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特許7584844電池モジュールおよびこれを含む電池パック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】電池モジュールおよびこれを含む電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/653 20140101AFI20241111BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20241111BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20241111BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20241111BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20241111BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20241111BHJP
【FI】
H01M10/653
H01M10/613
H01M10/6556
H01M10/6568
H01M10/625
H01M10/647
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022564813
(86)(22)【出願日】2022-03-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-09
(86)【国際出願番号】 KR2022003664
(87)【国際公開番号】W WO2022270718
(87)【国際公開日】2022-12-29
【審査請求日】2022-10-25
(31)【優先権主張番号】10-2021-0080813
(32)【優先日】2021-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0031526
(32)【優先日】2022-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ミン・ソプ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジュンヨブ・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ミュンキ・パク
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0067155(US,A1)
【文献】国際公開第2016/101872(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/073021(WO,A1)
【文献】特開2005-302698(JP,A)
【文献】特表2014-504440(JP,A)
【文献】国際公開第2020/027299(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/121244(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/653
H01M 10/613
H01M 10/6556
H01M 10/6568
H01M 10/625
H01M 10/647
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルが積層されている電池セル積層体、
前記電池セル積層体を収容するモジュールフレーム、および
前記モジュールフレームの底部に位置するヒートシンク、
を含み、
前記ヒートシンクは上部プレートと下部プレートとを含み、
前記ヒートシンクの前記上部プレートは前記モジュールフレームの底部を構成し、
前記底部と前記下部プレートとの間に冷媒の流路が形成され、
前記底部と前記下部プレートとは互いに異種金属から形成され、
前記底部と前記下部プレートとは、互いに異種であるアルミニウム材質から形成される、電池モジュール。
【請求項2】
複数の電池セルが積層されている電池セル積層体、
前記電池セル積層体を収容するモジュールフレーム、および
前記モジュールフレームの底部に位置するヒートシンク、
を含み、
前記ヒートシンクは上部プレートと下部プレートとを含み、
前記ヒートシンクの前記上部プレートは前記モジュールフレームの底部を構成し、
前記底部と前記下部プレートとの間に冷媒の流路が形成され、
前記底部と前記下部プレートとは互いに異種金属から形成され、
前記下部プレートはSiおよびMnを含む、電池モジュール。
【請求項3】
前記底部はMgを含む第1物質を含み、
前記下部プレートはSiを含む第2物質とMnを含む第3物質とを含む、請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記第1物質は、Mg、Si、CuおよびMnを含むアルミニウム合金である、請求項3に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記第2物質は、Siを含むアルミニウム合金である、請求項3又は4に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記第3物質は、Mn、MgおよびCuを含むアルミニウム合金である、請求項3~5のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記第1物質はMg、Si、CuおよびMnを含むアルミニウム合金であり、前記第3物質はMn、MgおよびCuを含むアルミニウム合金であり、
前記第1物質に含まれるMg含量は前記第3物質に含まれるMg含量より大きい、請求項3~6のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項8】
複数の電池セルが積層されている電池セル積層体、
前記電池セル積層体を収容するモジュールフレーム、および
前記モジュールフレームの底部に位置するヒートシンク、
を含み、
前記ヒートシンクは上部プレートと下部プレートとを含み、
前記ヒートシンクの前記上部プレートは前記モジュールフレームの底部を構成し、
前記底部と前記下部プレートとの間に冷媒の流路が形成され、
前記底部と前記下部プレートとは互いに異種金属から形成され、
前記下部プレートは二つの層が積層された構造であって、第1下部プレートおよび第2下部プレートを含む、電池モジュール。
【請求項9】
前記第1下部プレートは前記第2下部プレート上に積層された構造であって、
前記第1下部プレートの一面は前記底部と対向して位置し、前記第2下部プレートの一面は前記第1下部プレートの他面と接しながら位置する、請求項8に記載の電池モジュール。
【請求項10】
前記底部はMgを含む第1物質を含み、
前記第1下部プレートはSiを含む第2物質を含み、
前記第2下部プレートはMnを含む第3物質を含む、請求項8又は9に記載の電池モジュール。
【請求項11】
前記底部は、Mgを含む第1物質から形成された層と前記下部プレートとの間に位置する補助層をさらに含む、請求項8~10のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項12】
前記補助層は、Mnを含む第3物質から形成される、請求項11に記載の電池モジュール。
【請求項13】
前記底部と前記下部プレートとは、前記底部と前記下部プレートとの間に位置する金属が溶融して接合される、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項14】
前記底部と前記下部プレートとの間に位置するクラッド層をさらに含む、請求項13に記載の電池モジュール。
【請求項15】
前記クラッド層は、前記底部と前記下部プレートとを構成する素材より融点が低い、請求項14に記載の電池モジュール。
【請求項16】
前記クラッド層は、アルミニウムを含む、請求項14又は15に記載の電池モジュール。
【請求項17】
複数の電池セルが積層されている電池セル積層体、
前記電池セル積層体を収容するモジュールフレーム、および
前記モジュールフレームの底部に位置するヒートシンク、
を含み、
前記ヒートシンクは上部プレートと下部プレートとを含み、
前記ヒートシンクの前記上部プレートは前記モジュールフレームの底部を構成し、
前記底部と前記下部プレートとの間に冷媒の流路が形成され、
前記底部と前記下部プレートとは互いに異種金属から形成され、
前記底部と前記下部プレートとは、前記底部と前記下部プレートとの間に位置する金属が溶融して接合され、
前記底部と前記下部プレートとの間に位置するクラッド層をさらに含み、
前記底部はMgを含む第1物質を含み、
前記下部プレートはSiを含む第2物質を含む第1下部プレートおよびMnを含む第3物質を含む第2下部プレートを含み、
前記第1下部プレートは前記第2下部プレート上に積層されて位置し、
前記クラッド層は前記下部プレートを構成する前記第2物質である、電池モジュール。
【請求項18】
複数の電池セルが積層されている電池セル積層体、
前記電池セル積層体を収容するモジュールフレーム、および
前記モジュールフレームの底部に位置するヒートシンク、
を含み、
前記ヒートシンクは上部プレートと下部プレートとを含み、
前記ヒートシンクの前記上部プレートは前記モジュールフレームの底部を構成し、
前記底部と前記下部プレートとの間に冷媒の流路が形成され、
前記底部と前記下部プレートとは互いに異種金属から形成され、
前記底部と前記下部プレートとは、前記底部と前記下部プレートとの間に位置する金属が溶融して接合され、
前記底部と前記下部プレートとの接合時に使用されるフラックスは、セシウム(Cs)を含む、電池モジュール。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか一項に記載の少なくとも一つの電池モジュール、および
前記少なくとも一つの電池モジュールをパッケージングするパックケース
を含む電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は2021年6月22日付韓国特許出願第10-2021-0080813号および2022年3月14日付韓国特許出願第10-2022-0031526号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は電池モジュールおよびこれを含む電池パックに関するものであって、より具体的に、モジュールフレームと一体化され、モジュールフレームと異種金属から形成されるヒートシンクに関するものである。
【背景技術】
【0003】
現代社会では携帯電話機、ノートパソコン、キャムコーダー、デジタルカメラなどの携帯型機器の使用が日常化するにつれて、前記のようなモバイル機器関連分野の技術に対する開発が活発になっている。また、充放電の可能な二次電池は化石燃料を使用する既存のガソリン車両などの大気汚染などを解決するための方案であって、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(P-HEV)などの動力源として用いられているところ、二次電池に対する開発の必要性が高まっている。
【0004】
現在商用化された二次電池としてはニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などがあり、このうちのリチウム二次電池はニッケル系列の二次電池に比べてメモリ効果がほとんど起こらなくて充放電が自由であり、自己放電率が非常に低くエネルギー密度が高いという長所で脚光を浴びている。
【0005】
このようなリチウム二次電池は主にリチウム系酸化物と炭素材をそれぞれ正極活物質と負極活物質として使用する。リチウム二次電池は、このような正極活物質と負極活物質がそれぞれ塗布された正極板と負極板がセパレータを挟んで配置された電極組立体、および電極組立体を電解液と共に密封収納する電池ケースを備える。
【0006】
一般に、リチウム二次電池は外装材の形状によって、電極組立体が金属缶に内装されている缶型二次電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチに内装されているパウチ型二次電池に分類することができる。
【0007】
小型機器に用いられる二次電池の場合、二つ~三つの電池セルが配置されるが、自動車などのような中大型デバイスに用いられる二次電池の場合は、複数の電池セルを電気的に連結した電池モジュール(Battery module)が用いられる。このような電池モジュールは複数の電池セルが互いに直列または並列に連結されて電池セル積層体を形成することによって容量および出力が向上する。また、一つ以上の電池モジュールは、BMS(Battery Management System)、冷却システムなどの各種制御および保護システムと共に装着されて電池パックを形成することができる。
【0008】
二次電池は、適正温度より高まる場合、二次電池の性能が低下することがあり、ひどい場合、爆発や発火の危険もある。特に、複数の二次電池、即ち、電池セルを備えた電池モジュールや電池パックは狭い空間で複数の電池セルから出る熱が合算されて温度がさらに急速且つ急激に上昇することがある。言い換えれば、複数の電池セルが積層された電池モジュールとこのような電池モジュールが装着された電池パックの場合、高い出力を得ることができるが、充電および放電時、電池セルから発生する熱を除去することが容易でない。電池セルの放熱が十分に行われない場合、電池セルの劣化が速くなりながら寿命が短くなり、爆発や発火の可能性が大きくなるようになる。
【0009】
さらに、車両用バッテリーパックに含まれるバッテリーモジュールの場合、直射光線に頻繁に露出され、夏季や砂漠地域のような高温条件に置かれることがある。
【0010】
したがって、電池モジュールや電池パックを構成する場合、安定的且つ効果的な冷却性能を確保することは非常に重要であると言える。
【0011】
図1は、従来の電池モジュールに対する斜視図である。図2は、図1の切断線A-A’に沿って切断した断面図である。
【0012】
図1および図2を参照すれば、従来の電池モジュール10は複数の電池セル11が積層されて電池セル積層体20を形成し、電池セル積層体20はモジュールフレーム30に収納される。
【0013】
先に説明した通り、複数の電池セル11を含むため電池モジュール10は充放電過程で多量の熱を発生させる。冷却手段として、電池モジュール10は電池セル積層体20とモジュールフレーム30の底部31との間に位置した熱伝導性樹脂層40を含むことができる。
【0014】
先に説明した通り、複数の電池セル11を含むため電池モジュール10は充放電過程で多量の熱を発生させる。冷却手段として、電池モジュール10は電池セル積層体20とモジュールフレーム30の底部31との間に位置した熱伝導性樹脂層40を含むことができる。また、電池モジュール10がパックフレームに装着されて電池パックを形成する時、電池モジュール10の下に熱伝達部材50およびヒートシンク60を順次に配置することができる。熱伝達部材50は放熱パッドであってもよく、ヒートシンク60は内部に冷媒流路を形成することができる。
【0015】
図3は、図2のA1領域を拡大して示した図である。
【0016】
図1図3を参照すれば、電池セル11から発生した熱がヒートシンク60に向かう方向に沿って、熱伝導性樹脂層40、モジュールフレーム30の底部31、熱伝達部材50、およびヒートシンク60を順次に経て電池モジュール10の外部に伝達される。しかし、従来の電池モジュール10は前述のように熱伝達経路が複雑で、電池セル11から発生した熱が効果的に外部に伝達されにくい。特に、モジュールフレーム30自体が熱伝導特性を低下させることがあり、モジュールフレーム30、熱伝達部材50およびヒートシンク60それぞれの間に形成されることがあるエアギャップ(Air gap)などの微細な空気層も熱伝導特性を低下させることがある。
【0017】
したがって、電池モジュールに対する容量増大のような要求が続いている傾向で、冷却性能を高めながらもこのような多様な要求事項を共に満たすことができる電池モジュールを開発することが実質的に必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明が解決しようとする課題は、冷却構造を単純化して冷却性能が改善され、空間活用度が増大される電池モジュールおよびこれを含む電池パックを提供するためのものである。
【0019】
しかし、本発明の実施形態が解決しようとする課題は上述の課題に限定されず、本発明に含まれている技術的思想の範囲で多様に拡張することができる。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の一実施形態による電池モジュールは複数の電池セルが積層されている電池セル積層体、前記電池セル積層体を収容するモジュールフレーム、および前記モジュールフレームの底部に位置するヒートシンク、を含み、前記ヒートシンクは上部プレートと下部プレートとを含み、前記ヒートシンクの前記上部プレートは前記モジュールフレームの底部を構成し、前記底部と前記下部プレートとの間に冷媒の流路が形成され、前記底部と前記下部プレートとは互いに異種金属から形成することができる。
【0021】
前記底部と前記下部プレートとは、互いに異種であるアルミニウム材質から形成することができる。
【0022】
前記底部はMgを含む第1物質を含み、前記下部プレートはSiを含む第2物質とMnを含む第3物質を含むことができる。
【0023】
前記第1物質は、Mg、Si、CuおよびMnを含むアルミニウム合金であってもよい。
【0024】
前記第2物質は、Siを含むアルミニウム合金であってもよい。
【0025】
前記第3物質は、Mn、MgおよびCuを含むアルミニウム合金であってもよい。
【0026】
前記第1物質はMg、Si、CuおよびMnを含むアルミニウム合金であり、前記第3物質はMn、MgおよびCuを含むアルミニウム合金であり、前記第1物質に含まれるMg含量は前記第3物質に含まれるMg含量より大きくてもよい。
【0027】
前記下部プレートは二つの層が積層された構造であって、第1下部プレートおよび第2下部プレートを含むことができる。
【0028】
前記第1下部プレートは前記第2下部プレート上に積層された構造であって、前記第1下部プレートの一面は前記底部と対向して位置し、前記第2下部プレートの一面は前記第1下部プレートの他面と接しながら配置されてもよい。
【0029】
前記底部はMgを含む第1物質を含み、前記第1下部プレートはSiを含む第2物質を含み、前記第2下部プレートはMnを含む第3物質を含むことができる。前記底部は、Mgを含む第1物質から形成された層と前記下部プレートの間に位置する補助層をさらに含むことができる。
【0030】
前記補助層は、Mnを含む第3物質から形成することができる。
【0031】
前記底部と前記下部プレートは、前記底部と前記下部プレートとの間に位置する金属が溶融して接合できる。
【0032】
前記底部と前記下部プレートとの間に位置するクラッド層をさらに含むことができる。
【0033】
前記クラッド層は、前記底部と前記下部プレートとを構成する素材より融点が低くてもよい。
【0034】
前記クラッド層は、アルミニウムを含むことができる。
【0035】
前記底部はMgを含む第1物質を含み、前記下部プレートはSiを含む第2物質を含む第1下部プレートおよびMnを含む第3物質を含む第2下部プレートを含み、前記第1下部プレートは前記第2下部プレート上に積層されて配置されてもよい。前記底部と前記下部プレートとの接合時に使用されるフラックスは、セシウム(Cs)を含むことができる。
【0036】
本発明の他の一実施形態による電池パックは、前記少なくとも一つの電池モジュール、および前記少なくとも一つの電池モジュールをパッケージングするパックケースを含むことができる。
【発明の効果】
【0037】
実施形態によれば、ヒートシンクがモジュールフレームと一体化して形成される電池モジュールおよびこれを含む電池パックの冷却性能が向上し、電池パックの空間活用度が増大でき、製作費用が節減できる。
【0038】
また、ヒートシンクを構成するモジュールフレーム底部とこれに接合される下部プレートを互いに異なる種類の金属系列から形成することによって冷却性能を向上させることができる。
【0039】
本発明の効果は以上で言及した効果に制限されず、言及されていないまた他の効果は請求範囲の記載から当業者に明確に理解されるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】従来の電池モジュールに対する斜視図である。
図2図1の切断線A-A’に沿って切断した断面図である。
図3図2のA1領域を拡大して示した図である。
図4】本発明の一実施形態による電池モジュールを示す斜視図である。
図5図4の電池モジュールの分解斜視図である。
図6図4の電池モジュールに含まれているヒートシンクを示した斜視図である。
図7図6の切断線D-D’に沿って切断した断面の一部を示した断面図である。
図8図4の切断線B-B’に沿って切断した本発明の一実施形態による電池モジュールを示す断面図である。
図9図4の切断線B-B’に沿って切断した本発明の他の一実施形態による電池モジュールを示す断面図である。
図10図4の切断線B-B’に沿って切断した本発明のまた他の一実施形態による電池モジュールを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、添付した図面を参照して本発明の様々な実施形態について本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳しく説明する。本発明は様々の異なる形態に実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0042】
本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一な参照符号を付けるようにする。
【0043】
また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは説明の便宜のために任意に示したので、本発明が必ずしも図示されたところに限定されない。図面において様々の層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして図面において、説明の便宜のために、一部層および領域の厚さを誇張して示した。
【0044】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分“の上に”または“上に”あるという時、これは他の部分“の直上に”ある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分“の直上に”あるという時には中間に他の部分がないことを意味する。また、基準となる部分“の上に”または“上に”あるというのは基準となる部分の上または下に位置することであり、必ずしも重力反対方向に向かって“の上に”または“上に”位置することを意味するのではない。
【0045】
また、明細書全体で、ある部分がある構成要素を“含む”という時、これは特に反対になる記載がない限り他の構成要素を除くのではなく他の構成要素をさらに含むことができるのを意味する。
【0046】
また、明細書全体で、“平面上”という時、これは対象部分を上から見た時を意味し、“断面上”という時、これは対象部分を垂直に切断した断面を横から見た時を意味する。
【0047】
図4は、本発明の一実施形態による電池モジュールを示す斜視図である。図5は、図4の電池モジュールの分解斜視図である。図6は、図4の電池モジュールに含まれているヒートシンクを示した斜視図である。図7は、図6の切断線D-D’に沿って切断した断面の一部を示した断面図である。
【0048】
図4図7を参照すれば、本発明の一実施形態による電池モジュール100は、複数の電池セル110が積層された電池セル積層体120、電池セル積層体120を収納するモジュールフレーム200、およびモジュールフレーム200の底部210aの下に位置するヒートシンク300を含む。モジュールフレーム200の底部210aはヒートシンク300の上部プレートを構成し、ヒートシンク300の陥没部340と底部210aが冷媒の流路を形成する。ヒートシンク300の具体的な構造については図6図7を参照して詳しく後述するようにする。
【0049】
まず、電池セル110はパウチ型電池セルであってもよい。このようなパウチ型電池セルは、樹脂層と金属層を含むラミネートシートのパウチケースに電極組立体を収納した後、前記パウチケースのシーリング部を熱融着して形成することができる。この時、電池セル110は長方形のシート型構造に形成することができる。
【0050】
このような電池セル110は複数で構成することができ、複数の電池セル110は相互電気的に連結されるように積層されて電池セル積層体120を形成する。特に、図5に示されているようにx軸と平行な方向に沿って複数の電池セル110を積層することができる。
【0051】
電池セル積層体120を収納するモジュールフレーム200は、上部カバー220およびU字型フレーム210を含むことができる。
【0052】
U字型フレーム210は、底部210aおよび底部210aの両端部から上向延長された二つの側面部211を含むことができる。底部210aは電池セル積層体120の下面(-z軸方向)をカバーすることができ、側面部211は電池セル積層体120の両側面(x軸方向および-x軸方向)をカバーすることができる。
【0053】
上部カバー220は、U字型フレーム210によって囲まれる下面および両側面を除いた残り上面(z軸方向)を囲む一つの板状型構造に形成することができる。上部カバー220とU字型フレーム210は互いに対応する角部位が接触した状態で、溶接などによって結合されることによって、電池セル積層体120を上下左右にカバーする構造を形成することができる。上部カバー220とU字型フレーム210を通じて電池セル積層体120を物理的に保護することができる。このために、上部カバー220とU字型フレーム210とは所定の強度を有する金属材質を含むことができる。
【0054】
一方、具体的に図示していないが、変形例によるモジュールフレーム200は上面、下面および両側面が一体化した金属板材形態のモノフレームであってもよい。即ち、U字型フレーム210と上部カバー220が相互結合される構造でなく、押出成形で製造されて上面、下面および両側面が一体化した構造であってもよい。
【0055】
エンドプレート400は、モジュールフレーム200の開放された第1側(y軸方向)と第2側(-y側方向)に位置して電池セル積層体120をカバーするように形成することができる。このようなエンドプレート400は、外部の衝撃から電池セル積層体120およびその他の電装品を物理的に保護することができる。
【0056】
一方、具体的に図示していないが、電池セル積層体120とエンドプレート400との間には、バスバーが装着されるバスバーフレームおよび電気的絶縁のための絶縁カバーなどを配置することができる。
【0057】
以下、図5図7を参照して、本実施形態によるヒートシンクについて具体的に説明する。
【0058】
前述のとおり、モジュールフレーム200の底部210aはヒートシンク300の上部プレートを構成し、ヒートシンク300の陥没部340とモジュールフレーム200の底部210aが冷媒の流路Cを形成することができる。
【0059】
具体的に、ヒートシンク300はモジュールフレーム200の下部に形成することができる。ヒートシンク300は、モジュールフレーム200の底部210aと接しながら形成される。ヒートシンク300は、ヒートシンク300の骨格を形成しモジュールフレーム200の底部210aと接合される下部プレート310および冷媒が流動する経路である陥没部340を含むことができる。
【0060】
モジュールフレーム200の底部210aは特別な制限はないが、金属素材を含むことができる。底部210aは、金属素材を含む第1物質を含むことができる。第1物質は、剛性の高い素材を含むことができる。第1物質は、Mg含量の高い素材を含むことができる。第1物質は、Al、Mg、Si、CuおよびMnを含む合金素材であってもよい。第1物質は、Al60系列素材を含むことができる。即ち、底部210aは電池モジュールの強度のために第1物質を含むことができる。
【0061】
モジュールフレーム200の底部210aはヒートシンク300の上部プレートから構成されて、底部210aが直ちに冷媒と当接するため冷媒によるより直接的な冷却が可能であるという長所がある。ヒートシンク300がモジュールフレーム200の底部210aと一体化した構造を通じて電池モジュール100および電池モジュール100が装着された電池パック上の空間活用率をより向上させることができる。これは、図2および図3に示したように、従来の底部31と冷媒の間に熱伝達部材50およびヒートシンク60の上部構成が位置して間接冷却させることによって冷却効率が低下することと比較される。
【0062】
ヒートシンク300の陥没部340は、下部プレート310が下側に陥没形成された部分に該当する。陥没部340は冷媒流路が伸びる方向基準で垂直にxy平面に切断した断面がU字型管であってもよく、前記U字型管の開放された上側に底部210aを配置することができる。
【0063】
より具体的に、図6図7に示されたように、陥没部340はyz平面やxz平面に切断した断面がU字型を帯びる管であって、上部が開放されてもよい。ヒートシンク300の下部プレート310が底部210aと接しながら、陥没部340と底部210aとの間の空間が冷媒が流動する領域、即ち、冷媒の流路Cになる。これにより、モジュールフレーム200の底部210aが前記冷媒と接触することになる。前記冷媒は冷却のための媒介物であって、特別な制限はないが、冷却水であってもよい。
【0064】
ヒートシンク300の陥没部340の製造方法に特別な制限はないが、板状型のヒートシンク300に対して陥没形成された構造を設けて形成することができる。一例として、下部プレート310の一部を下部方向に陥没させて上側が開放されたU字型陥没部340を形成することができる。
【0065】
効果的な冷却のために、図5に示されているように、モジュールフレーム200の底部210aに対応する全領域にわたって陥没部340が形成されることが好ましい。このために、陥没部340は少なくとも一回曲げられて一側から他側につながってもよい。特に、モジュールフレーム200の底部210aに対応する全領域にわたって陥没部340が形成されるために、陥没部340は数回曲げられることが好ましい。モジュールフレーム200の底部210aに対応する全領域にわたって形成された冷媒流路の開始点から終了点まで冷媒が移動することによって、電池セル積層体120の全領域に対する効率的な冷却が行われ、したがって冷却性能がより向上できる。
【0066】
一方、後述するが、モジュールフレーム200の底部210aは、ヒートシンク300中の陥没部340が形成されていない下部プレート310部分と溶接を通じて接合されてもよい。本実施形態は、モジュールフレーム200の底部210aがヒートシンク300の上部プレートに対応する役割を果たすことによって冷却一体型構造を実現することができ、直接冷却による効率が増加できる。それだけでなく、モジュールフレーム200に収容された電池セル積層体120の荷重を支持し電池モジュール100の剛性を補強する効果を有することができる。
【0067】
この時、下部プレート310は金属素材を含むことができる。下部プレート310はアルミニウム合金素材であってもよい。
【0068】
モジュールフレーム200の底部210aと電池セル積層体120との間には、熱伝導性樹脂(Thermal resin)を含む熱伝導性樹脂層600(図6参照)を配置することができる。熱伝導性樹脂層600は、熱伝導性樹脂を底部210aに塗布し、塗布された熱伝導性樹脂が硬化されて形成することができる。
【0069】
熱伝導性樹脂は熱伝導性接着物質を含むことができ、具体的に、シリコン(Silicone)素材、ウレタン(Urethan)素材、およびアクリル(Acrylic)素材のうちの少なくとも一つを含むことができる。熱伝導性樹脂は、塗布時には液状であるが、塗布後に硬化して電池セル積層体120を構成する一つ以上の電池セル110を固定する役割を果たすことができる。また、熱伝導特性に優れて電池セル110から発生した熱を迅速に電池モジュール100の下側に伝達することができる。
【0070】
電池セル110から発生した熱が電池セル積層体120と底部210aとの間に位置する熱伝導性樹脂層600、モジュールフレーム200の底部210a、冷媒を経て電池モジュール100の外部に伝達されることになって、従来の不必要な冷却構造を除去することによって熱伝達経路が単純化され、各層の間のエアギャップを減らすことができるため冷却効率や性能が増大できる。
【0071】
また、不必要な冷却構造の除去を通じて電池モジュール100の高さが減少して、原価節減が可能であり、空間活用度を高めることができる。さらに、電池モジュール100をコンパクトに配置することができるので、電池モジュール100を複数含む電池パックの容量や出力を増大させることができる。
【0072】
以下、図8などを参照して、モジュールフレーム200の底部210aとヒートシンク300の下部プレート310の接合について詳しく説明する。
【0073】
図8は、図4の切断線B-B’に沿って切断した本発明の一実施形態による電池モジュールを示す断面図である。
【0074】
図8を参照すれば、前述のとおり、底部210aはヒートシンク300の下部プレート310と溶接の方法で接合することができる。底部210aとヒートシンク300の下部プレート310とは、底部210aと下部プレート310との間に金属を配置し、前記金属を溶融して接合することができる。例えば、クラッド金属(Clad metal)を用いたブレージング(brazing)溶接を用いることができる。ブレージング溶接とは、金属素材間接合において、金属素材の間に低融点金属を設けて、金属素材を溶融せずに接合させる方法である。前記説明した溶接によって、底部210aと下部プレート310との間にはクラッド層700を形成することができる。クラッド層700は、融点が600゜C以下である物質を含むことができる。クラッド層700は、アルミニウムまたはアルミニウムを含む合金を含むことができる。
【0075】
モジュールフレーム200の底部210aとヒートシンク300の下部プレート310とが溶接結合で密封されることによって、下部プレート310内側に形成された陥没部340で冷媒が漏れなく流動することが可能で、冷却効率が向上できる。
【0076】
図9は、図4の切断線B-B’に沿って切断した本発明の他の一実施形態による電池モジュールを示す断面図である。本発明の他の一実施形態による電池モジュールは、図8の本発明の一実施形態による電池モジュールの変形例であり得る。したがって、以下では図8と比較して差のある部分についてのみ具体的に記載する。
【0077】
図9を参照すれば、ヒートシンク300の下部プレート310は第1下部プレート310aおよび第2下部プレート310bを含むことができる。下部プレート310は積層構造であってもよい。具体的に、第2下部プレート310bに第1下部プレート310aが積層された構造であってもよい。具体的に、第1下部プレート310aの一面が底部210aと対向して位置し、第1下部プレート310aの他面は第2下部プレート310bの一面と接する構造であってもよい。
【0078】
第1下部プレート310aは特別な制限はないが、金属素材を含むことができる。第1下部プレート310aは、金属素材を含む第2物質を含むことができる。第2物質は、Si含量の高い素材を含むことができる。第2物質は、AlおよびSiを含む合金素材であってもよい。第2物質は、Al40系列素材を含むことができる。第1下部プレート310aは、モジュールフレーム200の底部210aとの接合程度を向上させるために、モジュールフレーム200の底部210aを構成する素材より融点の低い素材を含むことができる。第2物質は、溶接のための材料であってもよい。
【0079】
第2下部プレート310bは特別な制限はないが、金属素材を含むことができる。第2下部プレート310bは、金属素材を含む第3物質を含むことができる。第3物質は、Mn含量の高い素材を含むことができる。第3物質は、Al、Mn、MgおよびCuを含む合金素材であってもよい。第3物質は、Al30系列素材を含むことができる。
【0080】
第1物質を含むモジュールフレーム200の底部210aは第2物質を含む第1下部プレート310aと溶接を通じて接合されてもよい。第1物質を含むモジュールフレーム200の底部210aは第2物質を含む第1下部プレート310aとアルミニウムを溶融して接合されてもよい。第1物質を含むモジュールフレーム200の底部210aは第2物質を含む第1下部プレート310aとブレージング溶接を通じて接合されてもよい。
【0081】
第1下部プレート310aを構成する前記第2物質は、溶接でのクラッド層700形成のためのものであってもよい。即ち、前記第2物質を構成する素材が一種のクラッド素材であってもよいので、底部210aと第1下部プレート310aとの接合力が向上できる。但し、この場合、第1物質に含まれるMgの含量によって溶接時に微細クラックが発生することがあってフラックス(flux)の変更が必要なことがある。フラックスは溶接時に溶接金属の表面を大気から保護し、表面を清潔にするために使用される物質である。本発明の一実施形態による電池モジュールの底部210aと第1下部プレート310aの接合時使用されるフラックスは、セシウム(Cs)を含むことができる。
【0082】
図10は、図4の切断線B-B’に沿って切断した本発明のまた他の一実施形態による電池モジュールを示す断面図である。本発明のまた他の一実施形態による電池モジュールは、図9の本発明の他の一実施形態による電池モジュールの変形例であり得る。したがって、以下では図9と比較して差のある部分についてのみ具体的に記載する。
【0083】
モジュールフレーム200の底部210aは積層構造であってもよい。モジュールフレーム200の底部210aは、底部210aと下部プレート310との間に位置する補助層210bをさらに含むことができる。即ち、モジュールフレーム200の底部210aは補助層210bに底部210aが積層されたものであってもよい。
【0084】
モジュールフレーム200の底部210aは第1物質を含むことができ、補助層210bは第3物質を含むことができる。
【0085】
第1物質と第3物質は全てMgを含むことができるが、第1物質に含まれるMg含量は第3物質に含まれるMg含量より大きくてもよい。したがって、Mg含量の差によって第1物質が第3物質に比べて強度がさらに大きいことがあるが、接合力はさらに小さいことがある。
【0086】
モジュールフレーム200の底部210aは補助層210bを追加的にさらに含むことによって、下部プレート310との接合工程を改善させることができる。第3物質を含む補助層210bが第2物質を含む第1下部プレート310aと溶接で接合される場合、第1下部プレート310aと補助層210bとのMg含量差によって、図9の実施形態と比較して微細クラックが少なく発生し、フラックスの変更も不必要になり得る。即ち、補助層210bと第1下部プレート310aの接合時使用されるフラックスはセシウム(Cs)を含まなくてもよいため工程費用が減少し、補助層210bとヒートシンク300の下部プレート310との接合工程が改善できる。
【0087】
前述の電池モジュールおよびこれを含む電池パックは多様なデバイスに適用することができる。このようなデバイスには、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド自動車などの運送手段に適用することができるが、本発明はこれに制限されず、電池モジュールおよびこれを含む電池パックを使用することができる多様なデバイスに適用可能であり、これも本発明の権利範囲に属する。
【0088】
以上で本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるのではなく、次の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を用いた当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属するのである。
【符号の説明】
【0089】
100:電池モジュール
110:電池セル
120:電池セル積層体
200:モジュールフレーム
210:U字型フレーム
210a:底部
210b:補助層
211:側面部
220:上部カバー
300:ヒートシンク
310:下部プレート
310a:第1下部プレート
310b:第2下部プレート
340:陥没部
400:エンドプレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10