固定されるとともに他端が前側スプロケット341で折り返されて第2台車33に固定される第1チェーン344と、一端がチェーン固定部343に固定されるとともに他端が後側スプロケット342で折り返されて第2台車33に固定される第2チェーン345とを有する。
【0034】
第2連動機構35は、天井壁15の前端部に取り付けられる前側滑車351と、天井壁15の後端部に取り付けられる後側滑車352と、一端が荷下ろしブロック20の上端部に固定されるとともに他端が前側滑車351で折り返されて第2台車33に固定される第1ワイヤ353と、一端が荷下ろしブロック20の上端部に固定されるとともに他端が後側滑車352で折り返されて第2台車33に固定される第2ワイヤ354とを有する。
【0035】
上記構成によれば、コンテナ1の積載物を荷下ろしする際、荷下ろしブロック20をコンテナ1の前端部から後端部に向かって移動させることで、コンテナ1の積載物を後方へ移動させてコンテナ1の後方開口部16から排出させることができる。この際、コンテナ1は従来のようなダンプアップ機構600で傾動させる必要がなく、コンテナ1の水平状態を維持することができる。これにより、コンテナ1の重心が上方へ移動することがないので、地面の整地状況が水平になっていない場合であっても、従来と比較して不安定で転倒の危険がある状況になりにくい。これにより、コンテナ1が前後に長尺であっても安全に荷下ろしを行うことができる。また、荷下ろしの際にコンテナ1の重心が上方へ移動することがないので、荷下ろしブロック20の移動速度を上げても不安定で転倒の危険がある状況になりにくい。これにより、荷下ろしブロック20の移動速度を十分に上げて迅速な荷下ろしを行うことができる。
【0036】
また、第1台車32を前後方向に移動させる油圧シリンダ31と、第1台車32の前後移動と第2台車33の前後移動とを連動させる第1連動機構34と、第2台車33の前後移動と荷下ろしブロック20の前後移動とを連動させる第2連動機構35とを備えることにより、油圧シリンダ31のロッド31bの先端の移動距離に対して荷下ろしブロック20を2倍の移動距離で動かすことができる。これにより、油圧シリンダ31が必要とするストローク量をコンテナ1の前後の長さに比べて小さくできるので、油圧シリンダ31のロッド31bの先端を荷下ろしブロック20に直結する場合と比較して、油圧シリンダ31の選択の幅を拡げることができる。これにより、長尺のコンテナ1に対応して荷下ろし装置1aを容易に設けることができる。
【0037】
また、油圧シリンダ31、第1台車32、第2台車33、および第1連動機構34等は、コンテナ1の天井壁15の上面側に設けられている。これにより、荷下ろし装置1aがコンテナ1の収容空間部18に収容される積載物から発生する粉塵の影響を受けにくくすることができる。これにより、荷下ろし装置1aを安定して動作させることができる。また、収容空間部18に収容された積載物は、荷下ろし装置1aの各部に引っ掛かることがなくなるので、スムーズな荷下ろしが可能となる。また、荷下ろし装置1aの荷下ろしブロック20とコンテナ1の前壁17との間に油圧シリンダ31を配置しないので、荷下ろしブロック20をコンテナ1の前壁17の近傍まで移動させることができる。これにより、多くの積載物をコンテナ1の収容空間部18に収容することができる。
【0038】
今回、開示した実施形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。本発明の技術的範囲は、前記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0039】
1 コンテナ
1a 荷下ろし装置
10 コンテナ本体
15 天井壁
18 収容空間部
20 荷下ろしブロック
30 移動機構
31 油圧シリンダ
31b ロッド
32 第1台車
33 第2台車
34 第1連動機構
35 第2連動機構
341 前側スプロケット
342 後側スプロケット
343 チェーン固定部
344 第1チェーン
345 第2チェーン
351 前側滑車
352 後側滑車
353 第1ワイヤ
354 第2ワイヤ
【要約】
【課題】前後に長尺のコンテナであっても安全かつ迅速に荷下ろしを行い得るコンテナの荷下ろし装置を提供する。
【解決手段】収容空間部18を前後に仕切るとともに前後方向に移動自在な荷下ろしブロック20と、荷下ろしブロック20を移動させるための移動機構30とを備える。移動機構30は、収容空間部18を形成する箱状のコンテナ本体10の天井壁15の上面側に配置されるとともに前後方向に伸縮する油圧シリンダ31と、油圧シリンダ31のロッド31bの先端部に取り付けられるとともに天井壁15の上面に沿って前後方向に移動自在な第1台車32と、第1台車32の上方に配置されるとともに天井壁15の上面に沿って前後方向に移動自在な第2台車33と、第1台車32の前後移動と第2台車33の前後移動とを連動させる第1連動機構34と、第2台車33の前後移動と荷下ろしブロック20の前後移動とを連動させる第2連動機構35とを備える。
【選択図】
図1