(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】ガス捕集装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/48 20060101AFI20241111BHJP
G01N 1/22 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
H01M10/48 A
G01N1/22 V
(21)【出願番号】P 2023558847
(86)(22)【出願日】2022-10-13
(86)【国際出願番号】 KR2022015455
(87)【国際公開番号】W WO2023120910
(87)【国際公開日】2023-06-29
【審査請求日】2023-09-25
(31)【優先権主張番号】10-2021-0186715
(32)【優先日】2021-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ヘ・オク・カン
(72)【発明者】
【氏名】ヒスン・ユン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・クン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ナク・ヒ・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ドングク・ファン
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2021-504880(JP,A)
【文献】特開2015-026504(JP,A)
【文献】特開2017-181212(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0119500(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/48
G01N 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側面に電池の上端部が突出するように、前記電池の下端部が挿入される電池挿入溝が形成される下部ジグと、
下側面が前記下部ジグの上側面と密着され、前記電池の上側面が露出されるように、前記電池が挿入される電池挿入ホールが形成される上部ジグと、
前記下部ジグを内部に収容する下部ハウジングと、
前記上部ジグを内部に収容し、下端部が前記下部ハウジングの上端部に結合する上部ハウジングと、
を含む、ガス捕集装置。
【請求項2】
前記上部ハウジングの天井面には、前記電池の上端部を打孔してガス排出ホールを形成するパンチング部が設けられる、請求項1に記載のガス捕集装置。
【請求項3】
前記上部ハウジングの上側面には、ニードル通過ホールが形成され、
前記パンチング部は、
前記ニードル通過ホールを通じて前記上部ハウジングの内部に挿入され、下端部が前記電池の上端部を貫通して前記ガス排出ホールを形成するニードル部材と、
前記上部ハウジングよりも上側に位置し、下端部に前記ニードル部材の上端部が結合される胴体部材と、
前記上部ハウジングの上端部に結合され、前記胴体部材の上下移動をガイドするガイドホールが形成されるガイド部材と、
前記ガイド部材の上端部に突出する前記胴体部材の上端部に結合される加圧部材と、
前記加圧部材の下端部と前記ガイド部材の上端部との間に挿入される弾性部材と、を含む、請求項2に記載のガス捕集装置。
【請求項4】
前記下部ハウジングの底面には、前記下部ジグの下端部を加圧して前記下部ジグを上向きに押し上げるボタン部が設けられる、請求項1~3のいずれか一項に記載のガス捕集装置。
【請求項5】
前記下部ハウジングの下側面には、昇降部材挿入ホールが形成され、
前記ボタン部は、
前記下部ハウジングの内部で上側面が前記下部ジグの下側面に接触して前記下部ジグを支持する支持部材と、
上端部が前記支持部材の下側面と結合され、下端部が前記昇降部材挿入ホールを通じて前記下部ハウジングの下端部よりもさらに下側に突出する昇降部材と、を含む、請求項4に記載のガス捕集装置。
【請求項6】
前記支持部材は、上下方向に対して垂直な平面を有するディスク状からなり、
前記昇降部材は、上下方向に延びる円筒状からなり、
前記支持部材の直径は、前記昇降部材の直径よりも大きく形成される、請求項5に記載のガス捕集装置。
【請求項7】
前記下部ハウジングの底面には、前記支持部材が挿入される支持部材挿入溝が形成される、請求項6に記載のガス捕集装置。
【請求項8】
前記下部ハウジングには、前記電池で発生したガスを排出するガス排出管が連結される、請求項2または3に記載のガス捕集装置。
【請求項9】
前記上部ジグには、第1流路が形成され、
前記下部ジグには、第2流路が形成され、
前記ガス排出ホールを通じて前記電池から排出されたガスは、前記第1流路及び前記第2流路を通じて前記ガス排出管に伝達される、請求項8に記載のガス捕集装置。
【請求項10】
前記上部ジグの上側面は、前記上部ハウジングの天井面から離隔し、
前記第1流路は、前記上部ジグの外周面に、上下方向に延びる第1ガス排出溝として形成され、
前記第2流路は、前記下部ジグの外周面に、上下方向に延びる第2ガス排出溝として形成される、請求項9に記載のガス捕集装置。
【請求項11】
前記上部ジグの下端部または前記下部ジグの上端部には、外周面に沿ってリング状に流路連結溝が形成される、請求項10に記載のガス捕集装置。
【請求項12】
上下方向に延びる円筒状からなる上部ジグと、
上端部が前記上部ジグの下端部に結合される下部ジグと、を含み、
前記上部ジグには、円筒状電池の上端部が挿入されるための電池挿入ホールが形成され、
前記電池挿入ホールは、上下方向に延びる円筒状に形成され、
前記円筒状電池は、外周面が前記電池挿入ホールの内周面に密着されるように挿入され、
前記下部ジグの上側面には、前記円筒状電池の下端部が挿入されるための電池挿入溝が形成され、
前記電池挿入溝は、上下方向に延びる円筒状からなり、
前記円筒状電池は、外周面が前記電池挿入溝の内周面に密着されるように挿入され、
前記上部ジグの外周面には、上下方向に延びる第1ガス排出溝が形成され、
前記下部ジグの外周面には、上下方向に延びる第2ガス排出溝が形成される、ガス捕集装置用ジグ。
【請求項13】
前記第1ガス排出溝は、前記上部ジグの上端部から下端部まで延び、
前記第2ガス排出溝の上端部は、前記下部ジグの上端部に位置する、請求項12に記載のガス捕集装置用ジグ。
【請求項14】
前記下部ジグには、外周面に沿って形成されるリング状の第3ガス排出溝が形成され、
前記第2ガス排出溝の下端部が前記第3ガス排出溝に連結される、請求項12または13に記載のガス捕集装置用ジグ。
【請求項15】
前記上部ジグの下端部には、外周面に沿ってリング状に流路連結溝が形成され、
前記第1ガス排出溝の下端部は、前記流路連結溝に連結される、請求項12または13に記載のガス捕集装置用ジグ。
【請求項16】
前記下部ジグの上端部には、外周面に沿ってリング状に流路連結溝が形成され、
前記第2ガス排出溝の上端部は、前記流路連結溝に連結される、請求項12または13に記載のガス捕集装置用ジグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年12月24日付の大韓民国特許出願10-2021-0186715号に基づいた優先権の利益を主張し、当該大韓民国特許出願の文献に開示されたあらゆる内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、ガス捕集装置に係り、多様な規格の剛性材質のケースを有する電池、特に、円筒状電池に対して高濃度のガス捕集が可能なガス捕集装置に関する。
【背景技術】
【0003】
一般的に、二次電池は、化学エネルギーを電気エネルギーに変換する放電過程と、逆変換である充電過程と、を通じて繰り返し使用が可能な電池であり、その種類としては、ニッケルカドミウム(Ni-Cd)電池、ニッケル水素(Ni-MH)電池、リチウム金属電池、リチウムイオン(Li-ion)電池及びリチウムイオンポリマー電池(Li-ion Polymer Battery)などがある。このような二次電池のうち、高いエネルギー密度と電圧とを有し、サイクル寿命が長く、自己放電率が低いリチウム二次電池が商用化されて広く使われている。
【0004】
リチウム二次電池内で反応によって水素、酸素、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、CnH2n-2(n=2~5)、CnH2n(n=2~5)、CnH2n+2(n=1~5)である炭化水素及びその他の有機ガス種などの多種のガスが発生する。
【0005】
また、リチウム二次電池は、繰り返された充電・放電の進行によって電解質分解による多量のガスを発生しながら劣化し、この態様は、電池の設計及び使用形態によって異なって表われる。したがって、電池内部の発生ガスを分析して電池の劣化メカニズムを類推することが、電池の開発過程で必須的に行わなければならない。
【0006】
したがって、二次電池内で発生するガスを捕集して正確に分析することが非常に重要である。リチウムイオン電池の作動時に多様なガスが発生し、発生ガスの組成及び含量についての情報は、電池素材の開発、電池製造工程の最適化、電池不良原因の把握などにおいて有用に用いられる。そのためには、二次電池内部の発生ガスを捕集する技術開発が重要である。
【0007】
二次電池内部から発生したガスを捕集するための方法として、内部に密閉空間が形成された拡散チャンバに電池を収容し、電池ケースにガス排出のための開口部を形成した後、開口部を通じて排出されるガスが拡散チャンバ内部に拡散されれば、拡散されたガスを別途のガス捕集容器に捕集する方法が使われている。高濃度のガス捕集のためには、電池と拡散チャンバ内部空間との間の間隙がないことが最も望ましい。
【0008】
最近、幅広い産業分野で電池は使われ、多様な電池適用環境及び条件によって、電池に要求される性能も変わり、電池は、多様な規格で設計される。
【0009】
従来、多様な電池設計のために、電池サイズによってガス捕集のための拡散チャンバを個別使用して、電池モデルが変わる度に新たに製作または設置しなければならない難点があった。また、電池と拡散チャンバ内部空間との間の間隙がない場合、拡散チャンバから電池を除去する時に難点があり、十分に大きな拡散チャンバを使用する場合には、分析のためのガス濃度が低下する問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、ガス捕集装置に関するものであって、多様な規格の剛性材質のケースを有する電池、特に、円筒状電池に対して高濃度のガス捕集が可能なガス捕集装置を提供することである。
【0011】
本発明が解決しようとする技術的課題は、前述した技術的課題に制限されず、言及されていないさらに他の技術的課題は、下記の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のガス捕集装置は、上側面に電池の上端部が突出するように前記電池の下端部が挿入される電池挿入溝が形成される下部ジグ;下側面が前記下部ジグの上側面と密着され、前記電池の上側面が露出されるように前記電池が挿入される、電池挿入ホールが形成される上部ジグ;前記下部ジグを内部に収容する下部ハウジング;及び前記上部ジグを内部に収容し、下端部が前記下部ハウジングの上端部に結合する上部ハウジング;を含むものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のガス捕集装置は、多様な電池に対して高濃度のガス捕集が可能であり、分析開始と終了時に電池の装着、取り替えまたは除去が容易なものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】本発明のガス捕集装置の他の実施形態を示す断面図である。
【
図3】上部ハウジングと下部ハウジングとの分離状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のガス捕集装置は、上側面に電池の上端部が突出するように前記電池の下端部が挿入される電池挿入溝が形成される下部ジグ;下側面が前記下部ジグの上側面と密着され、前記電池の上側面が露出されるように前記電池が挿入される電池挿入ホールが形成される上部ジグ;前記下部ジグを内部に収容する下部ハウジング;及び前記上部ジグを内部に収容し、下端部が前記下部ハウジングの上端部に結合する上部ハウジング;を含むものである。
【0016】
本発明のガス捕集装置の前記上部ハウジングの天井面には、前記電池の上端部を打孔してガス排出ホールを形成するパンチング部が設けられるものである。
【0017】
本発明のガス捕集装置で、前記上部ハウジングの上側面には、ニードル通過ホールが形成され、前記パンチング部は、前記ニードル通過ホールを通じて前記上部ハウジングの内部に挿入され、下端部が前記電池の上端部を貫通して前記ガス排出ホールを形成するニードル部材と、前記上部ハウジングよりも上側に位置し、下端部に前記ニードル部材の上端部が結合される胴体部材と、前記上部ハウジングの上端部に結合され、前記胴体部材の上下移動をガイドするガイドホールが形成されるガイド部材と、前記ガイド部材の上端部に突出する前記胴体部材の上端部に結合される加圧部材と、前記加圧部材の下端部と前記ガイド部材の上端部との間に挿入される弾性部材と、を含むものである。
【0018】
本発明のガス捕集装置で、前記下部ハウジングの底面には、前記下部ジグの下端部を加圧して前記下部ジグを上向きに押し上げるボタン部が設けられるものである。
【0019】
本発明のガス捕集装置で、前記下部ハウジングの下側面には、昇降部材挿入ホールが形成され、前記ボタン部は、前記下部ハウジングの内部で上側面が前記下部ジグの下側面に接触して前記下部ジグを支持する支持部材と、上端部が前記支持部材の下側面と結合され、下端部が前記昇降部材挿入ホールを通じて前記下部ハウジングの下端部よりもさらに下側に突出する昇降部材と、を含むものである。
【0020】
本発明のガス捕集装置の前記支持部材は、上下方向に対して垂直な平面を有するディスク状からなり、前記昇降部材は、上下方向に延びる円筒状からなり、前記支持部材の直径は、前記昇降部材の直径よりも大きく形成されるものである。
【0021】
本発明のガス捕集装置では、前記下部ハウジングの底面には、前記支持部材が挿入される前記支持部材挿入溝が形成されるものである。
【0022】
本発明のガス捕集装置の前記下部ハウジングには、前記電池で発生したガスが排出するガス排出管が連結されるものである。
【0023】
本発明のガス捕集装置では、前記上部ジグには、第1流路が形成され、前記下部ジグには、第2流路が形成され、前記ガス排出ホールを通じて電池から排出されたガスは、前記第1流路及び前記第2流路を通じて前記ガス排出管に伝達されるものである。
【0024】
本発明のガス捕集装置では、前記上部ジグの上側面は、前記上部ハウジングの天井面から離隔し、前記第1流路は、前記上部ジグの外周面に上下方向に延びる第1ガス排出溝として形成され、前記第2流路は、前記下部ジグの外周面に上下方向に延びる第2ガス排出溝として形成されるものである。
【0025】
本発明のガス捕集装置では、前記上部ジグの下端部または前記下部ジグの上端部には、外周面に沿ってリング状に流路連結溝が形成されるものである。
【0026】
本発明のガス捕集装置用ジグは、上下方向に延びる円筒状からなる上部ジグ;及び上端部が前記上部ジグの下端部に結合される下部ジグ;を含み、前記上部ジグには、円筒状電池の上端部が挿入されるための電池挿入ホールが形成され、前記電池挿入ホールは、上下方向に延びる円筒状に形成され、前記円筒状電池は、外周面が前記電池挿入ホールの内周面に密着されるように挿入され、前記下部ジグの上側面には、前記円筒状電池の下端部が挿入されるための電池挿入溝が形成され、前記電池挿入溝は、上下方向に延びる円筒状からなり、前記円筒状電池は、外周面が前記電池挿入溝の内周面に密着されるように挿入され、前記上部ジグの外周面には、上下方向に延びる第1ガス排出溝が形成され、前記下部ジグの外周面に上下方向に延びる第2ガス排出溝が形成されるものである。
【0027】
本発明のガス捕集装置用ジグでは、前記第1ガス排出溝は、前記上部ジグの上端部から下端部まで延び、前記第2ガス排出溝の上端部は、前記下部ジグの上端部に位置するものである。
【0028】
本発明のガス捕集装置用ジグでは、前記下部ジグには、外周面に沿って形成されるリング状の第3ガス排出溝が形成され、前記第2ガス排出溝の下端部が前記第3ガス排出溝に連結されるものである。
【0029】
本発明のガス捕集装置用ジグでは、前記上部ジグの下端部には、外周面に沿ってリング状に流路連結溝が形成され、前記第1ガス排出溝の下端部は、前記流路連結溝に連結されるものである。
【0030】
本発明のガス捕集装置用ジグでは、前記下部ジグの上端部には、外周面に沿ってリング状に流路連結溝が形成され、前記第2ガス排出溝の上端部は、前記流路連結溝に連結されるものである。
【0031】
以下、添付図面を参照して、本発明による実施例を詳しく説明する。この過程で図面に示された構成要素の大きさや形状などは、説明の明瞭性と便宜上、誇張して示されうる。また、本発明の構成及び作用を考慮して特別に定義された用語は、ユーザ、運用者の意図または慣例によって変わりうる。このような用語に対する定義は、本明細書の全般に亘った内容に基づいて下されなければならない。
【0032】
本発明の説明において、留意しなければならない点は、用語「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「内側」、「外側」、「一面」、「他面」などが指示する方位または位置関係は、図面で示す方位または位置関係、あるいは、通常、本発明の製品使用時に配置する方位または位置関係に基づいたものであり、単に本発明の説明と簡略な説明のためのものであり、表示された装置または素子が、必ずしも特定の方位をもって、特定の方位で構成されるか、操作されなければならないということを提示または暗示するものではないので、本発明を制限すると理解してはならない。
【0033】
図1は、本発明のガス捕集装置を示す断面図である。
図2は、本発明のガス捕集装置の他の実施形態を示す断面図である。
図3は、上部ハウジング300と下部ハウジング400との分離状態を示す断面図である。
図4は、パンチング部500を示す要部詳細図である。
図5は、ボタン部600を示す要部詳細図である。
図6は、上部ジグ100及び下部ジグ200を示す斜視図である。
【0034】
以下、
図1ないし
図6を参照して、本発明のガス捕集装置について詳しく説明する。
【0035】
本発明のガス捕集装置は、剛性材質のケースを有する円筒状電池、角型電池、コイン型電池などに適用され、特に、円筒状電池に最適化されたものである。
【0036】
本発明のガス捕集装置は、電池11を密閉空間で打孔し、電池11の内部から生成されて排出されるガスを密閉空間に拡散させた後、別のガス捕集容器に伝達するか、ガス分析装置に伝達するためのものである。
【0037】
図1に示したように、本発明のガス捕集装置は、上側面に電池11の上端部が突出するように前記電池11の下端部が挿入される電池挿入溝210が形成される下部ジグ200;下側面が前記下部ジグ200の上側面と密着され、前記電池11の上側面が露出されるように前記電池11が挿入される電池挿入ホール110が形成される上部ジグ100;前記下部ジグ200を内部に収容する下部ハウジング400;及び前記上部ジグ100を内部に収容し、下端部が前記下部ハウジング400の上端部に結合する上部ハウジング300;を含むものである。
【0038】
すなわち、本発明のガス捕集装置は、上部ハウジング300及び下部ハウジング400の結合で形成される密閉空間に、上部ジグ100及び下部ジグ200が装着された電池11を収容させた後、電池11から発生するガスを捕集するものである。
【0039】
図1及び
図2に示したように、ガス捕集対象となる電池のサイズが変わっても、電池の規格に対応する上部ジグ100及び下部ジグ200を電池11に装着することにより、電池11が、上部ハウジング300及び下部ハウジング400が形成する密閉空間内で定位置に位置しうる。また、電池11の規格が変わることによって上部ハウジング300及び下部ハウジング400が形成する密閉空間内で電池11が占める体積の変化による排出ガスの濃度を、一定に保持することができる。
【0040】
上部ジグ100及び下部ジグ200は、摩擦係数が少なく、耐化学性及び耐熱性に優れたテフロン(登録商標)素材からなる。例えば、上部ジグ100及び下部ジグ200の形状は、上下方向に延びる円筒状からなる。
【0041】
上部ジグ100には、電池11が挿入されるための電池挿入ホール110が形成されうる。電池挿入ホール110も、上下方向に延びる円筒状に形成され、電池挿入ホール110の内径は、電池11の外径と一致して、電池挿入ホール110の内周面が電池11の外周面に完全に密着される。すなわち、上部ジグ100は、電池11の外径を内径とする円筒状パイプの形態に形成されうる。したがって、電池11に上部ジグ100が装着された状態では、電池11は、上端部及び下端部が露出された状態である。
【0042】
下部ジグ200の上側面には、電池11が挿入されるための電池挿入溝210が形成されうる。電池挿入溝210も、電池11の形態に対応するように上下方向に延びる円筒状からなる。電池挿入溝210の内径も、電池11の外径と一致するように形成されて、電池挿入溝210の内周面に電池11の外周面が完全に密着される。
【0043】
すなわち、電池11に上部ジグ100及び下部ジグ200が装着される時、上部ジグ100は、電池11の側面の上部を取り囲む形態で装着され、上部ジグ100の下端部よりもさらに下側に突出した電池11の下端部が、下部ジグ200の電池挿入溝210に挿入される。
【0044】
上部ジグ100及び下部ジグ200は、ガス捕集対象となる電池11タイプの種類によって複数設けられ、電池挿入ホール110及び電池挿入溝210の規格は、電池11タイプによってそれぞれ異なって形成されうる。しかし、複数の上部ジグ100及び複数の下部ジグ200に対して外径は同様に製作されて、電池11タイプが変わっても、上部ハウジング300及び下部ハウジング400が形成する密閉空間からガスが排出される空間の体積は同一である。
【0045】
図3に示したように、上部ハウジング300及び下部ハウジング400は、内部に電池11、上部ジグ100及び下部ジグ200が収容されるための密閉空間が形成されうる。密閉空間の形状は、円筒状の上部ジグ100及び下部ジグ200の外周面に対応するように、上下方向に延びる円筒状からなり、円筒状の密閉空間の上部が上部ジグ100の内部に形成され、密閉空間の下部が下部ジグ200の内部に形成されうる。すなわち、上部ハウジング300の内部空間は、下側が開放された状態であり、下部ハウジング400の内部空間は、上側が開放された状態である。
【0046】
上部ハウジング300及び下部ハウジング400の素材は、内部の圧力変化にも密閉空間が一定の体積を保持できるように、剛性の高い耐化学性及び耐熱性素材であるステンレス鋼などからなる。上部ジグ100及び下部ジグ200の外周面は、上部ハウジング300及び下部ハウジング400の内周面に完全に密着される。
【0047】
上部ジグ100及び下部ジグ200の上下方向の長さの和は、下部ハウジング400の内部に形成された密閉空間の深さよりも長い。
【0048】
下部ハウジング400の上端部には、上部ハウジング300の下端部と対面する位置に第1シーリング部材が挿入されるための第1シーリング溝が形成されうる。第1シーリング部材は、Oリングであり、第1シーリング溝は、電池11が収容される密閉空間を取り囲む閉ループ状に形成されうる。
【0049】
図3に示したように、上部ハウジング300の下端部及び下部ハウジング400の上端部のそれぞれには、直径方向に突出する第1突出部370及び第2突出部470がそれぞれ形成されうる。第1突出部370及び第2突出部470のそれぞれには、上部ハウジング300と下部ハウジング400との結合のための固定部材が挿入される第1固定部材挿入ホール371及び第2固定部材挿入ホール471がそれぞれ形成されうる。第1固定部材挿入ホール371と第2固定部材挿入ホール471とは、互いに対面する位置に形成され、固定部材は、第1固定部材挿入ホール371と第2固定部材挿入ホール471とを同時に貫通して上部ハウジング300と下部ハウジング400とを結合することができる。例えば、固定部材は、ボルトであり、第1固定部材挿入ホール371及び第2固定部材挿入ホール471の1つには、内周面にネジ山が形成されて、固定部材と螺合する。
【0050】
本発明のガス捕集装置で、前記上部ハウジング300の天井面には、前記電池11の上端部を打孔してガス排出ホールを形成するパンチング部500が設けられるものである。
【0051】
前記上部ハウジング300の上側面には、ニードル通過ホール350が形成され、パンチング部500のニードル部材510がニードル通過ホール350を通じて上部ハウジング300の内部に挿入されて電池11の上端部を打孔することができる。打孔された穴は、ガス排出ホールとして電池11の内部ガスが電池11の外部に排出されるための通路になる。
【0052】
図4に示したように、前記パンチング部500は、前記ニードル通過ホール350を通じて前記上部ハウジング300の内部に挿入され、下端部が前記電池11の上端部を貫通して前記ガス排出ホールを形成するニードル部材510と、前記上部ハウジング300よりも上側に位置し、下端部に前記ニードル部材510の上端部が結合される胴体部材520と、前記上部ハウジング300の上端部に結合され、前記胴体部材520の上下移動をガイドするガイドホール531が形成されるガイド部材530と、前記ガイド部材530の上端部に突出する前記胴体部材520の上端部に結合される加圧部材540と、前記加圧部材540の下端部と前記ガイド部材530の上端部との間に挿入される弾性部材550と、を含むものである。
【0053】
ニードル部材510は、下端部が上部ハウジング300の内部の天井面から突出して電池11の上端部を打孔するものである。
【0054】
胴体部材520は、上下方向に延びる棒状に形成され、上下に移動しながら、下端部に結合されたニードル部材510を作動させることができる。
【0055】
ガイド部材530は、上部ハウジング300の上端部に結合されるものであって、上下方向に貫通されるガイドホール531が形成されたものである。胴体部材520は、ガイドホール531に挿入されて上下移動がガイドされる。ガイドホール531には、第2シーリング部材が挿入されるための第2シーリング溝が形成されうる。第2シーリング部材は、Oリングであり、胴体部材520を取り囲む形状に位置しうる。第2シーリング溝も、胴体部材520を取り囲む閉ループ状からなる。
【0056】
加圧部材540は、胴体部材520の直径よりも大径を有するディスク状からなり、加圧部材540の下側面の中心に胴体部材520の上端部が結合されうる。
【0057】
弾性部材550は、下端部がガイド部材530の上端部に支持され、上端部が加圧部材540の下側面に支持されるものであって、復元力を有する弾性素材からなる。具体的に、弾性部材550は、円筒状のバネ状からなり、弾性部材550の中心に胴体部材520が挿入される。弾性部材550は、ニードル部材510が電池11にガス排出ホールを形成した後、自動で後退可能にするものである。
【0058】
図5に示したように、前記下部ハウジング400の底面には、前記下部ジグ200の下端部を加圧して前記下部ジグ200を上向きに押し上げるボタン部600が設けられるものである。ボタン部600は、下部ジグ200及び電池11を上昇させるものであって、ガス捕集終了時に下部ジグ200をガス捕集装置から容易に除去するためのものである。すなわち、ボタン部600を通じて下部ジグ200の上端部を下部ハウジング400の上端部よりも高く位置させ、ユーザは、ボタン部600を通じて下部ハウジング400から下部ジグ200を容易に分離することができる。例えば、下部ジグ200の外周面と下部ハウジング400の内周面とは、完璧に密着された状態であり、ボタン部600を通じて下部ジグ200を下部ハウジング400から容易に取り出すことができる。
【0059】
本発明のガス捕集装置では、上部ジグ100と下部ジグ200とは、複数設けられて、多様な電池タイプによって変わる電池の規格に対応するように製作される。電池別に行われる分析は、1つの上部ハウジング300及び下部ハウジング400に対して、複数設けられた上部ジグ100及び下部ジグ200のうち、分析対象電池11に適した1つを選択した後、電池11、上部ジグ100、下部ジグ200、上部ハウジング300及び下部ハウジング400を組み立てて行われる。この際、本発明のガス捕集装置は、他の規格の電池のガス捕集のために上部ジグ100及び下部ジグ200を取り替えるに際して、ボタン部600を通じて下部ジグ200と下部ハウジング400との分離を容易にする。
【0060】
図5に示したように、前記下部ハウジング400の下側面には、昇降部材挿入ホール450が形成され、ボタン部600は、昇降部材挿入ホール450に挿入されて、上端部が下部ハウジング400の内部に位置し、下端部が下部ハウジング400の外部に位置しうる。したがって、ガス捕集装置の外部からの操作で、ガス捕集装置の内部に位置する電池11の分離のための力を電池11に加えることができる。
【0061】
具体的に、前記ボタン部600は、前記下部ハウジング400の内部で上側面が前記下部ジグ200の下側面に接触して前記下部ジグ200を支持する支持部材610と、上端部が前記支持部材610の下側面と結合され、下端部が前記昇降部材挿入ホール450を通じて前記下部ハウジング400の下端部よりもさらに下側に突出する昇降部材620と、を含むものである。
【0062】
さらに具体的に、前記支持部材610は、上下方向に対して垂直な平面を有するディスク状からなり、前記昇降部材620は、上下方向に延びる円筒状からなり、前記支持部材610の直径は、前記昇降部材620の直径よりも大きく形成されるものである。すなわち、前記のような構造で、下部ハウジング400の昇降部材挿入ホール450の内径を最小化してリーク(leak)を防止し、下部ジグ200と接触する支持部材610の面積を広くして、支持部材610が下部ジグ200を安定して昇降させることができる。
【0063】
この際、下部ジグ200の下側面が下部ハウジング400の内部の底面に完全に密着されるように、前記下部ハウジング400の底面には、前記支持部材610が挿入される前記支持部材挿入溝460が形成されうる。したがって、支持部材610は、支持部材挿入溝460を通じて下部ハウジング400の内部の底面から突出しないように完全に埋め込まれて、下部ジグ200の下側面と下部ハウジング400の内部の底面との間に不要な拡散空間の発生を防止することができる。
【0064】
下部ハウジング400の下端部には、下部ハウジング400の下側面をガス捕集装置の設置面から離隔させる支持ブラケット700が備えられうる。したがって、昇降部材620の下端部は、設置面に接触しないこともある。
【0065】
前記下部ハウジング400には、前記電池11で発生したガスが排出するガス排出管410が連結されるものである。
【0066】
この際、電池11から発生したガスは、電池11の上端部に形成されたガス排出ホールに排出されるために、ガス排出ホールとガス排出管410とを連結する流路が必要である。
【0067】
したがって、前記上部ジグ100には、第1流路が形成され、前記下部ジグ200には、第2流路が形成され、前記ガス排出ホールを通じて電池11から排出されたガスは、前記第1流路及び前記第2流路を通じて前記ガス排出管410に伝達されるものである。
【0068】
図1に示したように、前記上部ジグ100の上側面は、前記上部ハウジング300の天井面から離隔し、
図6に示したように、前記第1流路は、前記上部ジグ100の外周面に、上下方向に延びる第1ガス排出溝140として形成され、前記第2流路は、前記下部ジグ200の外周面に、上下方向に延びる第2ガス排出溝240として形成されるものである。第1ガス排出溝140は、上部ジグ100の上端部から下端部まで延び、第2ガス排出溝240は、下部ジグ200の上端部からガス排出管410の高さまで延びる。
【0069】
この際、前記上部ジグ100の下端部または前記下部ジグ200の上端部には、外周面に沿ってリング状に流路連結溝150、250が形成されて、第1ガス排出溝140の下端部と第2ガス排出溝240の上端部とが正確に対面しないとしても、流路連結溝150、250を通じてガスはガス排出管410まで伝達されうる。
【0070】
下部ジグ200には、下部ジグ200の外周面に沿って形成されるリング状の第3ガス排出溝260が形成され、第2ガス排出溝240の下端部が第3ガス排出溝260に連結される。したがって、下部ジグ200を下部ハウジング400に挿入する時、別途の整列作業をしなくても、第3ガス排出溝260を通じて安定してガスは排出される。
【0071】
以上、本発明による実施例が説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これにより多様な変形及び均等な範囲の実施例が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲によって決定されねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明のガス捕集装置は、多様な電池に対して高濃度のガス捕集が可能であり、分析開始と終了時に電池の装着、取り替えまたは除去が容易なものである。
【符号の説明】
【0073】
11:電池
100:上部ジグ
110:電池挿入ホール
140:第1ガス排出溝
150、250:流路連結溝
200:下部ジグ
210:電池挿入溝
240:第2ガス排出溝
260:第3ガス排出溝
300:上部ハウジング
350:ニードル通過ホール
370:第1突出部
371:第1固定部材挿入ホール
400:下部ハウジング
410:ガス排出管
450:昇降部材挿入ホール
460:支持部材挿入溝
470:第2突出部
471:第2固定部材挿入ホール
500:パンチング部
510:ニードル部材
520:胴体部材
530:ガイド部材
531:ガイドホール
540:加圧部材
550:弾性部材
600:ボタン部
610:支持部材
620:昇降部材
700:支持ブラケット